JP2021142861A - タイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】転がり抵抗が小さく、優れた耐久性を有し、環境への負荷を低減したタイヤを提供する。【解決手段】ポリフェノール類と、アルデヒド類と、を含む接着剤組成物で処理した有機繊維コードを具えるタイヤにおいて、前記有機繊維コードが、芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、非芳香族ジアミンと、の重縮合物、又は、非芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジアミンを含むジアミンと、の重縮合物からなる半芳香族ポリアミドのフィラメントを含むことを特徴とする、タイヤである。該タイヤにおいては、一対のビード部1間にトロイド状に延在するカーカス5が、前記有機繊維コードを含むことが好ましく、また、トレッド部3に配置したベルト6のタイヤ半径方向外側に配置したベルト補強層7A,7Bが、前記有機繊維コードを含むことも好ましい。【選択図】図1
Description
本発明は、タイヤに関するものである。
近年、CO2排出量の増加に伴う地球温暖化等の環境問題や、資源枯渇問題が深刻化してきている。このため、タイヤにおいては、軽量・低燃費であることが要求されてきている。従来からタイヤに関しては、形状、構造、トレッド等のゴム特性等の改良・開発が盛んに行われており、ゴムの使用量を低減させること、タイヤの転がり抵抗を低減すること等により、軽量化、低燃費化が図られてきている。転がり抵抗については、ゴム部材が大きく関与していることから、例えば、トレッドゴム、ビードフィラーゴム、ベルトコーティングゴム、ビードフィラーゴム等のゴム部材自体の低ロス化、ゴム部材の形状、構造等の低歪み化等が検討され、最適化されてきた。
そして、近時では、ゴム部材自体の低ロス化の進展に伴い、ゴム部材以外の部材の動的繰返し歪みに起因するロスの転がり抵抗への関与が無視できなくなってきている。ゴム部材以外の部材としては、カーカス、ベルト、ベルト補強層等があるが、これらの中でもベルト補強層は、転動接地時の歪み変動が大きいことから、ベルト補強層の低ロス化の技術が望まれている。このような状況の中、特許文献1では、タイヤにおけるベルト補強層として好適に使用可能であり、剛性等の機械的特性、熱特性等に優れ、ロスのみを低減させた補強コード材が提案されている。
そして、近時では、ゴム部材自体の低ロス化の進展に伴い、ゴム部材以外の部材の動的繰返し歪みに起因するロスの転がり抵抗への関与が無視できなくなってきている。ゴム部材以外の部材としては、カーカス、ベルト、ベルト補強層等があるが、これらの中でもベルト補強層は、転動接地時の歪み変動が大きいことから、ベルト補強層の低ロス化の技術が望まれている。このような状況の中、特許文献1では、タイヤにおけるベルト補強層として好適に使用可能であり、剛性等の機械的特性、熱特性等に優れ、ロスのみを低減させた補強コード材が提案されている。
一方、タイヤのカーカス、ベルト補強層等には、補強コード材として、ポリエステル、レーヨン、ナイロン等の有機繊維からなるコードが使用されており、該有機繊維からなるコードと、ゴムとの接着性を改良して、タイヤの耐久性を向上させるために、種々の接着剤組成物が提案されている。例えば、該接着剤組成物として、レゾルシンや、ホルマリン、ゴムラテックス等を含むRFL(レゾルシン・ホルマリン・ラテックス)接着剤を用い、該RFL接着剤を熱硬化させることにより接着力を確保する技術が、知られている(特許文献2〜4)。また、接着剤組成物については、レゾルシンとホルマリンを初期縮合させたレゾルシンホルマリン樹脂を用いる技術(特許文献5、6)や、エポキシ樹脂でポリエステル繊維等からなるタイヤコードを前処理することにより、接着力の向上を図る技術が知られている。
ここで、上述した接着剤組成物に一般的に用いられているレゾルシンは、環境面の観点から、使用量の削減が求められている。そのため、レゾルシンを含まず、環境への配慮がなされた接着剤組成物や、接着方法がいくつか提案されている(特許文献7)。
ここで、上述した接着剤組成物に一般的に用いられているレゾルシンは、環境面の観点から、使用量の削減が求められている。そのため、レゾルシンを含まず、環境への配慮がなされた接着剤組成物や、接着方法がいくつか提案されている(特許文献7)。
上述の有機繊維の中でも、ポリアミド繊維であるナイロン繊維は、他の繊維種と比較してゴムとの接着性が優れており、また、耐疲労性にも優れているという利点を有している。しかしながら、低燃費性については必ずしも十分ではなく、転がり抵抗を更に改善することが求められている。
また、上述のレゾルシンを含有しない接着剤組成物は、硬化に時間を要するため、生産性に問題があり、また、タイヤの耐久性に関わる接着性の点でも更なる改善が求められている。
また、上述のレゾルシンを含有しない接着剤組成物は、硬化に時間を要するため、生産性に問題があり、また、タイヤの耐久性に関わる接着性の点でも更なる改善が求められている。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決し、転がり抵抗が小さく、優れた耐久性を有し、環境への負荷を低減したタイヤを提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の要旨構成は、以下の通りである。
本発明のタイヤは、ポリフェノール類と、アルデヒド類と、を含む接着剤組成物で処理した有機繊維コードを具え、
前記有機繊維コードが、芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、非芳香族ジアミンと、の重縮合物、又は、非芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジアミンを含むジアミンと、の重縮合物からなる半芳香族ポリアミドのフィラメントを含むことを特徴とする。
かかる本発明のタイヤは、転がり抵抗が小さく、優れた耐久性を有し、環境への負荷が低減されている。
前記有機繊維コードが、芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、非芳香族ジアミンと、の重縮合物、又は、非芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジアミンを含むジアミンと、の重縮合物からなる半芳香族ポリアミドのフィラメントを含むことを特徴とする。
かかる本発明のタイヤは、転がり抵抗が小さく、優れた耐久性を有し、環境への負荷が低減されている。
本発明のタイヤは、一対のビード部間にトロイド状に延在するカーカスを具え、
前記カーカスが、前記有機繊維コードを含むことが好ましい。この場合、タイヤの耐久性が更に向上する。
前記カーカスが、前記有機繊維コードを含むことが好ましい。この場合、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明のタイヤは、トレッド部に配置したベルトと、該ベルトのタイヤ半径方向外側に配置したベルト補強層と、を具え、
前記ベルト補強層が、前記有機繊維コードを含むことも好ましい。この場合、タイヤの耐久性が更に向上する。
前記ベルト補強層が、前記有機繊維コードを含むことも好ましい。この場合、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明のタイヤの好適例においては、前記ポリフェノール類が、3つ以上の水酸基を有する。この場合、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記アルデヒド類が、芳香族環を有する。この場合、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記アルデヒド類が、2つ以上のアルデヒド基を有する。この場合、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記接着剤組成物が、更にイソシアネート化合物を含む。この場合、タイヤの耐久性が更に向上する。
ここで、前記イソシアネート化合物が、(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物であることが好ましい。この場合、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記接着剤組成物が、更にゴムラテックスを含む。この場合、タイヤの耐久性が更に向上する。
ここで、前記ゴムラテックスが、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル−ブタジエンゴム(NBR)及びビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(Vp)からなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。この場合、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記半芳香族ポリアミドが、芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、非芳香族ジアミンと、の重縮合物である。この場合、タイヤの転がり抵抗が更に小さくなり、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記非芳香族ジアミンが、脂肪族ジアミン及び脂環族ジアミンの少なくとも一方である。この場合、タイヤの転がり抵抗が更に小さくなり、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記有機繊維コードは、ガラス転移温度が80〜230℃である。この場合、タイヤの転がり抵抗が更に小さくなり、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明のタイヤにおいて、前記有機繊維コードは、100℃における動的弾性率(E’100℃)と25℃における動的弾性率(E’25℃)との比(E’100℃/E’25℃)が0.7〜1.0であることが好ましい。この場合、タイヤの転がり抵抗が更に小さくなり、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明のタイヤにおいて、前記有機繊維コードは、水分率が0.1〜2.0質量%であることが好ましい。この場合、タイヤの転がり抵抗が更に小さくなり、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明のタイヤにおいて、前記有機繊維コードは、25℃における損失正接(tanδ25℃)と100℃における損失正接(tanδ100℃)との比(tanδ25℃/tanδ100℃)が0.7〜1.0であることが好ましい。この場合、タイヤの転がり抵抗が更に小さくなり、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明のタイヤにおいて、前記有機繊維コードは、25℃における損失正接(tanδ25℃)が0.01〜0.06であることが好ましい。この場合、タイヤの転がり抵抗が更に小さくなり、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明のタイヤにおいて、前記有機繊維コードは、前記ジカルボン酸中の前記芳香族ジカルボン酸の比率が50mol%以上であることが好ましい。この場合、タイヤの転がり抵抗が更に小さくなり、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記芳香族ジカルボン酸中の、芳香環が1つである芳香族ジカルボン酸の比率が20mol%以上である。この場合、タイヤの転がり抵抗が更に小さくなり、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記芳香族ジカルボン酸中の、芳香環が2つである芳香族ジカルボン酸の比率が20mol%以上である。この場合、タイヤの転がり抵抗が更に小さくなり、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記芳香族ジカルボン酸中の、芳香環が3つである芳香族ジカルボン酸の比率が20mol%以上である。この場合、タイヤの転がり抵抗が更に小さくなり、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記ジアミン中の、炭素原子数7〜12のジアミンの比率が20mol%以上である。この場合、タイヤの転がり抵抗が更に小さくなり、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明のタイヤにおいて、前記有機繊維コードは、前記半芳香族ポリアミドのフィラメントと、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリケトン繊維、ガラス繊維、炭素繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維及びポリアリレート繊維からなる群から選ばれる少なくとも一種の繊維と、のハイブリッドコードであることが好ましい。この場合、タイヤの転がり抵抗が更に小さくなり、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明のタイヤにおいて、前記有機繊維コードは、下記式(1):
α1=N1×(0.125×D1/ρ)1/2×10−3 (1)
[式(1)中、N1は下撚り数(回/10cm)であり、D1は下撚り糸1本の繊度(dtex)であり、ρは有機繊維コードの密度(g/cm3)である]で定義される下撚係数α1が0.1〜0.9であり、
下記式(2):
α2=N2×(0.125×D2/ρ)1/2×10−3 (2)
[式(2)中、N2は上撚り数(回/10cm)であり、D2は有機繊維コードの総繊度(dtex)であり、ρは有機繊維コードの密度(g/cm3)である]で定義される上撚係数α2が0.1〜1.2であることが好ましい。この場合、タイヤの転がり抵抗が更に小さくなり、タイヤの耐久性が更に向上する。
α1=N1×(0.125×D1/ρ)1/2×10−3 (1)
[式(1)中、N1は下撚り数(回/10cm)であり、D1は下撚り糸1本の繊度(dtex)であり、ρは有機繊維コードの密度(g/cm3)である]で定義される下撚係数α1が0.1〜0.9であり、
下記式(2):
α2=N2×(0.125×D2/ρ)1/2×10−3 (2)
[式(2)中、N2は上撚り数(回/10cm)であり、D2は有機繊維コードの総繊度(dtex)であり、ρは有機繊維コードの密度(g/cm3)である]で定義される上撚係数α2が0.1〜1.2であることが好ましい。この場合、タイヤの転がり抵抗が更に小さくなり、タイヤの耐久性が更に向上する。
ここで、前記下撚係数α1が0.1〜0.5であり、前記上撚係数α2が0.1〜0.7であることが好ましい。この場合、タイヤの転がり抵抗が更に小さくなり、タイヤの耐久性が更に向上する。
また、前記下撚り数N1が10〜30回/10cmであることが好ましい。この場合、タイヤの転がり抵抗が更に小さくなり、タイヤの耐久性が更に向上する。
また、前記上撚り数N2が10〜30回/10cmであることが好ましい。この場合、タイヤの転がり抵抗が更に小さくなり、タイヤの耐久性が更に向上する。
また、前記下撚り数N1が10〜30回/10cmであることが好ましい。この場合、タイヤの転がり抵抗が更に小さくなり、タイヤの耐久性が更に向上する。
また、前記上撚り数N2が10〜30回/10cmであることが好ましい。この場合、タイヤの転がり抵抗が更に小さくなり、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明のタイヤにおいて、前記有機繊維コードは、総繊度が1000〜8000dtexであることが好ましい。この場合、タイヤの転がり抵抗が更に小さくなり、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明によれば、転がり抵抗が小さく、優れた耐久性を有し、環境への負荷を低減したタイヤを提供することができる。
以下に、本発明のタイヤを、その実施形態に基づき、詳細に例示説明する。
本発明のタイヤは、ポリフェノール類と、アルデヒド類と、を含む接着剤組成物で処理した有機繊維コードを具え、
前記有機繊維コードが、芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、非芳香族ジアミンと、の重縮合物、又は、非芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジアミンを含むジアミンと、の重縮合物からなる半芳香族ポリアミドのフィラメントを含むことを特徴とする。
前記有機繊維コードが、芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、非芳香族ジアミンと、の重縮合物、又は、非芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジアミンを含むジアミンと、の重縮合物からなる半芳香族ポリアミドのフィラメントを含むことを特徴とする。
本発明のタイヤにおいては、有機繊維コードが、ポリフェノール類と、アルデヒド類と、を含む接着剤組成物で処理されており、レゾルシンが使用されていないため、環境への負荷を低減することができる。また、ポリフェノール類と、アルデヒド類と、を含む接着剤組成物で処理することで、有機繊維コードとゴムとの接着性を向上させることができるため、本発明のタイヤは、優れた耐久性を有する。
また、本発明のタイヤにおいては、有機繊維コードが、芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、非芳香族ジアミンと、の重縮合物、又は、非芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジアミンを含むジアミンと、の重縮合物からなる半芳香族ポリアミドのフィラメントを含み、該半芳香族ポリアミドは、分子間相互作用によりTgが高く、さらに剛性も適度なため、タイヤの生産性を損なうことなく、耐久性を向上させることができる。また、該半芳香族ポリアミドは、タイヤ使用温度域での損失正接(tanδ)が小さく、タイヤの低転がり化に有利である。さらに、半芳香族ポリアミド繊維は、吸水性が低いため、物性の安定性も確保可能である。
従って、本発明のタイヤは、転がり抵抗が小さく、優れた耐久性を有し、環境への負荷も低減されている。
また、本発明のタイヤにおいては、有機繊維コードが、芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、非芳香族ジアミンと、の重縮合物、又は、非芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジアミンを含むジアミンと、の重縮合物からなる半芳香族ポリアミドのフィラメントを含み、該半芳香族ポリアミドは、分子間相互作用によりTgが高く、さらに剛性も適度なため、タイヤの生産性を損なうことなく、耐久性を向上させることができる。また、該半芳香族ポリアミドは、タイヤ使用温度域での損失正接(tanδ)が小さく、タイヤの低転がり化に有利である。さらに、半芳香族ポリアミド繊維は、吸水性が低いため、物性の安定性も確保可能である。
従って、本発明のタイヤは、転がり抵抗が小さく、優れた耐久性を有し、環境への負荷も低減されている。
本発明のタイヤにおいて、前記有機繊維コードの適用部位は、特に限定されない。例えば、タイヤのカーカス、ベルト、ベルト補強層等に使用でき、これらの中でも、カーカス及び/又はベルト補強層に使用することが好ましい。
本発明の一好適態様のタイヤは、一対のビード部間にトロイド状に延在するカーカスを具え、該カーカスが、前記有機繊維コードを含む。この場合、カーカスの耐久性が向上するため、タイヤの耐久性が更に向上する。
また、本発明の他の一好適態様のタイヤは、トレッド部に配置したベルトと、該ベルトのタイヤ半径方向外側に配置したベルト補強層と、を具え、該ベルト補強層が、前記有機繊維コードを含むことも好ましい。この場合、ベルト補強層の耐久性が向上するため、タイヤの耐久性が更に向上する。
本発明の一好適態様のタイヤは、一対のビード部間にトロイド状に延在するカーカスを具え、該カーカスが、前記有機繊維コードを含む。この場合、カーカスの耐久性が向上するため、タイヤの耐久性が更に向上する。
また、本発明の他の一好適態様のタイヤは、トレッド部に配置したベルトと、該ベルトのタイヤ半径方向外側に配置したベルト補強層と、を具え、該ベルト補強層が、前記有機繊維コードを含むことも好ましい。この場合、ベルト補強層の耐久性が向上するため、タイヤの耐久性が更に向上する。
以下に、本発明のタイヤの一実施態様を図面に基づき、詳細に説明する。
図1は、本発明のタイヤの一実施態様の断面図である。図1に示すタイヤは、一対のビード部1と、一対のサイドウォール部2と、トレッド部3と、ビード部1に埋設されたビードコア4間にトロイド状に延在させたカーカス(好ましくはラジアルカーカス)5と、トレッド部3に配置した(より詳しくは、カーカス5のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置した)2枚のベルト層からなるベルト6と、該ベルト6のタイヤ半径方向外側でベルト6の全体を覆うように配置したベルト補強層7Aと、該ベルト補強層7Aの両端部のみを覆うように配置した一対のベルト補強層7Bとを具える。
図1は、本発明のタイヤの一実施態様の断面図である。図1に示すタイヤは、一対のビード部1と、一対のサイドウォール部2と、トレッド部3と、ビード部1に埋設されたビードコア4間にトロイド状に延在させたカーカス(好ましくはラジアルカーカス)5と、トレッド部3に配置した(より詳しくは、カーカス5のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置した)2枚のベルト層からなるベルト6と、該ベルト6のタイヤ半径方向外側でベルト6の全体を覆うように配置したベルト補強層7Aと、該ベルト補強層7Aの両端部のみを覆うように配置した一対のベルト補強層7Bとを具える。
図示例のタイヤにおいて、カーカス5は、一枚のカーカスプライから構成されており、また、ビード部1内に夫々埋設した一対のビードコア4間にトロイド状に延在する本体部と、各ビードコア4の周りでタイヤ幅方向の内側から外側に向けて半径方向外方に巻上げた折り返し部とからなるが、本発明のタイヤにおいて、カーカス5のプライ数及び構造は、これに限られるものではない。ここで、カーカス5を構成するカーカスプライは、複数の補強コードを被覆ゴムで被覆してなり、該補強コードとしては、前記半芳香族ポリアミドのフィラメントを含む有機繊維コードが用いられることが好ましい。なお、タイヤのその他の部位(例えば、後述するベルト補強層)に、前記半芳香族ポリアミドのフィラメントを含む有機繊維コードが用いられる場合、カーカス5を構成するカーカスプライの補強コードは、前記半芳香族ポリアミドのフィラメントを含む有機繊維コード以外のコードであってもよく、かかるコードとしては、ポリエチレンテレフタレートコード、ナイロンコード、レーヨンコード等の他の有機繊維コードの他、スチールコードを用いてもよい。
また、図示例のタイヤのベルト6は、二枚のベルト層から構成されており、各ベルト層は、通常、タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるコードのゴム引き層、好ましくは、スチールコードのゴム引き層からなり、更に、二枚のベルト層が、該ベルト層を構成するコードが互いにタイヤ赤道面を挟んで交差するように積層されてベルト6を構成している。
なお、図中のベルト6は、二枚のベルト層からなるが、本発明のタイヤにおいて、ベルト6を構成するベルト層の枚数は、一枚以上であればよく、これに限られるものではない。
なお、図中のベルト6は、二枚のベルト層からなるが、本発明のタイヤにおいて、ベルト6を構成するベルト層の枚数は、一枚以上であればよく、これに限られるものではない。
また、図示例のタイヤにおいて、ベルト補強層7A,7Bは、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列した補強コードのゴム引き層からなる。該ベルト補強層7A,7Bは、補強コードを被覆ゴムでゴム引きして準備した幅狭のストリップ(ゴム−コード複合体)をタイヤ周方向に連続して螺旋状に巻回して形成されている。この場合、タイヤ周方向にジョイント部がないため、タイヤのユニフォミティーが良好となり、また、ジョイント部がないため、ジョイント部への歪集中も防止できる。ベルト補強層7A,7Bの補強コードとしては、前記半芳香族ポリアミドのフィラメントを含む有機繊維コードが用いられることが好ましい。なお、タイヤのその他の部位(例えば、上述のカーカス)に、前記半芳香族ポリアミドのフィラメントを含む有機繊維コードが用いられる場合、ベルト補強層7A,7Bの補強コードは、前記半芳香族ポリアミドのフィラメントを含む有機繊維コード以外のコードであってもよく、かかるコードとしては、ポリエチレンテレフタレートコード、ナイロンコード、レーヨンコード等の他の有機繊維コードを用いることができる。
なお、図示例のタイヤは、ベルト補強層7A及び7Bを具えるが、ベルト補強層7A及び7Bのいずれか一方が省略されたタイヤも本発明のタイヤの一実施態様であり、また、ベルト補強層7A及び7Bの両方が省略されたタイヤも本発明のタイヤの一実施態様である。また、図示例のタイヤにおいては、ベルト補強層7A,7Bはそれぞれ一層であるが、二層以上であってもよい。
なお、図示例のタイヤは、ベルト補強層7A及び7Bを具えるが、ベルト補強層7A及び7Bのいずれか一方が省略されたタイヤも本発明のタイヤの一実施態様であり、また、ベルト補強層7A及び7Bの両方が省略されたタイヤも本発明のタイヤの一実施態様である。また、図示例のタイヤにおいては、ベルト補強層7A,7Bはそれぞれ一層であるが、二層以上であってもよい。
<接着剤組成物>
本発明のタイヤは、ポリフェノール類と、アルデヒド類と、を含む接着剤組成物で処理した有機繊維コードを具える。
カーカスや、ベルト補強層等に用いられる有機繊維コードをコーティングする接着剤組成物を、特定のポリフェノール類及びアルデヒド類を含有する接着剤組成物から構成することで、環境への負荷を考慮してレゾルシンを用いない場合であっても、良好な接着性を実現できる。
本発明のタイヤは、ポリフェノール類と、アルデヒド類と、を含む接着剤組成物で処理した有機繊維コードを具える。
カーカスや、ベルト補強層等に用いられる有機繊維コードをコーティングする接着剤組成物を、特定のポリフェノール類及びアルデヒド類を含有する接着剤組成物から構成することで、環境への負荷を考慮してレゾルシンを用いない場合であっても、良好な接着性を実現できる。
(ポリフェノール類)
前記接着剤組成物は、樹脂成分としてポリフェノール類を含む。接着剤組成物中にポリフェノール類を含むことで、樹脂組成物の接着性を高めることができる。
ここで、前記ポリフェノール類については、水溶性のポリフェノール類であり、レゾルシン(レゾルシノール)以外のポリフェノールであれば限定はされず、芳香族環の数や、水酸基の数についても、適宜選択することができる。
前記接着剤組成物は、樹脂成分としてポリフェノール類を含む。接着剤組成物中にポリフェノール類を含むことで、樹脂組成物の接着性を高めることができる。
ここで、前記ポリフェノール類については、水溶性のポリフェノール類であり、レゾルシン(レゾルシノール)以外のポリフェノールであれば限定はされず、芳香族環の数や、水酸基の数についても、適宜選択することができる。
また、前記ポリフェノール類は、より優れた接着性を実現する観点からは、2つ以上の水酸基を有することが好ましく、3つ以上の水酸基を有することがより好ましい。3つ以上の水酸基を有することにより、水分を含む接着剤組成物液に、前記ポリフェノール類又は前記ポリフェノール類の縮合物が、より溶解することで接着剤組成物内に均一に分布できるので、より優れた接着性を実現できる。
更に、前記ポリフェノール類が、複数個(2個以上)の芳香環を含むポリフェノール類の場合、それらの芳香環では、各々、2個又は3個の水酸基がオルト、メタ又はパラ位に存在する。
更に、前記ポリフェノール類が、複数個(2個以上)の芳香環を含むポリフェノール類の場合、それらの芳香環では、各々、2個又は3個の水酸基がオルト、メタ又はパラ位に存在する。
上述した3つ以上の水酸基を有するポリフェノール類としては、例えば、下記構造式(1)で示されるフロログルシノール、下記構造式(2)で示されるモリン(即ち、2’,4’,3,5,7−ペンタヒドロキシフラボン)、下記構造式(3)で示されるフロログルシド(即ち、2,4,6,3,’5’−ビフェニルペントール)等が挙げられる。これらポリフェノール類は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記接着剤組成物中のポリフェノール類の含有量は、後述するアルデヒド類との固形分としての質量比が好適範囲となるように、適宜調整することが好ましい。
(アルデヒド類)
前記接着剤組成物は、上述したポリフェノール類に加えて、樹脂成分としてアルデヒド類を含む。接着剤組成物中にアルデヒド類を含有することで、上述したポリフェノール類と共に高い接着性を実現できる。
ここで、前記アルデヒド類については、特に限定はされず、要求される性能に応じて、適宜選択することができる。なお、本発明では、前記アルデヒド類が発生源であるアルデヒド類の誘導体も、アルデヒド類の範囲に含まれる。
前記接着剤組成物は、上述したポリフェノール類に加えて、樹脂成分としてアルデヒド類を含む。接着剤組成物中にアルデヒド類を含有することで、上述したポリフェノール類と共に高い接着性を実現できる。
ここで、前記アルデヒド類については、特に限定はされず、要求される性能に応じて、適宜選択することができる。なお、本発明では、前記アルデヒド類が発生源であるアルデヒド類の誘導体も、アルデヒド類の範囲に含まれる。
前記アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、クロラール、ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド等のモノアルデヒドや、グリオキザール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジポアルデヒド等の脂肪族ジアルデヒド類、芳香族環を有するアルデヒド、ジアルデヒドデンプン等が挙げられる。これらのアルデヒド類は、一種類を用いても、複数種を混合して用いてもよい。
これらの中でも、前記アルデヒド類は、芳香族環を有するアルデヒド類を含有することが好ましい。より優れた接着性を得ることができるためである。
これらの中でも、前記アルデヒド類は、芳香族環を有するアルデヒド類を含有することが好ましい。より優れた接着性を得ることができるためである。
なお、前記アルデヒド類については、ホルムアルデヒドを含まないことが好ましい。ここで、「ホルムアルデヒドを含まない」とは、アルデヒド類の総質量中の、ホルムアルデヒドの含有量が0.5質量%未満であることを意味する。
また、前記芳香環を有するアルデヒド類は、1分子内に、少なくとも1つの芳香環を含み、少なくとも1つのアルデヒド基を有する芳香族アルデヒドである。前記芳香環を有するアルデヒド類は、環境への負荷が少なく、また、優れた機械的強度、電気絶縁性、耐酸性、耐水性、耐熱性等を備えた、比較的安価な樹脂を形成することができる。
また、前記アルデヒド類は、より優れた接着性を実現する観点からは、2つ以上のアルデヒド基を有することが好ましい。前記アルデヒド類が、複数のアルデヒド基により架橋し、縮合することによって、熱硬化性樹脂の架橋度を高くすることができるため、接着性をより高めることができる。
さらに、前記アルデヒド類が、2つ以上のアルデヒド基を有する場合、1つの芳香族環において、2つ以上のアルデヒド基が存在することがより好ましい。なお、各アルデヒド基は、1つの芳香族環において、オルト、メタ又はパラの位置に存在することができる。
さらに、前記アルデヒド類が、2つ以上のアルデヒド基を有する場合、1つの芳香族環において、2つ以上のアルデヒド基が存在することがより好ましい。なお、各アルデヒド基は、1つの芳香族環において、オルト、メタ又はパラの位置に存在することができる。
このようなアルデヒド類としては、例えば、下記構造式(4):
で表される1,4−ベンゼンジカルボアルデヒド、更には、1,2−ベンゼンジカルボアルデヒド、1,3−ベンゼンジカルボアルデヒド、2−ヒドロキシベンゼン−1,3,5−トリカルボアルデヒド、これらの化合物の混合物等が挙げられる。
これらの中でも、より優れた接着性を実現できる観点から、前記芳香族環を有するアルデヒド類として、1,4−ベンゼンジカルボアルデヒドを少なくとも用いることが好ましい。
これらの中でも、より優れた接着性を実現できる観点から、前記芳香族環を有するアルデヒド類として、1,4−ベンゼンジカルボアルデヒドを少なくとも用いることが好ましい。
また、前記芳香族環を有するアルデヒド類については、ベンゼン環を有するものだけでなく、複素芳香族化合物も含まれる。
前記複素芳香族化合物であるアルデヒド類としては、例えば、下記一般式(5)で示されるフラン環を有するアルデヒド類が挙げられる。
式中、Xは、Oであり、Rは、−H、−CHO又は−CH2OHを示す。
前記複素芳香族化合物であるアルデヒド類としては、例えば、下記一般式(5)で示されるフラン環を有するアルデヒド類が挙げられる。
また、前記フランカルボアルデヒドとしては、下記構造式(8)で表される2−フランカルボアルデヒド、更には、3−フランカルボアルデヒドが挙げられる。
また、前記フランジカルボアルデヒドとしては、下記構造式(9)で表される2,5−フランジカルボアルデヒド、更には、2,3−フランジカルボアルデヒド、2,4−フランジカルボアルデヒド、3,4−フランジカルボアルデヒドが挙げられる。
更に、他のフラン環を有するアルデヒド類としては、下記構造式(10)で表される5−ヒドロキシメチル−2−フランカルボアルデヒドが挙げられる。
また、前記フランジカルボアルデヒドとしては、下記構造式(9)で表される2,5−フランジカルボアルデヒド、更には、2,3−フランジカルボアルデヒド、2,4−フランジカルボアルデヒド、3,4−フランジカルボアルデヒドが挙げられる。
更に、他のフラン環を有するアルデヒド類としては、下記構造式(10)で表される5−ヒドロキシメチル−2−フランカルボアルデヒドが挙げられる。
なお、前記接着剤組成物では、前記ポリフェノール類及び前記アルデヒド類が縮合された状態であり、前記ポリフェノール類と前記アルデヒド類との質量比(アルデヒド類の含有量/ポリフェノール類の含有量)は、0.1以上、3以下であることが好ましく、0.25以上、2.5以下であることがより好ましい。前記ポリフェノール類と前記アルデヒド類との間では、縮合反応が起こるが、上記質量比の好適範囲内であれば、その生成物である樹脂の硬度、接着性がより適したものになるからである。
また、前記接着剤組成物中の、前記ポリフェノール類及び前記アルデヒド類の合計含有量は、3〜30質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましい。該好適範囲内であれば、作業性等を悪化させることなく、より優れた接着性を確保できるためである。
なお、前記ポリフェノール類及び前記アルデヒド類の質量比並びに合計含有量は、乾燥物の質量での値(固形分比)である。
なお、前記ポリフェノール類及び前記アルデヒド類の質量比並びに合計含有量は、乾燥物の質量での値(固形分比)である。
(イソシアネート化合物)
前記接着剤組成物は、上述したポリフェノール類及びアルデヒド類に加えて、イソシアネート化合物を更に含むことが好ましい。接着剤組成物がイソシアネート化合物を含む場合、ポリフェノール類及びアルデヒド類との相乗効果によって、接着剤組成物の接着性を大きく高めることができる。
ここで、前記イソシアネート化合物は、接着剤組成物の被着体である樹脂材料(即ち、有機繊維コード)への接着を促進する作用を有する化合物であって、極性官能基としてイソシアネート基を有する化合物である。
前記接着剤組成物は、上述したポリフェノール類及びアルデヒド類に加えて、イソシアネート化合物を更に含むことが好ましい。接着剤組成物がイソシアネート化合物を含む場合、ポリフェノール類及びアルデヒド類との相乗効果によって、接着剤組成物の接着性を大きく高めることができる。
ここで、前記イソシアネート化合物は、接着剤組成物の被着体である樹脂材料(即ち、有機繊維コード)への接着を促進する作用を有する化合物であって、極性官能基としてイソシアネート基を有する化合物である。
前記イソシアネート化合物の種類については、特に限定はされないが、接着性をより向上できる観点から、(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物であることが好ましい。前記接着剤組成物中に、前記イソシアネート化合物を含ませると、被着体繊維と接着剤組成物の界面近傍の位置に(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物が分布し、接着を促進する効果が得られ、この作用効果により、有機繊維コードとの接着をより高度化することができる。
前記(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物は、(ブロックド)イソシアネート基を有する芳香族化合物である。また、「(ブロックド)イソシアネート基」とは、ブロックドイソシアネート基又はイソシアネート基を意味し、イソシアネート基の他、イソシアネート基に対するブロック化剤と反応して生じたブロックドイソシアネート基、イソシアネート基に対するブロック化剤と未反応のイソシアネート基、又はブロックドイソシアネート基のブロック化剤が解離して生じたイソシアネート基等を含む。
前記(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物は、(ブロックド)イソシアネート基を有する芳香族化合物である。また、「(ブロックド)イソシアネート基」とは、ブロックドイソシアネート基又はイソシアネート基を意味し、イソシアネート基の他、イソシアネート基に対するブロック化剤と反応して生じたブロックドイソシアネート基、イソシアネート基に対するブロック化剤と未反応のイソシアネート基、又はブロックドイソシアネート基のブロック化剤が解離して生じたイソシアネート基等を含む。
さらに、前記(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物は、芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造を含むことが好ましく、芳香族類がメチレン結合した分子構造を含むことがより好ましい。芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、又はフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物等にみられる分子構造が挙げられる。
なお、前記(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネートと熱解離性ブロック化剤を含む化合物、ジフェニルメタンジイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートを熱解離性ブロック化剤でブロック化した成分を含む水分散性化合物、水性ウレタン化合物等が挙げられる。
前記芳香族ポリイソシアネートと熱解離性ブロック化剤とを含む化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネートと公知のイソシアネートブロック化剤を含むブロックドイソシアネート化合物等が好適に挙げられる。上記ジフェニルメタンジイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートを熱解離性ブロック化剤でブロック化した成分を含む水分散性化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネート又はポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを、イソシアネート基をブロックする公知のブロック化剤でブロックした反応生成物が挙げられる。具体的には、エラストロンBN69(第一工業製薬(株)製)、エラストロンBN77(第一工業製薬(株)製)、メイカネートTP−10(明成化学工業(株)製)等の市販のブロックドポリイソシアネート化合物を用いることができる。
前記水性ウレタン化合物は、芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造、好ましくは芳香族類がメチレン結合した分子構造を含有する有機ポリイソシアネート化合物(α)と、複数の活性水素を有する化合物(β)と、イソシアネート基に対する熱解離性ブロック化剤(γ)とを反応させて得られる。また、水性ウレタン化合物は、その可撓性のある分子構造から、接着改良剤としての作用のみならず、可撓性のある架橋剤として接着剤の高温時流動化を抑止する作用も有する。
なお、「水性」とは、水溶性または水分散性であることを示し、「水溶性」とは必ずしも完全な水溶性を意味するのではなく、部分的に水溶性のもの、あるいは、前記接着剤組成物の水溶液中で相分離しないものを意味する。
なお、「水性」とは、水溶性または水分散性であることを示し、「水溶性」とは必ずしも完全な水溶性を意味するのではなく、部分的に水溶性のもの、あるいは、前記接着剤組成物の水溶液中で相分離しないものを意味する。
ここで、前記水性ウレタン化合物としては、例えば、下記一般式(11):
[式中、Aは芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造を含有する有機ポリイソシアネート化合物(α)の活性水素が脱離した残基を示し、Yはイソシアネート基に対する熱解離性ブロック化剤(γ)の活性水素が脱離した残基を示し、Zは化合物(δ)の活性水素が脱離した残基を示し、Xは複数の活性水素を有する化合物(β)の活性水素が脱離した残基であり、nは2〜4の整数であり、p+mは2〜4の整数(m≧0.25)である。]で表される水性ウレタン化合物が好ましい。
なお、前記芳香族類がアルキレン鎖で結合された分子構造を含有する有機ポリイソシアネート化合物(α)としては、メチレンジフェニルポリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。
また、前記複数の活性水素を有する化合物(β)は、好ましくは2〜4個の活性水素を有し、平均分子量が5,000以下の化合物である。かかる化合物(β)としては、(i)2〜4個の水酸基を有する多価アルコール類、(ii)2〜4個の第一級及び/又は第二級アミノ基を有する多価アミン類、(iii)2〜4個の第一級及び/又は第二級アミノ基と水酸基を有するアミノアルコール類、(iv)2〜4個の水酸基を有するポリエステルポリオール類、(v)2〜4個の水酸基を有するポリブタジエンポリオール類及びそれらと他のビニルモノマーとの共重合体、(vi)2〜4個の水酸基を有するポリクロロプレンポリオール類及びそれらと他のビニルモノマーとの共重合体、(vii)2〜4個の水酸基を有するポリエーテルポリオール類であって、多価アミン、多価フェノール及びアミノアルコール類のC2〜C4のアルキレンオキサイド重付加物、C3以上の多価アルコール類のC2〜C4のアルキレンオキサイド重付加物、C2〜C4のアルキレンオキサイド共重合物、又はC3〜C4のアルキレンオキサイド重合物等が挙げられる。
さらに、前記イソシアネート基に対する熱解離性ブロック化剤(γ)は、熱処理によりイソシアネート基を遊離することが可能な化合物であり、公知のイソシアネートブロック化剤が挙げられる。
さらにまた、前記化合物(δ)は、少なくとも1つの活性水素とアニオン性及び/又は非イオン性の親水性基を有する化合物である。少なくとも1つの活性水素とアニオン性の親水基を有する化合物としては、例えば、タウリン、N−メチルタウリン、N−ブチルタウリン、スルファニル酸等のアミノスルホン酸類、グリシン、アラニン等のアミノカルボン酸類等が挙げられる。一方、少なくとも1つの活性水素と非イオン性の親水基を有する化合物としては、例えば、親水性ポリエーテル鎖を有する化合物類が挙げられる。
また、前記複数の活性水素を有する化合物(β)は、好ましくは2〜4個の活性水素を有し、平均分子量が5,000以下の化合物である。かかる化合物(β)としては、(i)2〜4個の水酸基を有する多価アルコール類、(ii)2〜4個の第一級及び/又は第二級アミノ基を有する多価アミン類、(iii)2〜4個の第一級及び/又は第二級アミノ基と水酸基を有するアミノアルコール類、(iv)2〜4個の水酸基を有するポリエステルポリオール類、(v)2〜4個の水酸基を有するポリブタジエンポリオール類及びそれらと他のビニルモノマーとの共重合体、(vi)2〜4個の水酸基を有するポリクロロプレンポリオール類及びそれらと他のビニルモノマーとの共重合体、(vii)2〜4個の水酸基を有するポリエーテルポリオール類であって、多価アミン、多価フェノール及びアミノアルコール類のC2〜C4のアルキレンオキサイド重付加物、C3以上の多価アルコール類のC2〜C4のアルキレンオキサイド重付加物、C2〜C4のアルキレンオキサイド共重合物、又はC3〜C4のアルキレンオキサイド重合物等が挙げられる。
さらに、前記イソシアネート基に対する熱解離性ブロック化剤(γ)は、熱処理によりイソシアネート基を遊離することが可能な化合物であり、公知のイソシアネートブロック化剤が挙げられる。
さらにまた、前記化合物(δ)は、少なくとも1つの活性水素とアニオン性及び/又は非イオン性の親水性基を有する化合物である。少なくとも1つの活性水素とアニオン性の親水基を有する化合物としては、例えば、タウリン、N−メチルタウリン、N−ブチルタウリン、スルファニル酸等のアミノスルホン酸類、グリシン、アラニン等のアミノカルボン酸類等が挙げられる。一方、少なくとも1つの活性水素と非イオン性の親水基を有する化合物としては、例えば、親水性ポリエーテル鎖を有する化合物類が挙げられる。
また、前記接着剤組成物における、前記イソシアネート化合物の含有量は、特に限定はされないが、より確実に優れた接着性を確保する観点から、5〜65質量%の範囲であることが好ましく、10〜45質量%であることがより好ましい。
なお、前記イソシアネート化合物の含有量は、乾燥物の質量での値(固形分比)である。
なお、前記イソシアネート化合物の含有量は、乾燥物の質量での値(固形分比)である。
(ゴムラテックス)
前記接着剤組成物は、上述したポリフェノール類、アルデヒド類及びイソシアネート化合物に加えて、実質的にはゴムラテックスを更に含むことができる。接着剤組成物がゴムラテックスを含むことで、ゴム部材との接着性をより高めることができるためである。
前記接着剤組成物は、上述したポリフェノール類、アルデヒド類及びイソシアネート化合物に加えて、実質的にはゴムラテックスを更に含むことができる。接着剤組成物がゴムラテックスを含むことで、ゴム部材との接着性をより高めることができるためである。
前記ゴムラテックスは、ゴム成分の微粒子を水等に分散させたものである。なお、ゴムラテックス中のゴム成分の濃度は、10〜60質量%の範囲が好ましく、20〜50質量%の範囲が更に好ましい。
ここで、前記ゴムラテックスのゴム成分については、特に限定はされず、天然ゴム(NR)の他、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル−ブタジエンゴム(NBR)、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(Vp)等の合成ゴムを用いることができる。これらのゴム成分は、一種単独で用いてもよいし、二種以上をブレンドして用いてもよい。
ここで、前記ゴムラテックスのゴム成分については、特に限定はされず、天然ゴム(NR)の他、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル−ブタジエンゴム(NBR)、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(Vp)等の合成ゴムを用いることができる。これらのゴム成分は、一種単独で用いてもよいし、二種以上をブレンドして用いてもよい。
また、前記ゴムラテックスについては、前記イソシアネート化合物を配合する前に、前記フェノール類及び前記アルデヒド類と混合させることが好ましい。
さらに、前記接着剤組成物中の前記ゴムラテックスの含有量は、固形分(ゴム成分)として、20〜70質量%であることが好ましく、25〜60質量%であることがより好ましい。
さらに、前記接着剤組成物中の前記ゴムラテックスの含有量は、固形分(ゴム成分)として、20〜70質量%であることが好ましく、25〜60質量%であることがより好ましい。
(接着剤組成物の製造方法)
前記接着剤組成物の製造方法は、特に限定はされないが、例えば、前記ポリフェノール類、前記アルデヒド類、前記ゴムラテックス等の原材料を混合し、熟成する方法、又は、前記ポリフェノール類と前記アルデヒド類とを混合して熟成した後に、前記ゴムラテックスを更に加えて熟成する方法、等が挙げられる。また、前記イソシアネート化合物を含む場合には、前記ゴムラテックスを加え、熟成した後に、イソシアネート化合物を加えることができる。
また、前記ポリフェノール類及びアルデヒド類は、水に溶解させて、水溶液として使用することが好ましい。この際、ポリフェノール類及びアルデヒド類が水に溶解し難い場合は、水の温度を、好ましくは40℃以上、より好ましくは60℃以上に加温することが好ましい。或いは、水に、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水溶液等を加えて、アルカリ性にすることも好ましい。
前記接着剤組成物の製造方法は、特に限定はされないが、例えば、前記ポリフェノール類、前記アルデヒド類、前記ゴムラテックス等の原材料を混合し、熟成する方法、又は、前記ポリフェノール類と前記アルデヒド類とを混合して熟成した後に、前記ゴムラテックスを更に加えて熟成する方法、等が挙げられる。また、前記イソシアネート化合物を含む場合には、前記ゴムラテックスを加え、熟成した後に、イソシアネート化合物を加えることができる。
また、前記ポリフェノール類及びアルデヒド類は、水に溶解させて、水溶液として使用することが好ましい。この際、ポリフェノール類及びアルデヒド類が水に溶解し難い場合は、水の温度を、好ましくは40℃以上、より好ましくは60℃以上に加温することが好ましい。或いは、水に、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水溶液等を加えて、アルカリ性にすることも好ましい。
<ゴム−有機繊維コード複合体>
本発明のタイヤは、前記接着剤組成物がコーティングされた有機繊維コードを有しており、前記接着剤組成物がコーティングされた有機繊維コードは、コーティングゴム等のゴム部材と接着し、ゴム−有機繊維コード複合体を形成している。
得られたゴム−有機繊維コード複合体は、前記接着剤組成物を用いているため、環境への負荷が小さい。
本発明のタイヤは、前記接着剤組成物がコーティングされた有機繊維コードを有しており、前記接着剤組成物がコーティングされた有機繊維コードは、コーティングゴム等のゴム部材と接着し、ゴム−有機繊維コード複合体を形成している。
得られたゴム−有機繊維コード複合体は、前記接着剤組成物を用いているため、環境への負荷が小さい。
ここで、本発明のタイヤにおいて、前記ゴム−有機繊維コード複合体は、例えば、前記カーカス5、前記ベルト6、前記ベルト補強層7A,7B、フリッパー等のベルト周り補強層(図示せず)等として用いることが可能である。
これらの中でも、前記ゴム−有機繊維コード複合体は、カーカス5及び/又はベルト補強層7A,7Bに用いられることが好ましい。前記接着剤組成物がコーティングされた有機繊維コードの環境への負荷低減や、有機繊維とゴム部材との優れた接着性等を、より効果的に発揮できるためである。
これらの中でも、前記ゴム−有機繊維コード複合体は、カーカス5及び/又はベルト補強層7A,7Bに用いられることが好ましい。前記接着剤組成物がコーティングされた有機繊維コードの環境への負荷低減や、有機繊維とゴム部材との優れた接着性等を、より効果的に発揮できるためである。
なお、前記ゴム−有機繊維コード複合体において、前記接着剤組成物は、前記有機繊維コードの少なくとも一部を覆っていればよいが、ゴムと有機繊維コードとの接着性をより向上できる点からは、前記接着剤組成物が前記有機繊維コードの全面にコーティングされていることが好ましい。
また、有機繊維コードの少なくとも一部に、上記の接着剤組成物をコーティングする方法としては、特に限定されず、例えば、浸漬、塗布、吹き付け等が挙げられる。また、上述した接着剤組成物が溶媒を含有する場合には、コーティング後、乾燥処理により溶媒を除去することができる。
また、有機繊維コードの少なくとも一部に、上記の接着剤組成物をコーティングする方法としては、特に限定されず、例えば、浸漬、塗布、吹き付け等が挙げられる。また、上述した接着剤組成物が溶媒を含有する場合には、コーティング後、乾燥処理により溶媒を除去することができる。
前記ゴム−有機繊維コード複合体のゴム部材としては、少なくともゴム成分を含む、種々のゴム組成物(原材料)を使用することができ、該ゴム組成物を加硫して得られる加硫ゴムから、前記ゴム部材を形成することが好ましい。該ゴム組成物は、例えば、天然ゴムや合成ゴム(ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム等)からなるゴム成分に対して、カーボンブラック、シリカ等の充填剤、硫黄、過酸化物等の架橋剤、架橋促進剤等を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
前記ゴム−有機繊維コード複合体は、例えば、前記有機繊維コードの少なくとも一部を上記の接着剤組成物でコーティングし、該接着剤組成物でコーティングされた有機繊維コードを、前記ゴム部材の原材料となる未加硫状態のゴム組成物で被覆して、未加硫ゴム−有機繊維コード複合体を作製し、その後、加硫することで、製造することができる。
<有機繊維コード>
本発明のタイヤは、前述の接着剤組成物で処理した有機繊維コードを具え、該有機繊維コードが、(1)芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、非芳香族ジアミンと、の重縮合物、又は、(2)非芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジアミンを含むジアミンと、の重縮合物からなる半芳香族ポリアミドのフィラメントを含むことを特徴とする。
前記有機繊維コードは、ジカルボン酸が芳香族ジカルボン酸を含むものであってもよく、ジアミンが芳香族ジアミンを含むものであってもよいが、芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、非芳香族ジアミンと、の重縮合物からなる半芳香族ポリアミドのフィラメントを含むことが好ましく、また、ジカルボン酸が芳香族ジカルボン酸を含み、ジアミンが脂肪族ジアミン及び脂環族ジアミンの少なくとも一方を用いた半芳香族ポリアミドのフィラメントを含むことが特に好ましい。
本発明のタイヤは、前述の接着剤組成物で処理した有機繊維コードを具え、該有機繊維コードが、(1)芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、非芳香族ジアミンと、の重縮合物、又は、(2)非芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジアミンを含むジアミンと、の重縮合物からなる半芳香族ポリアミドのフィラメントを含むことを特徴とする。
前記有機繊維コードは、ジカルボン酸が芳香族ジカルボン酸を含むものであってもよく、ジアミンが芳香族ジアミンを含むものであってもよいが、芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、非芳香族ジアミンと、の重縮合物からなる半芳香族ポリアミドのフィラメントを含むことが好ましく、また、ジカルボン酸が芳香族ジカルボン酸を含み、ジアミンが脂肪族ジアミン及び脂環族ジアミンの少なくとも一方を用いた半芳香族ポリアミドのフィラメントを含むことが特に好ましい。
カーカスやベルト補強層等の補強コードとして、汎用されているナイロン66からなる補強コードは、ガラス転移温度(Tg)が低いため(50℃)、高温時の剛性が低い。一方、アラミド繊維からなる補強コードは、高温時の剛性の確保は可能だが、剛性が高すぎてタイヤ製造時の作業性が著しく悪いという問題を有している。
これに対して、前記半芳香族ポリアミドは、分子間相互作用によりTgが高く、更に剛性も適度なため、補強コードとして用いることで、タイヤの生産性を損なうことなく、耐久性を向上させることができる。また、タイヤの使用温度域での損失正接(tanδ)が小さく、タイヤの転がり抵抗の低減にも有利である。更に、半芳香族ポリアミド繊維は、吸水性も低いため、物性の安定性も確保可能である。
これに対して、前記半芳香族ポリアミドは、分子間相互作用によりTgが高く、更に剛性も適度なため、補強コードとして用いることで、タイヤの生産性を損なうことなく、耐久性を向上させることができる。また、タイヤの使用温度域での損失正接(tanδ)が小さく、タイヤの転がり抵抗の低減にも有利である。更に、半芳香族ポリアミド繊維は、吸水性も低いため、物性の安定性も確保可能である。
本発明のタイヤにおいては、前記有機繊維コード(即ち、タイヤから取り出した有機繊維コード)は、ガラス転移温度(Tg)が80〜230℃であることが好ましい。このように、Tgが高いコードを、タイヤの補強コードとして用いることで、タイヤの使用温度域における損失正接(tanδ)を小さくすることができ、タイヤの転がり抵抗を低減することができる。また、高温時においても剛性を確保できるため、耐久性を向上させることができる。好適には、Tgは、100〜160℃である。
本発明のタイヤにおいて、前記有機繊維コード(即ち、タイヤから取り出した有機繊維コード)は、25℃における損失正接(tanδ25℃)と100℃における損失正接(tanδ100℃)との比(tanδ25℃/tanδ100℃)が0.7〜1.0であることが好ましい。特に、前記有機繊維コードは、25℃における損失正接(tanδ25℃)が0.01〜0.06であることが好ましい。このような有機繊維コードは、高温時のtanδが低いため、熱の発生を抑制することができ、高速走行時におけるタイヤの耐久性を向上させることができる。好適には、tanδ25℃/tanδ100℃の値は、0.85〜1.0である。
本発明のタイヤにおいて、前記有機繊維コード(即ち、タイヤから取り出した有機繊維コード)は、100℃における動的弾性率(E’100℃)と25℃における動的弾性率(E’25℃)との比(E’100℃/E’25℃)が0.7〜1.0であることが好ましい。E’100℃/E’25℃の値を、上記範囲とすることで、高温時における操縦安定性を、より良好なものとすることができる。特に、タイヤから取り出した有機繊維コードの25℃における動的弾性率(E’25℃)が、0.7〜0.8のものが好ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記有機繊維コード(即ち、タイヤから取り出した有機繊維コード)は、水分率が0.1〜2.0質量%であることが好ましい。上述のとおり、半芳香族ポリアミド繊維は、吸水性が低いため、コード物性の安定性も確保できる。特に、水分率が0.1〜2.0質量%のものは、本発明の効果を良好に得ることができる。
なお、補強コードの(tanδ25℃/tanδ100℃)の値、及び(E’100℃/E’25℃)の値は、有機繊維コードの種類、撚り数、有機繊維コードの表面に塗布する接着剤組成物に浸漬する際の浸漬条件、接着剤組成物の種類、接着剤組成物による処理後の熱処理の条件を適宜選択することにより、調整することができる。
また、本発明のタイヤにおいては、有機繊維コードの打ち込み本数については、有機繊維コードの強力に応じて適宜設定することができるが、好ましくは打込みが密な領域における打込み本数が20〜100本/50mm、より好ましくは30〜80本/50mm、更に好ましくは40〜60本/50mmである。
本発明のタイヤにおいて、前記有機繊維コード(即ち、タイヤから取り出した有機繊維コード)は、下記式(1):
α1=N1×(0.125×D1/ρ)1/2×10−3 (1)
[式(1)中、N1は下撚り数(回/10cm)であり、D1は下撚り糸1本の繊度(dtex)であり、ρは有機繊維コードの密度(g/cm3)である]で定義される下撚係数α1が0.1〜0.9であり、
下記式(2):
α2=N2×(0.125×D2/ρ)1/2×10−3 (2)
[式(2)中、N2は上撚り数(回/10cm)であり、D2は有機繊維コードの総繊度(dtex)であり、ρは有機繊維コードの密度(g/cm3)である]で定義される上撚係数α2が0.1〜1.2であることが好ましい。前記半芳香族ポリアミドのフィラメントに撚りを掛けることで、強力利用率が平均化し、その疲労性が向上する。特に、上記条件を満足することで、有機繊維コードの剛性と疲労性とを両立させることができる。なお、撚糸時の張力は0.01〜0.2cN/dtexが好ましい。
α1=N1×(0.125×D1/ρ)1/2×10−3 (1)
[式(1)中、N1は下撚り数(回/10cm)であり、D1は下撚り糸1本の繊度(dtex)であり、ρは有機繊維コードの密度(g/cm3)である]で定義される下撚係数α1が0.1〜0.9であり、
下記式(2):
α2=N2×(0.125×D2/ρ)1/2×10−3 (2)
[式(2)中、N2は上撚り数(回/10cm)であり、D2は有機繊維コードの総繊度(dtex)であり、ρは有機繊維コードの密度(g/cm3)である]で定義される上撚係数α2が0.1〜1.2であることが好ましい。前記半芳香族ポリアミドのフィラメントに撚りを掛けることで、強力利用率が平均化し、その疲労性が向上する。特に、上記条件を満足することで、有機繊維コードの剛性と疲労性とを両立させることができる。なお、撚糸時の張力は0.01〜0.2cN/dtexが好ましい。
ここで、前記下撚係数α1が0.1〜0.5であり、前記上撚係数α2が0.1〜0.7であることが好ましい。かかる条件を満足することで、有機繊維コードの剛性と疲労性とを高度に両立させることができる。特に、前記有機繊維コードの下撚り数N1は、10〜30回/10cmであることが好ましい。また、前記有機繊維コードの上撚り数N2は、10〜30回/10cmであることが好ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記有機繊維コードは、総繊度が1000〜8000dtexであることが好ましい。総繊度を1000dtex以上とすることで、強力を十分に確保することができる。一方、紡糸性や後加工の観点から、総繊度は、8000dtex以下が好ましく、より好ましくは5000dtex以下である。
本発明のタイヤにおいて、前記有機繊維コードは、前記半芳香族ポリアミドのフィラメントのみからなるコードでもよいが、他の繊維を併用した、所謂、ハイブリッドコードでもよい。特には、前記有機繊維コードは、前記半芳香族ポリアミドのフィラメントと、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリケトン繊維、ガラス繊維、炭素繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維及びポリアリレート繊維からなる群から選ばれる少なくとも一種の繊維と、のハイブリッドコードであることが好ましい。
次に、前記半芳香族ポリアミドのフィラメントを用いた有機繊維コードの材料、製造方法について詳細に説明する。
前記半芳香族ポリアミドのフィラメントは、芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、非芳香族ジアミンと、の重縮合物、又は、非芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジアミンを含むジアミンと、の重縮合物からなる。ジカルボン酸が芳香族ジカルボン酸を含むものであってもよく、ジアミンが芳香族ジアミンを含むものであってもよいが、特に、ジカルボン酸として芳香族ジカルボン酸を含み、ジアミンが脂肪族ジアミンおよび脂環族ジアミンのうち少なくとも一方を含んだポリアミドからなるフィラメントが好ましい。
前記半芳香族ポリアミドのフィラメントは、芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、非芳香族ジアミンと、の重縮合物、又は、非芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジアミンを含むジアミンと、の重縮合物からなる。ジカルボン酸が芳香族ジカルボン酸を含むものであってもよく、ジアミンが芳香族ジアミンを含むものであってもよいが、特に、ジカルボン酸として芳香族ジカルボン酸を含み、ジアミンが脂肪族ジアミンおよび脂環族ジアミンのうち少なくとも一方を含んだポリアミドからなるフィラメントが好ましい。
(ジカルボン酸)
前記半芳香族ポリアミドのフィラメントは、ジカルボン酸中の芳香族ジカルボン酸の比率が50mol%以上であることが好ましく、より好ましくは60mol%以上であり、更に好ましくは70mol%以上である。これにより、高Tg、繊維強度、紡糸性に優れる半芳香族ポリアミドのフィラメントを得ることができる。
前記半芳香族ポリアミドのフィラメントは、ジカルボン酸中の芳香族ジカルボン酸の比率が50mol%以上であることが好ましく、より好ましくは60mol%以上であり、更に好ましくは70mol%以上である。これにより、高Tg、繊維強度、紡糸性に優れる半芳香族ポリアミドのフィラメントを得ることができる。
芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の無置換または種々の置換基で置換された炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸等を挙げることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記半芳香族ポリアミドのフィラメントは、芳香族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、例えば、脂環構造の炭素原子数が3〜10である脂環族ジカルボン酸や炭素原子数3〜20の直鎖または分岐状脂肪族ジカルボン酸等を用いることができる。
脂環構造の炭素原子数が3〜10である脂環族ジカルボン酸としては、具体的には、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸等を挙げることができる。前記有機繊維コードにおいては、脂環族ジカルボン酸は、無置換でも置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素原子数1〜4のアルキル基等を挙げることができるが、これに限られるものではない。これらの中でも、有機繊維コードの耐熱性、寸法安定性、強度等の観点から、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が好ましい。なお、脂環族ジカルボン酸は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
なお、脂環族ジカルボン酸には、トランス体とシス体の幾何異性体が存在する。例えば、原料モノマーとしての1,4−シクロヘキサンジカルボン酸は、トランス体とシス体のどちらか一方を用いてもよく、トランス体とシス体の種々の比率の混合物として用いてもよい。
炭素原子数3〜20の直鎖又は分岐状脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルグルタル酸、2,2−ジエチルコハク酸、2,3−ジエチルグルタル酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、ジグリコール酸等を挙げることができるが、これに限られるものではない。
一般的に、ポリアミドのフィラメントを構成するジカルボン酸に含まれる芳香環の数が多くなると、分子間の芳香環同士の相互作用による結合力が高まり、Tgが上昇する。したがって、求められる耐久性に応じて、ジカルボン酸中に含まれる芳香環を調整すればよい。例えば、芳香族ジカルボン酸中の、芳香環が1つである芳香族ジカルボン酸の比率が、20mol%以上であるもの、芳香族ジカルボン酸中の、芳香環が2つである芳香族ジカルボン酸の比率が、20mol%以上であるもの、芳香族ジカルボン酸中の、芳香環が3つである芳香族ジカルボン酸の比率が、20mol%以上であるもの、を適宜用いることができる。なお、ジカルボン酸中に含まれる芳香環が多くなると、同時に融点(Tm)も上昇するため、繊維の紡糸作業性が低下するが、ジアミン成分の炭素原子数を増加させることでTmを下げることが可能である。
(ジアミン)
前記半芳香族ポリアミドのフィラメントは、紡糸安定性、耐熱性、低吸水性の観点から、ジアミン中の、炭素原子数7〜12のジアミンの比率が、20mol%以上であることが好ましく、より好ましくは30mol%以上80mol%以下、更に好ましくは40mol%以上75mol%以下、特に好ましくは45mol%以上70mol%以下である。
前記半芳香族ポリアミドのフィラメントは、紡糸安定性、耐熱性、低吸水性の観点から、ジアミン中の、炭素原子数7〜12のジアミンの比率が、20mol%以上であることが好ましく、より好ましくは30mol%以上80mol%以下、更に好ましくは40mol%以上75mol%以下、特に好ましくは45mol%以上70mol%以下である。
一般的にTgが高いポリマーは、融点(Tm)も高くなる傾向がある。Tmが高過ぎる場合、溶融時にポリアミドが熱分解し、分子量や強度の低下、着色、分解ガスの混入が生じて紡糸性が悪化する。しかしながら、炭素原子数7〜12のジアミンを20mol%以上含むことにより、高いTgを維持しながらも溶融紡糸に適したTmに抑えることができる。また、炭素原子数7〜12のジアミンを含むポリアミドは、溶融時の熱安定性が高いため、紡糸安定性に優れ、均一性のよいフィラメントを得ることができる。さらに、ポリアミド中のアミド基濃度が低下することにより、吸水時の寸法安定性に優れるフィラメントを得ることができる。特に、1,9−ノナンジアミン及び1,10−デカメチレンジアミンは、紡糸安定性と強度の両立という観点からも好ましい。
1,9−ノナンジアミン及び1,10−デカメチレンジアミン以外のジアミンとしては、特に制限はなく、無置換の直鎖脂肪族ジアミンでも、炭素原子数1〜4のアルキル基等の置換基を有する分岐状脂肪族ジアミンでも、脂環族ジアミンでもよい。ここで、置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。1,9−ノナンジアミン及び1,10−デカメチレンジアミン以外のジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン等の直鎖脂肪族ジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミン、2,4−ジメチルオクタメチレンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、および1,3−シクロペンタンジアミン等を挙げることができる。
前記非芳香族ジアミンは、脂肪族ジアミン及び脂環族ジアミンの少なくとも一方であることが好ましい。
前記非芳香族ジアミンは、脂肪族ジアミン及び脂環族ジアミンの少なくとも一方であることが好ましい。
また、前記半芳香族ポリアミドのフィラメントにおいては、ポリアミドの流動性を阻害しない範囲で、ジアミンに芳香族ジアミンを加えてもよい。芳香族ジアミンとは、芳香族を含有するジアミンであり、例えば、メタキシリレンジアミン、オルトキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等が挙げられるが、これに限られるものではない。
1,9−ノナンジアミン及び1,10−デカメチレンジアミン以外のジアミンとして、炭素原子数5〜6のジアミンを含み、炭素原子数5〜6のジアミンの比率が20mol%以上であるものがより好ましい。1,9−ノナンジアミン及び1,10−デカメチレンジアミン以外に炭素原子数5〜6のジアミンを共重合させることで、紡糸に適した適度な融点を維持しつつも、結晶性の高いポリマーを得ることができる。炭素原子数5〜6のジアミンとしては、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等を挙げることができる。
炭素原子数5〜6のジアミンの中でも、紡糸性や流動性、強度の観点からは、2−メチルペンタメチレンジアミンが好ましい。2−メチルペンタメチレンジアミンの比率が高すぎると、2−メチルペンタメチレンジアミンが自己環化して、溶融時に分解し、分子量低下を引き起こすため、紡糸性や強度が悪化する。ジアミン中の2−メチルペンタメチレンジアミンの比率としては、流動性を確保しつつも溶融時の分解が起こらない範囲に設定する必要があり、好ましくは20mol%以上70mol%以下、より好ましくは20mol%以上60mol%以下、さらに好ましくは20mol%以上55mol%以下である。
また、炭素原子数5〜6のジアミンの中でも、前記有機繊維コードの耐熱性の観点からは、ヘキサメチレンジアミンが好ましい。ヘキサメチレンジアミンの比率が高すぎると、融点が高くなりすぎて、紡糸が困難になるため、ジアミン中のヘキサメチレンジアミンの比率として、好ましくは20mol%以上60mol%以下、より好ましくは20mol%以上50mol%以下、さらに好ましくは20mol%以上45mol%以下である。
ジカルボン酸の添加量とジアミンの添加量は、高分子量化のため、同mol量付近であることが好ましい。重合反応中のジアミンの反応系外への逃散分もmol比においては考慮して、ジカルボン酸全体のmol量1.00に対して、ジアミン全体のmol量は、0.90〜1.20であることが好ましく、より好ましくは0.95〜1.10であり、さらに好ましくは0.98〜1.05である。
ジカルボン酸とジアミンからポリアミドを重合する際には、分子量調節のために公知の末端封止剤をさらに添加することができる。末端封止剤としては、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、無水フタル酸等の酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類等が挙げられ、熱安定性の観点で、モノカルボン酸、モノアミンが好ましい。末端封止剤は、1種類で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記有機繊維コードの半芳香族ポリアミドのフィラメントにおいては、クロス比は1.7以下が好ましい。クロス比とは、フィラメントの中の最大直径を最小直径で除した値であり、単糸間の均一性の尺度となる。フィラメントの強度は、単糸の強度分布の中でも低い物性に引っ張られるため、単糸間のバラつきが大きいと強度が発現しない。そこで、前記半芳香族ポリアミドのフィラメントにおいては、クロス比は1.7以下が好ましく、より好ましくは1.6以下であり、さらに好ましくは1.5以下である。クロス比が1.7以下であることで、単糸レベルでの延伸が均一に行われ、単糸強度のバラつきが少なく、半芳香族ポリアミドのフィラメントとして優れた強度が発現する。クロス比の下限は1.0である。
(半芳香族ポリアミドの製造方法)
前記半芳香族ポリアミドの製造方法としては、例えば、(1)ジカルボン酸・ジアミン塩又はその混合物の、水溶液又は水の懸濁液を加熱し、溶融状態を維持したまま重合させる方法(熱溶融重合法)、(2)熱溶融重合法で得られたポリアミドを融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(熱溶融重合・固相重合法)、(3)ジアミン・ジカルボン酸塩又はその混合物の、水溶液又は水の懸濁液を加熱し、析出したプレポリマーを更にニーダー等の押出機で再び溶融して重合度を上昇させる方法(プレポリマー・押出重合法)、(4)ジアミン・ジカルボン酸塩又はその混合物の、水溶液又は水の懸濁液を加熱、析出したプレポリマーをさらにポリアミドの融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(プレポリマー・固相重合法)、(5)ジアミン・ジカルボン酸塩又はその混合物を、固体状態を維持したまま重合させる方法(固相重合法)、(6)ジカルボン酸と等価なジカルボン酸ハライド成分とジアミン成分を用いて重合させる方法(溶液法)等を挙げることができる。
前記半芳香族ポリアミドの製造方法としては、例えば、(1)ジカルボン酸・ジアミン塩又はその混合物の、水溶液又は水の懸濁液を加熱し、溶融状態を維持したまま重合させる方法(熱溶融重合法)、(2)熱溶融重合法で得られたポリアミドを融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(熱溶融重合・固相重合法)、(3)ジアミン・ジカルボン酸塩又はその混合物の、水溶液又は水の懸濁液を加熱し、析出したプレポリマーを更にニーダー等の押出機で再び溶融して重合度を上昇させる方法(プレポリマー・押出重合法)、(4)ジアミン・ジカルボン酸塩又はその混合物の、水溶液又は水の懸濁液を加熱、析出したプレポリマーをさらにポリアミドの融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(プレポリマー・固相重合法)、(5)ジアミン・ジカルボン酸塩又はその混合物を、固体状態を維持したまま重合させる方法(固相重合法)、(6)ジカルボン酸と等価なジカルボン酸ハライド成分とジアミン成分を用いて重合させる方法(溶液法)等を挙げることができる。
半芳香族ポリアミドを製造する方法としては、トランス異性体比率を85%以下に維持することが容易であるため、また、得られるポリアミドの色調に優れるため、(1)熱溶融重合法、または(2)熱溶融重合・固相重合法によりポリアミドを製造することが好ましい。重合形態としては、バッチ式でも連続式でもよい。重合装置としては、特に限定されるものではなく、公知の装置、例えば、オートクレーブ型反応器、タンブラー型反応器、ニーダー等の押出機型反応器等が挙げられる。
(半芳香族ポリアミドのフィラメント)
前記半芳香族ポリアミドのフィラメントは、上述した半芳香族ポリアミドを繊維化したものである。半芳香族ポリアミドのフィラメントの製造方法としては、様々な方法を用いることができるが、通常は溶融紡糸が用いられ、スクリュー型の溶融押出機を用いて行うことが好ましい。ポリアミドの紡糸温度(溶融温度)は、300℃以上360℃以下であることが好ましい。300℃以上あれば、熱量不足による未溶解物の混入を抑制することができる。360℃以下であると、ポリマーの熱分解や分解ガスの発生を大幅に低減し、紡糸性が向上する。
前記半芳香族ポリアミドのフィラメントは、上述した半芳香族ポリアミドを繊維化したものである。半芳香族ポリアミドのフィラメントの製造方法としては、様々な方法を用いることができるが、通常は溶融紡糸が用いられ、スクリュー型の溶融押出機を用いて行うことが好ましい。ポリアミドの紡糸温度(溶融温度)は、300℃以上360℃以下であることが好ましい。300℃以上あれば、熱量不足による未溶解物の混入を抑制することができる。360℃以下であると、ポリマーの熱分解や分解ガスの発生を大幅に低減し、紡糸性が向上する。
(接着剤組成物による処理)
前記半芳香族ポリアミドのフィラメントコードには、タイヤを構成するゴム部材と半芳香族ポリアミドのフィラメントコードとの接着のために、上述の接着剤組成物で処理する。
また、接着剤組成物を付着させた後、接着剤組成物の乾燥、固着およびリラックス処理を行う。接着剤組成物の乾燥温度は、好ましくは120〜250℃、より好ましくは140〜200℃、乾燥時間は、好ましくは10秒以上、より好ましくは20〜120秒間である。乾燥後の撚糸物は、引き続きヒートセットゾーンおよびノルマライジングゾーンにおいて熱処理を受ける。ヒートセットゾーンおよびノルマライジングゾーンにおける温度と時間は、それぞれ、150〜250℃と10〜300秒とすることが好ましい。この際、2%〜10%の延伸が施され、好ましくは3%〜9%の延伸が施されることが好ましい。
前記半芳香族ポリアミドのフィラメントコードには、タイヤを構成するゴム部材と半芳香族ポリアミドのフィラメントコードとの接着のために、上述の接着剤組成物で処理する。
また、接着剤組成物を付着させた後、接着剤組成物の乾燥、固着およびリラックス処理を行う。接着剤組成物の乾燥温度は、好ましくは120〜250℃、より好ましくは140〜200℃、乾燥時間は、好ましくは10秒以上、より好ましくは20〜120秒間である。乾燥後の撚糸物は、引き続きヒートセットゾーンおよびノルマライジングゾーンにおいて熱処理を受ける。ヒートセットゾーンおよびノルマライジングゾーンにおける温度と時間は、それぞれ、150〜250℃と10〜300秒とすることが好ましい。この際、2%〜10%の延伸が施され、好ましくは3%〜9%の延伸が施されることが好ましい。
(前処理)
上述した半芳香族ポリアミドのフィラメントを含む有機繊維コードは、上記の接着剤組成物によるコーティングの前処理として、イソシアネート化合物及び/又はエポキシ化合物を含有する溶液で処理されていてもよい。
なお、有機繊維コードに前処理を施さずに、上述の接着剤組成物で有機繊維コードを直接処理する処理形態を「1浴処理」と呼ぶことがあり、一方、有機繊維コードに前処理を施した後、上述の接着剤組成物で有機繊維コードを処理する処理形態を「2浴処理」と呼ぶことがある。
上述した半芳香族ポリアミドのフィラメントを含む有機繊維コードは、上記の接着剤組成物によるコーティングの前処理として、イソシアネート化合物及び/又はエポキシ化合物を含有する溶液で処理されていてもよい。
なお、有機繊維コードに前処理を施さずに、上述の接着剤組成物で有機繊維コードを直接処理する処理形態を「1浴処理」と呼ぶことがあり、一方、有機繊維コードに前処理を施した後、上述の接着剤組成物で有機繊維コードを処理する処理形態を「2浴処理」と呼ぶことがある。
ここで、前処理用の溶液に用いるイソシアネート化合物としては、上述の接着剤組成物に含有させることができるイソシアネート化合物を同様に使用することができる。該イソシアネート化合物は、接着剤組成物の被着体である有機繊維コードへの接着を促進する作用を有する。
前処理用の溶液中の、前記イソシアネート化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、固形分の比として、5〜50質量%の範囲が好ましい。イソシアネート化合物の含有量が5質量%以上であれば、前記接着剤組成物からなる接着剤層の強度、耐薬品性が向上し、有機繊維コードとの密着性・接着性も向上する。また、イソシアネート化合物の含有量が50質量%以下であれば、前記接着剤層の高温での凝集破壊抗力を十分に確保することができ、高温での接着力も十分となる。
前処理用の溶液中の、前記イソシアネート化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、固形分の比として、5〜50質量%の範囲が好ましい。イソシアネート化合物の含有量が5質量%以上であれば、前記接着剤組成物からなる接着剤層の強度、耐薬品性が向上し、有機繊維コードとの密着性・接着性も向上する。また、イソシアネート化合物の含有量が50質量%以下であれば、前記接着剤層の高温での凝集破壊抗力を十分に確保することができ、高温での接着力も十分となる。
また、上述の前処理用の溶液に用いるエポキシ化合物としては、1分子内に少なくとも1つのエポキシ基を有する種々の化合物を使用できる。該エポキシ化合物は、上述の接着剤組成物の架橋剤として作用し、優れた接着性、耐熱性、耐久性、強度、可撓性、電気的絶縁性等を有する。
前記エポキシ化合物は、特に限定されるものではないが、1分子内にエポキシ基を2つ以上有する化合物であることが好ましく、4つ以上有する化合物であることがより好ましい。エポキシ化合物が、1分子内にエポキシ基を2つ以上有すると、当該化合物がエポキシ基による架橋剤として効果的に機能を発揮し、4つ以上有すると、より密に架橋が行われ、可撓性もより付与される。
また、前記エポキシ化合物は、特に限定されるものではないが、1分子内にエポキシ基を10個以下有することが好ましい。この場合、架橋密度が過度になりすぎず、靭性も備えるようになる。
また、前記エポキシ化合物は、特に限定されるものではないが、1分子内にエポキシ基を10個以下有することが好ましい。この場合、架橋密度が過度になりすぎず、靭性も備えるようになる。
前記エポキシ化合物として、具体的には、ジエチレングリコール・ジグリシジルエーテル、ポリエチレン・ジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール・ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコール・ジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオール・ジグリシジルエーテル、グリセロール・ポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパン・ポリグリシジルエーテル、ポリグリセロール・ポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリチオール・ポリグリシジルエーテル、ジグリセロール・ポリグリシジルエーテル、ソルビトール・ポリグリシジルエーテル等の多価アルコール類とエピクロルヒドリンとの反応生成物が挙げられる。前記エポキシ化合物として、これらの化合物を使用すると、有機繊維コードとゴムとの間の接着性を更に向上させることができる。
上述の前処理用の溶液中の、前記エポキシ化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、固形分の比として、50質量%〜95質量%の範囲が好ましい。50質量%以上であれば、前記接着剤組成物からなる接着剤層中でエポキシ樹脂による架橋がより形成され、高温での凝集破壊抗力、接着力がより向上し、可撓性もより付与される。また、95質量%以下であれば、前記接着剤層で形成される樹脂架橋は十分であり、靭性もより備えるようになる。
<タイヤの製造方法>
本発明のタイヤは、適用するタイヤの種類に応じ、未加硫のゴム組成物を用いて成形後に加硫して得てもよく、又は予備加硫工程等を経た半加硫ゴムを用いて成形後、さらに本加硫して得てもよい。なお、本発明のタイヤには、上述の接着剤組成物で処理した有機繊維コードが用いられるが、その他の部材は、特に限定されず、公知の部材を使用することができる。
また、本発明のタイヤは、空気入りタイヤであることが好ましく、該空気入りタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
本発明のタイヤは、適用するタイヤの種類に応じ、未加硫のゴム組成物を用いて成形後に加硫して得てもよく、又は予備加硫工程等を経た半加硫ゴムを用いて成形後、さらに本加硫して得てもよい。なお、本発明のタイヤには、上述の接着剤組成物で処理した有機繊維コードが用いられるが、その他の部材は、特に限定されず、公知の部材を使用することができる。
また、本発明のタイヤは、空気入りタイヤであることが好ましく、該空気入りタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<接着剤組成物の調製>
まず、フロログルシノールを、100℃の水に溶解させ、濃度10質量%のフロログルシノール含有溶液を得る。
その後、10質量%フロログルシノール溶液33.5gを、高温下で維持して攪拌しながら、4%水酸化ナトリウム18.2gを加えた後、水206gで希釈し、25%アンモニア水を7.5g加える。上記溶液に、1,4−ベンゼンジカルボアルデヒド6.4gを漸次的に加え、フロログルシノール・1,4−ベンゼンジカルボアルデヒド含有溶液を得た後、25℃で2時間熟成を行い、フロログルシノール/1,4−ベンゼンジカルボアルデヒド樹脂を得る。
上記フロログルシノール・1,4−ベンゼンジカルボアルデヒド含有溶液の熟成により得たフロログルシノール/1,4−ベンゼンジカルボアルデヒド樹脂に、天然ゴム(NR)のラテックスと、スチレン−ブタジエン共重体ゴム(SBR)のラテックスと、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(Vp)のラテックスと、を加え、27℃で24時間、ゴムの熟成を行う。さらに上記フロログルシノール/1,4−ベンゼンジカルボアルデヒド樹脂及びラテックスの混合液に、表1の配合比となるよう、イソシアネート化合物を加える。
接着剤組成物の固形成分の組成(質量%)と、溶液状態での組成(質量%)を表1に示す。
まず、フロログルシノールを、100℃の水に溶解させ、濃度10質量%のフロログルシノール含有溶液を得る。
その後、10質量%フロログルシノール溶液33.5gを、高温下で維持して攪拌しながら、4%水酸化ナトリウム18.2gを加えた後、水206gで希釈し、25%アンモニア水を7.5g加える。上記溶液に、1,4−ベンゼンジカルボアルデヒド6.4gを漸次的に加え、フロログルシノール・1,4−ベンゼンジカルボアルデヒド含有溶液を得た後、25℃で2時間熟成を行い、フロログルシノール/1,4−ベンゼンジカルボアルデヒド樹脂を得る。
上記フロログルシノール・1,4−ベンゼンジカルボアルデヒド含有溶液の熟成により得たフロログルシノール/1,4−ベンゼンジカルボアルデヒド樹脂に、天然ゴム(NR)のラテックスと、スチレン−ブタジエン共重体ゴム(SBR)のラテックスと、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(Vp)のラテックスと、を加え、27℃で24時間、ゴムの熟成を行う。さらに上記フロログルシノール/1,4−ベンゼンジカルボアルデヒド樹脂及びラテックスの混合液に、表1の配合比となるよう、イソシアネート化合物を加える。
接着剤組成物の固形成分の組成(質量%)と、溶液状態での組成(質量%)を表1に示す。
*1: 富士フィルム和光純薬(株)製、10%水溶液として使用
*2: 東京化成工業(株)製、純度98%
*3: 関東化学(株)製、1N NaOH水溶液
*4: 関東化学(株)製、25%アンモニア水溶液
*5: Sime Darby社製、「HYTEX HA」
*6: JSR(株)製、「SBR ラテックス 2108」
*7: 日本A&L(株)製、「PYRATEX」
*8: 第一工業製薬(株)製、BN77、固形分濃度18%となるように希釈して使用
*2: 東京化成工業(株)製、純度98%
*3: 関東化学(株)製、1N NaOH水溶液
*4: 関東化学(株)製、25%アンモニア水溶液
*5: Sime Darby社製、「HYTEX HA」
*6: JSR(株)製、「SBR ラテックス 2108」
*7: 日本A&L(株)製、「PYRATEX」
*8: 第一工業製薬(株)製、BN77、固形分濃度18%となるように希釈して使用
<タイヤの作製>
表1に示す仕様の有機繊維コードを、上記の接着剤組成物で処理した後、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体からなるゴム成分、カーボンブラック、架橋剤を含む未加硫状態のゴム組成物に埋め込み、ゴム−有機繊維コード複合体を作製する。
該ゴム−有機繊維コード複合体を、タイヤのベルト補強層に使用して、図1に示す構造を有し、サイズ:205/55R16のタイヤを作製する。なお、ベルト補強層における、有機繊維コードの打ち込み本数は、50本/50mmである。
該タイヤに対して、以下の方法で、耐久性、及び転がり抵抗を評価する。
表1に示す仕様の有機繊維コードを、上記の接着剤組成物で処理した後、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体からなるゴム成分、カーボンブラック、架橋剤を含む未加硫状態のゴム組成物に埋め込み、ゴム−有機繊維コード複合体を作製する。
該ゴム−有機繊維コード複合体を、タイヤのベルト補強層に使用して、図1に示す構造を有し、サイズ:205/55R16のタイヤを作製する。なお、ベルト補強層における、有機繊維コードの打ち込み本数は、50本/50mmである。
該タイヤに対して、以下の方法で、耐久性、及び転がり抵抗を評価する。
(1)耐久性
供試タイヤをJATMAで規定の正規リムに組み、適正内圧を充填し、適正荷重を負荷して、ドラム試験機で、速度120km/hからスタートし、20分毎に速度を10km/hずつステップアップさせながら走行させ、故障発生時の速度を測定することにより、耐久性を評価する。結果は、比較例1を100として指数表示する。指数値が小さいほど、結果は良好である。
供試タイヤをJATMAで規定の正規リムに組み、適正内圧を充填し、適正荷重を負荷して、ドラム試験機で、速度120km/hからスタートし、20分毎に速度を10km/hずつステップアップさせながら走行させ、故障発生時の速度を測定することにより、耐久性を評価する。結果は、比較例1を100として指数表示する。指数値が小さいほど、結果は良好である。
(2)転がり抵抗
供試タイヤをJATMAで規定の正規リムに組み、適正内圧を充填し、適正荷重を負荷して、速度80km/hのドラムテストにて、タイヤの転がり抵抗を測定する。結果は、比較例1の転がり抵抗を100として指数表示する。指数値が大きいほど、転がり抵抗が小さく、優れていることを示す。
供試タイヤをJATMAで規定の正規リムに組み、適正内圧を充填し、適正荷重を負荷して、速度80km/hのドラムテストにて、タイヤの転がり抵抗を測定する。結果は、比較例1の転がり抵抗を100として指数表示する。指数値が大きいほど、転がり抵抗が小さく、優れていることを示す。
*9 芳香族ジカルボン酸の比率: ジカルボン酸中の芳香族ジカルボン酸の比率
*10 Ny66: ナイロン66
*11 半芳香族ポリアミド: 主にテレフタル酸と1,9−ジアミンナノンからなるポリアミド
*10 Ny66: ナイロン66
*11 半芳香族ポリアミド: 主にテレフタル酸と1,9−ジアミンナノンからなるポリアミド
表1から、本発明に従う実施例1のタイヤは、耐久性及び転がり抵抗に優れることが分かる。
1:ビード部、 2:サイドウォール部、 3:トレッド部、 4:ビードコア、 5:カーカス、 6:ベルト、 7A,7B:ベルト補強層
Claims (28)
- ポリフェノール類と、アルデヒド類と、を含む接着剤組成物で処理した有機繊維コードを具えるタイヤにおいて、
前記有機繊維コードが、芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、非芳香族ジアミンと、の重縮合物、又は、非芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジアミンを含むジアミンと、の重縮合物からなる半芳香族ポリアミドのフィラメントを含むことを特徴とする、タイヤ。 - 前記タイヤが、一対のビード部間にトロイド状に延在するカーカスを具え、
前記カーカスが、前記有機繊維コードを含む、請求項1に記載のタイヤ。 - 前記タイヤが、トレッド部に配置したベルトと、該ベルトのタイヤ半径方向外側に配置したベルト補強層と、を具え、
前記ベルト補強層が、前記有機繊維コードを含む、請求項1又は2に記載のタイヤ。 - 前記ポリフェノール類が、3つ以上の水酸基を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記アルデヒド類が、芳香族環を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記アルデヒド類が、2つ以上のアルデヒド基を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記接着剤組成物が、更にイソシアネート化合物を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記イソシアネート化合物が、(ブロックド)イソシアネート基含有芳香族化合物である、請求項7に記載のタイヤ。
- 前記接着剤組成物が、更にゴムラテックスを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記ゴムラテックスが、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル−ブタジエンゴム(NBR)及びビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(Vp)からなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項9に記載のタイヤ。
- 前記半芳香族ポリアミドが、芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、非芳香族ジアミンと、の重縮合物である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記非芳香族ジアミンが、脂肪族ジアミン及び脂環族ジアミンの少なくとも一方である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記有機繊維コードは、ガラス転移温度が80〜230℃である、請求項1〜12のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記有機繊維コードは、100℃における動的弾性率(E’100℃)と25℃における動的弾性率(E’25℃)との比(E’100℃/E’25℃)が0.7〜1.0である、請求項1〜13のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記有機繊維コードは、水分率が0.1〜2.0質量%である、請求項1〜14のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記有機繊維コードは、25℃における損失正接(tanδ25℃)と100℃における損失正接(tanδ100℃)との比(tanδ25℃/tanδ100℃)が0.7〜1.0である、請求項1〜15のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記有機繊維コードは、25℃における損失正接(tanδ25℃)が0.01〜0.06である、請求項1〜16のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記有機繊維コードは、前記ジカルボン酸中の前記芳香族ジカルボン酸の比率が50mol%以上である、請求項1〜17のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記芳香族ジカルボン酸中の、芳香環が1つである芳香族ジカルボン酸の比率が20mol%以上である、請求項1〜18のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記芳香族ジカルボン酸中の、芳香環が2つである芳香族ジカルボン酸の比率が20mol%以上である、請求項1〜19のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記芳香族ジカルボン酸中の、芳香環が3つである芳香族ジカルボン酸の比率が20mol%以上である、請求項1〜20のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記ジアミン中の、炭素原子数7〜12のジアミンの比率が20mol%以上である、請求項1〜21のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記有機繊維コードは、前記半芳香族ポリアミドのフィラメントと、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリケトン繊維、ガラス繊維、炭素繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維及びポリアリレート繊維からなる群から選ばれる少なくとも一種の繊維と、のハイブリッドコードである、請求項1〜22のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記有機繊維コードは、下記式(1):
α1=N1×(0.125×D1/ρ)1/2×10−3 (1)
[式(1)中、N1は下撚り数(回/10cm)であり、D1は下撚り糸1本の繊度(dtex)であり、ρは有機繊維コードの密度(g/cm3)である]で定義される下撚係数α1が0.1〜0.9であり、
下記式(2):
α2=N2×(0.125×D2/ρ)1/2×10−3 (2)
[式(2)中、N2は上撚り数(回/10cm)であり、D2は有機繊維コードの総繊度(dtex)であり、ρは有機繊維コードの密度(g/cm3)である]で定義される上撚係数α2が0.1〜1.2である、請求項1〜23のいずれか1項に記載のタイヤ。 - 前記下撚係数α1が0.1〜0.5であり、前記上撚係数α2が0.1〜0.7である、請求項24に記載のタイヤ。
- 前記下撚り数N1が10〜30回/10cmである、請求項24又は25に記載のタイヤ。
- 前記上撚り数N2が10〜30回/10cmである、請求項24〜26のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記有機繊維コードは、総繊度が1000〜8000dtexである、請求項1〜27のいずれか1項に記載のタイヤ。
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