JP6732532B2 - トナー - Google Patents
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Description
この課題に対して、特許文献1にはトナー粒子の表層に特定の有機ケイ素重合体を含有するトナーの技術が開示されている。この技術により、高温環境下でのトナー表面への材料染み出しを抑制することが可能となり、現像耐久性、保存安定性、環境安定性及び低温定着性に優れたトナーの提供が可能となった。
一方で、低温低湿環境下において低印字率で連続印字を行った時にはゴーストが発生し易いことが分かってきた。これは、低印字率で現像剤担持体を繰り返し回転することで、トナーが規制ブレードと繰り返し摩擦されることにより過帯電状態、所謂チャージアップしたことに因ると考えられる。
チャージアップを抑制する技術としては、特許文献2に外添剤として特定の粒径を有するシリカ微粒子3種類及びアルミナ微粒子1種類を含有させる技術が開示されている。また、特許文献3にはマグネシウムおよびアルミニウムを含有する無機化合物よりなる複合無機微粒子を外添し、その含有比率や静抵抗を一定の範囲とする技術が開示されている。
チャージアップを抑制する技術として、特許文献2の本文中には外添するアルミナの量が多いほどチャージアップを抑制可能であることが記載されている。更に、特許文献3には特定の静抵抗値の物質を外添することが記載されている。いずれも過剰な電荷をリークさせることがその思想であり、チャージアップを抑制するための優れた技術である。一方で、この技術を特許文献1の様な特定の有機ケイ素重合体を含有する表層を有するトナーに対して適用したところ、その効果は限定的であった。即ち、使用し始めの現像剤ではその効果が見られるものの、多数枚の現像に使用していくと効果が薄れて行った。これは、従来のトナーに比べて、表層が有機ケイ素重合体であるトナー粒子は表面が硬く、外添剤が固着しきれないために、使用中に外添剤がトナーから外れてしまったためと推測している。
以上のように、従来の技術ではトナー粒子の表層に有機ケイ素重合体を含有するトナーにおいて、チャージアップを抑制することは困難であった。
本発明の目的は、特定の有機ケイ素重合体を含有する表層を有するトナーにおいて、チャージアップを抑制することにより、低温低湿環境下において低印字率で連続印字を行った時のゴーストを抑制可能なトナーを提供することにある。
有機ケイ素重合体を含有する表層と、
を有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記結着樹脂はカルボキシル基を含有し、
前記有機ケイ素重合体は下記式(1)又は(2)で表される部分構造を有し、
前記トナー粒子の表面のX線光電子分光分析において、トナー粒子表面の、炭素原子の濃度dC、酸素原子の濃度dO、及びケイ素原子の濃度dSiの合計を100.0atomic%としたときに、ケイ素原子の濃度dSiが2.5atomic%以上22.2atomic%以下であり、
前記トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の29Si−NMRの測定で得られるチャートにおいて、有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する前記式(1)又は(2)で表される部分構造に帰属されるピーク面積の割合が20%以上であり、
前記トナー粒子は20℃における抵抗率2.5×10-8Ω・m以上10.0×10-8Ω・m以下の多価金属の元素を含有し、
前記多価金属は鉄又はマグネシウムであり、
前記多価金属が鉄である場合、前記トナー粒子の蛍光X線分析における鉄に基づくNet強度が1.00kcps以上5.00kcps以下であり、
前記多価金属がマグネシウムである場合、前記トナー粒子の蛍光X線分析におけるマグネシウムに基づくNet強度が3.00kcps以上20.00kcps以下である、
ことを特徴とするトナーである。
本発明における表層とは、コアを被覆してトナー粒子の最表面に存在する層である。表層はコアの表面全てを被覆することが好ましいが、コア表面の一部に表層が形成されていない部分が存在していてもよい。詳細な方法は後述するが、本発明では有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子の表層の厚みが2.5nm以下である分割軸の数の割合(以下、表層の厚み2.5nm以下の割合ともいう)が、20.0%以下であることが好ましい。この条件は、トナー粒子の表層のうち少なくとも80.0%以上が、2.5nm以上の前記有機ケイ素重合体を含む表層で構成されていることを近似している。すなわち、本条件を満たすと、前記有機ケイ素重合体を含む表層が十分にコア表面を被覆することとなる。更に好ましくは10.0%以下である。測定は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた断面観察により規定できるが、詳細は後述する。
本発明におけるトナー粒子を構成するコア部は、結着樹脂を含有するものである。結着樹脂は特段限定されず、従来公知のものを用いることができるが、本発明では結着樹脂はカルボキシル基を含有し、更に前記多価金属元素はアルミニウム、鉄、マグネシウム、カルシウムいずれか1種類以上である組み合わせが特に好ましい。その際、含有する多価金属元素がアルミニウムである場合には、前記トナー粒子の蛍光X線分析におけるアルミニウムに基づくNet強度は0.10kcps以上0.50kcps以下であることが特に好ましい。また、含有する多価金属元素が鉄である場合には、前記トナー粒子の蛍光X線分析における鉄に基づくNet強度は1.00kcps以上5.00kcps以下であることが特に好ましい。また、含有する多価金属元素がマグネシウム及び/又はカルシウムである場合には、マグネシウム及び/又はカルシウムに基づくNet強度は3.00kcps以上20.00kcps以下であることが特に好ましい。上記組み合わせであることにより、トナーに強いシェアが加わった場合の小粒子の離脱や割れが更に起き難くなることを見出した。これは、結着樹脂のカルボキシル基、有機ケイ素重合体のシラノール基、比較的にイオン化しやすい多価金属とが存在することにより、金属架橋が起きてコアと表層の接着強度が上がったと推測している。また、物質により好ましいNet強度の範囲が異なるのは金属の価数に関係するものと考えられる。即ち、価数が高い場合には少ない金属量で多数のシラノール基やカルボキシル基と配位し得るため、3価のアルミニウムは少量で、2価のマグネシウムとカルシウムは多量で、混合価数を取り得る鉄はその間の量であると考えられる。
結着樹脂はビニル系樹脂、ポリエステル樹脂などが好ましく例示できる。ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂及びその他の結着樹脂として、以下の樹脂又は重合体が例示できる。
トナー粒子を構成する結着樹脂の分子量をコントロールする為に、重合性単量体の重合に際して、架橋剤を添加してもよい。
本発明において、トナー粒子を構成する材料の1つとして、離型剤を含有することが好ましい。前記トナー粒子に使用可能な離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムのような石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスのような天然ワックス及びその誘導体、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸のような脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス、シリコ−ン樹脂が挙げられる。なお、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。なお、離型剤の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100.0質量部に対して5.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
本発明において、トナー粒子に着色剤を含有させる場合には特に限定されず、以下に示す公知のものを使用することができる。
本発明において、トナー粒子は荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては、公知のものが使用できる。特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
本発明のトナー粒子は、外添せずに本発明のトナーを構成することができるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、いわゆる外添剤である流動化剤、クリーニング助剤などを添加して本発明のトナーを構成してもよい。
本発明のトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
本発明のトナー粒子の製造方法は公知の手段を用いることができ、混練粉砕法や湿式製造法を用いることができる。粒子径の均一化や形状制御性の観点からは湿式製造法を好ましく用いることができる。更に湿式製造法には懸濁重合法、溶解懸濁法、乳化重合凝集法、乳化凝集法などを挙げることができ、本発明においては乳化凝集法を好ましく用いることができる。これは、水系媒体中で前記多価金属元素をイオン化させ易いこと、結着樹脂を凝集させる際にトナー粒子中に前記多価金属元素を含有させ易いこと、更に前記有機ケイ素重合体と結着樹脂を金属架橋させ易いためである。
<NMR測定用のトナー粒子のTHF不溶分の調製法>
トナー粒子のテトラヒドロフラン(THF)不溶分は、以下のように調製した。
式(1)のケイ素原子に結合しているメチン基(>CH−Si)の有無または式(2)のケイ素原子に結合しているメチレン基(Si−CH2−)、エチレン基(Si−C2H4−)、又はフェニレン基(Si−C6H4−)の有無を13C−NMRにより確認した。
装置:BRUKER製 AVANCEIII 500
プローブ:4mm MAS BB/1H
測定温度:室温
試料回転数:6kHz
試料:測定試料(NMR測定用のトナー粒子のTHF不溶分)150mgを直径4mmのサンプルチューブに入れる。
測定核周波数:125.77MHz
基準物質:Glycine(外部標準:176.03ppm)
観測幅:37.88kHz
測定法:CP/MAS
コンタクト時間:1.75ms
繰り返し時間:4s
積算回数:2048回
LB値:50Hz
トナー粒子のTHF不溶分の29Si−NMR(固体)測定を、以下の測定条件で行う。
装置:BRUKER製 AVANCEIII 500
プローブ:4mm MAS BB/1H
測定温度:室温
試料回転数:6kHz
試料:測定試料(NMR測定用のトナー粒子のTHF不溶分)150mgを直径4mmのサンプルチューブに入れる。
測定核周波数:99.36MHz
基準物質:DSS(外部標準:1.534ppm)
観測幅:29.76kHz
測定法:DD/MAS、CP/MAS
90°パルス幅:4.00μs,−1dB
コンタクト時間:1.75ms〜10ms
繰り返し時間:30s(DD/MASS)、10s(CP/MAS)
積算回数:2048回
LB値:50Hz
X1構造:(Ri)(Rj)(Rk)SiO1/2 式(2)
X2構造:(Rg)(Rh)Si(O1/2)2 式(3)
X3構造:RmSi(O1/2)3 式(4)
X4構造:Si(O1/2)4 式(5)
SX1={X1構造の面積/(X1構造の面積+X2構造の面積+X3構造の面積+X4構造の面積)}
SX2={X2構造の面積/(X1構造の面積+X2構造の面積+X3構造の面積+X4構造の面積)}
SX3={X3構造の面積/(X1構造の面積+X2構造の面積+X3構造の面積+X4構造の面積)}
SX4={X4構造の面積/(X1構造の面積+X2構造の面積+X3構造の面積+X4構造の面積)}
本発明において、トナー粒子の断面観察は以下の方法により行う。
TEM写真より得られたトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)は以下の方法で求める。まず、1つのトナー粒子に対して、TEM写真より得られるトナー粒子の断面から求めた円相当径Dtemを下記式に従って求める。
[TEM写真より得られたトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)]=(RA1+RA2+RA3+RA4+RA5+RA6+RA7+RA8+RA9+RA10+RA11+RA12+RA13+RA14+RA15+RA16+RA17+RA18+RA19+RA20+RA21+RA22+RA23+RA24+RA25+RA26+RA27+RA28+RA29+RA30+RA31+RA32)/16
トナー粒子の表面層の平均厚み(Dav.)は以下方法で求める。
D(n)=(分割軸上における表面層の厚みの32箇所の合計)/32
平均化するためトナー粒子10個のトナー粒子の表面層の平均厚みD(n)(n=1乃至10)を求め、トナー粒子1個あたりの平均値を計算してトナー粒子の表面層の平均厚み(Dav.)とする。
Dav.={D(1)+D(2)+D(3)+D(4)+D(5)+D(6)+D(7)+D(8)+D(9)+D(10)}/10
[表面層の厚み(FRAn)が2.5nm以下である割合]=〔{表面層の厚み(FRAn)が2.5nm以下である分割軸の数}/32〕×100
この計算をトナー粒子10個に対して行い、得られた10個の表面層の厚み(FRAn)が2.5nm以下である割合の平均値を求め、トナー粒子の表面層の厚み(FRAn)が2.5nm以下である割合とした。
トナー粒子の表層に存在するケイ素原子の濃度dSi(atomic%)、炭素原子の濃度dO(atomic%)、及び、酸素原子の濃度dO(atomic%)は、X線光電子分光分析(ESCA)を用いた表面組成分析を行い算出した。本発明では、ESCAの装置および測定条件は、下記の通りである。
使用装置:ULVAC−PHI社製 Quantum2000
X線光電子分光装置測定条件:X線源 Al Kα
X線:100μm 25W 15kV
ラスター:300μm×200μm
PassEnergy:58.70eV StepSize:0.125eV
中和電子銃:20μA、1V Arイオン銃:7mA、10V
Sweep数:Si 15回、C 10回、O 5回
本発明では、測定された各元素のピーク強度から、ULVAC−PHI社提供の相対感度因子を用いて、トナー粒子の表層に存在する、ケイ素原子の濃度dSi、炭素原子の濃度dC、及び、酸素原子の濃度dO(いずれも、atomic%)を算出した。
細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置(商品名:コールター・カウンター Multisizer 3)と、専用ソフト(商品名:ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51、ベックマン・コールター社製)を用いる。アパーチャー径は100μmを用い、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。ここにコンタミノンN(商品名)(精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器(商品名:Ultrasonic Dispersion System Tetora150、日科機バイオス(株)製)
の水槽内にイオン交換水所定量とコンタミノンN(商品名)を約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー(粒子)約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー(粒子)を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
トナー(粒子)の平均円形度の測定には、フロー式粒子像分析装置である「FPIA−3000型」(シスメックス(株)製)を用い、校正作業時の測定・解析条件で測定する。
各元素の蛍光X線の測定は、JIS K 0119−1969に準ずるが、具体的には以下の通りである。
有機ケイ素重合体の含有量の測定は、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。尚、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mm、測定時間10秒とする。また、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
タンデム方式のキヤノン製レーザービームプリンタLBP9600Cのトナーカートリッジに、トナー220gを装填した。そして、そのトナーカートリッジを高温高湿HH(30.0℃/80%RH)、常温常湿NN(25℃/50%RH)、低温低湿LL(温度10℃/湿度15%RH)の各環境下で24時間放置した。各環境下で24時間放置後のトナーカートリッジを上記LBP9600Cに取り付ける。HH環境とNN環境では35.0%の印字率、LL環境では1.0%の印字率画像をA4用紙横方向で1,000枚までプリントアウトして、初期と1,000枚出力時の画像の比較を行った。各環境で行った評価を以下に示す。
初期の0%の印字比率の画像及びHH環境で1,000枚耐久出力後の0%の印字比率の画像において、「リフレクトメータ」((有)東京電色製)により測定した出力画像の白地部分の白色度と転写紙の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出した。また、そのカブリ濃度を下記の基準で画像カブリとして評価した。転写紙は70g/m2のA4サイズを用い、A4横方向に印字した。基準Dまでが実用上問題のないレベルである。
A:1.0%未満
B:1.0%以上1.5%未満
C:1.5%以上2.0%未満
D:2.0%以上2.5%未満
E:2.5%以上
現像耐久性はNN環境での部材汚染(フィルミング、現像スジ、ドラム融着)の程度で評価を行った。部材汚染は1,000枚耐久出力後に、前半部分をハーフトーン画像(トナー載り量0.25mg/cm2)で出力し、後半部分をベタ画像(トナー載り量0.40mg/cm2)であるミックス画像を出力して、下記基準に従い評価した。なお、転写紙は70g/m2のA4サイズを用い、A4横方向に印字した。基準Cまでが実用上問題のないレベルである。
A:現像ローラー上にも、ハーフトーン部、ベタ部の画像上にも排紙方向の縦スジや濃度の異なるポチは見られない。
B:現像ローラーの両端に周方向の細いスジが1本以上2本以下又は感光ドラム上に1個以上3個以下の融着物があるものの、ハーフトーン部、ベタ部の画像上に排紙方向の縦スジや濃度の異なるポチは見られない。
C:現像ローラーの両端に周方向の細いスジが3本以上5本以下又は感光ドラム上に3個以上5個以下の融着物あるものの、ハーフトーン部、ベタ部の画像上に排紙方向の縦スジや濃度の異なるポチがほんの少し見られる。しかし、画像処理で消せるレベル。
D:現像ローラーの両端に周方向の細いスジが6本以上20本以下又は感光ドラム上に6個以上20個以下の融着物があり、ハーフトーン部、ベタ部の画像上にも細かいスジが数本や濃度の異なるポチが見られる。画像処理でも消せない。
E:現像ローラー上とハーフトーン部の画像上に21本以上のスジや濃度の異なるポチが見られ、画像処理でも消せない。
LL環境において低印字率で連続印字を行った時のゴーストを評価する。1.0%の印字比率の画像をA4用紙横方向で1000枚連続印刷を行った。その後、3cm幅のベタ黒縦ラインとベタ白縦ラインの繰り返しで構成される画像を連続10枚印字させてから、ハーフトーン画像を一枚印字させ、画像上に残る前画像の履歴を目視で判断した。尚、ハーフトーン画像の画像濃度はマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、反射濃度測定を行い反射濃度0.4になるように調整した。基準Cまでが実用上問題のないレベルである。
A:ゴースト発生なし。
B:目視で一部に軽微な前画像の履歴が確認できる。
C:目視で一部に前画像の履歴が確認できる。
D:目視で全体的に前画像の履歴が確認できる。
10gのトナーを100mLガラス瓶にいれ、温度50℃、湿度20%で15日間放置した後に目視で判定した。基準Cまでが実用上問題のないレベルである。
A:変化なし。
B:凝集体があるが、すぐにほぐれる。
C:ほぐれにくい凝集体が発生。
D:流動性なし。
E:明白なケーキングが発生。
負帯電極性トナー用標準キャリア(商品名:N−01、日本画像学会製)276gと評価トナー24gを500ccの蓋付きプラスチックボトルに投入した。振とう器(YS−LD:(株)ヤヨイ製)で、1秒間に4往復のスピードで1分間振とうを行って二成分現像剤を得た。この二成分現像剤30gを絶縁性の50ccプラスチック容器に分取して、HH環境及びLL環境それぞれで5昼夜調湿した。調湿した二成分現像剤をHH環境では帯電の立ち上がりとリークを評価するために200回/分の速度で30秒間振とう、LL環境では過剰な帯電を評価するために600秒間振とうしてから以下の方法で帯電量の測定を行った。
Q=(A×B)/(W1−W2)
Q(mC/kg):トナー粒子又はトナーの摩擦帯電量
A(μF):コンデンサの容量
B(V):コンデンサに蓄積された電位差
W1−W2(kg):吸引前後の質量差
表層強度が弱いと超音波分散機などのシェアにより表層が剥離したり、トナーが欠けたりして粒径の小さな粒子が増えるため、これを測定する。
<結着樹脂粒子分散液の調製>
スチレン89.5部、アクリル酸ブチル9.2部、カルボキシル基付与モノマーとしてアクリル酸1.3部、n−ラウリルメルカプタン3.2部を混合し溶解させた。この溶液にネオゲンRK(第一工業製薬社製)1.5部のイオン交換水150部の水溶液を添加して、分散させた。さらに10分間ゆっくりと撹拌しながら、過硫酸カリウム0.3部のイオン交換水10部の水溶液を添加した。窒素置換をした後、70℃で6時間乳化重合を行った。重合終了後、反応液を室温まで冷却し、イオン交換水を添加することで固形分濃度が12.5質量%、体積基準のメジアン径が0.2μmの樹脂粒子分散液を得た。
離型剤(ベヘン酸ベヘニル、融点:72.1℃)100部、ネオゲンRK15部をイオン交換水385部に混合させ、湿式ジェットミル JN100((株)常光製)を用いて約1時間分散して離型剤分散液を得た。離型剤分散液の濃度は20質量%であった。
着色剤としてカーボンブラック「Nipex35(オリオンエンジニアドカーボンズ社製)」100部、ネオゲンRK15部をイオン交換水885部に混合させ、湿式ジェットミル JN100を用いて約1時間分散して着色剤分散液を得た。
樹脂粒子分散液265部、ワックス分散液10部、着色剤分散液10部をホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散させる。撹拌しながら容器内の温度を30℃に調整して、1規定の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH=8.0に調整した(pH調整1)。凝集剤として、硫酸マグネシウム0.3部をイオン交換水10部に溶解した水溶液を、30℃攪拌下、10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、50℃まで昇温し、会合粒子の生成を行った。その状態で、「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定する。重量平均粒径が6.5μmになった時点で、塩化ナトリウム0.9部とネオゲンRK5.0部を添加して粒子成長を停止させた。
添加する有機ケイ素化合物をアリルトリエトキシシランに変えた。また、有機ケイ素化合物の添加量を表1の如く変えた以外は、トナー1の作成例と同様の方法でトナー2を作製した。トナー2のESCA、NMR、蛍光X線、TEMによる分析結果を表2に、現像評価と保存安定性、帯電量、表層強度の評価結果を表3に示す。
添加する有機ケイ素化合物の添加量、pH調整時に調整したpHを表1の如く変えた以外は、トナー1の作製例と同様の方法でトナー3を作製した。トナー3のESCA、NMR、蛍光X線、TEMによる分析結果を表2に、現像評価と保存安定性、帯電量、表層強度の評価結果を表3に示す。
pH調整時に調整したpHを表1の如く変えた以外は、トナー1の作製例と同様の方法でトナー4〜8を作製した。トナー4〜8のESCA、NMR、蛍光X線、TEMによる分析結果を表2に、現像評価と保存安定性、帯電量、表層強度の評価結果を表3に示す。
添加する凝集剤の種類と量、追添金属化合物の種類と量を表1の如く変えた以外は、トナー1の作製例と同様の方法でトナー9〜14を作製した。トナー9〜14のESCA、NMR、蛍光X線、TEMによる分析結果を表2に、現像評価と保存安定性、帯電量、表層強度の評価結果を表3に示す。
実施例1の<樹脂粒子分散液の調製>における配合比率をスチレン89.5部、アクリル酸ブチル10.5部、n−ラウリルメルカプタン3.2部とした。カルボキシル基付与モノマーであるアクリル酸は配合しなかった。それ以外はトナー1の作製例と同様の方法でトナー15を作製した。トナー15のESCA、NMR、蛍光X線、TEMによる分析結果を表2に、現像評価と保存安定性、帯電量、表層強度の評価結果を表3に示す。
凝集剤の種類と量、追添金属化合物の種類と量を表1の如く変えた以外は、トナー1の作製例と同様の方法でトナー16〜30を作製した。トナー16〜30のESCA、NMR、蛍光X線、TEMによる分析結果を表2に、現像評価と保存安定性、帯電量、表層強度の評価結果を表3に示す。
添加する有機ケイ素化合物の量を表1の如く変えた以外は、トナー1の作製例と同様の方法でトナー31〜34を作製した。トナー31〜34のESCA、NMR、蛍光X線、TEMによる分析結果を表2に、現像評価と保存安定性、帯電量、表層強度の評価結果を表3に示す。
添加する有機ケイ素化合物をp−スチリルトリメトキシシランに変えた以外は、トナー1の作製例と同様の方法でトナー35を作製した。トナー35のESCA、NMR、蛍光X線、TEMによる分析結果を表2に、現像評価と保存安定性、帯電量、表層強度の評価結果を表3に示す。
有機ケイ素化合物を添加しなかった以外は、トナー1の作製例と同様の方法で比較用トナー1を作製した。比較用トナー粒子1の断面TEM観察においてケイ素マッピングを行ったところ、表層にはケイ素原子は存在しなかった。また、比較用トナー粒子1は有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子の表層の厚みが2.5nm以下である分割軸の数の割合が、20.0%以上であった。
添加する有機ケイ素化合物を3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランに変えた以外は、トナー1の作製例と同様の方法で比較用トナー2を作製した。比較用トナー粒子2は有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子の表層の厚みが2.5nm以下である分割軸の数の割合が、20.0%以上であった。比較用トナー2のESCA、NMR、蛍光X線、TEMによる分析結果を表2に、現像評価と保存安定性、帯電量、表層強度の評価結果を表3に示す。
添加する有機ケイ素化合物をアリルトリエトキシシランに変えた。また、有機ケイ素化合物の量、pH調整時に調整したpHを表1の如く変えた以外は、トナー1の作製例と同様の方法で比較用トナー3を作製した。
添加する有機ケイ素化合物の量、pH調整時に調整したpHを表1の如く変えた以外は、トナー1の作製例と同様の方法で比較用トナー4、5を作製した。
添加する凝集剤の種類と量、追添金属化合物の種類と量を表1の如く変えた以外は、トナー1の作製例と同様の方法で比較用トナー6〜12を作製した。比較用トナー6〜12のESCA、NMR、蛍光X線、TEMによる分析結果を表2に、現像評価と保存安定性、帯電量、表層強度の評価結果を表3に示す。なお、比較例6〜8の蛍光X線分析結果は多価金属元素が検出されなかったため、凝集剤と追添金属化合物で用いたカリウムの値を示す。
Claims (2)
- 結着樹脂を含有するコア部と、
有機ケイ素重合体を含有する表層と、
を有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記結着樹脂はカルボキシル基を含有し、
前記有機ケイ素重合体は下記式(1)又は(2)で表される部分構造を有し、
前記トナー粒子の表面のX線光電子分光分析において、トナー粒子表面の、炭素原子の濃度dC、酸素原子の濃度dO、及びケイ素原子の濃度dSiの合計を100.0atomic%としたときに、ケイ素原子の濃度dSiが2.5atomic%以上22.2atomic%以下であり、
前記トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の29Si−NMRの測定で得られるチャートにおいて、有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する前記式(1)又は(2)で表される部分構造に帰属されるピーク面積の割合が20%以上であり、
前記トナー粒子は20℃における抵抗率2.5×10-8Ω・m以上10.0×10-8Ω・m以下の多価金属の元素を含有し、
前記多価金属は鉄又はマグネシウムであり、
前記多価金属が鉄である場合、前記トナー粒子の蛍光X線分析における鉄に基づくNet強度が1.00kcps以上5.00kcps以下であり、
前記多価金属がマグネシウムである場合、前記トナー粒子の蛍光X線分析におけるマグネシウムに基づくNet強度が3.00kcps以上20.00kcps以下である、
ことを特徴とするトナー。 - 前記トナー粒子中の前記有機ケイ素重合体の含有量が0.5質量%以上10.5質量%以下であり、
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた前記トナー粒子の断面の観察によって測定される、有機ケイ素重合体を含有する表層の平均厚みDav.が5.0nm以上100.0nm以下である、
請求項1に記載のトナー。
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