1.紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物
本発明の紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物は、画像表示装置におけるカバーガラス又はカバープラスチックと偏光フィルムとの間に位置する粘着剤層を形成するための紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物であって、
前記粘着剤組成物は、アルキル(メタ)アクリレートを含有するモノマー成分及び/又は前記モノマー成分の部分重合物、紫外線吸収剤、並びに波長400nm以上に吸収帯を有する光重合開始剤(A)を含み、
前記粘着剤組成物から形成される粘着剤層の波長380nmにおける透過率が40%以下あり、かつ波長400nmにおける透過率が30%以上であることを特徴とする。
本発明の粘着剤層を含む画像表示装置の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は、図面の実施形態に限定されるものではない。
画像表示装置の構成の一例としては、例えば、図1〜図3に示すように、
カバーガラス又はカバープラスチック1/粘着剤層2a/偏光フィルム5/液晶表示装置(LCD)又は有機EL表示装置(OLED)6;
カバーガラス又はカバープラスチック1/粘着剤層2b/センサー層7/粘着剤層2a/偏光フィルム5/液晶表示装置(LCD)又は有機EL表示装置(OLED)6;
カバーガラス又はカバープラスチック1/粘着剤層2b/センサー層7/粘着剤層2c/センサー層7/粘着剤層2a/偏光フィルム5/液晶表示装置(LCD)又は有機EL表示装置(OLED)6;
のように、各層がこの順に積層された画像表示装置を挙げることができる。また、これらの層の他に、位相差フィルム等を適宜加えることもでき、具体的には、前記偏光フィルム5と液晶表示装置(LCD)又は有機EL表示装置(OLED)6との間に粘着剤層を介して積層することができる。また、各層の積層において、適宜粘着剤層及び/又は接着剤層を用いることができる。なお、図1〜3の偏光フィルム5は、偏光子4を2枚の保護フィルム3a、3bで挟持する構成を有しているが、偏光子4の片面が保護フィルムで保護されている片面保護偏光フィルムであってもよい。
本発明の紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤層は、画像表示装置におけるカバーガラス又はカバープラスチック1と、液晶表示装置(LCD)又は有機EL表示装置(OLED)6より視認側に存在する偏光フィルム5との間に位置する粘着剤層であり、図1〜3における粘着剤層2a〜2cのいずれの場所であってもよいが、偏光フィルム5に接する粘着剤層(図中の2a)に本願発明の粘着剤層を用いることが紫外線吸収能の観点からより好ましい。本発明の紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤層を前記位置に配置することで、画像表示装置において視認側から入射する紫外光から画像表示装置内の偏光フィルム等を保護することができるため好ましい。
本発明の紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物は、アルキル(メタ)アクリレートを含有するモノマー成分及び/又は前記モノマー成分の部分重合物、紫外線吸収剤、及び波長400nm以上に吸収帯を有する光重合開始剤(A)を含むものである。
前記アルキル(メタ)アクリレートとしては、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜24のアルキル基をエステル末端に有するものを例示できる。アルキル(メタ)アクリレートは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、アルキル(メタ)アクリレートはアルキルアクリレート及び/又はアルキルメタクリレートをいい、本発明の(メタ)とは同様の意味である。
前記アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、炭素数4〜9の分岐を有するアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートを例示することができる。当該アルキル(メタ)アクリレートは、粘着特性のバランスがとりやすい点で好ましい。具体的には、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、イソヘキシル(メタ)アクリレート、イソヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において、前記炭素数1〜24のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する単官能性モノマー成分の全量に対して40重量%以上であることが好ましく、50重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましい。
前記(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分には、単官能性モノマー成分として、前記アルキル(メタ)アクリレート以外の共重合モノマーを含有することができる。共重合モノマーは、モノマー成分における前記アルキル(メタ)アクリレートの残部として用いることができる。
共重合モノマーとしては、例えば、環状窒素含有モノマーを含むことができる。上記環状窒素含有モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基又はビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつ環状窒素構造を有するものを特に制限なく用いることができる。環状窒素構造は、環状構造内に窒素原子を有するものが好ましい。環状窒素含有モノマーとしては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、メチルビニルピロリドン等のラクタム系ビニルモノマー;ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン等の窒素含有複素環を有するビニル系モノマー等が挙げられる。また、モルホリン環、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環等の複素環を含有する(メタ)アクリルモノマーが挙げられる。具体的には、N−アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン等が挙げられる。前記環状窒素含有モノマーの中でも、ラクタム系ビニルモノマーが好ましい。
本発明において、環状窒素含有モノマーは、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する単官能性モノマー成分の全量に対して、0.5〜50重量%であるのが好ましく、0.5〜40重量%がより好ましく、0.5〜30重量%がさらに好ましい。
本発明で用いるモノマー成分には、単官能性モノマー成分として、ヒドロキシル基含有モノマーを含むことができる。ヒドロキシル基含有モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基又はビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつヒドロキシル基を有するものを特に制限なく用いることができる。ヒドロキシル基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルシクロアルカン(メタ)アクリレートが挙げられる。その他、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。これらは単独で又は組み合わせて使用できる。これらの中でもヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好適である。
本発明において、前記ヒドロキシル基含有モノマーは、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する単官能性モノマー成分の全量に対して、接着力、凝集力を高める点から1重量%以上であるのが好ましく、2重量%以上であるがより好ましく、3重量%以上であるのがさらに好ましい。一方、前記ヒドロキシル基含有モノマーが多くなりすぎると、粘着剤層が固くなり、接着力が低下する場合があり、また、粘着剤の粘度が高くなりすぎたり、ゲル化したりする場合があることから、前記ヒドロキシル基含有モノマーは、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する単官能性モノマー成分の全量に対して、30重量%以下であるのが好ましく、27重量%以下がより好ましく、25重量%以下がさらに好ましい。
また、前記(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分には、単官能性モノマーとして、その他の官能基含有モノマーを含有することができ、例えば、カルボキシル基含有モノマー、環状エーテル基を有するモノマーが挙げられる。
カルボキシル基含有モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基又はビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつカルボキシル基を有するものを特に制限なく用いることができる。カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イソクロトン酸等が挙げられ、これらは単独で又は組み合わせて使用できる。イタコン酸、マレイン酸はこれらの無水物を用いることができる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、特にアクリル酸が好ましい。なお、(メタ)アクリル系ポリマーの製造に用いるモノマー成分にはカルボキシル基含有モノマーを任意に用いることができ、一方では、カルボキシル基含有モノマーを用いなくともよい。
環状エーテル基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基又はビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつエポキシ基又はオキセタン基等の環状エーテル基を有するものを特に制限なく用いることができる。エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。オキセタン基含有モノマーとしては、例えば、3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−メチル−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−エチル−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−ブチル−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−ヘキシル−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。これらは単独で又は組み合わせて使用できる。
本発明において、前記カルボキシル基含有モノマー、環状エーテル基を有するモノマーは、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する単官能性モノマー成分の全量に対して、30重量%以下であるのが好ましく、27重量%以下がより好ましく、25重量%以下がさらに好ましい。
前記(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分には、共重合モノマーとしては、例えば、CH2=C(R1)COOR2(前記R1は水素又はメチル基、R2は炭素数1〜3の置換されたアルキル基、環状のシクロアルキル基を表す。)で表されるアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
ここで、R2としての、炭素数1〜3の置換されたアルキル基の置換基としては、炭素数3〜8個のアリール基又は炭素数3〜8個のアリールオキシ基であることが好ましい。アリール基としては、限定はされないが、フェニル基が好ましい。
このようなCH2=C(R1)COOR2で表されるモノマーの例としては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は組み合わせて使用できる。
本発明において、前記CH2=C(R1)COOR2で表される(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する単官能性モノマー成分の全量に対して、50重量%以下で用いることができ、45重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、35重量%以下がさらに好ましい。
他の共重合モノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール等のグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2−メトキシエチルアクリレート等のアクリル酸エステル系モノマー;アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、イミド基含有モノマー、N−アクリロイルモルホリン、ビニルエーテルモノマー等も使用することができる。また、共重合モノマーとしては、テルペン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の環状構造を有するモノマーを用いることができる。
さらに、ケイ素原子を含有するシラン系モノマー等が挙げられる。シラン系モノマーとしては、例えば、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−ビニルブチルトリメトキシシラン、4−ビニルブチルトリエトキシシラン、8−ビニルオクチルトリメトキシシラン、8−ビニルオクチルトリエトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分には、前記例示の単官能性モノマーの他に、粘着剤の凝集力を調整するために、必要に応じて多官能性モノマーを含有することができる。
多官能性モノマーは、(メタ)アクリロイル基又はビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を少なくとも2つ有するモノマーであり、例えば、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物;アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートを好適に使用することができる。多官能性モノマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
多官能性モノマーの使用量は、その分子量や官能基数等により異なるが、単官能性モノマーの合計100重量部に対して、3重量部以下で用いることが好ましく、2重量部以下がより好ましく、1重量部以下がさらに好ましい。また、下限値としては特に限定されないが、0重量部以上であることが好ましく、0.001重量部以上であることがより好ましい。多官能性モノマーの使用量が前記範囲内であることにより、接着力を向上することができる。
本発明においては、前記モノマー成分の部分重合物であっても良い。ここでいう「部分重合物」とは、モノマー成分を一部重合させたものである。前記モノマー成分の部分重合物の重合率は、後述の通りである。
本発明の紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物は、紫外線吸収剤を含むものである。
紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、オキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等を挙げることができ、これらを1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましく、1分子中にヒドロキシル基を2個以下有するトリアジン系紫外線吸収剤、及び、1分子中にベンゾトリアゾール骨格を1個有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される少なくとも1種の紫外線吸収剤であることが、紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物の形成に用いられるモノマーへの溶解性が良好であり、かつ、波長380nm付近での紫外線吸収能力が高いため特に好ましい。
1分子中にヒドロキシル基を2個以下有するトリアジン系紫外線吸収剤としては、具体的には、2,4−ビス−[{4−(4−エチルヘキシルオキシ)−4−ヒドロキシ}−フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(Tinosorb S、BASF製)、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(TINUVIN 460、BASF製)、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニルと[(C10−C16(主としてC12−C13)アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物(TINUVIN400、BASF製)、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−[3−(ドデシルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ]フェノール)、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと(2−エチルヘキシル)−グリシド酸エステルの反応生成物(TINUVIN405、BASF製)、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール(TINUVIN1577、BASF製)、2−(4,6−ジフェニルー1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[2−(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]−フェノール(ADK STAB LA46、ADEKA製)、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン(TINUVIN479、BASF社製)等を使用することができる。
また、1分子中にベンゾトリアゾール骨格を1個有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(TINUVIN 928、BASF製)、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(TINUVIN PS、BASF製)、ベンゼンプロパン酸および3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ(C7−9側鎖および直鎖アルキル)のエステル化合物(TINUVIN384−2、BASF製)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(TINUVIN900、BASF製)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(TINUVIN928、BASF製)、メチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物(TINUVIN1130、BASF製)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール(TINUVIN P、BASF製)、2(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(TINUVIN234、BASF製)、2−〔5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル〕−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール(TINUVIN326、BASF製)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール(TINUVIN328、BASF製)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(TINUVIN329、BASF製)、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコール300との反応生成物(TINUVIN213、BASF製)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール(TINUVIN571、BASF製)、2−[2−ヒドロキシ−3−(3、4、5,6−テトラヒドロフタルイミドーメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール(Sumisorb250、住友化学工業(株)製)等を使用することができる。
また、前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系化合物)、オキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤(オキシベンゾフェノン系化合物)としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸(無水及び三水塩)、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2´,4,4´−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−4,4−ジメトキシベンゾフェノン等を挙げることができる。
また、前記サリチル酸エステル系紫外線吸収剤(サリチル酸エステル系化合物)としては、例えば、フェニル−2−アクリロイルオキシベンゾエ−ト、フェニル−2−アクロリイルオキシ−3−メチルベンゾエ−ト、フェニル−2−アクリロイルオキシ−4−メチルベンゾエ−ト、フェニル−2−アクリロイルオキシ−5−メチルベンゾエ−ト、フェニル−2−アクリロイルオキシ−3−メトキシベンゾエ−ト、フェニル−2−ヒドロキシベンゾエ−ト、フェニル−2−ヒドロキシ−3−メチルベンゾエ−ト、フェニル−2−ヒドロキシ−4メチルベンゾエ−ト、フェニル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンゾエ−ト、フェニル2−ヒドロキシ−3−メトキシベンゾエ−ト、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(TINUVIN120、BASF製)等を挙げることができる。
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤(シアノアクリレート系化合物)としては、例えば、アルキル−2−シアノアクリレート、シクロアルキル−2−シアノアクリレート、アルコキシアルキル−2−シアノアクリレート、アルケニル−2−シアノアクリレート、アルキニル−2−シアノアクリレート等を挙げることができる。
前記紫外線吸収剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する単官能性モノマー成分100重量部に対して、0.1〜5重量部程度であることが好ましく、0.5〜3重量部程度であることがより好ましい。紫外線吸収剤の添加量を前記範囲とすることで、粘着剤層の紫外線吸収機能を十分に発揮することでき、かつ、紫外線重合の妨げとはならないため、好ましい。
本発明の紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物には、波長400nm以上に吸収帯を有する光重合開始剤(A)を含むものである。前記波長400nm以上に吸収帯を有する光重合開始剤(A)は、波長400nm以上に吸収帯を有するものであればよく、波長400nm未満に吸収帯を有しても良いものである。粘着剤組成物に紫外線吸収剤を含む場合、紫外線重合を行うと、前記紫外線吸収剤により紫外線が吸収されてしまい十分に重合できないものであった。しかしながら、本発明の粘着剤組成物は、波長400nm以上に吸収帯を有する光重合開始剤(A)を有するため、紫外線吸収剤を含むにもかかわらず十分に重合することができるものである。
波長400nm以上に吸収帯を有する光重合開始剤(A)としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(Irgacure819、BASF製)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(LUCIRIN TPO、BASF製)等を挙げることができる。
前記波長400nm以上に吸収帯を有する光重合開始剤(A)は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
また、前記波長400nm以上に吸収帯を有する光重合開始剤(A)の添加量は、特に限定されるものではないが、前記紫外線吸収剤の添加量よりも少ないことが好ましく、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する単官能性モノマー成分100重量部に対して、0.005〜1重量部程度であることが好ましく、0.02〜0.5重量部程度であることがより好ましい。光重合開始剤(A)の添加量が前記範囲であることで、紫外線重合を十分に進行することができるため好ましい。
また、本発明の紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物には、波長400nm未満に吸収帯を有する光重合開始剤(B)を含有することができる。また、光重合開始剤(B)は、波長400nm以上に吸収帯を有さないことが好ましい。当該光重合開始剤(B)としては、紫外線によりラジカルを発生し、光重合を開始するものであって、波長400nm未満に吸収帯を有するものであれば特に制限されず、通常用いられる光重合開始剤をいずれも好適に用いることができる。例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等を用いることができる。
具体的には、ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、アニソールメチルエーテル等が挙げられる。
アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチルジクロロアセトフェノン等が挙げられる。
α−ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等が挙げられる。
光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシム等が挙げられる。
ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン等が挙げられる。
ベンジル系光重合開始剤としては、例えば、ベンジル等が含まれる。
ベンゾフェノン系光重合開始剤には、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が含まれる。
ケタール系光重合開始剤には、ベンジルジメチルケタール等が含まれる。
チオキサントン系光重合開始剤には、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントン等が含まれる。
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤には、例えば、2,4,6―トリメチルベンゾイル―ジフェニル―フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6―トリメチルベンゾイル)―フェニルフォスフィンオキサイド等が含まれる。
前記波長400nm未満に吸収帯を有する光重合開始剤(B)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。前記波長400nm未満に吸収帯を有する光重合開始剤(B)は、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができるが、添加量としては、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する単官能性モノマー成分100重量部に対して、0.005〜0.5重量部程度であることが好ましく、0.02〜0.1重量部程度であることがより好ましい。
本発明においては、前記モノマー成分に、波長400nm未満に吸収帯を有する光重合開始剤(B)を先に添加して、紫外線を照射して一部重合したモノマー成分の部分重合物
(プレポリマー組成物)に、前記波長400nm以上に吸収帯を有する光重合開始剤(A)及び紫外線吸収剤を添加して紫外線重合することが好ましい。紫外線照射をして一部重合したモノマー成分の部分重合物(プレポリマー組成物)に、前記波長400nm以上に吸収帯を有する光重合開始剤(A)を添加する際には、前記光重合開始剤をモノマーに溶解した後添加することが好ましい。
さらに、本発明の紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物にはシランカップリング剤を含有することができる。シランカップリング剤の配合量は、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する単官能性モノマー成分100重量部に対して1重量部以下であるのが好ましく、0.01〜1重量部がより好ましく、0.02〜0.6重量部がさらに好ましい。
前記シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤等が挙げられる。
本発明の紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物は、架橋剤を含有することができる。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、シリコーン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、シラン系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤、過酸化物等の架橋剤が含まれる。架橋剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせることができる。これらの中でも、イソシアネート系架橋剤が好ましく用いられる。
上記架橋剤は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する単官能性モノマー成分100重量部に対し、5重量部以下であることが好ましく、0.01〜5重量部であることがより好ましく、0.01〜4重量部がさらに好ましく、0.02〜3重量部が特に好ましい。
イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート基(イソシアネート基をブロック剤又は数量体化等により一時的に保護したイソシアネート再生型官能基を含む)を1分子中に2つ以上有する化合物をいう。イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート等が挙げられる。
より具体的には、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(商品名:コロネートHL、日本ポリウレタン工業(株)製)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名:コロネートHX、日本ポリウレタン工業(株)製)等のイソシアネート付加物、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(商品名:D110N、三井化学(株)製)、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(商品名:D160N、三井化学(株)製);ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート、ならびにこれらと各種のポリオールとの付加物、イソシアヌレート結合、ビューレット結合、アロファネート結合等で多官能化したポリイソシアネート等を挙げることができる。
本発明の紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物には、前記成分の他に、用途に応じて、適宜な添加剤が含まれていてもよい。例えば、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂等からなる常温で固体、半固体、あるいは液状のもの);中空ガラスバルーン等の充填剤;可塑剤;老化防止剤;酸化防止剤等が挙げられる。
本発明において、上記紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物は、基材上に塗布等する作業に適した粘度に調整するのが好ましい。紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物の粘度の調整は、例えば、増粘性添加剤等の各種ポリマーや多官能性モノマー等の添加や、紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物中のモノマー成分を部分重合させることにより行う。なお、当該部分重合は、増粘性添加剤等の各種ポリマーや多官能性モノマー等を添加する前に行っても良く、その後に行っても良い。上記紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物の粘度は添加剤の量等によって変わるため、紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物中のモノマー成分を部分重合させる場合の重合率は、一意に決めることはできないが、目安としては20%以下程度であることが好ましく、3〜20%程度がより好ましく、5〜15%程度がさらに好ましい。20%を超えると粘度が高くなりすぎるため、基材へ塗布が難しくなる。
本発明の紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物により形成された粘着剤層の透過b*値は、特に限定されないが、3.0以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、0.5以下であることがさらに好ましい。上記b*値とは、JIS Z8729に準拠したL*a*b*表色系におけるb*値(色度)を指し、例えば、分光光度計(製品名:U4100、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて測定することができる。
本発明の紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物により形成された粘着剤層の波長380nmにおける透過率が40%以下あり、20%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましい。波長380nmにおける透過率波長が前記範囲であることにより、入射する紫外線を十分に遮断することができるため、液晶パネル、有機EL素子、偏光子等をはじめとする光学部材の劣化を抑制することができる。
また、本発明の紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物により形成された粘着剤層の波長400nmにおける透過率は30%以上であり、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。波長400nmにおける透過率が前記範囲であることにより、入射する可視光を十分の透過することができ、画像表示装置において十分な視認性を確保できるため好ましい。
2.紫外線硬化型アクリル系粘着剤層
本発明の紫外線硬化型アクリル系粘着剤層は、画像表示装置におけるカバーガラス又はカバープラスチックと偏光フィルムとの間に位置する粘着剤層であり、
前記紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物に紫外線を照射して当該紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物中のモノマー成分を光重合させることにより形成されることを特徴とする。
紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物については、前述のものを用いることができる。
上記紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物に照射する紫外線の照度は、5mW/cm2以上が好ましい。当該紫外線の照度が5mW/cm2未満であると、重合反応時間が長くなり、生産性に劣ることがある。なお、当該紫外線の照度は200mW/cm2以下が好ましい。当該紫外線の照度が200mW/cm2を超えると、光重合開始剤が急激に消費されるため、重合体の低分子量化が起こり、特に高温での保持力が低下することがある。また、紫外線の積算光量は、100mJ/cm2〜5000mJ/cm2であることが好ましい。
本発明に用いられる紫外線ランプは、特に限定されるものではないが、LEDランプが好ましい。LEDランプは他の紫外線ランプに比べて放出熱が低いランプであるため、粘着剤層の重合中の温度を抑えることができる。そのため、重合体の低分子量化を防ぐことができ、粘着剤層の凝集力の低下を防ぐとともに粘着シートとした場合の高温における保持力を高めることができる。また、複数の紫外線ランプを組み合わせることも可能である。また、紫外線を間欠的に照射し、紫外線を照射する明期と紫外線を照射しない暗期とを設けることもできる。
本発明において、紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物中のモノマー成分の最終的な重合率は90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、98%以上が更に好ましい。
本発明において、上記紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物に照射する紫外線のピーク波長は、200〜500nmの範囲内にあることが好ましく、300〜450nmの範囲内にあることがより好ましい。紫外線のピーク波長が500nmを超えると、光重合開始剤が分解せず、重合反応が開始しないことがある。また、紫外線のピーク波長が200nm未満であると、ポリマー鎖が切断され、接着特性が低下することがある。
本発明の粘着剤層の厚さは、紫外線吸収機能を確保する観点から、50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましく、150μm以上であることがさらに好ましい。粘着剤層の厚みの上限値は特に限定されないが、10mm以下であることが好ましい。粘着剤層の厚みが10mmを超えると紫外線の透過が困難になり、モノマー成分の重合に時間がかかり、生産性が劣る場合があるため、好ましくない。
本発明の粘着剤層のゲル分率は、特に限定されるものではないが、50%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。粘着剤層のゲル分率が小さい場合には凝集力に劣り、大きすぎると接着力に劣る場合がある。
前記粘着剤層の透過b*値、波長380nmにおける透過率、波長400nmにおける透過率については、前述の通りである。
本発明の粘着剤層は、画像表示装置に用いるものであり、さらに具体的には、画像表示装置におけるカバーガラス又はカバープラスチックと偏光フィルムとの間に位置するものである。本発明の粘着剤層が当該位置にあることで、紫外線吸収機能を十分に発揮することができるものである。
3.粘着剤層付き偏光フィルム
本発明の粘着剤層付き偏光フィルムは、偏光フィルムと、当該偏光フィルムの少なくとも一方の面に前記紫外線硬化型アクリル系粘着剤層を有することを特徴とする。
紫外線硬化型アクリル系粘着剤層の形成方法としては、前述の通りであるが、偏光フィルム上に直接紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物を塗布して粘着剤層を形成してもよく、また、剥離フィルム等上に粘着剤層を形成させた後、偏光フィルムに当該粘着剤層を転写することにより偏光フィルム上に粘着剤層を形成しても良い。
前記偏光フィルムとしては、偏光子の少なくとも片面に透明保護フィルムを有する偏光フィルムであることが好ましい。
偏光子は、特に限定されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素等の二色性物質からなる偏光子が好適である。これらの偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に5〜80μm程度である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いヨウ化カリウム等の水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラ等の不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウム等の水溶液や水浴中でも延伸することができる。
また、本発明においては、厚みが10μm以下の薄型偏光子も用いることができる。薄型化の観点から言えば当該厚みは1〜7μmであるのが好ましい。このような薄型の偏光子は、厚みムラが少なく、視認性が優れており、また寸法変化が少ないため耐久性に優れ、さらには偏光フィルムとしての厚みも薄型化が図れる点が好ましい。
薄型の偏光子としては、代表的には、特開昭51−069644号公報や特開2000−338329号公報や、国際公開第2010/100917号パンフレット、又は特許4751481号明細書や特開2012−073563号公報に記載されている薄型偏光膜を挙げることができる。これら薄型偏光膜は、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂ともいう)層と延伸用樹脂基材を積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法により得ることができる。この製法であれば、PVA系樹脂層が薄くても、延伸用樹脂基材に支持されていることにより延伸による破断等の不具合なく延伸することが可能となる。
前記薄型偏光膜としては、積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法の中でも、高倍率に延伸できて偏光性能を向上させることのできる点で、国際公開第2010/100917号パンフレット、又は特許4751481号明細書や特開2012−073563号公報に記載のあるようなホウ酸水溶液中で延伸する工程を含む製法で得られるものが好ましく、特に特許4751481号明細書や特開2012−073563号公報に記載のあるホウ酸水溶液中で延伸する前に補助的に空中延伸する工程を含む製法により得られるものが好ましい。
前記偏光子の片面、又は、両面に設けられる透明保護フィルムを形成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性等に優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー等が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、又は、前記ポリマーのブレンド物等も前記透明保護フィルムを形成するポリマーの例として挙げられる。透明保護フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄膜性等の点より1〜500μm程度である。
前記偏光子と保護フィルムとは通常、水系接着剤等を介して密着している。水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系、ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。上記の他、偏光子と透明保護フィルムとの接着剤としては、紫外硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤等が挙げられる。電子線硬化型偏光フィルム用接着剤は、上記各種の透明保護フィルムに対して、好適な接着性を示す。また本発明で用いる接着剤には、金属化合物フィラーを含有させることができる。
前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであっても良い。
また、本発明の粘着剤層付き偏光フィルムの粘着剤層が露出する場合には、実用に供されるまで剥離フィルム(セパレーター)で粘着剤層を保護してもよい。剥離フィルムとしては、前述のものを挙げることができる。上記の粘着剤層の作製にあたって基材として剥離フィルムを用いた場合には、剥離フィルム上の粘着剤層と偏光フィルムとを貼り合せることで、当該剥離フィルムは、粘着剤層付き偏光フィルムの粘着剤層の剥離フィルムとして用いることができ、工程面における簡略化ができる。
4.粘着剤層の製造方法
本発明は、光重合開始剤(B)を含有する紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物から形成される粘着剤層の製造方法であって、
アルキル(メタ)アクリレートを含有するモノマー成分と前記光重合開始剤(B)を含む組成物に紫外線を照射して、前記モノマー成分の部分重合物を形成する工程、
前記モノマー成分の部分重合物に、紫外線吸収剤、並びに波長400nm以上に吸収帯を有する光重合開始剤(A)を添加して、紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物を作製する工程、
前記紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物を基材の少なくとも片面に塗工し、当該紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物に紫外線を照射する工程を含むことを特徴とする紫外線硬化型アクリル系粘着剤層の製造方法に関する。
紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物を構成する各成分については、前述の通りである。
光重合開始剤(B)を含有する紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物から粘着剤層を形成する場合、最初に、アルキル(メタ)アクリレートを含有するモノマー成分と前記光重合開始剤(B)(「前添加重合開始剤」ということもある)を含む組成物に紫外線を照射して、前記モノマー成分の部分重合物を形成する。部分重合物の重合率は、20%以下程度であることが好ましく、3〜20%程度がより好ましく、5〜15%程度がさらに好ましい。紫外線の照射条件は前述の通りである。
続いて、前記モノマー成分の部分重合物に、紫外線吸収剤、並びに波長400nm以上に吸収帯を有する光重合開始剤(A)(「後添加重合開始剤」ということもある)を添加して、紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物を作製する。紫外線吸収剤、波長400nm以上に吸収帯を有する光重合開始剤(A)、及びこれらの添加量については、前述の通りである。
このようにして得られた紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物を基材の少なくとも片面に塗工し、当該紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物に紫外線を照射することで、紫外線硬化型アクリル系粘着剤層を製造することができる。紫外線の照射条件は前述の通りである。
前記基材としては、特に限定されるものではなく、例えば、剥離フィルム、透明樹脂フィルム基材等の各種基材を挙げることができ、また、後述する偏光フィルムも基材として好適に用いることができる。
前記剥離フィルムの構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルム等の樹脂フィルム、紙、布、不織布等の多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、及びこれらのラミネート体等の適宜な薄葉体等を挙げることができるが、表面平滑性に優れる点から樹脂フィルムが好適に用いられる。
その樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム等が挙げられる。
前記剥離フィルムの厚みは、通常5〜200μmであり、好ましくは5〜100μm程度である。前記剥離フィルムには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型及び防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型等の帯電防止処理をすることもできる。特に、前記剥離フィルムの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理を適宜行うことにより、前記粘着剤層からの剥離性をより高めることができる。
前記透明樹脂フィルム基材としては、特に制限されないが、透明性を有する各種の樹脂フィルムが用いられる。当該樹脂フィルムは1層のフィルムにより形成されている。例えば、その材料として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいのは、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂及びポリエーテルスルホン系樹脂である。
前記フィルム基材の厚みは、15〜200μmであることが好ましく、25〜188μmであることがより好ましい。
上記紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物を上記基材上に塗布する方法は、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター等公知適宜な方法を用いることができ、特に制限されない。
反応は空気中の酸素に阻害されるため、酸素を遮断するために、アクリル系粘着剤組成物の塗布層上に剥離フィルム等を形成したり、光重合反応を窒素雰囲気下で行ったりすることが好ましい。なお、剥離フィルムとしては、前述のものを挙げることができる。
前述の通り、光重合開始剤(B)を含有する紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物から粘着剤層を形成する場合、最初に光重合開始剤(B)を添加して前記モノマー成分の部分重合物を形成し、当該部分重合物に、紫外線吸収剤、並びに波長400nm以上に吸収帯を有する光重合開始剤(A)を後添加して、紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物を作製することが好ましい。このように、2段階で重合することにより、モノマー成分の重合率を上げることができ、かつ、最終的に作製された粘着剤層の紫外線吸収機能を向上することができる。
5.画像表示装置
本発明の画像表示装置は、少なくともカバーガラス又はカバープラスチックと偏光フィルムを有し、
前記カバーガラス又はカバープラスチックと偏光フィルムとの間に前記粘着剤層を有することを特徴とする。
画像表示装置は、少なくとも1枚の偏光フィルムと、少なくとも1枚のカバーガラス又はカバープラスチックを有するものであり、具体的な構成としては、前述の通りである。また、画像表示装置としては、液晶表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)、電子ペーパー等が挙げられるが、これらの中でも、前述の構成を有する液晶表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置等が好ましい。
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各例中の部及び%はいずれも重量基準である。実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
製造例1 (アクリル系粘着剤組成物(a−1)の製造)
アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)78重量部、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)18重量部、及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)4重量部から構成されるモノマー混合物に、光重合開始剤(先添加光重合開始剤)として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、BASF社製)0.035重量部、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名:イルガキュア651、BASF社製)0.035重量部を配合した後、粘度(計測条件:BH粘度計No.5ローター、10rpm、測定温度30℃)が約20Pa・sになるまで紫外線を照射して、上記モノマー成分の一部が重合したプレポリマー組成物(重合率:8%)を得た。次に、該プレポリマー組成物に、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)0.15重量部、シランカップリング剤(商品名:KBM−403、信越化学工業(株)製)0.3重量部を添加して混合し、紫外線照射することでアクリル系粘着剤組成物(a−1)を得た。
製造例2 (アクリル系粘着剤組成物(a−2)の製造)
ブチルアクリレート(BA)67重量部、シクロヘキシルアクリレート(CHA)14重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)19重量部、光重合開始剤として、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニル−1−オン(商品名:イルガキュア651、BASFジャパン社製)0.09重量部、及び1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名:イルガキュア184、BASFジャパン社製)0.09重量部を4つ口フラスコに投入し、窒素雰囲気下で紫外線に曝露して部分的に光重合することによって、重合率10%の部分重合物(モノマーシロップ)を得た。次に、該部分重合物に、ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート(DPHA)0.15重量部、シランカップリング剤(商品名:KBM−403、信越化学工業(株)製)0.3重量部を添加して混合し、紫外線照射することでアクリル系粘着剤組成物(a−2)を得た。
実施例1
アクリル系粘着剤組成物(a−1)に、ブチルアクリレートに固形分15%となるように溶解させた2,4−ビス−[{4−(4−エチルヘキシルオキシ)−4−ヒドロキシ}−フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(商品名:Tinosorb S、BASFジャパン社製)1.4部と、後添加重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(商品名:イルガキュア819、BASFジャパン社製)0.2部を添加し撹拌することにより紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物を得た。
上記紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物を、剥離フィルムの剥離処理された面上に、粘着剤層形成後の厚さが150μmになるように塗布して塗布層を形成し、次いで、該塗布層の表面に剥離フィルムを貼り合わせた。その後、照度:6.5mW/cm2、光量:1500mJ/cm2の条件で紫外線照射を行い、前記塗布層を光硬化させて、粘着剤層の両面に剥離フィルムを有する粘着シートを形成した。
実施例2〜16、比較例1〜6
使用したアクリル系粘着剤組成物の種類、紫外線吸収剤、後添加光重合開始剤の種類及び添加量、及び粘着剤層形成後の厚さを表1に記載のようにした以外は、実施例1と同様にして、紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物を調製し、粘着シートを形成した。但し、比較例5、6については、表2に示すように、アクリル系粘着剤組成物と紫外線吸収剤の溶解性が悪いため、紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物を調製したが、粘着シートの形成は行わなかった。
表1中、
a−1は、製造例1で得られたアクリル系粘着剤組成物(a−1)を、
a−2は、製造例2で得られたアクリル系粘着剤組成物(a−2)を、
Tinosorb Sは、2,4−ビス−[{4−(4−エチルヘキシルオキシ)−4−ヒドロキシ}−フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(BASF社製)を、
Tinuvin928は、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(BASF社製)を、
LA−F70は、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(ADEKA製)を、
KEMISORB279は、2,2’−メチレンビス[6−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール](ケミプロ化成(株)製)、
Irgacure819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(商品名、BASFジャパン社製)、波長200〜450nmに吸収帯を有する、
Irgacure651:2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名、BASFジャパン社製)、波長200〜380nmに吸収帯を有する、
Irgacure184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名、BASFジャパン社製)、波長200〜370nmに吸収帯を有する、
を、示す。
得られた粘着シートについて、以下の評価を行った。
<溶解性>
実施例、比較例で使用した各紫外線吸収剤を、表1に示すアクリル系粘着剤組成物100重量部に対して表1に記載した部数添加し、溶解性について目視で観察し、以下の評価基準により評価した。
○:紫外線吸収剤がアクリル系粘着剤組成物中に溶け残りなく溶解した。
×:紫外線吸収剤がアクリル系粘着剤組成物中で溶け残りが発生した。
<重合率>
実施例及び比較例で得られた粘着シートの両面の剥離フィルムを剥離して、重さを測ったアルミシャーレに粘着剤層のみをのせた。(アルミシャーレ+粘着剤層)の重さを測定し、乾燥前の粘着剤層の重さを求めた。130℃、2時間乾燥後、常温で約20分冷却した後に、再び(アルミシャーレ+粘着剤)の重さを測定し、乾燥後の粘着剤層の重さを求めた。以下の計算式により重合率を求めた。
<ゲル分率>
実施例及び比較例で得られた粘着シートから粘着剤層を約0.1g採取し、平均孔径0.2μmの多孔質テトラフルオロエチレンシート(商品名:NTF1122、日東電工(株)製)に包んだ後、凧糸で縛り、その際の重量を測定し(Zg)、該重量を浸漬前重量とした。なお、該浸漬前重量は、粘着剤層(上記で採取した粘着剤層)と、テトラフルオロエチレンシートと、凧糸との総重量である。また、テトラフルオロエチレンシートと凧糸との合計重量も測定した(Yg)。次に、粘着剤層をテトラフルオロエチレンシートで包み凧糸で縛ったもの(「サンプル」と称する)を、酢酸エチルで満たした50mL容器に入れ、23℃にて7日間静置した。その後、容器からサンプル(酢酸エチル処理後)を取り出して、アルミニウム製カップに移し、130℃で2時間、乾燥機中で乾燥して酢酸エチルを除去した後、重量を測定し(Xg)、該重量を浸漬後重量とした。下記の式からゲル分率を算出した。
ゲル分率(重量%)=(X−Y)/(Z−Y)×100
<透過率、b*値の測定>
実施例及び比較例で得られた粘着シートの両面の剥離フィルムを剥離して、粘着剤層を測定用治具に取り付け、分光光度計(製品名:U4100、(株)日立ハイテクノロジーズ製)で測定した。
<粘着剤層単体の光学信頼性>
実施例及び比較例で得られた粘着シートの両面の剥離フィルムを剥離して、粘着剤層の両面にガラス(商品名:S200200、厚み:1.3mm、サイズ:45mm×50mm、松浪硝子工業(株)製)を貼り合わせ、オートクレーブ処理(気圧:0.5MPa、温度:50℃)を15分間実施した。以下の各種信頼性条件1〜5にそれぞれ投入した後の透過率、色味を、(株)日立ハイテクノロジーズ製、U4100(製品名)で測定し、初期からの透過率変化量を求めた。以下の評価基準により評価した。
(各種信頼性条件)
(条件1)85℃×500h
(条件2)−40℃×500h
(条件3)60℃、95%×500h
(条件4)ヒートショック(HS)(−40℃〜85℃)×300サイクル
(条件5)UV照射下×100h、照度:500W/cm2(300〜700nm)、環境温度:60〜65℃、環境湿度:50%
(評価基準)
◎:透過率変化量が0.2%以下である。
○:透過率変化量が0.2%を超え、0.7%以下である。
△:透過率変化量が0.7%を超え、1.0%以下である。
×:透過率変化量が1.0%を超える。
<視認性>
厚さ12μmの偏光子の一方の面に、ハードコート処理が施されたTACフィルム(25μm)を有し、前記偏光子の他方の面に、アクリルフィルム(20μm)を有する偏光フィルムを準備した。実施例及び比較例で得られた粘着シートの両面の剥離フィルムを剥離し、偏光フィルムのそれぞれの保護フィルム上に粘着剤層を貼り合わせ、さらに、両面の粘着剤層上にガラス(商品名:S200200、厚み:1.3mm、サイズ:45mm×50mm、松浪硝子工業(株)製)を貼り合わせ、測定サンプルとした。得られた測定サンプルにつき、オートクレーブ処理(気圧:0.5MPa、温度:50℃)を15分間実施した。紫外可視近赤外分光光度計(製品名:V7100、日本分光(株)製)で測定し、色味の測定を行い、以下の評価基準で評価した。
〇:b値が、1.4以上、3.4以下
△:b値が、3.4を超え、3.9以下
×:b値が、3.9を超える
<耐久性>
実施例及び比較例で得られた粘着シートの両面の剥離フィルムを剥離し、粘着剤層の両面に、ガラス(商品名:S200200、厚み:1.3mm、サイズ:45mm×50mm、松浪硝子工業(株)製)を貼り合わせ、測定サンプルとした。得られた測定サンプルにつき、オートクレーブ処理(気圧:0.5MPa、温度:50℃)を15分間実施した。表1に示す各種信頼性条件(条件1:85℃×500h,条件2:―40℃×500h,条件3:60℃95%×500h、条件4:HS(−40℃⇔85℃)×300サイクル、条件5:UV照射下×100h)に投入後、ルーペまたは電子顕微鏡により評価サンプルを測定した。以下の評価基準で評価した。
〇:端部からの剥がれ、発泡がない。
×:剥がれ、発泡が発生している。
<耐UV性(偏光フィルムの保護機能)>
厚さ12μmの偏光子の一方の面が、ハードコート処理が施されたTACフィルム(25μm)で保護され、前記偏光子の他方の面が、アクリルフィルム(20μm)で保護された偏光フィルムを準備した。偏光フィルムのそれぞれの保護フィルム上に、実施例及び比較例で得られた粘着シートの両面の剥離フィルムを剥離して粘着剤層を貼り合わせ、さらに、両面の粘着剤層上にガラス(商品名:S200200、厚み:1.3mm、サイズ:45mm×50mm、松浪硝子工業(株)製)を貼り合わせ、測定サンプルとした。得られた測定サンプルをオートクレーブ処理(気圧:0.5MPa、温度:50℃)を15分間実施した。その後、照度:500W/cm2(300〜700nm)、環境温度:60〜65℃、環境湿度:50%のUV照射条件に投入し、紫外可視近赤外分光光度計(製品名:V7100、日本分光(株)製)で測定し、初期からの透過率変化量を求めた。以下の評価基準により評価した。
◎:透過率変化量が1.0%以下である。
○:透過率変化量が1.0%を超え、2.0%以下である。
△:透過率変化量が2.0%を超え、3.0%以下である。
×:透過率変化量が3.0%を超える。