JP2021157878A - 正極活物質及び非水電解液二次電池 - Google Patents

正極活物質及び非水電解液二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】原料コストを低減することができ、放電レート特性に優れた正極活物質及びこの正極活物質を用いた非水電解液二次電池を提供する。【解決手段】正極活物質には、LiaTib-dMncMgdOeの組成式(ただし、前記組成式におけるa〜eは、1.0<a<1.3、0<b<1、0<c<1、0<d<0.25、1.8<e<2.2、d<b、b+c+d<aの関係を満たす。)で表される組成を有し、かつ、結晶構造が空間群Fm−3mに帰属可能な岩塩型結晶構造である結晶相が含まれている。【選択図】図1

Description

本発明は、正極活物質及び非水電解液二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池などの非水電解液二次電池は、エネルギー密度を容易に高くすることができる。かかる特性を活かし、近年では、携帯電話及びラップトップコンピュータ等の小型電子機器や、電気自動車及びハイブリッド自動車等の大型電気駆動装置等の幅広い用途に非水電解液二次電池が用いられている。
非水電解液二次電池の正極活物質としては、Li(リチウム)、Ni(ニッケル)、Mn(マンガン)及びCo(コバルト)を含むLiNi0.33Mn0.33Co0.332(いわゆるNMC111)や、Li、Ni、Co及びAl(アルミニウム)を含むLiNi0.8Co0.15Al0.052(いわゆるNCA)などが実用化されている。しかし、これらの正極活物質よりもさらに放電容量の高い正極活物質が強く望まれている。また、これらの正極活物質は、希少元素であるCoを含有しているため、需給状況の変化等の種々の理由によって原料コストが上昇するリスクが比較的高い。
Coを含まない正極活物質としては、特許文献1に記載されたような、Li、Ti(チタン)及びMn(マンガン)を含むLi−Ti−Mn系正極活物質が提案されている。
特開2016−122549号公報
しかし、特許文献1に記載された正極活物質は、放電レート特性に劣っており、高電流密度で放電した際の放電容量が低いという問題がある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、原料コストを低減することができ、放電レート特性に優れた正極活物質及びこの正極活物質を用いた非水電解液二次電池を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、非水電解液二次電池に用いられる正極活物質であって、
LiaTib-dMncMgdeの組成式(ただし、前記組成式におけるa〜eは、1.0<a<1.3、0<b<1、0<c<1、0<d<0.25、1.8<e<2.2、d<b、b+c+d<aの関係を満たす。)で表される組成を有し、かつ、結晶構造が空間群Fm−3mに帰属可能な岩塩型結晶構造である結晶相を含む、正極活物質にある。
本発明の他の態様は、正極と、負極と、非水電解液とを有する非水電解液二次電池であって、
前記正極は、前記の態様の正極活物質を含む、非水電解液二次電池にある。
前記正極活物質には、前記特定の組成及び結晶構造を備えた結晶相が含まれている。すなわち、前記結晶相は、Li1.2Ti0.4Mn0.42に例示されるLi−Ti−Mn系正極活物質のTiの一部がMgに置換された構造を有している。このように、Li−Ti−Mn系正極活物質のTiの一部をMgに置換することにより、放電レート特性を向上させ、高電流密度で放電した際の放電容量を大きくすることができる。
また、前記正極活物質は、Tiの一部をMgに置換することにより、比較的原料コストの高いTiの使用量を低減することができる。これにより、原料コストを容易に低減することができる。
従って、前記正極活物質は、優れた放電レート特性を有するとともに、原料コストを容易に低減することができる。
また、前記の態様の非水電解液二次電池は、前記特定の正極活物質を含む正極を有している。それ故、前記非水電解液二次電池は、原料コストを容易に低減することができ、放電レート特性を向上させ、高電流密度で放電した際の放電容量を大きくすることができる。
図1は、実施例1〜3及び比較例の正極活物質のX線回折パターンを示す図である。 図2は、実施例1の正極活物質の二次電子像を示す図である。 図3は、実施例1における二次電池の内部構造を示す展開図である。 図4は、実施例1の正極活物質の放電曲線を示す図である。 図5は、実施例2の正極活物質の放電曲線を示す図である。 図6は、実施例3の正極活物質の放電曲線を示す図である。 図7は、比較例の正極活物質の放電曲線を示す図である。 図8は、放電容量とMgの置換量との関係を示す図である。
(正極活物質)
前記正極活物質には、少なくとも、LiaTib-dMncMgdeの組成式(ただし、前記組成式におけるa〜eは、1.0<a<1.3、0<b<1、0<c<1、0<d<0.25、1.8<e<2.2、d<b、b+c+d<aの関係を満たす。)で表される組成を有し、結晶構造が空間群Fm−3mに帰属可能な岩塩型結晶構造である結晶相が含まれている。正極活物質は、前記特定の結晶相から構成されていてもよいし、前記特定の結晶相と、これ以外の結晶相とが含まれていてもよい。放電レート特性をより向上させる観点からは、前記正極活物質中の前記特定の結晶相の含有率は、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、90量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることがさらにより好ましく、100質量%、つまり、前記正極活物質が前記特定の結晶相のみから構成されていることが特に好ましい。
なお、前述した正極活物質中の結晶相の含有率は、例えば、粉末X線回折法により得られたX線回折パターンに基づいて算出することができる。
前記特定の結晶相の組成は、LiaTib-dMncMgdeという組成式により表される。ただし、前記組成式におけるa〜eは、1.0<a<1.3、0<b<1、0<c<1、0<d<0.25、1.8<e<2.2、d<b、b+c+d<aの関係を満たす。
前記組成式におけるaの値、つまりLi、Ti、Mn、Mg及びOのモル数の合計に対するLiのモル比は1.0より大きく1.3より小さい。これにより、充放電時に前記結晶相の結晶構造が維持されやすくなり、結晶構造の変化に伴う放電容量の低下を抑制することができる。また、前記正極活物質内にリチウムイオンの拡散経路を十分に形成し、前記正極活物質の放電容量を大きくすることができる。
前記組成式におけるaの値が1.0以下である場合には、前記正極活物質内にリチウムイオンの拡散経路を十分に形成することが難しくなり、放電容量の低下を招くおそれがある。また、前記組成式におけるaの値が1.3以上である場合には、前記結晶相中のTi、MnおよびMgの相対的な比率が低下するため、充電時にリチウムイオンが引き抜かれた際に、前記結晶相の結晶構造が前記特定の岩塩型結晶構造から変化しやすくなる。その結果、放電容量の低下を招くおそれがある。
前記組成式におけるdの値、つまり、Li、Ti、Mn、Mg及びOのモル数の合計に対するMgのモル比は0より大きく0.25より小さい。前記組成式におけるdの値を0よりも大きくし、Li−Ti−Mn系正極活物質におけるTiの一部をMgに置換することにより、高電流密度で放電した際の放電容量を大きくすることができる。Mgによる前述した作用効果をより高め、高電流密度で放電した際の放電容量をより大きくする観点からは、前記組成式におけるdの値は、0.01以上であることが好ましい。
一方、前記結晶相においては、Ti4+の一部をMg2+に置換したことによって生じる電荷バランスの変動が、Mn3+の一部がMn4+に酸化されることによって補償されていると推測される。しかし、結晶相中のMn4+の含有率が過度に多くなると、充放電に寄与するMn3+の比率が相対的に低下するため、放電容量の低下を招くおそれがある。かかる問題の発生を回避し、正極活物質の放電容量を大きくする観点から、前記組成式におけるdの値は、0.25未満とする。同様の観点から、前記組成式におけるdの値は、0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましく、0.10以下であることがさらに好ましい。
また、前記組成式におけるdの値は、0.04以下であることが特に好ましい。この場合には、高電流密度で放電した際の放電容量を大きくするとともに、低電流密度で放電した際の放電容量をより大きくすることができる。
前記組成式におけるb、c及びeの値、つまり、Li、Ti、Mn、Mg及びOのモル数の合計に対するTi、MnまたはOのモル比は、それぞれ前記の関係を満たす範囲とする。前記組成式におけるb、c及びeの値が前記の関係を満たさない場合には、前記結晶相の結晶構造が前記特定の岩塩型結晶構造以外の結晶構造となり、放電レート特性を向上させる効果の低下を招くおそれがある。前記組成式におけるbの値は、0.1以上0.9以下であることが好ましく、0.1以上0.7以下であることがより好ましく、0.1以上0.5以下であることがさらに好ましく、0.1以上0.3以下であることが特に好ましい。この場合には、前記結晶相の結晶構造をより確実に前記特定の岩塩型結晶構造とすることができる。同様の観点から、前記組成式におけるcの値は、0.1以上0.9以下であることが好ましく、0.2以上0.9以下であることがより好ましく、0.3以上0.9以下であることがさらに好ましく、0.5以上0.9以下であることが特に好ましい。
前記正極活物質は、正極活物質中におけるリチウムイオンの拡散距離をより短くする観点から、通常、粉末の状態で使用される。前記正極活物質は、粒子径10μm以下の粒子から構成されていることが好ましい。すなわち、前記正極活物質は、例えば、最大粒子径が10μm以下となる粒径分布を有する粉末であってもよいし、粒子径10μm以下の一次粒子の凝集体であってもよい。この場合には、正極活物質中におけるリチウムイオンの拡散距離をより短くし、非水電解液二次電池における内部抵抗をより容易に低減することができる。正極活物質中におけるリチウムイオンの拡散距離をより短くする観点からは、正極活物質は、粒子径1μm以下の粒子から構成されていることが好ましい。
なお、前述した正極活物質の粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて正極活物質を観察して得られる、拡大写真に基づいて測定することができる。より具体的には、SEMで観察した拡大写真から無作為に選択した50個以上の正極活物質の粒子について、個々の粒子に対する外接円を決定し、その直径を個々の粒子の粒子径とする。そして、これらの粒子径の最大値を正極活物質の粒子径とする。
(正極活物質の製造方法)
前記正極活物質の製造方法としては、例えば、固相法を採用することができる。具体的には、Li源となる化合物、Ti源となる化合物、Mn源となる化合物及びMg源となる化合物を混合した混合物を作製した後、前記混合物を不活性ガス雰囲気下で焼成すればよい。混合物中におけるLi源となる化合物、Ti源となる化合物、Mn源となる化合物及びMg源となる化合物の比率は、所望する正極活物質中の結晶相の組成式に応じて適宜設定すればよい。
Li源となる化合物としては、例えば、Li2CO3やLi2O、LiOH・H2O、C23LiO2、LiNO3、Li3657・4H2O等を使用することができる。Ti源となる化合物としては、例えば、TiO2等を使用することができる。Mn源となる化合物としては、例えば、Mn23等を使用することができる。Mg源となる化合物としては、例えば、MgOやMg(OH)2、MgCO3等を使用することができる。
前記混合物は、粉末であることが好ましい。混合物を粉末とすることにより、混合物中において、各原料化合物を均一に分散させることができる。その結果、焼成後における焼成体の組成の偏りをより低減し、前記結晶相の含有率をより高くすることができる。
粉末状の混合物を作製するにあたっては、必要に応じて原料化合物を粉砕してもよい。粉砕方法としては、乳鉢による手粉砕、ボールミル等による機械式粉砕等が採用できる。
また、粉末状の混合物を作製するにあたっては、篩などを用いて原料化合物を分級することにより、混合物の粒度調整をおこなってもよい。これらの手法によって混合物の粒度をできるだけ小さくすることにより、原料化合物をより均一に分散させることができる。その結果、焼成後における焼成体の組成の偏りをより低減し、前記結晶相の含有率をより高くすることができる。
混合物を作製した後、不活性ガス雰囲気下で混合物を焼成することにより、前記特定の結晶相を含む正極活物質の焼成体を得ることができる。不活性ガスとしては、例えば、アルゴン等を使用することができる。焼成時の焼成温度は500〜1000℃の範囲から適宜設定することができる。焼成時の保持時間は0.5〜24時間の範囲から適宜設定することができる。
焼成が完了した後、得られた焼成体を解砕することにより、粉末状の正極活物質を得ることができる。焼成体の解砕方法は特に限定されることはない。例えば、粉砕方法としては、乳鉢による手粉砕、ボールミル等による機械式粉砕等の種々の方法を採用することができる。また、焼成体を解砕した後、必要に応じて粉末を分級し、正極活物質の粒度を調整してもよい。
(非水電解液二次電池)
前記正極活物質は、非水電解液二次電池に用いられ、特にリチウムイオン二次電池に好適である。二次電池は、前記正極活物質を含有する正極、負極、セパレータ、非水電解液、添加剤、及びこれらを収容するケース等を主要な構成部材として備えることができる。二次電池の形状としては、例えばコイン型、円筒型、積層型、角型等がある。
二次電池の正極は、正極活物質と、正極活物質を保持する正極集電体とを有している。正極集電体としては、例えば、銅箔、ステンレス鋼メッシュ、アルミニウム箔、ニッケル箔等の金属箔、パンチングメタル、エキスパンデッドメタル及び金属メッシュ等の種々の導体を使用することができる。
正極には、正極活物質と正極集電体との間に介在する結着剤が含まれていてもよい。結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
また、正極には、電気伝導性を高めるための導電剤や導電助剤が含まれていてもよい。導電剤としては、例えば黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、コークス類等を用いることができる。
正極は、例えば、以下の方法により作製することができる。まず、正極活物質を含むペースト状の正極合材を作製する。正極合材には、必要に応じて、正極活物質等の固形分を分散または溶解させるための有機溶媒が含まれていてもよい。次に、正極合材を正極集電体の表面に塗布した後、乾燥させることにより、正極集電体の表面に正極活物質層を形成する。正極活物質層を形成した後、必要に応じて正極活物質層をプレスし、正極活物質層の密度を高めてもよい。以上により正極を得ることができる。
二次電池の負極は、負極活物質と、負極活物質を保持する負極集電体とを有している。負極活物質としては、例えば、グラファイトやハードカーボン等のグラファイト構造を有する炭素材料や、チタン酸リチウム(Li4Ti512)等のリチウム系酸化物を用いることができる。また、負極集電体としては、前述した正極集電体と同様の導体を使用することができる。
負極は、正極と同様に、結着剤や導電剤、導電助剤を含んでいてもよい。負極に使用し得る結着剤、導電剤及び導電助剤は、正極と同様である。
負極の作製方法は、正極と同様である。すなわち、まず、負極活物質を含むペースト状の負極合材を作製する。負極合材には、必要に応じて、負極活物質等の固形分を分散または溶解させるための有機溶媒が含まれていてもよい。次に、負極合材を負極集電体の表面に塗布した後、乾燥させることにより、負極集電体の表面に負極活物質層を形成する。負極活物質層を形成した後、必要に応じて負極活物質層をプレスし、負極活物質層の密度を高めてもよい。以上により負極を得ることができる。
非水電解液は、有機溶媒と、リチウム塩からなる電解質とを含有することができる。リチウム塩としては、例えばLiPF6等が挙げられる。また、有機溶媒は、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートからなるグループから選ばれる少なくとも1種とすることができる。これらの有機溶媒は、極性が高く、電解質を大量に溶解することができる。そのため、これらの有機溶媒を非水電解液として使用することにより、二次電池における例えばリチウムイオン等の電荷担体の輸率を容易に高くすることができる。
前記正極活物質、及び前記正極活物質を備えた非水電解液二次電池の実施例を説明する。
(実施例1〜3)
本例では、以下の方法により正極活物質の粉末を作製した。まず、Li源としてのLi2CO3、Ti源としてのTiO2、Mn源としてのMn23及びMg源としてのMgOを、Li原子、Ti原子、Mn原子及びMg原子の比率が表1に示す比率となるように混合し、混合物を作製した。この混合物をアルゴン雰囲気中において900℃の温度で10時間加熱することにより、正極活物質を含む焼成体を得た。得られた焼成体を、焼成体に対して10質量%のアセチレンブラックとともに遊星ボールミルを用いて解砕した。以上により、表1に示す組成式で表される実施例1〜3の正極活物質と、アセチレンブラックとの混合粉末を得た。
(比較例)
実施例1〜3の正極活物質との比較のため、MgOを添加しない以外は実施例1〜3と同様の方法により、表1に示す組成式で表される比較例の正極活物質と、アセチレンブラックとの混合粉末を得た。
次に、実施例1〜3及び比較例の混合粉末を用い、正極活物質の結晶構造の同定及び粒子径の評価を行った。
・正極活物質に含まれる結晶相の結晶構造
粉末X線回折により、実施例1〜3及び比較例の正極活物質に含まれる結晶相の同定を行った。X線回折装置としては、株式会社リガク製「SmartLab(登録商標)」を使用し、照射した特性X線はCuKα線とした。各正極活物質のX線回折パターンを図1に示す。図1の縦軸は回折強度(相対強度)であり、横軸は回折角2θ(°)である。
得られたX線回折パターンに基づき、正極活物質に含まれる結晶相を同定したところ、実施例1〜3及び比較例の正極活物質は、主に空間群Fm−3mに帰属可能な岩塩型結晶構造を有する結晶相から構成されていることが確認された。X線回折パターンから求めた各正極活物質の格子定数は、表1に示した通りであった。
・正極活物質の粒子径
実施例1の混合粉末を走査型電子顕微鏡で観察したところ、図2に示すように、実施例1の混合粉末は、粒子径1μm以下の粒子から構成されていることが確認された。なお、図には示さないが、実施例2の混合粉末及び実施例3の混合粉末も、実施例1の混合粉末と同様に粒子径1μm以下の粒子から構成されていることが確認された。これらの結果から、実施例1〜3の正極活物質は、粒子径1μm以下の粒子から構成されていることが理解できる。
・評価用二次電池の構成及び作製方法
次に、得られた正極活物質を用いて非水電解液二次電池(テストセル)を作製した。図3に示すごとく、本例の非水電解液二次電池1は、正極2、対極3、セパレータ4及び非水電解液5を備えたCR2032型コイン電池である。
より具体的には、二次電池1は、図2に示す如く、高さの比較的小さな有底円筒形状であるケース11と、ケース11の開口を閉鎖する上蓋12とを有している。ケース11と上蓋12との間には空間が形成されている。上蓋12は、かしめ加工によりケース11に接合されている。
ケース11と上蓋12との間の空間内には、正極2、対極3、セパレータ4、非水電解液5が収容されている。正極2とセパレータ4との間には、ゴム製のパッキン15が配置されている。また、上蓋12と正極2との間には、スペーサ13及びワッシャ14が設けられている。スペーサ13は、正極2と当接するように配置されている。ワッシャ14は、スペーサ13と上蓋12との間に配置されている。本例のスペーサ13は、具体的には、円盤状のステンレス鋼板である。
正極2は、正極集電体21と、実施例1〜3及び比較例の正極活物質のうちいずれかの正極活物質を含み正極集電体21上に設けられた正極活物質層22とを有している。本例の正極集電体21は、具体的には、直径16mmの円盤状を呈するアルミニウム箔である。正極活物質層22の密度は約1.8g/cm3である。対極3は、具体的には、円盤状の金属リチウム箔である。
セパレータ4は、ポリプロピレンからなり、正極2と対極3との間に介在している。非水電解液5は、二次電池1内における少なくとも正極2と対極3との間に充填されている。本例の非水電解液5は、具体的には濃度1mol/LのLiPF6を含むエチレンカーボネート系の有機溶媒からなる。
次に、二次電池1の製造方法について説明する。まず、正極活物質とアセチレンブラックとの混合粉末と、導電助剤としての黒鉛と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデンとを、質量比において、混合粉末:導電助剤:結着剤=60:30:10となるように混合し、正極合材を得た。この正極合材を正極集電体21上に塗布し、正極活物質層22を形成した。次いで、正極集電体21上の正極活物質層22をプレスし、正極活物質層22の密度を約1.8g/cm2とした。その後、正極活物質層22を正極集電体21とともに直径16mmの円盤状に打ち抜くことにより、正極2を得た。また、リチウム箔を円盤状に打ち抜くことにより、対極3を作製した。
次いで、ケース11内に、対極3、セパレータ4、パッキン15、正極2、スペーサ13及びワッシャ14を順次重ね合わせるとともに、ケース11内に非水電解液5を注入した。その後、上蓋12をケース11の開口に重ね合わせ、かしめ加工を行うことによりケース11と上蓋12との間の空間を密閉した。以上により、二次電池1を得た。
次に、得られた電池を用い、レート特性試験を行った。なお、レート特性試験は、充放電装置(Bio−Logic社製「BCS−815」を用いて行った。
・レート特性試験
まず、25℃の温度において、各二次電池を30mA/g、100mA/g、300mA/gまたは900mA/gのうちいずれかの電流密度の定電流で4.8Vまで充電した。次いで、充電時と同じ電流密度の定電流で1.5Vまで放電させ、このときの放電曲線を取得した。
図4〜図7に、実施例1〜3及び比較例の正極活物質を用いた二次電池の放電曲線を示す。図4〜図7の縦軸は放電容量(mAh/g)であり、横軸はLiに対する電位(V:vs.Li/Li+)である。なお、本例においては、300mA/gの電流密度は、1.0C、つまり、1時間で充電率が100%となる充放電レートに相当する。同様に、30mA/g、100mA/g、900mA/gの電流密度は、それぞれ、C/10、C/3、3.0Cの充放電レートに相当する。
図4〜図7に示す放電曲線に基づいて、各電流密度における放電容量を算出するとともに、30mA/gの電流密度における放電容量に対する900mA/gにおける放電容量の比率を算出した。これらの値は、それぞれ、表1に示した通りであった。また、図8に、各正極活物質の30mA/gの電流密度における放電容量及び900mA/gにおける放電容量をプロットしたグラフを示す。図8の縦軸は放電容量(mAh/g)であり、横軸はMgの置換量、つまり、前記組成式におけるdの値である。
Figure 2021157878
表1及び図8に示したように、Tiの一部をMgで置換した実施例1〜3の正極活物質は、Mgを含まない比較例の正極活物質に比べて30mA/gの電流密度における放電容量に対する900mA/gにおける放電容量の比の値が高い。これらの結果によれば、Li−Ti−Mn系正極活物質におけるTiの一部をMgで置換することにより、放電レート特性を改善し、高電流密度で放電した際の放電容量を高くすることができることがわかる。
また、表1に示したように、実施例1〜3の正極活物質の格子定数は、比較例の正極活物質の格子定数とほとんど同一である。実施例1〜3の正極活物質のようにTiの一部をMgに置換しても格子定数が変化しない理由としては、例えば、以下のような理由が考えられる。すなわち、結晶相中において、TiはTi4+、MgはMg2+として存在している。Mg2+のイオン半径はTi4+のイオン半径よりも大きいため、Ti4+からMg2+への置換は、結晶格子を拡大する効果を有している。一方、Tiの一部をMgに置換すると、電気的中性を保つためにMn3+がMn4+に酸化されると推定される。Mn4+のイオン半径はMn3+のイオン半径よりも小さいため、Mn3+の酸化は結晶格子を縮小する効果を有している。
従って、Tiの一部をMgに置換した場合、Ti4+からMg2+への置換による結晶格子の拡大の効果とMn3+の酸化による結晶格子の縮小の効果とが相殺すると推測される。これにより、実施例1〜3の正極活物質の格子定数と比較例の正極活物質の格子定数とがほとんど同一になると考えられる。
本発明に係る正極活物質及び非水電解液二次電池の具体的な構成は、前述した実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更することができる。また、上述の実施例においては、対極を金属リチウムとするテストセルに関するデータを示したが、これらの実施例の結果から、上述の正極活物質が非水電解液二次電池の正極に好適であることがわかる。実際の非水電解液二次電池の構築にあたっては、実施例1〜3の正極活物質を含有する正極と、カーボンやリチウム系酸化物等からなる負極活物質を含有する負極とを組み合わせることができる。
1 非水電解液二次電池
2 正極
3 対極
4 セパレータ
5 非水電解液

Claims (3)

  1. 非水電解液二次電池に用いられる正極活物質であって、
    LiaTib-dMncMgdeの組成式(ただし、前記組成式におけるa〜eは、1.0<a<1.3、0<b<1、0<c<1、0<d<0.25、1.8<e<2.2、d<b、b+c+d<aの関係を満たす。)で表される組成を有し、かつ、結晶構造が空間群Fm−3mに帰属可能な岩塩型結晶構造である結晶相を含む、正極活物質。
  2. 前記正極活物質は、粒子径10μm以下の粒子から構成されている、請求項1に記載の正極活物質。
  3. 正極と、負極と、非水電解液とを有する非水電解液二次電池であって、
    前記正極は、請求項1または2に記載の正極活物質を含む、非水電解液二次電池。
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