JP3671537B2 - 像担持体及びその製造方法、並びに、該像担持体を用いた画像記録装置及び画像記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式、静電方式、イオノグラフィ方式、マグネトグラフィ方式等により像担持体上に形成したトナー像を記録媒体に転写、定着し、該記録媒体に画像を記録する間接転写型の画像記録に用いる像担持体及びその製造方法、並びに、該像担持体を用いた画像記録装置及び画像記録方法に関し、さらに詳しくは、高い転写率で転写を行うことができ、高品質の画像を確実に記録することができる像担持体及びその製造方法、並びに、該像担持体を用いた画像記録装置及び画像記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来における間接転写型の画像記録では、像担持体上に形成したトナー像を記録媒体等に転写した後、該像担持体上に残留するトナーは、回収容器に回収・蓄積され、廃棄されるのが一般的である。
例えば、前記間接転写型の画像記録の中でも広く用いられている電子写真方式による画像記録は、像担持体の表面を均一に帯電する帯電工程、帯電後の像担持体の表面に像光を照射して静電潜像を形成する露光工程、該静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する現像工程、該トナー画像を、直接又は中間転写体に一旦転写した後、記録媒体に転写する転写工程、該記録媒体上に転写したトナー画像を定着する定着工程、及び、前記転写工程後に像担持体上に残留したトナーを除去するクリーニング工程を経て行われる。この電子写真方式による画像記録の場合、該像担持体上に残留するトナーは、前記クリーニング工程において、該像担持体の表面に押し当てられた弾性のゴムブレード又はブラシにより、回収容器に回収・蓄積され、定期的に廃棄されている。
【0003】
従来の間接転写型の画像記録には、以下のような問題がある。即ち、回収容器に蓄積されるトナーの量を常に検知乃至測定し、回収容器がトナーで満杯になる前に、トナーを廃棄するか、回収容器を交換する必要がある。また、画像記録装置が小型である場合には回収容器を設置するための十分なスペースが確保できない。そこで、ドラム状の像担持体の内部等を回収容器として利用することもあるが、この場合、回収したトナーの量によって像担持体の交換時期を設定しなければならず、不便である。さらに、環境保護等の観点から回収されたトナーの再利用が進められているが、トナーの分別、運搬・再生のためのエネルギー、回収方法・集積場所等についても多くの問題がある。
【0004】
前記従来の間接転写型の画像記録における問題を解決するためには、例えば、以下に示す方策が考えられる。
第1は、トナー画像を記録媒体へ転写する際の転写率を改善する方策である。トナー画像の記録媒体への転写率が向上すれば像担持体上に残留するトナーの量が減少し、回収して廃棄しなければならないトナーの量も低減する。
第2は、像担持体上に残留するトナーを回収した後、現像装置に戻し、現像に再利用する方策である。回収した総てのトナーを再利用できればトナーを廃棄する必要がなくなる。
第3は、像担持体のクリーニングを行うことなく、像担持体上に残留するトナーによる不都合、即ちゴーストの発生等を他の手段によって解消する方策である。残留するトナーによる不都合を解消することができれば、クリーニングを行って残留トナーを回収し廃棄する必要がなくなる。
【0005】
前記第1の方策に関し、例えば、(a)特開昭56−126872号公報には、転写を行うための電界が形成される領域を大きくすることにより、転写率を改善する旨が記載されている。(b)特開昭58−88770号公報、特開昭58−140769号公報等には、転写位置に交番電界を形成し、この交番電界により像担持体上のトナーに揺り動かすような力を付与し、像担持体からのトナーの離脱を促進させる旨が記載されている。(c)特開昭52−126230号公報には、転写位置において像担持体に対して超音波を放射し、振動を発生させてトナー粒子の付着力を減少させる旨が記載されている。(d)特開平2−1870号公報、特開平2−81053号公報、特開平2−118671号公報、特開平2−118672号公報、特開平2−157766号公報等には、現像剤中にシリカ等の剥離性微粒子を含ませることで、これらの微粒子をトナーと感光体との間に介在させ、トナーと感光体との付着力を低減してトナーの転写率を向上させる旨が記載されている。(e)特開平1−134485号公報には、像担持体上に形成された静電潜像に無色透明のトナーを付着させ、さらにその上から着色トナーを重ねて付着させて現像を行うと、前記着色トナーをほぼ100%転写させることができる旨が記載されている。
【0006】
しかしながら、これらの場合には、以下のような問題がある。即ち、前記(a)、(b)及び(c)の場合、転写後の像担持体上には、依然としてある程度のトナーが残留し、回収・廃棄すべきトナーの量を十分に低減できない。前記(d)の場合、現像剤へ十分な量の剥離性微粒子を添加し、剥離性微粒子で均一にトナーを被覆することが要求されるが、総てのトナーを剥離性微粒子で均一に被覆することは現実に難しく、被覆不十分なトナーの存在を皆無とすることができない。また、総てのトナーが剥離性微粒子で均一に被覆されたとしても、現像器内での撹拌、層厚規制等の様々なストレスを受ける間に、トナーから剥離性微粒子が遊離してしまう。トナーに剥離性微粒子が均一に被覆されたままの状態を維持するためには、ストレスのかからない現像器を実現する必要が生じる。さらに、多量の剥離性微粒子を添加するので長期の使用の間に剥離性微粒子がトナー表面やキャリア表面に付着して現像剤の帯電性が低下したり、遊離した剥離性微粒子同士が凝集して塊状となり、それが原因で現像剤の流動性が低下して現像ムラを引き起こすことがある。また、剥離性微粒子が多量に添加されたトナーは流動性に富むため、転写時にトナー像が転写材に接触した際にトナー像が乱され易くなり、転写による画像乱れ等の現象が生じ易くなる。前記(e)の場合、トナー像の転写を行った後に無色透明のトナーが多量に残留するため、この無色透明トナーを次の画像形成を行う前に清掃除去しないと像担持体の表面を均一な状態とすることができない。このため、クリーニング装置を用いて前記無色透明トナーを回収し廃棄することが必要になり、回収・廃棄すべきトナーの量の低減が図れないという問題である。
【0007】
前記第2の方策に関し、例えば、特開昭54−121133号公報には、クリーニング装置で回収したトナーを、搬送路を介して現像装置に戻して再利用する旨が記載されている。また、特開昭53−125027号公報には、クリーニング装置と現像装置とを一体化したユニットとし、クリーニング装置で回収されたトナーを、現像に用いるトナーが収容されている貯蔵室に落下乃至搬送させる旨が記載されている。さらに、特開昭54−109842号公報、特開昭59−133573号公報、特開昭59−157661号公報等には、クリーニング装置を用いることなく、トナー像を転写した後、背景部に残留するトナーを現像ロールに転移させることにより、現像装置によって回収する旨が記載されている。
【0008】
しかしながら、これらの場合には、以下のような問題がある。即ち、転写時等に混入した紙粉等も現像装置に回収されてしまうので、画像欠陥の原因となることがある。また、繰り返し使用によりトナーの帯電性が変動し、画像濃度の安定性が損なわれるため、現像装置に収容されている現像剤を新しいものと交換しなければならず、古いトナーを廃棄することが必要になる。さらに、トナーを現像装置に搬送するのに特別な装置を使用する場合には装置全体の構造が複雑になってしまうという問題である。
【0009】
前記第3の方策に関し、像担持体のクリーニングを行わない場合、残留トナーが次の画像形成工程でプリントアウトされるポジゴーストや、残留トナーの遮光効果によるネガゴースト等のゴーストの発生が問題になるが、例えば、特開平3−172880号公報には、トナーの転写効率を80%以上とすることによってゴーストの発生を防止する旨が記載されている。また、特開平3−114063号公報には、残留トナーを0.35mg/cm2以下にすることによってゴーストの発生を回避する旨が記載されている。さらに、特開平1−20587号公報には、転写後の残留トナーをブラシ等で掻き乱すことにより、残留トナーによるゴーストの発生を防ぐ旨が記載されている。
【0010】
しかしながら、これらの場合には、転写後の残留トナーをクリーニングしなくてもゴーストやカブリ等の画像欠陥が発生しない程度まで、転写効率を十分に向上させなければならない、という問題がある。
したがって、前記従来の間接転写型の画像記録における問題を解決するための適当な手段は、依然として提供されていないのが現状である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来の間接転写型の画像記録における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
本発明は、像担持体上に形成したトナー像を記録媒体又は中間転写体に転写する際の転写率に優れ、高品質の画像を確実に記録することができる像担持体及びその製造方法、並びに、該像担持体を用いた画像記録装置及び画像記録方法を提供することを目的とする。また、本発明は、残留トナーを生じさせず、あるいはその量を著しく低減し、残留トナーのクリーニングが不要な画像記録装置及び画像記録方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
第一の手段は、画像記録に用いる像担持体であって、表面が疎水化処理されている微粒子及び/又は該微粒子による凝集体で付着されてなり、該表面の純水に対する接触角が、前記微粒子及び/又は該微粒子による凝集体の付着前よりも付着後の方が大きく、前記微粒子及び/又は該微粒子による凝集体の付着後における像担持体の表面の純水に対する接触角が100°以上であり、且つ、前記微粒子及び/又は該微粒子による凝集体の平均粒径が1〜50nmの範囲内であることを特徴とする像担持体である。
また、前記トナーが、前記微粒子及び/又は該微粒子による凝集体が外添されてなる態様が好ましい。前記微粒子が、シリカである態様が好ましい。
第二の手段は、前記第一の手段の像担持体の製造方法であって、像担持体の表面に、平均粒径が1〜50nmの範囲内であり、表面が疎水化処理されている微粒子及び/又は該微粒子による凝集体を付着させて、前記微粒子及び/又は該微粒子による凝集体の付着前よりも付着後における、該像担持体の表面の純水に対する接触角を大きくし、且つ、前記微粒子及び/又は該微粒子による凝集体の付着後における像担持体の表面の純水に対する接触角を100°以上とすることを特徴とする像担持体の製造方法である。
【0013】
第三の手段は、像担持体上にトナー画像を形成し、該トナー画像を記録媒体又は中間転写体に転写する転写装置を有する画像記録装置において、前記像担持体が、前記第一の手段の像担持体であることを特徴とする画像記録装置である。
前記画像記録装置においては、前記トナーが、前記微粒子及び/又は該微粒子による凝集体が外添されてなる態様が好ましい、また、前記像担持体の表面に前記微粒子及び/又は該微粒子による凝集体を均一に付着させる微粒子付着装置を有する態様が好ましい。
第四の手段は、像担持体上にトナー画像を形成し、該トナー画像を、直接又は中間転写体を介して記録媒体に転写することにより前記記録媒体上に画像を記録する画像記録方法において、前記像担持体が、前記第一の手段の像担持体であることを特徴とする画像記録方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明においては、前記手段により以下に示す作用で前記課題を解決する。
一般にトナーは像担持体と静電的な力で付着している(磁気により付着されるものもある)が、その他にファン・デル・ワールス力等の非静電的な力も作用している。しかし、像担持体の表面に前記微粒子及び/又は該微粒子による凝集体(以下「微粒子等」と称することがある)を付着させ、これらの上に重ねてトナー像を形成することにより、トナー粒子と像担持体との間に空隙がある状態、又はトナーと像担持体との接触面積が小さい状態にすることができ、前記非静電的な力が低減される。したがって、転写時に電界が作用するとトナー粒子は容易に転移し、100%に近い効率で転写を行うことが可能となる。
この際、前記微粒子等の付着に関し、以下の条件を付加することにより、転写率の大幅な向上がみられる。即ち、像担持体の表面に前記微粒子等を付着させ、前記微粒子等の付着前よりも付着後における、該像担持体の表面の純水に対する接触角を大きくする、という条件を付加することにより、前記微粒子等の転写性向上に関する効果が確実に増大する。
【0015】
ところで、接触角には真の接触角と見掛けの接触角があり、測定する固体面が均一な平滑面として取り扱える場合に測定される値が真の接触角、表面に凹凸のある粗面や固体の間に空気を抱えている複合面、及び化学的に不均一な面で測定される値が見掛けの接触角である。前記接触角は、例えば、それ自体公知の接触角計を用いて測定することができる。
前記微粒子又は該微粒子による凝集体が付着した前記像担持体の表面は、前記微粒子等の材料と前記像担持体の表面材料とは同一の化学組成ではないので、前記化学的に不均一な面であり、また、付着した前記微粒子等により、前記粗面であると共に前記複合面でもあり、複雑な面となっている。したがって、前記微粒子等が前記像担持体の表面と、液体(純水)との間に存在する場合に測定される接触角は、見掛けの接触角である。
【0016】
測定する固体面が粗面である場合の前記見掛けの接触角θは、以下の式(Wenzelの式)から算出することができる。
cosθ=Rcosθ0
ただし、式中、「θ0 」は、真の接触角を意味する。「R」は、粗面の粗度(平面1cm2 が粗面としてRcm2 になるとき、粗度をRとする)を意味する。
測定する固体面が複合面である場合の前記見掛けの接触角θは、以下の式(Cassie−Baxterの式)から算出することができる。
cosθ=Q1 cosθ0 −Q2
ただし、式中、「Q1 」及び「Q2 」は、それぞれ、液体と固体との接触面の割合、液体と気体との接触面の割合を意味し、Q1 +Q2 =1である。
これらの式においては、θ0 >90°のとき、θ>θ0 となる。これは、粗面や複合面の度合いが増す程、ぬれにくい面(θ0 >90°)は、よりぬれにくくなるということを意味する。
測定する固体面が、その化学組成が不均一であるような面の場合の前記見掛けの接触角θは、以下の式(Cassieの式)から算出することができる。
cosθ=Q3 cosθ1 +Q4 cosθ2
ただし、式中、「Q3 」及び「Q4 」は、真の接触角がそれぞれθ1 ,θ2 であるような二つの面の割合を意味する。
【0017】
ここで重要なのは、単に前記微粒子等を像担持体の表面に付着させただけでは、必ずしも前記微粒子等の付着前よりも付着後における、該像担持体の表面の純水に対する接触角の増大はみられない、という点である。
前記接触角の増大に関してポイントになる特性は、前記微粒子等の付着密度(単位面積当たりの付着量を意味する「面積率」も同義で用いることがある)、前記微粒子等の平均粒径、及び、前記微粒子等の表面の疎水性である。前記接触角を増大させるには、これらの特性を制御する必要がある。
【0018】
前記微粒子等の付着密度については、該付着密度が高い程、像担持体の表面と液体(純水)との間に前記微粒子等が存在する確率が高くなるので、該像担持体の表面における見掛けの接触角は大きくなる。
前記微粒子等の平均粒径については、前記微粒子等の付着密度に関連し、平均粒径が小さい程、像担持体の表面に均一に分散し易くなるため、前記同様の理由で像担持体の表面における見掛けの接触角は大きくなる。
前記微粒子等の表面の疎水性については、前記微粒子等の疎水化度が高いほど像担持体の表面における見掛けの接触角は大きくなる。
【0019】
さて、この接触角と転写率との関係であるが、転写性に関する前記微粒子等の効果をより確実に作用させるためには、トナーと像担持体との間に前記微粒子等をより確実に存在させる必要があるが、そのためには、前記微粒子等の付着密度を高くすればよく、前記微粒子等の平均粒径をある程度小さくして、像担持体の表面に均一に分散させればよい。
ところで、物の表面には多かれ少なかれ大気中の水蒸気が吸着している。この吸着水の量は、疎水化処理された低表面エネルギー面においては少ないことが知られている。一方、吸着水は転写時に液架橋力として作用するので、少ない方が転写率は向上する。したがって、前記微粒子等の疎水化処理は、転写時に作用する液架橋力を低減させ、転写率を向上することに寄与する。
以上の理由から、前記微粒子等の付着により前記見掛けの接触角を大きくすることは、転写率の向上につながることになる。
【0020】
以下、本発明の像担持体及びその製造方法、並びに、該像担持体を用いた画像記録装置及び画像記録方法について、図面等を参照しながら、その実施例乃至参考実験と共に詳細に説明する。
【0021】
(実施例1)
図1は、本発明の像担持体が適用された間接転写型の画像記録装置の一例を示す概略説明図である。なお、図1における像担持体2は、後述のように別途、本発明の像担持体の製造方法により製造されたものである。図1に示す画像記録装置1は、本発明の像担持体2を装備しているので本発明の画像記録装置であり、該画像記録装置1を用いて行う画像記録は、本発明の画像記録方法であることは言うまでもない。
図1に示す間接転写型の画像記録装置1は、一様に帯電した後に像光を照射することにより表面に静電潜像が形成される像担持体2と、この像担持体2の周囲に、像担持体2の表面を一様に帯電する帯電器3と、画像データに基づき像担持体2に像光を照射し静電潜像を形成する像書き込み装置4と、該静電潜像にトナーを選択的に転移させ、これを可視化する現像装置5と、ペーパーガイド9より供給される記録媒体としての用紙に像担持体2の表面のトナー像を転移させる転写帯電器6と、該トナー像が転写された用紙を像担持体2から剥離する剥離用帯電器7と、剥離された用紙を搬送する搬送ベルト10と、静電潜像が形成された像担持体2を除電する除電ランプ8とを備えている。
【0022】
帯電器3は、電極ワイヤに高電圧を印加し、像担持体2との間でコロナ放電を発生させて、該像担持体2の表面を一様に帯電する機能を有する。
像書き込み装置4は、形成される画像の幅方向に配列された多数の発光素子(LED)を有し、この発光素子が画像信号に基づいて点滅することによって回転駆動される像担持体2に像露光を行う機能を有する。
【0023】
前記間接転写型の画像記録装置1における主要部材のデータ及び設定条件等は以下の通りである。
【0024】
次に、現像装置5において用いた現像剤について説明する。
<トナー>
前記現像剤に含まれるトナーとしては、例えば、以下のように作製したものを用いることができる。
ポリエステル(数平均分子量:4300、重量平均分子量:9800、Tg=58℃)94wt%、及びシアニンブルー4938(大日精化社製)6wt%を混練粉砕し、平均粒径が7μmの着色粒子を得た。この着色粒子をトナー粒子として用い、この着色粒子に対し、平均粒径が12nmのシリカをヘキサメチルジシラザン(HMDS)で疎水化処理してなる微粒子を、トナー表面積に対する被覆率が40%になるように外添することにより、サイアントナーを得た。こうして得られたところの、疎水化処理された微粒子が外添されてなるトナーは、その帯電極性が負極性であった。前記平均粒径の値は、コールターカウンタ(コールター社製)を用いて測定した。前記トナー粒子の比重は1.0であり、前記疎水化処理してなる微粒子の比重は、2.2であった。
【0025】
なお、前記被覆率は、以下の式で与えられる。
被覆率f(%) ={( √3×dt×ρt ×Wa)/(2×π×da×ρa ×Wt) }×100
ただし、前記式中、「dt」は、トナーの平均粒径(m)を意味する。「da」は、微粒子の平均粒径(m)を意味する。「ρt」は、トナーの比重を意味する。「ρa」は、微粒子の比重を意味する。「Wa」は、微粒子の重量(kg)を意味する。「Wt」は、トナーの重量(kg)を意味する。
【0026】
以下は、本発明におけるトナーに関する一般論である。
本発明においては、上述のように、トナー粒子に前記微粒子等を外添しておく態様も好ましい。像担持体2の表面に付着させた前記微粒子等は、転写の際にその一部がトナーと共に転写されてしまうことがあるので、転写性を維持し、高い転写率で転写を行うためには、像担持体2の表面に前記微粒子等を補充する必要があり、このような場合に、前記トナーに前記微粒子等を外添させておくと、像担持体2の表面に前記微粒子等を適宜補充することができ、転写性を安定に維持することができる。
【0027】
なお、前記トナー粒子に外添する微粒子等と、像担持体2の表面に付着させた前記微粒子等とは、互いに異なるものであってもよいが、同じものであるのが好ましい。後の場合、像担持体2の表面に付着させた前記微粒子等と、微粒子等が外添されたトナーから像担持体2の表面に補充される該微粒子等とが、同じものであるので、トナーに対する付着力の低減効果が同等であり、像担持体上に付着させる微粒子等の必要量(付着密度)を制御し易い等の点で有利である。
前記微粒子等を前記トナー粒子に外添する量は、帯電制御剤、流動性促進剤、転写助剤等の外添剤の種類や目的、また、トナーを適用するシステム等により異なり一概に規定することはできないが、本発明では、その目的を満たし他の特性に影響を与えない範囲であればよい。具体的には、外添剤を用いる主な目的から決定される量+α(一概には規定できない量)、の範囲内で適宜決定することができる。
【0028】
ところで、本発明の画像記録装置及び画像記録方法においては、本発明の像担持体を用いるが、該像担持体は、本発明の像担持体の製造方法等により予め別途に作製しておいたものであってもよいし、画像記録を行う際に画像記録装置等内でその都度、像担持体の表面に前記微粒子等を付着させることにより作製したものであってもよい。後の場合に関し、前記微粒子等が外添されてなるトナーのみを用いて、現像装置5により像担持体2の表面に前記微粒子等を付着させてもよい。この場合は、微粒子付着装置等の特別な手段は不要である。
【0029】
前記トナーは、バインダ樹脂と着色剤とを含んでなる。
前記バインダ樹脂としては、上記例で使用したポリエステル樹脂の外、それ自体公知のバインダ樹脂、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタヂエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。これらのバインダ樹脂は、目的に応じて適宜選択される。これらのバインダ樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
前記着色剤としては、上記例のシアニンブルーの外、例えば、黒色系着色剤、有彩色系着色剤などの公知のものが挙げられる。
前記黒色系着色剤としては、例えば、カーボンブラック、ニグロシン、黒鉛などが挙げられる。
前記有彩色系着色剤としては、上記例のシアニンブルーの外、以下のものが挙げられる。
イエロー又はオレンジ顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー174などが挙げられる。
マジェンタ又はレッド顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
サイアン又はグリーン顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー60などが挙げられる。
【0031】
前記トナーにおける前記着色剤の含有量としては、トナーに対し、通常0.5〜20wt%程度が好ましい。
前記含有量が、0.5wt%未満であると、発色性が十分でなく、鮮明な画質が得られなくなることがあり、20wt%を越えると、トナー中での着色剤の分散不良による画質の濃度むらが生じることがある。
【0032】
本発明においては、ヒートロール定着時にロールとの離型性を高めトナーオフセットを防止する観点から、エチレン、プロピレン等のオレフィン系単独又は共重合体、カルナバワックス等のワックス成分などを添加させてもよい。
前記ワックス成分の添加量としては、トナーに対して0.5〜10wt%であるのが好ましい。前記添加量が、0.5wt%未満であるとワックス成分を添加した効果が十分でなく、10wt%を越えると熱によりトナーが変形し易くなり現像剤の帯電性が変化して安定した画像濃度が得られなくなる。
また、トナーの力学的強度を強くしたり、ヒートロール定着時にトナーの凝集力を高めトナーオフセットを防止する観点から、重量平均分子量が100,000以上の高分子量ポリマーや架橋ポリマーなどを含有させてもよい。
前記高分子量ポリマーや架橋ポリマーの含有量にとしては、トナーに対して60wt%以下が好ましい。前記含有量が60wt%を越えると定着時にトナーが良好に溶融定着せず定着不良が問題となる。
【0033】
前記トナーの平均粒径としては、通常5〜10μm程度であるのが好ましい。前記平均粒径が、5μm未満であると、トナーとキャリアとの間に作用する物理的な付着力が支配的となり現像性が低下することがあり、また、トナーの凝集も起こり易く取扱いの点で好ましくなく、一方、10μmを越えると、画像が粗くなり、細線の解像力が低下することがある点で好ましくない。
なお、前記平均粒径は、市販の装置、例えばコールターカウンター(コールター社製)などを用いて測定することができる。
【0034】
<キャリア>
前記現像剤に含まれるキャリアとしては、例えば、以下のように作製したものを用いることができる。
スチレン−アクリル共重合体(数平均分子量:23000、重量平均分子量:98000、Tg=78℃)30wt%、カーボンブラック(塩基性カーボンブラック:pH=8.5)3wt%、及び粒状マグネタイト(最大磁化80emu/g、粒径0.5μm)67wt%を混練し、粉砕し、分級して、平均粒径を45μmとしたものをキャリアとした。このキャリアは、帯電極性が正極性であり、電気抵抗値が1012Ωcmであり、比重は2.2であった。なお、前記平均粒径の値は、マイクロトラック(日機装(株)製)を用いて測定した。
【0035】
以下は、本発明におけるキャリアに関する一般論である。
前記キャリアとしては、特に制限はなく、例えば、それ自体公知の磁性体粒子キャリア、ポリマーキャリアなどが挙げられる。
前記磁性体粒子キャリアとしては、例えば、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属粒子などが挙げられる。
前記ポリマーキャリアは、磁性体粒子とポリマーとを混合してなる。前記磁性体粒子としては、例えば、前記金属粒子が挙げられる。前記ポリマーとしては、例えば、前記バインダ樹脂などが挙げられる。
これらのキャリアは、目的に応じて適宜選択することができるが、磁性体粒子キャリアよりもポリマーキャリアの方が、一般的に磁化が低いために、柔らかく密度の高い磁気ブラシを形成することができ、高画質画像を得ることができる。また、前記像担持体上に付着した場合に、前記像担持体の表面を傷つけるおそれも少ないという利点がある。さらに、比重も小さいためにキャリアの質量も小さく、画像記録装置内において現像剤がミキシングされる際にトナーに対するストレスが小さくなり、現像剤の寿命を長くさせることができる点で好ましい。
一方、磁性体粒子キャリアはキャリアの比重が大きいためにキャリアの質量も大きく、現像装置内で現像剤がミキシングされる際にトナーに対するストレスが大きくなるが、現像剤の帯電の立ち上がりが早いという利点がある。
したがって、要求される性能によってキャリアを使い分ければよい。
【0036】
前記キャリアの平均粒径としては、小さいほど磁気ブラシは密になり、60μm以下になるとその効果が現れ始める。しかし、前記平均粒径が35μm未満であると、キャリアの磁気的拘束力が弱まるために像担持体2の表面へのキャリア付着が発生する。これらのことから、前記キャリアの平均粒径としては、35〜60μmが好ましい。
【0037】
<現像剤>
現像装置5において用いた現像剤は、上述のトナーとキャリアとを混合してなり、該現像剤においては、トナー濃度(TC:Toner Concentration)が15wt%であり、現像剤中のトナー帯電量が20μC/gであった。
なお、前記TCは、次式により算出することができる。
TC(wt%)=(現像剤に含まれるトナーの重量(g))/(現像剤の総重量(g))×100
【0038】
以下は、本発明における現像剤に関する一般論である。
前記トナーと前記キャリアとを混合して現像剤とした場合、現像剤中のトナー帯電量としては、例えば絶対値で5〜50μC/g程度が好ましく、10〜40μC/gがより好ましい。
前記帯電量が、5μC/g未満であると、トナーのキャリアに対する付着力が弱くなり、遊離トナーによるトナークラウドが発生し、プリントにおけるカブリが生ずることがあり、50μC/gを越えると、トナーのキャリアに対する付着力が高くなりすぎて、トナーが現像されない等の現象を招くことがある。
【0039】
<微粒子>
次に、像担持体2に付着させる前記微粒子等について説明する。
図1に示す間接転写型の画像記録装置1で用いられる微粒子等は、例えば次のようなものである。
即ち、平均粒径12nmのシリカに、疎水化処理剤としてヘキサメチルジシラザン(HMDS)を用いて疎水化処理したもので、ゆるい凝集をした状態で存在しており、比較的容易に分散し得るものである。なお、この微粒子等は、前記トナー表面に外添させた微粒子等と同一である。
【0040】
前記微粒子等としては、前記シリカに疎水化処理を施したものの外、例えば、以下の無機微粒子、有機微粒子、これらによる凝集体などが挙げられる。
前記無機微粒子としては、前記シリカの外、例えば、シリカ、酸化チタン、アルミナ、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化クロム、ベンガラ等の微粒子が挙げられる。
前記有機微粒子としては、例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等の微粒子が挙げられる。
前記微粒子による凝集体は、前記有機微粒子及び/又は前記無機微粒子同士が凝集してなる粒子である。該凝集体においては、前記有機微粒子及び/又は前記無機微粒子が、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0041】
これらの微粒子の中でも、環境安定性を考慮すると吸湿性が少ないことが好ましく、酸化チタン、アルミナ、シリカ等の吸湿性を有する無機微粉末の場合は、疎水化処理を施したものが好適に用いられる。
前記疎水化処理は、疎水化処理剤と前記微粉末とを高温度下で反応させて行うことができる。
前記疎水化処理剤としては、特に制限はなく、それ自体公知の疎水化処理剤、例えば、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、デシルシラン、ジアルキルジハロゲン化シラン、トリアルキルハロゲン化シラン、アルキルトリハロゲン化シラン等のシランカップリング剤やジメチルシリコンオイルなどが挙げられる。
前記疎水化処理剤の量としては、前記微粒子等の種類等により異なり、一概に規定することはできないが、一般的にはその量が増せば疎水化度は高くなる。
【0042】
前記微粒子等の中でも、画質上、特に遮光効果を考慮した場合においては、前記有機微粒子では透明性に優れたポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系微粒子が好ましく、前記無機微粒子では遮光効果が小さいシリカが好ましい。
なお、これらの微粒子が、使用されていくうちに像担持体上にフィルム状となって付着してしまうような材料、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等は、当然トナーに対してもフィルミングを起こし易く、トナーに対する付着力も強くなる。したがって、このようなフィルミングを起こし易い材料の微粉末は好ましくない。
本発明においては、前記微粒子等を、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
図1に示す画像記録装置1における像担持体2には、前記シリカに疎水化処理を施したものが予め付着させてある。この付着に関しては後で述べる。
なお、像担持体の表面における微粒子等の付着に関しては、像担持体の表面に、一種類の微粒子等が存在していてもよいし、2種以上の微粒子等が同時に存在していてもよい。トナーと像担持体との間に微粒子等が介在することの結果、トナーと像担持体との間の付着力を低下させることができればよい。
微粒子等の平均粒径については、接触角の増大に効果のある範囲が好ましく、そのような観点から1〜50nmの範囲内であることが必要である。なお、前記平均粒径の上限は、露光の妨げとならないようにする観点から一般に露光波長の1/2程度である。前記平均粒径は、小さい程、分散性がよくなる。
【0044】
次に、図1に示す間接転写型の画像記録装置1の動作について説明する。
ドラム状の像担持体2は回転駆動され、帯電器3によって一様に帯電される。像書き込み装置4との対向位置では像光が照射されるが、使用している微粒子等は光を透過するものであり、像担持体2の感光体層の電荷は露光によって低減され、静電電位の差による静電潜像が形成される。
この静電潜像は、現像装置5との対向位置に移動し、現像ロールから転移されるトナーが微粒子等の上に重ねて付着され、前記静電潜像が可視化される。このようにして形成されたトナー像は、転写帯電器6によって記録媒体としての用紙に転写されるが、トナーは微粒子等を介して像担持体2上に付着しており、ファン・デル・ワールス力等の非静電的な力が小さくなっているので、転写帯電器6による電界で容易に離脱し、用紙に転写される。
こうして用紙にトナー像が転写された後、像担持体2上には微粒子等が残る。この間接転写型の画像記録装置1では、クリーニング装置は設けられておらず、微粒子等が像担持体2上に維持されたまま次の画像記録が行われる。
【0045】
ところで、トナーは転写率が100%であると残留トナーが生じないが、実際にはほんの僅かだけトナーが像担持体2上に残る場合がある。しかし、この場合でも、この残留トナーは次の画像記録のプロセスにおいてほとんど総て現像装置5に回収されてしまう。
一方、像担持体2上の微粒子等は、その一部が転写の際にトナーと共に転写されてしまう。したがって、転写性を維持するためには、微粒子等を補充する必要がある。この間接転写型の画像記録装置1では、像担持体2の表面に付着している微粒子等と同一の微粒子等がトナーに外添剤されているので、トナーから遊離した微粒子等が現像時に像担持体2の表面に転移するため、微粒子等は適宜補充されることになる。
【0046】
さて、このような間接転写型の画像記録装置1の転写性を評価するために行った実験について以下に述べる。
この実験では、像担持体2の表面の微粒子等の付着状態を変化させて転写率を測定した。具体的には、5種類の異なる付着状態を形成し、それぞれについて接触角の測定と転写率の評価とを行った。
この際、図2に示すような微粒子付着装置20を用い、像担持体2の表面に微粒子等を付着させることにより、5種類の像担持体2を製造した。なお、前記図1に示す画像記録装置1における像担持体2は、該画像記録装置1に備えられる前に別途、図2のような微粒子付着装置20を用いる方法や、簡易的にはポーチ(布製袋)に微粒子等を入れたり刷毛に微粒子等を含ませたりした後、軽く叩きながら付着させる方法(手作業)などにより、その表面に微粒子等を付着させて、製造されたものである。
【0047】
図2に示す微粒子付与装置20は、微粒子等を収容するハウジング24の開口部に回転ブラシ23が設けられ、その後方には回転ブラシ23に微粒子等を供給するパドル22が設けられている。微粒子等を付与する際には、像担持体2を間接転写型の画像記録装置から一旦取り出し、別途用意した微粒子付与システムに微粒子付着装置20と像担持体2とをセットして、像担持体2の表面への微粒子等の付与を行った。具体的には、まず像担持体2を一定速度で回転させておき、回転ブラシ23の毛先が像担持体2の表面に接触しながら同方向に移動するように回転駆動させる。その速度は像担持体2の周速より毛先がやや早く移動するように設定した。像担持体2の表面における微粒子等の付着状態は、パドル22から回転ブラシ23への微粒子等の供給量を制御することにより変化させた。
【0048】
図3に微粒子等の付着前と付着後とにおける像担持体の表面の純水に対する接触角を示した。図3における横軸は、微粒子等の面積率(像担持体の単位面積当たりに占める微粒子等の投影面積)を意味する。この面積率の測定には、(株)ニレコのLUZEX IIIを使用した。また、接触角の測定には、協和界面科学(株)の接触角計CA−S型を用いた。
図3から、微粒子等の面積率と接触角は相関があり、微粒子等の面積率が増えるのに伴って接触角も増大していることがわかる。なお、面積率=0は、微粒子等を付着させなかった場合を意味する。また、微粒子等の面積率乃至付着密度の好ましい範囲については、微粒子の種類等により異なるので一概に規定することはできない。
【0049】
次に、像担持体の表面における微粒子等の付着状態が異なる場合について、それぞれ転写率を測定した。なお、転写率は以下の式より求めた。
転写率(%)=(記録媒体に転写されたトナー重量(g))/(現像されたトナー重量(g))×100
図4に接触角と転写率との関係を示した。図4から、接触角が増大するに連れて転写率が高くなり、接触角が100°以上(少なくとも100°)でほぼ100%に近い転写率を達成できることがわかる。
また、図1の画像記録装置1において、前記接触角が100°以上の条件にて20,000枚の画像記録を行ったところ、残留トナーが次の画像に現れるポジゴーストは発生しなかった。
【0050】
(参考実験)
次に、前記間接転写型の画像記録装置1を用いて行った接触角に関する実験について説明する。
第1の実験として、付着させる微粒子等の平均粒径を変えて接触角と転写率とを測定した。使用した微粒子等は、総てシリカをヘキサメチルジシラザン(HMDS)で疎水化処理したもので、平均粒径はそれぞれ12nm、16nm、40nmであった。その結果を図5に示した。図5から、微粒子等の平均粒径の小さいもの程、接触角が大きく、転写率もより高い値を示すことがわかる。
【0051】
第2の実験として、付着させる微粒子等として、その平均粒径がそれぞれ12nm、16nm、40nmである、疎水化処理をしないシリカを用い、これらについて接触角と転写率との測定を行った。その結果を図6に示した。図6から、接触角は、微粒子等を付着させる前(92°)とほとんど変化なく、微粒子等間にも差は見られず、また、転写率も同等に高い値が得られないことが明らかである。このことから、微粒子等は単に付着させればよいというわけではないことがわかる。
【0052】
第3の実験として、像担持体の表面にフッ素樹脂の薄層を形成し、接触角を大きくした場合において、転写率を測定してみた。その結果を図7に示した。図7から、成膜前に比べて転写率はある程度向上するものの、100%に近い値まで転写率を向上させることはできなかった。このことから、単に像担持体の表面における接触角が大きいだけでは100%近くの高い転写率を達成できないことがわかる。
【0053】
(実施例2)
図8は、本発明の像担持体が適用された間接転写型の画像記録装置の他の実施例を示す概略説明図である。図8の画像記録装置1において、実施例1の画像記録装置1と同様の構成要素については同様の符号を付して、ここではその詳細な説明を省略する。
図8に示す間接転写型の画像形成装置1は、実施例1の画像記録装置1とほぼ同様であるが、一様帯電した後の像担持体2の表面に光透過性の微粒子等を転移させ、均一に付与する微粒子付着装置20を備えている点で、実施例1の画像記録装置1と異なっている。
【0054】
微粒子付着装置20の詳細を図9に示した。微粒子付着装置20においては、像担持体2と接触するように配置された弾性体の回転ロール25を備え、パドル22から回転ロール25の表面に供給された微粒子等をブレード23でほぼ一様な層とし、該微粒子等を像担持体2の表面に擦り付け、一様な層を形成する。
実施例2では、微粒子付着装置20により、像担持体2の表面に微粒子等を均一にかつ安定した状態で付着させることができるので、高い転写率をより長期にわたって維持することができる。
【0055】
以上の実施態様は、いずれもカールソンプロセスに基づく電子写真記録方式に関するものであるが、本発明は、チャージレス方式、背面露光方式等、記録媒体としての紙に転写を行う間接記録方式であれば適用可能である。また、記録媒体としての紙に転写する前に一旦中間転写体に転写する方式についても同様に適用可能である。さらに中間転写体から他の中間転写体あるいは紙に転写する場合にも適用できる。一方、いわゆる静電記録方式やイオノグラフィ方式等、像担持体として感光体の代わりに誘電体を使用して静電潜像を書き込み、これを現像して転写する場合にも有効である。
【0056】
【発明の効果】
本発明によると、前記従来の間接転写型の画像記録における諸問題を解決することができる。また、本発明によると、像担持体上に形成したトナー像を、直接又は中間転写体を介して記録媒体に転写する際の転写率に優れ、高品質の画像を確実に記録することができる像担持体及びその製造方法、並びに、該像担持体を用いた画像記録装置及び画像記録方法を提供することができる。さらに、本発明によると、残留トナーを生じさせず、あるいはその量を著しく低減し、残留トナーのクリーニングが不要な画像記録装置及び画像記録方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の像担持体が適用された間接転写型の画像記録装置の一例を示す概略説明図である。
【図2】図2は、本発明の像担持体を製造するのに用いた微粒子付着装置の一例を示す概略説明図である。
【図3】図3は、像担持体の表面に付着させた微粒子等の面積率(%)と接触角との関係を示す図である。
【図4】図4は、疎水化処理を施した微粒子等を用いた場合の接触角と転写率との関係を示す図である。
【図5】図5は、異なる平均粒径を有する疎水化処理済の微粒子等を用いた場合の接触角と転写率との関係を示す図である。
【図6】図6は、異なる平均粒径を有する未疎水化処理の微粒子等を用いた場合の接触角と転写率との関係を示す図である。
【図7】図7は、像担持体の表面にフッ素樹脂の薄層を形成して接触角を大きくした場合における接触角と転写率との関係を示す図である。
【図8】図8は、本発明の画像記録装置の一例を示す概略説明図である。
【図9】図9は、本発明の画像記録装置に備えられる微粒子付着装置の一例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 画像記録装置
2 像担持体
3 帯電器
4 像書き込み装置
5 現像装置
6 転写帯電器
7 剥離用帯電器
8 除電ランプ
9 ペーパーガイド
10 搬送ベルト
20 微粒子付着装置
21 回転ブラシ
22 パドル
23 ブレード
24 ハウジング
25 回転ロール
Claims (8)
- 画像記録に用いる像担持体であって、表面が疎水化処理されている微粒子及び/又は該微粒子による凝集体で付着されてなり、該表面の純水に対する接触角が、前記微粒子及び/又は該微粒子による凝集体の付着前よりも付着後の方が大きく、前記微粒子及び/又は該微粒子による凝集体の付着後における像担持体の表面の純水に対する接触角が100°以上であり、且つ、前記微粒子及び/又は該微粒子による凝集体の平均粒径が1〜50nmの範囲内であることを特徴とする像担持体。
- 前記微粒子が、シリカである請求項1に記載の像担持体。
- 前記微粒子及び/又は該微粒子による凝集体の平均粒径が1〜40nmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の像担持体。
- 請求項1に記載の像担持体の製造方法であって、像担持体の表面に、平均粒径が1〜50nmの範囲内であり、表面が疎水化処理されている微粒子及び/又は該微粒子による凝集体を付着させて、前記微粒子及び/又は該微粒子による凝集体の付着前よりも付着後における、該像担持体の表面の純水に対する接触角を大きくし、且つ、前記微粒子及び/又は該微粒子による凝集体の付着後における像担持体の表面の純水に対する接触角を100°以上とすることを特徴とする像担持体の製造方法。
- 像担持体上にトナー画像を形成し、該トナー画像を記録媒体又は中間転写体に転写する転写装置を有する画像記録装置において、前記像担持体が、請求項1〜3のいずれかに記載の像担持体であることを特徴とする画像記録装置。
- 前記トナーが、前記微粒子及び/又は該微粒子による凝集体が外添されてなる請求項5に記載の画像記録装置。
- 前記像担持体の表面に前記微粒子及び/又は該微粒子による凝集体を均一に付着させる微粒子付着装置を有する請求項5又は6に記載の画像記録装置。
- 像担持体上にトナー画像を形成し、該トナー画像を、直接又は中間転写体を介して記録媒体に転写することにより前記記録媒体上に画像を記録する画像記録方法において、前記像担持体が、請求項1から3のいずれかに記載の像担持体であることを特徴とする画像記録方法。
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