JP2021162610A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 転写効率を向上させるために外添剤として微粒子を添加したトナーを用いた場合、ブレードニップ部を通過する微粒子がクリーニングブレードの表面を削ってしまうことでクリーニングブレードが摩耗し、クリーニング不良が発生するおそれがある。【解決手段】 トナーは、トナー母粒子及び前記トナー母粒子表面Tpsに有機ケイ素重合体を含有しており、外添剤としてシリカ粒子Spが添加されている。ブレード16aが当接する中間転写ベルト10の表面粗さRzであって、ベルト搬送方向と直交する中間転写ベルト10の幅方向に関する表面粗さRzは、有機ケイ素重合体の平均粒径Ryよりも大きく、且つ、シリカ粒子Spの平均粒径Rkよりも小さい。【選択図】 図9

Description

本発明は、レーザープリンタ、複写機、ファクシミリ等の電子写真方式を用いる画像形成装置に関する。
電子写真方式のカラー画像形成装置においては、従来から、各色の画像形成部から中間転写体に順次トナー像を転写し、さらに中間転写体から転写材に一括してトナー像を転写する中間転写方式を用いる構成が知られている。
このような画像形成装置では、各色の画像形成部がそれぞれ像担持体としてのドラム状の感光体(以下、感光ドラムと称する)を有している。また、中間転写体としては、無端状のベルトで形成された中間転写ベルトが広く用いられている。各画像形成部の感光ドラムに形成されたトナー像は、中間転写ベルトを介して感光ドラムに対向して設けられた一次転写部材に一次転写電源から電圧を印加することによって、中間転写ベルトに一次転写される。各色の画像形成部から中間転写ベルトに一次転写された各色のトナー像は、二次転写部において二次転写電源から二次転写部材へ電圧を印加することによって、中間転写ベルトから紙やOHPシートなどの転写材に一括して二次転写される。転写材に転写された各色のトナー像は、その後、定着手段により転写材に定着される。
中間転写方式の画像形成装置では、中間転写ベルトから転写材にトナー像を二次転写した後に中間転写ベルトにトナー(転写残トナー)が残留する。そのため、次の画像に対応したトナー像を中間転写ベルトに一次転写する前に中間転写ベルトに残留した転写残トナーを除去する必要がある。
転写残トナーを除去するクリーニング方式としては、ブレードクリーニング方式が広く用いられている。ブレードクリーニング方式では、中間転写ベルトの移動方向に関して二次転写部よりも下流側に配置され、中間転写ベルトに当接する当接部材としてのクリーニングブレードによって転写残トナーを掻き取ってクリーニング容器に回収する。クリーニングブレードとしては、一般的に、ウレタンゴムなどの弾性体が用いられている。このクリーニングブレードは、中間転写ベルトの移動方向に対向するような方向(カウンター方向)から、クリーニングブレードのエッジ部を中間転写ベルトに対して圧接された状態で配置されることが多い。
特許文献1には、微粒子を外添したトナーによって感光ドラムに微粒子を供給し、感光ドラムとトナー像との間に微粒子を介在させて感光ドラムとトナー間に働く力を低減させることで、転写効率を向上させる構成が開示されている。
特開平10−63027号公報
しかしながら、特許文献1に開示された微粒子が、感光ドラムから中間転写ベルトに移動した後に中間転写ベルトとクリーニングブレードとが当接するブレードニップ部に到達すると、以下のような課題が発生するおそれがある。即ち、ブレードニップ部の微小空間を微粒子がすり抜ける可能性があり、微粒子としてシリカのような硬い粒子を使用した場合に、ブレードニップ部を通過する微粒子がクリーニングブレードの表面を削ってしまうおそれがある。クリーニングブレードが微粒子によって摩耗されてしまうと、摩耗された位置をトナーがすり抜けることでクリーニング不良が発生するおそれがある。
そこで本発明は、ベルトに当接するクリーニングブレードによってベルトに残留したトナーを回収する構成において、トナーの転写効率を向上させつつ、クリーニング不良の発生を抑制することを目的とする。
本発明は、トナー像を担持する像担持体と、トナーを収容する収容部と、トナーによって前記像担持体に形成される潜像を現像する現像部材と、を有する現像手段と、移動可能であって、前記像担持体と対向して配置される無端状のベルトと、前記ベルトに対して当接可能なクリーニングブレードを有し、前記クリーニングブレードによって前記ベルトに残留したトナーを回収する回収手段と、を備える画像形成装置において、前記現像手段に収容されたトナーは、トナー母粒子及び前記トナー母粒子の表面に有機ケイ素重合体を含有し、前記収容部には、トナーと共に前記現像部材から前記像担持体に向かって移動する外添剤が添加されており、前記クリーニングブレードが当接する前記ベルトの外周面の表面粗さであって、前記ベルトの移動方向と直交する前記ベルトの幅方向に関する前記表面粗さの値が、前記有機ケイ素重合体の平均粒径の値よりも大きく、且つ、前記外添剤の平均粒径の値よりも小さいことを特徴とする。
本発明によれば、ベルトに当接するクリーニングブレードによってベルトに残留したトナーを回収する構成において、トナーの転写効率を向上させつつ、クリーニング不良の発生を抑制することができる。
画像形成装置の構成を説明する概略断面図である。 実施例1の中間転写ベルトの構成を説明する模式図である。 実施例1における、クリーニング手段の構成を説明する模式図である。 実施例1のトナーの構成について説明する模式図である。 実施例1のトナーが含有する有機ケイ素重合体の構成について説明する模式図である。 実施例1のトナーが含有する有機ケイ素重合体の構成について説明する模式図である。 実施例1のトナーが含有する有機ケイ素重合体の構成について説明する模式図である。 実施例1のトナーに添加された外添剤について説明する模式図である。 実施例1における、コート層の形成について説明する模式図である。 実施例1の中間転写ベルトの表面粗さの調整について説明する模式図である。 実施例1の変形例としての中間転写ベルトの表面粗さの調整について説明する模式図である。 実施例2の中間転写ベルトの構成を説明する模式図である。 実施例2の中間転写ベルトの製造方法について説明する模式図である。 実施例2の変形例としての中間転写ベルトの構成を説明する模式図である。 実施例2の変形例としての、中間転写ベルトの構成及び製造方法を説明する模式図である。
以下に図面を参照して、本発明の実施例を例示する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨のものではない。
(実施例1)
[画像形成装置]
図1は、本実施例の画像形成装置100の構成を示す概略断面図である。なお、本実施例の画像形成装置100は、a〜dの複数の画像形成部を設けている、いわゆるタンデム型の画像形成装置である。第1の画像形成部Saはイエロー(Y)、第2の画像形成部Sbはマゼンタ(M)、第3の画像形成部Scはシアン(C)、第4の画像形成部Sdはブラック(Bk)の各色のトナーによって画像を形成する。これら4つの画像形成部は一定の間隔をおいて一列に配置されており、各画像形成部の構成は収容するトナーの色を除いて実質的に共通である部分が多い。したがって、以下、第1の画像形成部Saを用いて本実施例の画像形成装置100について説明し、第1の画像形成部Saと同様の構成を有する第2の画像形成部Sb、第3の画像形成部Sc、第4の画像形成部Sdについては説明を省略する。
第1の画像形成部Saは、ドラム状の感光体である感光ドラム1aと、帯電部材である帯電ローラ2aと、現像手段4aと、ドラムクリーニング手段5aと、を有する。
感光ドラム1aは、トナー像を担持する像担持体であり、図示矢印R1方向に所定のプロセススピード(本実施例では200mm/sec)で回転駆動される。現像手段4aは、イエローのトナーを収容する現像容器41a(収容部)と、現像容器41aに収容されたイエロートナーを担持し、感光ドラム1aにイエロートナー像を現像するための現像部材としての現像ローラ42a(現像部材)と、を有する。ドラムクリーニング手段5aは、感光ドラム1aに付着したトナーを回収するための手段である。ドラムクリーニング手段5aは、感光ドラム1aに接触するクリーニングブレードと、クリーニングブレードによって感光ドラム1aから除去されたトナーなどを収容する廃トナーボックスと、を有する。
制御手段(不図示)が画像信号を受信することによって画像形成動作が開始されると、感光ドラム1aは回転駆動される。感光ドラム1aは回転過程で、帯電ローラ2aにより所定の極性(本実施例では負極性)で所定の電位(帯電電位)に一様に帯電処理され、露光手段3aにより画像信号に応じた露光を受ける。これにより、目的のカラー画像のイエロー色成分像に対応した静電潜像が形成される。次いで、その静電潜像は現像位置において現像手段4aにより現像され、イエロートナー像(以下、単にトナー像と称する。)として可視化される。ここで、現像手段4aに収容されたトナーの正規の帯電極性は、負極性である。この実施例では帯電部材による感光ドラムの帯電極性と同極性に帯電したトナーにより静電潜像を反転現像しているが、本発明は、感光ドラムの帯電極性とは逆極性に帯電したトナーにより静電潜像を正現像するようにした画像形成装置にも適用できる。
無端状で移動可能な中間転写体としての中間転写ベルト10は、各画像形成部Sa〜Sdの各感光ドラム1a〜1dと当接する位置に配置され、張架部材である支持ローラ11、張架ローラ12、対向ローラ13の3軸で張架されている。中間転写ベルト10は、張架ローラ12により総圧60Nの張力で張架されており、駆動力を受けて回転する対向ローラ13の回転によって図示矢印R2方向に移動する。なお、詳細は後述するが、本実施例における中間転写ベルト10は、複数の層によって構成されている。
感光ドラム1aに形成されたトナー像は、感光ドラム1aと中間転写ベルト10とが接触する一次転写部N1aを通過する過程で、一次転写電源23から一次転写ローラ6aに正極性の電圧を印加することで中間転写ベルト10に一次転写される。その後、中間転写ベルト10に一次転写されることなく感光ドラム1aに残留したトナーは、ドラムクリーニング手段5aによって回収されることで感光ドラム1aの表面から除去される。
ここで、一次転写ローラ6aは、中間転写ベルト10を介して感光ドラム1aに対応する位置に設けられ、中間転写ベルト10の内周面に接触する一次転写部材(接触部材)である。また、一次転写電源23は、一次転写ローラ6a〜6dに正極性又は負極性の電圧を印加することが可能な電源である。本実施例においては、複数の一次転写部材に対して共通の一次転写電源23から電圧を印加する構成について説明するが、これに限らず、各一次転写部材に対応させて複数の一次転写電源を設ける構成であっても本発明を適用できる。
以下、同様にして、第2色のマゼンタトナー像、第3色のシアントナー像、第4色のブラックトナー像が形成され、中間転写ベルト10に順次重ねて転写される。これにより、中間転写ベルト10には、目的のカラー画像に対応した4色のトナー像が形成される。その後、中間転写ベルト10に担持された4色のトナー像は、二次転写ローラ20と中間転写ベルト10とが接触して形成する二次転写部を通過する過程で、給紙手段50により給紙された紙やOHPシートなどの転写材Pの表面に一括で二次転写される。
二次転写ローラ20(二次転写部材)は、外径8mmのニッケルメッキ鋼棒に、体積抵抗率10Ω・cm、厚さ5mmに調整したNBRとエピクロルヒドリンゴムを主成分とする発泡スポンジ体で覆った外径18mmのものを用いている。なお、発泡スポンジ体のゴム硬度はアスカー硬度計C型を用いて測定し、500g荷重時に硬度30°であった。二次転写ローラ20は、中間転写ベルト10の外周面に接触しており、中間転写ベルト10を介して二次転写ローラ20に対向する位置に配置された対向ローラ13に対して50Nの加圧力で押圧され、二次転写部N2を形成している。
二次転写ローラ20は中間転写ベルト10に対して従動回転しており、二次転写電源21から電圧が印加されることにより、二次転写ローラ20から対向ローラ13に向かって電流が流れる。これにより、中間転写ベルト10に担持されていたトナー像は二次転写部において転写材Pに二次転写される。なお、中間転写ベルト10のトナー像を転写材Pに二次転写する際には、中間転写ベルト10を介して二次転写ローラ20から対向ローラ13に向かって流れる電流が一定になるように、二次転写電源21から二次転写ローラ20に印加される電圧が制御される。また、二次転写を行うための電流の大きさは、画像形成装置100が設置される周囲環境や転写材Pの種類により、予め決定されている。二次転写電源21は、二次転写ローラ20に接続しており、転写電圧を二次転写ローラ20に印加する。また、二次転写電源21は、100[V]から4000[V]の範囲の出力が可能である。
二次転写によって4色のトナー像を転写された転写材Pは、その後、定着手段30において加熱および加圧されることにより、4色のトナーが溶融混色して転写材Pに定着される。二次転写後に中間転写ベルト10に残留したトナー(転写残トナー)は、中間転写ベルト10の移動方向(以下、ベルト搬送方向と称する)に関して二次転写部N2よりも下流側に設けられたベルトクリーニング手段16(回収手段)により清掃、除去される。ベルトクリーニング手段16は、対向ローラ13に対向する位置で中間転写ベルト10の外周面に当接可能なクリーニングブレード16a(当接部材)と、クリーニングブレード16aによって回収されたトナーを収容するクリーニング容器16bと、を有する。なお、以下の説明においては、クリーニングブレード16aを単にブレード16aと称する。
本実施例の画像形成装置100においては、以上の動作により、フルカラーのプリント画像が形成される。
[中間転写ベルト]
図2は、本実施例における中間転写ベルト10の構成を説明する模式的な断面図である。本実施例における中間転写ベルト10は、周長700mm、長手幅250mmであり、図2に示すように、基層82と表層81の複数層によって構成されている。ここで、基層とは、中間転写ベルト10の厚さ方向(ベルト搬送方向及び、ベルト搬送方向と直交する中間転写ベルト10の幅方向と、それぞれ直交する方向)に関して、複数の層の内で最も厚い層のことを指す。また、表層81は、中間転写ベルト10の厚さ方向に関して、一次転写ローラ6a〜6dよりも感光ドラム1a〜1d側に形成された層、即ち、中間転写ベルト10の外周面側に形成された層である。
中間転写ベルト10の基層82は、厚さ80μmで、導電剤としてイオン導電剤を混合した無端状のポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂を用いている。電気的特性としては、イオン導電性の特性を示し、高分子鎖間をイオンが伝播することによって電気伝導性が得られるため、雰囲気中の温湿度に対して抵抗値変動はするものの、抵抗値の周方向のムラ等が良いのが特徴である。本実施例においては、基層82の体積抵抗率を1×10Ω・cm以下に設定した。なお、体積抵抗率の測定は、三菱化学株式会社のHiresta−UP(MCP−HT450)にリングプローブのタイプUR(型式MCP−HTP12)を使用した。また、体積抵抗率の測定条件は、室内温度23℃、室内湿度50%の環境下で、印加電圧100V、測定時間10secの条件で行った。
中間転写ベルト10の表層81は、アクリル樹脂から構成されており、基層82に対してアクリル樹脂をコーティングすることで、中間転写ベルト10の外周面側に形成される。本実施例においては、表層81の厚さは3μmである。
表層81は、後述する中間転写ベルト10の表面粗さに関係するため、より平滑性を出すために均一に基層82の表面に塗布することが好ましい。具体的な方法としては、スプレー塗布によって基層82の表面の全域に一定時間を照射する方法や、リング形状のノズルから円筒状の中間転写ベルト10の基層82の表面全域にアクリル樹脂を塗布する方法などを用いることができる。本実施例では、基層82の表面に硬化性樹脂をスプレー塗布し、紫外線などのエネルギー線を照射することによって表層81を形成した。
[ベルトクリーニング手段]
次に、ベルトクリーニング手段16の構成について説明する。図3(a)は、ブレード16aが弾性変形していない場合のブレード16aの取り付け位置を説明した仮想断面図である。図3(b)は、ベルトクリーニング手段16によって中間転写ベルト10の表面に残留したトナーを回収する際の、ブレード16aが弾性変形して配置されている状態を説明する概略断面図である。
ベルトクリーニング手段16は、クリーニング容器16bと、クリーニング容器16b内に設けられたブレード16aと、を有する。クリーニング容器16bは、中間転写ベルト10等を有する中間転写ユニット(不図示)の枠体の一部として構成されている。ブレード16aは、中間転写ベルト10と当接する弾性部a1と、弾性部a1を支持する支持部材a2を有する。弾性部a1は、弾性材料であるウレタンゴム(ポリウレタン)から構成されており、メッキ鋼板を材料とする板金で形成された支持部材a2に接着された状態で支持されている。
ブレード16aは、ベルト搬送方向と交差する中間転写ベルト10の幅方向(ブレード16aの長手方向)に関して長い板状部材である。また、弾性部a1は、短手方向に関して、自由端側の端部31bを中間転写ベルト10に対して当接されており、固定端側の端部31aを支持部材a2に対して接着された状態で固定されている。この弾性部a1の長手方向の長さは245mmであり、厚さは2.5mmであり、弾性部a1の硬度はJIS K 6253規格で77度である。
ブレード16aは、中間転写ベルト10の表面に対して揺動可能に構成されている。すなわち、支持部材a2は、クリーニング容器16bに固定された揺動軸35を介して、中間転写ベルト10の表面に対して揺動可能に支持されている。クリーニング容器16b内に設けられた付勢手段としての加圧バネ16cによって支持部材a2が加圧されることで、揺動軸35を中心としてブレード16aが回動する。これにより、ブレード16aの自由端側の端部31bが中間転写ベルト10に付勢(押圧)される。
ブレード16aに対向して、中間転写ベルト10の内周側には、対向ローラ13が配置されている。ブレード16aは、対向ローラ13に対向する位置で、ベルト搬送方向に対してカウンター方向で中間転写ベルト10の表面に当接されている。すなわち、ブレード16aは、その短手方向における自由端側の端部31aがベルト搬送方向に関する上流側を向くようにして、中間転写ベルト10の表面に当接されている。これにより、図3(b)に示すように、ブレード16aと中間転写ベルト10との間にブレードニップ部Nbが形成されている。ブレード16aは、ブレードニップ部Nbにおいて、移動する中間転写ベルト10の表面から転写残トナーを掻き取り、クリーニング容器16bに回収する。
本実施例では、ブレード16aの取り付け位置は、次のように設定されている。図3(a)に示すように、設定角θが20°、侵入量Lが2.0mmである。ここで、設定角θは、中間転写ベルト10とブレード16a(より詳細にはその自由端側の端面)との交点における対向ローラ13の接線と、ブレード16a(より詳細にはその厚さ方向に略直交する一方の表面)とがなす角度である。また、侵入量Lは、ブレード16aが対向ローラ13に対して重なる厚さ方向の長さである。また、当接圧は、ブレードニップ部Nbにおけるブレード16aからの押圧力(長手方向における線圧)で定義され、フィルム式加圧力測定システム(商品名:PINCH,ニッタ社製)を用いて測定される。このように設定することで、高温高湿環境下でのブレード16aの捲れやスリップ音を抑制でき、良好なクリーニング性能を得ることができる。また、このように設定することで、低温低湿環境下でのクリーニング不良を抑制して、良好なクリーニング性能を得ることができる。
また、一般にウレタンゴムと合成樹脂とは摺動による摩擦抵抗が大きく、ブレード16aの初期の捲れが起こりやすい。そこで、予めブレード16aの自由端側の端部31aに、フッ化黒鉛などの初期潤滑剤を塗布することができる。
なお、中間転写ベルト10の材料などに応じて適宜選定されるものであるが、ブレード16aのゴム硬度は、JIS K 6253規格で70度以上、且つ80度以下の範囲が好ましい。ゴム硬度が上記範囲よりも低いと、使用による摩耗量が増加して、耐久性が低下することがあり、上記範囲よりも高いと弾性力が減少して、中間転写ベルト10との摩擦により欠けなどが発生することがある。また、中間転写ベルト10の材料などに応じて適宜選定されるものである。
[トナー]
次に本実施例で使用したトナーについて説明する。
本実施例におけるトナーは、トナー粒子表面に有機ケイ素重合体を含む凸部を有する。該凸部は、トナー母粒子表面に面接触している。面接触することにより、該凸部の移動・脱離・埋没に対する抑制効果が顕著に期待できる。面接触の程度を表すために、トナーのSTEMによる断面観察を行った。図4〜図7にトナー粒子の該凸部の模式図を示す。
図4に示す130がSTEM像であり、トナー粒子の断面構成の約1/4程度が分かる像であり、Tpはトナー母粒子、Tpsはトナー母粒子表面、eが凸部である。すなわち、トナー粒子の断面中心を原点とする座標系の4つの象限のうちの1つにおける断面構成を示す像であり、残り3つの象限は対称的に同様の構成を有していると推定する。
トナーの断面画像を観察し、トナー母粒子表面の周に沿った線を描く。その周に沿った線を基準に水平画像へ変換を行う。該水平画像において、該凸部と該トナー母粒子とが連続した界面を形成している部分における該周に沿った線の長さを凸幅wとする。また、該凸幅wの法線方向において該凸部の最大長を凸径dとし、該凸径dを形成する線分における該凸部の頂点から該周に沿った線までの長さを凸高さhとする。
後述する本実施例の製造方法によって製造されるトナーにおいて形成される凸部の構成としては、図5に示す凸部eが大半を占め、この凸部eが、後述する平面部epと曲面部ecを有する凸部eである。
図5及び図7においては凸径dと凸高さhは同じであり、図6において凸径dは凸高さhより大きくなる。また、図7は、中空粒子を潰す・割るなどして得られた、半球粒子の中心部が凹んだ、ボウル形状の粒子に類する粒子の固着状態を模式的に表したものである。図7において、凸幅wはトナー母粒子表面と接している有機ケイ素化合物の長さの合計とする。すなわち、図7における凸幅wはW1とW2の合計となる。
上記条件に基づき、有機ケイ素化合物の凸部において、該凸幅wに対する該凸径dの比d/wが、0.33以上0.80以下の凸形状であれば、凸部が移動・脱離・埋没しにくいことを見出した。すなわち、該凸高さhが40nm以上300nm以下である凸部において、該比d/wが0.33以上0.80以下の凸部の個数割合P(d/w)が70個数%以上であれば、長寿命化に耐えうる優れた転写性を発現することを見出した。
40nm以上の凸部によって、トナー母粒子表面との転写部材との間にスペーサー効果が生じることで、転写性が良化しているものと考えられる。一方、300nm以下の凸部によって、耐久評価を通じて、移動・脱離・埋没への抑制効果が著しく発現していると考えられる。
40nm以上300nm以下の凸部の割合として、個数割合P(d/w)が70個数%以上であれば、耐久を通じて転写性を維持しつつ、さらに高い部材汚染抑制効果が発現することが判った。P(d/w)は、75個数%以上であることが好ましく、80個数%以上であることがより好ましい。一方、上限は特に制限されないが、好ましくは99個数%以下であり、より好ましくは98個数%以下である。
また、走査透過型電子顕微鏡STEMによるトナーの断面観察において、上記水平画像の幅(トナー母粒子表面の周に沿った線の長さ)を周囲長Lとした際に以下のように各値を設定することが好ましい。即ち、上記水平画像に存在する有機ケイ素重合体の凸部のうち、凸高さhが40nm以上300nm以下となる凸部の該凸幅wの合計をΣwとしたとき、Σw/Lが0.30以上0.90以下であることが好ましい。
Σw/Lが0.30以上であれば転写性と部材汚染の抑制効果がより良好になり、Σw/Lが0.90以下であると転写性がより優れる。Σw/Lは、0.45以上0.80以下であればより好ましい。
さらに、トナーの有機ケイ素重合体の固着率が80質量%以上であることが好ましい。固着率が80質量%以上であれば、転写性及び部材汚染の抑制効果が耐久使用を通じてより持続させやすい。該固着率は、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは95質量%以上である。一方、上限は特に制限されないが、好ましくは99質量%以下であり、より好ましくは98質量%以下である。該固着率を制御する方法の一例として、有機ケイ素化合物を添加し重合する際の、有機ケイ素重合体の添加速度、反応温度、反応時間、反応時のpH及びpH調整のタイミングなどが挙げられる。
また、転写性をより良好にする観点から、以下のように該凸高さを設定することが好ましい。即ち、該凸高さhが40nm以上300nm以下である凸部において、該凸高さhの累積分布をとり、該凸高さhの小さい方から積算して80個数%にあたる該凸高さをh80としたとき、該h80は65nm以上であることが好ましい。より好ましくは75nm以上である。上限は特に制限されないが、好ましくは120nm以下であり、より好ましくは100nm以下である。
走査型電子顕微鏡SEMによるトナーの観察において、有機ケイ素重合体の凸部の最大径を凸径Rとしたときに、該凸径Rの個数平均径が20nm以上80nm以下であることが好ましい。より好ましくは、35nm以上60nm以下である。上記範囲であると、部材汚染が発生しにくくなる。
トナーは、下記式(1)で表される構造を有する有機ケイ素重合体を含む。
Figure 2021162610
(式中、Rは炭素数1以上6以下のアルキル基又はフェニル基を示す。)
式(1)の構造を有する有機ケイ素重合体において、Si原子の4個の原子価のうち1個はRと、残り3個はO原子と結合している。O原子は、原子価2個がいずれもSiと結合している状態、つまり、シロキサン結合(Si−O−Si)を構成する。有機ケイ素重合体としてのSi原子とO原子を考えると、Si原子2個でO原子3個を有することになるため、−SiO3/2と表現される。この有機ケイ素重合体の−SiO3/2構造は、多数のシロキサン結合で構成されるシリカ(SiO)と類似の性質を有することが考えられる。
式(1)で表される部分構造において、Rは炭素数1以上6以下のアルキル基であることが好ましく、炭素数が1以上3以下のアルキル基であることがより好ましい。炭素数が1以上3以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましく例示できる。さらに好ましくは、Rはメチル基である。
有機ケイ素重合体は、下記式(Z)で表される構造を有する有機ケイ素化合物の縮重合物であることが好ましい。
Figure 2021162610
(式(Z)中、Rは、炭素数1以上6以下の炭化水素基(好ましくはアルキル基)を表し、R、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基を表す。)
は炭素数1以上3以下の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基である(以下、反応基ともいう)。これらの反応基が加水分解、付加重合及び縮重合させて架橋構造を形成する。加水分解性が室温で穏やかであり、トナー母粒子の表面への析出性の観点から、炭素数1〜3のアルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基やエトキシ基であることがより好ましい。
また、R、R及びRの加水分解、付加重合及び縮合重合は、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。本発明に用いられる有機ケイ素重合体を得るには、上記に示す式(Z)中のRを除く一分子中に3つの反応基(R、R及びR)を有する有機ケイ素化合物(以下、三官能性シランともいう)を1種又は複数種を組み合わせて用いるとよい。
また、本発明の効果を損なわない程度に、式(Z)で表される構造を有する有機ケイ素化合物とともに、以下を併用して得られた有機ケイ素重合体を用いてもよい。一分子中に4つの反応基を有する有機ケイ素化合物(四官能性シラン)、一分子中に2つの反応基を有する有機ケイ素化合物(二官能性シラン)又は1つの反応基を有する有機ケイ素化合物(一官能性シラン)。
さらに、トナー粒子中の有機ケイ素重合体の含有量は1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
上記特定の凸形状をトナー粒子表面に形成する好ましい手法として、水系媒体にトナー母粒子を分散しトナー母粒子分散液を得たところへ、有機ケイ素化合物を添加し凸形状を形成させトナー粒子分散液を得る方法が挙げられる。
トナー母粒子分散液は固形分濃度を25質量%以上50質量%以下に調整することが好ましい。そして、トナー母粒子分散液の温度は35℃以上に調整しておくことが好ましい。また、該トナー母粒子分散液のpHは有機ケイ素化合物の縮合が進みにくいpHに調整することが好ましい。有機ケイ素重合体の縮合が進みにくいpHは物質によって異なるため、最も反応が進みにくいpHを中心として、±0.5以内が好ましい。
一方、有機ケイ素化合物は加水分解処理を行ったものを用いることが好ましい。例えば、有機ケイ素化合物の前処理として別容器で加水分解しておく。加水分解の仕込み濃度は有機ケイ素化合物の量を100質量部とした場合、イオン交換水やRO水などイオン分を除去した水40質量部以上500質量部以下が好ましく、100質量部以上400質量部以下がより好ましい。加水分解の条件としては、好ましくはpHが2〜7、温度が15〜80℃、時間が30〜600分である。
得られた加水分解液とトナー母粒子分散液とを混合して、縮合に適したpH(好ましくは6〜12、又は1〜3、より好ましくは8〜12)に調整する。加水分解液の量はトナー母粒子100質量部に対して有機ケイ素化合物5.0質量部以上30.0質量部以下に調整することで、凸形状を形成しやすくする。凸形状の形成と縮合の温度と時間は、35℃〜99℃で、60分〜72時間保持して行うことが好ましい。
また、トナー粒子の表面の凸形状を制御するにあたって、pHを2段階に分けて調整することが好ましい。pHを調整する前の保持時間及び、二段階目にpH調整する前の保持時間を適宜調整し有機ケイ素化合物を縮合することで、トナー粒子表面における凸形状を制御できる。例えばpH4.0〜6.0で0.5時間〜1.5時間保持した後に、pH8.0〜11.0で3.0時間〜5.0時間保持することが好ましい。また、有機化合物の縮合温度を35℃〜80℃の範囲で調整することによっても凸形状が制御できる。
例えば、凸幅wは、有機ケイ素化合物の添加量、反応温度及び一段階目の反応pHや反応時間などにより制御できる。例えば、一段回目の反応時間が長くなると凸幅が大きくなる傾向がある。
また、凸径d及び凸高さhは、有機ケイ素重合体の添加量、反応温度及び二段階目のpHなどにより制御できる。例えば、二段階目の反応pHが高いと凸径d及び凸高さhが大きくなる傾向がある。
以下、トナーの具体的な製造方法について説明するが、これらに限定されるわけではない。トナー母粒子を水系媒体中で製造し、トナー母粒子表面に有機ケイ素重合体を含む凸部を形成することが好ましい。
トナー母粒子の製造方法として、懸濁重合法・溶解懸濁法・乳化凝集法が好ましく、中でも懸濁重合法がより好ましい。懸濁重合法では有機ケイ素重合体がトナー母粒子の表面に均一に析出し易く、有機ケイ素重合体の接着性に優れ、環境安定性、帯電量反転成分抑制効果、及びそれらの耐久持続性が良好になる。以下、懸濁重合法についてさらに説明する。
懸濁重合法は、結着樹脂を生成しうる重合性単量体、及び必要に応じて着色剤などの添加剤を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、該重合性単量体組成物に含まれる重合性単量体を重合することにより、トナー母粒子を得る方法である。
重合性単量体組成物には、必要に応じて離型剤、その他の樹脂を添加してもよい。また、重合工程終了後は、公知の方法で、生成した粒子を洗浄、濾過により回収することができる。なお、上記重合工程の後半に昇温してもよい。さらに未反応の重合性単量体又は副生成物を除去する為に、重合工程後半又は重合工程終了後に一部分散媒体を反応系から留去することも可能である。
このようにして得られたトナー母粒子を用い、上記方法により有機ケイ素重合体の凸部を形成させることが好ましい。
トナーには離型剤を用いてもよい。離型剤としては、以下のものが挙げられる。パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムのような石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスのような天然ワックス及びその誘導体、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸のような脂肪酸、あるいはその酸アミド、エステル、又はケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス、シリコーン樹脂。
なお、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。離型剤は単独で用いてもよいし複数を混合し使用してもよい。離型剤の含有量は、結着樹脂又は結着樹脂を生成する重合性単量体100質量部に対して2.0質量部以上30.0質量部以下であることが好ましい。
また、重合性単量体の重合に際して、重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤は、重合性単量体100質量部に対して0.5質量部〜30.0質量部の添加が好ましく、単独で用いても複数を併用してもよい。
また、トナー母粒子を構成する結着樹脂の分子量をコントロールする為に、重合性単量体の重合に際して、連鎖移動剤を添加してもよい。好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対し0.001質量部〜15.000質量部である。
一方、トナー母粒子を構成する結着樹脂の分子量をコントロールする為に、重合性単量体の重合に際して、架橋剤を添加してもよい。好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対して、0.001質量部〜15.000質量部である。
上記懸濁重合の際に用いられる媒体が水系媒体の場合には、重合性単量体組成物の粒子の分散安定剤として以下のものを使用することができる。リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタ珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ。また、有機系の分散剤としては、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン。また、市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤の利用も可能である。
トナーには着色剤を用いてもよく、特に限定されず公知のものを使用することができる。
なお、着色剤の含有量は、結着樹脂又は結着樹脂を生成しうる重合性単量体100質量部に対して3.0質量部〜15.0質量部であることが好ましい。
トナー製造時に荷電制御剤を用いることができ、公知のものが使用できる。これらの荷電制御剤の添加量としては、結着樹脂又は重合性単量体100質量部に対して、0.01質量部〜10.00質量部であることが好ましい。
トナー粒子はそのままトナーとして用いてもよいし、必要に応じて、トナー粒子に各種有機又は無機微粉体を外添してもよい。該有機又は無機微粉体は、トナー粒子に添加した時の耐久性から、トナー粒子の重量平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。
有機又は無機微粉体としては、例えば、以下のようなものが用いられる。
(1)流動性付与剤:シリカ、アルミナ、酸化チタン、カーボンブラック及びフッ化カーボン。
(2)研磨剤:金属酸化物(例えばチタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化クロム)、窒化物(例えば窒化ケイ素)、炭化物(例えば炭化ケイ素)、金属塩(例えば硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム)。
(3)滑剤:フッ素系樹脂粉末(例えばフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン)、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム)。
(4)荷電制御性粒子:金属酸化物(例えば酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ)、カーボンブラック。
トナーの流動性の改良及びトナーの帯電均一化のために有機又は無機微粉体の表面処理を行ってもよい。有機又は無機微粉体の疎水化処理の処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で用いてもよいし複数を併用してもよい。
本実施例では、トナー粒子に対して外添剤としてシリカ粒子を外添している。これは、感光ドラム1a〜1dから中間転写ベルト10へトナー像を一次転写する際の、トナーの転写効率を向上することを目的として外添している。
図8は、本実施例における、トナー粒子に添加された外添剤について説明する模式図であり、トナー粒子の表面の概略的な拡大図である。図8に示すように、本実施例のトナー粒子は、有機ケイ素重合体の凸部eが多数形成されたトナー母粒子表面Tpsに、外添剤としてのシリカ粒子Spが外添されている。
図8で示すトナー母粒子表面Tpsに形成された隣り合う凸部eの間隔G(以下、凸間隔G)は、走査型透過電子顕微鏡(STEM)又は走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いて測定することができる。SPMは、探針と、探針を支持するカンチレバーと、カンチレバーの曲がりを検出する変位測定計と、を備えており、探針と試料との間の原子間力(引力または斥力)を検出して走査を行うことで、試料表面の形状観察を行うことができる。
ここで、凸間隔Gがシリカ粒子Spよりも大きいと、シリカ粒子Spが凸部間に配置された場合にトナー母粒子表面Tpsと接触してしまうため、凸間隔Gの個数平均値は、シリカ粒子Spの個数平均粒径よりも小さいことが好ましい。
また、凸高さhがシリカ粒子Spの粒径よりも高いと、凸部eによってシリカ粒子Spが感光ドラム1a〜1dと接触しづらくなるため、凸高さhの個数平均値は、シリカ粒子Spの個数平均粒径よりも小さいことが好ましい。
なお、凸部eが有機ケイ素重合体を含有するか否かについては、走査型電子顕微鏡(SEM)及びエネルギー分散型X線分析(EDS)による元素分析の組合せにより確認することが可能である。
[クリーニングブレードのコート層]
本実施例の有機ケイ素重合体の特徴として、ブレード16aによってトナーが中間転写ベルト10から回収されたときに、有機ケイ素重合体がトナー母粒子から移行する性質がある。これは、回収されたトナー母粒子同士は、ブレード16aの近傍で密集し互いに摺擦するためであり、この摺擦によってトナー母粒子からの有機ケイ素重合体の移行が発生する。
有機ケイ素重合体は硬度が低く変形を起こしやすい特徴を持つ。即ち、トナー母粒子から移行した有機ケイ素重合体は、一定以上の圧を加えることで押しつぶして引き伸ばすことができる。この性質によって、ブレード16aの近傍でトナー母粒子から移行した有機ケイ素重合体は、ブレード16aと中間転写ベルト10との間で圧接されることで、ブレード16aの表面に展延して介在する状態となる。
本実施例では、有機ケイ素重合体を有する上記トナーを用い、ブレードニップ部Nbにおいてブレード16aと中間転写ベルト10との間でトナー母粒子から移行した有機ケイ素重合体を展延させ、ブレード16aの表面に介在させる。これにより、シリカ粒子とブレード16aとが接触することによるブレード16aの摩耗を抑制する。以下詳細に説明する。
図9(a)は、比較的平滑な中間転写ベルトを用いた場合の、クリーニングニップ部Nbを拡大した模式図である。図9(b)は図9(a)の中間転写ベルトよりも表面が粗い中間転写ベルト10であって、本実施例のクリーニングニップ部Nbを拡大した模式図である。図9(c)は、本実施例の中間転写ベルト10よりも表面が粗い中間転写ベルトを用いた場合の、クリーニングニップ部Nbを拡大した模式図である。そして、図9(d)は、本実施例におけるクリーニングニップ部Nbを拡大した模式図であり、ブレード16aへの有機ケイ素重合体の付着について説明する模式図である。
図9(a)〜(c)に示すように、ブレード16aの弾性部a1は、中間転写ベルト10との接触による摩擦力によって、先端がベルト搬送方向に関して巻き込まれた形状に変形する。そして、ベルト搬送方向に関して、弾性部a1の上流側には、阻止層70が形成される。阻止層70は、トナーから中間転写ベルト10に移行した有機ケイ素重合体や、トナー粒子に外添剤を加えている場合はその外添剤(本実施例においてはシリカ粒子)などを含んで形成されている。阻止層70は、クリーニングニップ部Nbにおいて、トナーのすり抜けを防止する役割を果たしている。
本実施例では、ブレード16aは50gf/cmの加圧力で中間転写ベルト10と接触している。この加圧力は、中間転写ベルト10とブレード16a接触位置にかかっている線圧で定義され、測定は中間転写ベルト10とブレード16aの接触位置において、フィルム式加圧力測定システム(商品名:PINCH,ニッタ社製)を用いて測定する。この線圧の計算方法としては、まず、上記フィルム式加圧力測定システムを用いて接触位置における総圧を測定し、測定された総圧をブレード16aの接触長さで割ることで、線圧を算出している。なお、本実施例におけるブレード16aの接触長さ(中間転写ベルト10の幅方向に関する中間転写ベルト10と接触するブレード16aの長さ)は、245mmである。
ブレード16aによって中間転写ベルト10に残留したトナーを回収する動作を実行した後の状態において、ブレードニップ部Nbの近傍にはトナー母粒子の表面から移行した有機ケイ素重合体が滞留し、阻止層70が形成された状態となる。阻止層70に含まれる有機ケイ素重合体は、ブレード16aの加圧力により押圧され、クリーニングニップ部Nbにおいて引き延ばされる。こうして展延された有機ケイ素重合体は、阻止層70において互いに接触しつつ潰れた形状に変形する。
ここで、図9(a)〜(c)に示すように、中間転写ベルトの表面粗さによっては、ブレードニップ部Nbの近傍における阻止層70の介在状態が異なっている。
図9(b)の中間転写ベルト10は、図9(a)の中間転写ベルトに比べて表面が粗い構成を有しており、より具体的には、その表面に凹部や凸部等の形状(不図示)を有している。中間転写ベルト10の表面粗さに関する詳細な説明は後述する。凹部や凸部を有する中間転写ベルト10の表面形状によって、ブレード16aの弾性部a1は姿勢を変えながら中間転写ベルト10の移動に追従する。すると、中間転写ベルト10の移動に伴って、阻止層70は、凹部の形状に入り込むように弾性部a1と中間転写ベルト10との間をすり抜けてゆく。
阻止層70がクリーニングニップ部Nbをすり抜けた時に、阻止層70に含まれる有機ケイ素重合体がブレード16aに接触し付着することで、図9(d)に示すように、コート層61として中間転写ベルト10とブレード16aの間に介在する。ここで、図9(d)は、コート層61がブレード16aの表面に付着している状態を説明するための模式図であり、ブレード16aを中間転写ベルト10から離間させた際のブレード16aの表面の状態を示す模式図である。阻止層70に含まれる有機ケイ素重合体がブレード16aの表面に付着する理由については後述する。
中間転写ベルト10の表面粗さが大きい方が、阻止層70に含まれる有機ケイ素重合体がブレードニップ部Nbをすり抜ける量が多くなる。図9(c)に示すように、図9(b)の中間転写ベルト10よりも表面粗さが大きい図9(c)の中間転写ベルトを用いた構成においては、ブレードニップ部Nbをすり抜ける阻止層70の量が図9(b)よりも多い。図9(c)においては、中間転写ベルトの表面粗さが大きいことから、有機ケイ素重合体だけでなく、シリカ粒子Spもブレードニップ部Nbをすり抜けて薄膜60に混合している。
本実施例では、トナー母粒子に対して外添剤としてシリカ粒子Spを外添しており、先に説明したように、シリカ粒子Spを外添することによって、転写効率を向上させることが可能である。しかしながら、こうした微小粒子は、ブレードニップ部Nbにおいてブレード16aをすり抜けてしまった場合に、ブレード16aの表面と摺擦することでブレード16aを摩耗させてしまう可能性がある。この場合、ブレード16aが摩耗してしまうことによるクリーニング不良が発生するおそれがある。
また、外添剤のサイズが十分大きく、ブレード16aが外添剤をせき止める場合においても、外添剤とブレード16aの接触によって同様にブレード16aが摺擦し削られることでブレード16aの摩耗が発生するおそれがあった。このように、ブレード16aが外添剤と接触して摺擦する場合には、摩耗によるクリーニング不良が発生するおそれがある。
そこで、本実施例においては、ブレード16aと外添剤であるシリカ粒子Spとの接触による摺擦を抑制するために、阻止層70に含まれる有機ケイ素重合体をブレード16aとシリカ粒子Spとの間に介在させて、ブレード16aの摩耗を抑制している。これを達成するために、本実施例においては、外添剤としてのシリカ粒子Spの大きさ、中間転写ベルト10の表面粗さ、そしてトナー母粒子表面の有機ケイ素重合体の大きさをそれぞれ制御している。
即ち、外添剤であるシリカ粒子Spの平均粒径Rkを、中間転写ベルト10の表面粗さRzよりも大きい値とすることで、シリカ粒子Spがブレードニップ部Nbをすり抜けることを抑制でき、図9(c)のような状態となることを防ぐことができる。
また、図9(d)に示すコート層61を形成することで、ブレード16aとシリカ粒子Spとの接触による摺擦を抑制し、ブレード16aの耐久を向上させることが可能である。具体的には、中間転写ベルト10の表面粗さRzを有機ケイ素重合体の平均粒径Ryよりも大きい値に設定することで、阻止層70に含まれる有機ケイ素重合体がブレードニップ部Nbをすり抜け、薄膜60及びコート層61を形成することが可能となる。ここで、コート層61が形成される際の、有機ケイ素重合体によるブレード16aへの付着についての詳細は後述する。
以上、本実施例において、転写効率を向上させつつクリーニング不良の発生を抑制するためのシリカ粒子Spの平均粒径Rk、中間転写ベルト10の表面粗さRz、有機ケイ素重合体の平均粒径Ryの設定条件をまとめると、以下の式(3)となる。
Rk>Rz>Ry 式(3)
次に、シリカ粒子Spの平均粒径Rk、中間転写ベルト10の表面粗さRz、有機ケイ素重合体の平均粒径Ryについてより詳細に説明する。
中間転写ベルト10の表面粗さは、中間転写ベルト10の厚み方向に関する十点平均粗さRz(以下単に、表面粗さRzと称する)で定義される。本実施例における中間転写ベルト10の表面粗さRzの測定は、表面粗さ測定器(商品名サーフコム 1500SD、東京精密社製)を用いた。また、測定条件としては、ベルト搬送方向と直交するベルト幅方向に関して、測定長1.25mm、カットオフ波長0.25mm、測定基準長さ0.25mmで測定した。
中間転写ベルト10の表面粗さRzは、有機ケイ素重合体はブレードニップ部Nbをすり抜ける一方で、シリカ粒子Spはブレードニップ部Nbをすり抜けないように設定されることが好ましい。
有機ケイ素重合体は、トナー母粒子表面Tpsに対して凸部eとしてトナー母粒子に含有されているため、凸部高さhを有機ケイ素重合体の粒径として考えることが可能である。したがって、先述した、凸部高さhの個数平均値[nm]が有機ケイ素重合体の平均粒径Ryである。即ち、有機ケイ素重合体の平均粒径Ryは、先述した凸部高さhを計測する方法で求められる。
なお、本実施例において、中間転写ベルト10の表面粗さRzの値が上記式(3)を満たすように、中間転写ベルト10の表面を研磨することで表面粗さRzを調整している。より詳細には、本実施例ではバフ研磨によって中間転写ベルト10の表面を研磨することで上記式(3)を満たす中間転写ベルト10の表面粗さRzを設定している。しかし、上記式(3)を満たすことができれば、中間転写ベルト10の研磨方法はこれに限らない。
中間転写ベルト10を研磨工程においては、バフとして木綿系を用い、粗研磨として粒径1〜5μmの研磨剤を使い、仕上げ研磨に粒径0.05μm〜0.5μmのアルミナ粉を用いた。図10は、本実施例における中間転写ベルト10の研磨工程について説明する模式図である。
図10に示すように、まず、スプレーノズル90によって中間転写ベルト10の表面に研磨剤を噴霧し、バフ研磨ロール80に微小の圧力をかけて回転させながら、中間転写ベルト10の回転軸方向に移動させて仕上げ研磨を行う。粗研磨も同様の方法で行う。バフ研磨ロール80の回転速度は500〜1000rpm、バフ研磨ロール80の移動速度は0.5〜1m/min、中間転写ベルト10を担持した基体の回転速度は100〜1000rpmの範囲で行うのが好ましい。
なお、バフ研磨に使用される研磨剤としては、公知のものが使用され、例えばアルミナ、ホウ化シリコーン、エメリー、ZnO、MgO、SnO2、Fe2O3、CrO、Cr2O3、SiC、ダイアモンド粉等が挙げられる。
本実施例においては、外添剤であるシリカ粒子Spの平均粒径Rkは120nm、有機ケイ素重合体の平均粒径Ryは40nmである。したがって、本実施例においては、中間転写ベルト10の表面粗さRzは、40nm以上よりも大きく、且つ、120nmより小さい値に設定することが好ましい。この範囲に中間転写ベルト10の表面粗さRzを設定できるのであれば、バフ研磨の各種設定値(回転数、移動速度、時間等)を適宜設定してよい。
<ブレード16aへの有機ケイ素重合体の付着>
次に、本実施例の構成における、ブレードニップ部Nbをすり抜けた有機ケイ素重合体がブレード16aへと付着する原理について説明する。
本実施例において、中間転写ベルト10の表層81はアクリル樹脂から構成されており、ブレード16aの中間転写ベルト10との接触部である弾性部a1は弾性材料としてのウレタンゴムにより構成されている。アクリル樹脂から構成される表層81には粒子状の樹脂を分散させてもよく、この場合、分散させる樹脂の粒子の大きさを適宜変えることで、中間転写ベルト10の表面粗さをコントロールすることが可能となる。
以下、中間転写ベルト10の表層81を構成するアクリル樹脂と有機ケイ素重合体との付着力、及び、ブレード16aの弾性部a1を構成するウレタンゴムと有機ケイ素重合体との付着力の測定について説明する。
有機ケイ素重合体と対象物の付着力の測定は、走査型プローブ顕微鏡(以下SPM)を用いることにより測定することができる。走査型プローブ顕微鏡(以下SPM)は、探針と、探針を支持するカンチレバーと、カンチレバーの曲がりを検出する変位測定計と、を備えており、探針と試料との間の原子間力(引力または斥力)を検出して走査を行うことで、試料表面の形状観察を行う。
本実施例で用いた有機ケイ素重合体と中間転写ベルト10およびブレード16aとの付着力を、SPMを用いて測定した。具体的には、レバーとしてシリカ部が接触するカンチレバーを使用し、カンチレバーを所定の押圧力で中間転写ベルト10に押圧した後、カンチレバーを中間転写ベルト10から脱離させるのに必要な力を測定した。ここで、有機ケイ素重合体は、その組成からみるとシリカと似た性質を持つと考えられるため、シリカ部を有するカンチレバーと対象物とによって測定される付着力を、有機ケイ素重合体と対象物の付着力として測定を行った。このような方法により、有機ケイ素重合体と中間転写ベルト10の付着力Fiを測定した。また、同様の方法でブレード16aと有機ケイ素重合体との付着力Fcも測定した。
付着力測定時のカンチレバーを対象物に押圧する所定の押圧力は、ブレード16aを中間転写ベルト10に向けて押圧する力に設定することが好ましい。本実施例における、ブレード16aを中間転写ベルト10に向けて押圧する押圧力Fは50gf/cmであることと、SPMの探針の接触幅が10nmであることから、付着力測定のためのカンチレバーの押圧力は500nNで測定することが好ましい。また、付着力の大小関係を比較する場合は、好ましい押圧力ではない押圧力で測定した結果を用いて、好ましい押圧力における付着力を類推する方法を用いてもよい。本実施例では後者の方法を用い、50nNと100nNの押圧力で測定した結果から、500nNにおける付着力Fiと付着力Fcとの大小関係を類推した。
以上の測定方法を用いると、シリカとウレタンゴムとの付着力、即ち、有機ケイ素重合体とブレード16aとの付着力Fcは、押圧力を50nNに設定した場合に7nN、押圧力を100nNに設定した場合に12nNであった。一方で、シリカとアクリル樹脂との付着力、即ち、有機ケイ素重合体と中間転写ベルト10との付着力Fiは、押圧力を50nNに設定した場合に5nN、押圧力を100nNに設定した場合に6nNであった。即ち、50nNと100nNのいずれの押圧力に設定した測定においても、付着力Fcの方が付着力Fiよりも大きい結果となった。また、前述の測定結果から、500nNの押圧力においては、付着力Fcは52nN、付着力Fiは14nNと類推できる。したがって、これらの結果から、中間転写ベルト10とブレード16aとを比較した場合、ブレード16aの方が有機ケイ素重合体との付着力が強いことがわかった。
このように、ウレタンゴムから構成されるブレード16aと、アクリル樹脂から構成される中間転写ベルト10を用いることによって、有機ケイ素重合体との付着力の違いから、有機ケイ素重合体をブレード16aへと付着させることが可能となる。なお、本実施例では中間転写ベルト10を構成する部材としてアクリル樹脂を、ブレード16aを構成する部材としてウレタンゴムを用いている。しかし、ブレード16aや中間転写ベルト10を構成する部材はこれに限らず、ブレード16aの有機ケイ素重合体の付着力Fcが、中間転写ベルト10への有機ケイ素重合体の付着力Fiよりも大きくなればよい。
<作用と効果>
次に、中間転写ベルトの表面粗さRzが本実施例における式(3)を満たしていない比較例1、比較例2の構成を用いて、本実施例の効果について説明する。なお、比較例1及び比較例2の構成は、中間転写ベルトの表面粗さRzが式(3)を満たさないことを除いて、その他の構成は本実施例と実質同一である。したがって、以下の説明においては、本実施例と共通する構成に関しては、同一の符号を付して説明を省略する。
比較例1は、中間転写ベルトの表面粗さRzが0.3μmであり、これはシリカ粒子Spの平均粒径Rkである120nmよりも大きい値である。即ち、比較例1は、式(3)におけるRz>Ryは満たしているが、Rk>Rzを満たしていない。また、比較例2は、中間転写ベルトの表面粗さRzが0.02μmであり、これは有機ケイ素重合体の平均粒径Ryである40nmよりも小さい値である。即ち、比較例2は、式(3)におけるRk>Rzは満たしているが、Rz>Ryを満たしていない。
表1は、本実施例と比較例1〜2とにおける、ブレード16aの摩耗の発生有無及びクリーニング不良の発生有無の評価結果を示す表である。
ブレード16aの摩耗の発生有無の判断は、20k枚の転写材Pを通紙した後に、ブレード16aの弾性部a1の摩耗量を測定することで判断した。より具体的には、20k枚の転写材Pの通紙を行った後に、ブレード16aの中間転写ベルト10への当接状態を解除して弾性部a1を顕微鏡で観察し、通紙前の弾性部a1の監察結果と比較して摩耗量を測定した。
摩耗量の測定に用いた顕微鏡は、コンフォーカル顕微鏡(OPTELICS、レーザーテック社製)である。測定条件としては、観察領域を100μm四方、測定波長を546nm、ブレード16aの当接位置の垂線方向のスキャン頻度を0.1μmとして測定した。この評価で用いるブレード16aの摩耗量の値は、ブレード16aの長手方向における最大値を用いた。表1において、20k枚の転写材Pの通紙後に、弾性部a1が0.3μm以上摩耗していた場合は摩耗発生有りと判断し、弾性部a1の摩耗量が0.3μm未満であった場合は摩耗発生無しと判断した。
また、クリーニング性の評価は、10k枚の転写材Pを通紙した後に画像形成を行った場合のクリーニング不良の発生レベルを示すものである。表1における「〇」は、クリーニング不良の発生が確認されなかったことを示し、「△」は軽微なクリーニング不良の発生は見られたものの許容範囲内であったことを示し、「×」は許容範囲外のクリーニング不良が発生したことを示している。
Figure 2021162610
実施例1の構成においては、中間転写ベルト10の表面粗さRzが0.07μmであり、式(3)のRk>Rz>Ryを満たしている。この構成においては、図9(b)、(d)で説明したように、シリカ粒子Spとブレード16aとの接触による摺擦を抑制でき、ブレード16aの摩耗の発生は確認されず、また、クリーニング性も良好であった。
一方で、比較例1の構成においては、中間転写ベルトの表面粗さRzがシリカ粒子Spの平均粒径Rkよりも大きい0.3μmであり、式(3)のRk>Rzを満たしていない。そのため、図9(c)で説明したように、シリカ粒子Spが阻止層70に混合してブレードニップ部Nbをすり抜けてしまうことで、ブレード16aとシリカ粒子Spの接触による摺擦が発生し、ブレード16aの摩耗が発生した。また、ブレード16aが摩耗したことによって、トナーがブレードニップ部Nbをすり抜けることによるクリーニング不良の発生が確認された。
また、比較例2の構成においては、中間転写ベルトの表面粗さRzが有機ケイ素重合体の平均粒径Ryよりも小さい0.02μmであり、式(3)のRz>Ryを満たしていない。そのため、図9(a)で説明したように、阻止層に含まれる有機ケイ素重合体がブレードニップ部Nbをほとんどすり抜けないことから、薄膜60及びコート層61がほぼ形成されなかった。これにより、ブレード16aと中間転写ベルトとの間における摺擦によってブレード16aの摩耗が発生した。また、10k枚の転写材Pを通紙した時点では許容範囲のクリーニング不良の発生が確認された。コート層61がほぼ形成されていないことから、比較例2の構成においては、通紙の継続にともなってブレード16aの摩耗がさらに増加し、クリーニング不良が発生することが想定される。
以上説明したように、本実施例の構成においては、トナー母粒子に外添剤としてのシリカ粒子Spを添加することで、感光ドラム1a〜1dとトナーとの間の付着力を低減させて転写効率を向上させることが可能である。そして、本実施例の構成によれば、中間転写ベルト10の表面粗さRzを、式(3)を満たす範囲に設定することによって、コート層61を形成しつつ、シリカ粒子Spがブレードニップ部Nbをすり抜けることを抑制することが可能である。これにより、ブレード16aの摩耗を抑制し、クリーニング不良の発生を抑制することが可能である。即ち、本実施例の構成によれば、トナーの転写効率を向上させつつ、クリーニング不良の発生を抑制することが可能である。
ここで、本実施例における中間転写ベルトの表面粗さRzは、ベルト搬送方向と直交するベルトの幅方向に関して測定された表面粗さのことを指している。どのような方向から測定した表面粗さであっても本実施例における式(3)を満たしていればコート層71を形成し、ブレード16aの摩耗を抑制し、本実施例において説明した効果を得ることは可能である。しかし、ベルトの幅方向に関するブレード16aの全領域に対してコート層71を形成することが可能となることから、ベルト幅方向に関する表面粗さRzが式(3)を満たしていることがより好ましい。
なお、本実施例では、研磨によって中間転写ベルト10の表面粗さRzを調整する構成について説明した。しかし、中間転写ベルト10の表面粗さRzを調整する方法はこれに限らない。例えば、中間転写ベルト10の表層81を形成する際に、硬化性樹脂の硬化条件を調整することで、中間転写ベルト10の表面粗さRzを調整する方法を用いてもよい。具体的には、表層81を硬化する際に照射するエネルギー線を弱く設定して、表面が硬化するまでの時間を長くすることで、中間転写ベルト10の表面を粗くすることができる。若しくは、表層が硬化し終わる前にエネルギー線の照射を停止して、中間転写ベルト10の表面が硬化していない状態の時間を設けることで、中間転写ベルト10の表面を粗くすることができる。例えば、本実施例における表層81の形成方法において、上記式(3)を満たすために、硬化条件として約60秒のエネルギー線照射を表層81に行った後に照射を停止することで、表面粗さRzが100nm程度の中間転写ベルトを得ることが可能である。
また、中間転写ベルト10の表面粗さRzを調整するその他の方法として、中間転写ベルト10の表層81に粒子を添加して調整する方法を用いてもよい。図11は、中間転写ベルトの表層40に粒子を添加することで中間転写ベルトの表面粗さRzを調整する変形例について説明する模式図である。なお、この変形例の構成は、表層40に粒子を添加して表面粗さRzを調整していることを除いて実施例1とほぼ同一である。したがって、実施例1と共通する構成に関しては、同一の符号を付して説明を省略する。
図11に示すように、変形例の中間転写ベルトは、表層40に固体潤滑剤44として用いる粒子径200nmのPTFE粒子と導電剤43が添加されており、その配合比率が制御されている。このように、表層40に添加する粒子の分散状態を制御することによって、固体潤滑剤44(PTFE粒子)や導電剤43が凝集したり表出したりするため、中間転写ベルトの表面粗さRzを所望の値に設定できる。本変形例においては、実施例1と同様に式(3)を満たすために、中間転写ベルトの表面粗さRzが100nm程度になるように固体潤滑剤44と導電剤43の比率を調整している。
具体的には、本変形例では、式(3)の条件を満たすために、表層40の基材42であるアクリル樹脂の重量部に対して、固体潤滑剤44と導電剤43をそれぞれ20重量部ずつ配合している。なお、配合量はこれに限らず、上記式(3)を満たす範囲で適宜調整してよい。例えば、表面粗さRzの値をより小さく設定する場合には、表層40に配合する粒子を少なくすればよく、表面粗さRzの値をより大きく設定する場合には、粒子の配合量を増量したり粒径の大きな粒子としてフィラーなどを配合すればよい。
なお、中間転写ベルトの表面粗さRzが上記式(3)を満たしているかは、実施例1で説明したように表面粗さRzを計測することで確認できる。
(実施例2)
実施例1では、アクリル樹脂から構成される中間転写ベルト10の表面に樹脂を分散させることで中間転写ベルト10の表面粗さRzを調整する構成について説明した。これに対し、実施例2は、中間転写ベルト210とブレード16aとの間を展延された有機ケイ素重合体がすり抜けるための構成として、中間転写ベルト210の表面に溝形状を付与することで表面粗さRzを調整する点で実施例1と異なる。なお、以下の構成においては、中間転写ベルト210の表面に溝形状を付与する点を除いて、その他の構成は実施例1と実質同一である。したがって、実施例1と共通する構成に関しては同一の符号を付して説明を省略する。
図12は、本実施例における中間転写ベルト210の構成を説明する模式図である。また、図13は、本実施例における中間転写ベルト210の製造方法について説明する模式図である。
図12に示すように、本実施例の中間転写ベルト210は、基層282と表層281を有し、表層281の表面に溝84が形成されている。中間転写ベルト210の幅方向に関して隣り合う溝同士の距離としての間隔Iと、溝84の開口部の幅としての溝幅Wと、そして中間転写ベルト210の厚さ方向に関する溝84の開口部の深さとしての溝深さDとによって、本実施例の溝形状は定義される。本実施例では、間隔Iは20μm、溝幅Wは2μm、溝深さDは2μmに設定した。
溝幅Wは、トナーすり抜け防止のために、トナーの平均粒径の8μmの半分未満とすることが好ましい。また、表層81の厚さが3μmであるため、溝84は基層282までは届かず、表層281のみに存在している。そして、本実施例において、溝84は、中間転写ベルト210の移動方向(ベルト搬送方向)に沿って中間転写ベルト210の1周全域に存在している。
ブレード16aに付着する、展延された有機ケイ素重合体の量の増減方法としては、中間転写ベルト210上に設ける溝84の本数を増減することで、調節が可能となる。間隔Iは10μm以上100μm以下の範囲で設定することが好ましく、特に10μm以上20μm以下の範囲が、ブレード16aと溝84の接触時間を十分確保できる点でより好ましい。
次に、中間転写ベルト210上に溝84を設ける方法について説明する。溝84を形成する手段としては、研磨加工、切削加工、インプリント加工、などの公知の手段が知られている。本実施例における、表面に溝が施された中間転写ベルト210は、これらの形成手段のなかから好ましいものを適宜選択し利用することで、得ることが可能である。中でも加工コストや生産性の観点から、微細加工表面の基材としてのアクリル樹脂の光硬化性を活かした、インプリント加工を行うのが好適である。
また、中間転写ベルト210の表面に溝84を設けて表面粗さRzを調整する方法以外にも、例えば、ラッピングフィルム(Lapika#2000(商品名)、KOVAX社製)などを用いた研磨によって中間転写ベルト210に表面形状を付与してもよい。ラッピングフィルムは、微細研磨粒子が均一に分散されているため、深い傷や研磨ムラをつけることなく均一な形状付与ができ、研磨によって溝を設けることができる。
以下、本実施例におけるインプリント加工の詳細を、図13(a)〜(c)を参照し述べる。図13(a)は、インプリント加工装置を、中間転写ベルト210の円筒軸方向の上側から表した模式図である。図13(b)は、インプリント加工装置を、中間転写ベルト210の円筒軸と平行する方向に関して切断した概略断面図である。図13(c)は、インプリント加工装置における、金型92の形状について説明する模式図である。
インプリント加工によって溝84を形成する場合、図13(a)に示すように、まず、基層282上に表層281を形成した状態の中間転写ベルト210を、中子91(直径227mm、炭素工具鋼鋼材製)に圧入する。そして、圧入した中間転写ベルト210の表面に対して、直径50mm、長さ250mmの円柱状の金型92で、中間転写ベルト210の長手幅250mm全域に加工を行う。
中間転写ベルト210に溝84を形成する場合、金型92は、不図示のヒータにより、ポリエチレンナフタレートのガラス転移温度よりも5〜15℃高い、130℃の温度に加熱される。そして、加熱された金型92を、中子91に当接させた状態で、中子91を周速度264mm/sで1回転させたのちに、金型92を中子91から離間させる。なお、中子91を回転させている間は、金型92は中子91の回転に従動して回転する。本実施例においては、以上のようにして表面形状加工をおこない、中間転写ベルト210の表層281に溝84を形成した。
本実施例のような溝84を形成するため、図13(c)に示すように、金型の表面に、円柱の円周方向に平行に間隔pの等間隔で三角形状の凸が形成された、長さLkの金型92を用いた。本実施例では、間隔pは20μm、長さLkは250mmである。この三角形状の凸は、凸の底の長さが2.0μm、高さが2.0μmになるように、切削加工によって形成している。この金型92を用いて、上述したようにインプリント加工を行うことで、溝84を中間転写ベルト210に形成することができる。
他にも、本実施例での中間転写ベルト210の溝形状について、次のような構成が好ましい。まず、溝形状が深すぎた場合、溝深部に入り込んだトナーを清掃できないため、溝深さDは4μm以下に設定することが好ましい。また、溝形状が浅すぎる場合、溝形状の加工が困難になることや、ブレード16aが中間転写ベルト210の表面に追従しやすくなることでブレード16aの耐久性の向上が困難になることから、溝深さDは0.05μm以上に設定することが好ましい。
上記のような溝形状を設けると、中間転写ベルト210とブレード16aの間で溝84による隙間ができる。この隙間で有機ケイ素重合体をすり抜けさせることで、実施例1と同様に有機ケイ素重合体をブレード16aに付着させ、中間転写ベルト210とブレード16aとの間にコート層61を介在させることができる。なお、本実施例の中間転写ベルト210の表面粗さRzは実施例1と同様の範囲に設定されている。
また、本実施例の変形例として、この有機ケイ素重合体の付着をブレード16aで均一に行うために、図14に示すように、中間転写ベルト110の回転方向に対して、回転方向から斜め形状になるような傾斜溝を設けてもよい。この構成により、中間転写ベルト110の移動に伴い、溝とブレード16aとが接触するポイントも長手方向(中間転写ベルト110の幅方向)に動く。その結果、ブレード16aの長手全域で溝が形成されることによる隙間とブレード16aとが接触し、ブレード16aに有機ケイ素重合体を均一に付着させることができる。
以上のように、中間転写ベルト210上に溝84を設け、中間転写ベルト210の表面粗さRzを実施例1と同様の範囲に設定することで、実施例1と同様の効果を得ることが可能である。
なお、本実施例では、中間転写ベルト210に対してベルト搬送方向に沿った溝形状を付与したが、実施例1の式(3)の範囲を満たす表面粗さRzを設定できるのであれば、中間転写ベルト210に付与する表面形状は溝形状に限らない。例えば、図15(a)〜(b)のように、中間転写ベルト310にディンプル形状を付与するような押し当て型192を用いてもよい。このような押し当て型192を用いることで、図15(c)に示すように、中間転写ベルト310の表面にディンプル形状を付与することが可能である。そして、実施例1と同様に、式(3)を満たす表面粗さRzとなるように中間転写ベルト310の表面にディンプル形状を付与することによって、実施例1と同様の効果を得ることが可能となる。
以上、実施例1〜2においては、中間転写ベルトを用いた中間転写方式の画像形成装置100について説明したが、これに限らない。転写材Pを静電的に担持して搬送する搬送ベルトを有する直接転写方式の画像形成装置においても本実施例の構成を用いることができる。クリーニング部材としてクリーニングブレードなどの当接部材を用いて搬送ベルトに残留したトナーを回収する構成であれば、直接転写方式の画像形成装置であっても、本実施例の構成を用いることで本実施例と同様の効果を得ることが可能である。
1 感光ドラム
10 中間転写ベルト
16 クリーニング手段
16a クリーニングブレード

Claims (12)

  1. トナー像を担持する像担持体と、
    トナーを収容する収容部と、前記像担持体に形成される潜像をトナーによって現像する現像部材と、を有する現像手段と、
    移動可能であって、前記像担持体と対向して配置される無端状のベルトと、
    前記ベルトに対して当接可能なクリーニングブレードを有し、前記クリーニングブレードによって前記ベルトに残留したトナーを回収する回収手段と、を備える画像形成装置において、
    前記現像手段に収容されたトナーは、トナー母粒子及び前記トナー母粒子の表面に有機ケイ素重合体を含有し、
    前記収容部には、トナーと共に前記現像部材から前記像担持体に向かって移動する外添剤が添加されており、
    前記クリーニングブレードが当接する前記ベルトの外周面の表面粗さの値が、前記有機ケイ素重合体の平均粒径の値よりも大きく、且つ、前記外添剤の平均粒径の値よりも小さいことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記有機ケイ素重合体は、下記式(1)で表される構造を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
    Figure 2021162610

    (式中、Rは炭素数1以上6以下のアルキル基又はフェニル基を示す。)
  3. 前記有機ケイ素重合体は、前記トナー母粒子の表面に凸部を形成した状態で前記トナー母粒子に含有されており、
    前記凸部は、前記クリーニングブレードがトナーを回収する位置において、前記ベルトの移動に伴い前記トナー母粒子の表面から移行することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記ベルトの表面と前記有機ケイ素重合体との間の付着力よりも、前記クリーニングブレードの表面と前記有機ケイ素重合体との間の付着力が大きいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記ベルトの表面は、アクリル樹脂から構成されることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記クリーニングブレードの表面は、ウレタンゴムによって構成されることを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。
  7. 前記ベルトは、前記外周面に、前記ベルトの移動方向と直交する前記ベルトの幅方向に関して、前記移動方向に沿って形成された複数の溝を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  8. 前記幅方向に関する前記溝の間隔は10μm以上であって100μm以下に設定されており、前記移動方向及び前記幅方向と直交する前記ベルトの厚さ方向に関する前記溝の深さは0.05μm以上に設定されていることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
  9. 前記ベルトは、複数の層によって構成され、前記複数の層のうち最も厚い層である基層と、前記外周面側に形成された表層と、を有し、
    前記溝は前記表層に形成されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の画像形成装置。
  10. 前記ベルトは中間転写ベルトであり、前記像担持体に担持されたトナー像は、前記像担持体と前記中間転写ベルトとが当接する位置において前記像担持体から前記中間転写ベルトに一次転写された後に、前記中間転写ベルトから転写材に二次転写されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  11. 前記中間転写ベルトの外周面に当接する二次転写部材を備え、前記二次転写部材と前記中間転写ベルトとが当接する位置において、前記像担持体から前記中間転写ベルトに一次転写されたトナー像が転写材に二次転写され、
    前記回収手段は、前記中間転写ベルトの移動方向に関して、前記二次転写部材と前記中間転写ベルトとが当接する位置よりも下流側であって、前記像担持体と前記中間転写ベルトとが当接する位置よりも上流側に配置されていることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 前記ベルトは、転写材を搬送する搬送ベルトであり、前記像担持体に担持されたトナー像は、前記搬送ベルトによって搬送される転写材に転写されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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