JP2021146371A - 連続鋳造方法及び連続鋳造機 - Google Patents

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拓也 高山
Takuya Takayama
拓也 高山
寛 原田
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寛 原田
健二 山田
Kenji Yamada
健二 山田
真士 阪本
Shinji Sakamoto
真士 阪本
悠衣 山下
Yui Yamashita
悠衣 山下
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Abstract

【課題】連続鋳造機により生産される鋳片の内質を改善する。【解決手段】連続鋳造機による鋳片の連続鋳造方法であって、前記連続鋳造機は、前記鋳片の搬送経路を形成し、前記鋳片の圧延を行う少なくとも1つの圧延スタンドと、前記搬送経路の終端に設けられ、前記鋳片を切断する鋳片切断機と、を備え、前記搬送経路における前記鋳片の板厚中心の固相率が0.8〜1.0となる範囲において、前記圧延スタンドのうち少なくとも1つは、上下の圧延ロールに周速差を与える異周速圧延を行うことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、鋳片の連続鋳造方法及び連続鋳造機に関する。
連続鋳造機においては、タンディッシュに一旦貯留された溶融金属(例えば溶鋼)を、浸漬ノズルを介して鋳型内に上方から注入し、そこで外周面が冷却され凝固した鋳片を鋳型の下端から引き抜くことにより、連続的に鋳造が行われる。そして鋳造された鋳片は、所定の長さに切断される。
ところで、近年の製品の軽量化及び高強度化の観点から、連続鋳造機で製造される鋳片には、カーボン(C)、ケイ素(Si)、マンガン(Mn)等の合金元素が添加されている。しかしながら、かかる鋳片成分の高合金化に伴い、鋳片の内質劣化が課題となっている。鋳片の内質劣化は、例えば中心偏析やポロシティといった鋳片の内部欠陥に起因することが知られている。
特許文献1には、中心偏析を低減する鋳片の連続鋳造方法であって、鋳片の厚さ方向中心が凝固した直後に圧下を加え、凝固組織の微細化、偏析の分散化により偏析を低減することが開示されている。また、特許文献1によれば、圧下直前の鋳片の厚みを圧下直後の鋳片の厚みで割った値である圧下比を大きくすることで、鋳片内部に与えるひずみ量を増加させている。
特許文献2には、センターポロシティを低減する連続鋳造方法であって、連続鋳造中において凝固完了後の鋳片を圧下するに際し、鋳片の中心部と表面とで温度差をつけることが開示されている。特許文献2によれば、鋳片内において温度差をつけることにより、同じ圧下比でも鋳片内部のひずみ量を増加させることができ、センターポロシティを低減できる。
特許文献1、2に記載されるように、鋳片内部に付与するひずみ量を増加させることにより、鋳片の内部欠陥の発生を抑制、すなわち、内質を改善できる。そこで本発明者らは、温度差をつける以外の方法で鋳片内部のひずみ量を増やすことができる異周速圧延に着目した。具体的には、上下のワークロールをそれぞれ異なる周速で回転させることにより、鋳片内部にせん断ひずみを付与し、これにより鋳片の内質改善効果が得られると推定した。
特許文献3及び特許文献4には、磁気特性の安定した電磁鋼板の製造方法であって、スラブを熱間仕上圧延するに際し、上側と下側のロールの周速を異ならせる異周速圧延を実施することが開示されている。
特開2015−006680号公報 特開2016−175104号公報 特開昭56−152923号公報 特開平3−138317号公報
特許文献3及び特許文献4によれば、スラブを熱間仕上圧延するに際して異周速圧延を実施することにより、スラブの板厚方向中心部まで十分なせん断ひずみを導入でき、これによりスラブの磁気特性を改善できる。
しかしながら、特許文献3及び特許文献4には、上述のような内部欠陥としての中心偏析やポロシティを改善する方法としての異周速圧延については記載がなく、また、このことについて示唆もされていない。すなわち、従来の鋳片の内質改善方法には改善の余地があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、連続鋳造機により生産される鋳片の内質を改善することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、連続鋳造機による鋳片の連続鋳造方法であって、前記連続鋳造機は、前記鋳片の搬送経路を形成し、前記鋳片の圧延を行う少なくとも1つの圧延スタンドと、前記搬送経路の終端に設けられ、前記鋳片を切断する鋳片切断機と、を備え、前記搬送経路における前記鋳片の板厚中心の固相率が0.8〜1.0となる範囲において、前記圧延スタンドのうち少なくとも1つは、上下の圧延ロールに周速差を与える異周速圧延を行うことを特徴としている。
本発明によれば、鋳片の固相率が0.8〜1.0となる範囲、すなわち凝固末期から凝固直後の鋳片に異周速圧延を行うことにより、当該鋳片の内部に適切にひずみを付与できる。
下記式(1)により求められる異周速率χが、0%よりも大きく8%以下であることが望ましい。
χ=(|Va−Vb|/Vf)×100 ・・・(1)
Va:上側の圧延ロールの周速
Vb:下側の圧延ロールの周速
Vf:Va及びVbのうち、高周速側の圧延ロールの周速
前記搬送経路における前記異周速圧延を行う圧延スタンドの下流側において、反り防止ロールにより当該異周速圧延により生じる前記鋳片の反りを防止してもよい。
別の観点にかかる本発明は、鋳片の連続鋳造を行う連続鋳造機であって、前記鋳片の搬送経路を形成し、前記鋳片の圧延を行う少なくとも1つの圧延スタンドと、前記搬送経路の終端に設けられ、前記鋳片を切断する鋳片切断機と、を備え、前記搬送経路における前記鋳片の板厚中心の固相率が0.8〜1.0となる範囲において、複数の前記圧延スタンドのうち少なくとも1つは、上下の圧延ロールに周速差を与える異周速圧延スタンドであることを特徴としている。
下記式(1)により求められる異周速率χが、0%よりも大きく8%以下であることが望ましい。
χ=(|Va−Vb|/Vf)×100 ・・・(1)
Va:上側の圧延ロールの周速
Vb:下側の圧延ロールの周速
Vf:Va及びVbのうち、高周速側の圧延ロールの周速
前記搬送経路における前記異周速圧延スタンドの下流側において、当該異周速圧延スタンドにより生じる前記鋳片の反りを防止する反り防止ロールがさらに設けられていてもよい。
本発明によれば、連続鋳造機における鋳片の製造に際して異周速圧延を実施することにより、生産される鋳片の内質を改善できる。
連続鋳造機の構造を模式的に示す説明図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<連続鋳造機の構成>
先ず、本発明の実施形態に係る異周速圧延を行う連続鋳造機1の構成について説明する。図1は、連続鋳造機1の構成の概略を模式的に示す説明図である。なお、連続鋳造機1では、鋳型を介して溶鋼Mを成形して鋳片Sを連続鋳造し、当該鋳片Sを所定の切断長で切断することで切断後の鋳片Pとする。なお、本連続鋳造機1により製造される切断後の鋳片Pの種類は特に限定されるものではなく、例えばスラブやブルーム等であってもよい。
図1に示すように連続鋳造機1は、溶鋼Mを貯留するタンディッシュ2、タンディッシュ2の底部から鋳型3に溶鋼Mを注入する浸漬ノズル4、鋳型3から引き出される鋳片Sの冷却を行うための二次冷却装置5、及び、鋳片Sを所定の長さで切断する鋳片切断機6、を備えている。
タンディッシュ2は、底部に設けられた浸漬ノズル4と一体となって鉛直方向に移動自在に構成されており、浸漬ノズル4の鋳型3への引き抜きを行うことができる。
鋳型3は、鋳片Sを所定の断面形状に成形するための矩形の形状を有している。鋳型3は、例えば水冷銅板により構成されている。
二次冷却装置5は、鋳型3の下方の二次冷却帯7に設けられ、鋳型3から引き出された鋳片Sを支持及び搬送しながら、スプレーノズル(図示せず)から冷却水を噴射することにより鋳片Sの冷却を行う。二次冷却装置5は一対のサポートロール8を備えており、鋳片Sの製造方向に当該サポートロール8を並べて配置することにより、鋳片Sの搬送経路を形成する。なお、鋳片Sの搬送経路は、図1に示すように鋳型3の直下では鉛直方向に延伸しており、次いで曲線状に湾曲し、最終的には水平方向に延伸する。
搬送経路に沿って搬送される鋳片Sは、二次冷却装置5によって外表面から内部に向かって徐々に冷却され、凝固が進行する。すなわち、二次冷却装置5において鋳片Sは内部温度が外表面温度に比べて高くなっている。そして、鋳片Sが搬送経路に沿って下流側へ移動するにつれ、鋳片S内部の未凝固部Saの凝固が進行し、外殻の凝固シェルSbが徐々に厚くなっていく。そして鋳片Sは、図1に示すように完全凝固位置Cにおいて未凝固部Saが消失し、断面視における全面が凝固シェルSbとなる。すなわち、完全凝固位置Cにおいて鋳片Sの冷却が完了し、鋳片Sの固相率が1.0となる。
連続鋳造機1に形成される搬送経路には、製造される鋳片Sの圧延を行う圧延スタンド9が設けられている。圧延スタンド9は一対のロール(以下、一対のロールをそれぞれ「上圧延ロール9a」、「下圧延ロール9b」という場合がある。)と、圧下装置(図示せず)を備えている。そして、本実施形態にかかる連続鋳造機1においては、後述するように、例えば鋳片Sの固相率が0.8〜1.0となる範囲において、上圧延ロール9aと下圧延ロール9bのロール周速を変える異周速圧延を行う。以下の説明においてこの異周速圧延を行う圧延スタンド9を「異周速圧延スタンド」と呼称する場合がある。
なお、図1の例において圧延スタンド9は搬送経路中に1つのみ設けたが、圧延スタンド9の設置台数はこれに限定されるのものではなく、複数設けられていてもよい。また、圧延スタンド9が複数設けられる場合、すべての圧延スタンド9において前記異周速圧延を行う必要はなく、鋳片Sの固相率が0.8〜1.0となる範囲に配置される少なくとも1つの圧延スタンド9が異周速圧延スタンドであればよい。この際には、異周速圧延スタンドは鋳片Sの搬送方向におけて、なるべく上流側に配置されることが好ましい。
なお、連続鋳造機1における圧延スタンド9の前にはスケールを除去するためのデスケーラー(図示せず)が設けられていてもよい。
また、図1に示すように、異周速圧延スタンド(図1の例においては圧延スタンド9)の下流側には、異周速圧延により鋳片Sに生じた反りを防止するための反り防止ロール10が設けられることが望ましい。
鋳片切断機6は、搬送経路の終端に配置され、当該搬送経路に沿って搬送された鋳片Sを所定の長さに切断する。切断後の鋳片Pはテーブルロール11により次工程の設備、例えば熱間圧延設備等に搬送される。
<連続鋳造方法>
本実施形態にかかる連続鋳造機1は以上のように構成されている。次に、連続鋳造機1を用いて行われる連続鋳造の流れを、前記搬送経路に沿って説明する。
連続鋳造機1を用いた連続鋳造では、先ず、目的の化学組成に成分調整された溶鋼Mが取鍋(図示せず)からタンディッシュ2に注入される。なお、タンディッシュ2は、取鍋から注入される溶鋼Mのバッファ部としても機能する。
タンディッシュ2に貯湯された溶鋼Mは、次に、浸漬ノズル4を介して鋳型3に注入される。鋳型3に注入された溶鋼Mは、当該鋳型3との接触及び冷却水の散水によって外殻部分が冷却され、鋳型3の矩形である内側の形状に合わせて凝固シェルSbが形成される。
鋳型3において凝固シェルSbが形成された溶鋼Mは、鋳型3の直下においてサポートロール8に外殻部分、すなわち凝固シェルSbが形成された部分が保持され、鋳片Sとして搬送経路に引き出される。
搬送経路に引き出された鋳片Sは、製造方向に並べて配置されるサポートロール8により、徐々に搬送経路の下流方向へと搬送される。かかる際、搬送される鋳片Sは二次冷却装置5により外表面側(外殻部分)から冷却され、徐々に内側に向けて凝固シェルSbの厚みが増していく。換言すれば、製造される鋳片Sは、搬送経路の下流側に向かうにつれて徐々に固相率が上昇していく。
本実施形態にかかる連続鋳造機1においては、鋳片Sの凝固末期から凝固直後、例えば鋳片Sの固相率が0.8〜1.0となる範囲に位置する少なくとも1つの圧延スタンド(異周速圧延スタンド)において異周速圧延を行う。なお、固相率は任意の方法によって求められるが、例えば、凝固組織予測シミュレーションによって、計算で求めても良い。
具体的には、下記(1)式により求まる異周速圧延スタンドにおける異周速率χが0%より大きく、かつ、8%以下となるように上圧延ロール9aの周速Va、及び下圧延ロール9bの周速Vbを決定する。なお、下記(1)式におけるVfは、上圧延ロール9aと下圧延ロール9bのうち高速側のロール周速を示している。すなわち異周速率χとは、高速側のロール周速Vfに対する周速Vaと周速Vbの差分(絶対値)の比率である。
χ=(|Va−Vb|/Vf)×100 ・・・(1)
ここで、固相率が0.8未満で異周速圧延を行った場合、すなわち鋳片Sの内部が充分に凝固していない状態で異周速圧延を行った場合、異周速圧延スタンドによる圧下により鋳片Sの内部で溶鋼流動が生じ、中心偏析が悪化する。
また、異周速率が8%超で異周速圧延を行った場合、すなわち、上下のロール間で周速差が大きい場合、鋳片Sに生じる反りが大きくなり、適切に圧延を行うことができなかった。具体的には、鋳片を適切に搬送することができなかった。
その後、更にサポートロール8により鋳片Sが搬送方向の下流側へと搬送され、完全凝固位置Cにおいて鋳片Sの断面視において未凝固部Saが消失し、断面視における全面が凝固シェルSbとなる。これにより、二次冷却装置5による鋳片Sの冷却が完了する。
冷却が完了した鋳片Sはサポートロール8により搬送が継続され、その後、搬送経路の終端に到達する。
そして搬送経路の終端に到達した鋳片Sは、鋳片切断機6により所定の長さで切断された後、テーブルロール11により後の工程に搬送される。その後、タンディッシュ2に注入された全ての溶鋼Mが連続鋳造され、次の工程に搬送されると、一連の鋳片Sの製造工程が終了する。
本実施形態にかかる連続鋳造方法によれば、製造される鋳片Sに対して異周速圧延を行うことにより、適切に当該鋳片Sの内部にせん断ひずみを付与できる。そしてこのように、鋳片Sの内部に付与されるひずみ量が増加するため、適切に中心偏析やポロシティの発生を抑制、すなわち、鋳片Sの内質を改善できる。
また本実施形態によれば、内質を改善するための異周速圧延は鋳片Sの固相率が0.8〜1.0の範囲において、すなわち、凝固末期から凝固直後の鋳片Sに対して施される。換言すれば、鋳片Sの内部温度が表面温度に対して高い状態で異周速圧延を行うため、より適切に鋳片Sの内部にせん断ひずみを付与できる。
また本実施形態によれば、鋳片Sの異周速圧延を異周速率0%超〜8%以下で行う。これにより、鋳片Sの内質を改善できるとともに、異周速圧延により鋳片Sに生じる反りにより鋳片Sの製造が中断されるのを抑制できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上述の実施形態にかかる異周速圧延の効果を確認するための実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお本実施例においては、連続鋳造機を用いて、圧下前厚み240mm、幅1200mの鋳片を鋳造速度1.5m/minで鋳造し、所定の位置に設けられた圧下装置により圧下を行った。なお、鋳片は鋼種成分として、C:0.12wt%、Si:0.40wt%、Mn:1.60wt%、P:0.009wt%、S:0.002wt%、Al:0.03wt%を含んでいる。
また、異周速圧延による内質改善効果の確認方法としては、異周速圧延スタンドによる圧下後の鋳片の断面中心部から試料を採取し、当該試料の一次デンドライトアーム間隔比(λ/λ0)を比較することにより行った。なお、一次デンドライトアーム間隔比におけるλ0は「圧下を行うことなく鋳造した場合の鋳片の厚さ方向中心における一次デンドライトアーム間隔」、λは「圧下した鋳片の厚さ方向中心における一次デンドライトアーム間隔」をそれぞれ示している。すなわち、一次デンドライトアーム間隔比(λ/λ0)が小さくなることで、鋳片の内質改善効果が得られたということができる。
(実施条件1)
実施条件1においては、鋳造した鋳片を連続鋳造機端に設けた圧延機により内部温度が高い状態で異周速圧延を行う本発明(実施例)に対して、異周速圧延を行わない場合(比較例1)、熱間圧延において、切断後の鋳片の表面温度が高い状態で異周速圧延を行う場合(比較例2)、における一次デンドライトアーム間隔比(λ/λ0)をそれぞれ求めた。具体的には、実施例及び比較例2においては異周速率5%、比較例1においては異周速率0%で圧延を行った。また、実施例及び比較例1では図1に示したように切断前の鋳片に異周速圧延を行い、比較例2では、図1に示した切断後の鋳片に対して異周速圧延を行った。
なお実施条件1においては、鋳片の圧下比を1.26、1.41、1.71、2.00とそれぞれ変化させた。
(実施結果1)
表1は、実施条件1における実験結果を示す表である。
Figure 2021146371
表1に示すように、例えば圧下比1.26で圧延を行った場合、比較例1においては一次デンドライトアーム間隔比が0.91であったのに対し、実施例では一次デンドライトアーム間隔比は0.81となった。すなわち圧下比が同じであっても、異周速圧延を行うことにより、鋳片の内質が改善された。
また表1に示すように、例えば圧下比1.26で圧延を行った場合、比較例2においては一次デンドライトアーム間隔比が0.88であったのに対し、実施例では上述のように一次デンドライトアーム間隔比は0.81となった。すなわち圧下比及び異周速率が同じであっても、異周速圧延を行う位置(タイミング)を変えることにより、鋳片の内質が改善された。具体的には、鋳片の内部温度が外表面温度に比べて高い凝固末期に異周速圧延を行うことにより、鋳片の内質が改善された。
なお、かかる鋳片の内質改善効果は、圧下比が1.26の場合に限られず、表1に示すように圧下比が1.41、1.71、2.00の場合であっても、享受することができた。また、圧下比が大きくなるにつれて、より鋳片の内質改善効果が大きくなることが分かった。具体的には、圧下比1.26で異周速圧延を行った場合の一次デンドライトアーム間隔比は0.81であったのに対し、例えば圧下比2.00で異周速圧延を行った場合のデンドライトアーム間隔比は0.59であった。
すなわち実施条件1の実験結果によれば、連続鋳造機における鋳片の凝固末期に異周速圧延を行うことにより、鋳片の内質改善効果が得られることがわかった。
(実施条件2)
本実施条件2においては、表1の試験番号1−2の比較例1、すなわち固相率0.9の鋳片に対して圧下比1.41、異周速率0%で圧延を行う場合(比較例)に対して、異周速率のみを変化させて一次デンドライトアーム間隔比(λ/λ0)を求めた。具体的には、異周速率を1%、2%、5%、8%、9%として、それぞれ異周速圧延を行った(実施例1〜5)。
(実施結果2)
表2は、実施条件2における実験結果を示す表である。
Figure 2021146371
表2に示すように、異周速率0%で圧延を行った場合においては一次デンドライトアーム間隔比が0.82であったのに対して、異周速率が大きくなるに伴い、すなわち、圧延機の上ロールと下ロールの周速差が大きくなるに伴い、一次デンドライトアーム間隔比が小さくなった。具体的には、異周速率1%における一次デンドライトアーム間隔比は0.78、異周速率8%における一次デンドライトアーム間隔比は0.68となった。これは、異周速率を大きくすることにより、鋳片の内部に付与されるせん断ひずみが増加することで、より適切に鋳片の内質改善効果を得られたものと推測される。
一方、異周速率を9%として鋳片の異周速圧延を行った場合、当該異周速圧延により鋳片に生じた反りにより、適切に圧延を行うことができなかった。具体的には、連続鋳造機において鋳片を適切に搬送することができなかった。
すなわち実施条件1の実験結果によれば、鋳片を圧延する際の異周速率を大きくすることにより内質改善効果をより高めることができる反面、異周速率が大きくなりすぎると適切に圧延を行うことができなくなることがわかった。このことから、鋳片の圧延を行う際の異周速率は、少なくとも0%よりも大きく、8%以下であることが好ましい。
(実施条件3)
本実施条件3においては、表1の試験番号2の実施例、すなわち固相率0.9の鋳片に対して圧下比1.41、異周速率5%で圧延を行う場合に対して、鋳片の固相率のみを変化させて一次デンドライトアーム間隔比(λ/λ0)を求めた。具体的には、以下の表3に示すように、固相率を0.65〜1.00の範囲内で変化させ、それぞれ異周速圧延を行った。
(実施結果3)
表3は、実施条件3における実験結果を示す表である。
Figure 2021146371
表3に示すように、鋳片の固相率が0.8〜1.0の範囲において、一次デンドライトアーム間隔比が小さくなり、鋳片の内質改善効果を享受できることがわかった(実施例1〜5)。具体的に一次デンドライトアーム間隔比は、固相率0.8において0.78、固相率0.85において0.72、固相率0.9以上において0.69となった。これは、連続鋳造機における凝固末期から直後の鋳片内部にせん断ひずみを付与することにより、鋳片内部の凝固組織が適切に微細化、及び偏析の分散化により拡散が促進されることに起因すると推測される。
一方、鋳片の固相率が0.8未満の範囲においては一次デンドライトアーム間隔比の改善は見られなかった(比較例1〜3)。これは、鋳片の内部が充分に凝固していない状態であったため、付与された圧下ひずみとせん断ひずみは鋳片内部の溶鋼流動にのみ作用したものと推定される。また、溶鋼流動により中心偏析は圧下しない場合に比べて、悪化していた。
すなわち実施条件3の実験結果によれば、連続鋳造機における鋳片の凝固末期から直後、具体的には鋳片内部の固相率が0.8〜1.0となる範囲で異周速圧延を行うことにより、鋳片の内質改善効果を得られることがわかった。
本発明は、連続鋳造機により生産される鋳片の内質を改善する際に有用である。
1 連続鋳造機
2 タンディッシュ
3 鋳型
4 浸漬ノズル
5 二次冷却装置
6 鋳片切断機
7 二次冷却帯
8 サポートロール
9 圧延スタンド
9a 上圧延ロール 9b 下圧延ロール
10 反り防止ロール
11 テーブルロール
C 完全凝固位置
M 溶鋼
P 切断後の鋳片
S 鋳片
Sa 未凝固部
Sb 凝固シェル

Claims (6)

  1. 連続鋳造機による鋳片の連続鋳造方法であって、
    前記連続鋳造機は、
    前記鋳片の搬送経路を形成し、前記鋳片の圧延を行う少なくとも1つの圧延スタンドと、
    前記搬送経路の終端に設けられ、前記鋳片を切断する鋳片切断機と、を備え、
    前記搬送経路における前記鋳片の板厚中心の固相率が0.8〜1.0となる範囲において、前記圧延スタンドのうち少なくとも1つは、上下の圧延ロールに周速差を与える異周速圧延を行うことを特徴とする、連続鋳造方法。
  2. 下記式(1)により求められる異周速率χが、0%よりも大きく8%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造方法。
    χ=(|Va−Vb|/Vf)×100 ・・・(1)
    Va:上側の圧延ロールの周速
    Vb:下側の圧延ロールの周速
    Vf:Va及びVbのうち、高周速側の圧延ロールの周速
  3. 前記搬送経路における前記異周速圧延を行う圧延スタンドの下流側において、反り防止ロールにより当該異周速圧延により生じる前記鋳片の反りを防止することを特徴とする、請求項1または2に記載の連続鋳造方法。
  4. 鋳片の連続鋳造を行う連続鋳造機であって、
    前記鋳片の搬送経路を形成し、前記鋳片の圧延を行う少なくとも一つの圧延スタンドと、
    前記搬送経路の終端に設けられ、前記鋳片を切断する鋳片切断機と、を備え、
    前記搬送経路における前記鋳片の板厚中心の固相率が0.8〜1.0となる範囲において、複数の前記圧延スタンドのうち少なくとも1つは、上下の圧延ロールに周速差を与える異周速圧延スタンドであることを特徴とする、連続鋳造機。
  5. 下記式(1)により求められる異周速率χが、0%よりも大きく8%以下であることを特徴とする、請求項4に記載の連続鋳造機。
    χ=(|Va−Vb|/Vf)×100 ・・・(1)
    Va:上側の圧延ロールの周速
    Vb:下側の圧延ロールの周速
    Vf:Va及びVbのうち、高周速側の圧延ロールの周速
  6. 前記搬送経路における前記異周速圧延スタンドの下流側において、当該異周速圧延スタンドにより生じる前記鋳片の反りを防止する反り防止ロールがさらに設けられることを特徴とする、請求項4または5に記載の連続鋳造機。
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JPS54133457A (en) * 1978-04-07 1979-10-17 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd Method and apparatus for preventing sheet camber in different-speed rolling
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