JP2021155353A - 精製酢酸の製造方法 - Google Patents

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保宏 菊池
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敬人 三留
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Naoyuki Fukui
直之 福井
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Abstract

【課題】色相が良好な精製酢酸の製造方法を提供する。【解決手段】色相に劣る酢酸を合成吸着剤で処理して色相の改善された酢酸を得る精製酢酸の製造方法。処理対象となる酢酸としては、例えば、波長430nmでの吸光度が0.01以上の酢酸である。処理対象となる酢酸は、酢酸セルロース製造工程において排出される酢酸含有溶液から回収された酢酸であってもよい。前記合成吸着剤は、樹脂表面にカチオン交換基を有していてもよい。また、前記合成吸着剤は細孔構造を有していてもよい。【選択図】なし

Description

本開示は、精製酢酸の製造方法、特に色相が良好な精製酢酸の製造方法に関する。
酢酸セルロースは、たばこ用のフィルタートウ、繊維、写真用フィルム、人工腎臓などの種々の用途に用いられている。酢酸セルロースの製造方法としては、酢酸水溶液中で、原料パルプやセルロース(以下、「原料パルプなど」と称する。)にアセチル化剤を反応させる方法が知られているが、この方法では若干量の酢酸セルロースが溶解した酢酸濃度20〜50重量%の酢酸含有溶液(以下、「原酸」と称する。)が排出される。
この原酸から酢酸を回収するには、抽出による方法が一般的であり、各種抽出剤が提案され使用されている(例えば、特許文献1,2)。回収された酢酸は、再び酢酸セルロースの製造に用いられる。
特開昭59−7131号公報 特開昭60−174743号公報
従来の酢酸セルロースの製造工程中には、反応器内で原料パルプなどから副生した色相悪化原因物質(これは、主に原料パルプなどに由来するグルコースが熱分解して生じた低分子物質、例えばグルコース分子の単位が2〜3個結合したものから構成されると推測される)が生成する。この色相悪化原因物質は、例えば、原酸から抽出剤により酢酸を抽出した後、酢酸、抽出剤及び水を蒸発によって分離する際に取り除かれていたが、飛沫同伴により完全に除去することは困難であった。このため、酢酸回収系の最終工程である蒸留工程において、加熱により蒸留塔内で色相悪化物質(これは、二重結合を有するグルコース分解物から構成されると推測され、二重結合部位が着色に寄与すると推測される)が生成していた。
色相悪化物質を含む酢酸を原料として製造された酢酸セルロースは、着色によって品質が低下する。また、原料パルプに多量の色相悪化原因物質が含まれている場合、副生する色相悪化物質も多くなり、回収される酢酸の色相も一層悪化する。従って、本開示の目的は、色相の良好な精製酢酸の製造方法を提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決するため鋭意検討した結果、例えば酢酸セルロース製造工程で排出される原酸から抽出、蒸発、蒸留を経て得られる色相に劣る酢酸を、合成吸着剤に接触させると、色相の良好な精製酢酸が得られることを見出した。本開示はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本開示は、色相に劣る酢酸を合成吸着剤で処理して色相の改善された酢酸を得る精製酢酸の製造方法を提供する。
処理対象となる酢酸は、例えば、波長430nmでの吸光度が0.01以上である。
処理対象となる酢酸は、酢酸セルロース製造工程において排出される酢酸含有溶液から回収された酢酸であってもよい。
前記合成吸着剤は、樹脂表面にカチオン交換基を有していてもよい。
また、前記合成吸着剤は細孔構造を有していてもよく、前記細孔構造は二元細孔構造であってもよい。
本開示の製造方法によれば、合成吸着剤により酢酸に含まれる色相悪化物質を効率よく吸着除去できるため、色相の良好な精製酢酸を工業的に効率よく製造することができる。
処理対象となる酢酸が、酢酸セルロース製造工程において排出される酢酸含有溶液から回収された酢酸である場合には、当該酢酸中に含まれる色相悪化物質を吸着除去できるため、得られる精製酢酸を酢酸セルロース製造工程にリサイクルすると、酢酸セルロースの色相も改善され、高品質の酢酸セルロースを得ることが可能となる。
本開示に係る精製酢酸の製造方法の一実施態様を示す概略フロー図である。
本開示の精製酢酸の製造方法では、色相に劣る酢酸を合成吸着剤で処理して色相の改善された酢酸を得る。
(処理対象となる酢酸)
本開示において、処理対象となる酢酸(合成吸着剤による処理に付される酢酸)としては、例えば、波長430nmでの吸光度が、0.01以上、好ましくは0.02以上(例えば0.025以上、特に0.03超)の酢酸が挙げられる。処理対象となる酢酸としては、具体的には、例えば、酢酸セルロース製造工程において排出される酢酸含有溶液(原酸)から回収された酢酸などが挙げられる。前記原酸から回収された酢酸は、通常、原料パルプなどから副生した色相悪化原因物質(主に原料パルプなどに由来するグルコースが熱分解して生じた低分子物質、例えばグルコース分子の単位が2〜3個結合したものから構成されると推測される)が、蒸留時等に熱によって変化した色相悪化物質(二重結合を有するグルコース分解物など)を含んでいる。このような酢酸を合成吸着剤で処理すると、前記色相悪化物質が合成吸着剤に吸着され、色相に優れた精製酢酸を得ることができる。なお、本明細書において、吸光度は、光路長10mm、参照セルの内容液を純酢酸として、吸光度測定装置で測定された値である。
(合成吸着剤)
本開示では、色相に劣る酢酸の処理剤として合成吸着剤を用いる。前記合成吸着剤としては、特に限定されないが、ポリスチレン系合成吸着剤、ポリメタクリル酸エステル系合成吸着剤などが挙げられる。前記合成吸着剤には、表面にイオン交換基を有する合成吸着剤、及び表面にイオン交換基を有さない合成吸着剤が含まれる。また、前記合成吸着剤には、細孔構造(多孔質構造)を有する合成吸着剤、及び細孔構造(多孔質構造)を有さない合成吸着剤が含まれる。色相に劣る酢酸の処理剤として合成吸着剤を用いることにより、当該合成吸着剤の表面特性に応じて、疎水性引力、双極子同士の相互作用、水素結合、イオン交換作用、またはこれらの相互作用により、酢酸中の色相悪化物質が効率的に吸着除去される。
前記合成吸着剤の中でも、酢酸の色相の改善効果の点で、ポリスチレン系合成吸着剤が好ましい。ポリスチレン系合成吸着剤としては、例えば、(a)スチレン系重合体を樹脂母体とする合成吸着剤、(b)スチレン系架橋共重合体を樹脂母体とする合成吸着剤などが挙げられる。上記(a)の合成吸着剤と(b)の合成吸着剤は併用することもできる。
前記(a)の合成吸着剤の樹脂母体を構成するスチレン系重合体としては、例えば、スチレン、エチルスチレン、メチルスチレンなどのスチレン系単量体の重合体を挙げることができる。なかでも、スチレン重合体(ポリスチレン)が好ましい。これらの樹脂母体は強い疎水性を有する。前記(a)の合成吸着剤は、表面に後述のカチオン交換基を有していてもよい。
前記(b)の合成吸着剤の樹脂母体を構成するスチレン系架橋共重合体としては、例えば、スチレン、エチルスチレン、メチルスチレンなどのスチレン系単量体と架橋剤、例えば、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンなどとの架橋共重合体を挙げることができる。なかでも、スチレンとジビニルベンゼンとの架橋共重合体が好ましい。これらの樹脂母体は強い疎水性を有する。前記(b)の合成吸着剤は、表面に後述のカチオン交換基を有していてもよい。
前記合成吸着剤の表面に有していてもよいイオン交換基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、ホスホン酸基などのカチオン交換基;アミノ基、第四級アンモニウム基などのアニオン交換基などを挙げることができる。これらのなかでも、カチオン交換基、特に、スルホン酸基またはこれと同等以上の酸性度を有する強酸性カチオン交換基が好ましい。前記カチオン交換基等のイオン交換基の導入により、合成吸着剤の親水性は向上し、イオン交換と疎水性引力の相互作用により吸着効果を効果的に発揮させることができる。
前記合成吸着剤が有していてもよい細孔構造としては、例えば、平均細孔径10nm以下(例えば9nm、好ましくは8nm)、または平均細孔径20nm以上(例えば25nm以上、好ましくは30nm以上)のいずれか1以上を有することが好ましい。合成吸着剤の平均細孔径が10nm以下であると、色相悪化物質を樹脂母体に効果的に吸着させ、保持させるために十分な比表面積を付与することができる。また前記合成吸着剤の平均細孔径が20nm以上であると、酢酸が浸透拡散しやすく、吸着容量が高くなり効果的に色相悪化物質を除去することができる。前記観点から、前記平均細孔径の下限は、2nmであることが好ましく、5nmであることがより好ましい。また前記平均細孔径の上限は、300nmであることが好ましく、100nmであることがより好ましい。
前記合成吸着剤は、一層効果的に色相悪化物質を除去する観点から、前記大小の細孔を併せ持つ二元細孔構造であることがより好ましい。例えば、平均細孔径10nm以下(例えば2〜10nm)の小細孔と、平均細孔径20nm(例えば20〜100nm)の大細孔の二元細孔構造を有することが好ましい。前記合成吸着剤の平均細孔径の測定方法は、公知の方法で適宜測定することができる。例えば、ガス吸着法、X線小角散乱法または水銀圧入法などを用いて測定することができる。
前記合成吸着剤の比表面積は、例えば300m2/g〜1,500m2/gであり、好ましくは400m2/g〜1,200m2/gである。前記比表面積が前記範囲内であると、酢酸中の色相悪化物質が吸着するための吸着面が十分に提供される。また前記合成吸着剤の細孔容量は、酢酸中に含まれる色相悪化物質の量などに応じて適宜調節することができ、例えば、0.1〜2.0mL/gであり、好ましくは、0.2〜1.7mL/gである。合成吸着剤の比表面積や細孔容量の測定方法は、公知の方法で適宜測定することができる。例えば、ガス吸着BET法(一点法、多点法)などを用いて測定することができる。
前記合成吸着剤の形態は、特に限定されず、粉体状体、顆粒状体、粒状体、構造体などを挙げることができる。また形状としては、不定形、球形などが一般的であり、なかでも球状であることが好ましく、その平均粒子径は、200〜1,500μmであり、好ましくは300〜1,200μmである。また、均一な粒子を得る観点からは、前記合成吸着剤の均一係数は、1.6以下であることが好ましい。合成吸着剤の平均粒子径は、公知の方法で適宜測定することができる。例えば、レーザ回折式粒度分布測定装置や篩分け法などを用いて測定することができる。
前記合成吸着剤の水分含有率は、例えば45〜75%であり、好ましくは50〜70%である。前記合成吸着剤の水分含有量が前記範囲内であると、酢酸通液時に膨潤や収縮などの体積変化が少なく、取り扱いが容易となる利点を有する。
(吸着処理)
処理対象となる酢酸(色相に劣る酢酸)を合成吸着剤で処理する際、合成吸着剤の使用量は、効率的に色相悪化物質を除去する観点から、例えば、回分法で処理する場合、酢酸100重量部に対し、例えば0.1〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。合成吸着剤の使用量は、酢酸中に含まれる色相悪化物質の量に応じて、適宜、調整することができる。なお、使用後の合成吸着剤は、酸(塩酸等)やアルカリ(水酸化ナトリウム等)などによる再生や、スチーム洗浄や有機溶媒での溶離による再生によって、繰り返し使用することができる。
酢酸を合成吸着剤と接触させる方法は、特に限定されない。例えば、反応容器内に酢酸、合成吸着剤、必要に応じて溶媒を加えて撹拌する回分法や、合成吸着剤を充填したカラムに、前記酢酸を通液させる方法(連続法)などを挙げることができる。なお予め珪藻土や活性炭などで酢酸中に含まれる不純物を除去しておいてもよい。
酢酸を合成吸着剤とを接触させる温度は、接触方法に関わらず、通常5〜70℃程度、好ましくは15〜40℃で行う。接触温度が前記範囲内であると、通液速度が適度なものとなり、作業効率に優れる。また、酢酸と合成吸着剤との接触時間は、酢酸中の色相悪化物質の量、合成吸着剤の種類、温度条件により異なるが、通常20分以上である。酢酸と合成吸着剤との接触は、常圧下、加圧下、または減圧下で行うことができる。
合成吸着剤を充填したカラムに酢酸を通液させる場合の空間速度(SV)は、例えば、SV=0.5〜5(1/Hr)であり、SV=1〜2(1/Hr)であることが好ましい。ここで、SVとは、1時間あたりに合成吸着剤の容量の何倍量を通液したかを示す単位であり、以下の式(1)から求めることができる。
SV=流量(L/Hr)/充填された合成吸着剤の量(L)・・・・・(1)
前記合成吸着剤としては、市販品を用いることができる。前記(a)の合成吸着剤の市販品としては、例えば、ピュロライト社の商品名「T−C150」を挙げることができる。前記(b)の合成吸着剤の市販品としては、例えば、ピュロライト社の商品名「MN200」、商品名「MN502」などを挙げることができる。
(一実施態様)
図1に、本開示に係る精製酢酸の製造方法の一実施態様を示す概略フロー図を示す。この実施態様では、酢酸セルロース製造工程において排出される酢酸含有溶液(原酸)から回収された酢酸を合成吸着剤で処理する。この製造フローに係る精製酢酸の製造装置は、抽出塔1、蒸発器2、蒸留塔3、吸着装置4、リボイラー2a、3a、ライン11〜22を備える。
まず、原酸を抽出剤と接触させて、主に酢酸と前記抽出剤を含む抽出液相と、主に水を含む抽出残相とに分離する(抽出工程)。図1において、原酸はライン11より抽出塔1に導入される。前記原酸中の酢酸濃度は、通常20〜50重量%である。この原酸は、予め珪藻土や活性炭などで不純物を除去しておいてもよい。
前記抽出剤をライン12から抽出塔1に導入する。前記抽出剤は、特に限定されず、酢酸の溶解性が高く、且つ水への溶解性が低い溶媒を使用することが好ましく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンなどの脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸n−アミル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸イソアミル、安息香酸メチルなどのエステル;クロロホルム、四塩化炭素、クロルベンゼンなどのハロゲン化物;1,2−ジメトキシエタン、ジメチルエーテルなどのエーテル化合物などが好ましい。前記抽出剤は1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。前記抽出剤としては、なかでも、酢酸エチルなどのエステル(特に好ましくは、酢酸エステル)とベンゼンなどの芳香族炭化水素との混合溶媒が好ましい。
抽出塔1としては、通常用いられる形式、例えば、ミキサーセトラ型抽出塔、多孔板型、充填塔型、バッフル塔型、振動多孔板型、撹拌混合型、脈動充填型、遠心抽出型などの抽出装置などが使用できる。原酸と前記抽出剤との接触は、常圧下、加圧下、または減圧下で行うことができる。
この工程で得られる抽出液相は主に酢酸と前記抽出剤を含み、水の含有量は例えば15重量%以下、好ましくは10重量%以下である。また、酢酸セルロース含有量は200ppm以下(好ましくは150ppm以下)である。一方、抽出残相は主に水と可溶性酢酸セルロースを含み、酢酸の含有量は例えば0.5重量%以下、好ましくは0.1重量%以下である。
こうして得られた抽出液相を、ライン13より蒸発器2に導入して、蒸発させて、酢酸、前記抽出剤、および水を含む蒸気と、可溶性酢酸セルロースを含む蒸発残液に分離する(蒸発工程)。この工程では、分離された可溶性酢酸セルロースはライン16より系外へ排出される。この工程において、抽出液相中に溶解した酢酸セルロースを分離し、除去することができる。
この工程では、酢酸、前記抽出剤および水を含む蒸気と可溶性酢酸セルロースを含む蒸発残液に分離することができればよく、例えば、前記抽出液相を加熱処理に付すことにより行うことができる。加熱処理温度は、例えば80〜100℃である。また、加熱処理は、常圧下、加圧下、または減圧下で行うことができる。単一の工程で構成してもよく、複数の工程を組み合わせて構成してもよい。蒸発器2としては、公知のものを用いることができ、蒸留塔形式の蒸発槽を用いてもよい。
次に、沸点の差異を利用して酢酸と前記抽出剤を分離し、前記抽出剤は留去して、高純度の酢酸を精製液として得る(蒸留工程)。この工程では、前記抽出液相を液相状態で蒸留塔3に仕込んでもよく(図示せず)、また前記蒸気をライン17より蒸留塔3に仕込んでもよい。
前記抽出液相または前記蒸気を蒸留塔3に仕込むと、前記抽出液相または蒸気に含まれていた前記抽出剤の大部分が塔頂からライン18を経て冷却器(図示せず)で冷却され、タンク(図示せず)に導入される。前記タンクに導入された液のうち上層液は主に抽出剤を含有し、系外へ排出される。これは再び抽出塔1へ導入する抽出剤として再利用することができる。前記タンクの下層液は主に水を含有し、系外へ排出される。一方、蒸留塔3の塔底からは、ライン21を経て酢酸が得られる。
蒸留塔3としては、例えば、棚段塔、充填塔などを挙げることができる。塔頂温度は、例えば20〜120℃、好ましくは30〜100℃、より好ましくは40〜80℃である。また、蒸留塔3内の圧力は、絶対圧力で、例えば0.01〜0.5MPa、好ましくは0.05〜0.4MPa、さらに好ましくは0.1〜0.2MPaである。蒸留工程は、単一の工程で構成してもよく、複数の工程を組み合わせて構成してもよい。
蒸留塔3への仕込みを、蒸気仕込みと液相仕込みを併用する場合、蒸留塔3への仕込みの全てを蒸気にて行う場合に比べて分離効率が向上させることができる。このため、蒸留塔3の還流比を低く設定することができ、還流比は、例えば0.5〜1.0の範囲であり、好ましくは0.6〜0.9の範囲である。
蒸留工程を経ると、精製液としてライン21より高純度の酢酸が得られる。留出液中の酢酸濃度は、例えば0.02重量%以下であり、好ましくは0.01重量%以下、より好ましくは0.005重量%以下である。留出液中の酢酸濃度は、蒸留塔3の還流比を調整することにより制御できる。
そして、上記蒸留工程において精製液として得られた酢酸を合成吸着剤と接触させる(吸着工程)。この工程は、酢酸をライン21より吸着装置4に導入することにより行うことができる。合成吸着剤としては、前述したものを使用できる。また、酢酸と合成吸着剤との接触の方法や条件等も前述の通りである。
前記吸着工程を経ることにより、色相悪化物質が効率的に吸着除去されて、高度に精製された酢酸(以下、「精製酢酸」と称する。)を得ることができる。本開示の精製酢酸の製造方法によれば、酢酸の色相が、波長430nmにおける吸光度として0.03以下(例えば、0.028以下、好ましくは0.025以下、より好ましくは0.02以下)の精製酢酸を製造することができる。前記精製酢酸は、再び酢酸セルロースの製造工程に組み入れられ、原料パルプなどとともに反応器内に仕込むこともできる。これにより、酢酸セルロースの着色を抑制することができるため、酢酸セルロースの色相も改善することが可能となる。
なお、本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。また、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は、一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、及びその他の変更が可能である。本開示は、実施形態によって限定されることはなく、クレームの範囲によってのみ限定される。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
合成吸着剤として、ピュロライト社の商品名「MN502」(樹脂母体:ポリスチレン−ジビニルベンゼン架橋ポリマー、強酸性カチオン交換基導入、平均細孔径10nm以下と平均細孔径65nmの二元細孔構造)を適量採取し、水および酢酸で数回洗浄した。その後、酢酸セルロース製造工程において排出される酢酸含有溶液(原酸)から回収された酢酸(前記抽出工程、蒸発工程及び蒸留工程を経て得られた精製液)(純度99.9重量%)10gに対して、前記合成吸着剤を0.1g加えて、試験液を調製し、この試験液を室温で6時間撹拌した。撹拌後の試験液をメンブレンフィルター(商品名「メンブレンフィルター」、孔径1μm、材質PTFE、ADVANTEC製)でろ過し、ろ液を得た。得られたろ液について、UV吸光度測定装置(商品名「UV−3900H」、日立製)にて、波長430nmでの吸光度を測定した(光路長:10mm、参照セルの内容液:純酢酸)。その結果、吸光度は0.018であった。
(実施例2)
合成吸着剤として、ピュロライト社の商品名「MN200」(樹脂母体:ポリスチレン−ジビニルベンゼン架橋ポリマー、カチオン交換基なし、平均細孔径10nm以下と平均細孔径70nmの二元細孔構造)を用いた以外は、実施例1と同様にして、波長430nmでの吸光度を測定した。その結果、吸光度は0.027であった。
(実施例3)
合成吸着剤として、ピュロライト社の商品名「T−C150」(樹脂母体:ポリスチレン、カチオン交換基導入、細孔構造なし)を用いた以外は、実施例1と同様にして、波長430nmでの吸光度を測定した。その結果、吸光度は0.023であった。
(比較例1)
ブランクとして、実施例1において原料として用いた精製酢酸(純度99.9重量%)の波長430nmにおける吸光度を測定した。その結果、吸光度は0.032であった。
(結果の考察)
比較例1はブランクである。実施例1と2との対比では、樹脂母体、スチレン細孔構造(二元細孔構造)と細孔径はほぼ同等であるが、実施例1(カチオン交換基を有する合成吸着剤)のほうがより色相改善効果が高かった。実施例3は、スチレン系重合体を樹脂母体とし、前記樹脂表面にカチオン交換基が導入されたものであり、細孔構造を有さない合成吸着剤を用いた例であるところ、実施例1よりも、吸光度が高かった。
本開示の精製酢酸の製造方法によれば、効率的に色相が良好な精製酢酸が得られる。
1 抽出塔
2 蒸発器
2a,3a リボイラー
3 蒸留塔
4 吸着装置
11〜22 ライン

Claims (6)

  1. 色相に劣る酢酸を合成吸着剤で処理して色相の改善された酢酸を得る精製酢酸の製造方法。
  2. 処理対象となる酢酸は、波長430nmでの吸光度が0.01以上である請求項1記載の精製酢酸の製造方法。
  3. 処理対象となる酢酸が、酢酸セルロース製造工程において排出される酢酸含有溶液から回収された酢酸である請求項1又は2記載の精製酢酸の製造方法。
  4. 前記合成吸着剤が、樹脂表面にカチオン交換基を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の精製酢酸の製造方法。
  5. 前記合成吸着剤は細孔構造を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の精製酢酸の製造方法。
  6. 前記細孔構造が二元細孔構造である請求項5記載の精製酢酸の製造方法。
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