JP7254661B2 - 放熱構造体およびそれを備えるバッテリー - Google Patents

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Description

本発明は、放熱構造体およびそれを備えるバッテリーに関する。
自動車、航空機、船舶あるいは家庭用若しくは業務用電子機器の制御システムは、より高精度かつ複雑化してきており、それに伴って、回路基板上の小型電子部品の集積密度が増加の一途を辿っている。この結果、回路基板周辺の発熱による電子部品の故障や短寿命化を解決することが強く望まれている。
回路基板からの速やかな放熱を実現するには、従来から、回路基板自体を放熱性に優れた材料で構成し、ヒートシンクを取り付け、あるいは冷却ファンを駆動するといった手段を単一で若しくは複数組み合わせて行われている。これらの内、回路基板自体を放熱性に優れた材料、例えばダイヤモンド、窒化アルミニウム(AlN)、立方晶窒化ホウ素(cBN)等から構成する方法は、回路基板のコストを極めて高くしてしまう。また、冷却ファンの配置は、ファンという回転機器の故障、故障防止のためのメンテナンスの必要性や設置スペースの確保が難しいという問題を生じる。これに対して、放熱フィンは、熱伝導性の高い金属(例えば、アルミニウム)を用いた柱状あるいは平板状の突出部位を数多く形成することによって表面積を大きくして放熱性をより高めることのできる簡易な部材であるため、放熱部品として汎用的に用いられている(特許文献1を参照)。
ところで、現在、世界中で、地球環境への負荷軽減を目的として、従来からのガソリン車あるいはディーゼル車を徐々に電気自動車に転換しようとする動きが活発化している。特に、フランス、オランダ、ドイツをはじめとする欧州諸国の他、中国でも、電気自動車の普及が進んでいる。電気自動車の普及には、高性能バッテリーの開発の他、多数の充電スタンドの設置などが必要となる。特に、リチウム系の自動車用バッテリーの充放電機能を高めるための技術開発が重要である。上記自動車バッテリーは、摂氏60度以上の高温下では充放電の機能を十分に発揮できないことが良く知られている。このため、先に説明した回路基板と同様、バッテリーにおいても、放熱性を高めることが重要視されている。
バッテリーの速やかな放熱を実現するには、アルミニウム等の熱伝導性に優れた金属製の筐体に水冷パイプを配置し、当該筐体にバッテリーセルを多数配置し、バッテリーセルと筐体の底面との間に密着性のゴムシートを挟んだ構造が採用されている。このような構造のバッテリーでは、バッテリーセルは、ゴムシートを通じて筐体に伝熱して、水冷によって効果的に除熱される。
特開2008-243999
しかし、上述のような従来のバッテリーにおいて、ゴムシートは、アルミニウムやグラファイトと比べて熱伝導性が低いため、バッテリーセルから筐体に効率よく熱を移動させることが難しい。また、ゴムシートに代えてグラファイト等のスペーサを挟む方法も考えられるが、複数のバッテリーセルの下面が平らではなく段差を有することから、バッテリーセルとスペーサとの間に隙間が生じ、伝熱効率が低下する。かかる一例にもみられるように、バッテリーセルは種々の形態(段差等の凹凸あるいは非平滑の表面状態を含む)をとり得ることから、バッテリーセルの種々の形態に順応可能であって高い伝熱効率を実現することの要望が高まっている。さらに、一列に並んだ複数個のバッテリーセルの内、中央近傍のバッテリーセルが最も放熱し難く、列の端のバッテリーセルが最も放熱しやすい傾向がある。このため、列の中央に近いほど放熱を積極的に行い、部分的に高温となる状況を防ぎ、バッテリーセルの配置場所による温度差を軽減する必要がある。これは、バッテリーセルのみならず、回路基板、電子部品あるいは電子機器本体のような他の熱源にも通じる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、熱源の表面形態に順応可能であって、放熱効率に優れ、かつ複数の熱源間の温度差を軽減可能な放熱構造体、および当該放熱構造体を備えるバッテリーを提供することを目的とする。
(1)上記目的を達成するための一実施形態に係る放熱構造体は、熱源からの放熱を高めるための放熱部材を3本以上並べて連結した放熱構造体であって、
前記放熱部材は、前記熱源の表面形状または前記熱源からの押圧に合わせて変形容易なクッション部材と、前記クッション部材の表面の少なくとも一部を覆うと共に前記熱源と接触して前記熱源からの熱を伝導させる熱伝導シートと、を備え、
前記放熱部材の連結方向の両端よりも当該両端に挟まれた内部の方がより高い放熱性を有する。
(2)別の実施形態に係る放熱構造体は、好ましくは、前記放熱構造体の中央の位置に位置する1または2以上の前記放熱部材としての第1放熱部材と、前記第1放熱部材の両側にそれぞれ位置する1または2以上の前記放熱部材である第2放熱部材と、を少なくとも備え、
前記第1放熱部材を構成する前記熱伝導シートとしての第1熱伝導シートは、前記第2放熱部材を構成する前記熱伝導シートとしての第2熱伝導シートよりも高い放熱性を有している。
(3)別の実施形態に係る放熱構造体において、好ましくは、前記第1熱伝導シートの厚さは前記第2熱伝導シートの厚さよりも大きい。
(4)別の実施形態に係る放熱構造体において、好ましくは、前記第1熱伝導シートおよび前記第2熱伝導シートは、シートの体積に対して50体積%以上を占めるグラファイトと、当該グラファイトより低熱伝導性の空孔若しくはフィラーとを含み、
前記第1熱伝導シート中のグラファイトの体積含有率は、前記第2熱伝導シート中のグラファイトの体積含有率よりも高い。
(5)別の実施形態に係る放熱構造体は、好ましくは、前記第1放熱部材を挟んで前記第2放熱部材のさらに両側にそれぞれ位置する1または2以上の前記放熱部材である第3放熱部材を備え、
前記第2熱伝導シートは、前記第3放熱部材を構成する前記熱伝導シートとしての第3熱伝導シートよりも高い放熱性を有している。
(6)別の実施形態に係る放熱構造体において、好ましくは、前記第2熱伝導シートの厚さは、前記第3熱伝導シートの厚さよりも大きい。
(7)別の実施形態に係る放熱構造体において、好ましくは、前記第2熱伝導シートおよび前記第3熱伝導シートは、シートの体積に対して50体積%以上を占めるグラファイトと、当該グラファイトより低熱伝導性の空孔若しくはフィラーとを含み、
前記第2熱伝導シート中のグラファイトの体積含有率は、前記第3熱伝導シート中のグラファイトの体積含有率よりも高い。
(8)別の実施形態に係る放熱構造体において、好ましくは、前記クッション部材は、長さ方向に貫通する第1貫通路を有し、前記熱伝導シートは、前記クッション部材の外側面をスパイラル状に巻回している。
(9)別の実施形態に係る放熱構造体において、好ましくは、前記放熱部材は、長さ方向に貫通する第2貫通路を有し、前記クッション部材と前記熱伝導シートとは、一体となってスパイラル状に巻回して前記第2貫通路を形成している。
(10)別の実施形態に係る放熱構造体は、好ましくは、複数本の前記放熱部材を並べた状態で連結する連結部材を備える。
(11)別の実施形態に係る放熱構造体において、好ましくは、前記連結部材は、糸で構成されている。
(12)別の実施形態に係る放熱構造体は、好ましくは、前記熱伝導シートの表面に、当該表面に接触する熱源から当該表面への熱伝導性を高めるための熱伝導性オイルを有する。
(13)別の実施形態に係る放熱構造体において、好ましくは、前記熱伝導性オイルは、前記放熱部材の連結方向の両端よりも当該両端に挟まれた内部の方により多い。
(14)上記目的を達成するための一実施形態に係るバッテリーは、冷却機能を有する筐体内に、熱源としてのバッテリーセルを複数個備えたバッテリーであって、前記バッテリーセルと前記筐体との間に、上述のいずれかの放熱構造体を備え、前記放熱構造体は、前記バッテリーセルと前記筐体との隙間の高さに対応して接触するように挟まれている。
本発明によれば、熱源の表面形態に順応可能であって、放熱効率に優れ、かつ複数の熱源間の温度差を軽減可能な放熱構造体、および当該放熱構造体を備えるバッテリーを提供できる。
図1は、第1実施形態に係る放熱構造体の斜視図を示す。 図2は、図1の放熱構造体の平面図を示す。 図3は、図1の放熱構造体の正面図および当該放熱構造体を構成している3種類の放熱部材の拡大正面図をそれぞれ示す。 図4は、図1の放熱構造体の製造方法の一部を説明するための図を示す。 図5は、図1の放熱構造体を構成する第1放熱部材、第2放熱部材および第3放熱部材の各種変形例の正面図を示す。 図6は、第2実施形態に係る放熱構造体の平面図(6A)および当該放熱構造体を構成している3種類の放熱部材の拡大正面図(6B)をそれぞれ示す。 図7は、図6の放熱構造体を構成する第1放熱部材、第2放熱部材および第3放熱部材の各種変形例の正面図(7A,7B)を示す。 図8は、図7の変形例とは異なる各種変形例の正面図(8A,8B,8C)を示す。 図9は、第3実施形態に係る放熱構造体を構成している3種類の放熱部材の拡大正面図をそれぞれ示す。 図10は、第4実施形態に係る放熱構造体を構成する放熱部材の構成および製造方法を説明する図を示す。 図11は、この実施形態に係るバッテリーを、放熱構造体の高さ方向(Z方向)に切断した断面図および当該断面図中の領域Dの拡大図をそれぞれ示す。 図12は、本発明の変形例(12A,12B)に係るバッテリーの主要部の断面図を示す。 図13は、第1変形例に係る放熱構造体の平面図(13A)および当該放熱構造体を備えるバッテリーの縦断面図(13B)をそれぞれ示す。
次に、本発明の各実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
1.放熱構造体
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る放熱構造体の斜視図を示す。図2は、図1の放熱構造体の平面図を示す。図3は、図1の放熱構造体の正面図および当該放熱構造体を構成している3種類の放熱部材の拡大正面図をそれぞれ示す。なお、当該拡大正面図では、放熱部材を連結する連結部材を省略している。
本明細書における放熱構造体は複数本の放熱部材を備える。本明細書および図面において、放熱部材の長さ方向を「Y方向」、当該長さ方向と直交して放熱部材を隣り合わせで並べている方向を「X方向」、放熱構造体の厚さ方向(X方向およびY方向の両方向に直交する方向)を「Z方向」と定義する。
以下の各実施形態に係る放熱構造体は、熱源からの放熱を高めるための放熱部材28を3本以上並べて連結した放熱構造体であって、放熱部材28は、熱源の表面形状または熱源からの押圧に合わせて変形容易なクッション部材45と、クッション部材45の表面の少なくとも一部を覆うと共に熱源と接触して熱源からの熱を伝導させる熱伝導シート40と、を備え、放熱部材28の連結方向の両端よりも当該両端に挟まれた内部の方がより高い放熱性を有する。以下、各実施形態について詳細に説明する。
この実施形態に係る放熱構造体1は、熱源からの放熱を高めるための放熱部材28をX方向に16本並べて連結している。放熱部材28の形状は、Y方向に長い長尺状の略円筒形状である。放熱部材28は、放熱構造体1の中央の位置(X方向の中央の位置)に位置する第1放熱部材28aと、第1放熱部材28aの両側にそれぞれ位置する第2放熱部材28bと、第1放熱部材28aを挟んで第2放熱部材28bのさらに両側にそれぞれ位置する第3放熱部材28cを備える。この実施形態では、第1放熱部材28aの本数は4本である。第2放熱部材28bは、第1放熱部材28aを挟むように片側に3本ずつ(合計6本)配置されている。第3放熱部材28cは、第1放熱部材28aおよび第2放熱部材28bの束を挟むように片側に3本ずつ(合計6本)配置されている。第1放熱部材、第2放熱部材および第3放熱部材を総称する場合には、「放熱部材」と称する。また、第1熱伝導シート、第2熱伝導シートおよび第3熱伝導シートを総称する場合には、「熱伝導シート」と称する。以後の実施形態でも同様である。
ただし、第1放熱部材28aの数は1~3本または5本以上でも良い。第2放熱部材28bの数は、1または2以上の第1放熱部材28aを挟むように片側に少なくとも1本ずつ(合計:少なくとも2本)であれば、片側3本ずつに限定されない。また、第3放熱部材28cの数は、第1放熱部材28aおよび第2放熱部材28bの束を挟むように片側に少なくとも1本ずつ(合計:少なくとも2本)であれば、片側3本ずつに限定されない。さらに、第1放熱部材28aを挟んで両側に配置されている第2放熱部材28bは、当該両側に同数ずつ配置されず、異なる数で配置されていても良い。例えば、第1放熱部材28aのX方向片側に1本、当該片側の反対側に2本、配置されていても良い。同様に、第1放熱部材28aおよび第2放熱部材28bの束を挟んで両側に配置されている第3放熱部材28cは、当該両側に同数ずつ配置されず、異なる数で配置されていても良い。例えば、第1放熱部材28aのX方向片側に1本、当該片側の反対側に2本、配置されていても良い。また、放熱構造体1は、第1放熱部材28aと第2放熱部材28bとを少なくとも備えていれば、第3放熱部材28cを備えていなくとも良い。また、放熱構造体1は、第3放熱部材28cよりも外側に、別の放熱部材(例えば、第4放熱部材、第5放熱部材)を追加して備えても良い。
放熱構造体1は、好ましくは、複数本の放熱部材28を並べた状態で連結する連結部材を備える。当該連結部材は、好ましくは糸30である。糸30は、放熱部材28の長さ方向3段に分けて、放熱部材の長さ方向両端に近い位置および中央に近い位置で、複数の放熱部材28を連結している。ただし、糸30によって放熱部材28同士を連結する位置は、少なくとも1箇所であれば、2箇所あるいは4箇所以上でも良い。また、糸30は、好ましくは、放熱部材28同士の間に、撚りが加えられた撚り部35を備える。撚り部35は、放熱部材28同士の連結方向(X方向)に自由に移動するのを防止し、撚り部35の間に存在する輪の中で連結方向に移動できるように規制するのに寄与する。ただし、撚り部35は、必須の構成要素ではなく、備えられていなくとも良い。
放熱部材28は、熱源の表面形状または熱源からの押圧に合わせて変形容易なクッション部材45と、クッション部材45の表面の少なくとも一部(この実施形態では外側面)を覆うと共に熱源と接触して熱源からの熱を伝導させる熱伝導シート40と、を備える。クッション部材45は、長さ方向に貫通する第1貫通路46を有する。熱伝導シート40は、クッション部材45の外側面をスパイラル状に巻回している。より具体的には、熱伝導シート40は、クッション部材45の外側面を巻きながら、クッション部材45の長さ方向に進行するように、クッション部材45を被覆している。熱伝導シート40をスパイラル形状とすると、クッション部材45がその長さ方向(Y方向)、連結方向(X方向)および放熱構造体1の厚さ方向(Z方向)に伸縮変形したときに、熱伝導シート40も当該伸縮変形に追随しやすく、割れ、クラックの発生などに代表される破損を低減できる。
放熱部材28同士の隙間は、放熱部材28が放熱構造体1の厚さ方向(Z方向)に圧縮を受けた際に、放熱部材28の連結方向(X方向)に突出変形できるような大きさである。
次に、放熱構造体1を構成する熱伝導シート40、クッション部材45、連結部材としての糸30、その他について詳述する。
(1)熱伝導シート
熱伝導シート40は、好ましくは炭素を含む、より好ましくは炭素を90質量%以上含むシートであり、さらにより好ましくは炭素フィラーと樹脂とを含むシートである。樹脂を合成繊維とすることもでき、その場合には、好適に、アラミド繊維を用いることもできる。本願でいう「炭素」は、グラファイト、グラファイトより結晶性の低いカーボンブラック、膨張黒鉛、ダイヤモンド、ダイヤモンドに近い構造を持つダイヤモンドライクカーボン等の炭素(元素記号:C)から成る如何なる構造のものも含むように広義に解釈される。熱伝導シート40は、この実施形態では、樹脂に、グラファイト繊維やカーボン粒子を配合分散した材料を硬化させた薄いシートとすることができる。熱伝導シート40は、メッシュ状に編んだカーボンファイバーであっても良く、さらには混紡してあっても混編みしてあっても良い。なお、グラファイト繊維、カーボン粒子あるいはカーボンファイバーといった各種フィラーも、すべて、炭素フィラーの概念に含まれる。
熱伝導シート40に樹脂を含む場合には、当該樹脂が熱伝導シート40の全質量に対して50質量%を超えていても、あるいは50質量%以下であっても良い。すなわち、熱伝導シート40は、熱伝導に大きな支障が無い限り、樹脂を主材とするか否かを問わない。樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂を好適に使用できる。熱可塑性樹脂としては、熱源からの熱を伝導する際に溶融しない程度の高融点を備える樹脂が好ましく、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、芳香族ポリアミド(アラミド繊維)等を好適に挙げることができる。樹脂は、熱伝導シート40の成形前の状態において、炭素フィラーの隙間に、例えば粒子状あるいは繊維状に分散している。熱伝導シート40は、炭素フィラー、樹脂の他、熱伝導をより高めるためのフィラーとして、AlN、Alあるいはダイヤモンドを分散していても良い。また、樹脂に代えて、樹脂よりも柔軟なエラストマーを用いても良い。熱伝導シート40は、また、上述のような炭素に代えて若しくは炭素と共に、金属および/またはセラミックスを含むシートとすることができる。金属としては、アルミニウム、銅、それらの内の少なくとも1つを含む合金などの熱伝導性の比較的高いものを選択できる。また、セラミックスとしては、AlN、cBN、hBN、Alなどの熱伝導性の比較的高いものを選択できる。
熱伝導シート40は、導電性に優れるか否かは問わない。熱伝導シート40の熱伝導率は、好ましくは10W/mK以上である。この実施形態では、熱伝導シート40は、好ましくは、グラファイト、アルミニウム、アルミニウム合金、銅あるいはステンレススチールの帯状の板であり、熱伝導性と導電性に優れる材料から成る。熱伝導シート40は、湾曲性(若しくは屈曲性)に優れるシートであるのが好ましく、その厚さに制約はないが、0.02~3mmが好ましく、0.03~0.5mmがより好ましい。ただし、熱伝導シート40の熱伝導率は、その厚さが増加するほど低下するため、シートの強度、可撓性および熱伝導性を総合的に考慮して、その厚さを決定するのが好ましい。
この実施形態において、第1放熱部材28aを構成する熱伝導シート40としての第1熱伝導シート40aは、第2放熱部材28bを構成する熱伝導シート40としての第2熱伝導シート40bよりも高い放熱性を有している。より具体的には、第1熱伝導シート40aの厚さ(ta)は、第2熱伝導シート40bの厚さ(tb)よりも大きい。また、第2熱伝導シート40bは、第3放熱部材28cを構成する熱伝導シート40としての第3熱伝導シート40cよりも高い放熱性を有している。より具体的には、第2熱伝導シート40bの厚さ(tb)は、第3熱伝導シート40cの厚さ(tc)よりも大きい。各厚さ(ta,tb,tc)をta>tb>tcとすれば、熱の輸送量(放熱性)の最も大きい放熱部材28を第1放熱部材28a、次に放熱性の大きな放熱部材28を第2放熱部材28b、その次に放熱性の大きな放熱部材28を第3放熱部材28cとする放熱構造体1を構成できる。すなわち、放熱構造体1は、放熱部材28を連結する方向の略中央若しくは中央近傍の放熱性を最も高く、当該中央から両側に向かって放熱性が低くなる。
この実施形態では、各種の熱伝導シート40は、シートの体積に対して50体積%以上、好ましくは80体積%以上、より好ましくは90体積%以上を占めるグラファイトを含む。グラファイトに代えて、非晶質炭素; アルミニウムおよび銅に代表される金属; アルミナおよび窒化アルミニウムに代表されるセラミックスを用いた熱伝導シート40を用いても良い。この実施形態では、第1熱伝導シート40a、第2熱伝導シート40bおよび第3熱伝導シート40cは、好ましくは、同じ材料から構成されている。このため、第1熱伝導シート40a、第2熱伝導シート40bおよび第3熱伝導シート40cの各放熱性は、それぞれのシートの厚さに大きく依存する。ただし、後述するように、第1熱伝導シート40a、第2熱伝導シート40bおよび第3熱伝導シート40cの構成材料を相互に変えて、厚さに依らず放熱性を変えるようにしても良い。
(2)クッション部材
クッション部材45の重要な機能は、変形容易性と回復力である。回復力は、弾性変形性による。変形容易性は、放熱部材28と接する熱源の形状に追従するために必要な特性であり、特にリチウムイオンバッテリーなどの半固形物、液体的性状も持つ内容物などを変形しやすいパッケージに収めてあるようなバッテリーセルの場合には、設計寸法的にも不定形または寸法精度があげられない場合が多い。このため、クッション部材45の変形容易性や追従力を保持するための回復力の保持は重要である。
クッション部材45は、この実施形態では第1貫通路46を備える筒状クッション部材である。第1貫通路46は、この実施形態では、どの放熱部材28でも同一径にて構成されているが、第1放熱部材28a、第2放熱部材28bおよび第3放熱部材28cに応じて異なる径を有していても良い。例えば、放熱部材28の径を同一にして、かつクッション部材45の厚さを放熱部材28に共通にする場合には、第1貫通路46の厚さは、第1放熱部材28aにおいて最も小さく、第3放熱部材28cにおいて最も大きくなる。
クッション部材45は、熱源の下端部が平坦でない場合でも、熱伝導シート40と当該下端部との接触を良好にする。さらに、第1貫通路46は、クッション部材45の変形を容易にし、加えて放熱構造体1の軽量化に寄与し、また、熱伝導シート40と熱源の下端部との接触を高める機能を有する。クッション部材45は、放熱構造体1の高さ方向両側の部材の間にあってクッション性を発揮させる機能の他に、熱伝導シート40に加わる荷重によって熱伝導シート40が破損等しないようにする保護部材としての機能も有する。この実施形態では、クッション部材45は、熱伝導シート40に比べて低熱伝導性の部材である。なお、この実施形態では、第1貫通路46は、断面円形状に形成されているが、第1貫通路46の断面形状は円に限定されず、例えば、多角形、楕円形、半円形、頂点が丸みを帯びた略多角形等であっても良い。また、第1貫通路46は、例えば、断面円形状が上下または左右に2つに分割された2つの断面半円形状の貫通路等、複数の貫通路から構成されていても良い。
クッション部材45は、好ましくは、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ニトリルゴム(NBR)あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)等の熱硬化性エラストマー; ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの複合物等を含むように構成される。クッション部材45は、熱伝導シート40を伝わる熱によって溶融あるいは分解等せずにその形態を維持できる程度の耐熱性の高い材料から構成されるのが好ましい。この実施形態では、クッション部材45は、より好ましくは、ウレタン系エラストマー中にシリコーンを含浸したもの、あるいはシリコーンゴムにより構成される。クッション部材45は、その熱伝導性を少しでも高めるために、ゴム中にAlN、cBN、hBN、Al、ダイヤモンドの粒子等に代表されるフィラーを分散して構成されていても良い。クッション部材45は、その内部に気泡を含むものの他、気泡を含まないものでも良い。例えば、クッション部材45は、多孔を有するスポンジ状のもの、あるいは孔を含まないソリッド状のものでも良い。「クッション部材」は、柔軟性に富み、熱源の表面に密着可能に弾性変形可能な部材を意味し、かかる意味では「ゴム状弾性体」と読み替えることもできる。さらに、クッション部材45の変形例としては、上記ゴム状弾性体ではなく、金属を用いて構成することもできる。例えば、クッション部材は、バネ鋼で構成することも可能である。さらに、クッション部材として、コイルバネを配置することも可能である。また、スパイラル状に巻いた金属をバネ鋼にしてクッション部材として熱伝導シート40の裏面に配置しても良い。
(3)連結部材
連結部材は、この実施形態では、糸30であるが、例えば、ゴムのように複数の放熱部材28の間に位置する部分が伸縮可能な材料で構成された部材でも良い。この実施形態において、糸30は、熱源からの放熱による温度上昇に耐え得る材料で構成されていることがより好ましい。より具体的には、糸30は、120℃程度の高温に耐え得る糸であって、天然繊維、合成繊維、カーボン繊維、金属繊維等の繊維からなる撚糸で構成されることが好ましい。
(4)その他
熱伝導性オイル
熱伝導シート40は、好ましくは、その表面、少なくとも熱源と接触する面に、熱伝導性オイルを備える。本願において、熱伝導性オイルの「オイル」は、非水溶性の常温(20~25℃の範囲の任意の温度)で液状若しくは半固形状の可燃物質をいう。「オイル」という文言に代え、「グリース」あるいは「ワックス」を用いることもできる。熱伝導性オイルは、熱源から熱伝導シート40に熱を伝える際に熱伝導の障害にならない性質のオイルである。熱伝導性オイルには、炭化水素系のオイル、シリコーンオイルを用いることができる。熱伝導性オイルは、好ましくは、シリコーンオイルと、シリコーンオイルより熱伝導性が高く、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーとを含む。熱伝導シート40は、微視的に、隙間(孔あるいは凹部)を有する。通常、当該隙間には空気が存在し、熱伝導性に悪影響を及ぼす可能性が有る。熱伝導性オイルは、その隙間を埋めて、空気に代わって存在することになり、熱伝導シート40の熱伝導性を向上させる機能を有する。
シリコーンオイルは、好ましくは、シロキサン結合が2000以下の直鎖構造の分子から成る。シリコーンオイルは、ストレートシリコーンオイルと、変性シリコーンオイルとに大別される。ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルを例示できる。変性シリコーンオイルとしては、反応性シリコーンオイル、非反応性シリコーンオイルを例示できる。反応性シリコーンオイルは、例えば、アミノ変性タイプ、エポキシ変性タイプ、カルボキシ変性タイプ、カルビノール変性タイプ、メタクリル変性タイプ、メルカプト変性タイプ、フェノール変性タイプ等の各種シリコーンオイルを含む。非反応性シリコーンオイルは、ポリエーテル変性タイプ、メチルスチリル変性タイプ、アルキル変性タイプ、高級脂肪酸エステル変性タイプ、親水性特殊変性タイプ、高級脂肪酸含有タイプ、フッ素変性タイプ等の各種シリコーンオイルを含む。シリコーンオイルは、耐熱性、耐寒性、粘度安定性、熱伝導性に優れたオイルであるため、熱伝導シート40の表面に塗布して、熱源と熱伝導シート40との間に介在させる熱伝導性オイルとして特に好適である。
熱伝導性オイルは、好ましくは、油分以外に、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーを含む。金属としては、金、銀、銅、アルミニウム、ベリリウム、タングステンなどを例示できる。セラミックスとしては、アルミナ、窒化アルミニウム、キュービック窒化ホウ素、ヘキサゴナル窒化ホウ素などを例示できる。炭素としては、ダイヤモンド、グラファイト、ダイヤモンドライクカーボン、アモルファスカーボン、カーボンナノチューブなどを例示できる。
熱伝導性オイルは、より好ましくは、熱伝導シート40の外表面全体に存在する。ただし、熱伝導性オイルは、熱伝導シート40の一部分に塗布されていても良い。熱伝導性オイルを熱伝導シート40に存在させる方法は、特に制約はなく、スプレーを用いた噴霧、刷毛等を用いた塗布、熱伝導性オイル中への熱伝導シート40の浸漬など、如何なる方法によるものでも良い。なお、熱伝導性オイルは、放熱構造体1にとって必須の構成ではなく、好適に備えることのできる追加的な構成である。これは、第2実施形態以降でも同様である。
次に、第1実施形態に係る放熱構造体1の製造方法について説明する。
図4は、図1の放熱構造体の製造方法の一部を説明するための図を示す。
まず、クッション部材45を成形する。次に、帯状の熱伝導シート40をクッション部材45の外側面にスパイラル状に巻く。このとき、好ましくは、クッション部材45が完全には硬化していない未硬化状態で、熱伝導シート40をクッション部材45の外側面に巻き、その後、加温によりクッション部材45を完全に硬化させる。次に、帯状の熱伝導シート40のクッション部材45の両端からはみ出した部分があればカットする。最後に、熱伝導シート40の表面に、熱伝導性オイルを塗布する。第1放熱部材28a、第2放熱部材28bおよび第3放熱部材28cを、このような方法にて製造することにより、熱伝導シート40の隙間に未硬化状態のクッション部材45が入り込んだ状態で硬化されるため、接着剤等を使用しなくともクッション部材45と熱伝導シート40とを強固に固定することができる。一方、クッション部材45を成形後、クッション部材45の外側面および帯状の熱伝導シート40の裏面の内の少なくも一方に接着剤を塗布して、熱伝導シート40をクッション部材45の外側面にスパイラル状に巻いても良い。
こうして出来上がった各放熱部材28は、クッション部材45の外側面よりも熱伝導シート40の厚さ分だけ突出した形態を有する。ただし、熱伝導シート40とクッション部材45とは、面一であっても良い。また、熱伝導性オイルは、熱伝導シート40のうち少なくとも熱源と接触する面に塗布されれば良い。熱伝導シート40のクッション部材45の両端からはみ出した部分をカットする工程および熱伝導性オイルを塗布する工程は、上述のタイミングで行うことに限定されず、少なくともクッション部材45に熱伝導シート40を巻いた後であれば、いつ行ってもよい。
放熱構造体1は、上述の製造方法により製造された複数の放熱部材28を、熱伝導シート40の巻回しながら進行する方向(放熱部材28の長さ方向)と直交する方向に並べた状態で、糸30で連結することにより製造される。放熱構造体1は、複数の放熱部材28を並べた状態で、手縫いで糸30を縫い付けることにより連結されても良い。
糸30は、ソーイングマシン等を用いて複数の放熱部材28を縫い付ける部材でも良い。糸30の縫い方は、特に限定されず、手縫い、本縫い、千鳥縫い、単環縫い、二重環縫い、縁かがり縫い、扁平縫い、安全縫い、オーバーロック等の如何なる縫い方でも良い。また、JIS L 0120の規定する表示記号によれば、好適な縫い方として、「101」、「209」、「301」、「304」、「401」、「406」、「407」、「410」、「501」、「502」、「503」、「504」、「505」、「509」、「512」、「514」、「602」および「605」の各種縫い目を構成する縫い方を例示できる。
図5は、図1の放熱構造体を構成する第1放熱部材、第2放熱部材および第3放熱部材の各種変形例の正面図を示す。
(5A)は、クッション部材45に第1貫通路46を備えていない例を示す。第1放熱部材28a、第2放熱部材28bおよび第3放熱部材28cにおいて第1貫通路46を備えていない点を除く形態は、図3に示す形態と共通する。クッション部材45が十分な柔軟性と弾性回復力を有しているならば、クッション部材45に第1貫通路46を必ずしも備えていなくとも良い。
(5B)は、クッション部材45を完全な円筒形状ではなく、長さ方向にスリット48を入れた断面C形状とした第1放熱部材28a、第2放熱部材28bおよび第3放熱部材28cの例を示す。第1放熱部材28a、第2放熱部材28bおよび第3放熱部材28cにおいてスリット48を備える点を除く形態は、図3に示す形態と共通する。クッション部材45にスリット48を入れると、クッション部材45がより変形しやすくなり、その結果、各種の放熱部材28の変形も容易になる。
(第2実施形態)
次に、放熱構造体の第2実施形態について説明する。
第2実施形態において、第1実施形態と共通する部分については重複した説明をせず、前述の第1実施形態における説明を適用する。
図6は、第2実施形態に係る放熱構造体の平面図(6A)および当該放熱構造体を構成している3種類の放熱部材の拡大正面図(6B)をそれぞれ示す。(6B)では、第1実施形態と同様、第1放熱部材の正面図を「A」、第2放熱部材の正面図を「B」、第3放熱部材の正面図を「C」で示す。
第2実施形態に係る放熱構造体1aと第1実施形態に係る放熱構造体1との異なる部分は、次の構成である。第1放熱部材28a、第2放熱部材28bおよび第3放熱部材28cを構成する熱伝導シート50は、第1実施形態における熱伝導シート40と異なり、スパイラル状にクッション部材45の外側面を巻回していない。熱伝導シート50は、1つの円筒状の部材である。
第1放熱部材28aを構成する第1熱伝導シート50aは、第2放熱部材28bを構成する第2熱伝導シート50bよりも高い放熱性を有している。また、第2熱伝導シート50bは、第3放熱部材28cを構成する第3熱伝導シート50cよりも高い放熱性を有している。このような放熱性の相違を実現するために、第1熱伝導シート50aの厚さ(ta)は、第2熱伝導シート50bの厚さ(tb)よりも大きくしている。また、第2熱伝導シート50bの厚さ(tb)は、第3熱伝導シート50cの厚さ(tc)よりも大きくしている。
図7は、図6の放熱構造体を構成する第1放熱部材、第2放熱部材および第3放熱部材の各種変形例の正面図(7A,7B)を示す。
(7A)は、クッション部材45に第1貫通路46を備えていない例を示す。第1放熱部材28a、第2放熱部材28bおよび第3放熱部材28cにおいて第1貫通路46を備えていない点を除く形態は、図6に示す形態と共通する。クッション部材45が十分な柔軟性と弾性回復力を有しているならば、クッション部材45に第1貫通路46を必ずしも備えていなくとも良い。
(7B)は、クッション部材45を完全な円筒形状ではなく、長さ方向にスリット48を入れた断面C形状とした第1放熱部材28a、第2放熱部材28bおよび第3放熱部材28cの例を示す。第1放熱部材28a、第2放熱部材28bおよび第3放熱部材28cにおいてスリット48を備える点を除く形態は、図6に示す形態と共通する。スリット48は第1貫通路46に通じている。クッション部材45にスリット48を入れると、クッション部材45がより変形しやすくなり、その結果、各種の放熱部材28の変形も容易になる。
図8は、図7の変形例とは異なる各種変形例の正面図(8A,8B,8C)を示す。
(8A)は、熱伝導シート55(第1熱伝導シート55a、第2熱伝導シート55bおよび第3熱伝導シート55c)が完全な円筒状でクッション部材45を覆っておらず、放熱部材28の長さ方向に沿うスリット56を有する状態でクッション部材45の外側面の大部分を覆っている例を示す。スリット56の幅は、放熱部材28が熱源の一部と冷却面とにZ方向から挟まれた状態において、熱伝導シート55が熱源の一部と冷却面との両方に接触するのを妨げない大きさである。熱伝導シート55にスリット56を入れると、放熱部材28が変形したときに、熱伝導シート55が変形しやすく、割れにくくなる。
(8B)は、熱伝導シート55にスリット56を有すると共に、クッション部材45に第1貫通路46を備えていない例を示す。クッション部材45が十分な柔軟性と弾性回復力を有しているならば、クッション部材45に第1貫通路46を必ずしも備えていなくとも良い。
(8C)は、熱伝導シート55にスリット56を有すると共に、クッション部材45にもスリット48を有する例を示す。スリット48は第1貫通路46に通じている。クッション部材45にスリット48を入れると、クッション部材45がより変形しやすくなり、その結果、各種の放熱部材28の変形も容易になる。なお、この例では、熱伝導シート55のスリット56は、クッション部材45のスリット48と同じ位置および同じ幅で設けられているが、異なる位置または異なる幅で設けられても良い。
(第3実施形態)
次に、放熱構造体の第3実施形態について説明する。
第3実施形態において、前述の各実施形態と共通する部分については重複した説明をせず、前述の各実施形態における説明を適用する。
図9は、第3実施形態に係る放熱構造体を構成している3種類の放熱部材の拡大正面図をそれぞれ示す。図9では、第1実施形態と同様、第1放熱部材の正面図を「A」、第2放熱部材の正面図を「B」、第3放熱部材の正面図を「C」で示す。また、図9は、各正面図における一部(Qa,Qb,Qc)の拡大図も示す。
第3実施形態において、第1放熱部材28aを構成する第1熱伝導シート58aは、第2放熱部材28bを構成する第2熱伝導シート58bよりも高い放熱性を有している。第2熱伝導シート58bは、第3放熱部材28cを構成する第3熱伝導シート58cよりも高い放熱性を有している。第1熱伝導シート58a、第2熱伝導シート58bおよび第3熱伝導シート58cの各厚さ(t)は同一である。第1熱伝導シート58a、第2熱伝導シート58bおよび第3熱伝導シート58cは、好ましくは、ともに、シートの体積に対して50体積%以上を占めるグラファイトと、当該グラファイトより低熱伝導性の空孔(V)とを含む。熱伝導シート58は、空孔(V)に代えてあるいは空孔(V)と共に、グラファイトより低熱伝導性のフィラーを備えても良い。
各放熱部材28の熱伝導シート58が同じ厚さ(t)であるにもかかわらず、放熱性を異にするのは、各種熱伝導シート58a,58b,58cの構成材料が相違するからである。一例では、第1熱伝導シート58a中のグラファイト(G)の体積含有率(例えば、99体積%)は、第2熱伝導シート58b中のグラファイト(G)の体積含有率(例えば92体積%)よりも高い。第2熱伝導シート58b中のグラファイト(G)の体積含有率(92体積%)は、第3熱伝導シート58c中のグラファイト(G)の体積含有率(例えば、75体積%)よりも高い。したがって、第1熱伝導シート58aの熱伝導率(TC)は第2熱伝導シート58bの熱伝導率(TC)より高い。また、第2熱伝導シート58bの熱伝導率(TC)は第3熱伝導シート58cの熱伝導率(TC)より高い。
なお、この実施形態では、各種熱伝導シート28の厚さ(t)を同一としているが、異なるようにしても良い。シートの厚さおよび構成材料の両方の作用により、第1熱伝導シート58aの放熱性を第2熱伝導シート58bの放熱性より高く、かつ第2熱伝導シート58bの放熱性を第3熱伝導シート58cの放熱性より高くしても良い。
また、熱伝導シート58中のグラファイト(G)の体積含有率は、シートの体積に対して好ましくは50体積%またはそれ以上、より好ましくは80体積%またはそれ以上、さらにより好ましくは90体積%またはそれ以上であるが、50体積%未満でも良い。熱伝導シート58中のグラファイト(G)の体積含有率は、50体積%未満であっても、グラファイト(G)が熱伝導シート58の中で最も高い体積含有率を占めるのが好ましい。この実施形態では、熱伝導シート58を構成する要素の中で最も熱伝導率の高い材料がグラファイト(G)である。ただし、グラファイトに代えて、アルミナあるいは窒化アルミニウムを、熱伝導シート58を構成する構成要素の中で最も熱伝導率の高い構成要素として用いても良い。
(第4実施形態)
次に、放熱構造体の第4実施形態について説明する。
第4実施形態において、前述の各実施形態と共通する部分については重複した説明をせず、前述の各実施形態における説明を適用する。
図10は、第4実施形態に係る放熱構造体を構成する放熱部材の構成および製造方法を説明する図を示す。
第4実施形態に係る放熱構造体を構成する各種放熱部材28(28a,28b,28c)は、長さ方向に貫通する第2貫通路66を有する。各種放熱部材28は、クッション部材65と熱伝導シート60とが積層された帯状の積層体61をスパイラル状に巻回して構成されている。すなわち、クッション部材65と熱伝導シート60とは、一体となってスパイラル状に巻回して第2貫通路66を形成している。クッション部材65と熱伝導シート60とは、両者65,60の間に何らの介在物もなく一体成形されたものでも良く、あるいは両者65,60の間に接着剤などの介在物を有するものでも良い。第1熱伝導シート60a、第2熱伝導シート60bおよび第3熱伝導シート60cは、それぞれ異なる厚さを有し、かつ同じ材料で構成されていても良い。また、第1熱伝導シート60a、第2熱伝導シート60bおよび第3熱伝導シート60cは、同じ厚さを有し、かつ異なる材料で構成されていても良い。さらに、第1熱伝導シート60a、第2熱伝導シート60bおよび第3熱伝導シート60cは、異なる厚さを有し、かつ異なる材料で構成されていても良い。最終的に、放熱性に関して、第1熱伝導シート60aが最も高く、次に第2熱伝導シート60bが高く、第3熱伝導シート60cが最も低ければ良い。
上述のようにスパイラル状のクッション部材65を備える放熱構造体の製造方法の一例は、次の通りである。
まず、略同等の幅を持つ熱伝導シート60およびクッション部材65の二層からなる積層体61を製造する。次に、熱伝導シート60の表面に、熱伝導性オイルを塗布する。そして、熱伝導性オイルが塗布された積層体61をスパイラル状(コイル状と称しても良い)に、一方向に進行するように巻回する。こうして、積層体61をスパイラル状に巻回した細長い形状の放熱部材28が完成する。なお、熱伝導性オイルは、積層体61を製造する前に熱伝導シート40上に塗布しても良いし、最後に熱伝導シート60上に塗布しても良い。また、積層体61は、好ましくは、クッション部材65が完全には硬化していない未硬化状態で、熱伝導シート60をクッション部材65に積層し、その後、加温によりクッション部材65を完全に硬化させて形成されても良い。
放熱構造体は、複数の放熱部材28を、熱伝導シート60の巻回しながら進行する方向(放熱部材28の長さ方向)と直交する方向に並べた状態で、連結部材で連結することにより製造される。なお、複数の放熱部材28を連結部材で連結する方法は、第1実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
放熱部材28は、その長さ方向に貫通する第2貫通路66を備えているが、第1実施形態に係る放熱部材28と異なり、放熱部材28の外側面方向にも貫通している。この実施形態に係る放熱部材28は、スパイラル状であるため、第1実施形態の放熱部材28に比べて、放熱部材28の長さ方向に伸縮容易である。
2.バッテリー
次に、本発明のバッテリーの実施形態について説明する。
図11は、この実施形態に係るバッテリーを、放熱構造体の高さ方向(Z方向)に切断した断面図および当該断面図中の領域Dの拡大図をそれぞれ示す。
本願では、特筆しない限り、「断面」あるいは「縦断面」とは、バッテリー100の筐体111の内部114における上方開口面から底部112へと垂直に切断する方向の断面を意味する。また、「上」は筐体111の開口面の方向を、「下」は筐体111の底部112の方向を、それぞれ意味する。
バッテリー100は、冷却部材115を接触させる筐体111内に複数のバッテリーセル120(熱源の一例)を備えた構造を有する。放熱構造体1または放熱構造体1a(「放熱構造体1,1a」という。)は、好ましくは、バッテリーセル120の冷却部材115に近い側の端部(下端部)と冷却部材115に近い側の筐体111の一部(底部112)との間に備えられている。ここでは、放熱構造体1,1aは、8個のバッテリーセル120を載置しているが、放熱構造体1,1aに接するバッテリーセル120の個数は8個に限定されない。また、バッテリー100に備えられる放熱構造体1,1aを構成する放熱部材28は、ここでは16本である。しかし、放熱部材28の個数は、16本に限定されない。放熱部材28の数は、1本の第1放熱部材28aと、その両側を挟む2本の第2放熱部材28bとの合計3本を最小個数とする。このため、放熱部材28の数は、16本に限定されず、3~15本、あるいは17本以上であっても良い。
次に、バッテリー100の構成について、より詳しく説明する。
この実施形態において、バッテリー100は、例えば、電気自動車用のバッテリーであって、多数のバッテリーセル(単に、セルと称しても良い。)120を備える。バッテリー100は、一方に開口する有底型の筐体111を備える。筐体111の上方開口面は、閉鎖されていても良い。筐体111は、好ましくは、アルミニウム若しくはアルミニウム基合金から成る。バッテリーセル120は、筐体111の内部114に配置される。バッテリーセル120の上方には、電極が突出して設けられている。複数のバッテリーセル120は、好ましくは、筐体111内において、その両側からネジ等を利用して圧縮する方向に力を与えられて、互いに密着するようになっている(不図示)。筐体111の底部112には、冷却部材115の一例である冷却水を流すために、1または複数の水冷パイプ113が備えられている。冷却部材は、冷却媒体あるいは冷却剤と称しても良い。バッテリーセル120は、底部112との間に、放熱構造体1,1aを挟むようにして筐体111内に配置されている。このような構造のバッテリー100では、バッテリーセル120は、放熱構造体1,1aを通じて筐体111に伝熱して、水冷によって効果的に除熱される。なお、冷却部材115は、冷却水に限定されず、液体窒素、エタノール等の有機溶剤も含むように解釈される。冷却部材115は、冷却に用いられる状況下にて、液体であるとは限らず、気体若しくは固体でも良い。
複数のバッテリーセル120の下端面(すなわち、放熱構造体1,1aと接する側の面)は、完全な平面とは限らず、むしろ凹凸を有する面である。放熱部材28は、バッテリーセル120と底部112との隙間の大きさに対応できるように、柔軟で、かつ弾性変形可能に構成されている。前述のクッション部材45,65は、放熱部材28の上記変形容易な特性に寄与している。このように、バッテリー100は、冷却機能を有する筐体111内に、熱源としてのバッテリーセル120を複数個備えたバッテリーであって、バッテリーセル120と筐体111との間に、上述のいずれかの放熱構造体1,1aを備えている。放熱構造体1,1aは、バッテリーセル120と筐体111との隙間の高さに対応して接触するように挟まれている。
バッテリー1内の複数のバッテリーセル120は、充電時または放電時に、60℃またはそれ以上の温度になることがある。しかも、複数個のバッテリー120が列をなして配置されると、その列の中央若しくは中央に近い位置にあるバッテリーセル120は、最も放熱困難な環境となりやすい。このため、図11において、バッテリーセル120に重ねて模式的に図示したように、8個のバッテリーセル120の温度分布は、当該バッテリーセル120から構成される列のほぼ中央のバッテリーセル120が最も高温となるような温度分布となる(曲線Lを参照)。なお、曲線Lでは、上方ほど高温である。
このため、この実施形態では、8個のバッテリーセル120の内、列中央の2個のバッテリーセル120の直下に、放熱部材28の中でも最も放熱性の高い第1放熱部材28a(図中、Aで示す放熱部材)が4本配置されている。列中央の2個のバッテリーセル120の両側に1個ずつ位置するバッテリーセル120の直下には、第1放熱部材28aの次に放熱性の高い第2放熱部材28b(図中、Bで示す放熱部材)が片側2本ずつ配置されている。また、列中央の4個のバッテリーセル120の両側に1個ずつ位置するバッテリーセル120の直下には、1本の第2放熱部材28b(図中、Bで示す放熱部材)と最も放熱性の低い1本の第3放熱部材28c(図中、Cで示す放熱部材)が隣接して片側2本ずつ配置されている。さらに、列の両端に1個ずつ位置するバッテリーセル120の直下には、2本の第3放熱部材28c(図中、Cで示す放熱部材)が片側2本ずつ配置されている。このように、放熱構造体1,1aは、「CCCBBBAAAABBBCCC」の順に16本の放熱部材28を連結した形態で、8個のバッテリーセル120の直下と底部112の内底面との間に配置されている。
図12は、本発明の変形例(12A,12B)に係るバッテリーの主要部の断面図を示す。
(12A)は、1個のバッテリーセル120の直下に1本の放熱部材28が配置されたバッテリー100の例を示す。放熱構造体1,1aは、「CBBAABBC」の順に放熱部材28を配置したものである。より具体的には、8個のバッテリーセル120の内、列中央の2個のバッテリーセル120の直下に、第1放熱部材28a(図中、Aで示す放熱部材)が2本配置されている。また、列中央の2個のバッテリーセル120の両側に2個ずつ位置するバッテリーセル120の直下には、第2放熱部材28b(図中、Bで示す放熱部材)が片側2本ずつ配置されている。さらに、列の両端に1個ずつ位置するバッテリーセル120の直下には、第3放熱部材28c(図中、Cで示す放熱部材)が片側1本ずつ配置されている。
(12B)は、1個のバッテリーセル120の直下に3本の放熱部材28が配置されたバッテリー100の例を示す。放熱構造体1,1aは、「CCCBBBBBBAAAAAABBBBBBCCC」の順に放熱部材28を配置したものである。より具体的には、8個のバッテリーセル120の内、列中央の2個のバッテリーセル120の直下に、第1放熱部材28a(図中、Aで示す放熱部材)が6本配置されている。また、列中央の2個のバッテリーセル120の両側に2個ずつ位置するバッテリーセル120の直下には、第2放熱部材28b(図中、Bで示す放熱部材)が片側6本ずつ配置されている。さらに、列の両端に1個ずつ位置するバッテリーセル120の直下には、第3放熱部材28c(図中、Cで示す放熱部材)が片側3本ずつ配置されている。
このように、バッテリーセル120の直下に配置される放熱部材28を1本、あるいは3本とすることも可能である。中央のバッテリーセル120の直下に最も放熱性の高い第1放熱部材28aを配置して、その両側に第1放熱部材28aに比べて放熱性の低い第2放熱部材28bおよび第3放熱部材28cを配置することによって、複数のバッテリーセル120の温度差を低減できる。また、列の中央の位置するバッテリーセル120が異常に高温になるのを防止できる。
3.その他の実施形態
上述のように、本発明の好適な各実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されることなく、種々変形して実施可能である。
(1)第1変形例
図13は、第1変形例に係る放熱構造体の平面図(13A)および当該放熱構造体を備えるバッテリーの縦断面図(13B)をそれぞれ示す。
第1変形例に係る放熱構造体1bは、16本の放熱部材28を糸30にて連結した構造を有する。放熱構造体1bにおいて、放熱部材28の連結方向(すなわち、X方向)の両端よりも当該両端に挟まれた内部の方がより高い放熱性を有する。このような特性を実現できるように、放熱構造体1bの両端から内部に向かって3本ずつの放熱部材28を間隔dで連結している。また、放熱構造体1bは、間隔dで連結した領域より内方に向かって2本ずつの放熱部材28を間隔cで連結している。さらに、放熱構造体1bは、間隔cで連結した領域より内方に向かって2本ずつの放熱部材28を間隔bで連結している。また、放熱構造体1bは、間隔bで連結した領域より内方に2本の放熱部材28を間隔aで連結している。ここで、近接する2本の放熱部材28の間隔a,b,c,dは、a<b<c<dの関係にある。このように、放熱構造体1bの両端よりもその両端に挟まれた内部の領域の放熱部材28をより狭い間隔で配置することによって、配列された複数のバッテリーセル120の両端よりもその両端に挟まれた内部の領域からの放熱性をより高めることができる。
第1変形例では、16本の放熱部材28を端から、「ddccbbaaabbccdd」の順に間隔をおいて連結されている。しかし、これらの間隔は、4種に限定されず、2種、3種または5種以上であっても良い。間隔aにて配置されている放熱部材28は、好ましくは、放熱構造体1bにおける放熱部材28の連結方向の略中央に配置されている。しかし、間隔aにて配置されている放熱部材28を前記中央から端側にずれた位置に配置することもできる。また、放熱部材28は、全て同じ熱伝導シート40を備えていなくても良い。間隔aで配置される放熱部材28を構成する熱伝導シート40を第1熱伝導シート40aとし、その外側にて間隔bで配置される放熱部材28を構成する熱伝導シートを第2熱伝導シート40bとしても良い。さらに、間隔bで配置される放熱部材28の外側にて間隔cで配置される放熱部材28を構成する熱伝導シートを第3熱伝導シート40cとしても良い。また、間隔cで配置される放熱部材28の外側にて間隔dで配置される放熱部材28を構成する熱伝導シートも第3熱伝導シート40cとしても良い。
(2)第2変形例
前述の各実施形態に係る放熱構造体1,1aおよび放熱構造体1b(「放熱構造体1等」という。)の内のいずれの形態においても、熱伝導性オイルの塗布量を変えることが可能である。具体的には、放熱構造体1等において、好ましくは、熱伝導性オイルは、放熱部材28の連結方向の両端よりも当該両端に挟まれた内部の方により多くすることが可能である。例えば、第1変形例に係る放熱構造体1bを例に挙げると、間隔aで配置された放熱部材28、その両外側の間隔bで配置された放熱部材28、その両外側の間隔cで配置された放熱部材28、その両外側の間隔dで配置された放熱部材28の順に、熱伝導性オイルを少なくしていくことが可能である。なお、熱伝導性オイルを少なくすることは、熱伝導性オイルを全く塗布しない場合も含むように解釈される。
先述の各実施形態では、バッテリーセル120を縦にしてその下端に放熱構造体1等を接触せしめている状況について説明したが、バッテリーセル120の配置形態は、これに限定されない。バッテリーセル120の側面を放熱構造体1等の各放熱部材28に接触させるように、バッテリーセル120を配置しても良い。バッテリーセル120は、充電および放電の際に温度上昇する。バッテリーセル120の容器自体が柔軟性に富む材料にて形成されていると、バッテリーセル120の特に側面が膨らむ可能性がある。そのような場合でも、放熱構造体1等を構成している各放熱部材28を配置しておけば、放熱部材28とバッテリーセル120との密着性を高めることができる。この結果、バッテリーセル120の充放電時に、バッテリーセル120からの放熱を促進できる。
熱源は、バッテリーセル120のみならず、回路基板、回路基板上の電子部品、電子機器本体などの熱を発する対象物を全て含む。例えば、熱源は、キャパシタおよびICチップ等の電子部品であっても良い。同様に、冷却部材115は、冷却用の水のみならず、有機溶剤、液体窒素、冷却用の気体であっても良い。また、放熱構造体1等は、バッテリー100以外の構造物、例えば、電子機器、家電、発電装置等に配置されていても良い。
複数の放熱部材28は、同じ長さを有していなくとも良い。放熱部材28は、円筒形状若しくは円柱形状以外に、角柱形状若しくは楕円柱形状でも良い。また、放熱部材28におけるスパイラル状のクッション部材65は、熱伝導シート60の幅と同一に限定されず、熱伝導シート60の幅に対して大きくても、あるいは小さくても良い。また、複数の放熱部材28は、糸以外の連結部材で連結されていても良い。放熱構造体1等は、第1放熱部材28aの両側を第3放熱部材28cで挟んだ放熱部材28の束を、さらに1または2以上の第N放熱部材(N=4以上)にて挟んだ構造を有していても良い。ここで、第3熱伝導シートは、第N放熱部材を構成している第N熱伝導シートよりも放熱性に優れている。
また、上述の各実施形態の複数の構成要素は、互いに組み合わせ不可能な場合を除いて、自由に組み合わせ可能である。
本発明に係る放熱構造体は、例えば、自動車用バッテリーの他、自動車、工業用ロボット、発電装置、PC、家庭用電化製品などの各種電子機器にも利用することができる。また、本発明に係るバッテリーは、自動車用のバッテリー以外に、家庭用の充放電可能なバッテリー、PC等の電子機器用のバッテリーにも利用できる。
1,1a,1b・・・放熱構造体、28・・・放熱部材、28a・・・第1放熱部材(放熱部材28に属する)、28b・・・第2放熱部材(放熱部材28に属する)、28c・・・第3放熱部材(放熱部材28に属する)、30・・・糸(連結部材の一例)、35・・・撚り部、40・・・熱伝導シート、40a・・・第1熱伝導シート(熱伝導シート40の一例)、40b・・・第2熱伝導シート(熱伝導シート40の一例)、40c・・・第3熱伝導シート(熱伝導シート40の一例)、45・・・クッション部材、46・・・第1貫通路、50・・・熱伝導シート、50a・・・第1熱伝導シート(熱伝導シート50の一例)、50b・・・第2熱伝導シート(熱伝導シート50の一例)、50c・・・第3熱伝導シート(熱伝導シート50の一例)、55・・・熱伝導シート、55a・・・第1熱伝導シート(熱伝導シート55の一例)、55b・・・第2熱伝導シート(熱伝導シート55の一例)、55c・・・第3熱伝導シート(熱伝導シート55の一例)、58・・・熱伝導シート、58a・・・第1熱伝導シート(熱伝導シート58の一例)、58b・・・第2熱伝導シート(熱伝導シート58の一例)、58c・・・第3熱伝導シート(熱伝導シート58の一例)、60・・・熱伝導シート、60a・・・第1熱伝導シート(熱伝導シート60の一例)、60b・・・第2熱伝導シート(熱伝導シート60の一例)、60c・・・第3熱伝導シート(熱伝導シート60の一例)、61・・・積層体、65・・・クッション部材、66・・・第2貫通路、100・・・バッテリー、111・・・筐体、112・・・底部、120・・・バッテリーセル(熱源の一例)、G・・・グラファイト、V・・・空孔。

Claims (14)

  1. 熱源からの放熱を高めるための放熱部材を3本以上並べて連結した放熱構造体であって、
    前記放熱部材は、前記熱源の表面形状または前記熱源からの押圧に合わせて変形容易なクッション部材と、前記クッション部材の表面の少なくとも一部を覆うと共に前記熱源と接触して前記熱源からの熱を伝導させる熱伝導シートと、を備え、
    前記放熱部材の連結方向の両端よりも当該両端に挟まれた内部の方がより高い放熱性を有することを特徴とする放熱構造体。
  2. 前記放熱構造体の中央の位置に位置する1または2以上の前記放熱部材としての第1放熱部材と、
    前記第1放熱部材の両側にそれぞれ位置する1または2以上の前記放熱部材である第2放熱部材と、
    を少なくとも備え、
    前記第1放熱部材を構成する前記熱伝導シートとしての第1熱伝導シートは、前記第2放熱部材を構成する前記熱伝導シートとしての第2熱伝導シートよりも高い放熱性を有していることを特徴とする請求項1に記載の放熱構造体。
  3. 前記第1熱伝導シートの厚さは、前記第2熱伝導シートの厚さよりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の放熱構造体。
  4. 前記第1熱伝導シートおよび前記第2熱伝導シートは、シートの体積に対して50体積%以上を占めるグラファイトと、当該グラファイトより低熱伝導性の空孔若しくはフィラーとを含み、
    前記第1熱伝導シート中のグラファイトの体積含有率は、前記第2熱伝導シート中のグラファイトの体積含有率よりも高いことを特徴とする請求項2または3に記載の放熱構造体。
  5. 前記第1放熱部材を挟んで前記第2放熱部材のさらに両側にそれぞれ位置する1または2以上の前記放熱部材である第3放熱部材を備え、
    前記第2熱伝導シートは、前記第3放熱部材を構成する前記熱伝導シートとしての第3熱伝導シートよりも高い放熱性を有していることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の放熱構造体。
  6. 前記第2熱伝導シートの厚さは、前記第3熱伝導シートの厚さよりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の放熱構造体。
  7. 前記第2熱伝導シートおよび前記第3熱伝導シートは、シートの体積に対して50体積%以上を占めるグラファイトと、当該グラファイトより低熱伝導性の空孔若しくはフィラーとを含み、
    前記第2熱伝導シート中のグラファイトの体積含有率は、前記第3熱伝導シート中のグラファイトの体積含有率よりも高いことを特徴とする請求項5または6に記載の放熱構造体。
  8. 前記クッション部材は、長さ方向に貫通する第1貫通路を有し、
    前記熱伝導シートは、前記クッション部材の外側面をスパイラル状に巻回していることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の放熱構造体。
  9. 前記放熱部材は、長さ方向に貫通する第2貫通路を有し、
    前記クッション部材と前記熱伝導シートとは、一体となってスパイラル状に巻回して前記第2貫通路を形成していることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の放熱構造体。
  10. 複数本の前記放熱部材を並べた状態で連結する連結部材を備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の放熱構造体。
  11. 前記連結部材は、糸で構成されていることを特徴とする請求項10に記載の放熱構造体。
  12. 前記熱伝導シートの表面に、当該表面に接触する熱源から当該表面への熱伝導性を高めるための熱伝導性オイルを有することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の放熱構造体。
  13. 前記熱伝導性オイルは、前記放熱部材の連結方向の両端よりも当該両端に挟まれた内部の方により多いことを特徴とする請求項12に記載の放熱構造体。
  14. 冷却機能を有する筐体内に、熱源としてのバッテリーセルを複数個備えたバッテリーであって、前記バッテリーセルと前記筐体との間に、請求項1から13のいずれか1項に記載の放熱構造体を備え、
    前記放熱構造体が前記バッテリーセルと前記筐体との隙間の高さに対応して接触するように挟まれていることを特徴とするバッテリー。

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