JP2021155862A - ロジン系エマルジョンサイズ剤、紙 - Google Patents

ロジン系エマルジョンサイズ剤、紙 Download PDF

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雅彦 須田
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哲 有賀
大志 服部
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大志 服部
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Abstract

【課題】機械的安定性に優れ、良好なサイズ効果を示すロジン系エマルジョンサイズ剤の提供。【解決手段】ロジン系樹脂(A)と乳化剤(B)との乳化物を含むロジン系エマルジョンサイズ剤であって、(B)成分の理論ガラス転移温度が80〜160℃であり、かつ、前記サイズ剤の最低造膜温度が30〜80℃であるロジン系エマルジョンサイズ剤。【選択図】なし

Description

本発明は、ロジン系エマルジョンサイズ剤、紙に関する。
ロジン系エマルジョンサイズ剤とは、各種乳化剤及び水の存在下でロジン系樹脂を乳化してなる組成物をいい、これを用いて得られた紙は、パルプ繊維に定着したエマルジョン粒子に起因して良好なサイズ効果を示す。
前記のロジン系樹脂としては、従来、優れたサイズ効果の点で、ガムロジンやトール油ロジン、ウッドロジン等の原料ロジンを、マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸で変性した所謂強化ロジンやそのエステル化物が、それらの優れたサイズ性の点で汎用されている(特許文献1)。また、乳化剤についても分岐構造を導入することによって、サイズ効果の改善を図った技術が開示されている(特許文献2)。
特開昭61−108796号公報 特開2009−287148号公報
ところで、ロジン系エマルジョンサイズ剤は、紙の抄造時にパルプ中へ添加して、熱がかかることにより、紙全体に溶け広がって、サイズ効果が発揮される。しかしながら、乳化に用いる乳化剤によっては、親水性が高いために、水中にロジン系エマルジョンサイズ剤が溶け込んで、サイズ効果が不十分となる、または熱でロジン系エマルジョンサイズ剤が分解して、抄紙装置の汚れ発生を招くことがある。
本発明の課題は、機械的安定性に優れ、良好なサイズ効果を示すロジン系エマルジョンサイズ剤を提供することにある。
本発明者らは、乳化剤及びロジン系エマルジョンサイズ剤の温度パラメータに着目して、鋭意検討することにより、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下のロジン系エマルジョンサイズ剤、紙に関する。
1.ロジン系樹脂(A)と乳化剤(B)との乳化物を含むロジン系エマルジョンサイズ剤であって、
(B)成分の理論ガラス転移温度が80〜160℃であり、かつ、
前記サイズ剤の最低造膜温度が30〜80℃であるロジン系エマルジョンサイズ剤。
2.(A)成分がα,β−不飽和カルボン酸変性ロジンを含む前項1のロジン系エマルジョンサイズ剤。
3.(B)成分が、
ホモポリマーとした際のガラス転移温度が75〜180℃であるエチレン性不飽和二重結合を有するモノマー(b1)と、
ホモポリマーとした際のガラス転移温度が70℃以下であるであるエチレン性不飽和二重結合を有するモノマー(b2)と、
α,β−不飽和カルボン酸(b3)とを
反応成分に含む重合体である(ただし、(b1)及び(b2)成分の内、COOH基又は硫黄原子を有するモノマーを除く)、前項1又は2に記載のロジン系エマルジョンサイズ剤。
4.前記反応成分が、更に硫黄原子を有する化合物(b4)を含む前項1〜3のいずれかに記載のロジン系エマルジョンサイズ剤。
5.前記反応成分が、更に2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを含む前項1〜4のいずれかに記載のロジン系エマルジョンサイズ剤。
6.体積平均粒子径が0.1〜1.2μmである前項1〜5のいずれかに記載のロジン系エマルジョンサイズ剤。
7.前項1〜6のいずれかに記載のロジン系エマルジョンサイズ剤を用いて得られる紙。
本発明に係るロジン系エマルジョンサイズ剤(以下、単に“サイズ剤”ともいう。)によれば、特定の理論ガラス転移温度を有する乳化剤を使用し、かつサイズ剤自体も特定の最低造膜温度を有することにより、優れた機械的安定性と良好なサイズ効果を示す。
本発明のロジン系エマルジョンサイズ剤は、ロジン系樹脂(A)(以下、(A)成分という)と乳化剤(B)(以下、(B)成分という)との乳化物を含むものであって、(B)成分の理論ガラス転移温度が80〜160℃であり、かつ、前記サイズ剤の最低造膜温度が30〜80℃であるものを指す。
(A)成分は、ロジン系樹脂であり、ロジン系エマルジョンサイズ剤の良好な乳化性とサイズ効果を発揮する成分である。(A)成分としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、メルクシ松ロジン(ジヒドロアガト酸含有ロジン)、湿地松ロジン(コムン酸含有ロジン)等の未変性ロジン;水素化ロジン、α,β−不飽和カルボン酸変性ロジン、不均化ロジン、又はこれらのエステル化物(未変性ロジンエステル、α,β−不飽和カルボン酸変性ロジンエステル、不均化ロジンエステル)等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。中でも、紙が良好なサイズ効果を示す点から、未変性ロジン、α,β−不飽和カルボン酸変性ロジン及び未変性ロジンエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、α,β−不飽和カルボン酸変性ロジンを含むことがより好ましい。
また、(A)成分は、公知の減圧留去法、水蒸気蒸留法、抽出法、再結晶法等で精製されていても良い。
α,β―不飽和カルボン酸変性ロジン(以下、単にカルボン酸変性ロジンともいう)とは、未変性ロジンにα,β−不飽和カルボン酸が付加したものである。α,β−不飽和カルボン酸としては、特に限定されず、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸;アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和モノカルボン酸等が挙げられる。α,β−不飽和カルボン酸の使用量も、特に限定されず、未変性ロジン100重量部に対して通常1〜30重量部程度である。
α,β―不飽和カルボン酸変性ロジンの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、適当な反応容器内で未変性ロジン及びα,β−不飽和カルボン酸を一括混合後、加熱溶融し、190〜230℃程度で1〜3時間程度、ディールス・アルダー反応させる方法が挙げられる。
α,β−不飽和カルボン酸変性ロジンの物性は特に限定されないが、紙が良好なサイズ効果を示す点から、通常、軟化点が85〜140℃程度及び酸価が195〜320mgKOH/g程度であり、好ましくは軟化点が95〜130℃程度及び酸価が240〜295mgKOH/g程度である。
未変性ロジンエステルは、未変性ロジンと多価アルコールとの反応生成物である。
多価アルコールとしては、特に限定されないが、3価アルコール及び/又は4価アルコールが好ましく、前者としては例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及び3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール等が、また後者としてはペンタエリスリトール及びジグリセリン等が挙げられる。
未変性ロジンエステルは、各種公知の方法で製造することができる。例えば、未変性ロジンと多価アルコールとを通常200〜350℃で6〜20時間、エステル化反応させることにより得られる。また、反応は常圧下、減圧下及び加圧下のいずれかで行えばよい。また、未変性ロジンと多価アルコールとの使用量の比率も特に限定されないが、通常、前者のカルボキシル基と後者の水酸基との当量比[OH(eq)/COOH(eq)]が0.2〜1.5程度、好ましくは0.4〜1.2程度となることが好ましい。また、反応の際には、パラトルエンスルホン酸等のエステル化触媒や、各種酸化防止剤を使用しても良い。また、反応は、窒素気流下で実施してもよい。
未変性ロジンエステルの物性は特に限定されないが、紙が良好なサイズ効果を示す点から、通常、軟化点が80〜100℃程度、酸価が0〜25mgKOH/g程度及び水酸基価が0〜30mgKOH/g程度であり、好ましくは、軟化点が85〜95℃程度、酸価が10〜20mgKOH/g程度及び水酸基価が0〜10mgKOH/g程度である。
(B)成分は、乳化剤であり、その理論ガラス転移温度が80〜160℃を有するものである。(B)成分の理論ガラス転移温度が80℃未満であると、サイズ剤の機械的安定性が悪化する傾向があり、160℃を超えると、紙のサイズ効果が低くなる傾向がある。
(B)成分の理論ガラス転移温度(Tg)は、(式1)で得られるT(単位:K)を℃に換算した値であり、“T”は、乳化剤をなす反応成分である各エチレン性不飽和モノマーの仕込み重量分率(w)(単位:重量%)及びホモポリマーとした際のガラス転移温度(t)(単位:K)を用いて算出される。
(式1)1/T=(全モノマーの仕込み重量分率)/(各モノマーの仕込み重量分率と当該モノマー/当該モノマーをホモポリマーとした際の理論ガラス温度(t))
=(w+w+w+・・・+w)/(w/t+w/t+w/t+・・・+w/t
なお、エチレン性不飽和モノマーのホモポリマーとした際の理論ガラス転移温度(t)とは、そのモノマーのみを単独で重合して製造したポリマーのガラス転移温度のことであり、例えば、Wiley−Interscienceの『POLYMER HANDBOOK FOURTH EDITION』(2003)に具体的な数値が記載されている。なお、本発明では、化学メーカーのホームページ又は製品カタログの情報、またこれらの情報に記載がない場合は、特許第6219368号、特開2011−081391号公報に記載の値を採用した。
(B)成分をなす反応成分のエチレン性不飽和モノマーとしては、前記理論ガラス転移温度を満たすものであれば、特に限定されず、各種公知のものを使用できるが、特にサイズ剤の優れた機械的安定性の点から、ホモポリマーとした際のガラス転移温度が75〜180℃であるエチレン性不飽和二重結合を有するモノマー(b1)(以下、(b1)成分という。)と、
ホモポリマーとした際のガラス転移温度が70℃以下であるであるエチレン性不飽和二重結合を有するモノマー(b2)(以下、(b2)成分という。)と、
α,β−不飽和カルボン酸(b3)(以下、(b3)成分という。)とを
反応成分に含む重合体(ただし、(b1)及び(b2)成分の内、COOH基又は硫黄原子を有するモノマーを除く)が好ましい。
(b1)成分は、ホモポリマーとした際のガラス転移温度が75〜180℃であるエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーであり、当該ガラス転移温度であることにより、サイズ剤の機械的安定性が優れる傾向がある。また、同様の傾向から、(b1)成分の前記ガラス転移温度は、90〜165℃が好ましい。
(b1)成分としては、例えば、スチレン(80℃、日東電工(株)製)、α−メチルスチレン(168℃、特開2011−081391号公報より)、アクリルアミド(165℃、日東電工(株)製)、メチルメタクリレート(105℃、三菱ケミカル(株)製)、t−ブチルメタクリレート(107℃、共栄社化学(株)製)、イソボルニルアクリレート(94℃、共栄社化学(株)製)、ジプロピレングリコールジアクリレート(104℃、巴工業(株)製)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(117℃、共栄社化学(株)製)、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート(105℃、共栄社化学(株)製)等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。中でも紙のサイズ効果が優れる点から、スチレン、α−メチルスチレン、アクリルアミドが好ましい。
(b2)成分は、ホモポリマーとした際のガラス転移温度が70℃以下であるエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーであり、当該ガラス転移温度であることにより、紙のサイズ効果が優れる傾向になる。また、同様の傾向から、(b2)成分の前記ガラス転移温度は、−90〜70℃が好ましく、−90〜−50℃がより好ましい。
(b2)成分としては、例えば、エチルメタクリレート(65℃、共栄社化学(株)製)、n−ブチルアクリレート(−55℃、日東電工(株)製)、n−ブチルメタクリレート(20℃、共栄社化学(株)製)、イソブチルアクリレート(48℃、共栄社化学(株)製)、t−ブチルアクリレート(14℃、大阪有機化学工業(株)製)、n−オクチルアクリレート(−65℃、大阪有機化学工業(株)製)、2−エチルヘキシルアクリレート(−85℃、大成ファインケミカル(株)製)、2−エチルヘキシルメタクリレート(−10℃、共栄社化学(株)製)、n−ノニルアクリレート(−37℃、大阪有機化学工業(株)製)、イソノニルアクリレート(−58℃、大阪有機化学工業(株)製)、イソデシルアクリレート(−62℃、大阪有機化学工業(株)製)、イソデシルメタクリレート(−41℃、共栄社化学(株)製)、n−ドデシルアクリレート(−23℃、大阪有機化学工業(株)製)、n−ドデシルメタクリレート(−65℃、共栄社化学(株)製)、n−ステアリルアクリレート(30℃、大阪有機化学工業(株)製)、イソステアリルアクリレート(−18℃、大阪有機化学工業(株)製)、n−ステアリルメタクリレート(38℃、新中村化学工業(株)製)、シクロヘキシルアクリレート(15℃、大阪有機化学工業(株)製)、シクロヘキシルメタクリレート(66℃、共栄社化学(株)製)、ベンジルアクリレート(6℃、大阪有機化学工業(株)製)、ベンジルメタクリレート(54℃、共栄社化学(株)製)、フェノキシエチルアクリレート(2℃、大阪有機化学工業(株)製)、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート(−25℃、共栄社化学(株)製)、ヒドロキシエチルアクリレート(−15℃、大阪有機化学工業(株)製)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(55℃、共栄社化学(株)製)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート(−7℃、大阪有機化学工業(株)製)、4−ヒドロキシブチルアクリレート(−32℃、大阪有機化学工業(株)製)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(26℃、共栄社化学(株)製)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(63℃、共栄社化学(株)製)、1,9−ノナンジオールジアクリレート(68℃、共栄社化学(株)製)、ネオペンチルグリコールジメタクリレート(32.5℃、共栄社化学(株)製)、ジメチルアミノエチルメタクリレート(18℃、共栄社化学(株)製)、ジエチルアミノエチルメタクリレート(20℃、共栄社化学(株)製)、ポリエチレングリコールジアクリレート(例えば、エチレングリコール鎖が2個のもので66℃(巴工業(株)製)、4個のもので23℃、9個のもので−20℃、14個のもので−23℃(以上、新中村化学工業(株)製)である)、ポリプロピレングリコールジアクリレート(例えば、プロピレングリコール鎖が7個のもので−30℃、12個のもので−32℃(以上、東亞合成(株)製)である)等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。中でも(b1)成分及び(b3)成分との共重合性の点から、n−ブチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートが好ましい。
なお、(b1)成分及び(b2)成分は、COOH基又は硫黄原子を有するものを除いたものである。
(b3)成分は、α,β−不飽和カルボン酸であり、サイズ剤の機械的安定性に寄与する成分である。(b3)成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸又はこれらの塩等が挙げられる。塩としては、特に限定されず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニア、メチルアミン、エタノールアミン等のアンモニウム塩等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。中でもサイズ剤の機械的安定性が優れる点から、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸又はその塩が好ましい。なお、好ましい(b3)成分のホモポリマーとした際のガラス転移温度は、メタクリル酸が228℃(三菱ケミカル(株)製)、アクリル酸が106℃(特許第6219368号より)、イタコン酸が154℃(特許第6219368号より)である。
(B)成分には、反応成分として、さらに硫黄原子を含む化合物(b4)(以下、(b4)成分という。)を含んでも良い。なお、(b4)成分はホモポリマーをなさないため、前述の(式1)における仕込み重量及びホモポリマーとした際のガラス転移温度には加味されない。
(b4)成分としては、例えば、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸又はこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニア、メチルアミン、エタノールアミン等のアンモニウム塩)等のスルホン酸基を有するエチレン性不飽和モノマー;n−ステアリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等のメルカプタン;エタンチオール、プロパンチオール、チオフェノール、トルエンチオール等のチオール;チオグリコール酸、チオリンゴ酸、ジメチルジチオカルバミン酸等のチオカルボン酸;チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸n−オクチル等のチオグリコール酸エステル;メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル、メルカプトプロピオン酸n−オクチル、メルカプトプロピオン酸n−ステアリル等のメルカプトピロピオン酸エステル;等が挙げられる。
(B)成分には、反応成分として、さらに2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(以下、AMSDともいう。)を含んでも良い。なお、(b5)成分は、前述の(式1)における仕込み重量及びホモポリマーとした際のガラス転移温度には加味されない。
前記(b1)〜(b4)成分、及びAMSDの使用量としては、特に限定されないが、紙のサイズ効果が優れる点から、固形分重量で、(b1)〜(b4)成分及びAMSDの合計重量比率を100重量%として、以下の範囲とすることが好ましい。
・(b1)成分:好ましくは0〜80重量%、より好ましくは20〜60重量%
・(b2)成分:好ましくは0〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%
・(b3)成分:好ましくは5〜80重量%、より好ましくは10〜70重量%
・(b4)成分:好ましくは0〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%
・AMSD :好ましくは1〜8重量%、より好ましくは3〜6重量%
重合体の製造方法としては、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等の各種公知の方法を採用でき、前記モノマー成分を重合させることにより容易に得られる。溶液重合による場合には、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルイソブチルケトン等の溶媒を使用できる。乳化重合で使用する乳化剤としては、特に限定されず、各種の界面活性剤を使用できる。界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン性界面活性剤;これらの界面活性剤にビニル基又はアリル基、プロペニル基を導入した反応性界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は単独でも2種以上を適宜組み合わせることができる。また、界面活性剤の使用量は全モノマー成分100重量%に対して、通常は0.1〜10重量%程度とされる。
また、前記重合で使用する重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩等のアゾ系重合開始剤等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。中でも、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩が好ましい。また、任意ではあるが、有機過酸化物のラジカル発生を容易にする点で還元剤を併用しても良い。還元剤としては、亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩;亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸水素塩;トリエタノールアミン、硫酸第一銅等が挙げられる。更に(B)成分の重量平均分子量を調節するために公知の連鎖移動剤を併用しても良い。連鎖移動剤としては、特に限定されず、例えば、イソプロピルアルコール、四塩化炭素、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、クメン、チオグリコール酸エステル、アルキルメルカプタン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
(B)成分には、必要に応じて、酸化防止剤、防腐剤、消泡剤、キレート剤等の添加剤を添加しても良い。
前記製造方法で得られる(B)成分の物性としては、特に限定されないが、例えば、濃度25重量%、温度25℃における粘度が、10〜1000mPa・s程度が好ましく、10〜500mPa・s程度がより好ましい。
本発明の製紙用エマルションサイズ剤における(B)成分の含有量としては、特に限定されないが、(A)成分と(B)成分との良好な乳化性の点から(A)成分100重量部に対し、固形分重量で、5〜15重量部が好ましく、5〜10重量部がより好ましい。
(A)成分を(B)成分で分散させる方法、すなわちロジン系エマルションサイズ剤を製造する方法としては、高圧乳化法、反転乳化法のいずれも採用することができる。なお、分散媒としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール;環境負荷を低減する点から、水を用いることが望ましいが、水及び有機溶媒の混合溶媒を用いても良い。
有機溶媒としては、水に可溶なものであれば特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジアセトンアルコール等のアルコール;エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。なお、有機溶媒を含有する場合、有機溶媒の含有量としては、10重量%未満が好ましい。
高圧乳化法による場合は、分散相を形成する(A)成分を溶融させるか、あるいはベンゼン、トルエン等の溶剤に溶解させ、次いでこれに(B)成分を前記使用割合で添加すると同時に温水を混合し、高圧乳化機を使用して乳化した後、そのままで、あるいは溶媒を留去することにより水性分散液を得ることができる。また、反転乳化法による場合は、固形分である(A)成分と(B)成分とを充分混練したのち溶融下、撹拌しながら徐々に温水を滴下し、相反転させることにより溶媒及び特殊な乳化装置を使用することなく水性分散液を得ることができる。該水性分散液の固形分濃度は特に制限はされないが、通常10〜50重量%であり、必要に応じて水で稀釈して使用することもできる。
また、本発明のサイズ剤には、例えば、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド類、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子等の紙力増強剤や、防滑剤、防腐剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤(シリコン系消泡剤等)、増粘剤、充填剤、酸化防止剤、耐水化剤、造膜助剤、顔料、染料等を添加できる。
前記製造方法で得られるサイズ剤の物性としては、最低造膜温度(以下、MFTという)が30〜80℃である。MFTとは、サイズ剤より前記分散媒(例えば、水分)が蒸発して、膜を形成するために必要な最低温度のことであり、市販の最低造膜温度計で測定することにより得られる数値である。MFTが、30℃未満であると、熱によってサイズ剤自体が分解しやすくなる。そのため、サイズ剤の機械的安定性が劣り、例えば、抄造装置の汚れが発生しやすくなる。また、MFTが、80℃を超えると、サイズ剤が、熱によって膜を形成しにくくなるため、紙のサイズ効果が十分に発揮されにくくなる。また、同様の点から、MFTは40〜70℃が好ましく、40〜50℃がより好ましい。
また、その他の物性としては、特に限定されず、サイズ剤の濃度50重量%、温度25℃におけるB型粘度計での粘度が、通常10〜200mPa・s程度、好ましくは10〜100mPa・s程度である。
さらに、サイズ剤の体積平均粒子径が通常は、0.1〜2μm程度、好ましくは0.4〜1.5μm程度である。なお、体積平均粒子径は、レーザー回折・散乱法による粒子径測定装置により測定された値である。
本発明の紙は、本発明のサイズ剤を用いて得られる。サイジングの方法としては、内添サイジング及び表面サイジング、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
内添サイジングにおいては、本発明のサイズ剤をパルプスラリーに添加し、酸性領域ないし中性領域で抄紙する。また、本発明のサイズ剤の使用量は特に限定されないが、通常、パルプの乾燥重量に対して0.05〜3重量%程度となる範囲である。また、パルプの種類も特に限定されず、広葉樹パルプ(LBKP)、針葉樹パルプ(NBKP)等の化学パルプ;砕木パルプ(GP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ;段ボール古紙等の古紙パルプ等が挙げられる。また、内添サイジングの際には、定着剤として、硫酸アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウムが好ましい。また、パルプスラリーのpHは、硫酸や水酸化ナトリウム等によって調節できる。また、他の中性サイズ剤として、例えば、スチレン−ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体のエピクロルヒドリン変性物、アルケニル無水コハク酸、アルキルケテンダイマー、脂肪酸−ポリアルキルポリアミン縮合物のエピクロルヒドリン変性物等を併用できる。また、他にも紙力増強剤として、例えば、カチオン化澱粉等の澱粉類;ポリアクリルアミド系紙力増強剤、ポリアミドポリアミン樹脂のエピクロルヒドリン変性物、ジシアンジアミド樹脂のエピクロルヒドリン変性物、スチレン−ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体のエピクロルヒドリン変性物、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物、アクリルアミド−ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ポリアクリルアミドのホフマン分解物、ジアルキルジアリルアンモニウムクロライドと二酸化イオウとの共重合体等を併用できる。また、パルプスラリーには、タルク、クレー、カオリン、二酸化チタン及び炭酸カルシウム等の填料を添加できる。
表面サイジングにおいては、本発明のサイズ剤を不揮発分0.01〜2.0重量%程度に希釈してサイズ液となし、これを各種公知の手段により原紙に塗工する。塗工手段は特に限定されず、例えば、サイズプレス法、ゲートロール法、バーコーター法、カレンダー法、スプレー法等が挙げられる。また、サイズプレス法としては、例えば、2ロールサイズプレス塗工方式やロッドメタリングサイズプレス塗工方式が挙げられる。また、サイズ液の塗布量(固形分)は特に限定されないが、通常、0.001〜2.0g/m程度、好ましくは0.005〜0.5g/m程度である。また、原紙も特に限定されず、例えば、木材セルロース繊維を原料とする未塗工の紙を用いることができる。また、原紙を構成するパルプとしては前記したものが挙げられる。また原紙は、前記定着剤、中性サイズ剤、紙力剤及び填料からなる群より選ばれる1種を用いて抄紙されたものであってよく、また、該中性サイズ剤及び/又は紙力剤が表面に塗工されたものであってもよい。
本発明の紙は、坪量に応じて様々な製品に供される。例えば20〜150g/m程度の低〜中坪量の成紙は、例えば、フォーム用紙、PPC用紙、感熱記録原紙及び感圧記録原紙等の記録用紙;アート紙、キャストコート紙、上質コート紙等のコート紙;クラフト紙、純白ロール紙等の包装用紙;ノート用紙、書籍用紙、印刷用紙、新聞用紙等の洋紙等として利用できる。また、150g/m以上の高坪量の成紙は、例えばマニラボール、白ボール、チップボール、ライナー、中芯等の板紙等として利用できる。
以下、実施例を挙げて、更に本発明を具体的に説明するが、本発明を限定するものではない。また特段の断りがない限り、「%」はいずれも重量基準である。
(乳化剤の理論ガラス転移温度)
使用する各モノマーの仕込み重量分率(w)とホモポリマーとした際のガラス転移温度(t)とを式1に代入することによりT(K)を求めた。得られたT(K)の単位を℃になるように換算して、乳化剤の理論ガラス転移温度(Tg)を求めた。なお、式1におけるwの単位は重量%であり、Tとtの単位は“K”である。表1に結果を示す。
(式1)1/T=(w+w+w+・・・+w)/(w/t+w/t+w/t+・・・+w/t
(粘度)
ブルックフィールド回転粘度計(製品名:「VISCOMETER TVK−10」、(株)東機産業製)を用いて、25℃に保温したサイズ剤の粘度を測定した。表2に結果を示す(以下同様)。
(pH)
市販の測定機(製品名「pH METER F−14」、(株)堀場製作所製)を用いて、25℃に保温したサイズ剤のpHを測定した。
(体積平均粒子径)
レーザー回折・散乱法による粒子径測定装置(製品名「LASER DIFFRACTION PARTICLE SIZE ANALYZER SALD−2000J」、(株)島津製作所製)を用いてサイズ剤の体積平均粒子径を測定した。
(最低造膜温度(MFT))
市販のMFT測定機(装置名「最低造膜温度計」、安田精機製作所(株)製)を所定の温度勾配に設定し、ロジン系エマルジョンサイズ剤を200μmのアプリケーターを用いて、薄く塗布する。その後、乾燥剤(シリカゲル300g)を入れて30分間放置する。エマルジョンが膜化した最低の温度を表面温度計により測定する。
(機械的安定性)
サイズ剤50gをマーロン式安定度試験器(新星産業(株)製)の容器に秤取し、温度25℃、荷重10kg、回転速度1000r.p.m.で5分間強撹拌した後、生じた凝集物を350メッシュ金網で濾取し、式2に従い、値を算出し、以下の基準で評価した。
(式2)機械的安定性(%)=(凝集物の絶乾重量/サイズ剤の絶乾重量)×100
(評価基準)
〇:式2で得られた値が1.0%未満
×:式2で得られた値が1.0%以上
製造例A(カルボン酸変性ロジン(A−1)の製造)
撹拌機、温度計、窒素導入管及び冷却器を備えた反応容器に、中国産ガムロジンの約160℃の溶融物500g、フマル酸45gを仕込み、窒素気流下に撹拌しながら200℃で2時間反応させることにより、カルボン酸変性ロジン(A−1)を得た。
製造例B(カルボン酸変性ロジン(A−2)の製造)
製造例Aにおいて、フマル酸60gを仕込んで同様に合成し、カルボン酸変性ロジン(A−2)を得た。
製造例C(カルボン酸変性ロジン(A−3)の製造)
製造例Aにおいて、フマル酸30g及び無水マレイン酸30gを仕込んで同様に合成し、カルボン酸変性ロジン(A−3)を得た。
製造例D(カルボン酸変性ロジン(A−4)の製造)
製造例Aにおいて、無水マレイン酸45gを仕込んで同様に合成し、カルボン酸変性ロジン(A−4)を得た。
製造例E(カルボン酸変性ロジン(A−5)の製造)
製造例Aにおいて、無水マレイン酸10gを仕込んで同様に合成し、カルボン酸変性ロジン(A−5)を得た。
製造例F(ロジンエステル(A−6)の製造)
製造例Aと同様の反応容器に、中国産ガムロジン663.2gと、グリセリン55.6gを仕込み、酸化防止剤として、ノクラック300(大内新興化学工業(株)製)10g、及び触媒としてパラトルエンスルホン酸0.1gを加えて、窒素気流下に撹拌しながら270℃で15時間反応させることにより、ロジンエステル(A−6)を得た。
製造例1
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、界面活性剤(ハイテノールLA−10、第一工業製薬(株)製)1g、スチレン40g、α−メチルスチレン40g、80%メタクリル酸25g及びイオン交換水250gを仕込み、この混合液を窒素ガスバブリング下に撹拌しながら60℃まで反応系を昇温させた。次いで、APSを5g加え、90℃まで昇温し、100分間保持した後、更にAPSを1.0g更に加え、90℃で60分間保持した。次いで、48%水酸化ナトリウム水溶液20.1gを加え、イオン交換水を加えることによって、乳化剤の水溶液を得た。なお、乳化剤の理論ガラス転移温度を表1に示す(以下同様)。
製造例2〜6、10〜11、比較製造例1〜4
表1に示す組成で、製造例1と同様に合成し、乳化剤の水溶液をそれぞれ得た。
製造例7
製造例1と同様の反応容器に、アクリルアミド60g、イタコン酸10g、シクロヘキシルメタクリレート30g、並びにイオン交換水220g及びイソプロピルアルコール250gを仕込み、撹拌しながら窒素ガスバブリング下で50℃まで反応系を昇温した。次いで、APSを2.2g加え、80℃まで昇温し、180分間保持した。次いで水蒸気吹き込みによりイソプロピルアルコールを留去し、イオン交換水を加えることにより、乳化剤の水溶液を得た。
製造例8〜9
表1に示す組成で、製造例7と同様に合成し、乳化剤の水溶液をそれぞれ得た。
Figure 2021155862
※SMAS及びAMSDは、ホモポリマーをなさないため、乳化剤の理論ガラス転移温度の計算においては加味していない。
表1に示す略号は、以下の化合物を意味する。
(b1)成分
・St:スチレン(ガラス転移温度:80℃)
・αMeSt:α−メチルスチレン(ガラス転移温度:168℃)
・AM:アクリルアミド(ガラス転移温度:165℃)
(b2)成分
・BA:n−ブチルアクリレート(ガラス転移温度:−55℃)
・CHMA:シクロヘキシルメタクリレート(ガラス転移温度:66℃)
・2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート(ガラス転移温度:−85℃)
・HPA:2−ヒドロキシプロピルアクリレート(ガラス転移温度:−7℃)
(b3)成分
・MAA:メタクリル酸(ガラス転移温度:228℃)
・IA:イタコン酸(ガラス転移温度:154℃)
(b4)成分
・SMAS:メタリルスルホン酸ナトリウム
(b5)成分
・AMSD:2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン
実施例1
製造例1と同様の反応容器に、カルボン酸変性ロジン(A−1)100gを仕込み、約160℃で加熱溶融させた。次いで、撹拌下に、製造例1の乳化剤の水溶液(固形分重量10.0g)を徐々に滴下してW/O形態のエマルジョンとし、更に熱水を添加して安定なO/W型エマルジョンとした。その後、このエマルジョンを室温まで冷却することにより、固形分濃度50%、pH6のロジン系エマルジョンサイズ剤を得た。得られたロジン系エマルジョンサイズ剤の物性を表2に示す(以下同様)。
実施例2〜18、比較例1〜6
表2に示すロジン系樹脂及び乳化剤を用いて、実施例1と同様に合成し、固形分濃度50%、pH6のロジン系エマルジョンサイズ剤をそれぞれ得た。なお、いずれも乳化剤の水溶液は、ロジン系樹脂100gに対して、固形分重量で10.0gを使用した。
<抄紙評価>
広葉樹晒クラフトパルプ(以下、L−BKPという)に、パルプ濃度が2.0%になる量の水道水を加え、ビーターを用いて300mlカナディアン・スタンダード・フリーネスまで叩解した。次いで、得られたパルプスラリーを更に水道水で希釈してパルプ濃度1.0%のスラリーを調製した。この希釈パルプスラリーに、対パルプ16.0%(絶乾重量基準、以下同様)となる填料(炭酸カルシウムとタルクの混合物)、1.5%となる硫酸バンド、及び0.3%となる市販カチオン変性澱粉を添加して、pH5.0のパルプスラリーを調成した。なお、抄紙系のpHは硫酸水溶液で調節した。
次いで、当該パルプスラリーに、実施例1のロジン系エマルジョンサイズ剤を、対パルプ0.3%(固形分換算)となるように加え、抄紙機(Tappi Standard Sheet Machine(丸型)、以下同様)を用いて抄紙し、湿紙を得た。湿紙をロールプレス機(条件:線圧5.5kg/cm、送り速度2m/min)で脱水し、回転式ドライヤーを用いて90℃で360秒間乾燥させた。得られた乾燥紙を恒温恒湿(23℃、50%相対湿度)環境下で24時間調湿することによって、坪量が80g/mの成紙(試験用紙)を得た。実施例2〜18及び比較例1〜6についても同様の方法で行い、成紙を得た。
次いで、各試験用紙について、JIS−P8122に準じてステキヒトサイズ度を測定した。結果を表2に示す。なお、ステキヒトサイズ度は値が大きいほど良い。結果を表2に示す。
Figure 2021155862
*1:乳化剤の使用量は固形分重量で示す。

Claims (7)

  1. ロジン系樹脂(A)と乳化剤(B)との乳化物を含むロジン系エマルジョンサイズ剤であって、
    (B)成分の理論ガラス転移温度が80〜160℃であり、かつ、
    前記サイズ剤の最低造膜温度が30〜80℃であるロジン系エマルジョンサイズ剤。
  2. (A)成分がα,β−不飽和カルボン酸変性ロジンを含む請求項1のロジン系エマルジョンサイズ剤。
  3. (B)成分が、
    ホモポリマーとした際のガラス転移温度が75〜180℃であるエチレン性不飽和二重結合を有するモノマー(b1)と、
    ホモポリマーとした際のガラス転移温度が70℃以下であるであるエチレン性不飽和二重結合を有するモノマー(b2)と、
    α,β−不飽和カルボン酸(b3)とを
    反応成分に含む重合体である(ただし、(b1)及び(b2)成分の内、COOH基又は硫黄原子を有するモノマーを除く)、請求項1又は2に記載のロジン系エマルジョンサイズ剤。
  4. 前記反応成分が、更に硫黄原子を有する化合物(b4)を含む請求項1〜3のいずれかに記載のロジン系エマルジョンサイズ剤。
  5. 前記反応成分が、更に2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを含む請求項1〜4のいずれかに記載のロジン系エマルジョンサイズ剤。
  6. 体積平均粒子径が0.1〜1.2μmである請求項1〜5のいずれかに記載のロジン系エマルジョンサイズ剤。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のロジン系エマルジョンサイズ剤を用いて得られる紙。
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