JP2021140095A - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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拓也 小峯
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靖芳 藤井
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貴裕 北川
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正泰 伊藤
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Abstract

【課題】逆波長分散フィルムとしてプロセス適合性及び耐久信頼性の観点から高温高湿下においても安定して高い位相差を発現するフィルムの提供。【解決手段】特定のセルロ−ス系樹脂30重量%以上99重量%以下およびエステル系樹脂1重量%以上70重量%以下を含有する長尺状の樹脂組成物フィルムを、長手方向に搬送しながら幅方向に延伸する延伸工程、前記延伸工程後に幅方向に収縮させる収縮工程を有し、前記樹脂組成物フィルムのガラス転移温度(Tg)に対して、延伸工程における温度(T1)、収縮工程における収縮温度(T2)のいずれも(Tg−60)〜(Tg+20)℃の温度範囲である光学フィルムの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は位相差フィルム等に好適に用いることのできる光学フィルムの製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、位相差特性、波長依存性、湿熱時の位相差安定性に優れる光学フィルムを製造する方法に関する。
液晶ディスプレイは、マルチメディア社会における最も重要な表示デバイスとして、携帯電話、コンピュ−タ−用モニタ−、ノ−トパソコン、テレビまで幅広く使用されている。液晶ディスプレイには表示特性向上のため多くの光学フィルムが用いられている。特に光学フィルムは、正面や斜めから見た場合のコントラスト向上、色調の補償など大きな役割を果たしている。
液晶ディスプレイ関係の光学フィルムで代表的なものとして、位相差フィルムを挙げることができる。位相差フィルムは反射型液晶表示装置、タッチパネルや有機ELの反射防止層として用いられる。該用途では、特に長波長域ほど面内位相差が大きい位相差フィルム(以下、「逆波長分散フィルム」という)が求められている。例えば、有機EL用円偏光板用途で逆波長分散フィルムが用いられる場合、その位相差は測定波長λの1/4程度が好ましく、詳細には450nmにおける面内位相差と550nmにおける面内位相差の比Re(450)/Re(550)は0.80〜0.86に近いことが好ましい。このような要求特性に対し、種々の位相差フィルムが開発されている。
薄膜におけるReの発現が大きく、かつ、逆波長分散フィルムとして用いられる位相差フィルムとしてセルロース系樹脂および芳香族基や多環芳香族基を多く有する負の複屈折を示すエステル系樹脂を含有する位相差フィルムが提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
特開2015−157928号公報 特開2019−19303号公報
しかしながら現在、逆波長分散フィルムとしてプロセス適合性及び耐久信頼性の観点から高温高湿下においても安定して高い位相差を発現するフィルムが求められている。特許文献1および特許文献2に記載されている位相差フィルムは優れた位相差を発現するが、より高温高湿下に暴露しても位相差を安定的に保持する、耐湿熱性を有する位相差フィルムが求められている。
本発明者らが鋭意検討した結果、特定の共重合体を含む樹脂組成物を特定の条件で延伸加工することで得られるフィルムが、高い位相差を発現し、かつ、耐湿熱性も発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記式(1)で示されるセルロース系樹脂30重量%以上99重量%以下、およびエステル系樹脂1重量%以上70重量%以下を含有する長尺状の樹脂組成物フィルムを、長手方向に搬送しながら幅方向に延伸する延伸工程、前記延伸工程後に幅方向に収縮させる収縮工程を有し前記樹脂組成物フィルムのガラス転移温度(Tg)に対して、延伸工程における延伸温度(T)、収縮工程における収縮温度(T)のいずれも(Tg−60)〜(Tg+20)℃の温度範囲である光学フィルムの製造方法に関するものである。
Figure 2021140095
(式中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜12の置換基を示す。)
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、下記式(1)で示されるセルロース系樹脂30重量%以上99重量%以下、およびエステル系樹脂1重量%以上70重量%以下を含有する長尺状の樹脂組成物フィルムを、長手方向に搬送しながら幅方向に延伸する延伸工程、前記延伸工程後に幅方向に収縮させる収縮工程を有し、前記樹脂組成物フィルムのガラス転移温度(Tg)に対して、延伸工程における延伸温度(T)、収縮工程における収縮温度(T)のいずれも(Tg−60)〜(Tg+20)℃の温度範囲である光学フィルムの製造方法(以下、「本発明の製造方法」という)である。
本発明の製造方法において使用する原料は、式(1)で示されるセルロース系樹脂30重量%以上99重量%以下、およびエステル系樹脂1重量%以上70重量%以下を含有する樹脂組成物である。このような樹脂組成物を原料として得られた光学フィルムは高い位相差を発現する。
Figure 2021140095
(式中、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜12の置換基を示す。)
また本発明の製造方法において、延伸工程と収縮工程の全ての温度が(Tg−60)〜(Tg+20)℃の範囲内であることにより、収縮工程で得られた光学フィルムの残留応力が小さくなり、該フィルムは高温高湿下に暴露しても位相差を安定的に保持する高い耐湿熱性を発現する。
樹脂組成物のガラス転移温度 Tg は、動的粘弾性測定を引張で行い、周波数10Hzの測定条件で測定した損失正接tanδのピーク値を示す温度を用いることができる。動的粘弾性測定は一般的な動的粘弾性測定装置を用いることができる。
本発明の製造方法は、前記の特定の成分を配合した、フィルム形状の樹脂組成物(以下、「樹脂フィルム」という。)に対して延伸処理を行う延伸工程を有する。具体的には、連続的に長尺の樹脂フィルムを搬送して供給し、この樹脂フィルムを搬送方向に対して横方向に延伸する。
延伸工程においては、樹脂フィルムの搬送方向に対して直交する方向(以下、「横方向」という。)に延伸処理を行う。樹脂フィルムに対しては、横方向に延伸処理を行うだけでもよく、搬送方向(以下、「縦方向」という。)への延伸処理も行うこともできる。縦方向に延伸を行う場合、横方向への延伸加工の前後に、縦方向への延伸加工を逐次的に行う方法、縦及び横方向の延伸を同時に行う方法、いずれの方法を採用することができる。
本発明に適した上記延伸方法としては、例えば、横一軸延伸方法、縦横同時二軸延伸方法、縦横逐次二軸延伸方法が挙げられる。延伸する手段としては、テンター延伸機、二軸延伸機等々の任意の適切な延伸機が用いられ得る。延伸方向は、フィルム幅方向や斜め方向に延伸するのが良い。
テンター延伸機を使用する場合、延伸工程は、延伸可能な温度条件下で樹脂フィルムを横方向に延伸することで行われる。テンター延伸機にはフィルムの延伸パターンに沿ったレールと、樹脂フィルムを把持するためのクリップが備わっている。レールを調整することで延伸倍率を調整することができる。所望の倍率のとおりに設定したレール上を、樹脂フィルムを把持したクリップを走らせることで樹脂フィルムを延伸することができる。
延伸工程における温度(以下、「T」という。)は、樹脂フィルムの原料となる樹脂組成物のガラス転移温度(以下、「Tg」という。)に対し、
Tg−60℃ ≦ T ≦ Tg+20℃
の条件を満たす温度範囲であることが好ましく、
Tg−30℃ ≦ T ≦ Tg+20℃
の条件を満たす温度範囲であることがさらに好ましい。これにより、残留応力が小さく、かつ、位相差特性が優れたフィルムが得られる。用いる樹脂組成物により異なるが、Tは100℃以上200℃以下の範囲を例示することができ、好ましくは130℃以上200℃以下の範囲を挙げることができる。
樹脂フィルムの延伸の倍率(以下、「延伸倍率」という。)は、得られるフィルムが良好な位相差特性を発現することから、1.05倍以上4.0倍以下が好ましく、1.1倍以上3.5倍以下がさらに好ましい。ここで延伸倍率は、以下の式で計算することができる。
延伸倍率 = (延伸ゾーン出口におけるチャック間距離)
/(延伸ゾーン入口におけるチャック間距離)
ここで、延伸ゾーンとは、フィルムを広げるためレールの勾配が始まる位置を入り口、レールの勾配がなくなるか、フィルムを収縮させるため狭まる地点のいずれかを出口とし、その入口〜出口のゾーンを意味する。
このように、延伸温度及び延伸倍率を調整することで、得られる延伸フィルムの面内位相差を制御することができる。
延伸工程における樹脂フィルムの搬送速度は、機械精度、安定性等から好ましくは0.5m/分以上30m/分以下の範囲を例示することができ、より好ましくは1m/分以上20m/分以下の範囲を挙げることができる。
本発明の製造方法においては、延伸工程により得られた樹脂フィルムに対して収縮処理を行う収縮工程を有する。具体的には、延伸加工された樹脂フィルムを延伸方向と反対向きに収縮させる。これにより、延伸加工された樹脂伸フィルム内に溜まった残留応力を緩和させることができ、得られるフィルムは、長期間の経過を経てもなお、高い位相差を発現する。
テンター延伸機を使用する場合、収縮工程は、所望の温度条件下で樹脂フィルムを横方向に収縮することで行われる。レールを調整することで収縮率を調整することができる。所望の収縮率のとおりに設定したレール上を、樹脂フィルムを把持したクリップを走らせることで樹脂フィルムを収縮させることができる。
樹脂フィルムの収縮率(以下、「収縮率」という。)は、0.5%以上5.0%以下であることが好ましく、0.5%以上3.0%倍以下であることがさらに好ましい。ここで収縮率は、以下の式で計算することができる。
収縮率 = [(緩和ゾーン入口におけるチャック間距離)
− (緩和ゾーン出口におけるチャック間距離)]
/ (緩和ゾーン入口におけるチャック間距離) × 100
ここで、緩和ゾーンとは、フィルムを収縮させるためレールの狭める方向での勾配が始まる位置を入り口、レールの終端(フィルムからクリップを外す地点)を出口とし、その入口〜出口のゾーンを意味する。
収縮率は、以下の式(a)と同義でもある。
収縮率=(延伸工程後のフィルム幅−収縮工程後のフィルム幅)
/延伸後のフィルム幅×100 (a)
収縮工程における温度(以下、「T」という。)は、樹脂フィルムの原料となる樹脂組成物のTgに対し、
Tg−60℃ ≦ T ≦ Tg+20℃
の条件を満たす温度範囲であることが好ましく、
Tg−50℃ ≦ T ≦ Tg
の条件を満たす温度範囲であることがさらに好ましい。これにより、残留応力が小さく、かつ、位相差特性が優れたフィルムが得られる。用いる樹脂組成物により異なるが、収縮温度は100℃以上200℃以下の範囲を例示することができ、好ましくは110℃以上180℃以下の範囲を挙げることができる。
そして、本発明の製造方法において、延伸工程の温度 T と収縮工程の温度 T は、以下の条件
0℃ ≦ T − T ≦ 20℃
を満たす温度範囲であることが好ましく、
5℃ ≦ T − T ≦ 20℃
の条件を満たす温度範囲であることがさらに好ましい。これにより、残留応力が緩和され、良好な位相差特性を発現するフィルムを得ることが可能となる。
本発明の製造方法は、さらなる収縮工程を採用し、多段階の収縮工程とすることができる。この場合、前記収縮工程を前段たる第1収縮工程、後段を第2収縮工程と呼称し、第1収縮工程後に、樹脂フィルムを第1収縮工程と同じ方向に収縮させる第2収縮工程を行うことを意味する。
第1収縮工程の温度 Tと、第2収縮工程の温度(以下、「T」という。)(℃)とは、以下の条件
0℃ < T − T ≦ 20℃
を満たす温度範囲であることが好ましく、
5℃ ≦ T − T ≦ 20℃
の条件を満たす温度範囲であることがさらに好ましい。
本発明の製造方法で用いる樹脂フィルムは、前記式(1)で示されるセルロース系樹脂30重量%以上99重量%以下およびエステル系樹脂1重量%以上70重量%以下を含有する樹脂組成物をフィルム状に成形したものである。
樹脂組成物におけるセルロース樹脂としては、例えば、セルロース及び/またはセルロース誘導体を例示できる。セルロース誘導体としては、セルロースにおける水酸基の少なくとも一部がエーテル化されたセルロースエーテル、同様に水酸基の少なくとも一部がエステル化されたセルロースエーテルエステル等が挙げられる。そして、本発明の樹脂組成物は、これらのセルロース樹脂を1種または2種以上含有していてもよい。
本発明において、セルロース樹脂の置換度(以下、「DS」という。)は、1.5以上2.95以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.8以上2.8以下である。これにより、本発明の樹脂組成物は、その溶解性、相溶性、延伸加工性の点でより優れる。ここでDSとは、セルロース誘導体において、セルロースの水酸基が置換されている割合として定義でき、100%置換している場合はDS=3を意味する。DSの測定方法は、第十七改正日本薬局方に記載のように、セルロースを誘導体とする反応後の置換基の脱離後のガスクロマトグラフィーピーク面積から計算することができる。置換基が2種類以上ある場合、それぞれ分けて置換度を表記する。エチルセルロースを用いる場合、DSはエチル基の置換度である。
セルロース樹脂は、機械特性に優れ、製膜時の成形加工性に優れたものとなることから、ゲル・パ−ミエイション・クロマトグラフィ−(GPC)により測定した溶出曲線より得られる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1×10〜1×10であることが好ましく、5×10〜2×10であることがさらに好ましい。
セルロース樹脂は、セルロースエーテルであることが好ましい。これにより、負の複屈折性を示すエステル系樹脂との相溶性の点でより優れ、かつ、得られる組成物の面内位相差Reがより大きく、更に延伸加工性に優れる。
セルロースエーテルは、β−グルコース単位が直鎖状に重合した高分子であり、グルコ−ス単位の2位、3位および6位の水酸基の一部または全部をエーテル化したポリマ−である。
式(1)のセルロースエーテルにおいては、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜12の置換基を表す。溶解性、相溶性の点から、R〜Rは炭素数1〜12の置換基であることが好ましい。炭素数1〜12の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デカニル基、ドデカニル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、フェノニル基、ベンジル基、ナフチル基等を挙げることができる。これらの中でも、溶解性、相溶性の点から、炭素数1〜5のアルキル基であるメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基からなる群の1種が好ましい。
本発明で用いるセルロースエーテルの水酸基は、1種類のエーテル基で置換されていてもよく、2種類以上のエーテル基で置換された、例えばエチルメチルセルロース等でもよい。また、エーテル基の他にエステル基で置換されていてもよい。
セルロースエーテルとしては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース等のアルキルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース;ベンジルセルロース、トリチルセルロース等のアラルキルセルロース;シアノエチルセルロース等のシアノアルキルセルロース;カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等のカルボキシアルキルセルロース;カルボキシメチルメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース等のカルボキシアルキルアルキルセルロース;アミノエチルセルロース等のアミノアルキルセルロース等が挙げられる。セルロースエーテルは、メチルセルロース、エチルセルロースまたはプロピルセルロースからなる群の少なくとも1種であることが好ましい。これにより、ケイ皮酸エステル共重合体との相溶性の点でより優れたものとなる。
セルロースエーテルは一般に、木材又はコットンより得たセルロースパルプをアルカリ分解し、アルカリ分解したセルロースパルプをエーテル化することで合成される。アルカリとしては、リチウム,カリウム,ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物やアンモニアなどが利用できる。前記アルカリは一般に、水溶液として使用される。そして、アルカリ分解されたセルロースパルプは、エーテル化剤と接触されることによりエーテル化されるものである。エーテル化剤としては、例えば、塩化メチル、塩化エチル等のハロゲン化アルキル;ベンジルクロライド、トリチルクロライド等のハロゲン化アラルキル;モノクロロ酢酸、モノクロロプロピオン酸等のハロカルボン酸;エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド等が挙げられる。目的とするセルロース誘導体の種類に応じて所望のエーテル化剤を用いればよく、エーテル化剤は単独又は二種以上組み合わせて使用できる。
例えば、セルロース樹脂をエーテル化する場合には、アルカリ処理後に塩化物等でエーテル化反応を行う方法を例示できる。
なお、必要であれば、エーテル化後、粘度調整のため塩化水素、臭化水素、塩酸、及び硫酸等で解重合処理してもよい。
樹脂組成物におけるエステル系樹脂は、負の複屈折性を示す。これは、エステル系樹脂が特定のエステル残基単位を有することに起因する。負の複屈折を示すエステル残基単位としては、例えば、ケイ皮酸エステル残基単位、(メタ)アクリル酸エステル残基単位、フマル酸エステル残基単位等が挙げられ、これらの1種または2種以上が挙げられる。
ここで複屈折の正負は以下に示すように定義される。
負の複屈折とは延伸方向が進相軸方向となるものであり、正の複屈折とは延伸方向の垂直方向が進相軸方向となるものである。
つまり、一軸延伸すると延伸軸と直交する軸方向の屈折率が小さく(進相軸:延伸方向の垂直方向)なるものを正の複屈折を示す樹脂、一軸延伸すると延伸軸方向の屈折率が小さく(進相軸:延伸方向)なるものを負の複屈折を示す樹脂という。
エステル系樹脂は、負の複屈折の発現性が大きく、光学フィルムの薄膜化が図れるため、以下の式(2)で示されるケイ皮酸エステル残基単位および以下の式(3)で示される残基単位を含むエステル系樹脂であることが好ましい。
Figure 2021140095
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を示す。R5はニトロ基、ブロモ基、ヨード基、シアノ基、クロロ基、スルホン酸基、カルボン酸基、フルオロ基、またはチオール基からなる群の1種を示す。Rは水素原子、ニトロ基、ブロモ基、ヨード基、シアノ基、クロロ基、スルホン酸基、カルボン酸基、フルオロ基、フェニル基、チオール基、アミド基、アミノ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、または炭素数1〜12のアルキル基からなる群の1種を示す。)
Figure 2021140095
(式中、Rはヘテロ原子として窒素原子もしくは酸素原子を1つ以上含む5員環複素環残基または6員環複素環残基(前記5員環複素環残基および前記6員環複素環残基は他の環状構造と縮合環構造を形成してもよい)を示す。)
式(2)におけるRとしては、水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を示す。炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロキル基、n−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、エチルヘキシル基を例示できる。
式(2)におけるR5としては、ニトロ基、ブロモ基、ヨード基、シアノ基、クロロ基、スルホン酸基、カルボン酸基、フルオロ基、チオール基を示す。
式(2)におけるRとしては、水素原子、ニトロ基、ブロモ基、ヨード基、シアノ基、クロロ基、スルホン酸基、カルボン酸基、フルオロ基、フェニル基、チオール基、アミノ基、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数1〜12のアルコキシ基を示す。
具体的な式(2)で表される残基単位としては、例えば、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸メチル残基単位、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸エチル残基単位、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エチル残基単位、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸エチル残基単位、α−シアノ−2,4−ジヒドロキシケイ皮酸メチル残基単位等のα−シアノ−ヒドロキシケイ皮酸エステル残基単位;α−シアノ−4−カルボキシケイ皮酸メチル残基単位、α−シアノ−4−カルボキシケイ皮酸エチル残基単位、α−シアノ−2,3−ジカルボキシケイ皮酸メチル残基単位、α−シアノ−2,3−ジカルボキシケイ皮酸エチル残基単位等のα−シアノ−カルボキシケイ皮酸エステル残基単位;α−シアノ−2−カルボキシ−3−ヒドロキシケイ皮酸メチル残基単位、α−シアノ−2−カルボキシ−3−ヒドロキシケイ皮酸エチル残基単位等のα−シアノ−カルボキシ−ヒドロキシケイ皮酸エステル残基単位;ヒドロキシベンジリデンマロン酸ジメチル残基単位、ヒドロキシベンジリデンマロン酸ジエチル残基単位、ヒドロキシベンジリデンマロン酸ジn−プロピル残基単位、ヒドロキシベンジリデンマロン酸ジイソプロピル残基単位等のヒドロキシベンジリデンマロン酸ジエステル残基単位;カルボキシベンジリデンマロン酸ジメチル残基単位、カルボキシベンジリデンマロン酸ジエチル残基単位、カルボキシベンジリデンマロン酸ジn−プロピル残基単位、カルボキシベンジリデンマロン酸ジイソプロピル残基単位等のカルボキシベンジリデンマロン酸ジエステル残基単位;からなる群の1種であることが好ましく、α−シアノ−ヒドロキシケイ皮酸エステル残基単位;α−シアノ−カルボキシケイ皮酸エステル残基単位;カルボキシベンザルマロノニトリル残基単位、ヒドロキシベンジリデンマロン酸ジエステル残基単位、カルボキシベンジリデンマロン酸ジエステル残基単位からなる群の1種であることがさらに好ましい。
エステル系樹脂において、式(2)で表される残基単位は前記例示における残基単位を1種含んでいてもよく、2種以上の複数種含んでもよい。
式(3)におけるRは、ヘテロ原子として窒素原子もしくは酸素原子を1つ以上含む5員環複素環残基または6員環複素環残基(前記5員環複素環残基および前記6員環複素環残基は他の環状構造と縮合環構造を形成してもよい)を示す。
具体的な式(3)で表される残基単位としては、例えば、1−ビニルピロール残基単位、2−ビニルピロール残基単位、1−ビニルインドール残基単位、9−ビニルカルバゾール残基単位、2−ビニルキノリン残基単位、4−ビニルキノリン残基単位、N−ビニルフタルイミド残基単位、N−ビニルスクシンイミド残基単位、2−ビニルフラン残基単位、2-ビニルベンゾフラン残基単位、スチレン残基単位、2−ビニルナフタレン残基単位からなる群の1種が好ましく、9−ビニルカルバゾール残基単位またはN−ビニルフタルイミド残基単位がさらに好ましい。
エステル系樹脂において、前記式(2)のケイ皮酸エステル残基単位に係る単量体成分は、全単量体成分の合計100mol%に対し21mol%以上50mol%以下を含むことが好ましい。
エステル系樹脂は、前記式(2)および(3)以外に、下記式(4)で表される残基単位を有することが好ましい。
Figure 2021140095
(式中、R、Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数3〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜6の環状アルキル基からなる群の1種を示す。)
式(4)で示される残基単位におけるR、Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数3〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜6の環状アルキル基からなる群の1種を示す。
、Rにおける炭素数1〜12の直鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
、Rにおける炭素数1〜12の分岐状アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
、Rにおける炭素数3〜6の環状アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
式(4)におけるR、Rとしては、光の波長450nmにおける面内位相差(Re)と光の波長550nmにおける面内位相差(Re)の比Re(450)/Re(550)が良好となることから、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、3−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソへキシル基、ネオへキシル基からなる群の1種であることが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基からなる群の1種であることがさらに好ましい。
式(4)で表される残基単位は、アクリル樹脂残基単位であることが好ましい。式(4)で表されるアクリル樹脂残基単位の具体的な例示として、アクリル酸残基単位、メタクリル酸残基単位、2−エチルアクリル酸残基単位、2−プロピルアクリル酸残基単位、2−イソプロピルアクリル酸残基単位、2−ペンチルアクリル酸残基単位、2−ヘキシルアクリル酸残基単位、アクリル酸メチル残基単位、アクリル酸エチル残基単位、アクリル酸n−プロピル残基単位、アクリル酸イソプロピル残基単位、アクリル酸n−ブチル残基単位、アクリル酸イソブチル残基単位、アクリル酸sec−ブチル残基単位、アクリル酸n−ペンチル残基単位、アクリル酸イソペンチル残基単位、アクリル酸sec−ペンチル残基単位、アクリル酸3−ペンチル残基単位、アクリル酸ネオペンチル残基単位、アクリル酸n−へキシル残基単位、アクリル酸イソへキシル残基単位、アクリル酸ネオへキシル残基単位、メタクリル酸メチル残基単位、メタクリル酸エチル残基単位、メタクリル酸n−プロピル残基単位、メタクリル酸イソプロピル残基単位、メタクリル酸n−ブチル残基単位、メタクリル酸イソブチル残基単位、メタクリル酸sec−ブチル残基単位、メタクリル酸n−ペンチル残基単位、メタクリル酸イソペンチル残基単位、メタクリル酸sec−ペンチル残基単位、メタクリル酸3−ペンチル残基単位、メタクリル酸ネオペンチル残基単位、メタクリル酸n−へキシル残基単位、メタクリル酸イソへキシル残基単位、メタクリル酸ネオへキシル残基単位、2−エチルアクリル酸メチル残基単位、2−エチルアクリル酸エチル残基単位、2−エチルアクリル酸n−プロピル残基単位、2−エチルアクリル酸イソプロピル残基単位、2−エチルアクリル酸n−ブチル残基単位、2−エチルアクリル酸イソブチル残基単位、2−エチルアクリル酸sec−ブチル残基単位等が挙げられる。
このなかでも、光の波長450nmにおける面内位相差(Re)と光の波長550nmにおける面内位相差(Re)の比Re(450)/Re(550)が良好となることから、アクリル酸メチル残基単位、アクリル酸エチル残基単位、アクリル酸n−プロピル残基単位、アクリル酸イソプロピル残基単位、アクリル酸n−ブチル残基単位、アクリル酸イソブチル残基単位、アクリル酸sec−ブチル残基単位、メタクリル酸メチル残基単位、メタクリル酸エチル残基単位、メタクリル酸n−プロピル残基単位、メタクリル酸イソプロピル残基単位、メタクリル酸n−ブチル残基単位、メタクリル酸イソブチル残基単位、メタクリル酸sec−ブチル残基単位、メタクリル酸メチル残基単位、メタクリル酸エチル残基単位、メタクリル酸n−プロピル残基単位、メタクリル酸イソプロピル残基単位、メタクリル酸n−ブチル残基単位、メタクリル酸イソブチル残基単位、メタクリル酸sec−ブチル残基単位からなる群の1種であることが好ましく、メタクリル酸メチル残基単位、メタクリル酸エチル残基単位、メタクリル酸n−プロピル残基単位、メタクリル酸イソプロピル残基単位、メタクリル酸n−ブチル残基単位、メタクリル酸イソブチル残基単位、メタクリル酸sec−ブチル残基単位からなる群の1種であることがさらに好ましい。
エステル系樹脂は、式(2)で表されるケイ皮酸エステル残基単位、式(3)で表される残基単位および式(4)で表される残基単位を含むことが好ましい。エステル系樹脂は、良好な相溶性を発現し、異種ポリマーとの複合化を容易にするのにより好適なものとなることから、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸エステル−スチレン−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸エステル−2−ビニルナフタレン−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸エステル−1−ビニルインドール−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸エステル−9−ビニルカルバゾール−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エステル−スチレン−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エステル−2−ビニルナフタレン−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エステル−1−ビニルインドール−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エステル−9−ビニルカルバゾール−アクリル酸エステル共重合体、4−ヒドロキシ−α−シアノケイ皮酸エステル−スチレン−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸エステル−2−ビニルナフタレン−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸エステル−1−ビニルインドール−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸エステル−9−ビニルカルバゾール−アクリル酸エステル共重合体、2−ヒドロキシ−α−シアノケイ皮酸エステル−スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、2−ヒドロキシ−α−シアノケイ皮酸エステル−2−ビニルナフタレン−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸エステル−1−ビニルインドール−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸エステル−9−ビニルカルバゾール−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エステル−スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エステル−2−ビニルナフタレン−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エステル−1−ビニルインドール−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エステル−9−ビニルカルバゾール−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸エステル−スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸エステル−2−ビニルナフタレン−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸エステル−1−ビニルインドール−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸エステル−9−ビニルカルバゾール−メタクリル酸エステル共重合体からなる群の1種が好ましい。
エステル系樹脂は、式(2)で表される残基単位、式(3)で表される残基単位および式(4)で表される残基単位を含んでなることにより、より薄膜においても高い位相差を発現することを特徴とする。
エステル系樹脂において、前記式(2)のケイ皮酸エステル残基単位に係る単量体成分は、全単量体成分の合計100mol%に対し21mol%以上50mol%以下を含むことが好ましい。式(3)で表される残基単位は全単量体成分の合計100mol%に対し21mol%以上65mol%以下を含むことが好ましい。
エステル系樹脂が式(2)及び式(3)の残基単位を含む場合、式(2)に係る単量体成分は、式(2)と式(3)の合計100mol%に対し21mol%以上70mol%以下含むことが好ましく、35mol%以上60mol%以下含むことが好ましい。
エステル系樹脂が式(2)、式(3)及び式(4)の残基単位を含む場合、各残基単位成分の含有量は
式(2) 21mol%以上49mol%以下
式(3) 35mol%以上60mol%以下
式(4) 1mol%以上30mol%以下
であることが好ましい。これにより、本発明の樹脂組成物をフィルムとして使用する際の位相差特性により優れる。
ここで、エステル系樹脂の組成比は、H−NMRにより測定することができる。
エステル系樹脂は、前記式(2)〜(4)以外の単量体残基単位を含有してもよい。そのような単量体残基単位としては、例えば、スチレン残基、α−メチルスチレン残基などのスチレン類残基;アクリル酸残基;アクリル酸エステル残基;メタクリル酸残基;メタクリル酸エステル残基;酢酸ビニル残基、プロピオン酸ビニル残基などのビニルエステル類残基;メチルビニルエーテル残基、エチルビニルエーテル残基、ブチルビニルエーテル残基などのビニルエーテル残基;N−メチルマレイミド残基、N−シクロヘキシルマレイミド残基、N−フェニルマレイミド残基などのN−置換マレイミド残基;アクリロニトリル残基;メタクリロニトリル残基;ケイ皮酸残基;フマル酸エステル残基;フマル酸残基;エチレン残基、プロピレン残基などのオレフィン類残基等の1種または2種以上を挙げることができる。
エステル系樹脂は、特に機械特性に優れ、製膜時の成形加工性に優れたものとなることから、ゲル・パ−ミエイション・クロマトグラフィ−(GPC)により測定した溶出曲線より得られる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1×10〜5×10のものであることが好ましく、5×10〜3×10であることがさらに好ましい。
エステル系樹脂の製造方法としては、該共重合体が得られる限りにおいて如何なる方法により製造してもよく、ラジカル重合を行うことにより製造することができる。
ラジカル重合の方法としては、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法等のいずれもが採用可能である。
本発明の樹脂組成物におけるセルロース系樹脂とエステル系樹脂の組成の割合は、セルロース系樹脂30重量%以上99重量%以下およびエステル系樹脂1重量%以上70重量%以下である。セルロース系樹脂が30重量%未満の場合(エステル系樹脂が70重量%を超える場合)、またはセルロース系樹脂が99重量%を超える場合(エステル系樹脂が1重量%未満の場合)は、位相差の制御が困難である。好ましくは、セルロース系樹脂30重量%以上90重量%以下およびエステル系樹脂10重量%以上70重量%以下であり、さらに好ましくはセルロース系樹脂40重量%以上80重量%以下およびエステル系樹脂20重量%以上60重量%以下である。
樹脂組成物は、熱安定性を向上させるために酸化防止剤を含有していても良い。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ヒドロキシルアミン系酸化防止剤、ビタミンE系酸化防止剤、その他酸化防止剤が挙げられ、これら酸化防止剤はそれぞれ単独でもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
樹脂組成物は、耐候性を高めるためヒンダ−ドアミン系光安定剤や紫外線吸収剤を含有していてもよい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾ−ル、ベンゾフェノン、トリアジン、ベンゾエ−ト等が挙げられる。
樹脂組成物は、発明の主旨を超えない範囲で、その他ポリマ−、界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、顔料、染料、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤等を含有していてもよい。
樹脂組成物は、セルロース系樹脂とエステル系樹脂をブレンドすることにより得ることができる。ブレンドの方法としては、溶融ブレンド、溶液ブレンド等の方法を用いることができる。溶融ブレンド法とは、加熱により樹脂等を溶融させて混練することにより製造する方法である。溶液ブレンド法とは樹脂等を溶剤に溶解しブレンドする方法である。溶液ブレンドに用いる溶剤としては、樹脂等を溶解できる溶剤であればいかなる溶剤であっても構わないが、製膜工程にて、残溶剤が残りにくい様、溶剤の沸点は200℃以下が好ましく、170℃以下がより好ましい。
該溶剤としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;フェノール、クロロフェノールなどのフェノール類; ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、メシチレン、ジメトキシベンゼンなどの芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘ キサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどのケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールのようなアルコール系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒;アセトニトリル、ブチロニトリルのようなニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル系溶媒;二硫化炭素、エチルセロソルブ、ブチルセルソルブなどを単独または混合した溶媒が挙げられる。
樹脂組成物は、長尺状のフィルム形状で本発明の製造方法の延伸工程に供される。以下に該長尺状のフィルム(以下、「樹脂組成物フィルム」という。)の製造方法を説明する。
樹脂組成物フィルムの製造方法としては、如何なる方法を用いてもよいが、溶液キャスト法により製造することが好ましい。ここで、溶液キャスト法とは、樹脂溶液(一般にはド−プと称する。)を支持基材上に流延した後、加熱することにより溶媒を蒸発させてフィルムを得る方法である。塗工方法は特に制限されず、通常の方法を採用できる。例えば、Tダイ法、ドクタ−ブレ−ド法、バ−コ−タ−法、スロットダイ法、リップコ−タ−法、リバースグラビアコート法、マイクログラビア法、スピンコート法、刷毛塗り法、ロールコート法、フレキソ印刷法などがあげられる。また、用いられる支持基材としては、特に制限はないが、例えばポリエステルやポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン、トリアセチルセルロースやポリビニルアルコール、ポリイミドやポリアリレート、ポリスルホンやポリエーテルスルホン、エポキシ系樹脂等からなる高分子基材、ガラス板や石英基板などのガラス基材、アルミやステンレスやフェロタイプ等の金属基材、セラミックス基板などの無機基材等が挙げられる。上記基材として好ましくは、高分子基材または金属基材である。
樹脂組成物フィルムを製造する際の樹脂溶液の粘度は、各成分の分子量、濃度、溶媒の種類で調整可能である。樹脂溶液の粘度としては特に制限はないが、フィルム塗工性をより容易にするため、好ましくは100〜30000cps、さらに好ましくは300〜20000cps、特に好ましくは500〜15000cpsである。
塗工溶液の乾燥工程における乾燥方法は特に制限されず、通常の加熱手段を採用できる。例えば、熱風器、加熱ロール、遠赤外線ヒーター等があげられる。
樹脂組成物フィルムの製造方法では、乾燥温度が1段のみの条件でも構わないし、外観保持や乾燥時間短縮のため、1段階目に低温で乾燥し、2段階目以降に高温で乾燥するような多段階乾燥でも構わない。
本発明において、ドープに対する樹脂組成物の濃度は、溶解、製膜が可能な限り特に限定されない。樹脂組成物の溶解を実施する方法は、溶解する段階で所定の濃度になるように実施してもよく、また予め低濃度溶液として作製した後に濃縮工程で所定の高濃度溶液に調整してもよい。さらに、予め樹脂組成物の高濃度の樹脂溶液とした後に、種々の添加物を添加することで所定の低濃度の樹脂溶液としてもよい。
延伸工程に供する樹脂組成物フィルムの厚みは、延伸処理のし易さおよび光学部材の薄膜化への適合性の観点から、5〜200μmが好ましく、5〜150μmがさらに好ましく、5〜100μmが特に好ましい。
また、樹脂組成物フィルムの厚みは、画像表示装置の薄型化の観点から、5〜100μmが好ましく、5〜60μmがさらに好ましい。
本発明の製造方法で得られた光学フィルム(以下、「本発明の光学フィルム」という。)は、セルロース系樹脂の含有率、含有するセルロース系樹脂のDS、置換基の2位、3位、及び6位の置換度分布、並びに延伸倍率を調整することで所望の面内位相差を発現させることができる。
本発明の光学フィルムは、優れた位相差特性および優れた波長分散特性を有することを特徴とする。
本発明の光学フィルムは従来のセルロース系樹脂を用いたフィルムでは発現が困難な位相差特性を有している。
光学フィルムの位相差は、光学フィルムを備える機器や装置、構成部位により異なるものであり、例えば、面内位相差(Re)として、好ましくは50〜300nm、さらに好ましくは100〜300nm、特に好ましくは120〜280nmを挙げることができる。ここで、面内位相差(Re)は一般的な全自動複屈折計を用い、測定波長589nmの条件で測定された値と、以下の式(b)により計算された値である。
Re=(ny−nx)×d (b)
(式中、nxはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を示し、nyはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を示し、dはフィルム厚みを示す。)
本発明の光学フィルムの波長分散特性は、色ずれ抑制のため、好ましくは0.60<Re(450)/Re(550)<1.05であり、さらに好ましくは0.70<Re(450)/Re(550)<1.02であり、特に好ましくは0.75<Re(450)/Re(550)<1.00である。ここで、波長分散特性 Re(450)/Re(550) は、一般的な全自動複屈折計を用い、測定波長450nmの条件で測定された値 Re(450)と、測定波長550nmの条件で測定された値 Re(550)の比を計算した値である。
セルロース系樹脂単成分のフィルムは、低波長分散を示す。これに対し、セルロース系樹脂に、延伸方向に対して負の複屈折性を示すエステル系樹脂をブレンドした樹脂組成物のフィルムは、一般的に逆波長分散性を示す。
すなわち、これらの位相差特性および波長分散特性を同時に満足することは、一般的なセルロース系樹脂を用いた光学フィルムでは発現が困難であるが、本発明の光学フィルムはこれらの特性を同時に満足するものである。
本発明の光学フィルムは、画像表示装置の光量低下を避けるため、フィルム形状における透過率が好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。ここで光線透過率は全光線透過率を表し、JIS K 7361−1(1997版)に準拠し、白色光源を備えた透過率測定可能な装置を用い、波長380nmから780nmで測定した値である。ここで全光線透過率とは、本発明の光学フィルムに含有される組成物を、厚さ30μmのフィルムに成形して測定した際の値である。
本発明の光学フィルムのヘーズは、好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは1.5%以下である。前記範囲にヘーズを制御することにより、位相差フィルムとして表示装置に組み込んだ際に高コントラストの画像が得られる。ここでヘーズは、JIS−K 7136(2000年版)に準拠し、白色光源備えた一般的なヘーズメーターを用い、波長380nmから780nmで測定した値である。
本発明の光学フィルムは、高温高湿下でもその光学特性を安定して発現する。具体的には、65℃90%RH環境下500時間後における面内位相差(Re)の変化が加熱前の1%以下の光学フィルムであるであることが好ましい。
光学フィルム内の残留応力が、高温高湿下では、樹脂の配向へ影響を及ぼし易く、高温高湿下の位相差変動の要因となる。本発明の樹脂組成物は、正の複屈折をもつセルロース系樹脂と負の複屈折をもつエステル樹脂を含有するため、それぞれの複屈折が相殺され、残留応力によって発生する位相差変動は一般的な樹脂より小さいものとなる。さらに延伸工程後に収縮工程を導入する事で、残留応力をより小さくすることができるため、高温高湿下においても位相差安定性の優れた光学フィルムを提供することができるものである。
高温高湿下の環境における画面表示装置の光量低下をさけ、高コントラストの画像を維持するため、65℃90%RH環境下500時間後におけるヘーズが1%以下であることが好ましい。
本発明の光学フィルムの厚みは、光学部材の薄膜化への適合性の観点から、厚みが5〜200μmであることが好ましく、10〜100μmがさらに好ましく、10〜40μmがもっとも好ましい。
本発明の光学フィルムは、必要に応じて他樹脂を含むフィルムと積層することができる。他樹脂としては、例えば、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレート、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、マレイミド系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド等が挙げられる。また、液晶層やハードコート層、ガスバリア層、屈折率を制御した層(低反射層)を積層することも可能である。
本発明の光学フィルムは、液晶表示装置用、有機EL表示装置用等の用途に用いられる偏光板において、好適に用いられる。また、該偏光板は画像表示装置として好適に用いられる。
本発明の樹脂組成物を用いた光学フィルムは、薄膜で特定の位相差特性および特定の波長分散特性を示し、かつ、高温高湿環境下でもその光学特性を維持できることから、液晶ディスプレイ用光学フィルムや反射防止用フィルムとして有用である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例により示す諸物性は、以下の方法により測定した。
<重合体の解析>
重合体の構造解析は核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名:JNM−GX270)を用い、プロトン核磁気共鳴分光(H−NMR)スペクトル分析より求めた。
H−NMRスペクトル分析より組成比解析が困難な場合はJIS K 2501(2003版)石油製品及び潤滑油−中和価試験方法に則ってフマル酸モノエステル濃度を求めた。
<数平均分子量の測定>
ゲル・パ−ミエイション・クロマトグラフィ−(GPC)装置(東ソ−製、商品名:C0−8011(カラムGMHHR−Hを装着))を用い、テトラヒドロフラン、またはジメチルホルムアミドを溶媒として、40℃で測定し、標準ポリスチレン換算値として求めた。
<ガラス転移温度の測定>
作成したフィルムのガラス転移温度は、動的粘弾性測定装置(ユービーエム製、商品名:Rheogel−E4000)を用い、引張の測定方法で、周波数10Hz、昇温速度2℃/minの測定条件で測定した。測定した損失正接tanδのピーク値をガラス転移温度とした。
<光学フィルムの光線透過率およびヘーズの測定>
作成したフィルムの光線透過率およびヘーズはヘーズメーター、ヘ−ズメ−タ−(日本電色工業製、商品名:NDH5000、光源:白色LED(5V3W))を使用し、光線透過率の測定はJIS K 7361−1(1997版)に、ヘ−ズの測定はJIS−K 7136(2000年版)に、それぞれ準拠して測定した。
<位相差特性の測定>
試料傾斜型自動複屈折計(王子計測機器製、商品名:KOBRA−21ADH)を用いて波長589nmの光を用いて光学フィルムの位相差特性を測定した。
<波長分散特性の測定>
試料傾斜型自動複屈折計(王子計測機器製、商品名:KOBRA−21ADH、光源:ハロゲンランプ(12V100W))を用い、波長450nmの光による位相差Re(450)と波長550nmの光による位相差Re(550)の比として光学フィルムの波長分散特性を測定した。
<耐湿熱性の測定>
恒温恒湿器(ヤマト科学株式会社製、商品名:IG400)を用いて65℃90%RHの高湿環境下とし、500時間後のReを調べる(以下、「湿熱試験」という)ことで耐湿熱性の測定をした。
合成例1(ケイ皮酸エステル共重合体(9−ビニルカルバゾール/4−ヒドロキシ−α―シアノケイ皮酸イソブチル/アクリル酸イソブチル)の合成)
容量50mLのガラスアンプルに9−ビニルカルバゾール5.0g(0.020モル)、4−ヒドロキシ−α−シアノケイ皮酸イソブチル3.2g(0.013モル)、アクリル酸イソブチル1.7g(0.013モル)、重合開始剤である2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン0.093g(0.00022モル)およびエチルセロソルブ24.6gを入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを47℃の恒温槽に入れ、24時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルから重合物を取り出し、テトラヒドロフラン41gを加え、このポリマー溶液を330gのメタノール/水混合溶剤(重量比80/20)中に滴下して析出させ、ろ過した後、ろ過物を45gのメタノール/水混合溶剤(重量比90/10)で5回洗浄、ろ過した。得られた樹脂を80℃で10時間真空乾燥することにより、負の複屈折性を示すケイ皮酸エステル共重合体 9.2gを得た(収率:94%)。得られたB−1の数平均分子量は77,000であり、残基単位の比率は、9−ビニルカルバゾール残基単位50モル%、4−ヒドロキシ−α−シアノケイ皮酸イソブチル残基単位25モル%、アクリル酸イソブチル残基単位25モル%であった。
合成例2(ケイ皮酸エステル共重合体(4−ヒドロキシ−α−シアノケイ皮酸エチル/9−ビニルカルバゾール共重合体の合成)
容量50mLのガラスアンプルに4−ヒドロキシ−α−シアノケイ皮酸エチル5.0g、9−ビニルカルバゾール4.4g、重合開始剤である2,5−ジメチル− 2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン0.17gおよびテトラヒドロフラン8.5gを入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを62℃の恒温槽に入れ、48時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルから重合物を取り出し、テトラヒドロフラン25gで溶解させた。このポリマー溶液を500mLのメタノール中に滴下して析出させた後、60℃で10時間真空乾燥することにより、負の複屈折性を示すケイ皮酸エステル共重合体 7.7gを得た(収率:82%)。得られたB−2の数平均分子量は22,000であり、残基単位の比率は9−ビニルカルバゾール残基単位58モル%、4−ヒドロキシ−α−シアノケイ皮酸エチル残基単位42モル%であった。
実施例1
セルロース樹脂としてエチルセルロース(ダウ・ケミカル社製 エトセル スタンダード(ETHOCEL standard)100、数平均分子量Mn=58,000、重量平均分子量Mw=180,000、Mw/Mn=3.2、全置換度DS=2.51)158g、合成例1により得られたケイ皮酸エステル系樹脂42gをトルエン/酢酸エチル=6/4(重量比)溶液に溶解させて15重量%の樹脂溶液とした。該溶液をコーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流涎し、乾燥温度60℃、90℃、140℃、165℃の4段乾燥した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、膜厚90μmのフィルム(樹脂組成物)を得た。得られたフィルムのガラス転移温度(Tg)を測定した結果、Tgは162℃であった。得られたフィルムを、テンター延伸機にて156℃で2.8倍に横一軸延伸した。延伸したフィルムを、146℃の第1収縮工程、136℃の第2収縮工程で収縮させた。この時、収縮率は2%であった。 得られた光学フィルムの全光線透過率、ヘーズ、位相差特性、波長分散特性、および耐湿熱性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。
Figure 2021140095
得られたフィルムの湿熱試験後のRe変化率は小さく、耐湿熱性の高いものであった。また、各光学特性が光学フィルムとして好適であった。
実施例2
第1収縮工程の温度を156℃、第2収縮工程の温度を146℃としたこと以外は実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
得られた光学フィルムの全光線透過率、ヘーズ、位相差特性、波長分散特性、および耐湿熱性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。得られたフィルムの湿熱試験後のRe変化率は小さく、耐湿熱性の高いものであった。また、各光学特性が光学フィルムとして好適であった。
実施例3
収縮率を1%としたこと以外は実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
得られた光学フィルムの全光線透過率、ヘーズ、位相差特性、波長分散特性、および耐湿熱性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。得られたフィルムの湿熱試験後のRe変化率は小さく、耐湿熱性の高いものであった。また、各光学特性が光学フィルムとして好適であった。
実施例4
延伸倍率を3.2倍、延伸温度を158℃、第1収縮工程の温度を148℃、第2収縮工程の温度を138℃としたこと以外は実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
得られた光学フィルムの全光線透過率、ヘーズ、位相差特性、波長分散特性、および耐湿熱性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。得られたフィルムの湿熱試験後のRe変化率は小さく、耐湿熱性の高いものであった。また、各光学特性が光学フィルムとして好適であった。
実施例5
セルロース樹脂としてエチルセルロース(ダウ・ケミカル社製 エトセル スタンダード(ETHOCEL standard)100、数平均分子量Mn=58,000、重量平均分子量Mw=180,000、Mw/Mn=3.2、全置換度DS=2.51)154g、合成例2により得られたケイ皮酸エステル系樹脂46gをトルエン/酢酸エチル=6/4(重量比)溶液に溶解させて15重量%の樹脂溶液とした。該溶液をコーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流涎し、乾燥温度60℃、90℃、140℃、165℃の4段乾燥した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、膜厚90μmのフィルム(樹脂組成物)を得た。得られたフィルムのガラス転移温度(Tg)を測定した結果、Tgは172℃であった。得られたフィルムを、テンター延伸機にて162℃で2.4倍に横一軸延伸した。延伸したフィルムを、142℃の第1収縮工程、122℃の第2収縮工程で収縮させた。この時、収縮率は2%であった。
得られた光学フィルムの全光線透過率、ヘーズ、位相差特性、波長分散特性、および耐湿熱性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。得られたフィルムの湿熱試験後のRe変化率は小さく、耐湿熱性の高いものであった。また、各光学特性が光学フィルムとして好適であった。
実施例6
第2収縮工程を省略したこと以外は実施例5と同様にして、光学フィルムを得た。
得られた光学フィルムの全光線透過率、ヘーズ、位相差特性、波長分散特性、および耐湿熱性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。得られたフィルムの湿熱試験後のRe変化率は小さく、耐湿熱性の高いものであった。また、各光学特性が光学フィルムとして好適であった。
比較例1
延伸倍率を3.0倍、延伸温度を154℃で、バッチ式のフィルム二軸延伸装置を用いて、縦一軸延伸した。この時、収縮工程は実施しなかった。上記延伸条件以外は実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
得られた光学フィルムの全光線透過率、ヘーズ、位相差特性、波長分散特性、および耐湿熱性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。得られたフィルムの湿熱試験後のRe変化率は大きく、耐湿熱性の低いものであった。
比較例2
延伸倍率を2.0倍、延伸温度を152℃、第1収縮工程の温度を122℃、第2収縮工程の温度を92℃、収縮率を0.2%としたこと以外は実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
得られた光学フィルムの全光線透過率、ヘーズ、位相差特性、波長分散特性、および耐湿熱性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。得られたフィルムの湿熱試験後のRe変化率は大きく、耐湿熱性の低いものであった。
比較例3
第1収縮工程の温度を126℃、第2収縮工程の温度を96℃としたこと以外は実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。得られた光学フィルムの全光線透過率、ヘーズ、位相差特性、波長分散特性、および耐湿熱性を測定した。その結果を表1に合わせて示す
得られたフィルムの湿熱試験後のRe変化率は大きく、耐湿熱性の低いものであった。

Claims (9)

  1. 下記式(1)で示されるセルロ−ス系樹脂30重量%以上99重量%以下およびエステル系樹脂1重量%以上70重量%以下を含有する長尺状の樹脂組成物フィルムを、長手方向に搬送しながら幅方向に延伸する延伸工程、前記延伸工程後に幅方向に収縮させる収縮工程を有し、
    前記樹脂組成物フィルムのガラス転移温度(Tg)に対して、延伸工程における温度(T)、収縮工程における収縮温度(T)のいずれも(Tg−60)〜(Tg+20)℃の温度範囲である光学フィルムの製造方法。
    Figure 2021140095
    (式中、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜12の置換基を示す。)
  2. 延伸工程の温度 T と収縮工程の温度 T が以下の条件を満たしている請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
    0℃ ≦ T − T ≦ 20℃
  3. 収縮工程が第1収縮工程と、第1収縮工程後にさらに第2収縮工程を有する多段階の工程であり、第1収縮工程の温度 T と第2収縮工程の温度 T が以下の条件を満たしている請求項1または2に記載の製造方法。
    0℃ < T − T ≦ 20℃
  4. 収縮工程における樹脂組成物フィルムの収縮率が0.5%以上5.0%以下である請求項1乃至3いずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. エステル系樹脂が、下記式(2)で示されるケイ皮酸エステル残基単位及び下記式(3)示される残基単位を含む樹脂である請求項1乃至4いずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
    Figure 2021140095
    (式中、Rは水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を示す。R5はニトロ基、ブロモ基、ヨード基、シアノ基、クロロ基、スルホン酸基、カルボン酸基、フルオロ基、またはチオール基からなる群の1種を示す。Rは水素原子、ニトロ基、ブロモ基、ヨード基、シアノ基、クロロ基、スルホン酸基、カルボン酸基、フルオロ基、フェニル基、チオール基、アミド基、アミノ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、または炭素数1〜12のアルキル基からなる群の1種を示す。)
    Figure 2021140095
    (式中、Rはヘテロ原子として窒素原子もしくは酸素原子を1つ以上含む5員環複素環残基または6員環複素環残基(前記5員環複素環残基および前記6員環複素環残基は他の環状構造と縮合環構造を形成してもよい)を示す。)
  6. エステル系樹脂が、前記式(2)で示されるケイ皮酸エステル残基単位および前記式(3)で示される残基単位を含み、さらに下記式(4)で表される残基単位を含む樹脂である請求項1乃至5いずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
    Figure 2021140095
    (ここで、R、Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数3〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜6の環状アルキル基からなる群の1種を示す。)
  7. 請求項1乃至6いずれか一項の製造方法により得られた光学フィルム。
  8. 下記式(b)で示される面内位相差(Re)が50〜300nmで、光の波長450nmにおける面内位相差(Re)と550nmにおける面内位相差(Re)の比Re(450)/Re(550)が0.60〜1.05であることを特徴とする請求項7に記載の光学フィルム。
    Re=(ny−nx)×D (b)
    (式中、nxはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を示し、nyはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を示す。)
  9. 65℃90%RH環境下500時間後における面内位相差(Re)の変化が加熱前の1%以下であることを特徴とする請求項7または8に記載の光学フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20230168976A (ko) 2022-06-08 2023-12-15 닛토덴코 가부시키가이샤 수지 필름, 수지 필름의 제조 방법 및 위상차 필름의 제조 방법

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