JP2020136607A - 放熱構造およびそれを備える機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】放熱性に優れ、熱源とその熱を受け取る受熱体との間を容易に圧縮できる放熱構造、およびそれを備える機器を提供する。【解決手段】本発明は、熱源20と、受熱体11と、放熱体25と、を備える放熱構造であって、放熱体25は、複数の放熱部材28を連結して成り、複数の放熱部材28は、高さの異なる少なくとも2種の放熱部材28a,28bを含み、熱源20と受熱体11との間に付与される圧縮力によって、熱源20と受熱体11との間に挟まれており、放熱部材28は、熱源20からの熱を伝えるための熱伝導シート30と、熱伝導シート30の裏面に備えられ、熱伝導シート30に比べて変形容易なクッション部材31と、を備え、少なくとも2種の放熱部材28の内、高さの大きな放熱部材28aは、高さの小さな放熱部材28bよりも高さの方向に潰れている放熱構造10、当該放熱構造10を備える機器1に関する。【選択図】図5
Description
本発明は、放熱構造およびそれを備える機器に関する。
自動車、航空機、船舶あるいは家庭用若しくは業務用電子機器の制御システムは、より高精度かつ複雑化してきており、それに伴って、回路基板上の小型電子部品の集積密度が増加の一途を辿っている。この結果、回路基板周辺の発熱による電子部品の故障や短寿命化を解決することが強く望まれている。
回路基板からの速やかな放熱を実現するには、従来から、回路基板自体を放熱性に優れた材料で構成し、ヒートシンクを取り付け、あるいは冷却ファンを駆動するといった手段を単一で若しくは複数組み合わせて行われている。これらの内、回路基板自体を放熱性に優れた材料、例えばダイヤモンド、窒化アルミニウム(AlN)、立方晶窒化ホウ素(cBN)等から構成する方法は、回路基板のコストを極めて高くしてしまう。また、冷却ファンの配置は、ファンという回転機器の故障、故障防止のためのメンテナンスの必要性や設置スペースの確保が難しいという問題を生じる。これに対して、放熱フィンは、熱伝導性の高い金属(例えば、アルミニウム)を用いた柱状あるいは平板状の突出部位を数多く形成することによって表面積を大きくして放熱性をより高めることのできる簡易な部材であるため、放熱部品として汎用的に用いられている(特許文献1を参照)。
ところで、現在、世界中で、地球環境への負荷軽減を目的として、従来からのガソリン車あるいはディーゼル車を徐々に電気自動車に転換しようとする動きが活発化している。特に、フランス、オランダ、ドイツをはじめとする欧州諸国の他、中国でも、電気自動車の普及が進んでいる。電気自動車の普及には、高性能バッテリーの開発の他、多数の充電スタンドの設置などが必要となる。特に、リチウム系の自動車用バッテリーの充放電機能を高めるための技術開発が重要である。上記自動車バッテリーは、摂氏60度以上の高温下では充放電の機能を十分に発揮できないことが良く知られている。このため、先に説明した回路基板と同様、バッテリーにおいても、放熱性を高めることが重要視されている。
上述のような従来のバッテリー中のバッテリーセルや回路基板上の電子部品に代表される熱源からの放熱性を高めるには、熱源と当該熱源からの熱を受け取る受熱体との間の熱抵抗を低くする必要がある。加えて、熱源と受熱体との間に放熱体を挟んで圧縮し、熱源から受熱体への熱伝導をより高める場合がある。その場合、放熱体を圧縮する抵抗が大きすぎて、熱源と受熱体とを備える機器の一部が破損してしまうことがある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、放熱性に優れ、熱源とその熱を受け取る受熱体との間を容易に圧縮できる放熱構造、およびそれを備える機器を提供することを目的とする。
(1)上記目的を達成するための一実施形態に係る放熱構造は、熱源と、前記熱源からの熱を受け取る受熱体と、前記熱源と前記受熱体との間に配置され前記熱源から前記受熱体に放熱する放熱体と、を備える放熱構造であって、前記放熱体は、複数の放熱部材を連結して成り、複数の前記放熱部材は、前記熱源と前記受熱体とを結ぶ方向の高さの異なる少なくとも2種の放熱部材を含み、前記熱源と前記受熱体との間に付与される圧縮力によって、前記熱源と前記受熱体との間に挟まれており、前記放熱部材は、前記熱源からの熱を伝えるための熱伝導シートと、前記熱伝導シートの裏面に備えられ、前記熱伝導シートに比べて変形容易なクッション部材と、を備え、少なくとも2種の前記放熱部材の内、前記高さの大きな前記放熱部材は、前記高さの小さな前記放熱部材よりも前記高さの方向に潰れている。
(2)別の実施形態に係る放熱構造において、好ましくは、少なくとも2種の前記放熱部材の内、少なくとも前記高さの最も大きな前記放熱部材には、その長さ方向に貫通する貫通路を備える。
(3)別の実施形態に係る放熱構造において、好ましくは、前記放熱体は、少なくとも2種の前記放熱部材の内、少なくとも2つの前記高さの大きな前記放熱部材の間に、前記高さの小さな前記放熱部材を配置している。
(4)別の実施形態に係る放熱構造において、好ましくは、前記熱伝導シートは、前記クッション部材の外表面をスパイラル状に巻回しながら進行する形状を有する。
(5)別の実施形態に係る放熱構造において、好ましくは、前記クッション部材は、前記貫通路を有する筒状クッション部材であって、前記熱伝導シートは、前記筒状クッション部材の外側面をスパイラル状に巻回している。
(6)別の実施形態に係る放熱構造において、好ましくは、前記クッション部材は、前記熱伝導シートの前記裏面に沿ってスパイラル状に巻回しているスパイラル状クッション部材である。
(7)別の実施形態に係る放熱構造は、好ましくは、複数の前記放熱部材を糸で連結している。
(8)別の実施形態に係る放熱構造は、好ましくは、前記熱伝導シートの表面に、当該表面に接触する熱源から当該表面への熱伝導性を高めるための熱伝導性オイルを有する。
(9)別の実施形態に係る放熱構造において、好ましくは、前記熱伝導性オイルは、シリコーンオイルと、前記シリコーンオイルより熱伝導性が高く、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーとを含む。
(10)一実施形態に係る機器は、上述のいずれか1つの放熱構造を備える。
(11)別の実施形態に係る機器において、好ましくは、前記受熱体を、冷却機能を有する筐体とし、前記熱源を、前記筐体内に備えられる1または2以上の熱源としてのバッテリーセルとし、前記放熱体を前記バッテリーセルと前記筐体との間に配置し、当該機器は、バッテリーの形態を有する。
(2)別の実施形態に係る放熱構造において、好ましくは、少なくとも2種の前記放熱部材の内、少なくとも前記高さの最も大きな前記放熱部材には、その長さ方向に貫通する貫通路を備える。
(3)別の実施形態に係る放熱構造において、好ましくは、前記放熱体は、少なくとも2種の前記放熱部材の内、少なくとも2つの前記高さの大きな前記放熱部材の間に、前記高さの小さな前記放熱部材を配置している。
(4)別の実施形態に係る放熱構造において、好ましくは、前記熱伝導シートは、前記クッション部材の外表面をスパイラル状に巻回しながら進行する形状を有する。
(5)別の実施形態に係る放熱構造において、好ましくは、前記クッション部材は、前記貫通路を有する筒状クッション部材であって、前記熱伝導シートは、前記筒状クッション部材の外側面をスパイラル状に巻回している。
(6)別の実施形態に係る放熱構造において、好ましくは、前記クッション部材は、前記熱伝導シートの前記裏面に沿ってスパイラル状に巻回しているスパイラル状クッション部材である。
(7)別の実施形態に係る放熱構造は、好ましくは、複数の前記放熱部材を糸で連結している。
(8)別の実施形態に係る放熱構造は、好ましくは、前記熱伝導シートの表面に、当該表面に接触する熱源から当該表面への熱伝導性を高めるための熱伝導性オイルを有する。
(9)別の実施形態に係る放熱構造において、好ましくは、前記熱伝導性オイルは、シリコーンオイルと、前記シリコーンオイルより熱伝導性が高く、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーとを含む。
(10)一実施形態に係る機器は、上述のいずれか1つの放熱構造を備える。
(11)別の実施形態に係る機器において、好ましくは、前記受熱体を、冷却機能を有する筐体とし、前記熱源を、前記筐体内に備えられる1または2以上の熱源としてのバッテリーセルとし、前記放熱体を前記バッテリーセルと前記筐体との間に配置し、当該機器は、バッテリーの形態を有する。
本発明によれば、放熱性に優れ、熱源とその熱を受け取る受熱体との間を容易に圧縮できる放熱構造、およびそれを備える機器を提供できる。
次に、本発明の各実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る放熱構造を構成する放熱体の一部の斜視図を示す。図2は、図1の放熱体の一部の平面図を示す。
図1は、本発明の第1実施形態に係る放熱構造を構成する放熱体の一部の斜視図を示す。図2は、図1の放熱体の一部の平面図を示す。
1.放熱体
以下、放熱部材を総称する場合には「放熱部材28」と称する。一方、各種の放熱部材を個別に明示する必要のある場合には、「放熱部材28a」などのように、符号にアルファベットの添字を付して称する。
以下、放熱部材を総称する場合には「放熱部材28」と称する。一方、各種の放熱部材を個別に明示する必要のある場合には、「放熱部材28a」などのように、符号にアルファベットの添字を付して称する。
放熱体25は、複数の放熱部材28を連結して成る。「放熱体」は、「熱伝導体」と言い換えても良い。複数の放熱部材28は、熱源と、熱源からの熱を受け取る受熱体とを結ぶ方向(図1のZ軸方向)の高さの異なる少なくとも2種の放熱部材28a,28bを含む。放熱部材28は、熱源からの受熱体に熱を伝えるための熱伝導シート30と、熱伝導シート30の裏面に備えられ熱伝導シート30に比べて変形容易なクッション部材31と、を備える。ここで、「裏面」とは、熱伝導シート30を巻回したときの裏面を意味する。放熱体25は、複数の放熱部材28を、放熱部材28の幅方向(図1のX軸方向)に並べて連結した構造体である。この実施形態では、熱伝導シート30は、好ましくは、放熱部材28の長さ方向(Y軸方向)に向かって、スパイラル状に巻回しながら進行する形状を有する。ただし、熱伝導シート30は、スパイラル状ではなく、筒状にクッション部材31を被覆しても良い。
放熱部材28aは、放熱部材28bよりも高さの大きな部材である。この実施形態では、各放熱部材28は、略円筒形状の部材である。このため、放熱部材28a,28bの高さ(図1のZ軸方向の長さ)と、幅(図1のX軸方向の長さ)とは等しい。放熱部材28aの長さ方向の端面の直径をD1、放熱部材28bの長さ方向の端面の直径をD2とすると、D1>D2の関係が成り立つ(図2を参照)。
少なくとも2種の放熱部材28a,28bの内、少なくとも高さの最も大きな放熱部材28aは、好ましくは、その長さ方向(Y軸方向)に貫通する貫通路32を備える。これは、放熱部材28aをZ軸方向に潰しやすくするためである。また、放熱体25の質量の軽減を図る必要からである。ただし、貫通路32は、放熱部材28aに必須の構成ではなく、クッション部材31に備えていなくとも良い。一方、放熱部材28bは、放熱部材28aと異なり、貫通路32に相当する貫通路を備えていない。これは、放熱部材28bは、放熱部材28aと比較してZ軸方向に潰す必要が無い、あるいはZ軸方向に潰す場合でもその程度が小さいからである。このように、放熱部材28aは、貫通路32を有するクッション部材(筒状クッション部材ともいう)31の外側面に、熱伝導シート30をスパイラル状に巻回した構造を有する。一方、放熱部材28bは、略円柱形状のクッション部材31の外側面に、熱伝導シート30をスパイラル状に巻回した構造を有する。
放熱体25は、好ましくは、少なくとも2種の放熱部材28a,28bの内、少なくとも2つの高さの大きな放熱部材28aの間に、高さの小さな放熱部材28bを配置している。この実施形態では、より具体的には、放熱体25は、2つの放熱部材28aの間に2つの放熱部材28bを配置するように連結されている。放熱体25は、好ましくは、複数本の放熱部材28を幅方向に並べた状態で連結する連結部材35を備える。連結部材35は、好ましくは、糸で構成される。この実施形態では、連結部材35は、好ましくは、放熱部材28同士の間に、撚りが加えられた撚り部37を備える。
放熱部材28aと放熱部材28bとの隙間W1は、放熱部材28aがZ軸方向に圧縮を受けた際に幅方向(X軸方向)に突出変形できるような大きさである。放熱部材28b同士の隙間W2も、放熱部材28bがZ軸方向に圧縮を受けた際に幅方向(X軸方向)に突出変形できるような大きさである。放熱部材28aは放熱部材28bと比べてX軸方向に突出する長さが大きくなるため、好ましくは、W1>W2の関係が成立する。以下、放熱体25を構成する熱伝導シート30、クッション部材31、連結部材35およびその他について詳述する。
(1)熱伝導シート
熱伝導シート30は、好ましくは炭素を含む、より好ましくは炭素を90質量%以上含むシートであり、さらにより好ましくは炭素フィラーと樹脂とを含むシートである。樹脂を合成繊維とすることもでき、その場合には、好適に、アラミド繊維を用いることもできる。本願でいう「炭素」は、グラファイト、グラファイトより結晶性の低いカーボンブラック、膨張黒鉛、ダイヤモンド、ダイヤモンドに近い構造を持つダイヤモンドライクカーボン等の炭素(元素記号:C)から成る如何なる構造のものも含むように広義に解釈される。熱伝導シート30は、この実施形態では、樹脂に、グラファイト繊維やカーボン粒子を配合分散した材料を硬化させた薄いシートとすることができる。熱伝導シート30は、メッシュ状に編んだカーボンファイバーであっても良く、さらには混紡してあっても混編みしてあっても良い。なお、グラファイト繊維、カーボン粒子あるいはカーボンファイバーといった各種フィラーも、すべて、炭素フィラーの概念に含まれる。
熱伝導シート30は、好ましくは炭素を含む、より好ましくは炭素を90質量%以上含むシートであり、さらにより好ましくは炭素フィラーと樹脂とを含むシートである。樹脂を合成繊維とすることもでき、その場合には、好適に、アラミド繊維を用いることもできる。本願でいう「炭素」は、グラファイト、グラファイトより結晶性の低いカーボンブラック、膨張黒鉛、ダイヤモンド、ダイヤモンドに近い構造を持つダイヤモンドライクカーボン等の炭素(元素記号:C)から成る如何なる構造のものも含むように広義に解釈される。熱伝導シート30は、この実施形態では、樹脂に、グラファイト繊維やカーボン粒子を配合分散した材料を硬化させた薄いシートとすることができる。熱伝導シート30は、メッシュ状に編んだカーボンファイバーであっても良く、さらには混紡してあっても混編みしてあっても良い。なお、グラファイト繊維、カーボン粒子あるいはカーボンファイバーといった各種フィラーも、すべて、炭素フィラーの概念に含まれる。
熱伝導シート30に樹脂を含む場合には、当該樹脂が熱伝導シート30の全質量に対して50質量%を超えていても、あるいは50質量%以下であっても良い。すなわち、熱伝導シート30は、熱伝導に大きな支障が無い限り、樹脂を主材とするか否かを問わない。樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂を好適に使用できる。熱可塑性樹脂としては、熱源からの熱を伝導する際に溶融しない程度の高融点を備える樹脂が好ましく、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、芳香族ポリアミド(アラミド繊維)等を好適に挙げることができる。樹脂は、熱伝導シート30の成形前の状態において、炭素フィラーの隙間に、例えば粒子状あるいは繊維状に分散している。熱伝導シート30は、炭素フィラー、樹脂の他、熱伝導をより高めるためのフィラーとして、AlN、Al2O3あるいはダイヤモンドを分散していても良い。また、樹脂に代えて、樹脂よりも柔軟なエラストマーを用いても良い。熱伝導シート30は、また、上述のような炭素に代えて若しくは炭素と共に、金属および/またはセラミックスを含むシートとすることができる。金属としては、アルミニウム、銅、それらの内の少なくとも1つを含む合金などの熱伝導性の比較的高いものを選択できる。また、セラミックスとしては、AlN、cBN、hBN、Al2O3などの熱伝導性の比較的高いものを選択できる。
熱伝導シート30は、導電性に優れるか否かは問わない。熱伝導シート30の熱伝導率は、好ましくは10W/mK以上である。この実施形態では、熱伝導シート30は、好ましくは、グラファイト、アルミニウム、アルミニウム合金、銅あるいはステンレススチールの帯状の板であり、熱伝導性と導電性に優れる材料から成る。熱伝導シート30は、湾曲性(若しくは屈曲性)に優れるシートであるのが好ましく、その厚さに制約はないが、0.02〜3mmが好ましく、0.03〜0.5mmがより好ましい。ただし、熱伝導シート30の熱伝導率は、その厚さが増加するほど低下するため、シートの強度、可撓性および熱伝導性を総合的に考慮して、その厚さを決定するのが好ましい。
(2)クッション部材
クッション部材31の重要な機能は、変形容易性と回復力である。回復力は、弾性変形性による。変形容易性は、放熱部材28と接する熱源の形状に追従するために必要な特性であり、特にリチウムイオンバッテリーなどの半固形物、液体的性状も持つ内容物などを変形しやすいパッケージに収めてあるようなバッテリーセルの場合には、設計寸法的にも不定形または寸法精度があげられない場合が多い。このため、クッション部材31の変形容易性や追従力を保持するための回復力の保持は重要である。
クッション部材31の重要な機能は、変形容易性と回復力である。回復力は、弾性変形性による。変形容易性は、放熱部材28と接する熱源の形状に追従するために必要な特性であり、特にリチウムイオンバッテリーなどの半固形物、液体的性状も持つ内容物などを変形しやすいパッケージに収めてあるようなバッテリーセルの場合には、設計寸法的にも不定形または寸法精度があげられない場合が多い。このため、クッション部材31の変形容易性や追従力を保持するための回復力の保持は重要である。
クッション部材31は、熱源の下端部が平坦でない場合でも、熱伝導シート30と当該下端部との接触を良好にする。なお、本願でいう「接触」は、熱伝導可能な状態を意味し、接触対象間に何らかの介在物(例えば、後述のオイル)が存在していても良い。「接触」を「熱的接触」と称しても良い。貫通路32は、クッション部材31の変形を容易にし、加えて放熱体25の軽量化に寄与し、また、熱伝導シート30と熱源の下端部との接触を高める機能を有する。クッション部材31は、クッション性を発揮させる機能の他に、熱伝導シート30に加わる荷重によって熱伝導シート30が破損等しないようにする保護部材としての機能も有する。この実施形態では、クッション部材31は、熱伝導シート30に比べて低熱伝導性の部材である。なお、この実施形態では、貫通路32は、断面円形状に形成されているが、貫通路32の断面形状は円に限定されず、例えば、多角形、楕円形、半円形、頂点が丸みを帯びた略多角形等であっても良い。また、貫通路32は、例えば、断面円形状が上下または左右に2つに分割された2つの断面半円形状の貫通路等、複数の貫通路から構成されていても良い。
クッション部材31は、好ましくは、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ニトリルゴム(NBR)あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)等の熱硬化性エラストマー; ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの複合物等を含むように構成される。クッション部材31は、熱伝導シート30を伝わる熱によって溶融あるいは分解等せずにその形態を維持できる程度の耐熱性の高い材料から構成されるのが好ましい。この実施形態では、クッション部材31は、より好ましくは、ウレタン系エラストマー中にシリコーンを含浸したもの、あるいはシリコーンゴムにより構成される。クッション部材31は、その熱伝導性を少しでも高めるために、ゴム中にAlN、cBN、hBN、Al2O3、ダイヤモンドの粒子等に代表されるフィラーを分散して構成されていても良い。クッション部材31は、その内部に気泡を含むものの他、気泡を含まないものでも良い。例えば、クッション部材31は、貫通路32を備えずに、多孔を有するスポンジ状のもの、あるいは孔を含まないソリッド状のものとしても良い。「クッション部材」は、柔軟性に富み、熱源の表面に密着可能に弾性変形可能な部材を意味し、かかる意味では「ゴム状弾性体」と読み替えることもできる。さらに、クッション部材31の変形例としては、上記ゴム状弾性体ではなく、金属を用いて構成することもできる。例えば、クッション部材は、バネ鋼で構成することも可能である。さらに、クッション部材として、コイルバネを配置することも可能である。また、スパイラル状に巻いた金属をバネ鋼にしてクッション部材として熱伝導シート30の裏面に配置しても良い。
(3)連結部材
連結部材35は、例えば、糸やゴム等、少なくとも複数の放熱部材28の間に位置する部分が変形自在な材料で構成された部材である。この実施形態において、連結部材35は、糸で構成されることが好ましく、熱源からの放熱による温度上昇に耐え得る糸であることがより好ましい。より具体的には、連結部材35は、120℃程度の高温に耐え得る糸であって、天然繊維、合成繊維、カーボン繊維、金属繊維等の繊維からなる撚糸で構成されることが好ましい。また、連結部材35は、好ましくは、複数の放熱部材28の間に、撚りが加えられた撚り部37を備える。放熱体25は、放熱部材28が熱源により圧縮され扁平した形態となっても、放熱部材28の変形に追従して連結部材35が撓むため、熱源の表面に追従・密着することができる。また、放熱体25は、複数の放熱部材28の間に撚り部37を備えることにより、熱源の表面への追従・密着性をより高めることができる。放熱部材28a,28bは、撚り部37で挟まれた空間内にて移動あるいは変形が可能である。なお、連結部材35は、必ずしも、撚り部37を有していなくても良い。
連結部材35は、例えば、糸やゴム等、少なくとも複数の放熱部材28の間に位置する部分が変形自在な材料で構成された部材である。この実施形態において、連結部材35は、糸で構成されることが好ましく、熱源からの放熱による温度上昇に耐え得る糸であることがより好ましい。より具体的には、連結部材35は、120℃程度の高温に耐え得る糸であって、天然繊維、合成繊維、カーボン繊維、金属繊維等の繊維からなる撚糸で構成されることが好ましい。また、連結部材35は、好ましくは、複数の放熱部材28の間に、撚りが加えられた撚り部37を備える。放熱体25は、放熱部材28が熱源により圧縮され扁平した形態となっても、放熱部材28の変形に追従して連結部材35が撓むため、熱源の表面に追従・密着することができる。また、放熱体25は、複数の放熱部材28の間に撚り部37を備えることにより、熱源の表面への追従・密着性をより高めることができる。放熱部材28a,28bは、撚り部37で挟まれた空間内にて移動あるいは変形が可能である。なお、連結部材35は、必ずしも、撚り部37を有していなくても良い。
(4)その他
熱伝導性オイル
熱伝導シート30は、好ましくは、その表面、少なくとも熱源と接触する面に、熱伝導性オイルを備える。本願において、熱伝導性オイルの「オイル」は、非水溶性の常温(20〜25℃の範囲の任意の温度)で液状若しくは半固形状の可燃物質をいう。「オイル」という文言に代え、「グリース」あるいは「ワックス」を用いることもできる。熱伝導性オイルは、熱源から熱伝導シート30に熱を伝える際に熱伝導の障害にならない性質のオイルである。熱伝導性オイルには、炭化水素系のオイル、シリコーンオイルを用いることができる。熱伝導性オイルは、好ましくは、シリコーンオイルと、シリコーンオイルより熱伝導性が高く、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーとを含む。熱伝導シート30は、微視的に、隙間(孔あるいは凹部)を有する。通常、当該隙間には空気が存在し、熱伝導性に悪影響を及ぼす可能性が有る。熱伝導性オイルは、その隙間を埋めて、空気に代わって存在することになり、熱伝導シート30の熱伝導性を向上させる機能を有する。
熱伝導性オイル
熱伝導シート30は、好ましくは、その表面、少なくとも熱源と接触する面に、熱伝導性オイルを備える。本願において、熱伝導性オイルの「オイル」は、非水溶性の常温(20〜25℃の範囲の任意の温度)で液状若しくは半固形状の可燃物質をいう。「オイル」という文言に代え、「グリース」あるいは「ワックス」を用いることもできる。熱伝導性オイルは、熱源から熱伝導シート30に熱を伝える際に熱伝導の障害にならない性質のオイルである。熱伝導性オイルには、炭化水素系のオイル、シリコーンオイルを用いることができる。熱伝導性オイルは、好ましくは、シリコーンオイルと、シリコーンオイルより熱伝導性が高く、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーとを含む。熱伝導シート30は、微視的に、隙間(孔あるいは凹部)を有する。通常、当該隙間には空気が存在し、熱伝導性に悪影響を及ぼす可能性が有る。熱伝導性オイルは、その隙間を埋めて、空気に代わって存在することになり、熱伝導シート30の熱伝導性を向上させる機能を有する。
シリコーンオイルは、好ましくは、シロキサン結合が2000以下の直鎖構造の分子から成る。シリコーンオイルは、ストレートシリコーンオイルと、変性シリコーンオイルとに大別される。ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルを例示できる。変性シリコーンオイルとしては、反応性シリコーンオイル、非反応性シリコーンオイルを例示できる。反応性シリコーンオイルは、例えば、アミノ変性タイプ、エポキシ変性タイプ、カルボキシ変性タイプ、カルビノール変性タイプ、メタクリル変性タイプ、メルカプト変性タイプ、フェノール変性タイプ等の各種シリコーンオイルを含む。非反応性シリコーンオイルは、ポリエーテル変性タイプ、メチルスチリル変性タイプ、アルキル変性タイプ、高級脂肪酸エステル変性タイプ、親水性特殊変性タイプ、高級脂肪酸含有タイプ、フッ素変性タイプ等の各種シリコーンオイルを含む。シリコーンオイルは、耐熱性、耐寒性、粘度安定性、熱伝導性に優れたオイルであるため、熱伝導シート30の表面に塗布して、熱源と熱伝導シート30との間に介在させる熱伝導性オイルとして特に好適である。
熱伝導性オイルは、好ましくは、油分以外に、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーを含む。金属としては、金、銀、銅、アルミニウム、ベリリウム、タングステンなどを例示できる。セラミックスとしては、アルミナ、窒化アルミニウム、キュービック窒化ホウ素、ヘキサゴナル窒化ホウ素などを例示できる。炭素としては、ダイヤモンド、グラファイト、ダイヤモンドライクカーボン、アモルファスカーボン、カーボンナノチューブなどを例示できる。
熱伝導性オイルは、より好ましくは、熱伝導シート30の外表面全体に存在する。ただし、熱伝導性オイルは、熱伝導シート30の一部分に塗布されていても良い。熱伝導性オイルを熱伝導シート30に存在させる方法は、特に制約はなく、スプレーを用いた噴霧、刷毛等を用いた塗布、熱伝導性オイル中への熱伝導シート30の浸漬など、如何なる方法によるものでも良い。なお、熱伝導性オイルは、放熱体25にとって必須の構成ではなく、好適に備えることのできる追加的な構成である。これは、第2実施形態以降でも同様である。
2.放熱体の製造方法
図3は、図1の放熱体の製造方法の一部を説明するための図を示す。
以下、放熱部材28aの製造工程を主に説明する。まず、筒状のクッション部材31を成形する。次に、帯状の熱伝導シート30をクッション部材31の外側面にスパイラル状に巻く。このとき、好ましくは、クッション部材31が完全には硬化していない未硬化状態で、熱伝導シート30をクッション部材31の外側面に巻き、その後、加温によりクッション部材31を完全に硬化させる。次に、帯状の熱伝導シート30のクッション部材31の両端からはみ出した部分があればカットする。最後に、熱伝導シート30の表面に、熱伝導性オイルを塗布する。放熱部材28bの製造方法は、貫通路32を形成していない点を除き、上述の放熱部材28aと同様の製造方法である。放熱部材28を、このような方法にて製造することにより、熱伝導シート30同士の隙間に未硬化状態のクッション部材31が入り込んだ状態で硬化されるため、接着剤等を使用しなくともクッション部材31と熱伝導シート30とを強固に固定することができる。なお、図3では、熱伝導シート30同士の隙間を大きくして、見やすさを優先しているが、隙間を限りなく小さくして熱伝導シート30をスパイラル状に巻いても良い。
こうして出来上がった放熱部材28aは、クッション部材31の外側面よりも熱伝導シート30の厚さ分だけ突出した形態を有する。ただし、熱伝導シート30とクッション部材31とは、面一であっても良い。また、熱伝導性オイルは、熱伝導シート30のうち少なくとも熱源と接触する面に塗布されれば良い。熱伝導シート30のクッション部材31の両端からはみ出した部分をカットする工程および熱伝導性オイルを塗布する工程は、上述のタイミングで行うことに限定されず、少なくともクッション部材31に熱伝導シート30を巻いた後であれば、いつ行ってもよい。また、熱伝導シート30は、クッション部材31を完全に硬化させた状態で、その外側面に巻いてもよい。この場合、クッション部材31の外側面が粘着性を有していなければ、接着剤等を使用して熱伝導シート30をクッション部材31に固定してもよい。
放熱体25は、上述の製造方法により製造された複数の放熱部材28a,28bを、熱伝導シート30の巻回しながら進行する方向(放熱部材28a,28bの長さ方向)と直交する方向に並べた状態で、連結部材35で連結することにより製造される。放熱体25は、複数の放熱部材28a,28bを並べた状態で、手縫いで糸を縫い付けることにより連結されても良い。
連結部材35は、ミシン等を用いて複数の放熱部材28a,28bを縫い付ける部材でも良い。連結部材35の縫い方は、特に限定されず、手縫い、本縫い、千鳥縫い、単環縫い、二重環縫い、縁かがり縫い、扁平縫い、安全縫い、オーバーロック等の如何なる縫い方でも良い。また、JIS L 0120の規定する表示記号によれば、好適な縫い方として、「101」、「209」、「301」、「304」、「401」、「406」、「407」、「410」、「501」、「502」、「503」、「504」、「505」、「509」、「512」、「514」、「602」および「605」の各種縫い目を構成する縫い方を例示できる。
3.放熱構造およびそれを備える機器
図4は、第1実施形態に係る機器の組み立て前後の状況を、当該機器の高さ方向に切断した断面図にてそれぞれ示す。
図4は、第1実施形態に係る機器の組み立て前後の状況を、当該機器の高さ方向に切断した断面図にてそれぞれ示す。
本願では、特筆しない限り、「断面」あるいは「縦断面」とは、放熱体25の厚さ方向(高さ方向: Z軸方向)に切断した断面を意味する。
この実施形態では、機器として、バッテリー1を例に説明する。また、バッテリーセル1は、放熱構造10を備える。図4に示すように、機器の一例であるバッテリー1は、冷却部材15を接触させる筐体11内に複数のバッテリーセル20(熱源の一例)を備えた構造を有する。放熱体25は、好ましくは、バッテリーセル20の冷却部材15に近い側の端部(下端部)と、冷却部材15に近い側の筐体11の一部(底部12)と、の間に備えられている。ここでは、放熱体25は、7個のバッテリーセル20を載置しているが、放熱体25に載置するバッテリーセル20の個数は7個に限定されない。また、バッテリー1に備えられる放熱体25を構成する放熱部材28の個数についても、特に限定されない。
筐体11は、その開口部を、蓋16にて覆われている。蓋16は、好ましくは、バッテリーセル20と対向する側に、バッテリーセル20に当接して放熱体25を底部12に向けて押圧可能な当接面17と、当接面17よりも内側に窪み、バッテリーセル20の電極を覆う凹部18と、を備える。蓋16を筐体11に固定した状態において、当接面17は、バッテリーセル20の上面(放熱体25と反対側の面)21に接する。ただし、凹部18は、必須の構成ではなく、無くとも良い。また、凹部18に代えて、蓋18の厚さ方向(Y軸方向)に貫通する貫通孔を、蓋16に備えても良い。
次に、バッテリー1の構成について、より詳しく説明する。
この実施形態において、バッテリー1は、例えば、電気自動車用のバッテリーであって、多数のバッテリーセル(単に、セルと称しても良い。)20を備える。バッテリー1は、一方に開口する有底型の筐体11を備える。バッテリー1の使用時には、筐体11の上方開口面は、蓋16を矢印B方向から筐体11に被せることによって閉鎖される。この結果、バッテリー1は、矢印Dに示すような形態になる。筐体11は、好ましくは、アルミニウム若しくはアルミニウム基合金から成る。底部12は、冷却部材15の一例である冷却水を流すために、1または複数の水冷パイプ13を備える。冷却部材は、冷却媒体あるいは冷却剤と称しても良い。このような構造のバッテリー1において、バッテリーセル20は、放熱体25を通じて筐体11に伝熱して、水冷によって効果的に除熱される。なお、冷却部材15は、冷却水に限定されず、液体窒素、エタノール等の有機溶剤も含むように解釈される。冷却部材15は、冷却に用いられる状況下にて、液体であるとは限らず、気体若しくは固体でも良い。蓋16は、矢印Cの方向に押圧する状況で筐体11に固定される。この結果、放熱体25は、バッテリーセル20と底部12との間に挟まれてY軸方向に圧縮される。
このように、この実施形態に係る機器は、受熱体を、冷却機能を有する筐体11とし、熱源を、筐体11内に備えられる1または2以上のバッテリーセル20とし、放熱体25をバッテリーセル20と筐体11との間に配置し、バッテリー1の形態を有する。バッテリー1の放熱構造10は、熱源の一例であるバッテリーセル20と、バッテリーセル20からの熱を受け取る受熱体の一例である筐体11の底部12と、バッテリーセル20と底部12との間に配置されバッテリーセル20から底部12に放熱する放熱体25と、を備える。なお、受熱体は、筐体11(あるいは底部12)に限定されない。最終的に、バッテリーセル20から熱を受け取るのは、水に代表される冷却部材15である。このため、受熱体を冷却部材15と定義しても良い。さらに、受熱体を、冷却部材15が流れる水冷パイプ13と定義しても良い。
放熱体25は、複数の放熱部材28を連結して成る。複数の放熱部材28は、バッテリーセル20と底部12とを結ぶ方向(Z軸方向)の高さの異なる少なくとも2種の放熱部材28a,28bを含む。複数の放熱部材28は、バッテリーセル20と底部12との間に付与される圧縮力によって、バッテリーセル20と底部12とに挟まれている。放熱部材28は、バッテリーセル20からの熱を伝えるための熱伝導シート30と、熱伝導シート30の裏面に備えられ、熱伝導シート30に比べて変形容易なクッション部材31と、を備える。少なくとも2種の放熱部材28a,28bの内、比較的に高さの大きな放熱部材28aは、比較的に高さの小さな放熱部材28bよりも高さの方向(Z軸方向)に潰れている。
図5は、図4の領域Eおよび領域Fを拡大して示す。
領域Eは、筐体11の開口面に蓋16をセットしていない状態におけるバッテリーセル20の下端面と底部12との間に挟まれている放熱体25の状態を断面図により示している。領域Eでは、バッテリーセル20の自重が放熱体25にかかっている。矢印Gは、バッテリーセル20の自重による力の方向を示す。領域Fは、領域Eの状態から、矢印Iに示すように変化した状態、すなわち、筐体11の開口面に蓋16をセットした状態における当該放熱体25の状態を断面図により示している。領域Fでは、放熱体25上に、バッテリーセル20の自重に加えて、蓋16からの押圧もかかっている。
この実施形態では、放熱体25は、バッテリーセル20の下端面の幅(X軸方向の長さ)あたり、合計5つの放熱部材28a,28bを配置する形態を有する。ただし、バッテリーセル20は、5つの放熱部材28a,28bに接する大きさではなく、少なくとも1つの放熱部材28aと少なくとも1つの放熱部材28bに接する大きさであれば良い。例えば、バッテリーセル20は、1つの放熱部材28aと、当該放熱部材28aに隣接する放熱部材28bとの合計2つの放熱部材28上に配置されても良い。また、バッテリーセル20は、2つの放熱部材28aと、2つの放熱部材28aの間に配置される1つの放熱部材28bとの合計3つの放熱部材28上に配置されても良い。
この実施形態では、2つの放熱部材28aの間に2つの放熱部材28bを配置し、かつ2つの放熱部材28aの内の1つに隣接して1つの放熱部材28bを配置した領域に、1つのバッテリーセル20が載っている。領域Eに示すように、蓋16からの押圧を受けていない状態では、バッテリー20の自重は、2つの放熱部材28aにかかっており、3つの放熱部材28bにはかかっていない。放熱部材28aは、放熱部材28bより長さHだけ高いからである。この状態から蓋16を筐体11の開口面に被せて押圧していくと、放熱部材28aは、バッテリーセル20の下端面と底部12との間でZ軸方向に圧縮されてつぶれていく。続いて、放熱部材28bは、バッテリーセル20の下端面に接し、バッテリーセル20からの押圧を受ける状態になる。領域Fの状態において、放熱部材28bは、バッテリーセル20と底部12との間で潰れても、潰れずに接触しているだけの状態にあっても良いが、放熱部材28aよりも圧縮変形していない。
蓋16を筐体11に被せて押圧する際、1つのバッテリーセル20あたり、2つの放熱部材28aだけを押し潰すことになる。このため、1つのバッテリーセル20を全て同じ高さの放熱部材28aで支えている場合と比べて、蓋16を筐体11方向に押圧する力を小さくすることができる。これは、蓋16や筐体11の破損を防止するのに寄与する。バッテリーセル20から放熱体25を介して底部12に熱を逃がすには、放熱部材28bを過度に圧縮する必要はない。放熱部材28bは、バッテリーセル20と底部12とに接触していればよい。このため、放熱部材28bは、放熱部材28aと異なり貫通路32を有しておらず、放熱部材28aよりも圧縮変形しない。以上のように、各バッテリーセル20と底部12との間に、高さの大きな放熱部材28aと、放熱部材28aよりも高さが小さい放熱部材28bとを配置できるような放熱体25を構成すると、蓋16を筐体11に押圧固定する際に、過度の力を蓋16や筐体11に与えることなく、バッテリー1を製造できる。したがって、バッテリー1が使用中に壊れ、あるいは長期間の使用においても蓋16や筐体11の劣化を低減できる。
上記形態の変形例として、放熱部材28bは、貫通路32を備えていても良い。また、放熱部材28aは、合計5つの放熱部材28a,28b中、1個のみでも良い。さらに、各バッテリーセル20と底部12との隙間に配置される放熱部材28は、完全に同一の種類、あるいは同一の数である必要はない。例えば、1つのバッテリーセル20の下端面には、2つの放熱部材28aと2つの放熱部材28bが配置され、別のバッテリーセル20の下端面に、1つの放熱部材28aと4つの放熱部材28bが配置されていても良い。放熱体25は、好ましくは、この実施形態に好適に例示されるように、少なくとも2種の放熱部材28の内、少なくとも2つの高さの大きな放熱部材28aの間に、高さの小さな放熱部材28bを配置している。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る放熱構造およびそれを備える機器について説明する。第2実施形態において第1実施形態と共通する部分については同じ符号を付して重複した説明を省略する。
次に、第2実施形態に係る放熱構造およびそれを備える機器について説明する。第2実施形態において第1実施形態と共通する部分については同じ符号を付して重複した説明を省略する。
第2実施形態に係る放熱構造およびそれを備える機器は、放熱部材の構造を除き、第1実施形態に係るものと共通する。以下、第2実施形態に係る放熱構造を構成する放熱部材の構造および当該放熱部材の製造方法の一部を説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係る放熱構造を構成する放熱部材の製造方法の一部を示す。
放熱部材28aは、クッション部材31を、筒状クッション部材とせずに、熱伝導シート30の裏側に備えられる帯状のクッション部材であって熱伝導シート30と共にスパイラル状に巻回されているスパイラル状のクッション部材とする。
上述のスパイラル状のクッション部材31(「スパイラル状クッション部材」ともいう)を備える放熱体の製造方法の一例は、次の通りである。
まず、略同等の幅を持つ熱伝導シート30およびクッション部材31の二層からなる積層体40を製造する。次に、熱伝導シート30の表面に、熱伝導性オイルを塗布する。そして、熱伝導性オイルが塗布された積層体40をスパイラル状(コイル状と称しても良い)に、一方向に進行するように巻回する。こうして、積層体40をスパイラル状に巻回した細長い形状の放熱部材28aが完成する。なお、熱伝導性オイルは、積層体40を製造する前に熱伝導シート30上に塗布しても良いし、最後に熱伝導シート30上に塗布しても良い。また、積層体40は、好ましくは、クッション部材31が完全には硬化していない未硬化状態で、熱伝導シート30をクッション部材31に積層し、その後、加温によりクッション部材31を完全に硬化させて形成される。貫通路32を備える放熱部材28bを製造する場合には、上述の放熱部材28aと同様の方法にて製造できる。
放熱体25は、複数の放熱部材28a,28bを、熱伝導シート30の巻回しながら進行する方向(放熱部材28a,28bの長さ方向)と直交する方向に並べた状態で、連結部材35で連結することにより製造される。なお、複数の放熱部材28a,28bを連結部材35で連結する方法は、第1実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
放熱部材28a,28bは、その長さ方向に貫通する貫通路32を備えているが、第1実施形態に係る放熱部材28aと異なり、放熱部材28a,28bの外側面方向にも貫通している。放熱部材28a,28bは、スパイラル状であるため、第1実施形態の放熱部材28a,28bに比べて、放熱部材28a,28bの長さ方向(図6(6B)の白矢印方向)に伸縮容易である。
このようにして製造される放熱体25は、第1実施形態に係るバッテリー1と同様、バッテリーセル20と筐体11の底部12との間に配置される。放熱体25は、バッテリーセル20と底部12との空間に、異なる高さの放熱部材28a,28bを配置した構造を有する。なお、バッテリーセル20と筐体11の内側面との隙間、および/またはバッテリーセル20同士の隙間にも、放熱体25を配置することができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る放熱構造およびそれを備える機器について説明する。第3実施形態において前述の各実施形態と共通する部分については同じ符号を付して重複した説明を省略する。
次に、第3実施形態に係る放熱構造およびそれを備える機器について説明する。第3実施形態において前述の各実施形態と共通する部分については同じ符号を付して重複した説明を省略する。
この実施形態では、機器として、電子機器を例に説明する。
図7は、本発明の第3実施形態に係る機器の組み立て前後の状態を断面図にて示す。
電子機器2は、その内部に、回路基板51と、回路基板51上に固定される熱源の一例である電子部品50と、電子部品50の回路基板51と反対側に配置される放熱体25と、放熱体25を挟んで電子部品50と反対側に配置されるヒートシンク52とを備える放熱構造10aを有する。ヒートシンク52は、受熱体の一例であって、放熱体25に接する平板と、当該平板から放熱体25と反対方向に延出する複数のフィンと、を備える。
この実施形態において、放熱体25は、3つの放熱部材28aと、6つの放熱部材28cとを連結したものである。より具体的には、3つの放熱部材28cは、2つの放熱部材28aに挟まれている。放熱部材28cは、貫通路32を有し、かつ放熱部材28aよりもKだけ小さい高さを有する。電子機器2の組み立て前の状態では、ヒートシンク52は、比較的に高さの大きな3つの放熱部材28aのみで電子部品50上にて支えられている。3つの放熱部材28bは、放熱部材28aよりも高さが小さいため、ヒートシンク52に接触していない。
放熱体25の高さ方向(厚さ方向ともいう)から電子部品50とヒートシンク52との間に圧縮力(例えば、矢印Jの方向からの力)を付与すると、矢印Lで示すように、放熱部材28aがZ軸方向に圧縮を受けて潰れ、続いて、ヒートシンク52が放熱部材28cに接触する。ここでは、放熱部材28cは、ヒートシンク52と電子部品50とから、わずかに圧縮力を受けている。このように、電子部品50とヒートシンク52との間に、高さの大きな放熱部材28aと、放熱部材28aよりも高さが小さい放熱部材28cとを配置できるような放熱体25を構成すると、回路基板51とヒートシンク52との間に圧縮力を加えて電子機器2を組み立てる際に、過度の力をヒートシンク52、電子部品50および回路基板51に与えることなく、電子機器2を製造できる。したがって、電子機器2が使用中に壊れ、あるいは長期間の使用においてもヒートシンク52、電子部品50および回路基板51の劣化を低減できる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る放熱構造およびそれを備える機器について説明する。第4実施形態において前述の各実施形態と共通する部分については同じ符号を付して重複した説明を省略する。
次に、第4実施形態に係る放熱構造およびそれを備える機器について説明する。第4実施形態において前述の各実施形態と共通する部分については同じ符号を付して重複した説明を省略する。
図8は、本発明の第4実施形態のかかる放熱構造の変形例を断面図にて示す。
第4実施形態に係る放熱構造10bは、第1実施形態と同様、バッテリー1内の放熱構造である。バッテリーセル20aの下端面は、第1実施形態におけるバッテリーセル20と異なり、筐体11の底部12に対して、鋭角θ(例えば、θ=1〜5度)だけ傾斜している。放熱体25は、1つの放熱部材28aと、1つの放熱部材28dと、放熱部材28aと放熱部材28dとの間に配置される1つずつの放熱部材28b,28cと、を連結している。放熱部材28dは、放熱部材28aよりわずかに高さの小さな放熱部材であり、貫通路32を備えている。放熱部材28bおよび放熱部材28cは、略同一の高さを有していて、放熱部材28dより高さの小さな放熱部材である。放熱部材28cは、放熱部材28bと異なり、貫通路32を備えている。
筐体11に蓋16を固定する前の状態では、バッテリーセル20aは、底部12上にて放熱部材28aと放熱部材28dのみで支えられている。この状態から蓋16を固定すると、矢印Mの方向からの圧縮を受け、放熱部材28aと放熱部材28dは、バッテリーセル20aによって押しつぶされていく。続いて、矢印Nで示すように、バッテリーセル20aは、放熱部材28bおよび放熱部材28cにも接触する。こうして、蓋16が筐体11に固定された状態では、バッテリーセル20aは、放熱部材28a,28b,28c,28dの全てに接触する。
以上のように、各バッテリーセル20aと底部12との間に、高さの大きな放熱部材28aと、放熱部材28aよりも高さが小さい放熱部材28dと、放熱部材28dよりも高さが小さい放熱部材28b,28cとを配置できるような放熱体25を構成すると、蓋16を筐体11に押圧固定する際に、バッテリーセル20aの下端面が傾斜していても、過度の力を蓋16や筐体11に与えることなく、バッテリー1を製造できる。したがって、バッテリー1が使用中に壊れ、あるいは長期間の使用においても蓋16や筐体11の劣化を低減できる。
(各実施形態の作用・効果)
以上説明したように、上述の各実施形態に係る放熱構造10,10a,10b(以後、「放熱構造10等」という。)は、熱源としてのバッテリーセル20,20aや電子部品50(以後、「バッテリーセル20等」という。)と、バッテリーセル20等からの熱を受け取る受熱体としての筐体11やヒートシンク52(以後、「筐体11等」という。)と、バッテリーセル20等と筐体11等との間に配置されバッテリーセル20等から筐体11等に放熱する放熱体25と、を備える。放熱体25は、複数の放熱部材28を連結して成る。複数の放熱部材28は、バッテリーセル20等と筐体11等(底部12と称しても良い)とを結ぶ方向の高さの異なる少なくとも2種の放熱部材28a,28b(または放熱部材28a,28c、放熱部材28a,28b,28c,28d)を含み、バッテリーセル20等と筐体11等との間に付与される圧縮力によって、バッテリーセル20等と筐体11等とに挟まれている。放熱部材28は、バッテリーセル20等からの熱を伝えるための熱伝導シート30と、熱伝導シート30の裏面に備えられ、熱伝導シート30に比べて変形容易なクッション部材31と、を備える。少なくとも2種の放熱部材28a,28b(または放熱部材28a,28c、放熱部材28a,28b,28c,28d)の内、高さの大きな放熱部材28aは、高さの小さな放熱部材28b(または放熱部材28c、放熱部材28b,28c)よりも高さの方向に潰れている。このような放熱構造10等は、バッテリーセル20等と筐体11等との間に圧縮力を付与して固定する際、同一の高さを持った放熱部材28を用いる場合と比べて、より小さな圧縮力で固定できる。
以上説明したように、上述の各実施形態に係る放熱構造10,10a,10b(以後、「放熱構造10等」という。)は、熱源としてのバッテリーセル20,20aや電子部品50(以後、「バッテリーセル20等」という。)と、バッテリーセル20等からの熱を受け取る受熱体としての筐体11やヒートシンク52(以後、「筐体11等」という。)と、バッテリーセル20等と筐体11等との間に配置されバッテリーセル20等から筐体11等に放熱する放熱体25と、を備える。放熱体25は、複数の放熱部材28を連結して成る。複数の放熱部材28は、バッテリーセル20等と筐体11等(底部12と称しても良い)とを結ぶ方向の高さの異なる少なくとも2種の放熱部材28a,28b(または放熱部材28a,28c、放熱部材28a,28b,28c,28d)を含み、バッテリーセル20等と筐体11等との間に付与される圧縮力によって、バッテリーセル20等と筐体11等とに挟まれている。放熱部材28は、バッテリーセル20等からの熱を伝えるための熱伝導シート30と、熱伝導シート30の裏面に備えられ、熱伝導シート30に比べて変形容易なクッション部材31と、を備える。少なくとも2種の放熱部材28a,28b(または放熱部材28a,28c、放熱部材28a,28b,28c,28d)の内、高さの大きな放熱部材28aは、高さの小さな放熱部材28b(または放熱部材28c、放熱部材28b,28c)よりも高さの方向に潰れている。このような放熱構造10等は、バッテリーセル20等と筐体11等との間に圧縮力を付与して固定する際、同一の高さを持った放熱部材28を用いる場合と比べて、より小さな圧縮力で固定できる。
少なくとも2種の放熱部材28a,28b(または放熱部材28a,28c、放熱部材28a,28b,28c,28d)の内、少なくとも高さの最も大きな放熱部材28aは、その長さ方向に貫通する貫通路32を備える。このため、放熱部材28aを、より圧縮変形させやすく、他の放熱部材28b(または放熱部材28c、放熱部材28b,28c,28d)とバッテリーセル20等とを接触させやすくなる。
また、放熱体25は、少なくとも2種の放熱部材28a,28b(または放熱部材28a,28c)の内、少なくとも2つの高さの大きな放熱部材28aの間に、高さの小さな放熱部材28b(または放熱部材28c)を配置している。このため、バッテリーセル20等を安定した状態で放熱体25の方向に向けて押圧できる。
また、熱伝導シート30は、クッション部材31の外表面をスパイラル状に巻回しながら進行する形状を有する。このため、バッテリーセル20等からの押圧を受けても、放熱部材28を変形させやすく、かつ破損しにくくできる。
また、一部のクッション部材31は、貫通路32を有する筒状クッション部材であって、熱伝導シート30は、筒状クッション部材の外側面をスパイラル状に巻回している。放熱部材28a,28c,28dのクッション部材31に貫通路32を形成すると、放熱部材28a,28c,28dを変形しやすくでき、また、放熱体25の軽量化にも寄与する。
また、一部のクッション部材31は、熱伝導シート30の裏面に沿ってスパイラル状に巻回しているスパイラル状クッション部材である。放熱体25は、その全体がスパイラル形状になっているので、バッテリーセル20等の種々のサイズに、より適応しやすい。クッション部材31もスパイラル状に切れているので、1回転ずつのスパイラルが概略独立しているかのような変形を起こすことができる。したがって、放熱体25は、局所的な変形の自由度を高くできる。加えて、放熱体25は、貫通路32のみならず、貫通路32から側面にも貫通するスパイラル状の貫通溝を備えているので、より軽量になる。
また、放熱体25は、複数本の放熱部材28をそれらの幅方向に並べた状態で連結する連結部材35を備える。連結部材35は、好ましくは、糸で構成されている。このため、各放熱部材28は自由に移動できない。さらに、連結部材35は、各放熱部材同士の間に、各放熱部材28の自由な移動をさらに規制するための撚り部37を備えている。このため、各放熱部材28の動きは、より制限される。この結果、バッテリーセル20等の下端面に接触する放熱部材の面積を一定に維持しやすい。
また、熱伝導シート30の表面に、当該表面に接触するバッテリーセル20等から当該表面への熱伝導性を高めるための熱伝導性オイルを有する。熱伝導シート30は、微視的に、隙間(孔あるいは凹部)を有する。通常、当該隙間には空気が存在し、熱伝導性に悪影響を及ぼす可能性が有る。熱伝導性オイルは、その隙間を埋めて、空気に代わって存在することになり、熱伝導シート30の熱伝導性を向上させる機能を有する。
また、熱伝導性オイルは、シリコーンオイルと、シリコーンオイルより熱伝導性が高く、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーとを含む。シリコーンオイルは、耐熱性、耐寒性、粘度安定性、熱伝導性に優れたオイルであるため、熱伝導シート30の表面に塗布して、バッテリーセル20等と熱伝導シート30との間に介在させる熱伝導性オイルとして特に好適である。また、熱伝導性オイルは、熱伝導性フィラーを含むため、熱伝導シート30の熱伝導性を高めることができる。
また、上述の実施形態に係るバッテリー1または電子機器2に代表される機器は、上述の放熱構造10等を備えているので、バッテリーセル20等と筐体11等との間に圧縮力を付与して固定する際、同一の高さを持った放熱部材28を用いる場合と比べて、より小さな圧縮力で固定できる。
(その他の実施形態)
上述のように、本発明の好適な各実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されることなく、種々変形して実施可能である。
上述のように、本発明の好適な各実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されることなく、種々変形して実施可能である。
熱源は、バッテリーセル20等のみならず、電子機器本体などの熱を発する対象物を全て含む。電子部品50は、キャパシタ、ICチップであっても良い。同様に、冷却部材15は、冷却用の水のみならず、有機溶剤、液体窒素、冷却用の気体であっても良い。また、放熱体25は、家電、発電装置等に配置されていても良い。
放熱部材28a,28b,28c,28dは、同じ長さ(Y軸方向の長さを意味する)を有していなくとも良い。放熱部材28a,28b,28c,28dは、円筒形状若しくは円柱形状以外に、角柱形状若しくは楕円柱形状でも良い。また、放熱部材28におけるスパイラル状のクッション部材31は、熱伝導シート30の幅と同一に限定されず、熱伝導シート30の幅に対して大きくても、あるいは小さくても良い。放熱部材28a,28b,28c,28dは、糸以外の連結部材で連結されていても良い。
また、上述の各実施形態の複数の構成要素は、互いに組み合わせ不可能な場合を除いて、自由に組み合わせ可能である。
本発明に係る放熱構造は、例えば、自動車用バッテリーの他、自動車、工業用ロボット、発電装置、PC、家庭用電化製品などの各種電子機器にも利用することができる。また、本発明に係るバッテリーは、自動車用のバッテリー以外に、家庭用の充放電可能なバッテリー、PC等の電子機器用のバッテリーにも利用できる。
1・・・バッテリー(機器の一例)、2・・・電子機器、10,10a,10b・・・放熱構造、11・・・筐体(受熱体の一例)、12・・・底部(受熱体の一例)、15・・・冷却部材、20,20a・・・バッテリーセル(熱源の一例)、25・・・放熱体、28,28a,28b,28c,28d・・・放熱部材、30・・・熱伝導シート、31・・・クッション部材(筒状クッション部材、スパイラル状クッション部材を含む)、32・・・貫通路、35・・・連結部材(例えば、糸)、50・・・電子部品(熱源の一例)、52・・・ヒートシンク(受熱体の一例)。
Claims (11)
- 熱源と、前記熱源からの熱を受け取る受熱体と、前記熱源と前記受熱体との間に配置され前記熱源から前記受熱体に放熱する放熱体と、を備える放熱構造であって、
前記放熱体は、複数の放熱部材を連結して成り、
複数の前記放熱部材は、前記熱源と前記受熱体とを結ぶ方向の高さの異なる少なくとも2種の放熱部材を含み、前記熱源と前記受熱体との間に付与される圧縮力によって、前記熱源と前記受熱体との間に挟まれており、
前記放熱部材は、前記熱源からの熱を伝えるための熱伝導シートと、
前記熱伝導シートの裏面に備えられ、前記熱伝導シートに比べて変形容易なクッション部材と、を備え、
少なくとも2種の前記放熱部材の内、前記高さの大きな前記放熱部材は、前記高さの小さな前記放熱部材よりも前記高さの方向に潰れている放熱構造。 - 少なくとも2種の前記放熱部材の内、少なくとも前記高さの最も大きな前記放熱部材には、その長さ方向に貫通する貫通路を備える請求項1に記載の放熱構造。
- 前記放熱体は、少なくとも2種の前記放熱部材の内、少なくとも2つの前記高さの大きな前記放熱部材の間に、前記高さの小さな前記放熱部材を配置している請求項1または2に記載の放熱構造。
- 前記熱伝導シートは、前記クッション部材の外表面をスパイラル状に巻回しながら進行する形状を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の放熱構造。
- 前記クッション部材は、前記貫通路を有する筒状クッション部材であって、
前記熱伝導シートは、前記筒状クッション部材の外側面をスパイラル状に巻回している請求項4に記載の放熱構造。 - 前記クッション部材は、前記熱伝導シートの前記裏面に沿ってスパイラル状に巻回しているスパイラル状クッション部材である請求項4に記載の放熱構造。
- 複数の前記放熱部材を糸で連結している請求項1から6のいずれか1項に記載の放熱構造。
- 前記熱伝導シートの表面に、当該表面に接触する熱源から当該表面への熱伝導性を高めるための熱伝導性オイルを有する請求項1から7のいずれか1項に記載の放熱構造。
- 前記熱伝導性オイルは、シリコーンオイルと、前記シリコーンオイルより熱伝導性が高く、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーとを含む請求項8に記載の放熱構造。
- 請求項1から9のいずれか1項に記載の放熱構造を備える機器。
- 前記受熱体を、冷却機能を有する筐体とし、
前記熱源を、前記筐体内に備えられる1または2以上の熱源としてのバッテリーセルとし、
前記放熱体を前記バッテリーセルと前記筐体との間に配置し、
バッテリーの形態を有する請求項10に記載の機器。
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- 2019-02-25 JP JP2019031698A patent/JP2020136607A/ja active Pending
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