以下、本開示の水洗式便器1の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明においては、水洗式便器1の便座12に座った人から視た場合の前後の方向を前後方向と定義する。
水洗式便器1は、壁掛け便器であり、水洗式便器1が設置される空間の底面から上方に離れた位置で、背面が壁9に固定され取り付けられている。水洗式便器1は、壁9の内部に配置されるものとして、洗浄管2と、水位検出部としての静電センサ3と、フラッシュバルブ4と、を有する。
水洗式便器1は、水洗式便器1が設置される空間側に配置されるものとして、便器本体11と、便座12と、便蓋13と、機能部14と、制御部7と、報知部81と、を有する。便器本体11は、上部が開口し、下方に向かって窪むボウル部110を有する。ボウル部110は、後述する洗浄管2から供給される洗浄水が、常に一定水位貯水されるように構成されており、下端が排水口111と接続されている。便座12は、便器本体11の開口に沿って配置され、略環状で上面が平坦に形成されている。便蓋13は、便座12及び便器本体11の開口を開閉可能に覆う蓋であり、機能部14の上部にヒンジ接続されている。
機能部14は、便器本体11の上方に配置され、便座12や便蓋13の開閉機構や、ユーザの局部洗浄装置等の水洗式便器1の各部を作動させる機能部品が配置された部分である。機能部14内には、後述する制御部7及び報知部81が配置されている。
洗浄管2は、金属製の管であり、一端が便器本体11の背面側に接続され、他端が壁9を貫通して壁9内部の給水源(図示省略)に接続される。洗浄管2は、給水源からボウル部110内に洗浄水を供給する。洗浄管2は、図1に示すように、便器本体11の背面側から略水平方向に延びる水平部21と、水平部21から屈曲して上下方向に延びる延長部22と、を有する。
水平部21は、洗浄管2の配管の一方の端部が便器本体11に接続され、接続された部分から水平方向に便器本体11の後方へ延びている部分である。水平部21の下端面は少なくとも便器本体11の上面11aより低い位置に配置されている。好ましくは、水平部21の上端面も便器本体11の上面11aより低い位置に配置されている。
延長部22は、水平部21の便器本体11に接続されていない端部から上方へ延びている。なお、延長部22は、ポンプ等を用いて給水源から便器本体11へ洗浄水を供給できれば、どのような方向に延びていてもよく、屈曲していてもよい。
フラッシュバルブ4は、延長部22に取り付けられる電磁弁である。フラッシュバルブ4は、洗浄管2を流れる洗浄水を止める止水栓、洗浄水の吐水及び止水を行う開閉弁、及び洗浄水の逆流を防止する逆止弁(いずれも図示省略)をする。フラッシュバルブ4は、洗浄管2からボウル部110へ排出される洗浄水の吐水及び止水を行う。
静電センサ3は、センサ用の電極と、GND電極との間の静電容量の変化から、水位を検知する静電容量センサである。静電センサ3は、洗浄管2に設けられ、一対の電極31、32と、判定部33とを有する。図1に示すように、一対の電極31、32のうちの一方の第1電極31は、金属製の洗浄管2により構成される。洗浄管2はGND回路に接続され、GND電極となる。一対の電極31、32のうち、他方の第2電極32は、洗浄管2の水平部21に接続される。第2電極32は、センサ用の電極である。
図2Aは、第2電極32が洗浄管2に接続された状態を示す。第2電極32は、金属の電極本体320の周囲を、絶縁体321が被覆した状態で構成される。第2電極32は絶縁体321によって第1電極31である洗浄管2と離隔されており、二つの電極の間で静電容量の変化を検知することができるようになっている。便器本体11のボウル部110に貯水される洗浄水が通常の水位である通常状態では、洗浄管2の水平部21の水位は低い。図2Aに示すように、水平部21では、下方側に洗浄水が存在するが、電極32には接していない。
判定部33は、第1電極31と第2電極32の静電容量を計測し、デジタル値に変換しする。判定部33は、変換した値に基づき、詰まりが生じたか否かを判定する。判定部33は、機能部14に配置され、水洗式便器1の動作を制御する制御部7に接続されている。判定部33は、便器本体11を洗浄するためにフラッシュバルブ4を開いて洗浄水を供給している間は、静電センサ3により検出される水位に基づいて詰まりが生じたと判定しない。
便器本体11を洗浄するためにフラッシュバルブ4を開いて洗浄水が吐水されたとき、及び、便器本体11に詰まりが生じてボウル部110の水位が上昇したときは、図2Bに示すように、洗浄管2の内部は水で満たされ、第2電極32は水に接する。静電センサ3は、電極32に触れた水位の静電容量の変化を検出する。洗浄管2に水が少ないときは、静電容量は小さくなり、洗浄管2に水が満たされているときは、静電容量は大きくなる。静電センサ3は、洗浄管2内の水位の変化を検知して、判定部33により便器本体11に詰まりが生じているか否かを判定する。
図3に示すように、第1実施形態では、静電センサ3は、便器本体11の洗浄後、所定時間経過した後に電圧が印加されて通電し、便器本体11内に詰まりが生じているか否かの判定を行うように予め設定されている。すなわち、フラッシュバルブ4に電圧が印加されて通電し、フラッシュバルブ4を開いて洗浄水が吐水された吐水時には、静電センサ3はまだ通電していない(S1)。静電センサ3は、便器本体11の洗浄後、所定時間経過後(S2)に静電センサ3が通電される(S3)。その後、所定時間電気が供給され続け、通電して検知を行うように、後述する制御部7により制御される(S4)。「便器本体の洗浄後」とは洗浄開始からの時間を言い、より詳細には、洗浄ボタンが押されてから所定時間経過後であってもよく、フラッシュバルブ4が開いてから所定時間経過後であってもよい。
所定時間とは、例えば、3秒以上を言う。例えば、静電センサ3は、便器本体11の洗浄後、3秒経過後に通電されてよい。その後、フラッシュバルブ4による吐水の8秒後までの5秒間の間、電気が供給され続け、通電して検知を行うように、後述する制御部7により制御されてよい。
図2Bにおけるフラッシュバルブ4の吐水時(S1)の状態では、静電センサ3はまだ通電していない。このように構成することで、第2電極32が通電状態で水に接触する機会が低減するので、錆の発生が抑制される。
通電後、静電センサ3が検知を行う際(S3)、第2電極32が洗浄水に接しているか否かが検知される(S4)。図2Aに示すように洗浄水が少ないか、第2電極32が洗浄水に接していなければ、洗浄管2内(したがって、便器本体11の内部)の水位が低く、便器本体11に詰まり生じていないことが判定部33により判定される。これにより検知は終了する(S6)。静電センサ3は電源がOFFとなり(S7)再びフラッシュバルブ4が開かれ便器本体11の洗浄が行われるまで(S1)通電しない。洗浄水の供給後、8秒経過後に図2Bの状態となっているときは、洗浄管2内(したがって、便器本体11の内部)の水位が高く、便器本体11に詰まり生じていると判定部33により判定される。この場合、水位が下がるまで検知は継続される(S8)。
静電センサ3が検知を行っている間、すなわち便器本体11の洗浄後3秒から8秒経過するまでの間は、水洗式便器1は、ユーザが便器洗浄スイッチ等を押すこと等により便器洗浄を行う指示をしても、次の便器洗浄を行わない。制御部7は、ユーザから便器洗浄の指示を受けても、フラッシュバルブ4を開かず、便器洗浄の動作を行わない。静電センサ3が検知を行っている最中に次の便器洗浄が行われると、洗浄管2に洗浄水が供給されるため、静電センサ3は水が溢れたと誤って判定してしまうからである。
静電センサ3は、便器本体11の洗浄後8秒経過した後、水位の上昇を検知しない場合は、検知を終了し、静電センサ3の通電は停止される。詰まりが生じていなければ、図2Aに示すように、洗浄管2の水は低く、第2電極32はやはり水に接触しないので、錆の発生が抑制される。
静電センサ3は、検知を行っている最中に、便器本体11内の水が通常の水位を超えていると検知した場合は、便器本体11の洗浄後8秒経過した後も溢れ検知を終了せず、検知を継続して行う。水位の上昇を検知した場合は、手動又は自動により便器本体11の詰まりが解消して水位が通常の水位に戻るまで、検知を継続する。したがって、詰まりを検知した後は、詰まりが解消して水位が正常に戻ったかどうかまで、静電センサ3により検知することができる。詰まりが解消した後は、静電センサ3は、通電を停止する。
このように、静電センサ3は、便器本体11の洗浄後所定時間内のみ通電して検知をし、便器本体11の洗浄中は検知を行わない。したがって、洗浄水が便器本体11の洗浄のために洗浄管2の水平部21を流れているときに検知を行わないので、洗浄中に水平部21の水位が上昇していることを検知しない。よって、詰まりが生じているという誤判定を行うこともない。
図1に示すように、制御部7は、機能部14の内部に配置され、静電センサ3及びフラッシュバルブ4と電気的に接続されている。制御部7は、静電センサ3で検出される水位に基づいてフラッシュバルブ4の開閉を制御する。制御部7は、静電センサ3判定部33から、便器本体11に詰まりが生じており、便器本体11の水が溢れそうであると判定した信号を受信する。制御部7は、詰まりが生じているとの信号を受信すると、フラッシュバルブ4を閉止させるように制御し、ボウル部110への給水を停止する。制御部7は、判定部33から便器本体11に詰まりが生じているとの信号を受信すると、詰まりが生じていることを後述の報知部81に出力する。
報知部81は、機能部14の内部に配置され、制御部7と電気的に接続されている。報知部81は、水洗式便器1の外部の管理部82へ信号を送信可能に構成されている。報知部81は、制御部7から出力された便器本体11に詰まりが生じているとの信号を受信し、水洗式便器1の状況を管理する外部の管理部82へ詰まりが生じている旨を報知する。
管理部82は、水洗式便器1の維持管理を行うためのシステムであり、管理している水洗式便器1に詰まりが生じたことを伝える信号を受信する。その情報を受けて、管理部82の管理者等が水洗式便器1のメンテナンス等を行う。
第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。水洗式便器1を、便器本体11と、便器本体11内における水位の検知を行うとともに、検知の結果に基づいて便器本体11内に詰まりが生じている否かの判定を行う静電センサ3と、を含んで構成した。静電センサ3を、便器本体11の洗浄後に判定を行うようにした。静電センサ3が、便器本体11の洗浄後に検知を行って、検知の結果により詰まりが生じているか否かの判定を行うため、便器本体11へ洗浄水を供給している間は、通電しない。このため、便器本体11の洗浄が行われている際に水位を検知してしまい、詰まりが生じていると誤って判定することを防止することができる。水位検出部3が静電センサ3であった場合には、水位を検知するときにのみ通電させることで、電力の省力化を図ることができる。
第1実施形態によれば、静電センサ3を、便器本体11の洗浄後、所定時間経過後に前記検知を行うように設定した。洗浄管2に洗浄水を吐水した直後は、洗浄管2を大量の洗浄水が通過するため、便器本体11が詰まっているか否かの検知を行っても正確な検知が難しい。所定時間、例えば3秒後に検知を行うようにすることで、供給された洗浄水が洗浄管2を通過し、便器本体11から正常に排水が行われたかどうかが検知可能なタイミングで水位の検知を行うことができる。よって、誤検知を防止するとともに、電力の省力化を図ることができる。
第1実施形態によれば、静電センサ3が便器本体11の水が通常の水位を超えていることを検知した場合は、検知を継続して行うように構成した。便器本体11の水位が上昇していることを検知した場合に、検知を継続して行うことで、その後に便器本体11の詰まりが解消したかどうかまでを判定することができる。このため、何度も静電センサ3を起動させる必要がなくなり、電力の省力化を図ることができる。
第1実施形態によれば、静電センサ3が検知を行っている間は、次の便器洗浄を行わないように構成した。これにより、便器洗浄のため、洗浄水が供給されているときに、便器本体11の水位が上昇したと誤検知することを防止することができる。
第1実施形態によれば、静電センサ3を、便器本体11の洗浄中に検知を行わないように構成した。これにより便器本体11の洗浄のために洗浄管2の水平部21の水位が上昇しても、詰まりが生じているという誤判定を行うことを防止することができる。
第1実施形態によれば、水位検出部を静電センサ3により構成した。静電センサ3は、可動部を有さないので、耐久性が高い。静電センサ3を洗浄管2に設けることで、周囲の環境の影響を受けずに正確な水位を検出しやすい。
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、変形、改良等は本発明に含まれる。
図4A及び図4Bを参照して、第2実施形態に係る洗浄管2Bと水位検出部としての静電センサ3Bについて説明する。第2実施形態では、洗浄管2Bが樹脂製である点が第1実施形態と異なる。第2実施形態では、洗浄管2Bに一対の電極31B、32Bが接続される。図4Aは、通常時の洗浄管2Bを示す。通常時は、一対の電極31B、32Bが、水に触れていない。図4Bは、詰まりが生じた状態の洗浄管2Bを示す。図4Bに示すように、洗浄管2Bが樹脂製である場合でも、一対の電極31B、32Bを洗浄管2Bに接続することで、静電センサ3Bが便器本体11の詰まりを検知することができ、第1実施形態と同様の効果を奏する。
次に、図5を参照して、第3実施形態に係る水位検出部3Cについて説明する。第3実施形態では、水位検出部3Cは、フロート式の水位計である。
水位検出部3Cは、図5に示すように、洗浄管2の水平部21に取り付けられている。具体的には、水位検出部3Cは、洗浄管2に取り付けるためのT字型の接続管331を有する。水位検出部3Cは、上下方向に延びる第1部分332と、洗浄管2の水平部21に沿う第2部分333とを有し、第2部分333の端部にフランジが形成されて、水平部21に形成されたフランジとねじにより接続されている。
図5に示すように、水位検出部3Cは、検出部330を有する。第3実施形態では、検出部330は、フロート式の可動部であり、ステム334と、浮き335と、ストッパ336とを含む。検出部330は、水位を検知するための水位検出位置Pを有し、水位検出位置Pは、水平部21内で浮き335がストッパ336の下面に当たるときの水位である。ステム334に接続された浮き335が、洗浄管2内部の水位によって上下し、水位が所定の位置まで上がるとストッパ336に当たることで、水位の上昇が検出されるように構成されている。水位検出位置Pは、第1部分332内に配置されている。さらに、浮き335及びストッパ336も、第1部分332内に配置されている。変形例として、ストッパ336が第1部分332内に配置され、浮き335は第2部分333内に配置されてもよい。
水位検出部3Cは、水平部21に取り付けられていることで、検出部330が、便器本体11の溢れ面よりも下方に配置される。したがって、検出部330による水位検出位置Pは、溢れ面よりも下方である。溢れ面とは、この場合便器本体11の上面11aであり、ボウル部110の水が溢れてしまう面を言う。もし検出部330が便器本体11の溢れ面よりも上に位置していると、水平部21内の水位が、「溢れた」と検知するほどに高くなるより前に便器本体11の溢れ面から水が溢れてしまう恐れがある。検出部330が溢れ面よりも下方に配置されていれば、水が実際に溢れるより前に水位の上昇を検知することができる。
水位検出部3Cでは、検出される水位が上昇した場合に、水位が溢れるほど危険と判定する閾値が予め設定されている。水位検出部3Cは、この所定の閾値を越えた場合に、詰まりが生じたと判定部33で判定する。
第3実施形態においても、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、便器本体11の洗浄後所定時間経過後に、水位検出部3Cにより検知を行うように設定する。第3実施形態によれば、水位検出部3Cをフロート式の可動部を有するように構成しても、検知を行う時間が限定されているので、可動部の耐久期間を向上させることができる。
次に、図6A及び図6Bを参照して、第4実施形態に係る水位検出部としての磁石式センサ3Dについて説明する。図6A及び図6Bに示すように、磁石式センサ3Dは、洗浄管2Dの内壁に、ヒンジ接続で回転するように取り付けたレバー341と、レバー341の先端に接続されるおもり342と、を有する。
図6Aに示すように、洗浄水が便器本体11へ供給される際や、又は洗浄管2D内の水が少ない通常時にはおもり342のついたレバー341は下垂している。図6Bに示すように、便器本体11の水が溢れて洗浄管2D内の水が給水方向と逆方向に流れてきたとき、レバー341は水流に押されて角度が変化する。磁石式センサ3Dは、レバー341の下垂時と、水流に押されて上方に移動したときのレバー341の角度を回転角として検知し、その角度の度合いよって水位が上昇したか否かを検知する。
次に、図7A及び図7Bを参照して、第5実施形態に係る水位検出部としての感振センサ3Eについて説明する。図7A及び図7Bに示すように、感振センサ3Eは、洗浄管2Eの下側の外壁に、振動を与える振動部351を配置する。振動部は、例えば、音波、例えば、超音波等である。そして、振動部351に対向する洗浄管2Eの上側の外壁に、振動部351が起こす振動を感知する感振センサ3Eを配置する。図7Aに示すように、通常時は、洗浄管2E内の水は下側にあり満水ではないので、感振センサ3Eが検知する振動は大きい。図7Bに示すように、便器本体11の水が溢れて洗浄管2Eが水で満たされているときは、感振センサ3Eが検知する振動は小さくなる。感振センサ3Eは、振動の大きさが予め設定された値以下であるときに、水位が上昇していることを検知する。
次に、図8A及び図8Bを参照して、第6実施形態に係る水位検出部としての温度センサ3Fについて説明する。図8A及び図8Bに示すように、温度センサ3Fは、洗浄管2Fの下側の外壁と、洗浄管2Fの上側の外壁とのそれぞれ対向する位置に、一対のセンサ部361、362と、処理部363と、を配置する。処理部363は、一対のセンサ部361、362が検知した温度を比較する。図8Aに示すように、通常時、洗浄管2F内の水が下側にあり満水ではないときは、上下のセンサ部で検知する温度の温度差は、2度以上ある。図8Bに示すように、洗浄管2Fが水で満たされているときは、上下のセンサ部361、362で検知する温度差は2度以下になる。処理部363は、上下に配置したセンサ部361、362で検知する温度差が2度以下であるときに、水位が上昇していることを検知する。
次に、図9を参照して、第7実施形態に係る水洗式便器1Gについて説明する。第7実施形態では、洗浄管2Gが樹脂製である点で第2実施形態と共通し、一対の電極31G、32Gが、洗浄管2Gにおける延長部22に設けられている点で第2実施形態と異なる。
一対の電極31G、32Gは、延長部22の側面に間隔を空け、上下方向に並んで配置される。通常時は、一対の電極31G、32Gは、水に触れていない。詰まりが生じると、ボウル部110内の水位が上がり、洗浄管2の水平部21を満たして延長部22の下側より上方へ上がってくる。延長部22に設けられた一対の電極31G、32DGおける下方側の電極31Gが水に触れ、上方側の電極32Gは、電極31Gに遅れて水に触れる。延長部22内の水位を検知することによっても、静電センサ3Gを用いて便器本体11の詰まりを判定することができ、第1実施形態と同様の効果を奏する。
次に、図10を参照して、第8実施形態に係る洗浄管2Hについて説明する。第8実施形態に係る洗浄管2Hは、水平部21の下流側端部から便器本体11に向かって斜めに傾斜する傾斜部24を有する点で、第1〜第7実施形態と異なる。洗浄管2Hは、樹脂製である点で第2及び第7実施形態と共通する。
一対の電極31H、32Hは、傾斜部24の側面に間隔を空け、上下方向に並んで配置される。通常時は、一対の電極31H、32Hは、水に触れていない。詰まりが生じると、ボウル部110内の水位が上がり、洗浄管2の延長部22が排水で満たされる。延長部22に設けられた一対の電極31H、32Hにおける下方側の電極31Hが水に触れ、上方側の電極32Hは、電極31Hに遅れて水に触れる。傾斜部24内の水位を検知することによっても、静電センサ3Hを用いて便器本体11の詰まりを判定することができ、第1実施形態と同様の効果を奏する。
次に、図11を参照して、第9実施形態に係る水洗式便器1Iについて説明する。水洗式便器1Iは、タンク式である点で第1〜第7実施形態等と異なる。水洗式便器1Iは、第1実施形態におけるフラッシュバルブ4の代わりに便器洗浄タンク4Fを有している。便器洗浄タンク4Fの内部には、図示を省略するが、給水を行うボールタップ、ボールタップの止水を行うためのフロート、洗浄水の水位を制限するとともに便器本体11に補給水を供給するためのオーバーフロー管、排水口を開閉するフラッパー弁、フラッパー弁を引き上げる玉鎖、玉鎖を引き上げ操作するための引上げアーム等が収容されている。使用者がリモートコントローラーの操作やボタンの押圧等によって便器洗浄の指示を行うことで、これらの部品が公知の方法で連動して動作し、便器本体11に洗浄水が供給されるように構成されている。
便器洗浄タンク4Iは、下端が洗浄管2Iに接続されている。洗浄管2Iは、便器洗浄タンク4Dの下端から下方に延び、便器本体11へ向かって屈曲する。第11実施形態に係る洗浄管2は金属であり、第1実施形態と同様に洗浄管2Iに静電センサ3Iが設けられる。具体的には、便器洗浄タンク4Fの下端から下方に延びる部分が第1電極31Iを形成し、洗浄管2の水平部21に、第2電極32Iが取り付けられる。第9実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
次に、図12を参照して、第10実施形態に係る水洗式便器1Jについて説明する。水洗式便器1Jは、タンク式である点で第9実施形態と共通する。水洗式便器1Jは、洗浄管2Jが樹脂製である点で、第9実施形態と異なる。
一対の電極31J、32Jは、延長部22の側面に間隔を空け、上下方向に並んで配置される。通常時は、一対の電極31J、32Jは、水に触れていない。詰まりが生じると、ボウル部110内の水位が上がり、洗浄管2Jの水平部21を満たして延長部22の下側より上方へ上がってくる。延長部22に設けられた一対の電極31J、32Jにおける下方側の電極31Jが水に触れ、上方側の電極32Jは、電極31Jに遅れて水に触れる。延長部22内の水位を検知することによっても、静電センサ3Jを用いて便器本体11の詰まりを判定することができ、第1実施形態と同様の効果を奏する。
第2〜第10実施形態の水位検出部によっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
他の実施形態として、本開示における「便器本体の洗浄後」には、フラッシュバルブの通電が切れた後の所定時間経過後を含んでもよい。
水位検出部は、必須の要件として便器本体の洗浄後に検知を行う。水位検出部が洗浄中及び洗浄前のいずれか又は両方で検知を行っているか否かは問わず、洗浄中及び洗浄前のいずれか又は両方で検知を行っていてもよい。洗浄中及び洗浄前のいずれか又は両方で検知を行った場合、水位検出部が検知を行っても、判定部が、詰まりが生じているか否かの判定を行わないように構成してもよい。
上記説明した実施形態は、適宜組み合わせてよい。洗浄管は、金属であっても樹脂であってもよい。静電センサは、水位を検知することができれば電極を設ける位置は問わない。