JP2021159076A - 動物由来原料を使用しないウナギ様食品及びその製造方法 - Google Patents

動物由来原料を使用しないウナギ様食品及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、ウナギのような食感、風味に優れた動物由来原料を使用しないウナギ様食品を提供することを目的とする。
【解決手段】組織状植物蛋白と、澱粉と、メチルセルロースと、分離大豆蛋白粉末と、油脂と、を含む身層と、油脂を含み、キサンタンガム及びHAジェランガムを含む増粘剤でゲル化した中間層と、アルギン酸ナトリウムをカルシウム塩でゲル化又はメチルセルロースをゲル化した皮層を有することでウナギのような食感、風味に優れた動物由来原料を使用しないウナギ様食品を提供することができる。
【選択図】図6

Description

本発明は、動物由来原料を使用しないウナギ様食品及びその製造方法に関する。
近年、ウナギの減少により、ウナギの価格が上昇しており、代替としてナマズやイワシの開きを蒲焼風に加熱加工したものや魚肉すり身と魚肉を成形、加熱加工したウナギ様食品が知られている(例えば、特許文献1〜2参照)。
ところで、近年ベジタリアン向けの料理や精進料理といった肉や魚が使用されていない料理や完全に動物由来原料を使用しないビーガン向けの料理などが注目を集めている。これらの食品は、使用が限られた原料からイミテーション食品を製造することが多く、本物のような味や食感を再現することが難しい。
特許第6237044号公報 特許第6240436号公報
本発明は、ウナギのような食感、風味に優れた動物由来原料を使用しないウナギ様食品を提供することを目的とする。
本発明の発明者らは、ウナギのような食感、風味に優れた動物由来原料を使用しないウナギ様食品を作製する方法を鋭意検討した結果、本発明に至った。
すなわち、身層と、中間層と、皮層と、を有する動物由来原料を使用しないウナギ様食品であって、前記身層は、組織状植物蛋白と、メチルセルロースと、分離大豆蛋白粉末と、油脂と、を含む層であり、前記中間層は、油脂を含み、キサンタンガム及びHAジェランガムを含む増粘剤でゲル化した層であり、前記皮層は、アルギン酸ナトリウムをカルシウム塩でゲル化又はメチルセルロースをゲル化した層であることを特徴とする動物由来原料を使用しないウナギ様食品である。
また、本発明に係る動物由来原料を使用しないウナギ様食品の身層は、身層の重量に対して、組織状植物蛋白由来の固形分を6〜14重量%、メチルセルロースを0.7〜1.3重量%、分離大豆蛋白粉末を3.5〜6.5重量%、油脂を10〜20重量%含むことが好ましい。
また、本発明に係る動物由来原料を使用しないウナギ様食品の中間層は、中間層の重量に対して、油脂を20〜40重量%含み、キサンタンガム1〜2重量%、HAジェランガムを1〜2重量%含むことが好ましい。
また、本発明に係る動物由来原料を使用しないウナギ様食品の皮層は、皮層の重量に対してアルギン酸ナトリウムを1.5〜4重量%含むか又はメチルセルロースを1〜2重量%含むことが好ましい。
また、本発明に係る動物由来原料を使用しないウナギ様食品の皮層がアルギン酸ナトリウムをカルシウム塩でゲル化した層である場合の製造方法としては、組織状植物蛋白を復水し、脱水した後、油調したものと、メチルセルロース、分離大豆蛋白粉末、油脂及び水を冷却しながら撹拌し、作製した身層用スラリーと、を混合し身層生地を作製する工程と、身層生地を型枠に充填し、加熱して身層を作製する工程と、キサンタンガム及びHAジェランガムを含む増粘剤と、油脂とを混合した中間層用スラリーをシート状に伸ばして加熱してゲル化し、中間層を作製する工程と、アルギン酸ナトリウムを水に溶解した皮層用スラリーをシート状に伸ばしてカルシウム塩を含む水溶液に浸漬してゲル化し、皮層を作製する工程と、作製した身層と中間層及び中間層と皮層をアルギン酸ナトリウムとカルシウム塩を含む粉末またはメチルセルロース粉末を散布し接着する工程と、身層及び皮層を付着させた後、表面を炙る工程と、を含むことが好ましい。
また、本発明に係る動物由来原料を使用しないウナギ様食品の皮層がメチルセルロースゲルである場合の製造方法としては、組織状植物蛋白を復水し、脱水した後、油調したものと、メチルセルロース、分離大豆蛋白粉末、油脂及び水を冷却しながら撹拌し、作製した身層用スラリーと、を混合し身層生地を作製する工程と、キサンタンガム及びHAジェランガムを含む増粘剤と、油脂とを混合した中間層用スラリーを作製する工程と、メチルセルロースを水に冷却しながら溶解し、皮層用スラリーを作製する工程と、作製した身層生地を型枠に充填し、充填した身層生地の上に中間層用スラリー、皮層用スラリーの順に塗り身層、中間層、皮層からなる3層構造物を作製する工程と、三層構造物を加熱し、一体化する工程と、一体化した三層構造物の身層及び皮層の表面を炙る工程と、を含むことが好ましい。
また、本発明に係る動物由来原料を使用しないウナギ様食品の製造方法としては、身層生地が身層生地の重量に対して、組織状植物蛋白由来の固形分を6〜14重量%、メチルセルロースを0.7〜1.3重量%、分離大豆蛋白粉末を3.5〜6.5重量%、油脂を10〜20重量%含み、中間層用スラリーが中間層スラリーの重量に対して、油脂を20〜40重量%含み、キサンタンガムを1〜2重量%、HAジェランガムを1〜2重量%含み、皮層用スラリーが皮層用スラリーの重量に対して、アルギン酸ナトリウムを1.5〜4重量%含むか又はメチルセルロースを1〜2重量%含むことが好ましい。
本発明により、ウナギのような食感、風味に優れた動物由来原料を使用しないウナギ様食品を提供することができる。
本発明に係る動物由来原料を使用しないウナギ様食品の身層を作製する金型 の写真である。 本発明に係る動物由来原料を使用しないウナギ様食品の身層の写真である。 本発明に係る動物由来原料を使用しないウナギ様食品の中間層の写真であ る。 本発明に係る動物由来原料を使用しないウナギ様食品の皮層(アルギン酸ナ トリウムをカルシウム塩でゲル化した層)の写真である。 本発明に係る動物由来原料を使用しないウナギ様食品の3層成型後の写真 である。 本発明に係る動物由来原料を使用しないウナギ様食品のメチルセルロース を使用した皮層を用いる場合の成型過程写真である。
以下、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載に限定されるものではない。
1.身層作製
本発明に係る身層に使用する主原料としては、組織状植物蛋白、メチルセルロース、分離大豆蛋白粉末、油脂が挙げられる。本発明に係る組織状植物蛋白は、大豆蛋白粉末、小麦蛋白粉末及びエンドウ豆蛋白粉末などの植物由来の蛋白粉末をエクストルーダーで加圧加熱しながら押し出すことで作製したものであり、膨化した粒状の膨化蛋白や、冷却ダイを用いることで膨化を抑えながら繊維の方向性をもたせた繊維状蛋白を使用することができる。膨化蛋白としては、不二製油社のアペックス(登録商標)650、デュポン社のレスポンス4400、日清オイリオ社のニューソイミー(登録商標)S10などが挙げられ、繊維状蛋白としては原田産業社のearth meat(登録商標)などが挙げられる。
組織状植物蛋白は、乾燥しているか、水分が少ない状態で冷凍されているため、一度水や熱湯で吸水させて復水してから使用する。組織状植物蛋白は、原料由来の風味除去及び水分調整のため、一度脱水して使用することが好ましい。また、脱水した組織状植物蛋白は、本発明に係る油脂と共に油調することが好ましい。油調することで組織状植物蛋白の持つ臭いがマスキングされ、ジューシー感ある食感を持たせることができる。油調の温度としては、100℃以下が好ましく、組織状植物蛋白に含まれる水分を飛ばすことが好ましい。
油調した組織状植物蛋白は、身層中に30〜60重量%添加することが好ましい。また、油調した膨化蛋白は、身のフワっとした感じの食感を出すことができ、油調した繊維状蛋白は、身の繊維的な食感や硬さを表現することができる。油調した膨化蛋白と油調した繊維状蛋白は、求める食感に合わせて割合を調整して使用することが好ましい。しかしながら、油調した繊維状蛋白のみでは硬い食感となるため、油調した膨化蛋白を含むことが好ましく、油調した組織状植物蛋白質中に油調した膨化蛋白が17重量%以上含まれることが好ましい。また、油調した繊維状蛋白の量としては、身層中に40重量%以下が好ましい。
また、身層中の組織状植物蛋白由来の固形分の含有量としては、6〜14重量%が好ましい。また、繊維状蛋白由来の固形分の含有量は、10重量%以下が好ましい。
本発明に係る油脂としては、植物性の食用の油脂であればよく、常温で液体状の油脂や、常温で半固形状または固形状の油脂を加温融解して液体状にしたものを使用してもよい。油脂の種類としては、大豆油、米白絞油、菜種油、パーム油、コーン油、オリーブ油、ひまわり油、ごま油、えごま油、亜麻仁油が挙げられる。この内、えごま油や亜麻仁油は、魚油に含まれるω3脂肪酸が多く含まれるため、魚様の風味を付与するのに好ましい。これらの油脂を1種または2種以上混合して使用することができる。油脂の添加量としては、身層の重量に対して10〜20量%が好ましい。10重量%よりも少ないとウナギ様のジューシーな食感や風味が弱く、逆に20重量%よりも多くなると油くどく、保形性が悪くなる。より好ましくは、身層の重量に対し15〜17重量%となるように添加することが好ましい。油脂の添加方法としては、上述したように油調した組織状植物蛋白に含ませるだけでなく、後述する身層用スラリーにも添加することができる。身層用スラリー中の油脂の添加量としては、身層用スラリーの重量に対して5〜20重量%が好ましい。
本発明に係るメチルセルロースは、メチルセルロースやヒドロキシプロピルメチルセルロースであれば特に問題がなく使用することができる。粘度やメトキシ基及びヒドロキシプロポキシ基の置換量によって性質が異なるが、ゲル化温度50℃以上、ゲル再溶解温度20℃〜50℃程度のものを使用すればよく、身層用スラリー中に1〜3重量%、身層生地中に0.7〜1.3重量%含まれればよい。身層用スラリー中に1重量%未満しか含まれないと身層を保形することができず、型からの離型性も悪くなる。逆に3重量%よりも多いと身層が硬くなりすぎる。
本発明に係る分離大豆蛋白粉は、ゲル可能を有する分離大豆蛋白であればよい。分離大豆蛋白粉を身層用のスラリーに入れることで、メチルセルロースにはない滑らかな食感と保水性を付与でき身層を保形することができる。分離大豆蛋白粉末の添加量としては、使用する分離大豆蛋白粉の種類によってことなるが身層用スラリーの重量に対して5〜15重量%、身層(生地)中に3.5〜6.5重量%含まれればよい。
その他の副原料としては、澱粉、砂糖、塩、グルタミンソーダ、みりんなどの調味素材やフレーバーなどの風味素材、色素、酸化防止剤など動物性由来でない資材を添加することができる。添加方法は、粉体物は、粉体混合物を作ってから添加してもよく、液体物は、直接添加してもよい。副原料の添加量としては、身層生地の重量に対して10重量%以下が好ましい。
身層生地の作製方法は、まず、上述した通り、組織状植物蛋白を復水し、脱水した後、油調し、油調した組織状植物蛋白を作製する。復水は、通常の水で行ってもよく、熱水中でボイルしながら行ってもよい。組織状植物蛋白の全体に水分が行き渡るまで復水したら、脱水する。繊維状蛋白の場合は、水の入りが悪いため、復水―脱水の工程を複数回繰り返してもよい。
脱水した組織状植物蛋白を油調する。油調は100℃以下の温度で行い、水分を軽く飛ばす程度で組織状植物蛋白の表面や内部に油を浸透させる。好ましくは、80〜100℃で1〜10分程度行うことが好ましい。
次いで、身層用スラリーを作製する。作製方法は、メチルセルロ―スと分離大豆蛋白粉末を油に分散させ、冷水を添加してサイレントカッターやミキサーなどで高速攪拌して作製する。使用したメチルセルロースの溶解温度が低い場合は、スラリーを冷蔵庫で1時間程度冷却する。
次いで、澱粉や味付け用の食塩、グラニュー糖、グルタミン酸ソーダなどの粉体物を混合し、粉体混合物を作製する。
油調した組織状植物蛋白、身層用スラリー、粉体混合物及び必要により液体資材をニーダーまたは手混ぜにより撹拌、混合し身層生地を作製する。このとき、油調した組織状植物蛋白の量が少なすぎると生地中の身層用スラリーが多くなり、蒲鉾様の食感となる。逆に油調した組織状植物蛋白が多すぎると身層生地中の身層用スラリーが少なくなり、保形性が悪くなる。油調した組織状植物蛋白は身層生地中に30〜60重量%含まれることが好ましく、身層用スラリーは、身層生地中に35〜65重量%含まれることが好ましい。
後述する皮層がアルギン酸ナトリウムをカルシウム塩でゲル化した層である場合は、身層生地を型枠に入れて成型し、スチームなどにより加熱して身層を作製する。このとき、型枠の厚みは5〜20mm程度の厚さにすることが好ましい。加熱条件は、身層全体に熱が通り、身層生地がしっかりと固まって成形される程度であればよい。具体的には、身層の芯温が85℃3分以上となればよく、金属製の型の場合はスチームオーブンで90〜120℃で5〜20分程度で加熱し身層を作製する方法が挙げられる。また必要により、身層を加熱後にガスバーナーで表面を炙り焦げ目をつける、タレを塗って味付けをすることもできる。作製した身層は冷蔵または冷凍して保管することができる。
2.中間層
本発明においては、身層と皮層との間に油脂をHAジェランガム及びキサンタンガムを含む増粘剤でゲル化した中間層を設ける。中間層を設けることでより一層、ウナギ様の食感や風味が得られる。
HAジェランガムは、冷凍耐性があり、ゲル化後の再加熱で適度に溶解するため、中間層のゲル化剤として好ましい。また、キサンタンガムを添加することで、ウナギの身と皮の間にある柔いゼリー質のヌルっとした食感を表現することができる。HAジェランガムの添加量としては、油の添加量にもよるが、中間層スラリーの重量に対して1〜2重量%が好ましい。1重量%未満だとゲル化しにくく、2重量%よりも高いとゲルが固くなりすぎる。また、キサンタンガムの添加量としては、中間層スラリーの重量に対して1〜2重量%が好ましい。1重量%未満だとキサンタンガムの粘性効果が得られにくく、2重量%よりも多いとドロッとしすぎる。
本発明に係る中間層に使用する油脂は、本発明に係る身層と同様で、植物性の油脂を使用すればよい。油の酸化防止のためにトコフェロール製剤などの酸化防止剤を添加することもできる。また、風味付けとして身層に用いたような調味料やフレーバーを添加することもできる。油脂は、乳化剤を添加するか乳化油脂を使用して乳化することが好ましい。乳化剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどを使用すればよい。油脂は、中間層スラリーの重量に対して20〜40重量%含むことが好ましい。20重量%未満であると油を感じることができず、40重量%よりも多いとゲル化が困難となる。乳化剤の添加量は、油脂の量にもよるが、中間層スラリーの重量に対して0.5〜2重量%添加することが好ましい。
中間層の作製方法としては、まず、油脂に乳化剤(または乳化油脂)、キサンタンガム、HAジェランガム及び酸化防止剤、風味付け資材を投入し良く分散させ、水を投入して、サイレントカッターやミキサーなどで高速攪拌し、油脂が均質に分散した中間層用スラリー作製する。
後述する皮層がアルギン酸ナトリウムをカルシウム塩でゲル化した層である場合は、中間層用スラリーを0.5〜1.5mm程度に薄く延ばしてスチームにより加熱し、冷却して中間層を作製する。加熱条件は、HAジェランガムが完全に溶解すればよく、具体的には、80〜100℃で3〜10分程度加熱する方法が挙げられる。加熱後は、粗熱を取って冷蔵庫で冷却してゲル化させ中間層とし、作製した中間層は、使用まで冷蔵や凍結して保管することができる。中間層は弱いゲルのため、凍結した方が扱いやすく、凍結して保存することが好ましい。
2. 皮層
本発明に係る皮層は、アルギン酸ナトリウムをカルシウム塩でゲル化した層か、または、メチルセルロースをゲル化した層からなる。本発明に係る皮層には上記原料の他に、粉末セルロースや、澱粉、澱粉分解物、デキストリン、分離大豆蛋白粉、油脂やウナギ様フレーバー、アミノ酸、竹炭などの色素など動物性由来以外の資材を添加することができる。粉末セルロースや澱粉、澱粉分解物、デキストリンを入れることにより、皮層を炙った場合、凹凸のある自然な皮のような外観や焦げ目がつきやすくなり、食感を良くすることができる。また、油脂やアミノ酸、色素を加えることにより皮自体の風味や外観を良くするができる。
本発明に係る皮層がアルギン酸ナトリウムをカルシウム塩でゲル化した層からなる場合は、アルギン酸ナトリウムを溶解した皮層用スラリーをカルシウム塩水溶液に浸漬させて、ゲル化した部分を湯葉のように薄くはぎ取ってシート状に成型して作製する。アルギン酸ナトリウムの量としては、皮層用スラリー中に1.5〜4重量%含まれることが好ましい。カルシウム塩としては、水に溶解するものであればよく、硫酸カルシウムや乳酸カルシウムが挙げられる。水溶液の濃度としては、カルシウム塩が1〜2重量%程度となるように溶解すればよい。
本発明に係る皮層がアルギン酸ナトリウムをカルシウム塩でゲル化した層からなる場合の製造方法としては、まず、アルギン酸ナトリウムと澱粉、澱粉分解物、デキストリン、分離大豆蛋白粉など粉体物、色素などの資材を油脂に分散させ、そのあと水を加えて、サイレントカッターなどで攪拌し皮層用スラリーを作製する。油脂を添加する場合は皮層用スラリーの重量に対して5〜40重量%が好ましい。40重量%よりも多いとゲル化しない。また、澱粉、澱粉分解物、デキストリン、大豆蛋白粉などの粉体物を使用する場合は、10重量%以下が好ましい。多すぎると、固形分が多くゲル強度が弱まり千切れやすくなる。
作製した皮層用スラリーを板の上に0.5〜1.5mm程度の厚みとなるように伸ばす。このとき、図4で示すようにウナギの背と腹の色の違いを表現するように白色の皮層用スラリーと黒色の皮層用スラリーを作製し、二色に塗り分けてシート状に伸ばすと見た目がよりウナギの皮っぽくなる。シート状に伸ばした皮層用スラリーを板ごとカルシウム塩水溶液に3分ほど浸漬し、ゲル化させた後、ゲル化が起こっている表層のみを板からはぎ取る。分離したゲルはスチームなどにより加熱し、殺菌し、皮層とする。作製した皮層は、使用まで冷蔵または冷凍して保管することができるが、必要により、表面を炙る工程を行ってから、冷蔵または凍結して保存することもできる。中間層同様皮層は弱いゲルのため、凍結した方が扱いやすく、凍結して保存することが好ましい。
本発明に係る皮層がメチルセルロースをゲル化した層からなる場合は、油脂にメチルセルロースと澱粉、澱粉分解物、デキストリン、分離大豆蛋白粉、色素などの資材を分散させ、冷水を加えてサイレントカッターやミキサーで高速攪拌し皮層用スラリーを作製する。使用したメチルセルロースの溶解温度が低い場合は、皮層スラリーを所定温度で冷却する必要がある。メチルセルロースの添加量としては、皮層用スラリーの重量に対して1〜2重量%が好ましい。本発明の皮層に用いるメチルセルロースの種類は、本発明の身層に使用できるものと同様である。1重量%未満であるとゲル化せず、2重量%よりも多いとゲルが強すぎる。
油脂を添加する場合は皮層用スラリーの重量に対して5〜40重量%以下が好ましい。40重量%よりも多いと皮層用スラリーが硬くなり成形しづらい。また、澱粉、澱粉分解物、デキストリン、大豆蛋白粉などの粉体物を使用する場合は、10重量%以下が好ましい。多すぎると、固形分が多すぎゲル強度が低下し千切れやすくなる。
作製した皮層用スラリーは1〜3mm厚となるようにして伸ばし、加熱することで皮層とすることができる。
4.三層化
本発明に係る皮層がアルギン酸ナトリウムをカルシウム塩でゲル化した層からなる場合は、身層、中間層、皮層の順となるように身層−中間層間、中間層−皮層間に結着剤を塗布して接着し三層構造物とする。結着剤としては、アルギン酸ナトリウムとカルシウム塩を含む粉末製剤やメチルセルロース粉末が挙げられる。アルギン酸ナトリウムとカルシウム塩の粉末製剤やメチルセルロース粉末などの結着剤の塗布量は、それぞれの層が容易に分離せずに結着する程度であればよく、0.02g/cm程度となるように塗布することが好ましい。作製した三層構造物は、スチームにより加熱結着させてもよく、身層及び皮層に加熱結着させずにそのまま冷凍して接着した状態で喫食時の電子レンジ調理や湯煎調理、オーブン調理により加熱結着させてもよい。スチームは、80〜100℃で5〜10分程度行えばよい。また、電子レンジ調理は500Wで1分〜2分、湯煎加熱は沸騰水中で5分程度、オーブン調理は200〜250℃で5〜10分程度行えばよい。
本発明に係る皮層がメチルセルロースをゲル化した層からなる場合は、結着剤を使用せずに、型枠に身層用生地を充填した後、その上に中間層用スラリーを0.5〜1.5mm程度に塗り、さらにその上に皮層用スラリーを1〜3mm程度に塗った三層構造物を作製し、スチームオーブンで90〜120℃で5〜20分程度で加熱し三層構造物を製作すればよい。
5.表面の炙り
作製した三層構造物の身層及び皮層の表面をバーナーなどで炙り動物由来原料を使用しないウナギ様食品とする。なお、本発明に係る皮層がアルギン酸ナトリウムをカルシウム塩でゲル化した層からなる場合は、予め身層のみや皮層のみで表面を炙ってもよく、その場合は、結着剤使用して三層構造物とし、そのまま動物由来原料を使用しないウナギ様食品とすることができる。また、表面を炙った三層構造物は、ウナギ用のタレを付着させてさらに表面を炙ってもよい。そうすることで蒲焼き風の香ばしいウナギ様食品となる。作製した、動物由来原料を使用しないウナギ様食品は、冷蔵や冷凍保管することができ、喫食時に電子レンジ調理や湯煎調理、オーブン調理することにより、喫食することができる。
なお、本発明における凍結のための手段は、従来技術を適用することができる。例えば、エアブラスト式のトンネルフリーザー、スパイラルフリーザー、ワゴンフリーザーや急速凍結庫、ブライン式のフレキシブルフリーザー等が適用できる。例えば、約−30℃のプレハブ式急速凍結庫を利用して急速に行うことができるし、通常の−18℃の家庭用冷凍庫を使用することもできる。凍結方法は特に限定しないが、中心の品温が−15℃以下となるようにしっかりと凍結することが好ましい。
以上のように、組織状植物蛋白と、澱粉と、メチルセルロースと、分離大豆蛋白粉末と、油脂と、を含む身層と、油脂を含み、キサンタンガム及びHAジェランガムを含む増粘剤でゲル化した中間層と、アルギン酸ナトリウムをカルシウム塩でゲル化又はメチルセルロースをゲル化した皮層を有する三層構造物とすることでウナギのような食感、風味に優れた動物由来原料を使用しないウナギ様食品を提供することができる。
以下に実施例を挙げて本実施形態をさらに詳細に説明する。
<実験1>身層の検討
(実験1−1)組織状植物蛋白の検討
(試験1−1−1)
膨化蛋白(レスポンス4400 デュポン社製)100gを沸騰水中で5分間ボイルした後、遠心分離機を用い1000rpmで4分間脱水し、90℃の菜種油中で5分間、油調処理し、金ザルで油切りし油調処理した膨化蛋白を用意した。(油調処理済み膨化蛋白中の膨化蛋白由来の固形分含量17重量%、油含量11重量%)
(試験1−1−2)
油調しない以外は、試験例1−1−1と同様に脱水処理した膨化蛋白を用意した。
(試験1−1−3)
脱水処理しない以外は、試験例1−1−2と同様に復水処理した膨化蛋白を用意した。
(試験1−1−4)
繊維状蛋白(earth meat 原田産業社製)100gを沸騰水中で5分間ボイルし、遠心分離機を用い1000rpmで4分間脱水し、さらに沸騰水中で5分間ボイルした後、遠心分離機を用い1000rpmで4分間脱水し、カッターミキサーで粉砕し、8メッシュ以下とした組織上植物蛋白を、90℃の菜種油中で5分間、油調処理し、金ザルで油切りしたものを用意した。(油調処理済み組織状植物蛋白中の繊維状蛋白由来の固形分含量25重量%、油含量15重量%)
(試験1−1−5)
油調せずに8メッシュ以下のものを用意する以外は、試験例1−1−4と同様に脱水処理した繊維状蛋白を用意した。
(試験1−1−6)
脱水処理せずに8メッシュ以下のものを用意する以外は、試験例1−1−5と同様に復水処理した繊維状蛋白を用意した。
試験例1−1−1〜1−1−6のサンプルの風味と食感を評価した。評価については5人のベテランパネラーによって実施し、風味は、大豆臭を感じないものを◎、大豆臭を僅かに感じるが良好なものを○、大豆臭を感じ劣るものを△、著しく大豆臭を感じ劣るものを×とした。食感については、コメントを記載した。評価結果を表1に記載する。
Figure 2021159076
試験例1−1−1及び試験例1−1−4で示すように脱水処理後、油調処理することにより、原料由来の大豆臭を感じなくなるだけでなく、組織状植物蛋白自体のタンパクのザラツキやパサつきが抑えられジューシーな感じやしっとりとした感じを付与できる。組織状植物蛋白としては、求めるウナギ様食品の食感に合わせて柔らかい食感としたい場合は、膨化蛋白を多く、しっかりとした食感としたい場合は、繊維状蛋白を多く配合することが好ましい。
(実験1−2)身層用スラリー(結着剤の検討)
(試験例1−2−1)〜(1−2−13)
コントロールとして組織状植物蛋白を結着し成形させるための身層用スラリーとして卵白粉(サンキララ(登録商標)SHG 太陽化学社)5g、菜種油15g、水80gを撹拌し、身層用スラリーを作製し、98℃で6分間スチーム処理し、加熱処理した身層用スラリーを作製した。
(試験例1−2−2)
卵白粉を分離大豆蛋白粉(ニューフジプロ(登録商標)SEH 不二製油社)14g、菜種15g、水71gを撹拌し、に変更する以外は、試験例1−2−1に従って加熱処理した身層用スラリーを作製した。
(試験例1−2−3)
分離大豆粉をえんどう豆蛋白粉(PP−CS オルガノフードテック社)に変更する以外は、試験例1−2−2に従って加熱処理した身層用スラリーを作製した。
(試験例1−2−4)
分離大豆蛋白粉(ニューフジプロ(登録商標)SEH 不二製油社)10g、メチルセルロース(MC−400 信越化学工業社)2gを、菜種油15gに分散させ、冷水73gを加えミキサーで高速攪拌したのち、5℃冷蔵庫で30分冷却し、身層用スラリーを作製し、98℃で6分間スチーム処理し、加熱処理した身層用スラリーを作製した。
(試験例1−2−5)
メチルセルロースをヒドロキシプロピルメチルセルロース(SFE−4000 信越化学工業社)とする以外は、試験例1−2−4と同様に加熱処理した身層用スラリーを作製した。
(試験例1−2−6)
メチルセルロースをメチルセルロース(MCE−100TS 信越化学工業社)とする以外は、試験例1−2−4と同様に加熱処理した身層用スラリーを作製した。
(試験例1−2−7)
メチルセルロースをメチルセルロース(MCE−4000 信越化学工業社)とする以外は、試験例1−2−4と同様に加熱処理した身層用スラリーを作製した。
(試験例1−2−8)
メチルセルロースの添加量を1gとし、水を74gとする以外は、試験例1−2−4と同様に加熱処理した身層用スラリーを作製した。
(試験例1−2−9)
メチルセルロースの添加量を3gとし水を72gとする以外は、試験例1−2−4と同様に加熱処理した身層用スラリーを作製した。
(試験例1−2−10)
分離大豆蛋白粉末を5gとし、水を78gとする以外は、試験例1−2−4と同じように加熱処理した身層用スラリーを作製した。
(試験例1−2−11)
分離大豆蛋白粉末を15gとし、水68gとする以外は、試験例1−2−4と同じように加熱処理した身層用スラリーを作製した。
(試験例1−2−12)
菜種油の添加量を5gとし、水を83gとする以外は、試験例1−2−4と同様に加熱処理した身層用スラリーを作製した。
(試験例1−2−13)
菜種油の添加量を20gとし、水を68gとする以外は、試験例1−2−4と同様に加熱処理した身層用スラリーを作製した。
試験例1−2−1〜1−2−13の身層用スラリーを厚さ8mm程度の型枠に入れ98℃で5分間スチーム処理したものの保形性を確認した。保形性は、十分ゲル化して保形性が非常に良好なものを◎、ゲル化しており概ね保形性があるものを○、ゲル化しているが保形性が弱いものを△、ゲル化しておらず保形性がないものを×とした。ゲルの食感については、5人のベテランパネラーの評価結果をコメントに記載した。評価結果を下記表2に示す。
Figure 2021159076
組織状植物蛋白を結着させて成形するための素材として、試験例1−2−1で示すように卵白が適していたが、動物由来の蛋白であるため、代替として、試験例1−2−2、1−2−3で示すように植物性の蛋白粉末を使用したが、保形性や食感の面で不十分であった。そこで、試験例1−2−4〜1−2−7で示すように分離大豆蛋白粉末に加えて数種のメチルセルロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む)を使用したところ、保形性が良好となった。試験例1−2−8、1−2−9で示すようにメチルセルロースの添加量としては、身層用スラリー中に1〜3重量%含まれることが好ましく、試験例1−2−10、1−2−11で示すように分離大豆蛋白粉は、5〜15重量%、試験例1−2−12、1−2−13で示すように油脂としては、身層用スラリー中に5〜20重量%が好ましい。
(実験1−3 身層の検討)
(試験例1−3−1〜試験例1−3−8)
試験例1−1−1及び試験例1−1−4で用いた油調処理した組織状植物蛋白(膨化蛋白及び繊維状蛋白)、試験例1−2−4で作製した身層用スラリー及び味付け等の粉体混合物を用いて身層を作製した。味付け等の粉体混合物としては、身層生地100g中に5g(甘薯澱粉1.3g、食塩0.8g、グルタミンソーダ2.1g、上白糖0.7g、トコフェロール製剤0.1g)添加した。まず、表3に示した割合で、油調した組織状植物蛋白、身層用スラリー、粉体混合物を良く撹拌して身層生地を作製し、図1で示したウナギ様の型枠に入れ、99℃で6分間スチーム加熱し、身層を作製した。評価は、成形性及び食感について行った。成型性については、身層がしっかりと固まり成形されているものを◎、身層は固まっており、箸で崩れにくいものを○、身層は固まっているが弱く、箸で崩れやすいものを△、身層が固まっておらず、容易に箸で崩れるものを×とした。食感については、5人のベテランパネラーの評価結果をコメントに記載した。評価結果を下記表3に示す。
Figure 2021159076
試験例1−3−1〜1−3−5で示すように油調した組織状植物蛋白の膨化蛋白と繊維状蛋白との比率については、膨化蛋白が多い程柔らかい食感となり、繊維状蛋白が多い程ツナっぽい繊維感や弾力のある食感となった。油調した繊維状蛋白のみでは、ツナっぽい繊維感が強すぎるため、油調した膨化蛋白を加えることが好ましく、油調済み組織状植物蛋白の重量に対して、17重量%以上となるように添加することが好ましい。また、試験例1−3−6〜1−3−8で示すように身層生地中の油調済みの組織状植物蛋白としては、30〜60重量%が好ましい。少なすぎると身層用スラリーが多くなり、身層用スラリーの食感が強くなる。逆に多すぎると身層用スラリーが少なく成形性が悪くなる。また、組織状植物蛋白の固形分含量としては、身層中に6〜14重量%含まれることが好ましい。また、繊維状蛋白の固形分含量としては、身層中に10重量%以下が好ましい。
身層用スラリーの添加量としては試験例1−3−6〜1−3−8で示すように身層生地中に35〜65重量%含まれることが成形性の面で好ましい。メチルセルロースとしては、身層中に0.7〜1.3重量%、大豆蛋白粉としては3.5〜6.5重量%含まれることが好ましい。
油脂としては、油調した組織状植物蛋白及び身層用スラリー両方に含まれるが、身層全体として12〜15重量%程度含まれていることが好ましい。試験では示さないが、油脂が10重量%未満になるとジューシーさが弱く、20重量%よりも高くなると脂っこく、保形性が悪くなる。
<実験2 中間層の検討>
(実験2−1 ゲル化剤の検討)
(試験例2−1−1)〜(試験例2−1−10)
下記表4に記載されたゲル化剤と菜種油と乳化剤(リョートー(登録商標)ポリグリエステルO−50D 三菱ケミカルフーズ社)と水(残量)を撹拌したスラリーを80℃まで加熱し、溶解した後、冷却してゲル化させるか、または、乳酸カルシウムを1重量%となるように溶解した水溶液にスラリーを浸漬してゲル化させ、ゲル化及び食感を検討した。ゲル化は油脂を含んだ状態で非常に良好にゲル化できるものを◎、ややゲルが柔らかいがゲル化できるものを○、ゲル化しないがゾル状で油脂を含有することができるものを△、ゲル化せず油脂を含有できないものを×とした。食感については、5人のベテランパネラーの評価結果をコメントに記載した。試験結果についても表4に記載する
Figure 2021159076
中間層のゲル化剤としては、試験例2−1−4で示すようにHAジェランガムが適度に柔らかいゲルを形成し良好であり、試験例2−1−1で示すように食感としてはキサンタンガムが好ましかったことから、試験例2−1−10で示すようにキサンタンガムとHAジェランガムを組み合わせたところ食感が良好なゲルを形成した。
(実験2−2 中間層の検討)
(試験例2−2−1)〜(試験例2−2−13)
下記表5の配合に従って、ゲル化剤と菜種油と乳化剤(リョートー(登録商標)ポリグリエステルO−50D 三菱ケミカルフーズ社)と水(残量)を撹拌し、中間層スラリーを作製し、80℃まで加熱した後、冷却してゲル化し、1mm厚の中間層を作製した。作製した中間層の食感を評価した。評価は、5人のベテランパネラーで行い、非常に良好なものを◎、良好なものを○、劣るものを△、非常に劣るものを×とした。評価結果についても下記表5に示す。
Figure 2021159076
試験例2−2−1〜2−2−4で示すように、中間層のゲル化剤としてHAジェランガムの添加量は、中間層用スラリー中に1〜2重量%含まれることが好ましい。また、試験例2−2−5〜2−2−8で示すようにキサンタンガムの添加量としては、中間層用スラリー中に1〜2重量%含まれることが好ましい。また、油脂の添加量としては、中間層用スラリー中に20〜40重量%含まれることが好ましい。
<実験3 皮層の検討>
(実験3−1 アルギン酸ナトリウムをカルシウム塩でゲル化した皮層の検討)
(試験例3−1−1)〜(試験例3−1−14)
下記表6に記載された資材を撹拌し、皮層用スラリーを作製した後、プラスチック製の板に1mm程度の厚さとなるように伸ばして、乳酸カルシウム1.5重量%溶液に浸漬し、ゲル化した後、溶液中で板からゲルを剥ぎ取り、ゲルを99℃で3分間スチーム処理し、バーナーで表面を軽くあぶり皮層を作製した。なお、澱粉は、馬鈴薯澱粉を使用し、分離大豆蛋白粉末は身層で使用したもの(ニューフジプロ(登録商標)SEH 不二製油社)を使用した。
作製した皮層の評価を行った。評価は、5人のベテランパネラーで行い、ゲル化、焦げやすさ、ゲルの風味、ゲルの食感について行い、非常に良好なものを◎、良好なものを○、劣るものを△、非常に劣るものを×として評価した。評価結果も下記表6に記載する。
Figure 2021159076
試験例3−1−1〜3−1−6で示すように、アルギン酸ナトリウムの添加量が多くなるほど風味が悪くなり、少ないとゲルが弱くなることから、皮層中のアルギン酸ナトリウムの添加量としては、1.5〜4重量%が好ましい。また、試験例3−1−7〜3−1−11に記載されているように油脂を添加することによりゲルの食感がしなやかになるが、添加量が多すぎるとゲルが柔らかくなることから油脂の添加量としては5〜40重量%が好ましい。また、試験例3−1−12、3−1−14で示すように、澱粉を添加することで、皮層の表面を炙った後に皮層の表面にザラツキ(凹凸)が認められ、自然な皮様の外観を示すだけでなく、食感がしなやかになり、また、試験例3−1−13で示すように、分離大豆蛋白粉末を添加することにより表面を炙った際に焦げ目が付きやすくなった。
(実験3−2 メチルセルロースをゲル化した皮層の検討)
(試験例3−2−1)〜(試験例3−2−13)
下記表7に記載された資材を冷却しながら撹拌し、皮層用スラリーを作製した後、プラスチック製の板に1mm程度の厚さとなるように伸ばし、99℃で3分間スチーム処理したゲルを板から剥がし、バーナーで表面を軽くあぶり皮層を作製した。メチルセルロースは、硬いゲルとなる信越化学社のMCE−100TSを使用した。なお、澱粉は、馬鈴薯澱粉を使用し、分離大豆蛋白粉末はニューフジプロ(登録商標)SEH(不二製油社)を使用した。
作製した皮層の評価を行った。評価は、5人のベテランパネラーで行い、ゲル化度合、焦げやすさ(炙りで溶けるものは×)、ゲルの風味、ゲルの食感について行い、非常に良好なものを◎、良好なものを○、劣るものを△、非常に劣るものを×として評価した。評価結果も下記表7に記載する。
Figure 2021159076
試験例3−2−1〜3−2−4で示すようにメチルセルロースの添加量が少ないとゲル化が弱く、食感も弱くなることから、皮層中のメチルセルロースの添加量としては、1〜2重量%が好ましい。また、試験例3−2−5〜3−2−10に示すように油脂を添加することにより風味がよくなるが、添加量が多すぎるとゲルが柔らかく、皮層用スラリーが硬くなり成形しづらくなることから油脂の添加量としては5〜40重量%が好ましい。また、試験例3−2−11、3−2−13で示すように、澱粉を添加することで、皮層の表面を炙った後に皮層の表面にザラツキ(凹凸)が認められ、自然な皮様の外観を示し、また、試験例3−2−12で示すように、分離大豆蛋白粉末を添加することにより表面を炙った際に焦げ目が付きやすくなるだけでなく、ゲルに弾力が出て、メチルセルロースの風味がマスキングされた。
<実験4 結着剤の検討>
(試験例4−1)〜(試験例4−5)
試験例1−3−3の身層を凍結したものと、試験例2−2−11の中間層を凍結したものと、試験例3−1−14の皮層を凍結したものに、下記表8に記載した粉末を身層−中間層間、及び中間層−皮層間に0.02g/cmとなるように散布した後、99℃で5分スチームし、結着度合いを確認した。なお、卵白はサンキララ(登録商標)SHG(太陽化学社)を、澱粉は馬鈴薯澱粉を使用し、分離大豆蛋白粉末はニューフジプロ(登録商標)SEH(不二製油社)、カルシウム塩を含むアルギン酸ナトリウム製剤は昆布ヘルシー(キミカ社)、メチルセルロースは、MCE−4000(信越化学社)を使用した。
それぞれの試験区の結着度合いの評価を行った。評価は、5人のベテランパネラーで行い、非常に良好なもの(卵白と同等)を◎、良好なもの(卵白に劣るが結着しているもの)を○、劣るもの(はがれやすいもの)を△、非常に劣るもの(結着しないもの)を×とした。評価結果についても下記表8に記載する。
Figure 2021159076
実験4で示すようにコントロールである卵白と同等に身層−中間層及び中間層−皮層の結着する結着剤としては、カルシウム塩を含むアルギン酸ナトリウム製剤、メチルセルロースが良い結果となった。
<実験5 動物由来原料を含まないウナギ様食品の作製>
(実施例1)
試験例1−3−3の身層の表面をガスバーナーで表面を炙り凍結し、凍結した身層を作製した。
試験例2−2−11で作製した中間層を凍結し、凍結した中間層を作製した。
試験例3−1−14の皮層用スラリーに色素として竹炭を0.1重量%となるように添加した黒色の皮層用スラリーと、試験例3−1−14の皮層用スラリー(白色)を図4で示すように幅約30mmとなるように黒−白−黒の順で厚さ1mmとなるように板に延ばす以外は試験例3−1−14と同様にして皮層を作製し、凍結して凍結した皮層を作製した。
凍結した身層、中間層、皮層を、身層−中間層間、及び中間層−皮層間に0.02g/cmとなるようにアルギン酸ナトリウムとカルシウム塩を含む製剤(昆布ヘルシー キミカ社)を散布し、三層構造物とした後、99℃で5分スチームして結着させ、ウナギ様食品(白焼き風)を作製した。
(実施例2)
実施例1で作製したウナギ様食品に蒲焼き様のタレを表面に塗り、ガスバーナーで再度表面を炙り、ウナギ様食品(蒲焼き風)を作製した。
(実施例3)
スチーム処理で結着せずに、三層構造物を冷凍する以外は実施例1と同様にウナギ様食品を作製した。
(実施例4)
図6で示すように、ウナギ様の型の中に、試験例1−3−3の身層用スラリーを充填した後、その上に約1mm厚となるように試験例2−2−11の中間層スラリーを塗り広げた。
試験例3−2−13の皮層用スラリーに色素として竹炭を0.1重量%となるように添加した黒色の皮層用スラリーと、試験例3−2−13の皮層用スラリー(白色)とを幅約30mmとなるように黒−白−黒の順で厚さ1mmとなるように中間層用スラリーの上に塗り広げ三層構造物とした。
作製した三層構造物を型ごと99℃で6分スチームして、三層構造物を凝固し、型から取り出した。
型から取り出した三層構造物の皮面・表面をガスバーナーで炙り、ウナギ様食品(白焼き風)を作製した。
(比較例1)
中間層を無くし、身層と皮層の間に、0.02g/cmとなるようにアルギン酸ナトリウムとカルシウム塩を含む製剤(昆布ヘルシー キミカ社)を散布し、二層構造物とした後、99℃で6分スチームして結着させ、二層構造のウナギ様食品(白焼き風)を作製する以外は、実施例1の方法に従ってウナギ様食品を作製した。
実施例1〜4、比較例1を電子レンジ500W、2分間加熱し、喫食した。実施例1、3、4及び比較例1は加熱後にウナギ用のタレをかけた。
実施例1〜4及び比較例1を喫食し、評価した結果を下記表9に示す。評価は5人のベテランパネラーで行い、評価基準は、食感、風味について行い、ウナギ様食品として非常に良好なものを◎、良好なものを○、劣るものを△、非常に劣るものを×とした。評価結果を下記表9に示す。
Figure 2021159076
実施例1〜4、比較例1で示すように中間層を設けた三層構造とすることにより、より本物のウナギに近い食感が付与されるだけでなく、ウナギの持つ油のジューシーな風味が付与される。皮層については、アルギン酸ナトリウムをカルシウム塩でゲル化したものと、メチルセルロースをゲル化したもので、一長一短あるが、どちらを用いてもウナギ様の食感を出すのに非常に良好であった。
また、実施例1〜3で示すように、アルギン酸ナトリウムをカルシウム塩でゲル化した皮層を用いる場合は、結着剤などで身層−中間層及び中間層−皮層を接着させる必要がある。このとき、実施例3で示すように必ずしも初めから各層を加熱によって結着させる必要はなく、凍結した状態で接着させておいてから、電子レンジ調理などの調理時の加熱で結着させてもよい。
実施例4で示すようにメチルセルロースをゲル化した皮層を用いる場合は、身層、皮層にメチルセルロースが含まれているため、結着剤を使用することなく、各層の生地やスラリーを塗り合わせて加熱するだけで三層が一体化したウナギ様食品を製造することができる。

Claims (7)

  1. 身層と、中間層と、皮層と、を有する動物由来原料を使用しないウナギ様食品であって、
    前記身層は、組織状植物蛋白と、メチルセルロースと、分離大豆蛋白粉末と、油脂と、を含む層であり、
    前記中間層は、油脂を含み、キサンタンガム及びHAジェランガムを含む増粘剤でゲル化した層であり、
    前記皮層は、アルギン酸ナトリウムをカルシウム塩でゲル化又はメチルセルロースをゲル化した層であることを特徴とする動物由来原料を使用しないウナギ様食品。
  2. 前記身層は、前記身層の重量に対して、組織状植物蛋白由来の固形分を6〜14重量%、メチルセルロースを0.7〜1.3重量%、分離大豆蛋白粉末を3.5〜6.5重量%、油脂を10〜20重量%含むことを特徴とする請求項1記載の動物由来原料を使用しないウナギ様食品。
  3. 前記中間層は、前記中間層の重量に対して、油脂を20〜40重量%含み、キサンタンガムを1〜2重量%、HAジェランガムを1〜2重量%含むことを特徴とする請求項1または2記載の動物由来原料を使用しないウナギ様食品。
  4. 前記皮層は、前記皮層の重量に対してアルギン酸ナトリウムを1.5〜4重量%含むか又はメチルセルロースを1〜2重量%含むことを特徴とする。請求項1〜3記載何れか一項記載の動物由来原料を使用しないウナギ様食品。
  5. 組織状植物蛋白を復水し、脱水した後、油調したものと、
    メチルセルロース、分離大豆蛋白粉末、油脂及び水を冷却しながら撹拌し、作製した身層用スラリーと、を混合し身層生地を作製する工程と、
    前記身層生地を型枠に充填し、加熱して身層を作製する工程と、
    キサンタンガム及びHAジェランガムを含む増粘剤と、油脂とを混合した中間層用スラリーをシート状に伸ばして加熱してゲル化し、中間層を作製する工程と、
    アルギン酸ナトリウムを水に溶解した皮層用スラリーをシート状に伸ばしてカルシウム塩を含む水溶液に浸漬してゲル化し、皮層を作製する工程と、
    作製した前記身層と前記中間層及び前記中間層と前記皮層をアルギン酸ナトリウムとカルシウム塩を含む粉末またはメチルセルロース粉末を散布して接着する工程と、
    前記身層及び前記皮層に表面を炙る工程と、を含むことを特徴とする動物由来原料を使用しないウナギ様食品の製造方法。
  6. 組織状植物蛋白を復水し、脱水した後、油調したものと、
    メチルセルロース、分離大豆蛋白粉末、油脂及び水を冷却しながら撹拌し、作製したスラリーと、を混合し身層生地を作製する工程と、
    キサンタンガム及びHAジェランガムを含む増粘剤と、油脂とを混合した中間層用スラリーを作製する工程と、
    メチルセルロースを水に冷却しながら溶解し、皮層用スラリーを作製する工程と、
    作製した前記身層生地を型枠に充填し、充填した前記身層生地の上に前記中間層用スラリー、前記皮層用スラリーの順に塗り身層、中間層、皮層からなる三層構造物を作製する工程と、
    前記三層構造物を加熱し、一体化する工程と、
    一体化した前記三層構造物の前記身層及び前記皮層の表面を炙る工程と、を含むことを特徴とする動物由来原料を使用しないウナギ様食品の製造方法。
  7. 前記身層生地は、前記身層生地の重量に対して、組織状植物蛋白由来の固形分を6〜14重量%、メチルセルロースを0.7〜1.3重量%、分離大豆蛋白粉末を3.5〜6.5重量%、油脂を10〜20重量%含み、
    前記中間層用スラリーは、前記中間層スラリーの重量に対して、油脂を20〜40重量%含み、キサンタンガムを1〜2重量%、HAジェランガムを1〜2重量%含み、
    前記皮層用スラリーは、前記皮層用スラリーの重量に対して、アルギン酸ナトリウムを1.5〜4重量%含むか又はメチルセルロースを1〜2重量%含むことを特徴とする請求項5または6記載の動物由来原料を使用しないウナギ様食品の製造方法。
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