JP2021111481A - 熱伝導体およびそれを備えるバッテリー - Google Patents

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Abstract

【課題】熱源の形態に順応可能であって、弾性変形性に富み、放熱効率に優れ、かつ複数の熱源各々における放熱性の均一化を高めることが可能な熱伝導体、およびそれを備えるバッテリーを提供する。【解決手段】本発明は、熱源からの熱を伝導可能な1または2以上の熱伝導部材10と、熱伝導部材10に挿通する屈曲可能な線材15と、を備え、熱伝導部材10は、線材15の少なくとも一部分を覆う中実状または中空状の部材であることを特徴とする熱伝導体1、およびそれを備えるバッテリーに関する。【選択図】図1

Description

本発明は、熱伝導体およびそれを備えるバッテリーに関する。
自動車、航空機、船舶あるいは家庭用若しくは業務用電子機器の制御システムは、より高精度かつ複雑化してきており、それに伴って、回路基板上の小型電子部品の集積密度が増加の一途を辿っている。この結果、回路基板周辺の発熱による電子部品の故障や短寿命化を解決することが強く望まれている。
回路基板からの速やかな放熱を実現するには、従来から、回路基板自体を放熱性に優れた材料で構成し、ヒートシンクを取り付け、あるいは冷却ファンを駆動するといった手段を単一で若しくは複数組み合わせて行われている。これらの内、回路基板自体を放熱性に優れた材料、例えばダイヤモンド、窒化アルミニウム(AlN)、立方晶窒化ホウ素(cBN)などから構成する方法は、回路基板のコストを極めて高くしてしまう。また、冷却ファンの配置は、ファンという回転機器の故障、故障防止のためのメンテナンスの必要性や設置スペースの確保が難しいという問題を生じる。これに対して、放熱フィンは、熱伝導性の高い金属(例えば、アルミニウム)を用いた柱状あるいは平板状の突出部位を数多く形成することによって表面積を大きくして放熱性をより高めることのできる簡易な部材であるため、放熱部品として汎用的に用いられている(特許文献1を参照)。
ところで、現在、世界中で、地球環境への負荷軽減を目的として、従来からのガソリン車あるいはディーゼル車を徐々に電気自動車に転換しようとする動きが活発化している。特に、フランス、オランダ、ドイツをはじめとする欧州諸国の他、中国でも、電気自動車の普及が進行してきている。電気自動車の普及には、高性能バッテリーの開発の他、多数の充電スタンドの設置などの課題がある。特に、リチウム系の自動車用バッテリーの充放電機能を高めるための技術開発が課題となっている。上記自動車バッテリーは、摂氏60度以上の高温下では充放電の機能を十分に発揮できないことが良く知られている。このため、先に説明した回路基板と同様、バッテリーにおいても、放熱性を高めることが重要視されている。
バッテリーの速やかな放熱を実現するには、アルミニウム等の熱伝導性に優れた金属製の筐体に水冷パイプを配置し、当該筐体にバッテリーセルを多数配置し、バッテリーセルと筐体の底面との間に密着性のゴムシートを挟んだ構造が採用されている。このような構造のバッテリーでは、バッテリーセルは、ゴムシートを通じて筐体に伝熱して、水冷によって効果的に除熱される。
特開2008−243999
しかし、上述のような従来のバッテリーにおいて、ゴムシートは、アルミニウムやグラファイトと比べて熱伝導性が低いため、バッテリーセルから筐体に効率よく熱を移動させることが難しい。また、ゴムシートに代えてグラファイト等のスペーサを挟む方法も考えられるが、複数のバッテリーセルの下面が平らではなく段差を有することから、バッテリーセルとスペーサとの間に隙間が生じ、伝熱効率が低下する。かかる一例にもみられるように、バッテリーセルは種々の形態(段差等の凹凸あるいは表面状態を含む)をとり得ることから、バッテリーセルの形態に順応可能であって高い伝熱効率を実現することの要望が高まっている。また、高い伝熱効率を実現するためには、多数のバッテリーセルの温度が均一となるように、多数のバッテリーセル各々から均一に放熱させることが望ましい。さらには、バッテリーセルを除去したときに元の形状に近い形状に戻る熱伝導体が望まれている。これは、バッテリーセルのみならず、回路基板、電子部品あるいは電子機器本体のような他の熱源にも通じる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、熱源の形態に順応可能であって、弾性変形性に富み、放熱効率に優れ、かつ複数の熱源各々における放熱性の均一化を高めることが可能な熱伝導体、およびそれを備えるバッテリーを提供することを目的とする。
(1)上記目的を達成するための一実施形態に係る熱伝導体は、熱源からの熱を伝導可能な1または2以上の熱伝導部材と、前記熱伝導部材に挿通する屈曲可能な線材と、を備え、前記熱伝導部材は、前記線材の少なくとも一部分を覆う中実状または中空状の部材である。
(2)別の実施形態に係る熱伝導体では、好ましくは、前記熱伝導部材は、その長さ方向に沿う中空部を備える筒状部材である。
(3)別の実施形態に係る熱伝導体では、好ましくは、前記熱伝導部材は、その外側面を覆う熱伝導シートを備える。
(4)別の実施形態に係る熱伝導体では、好ましくは、前記熱伝導部材は、前記熱伝導シートの内側に備えられる部材であって、前記熱伝導シートに比べて変形容易なクッション部材を備える。
(5)別の実施形態に係る熱伝導体では、好ましくは、前記熱伝導部材は、その長さ方向に沿う中空部を備え、前記クッション部材は、前記熱伝導部材の長さ方向に長い前記中空部を備える筒状クッション部材であり、前記熱伝導シートは、前記クッション部材の長さ方向に向かってスパイラル状に巻かれている。
(6)別の実施形態に係る熱伝導体では、好ましくは、前記熱伝導シートと前記クッション部材は、一体にてスパイラル状に一方向に進行する形態を有する。
(7)別の実施形態に係る熱伝導体では、好ましくは、前記熱伝導部材は、間隔を空けて複数備えられており、前記線材は、複数の前記熱伝導部材のうちの少なくとも2つの前記熱伝導部材がその長さ方向と直交する方向に並ぶように、少なくとも一部分が略U字形状に折り返された形態をとる。
(8)別の実施形態に係る熱伝導体では、好ましくは、前記熱伝導部材の表面に、当該表面に接触する前記熱源から当該表面への熱伝導性を高めるための熱伝導性オイルを有する。
(9)別の実施形態に係る熱伝導体では、好ましくは、前記熱伝導性オイルは、シリコーンオイルと、前記シリコーンオイルより熱伝導性が高く、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーとを含む。
(10)一実施形態に係るバッテリーは、冷却剤を流す構造を持つ筐体内に、1または2以上の熱源としてのバッテリーセルを備えたバッテリーであって、前記バッテリーセル同士の間および/または前記バッテリーセルと前記筐体との間に、上述のいずれか1つの熱伝導体を備える。
(11)別の実施形態に係るバッテリーでは、好ましくは、前記熱伝導部材は、その長さ方向に沿う中空部を備え、前記中空部に前記冷却剤を流す。
本発明によれば、熱源の形態に順応可能であって、弾性変形性に富み、放熱効率に優れ、かつ複数の熱源各々における放熱性の均一化を高めることが可能な熱伝導体、およびそれを備えるバッテリーを提供することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る熱伝導体の一部の斜視図を示す。 図2は、図1におけるA−A線断面図および当該断面図中の一部拡大図を示す。 図3は、本発明の第2実施形態に係る熱伝導体の斜視図を示す。 図4は、本発明の第3実施形態に係る熱伝導体の斜視図を示す。 図5は、熱伝導体を構成している熱伝導部材の製造工程を説明するための図を示す。 図6は、熱伝導体の変形例の好適な製造工程を説明するための図を示す。 図7は、本発明の第1実施形態に係るバッテリーの縦断面図および当該断面図中の一部拡大図を示す。 図8は、本発明の第2実施形態に係るバッテリーの縦断面図および当該断面図中の一部拡大図を示す。
次に、本発明の各実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
1.熱伝導体
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る熱伝導体の一部の斜視図を示す。図2は、図1におけるA−A線断面図および当該断面図中の一部拡大図を示す。
(1)概略構成
第1実施形態に係る熱伝導体1は、熱源からの熱を伝導可能な1または2以上の熱伝導部材10と、熱伝導部材10に挿通する屈曲可能な線材15と、を備える。また、熱伝導部材10は、線材15の少なくとも一部分を覆う中実状(柱状ともいう)または中空状(筒状ともいう)の部材である。熱伝導体1は、好ましくは、間隔を空けて複数の熱伝導部材10を備えている。線材15は、好ましくは、複数の熱伝導部材10のうちの少なくとも2つの熱伝導部材10がその長さ方向と直交する方向に並ぶように、少なくとも一部分が略U字形状に折り返された形態をとる。熱伝導部材10は、好ましくは、その長さ方向に沿う中空部13を備える筒状部材である。また、熱伝導部材10は、好ましくは、その外側面を覆う熱伝導シート11と、熱伝導シート11の内側に備えられる部材であって、熱伝導シート11に比べて変形容易なクッション部材12と、を備える。ただし、クッション部材12は、熱伝導体1にとって必須の構成要素ではない。熱伝導部材10は、「放熱部材」または「伝熱部材」と称しても良い。なお、図1では、熱伝導体1は、3本の熱伝導部材10を備えているが、1本以上であれば、熱伝導部材10の数を問わない。また、図1では、熱伝導体1を構成する3本の熱伝導部材10は、同一形状の部材であるが、例えば、熱伝導部材10の長さや太さ等の形状が互いに異なる部材であっても良い。
次に、熱伝導体1の各構成要素について説明する。
(2)熱伝導シート
熱伝導シート11は、好ましくは炭素を含むシートであり、さらに好ましくは90質量%以上を炭素から構成されるシートである。例えば、熱伝導シート11に、樹脂を焼成して成るグラファイト製のフィルムを用いることもできる。ただし、熱伝導シート11は、炭素と樹脂とを含むシートであっても良い。その場合、樹脂は、合成繊維でも良く、その場合には、樹脂として好適にはアラミド繊維を用いることができる。本願でいう「炭素」は、グラファイト、グラファイトより結晶性の低いカーボンブラック、ダイヤモンド、ダイヤモンドに近い構造を持つダイヤモンドライクカーボン等の炭素(元素記号:C)から成る如何なる構造のものも含むように広義に解釈される。熱伝導シート11は、この実施形態では、樹脂に、グラファイト繊維やカーボン粒子を配合分散した材料を硬化させた薄いシートとすることができる。熱伝導シート11は、メッシュ状に編んだカーボンファイバーであっても良く、さらには混紡してあっても混編みしてあっても良い。なお、グラファイト繊維、カーボン粒子あるいはカーボンファイバーといった各種フィラーも、すべて、炭素フィラーの概念に含まれる。
熱伝導シート11を炭素と樹脂とを備えるシートとする場合には、当該樹脂が熱伝導シート11の全質量に対して50質量%を超えていても、あるいは50質量%以下であっても良い。すなわち、熱伝導シート11は、熱伝導に大きな支障が無い限り、樹脂を主材とするか否かを問わない。樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂を好適に使用できる。熱可塑性樹脂としては、熱源からの熱を伝導する際に溶融しない程度の高融点を備える樹脂が好ましく、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、芳香族ポリアミド(アラミド繊維)等を好適に挙げることができる。樹脂は、熱伝導シート11の成形前の状態において、炭素フィラーの隙間に、例えば粒子状あるいは繊維状に分散している。熱伝導シート11は、炭素フィラー、樹脂の他、熱伝導をより高めるためのフィラーとして、AlNあるいはダイヤモンドを分散していても良い。また、樹脂に代えて、樹脂よりも柔軟なエラストマーを用いても良い。熱伝導シート11は、また、上述のような炭素に代えて若しくは炭素と共に、金属および/またはセラミックスを含むシートとすることができる。金属としては、アルミニウム、銅、それらの内の少なくとも1つを含む合金などの熱伝導性の比較的高いものを選択できる。また、セラミックスとしては、Al、AlN、cBN、hBNなどの熱伝導性の比較的高いものを選択できる。
熱伝導シート11は、導電性に優れるか否かは問わない。熱伝導シート11の熱伝導率は、好ましくは10W/mK以上である。この実施形態では、熱伝導シート11は、好ましくは、グラファイト製のフィルムであり、熱伝導性と導電性に優れる材料から成る。熱伝導シート11は、湾曲性(若しくは屈曲性)に優れるシートであるのが好ましく、その厚さに制約はないが、0.02〜3mmが好ましく、0.03〜0.5mmがより好ましい。ただし、熱伝導シート11の熱伝導率は、その厚さが増加するほど低下するため、シートの強度、可撓性および熱伝導性を総合的に考慮して、その厚さを決定するのが好ましい。
熱伝導シート11は、好ましくは、長尺状のクッション部材12の長さ方向に向かってスパイラル状に巻かれている(図5参照)。熱伝導シート11の幅と長さについては、特に制約はなく、クッション部材12の外側面を巻きながらクッション部材12の長さ方向に進行させ、当該外側面の全面若しくは大部分の面を覆うことのできる幅と長さであれば良い。また、熱伝導シート11は、単に、長尺状のクッション部材12の外側面を覆う筒状部材でも良い。
(3)クッション部材
クッション部材12の重要な機能は、変形容易性と回復力である。回復力は、クッション部材12の弾性変形性に依る。変形容易性は、熱源の形状に追従するために必要な特性であり、特にリチウムイオンバッテリーなどの半固形物、液体的性状も持つ内容物などを変形しやすいパッケージに収めるようなバッテリーセルの場合には、設計寸法的にも不定形または寸法精度があげられない場合が多い。このため、クッション部材12の変形容易性や追従力を保持するための回復力の保持は重要である。
クッション部材12は、長尺状の中実若しくは中空の部材であり、好ましくは、スパイラル状に巻回される熱伝導シート11の筒内に備えられ、熱伝導部材10の長さ方向に長い中空部13を備える筒状部材(筒状クッション部材ともいう。)である。ただし、クッション部材12は、中空部13を備えず、中実状の部材、例えば円柱状の部材であっても良い。中空部13は、この実施形態では、クッション部材12の長さ方向に貫通している。ただし、中空部13の長さ方向の両端の少なくとも一方を閉塞しても良い。なお、中空部13の両端を閉塞すると、クッション部材12には、閉塞状の中空領域が形成される。
クッション部材12は、熱伝導部材10に接触する熱源が平坦でない場合でも、熱伝導シート11と熱源との接触を良好にする機能を有する。さらに、中空部13は、クッション部材12の変形を容易にし、加えて熱伝導体1の軽量化に寄与する。クッション部材12は、熱源等からの熱伝導シート11に加わる荷重によって熱伝導シート11が破損等しないようにする保護部材としての機能も有する。クッション部材12は、熱伝導シート11に比べて弾性変形しやすく、熱源等からの押圧及びその開放による変形に起因して、割れや亀裂が入りにくい。このため、クッション部材12は、熱伝導シート11に亀裂が生じる事態を抑制することができる。この実施形態では、クッション部材12は、熱伝導シート11に比べて低熱伝導性の部材である。
クッション部材12は、好ましくは、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ニトリルゴム(NBR)あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)等の熱硬化性エラストマー; ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの複合物等を含むように構成される。クッション部材12は、熱伝導シート11を伝わる熱によって溶融あるいは分解等せずにその形態を維持できる程度の耐熱性の高い材料から構成されるのが好ましい。この実施形態では、クッション部材12は、より好ましくは、ウレタン系エラストマー中にシリコーンを含浸したもの、あるいはシリコーンゴムにより構成される。クッション部材12は、その熱伝導性を少しでも高めるために、ゴム中にAl、AlN、cBN、hBN、ダイヤモンドの粒子等に代表されるフィラーを分散して構成されていても良い。クッション部材12は、その内部に気泡を含むものの他、気泡を含まないものでも良い。また、「クッション部材」は、柔軟性に富み、熱源の表面に密着可能に弾性変形可能な部材を意味し、かかる意味では「ゴム状弾性体」と読み替えることもできる。さらに、クッション部材12の変形例としては、上記ゴム状弾性体ではなく、金属を用いて構成することもできる。クッション部材12は、樹脂やゴム等から形成されたスポンジあるいはソリッド(スポンジのような多孔質ではない構造のもの)で構成することも可能である。
(4)線材
線材15は、1または2以上の熱伝導部材10に挿通する屈曲可能な部材であって、好ましくは、120℃程度の高温に耐え得るワイヤー、糸、紐等から構成される部材である。線材15は、好ましくは、アルミニウム、鉄、ニッケル、モリブデン、タングステン、ステンレス、スチール、金、金合金、銅、等を細線加工したワイヤー、或いは、これらの細線に金や金合金をメッキしたワイヤーである。また、線材15は、天然繊維、合成繊維、カーボン繊維、金属繊維等の繊維からなる撚糸で構成されていても良いし、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)等の熱可塑性樹脂で構成されていても良い。熱伝導体1は、熱源からの熱を冷却部位へ速やかに伝導できるように熱伝導部材10を配置することが好ましい。このため、線材15は、熱源の配置に応じて熱伝導部材10を好適な位置に配置できるように、屈曲可能、且つ、屈曲した形状を保持可能な部材であることが好ましい。このような点を考慮して、線材15は、上述のような金属製のワイヤーであることがより好ましい。なお、線材15は、1本の線材から構成されていても良いし、複数の線材をまとめたもの或いは撚り合わせたものであっても良い。また、線材15は、上述の金属製の細線を樹脂等で被覆したものであっても良い。
線材15は、熱伝導部材10の中空部13に挿通することが好ましい。熱伝導部材10が中空部13を備えていない場合、すなわち、クッション部材12が中実状の部材である場合には、線材15は、クッション部材12内を挿通することが好ましい。また、熱伝導体1は、1本の線材15が1または2以上の熱伝導部材10を挿通して構成されていても良いし、複数本の線材を連結することにより1本に構成された線材15が当該熱伝導部材10を挿通して構成されていても良い。なお、線材15が複数本の線材を連結することにより1本に構成されたものである場合、当該複数本の線材は、すべて同一の材料から構成されるものであっても良いし、2種類以上の材料から構成されるものであっても良い。また、図1において、線材15は、熱伝導部材10の両端部を貫通しているが、熱伝導部材10の一端部のみを貫通していても良いし、熱伝導部材10の両端部を貫通していなくても良い。例えば、線材15は、10個の熱伝導部材10を連結し、両端の熱伝導部材10の内部に線材15の端部を埋めた状態にあっても良い。
線材15は、好ましくは、複数の熱伝導部材10がその長さ方向と直交する方向に並ぶように、少なくとも一部分が略U字形状に折り返された形態をとる。すなわち、熱伝導体1は、複数の熱伝導部材10がその長さ方向と直交する方向に並んだ形態をとっている(図1および図2参照)。
(5)熱伝導性オイル
熱伝導性オイルは、好ましくは、シリコーンオイルと、シリコーンオイルより熱伝導性が高く、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーとを含む。熱伝導シート11は、微視的に、隙間(孔あるいは凹部)を有する。通常、当該隙間には空気が存在し、熱伝導性に悪影響を及ぼす可能性が有る。熱伝導性オイルは、その隙間を埋めて、空気に代わって存在することになり、熱伝導シート11の熱伝導性を向上させる機能を有する。
熱伝導性オイルは、熱伝導シート11の表面、少なくとも熱源等と熱伝導シート11とが接触する面に備えられている。本願において、熱伝導性オイルの「オイル」は、非水溶性の常温(20〜25℃の範囲の任意の温度)で液状若しくは半固形状の可燃物質をいう。「オイル」という文言に代え、「グリース」あるいは「ワックス」を用いることもできる。熱伝導性オイルは、熱源から熱伝導シート11に熱を伝える際に熱伝導の障害にならない性質のオイルである。熱伝導性オイルには、炭化水素系のオイル、シリコーンオイルを用いることができる。熱伝導性オイルは、好ましくは、シリコーンオイルと、シリコーンオイルより熱伝導性が高く、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーとを含む。
シリコーンオイルは、好ましくは、シロキサン結合が2000以下の直鎖構造の分子から成る。シリコーンオイルは、ストレートシリコーンオイルと、変性シリコーンオイルとに大別される。ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルを例示できる。変性シリコーンオイルとしては、反応性シリコーンオイル、非反応性シリコーンオイルを例示できる。反応性シリコーンオイルは、例えば、アミノ変性タイプ、エポキシ変性タイプ、カルボキシ変性タイプ、カルビノール変性タイプ、メタクリル変性タイプ、メルカプト変性タイプ、フェノール変性タイプ等の各種シリコーンオイルを含む。非反応性シリコーンオイルは、ポリエーテル変性タイプ、メチルスチリル変性タイプ、アルキル変性タイプ、高級脂肪酸エステル変性タイプ、親水性特殊変性タイプ、高級脂肪酸含有タイプ、フッ素変性タイプ等の各種シリコーンオイルを含む。シリコーンオイルは、耐熱性、耐寒性、粘度安定性、熱伝導性に優れたオイルであるため、熱伝導シート11の表面に塗布して、熱源等と熱伝導シート11との間に介在させる熱伝導性オイルとして特に好適である。熱伝導性オイルは、好ましくは、油分以外に、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーを含む。金属としては、金、銀、銅、アルミニウム、ベリリウム、タングステンなどを例示できる。セラミックスとしては、アルミナ、窒化アルミニウム、キュービック窒化ホウ素、ヘキサゴナル窒化ホウ素などを例示できる。炭素としては、ダイヤモンド、グラファイト、ダイヤモンドライクカーボン、アモルファスカーボン、カーボンナノチューブなどを例示できる。
熱伝導性オイルは、熱源と熱伝導シート11との間に介在する他、熱伝導シート11と冷却部位との間に介在する方が好ましい。熱伝導性オイルは、熱伝導シート11の全面に塗布されていても、熱伝導シート11の一部分に塗布されていても良い。熱伝導性オイルを熱伝導シート11に存在させる方法は、特に制約されることなく、スプレーを用いた噴霧、刷毛等を用いた塗布、熱伝導性オイル中への熱伝導シート11の浸漬など、如何なる方法によるものでも良い。なお、熱伝導性オイルは、熱伝導体1にとって必須の構成ではなく、好適に備えることのできる追加的な構成である。これは、第2実施形態以降でも同様である。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る熱伝導体について説明する。第1実施形態と共通する部分については重複した説明を省略する。
図3は、本発明の第2実施形態に係る熱伝導体の斜視図を示す。
第2実施形態に係る熱伝導体1aは、第1実施形態に係る熱伝導体1と類似の構造を有するが、線材15が略U字形状に屈曲する部分に、さらに熱伝導部材10aを備える点において、第1実施形態に係る熱伝導体1と異なる。
熱伝導体1aは、複数の熱伝導部材10の間に熱伝導部材10aが配置された状態で、熱伝導部材10,10aに線材15を挿通することにより熱伝導部材10,10aが連結された部材である。また、熱伝導体1aは、熱伝導部材10と熱伝導部材10aとが略直交に配置されるよう、線材15が屈曲されている。熱伝導部材10aは、熱伝導部材10と比べて長さ方向の長さが短い点以外は、熱伝導部材10と同様に構成された部材である。なお、熱伝導部材10aは、熱伝導部材10と比べてその長さ方向の長さが長くても良いし、熱伝導部材10と同等の長さであっても良い。また、熱伝導体1を構成する複数の熱伝導部材10aは、同一形状の部材であっても良いし、その長さや太さ等の形状が互いに異なる部材であっても良い。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る熱伝導体について説明する。先述の各実施形態と共通する部分については同じ符号を付して重複した説明を省略する。
図4は、本発明の第3実施形態に係る熱伝導体の斜視図を示す。
第3実施形態に係る熱伝導体1bは、第1実施形態に係る熱伝導体1と類似の構造を有するが、1本の熱伝導部材10および線材15が渦巻形状に巻回した形態をとっている点において、第1実施形態に係る熱伝導体1と異なる。熱伝導体1bは、1本の熱伝導部材10を備えているが、複数本の熱伝導部材10を備えていても良い。すなわち、熱伝導体1bは、複数本の熱伝導体10が線材15により連結された状態で、渦巻状に巻回した形態をとっていても良い。図4において、熱伝導体1bは、時計回りに渦巻状に巻回した形態をとっているが、反時計回りに渦巻状に巻回した形態であっても良い。また、図4において、熱伝導体1bは、線材15が熱伝導部材10の両端部を貫通しているが、線材15が熱伝導部材10の一端部のみを貫通していても良いし、熱線材15が伝導部材10の両端部を貫通していなくても良い。
2.熱伝導体の製造方法
次に、本発明の各実施形態に係る熱伝導体の好適な製造方法の一例を説明する。
図5は、熱伝導体を構成している熱伝導部材の製造工程を説明するための図を示す。
まず、中空部13を有するクッション部材12を成形する。次に、クッション部材12の外側面に接着剤を塗布する。次に、帯状の熱伝導シート11を、クッション部材12の外側面上にスパイラル状に巻いた後、熱伝導シート11がクッション部材12の両端からはみ出した部分があれば、そのはみ出した部分をカット若しくはクッション部材12ごとカットする。最後に、熱伝導シート11の表面に、熱伝導性オイルを塗布する。クッション部材12と熱伝導シート11との間に接着剤を介在させないで固定することも可能である。その場合には、完全硬化する前の状態のクッション部材12を用意して、その外側面に帯状の熱伝導シート11を巻く。その後、クッション部材12を加温して完全硬化させて、クッション部材12の外側面に熱伝導シート11を固定する。
熱伝導シート11のクッション部材12の両端からはみ出した部分をカットするカット工程および熱伝導性オイルを塗布する塗布工程は、上述のタイミングで行うことに限定されない。例えば、カット工程は、塗布工程後に行っても良い。
第1実施形態に係る熱伝導体1は、上述の製造方法により製造された複数の熱伝導部材10の中空部13に線材15を挿通することにより製造される。また、このように製造された熱伝導体1は、複数の熱伝導部材10がその長さ方向と直交する方向に並ぶように、線材15の少なくとも一部分を略U字形状に折り返すことにより、図1に示す形態をとることができる。このように構成された熱伝導体1は、クッション部材12により、弾性変形性に富み、且つ、熱源の種々の形態に順応可能となる。また、中空部13は、熱伝導部材10の変形を容易にし、加えて熱伝導体1の軽量化に寄与する。
また、複数の熱源は、その用途や配置等により、全てが均一に温度上昇しない場合がある。すなわち、複数の熱源のうちの一部の熱源がその他の熱源に比べてより高温になる事態が想定される。このような事態を考慮して、熱伝導体1は、例えば、複数の熱源のうち、より高温となる熱源に接触する熱伝導部材10がその他の熱源に接触する熱伝導部材10より多数となるように、線材15を屈曲させて熱伝導部材10が配置されることにより、複数の熱源各々における放熱性の均一化を高めることができる。熱伝導体1は、熱源および冷却部位の形状や配置等に応じて、線材15を屈曲させることにより熱伝導部材10の配置を容易に調整することができるため、複数の熱源各々における放熱性の均一化を高め、もって、高い放熱効率を実現することができる。
第2実施形態に係る熱伝導体1aは、上述の製造方法で製造された熱伝導部材10と、当該製造方法と同様の方法で製造された熱伝導部材10aとが、熱伝導部材10,10aの長さ方向に交互に並んだ状態で、熱伝導部材10,10aの中空部13に線材15を挿通することにより製造される。このように製造された熱伝導体1aは、複数の熱伝導部材10がその長さ方向と直交する方向に並び、且つ、熱伝導部材10aが熱伝導部材10と略直交方向に配置されるように、線材15の少なくとも一部分を略U字形状に折り返すことにより、図3に示す形態をとることができる。また、第3実施形態に係る熱伝導体1bは、上述の製造方法で製造された熱伝導部材10の中空部13に線材15を挿通し、熱伝導部材10および線材15を渦巻形状に巻回させることにより製造される(図4参照)。このように製造された第2実施形態および第3実施形態に係る熱伝導体1a,1bもまた、第1実施形態に係る熱伝導体1と同様の効果を奏する。熱源および冷却部位の形状や配置等に応じて、熱伝導体1,1a,1bのうち好適なものが用いられることが好ましい。
本発明の各実施形態に係る熱伝導体の変形例の好適な製造方法の一例を説明する。この変形例において、上述の熱伝導体1,1a,1bを構成している熱伝導部材10を熱伝導部材10bに代える点以外は、上述の熱伝導体1,1a,1bと同様の製造方法により製造されているため、詳細な説明を省略する。以下、熱伝導部材10bの好適な製造方法について説明する。
図6は、熱伝導体の変形例の好適な製造工程を説明するための図を示す。
まず、帯状の積層シート18を製造する。帯状の積層シート18の製造において、熱伝導シート11とクッション部材12とは、好ましくは接着剤にて固定されている。次に、帯状の積層シート18を、スパイラル状に巻回しながら一方向に進行させて、長尺状の熱伝導部材10bを製造する。熱伝導シート11とクッション部材12との間に接着剤を介在させない製造方法としては、以下のような方法を例示できる。例えば、クッション部材12が完全には硬化していない未硬化状態で、熱伝導シート11をクッション部材12の上に貼る。その後、加温により、クッション部材12を完全に硬化させる。
帯状の積層シート18をスパイラル状に巻回した後、積層シート18の両端をカットして形状を整えても良い。最後に、熱伝導シート11の表面に、熱伝導性オイルを塗布する。熱伝導部材10bは、その長さ方向に貫通する中空部13を備えている。中空部13は、上述の実施形態における熱伝導部材10と異なり、熱伝導部材10bの外側面方向にも貫通している。このように、クッション部材12は、熱伝導シート11の内側に配置され、熱伝導シート11とクッション部材12は、一体にてスパイラル状に一方向に進行する形態を有する。熱伝導部材10bは、その全体がスパイラル状であるため、上述の熱伝導部材10に比べて、熱伝導部材10bの長さ方向に伸縮容易である。
3.バッテリー
次に、本発明に係るバッテリーの好適な実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図7は、本発明の第1実施形態に係るバッテリーの縦断面図および当該断面図中の一部拡大図を示す。ここで、「縦断面図」は、バッテリーの筐体内部のバッテリーセルの長さ方向にバッテリーを切断する図を意味する。
この実施形態に係るバッテリー40は、冷却剤45を流す構造を持つ筐体41内に、1または2以上の熱源としてのバッテリーセル50を備え、バッテリーセル50と筐体41との間に、熱伝導体1を備える。熱伝導体1において、線材15は、熱伝導体1の両端に配置されている熱伝導部材10の内部に線材15を埋めた状態にある。なお、バッテリー40は、熱伝導体1に代えて、熱伝導体1aまたは熱伝導体1bを備えていても良い。以下、バッテリー40の構成について詳述する。
この実施形態において、バッテリー40は、例えば、電気自動車用のバッテリーであって、多数のバッテリーセル(熱源の一例であって、単に、「セル」と称しても良い。)50を備える。バッテリー40は、好ましくは一方に開口する有底型の筐体41を備える。筐体41は、好ましくは、アルミニウム若しくはアルミニウム基合金から成る。バッテリーセル50は、筐体41の内部44に配置される。バッテリーセル50の上方には、電極(不図示)が突出して設けられている。複数のバッテリーセル50は、好ましくは、筐体41内において、その両側からネジ等を利用して圧縮する方向に力を与えられて、互いに密着するようになっている(不図示)。筐体41の底部42(冷却部位の一例)には、冷却剤45の一例である冷却水を流すために、1または複数の水冷パイプ43が備えられている。冷却剤は、冷却媒体あるいは冷却材と称しても良い。バッテリーセル50は、底部42との間に、熱伝導体1を挟むようにして筐体41内に配置されている。
このような構造のバッテリー40では、バッテリーセル50は、熱伝導体1を通じて筐体41に伝熱して、水冷によって効果的に除熱される。なお、冷却剤45は、冷却水に限定されず、液体窒素、エタノール等の有機溶剤も含むように解釈される。冷却剤45は、冷却に用いられる状況下にて、液体であるとは限らず、気体あるいは固体でも良い。また、図7において、熱伝導体1は、複数のバッテリーセル50各々に接触する熱伝導部材10の数が同等となるよう、複数の熱伝導部材10を均等に配置されているが、各バッテリーセル50の温度上昇が均一でない場合には、複数のバッテリーセル50のうち、より高温となるバッテリーセル50に接触する熱伝導部材10がその他のバッテリーセル50に接触する熱伝導部材10より多数となるように配置されていても良い。バッテリー40においては、筐体41の側面側のバッテリーセル50に比べて、内側のバッテリーセル50の方が高温になりやすい。このため、熱伝導体1は、側面側のバッテリーセル50に比べて内側のバッテリーセル50に接触する熱伝導部材10の数が多くなるように、熱伝導部材10が配置されることが好ましい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るバッテリーについて説明する。先の実施形態と共通する部分については重複した説明を省略する。
図8は、本発明の第2実施形態に係るバッテリーの縦断面図および当該断面図中の一部拡大図を示す。
この実施形態に係るバッテリー40aは、第1実施形態に係るバッテリー40と類似の構造を有するが、筐体41の底部42に冷却剤45を流すための水冷パイプ43が備えられていない点において、第1実施形態に係るバッテリー40と異なる。なお、バッテリー40aにおいても、熱伝導体1に代えて、熱伝導体1aまたは熱伝導体1bを備えていても良い。
この実施形態において、バッテリー40aは、熱伝導体1を構成する熱伝導部材10の中空部13(冷却部位の一例)に、冷却剤45の一例である冷却水を流す構造を備える。線材15の両端は、熱伝導体1の両端に配置されている熱伝導部材10を貫通し、或いは貫通せずに当該熱伝導部材10の任意の箇所に固定されている。バッテリー40aのその他の構成については、第1実施形態に係るバッテリー40と同様の構成のため、詳細な説明は省略する。このような構造のバッテリー40aでは、バッテリーセル50は、熱伝導体1を構成する熱伝導部材10に伝熱して、水冷によって効果的に除熱される。
5.その他の実施形態
上述のように、本発明の好適な各実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されることなく、種々変形して実施可能である。
熱伝導体1は、熱伝導部材10,10a,10bのうち少なくとも2種類以上の熱伝導部材を備えたものでも良い。熱伝導部材10,10a,10bの形状は、円筒あるいは円柱以外に、楕円筒、楕円柱、三角以上の角筒若しくは角柱のような他の形状でも良い。熱伝導部材は、上述の熱伝導部材10,10a,10bに限定されない。熱伝導部材は、熱伝導シートと、熱伝導シートの内方に備えられ、熱伝導シートに比べて熱源の表面形状に合わせて変形容易なクッション部材とを備えるならば、以下のような各種形態の熱伝導部材を用いても良い。例えば、筒状のクッション部材の外側面を熱伝導シートで被覆した形態、筒状のクッション部材の外側面を熱伝導シートで一周以上被覆し、熱伝導シートの重複領域を非接着状態とした形態、縦にスリットの入った長尺クッション部材の外側面を熱伝導シートで被覆した形態、縦にスリットの入った長尺クッション部材の外側面を、同じく縦にスリットの入った熱伝導シートで被覆した形態の各種熱伝導部材を用いることができる。
また、熱伝導部材10,10a,10bは、クッション部材12を備えていなくても良い。その場合には、線材15の外周に熱伝導シート11が被覆される。
また、熱伝導部材10bにおけるスパイラル状のクッション部材12は、熱伝導シート11の幅と同一に限定されず、熱伝導シート11の幅に対して大きくても、あるいは小さくても良い。
また、熱伝導部材10,10a,10bは、熱源からの熱を伝導可能な部材であれば、熱伝導シート11を備えていなくても良い。例えば、熱伝導部材は、中実状または中空状のゴムチューブ、グラファイトチューブ、樹脂チューブ、エラストマーチューブ、硬管等で構成されていても良い。
また、熱伝導体1,1a,1bは、熱源および冷却部位の形状や配置等に応じて、線材15を変形させることにより、図1、図3、および図4に示す形態以外の種々の形態をとることができる。例えば、熱伝導体1,1a,1bは、線材の少なくとも一部分がV字形状に折り返された形状、矩形状に巻回された形状等の二次元形状(平面的なもの)の他、コイル状等の三次元形状(立体的なもの)で構成されていても良い。
また、熱伝導体1,1a,1bは、バッテリー40,40aの底部42とバッテリーセル50との間に備えられていなくても良い。例えば、熱伝導体1,1a,1bは、隣り合うバッテリーセル50の間に配置されていても良いし、バッテリーセル50と筐体41の側面との間に配置されていても良い。
また、熱源は、バッテリーセル50のみならず、回路基板や電子機器本体などの熱を発する対象物を全て含む。例えば、熱源は、キャパシタおよびICチップ等の電子部品であっても良い。同様に、冷却剤45は、冷却用の水のみならず、有機溶剤、液体窒素、冷却用の気体であっても良い。また、熱伝導体1,1a,1bは、バッテリー40,40a以外の構造物、例えば、電子機器、家電、発電装置等に配置されていても良い。
また、上述の各実施形態の複数の構成要素は、互いに組み合わせ不可能な場合を除いて、自由に組み合わせ可能である。例えば、熱伝導体1aは、バッテリー40に備えられていても良い。
本発明に係る熱伝導体およびバッテリーは、例えば、自動車用バッテリーの他、自動車、工業用ロボット、発電装置、PC、家庭用電化製品などの各種電子機器にも利用することができる。また、本発明に係る熱伝導体およびバッテリーは、自動車用のバッテリー以外に、家庭用の充放電可能なバッテリー、PC等の電子機器用のバッテリーにも利用できる。
1,1a,1b・・・熱伝導体、10,10a,10b・・・熱伝導部材、11・・・熱伝導シート、12・・・クッション部材(筒状クッション部材はその一例)、13・・・中空部、15・・・線材、40,40a・・・バッテリー、41・・・筐体、45・・・冷却剤、50・・・バッテリーセル(熱源の一例)。

Claims (11)

  1. 熱源からの熱を伝導可能な1または2以上の熱伝導部材と、
    前記熱伝導部材に挿通する屈曲可能な線材と、
    を備え、
    前記熱伝導部材は、前記線材の少なくとも一部分を覆う中実状または中空状の部材であることを特徴とする熱伝導体。
  2. 前記熱伝導部材は、その長さ方向に沿う中空部を備える筒状部材であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導体。
  3. 前記熱伝導部材は、その外側面を覆う熱伝導シートを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の熱伝導体。
  4. 前記熱伝導部材は、前記熱伝導シートの内側に備えられる部材であって、前記熱伝導シートに比べて変形容易なクッション部材を備えることを特徴とする請求項3に記載の熱伝導体。
  5. 前記熱伝導部材は、その長さ方向に沿う中空部を備え、
    前記クッション部材は、前記熱伝導部材の長さ方向に長い前記中空部を備える筒状クッション部材であり、
    前記熱伝導シートは、前記クッション部材の長さ方向に向かってスパイラル状に巻かれていることを特徴とする請求項4に記載の熱伝導体。
  6. 前記熱伝導シートと前記クッション部材は、一体にてスパイラル状に一方向に進行する形態を有することを特徴とする請求項4に記載の熱伝導体。
  7. 前記熱伝導部材は、間隔を空けて複数備えられており、
    前記線材は、複数の前記熱伝導部材のうちの少なくとも2つの前記熱伝導部材がその長さ方向と直交する方向に並ぶように、少なくとも一部分が略U字形状に折り返された形態をとることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の熱伝導体。
  8. 前記熱伝導部材の表面に、当該表面に接触する前記熱源から当該表面への熱伝導性を高めるための熱伝導性オイルを有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の熱伝導体。
  9. 前記熱伝導性オイルは、シリコーンオイルと、前記シリコーンオイルより熱伝導性が高く、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーとを含むことを特徴とする請求項8に記載の熱伝導体。
  10. 冷却剤を流す構造を持つ筐体内に、1または2以上の熱源としてのバッテリーセルを備えたバッテリーであって、前記バッテリーセル同士の間および/または前記バッテリーセルと前記筐体との間に、請求項1から9のいずれか1項に記載の熱伝導体を備えることを特徴とするバッテリー。
  11. 前記熱伝導部材は、その長さ方向に沿う中空部を備え、
    前記中空部に前記冷却剤を流すことを特徴とする請求項10に記載のバッテリー。

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