JP2021125996A - インバータ - Google Patents

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【課題】 インバータにおいて、モータのロック時にインバータのスイッチング素子に加わる負荷を分散する。【解決手段】 モータを駆動するインバータであって、高電位配線と、低電位配線と、中電位配線と、3つのスイッチングと、制御回路を有する。前記制御回路が、前記モータがロックしたときに、ロック制御を実行する。前記ロック制御の制御単位期間は、3つの出力配線を同電位にする同電位印加期間と3つの出力配線の間に電位差を生じさせる電位差印加期間とを有する。制御回路が、第1動作では、第2動作よりも、前記同電位印加期間に、3つの出力配線を高い電位に制御する。前記制御回路が、前記ロック制御では、前記第1動作を複数回連続して繰り返す期間と前記第2動作を複数回連続して繰り返す期間を周期的に生じさせる。【選択図】図1

Description

本明細書に開示の技術は、インバータに関する。
特許文献1に開示のインバータは、3つの出力配線を介してモータに三相交流電流を供給する。三相交流電流の供給によって、モータが回転する。また、モータがロックする場合がある。この場合、モータの軸が回転しないので、インバータの出力電流の目標値が一定となる。このため、インバータの3つの出力配線に供給される出力電流が略一定となる。
特開2005−354785号公報
モータのロックによって出力電流が略一定になると、モータで生じる誘導起電力が略ゼロとなる。このため、出力電流は、寄生抵抗によってわずかに減少するものの、ほとんど減少しない。このため、インバータは、寄生抵抗による出力電流の減少分を補うために3つの出力配線に短時間だけ電位差を印加するが、その他の大部分の時間では3つの出力配線を同電位に制御する。3レベルインバータにおいては、3つの出力配線を同電位に制御する場合に、3つの出力配線を中電位配線の電位に制御することが一般的である。しかしながら、この構成では、3つの出力配線を同電位に制御する期間において、常に中電位配線を出力配線に接続するスイッチング素子に電流が流れる。このため、中電位配線を出力配線に接続するスイッチング素子に負荷が集中し、このスイッチング素子が早期に劣化する。このような電流集中に耐えるようにスイッチング素子の電流容量を大きくすると、スイッチング素子が大型化し、インバータが大型化する。本明細書では、モータのロック時にインバータのスイッチング素子に加わる負荷を分散する技術を提案する。
本明細書が開示するインバータは、モータを駆動する。このインバータは、高電位が印加される高電位配線と、低電位が印加される低電位配線と、中電位配線と、前記高電位配線と前記中電位配線の間に接続された上側コンデンサと、前記中電位配線と前記低電位配線の間に接続された下側コンデンサと、3つのスイッチング回路と、制御回路を有する。前記3つのスイッチング回路のそれぞれが、複数のスイッチング素子と、前記モータに接続された出力配線を有する。前記制御回路が、前記3つのスイッチング回路のそれぞれが有する前記複数のスイッチング素子を制御することによって、前記3つのスイッチング回路のそれぞれを、高電位出力状態、中電位出力状態、及び、低電位出力状態の間で変化させるように構成されている。前記高電位出力状態は、前記スイッチング回路が自身の前記出力配線を前記高電位配線に接続している状態である。前記中電位出力状態は、前記スイッチング回路が自身の前記出力配線を前記中電位配線に接続している状態である。前記低電位出力状態は、前記スイッチング回路が自身の前記出力配線を前記低電位配線に接続している状態である。前記制御回路が、前記モータがロックしたときに、ロック制御を実行するように構成されている。前記ロック制御では、前記制御回路が、前記3つのスイッチング回路が有する3つの前記出力配線を同電位にする同電位印加期間と前記3つの出力配線の間に電位差を生じさせる電位差印加期間とを有する制御単位期間が繰り返すように前記複数のスイッチング素子を制御する。前記制御単位期間では、前記同電位印加期間が前記電位差印加期間よりも長い。前記制御回路が、前記制御単位期間において、第1動作と第2動作を実行可能である。前記制御回路が、前記第1動作では、前記第2動作よりも、前記同電位印加期間に、前記3つの出力配線を高い電位に制御する。前記制御回路が、前記第1動作では、前記電位差印加期間に、前記3つのスイッチング回路の1つまたは2つを前記高電位出力状態とするとともに前記3つのスイッチング回路の残りを前記中電位出力状態とする。前記制御回路が、前記第2動作では、前記電位差印加期間に、前記3つのスイッチング回路の1つまたは2つを前記中電位出力状態とするとともに前記3つのスイッチング回路の残りを前記低電位出力状態とする。前記制御回路が、前記ロック制御では、前記第1動作を複数回連続して繰り返す期間と前記第2動作を複数回連続して繰り返す期間を周期的に生じさせる。
このインバータでは、モータがロックしたときに、制御回路がロック制御を実行する。ロック制御では、制御単位期間が繰り返される。制御単位期間には、3つの出力配線を同電位にする同電位印加期間と3つの出力配線の間に電位差を生じさせる電位差印加期間が含まれる。ロック制御では、第1動作と第2動作が実行される。制御回路は、第1動作では、第2動作よりも、同電位印加期間において、3つの出力配線を高い電位に制御する。すなわち、制御回路は、第1動作の同電位印加期間では、3つの出力配線を高電位配線の電位(以下、高電位という)または中電位配線の電位(以下、中電位という)に制御する。また、制御回路は、第2動作の同電位印加期間では、3つの出力配線を第1動作における電位よりも低い電位に制御する。例えば、第1動作において3つの出力配線が高電位に制御される場合には、第2動作において3つの出力配線が中電位または低電位(低電位配線の電位)に制御される。第1動作において3つの出力配線が中電位に制御される場合には、第2動作において3つの出力配線が低電位に制御される。3つの出力配線を高電位に制御すると、各スイッチング回路の高電位配線と出力配線を接続するスイッチング素子に電流が流れる。3つの出力配線を中電位に制御すると、各スイッチング回路の中電位配線と出力配線を接続するスイッチング素子に電流が流れる。3つの出力配線を低電位に制御すると、各スイッチング回路の低電位配線と出力配線を接続するスイッチング素子に電流が流れる。したがって、第1動作の同電位印加期間と第2動作の同電位印加期間では、異なるスイッチング素子に電流が流れる。したがって、第1動作と第2動作を実行することで、モータのロック時に電流が流れるスイッチング素子を分散することができ、特定のスイッチング素子に負荷が集中することを防止することができる。
また、第1動作では、制御回路が、電位差印加期間に、3つのスイッチング回路の1つまたは2つを高電位出力状態とするとともに3つのスイッチング回路の残りを中電位出力状態とする。これによって、目標電流に応じた電気角の電位差が出力され、出力電流を目電流に応じて制御できる。また、この場合、上側コンデンサが放電される。第2動作では、制御回路が、電位差印加期間に、3つのスイッチング回路の1つまたは2つを中電位出力状態とするとともに3つのスイッチング回路の残りを低電位出力状態とする。これによって、目標電流に応じた電気角の電位差が出力され、出力電流を目標電流に応じて制御できる。また、この場合、下側コンデンサが放電される。このように、第1動作と第2動作で目標電流に応じた電気角の電位差を出力することができるとともに、第1動作と第2動作とで異なるコンデンサを放電することができる。このため、中電位配線の電位を適正値に制御することができる。また、このように第1動作と第2動作が構成されていると、同電位印加期間と電位差印加期間との切り換え時に生じるスイッチング損失が低減される。
また、第1動作と第2動作の切り換え時に、スイッチング素子をスイッチングする必要がある。このため、第1動作と第2動作の間での切り換え回数が多いと、スイッチング損失が増大する。これに対し、上記のインバータでは、制御回路が、第1動作を複数回連続して繰り返す期間と第2動作を複数回連続して繰り返す期間を周期的に生じさせる。このように、第1動作が複数回連続して繰り返され、第2動作が複数回連続して繰り返されることで、第1動作と第2動作の間での切り換え回数を低減することができる。これによって、スイッチング損失が低減される。
上述したインバータの一例では、前記第1動作の繰り返し回数と前記第2動作の繰り返し回数が、前記中電位配線の電位が維持されるように設定されていてもよい。
この構成によれば、中電位配線の電位の変動をより低減することができる。
実施形態のインバータの回路図。 高電位出力状態、中電位出力状態、及び、低電位出力状態を示す表。 電圧ベクトルを示す空間ベクトル図。 モータのロック時の電流を示すグラフ。 電圧ベクトルE3を示す図。 従来のロック制御におけるパラメータVu、Vv、Vwの変化を示すグラフ。 制御単位期間T1を拡大したグラフ。 制御単位期間T2を拡大したグラフ。 上側ベクトルが出力されたときの電流経路を例示する回路図。 下側ベクトルが出力されたときの電流経路を例示する回路図。 (1,1,1)が出力されたときの電流経路を例示する回路図。 各動作の繰り返し回数と中電位VMの変化を示すグラフ。 第1中電位動作におけるパラメータVu、Vv、Vwの変化を示すグラフ。 高電位動作におけるパラメータVu、Vv、Vwの変化を示すグラフ。 低電位動作におけるパラメータVu、Vv、Vwの変化を示すグラフ。 第2中電位動作におけるパラメータVu、Vv、Vwの変化を示すグラフ。 (2,2,2)が出力されたときの電流経路を例示する回路図。 (0,0,0)が出力されたときの電流経路を例示する回路図。 高電位動作において下側ベクトルを出力する場合のパラメータVu、Vv、Vwの変化を示すグラフ。 低電位動作において上側ベクトルを出力する場合のパラメータVu、Vv、Vwの変化を示すグラフ。 モータのロック時に電流が周期的に変動する場合(リプル電流)を示すグラフ。 変形例のインバータの回路図。
(インバータの構成)
図1は、実施形態のインバータ10の回路図を示している。インバータ10は、車両に搭載されている。また、車両には、バッテリ18とモータ90が搭載されている。モータ90は、三相モータであり、車両のタイヤを駆動する。インバータ10は、バッテリ18とモータ90に接続されている。インバータ10は、バッテリ18から供給される直流電力を三相交流電力に変換し、三相交流電力をモータ90に供給する。これによって、モータ90が駆動し、車両が走行する。
インバータ10は、高電位配線12、中電位配線14、低電位配線16、上側コンデンサ20、及び、下側コンデンサ22を有している。高電位配線12は、バッテリ18の正極に接続されている。低電位配線16は、バッテリ18の負極に接続されている。バッテリ18によって、高電位配線12と低電位配線16の間に直流電圧が印加される。したがって、高電位配線12の電位VHは、低電位配線16の電位VL(すなわち、0V)よりも高い。上側コンデンサ20は、高電位配線12と中電位配線14の間に接続されている。下側コンデンサ22は、中電位配線14と低電位配線16の間に接続されている。このため、中電位配線14の電位VMは、低電位配線16の電位VLよりも高く、高電位配線12の電位VHよりも低い。
インバータ10は、U相スイッチング回路30u、V相スイッチング回路30v、及び、W相スイッチング回路30wの3つのスイッチング回路30を有している。スイッチング回路30のそれぞれは、高電位配線12と低電位配線16と中電位配線14の間に接続されている。スイッチング回路30のぞれぞれは、第1スイッチング素子41、第2スイッチング素子42、第3スイッチング素子43、第4スイッチング素子44、第1ダイオード51、第2ダイオード52、第3ダイオード53、第4ダイオード54、及び、出力配線60を有している。3つのスイッチング回路30の構成は互いに等しいので、以下では1つのスイッチング回路30の構成について説明する。
スイッチング素子41〜44は、FET(field effect transistor)である。但し、スイッチング素子41〜44は、IGBT(insulated gate bipolar transistor)であってもよい。ダイオード51〜54は、pnダイオードである。但し、ダイオード51〜54は、ショットキーバリアダイオードであってもよい。
第1スイッチング素子41は、高電位配線12と出力配線60の間に接続されている。第1スイッチング素子41のドレインが高電位配線12に接続されており、第1スイッチング素子41のソースが出力配線60に接続されている。
第1ダイオード51は、第1スイッチング素子41に対して並列に接続されている。第1ダイオード51のアノードが第1スイッチング素子41のソースに接続されており、第1ダイオード51のカソードが第1スイッチング素子41のドレインに接続されている。
第4スイッチング素子44は、出力配線60と低電位配線16の間に接続されている。第4スイッチング素子44のドレインが出力配線60に接続されており、第4スイッチング素子44のソースが低電位配線16に接続されている。
第4ダイオード54は、第4スイッチング素子44に対して並列に接続されている。第4ダイオード54のアノードが第4スイッチング素子44のソースに接続されており、第4ダイオード54のカソードが第4スイッチング素子44のドレインに接続されている。
第2スイッチング素子42と第3スイッチング素子43は、出力配線60と中電位配線14の間に直列に接続されている。第2スイッチング素子42のドレインは、中電位配線14に接続されている。第2スイッチング素子42のソースは、第3スイッチング素子43のソースに接続されている。第3スイッチング素子43のドレインは、出力配線60に接続されている。
第2ダイオード52は、第2スイッチング素子42に対して並列に接続されている。第2ダイオード52のアノードが第2スイッチング素子42のソースに接続されており、第2ダイオード52のカソードが第2スイッチング素子42のドレインに接続されている。
第3ダイオード53は、第3スイッチング素子43に対して並列に接続されている。第3ダイオード53のアノードが第3スイッチング素子43のソースに接続されており、第3ダイオード53のカソードが第3スイッチング素子43のドレインに接続されている。
以下では、U相スイッチング回路30uの出力配線60をU相出力配線60uといい、V相スイッチング回路30vの出力配線60をV相出力配線60vといい、W相スイッチング回路30wの出力配線60をW相出力配線60wという。U相出力配線60u、V相出力配線60v、W相出力配線60wのそれぞれは、モータ90に接続されている。
インバータ10は、制御回路70と指令回路72を有している。指令回路72には図示しない制御ユニットからモータ90の目標トルク(アクセルの踏み込み量等により算出される値)が入力される。また、指令回路72には、図示しない角度センサ(レゾルバ等)からモータ90の軸(ロータ)の角度が入力される。指令回路72は、目標トルクと、モータ90の軸の角度(すなわち、機械角)とに基づいて、モータ90に流す電流(すなわち、各出力配線60に流す電流)の目標値(以下、目標電流という)を算出する。そして、算出された目標電流に従って、各出力配線60に印加する電位の指令値を生成する。指令回路72は、生成した電位の指令値を制御回路70に入力する。制御回路70は、図示していないが、U相スイッチング回路30u、V相スイッチング回路30v、及び、W相スイッチング回路30wのそれぞれが有するスイッチング素子41〜44のゲートに接続されている。すなわち、制御回路70は、図1に示す12個のスイッチング素子のゲートに接続されている。制御回路70は、指令回路72から入力される指令値に基づいて、各スイッチング素子をオン−オフさせる。これによって、3つの出力配線60に、指令値に従って電位が印加される。通常時は、指令回路72は、モータ90の電気角が回転するように指令値を生成する。したがって、3つの出力配線60の間に三相交流電流が生成される。三相交流電流がモータ90に供給されることで、モータ90が駆動し、車両が走行する。
(出力配線の電位)
次に、各出力配線60に印加される電位について説明する。制御回路70は、各スイッチング回路30を、図2に示す高電位出力状態、中電位出力状態、低電位出力状態のいずれかに制御する。
高電位出力状態では、第1スイッチング素子41がオン、第2スイッチング素子42がオフ、第3スイッチング素子43がオフ、第4スイッチング素子44がオフに制御される。高電位出力状態では、出力配線60が、第1スイッチング素子41を介して高電位配線12に接続される。したがって、高電位出力状態では、出力配線60の電位は、高電位配線12と同じ電位VHとなる。
中電位出力状態では、第1スイッチング素子41がオフ、第2スイッチング素子42がオン、第3スイッチング素子43がオン、第4スイッチング素子44がオフに制御される。中電位出力状態では、出力配線60が、第2スイッチング素子42と第3スイッチング素子43を介して中電位配線14に接続される。したがって、中電位出力状態では、出力配線60の電位は、中電位配線14と同じ中電位VMとなる。
低電位出力状態では、第1スイッチング素子41がオフ、第2スイッチング素子42がオフ、第3スイッチング素子43がオフ、第4スイッチング素子44がオンに制御される。低電位出力状態では、出力配線60が、第4スイッチング素子44を介して低電位配線16に接続される。したがって、低電位出力状態では、出力配線60の電位は、低電位配線16と同じ低電位VLとなる。
各スイッチング回路30の状態が高電位出力状態、中電位出力状態、低電位出力状態の間で変化することで、各出力配線60の電位が高電位VH、中電位VM、低電位VLの間で変化する。
(電圧ベクトル)
図3は、出力配線60のそれぞれに印加される電位を示す電圧ベクトルを示す空間ベクトル図である。図3では、電圧ベクトルE1、E2が例示されている。電圧ベクトルは、3つのパラメータ(Vu、Vv、Vw)によって表される。パラメータVuは、U相出力配線60uの電位示す値である。パラメータVvは、V相出力配線60vの電位を示す値である。パラメータVwは、W相出力配線60wの電位を示す値である。パラメータVu、Vv、Vwは、0から2の間の数値である。数値「0」は対応する出力配線60に低電位VLが印加されることを示し、数値「1」は対応する出力配線60に中電位VMが印加されることを示し、数値「2」は対応する出力配線60に高電位VHが印加されることを示す。例えば、図3に例示された電圧ベクトルE1は、(2,2,0)であるので、U相出力配線60uに高電位VHが印加され、V相出力配線60vに高電位VHが印加され、W相出力配線60wに低電位VLが印加されることを意味する。
指令回路72は、3つの出力配線60に印加すべき電位の指令値を生成する。指令回路72は、電圧ベクトル(すなわち、3つのパラメータ(Vu,Vv,Vw))によって指令値を生成する。指令回路72が生成した指令値は、制御回路70に入力される。以下では、指令回路72から制御回路70に入力される指令値(電圧ベクトル)を、指令値ベクトルという。
制御回路70は、指令値ベクトルに従ってインバータ10を制御する。例えば、指令値ベクトルのパラメータVuが「0」の場合には、制御回路70は、U相スイッチング回路30uを低電位出力状態に制御してU相出力配線60uに低電位VLを印加する。指令値ベクトルのパラメータVuが「1」の場合には、制御回路70は、U相スイッチング回路30uを中電位出力状態に制御してU相出力配線60uに中電位VMを印加する。指令値ベクトルのパラメータVuが「2」の場合には、制御回路70は、U相スイッチング回路30uを高電位出力状態に制御してU相出力配線60uに高電位VHを印加する。指令値ベクトルのパラメータVvが「0」の場合には、制御回路70は、V相スイッチング回路30vを低電位出力状態に制御してV相出力配線60vに低電位VLを印加する。指令値ベクトルのパラメータVvが「1」の場合には、制御回路70は、V相スイッチング回路30vを中電位出力状態に制御してV相出力配線60vに中電位VMを印加する。指令値ベクトルのパラメータVvが「2」の場合には、制御回路70は、V相スイッチング回路30vを高電位出力状態に制御してV相出力配線60vに高電位VHを印加する。指令値ベクトルのパラメータVwが「0」の場合には、制御回路70は、W相スイッチング回路30wを低電位出力状態に制御してW相出力配線60wに低電位VLを印加する。指令値ベクトルのパラメータVwが「1」の場合には、制御回路70は、W相スイッチング回路30wを中電位出力状態に制御してW相出力配線60wに中電位VMを印加する。指令値ベクトルのパラメータVwが「2」の場合には、制御回路70は、W相スイッチング回路30wを高電位出力状態に制御してW相出力配線60wに高電位VHを印加する。このように、制御回路70は、指令値ベクトルに従って3つの出力配線60の電位を制御する。以下では、制御回路70が3つの出力配線60の電位を制御することを、「電圧ベクトルを出力する」という場合がある。
また、指令回路72は、パラメータVu、Vv、Vwとして小数を含む指令値ベクトルを生成する場合がある。例えば、図3の電圧ベクトルE2が指令値ベクトルとして生成される場合がある。指令値ベクトルのパラメータが小数を含む場合、制御回路70は、指令値ベクトルに近い複数の電圧ベクトル(パラメータが整数の電圧ベクトル)を時間的にずらして出力することでこれらの電圧ベクトルを合成する。制御回路70は、合成された電圧ベクトルが指令値ベクトルと一致するように、電圧ベクトルを出力する。
通常時は、指令回路72は、図3の矢印102に示すように指令値ベクトルが回転するように指令値ベクトルを順次生成して制御回路70に入力する。制御回路70は、入力された指令値ベクトルに従って電圧ベクトルを出力する。したがって、出力される電圧ベクトルが、矢印102のように回転する。これによって、3つの出力配線60の間に三相交流電流が生成され、モータ90の内部に生じる磁界が回転する。その結果、モータ90のロータが回転する。
(モータ90のロック)
車両の使用中にタイヤがロックし、モータ90がロックする場合がある。図4は、タイミングt1でモータ90がロックした場合に各出力配線60に流れる電流を示している。電流IuはU相出力配線60uに流れる電流であり、電流IvはV相出力配線60vに流れる電流であり、電流IwはW相出力配線60wに流れる電流である。モータ90がロックすると、モータ90のロータの角度が変化しないので、各出力配線60に対する目標電流が一定値となる。したがって、図4に示すように、制御回路70は、タイミングt1以降に、電流Iu、Iv、Iwが一定となるように、各スイッチング回路30を制御する。
(モータ90のロック時における電位の制御方法)
次に、モータ90のロック時における各出力配線60の電位(すなわち、パラメータ(Vu、Vv、Vw))の制御方法について説明する。上記の通り、モータ90のロック時には、電流Iu、Iv、Iwが略一定となるとともにモータ90のロータが停止しているので、モータ90のコイルで誘導起電力がほとんど生じない。このため、各出力配線60の間に電位差を印加しなくても、電流Iu、Iv、Iwはほとんど低下しない。より詳細には、各出力配線60の間に電位差を印加しない場合には、電流Iu、Iv、Iwは、回路の寄生抵抗等の影響によって時間の経過とともに僅かに減少する。したがって、電流Iu、Iv、Iwを一定に保つために、指令回路72は、指令値ベクトルとして極めて小さい電圧ベクトル(例えば、図5の電圧ベクトルE3)を算出する。このため、制御回路70は、きわめて小さい指令値ベクトルに従って各出力配線60の電位を制御する。この場合、制御回路70は、制御対象の期間のうちのほとんどでゼロベクトル(3つの出力配線60を同電位とする電圧ベクトル)を出力し、制御対象の期間のうちのごく短い期間でのみ各出力配線60の間に電位差を生じさせる電圧ベクトルを出力する。以下に、モータ90のロック時における各出力配線60の電位の制御方法(以下、ロック制御という)について詳細に説明する。なお、以下では、従来のロック制御と実施形態のロック制御について説明する。
(従来のロック制御)
図6は、従来のロック制御によって電圧ベクトルを出力した場合のパラメータVu、Vv、Vwの変化を示している。図6の期間T(すなわち、期間T1、T2)は、制御回路70が各スイッチング回路30を制御する制御単位期間を示している。制御回路70は、制御単位期間T毎に、電圧ベクトルの出力処理を繰り返す。なお、図6は、図5の電圧ベクトルE3を出力した場合を例示している。
制御回路70は、制御単位期間Tの開始直前に、指令値ベクトルを受信する。すると、制御回路70は、指令値ベクトルの周囲からパラメータ(Vu、Vv、Vw)のすべてが整数である3つの電圧ベクトルを選択する。なお、モータ90がロックしている状態では、指令値ベクトルが小さい。このため、制御回路70によって選択される3つの電圧ベクトルのうちの1つはゼロベクトルとなる。また、残りの2つの電圧ベクトルは、空間ベクトル図(図5)の内周側(最外周ではない位置)の座標を有する電圧ベクトルとなる。例えば、指令値ベクトルが図5の電圧ベクトルE3である場合には、制御回路70は、ゼロベクトルと、Vu軸と平行な電圧ベクトル(すなわち、(2,1,1)または(1,0,0))と、Vu軸に対して60度の角度を有する電圧ベクトル(すなわち、(2,2,1)または(1,1,0))を選択する。制御回路70は、図6の制御単位期間T1では第1選択方法を実施し、制御単位期間T2では第2選択方法を実施する。第1選択方法では、制御回路70は、ゼロベクトルとして(1,1,1)を選択し、ゼロベクトル以外の電圧ベクトルとして、パラメータ(Vu、Vv、Vw)が「2」と「1」の組み合わせにより構成されている電圧ベクトル(以下、上側ベクトルという)を選択する。指令値ベクトルが電圧ベクトルE3である場合には、第1選択方法では、制御回路70は、(1,1,1)、(2,1,1)、(2,2,1)を選択する。第2選択方法では、制御回路70は、ゼロベクトルとして(1,1,1)を選択し、ゼロベクトル以外の電圧ベクトルとして、パラメータ(Vu、Vv、Vw)が「1」と「0」の組み合わせにより構成されている電圧ベクトル(以下、下側ベクトルという)を選択する。指令値ベクトルが電圧ベクトルE3である場合には、第2選択方法では、制御回路70は、(1,1,1)、(1,0,0)、(1,1,0)を選択する。図6に示すように、制御回路70は、第1選択方法(制御単位期間T1)と第2選択方法(制御単位期間T2)を交互に実施する。
次に、制御回路70は、制御単位期間T内において、選択した3つの電圧ベクトルを時間的にずらして連続して出力する。図7は、制御単位期間T1において、第1選択方法により選択した3つの電圧ベクトル((1,1,1)、(2,1,1)、(2,2,1))を時間的にずらして出力する場合を示している。(1,1,1)、(2,1,1)、(2,2,1)が合成されることで、指令値ベクトルと同じ電圧ベクトルE3が出力される。図5に示すように、電圧ベクトルE3は極めて小さい。したがって、制御単位期間T1のうちの大部分はゼロベクトル(1,1,1)が出力される同電位印加期間Taとなる。すなわち、同電位印加期間Taにおいては、3つの出力配線60が同電位となる。制御単位期間T1のうちのごく短い期間Tbが、モータ90に電位差を印加する電圧ベクトル(2,1,1)、(2,2,1)を出力する期間(以下、電位差印加期間Tbという)となる。図8は、制御単位期間T2において、第2選択方法により選択した3つの電圧ベクトル((1,1,1)、(1,1,0)、(1,0,0))を時間的にずらして出力する場合を示している。(1,1,1)、(1,1,0)、(1,0,0)が合成されることで、指令値ベクトルと同じ電圧ベクトルE3が出力される。図5に示すように、電圧ベクトルE3は極めて小さい。したがって、制御単位期間T2のうちの大部分はゼロベクトル(1,1,1)が出力される同電位印加期間Taとなる。すなわち、同電位印加期間Taにおいては、3つの出力配線60が同電位となる。制御単位期間T2のうちのごく短い期間が、モータ90に電位差を印加する電圧ベクトル(2,1,1)、(2,2,1)が出力される電位差印加期間Tbとなる。
上述したように、モータ90がロックしていると、目標電流が変化せず、指令値ベクトルが変化しない。このため、図6に示すように、モータ90がロックしている状態では、複数の制御単位期間Tにおいて連続して同じ電圧ベクトル(図6では電圧ベクトルE3)が出力される。
図9は、(2,1,1)が出力されているときの電流経路を示している。図9に示すように、(2,1,1)が出力されていると、高電位配線12から、U相スイッチング回路30uの第1スイッチング素子41を介してモータ90へ電流が流れる。モータ90に流入した電流は、スイッチング回路30v、30wのスイッチング素子42、43を介して中電位配線14へ流れる。このように電流が流れると、上側コンデンサ20が放電され、中電位VMが上昇する。他の上側ベクトルが出力された場合でも、(2,1,1)が出力された場合と同様に、中電位VMが上昇する。
図10は、(1,0,0)が出力されているときの電流経路を示している。図10に示すように、(1,0,0)が出力されていると、中電位配線14から、U相スイッチング回路30uのスイッチング素子42、43を介してモータ90へ電流が流れる。モータ90に流入した電流は、スイッチング回路30v、30wの第4スイッチング素子44を介して低電位配線16へ流れる。このように電流が流れると、下側コンデンサ22が放電され、中電位VMが低下する。他の下側ベクトルが出力された場合でも、(1,0,0)が出力された場合と同様に、中電位VMが低下する。
上述したように、従来のロック制御では、制御回路70は、第1選択方法で上側ベクトルを選択し、第2選択方法で下側ベクトルを選択する。図6に示すように、制御回路70は、第1選択方法(制御単位期間T1)と第2選択方法(制御単位期間T2)を交互に実行する。したがって、制御回路70は、上側ベクトルと下側ベクトルを交互に出力する。したがって、中電位VMが、高電位VHと低電位VLの中間の電位に維持される。
図11は、図6の同電位印加期間Taにおいて(1,1,1)が出力されているときの電流経路を示している。なお、図11は、指令値ベクトルが図5の電圧ベクトルE3である場合を例示している。この場合、電流がモータ90と中電位配線14の間でループする。この状態では、各スイッチング回路30のスイッチング素子42、43に電流が流れ、各スイッチング回路30のスイッチング素子41、44には電流が流れない。図6に示すように、複数の連続する制御単位期間Tの大部分が同電位印加期間Taであるので、長時間に亘ってスイッチング素子42、43に電流が流れる。このため、スイッチング素子42、43に負荷が集中する。このように、従来のロック制御では、モータ90のロック時に、スイッチング素子42、43に負荷が集中するという問題がある。
(実施形態のロック制御)
実施形態のロック制御では、図12に示すように、制御回路70は、第1中電位動作、高電位動作、低電位動作、第2中電位動作の順にこれらの動作を周期的に実行する。実施形態のロック制御でも、制御回路70は、制御単位期間Tの直前に、指令値ベクトルを受信する。すると、制御回路70は、指令値ベクトルの周囲からパラメータ(Vu、Vv、Vw)のすべてが整数である3つの電圧ベクトルを選択する。実施形態のロック制御でも、選択される3つの電圧ベクトルのうちの1つはゼロベクトルとなり、残りの2つの電圧ベクトルは空間ベクトル図(図5)の内周側(最外周ではない位置)の座標を有する電圧ベクトルとなる。電圧ベクトルの選択方法は、第1中電位動作、高電位動作、低電位動作、第2中電位動作のそれぞれで異なる。
第1中電位動作では、制御回路70は、ゼロベクトルとして(1,1,1)を選択し、残りの2つの電圧ベクトルとして上側ベクトルを選択する。例えば、指令値ベクトルが図5の電圧ベクトルE3である場合には、制御回路70は、(1,1,1)、(2,1,1)、(2,2,1)を選択する。そして、制御単位期間Tにおいて、選択した3つの電圧ベクトルを時間的にずらして出力する。例えば、指令値ベクトルが電圧ベクトルE3である場合には、図13に示すように、(1,1,1)、(2,1,1)、(2,2,1)を連続して出力する。なお、ロック制御中は指令値ベクトルが小さいので、同電位印加期間Taは電位差印加期間Tbよりもはるかに長い。図13に示すように、制御回路70は、複数の制御単位期間Tにおいて連続して第1中電位動作を実行する。図12に示すように、制御回路70は、第1中電位動作をN/2回(N≧2(好ましくは、N≧4))連続して繰り返す。
制御回路70は、第1中電位動作をN/2回繰り返した後に、高電位動作を実行する。高電位動作では、制御回路70は、ゼロベクトルとして(2,2,2)を選択し、残りの2つの電圧ベクトルとして上側ベクトルを選択する。例えば、指令値ベクトルが図5の電圧ベクトルE3である場合には、制御回路70は、(2,2,2)、(2,1,1)、(2,2,1)を選択する。そして、制御単位期間Tにおいて、選択した3つの電圧ベクトルを時間的にずらして出力する。例えば、指令値ベクトルが電圧ベクトルE3である場合には、図14に示すように、(2,2,2)、(2,1,1)、(2,2,1)を連続して出力する。なお、ロック制御中は指令値ベクトルが小さいので、同電位印加期間Taは電位差印加期間Tbよりもはるかに長い。図12に示すように、制御回路70は、高電位動作をN回連続して繰り返す。
制御回路70は、高電位動作をN回繰り返した後に、低電位動作を実行する。低電位動作では、制御回路70は、ゼロベクトルとして(0,0,0)を選択し、残りの2つの電圧ベクトルとして下側ベクトルを選択する。例えば、指令値ベクトルが図5の電圧ベクトルE3である場合には、制御回路70は、(0,0,0)、(1,0,0)、(1,1,0)を選択する。そして、制御単位期間Tにおいて、選択した3つの電圧ベクトルを時間的にずらして出力する。例えば、指令値ベクトルが電圧ベクトルE3である場合には、図15に示すように、(0,0,0)、(1,1,0)、(1,0,0)を連続して出力する。なお、ロック制御中は指令値ベクトルが小さいので、同電位印加期間Taは電位差印加期間Tbよりもはるかに長い。図12に示すように、制御回路70は、低電位動作をN回連続して繰り返す。
制御回路70は、低電位動作をN回繰り返した後に、第2中電位動作を実行する。第2中電位動作では、制御回路70は、ゼロベクトルとして(1,1,1)を選択し、残りの2つの電圧ベクトルとして下側ベクトルを選択する。例えば、指令値ベクトルが図5の電圧ベクトルE3である場合には、制御回路70は、(1,1,1)、(1,0,0)、(1,1,0)を選択する。そして、制御単位期間Tにおいて、選択した3つの電圧ベクトルを時間的にずらして出力する。例えば、指令値ベクトルが電圧ベクトルE3である場合には、図16に示すように、(1,1,1)、(1,1,0)、(1,0,0)を連続して出力する。なお、ロック制御中は指令値ベクトルが小さいので、同電位印加期間Taは電位差印加期間Tbよりもはるかに長い。図12に示すように、制御回路70は、第2中電位動作をN/2回連続して繰り返す。
上述した第1中電位動作、高電位動作、低電位動作、第2中電位動作のいずれでも、選択された3つの電圧ベクトルが合成されて、指令値ベクトルと略同じ電圧ベクトルが出力される。したがって、第1中電位動作、高電位動作、低電位動作、第2中電位動作のいずれでも、適切にモータ90を制御することができる。
図17は、高電位動作の同電位印加期間Ta((2,2,2)が出力されている期間)における電流経路を示している。なお、図17は、指令値ベクトルが図5の電圧ベクトルE3である場合を例示している。この場合、電流がモータ90と高電位配線12の間でループする。この状態では、各スイッチング回路30の第1スイッチング素子41に電流が流れ、各スイッチング回路30のスイッチング素子42〜44には電流が流れない。このように、高電位動作の同電位印加期間Taでは、各スイッチング回路30の第1スイッチング素子41に電流が流れる。
図18は、低電位動作の同電位印加期間Ta((0,0,0)が出力されている期間)における電流経路を示している。なお、図18は、指令値ベクトルが図5の電圧ベクトルE3である場合を例示している。この場合、電流がモータ90と低電位配線16の間でループする。この状態では、各スイッチング回路30の第4スイッチング素子44に電流が流れ、各スイッチング回路30のスイッチング素子41〜43には電流が流れない。このように、低電位動作の同電位印加期間Taでは、各スイッチング回路30の第4スイッチング素子44に電流が流れる。
第1中電位動作と第2中電位動作の同電位印加期間Taでは、図11と同様に、各スイッチング回路30のスイッチング素子42、43に電流が流れ、各スイッチング回路30のスイッチング素子41、44には電流が流れない。
このように、第1中電位動作、高電位動作、低電位動作、及び、第2中電位動作の間で、同電位印加期間Taに電流が流れるスイッチング素子が異なる。このため、実施形態のロック制御によれば、ロック制御中に特定のスイッチング素子に負荷が集中することを抑制することができる。特に、実施形態のロック制御では、高電位動作がN回実行され、第1中電位動作と第2中電位動作が合計N回実行され、低電位動作がN回実行されるため、ロック制御中に各スイッチング素子に略均等に分散して電流が流れ、各スイッチング素子に加わる負荷を略均等に分散させることができる。
また、実施形態のロック制御では、第1中電位動作と高電位動作では電位差印加期間Tbにおいて上側ベクトルが出力され、低電位動作と第2中電位動作では電位差印加期間Tbにおいて下側ベクトルが出力される。上述したように、上側ベクトルが出力されると中電位VMが上昇し、下側ベクトルが出力されると中電位VMが低下する。但し、ロック制御中においては電位差印加期間Tbが極めて短いので、1度の電位差印加期間Tb中における中電位VMの変化量は小さい。図12に示すように、上側ベクトルが出力される第1中電位動作と高電位動作が繰り返されている間においては、中電位VMが徐々に上昇し、下側ベクトルが出力される低電位動作と第2中電位動作とが繰り返されている間においては、中電位VMが徐々に低下する。このように、上側ベクトルが出力される動作と下側ベクトルが出力される動作が周期的に実行されるので、中電位VMが極端に高くなったり低くなったりすることが防止される。特に、本実施形態では、上側ベクトルが出力される動作(第1中電位動作と高電位動作)の繰り返し回数(すなわち、1.5N回)と下側ベクトルが出力される動作(低電位動作と第2中電位動作)の繰り返し回数(すなわち、1.5N回)が等しいので、中電位VMの変動を効果的に抑制できる。
また、実施形態のロック制御では、図14に示すように、高電位動作の電位差印加期間Tbにおいて、上側ベクトルを出力する。仮に、高電位動作の電位差印加期間Tbにおいて下側ベクトルを出力すると、図19に示すようにパラメータ(Vu、Vv、Vw)が変化する。図14と図19を比較することで明らかなように、高電位動作の電位差印加期間Tbにおいて上側ベクトルを出力する場合(図14)には、高電位動作の電位差印加期間Tbにおいて下側ベクトルを出力する場合(図19)に比べて、制御単位期間T内にパラメータ(Vu,Vv,Vw)(すなわち、各出力配線60の電位)を変化させる回数が少ない。すなわち、図14では図19よりも各スイッチング素子41〜44をスイッチングさせる回数が少ない。このように、図14では図19よりもスイッチング回数が少なくなることで、スイッチング損失が低減される。また、図19のパラメータVwは「2」と「0」の間での切り換え(すなわち、高電位VHと低電位VLの間での切り換え)を含んでおり、スイッチングする各スイッチング素子41〜44に加わる電圧の変化量が大きい。図14ではいずれのパラメータも「0」にならないので、スイッチングする各スイッチング素子41〜44に加わる電圧の変化量が小さい。このように、図14では図19よりもスイッチングする各スイッチング素子41〜44に加わる電圧の変化量が小さく、これによってもスイッチング損失が低減される。このように、実施形態のロック制御では、高電位動作の電位差印加期間Tbにおいて上側ベクトルを出力することで、スイッチング損失が抑制される。
また、実施形態のロック制御では、図15に示すように、低電位動作の電位差印加期間Tbにおいて、下側ベクトルを出力する。仮に、低電位動作の電位差印加期間Tbにおいて上側ベクトルを出力すると、図20に示すようにパラメータ(Vu、Vv、Vw)が変化する。図15と図20を比較することで明らかなように、低電位動作の電位差印加期間Tbにおいて下側ベクトルを出力する場合(図15)には、低電位動作の電位差印加期間Tbにおいて上側ベクトルを出力する場合(図20)に比べて、制御単位期間T内にパラメータ(Vu,Vv,Vw)(すなわち、各出力配線60の電位)を変化させる回数が少ない。すなわち、図15では図20よりも各スイッチング素子41〜44をスイッチングさせる回数が少ない。このように、図15では図20よりもスイッチング回数が少なくなることで、スイッチング損失が低減される。また、図20のパラメータVuは「2」と「0」の間での切り換え(すなわち、高電位VHと低電位VLの間での切り換え)を含んでおり、スイッチングする各スイッチング素子41〜44に加わる電圧の変化量が大きい。図15ではいずれのパラメータも「2」にならないので、スイッチングする各スイッチング素子41〜44に加わる電圧の変化量が小さい。このように、図15では図20よりもスイッチングする各スイッチング素子41〜44に加わる電圧の変化量が小さく、これによってもスイッチング損失が低減される。このように、実施形態のロック制御では、低電位動作の電位差印加期間Tbにおいて下側ベクトルを出力することで、スイッチング損失が抑制される。
また、第1中電位動作、高電位動作、低電位動作、第2中電位動作の間で動作を切り替えるときに、スイッチング素子41〜44のいくつかをスイッチングさせる必要がある。実施形態のロック制御では、第1中電位動作、高電位動作、低電位動作、第2中電位動作のそれぞれを複数回(N回、N/2回)繰り返してから次の動作に移行する。これによって、第1中電位動作、高電位動作、低電位動作、第2中電位動作の間での動作の切り換え回数が低減され、各スイッチング素子のスイッチング回数が低減される。これによって、スイッチング損失の発生が抑制される。
なお、ロック制御中に、図21に示すように、電流Iu、Iv、Iwが周期的に変動する場合がある。この場合、第1中電位動作、高電位動作、低電位動作、第2中電位動作のそれぞれの電位差印加期間Tb中に流れる電流Iu、Iv、Iwの大きさが異なり、第1中電位動作、高電位動作、低電位動作、第2中電位動作のそれぞれにおける中電位VMの変化量が異なる場合がある。この場合、電流Iu、Iv、Iwの少なくとも1つを検出し、検出された電流に応じて各動作の繰り返し回数を調整してもよい。例えば、高電位動作における電流Iuが低電位動作における電流Iuよりも大きい場合に、低電位動作の繰り返し回数を高電位動作の繰り返し回数よりも多くしてもよい。これによって、中電位VMを適正値(例えば、高電位VHと低電位VLの中間の値)により正確に制御することができる。また、中電位VMを検出し、検出された中電位VMに応じて各動作の繰り返し回数を変更してもよい。例えば、中電位VMが適正値よりも高い場合には中電位VMを低下させる低電位動作と第2中電位動作の繰り返し回数を増やし、中電位VMが適正値よりも低い場合には中電位VMを上昇させる第1中電位動作と高電位動作の繰り返し回数を増やしてもよい。
なお、上述した実施形態では、第1中電位動作、高電位動作、低電位動作、第2中電位動作を順に実行した。しかしながら、これらの動作の一部を省略してもよい。例えば、第1中電位動作と第2中電位動作を省略し、高電位動作と低電位動作をN回ずつ交互に実行してもよい。この場合、ロック制御の同電位印加期間Taにおいて、スイッチング素子42、43に電流が流れない。スイッチング素子42、43の電流容量が小さい場合には、このようにロック制御を実行することで、スイッチング素子42、43に加わる負荷を軽減できる。さらに、この場合には、第1スイッチング素子41と第4スイッチング素子44に電流を分散させることができる。ロック制御において第1スイッチング素子41を保護する場合には、第1中電位動作と低電位動作をN回ずつ交互に実施してもよい。ロック制御において第4スイッチング素子44を保護する場合には、高電位動作と第2中電位動作をN回ずつ交互に実施してもよい。また、第1中電位動作、高電位動作、低電位動作、第2中電位動作の繰り返し回数の比率を変更してもよい。
また、上述した実施形態では、各スイッチング回路30において、中電位配線14と出力配線60の間に第2スイッチング素子42と第3スイッチング素子43の直列回路が接続されていた。しかしながら、インバータが他の回路構成を有していてもよい。例えば、インバータが図22に示す回路構成を有していてもよい。図22では、各スイッチング回路30が、第1スイッチング素子141、第2スイッチング素子142、第3スイッチング素子143、第4スイッチング素子144、第1ダイオード151、第2ダイオード152、第3ダイオード153、第4ダイオード154、第5ダイオード155、第6ダイオード156、及び、出力配線60を有している。なお、図22では、スイッチング素子141〜144がIGBTとして示されているが、これらはFETであってもよい。
ダイオード151〜154は、スイッチング素子141〜144に対して並列に接続されている。ダイオード151〜154のアノードが対応するスイッチング素子のエミッタに接続されており、ダイオード151〜154のカソードが対応するスイッチング素子のコレクタに接続されている。スイッチング素子141〜144は、高電位配線12と低電位配線16の間に直列に接続されている。すなわち、第1スイッチング素子141のコレクタは、高電位配線12に接続されている。第2スイッチング素子142のコレクタは、第1スイッチング素子141のエミッタに接続されている。第3スイッチング素子143のコレクタは、第2スイッチング素子142のエミッタに接続されている。第4スイッチング素子144のコレクタは、第3スイッチング素子143のエミッタに接続されている。第4スイッチング素子144のエミッタは、低電位配線16に接続されている。第5ダイオード155のアノードは、中電位配線14に接続されている。第5ダイオード155のカソードは、第1スイッチング素子141のエミッタ、及び、第2スイッチング素子142のコレクタに接続されている。第6ダイオード156のアノードは、第3スイッチング素子143のエミッタ、及び、第4スイッチング素子144のコレクタに接続されている。第6ダイオード156のカソードは、中電位配線14に接続されている。出力配線60は、第2スイッチング素子142のエミッタ、及び、第3スイッチング素子143のコレクタに接続されている。
図22のインバータの各スイッチング回路30では、第1スイッチング素子141がオン、第2スイッチング素子142がオン、第3スイッチング素子143がオフ、第4スイッチング素子144がオフに制御されると、高電位出力状態となる。高電位出力状態では、出力配線60が、第1スイッチング素子141と第2スイッチング素子142を介して高電位配線12に接続される。したがって、高電位出力状態では、出力配線60の電位は、高電位VHとなる。
図22のインバータの各スイッチング回路30は、第1スイッチング素子141がオフ、第2スイッチング素子142がオン、第3スイッチング素子143がオン、第4スイッチング素子144がオフに制御されると、中電位出力状態となる。中電位出力状態では、出力配線60が、第2スイッチング素子142と第5ダイオード155を介して、または、第3スイッチング素子143と第6ダイオード156を介して中電位配線14に接続される。したがって、中電位出力状態では、出力配線60の電位は、中電位VMとなる。
図22のインバータの各スイッチング回路30は、第1スイッチング素子141がオフ、第2スイッチング素子142がオフ、第3スイッチング素子143がオン、第4スイッチング素子144がオンに制御されると、低電位出力状態となる。低電位出力状態では、出力配線60が、第3スイッチング素子143と第4スイッチング素子144を介して低電位配線16に接続される。したがって、低電位出力状態では、出力配線60の電位は、低電位VLとなる。
図22のインバータでも、上述した実施形態のロック制御と同様に電圧ベクトルを出力することで、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの1つの目的を達成すること自体で技術有用性を持つものである。
10 :インバータ
12 :高電位配線
14 :中電位配線
16 :低電位配線
18 :バッテリ
20 :上側コンデンサ
22 :下側コンデンサ
30 :スイッチング回路
30u :U相スイッチング回路
30v :V相スイッチング回路
30w :W相スイッチング回路
41〜44 :スイッチング素子
51〜54 :4ダイオード
60u :U相出力配線
60v :V相出力配線
60w :W相出力配線
70 :制御回路
72 :指令回路
90 :モータ

Claims (2)

  1. モータを駆動するインバータであって、
    高電位が印加される高電位配線と、
    低電位が印加される低電位配線と、
    中電位配線と、
    前記高電位配線と前記中電位配線の間に接続された上側コンデンサと、
    前記中電位配線と前記低電位配線の間に接続された下側コンデンサと、
    3つのスイッチング回路と、
    制御回路、
    を有し、
    前記3つのスイッチング回路のそれぞれが、
    複数のスイッチング素子と、
    前記モータに接続された出力配線、
    を有し、
    前記制御回路が、前記3つのスイッチング回路のそれぞれが有する前記複数のスイッチング素子を制御することによって、前記3つのスイッチング回路のそれぞれを、高電位出力状態、中電位出力状態、及び、低電位出力状態の間で変化させるように構成されており、
    前記高電位出力状態は、前記スイッチング回路が自身の前記出力配線を前記高電位配線に接続している状態であり、
    前記中電位出力状態は、前記スイッチング回路が自身の前記出力配線を前記中電位配線に接続している状態であり、
    前記低電位出力状態は、前記スイッチング回路が自身の前記出力配線を前記低電位配線に接続している状態であり、
    前記制御回路が、前記モータがロックしたときに、ロック制御を実行するように構成されており、
    前記ロック制御では、前記制御回路が、前記3つのスイッチング回路が有する3つの前記出力配線を同電位にする同電位印加期間と前記3つの出力配線の間に電位差を生じさせる電位差印加期間とを有する制御単位期間が繰り返すように前記複数のスイッチング素子を制御し、
    前記制御単位期間では、前記同電位印加期間が前記電位差印加期間よりも長く、
    前記制御回路が、前記制御単位期間において、第1動作と第2動作を実行可能であり、
    前記制御回路が、前記第1動作では、前記第2動作よりも、前記同電位印加期間に、前記3つの出力配線を高い電位に制御し、
    前記制御回路が、前記第1動作では、前記電位差印加期間に、前記3つのスイッチング回路の1つまたは2つを前記高電位出力状態とするとともに前記3つのスイッチング回路の残りを前記中電位出力状態とし、
    前記制御回路が、前記第2動作では、前記電位差印加期間に、前記3つのスイッチング回路の1つまたは2つを前記中電位出力状態とするとともに前記3つのスイッチング回路の残りを前記低電位出力状態とし、
    前記制御回路が、前記ロック制御では、前記第1動作を複数回連続して繰り返す期間と前記第2動作を複数回連続して繰り返す期間を周期的に生じさせる、
    インバータ。
  2. 前記第1動作の繰り返し回数と前記第2動作の繰り返し回数が、前記中電位配線の電位が維持されるように設定される、請求項1のインバータ。
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