JP2021134270A - ポリカルボジイミド化合物、エポキシ樹脂用硬化剤、及びエポキシ樹脂組成物 - Google Patents

ポリカルボジイミド化合物、エポキシ樹脂用硬化剤、及びエポキシ樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】MEKに対する溶解度が高く、且つ、硬化剤としてエポキシ樹脂に添加したエポキシ樹脂硬化物の耐熱性を向上させることができるポリカルボジイミド化合物等を提供する。【解決手段】所定のジイソシアネート化合物由来の構造単位(A)の両末端が所定の有機化合物で封止されてなり、前記構造単位(A)におけるカルボジイミドの重合度nが3.2以上10未満であり、比A((IPDI+HDI)/有機化合物)が3以下であり、比B(HMDI/(HMDI+IPDI+HDI))が1であるときは、前記有機化合物が飽和モノアルコールであり、前記比Bが0超1未満であるときは、前記有機化合物が、モノイソシアネート、飽和モノアルコール、及びモノアミンからなる群より選択される少なくとも1種であり、前記比Bが0であるときは、前記有機化合物がモノアルコールである、ポリカルボジイミド化合物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリカルボジイミド化合物、エポキシ樹脂用硬化剤、及びエポキシ樹脂組成物に関する。
芳香族イソシアネートを原料にして合成される芳香族ポリカルボジイミド化合物は、エポキシ樹脂の硬化剤として添加することにより、エポキシ樹脂硬化物の耐熱性を向上させることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、エポキシ樹脂をメチルエチルケトン(MEK)(2−ブタノン)に溶解させることが必要となることがあり、エポキシ樹脂との相溶性の観点から、硬化剤であるポリカルボジイミド化合物もMEKに溶解することが求められることがある。
しかしながら、芳香族ポリカルボジイミド化合物は、MEKに対する溶解性に劣り、エポキシ樹脂が均一に硬化し難かった。
一方、脂肪族イソシアネートを原料にして合成される脂肪族ポリカルボジイミド化合物は、NMPやトルエン等の有機溶媒に均一に溶解させることができ、溶液の保存安定性が良好であることが知られている(例えば、特許文献2〜5参照)。
しかしながら、脂肪族ポリカルボジイミド化合物は、MEKに対する溶解性が低く、また、脂肪族ポリカルボジイミド化合物をエポキシ樹脂の硬化剤として用いた場合、芳香族ポリカルボジイミド化合物と比べてエポキシ樹脂硬化物の耐熱性を向上させる効果が乏しかった。
特開2001−171037号公報 特開平9−249801号公報 特開2008−156506号公報 特開2018−9192号公報 特開2009−235278号公報
上述の状況の下、MEKに対する溶解度が高く、且つ、硬化剤としてエポキシ樹脂に添加したエポキシ樹脂硬化物の耐熱性を向上させることができるポリカルボジイミド化合物は未だ開発されておらず、斯かるポリカルボジイミド化合物の開発が強く望まれていた。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、MEKに対する溶解度が高く、且つ、硬化剤としてエポキシ樹脂に添加したエポキシ樹脂硬化物の耐熱性を向上させることができるポリカルボジイミド化合物、該ポリカルボジイミド化合物を含むエポキシ樹脂用硬化剤、該エポキシ樹脂用硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、ジイソシアネート化合物由来の構造単位が所定の脂肪族ジイソシアネート化合物(HMDI、IPDI、HDI)に由来する構造単位を含み、且つ、所定の有機化合物で封止されてなることにより、MEKに対する溶解度を向上させることができ、且つ、ポリカルボジイミド化合物を硬化剤としてエポキシ樹脂に添加したエポキシ樹脂硬化物の耐熱性を向上させることができ、上記課題を解決することを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[7]を提供する。
[1]ジイソシアネート化合物由来の構造単位(A)を有するポリカルボジイミド化合物であって、前記構造単位(A)が、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)由来の構造単位(a1)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)由来の構造単位(a2)、及びヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)由来の構造単位(a3)からなる群より選択される少なくとも1種を含み、前記構造単位(A)の両末端が、分子量が250以下であり、且つ、イソシアネート基と反応性を有する基を1個有する有機化合物で封止されてなり、前記構造単位(A)におけるカルボジイミドの重合度nが、3.2以上10未満であり、前記有機化合物のモル数に対する、前記イソホロンジイソシアネート(IPDI)と前記ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)との合計モル数の比((IPDI+HDI)/有機化合物)である比Aが、3以下であり、前記4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)と前記イソホロンジイソシアネート(IPDI)と前記ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)との合計モル数に対する、前記4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)のモル数の比(HMDI/(HMDI+IPDI+HDI))を比Bとした場合において、前記比Bが1であるときは、前記有機化合物が飽和モノアルコールであり、前記比Bが0超1未満であるときは、前記有機化合物が、モノイソシアネート、飽和モノアルコール、及びモノアミンからなる群より選択される少なくとも1種であり、前記比Bが0であるときは、前記有機化合物がモノアルコールである、ポリカルボジイミド化合物。
[2]前記構造単位(A)は、前記4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、前記イソホロンジイソシアネート(IPDI)、及び前記ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)以外のジイソシアネート由来の構造単位(a4)を更に含む、上記[1]に記載のポリカルボジイミド化合物。
[3]前記ポリカルボジイミド化合物におけるカルボジイミド基濃度が11質量%以上である、上記[1]又は[2]に記載のポリカルボジイミド化合物。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリカルボジイミド化合物を含む、エポキシ樹脂用硬化剤。
[5]溶剤としてメチルエチルケトンをさらに含む、上記[4]に記載のエポキシ樹脂用硬化剤。
[6]上記[4]又は[5]に記載のエポキシ樹脂用硬化剤と、エポキシ樹脂とを含む、エポキシ樹脂組成物。
[7]前記ポリカルボジイミド化合物を0.1〜10質量%含む、上記[6]に記載のエポキシ樹脂組成物。
本発明によれば、メチルエチルケトン(MEK)(2−ブタノン)に対する溶解度が高く、且つ、硬化剤としてエポキシ樹脂に添加したエポキシ樹脂硬化物の耐熱性を向上させることができるポリカルボジイミド化合物、該ポリカルボジイミド化合物を含むエポキシ樹脂用硬化剤、該エポキシ樹脂用硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物を提供することができる。
本明細書において、好ましいとする規定は任意に選択でき、好ましいとする規定同士の組み合わせはより好ましいといえる。
本明細書において、「XX〜YY」との記載は、「XX以上YY以下」を意味する。
本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10〜90、より好ましくは30〜60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10〜60」とすることもできる。
本明細書において、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の双方を示し、他の類似用語も同様である。
[ポリカルボジイミド化合物]
本発明のポリカルボジイミド化合物は、ジイソシアネート化合物由来の構造単位(A)を有する。
<構造単位(A)>
ジイソシアネート化合物由来の構造単位(A)は、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)由来の構造単位(a1)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)由来の構造単位(a2)、及びヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)由来の構造単位(a3)からなる群より選択される少なくとも1種の脂肪族ジイソシアネート化合物(以下、「所定の脂肪族ジイソシアネート化合物」ということもある)を含む。
構造単位(A)は、HMDI、IPDI、及びHDI以外のジイソシアネート化合物(以下、「他のジイソシアネート化合物」ということもある)由来の構造単位(a4)を更に含んでいてもよい。
他のジイソシアネート化合物としては、例えば、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’−MDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)、2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)2,6−トルエンジイソシアネート(2,6−TDI)等が挙げられる。これらは、1種単独でもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ジイソシアネート化合物における所定の脂肪族ジイソシアネート化合物の含有率としては、特に制限はないが、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることが好ましく、実質的に100質量%であることが特に好ましい。
〔重合度n〕
前記構造単位(A)におけるカルボジイミドの重合度nは、ジイソシアネート化合物を重合して得られる両末端がイソシアネート基のポリカルボジイミド(ポリカルボジイミド化合物の前駆体)におけるカルボジイミド基の数を表す。例えば、3つのジイソシアネート化合物が重合して得られる、2つのカルボジイミド基を有するポリカルボジイミドの重合度nは、2である。
前記構造単位(A)におけるカルボジイミドの重合度nとしては、3.2以上10未満である限り、特に制限はないが、4〜9であることが好ましく、6〜9であることがより好ましく、8〜9であることが特に好ましい。
カルボジイミドの重合度nが上記範囲であることにより、MEKに対する溶解度を維持しつつ、耐熱性が高いエポキシ樹脂硬化物を得ることができる。
〔有機化合物〕
有機化合物は、構造単位(A)の両末端を封止するものであり、イソシアネート基と反応性を有する基を1個有する。イソシアネート基と反応性を有する基としては、例えば、水酸基(OH基)、NH基、イソシアネート基、などが挙げられる。即ち、有機化合物の分子内において反応部位(水酸基(OH基)、NH基、イソシアネート基等)を2個以上有する化合物は、上記有機化合物に含まれない。
有機化合物の分子量としては、250以下である限り、特に制限はないが、30〜150であることが好ましく、70〜140であることがより好ましく、100〜130であることが特に好ましい。
有機化合物の分子量が上記範囲であることにより、MEKに対する溶解度を維持しつつ、耐熱性が高いエポキシ樹脂硬化物を得ることができる。
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)とイソホロンジイソシアネート(IPDI)とヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)との合計モル数に対する、シクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(HMDI)のモル数の比(HMDI/(HMDI+IPDI+HDI))を比Bとした場合において、比Bが1であるときは、有機化合物が、飽和モノアルコールである。
なお、本明細書において、「飽和モノアルコール」は、イソシアネート基と反応性を有する基として1個の水酸基(OH基)を有し、多重結合(炭素−炭素多重結合(C=C、C≡C等)のみならず、炭素−酸素二重結合(C=O)をも含む)を有しないアルコールである。また、前記飽和モノアルコールは、置換アミノ基(−NHR、−NRR’)も有しない。
上記飽和モノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、イソペンタノール、tert−ペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、1−へプタノール、2−へプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、1−ノナノール、2−ノナノール、1−デカノール、2−デカノール、イソデカノール、1−ウンデカノール、2−ウンデカノール、1−ラウリルアルコール(1−ドデカノール)、2−ラウリルアルコール(2−ドデカノール)、1−トリドデカノール、2−トリドデカノール、イソトリドデカノール、1−テトラデカノール、2−テトラデカノール、1−ペンタデカノール、2−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール、2−ヘキサデカノール、2−エチルブチルアルコール、2−エチルペンタノール、2−エチルヘキサノール、2−エチルオクタノール、2−エチルドデカノール、2−ブチルオクタノール、2−へキシルオクタノール、3−エチルヘキサノール、3−エチルオクタノール等の1価の脂肪族アルコール;シクロペンタノール、シクロヘキサノール等の1価のシクロアルコールが挙げられる。これらは、1種単独でもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、MEKに対する溶解度を維持しつつ、耐熱性が高いエポキシ樹脂硬化物を得ることができる点で、イソブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノールが好ましい。
比Bが0超1未満であるときは、有機化合物が、モノイソシアネート、飽和モノアルコール、及びモノアミンからなる群より選択される少なくとも1種である。
なお、本明細書において、「モノイソシアネート」は、イソシアネート基と反応性を有する基として1個のイソシアネート基を有する。また、「モノアミン」は、イソシアネート基と反応性を有する基として1個のNH基を有する。
上記モノイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキシルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、フェニルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、ドデシルイソシアネート等が挙げられる。これらは、1種単独でもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、MEKに対する溶解度を維持しつつ、耐熱性が高いエポキシ樹脂硬化物を得ることができる点で、シクロヘキシルイソシアネートが好ましい。
上記飽和モノアルコールの具体例としては、上述した飽和モノアルコールの具体例と同様である。これらは、1種単独でもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、MEKに対する溶解度を維持しつつ、耐熱性が高いエポキシ樹脂硬化物を得ることができる点で、イソブタノールが好ましい。
上記モノアミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ヘキシルアミン、ドデシルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;などが挙げられる。これらは、1種単独でもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、MEKに対する溶解度を維持しつつ、耐熱性が高いエポキシ樹脂硬化物を得ることができる点で、シクロヘキシルアミンが好ましい。
比Bが0であるときは、有機化合物がモノアルコールである。
なお、本明細書において、「モノアルコール」は、イソシアネート基と反応性を有する基として1個の水酸基(OH基)を有する。
上記モノアルコールの具体例としては、上述した飽和モノアルコールの具体例に加えて、例えば、グリコール酸メチル、グリコール酸エチル、グリコール酸プロピル、グリコール酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシヘキシル等の多重結合(炭素−炭素多重結合(C=C、C≡C等)のみならず、炭素−酸素二重結合(C=O)をも含む)を有するものも含まれる。これらは、1種単独でもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、MEKに対する溶解度を維持しつつ、耐熱性が高いエポキシ樹脂硬化物を得ることができる点で、2−エチルヘキサノールが好ましい。
前記有機化合物のモル数に対する、前記イソホロンジイソシアネート(IPDI)と前記ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)との合計モル数の比((IPDI+HDI)/有機化合物)である比Aとしては、3以下である限り、特に制限はない。
<カルボジイミド基濃度>
本発明のポリカルボジイミド化合物におけるカルボジイミド基濃度としては、特に制限はないが、11質量%以上であることが好ましく、12〜20質量%であることがより好ましく、13〜19質量%であることが特に好ましい。
カルボジイミド基濃度が上記範囲であることにより、MEKに対する溶解度を維持しつつ、耐熱性が高いエポキシ樹脂硬化物を得ることができる。
<構造>
本発明のポリカルボジイミド化合物は、下記式(1)で表される。
Figure 2021134270

(式中、Rはイソシアネートと反応し得る官能基を有する有機化合物からイソシアネートと反応し得る官能基を除いた残基を表し、Rは所定のジイソシアネート化合物(HMDI、IPDI及びHDIの少なくとも1種の脂肪族ジイソシアネート化合物を含むジイソシアネート化合物)からイソシアネート基を除いた2価の残基を表す。Xは前記有機化合物と前記所定の脂肪族ジイソシアネート化合物との反応により形成される基を表す。nは3.2以上10未満の数を表す。複数のR及びRは、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。)
<<R>>
上記式(1)中、Rは、所定のジイソシアネート化合物(HMDI、IPDI及びHDIの少なくとも1種の脂肪族ジイソシアネート化合物を含むジイソシアネート化合物)からイソシアネート基を除いた2価の残基を表す。ここで、脂肪族ジイソシアネート化合物には、脂環族ジイソシアネート化合物も含まれる。
脂肪族ジイソシアネート化合物の具体例としては、例えば、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、等が挙げられる。
これらの中でも、ポリカルボジイミド化合物の合成の容易さ、及び合成したポリカルボジイミド化合物の保存安定性の観点から、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)が好ましく、合成したポリカルボジイミド化合物の保存安定性の観点から4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)がより好ましい。
<<R>>
上記式(1)中、Rはイソシアネートと反応し得る官能基を有する有機化合物からイソシアネートと反応し得る官能基を除いた残基を表す。
前記式(1)中、Xは上記有機化合物とイソシアネートとの反応により形成される基を表す。例えば、上記有機化合物が、モノアルコールの場合、Xは下記式(2)で表される基であり、上記有機化合物が、モノアミンの場合、Xは下記式(3)で表される基であり、上記有機化合物が、モノイソシアネートの場合、Xは下記式(4)で表される基である。
Figure 2021134270
(2)
Figure 2021134270
(3)
Figure 2021134270
(4)
<<n>>
前記式(1)中、nとしては、上述した重合度nと同様であり、nの好ましい範囲についても重合度nの好ましい範囲と同様である。
<ポリカルボジイミド化合物の製造方法>
本発明のポリカルボジイミド化合物の製造方法は、下記工程(a)と工程(b)とを有することを特徴とする。
工程(a):ジイソシアネート化合物を触媒の存在下でカルボジイミド化反応させ、両末端にイソシアネート基を有するポリカルボジイミドを得る工程
工程(b):工程(a)で得られたポリカルボジイミドと、工程(a)で得られたポリカルボジイミドが両末端に有するイソシアネート基と反応し得る官能基を有する有機化合物とを反応させる工程
<<工程(a)>>
工程(a)では、ジイソシアネート化合物を触媒の存在下でカルボジイミド化反応させ、両末端にイソシアネート基を有するポリカルボジイミドを得る。
ジイソシアネート化合物としては、「ポリカルボジイミド化合物」の「構造単位(A)」の項で挙げた化合物を用いることができる。
カルボジイミド化反応で用いられる触媒としては、例えば、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド及びこれらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシド等を挙げることができ、これらの中でも、反応性の観点から、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドが好ましい。
ポリカルボジイミド化合物の製造方法における上記触媒の使用量は、カルボジイミド化に用いられるジイソシアネート化合物100質量部に対して、通常0.01〜2.0質量部である。
上記カルボジイミド化反応は、無溶媒でも行うことができ、溶媒中で行うこともできる。使用できる溶媒としては、テトラヒドロキシフラン、1,3−ジオキサン、及びジオキソラン等の脂環式エーテル:ベンゼン、トルエン、キシレン、及びエチルベンゼン等の芳香族炭化水素:クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、パークレン、トリクロロエタン、及びジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、及びシクロヘキサノン等が挙げられる。これらは、1種単独でもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶媒中で反応を行う場合、ジイソシアネート化合物の濃度は、5〜55質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
上記カルボジイミド化反応の条件は、特に限定はされないが、好ましくは40〜250℃、より好ましくは80〜195℃で、好ましくは1〜30時間、より好ましくは5〜25時間である。また、溶媒中で反応を行う場合は、40℃〜溶媒の沸点までであることが好ましい。
<<工程(b)>>
工程(b)では、工程(a)で得られたポリカルボジイミドと、工程(a)で得られたポリカルボジイミドが両末端に有するイソシアネート基と反応し得る官能基を有する有機化合物とを反応させる。
上記有機化合物としては、[ポリカルボジイミド化合物]の項で挙げた有機化合物を用いることができる。
上記有機化合物の使用量は、上記ポリカルボジイミドが両末端に有するイソシアネート基全量の官能基当量に対して、好ましくは1.0〜1.5当量、より好ましくは1.05〜1.3当量である。1.5当量以下とすることで、副反応を制御し、所望のポリカルボジイミド化合物を得ることができる。
上記反応の条件は、特に限定されないが、好ましくは50〜200℃、より好ましくは100〜180℃で加熱保持した後、前記有機化合物を添加し、更に80〜200℃程度で、0.5〜7時間程度反応を行うことが好ましい。
[エポキシ樹脂用硬化剤]
本発明のエポキシ樹脂用硬化剤は、本発明のポリカルボジイミド化合物を含み、必要に応じて、溶剤としてのメチルエチルケトン(MEK)、その他の硬化剤をさらに含む。
エポキシ樹脂用硬化剤におけるポリカルボジイミド化合物の含有量としては、特に制限はない。
エポキシ樹脂用硬化剤におけるメチルエチルケトン(MEK)の含有量としては、特に制限はないが、5〜80質量%であることが好ましく、10〜70質量%であることがより好ましく、20〜60質量%であることが特に好ましい。
メチルエチルケトン(MEK)の含有量が上記範囲であることにより、耐熱性の高い成型物を作製することができる。
<その他の硬化剤>
その他の硬化剤は、特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂等のフェノール系硬化剤;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等のアミン系硬化剤;無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ピロメリット酸、無水ヘット酸、ドデセニル無水コハク酸等の酸無水物系硬化剤;ダイマー酸にジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミンなどを反応させた液状ポリアミド樹脂等のポリアミド系硬化剤;などが挙げられる。これらは、1種単独でもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[エポキシ樹脂組成物]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明のエポキシ樹脂用硬化剤と、エポキシ樹脂を含み、必要に応じて、その他の成分をさらに含む。
エポキシ樹脂組成物におけるポリカルボジイミド化合物の含有量としては、特に制限はないが、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.25〜10質量%であることがより好ましく、0.5〜7質量%であることが特に好ましい。
ポリカルボジイミド化合物の含有量が上記範囲であることにより、耐熱性の高い成型物を作製することができる。
<エポキシ樹脂>
本発明で用いるエポキシ樹脂は、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(例えば、三菱化学株式会社製jER828)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独でもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<その他の成分>
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、硬化促進剤、顔料、充填剤、レベリング剤、界面活性剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、着色剤等のその他の成分を適宜配合することができる。
エポキシ樹脂組成物の固形分中に含まれる前記エポキシ樹脂及び前記ポリカルボジイミド化合物の合計含有量としては、特に制限はないが、80〜100質量%であることが好ましく、85〜100質量%であることがより好ましく、95〜100質量%であることが特に好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物の粘度としては、その種類や分子量によって異なるが、20〜50000mPa・sであることが好ましく、30〜5000mPa・sであることがより好ましい。なお、上記粘度は、B型粘度計にて測定し、求めることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、実施例に記載の形態に限定されるものではない。
(実施例1)
<ポリカルボジイミド化合物の合成>
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)100g及びカルボジイミド化触媒としての3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド1gを、還流管及び撹拌機付き0.3L容器に入れ、窒素気流下、185℃で10時間撹拌し、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートの重合体であるイソシアネート両末端ポリカルボジイミドを得た。
得られたイソシアネート両末端ポリカルボジイミドを120℃まで加熱し、これに有機化合物としての2−エチルヘキサノール(三菱ケミカル株式会社製、分子量130)を両末端イソシアネート基のmol量に対して1.1倍(12.1g)添加し、140℃まで加熱して撹拌しながら5時間反応させた。反応生成物について、赤外吸収スペクトル測定により波長2200〜2300cm−1のイソシアネート基の吸収が消失したことを確認し、重合度nが8のポリカルボジイミド化合物を得た。
なお、ポリカルボジイミド化合物の重合度nは、以下のようにして求めた。前記イソシアネート末端ポリカルボジイミドに、既知濃度のジノルマルブチルアミンのトルエン溶液を混合して、前記末端イソシアネート基とジノルマルブチルアミンとを反応させた。残存するジノルマルブチルアミンを塩酸標準液で中和滴定し、電位差滴定法(使用装置:自動滴定装置「COM−900」、平沼産業株式会社製)によりイソシアネート基の残存量[質量%](末端イソシアネート基量)を算出したところ、3.78質量%であった。すなわち、このイソシアネート末端ポリカルボジイミドの重合度nは8.0であった。結果を表1に示す。
ここで、表1において、「A(mol比)」は、「有機化合物のモル数(仕込み量)に対する、イソホロンジイソシアネート(IPDI)とヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)との合計モル数(仕込み量)の比((IPDI+HDI)/有機化合物)である比A」を表し、「B(mol比)」は、「4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)とイソホロンジイソシアネート(IPDI)とヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)との合計モル数(仕込み量)に対する、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)のモル数(仕込み量)の比(HMDI/(HMDI+IPDI+HDI))である比B」を表し、後述する表2においても同様である。
(実施例2〜7)
上記実施例1において、表1に記載のモル比率でジイソシアネート化合物を使用し、カルボジイミド化工程の時間を調整することにより表1に記載の重合度であるイソシアネート両末端ポリカルボジイミドを得たこと、及び、2−エチルヘキサノールの代わりに表1に記載の有機化合物を使用したこと以外は、実施例1と同様に、ポリカルボジイミド化合物の合成を行った。結果を表1に示す。
なお、有機化合物の使用量は、残存イソシアネート基のmol量に対して1.1倍であり、製造元と分子量は以下の通りである。
・イソブタノール(三菱ケミカル株式会社製、分子量74)
・メタノール(東京化成工業株式会社製、分子量32)
・シクロヘキサノール(東京化成工業株式会社製、分子量100)
・1−プロパノール(東京化成工業株式会社製、分子量60)
・1−ラウリルアルコール(東京化成工業株式会社製、分子量186)
(実施例8)
<ポリカルボジイミド化合物の合成>
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)100g、イソホロンジイソシアネート(IPDI)14.1g、有機化合物としてのシクロヘキシルイソシアネート(東京化成工業株式会社製、分子量125)15.9g、及びカルボジイミド化触媒としての3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド1gを、還流管及び撹拌機付き0.3L容器に入れ、窒素気流下、60℃で2時間撹拌した後、185℃で18時間撹拌し、赤外吸収スペクトル測定により波長2200〜2300cm−1のイソシアネート基の吸収が消失したことを確認し、4,4’−シクロヘキシルメタンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートがモル比で6:1で重合し、両末端がシクロヘキシルイソシアネートで封止された重合度nが6のカルボジイミド化合物を得た。結果を表1に示す。
(実施例9〜18)
上記実施例8において、表1に記載のジイソシアネート化合物及び有機化合物を原料として、表1に記載のモル比率で使用し、それぞれのカルボジイミド化合物を得たこと以外は、実施例8と同様に、ポリカルボジイミド化合物の合成を行った。結果を表1に示す。
なお、有機化合物の使用量は、残存イソシアネート基のmol量に対して1.1倍であり、製造元と分子量は以下の通りである。
・シクロヘキシルイソシアネート(東京化成工業株式会社製、分子量125)
・イソブタノール(三菱ケミカル株式会社製、分子量74)
・シクロヘキシルアミン(東京化成工業株式会社製、分子量99)
・2−エチルヘキサノール(三菱ケミカル株式会社製、分子量130)
・アクリル酸ヒドロキシブチル(東京化成工業株式会社製、分子量144)
(比較例1〜3、6〜9、16)
上記実施例8において、表2に記載のジイソシアネート化合物及び有機化合物を原料として、表2に記載のモル比率で使用し、それぞれのカルボジイミド化合物を得たこと以外は、実施例8と同様に、ポリカルボジイミド化合物の合成を行った。結果を表2に示す。
なお、有機化合物の使用量は、残存イソシアネート基のmol量に対して1.1倍であり、製造元と分子量は以下の通りである。
・シクロヘキシルイソシアネート(東京化成工業株式会社製、分子量125)
・2−エチルヘキサノール(三菱ケミカル株式会社製、分子量130)
・メタノール(東京化成工業株式会社製、分子量32)
・1−オクタデカノール(東京化成工業株式会社製、分子量270)
・アクリル酸ヒドロキシブチル(東京化成工業株式会社製、分子量144)
・シクロヘキシルアミン(東京化成工業株式会社製、分子量99)
(比較例4、5、10〜13、15)
上記実施例1において、表2に記載のモル比率でジイソシアネート化合物を使用し、カルボジイミド化工程の時間を調整することにより表2に記載の重合度であるイソシアネート両末端ポリカルボジイミドを得たこと、及び、2−エチルヘキサノールの代わりに表2に記載の有機化合物を使用したこと以外は、実施例1と同様に、ポリカルボジイミド化合物の合成を行った。結果を表2に示す。
なお、有機化合物の使用量は、残存イソシアネート基のmol量に対して1.1倍であり、製造元と分子量は以下の通りである。
・メタノール(東京化成工業株式会社製、分子量32)
・シクロヘキシルイソシアネート(東京化成工業株式会社製、分子量125)
・シクロヘキシルアミン(東京化成工業株式会社製、分子量99)
・アクリル酸ヒドロキシブチル(東京化成工業株式会社製、分子144)
・1−オクタデカノール(東京化成工業株式会社製、分子量270)
・2−エチルヘキサノール(三菱ケミカル株式会社製、分子量130)
(比較例14)
2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’−MDI)54%と、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)46%との混合物(東ソー株式会社製、モノメリックMDI;ミリオネート(登録商標)NM)100質量部、有機化合物としてイソブタノール(三菱ケミカル株式会社製、分子量74)7.24質量部、及びカルボジイミド化触媒としての3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド0.6質量部を還流管及び撹拌機付き反応容器に入れ、窒素気流下100℃で2時間撹拌し、赤外吸収(IR)スペクトル測定による波長2270cm−1前後のイソシアネート基による吸収ピークがほぼ消失したことを確認して、重合度8のポリカルボジイミド化合物を得た。結果を表2に示す。
以下に示す測定条件により、実施例1〜18及び比較例1〜16で調製したポリカルボジイミド化合物、該ポリカルボジイミド化合物を含むMEK溶液、並びに、該MEK溶液を用いて調製したエポキシ樹脂組成物(樹脂硬化物)を用いて下記(1)〜(3)の評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
<(1)ポリカルボジイミド化合物のカルボジイミド基濃度Y(質量%)の測定>
下記のようにして、ポリカルボジイミド化合物のカルボジイミド基濃度Y(質量%)の測定を行った。測定結果を表1及び表2に示す。
平沼自動滴定装置COM−1700A(平沼産業株式会社製)を使用し、ポリカルボジイミド化合物B(g)に既知濃度のシュウ酸/ジオキサン溶液を規定量加え、テトラヒドロフラン中で十分に反応させた後、水酸化ナトリウム水溶液での電位差滴定により未反応のシュウ酸の量を求め、ポリカルボジイミド化合物中のカルボジイミド基と反応したシュウ酸のモル量bを算出した。この値からポリカルボジイミド化合物1g中に含まれるカルボジイミド基のモル量n=b/Bを算出し、さらに、下記式(Z)よりポリカルボジイミド化合物のカルボジイミド基濃度Y(質量%)を求めた。
Y=40×n×100・・・(Z)
<(2)MEK溶解度の評価>
得られた各ポリカルボジイミド化合物5gとメチルエチルケトン(MEK)(2−ブタノン)5gを室温で24時間撹拌することでポリカルボジイミドのMEK溶液を得た。その溶液の外観を確認し、下記評価基準によりMEK溶解度を評価した。評価結果を表1及び表2に示す。
〇:透明液体
×:白濁液体または2層分離した液体
<(3)エポキシ樹脂硬化物の耐熱性の評価>
<<エポキシ樹脂組成物(樹脂硬化物)の作製>>
エポキシ樹脂(jER828;三菱化学株式会社製)10質量部と、硬化剤としてフェノール樹脂(BRG556;昭和電工株式会社製)6.6質量部、MEK39.1gを加えて室温で24時間撹拌することで固形分30%の透明な溶液を得た。
その溶液に、ポリカルボジイミド化合物のMEK溶液1.66g及び硬化促進剤としての2−フェニル−1−ベンジル−1H−イミダゾール(1B2PZ、四国化成工業社製)0.166g加えて、室温で1時間撹拌することで、エポキシ樹脂溶液を得た。なおここで、ポリカルボジイミド化合物のMEK溶液を添加していないエポキシ樹脂溶液を比較対象のため作製した。
エポキシ樹脂溶液をアルミホイルシャーレに2g計量し、40℃の真空乾燥機にてMEKを揮発させた後、170℃の乾燥機内で1時間静置し、エポキシ樹脂硬化物を得た。
得られたエポキシ樹脂硬化物の耐熱性を確認した。長さ20mm×幅10mm×厚み0.8mmの試験片を用い、動的粘弾性測定装置(DMA、株式会社日立ハイテクサイエンス)にて測定したtanδの値からガラス転移温度を読み取り、その温度が高いものは耐熱性が高いことを示しているとして評価した。なお、表1及び表2に記載した評価点は以下の基準で付与した。
ここで、各評価点の基準は、比較対象としてのポリカルボジイミド化合物のMEK溶液を添加していないエポキシ樹脂溶液を使用して作製したエポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度に対する温度である。
5:ガラス転移温度が10℃以上高い
4:ガラス転移温度が5℃以上10℃未満高い
3:ガラス転移温度が0℃以上5℃未満高い
2:ガラス転移温度が0℃超10℃未満低い
1:ガラス転移温度が10℃以上低い
Figure 2021134270
Figure 2021134270
ジイソシアネート化合物由来の構造単位が所定の脂肪族ジイソシアネート化合物(HMDI、IPDI、HDI)に由来する構造単位を含み、且つ、分子量が250以下の所定の有機化合物で封止されてなるポリカルボジイミド化合物を用いた実施例1〜18では、ポリカルボジイミド化合物のMEKに対する溶解度を向上させることができ、且つ、ポリカルボジイミド化合物を硬化剤としてエポキシ樹脂に添加したエポキシ樹脂硬化物の耐熱性を向上させることができる。
比較例4から、脂肪族ジイソシアネートであるHMDI(4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)をカルボジイミド化したHMDI系ポリカルボジイミド化合物は、重合度が3以下であると、MEKに溶解させることができるが、エポキシ樹脂と混合した際、エポキシ樹脂硬化物の耐熱性が悪化する(ガラス転移温度が低くなる)ことが分かった。
比較例5から、脂肪族ジイソシアネートであるHMDI(4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)をカルボジイミド化したHMDI系ポリカルボジイミド化合物は、重合度が10以上であると、MEKに溶解せず、エポキシ樹脂との相溶性が悪いことが分かった。
比較例6から、重合度が3超8未満、且つ、末端化合物の分子量が250超であると、MEKに溶解させることができるが、エポキシ樹脂と混合した際、エポキシ樹脂硬化物の耐熱性が著しく悪化する(ガラス転移温度が著しく低くなる)ことが分かった。
比較例14から、芳香族ジイソシアネートをカルボジイミド化した芳香族ポリカルボジイミド化合物は、MEKに溶解せず、エポキシ樹脂との相溶性が悪くなることが分かった。

Claims (7)

  1. ジイソシアネート化合物由来の構造単位(A)を有するポリカルボジイミド化合物であって、
    前記構造単位(A)が、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)由来の構造単位(a1)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)由来の構造単位(a2)、及びヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)由来の構造単位(a3)からなる群より選択される少なくとも1種を含み、
    前記構造単位(A)の両末端が、分子量が250以下であり、且つ、イソシアネート基と反応性を有する基を1個有する有機化合物で封止されてなり、
    前記構造単位(A)におけるカルボジイミドの重合度nが、3.2以上10未満であり、
    前記有機化合物のモル数に対する、前記イソホロンジイソシアネート(IPDI)と前記ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)との合計モル数の比((IPDI+HDI)/有機化合物)である比Aが、3以下であり、
    前記4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)と前記イソホロンジイソシアネート(IPDI)と前記ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)との合計モル数に対する、前記4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)のモル数の比(HMDI/(HMDI+IPDI+HDI))を比Bとした場合において、
    前記比Bが1であるときは、前記有機化合物が飽和モノアルコールであり、
    前記比Bが0超1未満であるときは、前記有機化合物が、モノイソシアネート、飽和モノアルコール、及びモノアミンからなる群より選択される少なくとも1種であり、
    前記比Bが0であるときは、前記有機化合物がモノアルコールである、ポリカルボジイミド化合物。
  2. 前記構造単位(A)は、前記4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、前記イソホロンジイソシアネート(IPDI)、及び前記ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)以外のジイソシアネート由来の構造単位(a4)を更に含む、請求項1に記載のポリカルボジイミド化合物。
  3. 前記ポリカルボジイミド化合物におけるカルボジイミド基濃度が11質量%以上である、請求項1又は2に記載のポリカルボジイミド化合物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリカルボジイミド化合物を含む、エポキシ樹脂用硬化剤。
  5. 溶剤としてメチルエチルケトンをさらに含む、請求項4に記載のエポキシ樹脂用硬化剤。
  6. 請求項4又は5に記載のエポキシ樹脂用硬化剤と、エポキシ樹脂とを含む、エポキシ樹脂組成物。
  7. 前記ポリカルボジイミド化合物を0.1〜10質量%含む、請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物。
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