JP2021118097A - 熱伝導体およびそれを備えるバッテリー - Google Patents
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Abstract
【課題】熱源の形態に順応可能であって、弾性変形性に富み、かつ放熱効率に優れる熱伝導体、およびそれを備えるバッテリーを提供する。【解決手段】本発明は、熱源からの熱を伝導可能な中空状の熱伝導体1であって、その外郭5を形成する熱伝導部材10を備え、熱伝導部材10は、金属、炭素若しくはセラミックスの少なくとも1つを含むことを特徴とする熱伝導体1、およびそれを備えるバッテリーに関する。【選択図】図1
Description
本発明は、熱伝導体およびそれを備えるバッテリーに関する。
自動車、航空機、船舶あるいは家庭用若しくは業務用電子機器の制御システムは、より高精度かつ複雑化してきており、それに伴って、回路基板上の小型電子部品の集積密度が増加の一途を辿っている。この結果、回路基板周辺の発熱による電子部品の故障や短寿命化を解決することが強く望まれている。
回路基板からの速やかな放熱を実現するには、従来から、回路基板自体を放熱性に優れた材料で構成し、ヒートシンクを取り付け、あるいは冷却ファンを駆動するといった手段を単一で若しくは複数組み合わせて行われている。これらの内、回路基板自体を放熱性に優れた材料、例えばダイヤモンド、窒化アルミニウム(AlN)、立方晶窒化ホウ素(cBN)などから構成する方法は、回路基板のコストを極めて高くしてしまう。また、冷却ファンの配置は、ファンという回転機器の故障、故障防止のためのメンテナンスの必要性や設置スペースの確保が難しいという問題を生じる。これに対して、放熱フィンは、熱伝導性の高い金属(例えば、アルミニウム)を用いた柱状あるいは平板状の突出部位を数多く形成することによって表面積を大きくして放熱性をより高めることのできる簡易な部材であるため、放熱部品として汎用的に用いられている(特許文献1を参照)。
ところで、現在、世界中で、地球環境への負荷軽減を目的として、従来からのガソリン車あるいはディーゼル車を徐々に電気自動車に転換しようとする動きが活発化している。特に、フランス、オランダ、ドイツをはじめとする欧州諸国の他、中国でも、電気自動車の普及が進行してきている。電気自動車の普及には、高性能バッテリーの開発の他、多数の充電スタンドの設置などの課題がある。特に、リチウム系の自動車用バッテリーの充放電機能を高めるための技術開発が課題となっている。上記自動車バッテリーは、摂氏60度以上の高温下では充放電の機能を十分に発揮できないことが良く知られている。このため、先に説明した回路基板と同様、バッテリーにおいても、放熱性を高めることが重要視されている。
バッテリーの速やかな放熱を実現するには、アルミニウム等の熱伝導性に優れた金属製の筐体に水冷パイプを配置し、当該筐体にバッテリーセルを多数配置し、バッテリーセルと筐体の底面との間に密着性のゴムシートを挟んだ構造が採用されている。このような構造のバッテリーでは、バッテリーセルは、ゴムシートを通じて筐体に伝熱して、水冷によって効果的に除熱される。
しかし、上述のような従来のバッテリーにおいて、ゴムシートは、アルミニウムやグラファイトと比べて熱伝導性が低いため、バッテリーセルから筐体に効率よく熱を移動させることが難しい。また、ゴムシートに代えてグラファイト等のスペーサを挟む方法も考えられるが、複数のバッテリーセルの下面が平らではなく段差を有することから、バッテリーセルとスペーサとの間に隙間が生じ、伝熱効率が低下する。かかる一例にもみられるように、バッテリーセルは種々の形態(段差等の凹凸あるいは表面状態を含む)をとり得ることから、バッテリーセルの形態に順応可能であって高い伝熱効率を実現することの要望が高まっている。さらには、バッテリーセルを除去したときに元の形状に近い形状に戻る熱伝導体が望まれている。これは、バッテリーセルのみならず、回路基板、電子部品あるいは電子機器本体のような他の熱源にも通じる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、熱源の形態に順応可能であって、弾性変形性に富み、かつ放熱効率に優れる熱伝導体、およびそれを備えるバッテリーを提供することを目的とする。
(1)上記目的を達成するための一実施形態に係る熱伝導体は、熱源からの熱を伝導可能な中空状の熱伝導体であって、その外郭を形成する熱伝導部材を備え、前記熱伝導部材は、金属、炭素若しくはセラミックスの少なくとも1つを含む。
(2)別の実施形態に係る熱伝導体は、好ましくは、中空状の球形若しくは扁球形の基体を備え、前記熱伝導部材は、前記基体の外周にコーティングされている。
(3)別の実施形態に係る熱伝導体は、好ましくは、筒状の基体を備え、前記熱伝導部材は、前記基体の少なくとも外側面にコーティングされている。
(4)別の実施形態に係る熱伝導体では、好ましくは、前記基体は、外から内部に通じる1以上の貫通孔を有する。
(5)別の実施形態に係る熱伝導体では、好ましくは、前記基体は、前記熱源の表面形状に合わせて変形容易に構成されている。
(6)別の実施形態に係る熱伝導体では、好ましくは、前記外郭は、長尺状の前記熱伝導部材が巻かれた形態である。
(7)別の実施形態に係る熱伝導体では、好ましくは、前記熱伝導部材は、金属、炭素若しくはセラミックスの少なくとも1つを含む熱伝導シートと、前記熱伝導シートに比べて変形容易な弾性部材と、を備える。
(8)別の実施形態に係る熱伝導体では、好ましくは、前記弾性部材は、ゴム状弾性体からなる長尺状の部材であり、前記熱伝導部材は、長尺状の前記熱伝導シートの一方の面に前記弾性部材が積層された部材であって、前記熱伝導シートが外側となるよう前記外郭を形成している。
(9)別の実施形態に係る熱伝導体では、好ましくは、前記弾性部材は、屈曲可能な線材であり、前記熱伝導部材は、長尺状の前記熱伝導シートに少なくとも1の前記弾性部材が挿通された部材である。
(10)別の実施形態に係る熱伝導体は、好ましくは、中空状の球形、扁球形若しくは筒形の基体を備え、前記熱伝導部材は、前記基体の外周の少なくとも一部を覆うように巻き付けられる。
(11)別の実施形態に係る熱伝導体は、好ましくは、前記熱伝導部材が球状、扁球状若しくは筒状に編み込まれて形成される。
(12)別の実施形態に係る熱伝導体は、好ましくは、前記熱伝導部材の表面に、当該表面に接触する前記熱源から当該表面への熱伝導性を高めるための熱伝導性オイルを有する。
(13)別の実施形態に係る熱伝導体では、好ましくは、前記熱伝導性オイルは、シリコーンオイルと、前記シリコーンオイルより熱伝導性が高く、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーとを含む。
(14)実施形態に係るバッテリーは、冷却剤を流す構造を持つ筐体内に、1または2以上の熱源としてのバッテリーセルを備えたバッテリーであって、前記バッテリーセルと前記筐体との間に、上述のいずれか1項に記載の熱伝導体を複数備える。
(2)別の実施形態に係る熱伝導体は、好ましくは、中空状の球形若しくは扁球形の基体を備え、前記熱伝導部材は、前記基体の外周にコーティングされている。
(3)別の実施形態に係る熱伝導体は、好ましくは、筒状の基体を備え、前記熱伝導部材は、前記基体の少なくとも外側面にコーティングされている。
(4)別の実施形態に係る熱伝導体では、好ましくは、前記基体は、外から内部に通じる1以上の貫通孔を有する。
(5)別の実施形態に係る熱伝導体では、好ましくは、前記基体は、前記熱源の表面形状に合わせて変形容易に構成されている。
(6)別の実施形態に係る熱伝導体では、好ましくは、前記外郭は、長尺状の前記熱伝導部材が巻かれた形態である。
(7)別の実施形態に係る熱伝導体では、好ましくは、前記熱伝導部材は、金属、炭素若しくはセラミックスの少なくとも1つを含む熱伝導シートと、前記熱伝導シートに比べて変形容易な弾性部材と、を備える。
(8)別の実施形態に係る熱伝導体では、好ましくは、前記弾性部材は、ゴム状弾性体からなる長尺状の部材であり、前記熱伝導部材は、長尺状の前記熱伝導シートの一方の面に前記弾性部材が積層された部材であって、前記熱伝導シートが外側となるよう前記外郭を形成している。
(9)別の実施形態に係る熱伝導体では、好ましくは、前記弾性部材は、屈曲可能な線材であり、前記熱伝導部材は、長尺状の前記熱伝導シートに少なくとも1の前記弾性部材が挿通された部材である。
(10)別の実施形態に係る熱伝導体は、好ましくは、中空状の球形、扁球形若しくは筒形の基体を備え、前記熱伝導部材は、前記基体の外周の少なくとも一部を覆うように巻き付けられる。
(11)別の実施形態に係る熱伝導体は、好ましくは、前記熱伝導部材が球状、扁球状若しくは筒状に編み込まれて形成される。
(12)別の実施形態に係る熱伝導体は、好ましくは、前記熱伝導部材の表面に、当該表面に接触する前記熱源から当該表面への熱伝導性を高めるための熱伝導性オイルを有する。
(13)別の実施形態に係る熱伝導体では、好ましくは、前記熱伝導性オイルは、シリコーンオイルと、前記シリコーンオイルより熱伝導性が高く、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーとを含む。
(14)実施形態に係るバッテリーは、冷却剤を流す構造を持つ筐体内に、1または2以上の熱源としてのバッテリーセルを備えたバッテリーであって、前記バッテリーセルと前記筐体との間に、上述のいずれか1項に記載の熱伝導体を複数備える。
本発明によれば、熱源の形態に順応可能であって、弾性変形性に富み、かつ放熱効率に優れる熱伝導体、およびそれを備えるバッテリーを提供することができる。
次に、本発明の各実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
1.熱伝導体
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る熱伝導体の斜視図を示す。図2は、図1におけるA−A線断面図を示す。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る熱伝導体の斜視図を示す。図2は、図1におけるA−A線断面図を示す。
(1)概略構成
第1実施形態に係る熱伝導体1は、熱源からの熱を伝導可能な中空状の熱伝導体であって、その外郭5を形成する熱伝導部材10を備える。熱伝導部材10は、金属、炭素若しくはセラミックスの少なくとも1つを含む部材である。熱伝導体1は、好ましくは、中空状の球形若しくは扁球形の基体16を備える。熱伝導体1の中に中空領域を備えることによって、熱伝導体1のより軽量化を図ることができる。これは、後述の熱伝導体についても同様である。ここで「扁球」は、楕円をその短軸を回転軸として回転させて得られる回転体であり、「偏楕円体」、「扁平楕円体」、または「扁平球」と称しても良い。熱伝導部材10は、好ましくは、基体16の外周にコーティングされている。熱伝導体1の平均粒径は、基体16の平均粒径より大きく、好ましくは、0.2mm〜10mm、より好ましくは0.5mm〜5mmである。ここで「平均粒径」は、熱伝導体1や基体16に対してノギスを用いて計測される直径の平均値である。以後、「平均粒径」の計測方法も同様である。熱伝導体1は、複数個使用する場合、全てが同一の大きさではなく、異なる複数種の大きさを有していても良い。特に、充填する空間(例えば、後述する筐体の内底面)を細密充填するために異なった粒径の熱伝導体10を複数種類組み合わせて使用することも可能である。以後の熱伝導体についても同様である。熱伝導部材10は、「放熱部材」または「伝熱部材」と称しても良い。
第1実施形態に係る熱伝導体1は、熱源からの熱を伝導可能な中空状の熱伝導体であって、その外郭5を形成する熱伝導部材10を備える。熱伝導部材10は、金属、炭素若しくはセラミックスの少なくとも1つを含む部材である。熱伝導体1は、好ましくは、中空状の球形若しくは扁球形の基体16を備える。熱伝導体1の中に中空領域を備えることによって、熱伝導体1のより軽量化を図ることができる。これは、後述の熱伝導体についても同様である。ここで「扁球」は、楕円をその短軸を回転軸として回転させて得られる回転体であり、「偏楕円体」、「扁平楕円体」、または「扁平球」と称しても良い。熱伝導部材10は、好ましくは、基体16の外周にコーティングされている。熱伝導体1の平均粒径は、基体16の平均粒径より大きく、好ましくは、0.2mm〜10mm、より好ましくは0.5mm〜5mmである。ここで「平均粒径」は、熱伝導体1や基体16に対してノギスを用いて計測される直径の平均値である。以後、「平均粒径」の計測方法も同様である。熱伝導体1は、複数個使用する場合、全てが同一の大きさではなく、異なる複数種の大きさを有していても良い。特に、充填する空間(例えば、後述する筐体の内底面)を細密充填するために異なった粒径の熱伝導体10を複数種類組み合わせて使用することも可能である。以後の熱伝導体についても同様である。熱伝導部材10は、「放熱部材」または「伝熱部材」と称しても良い。
次に、熱伝導体1の各構成要素について説明する。
(2)熱伝導部材
熱伝導部材10は、好ましくは、基体16の表面を塗工する部材である。熱伝導部材10は、好ましくは、炭素を含む部材であり、さらに好ましくは90質量%以上を炭素から構成される部材である。熱伝導部材10は、炭素と樹脂とを含む部材であっても良い。その場合、樹脂は、合成繊維でも良く、その場合には、樹脂として好適にはアラミド繊維を用いることができる。本願でいう「炭素」は、グラファイト、グラファイトより結晶性の低いカーボンブラック、ダイヤモンド、ダイヤモンドに近い構造を持つダイヤモンドライクカーボン等の炭素(元素記号:C)から成る如何なる構造のものも含むように広義に解釈される。なお、グラファイト繊維、カーボン粒子あるいはカーボンファイバーといった各種フィラーも、すべて、炭素フィラーの概念に含まれる。
熱伝導部材10は、好ましくは、基体16の表面を塗工する部材である。熱伝導部材10は、好ましくは、炭素を含む部材であり、さらに好ましくは90質量%以上を炭素から構成される部材である。熱伝導部材10は、炭素と樹脂とを含む部材であっても良い。その場合、樹脂は、合成繊維でも良く、その場合には、樹脂として好適にはアラミド繊維を用いることができる。本願でいう「炭素」は、グラファイト、グラファイトより結晶性の低いカーボンブラック、ダイヤモンド、ダイヤモンドに近い構造を持つダイヤモンドライクカーボン等の炭素(元素記号:C)から成る如何なる構造のものも含むように広義に解釈される。なお、グラファイト繊維、カーボン粒子あるいはカーボンファイバーといった各種フィラーも、すべて、炭素フィラーの概念に含まれる。
熱伝導部材10を炭素と樹脂とを備える部材とする場合には、当該樹脂が熱伝導部材1−の全質量に対して50質量%を超えていても、あるいは50質量%以下であっても良い。すなわち、熱伝導部材10は、熱伝導に大きな支障が無い限り、樹脂を主材とするか否かを問わない。樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂を好適に使用できる。熱可塑性樹脂としては、熱源からの熱を伝導する際に溶融しない程度の高融点を備える樹脂が好ましく、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、芳香族ポリアミド(アラミド繊維)等を好適に挙げることができる。樹脂は、炭素フィラーの隙間に、例えば粒子状あるいは繊維状に分散している。熱伝導部材10は、炭素フィラー、樹脂の他、熱伝導をより高めるためのフィラーとして、AlNあるいはダイヤモンドを分散していても良い。また、樹脂に代えて、樹脂よりも柔軟なエラストマーを用いても良い。熱伝導部材10は、また、上述のような炭素に代えて若しくは炭素と共に、金属および/またはセラミックスを含む部材とすることができる。金属としては、アルミニウム、銅、それらの内の少なくとも1つを含む合金などの熱伝導性の比較的高いものを選択できる。また、セラミックスとしては、Al2O3、AlN、cBN、hBNなどの熱伝導性の比較的高いものを選択できる。
熱伝導部材10は、導電性に優れるか否かは問わない。熱伝導部材10の熱伝導率は、好ましくは10W/mK以上である。この実施形態では、熱伝導部材10は、好ましくは、グラファイトを含む部材であり、熱伝導性と導電性に優れる材料から成る。熱伝導体1の外郭5は、例えば、熱伝導部材10を塗工し、次いで、塗工された熱伝導部材10を加熱硬化させることにより形成される。熱伝導部材10の塗工方法は、例えば、熱伝導部材10の塗工液を塗工する塗布法、塗工液に基体16を浸漬するディッピング法、塗工液を基体16に吹き付けるスプレーコーティング方等の公知の塗工方法を用いることができる。熱伝導部材10は、そのまま塗工しても良いし、熱伝導部材10としてのフィラーに、例えば、メタノールおよびエタノール等のアルコール、キシレンおよびトルエン等の芳香族系溶媒、酢酸エチルおよび酢酸ブチル等のエステル系溶媒等の揮発性溶媒、または水を加えた塗液を用意し、当該塗液を基体16に塗工することによって形成されても良い。熱伝導部材10は、その厚さに制約はないが、0.02〜3mmが好ましく、0.03〜0.5mmがより好ましい。熱伝導部材10の形成方法としては、上記方法に限定されず如何なる方法でも良い。例えば、蒸着、スパッタリング、メッキを挙げることもできる。さらには、粉体スプレー、粉をまぶす方法、溶射などの方法も例示できる。
(3)基体
基体16は、その内部に中空部18を備える球形若しくは扁球形の部材である。基体16は、好ましくは、ゴム、ガラス、セラミックス、樹脂等で構成される中空状のビーズ(「中空ビーズ」と称しても良い。)である。基体16の平均粒径は、0.1mm〜9mmが好ましく、0.4mm〜4mmがより好ましい。
基体16は、その内部に中空部18を備える球形若しくは扁球形の部材である。基体16は、好ましくは、ゴム、ガラス、セラミックス、樹脂等で構成される中空状のビーズ(「中空ビーズ」と称しても良い。)である。基体16の平均粒径は、0.1mm〜9mmが好ましく、0.4mm〜4mmがより好ましい。
基体16は、より好ましくは、熱源の表面形状に合わせて変形容易に構成されており、例えば、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ニトリルゴム(NBR)あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)等の熱硬化性エラストマー; ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの複合物等を含むように構成される。基体16は、熱伝導部材10を伝わる熱によって溶融あるいは分解等せずにその形態を維持できる程度の耐熱性の高い材料から構成されるのが好ましい。この実施形態では、基体16は、より好ましくは、ウレタン系エラストマー中にシリコーンを含浸したもの、あるいはシリコーンゴムにより構成される。基体16は、その熱伝導性を少しでも高めるために、ゴム中にAl2O3、AlN、cBN、hBN、ダイヤモンドの粒子等に代表されるフィラーを分散して構成されていても良い。基体16は、その内部に気泡を含むものの他、気泡を含まないものでも良い。
基体16は、その表面がシランカップリング剤で表面処理されていても良い。これにより、熱伝導部材10との接着性が向上する。シランカップリング剤としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルシランカップリング剤、アミノ基を有するアミノシランカップリング剤、エポキシ基を有するエポキシシランカップリング剤、ビニル基を有するビニルシランカップリング剤、メルカプト基を有するメルカプトシランカップリング剤等が挙げられる。基体16は、その熱伝導率が熱伝導部材10の熱伝導率よりも低いことが好ましい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る熱伝導体について説明する。第1実施形態と共通する部分については重複した説明を省略する。
次に、第2実施形態に係る熱伝導体について説明する。第1実施形態と共通する部分については重複した説明を省略する。
図3は、本発明の第2実施形態に係る熱伝導体の斜視図を示す。図4は、図3におけるB−B線断面図を示す。
第2実施形態に係る熱伝導体1aは、第1実施形態に係る熱伝導体1と類似の構造を有するが、基体16に代えて、基体16aを備える点において、第1実施形態に係る熱伝導体1と異なる。
熱伝導体1aは、基体16aを備え、熱伝導部材10が基体16aの表面にコーティングされることによって外郭5aが形成される。基体16aは、外から内部(中空部18)に通じる1つの貫通孔20を備える。貫通孔20は、基体16aの変形容易性および回復力を高めることができる。なお、図3において、熱伝導部材10は、基体16aの外表面にのみコーティングされているが、基体16aの外表面および内表面にコーティングされていても良い。熱伝導部材10の塗工は、第1実施形態と同様の塗工方法を用いて行うことができるが、貫通孔20を他の部材で塞いだ状態で上述の塗工方法により塗工されても良いし、貫通孔20を塞がずに上述の塗工方法により塗工されても良い。また、貫通孔20は、その形状に制約はなく、例えば、略円形、略楕円形、略矩形、多角形等の形状であっても良い。基体16aは、複数の貫通孔20を備えていても良い。また、基体16aにおける貫通孔20の位置は、特に制約されない。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る熱伝導体について説明する。先述の各実施形態と共通する部分については重複した説明を省略する。
次に、第3実施形態に係る熱伝導体について説明する。先述の各実施形態と共通する部分については重複した説明を省略する。
図5は、本発明の第3実施形態に係る熱伝導体の斜視図を示す。
第3実施形態に係る熱伝導体1bは、第2実施形態に係る熱伝導体1aと類似の構造を有するが、基体16aに代えて、基体16bを備える点において、第2実施形態に係る熱伝導体1aと異なる。
熱伝導体1bは、基体16bを備え、熱伝導部材10が基体16bの表面にコーティングされることによって外郭5bが形成される。基体16bは、外から内部(中空部18)に通じる複数の貫通孔20aを備え、所謂、網目状の球形若しくは扁球形の部材である。複数の貫通孔20aは、基体16bの変形容易性および回復力をより高めることができる。なお、図5において、熱伝導部材10は、基体16bの外表面にのみコーティングされているが、基体16bの外表面および内表面にコーティングされていても良い。熱伝導部材10の塗工は、第2実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、貫通孔20aは、その形状に制約はなく、例えば、略円形、略楕円形、略矩形、多角形等の形状であっても良い。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る熱伝導体について説明する。先述の各実施形態と共通する部分については重複した説明を省略する。
次に、第4実施形態に係る熱伝導体について説明する。先述の各実施形態と共通する部分については重複した説明を省略する。
図6は、本発明の第4実施形態に係る熱伝導体の斜視図を示す。図7は、図6におけるC−C線断面図を示す。図8は、第4実施形態に係る熱伝導体を構成する熱伝導部材の斜視図を示す。
第4実施形態に係る熱伝導体1cは、第1実施形態に係る熱伝導体1と類似の構造を有するが、第1実施形態の熱伝導部材10に代えて、熱伝導部材10aを備える点において、第1実施形態に係る熱伝導体1と異なる。
熱伝導体1cは、中空状の球形若しくは扁球形の基体16を備え、基体16の外周の少なくとも一部を覆うように熱伝導部材10aが巻き付けられている。熱伝導部材10aは、金属、炭素若しくはセラミックスの少なくとも1つを含む熱伝導シート11と、熱伝導シート11に比べて変形容易な弾性部材12と、を備える長尺状の部材である。弾性部材12は、ゴム状弾性体からなる長尺状の部材である。熱伝導体1cの外郭5cは、長尺状の熱伝導部材10aが巻かれた形態である。より詳細には、熱伝導部材10は、長尺状の熱伝導シート11の一方の面に弾性部材12が積層された部材であって、熱伝導シート11が外側となるよう外郭5cを形成している。
熱伝導シート11は、好ましくは炭素を含むシートであり、さらに好ましくは90質量%以上を炭素から構成されるシートである。例えば、熱伝導シート11に、樹脂を焼成して成るグラファイト製のフィルムを用いることもできる。ただし、熱伝導シート11は、炭素と樹脂とを含むシートであっても良い。その場合、樹脂は、合成繊維でも良く、その場合には、樹脂として好適にはアラミド繊維を用いることができる。本願でいう「炭素」は、グラファイト、グラファイトより結晶性の低いカーボンブラック、ダイヤモンド、ダイヤモンドに近い構造を持つダイヤモンドライクカーボン等の炭素(元素記号:C)から成る如何なる構造のものも含むように広義に解釈される。熱伝導シート11は、この実施形態では、樹脂に、グラファイト繊維やカーボン粒子を配合分散した材料を硬化させた薄いシートとすることができる。熱伝導シート11は、メッシュ状に編んだカーボンファイバーであっても良く、さらには混紡してあっても混編みしてあっても良い。なお、グラファイト繊維、カーボン粒子あるいはカーボンファイバーといった各種フィラーも、すべて、炭素フィラーの概念に含まれる。
熱伝導シート11を炭素と樹脂とを備えるシートとする場合には、当該樹脂が熱伝導シート11の全質量に対して50質量%を超えていても、あるいは50質量%以下であっても良い。すなわち、熱伝導シート11は、熱伝導に大きな支障が無い限り、樹脂を主材とするか否かを問わない。樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂を好適に使用できる。熱可塑性樹脂としては、熱源からの熱を伝導する際に溶融しない程度の高融点を備える樹脂が好ましく、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、芳香族ポリアミド(アラミド繊維)等を好適に挙げることができる。樹脂は、熱伝導シート11の成形前の状態において、炭素フィラーの隙間に、例えば粒子状あるいは繊維状に分散している。熱伝導シート11は、炭素フィラー、樹脂の他、熱伝導をより高めるためのフィラーとして、AlNあるいはダイヤモンドを分散していても良い。また、樹脂に代えて、樹脂よりも柔軟なエラストマーを用いても良い。熱伝導シート11は、また、上述のような炭素に代えて若しくは炭素と共に、金属および/またはセラミックスを含むシートとすることができる。金属としては、アルミニウム、銅、それらの内の少なくとも1つを含む合金などの熱伝導性の比較的高いものを選択できる。また、セラミックスとしては、Al2O3、AlN、cBN、hBNなどの熱伝導性の比較的高いものを選択できる。
熱伝導シート11は、導電性に優れるか否かは問わない。熱伝導シート11の熱伝導率は、好ましくは10W/mK以上である。この実施形態では、熱伝導シート11は、好ましくは、グラファイト製のフィルムであり、熱伝導性と導電性に優れる材料から成る。熱伝導シート11は、湾曲性(若しくは屈曲性)に優れるシートであるのが好ましく、その厚さに制約はないが、0.02〜3mmが好ましく、0.03〜0.5mmがより好ましい。ただし、熱伝導シート11の熱伝導率は、その厚さが増加するほど低下するため、シートの強度、可撓性および熱伝導性を総合的に考慮して、その厚さを決定するのが好ましい。熱伝導シート11の幅と長さについては、特に制約はなく、基体16の外周の少なくとも一部を覆うように巻き付けられることのできる幅と長さであれば良く、好ましくは、基体16の表面全て若しくは大部分を覆うことのできる幅と長さであれば良い。また、熱伝導シート11の幅は、一定であっても良いし、例えば、長さが長くなるにつれて幅が広くまたは狭くなる等、一定でなくても良い。
弾性部材12の重要な機能は、主に、変形容易性である。変形容易性は、熱源の形状に追従するために必要な特性であり、特にリチウムイオンバッテリーなどの半固形物、液体的性状も持つ内容物などを変形しやすいパッケージに収めるようなバッテリーセルの場合には、設計寸法的にも不定形または寸法精度があげられない場合が多い。このため、弾性部材12の変形容易性は重要である。
弾性部材12は、好ましくは、長尺状の部材であり、長尺状の熱伝導シート11の一方の面に積層される部材である。なお、弾性部材12は、長尺状の部材でなくても良い。例えば、熱伝導部材10aは、長尺状の熱伝導シート11の一方の面に、短尺状の弾性部材が複数並んで積層されていても良い。
弾性部材12は、熱伝導部材10aに接触する熱源が平坦でない場合でも、熱伝導シート11と熱源との接触を良好にする機能を有する。弾性部材12は、熱源等からの熱伝導シート11に加わる荷重によって熱伝導シート11が破損等しないようにする保護部材としての機能も有する。弾性部材12は、熱伝導シート11に比べて弾性変形しやすく、熱源等からの押圧及びその開放による変形に起因して、割れや亀裂が入りにくい。このため、弾性部材12は、熱伝導シート11に亀裂が生じる事態を抑制することができる。この実施形態では、弾性部材12は、熱伝導シート11に比べて低熱伝導性の部材である。
弾性部材12は、例えば、基体16の材料候補の中から選択される材料で構成される。「弾性部材」は、柔軟性に富み、熱源の表面に密着可能に弾性変形可能な部材を意味し、かかる意味では「ゴム状弾性体」と読み替えることもできる。さらに、弾性部材12の変形例としては、上記ゴム状弾性体ではなく、金属を用いて構成することもできる。弾性部材12は、樹脂やゴム等から形成されたスポンジあるいはソリッド(スポンジのような多孔質ではない構造のもの)で構成することも可能である。
熱伝導性オイルは、好ましくは、シリコーンオイルと、シリコーンオイルより熱伝導性が高く、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーとを含む。熱伝導シート11は、微視的に、隙間(孔あるいは凹部)を有する。通常、当該隙間には空気が存在し、熱伝導性に悪影響を及ぼす可能性が有る。熱伝導性オイルは、その隙間を埋めて、空気に代わって存在することになり、熱伝導シート11の熱伝導性を向上させる機能を有する。
熱伝導性オイルは、熱伝導シート11の表面、少なくとも熱源等と熱伝導シート11とが接触する面に備えられている。本願において、熱伝導性オイルの「オイル」は、非水溶性の常温(20〜25℃の範囲の任意の温度)で液状若しくは半固形状の可燃物質をいう。「オイル」という文言に代え、「グリース」あるいは「ワックス」を用いることもできる。熱伝導性オイルは、熱源から熱伝導シート11に熱を伝える際に熱伝導の障害にならない性質のオイルである。熱伝導性オイルには、炭化水素系のオイル、シリコーンオイルを用いることができる。熱伝導性オイルは、好ましくは、シリコーンオイルと、シリコーンオイルより熱伝導性が高く、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーとを含む。
シリコーンオイルは、好ましくは、シロキサン結合が2000以下の直鎖構造の分子から成る。シリコーンオイルは、ストレートシリコーンオイルと、変性シリコーンオイルとに大別される。ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルを例示できる。変性シリコーンオイルとしては、反応性シリコーンオイル、非反応性シリコーンオイルを例示できる。反応性シリコーンオイルは、例えば、アミノ変性タイプ、エポキシ変性タイプ、カルボキシ変性タイプ、カルビノール変性タイプ、メタクリル変性タイプ、メルカプト変性タイプ、フェノール変性タイプ等の各種シリコーンオイルを含む。非反応性シリコーンオイルは、ポリエーテル変性タイプ、メチルスチリル変性タイプ、アルキル変性タイプ、高級脂肪酸エステル変性タイプ、親水性特殊変性タイプ、高級脂肪酸含有タイプ、フッ素変性タイプ等の各種シリコーンオイルを含む。シリコーンオイルは、耐熱性、耐寒性、粘度安定性、熱伝導性に優れたオイルであるため、熱伝導シート11の表面に塗布して、熱源等と熱伝導シート11との間に介在させる熱伝導性オイルとして特に好適である。熱伝導性オイルは、好ましくは、油分以外に、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーを含む。金属としては、金、銀、銅、アルミニウム、ベリリウム、タングステンなどを例示できる。セラミックスとしては、アルミナ、窒化アルミニウム、キュービック窒化ホウ素、ヘキサゴナル窒化ホウ素などを例示できる。炭素としては、ダイヤモンド、グラファイト、ダイヤモンドライクカーボン、アモルファスカーボン、カーボンナノチューブなどを例示できる。
熱伝導性オイルは、熱源と熱伝導シート11との間に介在する他、熱伝導シート11と冷却部位との間に介在する方が好ましい。熱伝導性オイルは、熱伝導シート11の全面に塗布されていても、熱伝導シート11の一部分に塗布されていても良い。熱伝導性オイルを熱伝導シート11に存在させる方法は、特に制約されることなく、スプレーを用いた噴霧、刷毛等を用いた塗布、熱伝導性オイル中への熱伝導シート11の浸漬など、如何なる方法によるものでも良い。なお、熱伝導性オイルは、熱伝導体1cにとって必須の構成ではなく、好適に備えることのできる追加的な構成である。これは、その他の実施形態でも同様である。
(第4実施形態の変形例)
本実施形態に係る熱伝導体1cを構成する熱伝導部材の変形例の一例を説明する。先述の熱伝導部材10aと共通する部分については同じ符号を付して重複した説明を省略する。
本実施形態に係る熱伝導体1cを構成する熱伝導部材の変形例の一例を説明する。先述の熱伝導部材10aと共通する部分については同じ符号を付して重複した説明を省略する。
図9は、第4実施形態に係る熱伝導体を構成する熱伝導部材の変形例の斜視図を示す。
この変形例に係る熱伝導部材10bは、弾性部材12の代わりに、屈曲可能な線材からなる弾性部材13を備える点で、先述の熱伝導部材10aと異なる。熱伝導部材10bは、長尺状の熱伝導シート11に少なくとも1の弾性部材13が挿通された部材である。なお、図9では、熱伝導部材10bは、2本の弾性部材13を備えているが、1本以上あれば、弾性部材13の数を問わない。
弾性部材13は、熱伝導シート11に挿通する屈曲可能な線材であって、好ましくは、120℃程度の高温に耐え得るワイヤー、糸、紐等から構成される部材である。弾性部材13は、好ましくは、アルミニウム、鉄、ニッケル、モリブデン、タングステン、ステンレス、スチール、金、金合金、銅、等を細線加工したワイヤー、或いは、これらの細線に金や金合金をメッキしたワイヤーである。また、弾性部材13は、天然繊維、合成繊維、カーボン繊維、金属繊維等の繊維からなる撚糸で構成されていても良いし、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)等の熱可塑性樹脂で構成されていても良い。熱伝導部材10bは、熱伝導体1cの外郭5cを形成するため、基体16に巻き付け易い形態であることが好ましい。このような点を考慮して、弾性部材13は、屈曲可能、且つ、屈曲した形状を保持可能な部材であることが好ましく、上述のような金属製のワイヤーであることがより好ましい。なお、弾性部材13は、1本の線材から構成されていても良いし、複数の線材をまとめたもの或いは撚り合わせたものであっても良い。また、弾性部材13は、上述の金属製の細線を樹脂等で被覆したものであっても良い。
熱伝導体1cは、1本の弾性部材13が熱伝導シート11を挿通して構成されていても良いし、複数本の線材を連結することにより1本に構成された弾性部材13が熱伝導シート11を挿通して構成されていても良い。なお、弾性部材13が複数本の線材を連結することにより1本に構成されたものである場合、当該複数本の線材は、すべて同一の材料から構成されるものであっても良いし、2種類以上の材料から構成されるものであっても良い。また、図9において、弾性部材13は、熱伝導シート11の両端部を貫通しているが、熱伝導シート11の一端部のみを貫通していても良いし、熱伝導シート11の両端部を貫通していなくても良い。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係る熱伝導体について説明する。先述の各実施形態と共通する部分については重複した説明を省略する。
次に、第5実施形態に係る熱伝導体について説明する。先述の各実施形態と共通する部分については重複した説明を省略する。
図10は、本発明の第5実施形態に係る熱伝導体の図7と同視の断面図を示す。
第5実施形態に係る熱伝導体1dは、第4実施形態に係る熱伝導体1cと類似の構造を有するが、基体16を備えていない点において、第4実施形態に係る熱伝導体1cと異なる。
熱伝導体1dは、熱伝導部材10a,10bが球状若しくは扁球状に編み込まれて形成される中空状の部材である。すなわち、熱伝導体1dは、基体16を備えず、その内部に中空部18を備えるように熱伝導部材10a,10bが編み込まれた部材である。熱伝導部材10aの弾性部材12あるいは熱伝導部材10bの弾性部材13は、熱伝導体1dの弾性的な変形を容易にして、圧縮された状態から回復する回復力を発揮させる機能を有する。なお、熱伝導体1dの変形容易性および回復力をより高めるために、熱伝導体1dは、熱伝導部材10a,10bとゴム紐等の長尺状のゴム状弾性体とが一緒に編み込まれて形成されていても良い。
2.熱伝導体の製造方法
次に、本発明の各実施形態に係る熱伝導体の好適な製造方法の一例を説明する。
次に、本発明の各実施形態に係る熱伝導体の好適な製造方法の一例を説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態に係る熱伝導体1の好適な製造方法の一例を説明する。
第1実施形態に係る熱伝導体1の好適な製造方法の一例を説明する。
まず、基体16を熱伝導部材10の塗工液に浸漬することにより、基体16の表面に熱伝導部材10を塗工する。次いで、塗工された熱伝導部材10を加熱硬化する。熱伝導部材10を硬化する方法は、熱伝導部材10の効果等に必要な熱または水分を加えられる方法であれば良く、例えば、熱伝導部材10が塗工された基体16を加熱器で加熱する方法、当該基体16を高湿度化に整地する方法等が挙げられる。なお、熱伝導部材10の塗工方法は、上述の他の塗工方法を用いても良い。第2実施形態および第3実施形態に係る熱伝導体1a,1bもまた、上述の第1実施形態に係る熱伝導体1の製造方法と同様の方法で製造される。
このように構成された熱伝導体1,1a,1bは、基体16,16a,16bにより、弾性変形性に富み、且つ、熱源の種々の形態に順応可能となる。よって、熱伝導体1,1a,1bは、熱伝導部材10を熱源により確実に接触させることができるため、高い放熱効率を実現することができる。また、中空部18は、熱伝導体1,1a,1bの変形を容易にし、加えて熱伝導体1,1a,1bの軽量化にも寄与する。
(第2実施形態)
第4実施形態に係る熱伝導体1cの好適な製造方法の一例を説明する。
第4実施形態に係る熱伝導体1cの好適な製造方法の一例を説明する。
まず、長尺状の弾性部材12を成形する。次に、弾性部材12の外側面に接着剤を塗布する。次に、帯状の熱伝導シート11を、弾性部材12の一方の面に接着剤を介して接着する。最後に、熱伝導シート11の表面に、熱伝導性オイルを塗布する。弾性部材12と熱伝導シート11との間に接着剤を介在させないで固定することも可能である。その場合には、完全硬化する前の状態の弾性部材12を用意して、その一方の面に帯状の熱伝導シート11を密着させた状態で載置する。その後、弾性部材12を加温して完全硬化させて、弾性部材12の一方の面に熱伝導シート11を固定する。なお、熱伝導性オイルを塗布する塗布工程は、上述のタイミングで行うことに限定されない。例えば、予め熱伝導性オイルが塗布された熱伝導シート11と弾性部材12とを固定させても良い。また、熱伝導体1の製造の最後の工程にて、熱伝導性オイルを熱伝導体1cの表面に塗布しても良い。
また、熱伝導部材10bは、帯状の熱伝導シート11に少なくとも1の弾性部材13を挿通した状態で、熱伝導シート11の表面に熱伝導性オイルを塗布することにより製造される。なお、熱伝導性オイルを塗布する塗布工程は、上述のタイミングで行うことに限定されない。例えば、予め熱伝導性オイルが塗布された熱伝導シート11に弾性部材13が挿通されても良い。
次に、上述の製造方法により製造された熱伝導部材10a,10b(図8,図9参照)を、基体16の外周の少なくとも一部を覆うように基体16に巻き付ける。このように構成された熱伝導体1cは、弾性部材12,13により、弾性変形性に富み、且つ、熱源の種々の形態に順応可能となる。よって、熱伝導体1cもまた、第1実施形態に係る熱伝導体1と同様の効果を奏する。
(第3実施形態)
第5実施形態に係る熱伝導体1dの好適な製造方法の一例を説明する。
第5実施形態に係る熱伝導体1dの好適な製造方法の一例を説明する。
第5実施形態に係る熱伝導体1dは、上述の製造方法で製造された熱伝導部材10a,10bを、熱伝導体1dの内部に中空部18を備えるように、球状若しくは扁球状に編み込むことにより製造される(図10参照)。このように製造された第5実施形態に係る熱伝導体1dもまた、第4実施形態に係る熱伝導体1cと同様の効果を奏する。
3.バッテリー
次に、本発明に係るバッテリーの好適な実施形態について説明する。
次に、本発明に係るバッテリーの好適な実施形態について説明する。
図11は、本発明の実施形態に係るバッテリーの縦断面図および当該断面図中の一部拡大図を示す。ここで、「縦断面図」は、バッテリーの筐体内部のバッテリーセルの長さ方向にバッテリーを切断する図を意味する。
この実施形態に係るバッテリー40は、冷却剤45を流す構造を持つ筐体41内に、1または2以上の熱源としてのバッテリーセル50を備え、バッテリーセル50と筐体41との間に、複数の熱伝導体1を備える。なお、バッテリー40は、熱伝導体1に代えて、熱伝導体1a,1b,1c,1dを複数備えていても良い。以下、バッテリー40の構成について詳述する。
この実施形態において、バッテリー40は、例えば、電気自動車用のバッテリーであって、多数のバッテリーセル(熱源の一例であって、単に、「セル」と称しても良い。)50を備える。バッテリー40は、好ましくは一方に開口する有底型の筐体41を備える。筐体41は、好ましくは、アルミニウム若しくはアルミニウム基合金から成る。バッテリーセル50は、筐体41の内部44に配置される。バッテリーセル50の上方には、電極(不図示)が突出して設けられている。複数のバッテリーセル50は、好ましくは、筐体41内において、その両側からネジ等を利用して圧縮する方向に力を与えられて、互いに密着するようになっている(不図示)。筐体41の底部42(冷却部位の一例)には、冷却剤45の一例である冷却水を流すために、1または複数の水冷パイプ43が備えられている。冷却剤は、冷却媒体あるいは冷却材と称しても良い。バッテリーセル50は、底部42との間に、複数の熱伝導体1を挟むようにして筐体41内に配置されている。バッテリーセル50は、好ましくは、底部42上に敷き詰められた複数の熱伝導体1を、底部42との間に挟むようにして筐体41内に配置されている。
このような構造のバッテリー40では、バッテリーセル50は、熱伝導体1を通じて筐体41に伝熱して、水冷によって効果的に除熱される。なお、冷却剤45は、冷却水に限定されず、液体窒素、エタノール等の有機溶剤も含むように解釈される。冷却剤45は、冷却に用いられる状況下にて、液体であるとは限らず、気体あるいは固体でも良い。また、複数の熱伝導体1は、底部42の内底面に均等に配置されていても良いし、不均等に配置されていても良い。例えば、各バッテリーセル50の温度上昇が均一でない場合には、複数のバッテリーセル50のうち、より高温となるバッテリーセル50に接触する熱伝導体1がその他のバッテリーセル50に接触する熱伝導体1より多数となるように配置されていても良い。
5.その他の実施形態
上述のように、本発明の好適な各実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されることなく、種々変形して実施可能である。
上述のように、本発明の好適な各実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されることなく、種々変形して実施可能である。
図12は、別の変形例に係る熱伝導体の斜視図を示す。
当該別の変形例に係る熱伝導体1eは、筒形の一例としての円筒形状の基体16cの外側面に、熱伝導部材10がコーティングされた構造を有する。なお、基体16cの外側面に加えて両端面にも熱伝導部材10がコーティングされていても良い。さらには、基体16cの外側面に加えて貫通孔20の内面にも熱伝導部材10がコーティングされていても良い。基体16cは、円筒形ではなく、三角以上の多角筒形であっても良い。
また、熱伝導体1eは、熱伝導部材10に代えて熱伝導部材10a又は10bが基体16cの少なくとも外側面を、あるいはさらに両端面を巻いた構造でも良い。
さらに、熱伝導体1eは、基体16cを備えず、熱伝導部材10のみ、あるいは熱伝導部材10a,10bのみで構成されていても良い。熱伝導部材10a,10bは、筒状に編み込まれて形成されていても良い。
基体16,16a,16bは、少なくとも中空状であれば、上述の球形若しくは扁球形の形状に限定されず、例えば、筒状、半球状等であっても良い。
また、熱伝導体1,1a,1b,1c,1d,1eは、その外表面が平滑であっても良いし、外表面に少なくとも1以上の凹部若しくは凸部を有していても良い。
また、熱伝導部材10a,10bは、上述の長尺状(帯状)の形態に限定されず、例えば、糸状に形成された糸状部材、或いは当該糸状部材を複数撚り合わせた撚り糸状の部材であっても良い。また、熱伝導体1c,1dは、その変形容易性および回復力をより高めるために、糸状或いは撚り糸状の熱伝導部材10a,10bとゴム紐等の長尺状のゴム状弾性体とが一緒に編み込まれて形成されていても良い。
また、熱伝導部材10aにおける弾性部材12は、熱伝導シート11の幅と同一に限定されず、熱伝導シート11の幅に対して大きくても、あるいは小さくても良い。
また、熱伝導部材10a,10bは、弾性部材12,13を備えていなくても良い。その場合には、熱伝導体1c,1dは、熱伝導シート11により外郭5c,5dが形成される。
また、バッテリー40は、熱伝導体1,1a,1b,1c,1d,1eのうち1種類の熱伝導体を複数備えていても良いし、熱伝導体1,1a,1b,1c,1d,1eのうち2種類以上の熱伝導体を混合して備えていても良い。
また、熱伝導体1,1a,1b,1c,1d,1eは、バッテリー40の底部42とバッテリーセル50との間に備えられていなくても良い。例えば、熱伝導体1,1a,1b,1c,1d,1eは、隣り合うバッテリーセル50の間に配置されていても良いし、バッテリーセル50と筐体41の側面との間に配置されていても良い。
また、熱源は、バッテリーセル50のみならず、回路基板や電子機器本体などの熱を発する対象物を全て含む。例えば、熱源は、キャパシタおよびICチップ等の電子部品であっても良い。同様に、冷却剤45は、冷却用の水のみならず、有機溶剤、液体窒素、冷却用の気体であっても良い。また、熱伝導体1,1a,1b,1c,1d,1eは、バッテリー40以外の構造物、例えば、電子機器、家電、発電装置等に配置されていても良い。
また、上述の各実施形態の複数の構成要素は、互いに組み合わせ不可能な場合を除いて、自由に組み合わせ可能である。例えば、熱伝導体1aあるいは熱伝導体1bを、バッテリー40に備えても良い。
本発明に係る熱伝導体は、例えば、自動車用バッテリーの他、自動車、工業用ロボット、発電装置、PC、家庭用電化製品などの各種電子機器にも利用することができる。また、本発明に係るバッテリーは、自動車用のバッテリー以外に、家庭用の充放電可能なバッテリー、PC等の電子機器用のバッテリーにも利用できる。
1,1a,1b,1c,1d,1e・・・熱伝導体、5,5a,5b,5c,5d・・・外郭、10,10a,10b・・・熱伝導部材、11・・・熱伝導シート、12,13・・・弾性部材、16,16a,16b,16c・・・基体、20,20a・・・貫通孔、40・・・バッテリー、41・・・筐体、45・・・冷却剤、50・・・バッテリーセル(熱源の一例)。
Claims (14)
- 熱源からの熱を伝導可能な中空状の熱伝導体であって、
その外郭を形成する熱伝導部材を備え、
前記熱伝導部材は、金属、炭素若しくはセラミックスの少なくとも1つを含むことを特徴とする熱伝導体。 - 中空状の球形若しくは扁球形の基体を備え、
前記熱伝導部材は、前記基体の外周にコーティングされていることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導体。 - 筒状の基体を備え、
前記熱伝導部材は、前記基体の少なくとも外側面にコーティングされていることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導体。 - 前記基体は、外から内部に通じる1以上の貫通孔を有することを特徴とする請求項2または3に記載の熱伝導体。
- 前記基体は、前記熱源の表面形状に合わせて変形容易に構成されていることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の熱伝導体。
- 前記外郭は、長尺状の前記熱伝導部材が巻かれた形態であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導体。
- 前記熱伝導部材は、
金属、炭素若しくはセラミックスの少なくとも1つを含む熱伝導シートと、
前記熱伝導シートに比べて変形容易な弾性部材と、
を備えることを特徴とする請求項6に記載の熱伝導体。 - 前記弾性部材は、ゴム状弾性体からなる長尺状の部材であり、
前記熱伝導部材は、長尺状の前記熱伝導シートの一方の面に前記弾性部材が積層された部材であって、前記熱伝導シートが外側となるよう前記外郭を形成していることを特徴とする請求項7に記載の熱伝導体。 - 前記弾性部材は、屈曲可能な線材であり、
前記熱伝導部材は、長尺状の前記熱伝導シートに少なくとも1の前記弾性部材が挿通された部材であることを特徴とする請求項7に記載の熱伝導体。 - 中空状の球形、扁球形若しくは筒形の基体を備え、
前記熱伝導部材は、前記基体の外周の少なくとも一部を覆うように巻き付けられることを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の熱伝導体。 - 前記熱伝導部材が球状、扁球状若しくは筒状に編み込まれて形成されることを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の熱伝導体。
- 前記熱伝導部材の表面に、当該表面に接触する前記熱源から当該表面への熱伝導性を高めるための熱伝導性オイルを有することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の熱伝導体。
- 前記熱伝導性オイルは、シリコーンオイルと、前記シリコーンオイルより熱伝導性が高く、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーとを含むことを特徴とする請求項12に記載の熱伝導体。
- 冷却剤を流す構造を持つ筐体内に、1または2以上の熱源としてのバッテリーセルを備えたバッテリーであって、前記バッテリーセルと前記筐体との間に、請求項1から13のいずれか1項に記載の熱伝導体を複数備えることを特徴とするバッテリー。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020010722A JP2021118097A (ja) | 2020-01-27 | 2020-01-27 | 熱伝導体およびそれを備えるバッテリー |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020010722A JP2021118097A (ja) | 2020-01-27 | 2020-01-27 | 熱伝導体およびそれを備えるバッテリー |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2021118097A true JP2021118097A (ja) | 2021-08-10 |
Family
ID=77175157
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2020010722A Pending JP2021118097A (ja) | 2020-01-27 | 2020-01-27 | 熱伝導体およびそれを備えるバッテリー |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2021118097A (ja) |
-
2020
- 2020-01-27 JP JP2020010722A patent/JP2021118097A/ja active Pending
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