本発明は、コンバインの脱穀装置に関するものである。
従来、穀稈の脱穀処理を行う扱胴の下側に略反円弧形状の受網を設け、受網の後端部を扱胴の後端部よりも前側に位置させて、扱胴の後端部に搬送されてきた穀稈を下方に効率良く落下させる技術が提案されている。
しかし、特許文献1の技術においては、扱胴の後端部に搬送されてきた特に背丈の長い穀稈が受網の後端部に絡み付いて扱胴と受網の間に詰まるために、脱穀負荷が増加し、また、脱穀作業を中断して扱胴と受網の間に詰まった穀稈を取除く必要が有るために脱穀作業の作業効率が低下するという問題があった。
そこで、本発明の課題は、穀稈が受網の後端部に絡み付くのを防止して、脱穀負荷が増加を抑制し、また、脱穀作業の作業効率が高いコンバインの脱穀装置を提案することにある。
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、穀稈を脱穀する扱室(10)と、該扱室(10)の下側に脱穀された穀粒を選別する選別室(20)を備えたコンバインの脱穀装置において、
前記扱室(10)の前後壁に、穀稈の脱穀処理を行う略円筒形状の扱胴(11)を支持する回転軸(30)を回転自在に架設し、前記扱胴(11)の下側に、前記扱胴(11)に沿って前後方向に延在する略半円筒形状の受網(12)を設け、該受網(12)の後端部を、前記扱胴(11)の後端部よりも前側に位置させ、前記受網(12)を、前後方向に所定の間隔を隔てて設けられた略半円形状の仕切り板(60)と、該仕切り板(60)に周方向に所定の間隔を隔てて設けられた前後方向に延在する桟(62)で形成し、前記受網(12)の後端部に位置する第1後端仕切り板(69)と該第1後端仕切り板(69)の前側に隣接する第2後端仕切り板(68)の間に位置する部位に開口部(63)を形成したことを特徴とするコンバインの脱穀装置である。
請求項2記載の発明は、前記受網(12)を左右方向に2分割する略1/4円形状の左受網(12A)と略1/4円形状の右受網(12B)で形成し、前記開口部(63)を、該左受網(12A)の左開口部(63A)と、前記右受網(12B)の右開口部(63B)で形成し、背面視において、前記左開口部(63A)を、前記左受網(12A)における扱胴(11)の回転方向の左中間部(65A)に形成し、前記右開口部(63B)を、前記右受網(12B)における扱胴(11)の回転方向の右上手部(64B)と右中間部(65B)に亘って形成した請求項1記載のコンバインの脱穀装置である。
請求項3記載の発明は、側面視において、前記左開口部(63A)と右開口部(63B)を、前記扱胴(11)の外周部に設けられた扱歯(54)の下側に位置させた請求項2記載のコンバインの脱穀装置である。
請求項4記載の発明は、前記扱胴(11)の上側に、前記扱胴(11)の上部を覆う扱胴カバー(13)を設け、側面視において、前記左開口部(63A)と右開口部(63B)を、扱胴カバー(13)の内周部に設けられた送塵板(14)の下側に位置させた請求項2又は3記載のコンバインの脱穀装置である。
請求項5記載の発明は、背面視において、前記左開口部(63A)における前記扱胴(11)の回転方向の下手部に穀稈を切断する左スクレーパ(73A)を設け、前記右開口部(63B)における前記扱胴(11)の回転方向の下手部に穀稈を切断する右スクレーパ(73B)を設けた請求項2〜4のいずれか1項に記載のコンバインの脱穀装置である。
請求項6記載の発明は、前記第2後端仕切り板(68)に、径方向に移動可能な可動仕切り板(76)を装着し、該可動仕切り板(76)の内周部を、前記第2仕切り板(68)の内周部よりも扱胴(11)に近接させた請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンバインの脱穀装置である。
請求項7記載の発明は、左右方向において、前記扱歯(54)が上昇移動する側よりも、前記扱歯(54)側が下降移動する側での前記扱歯(54)の歯先と前記受網(12)の内側面の隙間が大きくなるように、前記回転軸(30)の軸心を、前記受網(12)の中心とずらして位置させた請求項1〜6のいずれか1項に記載のコンバインの脱穀装置である。
請求項8記載の発明は、正面視において、前記回転軸(30)に軸心を、前記受網(12)の中心よりも下側に位置させた請求項1〜7のいずれか1項に記載のコンバインの脱穀装置である。
請求項9記載の発明は、正面視において、前記回転軸(30)に軸心を、前記受網(12)の中心を通り、水平面に対して45度傾斜した仮想線(L)上に位置させた請求項8記載のコンバインの脱穀装置である。
請求項1記載の発明によれば、扱室(10)の前後壁に、穀稈の脱穀処理を行う略円筒形状の扱胴(11)を支持する回転軸(30)を回転自在に架設し、扱胴(11)の下側に、扱胴(11)に沿って前後方向に延在する略半円筒形状の受網(12)を設け、受網(12)の後端部を、扱胴(11)の後端部よりも前側に位置させ、受網(12)を、前後方向に所定の間隔を隔てて設けられた略半円形状の仕切り板(60)と、仕切り板(60)に周方向に所定の間隔を隔てて設けられた前後方向に延在する桟(62)で形成し、受網(12)の後端部に位置する第1後端仕切り板(69)と第1後端仕切り板(69)の前側に隣接する第2後端仕切り板(68)の間に位置する部位に開口部(63)を形成したので、扱胴(11)の後端部に搬送されてきた穀稈を受網(12)の開口部(63)と受網(12)の後側から下方に効率良く落下させて、穀稈が扱胴(12)と受網(12)の間に詰まるのを防止して、脱穀負荷の増加を抑制し、又、脱穀作業の作業効率を高めることができる。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、受網(12)を左右方向に2分割する略1/4円形状の左受網(12A)と略1/4円形状の右受網(12B)で形成し、開口部(63)を、左受網(12A)の左開口部(63A)と、右受網(12B)の右開口部(63B)で形成し、背面視において、左開口部(63A)を、左受網(12A)における扱胴(11)の回転方向の左中間部(65A)に形成し、右開口部(63B)を、右受網(12B)における扱胴(11)の回転方向の右上手部(64B)と右中間部(65B)に亘って形成したので、穀稈が左受網(12A)の開口部(63A)から過度に落下するのを防止して、穀粒の回収ロスの増加を抑制することができる。
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明による効果に加えて、側面視において、左開口部(63A)と右開口部(63B)を、扱胴(11)の外周部に設けられた扱歯(54)の下側に位置させたので、扱歯(54)で穀稈を左開口部(63A)と右開口部(63B)に向けて跳ね出して、下方により効率良く落下させることができる。
請求項4記載の発明によれば、請求項2又は3記載の発明による効果に加えて、扱胴(11)の上側に、扱胴(11)の上部を覆う扱胴カバー(13)を設け、側面視において、左開口部(63A)と右開口部(63B)を、扱胴カバー(13)の内周部に設けられた送塵板(14)の下側に位置させたので、送塵板(14)で多くの脱穀処理された穀稈を左開口部(63A)と右開口部(63B)の上方に集めて、左開口部(63A)と右開口部(63B)から下方にさらに効率良く落下させることができる。
請求項5記載の発明によれば、請求項2〜4のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、背面視において、左開口部(63A)における扱胴(11)の回転方向の下手部に穀稈を切断する左スクレーパ(73A)を設け、右開口部(63B)における扱胴(11)の回転方向の下手部に穀稈を切断する右スクレーパ(73B)を設けたので、扱胴(11)と受網(14)の間に詰まった穀稈を切断して、扱胴(11)の回転負荷を減少させて、脱穀負荷の増加を迅速に抑制することができる。
請求項6記載の発明によれば、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、第2後端仕切り板(68)に、径方向に移動可能な可動仕切り板(76)を装着し、可動仕切り板(76)の内周部を、第2仕切り板(68)の内周部よりも扱胴(11)に近接させたので、第2後端仕切り板(76)の前側で多くの穀粒を脱穀処理して、穀粒の回収ロスの増加をより抑制することができる。
請求項7記載の発明によれば、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、左右方向において、扱歯(54)が上昇移動する側よりも、扱歯(54)側が下降移動する側での扱歯(54)の歯先と受網(12)の内側面の隙間が大きくなるように、回転軸(30)の軸心を、受網(12)の中心とずらして位置させたので、扱胴(11)の扱歯(54)が下降移動する側、すなわち、時計方向の3時から6時に位置する扱胴(11)の扱歯(54)の歯先と、これらの扱歯(54)に対向する受網(12)の内側面の間隔を広くして穀稈の詰まりを抑制して脱穀作業の作業効率を高めることができる。また、扱胴(11)の扱歯(54)が上昇移動する側、すなわち、時計方向の6時から9時に位置する扱胴(11)の扱歯(54)の歯先と、これらの扱歯(54)に対向する受網(12)における内側面の間隔を狭くして脱穀性能を高めることができる。
請求項8記載の発明によれば、請求項1〜7のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、正面視において、回転軸(30)に軸心を、受網(12)の中心よりも下側に位置させたので、扱胴(11)の上部、すなわち、時計方向の9時から3時に位置する扱胴(11)の扱歯54の歯先と送塵板(14)の下端部の間隔を広くして穀稈を扱室(10)の後部に搬送する搬送性能を高めることができる。
請求項9記載の発明によれば、請求項8記載の発明による効果に加えて、正面視において、回転軸(30)に軸心を、受網(12)の中心を通り、水平面に対して45度傾斜した仮想線(L)上に位置させたので、扱胴(11)の扱歯(54)が上昇移動する側、なわち、時計方向の3時から6時に位置する扱胴(11)の扱歯(54)の歯先と、これらの扱歯(54)に対向する受網(12)における内側面の間隔をより狭くして脱穀性能をより高めることができる。
コンバインの正面図である。
コンバインの左側面図である。
コンバインの平面図である。
脱穀装置の前後方向の縦断面図である。
要部の脱穀装置の左右方向の縦断面図である。
扱胴の左側面図である。
左右受網の(a)は平面図、(b)はA-A矢印図である。
扱胴カバーの送塵板と、扱胴の扱歯と、受網の開口部の配置の説明図であり、(a)は扱胴カバーの底面図、(b)は左右受網等の平面図、(c)はA-A矢印図である。
前後方向に延在する連結部材の説明図であり、(a)は右受網の平面図、(b)はA-A矢印図である。
周方向に延在する連結部材の説明図であり、(a)は右受網の平面図、(b)はA-A矢印図である。
スクレーパの説明図であり、(a)は左右受網の平面図、(b)はA-A矢印図である。
スクレーパの説明図であり、スクレ―パの背面図である。
スクレーパの切欠き部の説明図であり、(a)は左右受網等の平面図、(b)はA-A矢印図である。
可動仕切り板の説明図であり、(a)は左右受網等の平面図、(b)はA-A矢印図である。
扱胴と受網の配置の説明図であり、扱胴と受網の正面図である。
扱胴と受網の他の配置の説明図であり、扱胴と受網の正面図である。
扱胴と受網のさらに他の配置の説明図であり、扱胴と受網の正面図である。
図1〜3に示すように、汎用コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を収穫する刈取前処理装置3が設けられ、刈取前処理装置3の後方左側に収穫された穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取前処理装置3の後方右側に操縦者が搭乗する操縦部5が設けられている。
操縦部5の下側にエンジンを内装するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側に脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7の後側に穀粒を外部に排出する排出オーガ8が設けられている。
刈取前処理装置3は、圃場の穀稈を起立させながら後側に搬送する搬送装置3Aと、搬送装置3Aの後側下部に搬送された穀稈の株元を切断する刈刃装置3Bと、搬送装置3Aの後側に搬送された穀稈を左側に寄せ集めるオーガ装置3Cと、寄せ集められた穀稈を脱穀装置4に搬送するフィーダハウス3Dから構成されている。
図4,5に示すように、脱穀装置4は、穀稈を脱穀する扱室10と、脱穀された穀粒を選別する選別室20から形成されている。
扱室10の前後壁には、フィーダハウス3Dから搬送されてくる穀稈を脱穀する扱胴11が架設され、扱胴11の下側には、扱胴11の外周下部に沿って半円弧形状に形成された受網12が設けられている。また、扱胴11の上部は、開閉可能な扱胴カバー13で覆われており、扱胴カバー13の内周部には、穀稈を扱室10の後方左側に搬送する送塵板14が設けられている。
選別室20の上部には、扱室10から漏下してくる穀粒を選別処理する揺動選別装置21が設けられている。揺動選別装置21の下部には、前側から順に、揺動選別装置21に選別風を送風する唐箕25と、唐箕25の後方に選別風の送風方向を変更する風割26と、揺動選別装置21から漏下してくる穀粒をグレンタンク7に搬送する1番螺旋27と、揺動選別装置21の後部から漏下してくる枝梗等が付着した穀粒を2番処理室に搬送する2番螺旋28と、脱粒処理された穀稈を外部に排出するストローラック29が設けられている。
図6に示すように、扱胴11は、扱室10の前後壁に回転自在に支持される回転軸30と、回転軸30の前端部に支持されるインペラ部40と、回転軸30におけるインペラ部40の後側に支持されるロータ部50から形成されている。
インペラ部40は、円形状の前板41と、前板41よりも径が大きい円形状の後板42と、前板41と後板42の外周部を連結する側板43から形成されている。
側板43の外周面には、インペラ部40の前部に搬送された穀稈をインペラ部40の後部に搬送する上下一対の搬送螺旋44が立設されている。これにより、インペラ部40に移送されてきた穀稈をロータ部50に効率良く移送することができる。
搬送螺旋44の前面には、円周方向に所定角度を隔てて側板43と搬送螺旋44の前面下部を連結する略三角形状の補強リブ45が設けられている。これにより、搬送螺旋44の剛性を高めて、穀稈から搬送螺旋44に加わる負荷によって搬送螺旋44が変形するのを抑制することができる。
ロータ部50は、円筒形状のドラム51と、ドラム51の外周部に周方向に所定の間隔を隔てて設けられた扱歯部材52から形成されている。扱歯部材52は、ドラム51の前後方向に沿って延在するパイプ形状の支持部53と、支持部53に前後方向に所定の間隔を隔てて設けられた複数の丸棒形状の扱歯54から形成されている。
扱歯54には扱胴11の回転方向に対して扱歯54の歯先が基部よりも上手側に位置するように後退角が設けられている。これにより、穀稈が、扱歯54に絡み付くのを抑制することができる。また、扱歯部材52の後端部には、扱歯54に替えて矩形形状の跳出板55が設けられている。これにより、ドラム51の後部に搬送されてきた脱粒処理された穀稈を選別室20に効率良く跳出すことができる。
図7に示すように、受網12は、略1/4円弧形状の左受網12Aと右受網12Bから形成されている。これにより、扱胴11の下側に、左受網12Aと右受網12Bを配置して、左受網12Aの左部と右受網12Bの右部を連結して受網12を容易に形成することができる。
左受網12Aは、前後方向に所定の間隔を隔てて設けられた略1/4円弧形状の左仕切り板60Aと、隣接する左仕切り板60Aの間に前後方向に所定の間隔を隔てて設けられた左補助仕切り板61Aと、これらの左仕切り板60Aと左補助仕切り板61Aに架設される周方向に所定の間隔を隔てて設けられた左桟62Aとから形成されている。
本明細書では、理解を容易にするために、背面視において、左仕切り板60Aを周方向に3分割して、扱胴11の回転方向の上手端部に位置する左仕切り板60Aにおける左上端部から周方向30度(反時計方向で6時〜5時)に延在する部位を左上手部64Aといい、周方向30〜60度(反時計方向で5時〜4時)に延在する部位を左中間部65Aといい、周方向60〜90度(反時計方向で4時〜3時)に延在する部位を左下手部66Aというものとする。
左仕切り板60Aの左上手部64Aに架設した左桟62Aを最も前側に位置する左仕切り板60A(以下、便宜的に第1左仕切り板67Aと言う。)から最も後側に位置する左仕切り板60A(以下、便宜的に第3左仕切り板69Aと言う。)まで延在させ、左仕切り板60Aの左中間部65Aに架設した左桟62Aを第1左仕切り板67Aから第3左仕切り板69Aの前側に隣接する左仕切り板60A(以下、便宜的に第2左仕切り板68Aと言う。)まで延在させ、左仕切り板60Aの左下手部66Aに架設した左桟62Aを第1左仕切り板67Aから第3左仕切り板69Aまで延在させている。これにより、左受網12Aにおける第2左仕切り板68Aと第3左仕切り板69Aで区画される部位において、左仕切り板60Aの左中間部65Aに位置する部位に左開口部63Aを形成することができる。
従って、扱胴11によって脱粒処理された穀稈を、扱胴11の後部における左受網12Aが延在していない部位と、左受網12Aの左開口部63Aから効率良く下方に落下させることができ、脱穀負荷を軽減することができる。また、左開口部63A等から落下した穀稈はストローラック29によって後方に効率良く移送して外部に排出することができる。さらに、左受網12Aの左下手部66Aには左桟62Aが設けられているので背丈の長い穀稈が過度に落下するのを抑制することができる。
なお、左仕切り板60Aの左上手部64Aに架設した左桟62Aを第1左仕切り板67Aから第3左仕切り板69Aで延在させ、左仕切り板60Aの左中間部65Aと左下手部66Aに架設した左桟62Aを第1左仕切り板67Aから第2左仕切り板68Aまで延在させることもできる。これにより、後述する右受網12Bと同様に、左受網12Aにおける第2左仕切り板68Aと第3左仕切り板69Aで区画される部位において、左仕切り板60Aの左中間部65Aと左下手部66Aに位置する部位に大きな左開口部63Aを形成することができる。
右受網12Bは、前後方向に所定の間隔を隔てて設けられた略1/4円弧形状の右仕切り板60Bと、隣接する右仕切り板60Bの間に前後方向に所定の間隔を隔てて設けられた右補助仕切り板61Bと、これらの右仕切り板60Bと右補助仕切り板61Bに架設される周方向に所定の間隔を隔てて設けられた右桟62Bとから形成されている。
本明細書では、理解を容易にするために、背面視において、右仕切り板60Bを周方向に3分割して、扱胴11の回転方向の上手端部に位置する右仕切り板60Bにおける左端部から周方向30度(反時計方向で9時〜8時)に延在する部位を右上手部64Bといい、周方向30〜60度(反時計方向で8時〜7時)に延在する部位を右中間部65Bといい、周方向60〜90度(反時計方向で7時〜6時)に延在する部位を右下手部66Bというものとする。
右仕切り板60Bの右上手部64Bと右中間部65Bに架設した右桟62Bを最も前側に位置する右仕切り板60B(以下、便宜的に第1右仕切り板67Bと言う。)から最も後側に位置する右仕切り板60B(以下、便宜的に第3右仕切り板69Bと言う。)の前側に隣接する右仕切り板60B(以下、便宜的に第2右仕切り板68Bと言う。)まで延在させ、右仕切り板60Bの右下手部66Bに架設した右桟62Bを第1右仕切り板67Bから第3右仕切り板69Bまで延在させている。これにより、右受網12Bにおける第2右仕切り板68Bと第3右仕切り板69Bで区画される部位において、右仕切り板60Bの右上手部64Bと右中間部65Bに位置する部位に大きな右開口部63Bを形成することができる。
従って、扱胴11によって脱粒処理された穀稈を、扱胴11の後部における右受網12Bが延在していない部位と、右受網12Bの右開口部63Bから効率良く下方に落下させることができ、脱穀負荷を低減することができる。また、右開口部63B等から落下した穀稈はストローラック29によって後方に効率良く移送して外部に排出することができる。
本明細書では、左仕切り板60Aと右仕切り板60Bを総称して仕切り板60と言い、左補助仕切り板61Aと右補助仕切り板61Bを総称して補助仕切り板61と言い、左桟62Aと右桟62Bを総称して桟62と言い、左開口部63Aと右開口部63Bを総称して開口部63と言い、第1左仕切り板67Aと第1右仕切り板67Bを総称して第1仕切り板67と言い、第2左仕切り板68Aと第2右仕切り板68Bを総称して第2仕切り板(請求項における「第2後端仕切り板」)68と言い、第3左仕切り板69Aと第3右仕切り板69Bを総称して第3仕切り板(請求項における「第1後端仕切り板」)69と言う。
図8に示すように、開口部63の前後方向の長さは、扱胴11に設けられた前後方向に隣接する扱歯54の間隔と同一長さに形成され、開口部63の前部を区画する第2仕切り板68は、後側から数えて2番目と3番目の扱歯54の前後方向の中間に設けられ、開口部63の後部を区画する第3仕切り板69は、後側から数えて1番目と2番目の扱歯54の前後方向の中間に設けられている。これにより、受網12の後部の剛性の低下を抑制して、後側から数えて2番目の扱歯54から絡み付いた脱粒処理された穀稈を開口部63から効率良く落下させて脱穀負荷を軽減することができる。
また、扱胴カバー13の後側から数えて1番目の送塵板14は、開口部63に対向する部位、すなわち、送塵板14は、開口部63の前部を区画する第2仕切り板68と、後部を区画する第3仕切り板69を横断して設けられている。これにより、脱粒処理された穀稈を後方左側に効率良く搬送して、開口部63から落下させて脱穀負荷を軽減することができる。
図9に示すように、右受網12Bの右開口部63Bの周方向の中間に、第2右仕切り板68Bと第3右仕切り板68Cに架設する前後方向に延在する連結部材70を設けることができる。これにより、脱粒処理された背丈の長い穀稈が、右開口部63Bからの過度に落下するのを防止することができる。なお、連結部材70は、穀稈の巻付きを防止するために丸棒で形成するのが好ましい。
図10に示すように、右受網12Bの右開口部63Bの前後方向の中間に、周方向に延在する略1/4円弧形状の連結部材71を設けることができる。これにより、脱粒処理された背丈の長い穀稈が、右開口部63Bからの過度に落下するのを防止することができる。
図11に示すように、左受網12Aの左開口部63Aの下手側に位置する非開口部における上手側端部に穀稈を切断する左スクレーパ73Aを設け、右受網12Bの右開口部63Bの下手側に位置する非開口部における上手側端部に穀稈を切断する右スクレーパ73Bを設けることができる。これにより、穀稈における左開口部63Aと右開口部63Bから下方に垂れ下がった部位を切断して効率良く落下させることができ、脱穀負荷を迅速に軽減することができる。また、図11に示した形態においては、左受網12Aに左スクレーパ73Aを設け、右受網12Bに右スクレーパ73Bを設けているが、左受網12Aまたは右受網12Bのいずれか一方にのみスクレーパ73を設けることもできる。なお、本明細書では、左スクレーパ73Aと右スクレーパ73Bを総称してスクレーパ73と言う。
図12に示すように、右スクレーパ73Bは、扱胴11の扱歯54に対して略直交して、扱胴11の回転方向の上手側に向かって延在して設けられている。また、右スクレーパ73Bは、扱胴11の回転方向の上手側に向かって出し入れ可能にボルト等の締結手段によって受網12の内周部に装着されている。これにより、収穫される穀稈の種対に応じて、扱胴11の扱歯54と右スクレーパ73Bの隙間を調整して切断効率を高めることができる。なお、左スクレーパ73Aも右スクレーパ73Bと同様であるので説明を省略する。
図13に示すように、平面視において、左スクレーパ73Aの前後方向の略中間には、矩形状の切欠き部74Aが設けられ、右スクレーパ73Bの前後方向の略中間には、矩形状の切欠き部74Bが設けられている。これにより、穀稈における左開口部63Aと右開口部63Bから下方に垂れ下がった部位を切断してより効率良く落下させることができ、脱穀負荷をより迅速に軽減することができる。
図14に示すように、第2左仕切り板68Aの後側に径方向に移動可能な略1/4円弧形状の左可動仕切り板76Aを装着して、背面視において左可動仕切り板76Aの内周部を第2左仕切り板68Aの内周部よりも径方向の内側、すなわち、左可動仕切り板76Aの内周部を第2左仕切り板68Aの内周部よりも扱胴11側に位置させる。また、第2右仕切り板68Bの後側に径方向に移動可能な略1/4円弧形状の右可動仕切り板76Bを装着して、背面視において右可動仕切り板76Bの内周部を第2右仕切り板68Bの内周部よりも径方向の内側、すなわち、右可動仕切り板76Bの内周部を第2右仕切り板68Bの内周部よりも扱胴11側に位置させる。なお、本明細書では、左可動仕切り板76Aと右可動仕切り板76Bを総称して、可動仕切り板76と言う。
これにより、扱胴11と受網12の間を後方に搬送されてきた穀稈が、可動仕切り板76の前側で堰き止められて、受網12の可動仕切り板76よりも前側の部位で脱穀処理された穀粒の落下を促進して、可動仕切り板76よりも後側の開口部63からの穀粒の落下を抑制することができる。
<扱胴と受網の位置>
図15に示すように、正面視において扱胴11を支持する回転軸30の中心を受網12の中心よりも右側に位置させている。これにより、扱胴11における右側下部、すなわち、回転軸30の軸心視において、回転時に時計方向の6時から9時に位置する扱胴11の扱歯54の歯先と、これらの扱歯54に対向する受網12における内側面の間隔を狭くして脱穀性能を高めることができる。また、扱胴11における左側下部、すなわち、回転軸30の軸心視において、回転時に時計方向の3時から6時に位置する扱胴11の扱歯54の歯先と、これらの扱歯54に対向する受網12における内側面の間隔を広くして穀稈の詰まりを抑制する詰まり抑制性能を高めることができる。なお、回転軸30の軸心視において、回転時に時計方向の3時から6時に位置する扱胴11と受網12の間は、扱歯54の扱ぎ力と穀稈の自重が下方に働くために穀稈が最も詰まり易い箇所である。また、図中の矢印は、扱胴11の回転方向を示している。
回転軸30の軸心視において、扱歯54の歯先を基部よりも回転方向の上手側に位置させて支持部53に固定されている。これにより、インペラ部40からロータ部50に移送されてきた穀稈をドラム51の前部から後部に効率よく搬送することができる。また、扱歯54は、支持部53の径方向の内周部と外周部の2箇所で固定されている。これにより、扱歯54を支持部53に強固に固定することができ、扱歯54の脱落を防止することができる。
図16に示すように、正面視において扱胴11の回転軸30の中心を受網12の中心よりも下側に位置させている。これにより、扱胴11の下部、すなわち、回転軸30の軸心視において、回転時に時計方向の3時から9時に位置する扱胴11の扱歯54の歯先と、これらの扱歯54に対向する受網12における内側面の間隔を狭くして脱穀性能を高めることができる。また、扱胴11の上部、すなわち、回転軸30の軸心視において、回転時に時計方向の9時から3時に位置する扱胴11の扱歯54の歯先と扱胴カバー13の送塵板14の下端部の間隔を広くして穀稈を扱室10の後部に搬送する搬送性能を高めることができる。なお、図中の矢印は、扱胴11の回転方向を示している。
図17に示すように、正面視において扱胴11の回転軸30の中心を受網12の中心よりも右下側、すなわち、回転軸30の軸心視において、扱胴11の回転軸30の中心を受網12の中心よりも45度右下方向に延在する仮想線L上に位置させている。これにより、扱胴11における右側下部に位置する扱胴11の扱歯54の歯先と、これらの扱歯54に対向する受網12における内側面の間隔をより狭くして脱穀性能をより高めることができる。また、扱胴11における左側下部に位置する扱胴11の扱歯54の歯先と、これらの扱歯54に対向する受網12における内側面の間隔を広くして穀稈の詰まりを抑制する詰まり抑制性能を高めることができる。さらに、扱胴11の上部に位置する扱胴11の扱歯54の歯先と扱胴カバー13の送塵板14の下端部の間隔を広くして穀稈を扱室10の後部に搬送する搬送性能を高めることができる。なお、図中の矢印は、扱胴11の回転方向を示している。
10 扱室
11 扱胴
12 受網
12A 左受網
12B 右受網
13 扱胴カバー
14 送塵板
20 選別室
30 回転軸
54 扱歯
60 仕切り板
62 桟
63 開口部
63A 左開口部
63B 右開口部
64B 右上手部
65A 左中間部
65B 右中間部
68 第2仕切り板(第2後端仕切り板)
69 第3仕切り板(第1後端仕切り板)
73A 左スクレーパ
73B 右スクレーパ
76 可動仕切り板
L 仮想線
本発明は、コンバインの脱穀装置に関するものである。
従来、穀稈の脱穀処理を行う扱胴の下側に略反円弧形状の受網を設け、受網の後端部を扱胴の後端部よりも前側に位置させて、扱胴の後端部に搬送されてきた穀稈を下方に効率良く落下させる技術が提案されている。
しかし、特許文献1の技術においては、扱胴の後端部に搬送されてきた特に背丈の長い穀稈が受網の後端部に絡み付いて扱胴と受網の間に詰まるために、脱穀負荷が増加し、また、脱穀作業を中断して扱胴と受網の間に詰まった穀稈を取除く必要が有るために脱穀作業の作業効率が低下するという問題があった。
そこで、本発明の課題は、穀稈が受網の後端部に絡み付くのを防止して、脱穀負荷が増加を抑制し、また、脱穀作業の作業効率が高いコンバインの脱穀装置を提案することにある。
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、穀稈を脱穀する扱室(10)と、該扱室(10)の下側に脱穀された穀粒を選別する選別室(20)を備えたコンバインの脱穀装置において、
前記扱室(10)の前後壁に、穀稈の脱穀処理を行う略円筒形状の扱胴(11)を支持する回転軸(30)を回転自在に架設し、前記扱胴(11)の下側に、前記扱胴(11)に沿って前後方向に延在する略半円筒形状の受網(12)を設け、該受網(12)の後端部を、前記扱胴(11)の後端部よりも前側に位置させ、前記受網(12)を、前後方向に所定の間隔を隔てて設けられた略半円形状の仕切り板(60)と、該仕切り板(60)に周方向に所定の間隔を隔てて設けられた前後方向に延在する桟(62)で形成し、前記受網(12)の後端部に位置する第1後端仕切り板(69)と該第1後端仕切り板(69)の前側に隣接する第2後端仕切り板(68)の間に位置する部位に開口部(63)を形成し、前記受網(12)を左右方向に2分割する略1/4円形状の左受網(12A)と略1/4円形状の右受網(12B)で形成し、前記開口部(63)を、該左受網(12A)の左開口部(63A)と、前記右受網(12B)の右開口部(63B)で形成し、背面視において、前記左開口部(63A)を、前記左受網(12A)における扱胴(11)の回転方向の左中間部(65A)に形成し、前記右開口部(63B)を、前記右受網(12B)における扱胴(11)の回転方向の右上手部(64B)と右中間部(65B)に亘って形成したことを特徴とするコンバインの脱穀装置である。
請求項2記載の発明は、側面視において、前記左開口部(63A)と右開口部(63B)を、前記扱胴(11)の外周部に設けられた扱歯(54)の下側に位置させた請求項1記載のコンバインの脱穀装置である。
請求項3記載の発明は、前記扱胴(11)の上側に、前記扱胴(11)の上部を覆う扱胴カバー(13)を設け、側面視において、前記左開口部(63A)と右開口部(63B)を、扱胴カバー(13)の内周部に設けられた送塵板(14)の下側に位置させた請求項1又は2記載のコンバインの脱穀装置である。
請求項4記載の発明は、背面視において、前記左開口部(63A)における前記扱胴(11)の回転方向の下手部に穀稈を切断する左スクレーパ(73A)を設け、前記右開口部(63B)における前記扱胴(11)の回転方向の下手部に穀稈を切断する右スクレーパ(73B)を設けた請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンバインの脱穀装置である。
請求項5記載の発明は、前記第2後端仕切り板(68)に、径方向に移動可能な可動仕切り板(76)を装着し、該可動仕切り板(76)の内周部を、前記第2仕切り板(68)の内周部よりも扱胴(11)に近接させた請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンバインの脱穀装置である。
請求項6記載の発明は、左右方向において、前記扱歯(54)が上昇移動する側よりも、前記扱歯(54)側が下降移動する側での前記扱歯(54)の歯先と前記受網(12)の内側面の隙間が大きくなるように、前記回転軸(30)の軸心を、前記受網(12)の中心とずらして位置させた請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンバインの脱穀装置である。
請求項7記載の発明は、正面視において、前記回転軸(30)に軸心を、前記受網(12)の中心よりも下側に位置させた請求項1〜6のいずれか1項に記載のコンバインの脱穀装置である。
請求項8記載の発明は、正面視において、前記回転軸(30)に軸心を、前記受網(12)の中心を通り、水平面に対して45度傾斜した仮想線(L)上に位置させた請求項7記載のコンバインの脱穀装置である。
請求項1記載の発明によれば、扱室(10)の前後壁に、穀稈の脱穀処理を行う略円筒形状の扱胴(11)を支持する回転軸(30)を回転自在に架設し、扱胴(11)の下側に、扱胴(11)に沿って前後方向に延在する略半円筒形状の受網(12)を設け、受網(12)の後端部を、扱胴(11)の後端部よりも前側に位置させ、受網(12)を、前後方向に所定の間隔を隔てて設けられた略半円形状の仕切り板(60)と、仕切り板(60)に周方向に所定の間隔を隔てて設けられた前後方向に延在する桟(62)で形成し、受網(12)の後端部に位置する第1後端仕切り板(69)と第1後端仕切り板(69)の前側に隣接する第2後端仕切り板(68)の間に位置する部位に開口部(63)を形成したので、扱胴(11)の後端部に搬送されてきた穀稈を受網(12)の開口部(63)と受網(12)の後側から下方に効率良く落下させて、穀稈が扱胴(12)と受網(12)の間に詰まるのを防止して、脱穀負荷の増加を抑制し、又、脱穀作業の作業効率を高めることができる。
受網(12)を左右方向に2分割する略1/4円形状の左受網(12A)と略1/4円形状の右受網(12B)で形成し、開口部(63)を、左受網(12A)の左開口部(63A)と、右受網(12B)の右開口部(63B)で形成し、背面視において、左開口部(63A)を、左受網(12A)における扱胴(11)の回転方向の左中間部(65A)に形成し、右開口部(63B)を、右受網(12B)における扱胴(11)の回転方向の右上手部(64B)と右中間部(65B)に亘って形成したので、穀稈が左受網(12A)の開口部(63A)から過度に落下するのを防止して、穀粒の回収ロスの増加を抑制することができる。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、側面視において、左開口部(63A)と右開口部(63B)を、扱胴(11)の外周部に設けられた扱歯(54)の下側に位置させたので、扱歯(54)で穀稈を左開口部(63A)と右開口部(63B)に向けて跳ね出して、下方により効率良く落下させることができる。
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明による効果に加えて、扱胴(11)の上側に、扱胴(11)の上部を覆う扱胴カバー(13)を設け、側面視において、左開口部(63A)と右開口部(63B)を、扱胴カバー(13)の内周部に設けられた送塵板(14)の下側に位置させたので、送塵板(14)で多くの脱穀処理された穀稈を左開口部(63A)と右開口部(63B)の上方に集めて、左開口部(63A)と右開口部(63B)から下方にさらに効率良く落下させることができる。
請求項4記載の発明によれば、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、背面視において、左開口部(63A)における扱胴(11)の回転方向の下手部に穀稈を切断する左スクレーパ(73A)を設け、右開口部(63B)における扱胴(11)の回転方向の下手部に穀稈を切断する右スクレーパ(73B)を設けたので、扱胴(11)と受網(14)の間に詰まった穀稈を切断して、扱胴(11)の回転負荷を減少させて、脱穀負荷の増加を迅速に抑制することができる。
請求項5記載の発明によれば、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、第2後端仕切り板(68)に、径方向に移動可能な可動仕切り板(76)を装着し、可動仕切り板(76)の内周部を、第2仕切り板(68)の内周部よりも扱胴(11)に近接させたので、第2後端仕切り板(76)の前側で多くの穀粒を脱穀処理して、穀粒の回収ロスの増加をより抑制することができる。
請求項6記載の発明によれば、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、左右方向において、扱歯(54)が上昇移動する側よりも、扱歯(54)側が下降移動する側での扱歯(54)の歯先と受網(12)の内側面の隙間が大きくなるように、回転軸(30)の軸心を、受網(12)の中心とずらして位置させたので、扱胴(11)の扱歯(54)が下降移動する側、すなわち、時計方向の3時から6時に位置する扱胴(11)の扱歯(54)の歯先と、これらの扱歯(54)に対向する受網(12)の内側面の間隔を広くして穀稈の詰まりを抑制して脱穀作業の作業効率を高めることができる。また、扱胴(11)の扱歯(54)が上昇移動する側、すなわち、時計方向の6時から9時に位置する扱胴(11)の扱歯(54)の歯先と、これらの扱歯(54)に対向する受網(12)における内側面の間隔を狭くして脱穀性能を高めることができる。
請求項7記載の発明によれば、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、正面視において、回転軸(30)に軸心を、受網(12)の中心よりも下側に位置させたので、扱胴(11)の上部、すなわち、時計方向の9時から3時に位置する扱胴(11)の扱歯54の歯先と送塵板(14)の下端部の間隔を広くして穀稈を扱室(10)の後部に搬送する搬送性能を高めることができる。
請求項8記載の発明によれば、請求項7記載の発明による効果に加えて、正面視において、回転軸(30)に軸心を、受網(12)の中心を通り、水平面に対して45度傾斜した仮想線(L)上に位置させたので、扱胴(11)の扱歯(54)が上昇移動する側、なわち、時計方向の3時から6時に位置する扱胴(11)の扱歯(54)の歯先と、これらの扱歯(54)に対向する受網(12)における内側面の間隔をより狭くして脱穀性能をより高めることができる。
コンバインの正面図である。
コンバインの左側面図である。
コンバインの平面図である。
脱穀装置の前後方向の縦断面図である。
要部の脱穀装置の左右方向の縦断面図である。
扱胴の左側面図である。
左右受網の(a)は平面図、(b)はA-A矢印図である。
扱胴カバーの送塵板と、扱胴の扱歯と、受網の開口部の配置の説明図であり、(a)は扱胴カバーの底面図、(b)は左右受網等の平面図、(c)はA-A矢印図である。
前後方向に延在する連結部材の説明図であり、(a)は右受網の平面図、(b)はA-A矢印図である。
周方向に延在する連結部材の説明図であり、(a)は右受網の平面図、(b)はA-A矢印図である。
スクレーパの説明図であり、(a)は左右受網の平面図、(b)はA-A矢印図である。
スクレーパの説明図であり、スクレ―パの背面図である。
スクレーパの切欠き部の説明図であり、(a)は左右受網等の平面図、(b)はA-A矢印図である。
可動仕切り板の説明図であり、(a)は左右受網等の平面図、(b)はA-A矢印図である。
扱胴と受網の配置の説明図であり、扱胴と受網の正面図である。
扱胴と受網の他の配置の説明図であり、扱胴と受網の正面図である。
扱胴と受網のさらに他の配置の説明図であり、扱胴と受網の正面図である。
図1〜3に示すように、汎用コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を収穫する刈取前処理装置3が設けられ、刈取前処理装置3の後方左側に収穫された穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取前処理装置3の後方右側に操縦者が搭乗する操縦部5が設けられている。
操縦部5の下側にエンジンを内装するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側に脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7の後側に穀粒を外部に排出する排出オーガ8が設けられている。
刈取前処理装置3は、圃場の穀稈を起立させながら後側に搬送する搬送装置3Aと、搬送装置3Aの後側下部に搬送された穀稈の株元を切断する刈刃装置3Bと、搬送装置3Aの後側に搬送された穀稈を左側に寄せ集めるオーガ装置3Cと、寄せ集められた穀稈を脱穀装置4に搬送するフィーダハウス3Dから構成されている。
図4,5に示すように、脱穀装置4は、穀稈を脱穀する扱室10と、脱穀された穀粒を選別する選別室20から形成されている。
扱室10の前後壁には、フィーダハウス3Dから搬送されてくる穀稈を脱穀する扱胴11が架設され、扱胴11の下側には、扱胴11の外周下部に沿って半円弧形状に形成された受網12が設けられている。また、扱胴11の上部は、開閉可能な扱胴カバー13で覆われており、扱胴カバー13の内周部には、穀稈を扱室10の後方左側に搬送する送塵板14が設けられている。
選別室20の上部には、扱室10から漏下してくる穀粒を選別処理する揺動選別装置21が設けられている。揺動選別装置21の下部には、前側から順に、揺動選別装置21に選別風を送風する唐箕25と、唐箕25の後方に選別風の送風方向を変更する風割26と、揺動選別装置21から漏下してくる穀粒をグレンタンク7に搬送する1番螺旋27と、揺動選別装置21の後部から漏下してくる枝梗等が付着した穀粒を2番処理室に搬送する2番螺旋28と、脱粒処理された穀稈を外部に排出するストローラック29が設けられている。
図6に示すように、扱胴11は、扱室10の前後壁に回転自在に支持される回転軸30と、回転軸30の前端部に支持されるインペラ部40と、回転軸30におけるインペラ部40の後側に支持されるロータ部50から形成されている。
インペラ部40は、円形状の前板41と、前板41よりも径が大きい円形状の後板42と、前板41と後板42の外周部を連結する側板43から形成されている。
側板43の外周面には、インペラ部40の前部に搬送された穀稈をインペラ部40の後部に搬送する上下一対の搬送螺旋44が立設されている。これにより、インペラ部40に移送されてきた穀稈をロータ部50に効率良く移送することができる。
搬送螺旋44の前面には、円周方向に所定角度を隔てて側板43と搬送螺旋44の前面下部を連結する略三角形状の補強リブ45が設けられている。これにより、搬送螺旋44の剛性を高めて、穀稈から搬送螺旋44に加わる負荷によって搬送螺旋44が変形するのを抑制することができる。
ロータ部50は、円筒形状のドラム51と、ドラム51の外周部に周方向に所定の間隔を隔てて設けられた扱歯部材52から形成されている。扱歯部材52は、ドラム51の前後方向に沿って延在するパイプ形状の支持部53と、支持部53に前後方向に所定の間隔を隔てて設けられた複数の丸棒形状の扱歯54から形成されている。
扱歯54には扱胴11の回転方向に対して扱歯54の歯先が基部よりも上手側に位置するように後退角が設けられている。これにより、穀稈が、扱歯54に絡み付くのを抑制することができる。また、扱歯部材52の後端部には、扱歯54に替えて矩形形状の跳出板55が設けられている。これにより、ドラム51の後部に搬送されてきた脱粒処理された穀稈を選別室20に効率良く跳出すことができる。
図7に示すように、受網12は、略1/4円弧形状の左受網12Aと右受網12Bから形成されている。これにより、扱胴11の下側に、左受網12Aと右受網12Bを配置して、左受網12Aの左部と右受網12Bの右部を連結して受網12を容易に形成することができる。
左受網12Aは、前後方向に所定の間隔を隔てて設けられた略1/4円弧形状の左仕切り板60Aと、隣接する左仕切り板60Aの間に前後方向に所定の間隔を隔てて設けられた左補助仕切り板61Aと、これらの左仕切り板60Aと左補助仕切り板61Aに架設される周方向に所定の間隔を隔てて設けられた左桟62Aとから形成されている。
本明細書では、理解を容易にするために、背面視において、左仕切り板60Aを周方向に3分割して、扱胴11の回転方向の上手端部に位置する左仕切り板60Aにおける左上端部から周方向30度(反時計方向で6時〜5時)に延在する部位を左上手部64Aといい、周方向30〜60度(反時計方向で5時〜4時)に延在する部位を左中間部65Aといい、周方向60〜90度(反時計方向で4時〜3時)に延在する部位を左下手部66Aというものとする。
左仕切り板60Aの左上手部64Aに架設した左桟62Aを最も前側に位置する左仕切り板60A(以下、便宜的に第1左仕切り板67Aと言う。)から最も後側に位置する左仕切り板60A(以下、便宜的に第3左仕切り板69Aと言う。)まで延在させ、左仕切り板60Aの左中間部65Aに架設した左桟62Aを第1左仕切り板67Aから第3左仕切り板69Aの前側に隣接する左仕切り板60A(以下、便宜的に第2左仕切り板68Aと言う。)まで延在させ、左仕切り板60Aの左下手部66Aに架設した左桟62Aを第1左仕切り板67Aから第3左仕切り板69Aまで延在させている。これにより、左受網12Aにおける第2左仕切り板68Aと第3左仕切り板69Aで区画される部位において、左仕切り板60Aの左中間部65Aに位置する部位に左開口部63Aを形成することができる。
従って、扱胴11によって脱粒処理された穀稈を、扱胴11の後部における左受網12Aが延在していない部位と、左受網12Aの左開口部63Aから効率良く下方に落下させることができ、脱穀負荷を軽減することができる。また、左開口部63A等から落下した穀稈はストローラック29によって後方に効率良く移送して外部に排出することができる。さらに、左受網12Aの左下手部66Aには左桟62Aが設けられているので背丈の長い穀稈が過度に落下するのを抑制することができる。
なお、左仕切り板60Aの左上手部64Aに架設した左桟62Aを第1左仕切り板67Aから第3左仕切り板69Aで延在させ、左仕切り板60Aの左中間部65Aと左下手部66Aに架設した左桟62Aを第1左仕切り板67Aから第2左仕切り板68Aまで延在させることもできる。これにより、後述する右受網12Bと同様に、左受網12Aにおける第2左仕切り板68Aと第3左仕切り板69Aで区画される部位において、左仕切り板60Aの左中間部65Aと左下手部66Aに位置する部位に大きな左開口部63Aを形成することができる。
右受網12Bは、前後方向に所定の間隔を隔てて設けられた略1/4円弧形状の右仕切り板60Bと、隣接する右仕切り板60Bの間に前後方向に所定の間隔を隔てて設けられた右補助仕切り板61Bと、これらの右仕切り板60Bと右補助仕切り板61Bに架設される周方向に所定の間隔を隔てて設けられた右桟62Bとから形成されている。
本明細書では、理解を容易にするために、背面視において、右仕切り板60Bを周方向に3分割して、扱胴11の回転方向の上手端部に位置する右仕切り板60Bにおける左端部から周方向30度(反時計方向で9時〜8時)に延在する部位を右上手部64Bといい、周方向30〜60度(反時計方向で8時〜7時)に延在する部位を右中間部65Bといい、周方向60〜90度(反時計方向で7時〜6時)に延在する部位を右下手部66Bというものとする。
右仕切り板60Bの右上手部64Bと右中間部65Bに架設した右桟62Bを最も前側に位置する右仕切り板60B(以下、便宜的に第1右仕切り板67Bと言う。)から最も後側に位置する右仕切り板60B(以下、便宜的に第3右仕切り板69Bと言う。)の前側に隣接する右仕切り板60B(以下、便宜的に第2右仕切り板68Bと言う。)まで延在させ、右仕切り板60Bの右下手部66Bに架設した右桟62Bを第1右仕切り板67Bから第3右仕切り板69Bまで延在させている。これにより、右受網12Bにおける第2右仕切り板68Bと第3右仕切り板69Bで区画される部位において、右仕切り板60Bの右上手部64Bと右中間部65Bに位置する部位に大きな右開口部63Bを形成することができる。
従って、扱胴11によって脱粒処理された穀稈を、扱胴11の後部における右受網12Bが延在していない部位と、右受網12Bの右開口部63Bから効率良く下方に落下させることができ、脱穀負荷を低減することができる。また、右開口部63B等から落下した穀稈はストローラック29によって後方に効率良く移送して外部に排出することができる。
本明細書では、左仕切り板60Aと右仕切り板60Bを総称して仕切り板60と言い、左補助仕切り板61Aと右補助仕切り板61Bを総称して補助仕切り板61と言い、左桟62Aと右桟62Bを総称して桟62と言い、左開口部63Aと右開口部63Bを総称して開口部63と言い、第1左仕切り板67Aと第1右仕切り板67Bを総称して第1仕切り板67と言い、第2左仕切り板68Aと第2右仕切り板68Bを総称して第2仕切り板(請求項における「第2後端仕切り板」)68と言い、第3左仕切り板69Aと第3右仕切り板69Bを総称して第3仕切り板(請求項における「第1後端仕切り板」)69と言う。
図8に示すように、開口部63の前後方向の長さは、扱胴11に設けられた前後方向に隣接する扱歯54の間隔と同一長さに形成され、開口部63の前部を区画する第2仕切り板68は、後側から数えて2番目と3番目の扱歯54の前後方向の中間に設けられ、開口部63の後部を区画する第3仕切り板69は、後側から数えて1番目と2番目の扱歯54の前後方向の中間に設けられている。これにより、受網12の後部の剛性の低下を抑制して、後側から数えて2番目の扱歯54から絡み付いた脱粒処理された穀稈を開口部63から効率良く落下させて脱穀負荷を軽減することができる。
また、扱胴カバー13の後側から数えて1番目の送塵板14は、開口部63に対向する部位、すなわち、送塵板14は、開口部63の前部を区画する第2仕切り板68と、後部を区画する第3仕切り板69を横断して設けられている。これにより、脱粒処理された穀稈を後方左側に効率良く搬送して、開口部63から落下させて脱穀負荷を軽減することができる。
図9に示すように、右受網12Bの右開口部63Bの周方向の中間に、第2右仕切り板68Bと第3右仕切り板68Cに架設する前後方向に延在する連結部材70を設けることができる。これにより、脱粒処理された背丈の長い穀稈が、右開口部63Bからの過度に落下するのを防止することができる。なお、連結部材70は、穀稈の巻付きを防止するために丸棒で形成するのが好ましい。
図10に示すように、右受網12Bの右開口部63Bの前後方向の中間に、周方向に延在する略1/4円弧形状の連結部材71を設けることができる。これにより、脱粒処理された背丈の長い穀稈が、右開口部63Bからの過度に落下するのを防止することができる。
図11に示すように、左受網12Aの左開口部63Aの下手側に位置する非開口部における上手側端部に穀稈を切断する左スクレーパ73Aを設け、右受網12Bの右開口部63Bの下手側に位置する非開口部における上手側端部に穀稈を切断する右スクレーパ73Bを設けることができる。これにより、穀稈における左開口部63Aと右開口部63Bから下方に垂れ下がった部位を切断して効率良く落下させることができ、脱穀負荷を迅速に軽減することができる。また、図11に示した形態においては、左受網12Aに左スクレーパ73Aを設け、右受網12Bに右スクレーパ73Bを設けているが、左受網12Aまたは右受網12Bのいずれか一方にのみスクレーパ73を設けることもできる。なお、本明細書では、左スクレーパ73Aと右スクレーパ73Bを総称してスクレーパ73と言う。
図12に示すように、右スクレーパ73Bは、扱胴11の扱歯54に対して略直交して、扱胴11の回転方向の上手側に向かって延在して設けられている。また、右スクレーパ73Bは、扱胴11の回転方向の上手側に向かって出し入れ可能にボルト等の締結手段によって受網12の内周部に装着されている。これにより、収穫される穀稈の種対に応じて、扱胴11の扱歯54と右スクレーパ73Bの隙間を調整して切断効率を高めることができる。なお、左スクレーパ73Aも右スクレーパ73Bと同様であるので説明を省略する。
図13に示すように、平面視において、左スクレーパ73Aの前後方向の略中間には、矩形状の切欠き部74Aが設けられ、右スクレーパ73Bの前後方向の略中間には、矩形状の切欠き部74Bが設けられている。これにより、穀稈における左開口部63Aと右開口部63Bから下方に垂れ下がった部位を切断してより効率良く落下させることができ、脱穀負荷をより迅速に軽減することができる。
図14に示すように、第2左仕切り板68Aの後側に径方向に移動可能な略1/4円弧形状の左可動仕切り板76Aを装着して、背面視において左可動仕切り板76Aの内周部を第2左仕切り板68Aの内周部よりも径方向の内側、すなわち、左可動仕切り板76Aの内周部を第2左仕切り板68Aの内周部よりも扱胴11側に位置させる。また、第2右仕切り板68Bの後側に径方向に移動可能な略1/4円弧形状の右可動仕切り板76Bを装着して、背面視において右可動仕切り板76Bの内周部を第2右仕切り板68Bの内周部よりも径方向の内側、すなわち、右可動仕切り板76Bの内周部を第2右仕切り板68Bの内周部よりも扱胴11側に位置させる。なお、本明細書では、左可動仕切り板76Aと右可動仕切り板76Bを総称して、可動仕切り板76と言う。
これにより、扱胴11と受網12の間を後方に搬送されてきた穀稈が、可動仕切り板76の前側で堰き止められて、受網12の可動仕切り板76よりも前側の部位で脱穀処理された穀粒の落下を促進して、可動仕切り板76よりも後側の開口部63からの穀粒の落下を抑制することができる。
<扱胴と受網の位置>
図15に示すように、正面視において扱胴11を支持する回転軸30の中心を受網12の中心よりも右側に位置させている。これにより、扱胴11における右側下部、すなわち、回転軸30の軸心視において、回転時に時計方向の6時から9時に位置する扱胴11の扱歯54の歯先と、これらの扱歯54に対向する受網12における内側面の間隔を狭くして脱穀性能を高めることができる。また、扱胴11における左側下部、すなわち、回転軸30の軸心視において、回転時に時計方向の3時から6時に位置する扱胴11の扱歯54の歯先と、これらの扱歯54に対向する受網12における内側面の間隔を広くして穀稈の詰まりを抑制する詰まり抑制性能を高めることができる。なお、回転軸30の軸心視において、回転時に時計方向の3時から6時に位置する扱胴11と受網12の間は、扱歯54の扱ぎ力と穀稈の自重が下方に働くために穀稈が最も詰まり易い箇所である。また、図中の矢印は、扱胴11の回転方向を示している。
回転軸30の軸心視において、扱歯54の歯先を基部よりも回転方向の上手側に位置させて支持部53に固定されている。これにより、インペラ部40からロータ部50に移送されてきた穀稈をドラム51の前部から後部に効率よく搬送することができる。また、扱歯54は、支持部53の径方向の内周部と外周部の2箇所で固定されている。これにより、扱歯54を支持部53に強固に固定することができ、扱歯54の脱落を防止することができる。
図16に示すように、正面視において扱胴11の回転軸30の中心を受網12の中心よりも下側に位置させている。これにより、扱胴11の下部、すなわち、回転軸30の軸心視において、回転時に時計方向の3時から9時に位置する扱胴11の扱歯54の歯先と、これらの扱歯54に対向する受網12における内側面の間隔を狭くして脱穀性能を高めることができる。また、扱胴11の上部、すなわち、回転軸30の軸心視において、回転時に時計方向の9時から3時に位置する扱胴11の扱歯54の歯先と扱胴カバー13の送塵板14の下端部の間隔を広くして穀稈を扱室10の後部に搬送する搬送性能を高めることができる。なお、図中の矢印は、扱胴11の回転方向を示している。
図17に示すように、正面視において扱胴11の回転軸30の中心を受網12の中心よりも右下側、すなわち、回転軸30の軸心視において、扱胴11の回転軸30の中心を受網12の中心よりも45度右下方向に延在する仮想線L上に位置させている。これにより、扱胴11における右側下部に位置する扱胴11の扱歯54の歯先と、これらの扱歯54に対向する受網12における内側面の間隔をより狭くして脱穀性能をより高めることができる。また、扱胴11における左側下部に位置する扱胴11の扱歯54の歯先と、これらの扱歯54に対向する受網12における内側面の間隔を広くして穀稈の詰まりを抑制する詰まり抑制性能を高めることができる。さらに、扱胴11の上部に位置する扱胴11の扱歯54の歯先と扱胴カバー13の送塵板14の下端部の間隔を広くして穀稈を扱室10の後部に搬送する搬送性能を高めることができる。なお、図中の矢印は、扱胴11の回転方向を示している。
10 扱室
11 扱胴
12 受網
12A 左受網
12B 右受網
13 扱胴カバー
14 送塵板
20 選別室
30 回転軸
54 扱歯
60 仕切り板
62 桟
63 開口部
63A 左開口部
63B 右開口部
64B 右上手部
65A 左中間部
65B 右中間部
68 第2仕切り板(第2後端仕切り板)
69 第3仕切り板(第1後端仕切り板)
73A 左スクレーパ
73B 右スクレーパ
76 可動仕切り板
L 仮想線