JP2021160082A - 画像形成装置、印画物の製造方法、熱転写シートと受像シートとの組合せ、熱転写シート、受像シート、及び熱転写シートと受像シートと吸収シートとの組合せ - Google Patents

画像形成装置、印画物の製造方法、熱転写シートと受像シートとの組合せ、熱転写シート、受像シート、及び熱転写シートと受像シートと吸収シートとの組合せ Download PDF

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Abstract

【課題】受像シートに形成した画像を容易に消去し、画像消去後の受像シートに新たな画像を形成する。【解決手段】本実施形態に係る画像形成装置は、消色インクで第1画像が形成された受像シートに対して紫外線を照射し、前記消色インクを消色して前記第1画像を消去する紫外線照射部と、前記第1画像が消去された前記受像シートに対し、熱転写シートからインクを移行して第2画像を形成する画像形成部と、を備える。前記第1画像が消去された前記受像シートを加熱する加熱部をさらに備えてもよい。【選択図】図1

Description

本開示は、画像形成装置、印画物の製造方法、熱転写シートと受像シートとの組合せ、熱転写シート、受像シート、及び熱転写シートと受像シートと吸収シートとの組合せに関する。
印画物の製造には種々の熱転写方式が提案されており、その中でも、昇華型熱転写方式を用いて被転写体上に熱転写画像を形成することが広く行われている。昇華型熱転写方式による熱転写画像の形成には、基材の一方の面に染料層が設けられた熱転写シートと、被転写体、例えば、他の基材の一方の面に受容層が設けられた受像シートが使用される。そして、受像シートの受容層と、熱転写シートの染料層とを重ね合わせ、サーマルヘッドにより熱転写シートの背面側から熱を印加して、染料層の染料を受容層上に移行させることにより、受容層に熱転写画像が形成された印画物が得られる。このような昇華型熱転写方式によれば、熱転写シートに印加するエネルギー量によって染料の移行量を制御できることから、画像が非常に鮮明であり、かつ透明性、中間調の色再現性、階調性に優れ、フルカラー写真画像に匹敵する高品質の印画物を形成できる。
従来の昇華型熱転写方式では、受像シートに形成された画像は書き換えできなかった。特許文献1には、ロイコ染料を用いて記録及び消去を繰り返し行える受像シートが開示されている。しかし、ロイコ染料を用いた場合、一度書き込まれた画像の潜像が残り、後から出現するという印刷障害が発生する問題があった。また、画像を消去する際に緻密な温度制御が必要となり、画像消去にコストがかかるという問題があった。
特開平5−169841号公報
本開示は、受像シートに形成した画像を容易に消去し、画像消去後の受像シートに新たな画像を形成できる画像形成装置、印画物の製造方法、熱転写シートと受像シートとの組合せ、熱転写シート、受像シート、及び熱転写シートと受像シートと吸収シートとの組合せを提供することを課題とする。
本開示による画像形成装置は、消色インクで第1画像が形成された受像シートに対して紫外線を照射し、前記消色インクを消色して前記第1画像を消去する紫外線照射部と、前記第1画像が消去された前記受像シートに対し、熱転写シートからインクを移行して第2画像を形成する画像形成部と、を備えるものである。
本開示の一態様において、前記第1画像が消去された前記受像シートを加熱する加熱部をさらに備える。
本開示の一態様において、前記加熱部は、インク吸収層が設けられた吸収シートと前記第1画像が消去された前記受像シートとを重ね合わせて加熱する。
本開示の一態様において、前記加熱部は前記画像形成部のサーマルヘッドであり、前記サーマルヘッドは、前記熱転写シートに設けられたインク吸収層と前記第1画像が消去された前記受像シートとを重ね合わせて加熱する。
本開示の一態様において、前記熱転写シートには消色インク層が設けられており、前記画像形成部は、前記熱転写シートから前記受像シートに消色インクを移行して前記第2画像を形成する。
本開示の印画物の製造方法は、消色インクで第1画像が形成された受像シートに対して紫外線を照射し、前記消色インクを消色して前記第1画像を消去する工程と、前記第1画像が消去された前記受像シートに対し、熱転写シートからインクを移行して第2画像を形成する工程と、を備えるものである。
本開示の一態様において、前記受像シートは、基材、及び前記基材上に設けられ、前記第1画像が形成された受容層を有し、前記第1画像が消去された前記受像シートを加熱し、消色した前記消色インクを拡散させる。
本開示の一態様において、前記受像シートは、前記基材と前記受容層との間に第1インク吸収層を有し、前記第1画像が消去された前記受像シートを加熱し、消色した前記消色インクを前記受容層から前記第1インク吸収層側に拡散させる。
本開示の一態様において、前記受像シートは、前記基材と前記インク吸収層との間に断熱層を有する。
本開示の一態様において、第2インク吸収層が設けられた吸収シートと前記第1画像が消去された前記受像シートとを重ね合わせて加熱し、消色した前記消色インクを前記受像シートから前記第2インク吸収層側に拡散させる。
本開示の一態様において、前記熱転写シートに設けられた第3インク吸収層と前記第1画像が消去された前記受像シートとを重ね合わせて加熱し、消色した前記消色インクを前記受像シートから前記第3インク吸収層側に拡散させる。
本開示の一態様において、前記受像シートは、基材、前記基材上に設けられ、前記第1画像が形成された第1受容層、及び前記第1受容層上に設けられた第1保護層を有し、前記第1画像の消去後、前記第1保護層上に前記熱転写シートから第2受容層を転写し、転写した前記第2受容層に前記熱転写シートからインクを移行して前記第2画像を形成する。
本開示の一態様において、前記第2画像の形成後、前記第2受容層上に前記熱転写シートから第2保護層を転写する。
本開示の一態様において、前記熱転写シートには消色インク層が設けられており、前記熱転写シートから前記受像シートに消色インクを移行して前記第2画像を形成する。
本開示の一態様において、前記消色インクは、下記構造式(1)で表される化合物、下記構造式(2)で表される化合物、下記構造式(3)で表される化合物、及び下記構造式(4)で表される化合物のうち、少なくともいずれか1つである。
Figure 2021160082
本開示の熱転写シートと受像シートとの組合せでは、前記熱転写シートは、基材シート上に、消色インクを含有する消色インク層を有し、前記受像シートは、基材、前記基材上に設けられたインク吸収層、及び前記インク吸収層上に設けられた受容層を有する。
本開示の受像シートは、基材と、前記基材上に設けられたインク吸収層と、前記インク吸収層上に設けられた受容層と、を備えるものである。
本開示の一態様では、前記基材と前記インク吸収層との間に設けられた断熱層をさらに備える。
本開示の熱転写シートは、基材シート上に、消色インクを含有する消色インク層と、インク吸収層とが面順次に設けられたものである。
本開示の熱転写シートと受像シートとの組合せでは、前記熱転写シートは、基材シート上に、消色インクを含有する消色インク層と、インク吸収層とが面順次に設けられており、前記受像シートは、基材、及び前記基材上に設けられた受容層を有する。
本開示の熱転写シートと受像シートと吸収シートとの組合せでは、前記熱転写シートは、基材シート上に、消色インクを含有する消色インク層を有し、前記受像シートは、基材、及び前記基材上に設けられた受容層を有しており、前記吸収シートは、基材シート上に、インク吸収層が設けられた吸収シートである。
本開示によれば、受像シートに形成した画像を容易に消去し、画像消去後の受像シートに新たな画像を形成できる。
本開示の第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。 受像シートの断面図である。 熱転写シートの平面図である。 図4a〜図4dは、受像シートの外観の変化を示す図である。 図5a、図5bは受像シートの外観を示す図である。 図6a〜図6eは、画像の消去及び再形成を説明する受像シートの断面図である。 熱転写シートの平面図である。 第2の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。 第3の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。 熱転写シートの平面図である。 受像シートの断面図である。
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1の実施形態]
図1に示すように、第1の実施形態に係る画像形成装置2は、紫外線照射部2Aと、加熱部2Bと、画像形成部2Cとを備え、消色インクで画像が形成された受像シート5である印画物を受け入れると、受像シート5の画像を消去し、画像消去後の受像シート5に消色インクで新たな画像を形成し、新たな印画物を作製するものである。消色インクは、紫外線照射による消色時間が非常に短い(退色しやすい)インクである。
図2に示すように、受像シート5は、順に積層された基材51、断熱層52、インク吸収層53及び受容層54を有する。消色インクによる画像は受容層54に形成される。
図1に示すように、紫外線照射部2Aは、紫外線を照射する複数の発光素子21を有する。挿入口20を介して画像形成装置2に挿入された受像シート5は、ローラや搬送ベルト等からなる搬送部22により、紫外線照射部2Aへ搬送される。紫外線照射部2Aは、受像シート5の全面に、単位面積当たりの紫外線積算照射エネルギー量が所定値以上となるように、紫外線を照射する。紫外線の照射により消色インクが消色し、画像が消去される。
画像が消去された受像シート5は、搬送部22により加熱部2Bへ搬送される。加熱部2Bは、受像シート5を加熱する。加熱により、消色した消色インクが拡散し、受容層54からインク吸収層53へ移行する。加熱部2Bは例えば加熱ローラである。
加熱部2Bで加熱された受像シート5は、画像形成部2Cへ搬送される。画像形成部2Cは、熱転写シート1をサーマルヘッド24で加熱し、受像シート5の受容層54に消色インクを移行して画像を形成する。
図3に示すように、熱転写シート1は、基材シート(図示略)の一方の面に、イエロー消色インク層11、マゼンタ消色インク層12及びシアン消色インク層13が順次形成される。イエロー消色インク層11は、イエロー色の消色インクを含有する。マゼンタ消色インク層12は、マゼンタ色の消色インクを含有する。シアン消色インク層13は、シアン色の消色インクを含有する。
図1に示すように、熱転写シート1は供給部26に巻き付けられており、供給部26から繰り出された熱転写シート1は、サーマルヘッド24を通って、回収部27に巻き取られて回収されるようになっている。
熱転写シート1を挟んでサーマルヘッド24と反対側には、回転自在なプラテンロール25が設けられている。サーマルヘッド24とプラテンロール25との間に、熱転写シート1及び受像シート5が挟み込まれる。サーマルヘッド24が熱転写シート1を加熱して受像シート5上にイエロー、マゼンタ、シアンの消色インクを移行することで、画像を形成する。
画像形成部2Cで新たな画像が形成された受像シート5は、新たな印画物として排出口28から排出される。
例えば、図4aに示す未使用の受像シート5を画像形成装置2に挿入する。未使用である(画像が形成されていない)ため、紫外線照射部2Aによる紫外線照射、及び加熱部2Bによる加熱は行わずに、画像形成部2Cへ搬送する。画像形成部2Cで熱転写シート1から受像シート5に消色インクを移行して、図4bに示すような画像G1(第1画像)を形成する。
なお、未使用の受像シート5への画像形成(受像シート5への1回目の画像形成)は、画像形成装置2でなく、画像形成部2Cと同様の構成を有する他のプリンタで行ってもよい。
画像G1が形成された受像シート5を、所定の用途や所定の期間利用した後、挿入口20を介して画像形成装置2に挿入する。紫外線照射部2Aが受像シート5に紫外線を照射し、消色インクを消色することで、図4cに示すように画像G1が消去される。画像G1の消去後、加熱部2Bが受像シート5を加熱し、消色した消色インクを拡散させる。
その後、画像形成部2Cで熱転写シート1から受像シート5に消色インクを移行して、図4dに示すような画像G2(第2画像)を形成する。
未使用の受像シート5と画像形成された受像シート5とを識別するため、図1に示すように、画像形成装置2の挿入口20の近傍に、画像検出用のセンサS1を設けてもよい。また、紫外線照射部2Aにより画像が消去されたことを確認するために、紫外線照射部2Aと加熱部2Bとの間に、画像検出用のセンサS2を設けてもよい。また、図5aに示すように、画像形成エリア外周に、画像有りを意味する検出マークm1を消色インクで印刷してもよい。
センサS1(図1参照)で画像又は検出マークm1が検出されなかった場合、受像シート5は未使用であると判定され、紫外線照射部2Aによる紫外線照射、及び加熱部2Bによる加熱は行わずに、画像形成部2Cへ受像シート5を搬送し、画像形成する。
センサS1で画像又は検出マークm1が検出された場合、紫外線照射部2Aによる紫外線照射が行われる。その後、センサS2で、画像や検出マークm1が検出されなかった場合、画像が消去されたことが確認され、加熱部2Bによる加熱後、画像形成部2Cへ受像シート5が搬送され、画像形成される。一方、センサS2で、画像又は検出マークm1が検出された場合、画像が消去されていないと判定し、画像形成部2Cで画像形成を行わず、排出口28から受像シート5を排出すると共にエラー(消色不良、紫外線照射不良)表示をする。
未使用の受像シート5に表裏があり、裏面には印刷を行わない場合には、図5bに示すように、受像シート裏面に裏面識別マークm2を形成してもよい。センサS1(図1参照)で検出マークm1(図5a参照)及び裏面識別マークm2が検出されなかった場合は、紫外線照射部2Aによる紫外線照射、及び加熱部2Bによる加熱は行わずに、画像形成部2Cへ受像シート5を搬送し、画像形成する。センサS1で裏面識別マークm2が検出された場合は、紫外線照射部2Aによる紫外線照射、及び加熱部2Bによる加熱及び画像形成部2Cでの画像形成は行わず、排出口28から受像シート5を排出すると共にエラー(裏面挿入)を表示する。
このように、本実施形態によれば、紫外線照射で消色可能な消色インクを用いて画像を形成し、所定以上のエネルギー量の紫外線照射で、消色インクを不可逆に消色できるため、受像シート5の画像の書き換えを容易に行うことができる。また、紫外線照射後に受像シート5を加熱して、消色した消色インクを拡散・吸収させることで、発色濃度低下などの印刷阻害が発生することを抑制すると共に、新たな画像を形成する際に受容層54に消色インクが移行しやすくなる。
加熱部2Bで受像シート5を加熱して消色インクをインク吸収層53へ移行した後に、紫外線照射部2Aで紫外線照射を行い、消色インクを消色してもよい。
図6aに示すように、受容層54(第1受容層)に消色インクで画像G1を形成した後、受容層54上に保護層55(第1保護層)を形成してもよい。この場合、保護層55があることで、画像G1を消去した後、受容層54に新たな画像が形成できなくなる。そのため、画像形成部2Cでは、図7に示すような、転写型の受容層14が消色インク層11〜13と面順次に設けられた熱転写シート1Aを利用する。熱転写シート1Aには、保護層15がさらに面順次に設けられている。
図6bに示すように、紫外線照射部2Aで受像シート5に紫外線を照射して画像G1を消去し、加熱部2Bで加熱して消色インクを拡散させた後、図6cに示すように、画像形成部2Cで熱転写シート1Aから受像シート5に受容層14(第2受容層)を転写する。
続いて、図6dに示すように、熱転写シート1Aから、受像シート5上に転写した受容層14に消色インクを移行して画像G2を形成する。画像G2形成後、図6eに示すように、熱転写シート1Aから受像シート5の受容層14上に保護層15(第2保護層)を転写する。画像G2が保護層15で覆われた印画物が作製される。
熱転写シート1Aを用いることで、画像消去及び新たな画像の形成を行う毎に、作製される印画物の厚みが増す。
図6aに示す受容層54、保護層55は、熱転写シート1Aから転写される受容層14、保護層15であってもよい。
なお、受像シート5のこれ以上の再利用を行わない場合、すなわち消去が不要な画像を形成する場合、画像形成部2Cは、消色インクでなく、通常インク(非消色インク)を用いて画像を形成してもよい。あるいは、受像シート5の一部に消去不要な画像を形成する場合、画像形成部2Cは消色が必要な部分を消色インクで、消去不要な部分は通常インク(非消色インク)を用いて画像を形成してもよい。この場合、画像形成装置2の紫外線照射部2Aによる紫外線照射、及び加熱部2Bによる加熱後に非消色インク画像部が残るため、センサS2で、消色インクで形成された検出マークm1が消去されていることを検出してもよい。その後、受像シート5は画像形成部2Cへ搬送される。画像形成部2Cは、熱転写シート1をサーマルヘッド24で加熱し、受像シート5の受容層54に消色インクを移行して画像を形成する。
紫外線照射部2Aに加熱機能を持たせてもよい。例えば、紫外線照射部2Aに赤外線ランプを設け、紫外線照射と共に、赤外線を照射し、受像シート5を加熱してもよい。加熱により、消色インクの消色を促進できる。また、紫外線照射部2Aの近傍にオゾン発生部を設け、受像シート5をオゾン暴露しながら紫外線を照射し、消色インクの消色促進を図ってもよい。オゾンにより、消色インクの消色を促進できる。
次に、受像シート5の各層について説明する。
(基材)
基材51としては、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、合成紙、上質紙、アート紙、コート紙、ノンコート紙、キャストコート紙、壁紙、セルロース繊維紙、合成樹脂内添紙、裏打用紙及び含浸紙(合成樹脂含浸紙、エマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙)等の紙基材やPET、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、PEN、ポリエチレン(PE)、PP及びポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、等のビニル樹脂、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート及びポリメチルメタアクリレート等の(メタ)アクリル樹脂、PS等のスチレン樹脂、ポリカーボネート、並びにアイオノマー樹脂等から構成されるフィルム(以下、単に「樹脂フィルム」という。)等が挙げられる。
また、基材が樹脂フィルムである場合、該樹脂フィルムは、延伸フィルムであっても、未延伸フィルムであってもよいが、機械的強度という観点からは、一軸方向又は二軸方向に延伸された延伸フィルムを使用することが好ましい。
なお、本開示において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」と「メタクリル」の両方を包含する。また、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」と「メタクリレート」の両方を包含する。
上記した紙基材や樹脂フィルムの積層体を基材として使用することもできる。該積層体は、ドライラミネーション法、ウェットラミネーション法及びエクストリュージョン法等を利用することにより作製できる。
基材の厚さは、機械的強度の観点から、50μm以上500μm以下が好ましく、75μm以上500μm以下がより好ましく、100μm以上500μm以下がさらに好ましい。
(断熱層)
断熱層52は、加熱部2Bで受容層54側から受像シート5を加熱する際に、基材51等への伝熱による熱損失を抑制するものであり、例えば多孔質層を用いることができる。
多孔質層は、例えば、多孔質フィルムからなるものである。多孔質フィルムの厚さは、10μm以上100μm以下が好ましく、15μm以上80μm以下がより好ましく、20μm以上50μm以下がさらに好ましい。また、好ましい態様では、多孔質フィルムは、ベースとなる樹脂としてポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートを含む微細空隙(ミクロボイド)を有する多孔質フィルムが好ましい。
(インク吸収層)
インク吸収層53は、受容層54から拡散された消色済みの消色インクを吸収するものであり、ガラス転移温度(Tg)が80℃以下の熱可塑性樹脂を含有する。熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、75℃以下がより好ましく、70℃以下がさらに好ましい。
熱可塑性樹脂としては、オレフィン樹脂、ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリエステル、アミド樹脂、ポリカーボネート、スチレン樹脂、ウレタン樹脂及びアイオノマー樹脂等が挙げられる。中でも、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、セルロース樹脂が好ましい。
インク吸収層53の厚みは、例えば5μm以上50μm以下が好ましい。
インク吸収層53は、可塑剤等の添加剤を含有してもよい。
インク吸収層53には、必要に応じて、少なくとも1種の可塑剤を含有してもよい。これにより、熱転写シートとの離型性を向上できる。可塑剤としては、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、リン酸エステル、トリメリット酸エステル、クエン酸エステル、エポキシ、ポリエステル等が挙げられる。中でも、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、リン酸エステルが好ましい。
(受容層)
受容層54は、熱転写シート1が備える消色インク層から移行してくる消色インクを受容し、形成された画像を維持する層である。
受容層は、樹脂材料を含む。樹脂材料としては、染料が染着し易い樹脂であれば限定されるものではなく、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などのビニル樹脂、エポキシ樹脂、オレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、セルロース樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、ポリカーボネート、スチレン樹脂、ウレタン樹脂及びアイオノマー樹脂等が挙げられる。中でも、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、セルロース樹脂を含むことが好ましい。受容層は、上記樹脂材料を2種以上含むことができる。
受容層は、離型剤、可塑剤等の添加剤を含有してもよい。
受容層は、少なくとも1種の離型剤を含有してもよい。これにより、熱転写シートとの離型性を向上できる。
離型剤としては、例えば、固形ワックス類、界面活性剤、シリコーンオイル及びシリコーン樹脂等が挙げられる。固形ワックス類としては、例えば、ポリエチレンワックス、アミドワックス及びテフロン(登録商標)パウダー等が挙げられる。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤及びリン酸エステル系界面活性剤等が挙げられる。シリコーンオイルとしては、変性シリコーンオイルが好ましい。変性シリコーンオイルとしてはアミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アラルキル変性シリコーン、エポキシ−アラルキル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ビニル変性シリコーン及びウレタン変性シリコーン等が挙げられる。これらの中でも、エポキシ変性シリコーン、アラルキル変性シリコーン又はエポキシ−アラルキル変性シリコーンが特に好ましい。
受容層は、少なくとも1種の可塑剤を含有してもよい。これにより、熱転写シートとの離型性を向上できる。可塑剤としては、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、リン酸エステル、トリメリット酸エステル、クエン酸エステル、エポキシ、ポリエステル等が挙げられる。中でも、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、リン酸エステルを含有することが好ましい。
受容層における上記樹脂材料の含有量は、80質量%以上98質量%以下が好ましく、90質量%以上98質量%以下がより好ましい。
受容層の厚みは、0.5μm以上20μm以下が好ましく、1μm以上10μm以下がより好ましい。これにより、受容層上に形成される画像濃度を向上できる。
次に、熱転写シート1、1Aの構成について説明する。
(基材シート)
熱転写シート1、1Aの基材シートについていかなる限定もされることはなく、熱転写シートの分野で従来公知のものを適宜選択して用いることができる。一例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトンもしくはポリエーテルサルホン等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテンまたはアイオノマー等のプラスチックの延伸または未延伸フィルムが挙げられる。また、これらの材料を2種以上積層した複合フィルムも使用することができる。
(消色インク層)
基材シートの一方の面上には、イエロー消色インク層11、マゼンタ消色インク層12及びシアン消色インク層13を含む消色インク層が設けられている。消色インク層は、後述する消色インクを含むものであり、更にバインダー樹脂を含有するものであってよい。
バインダー樹脂としては、特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース樹脂、ポリビニルブチラールやポリビニルアセトアセタール等のポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル樹脂、ポリエステル、フェノキシ樹脂等が挙げられる。中でもポリビニルアセタールが好適に使用できる。これらのバインダー樹脂は、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
消色インク層は、離型剤、無機粒子、有機粒子等の添加剤を含有してもよい。
離型剤としては、離型性グラフトコポリマー、シリコーンオイル、リン酸エステル等が挙げられる。
無機粒子としては、シリカ等が挙げられる。有機粒子としては、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
[イエロー消色インク層]
イエロー消色インク層11は、イエロー消色インクとしてのイエロー消色染料化合物を含有する。イエロー消色染料化合物として、下記構造式(1)で表されるSolvent Yellow 29が挙げられる。
Figure 2021160082
[マゼンタ消色インク層]
マゼンタ消色インク層12は、マゼンタ消色インクとしてのマゼンタ消色染料化合物を含有する。マゼンタ消色染料化合物として、下記構造式(2)で表されるSolvent Red 18が挙げられる。
Figure 2021160082
[シアン消色インク層]
シアン消色インク層13は、シアン消色インクとしてのシアン消色染料化合物を含有する。シアン消色染料化合物として、下記構造式(3)で表されるSolvent Blue 5、又は下記構造式(4)で表されるSolvent Blue 58が挙げられる。
Figure 2021160082
前記イエロー消色インク層、前記マゼンタ消色インク層、前記シアン消色インク層から、熱転写方式でそれぞれイエロー消色インク、マゼンタ消色インク、シアン消色インクを受像シート上の受容層に転写することで、濃度、色調の異なる画像を形成することができる。また、上記方法で形成された画像を有する印画物に、前記画像形成装置の紫外線照射部2Aにより紫外線を照射すると、イエロー消色インク、マゼンタ消色インク、シアン消色インクがそれぞれ消色し、濃度、色調の異なる画像を簡便な方法で一度に消色することができる。
(転写型受容層)
転写型の受容層14は、上述した受容層54と同様の材料を用いることができる。
(保護層)
保護層15には、透明で、接着性、耐光性等を有する樹脂材料を用いることが好ましい。例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、ビニル樹脂、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、イミド樹脂、セルロース樹脂、熱硬化性樹脂及び活性光線硬化性樹脂等が挙げられる。「活性光線硬化樹脂」とは、活性光線硬化性樹脂に対して活性光線を照射し、硬化させた状態の樹脂を意味する。「活性光線」とは、活性光線硬化性樹脂に対して化学的に作用させて重合を促進せしめる放射線を意味し、具体的には、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等を意味する。
保護層15の厚さは、0.1μm以上10μm以下が好ましく、0.5μm以上5μm以下がより好ましい。これにより、画像の耐擦過性及び保存安定性等を向上できる。
[第2の実施形態]
基材シート上にインク吸収層を設けたインク吸収シートを利用して、受像シート5から消色インクを吸収するようにしてもよい。インク吸収シートのインク吸収層には上記インク吸収層53と同様の材料を用いることができる。例えば、図8に示すように、加熱部2Bに、インク吸収シート3を繰り出す供給部31と、インク吸収シート3を巻き取る回収部32とを設ける。供給部31から繰り出されたインク吸収シート3は、加熱部2Bの加熱ローラを通って、回収部32に巻き取られて回収される。
加熱部2Bは、インク吸収シート3のインク吸収層面と、紫外線照射部2Aにより消色インクが消色された受像シート5の受容層54面とを重ね合わせて加熱し、消色した消色インクを受容層54からインク吸収シート3のインク吸収層側に拡散・移行させる。消色インクを吸収したインク吸収シート3は、回収部32に回収される。
このようなインク吸収シート3を用いることで、発色濃度低下等の印刷阻害が発生することを抑制すると共に、新たな画像を形成する際に受容層54に消色インクが移行しやすくなる。
受像シート5の画像消去回数の増加に伴い、インク吸収層53のインク吸収能力が低下し得る。インク吸収シート3を用いて受像シート5から消色インクを吸収することで、受像シート5の再使用回数を増やすことができる。
インク吸収シート3を用いる場合、図11に示すように、受像シート5のインク吸収層53を省略してもよい。
加熱部2Bでインク吸収シート3に消色インクを吸収した後に、紫外線照射部2Aで紫外線照射を行い、受像シート5に残存する消色インクを消色してもよい。
[第3の実施形態]
図9、図10に示すように、画像形成部2Cで使用される熱転写シート1Bに、インク吸収層16を設けてもよい。インク吸収層16は、消色インク層11〜13と面順次に設けられる。インク吸収層16にはインク吸収層53と同様の材料を用いることができる。
画像形成部2Cで、熱転写シート1Bのインク吸収層16と、紫外線照射部2Aにより消色インクが消色された受像シート5の受容層54面とを重ね合わせ、サーマルヘッド24により加熱し、消色した消色インクを受容層54から熱転写シート1Bのインク吸収層16側に拡散・移行させる。
このようなインク吸収シート3を用いることで、発色濃度低下等の印刷阻害が発生することを抑制すると共に、新たな画像を形成する際に受容層54に消色インクが移行しやすくなる。
受像シート5の画像消去回数の増加に伴い、インク吸収層53のインク吸収能力が低下し得る。熱転写シート1Bのインク吸収層16を用いて受像シート5から消色インクを吸収することで、受像シート5の再使用回数を増やすことができる。
熱転写シート1Bを用いる場合、図11に示すように、受像シート5のインク吸収層53を省略してもよい。また、画像形成部2Cのサーマルヘッド24が加熱部として機能するため、紫外線照射部2Aと画像形成部2Cとの間の加熱部2Bは省略する。
上記第1〜第3の実施形態では、紫外線照射部2Aと画像形成部2Cとが同一の筐体に収容される構成について説明したが、紫外線照射部2Aと画像形成部2Cと別の筐体に収容されていてもよい。
1、1A、1B 熱転写シート
2 画像形成装置
2A 紫外線照射部
2B 加熱部
2C 画像形成部
3 インク吸収シート
5 受像シート
11 イエロー消色インク層
12 マゼンタ消色インク層
13 シアン消色インク層
14 転写型受容層
15 保護層
16 インク吸収層
51 基材
52 断熱層
53 インク吸収層
54 受容層

Claims (21)

  1. 消色インクで第1画像が形成された受像シートに対して紫外線を照射し、前記消色インクを消色して前記第1画像を消去する紫外線照射部と、
    前記第1画像が消去された前記受像シートに対し、熱転写シートからインクを移行して第2画像を形成する画像形成部と、
    を備える画像形成装置。
  2. 前記第1画像が消去された前記受像シートを加熱する加熱部をさらに備える、請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記加熱部は、インク吸収層が設けられた吸収シートと前記第1画像が消去された前記受像シートとを重ね合わせて加熱する、請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記加熱部は前記画像形成部のサーマルヘッドであり、
    前記サーマルヘッドは、前記熱転写シートに設けられたインク吸収層と前記第1画像が消去された前記受像シートとを重ね合わせて加熱する、請求項2に記載の画像形成装置。
  5. 前記熱転写シートには消色インク層が設けられており、前記画像形成部は、前記熱転写シートから前記受像シートに消色インクを移行して前記第2画像を形成する、請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
  6. 消色インクで第1画像が形成された受像シートに対して紫外線を照射し、前記消色インクを消色して前記第1画像を消去する工程と、
    前記第1画像が消去された前記受像シートに対し、熱転写シートからインクを移行して第2画像を形成する工程と、
    を備える印画物の製造方法。
  7. 前記受像シートは、基材、及び前記基材上に設けられ、前記第1画像が形成された受容層を有し、
    前記第1画像が消去された前記受像シートを加熱し、消色した前記消色インクを拡散させる、請求項6に記載の印画物の製造方法。
  8. 前記受像シートは、前記基材と前記受容層との間に第1インク吸収層を有し、
    前記第1画像が消去された前記受像シートを加熱し、消色した前記消色インクを前記受容層から前記第1インク吸収層側に拡散させる、請求項7に記載の印画物の製造方法。
  9. 前記受像シートは、前記基材と前記第1インク吸収層との間に断熱層を有する、請求項8に記載の印画物の製造方法。
  10. 第2インク吸収層が設けられた吸収シートと前記第1画像が消去された前記受像シートとを重ね合わせて加熱し、消色した前記消色インクを前記受像シートから前記第2インク吸収層側に拡散させる、請求項6又は7に記載の印画物の製造方法。
  11. 前記熱転写シートに設けられた第3インク吸収層と前記第1画像が消去された前記受像シートとを重ね合わせて加熱し、消色した前記消色インクを前記受像シートから前記第3インク吸収層側に拡散させる、請求項6又は7に記載の印画物の製造方法。
  12. 前記受像シートは、基材、前記基材上に設けられ、前記第1画像が形成された第1受容層、及び前記第1受容層上に設けられた第1保護層を有し、
    前記第1画像の消去後、前記第1保護層上に前記熱転写シートから第2受容層を転写し、転写した前記第2受容層に前記熱転写シートからインクを移行して前記第2画像を形成する、請求項6に記載の印画物の製造方法。
  13. 前記第2画像の形成後、前記第2受容層上に前記熱転写シートから第2保護層を転写する、請求項12に記載の印画物の製造方法。
  14. 前記熱転写シートには消色インク層が設けられており、前記熱転写シートから前記受像シートに消色インクを移行して前記第2画像を形成する、請求項6乃至13のいずれかに記載の印画物の製造方法。
  15. 前記消色インクは、下記構造式(1)で表される化合物、下記構造式(2)で表される化合物、下記構造式(3)で表される化合物、及び下記構造式(4)で表される化合物のうち、少なくともいずれか1つである請求項6乃至14のいずれか1項に記載の印画物の製造方法。
    Figure 2021160082
  16. 熱転写シートと受像シートとの組合せであって、
    前記熱転写シートは、基材シート上に、消色インクを含有する消色インク層を有し、
    前記受像シートは、基材、前記基材上に設けられたインク吸収層、及び前記インク吸収層上に設けられた受容層を有する、熱転写シートと受像シートとの組合せ。
  17. 基材と、
    前記基材上に設けられたインク吸収層と、
    前記インク吸収層上に設けられた受容層と、
    を備える受像シート。
  18. 前記基材と前記インク吸収層との間に設けられた断熱層をさらに備える、請求項17に記載の受像シート。
  19. 基材シート上に、消色インクを含有する消色インク層と、インク吸収層とが面順次に設けられた熱転写シート。
  20. 熱転写シートと受像シートとの組合せであって、
    前記熱転写シートは、基材シート上に、消色インクを含有する消色インク層と、インク吸収層とが面順次に設けられており、
    前記受像シートは、基材、及び前記基材上に設けられた受容層を有する、熱転写シートと受像シートとの組合せ。
  21. 熱転写シートと受像シートと吸収シートとの組合せであって、
    前記熱転写シートは、基材シート上に、消色インクを含有する消色インク層を有し、
    前記受像シートは、基材、及び前記基材上に設けられた受容層を有しており、
    前記吸収シートは、基材シート上に、インク吸収層が設けられた吸収シートである、熱転写シートと受像シートと吸収シートとの組合せ。
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