JP2021155733A - 粘着剤シートの製造方法及び粘着剤シート - Google Patents

粘着剤シートの製造方法及び粘着剤シート Download PDF

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Abstract

【課題】粘着剤シートに添加剤を配合する場合であっても、粘着剤シートの物性変化や添加剤間の干渉を最小限に抑えつつ、添加剤選択や硬化条件などの設計の自由度が高くして設計が容易な粘着剤シートの製造方法及び該製造方法で得られる粘着剤シートを提供する。【解決手段】本発明の粘着剤シートの製造方法は、支持体S上に、透明な粘着剤ベース材料により形成される粘着剤層10を形成し、前記粘着剤層10を硬化させ、添加剤11の溶液12を準備し、前記硬化した粘着剤層10aの一方の面に前記溶液12を塗布して、該溶液12に含まれる前記添加剤11を、前記粘着剤層10aの前記一方の面から厚み方向に浸透させ、前記粘着剤層10aを乾燥させる工程を含むことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、透明な粘着剤層を有する粘着剤シートの製造方法及び該製造方法により得られうる粘着剤シートに関する。特に本発明は、透明な光学部材を他の光学部材に接合するために使用できる透明な粘着剤層を有する粘着剤シートの製造方法及び該製造方法により得られうる粘着剤シートに関する。
液晶表示装置又は有機EL表示装置のような画像表示装置は、偏光フィルム、位相差フィルム、カバーガラス等の透明カバー部材、その他種々の透明光学部材が積層された光学部材積層体により構成されている。これらの光学部材間を接合するために透明な粘着剤層からなる接着シートが使用されている。すなわち、接合される2つの光学部材の間に粘着剤シートが配置され、該2つの光学部材は、これらを互いに押し付けることにより接合されて、光学部材積層体が形成される。また、基材フィルムの片面に粘着剤層を設けた粘着剤シートが、前記光学部材の傷や汚れの付着を防止するための表面保護フィルムとして光学製品の製造工程において一般的に使用されている。
上記の粘着剤シートには、要求特性に応じて、重合開始剤、架橋剤、紫外線吸収剤、防錆剤、帯電防止剤などの各種添加剤が配合される場合がある。
例えば、タッチパネルのような入力装置を備えた画像表示装置では、光学部材の表面に、パターン化されたITO(インジウム・スズ酸化物)などの透明で導電性の印刷層が形成される。さらに周辺部に銀や銅の引回し配線が形成される。また、透明カバー部材の周縁部には、枠状に黒色の隠蔽部を印刷するのが一般的である。このような印刷層や配線を有する光学部材を接合する接着剤シートには、粘着剤層の流動性を高くして、印刷段差に気泡が残らないような段差吸収性を示すことが求められる。
一方、光学部材として用いられるプラスチックフィルム等には二酸化炭素などのガスが含まれており、製造過程における高温条件などでガスが発生することがある。その際に、粘着剤層が柔らかい場合には、ガスの発生を抑え込められずに、粘着剤層が浮いて、気泡が発生しやすいという問題がある。従って、プラスチックフィルムからのガスの発生を抑えるために、接着シートには、粘着剤層の弾性率を高くし、硬くして、接着信頼性を高めることも要求される。
上記の段差吸収性と接着信頼性を両立する粘着剤シートとしては、ハイブリッド粘着剤を含む粘着剤シート(本明細書で、「ハイブリッド粘着剤シート」と称する場合がある)が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。ハイブリッド粘着剤は、熱や光などの硬化開始条件の異なる2種類の重合開始剤や架橋剤(本明細書で、「トリガー」と称する場合がある)を配合し、段階的に硬化する粘着剤組成物である。ハイブリッド粘着剤シートでは、まず、一方のトリガー(本明細書で、「第1のトリガー」と称する場合がある)により流動性が高く、段差吸収性に優れる半硬化の状態にして段差に対して十分に追従させ、その後に他方のトリガー(本明細書で、「第2のトリガー」と称する場合がある)により硬化を完結し、接着信頼性を向上できるという利点を有する。
また、画像表示装置において、入射する紫外線による画像表示装置内の構成部材等の劣化を抑制するために、紫外線カット性が求められることがある。特に、有機EL表示装置では、発光素子として有機化合物が使用されているために液晶表示装置と比較して紫外線による劣化が早く、さらには、偏光フィルムや保護フィルムなどの光学部材の薄型化が進み、紫外線に対する耐光性は低下しており、紫外線吸収層を設けることが必須となっている。例えば、紫外線吸収剤を含有する紫外線吸収層を備える粘着剤シートを使用することが知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、画像表示装置や入力装置において、センサーの大型化や狭額縁化に伴い、銅配線を備えている例が増えている。銅は電気伝導性に優れ、配線として有用な材料であるが、酸化・腐食しやすいという問題がある。銅配線の酸化・腐食を抑制するために粘着剤シートに防錆剤を配合することが知られている(例えば、特許文献3参照)。
また、偏光フィルム等の光学部材から表面保護フィルムを剥がす際に静電気が発生すると画像表示装置の電気回路を損傷することが懸念される。また、静電気は、塵埃を吸引したり、作業性を低下させたりする要因ともなり得る。例えば、表面保護フィルムによる静電気の発生を防止するために、粘着剤層に帯電防止剤を配合することが知られている(例えば、特許文献4参照)。
国際公開WO2016/170875号公報 特開2012−211305号公報 国際公開WO2015/145767号公報 特開2016−128537号公報
上記の各種添加剤を粘着剤シートに配合する場合に、粘着剤シートの粘着力、弾性率などの各種物性に影響を及ぼす場合がある。特に、近年、画像表示装置の軽量化、薄型化により、粘着剤層の薄型化も進んでおり、要求特性を満足するために粘着剤シートに含ませる添加剤の濃度を高める要求が高まっている。また、2種以上の添加剤を配合して、粘着剤シートに多機能を付与する要求も高まってきているが、添加剤同士が干渉し、トレードオフの関係になる場合がある。このように、粘着剤シートに各種添加剤を配合することによる問題点がより顕在化してきている。
このような背景から、添加剤を粘着剤シートに配合する場合には、添加剤による要求特性を満足する他に、粘着剤シートの粘着力、弾性率などの物性変化や添加剤間の干渉を少なくするために、各種添加剤の配合量やベースポリマーのモノマー組成などの粘着剤組成、粘着剤シートの厚み、硬化条件などの設計を1から始めることが必要になってきている。さらには、添加剤による要求特性と粘着剤シートの物性を両立するために、添加剤選択や硬化条件などの設計の自由度が狭くなるという問題もある。
例えば、ハイブリッド粘着剤組成物では、硬化条件の異なる2種類のトリガーが併用されるため、第1のトリガーで第2のトリガーによる硬化反応が進行しないようなトリガーの組み合わせや厳密な硬化条件の設定が必要になり、トリガーの選択や硬化条件などの設計の自由度は極めて狭くなるという問題がある。
例えば、第1のトリガーを熱重合開始剤、第2のトリガーを光重合開始剤とする場合、第1のトリガーの熱硬化時に第2のトリガーの硬化が進行する場合があり、硬化反応の厳密な制御が必要になる。また、厚手の粘着剤層では熱硬化に時間がかかり生産効率が低下するという問題もある。
また、第1のトリガーを光重合開始剤、第2のトリガーを熱重合開始剤とする場合は、光硬化の後の工程で高温に曝されないような工程管理が必要になり、また、粘着剤シートの貼り合わせの後に加熱することも困難であるため、実用性は低い。
また、第1のトリガーと第2のトリガーを光重合開始剤とする場合は、2種類の光重合開始剤の光吸収波長帯を十分に離す必要があり、さらには、上述の紫外線吸収剤をさらに配合する場合は、その波長域とも区別する必要があるため、設計性が極端に狭くなる。
第1のトリガーと第2のトリガーを熱重合開始剤とする場合は、第1のトリガーの熱硬化の際に第2のトリガーも必然的に進行するため、2段階の硬化反応とすることは困難である。
また、粘着剤組成物に紫外線カット性を付与するために十分な量の紫外線吸収剤を配合することにより、粘着剤の物性や硬化性に影響が及ぶという問題がある。特に、紫外線吸収剤を配合した光硬化型粘着剤シートを紫外線照射により硬化させる場合、紫外線吸収剤により紫外線が吸収されてしまい硬化性が悪化して生産性が低下するという問題があった。
さらに、紫外線吸収剤を配合した光硬化型粘着剤シートでは、粘着剤シートの表裏に接着性、粘弾性などの物性差が生じるという問題もある。これは、紫外線が粘着剤層の内部を通過する間に紫外線吸収剤により吸収され、紫外線照射側表面から深くなるほど紫外線照度が低下して、表裏において硬化速度に差が生じるためである。
また、上記の特許文献では、粘着剤組成物に添加剤を配合して均一に溶解させているが、防錆剤や帯電防止剤などは、本来、接合する光学部材との界面付近のみで機能するものである。しかし、粘着剤シートの表面に十分な防錆機能や帯電防止機能を付与するために粘着剤層全体に添加剤を配合する必要があり、それが粘着剤シートの物性などに影響を及ぼすというジレンマがあった。
本発明は、以上のような事情のもとで考え出されたものであって、粘着剤シートに添加剤を配合する場合であっても、粘着剤シートの物性変化や添加剤間の干渉を最小限に抑えつつ、添加剤選択や硬化条件などの設計の自由度が高くして設計が容易な粘着剤シートの製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、粘着剤シートに添加剤を配合する場合であっても、粘着剤シートの物性変化や添加剤間の干渉を最小限に抑えつつ、添加剤選択や硬化条件などの設計の自由度が高くして設計が容易な粘着剤シートを提供することである。
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、粘着剤シートの粘着剤層を硬化させた後に添加剤の溶液を塗布して浸透させることにより、粘着剤層の物性に与える影響や添加剤間の干渉を最小化して、粘着剤層の物性に優れ、且つ添加剤による優れた要求特性を示す粘着剤シートが得られることを見出した。また、添加剤選択や硬化条件などの設計の自由度が格段に向上することを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明の第1の側面は、
支持体上に、透明な粘着剤ベース材料により形成される粘着剤層を形成し、
前記粘着剤層を硬化させ、
添加剤の溶液を準備し、
前記硬化した粘着剤層の一方の面に前記溶液を塗布して、該溶液に含まれる前記添加剤を、前記粘着剤層の前記一方の面から厚み方向に浸透させ、
前記粘着剤層を乾燥させる
工程を含む粘着剤シートの製造方法を提供する。
前記粘着剤層に添加剤を含有させる前に前記粘着剤層を硬化することにより、添加剤の粘着剤層に与える影響を低下させることができる。従って、添加剤による粘着剤層の物性変化を最小限とすることができる。
硬化後の粘着剤層に添加剤の溶液を塗布することにより、粘着剤層に添加剤が浸透する。これにより、粘着剤層に添加剤による要求特性を付与することができる。また、添加剤が溶液の状態で浸透することで粘着剤層の透明性が保たれる。
その後、粘着剤層を加熱等により乾燥する。この工程により、粘着剤層は塗布前に近い状態に戻る。すなわち、粘着剤層は一旦硬化されているので粘着力、弾性率などの物性は前記溶液を塗布する前に近い状態に復元される。
添加剤を添加する前に接着剤層を硬化させているため、接着剤組成物の組成や硬化条件、物性等が一旦決まれば、添加剤を配合することによる組成の再設計の必要はなく、粘着剤層の厚みの変更も容易である。そして、その後の添加剤溶液の塗工条件を変更することで、粘着剤層に付与される要求特性を制御することができる。このように、粘着剤層の物性制御と添加剤による要求特性の制御を分離できるので、粘着剤層の厚みや添加剤の添加量などの変更について1から粘着剤層の設計を行う必要はなく、効率が良い。
本発明の第1の側面の粘着剤シートの製造方法において、前記添加剤の溶液は、前記添加剤を溶媒に溶解させた溶液であってもよく、前記粘着剤層を乾燥させることによって前記溶液の溶媒を蒸発させる工程を含んでいてもよい。
硬化後の粘着剤層に添加剤を溶媒に溶解させた溶液を塗布することにより溶媒が粘着剤層に浸透して粘着剤層が膨潤すると共に、溶媒により膨潤した粘着剤層に、溶媒中に溶解した添加剤が浸透する。これにより、粘着剤層に添加剤による要求特性を付与することができ、また、添加剤が溶液で浸透することで粘着剤層の透明性が保たれる。
粘着剤層に浸透した溶媒は加熱等により蒸発し、粘着剤層は膨潤前に近い状態に戻る。すなわち、粘着剤層は一旦硬化されているので粘着力、弾性率などの物性は前記溶液を塗布する前に近い状態に復元される。
また、例えば、2種以上の添加剤の溶液を、粘着剤層に個別に塗布、乾燥することにより、添加剤間の干渉も低減することができ、多種の要求特性を効率的に付与することができる。
本発明の第1の側面の粘着剤シートの製造方法は、さらに、前記粘着剤層の前記支持体とは反対側の表面に剥離シートを貼り合わせる工程を含んでいてもよい。剥離シートを貼り合わせることにより、粘着剤層表面を保護することができる点で好ましい。
本発明の第1の側面の粘着剤シートの製造方法において、前記添加剤は、重合開始剤、架橋剤、紫外線吸収剤、防錆剤、及び帯電防止剤からなる群から選ばれる少なくとも一種であってもよい。これらの添加剤は、本発明の所定の効果を得るための好適な例である。
前記添加剤が重合開始剤及び架橋剤から選ばれる少なくとも一種である場合、本発明の第1の側面は、ハイブリッド粘着剤シートの製造方法として有用である。
本発明の第1の側面がハイブリッド粘着剤シートの製造方法である場合、
前記粘着剤ベース材料が、第1のトリガーとして、第1の重合開始剤及び第1の架橋剤を含み、
前記硬化が前記第1の重合開始剤及び第1の架橋剤の反応による硬化であり、
前記添加剤が、第2のトリガーとして、第2の重合開始剤及び第2の架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
また、前記第1の重合開始剤は、第2の重合開始剤と同一であってもよい。
第2のトリガーを添加する前に、第1のトリガーによる硬化反応は完結しているため、第2のトリガーによる硬化反応が進行しないような第1のトリガーとの組み合わせや厳密な硬化条件の設定は不要となり、ハイブリッド粘着剤シートの設計自由度は格段に向上する。
すなわち、第1のトリガーと第2のトリガーの硬化反応が分離されているので、第1のトリガーと第2のトリガーの組み合わせの選択の自由度は極めて高い。例えば、第1のトリガーと第2のトリガーの両方が光重合開始剤の組み合わせ、第1のトリガーが熱重合開始剤と第2のトリガーが光重合開始剤の組み合わせ、第1のトリガーが光重合開始剤と第2のトリガーが熱重合開始剤の組み合わせなどを自由に選択することができ、また、従来のハイブリッド粘着剤シートでは困難であった第1のトリガーと第2のトリガーの両方が熱重合開始剤の組み合わせも可能である。また、第1のトリガーと第2のトリガーの両方が光重合開始剤の組み合わせである場合、2種類の光重合開始剤の光吸収波長帯が重複、近似する場合も可能である。
また、従来のハイブリッド粘着剤シートでは不可能であった、第1のトリガーと第2のトリガーとして、同一の重合開始剤(熱重合開始剤と光重合開始剤を問わない)の組み合わせも可能である。
このように、第1のトリガーと第2のトリガーの組み合わせの自由度が極めて高く、同一のトリガーの組み合わせも可能であることは、粘着剤層の着色や劣化を引き起こす恐れのある重合開始剤の使用を回避できる点でも好適である。
さらに、第1のトリガーと第2のトリガーの硬化反応が分離されており、互いに干渉しないため、それぞれの硬化反応を制御するための厳密な条件設定も不要である。例えば、第1のトリガーでは、第2のトリガーが進行しないような条件設定は不要であり、粘着剤層に優れた段差吸収性を付与できる硬化条件が一旦決まれば、その後の第2のトリガー溶液の塗工条件や硬化条件を変更することで、粘着剤層に付与すべき接着信頼性を容易に制御することができる。
本発明の第1の側面において、添加剤が紫外線吸収剤である場合、紫外線吸収剤を添加する前に前記粘着剤層に紫外線を照射することにより、紫外線吸収剤の影響を受けることがなく、前記粘着剤層を硬化することができる。従って、紫外線吸収剤による硬化性の悪化による生産性の低下、表裏の物性差などの前記粘着剤層の物性変化を最小限とすることができる。
また、紫外線吸収剤を添加する前に接着剤層を硬化させているため、接着剤組成物の組成や硬化条件、物性等が一旦決まれば、紫外線吸収剤を配合することによる組成の再設計の必要はなく、粘着剤層の厚みの変更も容易である。そして、その後の紫外線吸収剤溶液の塗工条件を変更することで、粘着剤層に付与される紫外線吸収機能を制御することができる。このように、粘着剤層の物性制御と紫外線吸収機能の制御を分離できるので、粘着剤層の厚みや紫外線吸収機能の変更について1から粘着剤層の設計を行う必要はなく、効率が良い。
また、例えば、ハイブリッド粘着剤シートに紫外線吸収剤を配合する場合、第1のトリガー及び第2のトリガーによる硬化の後に紫外線吸収剤を添加できるので、第1のトリガー及び第2のトリガーとして使用する光重合開始剤と紫外線吸収剤の吸収波長帯を区別する必要はない。従って、光重合開始剤と紫外線吸収剤を組み合わせる選択の自由度も格段に向上する。
本発明の第1の側面において、前記添加剤が重合開始剤及び架橋剤から選ばれる少なくとも一種である場合、前記添加剤は、さらに、紫外線吸収剤を含むことも好ましい。前記添加剤が、重合開始剤及び架橋剤から選ばれる少なくとも一種に加えて、紫外線吸収剤を含むことにより、紫外線吸収剤を含むハイブリッド粘着剤シートを一度の塗工で製造できるので、製造効率が向上する。また、紫外線吸収剤を含むハイブリッド粘着剤シートに紫外線を照射すると、紫外線を吸収した紫外線吸収剤が発熱することにより、硬化反応が促進され、接着信頼性が向上できるので、さらに好ましい。
本発明の第1の側面において、前記添加剤が防錆剤又は帯電防止剤である場合、硬化後の粘着剤層の表面に防錆剤又は帯電防止剤の溶液を塗布、浸透させることにより、粘着剤層の表面付近に十分な防錆機能又は帯電防止機能を付与することができる。防錆剤又は帯電防止剤を粘着剤層に均一に分散させる必要がないので、防錆剤又は帯電防止剤による粘着剤層の弾性率などの物性変化を最小限にすることができ、防錆剤又は帯電防止剤の使用量も低減することができる。
また、防錆剤又は帯電防止剤を添加する前に接着剤層を硬化させているため、接着剤組成物の組成や硬化条件、物性等が一旦決まれば、防錆剤又は帯電防止剤を配合することによる組成の再設計の必要はなく、粘着剤層の厚みの変更も容易である。そして、その後の防錆剤又は帯電防止剤の溶液の塗工条件を変更することで、粘着剤層に付与される防錆機能又は帯電防止能を制御することができる。このように、粘着剤層の物性制御と防錆剤又は帯電防止剤による防錆機能又は帯電防止能の制御を分離できるので、粘着剤層の厚みや防錆剤又は帯電防止剤の添加量などの変更について1から粘着剤層の設計を行う必要はなく、効率が良い。
また、本発明の第2の側面は、
光学部材からなる基板と、粘着剤層と、を含む光学部材積層体の製造方法であって、
前記光学部材からなる基板の主面に、本発明の第1の側面のハイブリッド粘着剤シートの製造方法によって得られる粘着剤シートの粘着剤層を接合し、
前記粘着剤層を前記第2の重合開始剤及び第2の架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも一種の反応により硬化させる工程を含む、
光学部材積層体の製造方法を提供する。
本発明の第2の側面の光学部材積層体の製造方法において、
前記光学部材からなる基板の主面は印刷層を有し、
前記粘着剤層は、前記光学部材からなる基板の主面と前記印刷層との間の段差を埋めるように接合されていることが好ましい。
本発明の第2の側面は、本発明の第1の側面のハイブリッド粘着剤シートの製造方法によって得られる粘着剤シート(ハイブリッド粘着剤シート)を用いて光学部材積層体を製造する方法である。
本発明の第2の側面に使用されるハイブリッド粘着剤シートの粘着剤層は、第1の重合開始剤及び第1の架橋剤(第1のトリガー)によって硬化されたものであるが、第2の重合開始剤及び第2の架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも一種(第2のトリガー)による硬化前の半硬化で流動性が高い状態である。従って、前記光学部材からなる基板の主面が印刷層を有する場合であっても、前記粘着剤層は、前記光学部材からなる基板の主面と前記印刷層との間の段差に十分に追従して、これを埋めるように接合することができる。
次に、前記粘着剤層を前記第2の重合開始剤及び第2の架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも一種(第2のトリガー)の反応により硬化させることのより、粘着剤層の弾性率を高めて、接着信頼性を向上させることができる。
また、本発明の第3の側面は、
支持体と、該支持体上の透明な粘着剤層とを有する粘着剤シートであって、
前記粘着剤層は、透明な粘着剤ベース材料からなり相対向する2つの主面を有する単一層であり、
前記粘着剤層には、添加剤が溶解しており、
前記単一層の粘着剤層を厚さ方向に等分に2分割した場合における
前記2つの主面の一方の第1の主面が属する領域の前記添加剤の濃度と、他方の第2の主面が属する領域の前記添加剤の濃度が異なることを特徴とする粘着剤シートを提供する。
本発明の第3の側面の粘着剤シートは、本発明の第1の側面の粘着剤シートの製造方法により得られうるものである。粘着剤層の一方の面に添加剤の溶液を塗布して浸透させることにより、粘着剤層の表裏において添加剤の濃度差が生じうる。この構成が生じうる粘着剤シートは、上述のように、添加剤による物性変化を最小限とすることができる。
なお、本発明の第1の側面の粘着剤シートの製造方法において、粘着剤層の厚さや添加剤の浸透時間などの条件によっては、添加剤の濃度が粘着剤層の表裏において同じであるか、実質的に同じになり得る。従って、本発明の第1の側面の粘着剤シートの製造方法により、添加剤の濃度が粘着剤層の表裏において同じであるか、実質的に同じである粘着剤シートが得られる場合も本発明に含まれる。
本発明の第3の側面の粘着剤シートにおいて、前記粘着剤層は、硬化した粘着剤層であることが好ましい。この構成は、添加剤による物性変化を最小限とすることができる点で好ましい。
本発明の第3の側面の粘着剤シートにおいて、前記第2の主面が前記支持体上に面しており、前記第1の主面が属する領域の前記添加剤の濃度が、前記第2の主面が属する領域の前記添加剤の濃度より高いことが好ましい。この構成は、第1の主面に添加剤の溶液を塗布することにより得られうるものである。
本発明の第3の側面の粘着剤シートにおいて、前記単一層の粘着剤層が厚さ方向に前記添加剤の濃度勾配を有することが好ましい。この構成は、粘着剤層の一方の主面に添加剤の溶液を塗布、浸透することにより得られうるものである。
本発明の第3の側面の粘着剤シートにおいて、前記支持体が剥離シートからなることが好ましい。この場合において、剥離シートからなる前記支持体が前記粘着剤層の両面に配置されることが好ましい。前記支持体が剥離シートであることにより、剥離した後に透明光学部材と接合することができる点で好ましい。
本発明の第3の側面の粘着剤シートにおいて、前記添加剤は、重合開始剤、架橋剤、紫外線吸収剤、防錆剤、及び帯電防止剤からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。これらの添加剤は、本発明の所定の効果を得るための好適な例である。
前記添加剤が重合開始剤及び架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも一種である場合、本発明の第3の側面は、ハイブリッド粘着剤シートとして有用である。
本発明の第3の側面において、前記添加剤が重合開始剤及び架橋剤から選ばれる少なくとも一種である場合、前記添加剤は、さらに、紫外線吸収剤を含むことも好ましい。前記添加剤が、重合開始剤及び架橋剤から選ばれる少なくとも一種に加えて、紫外線吸収剤を含む場合、本発明の第3の側面の粘着剤シートは、紫外線吸収剤を含むハイブリッド粘着剤シートになり得る。紫外線吸収剤を含むハイブリッド粘着剤シートに紫外線を照射すると、紫外線を吸収した紫外線吸収剤が発熱することにより、硬化反応が促進され、接着信頼性が向上できる点で、好ましい。
本発明の第3の側面がハイブリッド粘着剤シートである場合、
前記粘着剤ベース材料が、第1のトリガーとして、第1の重合開始剤及び第1の架橋剤を含み、
前記硬化が前記第1の重合開始剤及び第1の架橋剤の反応による硬化であり、
前記添加剤が、第2のトリガーとして、第2の重合開始剤及び第2の架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
また、前記第1の重合開始剤は、第2の重合開始剤と同一であってもよい。
本発明の第3の側面がハイブリッド粘着剤シートである場合、本発明の第1の側面がハイブリッド粘着剤シートの製造方法である場合と同様の効果を奏しうる。
また、第1の主面が属する領域の第2のトリガーの濃度と、第2の主面が属する領域の第2のトリガーの濃度が異なることにより、第1の主面と第2の主面の架橋密度を制御し、粘着剤層の表裏に弾性率などの物性に差をつけることが可能になる。この構成は、例えば、折り曲げ可能なフレキシブルディスプレイにおいて好適である。フレキシブルディスプレイを折り曲げた際には、一般に、外側には引張性の応力、内側には圧縮性の応力がかかり、外側の応力は内側の応力よりも強い。従って、粘着剤層の第2のトリガーの濃度が高い方の面を、フレキシブルディスプレイを曲げる場合の外側に配置することにより、屈曲に対する耐久性を向上させうる。
本発明の第3の側面の粘着剤シートにおいて添加剤が紫外線吸収剤である場合、本発明の第1の側面の粘着剤シートの製造方法において添加剤が紫外線吸収剤である場合と同様の効果を奏しうる。すなわち、添加剤が紫外線吸収剤である本発明の第3の側面の粘着剤シートは、紫外線吸収剤による硬化性の悪化による生産性の低下、表裏の物性差などの物性変化を最小限とすることができる。
本発明の第3の側面の粘着剤シートにおいて添加剤が防錆剤又は帯電防止剤である場合、本発明の第1の側面の粘着剤シートの製造方法において添加剤が防錆剤又は帯電防止剤である場合と同様の効果を奏しうる。すなわち、添加剤が防錆剤又は帯電防止剤である本発明の第3の側面の粘着剤シートは、一方の主面(第1又は第2の主面)に防錆剤又は帯電防止剤をより高い濃度で分布させることにより、当該主面に優れた防錆機能又は帯電防止機能を付与することができる。防錆剤又は帯電防止剤を粘着剤層に均一に分散させる必要がないので、防錆剤又は帯電防止剤による粘着剤層の物性変化を最小限にすることができ、防錆剤又は帯電防止剤の使用量も低減することができる。
本発明の第3の側面の粘着剤シートにおいて、前記粘着剤層の厚みは5μm〜500μmであることが好ましい。前記粘着剤層の厚みがこの範囲内にあれば、粘着剤層の厚さ方向に添加剤の濃度勾配を形成する上で好適である。前記粘着剤層の厚みは、より好ましくは5μm〜400μm、さらに好ましくは5μm〜350μmである。
また、本発明の第4の側面は、
光学部材からなる基板と、
粘着剤層とを含む、光学部材積層体であって、
前記光学部材からなる基板の主面に前記粘着剤層が積層されており、
前記粘着剤層が、本発明の第3の側面のハイブリッド粘着剤シートの粘着剤層の硬化物である、光学部材積層体を提供する。
本発明の第4の側面において、
前記光学部材からなる基板の主面が印刷層を有し、
前記粘着剤層が、前記光学部材からなる基板の主面と前記印刷層との間の段差を埋めるように積層されていることが好ましい。
また、本発明の第4の側面において、
前記硬化物は、前記第2の重合開始剤及び第2の架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも一種の反応による硬化物であることが好ましい。
本発明の第4の側面は、本発明の第3の側面のハイブリッド粘着剤シートを用いた光学部材積層体である。
本発明の第4の側面の光学部材積層体は、本発明の第2の側面の方法により製造されうるものであり、同様の効果を奏しうる。
本発明の粘着剤シートの製造方法及び粘着剤シートによれば、粘着剤シートに添加剤を配合する場合であっても、粘着剤層の物性変化や添加剤間の干渉が生じにくい。
また、粘着剤層の厚みや添加剤の配合量の変更について1から粘着剤層の設計を行う必要はなく、効率が良い。
図1は、本発明の粘着剤シートの製造方法の一実施態様を実施するための工程を示すもので、(a)は粘着剤層形成工程、(b)は粘着剤層硬化工程、(c)は溶液塗布工程、(d)は溶液浸透工程、(e)は乾燥工程をそれぞれ示す概略図である。 図2(a)は本発明による粘着剤シートの一実施形態を示す断面図、図2(b)は本発明による粘着剤シートの別の実施形態を示す断面図である。 図3は、本発明による粘着剤シートを使用する最も単純な実施形態の一例を示す光学部材積層体の断面図である。 図4は、本発明のハイブリット接着シートを用いた光学部材積層体の製造方法一実施形態を実施するための工程を示す概略図である。 図5は、実施例9及び比較例9の粘着剤シートにおけるTOF−SIMS分析の結果を示すグラフである。図5(a)は実施例9、図5(b)は比較例9の結果である。図5において左の縦軸のスケールは、アクリル酸ブチル(BA)及びN−ビニルピロリドン(NVP)の強度、右の縦軸のスケールは、紫外線吸収剤(Tinosorb S)の強度を示す。
以下、本発明の実施形態を図に関連して説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例示に過ぎない。
図1(a)〜(e)は、本発明の第1の側面の粘着剤シートの製造方法の一実施態様を実施するための工程を概略的に示す図である。
先ず、図1(a)に示すように、支持体S1上に、透明な粘着剤ベース材料により形成される粘着剤層10を形成する(粘着剤層形成工程)。
前記支持体としては、特に限定されないが、プラスチックフィルムが好ましい。前記プラスチックフィルムなどの素材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、商品名「アートン」(環状オレフィン系ポリマー、JSR株式会社製)、商品名「ゼオノア」(環状オレフィン系ポリマー、日本ゼオン株式会社製)等の環状オレフィン系ポリマーなどのプラスチック材料が挙げられる。なお、これらのプラスチック材料は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
前記支持体は、剥離シートであってもよい。前記剥離シートとしては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により表面処理されたプラスチックフィルムなどが挙げられる。
前記粘着剤ベース材料は、光学用途に使用可能な粘着性を有する透明な材料であれば特に制限はない。例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、及びポリエーテル系粘着剤から適宜選択して使用することができる。透明性、加工性及び耐久性などの観点から、アクリル系粘着剤を用いることが好ましい。前記粘着剤ベース材料は、前記の粘着剤のいずれかを単独で、或いは、2種類以上を組み合わせて使用することができる。アクリル系粘着剤のベースポリマーとして用いるアクリル系ポリマーは、特に限定する意味ではないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするモノマーのホモポリマー又はコポリマーであることが好ましい。ここで、「(メタ)アクリル」という表現は、「アクリル」及び「メタクリル」のうちのいずれか一方又は両方を意味するものとして使用されるもので、他の場合も同様である。本発明において、アクリル系ポリマーという用語は、上述の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの他に、これと共重合可能な他のモノマーも含まれる意味で使用される。
前記粘着剤ベース材料がアクリル系粘着剤たるアクリル系ポリマーを含有する場合、好ましくは、当該アクリル系ポリマーは、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル、および/または、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルに由来するモノマーユニットを重量割合で最も多い主たるモノマーユニットとして含む。
前記アクリル系ポリマーのモノマーユニットをなすための、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、即ち、前記アクリル系ポリマーを形成するためのモノマー成分に含まれる直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、および(メタ)アクリル酸エイコシルなど、炭素数が1〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。アクリル系ポリマーのための当該(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、一種類の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いてもよいし、二種類以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いてもよい。本実施形態では、アクリル系ポリマーのための当該(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、好ましくは、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、およびアクリル酸イソステアリルからなる群より選択される少なくとも一種が用いられる。
前記アクリル系ポリマーにおける、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来のモノマーユニットの割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。すなわち、当該アクリル系ポリマーを形成するための原料のモノマー成分組成における(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。
前記粘着剤ベース材料に含有されるアクリル系ポリマーは、脂環式モノマーに由来するモノマーユニットを含んでもよい。アクリル系ポリマーのモノマーユニットをなすための脂環式モノマー、即ち、当該アクリル系ポリマーを形成するためのモノマー成分に含まれる脂環式モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、二環式炭化水素環を有する(メタ)アクリル酸エステル、および、三環以上の炭化水素環を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘプチル、および(メタ)アクリル酸シクロオクチルが挙げられる。二環式炭化水素環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ボルニルおよび(メタ)アクリル酸イソボルニルが挙げられる。三環以上の炭化水素環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、および(メタ)アクリル酸2−エチル−2−アダマンチルが挙げられる。アクリル系ポリマーのための脂環式モノマーとしては、一種類の脂環式モノマーを用いてもよいし、二種類以上の脂環式モノマーを用いてもよい。本実施形態では、アクリル系ポリマーのための脂環式モノマーとして、好ましくは、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、およびメタクリル酸イソボルニルからなる群より選択される少なくとも一種が用いられる。
前記アクリル系ポリマーにおける、脂環式モノマー由来のモノマーユニットの割合は、当該アクリル系ポリマーを含んで形成される粘着剤ベース材料において適度な柔軟性を実現するという観点から、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%、より好ましくは12〜40重量%である。
前記粘着剤ベース材料に含有されるアクリル系ポリマーは、水酸基含有モノマーに由来するモノマーユニットを含んでもよい。水酸基含有モノマーは、モノマーユニット内に少なくとも一つの水酸基を有することとなるモノマーである。粘着剤ベース材料内のアクリル系ポリマーが水酸基含有モノマーユニットを含む場合、粘着剤ベース材料において接着性や適度な凝集力を得られやすい。また、水酸基は、後述の架橋剤との反応点にもなり得る。
前記アクリル系ポリマーのモノマーユニットをなすための水酸基含有モノマー、即ち、当該アクリル系ポリマーを形成するためのモノマー成分に含まれる水酸基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、ビニルアルコール、およびアリルアルコールが挙げられる。水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、および(メタ)アクリル酸(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルが挙げられる。アクリル系ポリマーのための水酸基含有モノマーとしては、一種類の水酸基含有モノマーを用いてもよいし、二種類以上の水酸基含有モノマーを用いてもよい。本実施形態では、アクリル系ポリマーのための水酸基含有モノマーとして、好ましくは、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、およびメタクリル酸4−ヒドロキシブチルからなる群より選択される少なくとも一種が用いられる。
前記アクリル系ポリマーにおける、水酸基含有モノマー由来のモノマーユニットの割合は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、より好ましくは3重量%以上、より好ましくは7重量%以上、より好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上である。前記アクリル系ポリマーにおける、水酸基含有モノマー由来のモノマーユニットの割合は、好ましくは35重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。水酸基含有モノマーの割合に関するこれら構成は、当該アクリル系ポリマーを含んで形成される粘着剤ベース材料において接着性や適度な凝集力を実現するうえで好適である。
前記粘着剤ベース材料に含有されるアクリル系ポリマーは、窒素原子含有モノマーに由来するモノマーユニットを含んでもよい。窒素原子含有モノマーは、モノマーユニット内に少なくとも一つの窒素原子を有することとなるモノマーである。粘着剤ベース材料内のアクリル系ポリマーが窒素原子含有モノマーユニットを含む場合、粘着剤ベース材料において硬さや良好な接着信頼性を得られやすい。
前記アクリル系ポリマーのモノマーユニットをなすための窒素原子含有モノマー、即ち、当該アクリル系ポリマーを形成するためのモノマー成分に含まれる窒素原子含有モノマーとしては、例えば、N−ビニル環状アミドおよび(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。窒素原子含有モノマーたるN−ビニル環状アミドとしては、例えば、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−3−モルホリノン、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−1,3−オキサジン−2−オン、およびN−ビニル−3,5−モルホリンジオンが挙げられる。窒素原子含有モノマーたる(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、およびN,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。アクリル系ポリマーのための窒素原子含有モノマーとしては、一種類の窒素原子含有モノマーを用いてもよいし、二種類以上の窒素原子含有モノマーを用いてもよい。本実施形態では、アクリル系ポリマーのための窒素原子含有モノマーとして、好ましくはN−ビニル−2−ピロリドンが用いられる。
前記アクリル系ポリマーにおける、窒素原子含有モノマー由来のモノマーユニットの割合は、当該アクリル系ポリマーを含んで形成される粘着剤ベース材料において、適度な硬さや、接着性、透明性を実現するという観点から、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上である。また、前記アクリル系ポリマーにおける、窒素原子含有モノマー由来のモノマーユニットの割合は、当該アクリル系ポリマーを含んで形成される粘着剤ベース材料において、充分な透明性を実現するという観点や、硬くなり過ぎることを抑制して良好な接着信頼性を実現するという観点から、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。
前記粘着剤ベース材料に含有されるアクリル系ポリマーは、カルボキシ基含有モノマーに由来するモノマーユニットを含んでもよい。カルボキシ基含有モノマーは、モノマーユニット内に少なくとも一つのカルボキシ基を有することとなるモノマーである。粘着剤ベース材料内のアクリル系ポリマーがカルボキシ基含有モノマーユニットを含む場合、粘着剤ベース材料において良好な接着信頼性が得られることがある。また、カルボキシ基は、後述の架橋剤との反応点にもなり得る。
前記アクリル系ポリマーのモノマーユニットをなすためのカルボキシ基含有モノマー、即ち、当該アクリル系ポリマーを形成するためのモノマー成分に含まれるカルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、およびイソクロトン酸が挙げられる。アクリル系ポリマーのためのカルボキシ基含有モノマーとしては、一種類のカルボキシ基含有モノマーを用いてもよいし、二種類以上のカルボキシ基含有モノマーを用いてもよい。本実施形態では、アクリル系ポリマーのためのカルボキシ基含有モノマーとして、好ましくはアクリル酸が用いられる。
前記アクリル系ポリマーにおける、カルボキシ基含有モノマー由来のモノマーユニットの割合は、当該アクリル系ポリマーを含んで形成される粘着剤ベース材料において、被着体表面に極性基が存在する場合の当該極性基とカルボキシ基の相互作用の寄与を得て良好な接着信頼性を確保するという観点から、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上である。また、前記アクリル系ポリマーにおける、カルボキシ基含有モノマー由来のモノマーユニットの割合は、当該アクリル系ポリマーを含んで形成される粘着剤ベース材料において硬くなり過ぎることを抑制して良好な接着信頼性を実現するという観点から、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。
前記粘着剤ベース材料に含有されるアクリル系ポリマーは、架橋剤に由来する架橋構造を有してもよい。前記粘着剤ベース材料が架橋構造を有することにより、粘度が上昇して形状安定性が向上し、支持体S1上に粘着剤層を形成しやすくなる。架橋剤としては、共重合性架橋剤たる多官能(メタ)アクリレートや熱硬化性架橋剤が挙げられる。前記アクリル系ポリマーは、多官能(メタ)アクリレートのみに由来する架橋構造を有していてもよく、熱硬化性架橋剤のみに由来する架橋構造を有していてもよく、多官能(メタ)アクリレートと熱硬化性架橋剤の両方に由来する架橋構造を有していてもよい。
なお、この架橋剤は、本発明の粘着剤シートがハイブリッド粘着剤シートである場合の第1のトリガーを構成する架橋剤(第1の架橋剤)である。
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、およびビニル(メタ)アクリレートが挙げられる。アクリル系ポリマーのための多官能(メタ)アクリレートとしては、一種類の多官能(メタ)アクリレートを用いてもよいし、二種類以上の多官能(メタ)アクリレートを用いてもよい。本実施形態では、アクリル系ポリマーのための多官能(メタ)アクリレートとして、好ましくは、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、およびトリメチロールプロパントリアクリレートからなる群より選択される少なくとも一種が用いられる。
前記アクリル系ポリマーにおける、多官能(メタ)アクリレート由来のモノマーユニットの割合は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.03重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上である。前記アクリル系ポリマーにおける、多官能(メタ)アクリレート由来のモノマーユニットの割合は、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下である。多官能(メタ)アクリレートの割合に関するこれら構成は、当該アクリル系ポリマーを含んで形成される粘着剤ベース材料において適度な硬さや接着性、形状安定性を実現するうえで好適である。
熱硬化性架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、およびアミン系架橋剤が挙げられる。粘着剤ベース材料は、一種類の当該熱硬化性架橋剤を含有してもよいし、二種類以上の当該熱硬化性架橋剤を含有してもよい。好ましくはイソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤からなる群より選択される少なくとも一種が用いられる。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、低級脂肪族ポリイソシアネート類、脂環式ポリイソシアネート類、および芳香族ポリイソシアネート類が挙げられる。低級脂肪族ポリイソシアネート類としては、例えば、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、および1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。脂環式ポリイソシアネート類としては、例えば、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、および水素添加キシレンジイソシアネートが挙げられる。芳香族ポリイソシアネート類としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、およびキシリレンジイソシアネートが挙げられる。また、イソシアネート系架橋剤としては、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物(商品名「コロネートL」,日本ポリウレタン工業株式会社製)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物(商品名「コロネートHL」,日本ポリウレタン工業株式会社製)、およびトリメチロールプロパン/キシリレンジイソシアネート付加物(商品名「タケネートD−110N」,三井化学株式会社製)等の市販品も挙げられる。
エポキシ系架橋剤(多官能エポキシ化合物)としては、例えば、N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、およびビスフェノール−S−ジグリシジルエーテルが挙げられる。また、エポキシ系架橋剤としては、エポキシ基を二つ以上有するエポキシ系樹脂も挙げられる。加えて、エポキシ系架橋剤としては、商品名「テトラッドC」(三菱ガス化学株式会社製)等の市販品も挙げられる。
アクリル系ポリマー間を架橋するための以上のような熱硬化性架橋剤を前記粘着剤ベース材料が含有する場合、粘着剤ベース材料中の当該熱硬化性架橋剤の含有量は、粘着剤ベース材料の形状安定性が向上し、支持体S1上に粘着剤層を形成しやすくなり、被着体に対する充分な接着信頼性を実現するという観点から、粘着剤ベース材料中のアクリル系ポリマー100重量部に対して好ましくは0.001重量部以上、より好ましくは0.01重量部以上である。また、粘着剤ベース材料中の当該熱硬化性架橋剤の含有量は、粘着剤ベース材料において適度な柔軟性を発現させて良好な粘着力を実現するという観点から、粘着剤ベース材料中のアクリル系ポリマー100重量部に対して好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。
前記粘着剤ベース材料が以上のようなアクリル系ポリマーを粘着剤として含有する場合、粘着剤ベース材料における当該アクリル系ポリマーの含有率は、例えば85〜100重量%である。
前記粘着剤ベース材料は、アクリル系ポリマーを形成するためのモノマーや架橋剤に加えて、重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、光重合開始剤や熱重合開始剤が挙げられる。前記粘着剤ベース材料は、一種類の重合開始剤を含有してもよいし、二種類以上の重合開始剤を含有してもよい。
なお、この重合開始剤は、本発明の粘着剤シートがハイブリッド粘着剤シートである場合の第1のトリガーを構成する重合開始剤(第1の重合開始剤)である。
前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、およびチオキサントン系光重合開始剤が挙げられる。ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、および2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンが挙げられる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、および4−(t−ブチル)ジクロロアセトフェノンが挙げられる。α−ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、および1−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オンが挙げられる。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば2−ナフタレンスルホニルクロリドが挙げられる。光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムが挙げられる。ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えばベンゾインが挙げられる。ベンジル系光重合開始剤としては、例えばベンジルが挙げられる。ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3'−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、およびポリビニルベンゾフェノンが挙げられる。ケタール系光重合開始剤としては、例えばベンジルジメチルケタールが挙げられる。チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、およびドデシルチオキサントンが挙げられる。
上記光重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、アクリル系ポリマー全モノマー単位(アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量)100重量部に対して、0.001〜1重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜0.50重量部である。
熱重合開始剤としては、例えば、アゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤、レドックス系重合開始剤等が挙げられる。アゾ系重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2'−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(AMBN)、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4'−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられる。過酸化物系重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン等が挙げられる。
上記熱重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、アクリル系ポリマーの全モノマー単位(アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量)100重量部に対して、0.05〜0.5重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜0.3重量部である。
前記粘着剤ベース材料は、必要に応じて、架橋促進剤、シランカップリング剤、粘着付与樹脂、老化防止剤、充填剤、顔料や染料などの着色剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤などの添加剤を更に含有してもよい。粘着付与樹脂としては、例えば、ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、および油溶性フェノールが挙げられる。
なお、後述の添加剤が紫外線吸収剤である場合、前記粘着剤ベース材料は、紫外線吸収剤を含有しないか、実質的に含有しないことが好ましい。このような構成は、本発明の粘着剤シートを後述の粘着剤層硬化工程に付す場合に硬化性が悪化や表裏の物性差などを最小限にできる点で好ましい。粘着剤ベース材料の全量(100質量%)における紫外線吸収剤の割合が0.05重量%以下(好ましくは0.01質量%以下)である場合、当該前記粘着剤ベース材料は紫外線吸収剤を実質的に含有しないといえる。
また、後述の添加剤が防錆剤である場合、前記粘着剤ベース材料は、防錆剤を含有しないか、実質的に含有しないことが好ましい。このような構成は、本発明の粘着剤シートの粘着剤層に対して防錆剤が及ぼす影響を最小限にできる点で好ましい。粘着剤ベース材料の全量(100質量%)における防錆剤の割合が0.05重量%以下(好ましくは0.01質量%以下)である場合、当該前記粘着剤ベース材料は防錆剤を実質的に含有しないといえる。
また、後述の添加剤が帯電防止剤である場合、前記粘着剤ベース材料は、帯電防止剤を含有しないか、実質的に含有しないことが好ましい。このような構成は、本発明の粘着剤シートの粘着剤層に対して帯電防止剤が及ぼす影響を最小限にできる点で好ましい。粘着剤ベース材料の全量(100質量%)における帯電防止剤の割合が0.05重量%以下(好ましくは0.01質量%以下)である場合、当該前記粘着剤ベース材料は帯電防止剤を実質的に含有しないといえる。
前記粘着剤層の形成方法は、特に限定されないが、例えば、前記粘着剤ベース材料を支持体上に塗布(塗工)し、得られた粘着剤組成物層を乾燥硬化させることや、前記粘着剤ベース材料を支持体上に塗布(塗工)し、得られた粘着剤組成物層に活性エネルギー線を照射して硬化させることが挙げられる。必要に応じて、さらに、加熱乾燥してもよい。
前記粘着剤ベース材料の塗布(塗工)には、公知のコーティング法を利用することができ、例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター、ダイレクトコーターなどのコーターが挙げられる。
乾燥硬化温度は、40〜200℃が好ましく、より好ましくは50〜180℃、さらに好ましくは60〜170℃である。乾燥硬化時間は、適宜、適切な時間が採用され得るが、例えば5秒〜20分であり、好ましくは5秒〜10分、より好ましくは10秒〜5分である。
上記活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に、紫外線が好ましい。また、活性エネルギー線の照射エネルギー、照射時間、照射方法などは特に限定されず、粘着剤層10の厚さ等に応じて、所望の粘度や粘弾性になるように適宜設定すればよい。
上記で形成された粘着剤層の支持体に面していない主面は、上記活性エネルギー線、及び/又は後述の紫外線照射等により粘着剤層を光硬化する場合は、光硬化を阻害する酸素を遮断するために、さらに別の支持体(剥離シートを含む)で積層されていることが好ましい。
次いで、該粘着剤層10を硬化させる(粘着剤層硬化工程)。図1(b)において10aは粘着剤層10が硬化した粘着剤層である。粘着剤層10を硬化させる方法としては、特に限定されないが、例えば、粘着剤層10を加熱することや、粘着剤層10に活性エネルギー線を照射して硬化させることが挙げられる。必要に応じて、さらに、加熱乾燥してもよい。活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に、紫外線が好ましい。
該粘着剤層10を硬化させる条件は、実施形態により、粘着剤層10aが所望の物性を有するように適宜選択可能である。
例えば、本発明の粘着剤シートにおける粘着剤ベース材料が前記重合開始剤と架橋剤を含むハイブリッド粘着剤シートである場合は、粘着剤層10aは高い流動性を示し、優れた段差吸収性を示すように、加熱温度や時間、或いは、活性エネルギー線の照射量を適宜設定すればよい。
一方、後述の添加剤が、紫外線吸収剤、防錆剤又は帯電防止剤である場合は、粘着剤層10aは高い弾性率を示して優れた接着信頼性を示すように、加熱温度や時間、或いは、活性エネルギー線の照射量を適宜設定すればよい。
図1(b)は、前記粘着剤層10に紫外線Uを照射して該粘着剤層10を硬化させる実施形態である。紫外線は、粘着剤層10に直接照射してもよいが、紫外線照射による硬化を阻害する酸素を遮断するために、支持体を介して照射することが好ましい。図1(b)は、紫外線を粘着剤層10に支持体S2を介して照射する実施形態である。支持体を介して紫外線を照射する場合は、粘着剤層10の支持体S1が面する主面と逆側の主面に別の支持体S2(剥離シートを含む)を貼り合わせて、該支持体を介して紫外線を照射する。紫外線照射の照度、時間は、粘着剤ベース材料の組成や粘着剤層の厚さなどにより適宜設定される。紫外線照射には、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどを用いることができる。
次に、図1(c)に示すように、支持体S2を剥離除去した後に、添加剤11の溶液12を粘着剤層10aの一方の面に塗布する(溶液塗布工程)。添加剤の溶液は、液状で粘着剤層に塗工可能で浸透するものである限り、特に限定されない。例えば、添加剤が液状である場合は、添加剤自体をそのまま溶液として塗布してもよい。また、添加剤を溶媒に溶解させた溶液であってもよい。或いは、添加剤が2種以上の組み合わせ(例えば、第2トリガーとしての第2の重合開始剤と第2の架橋剤)の場合、これらが混合した溶液であってもよい。図1(c)は、添加剤11を溶媒13に溶解させた溶液12を粘着剤層10aの一方の面に塗布する実施形態である。
粘着剤層10aの表面は、溶液12中の添加剤11が、粘着剤層10a内に、厚み方向に浸透する(溶液浸透工程)。この状態を図1(d)に示す。溶液12が添加剤11を溶媒13に溶解させた溶液である場合は、粘着剤層10aの表面に溶媒13が浸透して膨潤されると共に、添加剤11は溶媒中に溶解した状態で粘着剤層10aに浸透する。添加剤11は粘着剤層10a内で「溶解」した状態になる。
また、添加剤11が粘着剤層10aに浸透する過程で、厚み方向に濃度勾配を形成し得る。従って、溶液12を塗布した面側の添加剤11の濃度は、反対側の面側よりも高くなり得る。この状態を図1(d)に示す。
その後、粘着剤層10aを乾燥させることにより、図1(e)に示す粘着剤シート1を得ることができる(乾燥工程)。溶液12が添加剤11を溶媒13に溶解させた溶液である場合は、乾燥工程により、浸透した溶媒13は蒸発する。粘着剤層10aを乾燥させることにより、粘着剤層10aは塗布する前に近い状態に戻る。従って、添加剤11による粘着剤層10aの物性変化を最小限とすることができる。粘着剤層10aを乾燥させた時点で添加剤11の粘着剤層10aへの浸透は止まり、前記の添加剤の濃度勾配は固定される。
前記添加剤としては、粘着剤の分野で添加されるものである限り、特に制限なく使用することができ、例えば、重合開始剤、架橋剤、紫外線吸収剤、防錆剤、帯電防止剤、架橋促進剤、シランカップリング剤、粘着付与樹脂、老化防止剤、染料などの着色剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤などが挙げられる。本発明の所望の効果を発揮しやいという観点から、重合開始剤、架橋剤、紫外線吸収剤、防錆剤、帯電防止剤が好ましい。
なお、前記添加剤としては、酸は好ましくない。すなわち、前記添加剤として酸は除かれる。このような酸としては、酢酸、プロピオン酸、乳酸などの有機酸が挙げられ、特に乳酸である。
重合開始剤、架橋剤としては、上記の粘着剤ベース材料が含有し得る重合開始剤、架橋剤と同様のものが例示され、これらを1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の粘着剤シートがハイブリッド粘着剤シートである場合、前記粘着剤ベース材料は、第1のトリガーとして第1の重合開始剤及び第1の架橋剤を含み、前記粘着剤層硬化工程は、当該第1の重合開始剤及び第1の架橋剤の反応による硬化であり、添加剤11は、第2のトリガーとして第2の重合開始剤及び第2の架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも一種である。
前記粘着剤層硬化工程の後において、第1の重合開始剤及び第1の架橋剤の両方、或いはどちらか一方が残留している場合がある。その場合、添加剤11として、第2の重合開始剤及び第2の架橋剤のうちどちらか一方のみを使用することができる。しかし、添加剤として、第2の重合開始剤及び第2の架橋剤の両方を使用することも可能である。
本発明の粘着剤シートがハイブリッド粘着剤シートである場合、第1のトリガーと第2のトリガーの組み合わせの自由度は極めて広い。すなわち、重合開始剤の組み合わせに制限はなく、例えば、第1のトリガーと第2のトリガーの両方が光重合開始剤の組み合わせ、第1のトリガーが熱重合開始剤と第2のトリガーが光重合開始剤の組み合わせ、第1のトリガーが光重合開始剤と第2のトリガーが熱重合開始剤の組み合わせなどを自由に選択することができ、また、従来のハイブリッド粘着剤シートでは困難であった第1のトリガーと第2のトリガーの両方が熱重合開始剤の組み合わせも可能である。また、第1のトリガーと第2のトリガーの両方が光重合開始剤の組み合わせである場合、2種類の光重合開始剤の光吸収波長帯が重複、近似する場合も可能である。さらには、従来のハイブリッド粘着剤シートでは不可能であった、第1のトリガーと第2のトリガーとして、同一の重合開始剤(熱重合開始剤と光重合開始剤を問わない)の組み合わせも可能である。
また、架橋剤の組み合わせにも制限はなく、第1のトリガーと第2のトリガーとして、同一の架橋剤の組み合わせも可能である。
前記紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、オキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等を挙げることができ、これらを1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、1分子中にヒドロキシル基を2個以下有するトリアジン系紫外線吸収剤、及び、1分子中にベンゾトリアゾール骨格を1個有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤からなる群から選択される少なくとも1種の紫外線吸収剤であることが、溶解性が良好であり、かつ、波長380nm付近での紫外線吸収能力が高いため好ましい。
1分子中にヒドロキシル基を2個以下有するトリアジン系紫外線吸収剤としては、具体的には、2,4−ビス−[{4−(4−エチルヘキシルオキシ)−4−ヒドロキシ}−フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(Tinosorb S、BASF製)、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(TINUVIN460、BASF製)、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニルと[(C10−C16(主としてC12−C13)アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物(TINUVIN400、BASF製)、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−[3−(ドデシルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ]フェノール)、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと(2−エチルヘキシル)−グリシド酸エステルの反応生成物(TINUVIN405、BASF製)、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール(TINUVIN1577、BASF製)、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[2−(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]−フェノール(ADK STAB LA46、ADEKA製)、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン(TINUVIN479、BASF社製)等を挙げることができる。
また、1分子中にベンゾトリアゾール骨格を1個有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(TINUVIN928、BASF製)、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(TINUVIN PS、BASF製)、ベンゼンプロパン酸及び3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ(C7-9側鎖及び直鎖アルキル)のエステル化合物(TINUVIN384−2、BASF製)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(TINUVIN900、BASF製)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(TINUVIN928、BASF製)、メチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物(TINUVIN1130、BASF製)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール(TINUVIN P、BASF製)、2(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(TINUVIN234、BASF製)、2−〔5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル〕−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール(TINUVIN326、BASF製)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール(TINUVIN328、BASF製)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(TINUVIN329、BASF製)、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコール300との反応生成物(TINUVIN213、BASF製)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール(TINUVIN571、BASF製)、2−[2−ヒドロキシ−3−(3、4、5,6−テトラヒドロフタルイミドーメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール(Sumisorb250、住友化学工業(株)製)等を挙げることができる。
また、前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系化合物)、オキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤(オキシベンゾフェノン系化合物)としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸(無水及び三水塩)、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン(Seesorb106、シプロ化成(株)製)、2,2'−ジヒドロキシ−4,4−ジメトキシベンゾフェノン等を挙げることができる。
また前記サリチル酸エステル系紫外線吸収剤(サリチル酸エステル系化合物)としては、例えば、フェニル−2−アクリロイルオキシベンゾエート、フェニル−2−アクロリイルオキシ−3−メチルベンゾエート、フェニル−2−アクリロイルオキシ−4−メチルベンゾエート、フェニル−2−アクリロイルオキシ−5−メチルベンゾエート、フェニル−2−アクリロイルオキシ−3−メトキシベンゾエート、フェニル−2−ヒドロキシベンゾエート、フェニル−2−ヒドロキシ−3−メチルベンゾエート、フェニル−2−ヒドロキシ−4−メチルベンゾエート、フェニル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンゾエート、フェニル2−ヒドロキシ−3−メトキシベンゾエート、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(TINUVIN120、BASF製)等を挙げることができる。
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤(シアノアクリレート系化合物)としては、例えば、アルキル−2−シアノアクリレート、シクロアルキル−2−シアノアクリレート、アルコキシアルキル−2−シアノアクリレート、アルケニル−2−シアノアクリレート、アルキニル−2−シアノアクリレート等を挙げることができる。
前記紫外線吸収剤の吸収スペクトルの最大吸収波長は、300〜400nmの波長領域に存在することが好ましく、320〜380nmの波長領域に存在することがより好ましい。最大吸収波長とは、300〜460nmの波長領域での分光吸収スペクトルにおいて、複数の吸収極大が存在する場合には、その中で最大の吸光度を示す吸収極大波長を意味するものである。
前記添加剤が重合開始剤及び架橋剤から選ばれる少なくとも一種である場合、前記添加剤は、さらに、紫外線吸収剤を含むことも好ましい。前記添加剤が、重合開始剤及び架橋剤から選ばれる少なくとも一種に加えて、紫外線吸収剤を含むことにより、紫外線吸収剤を含むハイブリッド粘着剤シートを一度の塗工で製造できるので、製造効率が向上する。また、紫外線吸収剤を含むハイブリッド粘着剤シートに紫外線を照射すると、紫外線を吸収した紫外線吸収剤が発熱することにより、硬化反応が促進され、接着信頼性が向上できるので、さらに好ましい。
前記防錆剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、アミン化合物などが挙げられる。他にも、安息香酸アンモニウム、フタル酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、パルミチン酸アンモニウム、オレイン酸アンモニウム、ジシクロヘキシルアミン安息香酸塩、尿素、ウロトロピン、チオ尿素、カルバミン酸フェニル、シクロヘキシルアンモニウム−N−シクロヘキシルカルバメート(CHC)などが挙げられる。なお、防錆剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
前記ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、ベンゾトリアゾール(1,2,3−ベンゾトリアゾール)、4−メチルベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、4−エチルベンゾトリアゾール、5−エチルベンゾトリアゾール、4−プロピルベンゾトリアゾール、5−プロピルベンゾトリアゾール、4−イソプロピルベンゾトリアゾール、5−イソプロピルベンゾトリアゾール、4−n−ブチルベンゾトリアゾール、5−n−ブチルベンゾトリアゾール、4−イソブチルベンゾトリアゾール、5−イソブチルベンゾトリアゾール、4−ペンチルベンゾトリアゾール、5−ペンチルベンゾトリアゾール、4−へキシルベンゾトリアゾール、5−へキシルベンゾトリアゾール等の炭素数1〜6のアルキルベンゾトリアゾール、5−メトキシベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、5−ヒドロキシベンゾトリアゾール、ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、2,3−ジカルボキシプロピルベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルへキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1−[マレイン酸]ベンゾトリアゾール、4−クロルベンゾトリアゾール、5−クロルベンゾトリアゾール、4−ニトロベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾールモノエタノールアミン塩、ベンゾトリアゾールジエチルアミン塩、ベンゾトリアゾールシクロヘキシルアミン塩、ベンゾトリアゾールモルホリン塩、ベンゾトリアゾールイソプロピルアミン塩、メチルベンゾトリアゾールシクロヘキシルアミン塩などが挙げられる。
前記アミン化合物としては、例えば、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジエチルエタノールアミン、アンモニアやアンモニア水などのヒドロキシ基含有アミン化合物;モルホリンなどの環状アミン;シクロヘキシルアミンなどの環状アルキルアミン化合物;3−メトキシプロピルアミンなどの直鎖状アルキルアミンなどが挙げられる。
前記帯電防止剤としては、特に限定されないが、アクリル系ポリマーとの相溶性、粘着剤層の透明性の点から、フッ素含有アニオンを含有するイオン性化合物が好ましい。前記フッ素含有アニオンを含有するイオン性化合物としては、LiCF3SO3、Li(CF3SO22N、Li(C25SO22N、Li(C49SO22N、Li(CF3SO23C等が挙げられ、Li(CF3SO22N、Li(C25SO22N、Li(C49SO22N、Li(FSO22N等のフッ素含有リチウムイミド塩が好ましく、特に、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム塩、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム塩が好ましい。なお、帯電防止剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
前記溶媒としては、前記添加剤を溶解でき、且つ粘着剤層10aを膨潤し得るものであれば特に限定されないが、水系溶媒は粘着剤層への濡れ性が悪く、添加剤が浸透しにくいため、非水系溶媒が好ましい。非水系溶媒としては、特に限定されないが、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の脂環式ケトン;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコールが挙げられ、エステル、芳香族炭化水素、ケトン、アルコールが好ましい。溶媒は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
前記添加剤の溶液中の濃度は、粘着剤層10aに付与すべき所望の要求特性に応じて、適宜設定することができ、例えば95重量%以下(例えば0.1〜95重量%、0.1〜90重量%、0.1〜85重量%、0.1〜80重量%、0.1〜70重量%、0.1〜60重量%、0.1〜50重量%、0.1〜40重量%など)、例えば0.1重量%以上(例えば0.1〜95重量%、0.2〜95重量%、0.3〜95重量%、0.4〜95重量%、0.5〜95重量%、1〜95重量%、1.5〜95重量%、3〜95重量%、5〜95重量%など)適宜選択することができる。添加剤の溶液中の濃度がこの範囲であれば、添加剤を溶解しつつ、粘着剤層10aを十分に膨潤させ、粘着剤層10aに適度な要求特性を付与し得る。
具体的には、前記添加剤が架橋剤である場合、溶液中の架橋剤の濃度は、粘着剤層10aに付与すべき所望の硬化特性に応じて、適宜設定することができ、例えば95重量%以下(例えば1〜95重量%、1〜90重量%、1〜85重量%、1〜80重量%、1〜60重量%など)、例えば1重量%以上(例えば1〜95重量%、2〜95重量%)の範囲から適宜選択することができる。
また、前記添加剤が紫外線吸収剤である場合、溶液中の紫外線吸収剤の濃度は、粘着剤層10aに付与すべき所望の紫外線吸収特性に応じて、適宜設定することができ、例えば上限50重量%以下(例えば1〜50重量%、1〜45重量%、1〜40重量%、1〜35重量%、1〜30重量%、1〜25重量%、1〜20重量%、1〜15重量%など)または、下限1%以上(例えば1〜50重量%、2〜50重量%、3〜50重量%、4〜50重量%、5〜50重量%)の範囲から選択することができる。
また、前記添加剤が防錆剤である場合、溶液中の防錆剤の濃度は、粘着剤層10aに付与すべき所望の防錆特性に応じて、適宜設定することができ、例えば上限10重量%以下(例えば0.1〜10重量%、0.1〜9重量%、0.1〜8重量%、0.1〜7重量%、0.1〜6重量%、0.1〜5重量%、0.1〜4重量%など)または、下限0.1%以上(例えば0.1〜10重量%、0.2〜10重量%、0.3〜10重量%、0.4〜10重量%、0.5〜10重量%)の範囲から選択することができる。
また、前記添加剤が帯電防止剤である場合、溶液中の帯電防止剤の濃度は、粘着剤層10aに付与すべき所望の帯電防止特性に応じて、適宜設定することができ、例えば上限95重量%以下(例えば0.1〜90重量%、0.1〜9重量%、0.1〜85重量%、0.1〜80重量%、0.1〜75重量%、0.1〜70重量%など)または、下限0.1%以上(例えば0.1〜90重量%、0.2〜90重量%、0.3〜90重量%、0.4〜90重量%、0.5〜90重量%、0.6〜90重量%、1〜90重量%など)の範囲から選択することができる。
上記各添加剤(架橋剤、紫外線吸収剤、防錆剤、帯電防止剤)の濃度が上記範囲より濃いと、添加剤がブリードアウトしたり、塗布均精度の観点で分布バラつきが生じる場合がある。また、濃度が上記範囲より薄いと、溶媒が必要以上に必要となり、残存溶剤による粘着物性の低下や、粘着剤が必要以上に膨潤にすることで、外観上の不具合(表面の凸凹になる)等が生じる場合がある。
前記溶液12の粘着剤層10aへの塗布(塗工)には、公知のコーティング法を利用することができ、例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター、ダイレクトコーターなどのコーターが挙げられる。
前記添加剤の溶液の粘着剤層10aの塗布量は、粘着剤層10aに付与すべき所望の要求特性に応じて、適宜設定することができ、例えば1〜1000μg/cm2、好ましくは1〜500μg/cm2、より好ましくは1〜300μg/cm2、さらに好ましくは1〜100μg/cm2の範囲から選択することができる。添加剤の溶液の塗布量がこの範囲であれば、添加剤を溶解しつつ、粘着剤層10aに十分な要求特性を付与し得る。
添加剤の溶液を粘着剤層10aに塗布後、必要に応じて、静置して添加剤を浸透させてもよい。静置時間としては、特に限定はなく、例えば、15分以内から適宜選択することができ、例えば1秒〜10分、好ましくは5秒〜5分の範囲から選択することができる。静置温度としては、室温(10〜30℃程度)で行うことができる。上記の条件で静置した場合に、添加剤を粘着剤層10a十分に浸透させることができる。
乾燥工程における加熱乾燥温度は、40〜200℃が好ましく、より好ましくは50〜180℃、さらに好ましくは60〜170℃である。乾燥時間は、適宜、適切な時間が採用され得るが、例えば5秒〜20分であり、好ましくは5秒〜10分、より好ましくは10秒〜5分である。上記の条件で乾燥を行ことにより、粘着剤層10aは塗布する前に近い状態に戻すことができる。
また、必要に応じて、添加剤と粘着剤層とをより均一化させる静置時間を設けてもよい。静置時間としては、特に限定はなく、例えば、30日以内から適宜選択することができ、例えば1時間から15日の間、好ましくは24時間から10日の間で適宜選択することができる。静置することにより、粘着剤層10aは添加剤と粘着剤層が安定化し、特性評価のばらつきを抑制することができる。
図2(a)は本発明の第3の側面の粘着剤シートの一実施形態を示す断面図、図2(b)は本発明の第3の側面の粘着剤シートの別の実施形態を示す断面図である。
図2(a)を参照すると、本発明の一実施形態による粘着剤シート2Aは、光学的に透明な粘着剤層21と、該粘着剤層21の一方の第1の主面21aには支持体は貼り合わされておらず、該粘着剤層21の他方の第2の主面21bに貼り合わされた剥離シートからなる支持体S1とから構成される。
図2(b)を参照すると、本発明の一実施形態による粘着剤シート2Bは、光学的に透明な粘着剤層21と、該粘着剤層21の一方の第1の主面21aに貼り合わされた剥離シートからなる第1の支持体S2と、該粘着剤層21の他方の第2の主面21bに貼り合わされた剥離シートからなる第2の支持体S1とから構成される。粘着剤シート2Bは、粘着剤シート2Aの第1の主面21aに支持体S2を貼り合わせることにより得ることができる。
図2(a)及び(b)において、点線X−X'は粘着剤層21を厚さ方向に等分に2分割する線である。粘着剤層21の厚みが均一でない場合は、点線X−X'は各地点の厚みを2等分する線である。
図2において、粘着剤層21は、透明な粘着剤ベース材料からなり相対向する2つの主面(第1の主面と第2の主面)を有する単一層である。粘着剤層21は、前記の粘着剤層形成工程、及び粘着剤層硬化工程により形成され得るものであり、図1の粘着剤層10aに相当する。従って、粘着剤層21は、好ましくは、硬化した粘着剤層である。
粘着剤層が「単一層」であるとは、積層構造でないことを意味する。例えば、透明な粘着剤ベース材料からなる粘着剤層を形成し、さらにその上に、同一の透明な粘着剤ベース材料からなる粘着剤層を形成したものは積層構造であり、単一層ではない。同様に、添加剤が溶解した透明な粘着剤ベース材料からなる粘着剤層を形成し、さらにその上に、添加剤が異なる濃度で溶解した透明な粘着剤ベース材料からなる粘着剤層を形成したものは積層構造であり、単一層ではない。
粘着剤層21の厚みは特に限定されるものではないが、通常は5μm〜500μm、好ましくは、5μm〜400μm、さらに好ましくは、5μm〜350μmである。粘着剤層21の厚みがこの範囲内にあれば、粘着剤層21の厚さ方向に添加剤の濃度勾配を形成する上で好適である。
粘着剤層21全体の全光線透過率は、特に限定されないが、好ましくはJIS K7361に準拠して測定した値で80%以上、好ましくは90%以上である。粘着剤層21の全光線透過率は、高いほど好ましい。さらにまた、ヘイズ値は、1.5%以下が好ましく、より好ましくは1%以下である。
添加剤11は粘着剤層21に溶解している。ここで「溶解」とは、例えば、前記添加剤が前記粘着剤層の透明性を維持できる程度、すなわち添加剤の光散乱に起因する白濁などが生じない程度に溶解していることを意味する。具体的には、前記粘着剤層のヘイズ値が1.5%以下、好ましくは1%以下になるように、前記添加剤が前記粘着剤層に含まれていることが好ましい。
添加剤11は、前記の溶液塗布工程、溶液浸透工程、及び乾燥工程により、添加剤11が粘着剤層21に浸透することにより形成され、図2に示すように粘着剤層21の厚さ方向に添加剤11の濃度勾配が生じ得る。従って、単一層の粘着剤層21を厚さ方向に等分に2分割した場合における前記2つの主面の一方の第1の主面21aが属する領域の前記添加剤の濃度と、他方の第2の主面21bが属する領域の前記添加剤の濃度が異なるものとなる。添加剤の濃度が低い方の領域内に添加剤が存在しない場合(添加剤の濃度が0)も、本発明の範囲に含まれるものとする。
第1の主面が属する領域の前記添加剤の濃度、及び第2の主面が属する領域の前記添加剤の濃度は、それぞれの領域内にも濃度勾配がある場合、それぞれの領域内の添加剤の平均の濃度を意味するものとする。
図2(a)は、前記第2の主面21bが前記支持体S1上に面しており、前記第1の主面21aが属する領域の前記添加剤の濃度が、前記第2の主面21bが属する領域の前記添加剤の濃度より高いことを示す実施形態であり、前記第1の主面21aに添加剤の溶液を塗布し、第1の主面21aから厚み方向の深さにわたって粘着剤層21内に添加剤が溶解した状態で浸透することにより得られうるものである。
本発明の第3の側面の粘着剤シートにおいて、防錆剤、帯電防止剤等の添加剤は、図2に示すように、第1の主面21a付近で高い濃度で分布することにより、第1の主面21aに防錆機能や、帯電防止機能などの添加剤による要求特性を付与することができる。一方、粘着剤層21全体における添加剤11の濃度を低くできるので、添加剤11による粘着剤層21の物性変化を低減できる。
本発明の第3の側面の粘着剤シートは、液晶画像表示装置や有機EL画像表示措置等に画像表示装置において、透明な光学部材を他の光学部材に接合するために使用できる。前記光学部材としては、偏光フィルム、位相差フィルム、カバーガラス等の透明カバー部材、その他種々の透明光学部材が挙げられる。また、パターン化されたITO膜のような透明導電性層が形成されたガラス基板も本発明の光学部材に含まれうる。また、本発明の第3の側面の粘着剤シートは、前記光学部材の傷や汚れの付着を防止するための表面保護フィルムとしても好適に使用されうる。
図3は、本発明による粘着剤シートを使用する最も単純な実施形態の一例を示す光学部材積層体の断面図である。図3を参照すると、光学部材積層体3は、光学的に透明な第1の光学部材31と、該第1の光学部材31に光学的に透明な粘着剤層21を介して接合された第2の光学部材32とから構成されている。光学部材積層体3は、図2(b)に示す粘着剤シート2Bから、支持体S1、S2を剥がして、第1及び第2の光学部材に貼り合わせたものである。該透明な第1の光学部材31及び第2の光学部材32は、偏光フィルム、位相差フィルム、その他の光学的表示装置に使用される光学フィルム、光学的表示装置の視認側カバーガラスのような透明カバー部材により構成することができる。第1の光学部材31は、粘着剤層21の第1の主面21aに、第2の光学部材32は、粘着剤層21の第2の主面21bに、それぞれ接合される。
図4は、本発明の第2の側面の光学部材積層体の製造方法の一実施態様を実施するための工程を概略的に示す図である。本実施態様においては、図4(a)に示すように、接着剤シート2Cと光学部材からなる基板42(以下、単に「基板42」と称する場合がある)が使用される。
本実施態様において、接着シート2Cは、ハイブリット接着シートである本発明の第1の側面の粘着剤シートの製造方法により製造されるものであり、具体的には、以下の方法により製造されるものである。
支持体上に、第1の重合開始剤及び第1の架橋剤を含む透明な粘着剤ベース材料により形成される粘着剤層を形成し、
前記粘着剤層を前記第1の重合開始剤及び第1の架橋剤の反応による硬化させ、
第2の重合開始剤及び第2の架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも一種の添加剤の溶液を準備し、
前記硬化した粘着剤層の一方の面に前記溶液を塗布して、該溶液に含まれる前記添加剤を、前記粘着剤層の前記一方の面から厚み方向に浸透させ、
前記粘着剤層を乾燥させる。
図4(a)の接着剤シート2Cにおいて、本実施態様では、粘着剤層41は、前記第1の重合開始剤及び第1の架橋剤(図示せず)の反応による硬化されたものであり、第2の重合開始剤11aと第2の架橋剤11bが溶解した状態で分散している。第2の重合開始剤11aと第2の架橋剤11bのどちらか一方のみが粘着剤層41に溶解している態様も本発明に包含される。
本実施態様では、接着シート2Cは支持体S3を有するものであるが、支持体S3はなくてもよい。本実施態様では、粘着剤層41が支持体S3と接する主面41aから厚さ方向に第2の重合開始剤11aと第2の架橋剤11bの濃度勾配が存在する。
図4(a)の基板42において、本実施態様では、接着シート2Cと接合される主面42aは、印刷層43を有する。印刷層43は、パターン化されたITO(インジウム・スズ酸化物)などの透明で導電性の印刷層や、透明カバー部材の周縁部に枠状に形成される黒色の隠蔽部などが挙げられる。印刷層43を有しない基板42を使用する場合も本発明に包含される。
次に、基板42の主面42aに、粘着剤シート2Cの粘着剤層41を接合する。接合は公知の方法で行うことができ、例えば、オートクレーブを使用した加熱加圧条件などで行うことができる。粘着剤シート2Cの粘着剤層41は、前記第1の重合開始剤及び第1の架橋剤(第1のトリガー)の反応による硬化されたものであるが、第2の重合開始剤11a及び第2の架橋剤11bからなる群から選ばれる少なくとも一種(第2のトリガー)による硬化反応が進行する前の状態にあり、流動性が高く、優れた段差吸収性を示すものである。従って、粘着剤層41は基板42の主面42aと印刷層43との間の段差を隙間なく埋めるように接合される。
次に、粘着剤層41を第2の重合開始剤11a及び第2の架橋剤11bからなる群から選ばれる少なくとも一種(第2のトリガー)の反応により硬化させる。粘着剤層41を硬化させる方法としては、第2のトリガーにより硬化反応が進行するかぎり特に限定されないが、例えば、粘着剤層41を加熱することや、粘着剤層41に活性エネルギー線を照射して硬化させることが挙げられる。必要に応じて、さらに、加熱乾燥してもよい。活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に、紫外線が好ましい。
該粘着剤層41を硬化させる条件は、例えば、高い弾性率を示し、優れた接着信頼性を示すように、加熱温度や時間、或いは、活性エネルギー線の照射量を適宜設定すればよい。
図4(c)は、粘着剤層41に紫外線Uを照射して該粘着剤層41を硬化させる実施形態である。紫外線Uの照射により、第2の重合開始剤11aが分解してラジカル又はイオンなどが発生して、第2の架橋剤11bの重合・架橋反応が開始する。紫外線は、粘着剤層41に直接照射してもよく、支持体S3を介して照射してもよい。図4(c)は、支持体S3を介して紫外線Uを粘着剤層41に照射する実施形態である。紫外線を粘着剤層41に直接照射する場合は、支持体S3を粘着剤層41から剥離した後に紫外線Uを照射すればよい。
粘着剤層41を硬化することにより、図4(d)に示すように光学部材積層体4が得られる。図4(d)において41cは粘着剤層41が硬化した粘着剤層である。光学部材積層体4は、本発明の第4の側面の光学部材積層体の一例を示す実施態様である。
粘着剤層41を硬化することにより、架橋剤11bは、架橋・重合して架橋構造11cを形成して、粘着剤層41cを形成する。粘着剤層41cは弾性率が向上し、基板42に対する接着信頼性が向上している。従って、粘着剤層41cは、基板42(プラスチックフィルム)の加熱による二酸化炭素などのガスの発生を抑え込み、気泡の発生を防止する。
また、図4(d)の実施態様は、粘着剤層41cが支持体S3と接する主面41aの側の方が、反対側の主面41bよりも架橋密度が高い。この構成は、例えば、光学部材積層体4を主面41aの側を外側に曲げるフレキシブル画像表示装置として使用する場合に、屈曲性が向上し得る点で好ましい。
すなわち、フレキシブルディスプレイを折り曲げた際には、一般に、外側には引張性の応力、内側には圧縮性の応力がかかり、外側の応力は内側の応力よりも強い。従って、粘着剤層41cの主面41aを、フレキシブルディスプレイを曲げる場合の外側に配置することにより、屈曲に対する耐久性を向上させうる。
本実施態様において光学部材積層体4は、例えば、以下の構成を有するものである。
光学部材からなる基板42と、粘着剤層41cとを含む、光学部材積層体4であって、
前記光学部材からなる基板43の主面に前記粘着剤層41cが積層されており、
前記粘着剤層41cは、前記第1の重合開始剤及び第1の架橋剤(第1のトリガー)の反応、及び前記第2の重合開始剤11a及び第2の架橋剤11bからなる群から選ばれる少なくとも一種(第2のトリガー)の反応により硬化した透明な粘着剤ベース材料からなり相対向する2つの主面を有する単一層であり、
前記単一層の粘着剤層を厚さ方向に等分に2分割した場合における
前記2つの主面の一方の第1の主面41aが属する領域の架橋構造11cの密度と、他方の第2の主面41bが属する領域の架橋構造11cの密度が異なる。
本実施態様において、粘着剤層41cは、基板42の主面42aと印刷層43との間の段差を埋めるように積層されている。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(粘着剤シートAの作製)
アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)66重量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)19重量部、及びN−ビニル−2−ピロリドン(NVP)15重量部から構成されるモノマー混合物に、光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」、BASF社製)0.035重量部、及び光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」、BASF社製)0.035重量部を配合した後、粘度(計測条件:BH粘度計No.5ローター、10rpm、測定温度30℃)が約20Pa・sになるまで紫外線を照射して、上記モノマー成分の一部が重合したプレポリマー組成物を得た。
次に、該プレポリマー組成物に、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)0.2重量部を添加して混合し、アクリル系粘着剤組成物を得た。上記アクリル系粘着剤組成物を、剥離フィルム(商品名「MRF#38」、三菱樹脂株式会社製)の剥離処理された面上に、粘着剤層形成後の厚さが100μmとなるように塗布して、粘着剤組成物層を形成し、次いで、該粘着剤組成物層の表面に、剥離フィルム(商品名「MRN#38」、三菱樹脂株式会社製)を貼り合わせた。その後、照度:5mW/cm2、光量:1500mJ/cm2の条件で紫外線照射を行い、粘着剤組成物層を光硬化させて、粘着剤シートAを形成した。
(粘着剤シートBの作製)
ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)の添加量を0.1重量部としたこと以外は、粘着剤シートAと同様にして、粘着剤シートBを形成した。
(粘着剤シートCの作製)
モノマー混合物として、アクリル酸ブチル(BA)96重量部、及びアクリル酸(AA)4重量部を使用し、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)に代えてアクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)0.1重量部使用し、粘着剤層形成後の厚さを23μmとしたこと以外は、粘着剤シートAと同様にして、粘着剤シートCを形成した。
(粘着剤シートDの作製)
モノマー混合物として、アクリル酸ブチル(BA)57重量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル(4HBA)23重量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)8重量部、及びアクリル酸シクロヘキシル(CHA)12重量部を使用し、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)に代えてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)0.02重量部使用し、粘着剤層形成後の厚さを150μmとしたこと以外は、粘着剤シートAと同様にして、粘着剤シートDを形成した。
(粘着剤シートEの作製)
モノマー混合物として、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)29重量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル(4HBA)21重量部、アクリル酸イソステアリル(ISTA)29重量部、及びアクリル酸イソボルニル(IBXA)21重量部を使用したこと以外は、粘着剤シートAと同様にして、粘着剤シートEを形成した。
(粘着剤シートFの作製)
モノマー混合物として、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)41重量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル(4HBA)1重量部、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)17重量部、及びアクリル酸イソステアリル(ISTA)41重量部を使用し、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)に代えてトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)0.02重量部使用したこと以外は、粘着剤シートAと同様にして、粘着剤シートFを形成した。
(粘着剤シートGの作製)
モノマー混合物として、アクリル酸ブチル(BA)57重量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル(4HBA)23重量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)8重量部、及びアクリル酸シクロヘキシル(CHA)12重量部を使用し、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)に代えてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(HEA)0.03重量部使用し、粘着剤層形成後の厚さを250μmとしたこと以外は、粘着剤シートAと同様にして、粘着剤シートGを形成した。
(実施例1)
粘着剤シートAの一方の主面(「第1面」という)の剥離フィルムを剥離し、露出した第1面に紫外線吸収剤(Tinosorb S、BASF製)の10重量%の濃度の酢酸エチル溶液を、RD Specialties社製のWire Wound Rodタイプ、7番のバーコーターにて塗工した(狙いWet塗布厚15μm)。塗布後、粘着剤シートAを110℃のオーブン中で2分間加熱乾燥して、溶媒を揮発、除去して、該紫外線吸収剤が溶解した粘着剤層を含む粘着剤シートAを得た。
(比較例1)
粘着剤シートAの第1面の剥離フィルムを剥離し、紫外線吸収剤の溶液を塗布しない粘着剤シートAを比較例1とする。
(実施例2)
粘着剤シートBを用いて、紫外線吸収剤(Tinuvin928、BASF製)の12重量%の濃度の酢酸エチル溶液を塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、該紫外線吸収剤が溶解した粘着剤層を含む粘着剤シートBを得た。
(実施例3)
粘着剤シートBを用いて、紫外線吸収剤(Tinuvin928、BASF製)の12重量%の濃度のメチルエチルケトン溶液を塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、該紫外線吸収剤が溶解した粘着剤層Bを得た。
(実施例4)
粘着剤シートBを用いて、紫外線吸収剤(Seesorb106、シプロ化成(株)製)の15重量%の濃度の酢酸エチル溶液を塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、該紫外線吸収剤が溶解した粘着剤層を含む粘着剤シートBを得た。
(比較例2)
粘着剤シートBの第1面の剥離フィルムを剥離し、紫外線吸収剤の溶液を塗布しない粘着剤シートBを比較例2とする。
(実施例5)
粘着剤シートCを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、紫外線吸収剤(Tinosorb S、BASF製)が溶解した粘着剤層を含む粘着剤シートCを得た。
(実施例6)
粘着剤シートCを用いて、紫外線吸収剤(Tinuvin928、BASF製)の12重量%の濃度の酢酸エチル溶液を塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、紫外線吸収剤が溶解した粘着剤層を含む粘着剤シートCを得た。
(実施例7)
粘着剤シートCを用いて、紫外線吸収剤(Tinuvin928、BASF製)の12重量%の濃度のメチルエチルケトン溶液を塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、紫外線吸収剤が溶解した粘着剤層を含む粘着剤シートCを得た。
(実施例8)
粘着剤シートCを用いて、紫外線吸収剤(Seesorb106、シプロ化成(株)製)の15重量%の濃度の酢酸エチル溶液を塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、該紫外線吸収剤が溶解した粘着剤層を含む粘着剤シートCを得た。
(比較例3)
粘着剤シートCの第1面の剥離フィルムを剥離し、紫外線吸収剤の溶液を塗布しない粘着剤シートCを比較例3とする。
(比較例4)
粘着剤シートCを用い、紫外線吸収剤を含まない酢酸エチルを塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、紫外線吸収剤を含まない粘着剤シートCを得た。
(実施例9)
粘着剤シートDを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、紫外線吸収剤(Tinosorb S、BASF製)が溶解した粘着剤層を含む粘着剤シートDを得た。
(比較例5)
粘着剤シートDの第1面の剥離フィルムを剥離し、紫外線吸収剤の溶液を塗布しない粘着剤シートDを比較例5とする。
(実施例10)
粘着剤シートEを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、紫外線吸収剤(Tinosorb S、BASF製)が溶解した粘着剤層を含む粘着剤シートEを得た。
(比較例6)
粘着剤シートFの第1面の剥離フィルムを剥離し、紫外線吸収剤の溶液を塗布しない粘着剤シートEを比較例6とする。
(実施例11)
粘着剤シートFを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、紫外線吸収剤(Tinosorb S、BASF製)が溶解した粘着剤層を含む粘着剤シートFを得た。
(比較例7)
粘着剤シートFの第1面の剥離フィルムを剥離し、紫外線吸収剤の溶液を塗布しない粘着剤シートFを比較例7とする。
(比較例8)
粘着剤シートFを用い、紫外線吸収剤を含まない酢酸エチルを塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、紫外線吸収剤を含まない粘着剤シートFを得た。
(比較例9)
モノマー混合物として、アクリル酸ブチル(BA)70重量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル(4HBA)14重量部、及びN−ビニル−2−ピロリドン(NVP)16重量部を使用し、さらに、アクリル系粘着剤組成物に紫外線吸収剤(Tinosorb S、BASF製)を0.0009重量部配合したこと以外は、粘着剤シートDと同様にして、該紫外線吸収剤が均一に溶解した粘着剤層を有する粘着剤シートを得た。
<透過率評価>
実施例1〜11、比較例1〜8で得られた粘着剤シートの剥離フィルムを剥がし、光の波長別透過率(波長範囲:300〜800nm)を分光光度計(U4100、(株)日立ハイテクサイエンス製)を用いて評価した。380nm、420nmでの透過率(%)を表1に示す。
<粘着力評価>
実施例1〜11、比較例1〜8で得られた粘着剤シートの剥離フィルムを剥がした。紫外線吸収剤溶液を塗布した面を第1面、逆の主面を第2面とする。
得られた粘着剤シートを幅100mm、長さ100mmにカットし、第1面又は第2面をアルカリガラスに貼り合わせ、逆の面にPETフィルム(厚み:25μm)を貼り合わせて、ハンドローラーにより貼り合わせ、オートクレーブで15分間、加熱加圧(5atm、50℃)した。このようにして得られた試料をオートグラフ(引っ張り速度:60mm/min。剥離角度:180°)を用いて粘着力(N/10mm)を測定した。測定は各条件について3つの試料を作製し、それらの数平均値をとった。第1面及び第2面のアルカリガラスに対する粘着力(N/10mm)とその差を表1に示す。
Figure 2021155733
表1より、紫外線により硬化した粘着剤シートの粘着剤層に紫外線吸収剤の溶液を塗布することにより、粘着剤層に優れた紫外線吸収機能を付与できることが明らかになった。また、粘着剤層の第1面と第2面の粘着力の差は1.0N/mmであり、硬化した粘着剤シートの粘着剤層に紫外線吸収剤の溶液を塗布することにより、粘着剤層の表裏の粘着力等の物性差を最小限にできることが分かる。
<粘着剤の厚さ方向の紫外線吸収剤の分布の評価>
実施例9及び比較例9の厚さ方向における紫外線吸収剤(Tinosorb S)の分布状態を調べるためにTOF−SIMS分析(Arガスクラスターイオンエッチング法)を行った。サンプルは、作製後1ヵ月保管したものを使用した。
実施例9、比較例9で得られた粘着剤シートの剥離フィルムを剥がし、第1面側から以下の測定条件でTOF−SIMS分析を行った。結果を図5に示す。図5(a)は実施例9、図5(b)は比較例9の結果である。図5において左の縦軸のスケールは、アクリル酸ブチル(BA、C3+H3+O2)及びN−ビニルピロリドン(NVP、C4+H6+N+O)の強度、右の縦軸のスケールは、紫外線吸収剤(Tinosorb S、C30+H32+N3+O5)の強度を示す。
分析装置:TOF−SIMS(アルバック・ファイ製、TRIFT V)
エッチングイオン:Arガスクラスターイオン
照射した1次イオン:Bi3 2+
加速電圧:30kV
測定極性:負イオン
図5(a)より、実施例9の粘着剤シートの粘着剤層は第1面から第2面にかけて紫外線吸収剤(Tinosorb S)の濃度勾配を有することが分かる。一方、図5(b)より、比較例9の粘着剤シートの粘着剤層は第1面から第2面に渡って一定の濃度で紫外線吸収剤(Tinosorb S)が分布していることが分かる。
(実施例12)
粘着剤シートAの一方の主面(「第1面」という)の剥離フィルムを剥離し、露出した第1面にヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)を20重量%、光重合開始剤(Omnirad 184、IGM Resins B.V.社製)を1重量%の濃度に希釈した酢酸エチル溶液を、RD Specialties社製のWire Wound Rodタイプ、#7番のバーコーターにて塗工した(狙いWet塗布厚15μm)。塗布後、粘着剤シートAを110℃のオーブン中で2分間加熱乾燥して、溶媒を揮発、除去して、HDDAが溶解した粘着剤層を含む粘着剤シートAを得た。
(実施例13)
粘着剤シートBを用いたこと以外は、実施例12と同様にして、HDDAが溶解した粘着剤層を含む粘着剤シートBを得た。
(実施例14)
粘着剤シートGを用いて、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)の5重量%、光重合開始剤(Omnirad 184、IGM Resins B.V.社製)を0.25重量%の濃度に希釈した酢酸エチル溶液を塗布したこと以外は、実施例12と同様にして、DPHAが溶解した粘着剤層を含む粘着剤シートGを得た。
(実施例15)
粘着剤シートGを用いて、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)を2重量%、光重合開始剤(Omnirad 184、IGM Resins B.V.社製)を0.1重量%の濃度に希釈した酢酸エチル溶液を塗布したこと以外は、実施例12と同様にして、HDDAが溶解した粘着剤層を含む粘着剤シートGを得た。
(実施例16)
粘着剤シートGを用いて、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)を40重量%、光重合開始剤(Omnirad 184、IGM Resins B.V.社製)を2重量%の濃度の酢酸エチル溶液を塗布したこと以外は、実施例12と同様にして、HDDAが溶解した粘着剤層を含む粘着剤シートGを得た。
(実施例17)
粘着剤シートGを用いて、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)の5重量%、光重合開始剤Omnirad 184 (IGM Resins B.V.社製)を0.25重量%の濃度の酢酸エチル溶液を塗布したこと以外は、実施例12と同様にして、TMPTAが溶解した粘着剤層を含む粘着剤シートGを得た。
<弾性率評価>
実施例12〜17で得られた粘着剤シートの剥離フィルムを剥がして、粘着剤層を積層して、約2mmの厚みとしたとしたものを測定用サンプルとした。Rheometric Scientific社製「Advanced Rheometric Expansion System (ARES)」を用いて、以下の条件により、動的粘弾性測定を行った。
(測定条件)
変形モード:ねじり
測定周波数:1Hz
昇温速度:5℃/分
形状:パラレルプレート 7.9mmφ
次に、上記測定用サンプルを照度300mW/cm2、積算光量3000mJ/cm2の条件で紫外線を照射して硬化し、上記の方法により、動的粘弾性測定を行った。表2に硬化前、硬化後の85℃における貯蔵弾性率を示す。
Figure 2021155733
実施例12〜17において、粘着剤層に架橋剤溶液を塗布、乾燥した粘着剤シートA、B及びGを硬化条件に付すことにより貯蔵弾性率が向上する。従って、実施例12〜17の粘着剤シートは、ハイブリッド粘着剤シートとして有用であることが分かる。また、実施例15、16より、架橋剤溶液の濃度を調整することにより、硬化後の貯蔵弾性率を制御できることも分かる。
(実施例18)
粘着剤シートCの一方の主面(「第1面」という)の剥離フィルムを剥離し、露出した第1面に防錆剤(1,2,3−ベンゾトリアゾール)の0.5重量%の濃度のエタノール溶液を、RD Specialties社製のWire Wound Rodタイプ、#7番のバーコーターにて塗工した(狙いWet塗布厚15μm)。塗布後、粘着剤シートCを110℃のオーブン中で2分間加熱乾燥して、溶媒を揮発、除去して、該防錆剤が溶解した粘着剤層を含む粘着剤シートCを得た。
(比較例10)
粘着剤シートCの第1面の剥離フィルムを剥離し、防錆剤の溶液を塗布しない粘着剤シートCを比較例10とする。
<防錆機能の評価>
実施例18、比較例10で得られた粘着剤シートの剥離フィルムを剥がした。防錆剤溶液を塗布した面を第1面、逆の主面を第2面とする。得られた粘着剤シートを幅100mm、長さ100mmにカットし、第1面又は第2面を銅付フィルムに貼り合わせ、逆の面にPETフィルム(厚み:25μm)を貼り合わせて、ハンドローラーにより貼り合わせ、オートクレーブで15分間、加熱加圧(5atm、50℃)した。銅付フィルムは、シクロオレフィンフィルム(商品名「ZEONOR(登録商標)ZF16、厚さ50μm)の両面にハードコート層を形成したものの片面に、50nmの銅の層をスパッタにより形成したもの(表面抵抗値:0.58Ω/□)を使用した。これを85℃、85%RH環境下で500時間保存し、保存前後で銅の状態を評価した。ホール硬化測定装置(アクセントオプティカルテクノロジーズHL5500PC)により銅の表面抵抗値を測定した。また、目視により銅表面を観察し、腐食の有無を評価した。また、保存後に防錆剤の検出の有無を顕微鏡により確認した。結果を表3に示す。
Figure 2021155733
表3より、粘着剤層への防錆剤溶液の塗布により、粘着剤に防錆機能を付与することが可能であることが分かる。また、防錆剤溶液を塗布した第1面の500時間後の表面抵抗値は第2面より低く、表裏に防錆剤の濃度差があることが示唆された。
(実施例19)
粘着剤シートCの一方の主面(「第1面」という)の剥離フィルムを剥離し、露出した第1面に帯電防止剤(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム)の5重量%の濃度のエタノール溶液を、RD Specialties社製のWire Wound Rodタイプ、#7番のバーコーターにて塗工した(狙いWet塗布厚15μm)。塗布後、粘着剤シートCを110℃のオーブン中で2分間加熱乾燥して、溶媒を揮発、除去して、該帯電防止剤が溶解した粘着剤層を含む粘着剤シートCを得た。
(実施例20)
帯電防止剤溶液の濃度を10重量%としたこと以外は、実施例19と同様にして、帯電防止剤が溶解した粘着剤層を含む粘着剤シートCを得た。
(実施例20)
帯電防止剤溶液の濃度を20重量%としたこと以外は、実施例19と同様にして、帯電防止剤が溶解した粘着剤層を含む粘着剤シートCを得た。
(比較例11)
粘着剤シートCの第1面の剥離フィルムを剥離し、帯電防止剤の溶液を塗布しない粘着剤シートCを比較例11とする。
<帯電防止機能の評価>
実施例19〜21、比較例11で得られた粘着剤シートの一方の剥離フィルムを剥がし、粘着剤層の表面抵抗値を以下の条件により測定した。帯電防止剤溶液を塗布した主面を第1面、逆の主面を第2面とする。結果を表4に示す。
測定装置:ハイレスタMCP−HT450(三菱化学アナリティク)
プローブ:URS
印加電圧:250V
Figure 2021155733
表4より、粘着剤層への帯電防止剤溶液の塗布により、粘着剤に帯電防止機能を付与することが可能であることがわかる。
(実施例22)
粘着剤シートBの一方の主面(「第1面」という)の剥離フィルムを剥離し、露出した第1面に、紫外線吸収剤(Tinosorb S、BASF製)を10重量%、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)を20重量%、光重合開始剤(Omnirad 819、IGM Resins B.V.社製)を0.3重量%の濃度に希釈した酢酸エチル溶液を、RD Specialties社製のWire Wound Rodタイプ、#7番のバーコーターにて塗工した(狙いWet塗布厚15μm)。塗布後、粘着剤シートBを110℃のオーブン中で2分間加熱乾燥して、溶媒を揮発、除去して、該紫外線吸収剤と、HDDAが溶解した粘着剤層を含む粘着剤シートBを得た。
(実施例23)
紫外線吸収剤(Tinuvin928、BASF製)を12重量%、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)を30重量%、光重合開始剤(Omnirad 819、IGM Resins B.V.社製)を0.5重量%の濃度に希釈した酢酸エチル溶液を塗布したこと以外は、実施例22と同様にして、該紫外線吸収剤と、HDDAが溶解した粘着剤層を含む粘着剤シートBを得た。
(実施例24)
ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)を20重量%、光重合開始剤(Omnirad 819、IGM Resins B.V.社製)を0.3重量%の濃度に希釈した酢酸エチル溶液を塗布したこと以外は、実施例22と同様にして、HDDAが溶解した粘着剤層を含む粘着剤シートBを得た。
(実施例25)
ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)を30重量%、光重合開始剤(Omnirad 819、IGM Resins B.V.社製)を0.5重量%の濃度に希釈した酢酸エチル溶液を塗布したこと以外は、実施例22と同様にして、HDDAが溶解した粘着剤層を含む粘着剤シートBを得た。
<評価>
実施例22〜25で得られた粘着剤シートを、実施例12〜17と同様に7日間静置させた後に上記の「透過率評価」、「粘着力評価」、及び「弾性率評価」について評価した。透過率評価、粘着力評価は、紫外線照射による硬化前の粘着剤シートについて行った。結果を表5に示す。
Figure 2021155733
光重合開始剤、架橋剤に加えて、紫外線吸収剤を含む溶液を塗布した実施例22、23の粘着剤シートは、紫外線吸収剤を含まない溶液を塗布した実施例24、25の粘着剤シートに比べて硬化後の貯蔵弾性率が上昇し、接着信頼性が向上することが分かる。これは、紫外線を吸収した紫外線吸収剤が発熱し、硬化反応が促進されたためと考えられる。
以下に、本発明のバリエーションを付記する。
〔付記1〕支持体上に、透明な粘着剤ベース材料により形成される粘着剤層を形成し、
前記粘着剤層を硬化させ、
添加剤の溶液を準備し、
前記硬化した粘着剤層の一方の面に前記溶液を塗布して、該溶液に含まれる前記添加剤を、前記粘着剤層の前記一方の面から厚み方向に浸透させ、
前記粘着剤層を乾燥させる
工程を含むことを特徴とする粘着剤シートの製造方法。
〔付記2〕前記添加剤の溶液は、前記添加剤を溶媒に溶解させた溶液であり、
前記粘着剤層を乾燥させることによって前記溶液の溶媒を蒸発させる工程を含む、付記1に記載の粘着剤シートの製造方法。
〔付記3〕さらに、前記粘着剤層の前記支持体とは反対側の表面に剥離シートを貼り合わせる工程を含む、付記1又は2に記載の粘着剤シートの製造方法。
〔付記4〕前記添加剤が、重合開始剤、架橋剤、紫外線吸収剤、防錆剤、及び帯電防止剤からなる群から選ばれる少なくとも一種である、付記1〜3のいずれか1つに記載の粘着剤シートの製造方法。
〔付記5〕前記添加剤が、重合開始剤及び架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも一種である、付記4に記載の粘着剤シートの製造方法。
〔付記6〕前記添加剤が、さらに、紫外線吸収剤を含む、付記5に記載の粘着剤シートの製造方法。
〔付記7〕前記粘着剤ベース材料が、第1の重合開始剤及び第1の架橋剤を含み、
前記硬化が前記第1の重合開始剤及び第1の架橋剤の反応による硬化であり、
前記添加剤が、第2の重合開始剤及び第2の架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも一種である、付記1〜6のいずれか1つに記載の粘着剤シートの製造方法。
〔付記8〕前記第1の重合開始剤が、第2の重合開始剤と同一である、付記7に記載の粘着剤シートの製造方法。
〔付記9〕光学部材からなる基板と、粘着剤層と、を含む光学部材積層体の製造方法であって、
前記光学部材からなる基板の主面に、付記7又は8に記載の方法によって得られる粘着剤シートの粘着剤層を接合し、
前記粘着剤層を前記第2の重合開始剤及び第2の架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも一種の反応により硬化させる工程を含む、
光学部材積層体の製造方法。
〔付記10〕前記光学部材からなる基板の主面が印刷層を有し、
前記粘着剤層が、前記光学部材からなる基板の主面と前記印刷層との間の段差を埋めるように接合されている、付記9に記載の光学部材積層体の製造方法。
〔付記11〕支持体と、該支持体上の透明な粘着剤層とを有する粘着剤シートであって、
前記粘着剤層は、透明な粘着剤ベース材料からなり相対向する2つの主面を有する単一層であり、
前記粘着剤層には、添加剤が溶解しており、
前記単一層の粘着剤層を厚さ方向に等分に2分割した場合における
前記2つの主面の一方の第1の主面が属する領域の前記添加剤の濃度と、他方の第2の主面が属する領域の前記添加剤の濃度が異なることを特徴とする粘着剤シート。
〔付記12〕前記粘着剤層が、硬化した粘着剤層である、付記11に記載の粘着剤シート。
〔付記13〕前記第2の主面が前記支持体上に面しており、前記第1の主面が属する領域の前記添加剤の濃度が、前記第2の主面が属する領域の前記添加剤の濃度より高いことを特徴とする、付記11又は12に記載の粘着剤シート。
〔付記14〕前記単一層の粘着剤層が厚さ方向に前記添加剤の濃度勾配を有することを特徴とする、付記11〜13のいずれか1つに記載の粘着剤シート。
〔付記15〕前記支持体が剥離シートからなることを特徴とする、付記11〜14のいずれか1つに記載の粘着剤シート。
〔付記16〕剥離シートからなる前記支持体が前記粘着剤層の両面に配置されることを特徴とする、付記15記載の粘着剤シート。
〔付記17〕前記添加剤が、重合開始剤、架橋剤、紫外線吸収剤、防錆剤、及び帯電防止剤からなる群から選ばれる少なくとも一種である、付記11〜16のいずれか1つに記載の粘着剤シート。
〔付記18〕前記添加剤が、重合開始剤及び架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも一種である、付記17に記載の粘着剤シート。
〔付記19〕前記添加剤が、さらに、紫外線吸収剤を含む、付記18に記載の粘着剤シート。
〔付記20〕前記粘着剤ベース材料が、第1の重合開始剤及び第1の架橋剤を含み、
前記硬化が前記第1の重合開始剤及び第1の架橋剤の反応による硬化であり、
前記添加剤が、第2の重合開始剤及び第2の架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも一種である、付記12〜19のいずれか1つに記載の粘着剤シート。
〔付記21〕前記第1の重合開始剤が、第2の重合開始剤と同一である、付記20記載の粘着剤シート。
〔付記22〕前記粘着剤層の厚みが、5〜500μmである、付記11〜21のいずれか1つに記載の粘着剤シート。
〔付記23〕光学部材からなる基板と、
粘着剤層とを含む、光学部材積層体であって、
前記光学部材からなる基板の主面に前記粘着剤層が積層されており、
前記粘着剤層が、付記18〜21のいずれか1つに記載の粘着剤シートの粘着剤層の硬化物である、光学部材積層体。
〔付記24〕前記光学部材からなる基板の主面が印刷層を有し、
前記粘着剤層が、前記光学部材からなる基板の主面と前記印刷層との間の段差を埋めるように積層されている、付記23に記載の光学部材積層体。
〔付記25〕前記硬化物が、前記第2の重合開始剤及び第2の架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも一種の反応による硬化物である、付記23又は24に記載の光学部材積層体。
本発明は、透明な光学部材を他の光学部材に接合するために使用できる透明な粘着剤層を有する粘着剤シートの製造方法及び該製造方法により得られうる粘着剤シートに有用である。
10 粘着剤層(硬化前)
10a 粘着剤層(硬化後)
S、S1、S2、S3 支持体(剥離シート)
U:紫外線
11 添加剤
11a 第2の重合開始剤
11b 第2の架橋剤
11c 架橋構造
12 添加剤の溶液
13 溶媒
31、32 光学部材
21 粘着剤層(硬化後)
21a 粘着剤層の主面(第1面)
21b 粘着剤層の主面(第2面)
41 粘着剤層(硬化前)
41a 粘着剤層の主面(第1面)
41b 粘着剤層の主面(第2面)
42 光学部材
42a 光学部材の主面
43 印刷層

Claims (25)

  1. 支持体上に、透明な粘着剤ベース材料により形成される粘着剤層を形成し、
    前記粘着剤層を硬化させ、
    添加剤の溶液を準備し、
    前記硬化した粘着剤層の一方の面に前記溶液を塗布して、該溶液に含まれる前記添加剤を、前記粘着剤層の前記一方の面から厚み方向に浸透させ、
    前記粘着剤層を乾燥させる
    工程を含むことを特徴とする粘着剤シートの製造方法。
  2. 前記添加剤の溶液は、前記添加剤を溶媒に溶解させた溶液であり、
    前記粘着剤層を乾燥させることによって前記溶液の溶媒を蒸発させる工程を含む、請求項1に記載の粘着剤シートの製造方法。
  3. さらに、前記粘着剤層の前記支持体とは反対側の表面に剥離シートを貼り合わせる工程を含む、請求項1又は2に記載の粘着剤シートの製造方法。
  4. 前記添加剤が、重合開始剤、架橋剤、紫外線吸収剤、防錆剤、及び帯電防止剤からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着剤シートの製造方法。
  5. 前記添加剤が、重合開始剤及び架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項4に記載の粘着剤シートの製造方法。
  6. 前記添加剤が、さらに、紫外線吸収剤を含む、請求項5に記載の粘着剤シートの製造方法。
  7. 前記粘着剤ベース材料が、第1の重合開始剤及び第1の架橋剤を含み、
    前記硬化が前記第1の重合開始剤及び第1の架橋剤の反応による硬化であり、
    前記添加剤が、第2の重合開始剤及び第2の架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の粘着剤シートの製造方法。
  8. 前記第1の重合開始剤が、第2の重合開始剤と同一である、請求項7に記載の粘着剤シートの製造方法。
  9. 光学部材からなる基板と、粘着剤層と、を含む光学部材積層体の製造方法であって、
    前記光学部材からなる基板の主面に、請求項7又は8に記載の方法によって得られる粘着剤シートの粘着剤層を接合し、
    前記粘着剤層を前記第2の重合開始剤及び第2の架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも一種の反応により硬化させる工程を含む、
    光学部材積層体の製造方法。
  10. 前記光学部材からなる基板の主面が印刷層を有し、
    前記粘着剤層が、前記光学部材からなる基板の主面と前記印刷層との間の段差を埋めるように接合されている、請求項9に記載の光学部材積層体の製造方法。
  11. 支持体と、該支持体上の透明な粘着剤層とを有する粘着剤シートであって、
    前記粘着剤層は、透明な粘着剤ベース材料からなり相対向する2つの主面を有する単一層であり、
    前記粘着剤層には、添加剤が溶解しており、
    前記単一層の粘着剤層を厚さ方向に等分に2分割した場合における
    前記2つの主面の一方の第1の主面が属する領域の前記添加剤の濃度と、他方の第2の主面が属する領域の前記添加剤の濃度が異なることを特徴とする粘着剤シート。
  12. 前記粘着剤層が、硬化した粘着剤層である、請求項11に記載の粘着剤シート。
  13. 前記第2の主面が前記支持体上に面しており、前記第1の主面が属する領域の前記添加剤の濃度が、前記第2の主面が属する領域の前記添加剤の濃度より高いことを特徴とする、請求項11又は12に記載の粘着剤シート。
  14. 前記単一層の粘着剤層が厚さ方向に前記添加剤の濃度勾配を有することを特徴とする、請求項11〜13のいずれか1項に記載の粘着剤シート。
  15. 前記支持体が剥離シートからなることを特徴とする、請求項11〜14のいずれか1項に記載の粘着剤シート。
  16. 剥離シートからなる前記支持体が前記粘着剤層の両面に配置されることを特徴とする、請求項15記載の粘着剤シート。
  17. 前記添加剤が、重合開始剤、架橋剤、紫外線吸収剤、防錆剤、及び帯電防止剤からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項11〜16のいずれか1項に記載の粘着剤シート。
  18. 前記添加剤が、重合開始剤及び架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項17に記載の粘着剤シート。
  19. 前記添加剤が、さらに、紫外線吸収剤を含む、請求項18に記載の粘着剤シート。
  20. 前記粘着剤ベース材料が、第1の重合開始剤及び第1の架橋剤を含み、
    前記硬化が前記第1の重合開始剤及び第1の架橋剤の反応による硬化であり、
    前記添加剤が、第2の重合開始剤及び第2の架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項12〜19のいずれか1項に記載の粘着剤シート。
  21. 前記第1の重合開始剤が、第2の重合開始剤と同一である、請求項20記載の粘着剤シート。
  22. 前記粘着剤層の厚みが、5〜500μmである、請求項11〜21のいずれか1項に記載の粘着剤シート。
  23. 光学部材からなる基板と、
    粘着剤層とを含む、光学部材積層体であって、
    前記光学部材からなる基板の主面に前記粘着剤層が積層されており、
    前記粘着剤層が、請求項18〜21のいずれか1項に記載の粘着剤シートの粘着剤層の硬化物である、光学部材積層体。
  24. 前記光学部材からなる基板の主面が印刷層を有し、
    前記粘着剤層が、前記光学部材からなる基板の主面と前記印刷層との間の段差を埋めるように積層されている、請求項23に記載の光学部材積層体。
  25. 前記硬化物が、前記第2の重合開始剤及び第2の架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも一種の反応による硬化物である、請求項23又は24に記載の光学部材積層体。
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