JP2021148844A - トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】低温定着性を維持しながら長期耐久性と画質の環境依存性の抑制を両立できるトナー。【解決手段】トナー粒子、及び該トナー粒子の表面の外添剤を有するトナーであって、該トナー粒子は、結着樹脂を含有するコア粒子、及び該コア粒子の表面のシェル層を有し、該シェル層は、窒素原子を含有する化合物を含み、該外添剤は、有機ケイ素重合体粒子を含み、該有機ケイ素重合体粒子の仕事関数Waと該トナー粒子の仕事関数Wbの差が下記式(A)を満たすことを特徴とするトナー。0.00eV<Wa−Wb≦0.75eV ・・・(A)【選択図】なし

Description

本開示は、電子写真法のような画像形成方法に使用されるトナーに関する。
電子写真画像形成装置には、より長寿命化、省エネルギー化が求められており、これらに対応する為に、トナーに対しても種々の性能のより一層の向上が求められている。特にトナーに対して、長寿命化の観点からはより一層の品質安定性、つまり長期耐久性の向上が要求されている。また、省エネルギー化の観点からはより一層の低温定着性が要求されている。
また、画質の観点からは使用環境の多様化に伴い、どのような使用環境においても一定以上の画質を維持すること(画質の環境依存性の抑制)がより一層求められている。
従来は、低温定着性を改良するためにトナー母体の粘度を下げる設計がなされてきた。しかし単純にトナー母体の粘度を下げるだけでは耐久性などの様々な弊害が発生するため、トナー母体の表面に樹脂シェル層を設け、外添剤としてスペーサー粒子を用いることで耐久性を維持してきた。また、トナー母体表面のシェル層や外添剤の特性を制御することで画質の環境依存性を抑制してきた。
特許文献1では、トナー粒子に潤滑性粒子を外添し、外添剤の帯電極性を制御することで、補給系カートリッジにおけるトナー凝集と耐久性を改善できる提案がなされている。
特許文献2では、トナー粒子に樹脂粒子を外添することで、クリーニング不良と部材汚染を改善できる提案がなされている。
特許文献3では、トナー粒子表面のシェル層と外添剤として用いられるシリカとの仕事関数差を制御することで耐久性を改善できる提案がなされている。
これらの技術によれば、トナー凝集、クリーニング性、耐久性に対して一定の効果が確認される。
国際公開第2019/065730号 特開2017−21262号公報 特開2018−136374号公報
しかし、低温定着性を改良したトナー母体において、長期耐久性と画質の環境依存性を高度に両立するという点においては、さらなる検討の余地がある。本開示は、上記問題点を解消したトナーを提供する。具体的には、低温定着性を改良したトナーにおいて、長期耐久性及び画質の環境依存性の抑制を両立できるトナーを提供する。
トナー粒子、及び該トナー粒子の表面の外添剤を有するトナーであって、
該トナー粒子は、結着樹脂を含有するコア粒子、及び該コア粒子の表面のシェル層を有し、
該シェル層は、窒素原子を含有する化合物を含み、
該外添剤は、有機ケイ素重合体粒子を含み、
該有機ケイ素重合体粒子の仕事関数Waと該トナー粒子の仕事関数Wbの差が下記式(A)を満たすトナー。
0.00eV<Wa−Wb≦0.75eV ・・・(A)
本開示によれば、低温定着性を改良したトナーにおいて、長期耐久性及び画質の環境依存性の抑制を両立できるトナーを提供することができる。
仕事関数測定曲線の一例
数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX〜YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
「モノマーユニット」とは、ポリマー中のモノマー物質の反応した形態をいう。
先に述べたように、トナー母粒子の表面に樹脂シェル層を設けて、さらに外添剤としてスペーサー粒子を用いただけでは、長期耐久性と画質の環境依存性を両立することは容易ではない。
本発明者らは検討を重ねた結果、長期耐久性の低下の原因は、耐久使用によるストレスでスペーサー粒子がトナー母粒子に埋め込まれることであると考えた。また、画質がプリント環境により変化する原因としては、使用環境によりトナーの帯電性が変化する、すなわち、トナー粒子表面のシェル層の帯電性が環境により変化することであると考えた。
そこで本発明者らは、低温定着性を維持しながら長期耐久性と画質の環境依存性とを両立するためには、トナー表層の設計が重要であると考えた。
具体的には、本発明者らは、
トナー粒子、及び該トナー粒子の表面の外添剤を有するトナーであって、
該トナー粒子は、結着樹脂を含有するコア粒子、及び該コア粒子の表面のシェル層を有し、
該シェル層は、窒素原子を含有する化合物を含み、
該外添剤は、有機ケイ素重合体粒子を含み、
該有機ケイ素重合体粒子の仕事関数Waと該トナー粒子の仕事関数Wbの差が下記式(A)を満たすトナーにより上記課題を解決しうることを見出した。
0.00eV<Wa−Wb≦0.75eV ・・・(A)
上記トナーは、外添剤として有機ケイ素重合体粒子を含有する。有機ケイ素重合体粒子は弾性を有する。トナーが長期使用により現像器などから負荷を受け続けても、有機ケイ素重合体粒子が弾性変形して負荷を吸収する。負荷から解放されたときに有機ケイ素重合体粒子は元の形状に戻る。この効果により有機ケイ素重合体粒子がトナー粒子に埋め込まれにくくなる。その結果、有機ケイ素重合体粒子はスペーサー粒子として長期耐久性の向上に効果がある。
スペーサー粒子が無機微粒子の場合は、長期使用によって負荷を受け続けることで、徐々に無機微粒子のトナー粒子への埋め込みが進んでしまい、長期耐久性が維持できない場合がある。これは無機微粒子が弾性変形できずに負荷を吸収できないためと考えている。
スペーサー粒子が樹脂微粒子の場合は、樹脂微粒子が弾性を有するために負荷を吸収することはできるが、長期使用で負荷を受け続けることで、徐々に樹脂微粒子自身の塑性変形が進んで潰れてしまい、長期耐久性が維持できない場合がある。また、樹脂微粒子は帯電性が不十分であり、かぶりが発生する場合がある。
シェル層は窒素原子を含有する化合物を含有する。窒素原子を含有する化合物をシェル層に有することで、該化合物と有機ケイ素重合体粒子との電荷移動がスムーズになり、良好な正帯電性トナーが得られる。さらに、低温定着性を改良したトナー粒子においても長期耐久性を維持することができる。また、有機ケイ素重合体粒子とトナー粒子との仕事関数差を制御しやすくなる。
有機ケイ素重合体粒子の仕事関数Waとシェル層の仕事関数Wbとの差(Wa−Wb)は、下記式(A)を満たす。
0.00eV<Wa−Wb≦0.75eV ・・・(A)
Wa−Wbは0.00eVより大きく、好ましくは0.10eV以上であり、より好ましくは0.20eV以上である。
Wa−Wbがこの範囲にあると、トナー粒子と有機ケイ素重合体粒子間の電荷の移動がスムーズになり、プリント開始後早期にトナーの帯電が高くなる。その結果、高温高湿環境におけるプリント初期の画質を向上することができる。
また、電荷移動によりトナー粒子と有機ケイ素重合体粒子が逆極性を有し、トナー粒子と有機ケイ素重合体粒子間の付着力が強くなる。その結果、長期耐久性を更に向上させることができる。
WaとWbに差がない場合、電荷が移動しにくく帯電性が低くなる。その結果、高温高湿環境におけるプリント初期の画質が低下する。また、トナー粒子と有機ケイ素重合体粒子間の付着力が弱くなり長期耐久性が低下する。
また、Wa−Wbは、0.75eV以下であり、好ましくは0.73eV以下であり、より好ましくは0.60eV以下であり、さらに好ましくは0.50eV以下である。
Wa−Wbがこの範囲にあると、トナー粒子と有機ケイ素重合体粒子間の電荷移動を一定以下に抑制でき、チャージアップによるトナー凝集を抑制できる。その結果、低温低湿環境における画質をより向上させることができる。Wa−Wbが上記範囲外であると、トナーのチャージアップに起因する凝集が起こりやすく、低温低湿環境において縦スジが発生しやすくなる。
透過型電子顕微鏡TEMでの観察による、シェル層のコア粒子に対する被覆率は、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、好ましくは100%以下であり、より好ましくは90%以下である。
被覆率がこの範囲にあると、トナーの表層が均一になりやすく、帯電性が良化して画像濃度が向上し、かぶりを抑制しやすくなる。また、長期耐久性をより向上させやすくなる。シェル層の被覆率は、シェル剤の添加量やシェル形成時の製造条件を変更することで制御することができる。
シェル層の厚さの平均値は、1nm〜250nmであることが好ましく、10nm〜200nmであることがより好ましい。厚さがこの範囲にあると、長期耐久性及び低温定着性をバランス良く両立しやすい。シェル層の厚みは、シェル剤の添加量やシェル形成時の製造条件を変更することで制御することができる。
有機ケイ素重合体粒子の一次粒子の個数平均粒径は、30nm〜500nmであることが好ましく、50nm〜200nmであることがより好ましい。
一次粒子の個数平均粒径がこの範囲にあると、低温定着性及び長期耐久性をより向上させやすい。一次粒子の個数平均粒径が30nm以上であると、スペーサー粒子としての効果が得られやすく、長期耐久性が向上しやすくなる。
一次粒子の個数平均粒径が500nm以下の場合は、定着溶融時のトナー同士及びトナーと紙の結着力が向上し、低温定着性が良好になる。また、長期の使用に伴い、トナー粒
子上から有機ケイ素重合体粒子が外れにくくなり、スペーサー粒子としての機能を維持しやすく、長期耐久性が向上する。
有機ケイ素重合体粒子の一次粒子の個数平均粒径は、有機ケイ素重合体粒子の製造条件を変更することで制御することができる。
トナー中の有機ケイ素重合体粒子の含有量は、0.10質量%〜8.00質量%であることが好ましく、0.50質量%〜5.00質量%であることがより好ましい。含有量がこの範囲にあると、長期耐久性と低温定着性がより良化しやすい。有機ケイ素重合体粒子の含有量は、有機ケイ素重合体粒子の添加量で制御することができる。
透過型電子顕微鏡TEMでの観察による、シェル層上の有機ケイ素重合体粒子による被覆率は、10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、好ましくは75%以下であり、より好ましくは50%以下である。
シェル層上の有機ケイ素重合体粒子による被覆率がこの範囲にあることで、画質の環境依存性と長期耐久性がより良化しやすい。シェル層上の有機ケイ素重合体粒子による被覆率は、シェル剤の添加量と有機ケイ素重合体粒子の添加量のバランス、及び製造条件を変更することで制御することができる。
下記式(I)で計算されるポリカーボネート膜に対する有機ケイ素重合体粒子の固着指数が、4.5以下であることが好ましく、4.3以下であることがより好ましい。一方、下限は特に制限されないが、好ましくは3.0以上であり、より好ましくは3.5以上である。
固着指数がこの範囲にあると、耐久使用を通じてトナー粒子上の有機ケイ素重合体粒子の移行を抑えやすくなり、長期耐久性が向上しやすい。有機ケイ素重合体粒子の固着指数は、Wa−Wbの制御、及び有機ケイ素重合体粒子を添加するときの製造条件を変更することで制御することができる。
固着指数=ポリカーボネート膜に移行した前記有機ケイ素重合体粒子の面積率A/前記トナー粒子表面における前記有機ケイ素重合体粒子の被覆率B×100 ・・(I)
有機ケイ素重合体粒子のトナー表面における分散度評価指数が、0.5以上2.0以下であることが好ましく、0.5以上1.5以下であることがより好ましい。
分散度評価指数がこの範囲にあると、帯電分布が良化して画質が向上しやすくなる。有機ケイ素重合体粒子の分散度評価指数は、有機ケイ素重合体粒子を添加するときの製造条件を変更することで制御することができる。
有機ケイ素重合体粒子について詳細に説明する。有機ケイ素重合体粒子とは、有機基をもつケイ素と酸素が交互に結合してできた主鎖より構成される樹脂粒子である。
有機ケイ素重合体粒子の製法は特に限定されず、例えば水にシラン化合物を滴下し、触媒により加水分解、縮合反応させた後、得られた懸濁液を濾過、乾燥し得ることができる。触媒の種類、配合比、反応開始温度、滴下時間などにより、有機ケイ素重合体粒子の一次粒子の個数平均粒径をコントロールすることができる。
触媒として酸性触媒は塩酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸などが挙げられ、塩基性触媒はアンモニア水、水酸ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられるが、これらに限定はされない。
有機ケイ素重合体粒子は、ケイ素原子と酸素原子とが交互に結合した構造を有し、好ましくは下記式(1)で表されるT3単位構造を有している。
有機ケイ素重合体粒子の29Si−NMR測定において、有機ケイ素重合体粒子に含有される全ケイ素元素に由来するピークの合計面積に対する、T3単位構造を有するケイ素
に由来するピークの面積の割合が、0.50〜1.00であることが好ましい。より好ましくは0.60〜0.98であり、さらに好ましくは0.70〜0.95である。上記範囲であると、有機ケイ素重合体粒子に適切な弾性を持たせることができるため、長期耐久性の効果が得られやすい。
T3単位構造を有するケイ素に由来するピークの面積の割合は、有機ケイ素重合体粒子の重合に使用する有機ケイ素化合物の種類、特に三官能性シランの種類及び割合の少なくとも一方を変更することにより制御することができる。
−SiO3/2 ・・・(1)
(式(1)中、Rは炭素数が1〜6(好ましくは1〜4、より好ましくは1又は2)のアルキル基又はフェニル基を表す。)
有機ケイ素重合体粒子は、下記式(2)で表される構造を有する有機ケイ素化合物の縮重合物であることが好ましい。
Figure 2021148844
(式(2)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜6(好ましくは1〜4、より好ましくは1又は2)のアルキル基、フェニル基、又は反応基(例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3の)アルコキシ基)を表す。)
有機ケイ素重合体粒子を得るには、
式(2)の一分子中に4つの反応基を有する有機ケイ素化合物(四官能性シラン)、
式(2)中のRがアルキル基又はフェニル基であり、3つの反応基(R、R、R)を有する有機ケイ素化合物(三官能性シラン)、
式(2)中のR、Rがアルキル基又はフェニル基であり、2つの反応基(R、R)を有する有機ケイ素化合物(二官能性シラン)、
式(2)中のR、R、Rがアルキル基又はフェニル基であり、1つの反応基(R)を有する有機ケイ素化合物(一官能性シラン)を用いることができる。
T3単位構造に由来するピークの面積の割合を、0.50〜1.00とするためには、有機ケイ素化合物として三官能性シランを50モル%以上使用することが好ましい。
式(2)のRは、炭素数1〜6(好ましくは1〜4、より好ましくは1又は2)のアルキル基又はフェニル基であることが好ましい。R、R及びRは、それぞれ独立して、反応基(ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3の)アルコキシ基であることが好ましい。
これらの反応基が加水分解、付加重合及び縮合重合させて架橋構造を形成し、有機ケイ素重合体粒子を得ることができる。R、R及びRの加水分解、付加重合及び縮合重合は、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
四官能性シランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソシアネートシランなどが挙げられる。
三官能性シランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、メチルエトキシジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルメトキシジクロロシラン、メチルエトキシジクロロシラン、メチルジメトキシクロロシラン、メチルメトキシエトキシクロロシラン、メチルジエトキシクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルジアセトキシメトキシシラン、メチルジアセトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジメトキシシラン、メチルアセトキシメトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジエトキシシラン、メチルトリヒドロキシシラン、メチルメトキシジヒドロキシシラン、メチルエトキシジヒドロキシシラン、メチルジメトキシヒドロキシシラン、メチルエトキシメトキシヒドロキシシラン、メチルジエトキシヒドロキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリヒドロキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリアセトキシシラン、プロピルトリヒドロキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、ブチルトリアセトキシシラン、ブチルトリヒドロキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリアセトキシシラン、ヘキシルトリヒドロキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリヒドロキシシラン、ペンチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
二官能性シランとしては、ジ−tert−ブチルジクロロシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジブチルジクロロシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジクロロデシルメチルシラン、ジメトキシデシルメチルシラン、ジエトキシデシルメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエチルジメトキシシランなどが挙げられる。
一官能性シランとしては、t−ブチルジメチルクロロシラン、t−ブチルジメチルメトキシシラン、t−ブチルジメチルエトキシシラン、t−ブチルジフェニルクロロシラン、t−ブチルジフェニルメトキシシラン、t−ブチルジフェニルエトキシシラン、クロロジメチルフェニルシラン、メトキシジメチルフェニルシラン、エトキシジメチルフェニルシラン、クロロトリメチルシラン、トリメチルメトキシシラン、エトキシトリメチルシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリブチルメトキシシラン、トリペンチルメトキシシラン、トリフェニルクロロシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシランなどが挙げられる。
有機ケイ素重合体粒子は、疎水性を付与する目的で、表面処理されていてもよい。
疎水化処理剤としては、例えば、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシランなどのクロロシラン類;
テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、i−ブチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン類;
ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、へキサプロピルジシラザン、ヘキサブチルジシラザン、ヘキサペンチルジシラザン、ヘキサヘキシルジシラザン、ヘキサシクロヘキシルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジメチルテトラビニルジシラザンなどのシラザン類;
ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、クロロアルキル変性シリコーンオイル、クロロフェニル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、及び、末端反応性シリコーンオイルなどのシリコーンオイル;
ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサンなどのシロキサン類;
脂肪酸及びその金属塩として、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などの長鎖脂肪酸、前記脂肪酸と亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、リチウムなどの金属との塩が挙げられる。
これらの中でも、アルコキシシラン類、シラザン類、シリコーンオイルは、疎水化処理を実施しやすいため、好ましく用いられる。これらの疎水化処理剤は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
トナー粒子に用いられる原材料について説明する。
トナー粒子のコア粒子を形成する結着樹脂としては、具体的には、下記の重合体などを用いることができる。
ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂など。
コア粒子は、離型剤を含有することが好ましい。好ましくは60℃〜90℃(より好ましくは60℃〜80℃)に融点を有するエステルワックスを離型剤として用いると、結着樹脂に対する相溶性に優れるため可塑効果が得られやすい。
エステルワックスとしては、例えば、カルナウバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナウバワックスなどの脂肪酸エステル類から酸成分の一部又は全部を脱酸したもの;植物性油脂の水素添加などによって得られる、ヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物;ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニルなどの飽和脂肪酸モノエステル類;セバシン酸ジベヘニル、ドデ
カン二酸ジステアリル、オクタデカン二酸ジステアリルなどの飽和脂肪族ジカルボン酸と飽和脂肪族アルコールとのジエステル化物;ノナンジオールジベヘネート、ドデカンジオールジステアレートなどの飽和脂肪族ジオールと飽和脂肪族モノカルボン酸とのジエステル化物が挙げられる。
なお、これらのワックスの中でも、分子構造中に2つのエステル結合を有する2官能エステルワックス(ジエステル)を含有していることが好ましい。
2官能のエステルワックスは、2価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、又は、2価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールとのエステル化合物である。
上記脂肪族モノカルボン酸の具体例としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、べへン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられる。
上記脂肪族モノアルコールの具体例としては、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、べへニルアルコール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、トリアコンタノールなどが挙げられる。
2価のカルボン酸の具体例としては、ブタン二酸(コハク酸)、ペンタン二酸(グルタル酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、ヘプタン二酸(ピメリン酸)、オクタン二酸(スベリン酸)、ノナン二酸(アゼライン酸)、デカン二酸(セバシン酸)、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。
2価のアルコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,16−へキサデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、1,30−トリアコンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、1,4−フェニレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAなどが挙げられる。
他に使用可能な離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムのような石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスのような天然ワックス及びその誘導体、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸のような脂肪酸が挙げられる。
なお、離型剤の含有量は、結着樹脂100.0質量部に対して5.0質量部〜20.0質量部であることが好ましい。
コア粒子は、着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41
、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70が挙げられる。
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162が挙げられる。
これらの着色剤は、単独または混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、及びトナーへの分散性の点から選択される。
着色剤の含有量は、結着樹脂100.0質量部に対して、0.1質量部以上30.0質量部以下であることが好ましい。
コア粒子に、着色剤として磁性体を含有させて磁性トナー粒子とすることも可能である。磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトのような酸化鉄;、鉄、コバルト、ニッケルのような金属又はこれらの金属とアルミニウム、銅、マグネシウム、スズ、亜鉛、ベリリウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属との合金及びその混合物が挙げられる。
上記磁性体は、そのより好ましくは、表面が改質された磁性体であることが好ましい。
重合法により磁性トナーを調製する場合には、重合阻害のない物質である表面改質剤により、疎水化処理を施したものが好ましい。このような表面改質剤としては、例えばシランカップリング剤、チタンカップリング剤を挙げることができる。
これらの磁性体の個数平均粒径は、2.0μm以下であることが好ましく、0.1μm以上0.5μm以下であることがより好ましい。
磁性体の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは20質量部以上200質量部以下であり、より好ましくは40質量部以上150質量部以下である。
コア粒子は、荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤として、トナーを負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。
有機金属化合物及びキレート化合物として、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイ
カルボン酸系の金属化合物。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、又はエステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類なども含まれる。さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーンが挙げられる。
一方、トナーを正荷電性に制御する荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩のようなによるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロライドのような4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩のようなオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;樹脂系荷電制御剤。
これら荷電制御剤は一種単独でまたは二種類以上組み合わせて含有することができる。これらの荷電制御剤の添加量としては、結着樹脂又は結着樹脂を生成する重合性単量体100.0質量部に対して、0.01質量部〜10.00質量部であることが好ましい。
トナー粒子のコア粒子の製造方法について説明する。コア粒子の製造方法は公知の手段を用いることができ、懸濁重合法、乳化重合凝集法、乳化凝集法などの湿式製造法や、混練粉砕法を用いることができる。
懸濁重合法では、結着樹脂を生成しうる重合性単量体、必要に応じて着色剤及びワックスなどの添加剤を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中に分散して、重合性単量体組成物の液滴粒子を形成する造粒工程、並びに液滴粒子中の該重合性単量体を重合することでコア粒子を製造する重合工程を経ることによりコア粒子を製造する。
重合性単量体として好ましいものには、ビニル系重合性単量体を挙げることができる。具体的には以下のものを例示することができる。
例えばスチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレンのようなスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、蟻酸ビニルのようなビニルエステルが挙げられる。
乳化凝集法は、目的の粒子径に対して、十分に小さい、トナー粒子(コア粒子)の構成材料から成る微粒子の水系分散液を前もって準備し、その微粒子を水系媒体中でトナーの粒子径になるまで凝集し、加熱により樹脂を融着させてトナーを製造する方法である。
好ましくは、乳化凝集法は、トナー(コア粒子)の構成材料を含む各微粒子分散液を作製する分散工程、トナー(コア粒子)の構成材料を含む微粒子を凝集させて、トナー(コア粒子)の粒子径になるまで粒子径を制御し凝集粒子を得る凝集工程、並びに得られた凝集粒子に含まれる樹脂を融着させる融合工程を有する。さらに必要に応じて、その後の冷却工程、得られたトナー(コア粒子)をろ別し、イオン交換水などで洗浄するろ過・洗浄工程、及び洗浄したトナー(コア粒子)の水分を除去し乾燥する工程を経る。
混練粉砕法でトナー粒子のコア粒子を製造するための製造方法の一例を以下に説明する。
原料混合工程では、コア粒子を構成する材料として、結着樹脂、並びに必要に応じて着色剤及びワックスなどその他の添加剤などを、所定量秤量して配合し、混合する。
混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、FMミキサー、ナウターミキサー、及びメカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に着色剤及びワックス等などを分散させる。溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーのようなバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。
例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、及びニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。さらに、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等などで圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、得られた樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。
粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルのような粉砕機で粗粉砕する。したその後、更に、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(フロイント・ターボ株式会社製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕するとよい。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)のような分級機や篩分機を用いて分級し、コア粒子を得る。
また、コア粒子を球形化してもよい。例えば、粉砕後にハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック工業社製)を用いて球形化を行うとよい。
コア粒子のガラス転移温度(Tg)は、低温定着性の観点から40℃以上60℃以下であることが好ましい。
トナー粒子のシェル層について説明する。
シェル層は窒素原子を含有する化合物を含む。
シェル層に含有される窒素原子を含有する化合物は、樹脂単体であってもいいし、窒素原子を含有する樹脂であってもいい。シェル層は、窒素原子を含有する樹脂を含むことがより好ましく、窒素原子を含有する樹脂であることがさらに好ましい。
窒素原子を含有する樹脂としては、アミノアルデヒド樹脂、窒素原子を含有するビニル系樹脂、ポリイミド樹脂(より具体的には、マレイミド重合体及びビスマレイミド重合体等)、及びキシレン系樹脂が挙げられる。
アミノアルデヒド樹脂の例としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、スルホンアミド樹脂、グリオキザール樹脂、グアナミン樹脂、及びアニリン樹脂が挙げられる。
シェル層は、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、及びオキサゾリン基を含有する樹脂からなる群から選択される少なくとも一を有することが好ましい。シェル層が上記樹脂を含有することで長期耐久性がより良化しやすい。シェル層は、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、及びオキサゾリン基を含有する樹脂からなる群から選択される少なくとも一であることがよ
り好ましい。
樹脂に含有させる窒素原子含有化合物としては、以下のものが挙げられる。
2−ビニル−2−オキサゾリン、N,N,N−トリメチル−N−(2−メタクリルオキシエチル)アンモニウムクロライド(DMC:メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド)、N−ベンジル−N,N−ジメチル−N−(2−メタクリルオキシエチル)アンモニウムクロライド(DML:メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド)、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
これらの単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。また、これらの単量体は樹脂と結合(例えば共有結合)していてもよいし、結合していなくてもよい。
メラミン系樹脂は、メチロールメラミン樹脂、ヘキサメチロールメラミン樹脂、メトキシメチロールメラミン樹脂が好ましい。
尿素系樹脂は、メチロール化尿素樹脂が好ましい。
窒素原子を含有するビニル系樹脂は、窒素原子を含有するモノマーユニットを含むビニル系樹脂である。窒素原子を含有するモノマーユニットを形成するモノマーとして、上記窒素原子含有化合物が挙げられる。好ましくは、2−ビニル−2−オキサゾリン、及び(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロライドからなる群から選択される少なくとも一である。より好ましくは、2−ビニル−2−オキサゾリンである。
窒素原子を含有するビニル系樹脂中の、窒素原子を含有するモノマーユニットの含有量は、好ましくは50質量%〜95質量%であり、より好ましくは75質量%〜92質量%である。
オキサゾリン基を含有する樹脂は、好ましくはオキサゾリン基を含有するモノマーユニットを含むビニル系樹脂であり、より好ましくは2−ビニル−2−オキサゾリンがビニル重合したモノマーユニットを有する。
ビニル系樹脂には、上述したビニル系重合性単量体を用いることができる。好ましくはアクリル系重合性単量体及びメタクリル系重合性単量体である。より好ましくは(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチルなど、炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルである。
コア粒子の表面にシェル層を形成し、トナー粒子を得る方法は特に限定されない。コア粒子を懸濁重合法、乳化重合凝集法、乳化凝集法などの湿式工程を含む製造方法で製造する場合は、コア粒子の製造後に、液中にシェル層となる化合物を添加してシェル層を形成することができる。
コア粒子を粉砕法で製造する場合は、コア粒子の製造後に、コア粒子を水系媒体中に分散させてからシェル層となる化合物を添加してシェル層を形成することができる。
いずれの場合もシェル層を形成する化合物は分散液として添加して、シェル層を形成してもよいし、コア粒子が分散している中で、シェル層の原料となるモノマーを添加して重合反応でシェル層を形成してもよい。
また、乾粉状態のコアに、乾粉の窒素原子含有化合物の微粒子を添加してシェル層を形成することもできる。
コア粒子にシェル層の化合物を微粒子の状態で添加した場合は、加熱することで、コア粒子に付着した微粒子状態の樹脂を膜状化してシェル層とすることも可能である。
シェル層の含有量は、コア粒子100質量部に対して、0.4質量部以上6.5質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上2.0質量部以下であることがより好ましい。
トナー粒子と、有機ケイ素重合体粒子と、必要に応じてほかの外添剤とを混合することでトナーを得ることができる。トナー粒子に外添剤を混合するためのする混合機としては、FMミキサ(日本コークス工業株式会社製)、スーパーミキサー(カワタ社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)、及びハイブリダイザー(奈良機械社製)が挙げられる。
また、外添剤の混合後に粗粒子をふるい分けてもよい。そのるために用いられる篩い装置としては、以下のものが挙げられる。
ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(フロイント・ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製)。
トナーは、有機ケイ素重合体粒子以外の他の外添剤を含んでいてもよい。特にトナーの流動性や帯電性を向上させるために、流動性向上剤を添加してもよい。
流動性向上剤としては、以下のものを用いることができる。
例えば、フッ化ビニリデン微粉末、及びポリテトラフルオロエチレン微粉末のようなフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ又は、乾式製法シリカのような微粉末シリカ微粒子、微粉末酸化チタン微粒子、微粉末アルミナ微粒子;該微粒子、それらをシラン化合物、チタンカップリング剤、又はシリコーンオイルなどの疎水化処理剤により表面処理を施した疎水化処理微粒子シリカ;酸化亜鉛及び、酸化スズのような酸化物;チタン酸ストロンチウムやチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム及びジルコン酸カルシウムのような複酸化物;炭酸カルシウム及び、炭酸マグネシウムのような炭酸塩化合物など。
好ましい流動性向上剤としてはこれらのうち、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粒子である。いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称される乾式製法シリカ微粒子が好ましい。
該乾式製法は、例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次のようなものである。
SiCl+2H+O→SiO+4HCl
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタン等などの他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粒子を得ることも可能であり、シリカ微粒子としてはそれらも包含する。
該流動性向上剤は、一次粒子の個数平均粒径が5nm以上10nm以下であると、高い帯電性と流動性を持たせることができるので好ましい。
さらには、流動性向上剤としては、疎水化処理剤で表面処理を施した疎水化処理シリカ微粒子がより好ましい。
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m/g以上300m/g以下のものが好ましい。
流動性向上剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.01質量部以上3.0質量部以下が好ましい。
各種物性の測定方法について以下に説明する。
<有機ケイ素重合体粒子の一次粒子の個数平均粒径の測定方法>
有機ケイ素重合体粒子の一次粒子の個数平均粒径の測定は、走査型電子顕微鏡「S−4
800」(商品名;日立製作所製)を用いて行う。有機ケイ素重合体粒子が添加されたトナーを観察して、最大5万倍に拡大した視野において、ランダムに100個の有機ケイ素重合体粒子の一次粒子の長径を測定して個数平均粒径を求める。観察倍率は、有機ケイ素重合体粒子の大きさによって適宜調整する。
なお、有機ケイ素重合体粒子を単独で入手できる場合は、有機ケイ素重合体粒子を単独で測定することもできる。
トナー中に、有機ケイ素重合体粒子以外のケイ素含有物が含まれる場合、トナー観察において、外添剤の各粒子に対してEDS分析を行い、Si元素ピークの有無から、分析した粒子が有機ケイ素重合体粒子であるか否かを判断する。
トナー中に、有機ケイ素重合体粒子とシリカ微粒子の両方が含まれている場合には、Si、Oの元素含有量(atomic%)の比(Si/O比)を標品と比較することで有機ケイ素重合体粒子の同定を行う。有機ケイ素重合体粒子、シリカ微粒子それぞれの標品に対して、同条件でEDS分析を行い、Si、Oそれぞれの元素含有量(atomic%)を得る。有機ケイ素重合体粒子のSi/O比をAとし、シリカ微粒子のSi/O比をBとする。AがBに対して、有意に大きくなる測定条件を選択する。具体的には、標品に対して、同条件で10回の測定を行い、A,Bそれぞれの相加平均値を得る。得られた平均値がA/B>1.1となる測定条件を選択する。
判別対象の微粒子のSi/O比が[(A+B)/2]よりもA側にある場合に当該微粒子を有機ケイ素重合体粒子と判断する。
有機ケイ素重合体粒子の標品として、トスパール120A(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社)を、シリカ微粒子の標品として、HDK V15(旭化成)を用いる。
<有機ケイ素重合体粒子の同定及びT3単位構造の確認>
トナー中に含まれる有機ケイ素重合体粒子の構成化合物の組成と比率の同定は、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析計(以下、「熱分解GC/MS」とも称する)及びNMRを用いる。
トナー中に、有機ケイ素重合体粒子以外のケイ素含有物や外添剤が含まれる場合、トナーをクロロホルムなどの溶媒に分散させ、その後に遠心分離等で比重の差で有機ケイ素重合体粒子を分離する。その方法は以下の通りである。
まずトナー1gをバイアル瓶に入れたクロロホルム31gに添加して分散し、有機ケイ素重合体粒子や他の外添剤などをトナーから分離させる。分散には超音波式ホモジナイザーを用いて30分間処理して分散液を作製する。処理条件は以下の通りである。
超音波処理装置:超音波式ホモジナイザーVP−050(タイテック株式会社製)
マイクロチップ:ステップ型マイクロチップ、先端径φ2mm
マイクロチップの先端位置:ガラスバイアルの中央部、且つバイアル底面から5mmの高さ
超音波条件:強度30%、30分。このとき、分散液が昇温しないようにバイアルを氷水で冷却しながら超音波を掛ける。
分散液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H−9R;株式会社コクサン社製)にて、58.33S−1、30分間の条件で遠心分離を行う。
遠心分離後のガラスチューブ内では、比重により有機ケイ素重合体粒子を主として含む画分を分離できる。得られた画分を真空条件下(40℃/24時間)で乾燥し、サンプルを得る。
なお、有機ケイ素重合体粒子を単独で入手できる場合は、有機ケイ素重合体粒子を単独で測定することもできる。
上記サンプル又は有機ケイ素重合体粒子を用いて有機ケイ素重合体粒子の構成化合物の存在量比及び、有機ケイ素重合体粒子中のT3単位構造の割合を、固体29Si−NMR
で測定・算出する。
有機ケイ素重合体粒子の構成化合物の種類の分析には熱分解GC/MSが用いられる。
有機ケイ素重合体粒子を550℃〜700℃程度で熱分解させた際に生じる、有機ケイ素重合体粒子由来の分解物の成分のマススペクトルを分析する事で、有機ケイ素重合体粒子の構成化合物の種類を同定する。具体的な測定条件は以下の通りである。
[熱分解GC/MSの測定条件]
熱分解装置:JPS−700(日本分析工業)
分解温度:590℃
GC/MS装置:Focus GC/ISQ (Thermo Fisher)
カラム:HP−5MS 長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm
注入口温度:200℃
フロー圧:100kPa
スプリット:50mL/min
MSイオン化:EI
イオン源温度:200℃ Mass Range 45−650
続いて同定した有機ケイ素重合体粒子の構成化合物の存在量比を、固体29Si−NMRで測定・算出する。
固体29Si−NMRでは、有機ケイ素重合体粒子の構成化合物のSiに結合する官能基の構造によって、異なるシフト領域にピークが検出される。
各ピークの官能基の構造は標準サンプルを用いて特定する。また得られたピーク面積から各構成化合物の存在量比を算出する。全ピーク面積に対してT3単位構造のピーク面積の割合を計算によって求めることができる。
固体29Si−NMRの測定条件は、下記の通りである。
装置:JNM−ECX5002 (JEOL RESONANCE)
温度:室温
測定法:DDMAS法 29Si 45°
試料管:ジルコニア3.2mmφ
試料:試験管に粉末状態で充填
試料回転数:10kHz
relaxation delay:180s
Scan:2000
該測定後に、有機ケイ素重合体粒子のクロロホルム不溶分の、置換基及び結合基の異なる複数のシラン成分をカーブフィティングにて下記X1構造、X2構造、X3構造、及びX4構造にピーク分離して、それぞれピーク面積を算出する。
なお、下記X3構造がT3単位構造である。
X1構造:(Ri)(Rj)(Rk)SiO1/2 (A1)
X2構造:(Rg)(Rh)Si(O1/2 (A2)
X3構造:RmSi(O1/2 (A3)
X4構造:Si(O1/2 (A4)
Figure 2021148844
該式(A1)、(A2)及び(A3)中のRi、Rj、Rk、Rg、Rh、Rmはケイ素に結合している、炭素数1〜6の炭化水素基などの有機基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基又はアルコキシ基を示す。
また、上記Rで表される炭化水素基は、13C−NMRにより確認する。
13C−NMR(固体)の測定条件≫
装置:JEOLRESONANCE製JNM−ECX500II
試料管:3.2mmφ
試料:試験管に粉末状態で充填
測定温度:室温
パルスモード:CP/MAS
測定核周波数:123.25MHz(13C)
基準物質:アダマンタン(外部標準:29.5ppm)
試料回転数:20kHz
コンタクト時間:2ms
遅延時間:2s
積算回数:1024回
該方法にて、ケイ素原子に結合しているメチル基(Si−CH)、エチル基(Si−C)、プロピル基(Si−C)、ブチル基(Si−C)、ペンチル基(Si−C11)、ヘキシル基(Si−C13)またはフェニル基(Si−C)などに起因するシグナルの有無により、上記Rで表される炭化水素基を確認する。
なお、構造をさらに詳細に確認する必要がある場合、上記13C−NMR及び29Si−NMRの測定結果と共にH−NMRの測定結果によって同定してもよい。
<トナー中に含まれる有機ケイ素重合体粒子の定量方法>
トナー中に含まれる有機ケイ素重合体粒子の含有量は、蛍光X線を用いて測定する。
蛍光X線の測定は、JIS K 0119−1969に準ずるが、具体的には以下の通りである。測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.5.0L」(PANalytical社製)を用いる。なお、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mmとする。測定は、Omnianのメソッドを用いて元素FからUまでの
範囲を測定し、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
また、X線発生装置の加速電圧、電流値は、出力2.4kWとなるように設定する。測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリングの中にトナー4gを入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE−32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで、60秒間加圧し、厚さ2mm、直径39mmに成型したペレットを用いる。
前述条件で成形したペレットにX線を照射して、発生する特性X線(蛍光X線)を分光素子にて分光する。次に、サンプルに含まれる各元素固有の波長に対応する角度に分光された蛍光X線の強度を、FP法(ファンダメンタルパラメータ法)により分析し、トナーに含まれる各元素の含有比率を分析結果として得て、トナー中のケイ素原子の含有量を求める。
蛍光X線で求めたトナー中のケイ素の含有量と、固体29SiNMR及び熱分解GC/MSなどを用いて構造を特定した有機ケイ素重合体粒子の構成化合物中のケイ素の含有量比の関係から、計算によってトナー中の有機ケイ素重合体粒子の含有量を求めることができる。
トナー中に、有機ケイ素重合体粒子以外のケイ素含有物が含まれる場合、上記と同様の方法で、トナーから有機ケイ素重合体粒子以外のケイ素含有物を除去したサンプルを得て、トナー中に含まれる有機ケイ素重合体粒子を定量することができる。
<シェル層を構成する樹脂などの単離>
以下の方法で、トナーから単離したシェル層を構成する樹脂を用いて、各分析を行うこともできる。
トナーからシェル層を構成する樹脂を単離する方法を説明する。グラジエントポリマー溶出クロマトグラフィー(装置名:UltiMate 3000 HPLC Thermo Fisher Scientific社製)を用いたグラジエント分離により、トナーからシェル層を構成する樹脂を分離して、分取することで単離する。
トナーをクロロホルムに溶解させて1質量%のトナー溶解液を作製する。グラジエントポリマー溶出クロマトグラフィーへトナー溶解液をインジェクションして、溶媒グラジエントによるクロマトグラムを得る。得られたクロマトグラムからピーク成分を指定し、再度トナー溶解液をインジェクションして、分取ユニットにより各成分を分取して、乾燥させることでシェル層を構成する樹脂を単離する。
グラジエントポリマー溶出クロマトグラフィーの条件は以下の通りである。
溶離液:100%ACNアセトニトリルから100%クロロホルムへのグラジエント(25分)
カラム:ODSカラム
カラムオーブン:40℃
流速:1mL/min
<シェル層に含有される化合物の同定>
シェル層の構成化合物の組成と比率の同定は、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析計(以下、「熱分解GC/MS」とも称する)及びNMRを用いる。なお、シェル層の化合物を単独で入手できる場合は単独で測定することもできる。
シェル層の構成化合物の種類の分析には熱分解GC/MSが用いられる。シェル層の樹脂などを550℃〜700℃で熱分解させた際に生じる、シェル層の熱可塑性樹脂の分解物の成分のマススペクトルを分析する事で、シェル層の構成化合物の種類を同定する。具体的な測定条件は以下の通りである。
[熱分解GC/MSの測定条件]
熱分解装置:JPS−700(日本分析工業)
分解温度:590℃
GC/MS装置:Focus GC/ISQ (Thermo Fisher)
カラム:HP−5MS 長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm
注入口温度:200℃
フロー圧:100kPa
スプリット:50mL/min
MSイオン化:EI
イオン源温度:200℃ Mass Range 45−650
続いて同定したシェル層の構成化合物の存在量比を、固体H−NMRで測定・算出する。構造決定は、核磁気共鳴分光分析(H−NMR)[400MHz、CDCl、室温(25℃)]を用いて行う。
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
得られたスペクトルの積分値から各単量体成分のmol比を求め、これを基に組成比(mol%)を算出する。
<トナー粒子と有機ケイ素重合体粒子の仕事関数の測定>
トナー粒子の仕事関数は下記の測定方法により測定する。
仕事関数とは、その物質から電子を取り出すためのエネルギー(eV)として数値化されるものである。
仕事関数は、表面分析装置(理研計器(株)製AC−2)を使用して測定する。
該装置において、重水素ランプを使用し、以下の条件で測定する。
照射光量:800nW
分光器:単色光
スポットサイズ:4[mm]×4[mm]
エネルギー走査範囲:3.6〜6.2[eV]
陽極電圧:2910V
測定時間:10[sec/1ポイント]
そして、サンプル表面から放出される光電子を検知し、該表面分析装置に組み込まれた仕事関数計算ソフトを使用して演算処理する。仕事関数に関しては、繰り返し精度(標準偏差)0.02[eV]で測定される。粉体を測定する場合には粉体測定用のセルを使用する。
該表面分析においては、単色光の励起エネルギーを低い方から高い方に0.1eV間隔でスキャンすると、あるエネルギー値[eV]から光量子放出が始まり、このエネルギーしきい値を仕事関数[eV]とする。
上記条件での測定により得られる仕事関数の測定曲線の一例を図1に示す。
図1において、横軸は励起エネルギー[eV]、縦軸は放出された光電子の個数の0.5乗の値(規格化光量子収率)Yを示す。一般的に、励起エネルギー値がある閾値を超えると急激に光電子の放出、即ち規格化光量子収率が多くなり、仕事関数測定曲線が急速に立ち上がる。その立ち上がりの点を光電的仕事関数値[Wf]と定義する。この光電的仕事関数値[Wf]をサンプルの仕事関数とする。
仕事関数の測定において、サンプルは、トナー粒子又は有機ケイ素重合体粒子を用いる。
前述の方法でトナーから分離した有機ケイ素重合体粒子を用いることもできる。
トナー粒子に関しては、以下の方法でトナーから外添剤を除いたトナー粒子をサンプル
として用いてもよい。
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブに該ショ糖濃厚液31gと、6mLのコンタミノンNを入れ、分散液を作製する。この分散液にトナー1gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブを、いわき産業(株)製「KM Shaker」(model:V.SX)にて、1分当たり350往復の条件で20分間振盪する。振盪後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機にて、3500rpm、30分の条件で遠心分離を行う。遠心分離後のガラスチューブ内においては、最上層にはトナー粒子が存在し、下層の水溶液側には外添剤が存在する。最上層のトナー粒子を分離する。必要に応じて、遠心分離を繰り返し行い、分離を十分に行ってもよい。
<シェル層の窒素原子有無の確認>
トナー粒子のシェル層における窒素原子の有無は、透過型電子顕微鏡で観察されるトナーの断面画像から測定する。
可視光硬化性樹脂(アロニックス LCRシリーズ D800)中にトナーを十分に分
散させた後、短波長光を照射し硬化させる。得られた硬化物を、ダイアモンドナイフを備えたウルトラミクロトームで切り出し、250nmの薄片状サンプルを作製する。透過型電子顕微鏡(日本電子社製電子顕微鏡JEM−2800)(TEM−EDX)を用いて40000倍〜50000倍の倍率で拡大し、トナー粒子の断面を観察し、EDXを用いて元素マッピングを行い、窒素原子の有無を確認する。
なお、観察するトナー断面は以下のように選択する。まずトナー断面画像から、トナーの断面積を求め、その断面積と等しい面積を持つ円の直径(円相当径)を求める。この円相当径とトナーの重量平均粒径(D4)との差の絶対値が1.0μm以内のトナー断面画像についてのみ観察する。
<シェル層の厚さと被覆率の測定方法>
トナー粒子のシェル層の有無、シェル層の厚さ及び被覆率は、透過型電子顕微鏡で観察されるトナーの断面画像から測定する。透過型電子顕微鏡で観察されるトナーの断面は以下のようにして作製する。
以下、ルテニウム染色されたトナーの断面の作製手順を説明する。
まず、カバーガラス(松波硝子社、角カバーグラス;正方形No.1)上にトナーを一層となるように散布する。次いで、オスミウム・プラズマコーター(filgen社、OPC80T)を用いて、保護膜としてトナーにOs膜(5nm)及びナフタレン膜(20nm)を施す。
次に、PTFE製のチューブ(内径Φ1.5mm×外径Φ3mm×3mm)に光硬化性樹脂D800(日本電子社)を充填し、チューブの上にカバーガラスをトナーが光硬化性樹脂D800に接するような向きで静かに置く。この状態で光を照射して樹脂を硬化させた後、カバーガラスとチューブを取り除くことで、最表面にトナーが包埋された円柱型の樹脂を形成する。
超音波ウルトラミクロトーム(Leica社、UC7)により、切削速度0.6mm/sで、円柱型の樹脂の最表面からトナーの半径(例えば、重量平均粒径(D4)が7.0μmの場合は3.5μm)の長さだけ切削して、トナー中心部の断面を出す。
次に、膜厚100nmとなるように切削し、トナーの断面の薄片サンプルを作製する。このような手法で切削することで、トナー中心部の断面を得ることができる。
得られた薄片サンプルを、真空電子染色装置(filgen社、VSC4R1H)を用いて、四酸化ルテニウム(RuO)ガス500Pa雰囲気で15分間染色する。透過電子顕微鏡(TEM)(日本電子製 JEM2800)を用い、加速電圧200kVの条件でトナーのTEM画像を得る。
TEMのプローブサイズは1nm、画像サイズ1024×1024pixelにて画像
を取得する。
トナー粒子のコアとシェル層は、TEM画像において異なるコントラストとして観察される。明暗の差は材料によって異なるが、コアとはコントラストの異なる部分として観察される部分を、シェル層とする。
以下に示すシェル層の厚さの計測については、画像解析ソフトウェアであるImage
J(https://imagej.nih.gov/ij/より入手可能)を用いる。
無作為に選んだ10個のトナーのTEM画像において、各トナーについて、トナー断面の長軸Lと、長軸Lの中心を通りかつ垂直な軸L90の交点を中心にして、トナー断面を均等に16分割する。前記中心からトナーの表面へ向かう16本の直線上において、コアの表面からシェル層の表面までの距離を計測する。10個のトナー断面の全ての計測値の算術平均値を、シェル層の厚みとする。
シェル層のコア粒子に対する被覆率の測定方法について説明する。
シェル層のコア粒子に対する被覆率は、シェル層の厚みを測定する際の断面観察から計測する。まず、コアの周囲長(L)を算出する。続いてコア表面のうち、その上にシェル層が存在する部分の長さ(Ls)を測定し、以下の計算によりトナーのシェル層の被覆率を算出する。10個のトナー断面のTEM画像において、該被覆率を算出した算術平均値を、シェル層の被覆率とする。
シェル層のコア粒子に対する被覆率(%)=(Ls)/(L)×100
<シェル層上の有機ケイ素重合体粒子による被覆率>
トナー粒子のシェル層上の有機ケイ素重合体粒子による被覆率は、上述したシェル層の厚さと被覆率の測定方法において得られた透過型電子顕微鏡によるトナーの断面画像から測定する。
トナーのTEM画像において、各トナーについて、シェル層と有機ケイ素重合体粒子が接触する長さ(Lc)を測定する。コア表面のうち、その上にシェル層が存在する部分の長さ(Ls)を測定し、以下の計算によりシェル層上における有機ケイ素重合体粒子の被覆率を測定する。
無作為に選んだ10個のトナー断面のTEM画像において、該被覆率を算出した算術平均値を、シェル層上の有機ケイ素重合体粒子による被覆率とする。
シェル層上の有機ケイ素重合体粒子による被覆率(%)=(Lc)/(Ls)×100
トナー中に、有機ケイ素重合体粒子以外のケイ素含有物が含まれる場合、トナー観察において、外添剤の各粒子に対してEDS分析を行い、Si元素ピークの有無から、分析した粒子が有機ケイ素重合体粒子であるか否かを判断する。
EDS分析については前述の通りである。
<有機ケイ素重合体粒子の固着指数の測定方法>
有機ケイ素重合体粒子の固着状態を指数化する手法としては、基板にトナーを接触させた際の有機ケイ素重合体粒子の移行量を評価する。基板の表層の材料として、感光体の表面層を模擬する基板として、ポリカーボネート樹脂を表層材料に用いた基板を用いる。具体的には、まず、ビスフェノールZ型のポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ−400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)、粘度平均分子量(Mv):40000)をトルエンに10質量%の濃度となるように溶解させて塗工液とする。
この塗工液を、50番手のマイヤーバーを用いて、50μmの厚みのアルミニウムシートに塗工し、塗膜を形成する。そして、この塗膜を100℃で10分間乾燥させることで、上記アルミニウムシート上にポリカーボネート樹脂の層(膜厚が10μm)を有するシートを作製する。このシートを基板ホルダーで保持する。基板は、一辺が3mmの正方形
とする。
以下に、測定工程を、トナーを基板に配置する工程、基板からトナーを除去する工程、基板に供給された有機ケイ素重合体粒子の付着量を定量化する工程に分けて説明する。
・トナーを基板に配置する工程
トナーは、多孔質な柔軟材料(以下「トナー保持体」と表記する。)に含有させ、トナー保持体を基板に接触させる。トナー保持体にトナーを含侵する方法は、トナーが十分に入っている容器中にトナー保持体を浸して取り出す工程を5回繰り返し、トナー保持体の表面がトナーで覆われて見えなくなっているのを目視で確認する。トナー保持体としては、丸三産業(株)製のスポンジ(商品名:ホワイトワイパー)を用いる。
トナーを含侵したトナー保持体は、基板の接触面に対して垂直方向に移動するステージに固定した荷重計の先端に固定し、トナーを含侵したトナー保持体と基板が荷重を測定しつつ接触できるようにする。トナーを含侵したトナー保持体と基板との接触は、ステージを移動させ、荷重計が10Nを示すまで、トナーを含侵したトナー保持体を基板に押し付け、その後、離間する工程を1工程とし、この工程を5回繰り返す。
・基板からトナーを除去する工程
トナーを含侵したトナー保持体を接触させた後の基板に、掃除機のノズル先端に接続した内径5mmのエラストマー製の吸引口をトナーの配置面と垂直となるように近づけ、基板に付着したトナーを除去する。この際、トナーの残留程度を目視で確認しながら除去する。吸引口の端部と基板の距離を1mmとし、吸引時間を3秒とし、吸引圧力を6kPaとする。
・基板に供給された有機ケイ素重合体粒子の付着量を定量化する工程
トナーを除去した後に基板に残留する有機ケイ素重合体粒子の量と形状を数値化する際には、走査型電子顕微鏡による観察と画像計測を用いる。
まず、トナーを除去した後の基板に、白金を電流20mAおよび60秒間の条件でスパッタし、観察用試料とする。
走査型電子顕微鏡による観察においては、有機ケイ素重合体粒子を観察できる観察倍率を任意に選択する。走査型電子顕微鏡としては、日立超高分解能電界放出走査電子顕微鏡(商品名:S−4800、(株)日立ハイテクノロジーズ)を用い、S−4800(商品名)の反射電子像にて観察を行う。観察倍率は50000倍とし、加速電圧は10kVとし、作動距離は3mmとする。
観察により得られた画像は、有機ケイ素重合体粒子が高輝度に、基板が低輝度に表されるので、二値化により、視野内の有機ケイ素重合体粒子の量を定量化することができる。二値化の条件は、観察装置やスパッタ条件により適切に選択する。二値化に、画像解析ソフトウェアであるImage J(https://imagej.nih.gov/ij/より入手可能)を用いる。
Image Jで有機ケイ素重合体粒子の面積のみを積算し、観察視野全体の面積で除算することで観察視野内の有機ケイ素重合体粒子の面積率を求める。上記測定を二値化した画像100枚について行い、その平均値を基板上の有機ケイ素重合体粒子の面積率[A](単位:面積%)とする。
次に、トナー粒子への有機ケイ素重合体粒子の被覆率[B](単位:面積%)を算出する。
有機ケイ素重合体粒子の被覆率は、走査型電子顕微鏡による観察と画像計測を用いて測定する。走査型電子顕微鏡による観察において、有機ケイ素重合体粒子を観察する観察倍率は、基板上の有機ケイ素重合体粒子を観察した倍率と同じ倍率を採用する。走査型電子顕微鏡としては、上記の日立超高分解能電界放出走査電子顕微鏡S−4800(商品名)
を用いる。
なお、面積率A及び被覆率Bの測定に関し、トナー中に、有機ケイ素重合体粒子以外の微粒子が含まれる場合、トナー観察において、外添剤の各粒子に対してEDS分析を行い、Si元素ピークの有無から、分析する粒子が有機ケイ素重合体粒子であるか否かを判断する。具体的には、有機ケイ素重合体粒子の一次粒子の個数平均粒径と同様の操作を行う。
画像撮影条件は以下の通りである。
(1)試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上にトナーを吹きつける。さらにエアブローして、余分なトナーを試料台から除去し十分乾燥させる。試料台を試料ホルダにセットし、試料高さゲージにより試料台高さを36mmに調節する。
(2)S−4800観察条件設定
有機ケイ素重合体粒子の被覆率[B]の算出は、S−4800の反射電子像観察により得られた画像を用いて行う。反射電子像は2次電子像と比べてチャージアップが少ないため、有機ケイ素重合体粒子の被覆率[B]を精度良く測定することができる。
S−4800の筺体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S−4800の「PC−SEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し実行する。フラッシングによるエミッション電流が20μA〜40μAであることを確認する。試料ホルダをS−4800筺体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移動させる。
加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[0.8kV]、エミッション電流を[20μA]に設定する。オペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、信号選択を[SE]に設置し、SE検出器を[上(U)]及び[+BSE]を選択し、[+BSE]の右の選択ボックスで[L.A.100]を選択し、反射電子像で観察するモードにする。
同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[3.0mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
(3)焦点調整
コントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を5000(5k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、視野内全体にある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。この操作を更に2度繰り返し、ピントを合わせる。
次に対象のトナーについて、最大径の中点を測定画面の中央に合わせた状態でコントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を10000(10k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリ
ックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。
次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。その後、倍率を50000(50k)倍に設定し、上記と同様にフォーカスつまみ、STIGMA/ALIGNMENTつまみを使用して焦点調整を行い、再度オートフォーカスでピントを合わせる。この操作を再度繰り返し、ピントを合わせる。ここで、観察面の傾斜角度が大きいと被覆率の測定精度が低くなりやすいので、ピント調整の際に観察面全体のピントが同時に合うものを選ぶことで、表面の傾斜が極力無いものを選択して解析する。
(4)画像保存
ABCモードで明るさ合わせを行い、サイズ640×480ピクセルで写真撮影して保存する。この画像ファイルを用いて下記の解析を行う。トナー一つに対して写真を1枚撮影し、少なくともトナー100粒子以上について画像を得る。
観察した画像を、画像解析ソフトウェアであるImage J(https://imagej.nih.gov/ij/より入手可能)を用いて二値化する。二値化した後、[Analayze]―[Analyze Particles]より、EDS分析に基づき有機ケイ素重合体粒子のみを抽出し、トナー粒子上における、有機ケイ素重合体粒子の被覆率(単位:面積%)を求める。
上記測定を二値化した画像100枚について行い、有機ケイ素重合体粒子の被覆率(単位:面積%)の平均値を有機ケイ素重合体粒子の被覆率[B]とする。基板上の有機ケイ素重合体粒子の面積率[A]および有機ケイ素重合体粒子の被覆率[B]から下記式(I)を用いて、有機ケイ素重合体粒子の固着指数を算出する。
固着指数=ポリカーボネート膜に移行した有機ケイ素重合体粒子の面積率[A]/トナー粒子表面における有機ケイ素重合体粒子の被覆率[B]×100 ・・・(I)
<有機ケイ素重合体粒子の分散度評価指数の測定方法>
トナー表面における有機ケイ素重合体粒子の分散度評価指数の算出は、走査型電子顕微鏡「S−4800」を用いて行う。1万倍に拡大した視野で、有機ケイ素重合体粒子が外添されたトナーを、同一視野で加速電圧1.0kVで観察する。観察した画像から、画像処理ソフト「Image−Pro Plus5.1J」(MediaCybernetics社製)を使用し、以下のように算出する。
有機ケイ素重合体粒子のみが抽出されるように2値化し、有機ケイ素重合体粒子の個数n、全有機ケイ素重合体粒子に対し重心座標を算出し、各有機ケイ素重合体粒子に対する最近接の有機ケイ素重合体粒子との距離dn minを算出する。画像内の有機ケイ素重合体粒子間の最近接距離の平均値をdaveとすると、分散度は下記式で示される。
ランダムに観察した50個のトナーについて上記の手順にて分散度を求め、その算術平均値を分散度評価指数とする。分散度評価指数の小さい方が、分散性が良いことを示す。
トナー中に、有機ケイ素重合体粒子以外の微粒子が含まれる場合、有機ケイ素重合体粒子は前述したEDS分析により区別できる。
Figure 2021148844
<トナーの重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOMME)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetra150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃〜40℃となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は何らこれに制約されるものではない。実施例中で使用する部は特に断りのない限り質量基準である。
<有機ケイ素重合体粒子1の製造例>
(第一工程)
温度計、攪拌機を備えた反応容器に、水:360部を入れ、濃度5.0質量%の塩酸:13部を添加して均一溶液とした。これを温度25℃で撹拌しながらメチルトリメトキシシラン122部、テトラメトキシシラン15部を添加し、5時間撹拌した後、濾過してシラノール化合物及びその部分縮合物を含む透明な反応液を得た。
(第二工程)
温度計、攪拌機、滴下装置を備えた反応容器に、水:440部を入れ、濃度10.0質量%のアンモニア水:17部を添加して均一溶液とした。これを温度35℃で撹拌しながら、第一工程で得られた反応液100部を0.50時間かけて滴下し、6時間撹拌し懸濁液を得た。得られた懸濁液を遠心分離器にかけて微粒子を沈降させ取り出し、温度200℃の乾燥機で24時間乾燥させて有機ケイ素重合体粒子1を得た。
得られた有機ケイ素重合体粒子1は、一次粒子の個数平均粒径が100nmであり、T3単位構造の面積割合は0.89であり、Waは5.48eVであった。
<有機ケイ素重合体粒子2の製造例>
100部の有機ケイ素重合体粒子1を、ヘキサメチルジシラザン15部で表面処理することで有機ケイ素重合体粒子2を得た。物性は表1に示す。
<有機ケイ素重合体粒子3の製造例>
100部の有機ケイ素重合体粒子1を、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン10部で表面処理することで有機ケイ素重合体粒子3を得た。物性は表1に示す。
<有機ケイ素重合体粒子4〜11の製造例>
シラン化合物、製造条件を表1に記載のように変更した以外は、有機ケイ素重合体粒子1の製造例と同様にして、有機ケイ素重合体粒子4〜11を得た。得られた有機ケイ素重合体粒子4〜11の物性を表1に示す。
<有機ケイ素重合体粒子12の製造例>
100部の有機ケイ素重合体粒子1をヘキサメチルジシラザン25部で表面処理することで有機ケイ素重合体粒子12を得た。物性は表1に示す。
Figure 2021148844

表中、仕事関数の単位はeVである。
<シェル層1〜7に使用する化合物の組成>
シェル層1〜7に使用する化合物の組成を表2に示す。シェル化の方法は後述する。
<シェル層5に使用する化合物の製造例>
イオン交換水790部とカチオン界面活性剤(花王株式会社製「コータミン24P」、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド25質量%水溶液)30部を入れた反応容器を80℃に昇温したさせた。続けて、メタクリル酸メチル100部と、アクリル酸n−ブチル30部と、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロライド(4級アンモニウム塩)20部との混合液及び過硫酸カリウム0.5部をイオン交換水30部に溶かした溶液をそれぞれ5時間かけてフラスコ内に滴下した。
その後、温度を80℃に保ちフラスコ内容物を2時間重合した。重合終了後、反応液を室温まで冷却し、濃度調整することで固形分濃度が50質量%、重量平均粒径(D4)が50nmのシェル層5に使用する化合物の水系分散体S1を得た。
<シェル層6に使用する化合物の製造例>
分散剤(界面活性剤)であるネオゲンRK(第一工業製薬社製)3.0部をイオン交換水50部に溶解した水溶液に、メタクリル酸メチルマクロモノマー(東亜合成株式会社製「AA−6」)100部を添加して、分散させた。さらに10分間ゆっくりと撹拌しながら、過硫酸カリウム0.3部をイオン交換水10部に溶解した水溶液を添加した。窒素置換をした後、70℃で6時間乳化重合を行った。
重合終了後、反応液を室温まで冷却し、イオン交換水を添加することで固形分濃度が50質量%、重量平均粒径(D4)が40nmのシェル層6に使用する化合物の水系分散体S2を得た。
<シェル層7に使用する化合物の製造例>
・テレフタル酸:30mol部
・フマル酸:70mol部
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:95mol部
・ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:5mol部
上記材料を2リットルのガラス製4つ口フラスコに入れ、温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサー、及び窒素導入管を取り付け、マントルヒーター中で、窒素気流下にて230℃で22時間反応させることでポリエステル樹脂Aを得た。
続いて、
・ポリエステル樹脂A:100.0部
・ノニオン性界面活性剤(ノイゲンXL−160:第一工業製薬製、曇点98℃):2.0部
・ジメチルアミノエタノール(キシダ化学社製):7.5部
上記材料を、500mlのビーカーに投入し、攪拌機で200r/minの攪拌下、95.0℃で120分間、混合した。その後、温度を保ちつつ、攪拌機で200r/minの攪拌下、95.0℃に加熱したイオン交換水200.0部を、2時間かけて滴下た。
得られた分散体を目開き105μmの金属製のメッシュに通し、粗大粒子成分を除去して、シェル層7に使用する化合物の水系分散体S3を得た。イオン交換水を添加することで固形分濃度を50質量%とした。
Figure 2021148844
シェル層1:昭和電工株式会社製「ミルベン(登録商標)レジンSM―607」
シェル層2:昭和電工株式会社製「ミルベン(登録商標)レジンSM―300」
シェル層3:オキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロスWS−300」、モノマー組成:メタクリル酸メチル/2−ビニル−2−オキサゾリン
シェル層4:昭和電工株式会社製「ミルベン(登録商標)レジンSUM−100」
シェル層6:ポリメチルメタクリレート(東亜合成株式会社製「AA−6」)
<ポリエステル系樹脂組成物1の製造例>
・ビスフェールAプロピレンオキサイド付加物(2.2mol付加)95.0mol部
・ビスフェールAエチレンオキサイド付加物(2.2mol付加)10.0mol部
・テレフタル酸90.0mol部
・アジピン酸5.0mol部
上記ポリエステルモノマー混合物をモノマー総量に対して、0.2質量%のジブチル錫オキシドとともに5リットルオートクレーブに仕込み、還流冷却器、水分分離装置、Nガス導入管、温度計及び撹拌装置を付する。オートクレーブ内にNガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。所望のTgになるように反応時間を調整し、反応終了後
容器から取り出し、冷却、粉砕してポリエステル系樹脂組成物1を得た。ポリエステル系樹脂組成物1のTgは49℃であった。
<コア粒子1の製造例>
コア粒子1の製造例について説明する。
(コア粒子1の製造例)
・ポリエステル系樹脂組成物1: 100部
・C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン): 5部
・エステルワックス(セバシン酸ステアリル:融点72℃): 15部
・フィッシャートロプッシュワックス(サゾール社製C105、融点:105℃):
2部
・荷電制御剤(P−51(オリヱント化学工業社製)): 1.2部
上記材料をFMミキサ(日本コークス工業株式会社製FM10C型)で前混合した後、2軸押出機(商品名:PCM−30、池貝鉄工所社製)を用いて、吐出口における溶融物温度が140℃になるように、温度を設定し、溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、粉砕機(商品名:ターボミルT250、ターボ工業社製)を用いて微粉砕した。得られた微粉砕粉末を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級して、重量平均粒径(D4)6.8μmのコア粒子1を得た。
(トナー粒子1の製造例)
イオン交換水300.0部を入れた反応容器を30℃で維持した後、希塩酸を加えて、水性媒体のpHを4.0に調整した。pH調整後、得られたコア粒子1を100.0部投入し、コア粒子1のスラリーを作製した。
続けて、シェル材料(固形分濃度80質量%のヘキサメチロールメラミン初期重合物の水溶液:昭和電工株式会社製「ミルベン(登録商標)レジンSM−607」)1.25部を、フラスコ内に添加した。1.0℃/分で75℃に昇温させて2時間保持することでコア粒子の表面にシェル層を形成させた。
室温まで冷却後、濾過、水洗、乾燥して重量平均粒径(D4)6.8μmのコアシェル構造を有するトナー粒子1を得た。
(トナー1の製造例)
FMミキサ(日本コークス工業株式会社製FM10C型)を使用して、トナー粒子1に有機ケイ素重合体粒子1と疎水性シリカ微粒子を添加した。
FMミキサのジャケット内の水温が25℃±1℃で安定した状態で、トナー粒子1:100部に対して、有機ケイ素重合体粒子1:1.5部、疎水性シリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)RA−200H」、内容:トリメチルシリル基とアミノ基とで表面処理された乾式シリカ粒子、個数平均一次粒子径:12nm):0.6部を投入した。回転羽根の周速28m/secで混合を開始し、槽内温度が25℃±1℃で安定するように、ジャケット内の水温と流量を制御しながら4分間混合した後、目開き75μmのメッシュで篩い、トナー1を得た。
トナー1の作製に使用したトナー粒子、コア、シェル層の種類と添加量、外添混合条件、トナー中の有機ケイ素重合体粒子の含有量を表3に示す。トナー1から分析した仕事関数、シェルの厚さと被覆率、シェル上における有機ケイ素重合体の被覆率、有機ケイ素重合体粒子の固着指数と分散度評価指数を表4に示す。また、トナー1から分析した有機ケイ素重合体粒子の物性は表1に示す値と同じであった。
Figure 2021148844

表3,4中、比較トナー3には有機ケイ素重合体粒子は用いられていないが、使用した大シリカの仕事関数をWaとして記載している。
Figure 2021148844

表中、シェル被覆率は、「シェル層のコア粒子に対する被覆率」である。
<トナー2〜17、19〜24、比較トナー1〜4の製造例>
トナー1の製造例において、表3に示すコア粒子、シェル層の種類と添加量、有機ケイ素重合体粒子の種類と添加量にした以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー2〜17、19〜24、比較トナー1〜4を得た。物性を表4に示す。また、得られたトナーから分析した有機ケイ素重合体粒子の物性は表1に示す値と同じであった。
なお、比較トナー3の大シリカは、以下の物性のものを用意した。
ゾルゲル法で作製したシリカ微粒子
一次粒子の個数平均粒径:100nm
T3単位構造を有するケイ素に由来するピーク面積の割合:0%
<トナー18の製造例>
<トナー粒子7の製造例>
(シェル層の形成)
イオン交換水300部を入れた反応容器を30℃に保持した。続けて、フラスコ内に水酸化ナトリウム又は希塩酸を加えて、フラスコ内容物のpHを7に調整した。
次いで、フラスコ内に、シェル材料S1を2.0部添加した。続けて、フラスコ内に、コア粒子1を100部添加し、回転速度200rpmで1時間攪拌した。続けて、フラスコ内にイオン交換水300部追加し、回転速度100rpmで攪拌しながら1℃/分の速度で70℃まで昇温した後、温度を保持して2時間攪拌した。
その後、トナー粒子の分散液を常温(約25℃)まで冷却した。室温まで冷却後、濾過、水洗、乾燥してコアシェル構造を有するトナー粒子7を得た。
トナー1の製造例において、トナー粒子7を使用し、さらに表3に示す外添剤の種類と
添加量にした以外は、トナー1の製造例と同様にして同様の条件でトナー18を得た。トナー18の物性を表4に示す。
<実施例1>
画像形成装置としては市販のレーザープリンターであるLBP−7700C(キヤノン製)の改造機及び市販のプロセスカートリッジであるトナーカートリッジ323(シアン)(キヤノン製)の改造カートリッジを用いた。カートリッジ内部からは製品トナーを抜き取り、エアブローによって清掃した後、本発明のトナーを150g充填した。
レーザープリンターの改造点としては、正帯電性トナー評価のために、各プロセスの電位が通常とは逆符号となるように改造を行った。また、プロセスカートリッジの改造点としては、感光ドラム、帯電ローラー等の部材を通常とは逆符号に帯電するものに変更した。
<耐久性評価(画像濃度)>
LBP−7700Cの改造機、評価するトナーを充填した改造シアンカートリッジ及び評価紙(A4のカラーレーザーコピー用紙(キヤノン製、80g/m))を高温高湿環境(30℃/80%RH)下に24時間放置した。
その後、印字率1%となる横線パターンを1枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンがいったん停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、計15000枚の画出し試験を実施した。
1枚目、15000枚目での画像濃度を測定した。5mm×5mmのベタ黒パッチ画像を出力して、反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、画像濃度として反射濃度を測定した。結果を表5に示す。
A:画像濃度が1.40以上である。
B:画像濃度が1.30以上1.40未満である。
C:画像濃度が1.20以上1.30未満である。
D:画像濃度が1.20未満である。
<初期かぶりの評価>
LBP−7700Cの改造機、評価するトナーを充填した改造シアンカートリッジ及び評価紙(A4のカラーレーザーコピー用紙(キヤノン製、80g/m))を高温高湿環境(30℃/80%RH)下に24時間放置した。
その後、印字されないよう一部分を覆って保護した紙上に印字率0%の画像を1枚出力した。続いて、画像上及び保護した部分の白色度を、アンバーフィルターを搭載したリフレクトメーター(「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」東京電色株式会社製)にて測定し、画像上及び保護した部分の白色度の差からかぶりを算出した。以下の評価基準に基づき初期かぶりを評価した。結果を表5に示す。
A:かぶりが、0.5%以下である。
B:かぶりが、0.5%を超え1.5%以下である。
C:かぶりが、1.5%を超え2.5%以下である。
D:かぶりが、2.5%を超えている。
<縦スジの評価>
LBP−7700Cの改造機、評価するトナーを充填した改造シアンカートリッジ及び評価紙(A4のカラーレーザーコピー用紙(キヤノン製、80g/m))を低温低湿環境(15℃/10%RH)下に24時間放置した。
そして、印字率1%の横線パターンを1000枚連続で画出しした後、ベタ黒画像を出力し、目視で縦スジの発生レベルを確認した。結果を表5に示す。
A:縦スジの発生なし。
B:縦スジが1か所発生。
C:縦スジが2か所以上4か所以下発生。
D:縦スジが5か所以上発生。
<低温定着性の評価>
LBP−7700Cの改造機の定着装置の定着温度を任意に設定できるように改造した。評価するトナーを充填した改造シアンカートリッジ及び評価紙(A4のカラーレーザーコピー用紙(キヤノン製、80g/m))を、常温常湿環境(温度25.0℃、相対湿度60%)下に24時間放置した。
そして、定着温度を140℃から180℃まで2℃ずつ上昇させて、ポツ抜けの発生する最低温度を定着温度とし、定着性を評価した。結果を表5に示す。
A:定着温度が、150℃未満。
B:定着温度が、150℃〜158℃。
C:定着温度が、160℃〜168℃。
D:定着温度が、170℃〜180℃。
Figure 2021148844
<実施例2〜24、比較例1〜3>
実施例1と同様にして評価を行った。結果を表5に示す。

Claims (10)

  1. トナー粒子、及び該トナー粒子の表面の外添剤を有するトナーであって、
    該トナー粒子は、結着樹脂を含有するコア粒子、及び該コア粒子の表面のシェル層を有し、
    該シェル層は、窒素原子を含有する化合物を含み、
    該外添剤は、有機ケイ素重合体粒子を含み、
    該有機ケイ素重合体粒子の仕事関数Waと該トナー粒子の仕事関数Wbの差が下記式(A)を満たすことを特徴とするトナー。
    0.00eV<Wa−Wb≦0.75eV ・・・(A)
  2. 透過型電子顕微鏡での観察による、前記シェル層の前記コア粒子に対する被覆率が、30%以上である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記シェル層の厚さの平均値が、1nm〜250nmである請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記有機ケイ素重合体粒子の一次粒子の個数平均粒径が、30nm〜500nmである請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 前記トナー中の前記有機ケイ素重合体粒子の含有量が、0.10質量%〜8.00質量%である請求項1〜4のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 透過型電子顕微鏡での観察による、前記シェル層上の前記有機ケイ素重合体粒子による被覆率が、10%以上である請求項1〜5のいずれか一項に記載のトナー。
  7. 前記シェル層がメラミン系樹脂、尿素系樹脂、及びオキサゾリン基を含有する樹脂からなる群から選択される少なくとも一を有する請求項1〜6のいずれか一項に記載のトナー。
  8. 前記有機ケイ素重合体粒子は、ケイ素原子と酸素原子とが交互に結合した構造を有し、
    前記有機ケイ素重合体粒子が、下記式(1)で表されるT3単位構造を有し、
    −SiO3/2 ・・・(1)
    (式(1)中、Rは、炭素数が1〜6のアルキル基又はフェニル基を表す。)
    前記有機ケイ素重合体粒子の29Si−NMR測定において、前記有機ケイ素重合体粒子に含有される全ケイ素元素に由来するピークの合計面積に対する、該T3単位構造を有するケイ素に由来するピークの面積の割合が、0.50〜1.00である請求項1〜7のいずれか一項に記載のトナー。
  9. 下記式(I)で計算されるポリカーボネート膜に対する前記有機ケイ素重合体粒子の固着指数が、4.5以下である請求項1〜8のいずれか一項に記載のトナー。
    固着指数=ポリカーボネート膜に移行した前記有機ケイ素重合体粒子の面積率A/前記トナー粒子表面における前記有機ケイ素重合体粒子の被覆率B×100 ・・(I)
  10. 前記有機ケイ素重合体粒子の前記トナー表面における分散度評価指数が、0.5以上2.0以下である請求項1〜9のいずれか一項に記載のトナー。

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