JP2020135952A - 放熱構造体およびそれを備えるバッテリー - Google Patents

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Abstract

【課題】熱源の種々の形態に順応可能であって、軽量で、弾性変形性に富み、放熱効率に優れ、かつ複数の熱源各々における放熱性の均一化を高めることが可能な放熱構造体、および当該放熱構造体を備えるバッテリーを提供する。【解決手段】本発明は、熱源20からの放熱を高めるための複数本の放熱部材28を放熱部材28の幅方向に並べて連結した放熱構造体25であって、放熱部材28は、熱源20からの熱を伝えるためのスパイラル状に巻回しながら進行する形状の熱伝導シート30と、熱伝導シート30の裏面に備えられ、熱伝導シート30に比べて熱源20の表面形状に合わせて変形容易なクッション部材31と、を備え、高さの異なる複数種の放熱部材28a,28b,28cを備える放熱構造体25、およびそれを備えるバッテリー1に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、放熱構造体およびそれを備えるバッテリーに関する。
自動車、航空機、船舶あるいは家庭用若しくは業務用電子機器の制御システムは、より高精度かつ複雑化してきており、それに伴って、回路基板上の小型電子部品の集積密度が増加の一途を辿っている。この結果、回路基板周辺の発熱による電子部品の故障や短寿命化を解決することが強く望まれている。
回路基板からの速やかな放熱を実現するには、従来から、回路基板自体を放熱性に優れた材料で構成し、ヒートシンクを取り付け、あるいは冷却ファンを駆動するといった手段を単一で若しくは複数組み合わせて行われている。これらの内、回路基板自体を放熱性に優れた材料、例えばダイヤモンド、窒化アルミニウム(AlN)、立方晶窒化ホウ素(cBN)等から構成する方法は、回路基板のコストを極めて高くしてしまう。また、冷却ファンの配置は、ファンという回転機器の故障、故障防止のためのメンテナンスの必要性や設置スペースの確保が難しいという問題を生じる。これに対して、放熱フィンは、熱伝導性の高い金属(例えば、アルミニウム)を用いた柱状あるいは平板状の突出部位を数多く形成することによって表面積を大きくして放熱性をより高めることのできる簡易な部材であるため、放熱部品として汎用的に用いられている(特許文献1を参照)。
ところで、現在、世界中で、地球環境への負荷軽減を目的として、従来からのガソリン車あるいはディーゼル車を徐々に電気自動車に転換しようとする動きが活発化している。特に、フランス、オランダ、ドイツをはじめとする欧州諸国の他、中国でも、電気自動車の普及が進んでいる。電気自動車の普及には、高性能バッテリーの開発の他、多数の充電スタンドの設置などが必要となる。特に、リチウム系の自動車用バッテリーの充放電機能を高めるための技術開発が重要である。上記自動車バッテリーは、摂氏60度以上の高温下では充放電の機能を十分に発揮できないことが良く知られている。このため、先に説明した回路基板と同様、バッテリーにおいても、放熱性を高めることが重要視されている。
バッテリーの速やかな放熱を実現するには、アルミニウム等の熱伝導性に優れた金属製の筐体に水冷パイプを配置し、当該筐体にバッテリーセルを多数配置し、バッテリーセルと筐体の底面との間に密着性のゴムシートを挟んだ構造が採用されている。このような構造のバッテリーでは、バッテリーセルは、ゴムシートを通じて筐体に伝熱して、水冷によって効果的に除熱される。
特開2008−243999
しかし、上述のような従来のバッテリーにおいて、ゴムシートは、アルミニウムやグラファイトと比べて熱伝導性が低いため、バッテリーセルから筐体に効率よく熱を移動させることが難しい。また、ゴムシートに代えてグラファイト等のスペーサを挟む方法も考えられるが、複数のバッテリーセルの下面が平らではなく段差を有することから、バッテリーセルとスペーサとの間に隙間が生じ、伝熱効率が低下する。かかる一例にもみられるように、バッテリーセルは種々の形態(段差等の凹凸あるいは非平滑の表面状態を含む)をとり得ることから、バッテリーセルの種々の形態に順応可能であって高い伝熱効率を実現することの要望が高まっている。また、高い伝熱効率を実現するためには、多数のバッテリーセルの温度が均一となるように、多数のバッテリーセル各々から均一に放熱させることが望ましい。さらには、バッテリーセルの容器の材質をより軽量で弾性変形することが要望されており、バッテリーセルの軽量化やバッテリーセルを除去したときに元の形状に近い形状に戻る放熱構造体が望まれている。これは、バッテリーセルのみならず、回路基板、電子部品あるいは電子機器本体のような他の熱源にも通じる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、熱源の表面形態に順応可能であって、軽量で、弾性変形性に富み、放熱効率に優れ、かつ複数の熱源各々における放熱性の均一化を高めることが可能な放熱構造体、および当該放熱構造体を備えるバッテリーを提供することを目的とする。
(1)上記目的を達成するための一実施形態に係る放熱構造体は、熱源からの放熱を高めるための複数本の放熱部材を前記放熱部材の幅方向に並べて連結した放熱構造体であって、前記放熱部材は、前記熱源からの熱を伝えるためのスパイラル状に巻回しながら進行する形状の熱伝導シートと、前記熱伝導シートの裏面に備えられ、前記熱伝導シートに比べて前記熱源の表面形状に合わせて変形容易なクッション部材とを備え、高さの異なる複数種の前記放熱部材を備える。
(2)別の実施形態に係る放熱構造体は、好ましくは、前記放熱部材に、前記熱伝導シートの巻回しながら進行する方向に貫通する貫通路を、さらに備える。
(3)別の実施形態に係る放熱構造体では、好ましくは、前記クッション部材は、前記貫通路を有する筒状クッション部材であって、前記熱伝導シートは、前記筒状クッション部材の外側面をスパイラル状に巻回している。
(4))別の実施形態に係る放熱構造体では、好ましくは、前記クッション部材は、前記熱伝導シートの前記裏面に沿ってスパイラル状に巻回しているスパイラル状クッション部材である。
(5)別の実施形態に係る放熱構造体は、好ましくは、複数本の前記放熱部材を前記幅方向に並べた状態で連結する連結部材を備え、前記連結部材は糸で構成される。
(6)別の実施形態に係る放熱構造体では、好ましくは、前記連結部材は、前記放熱部材同士の間に、撚りが加えられた撚り部を備える。
(7)別の実施形態に係る放熱構造体は、好ましくは、前記熱伝導シートの表面に、当該表面に接触する熱源から当該表面への熱伝導性を高めるための熱伝導性オイルを有する。
(8)別の実施形態に係る放熱構造体では、好ましくは、前記熱伝導性オイルは、シリコーンオイルと、前記シリコーンオイルより熱伝導性が高く、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーとを含む。
(9)また、一実施形態に係るバッテリーは、冷却機能を有する筐体内に、1または2以上の熱源としてのバッテリーセルを備えたバッテリーであって、前記バッテリーセルと前記筐体との間に、上述のいずれかの放熱構造体を備え、前記バッテリーセルと前記筐体との隙間の高さに対応して、高さの異なる複数種の前記放熱部材を配置している。
(10)別の実施形態に係るバッテリーでは、好ましくは、前記放熱構造体は、高さの揃った同種の前記放熱部材を複数本集合させて連結しており、その隣に、より高さの大きな別の種類の前記放熱部材を複数本集合させて連結している。
本発明によれば、熱源の表面形態に順応可能であって、軽量で、弾性変形性に富み、放熱効率に優れ、かつ複数の熱源各々における放熱性の均一化を高めることが可能な放熱構造体、および当該放熱構造体を備えるバッテリーを提供できる。
図1は、第1実施形態に係る放熱構造体の一部の斜視図を示す。 図2は、図1の放熱構造体の一部の平面図を示す。 図3は、図2の放熱構造体の一部のA−A線断面図、当該断面図中の領域B,領域C,領域Dの各拡大図をそれぞれ示す。 図4は、図1の放熱構造体の製造方法の一部を説明するための図を示す。 図5は、この実施形態に係るバッテリーを、放熱構造体の高さ方向(Z方向)に切断した断面図および当該断面図中の領域Eの拡大図をそれぞれ示す。 図6は、本発明の第2実施形態に係る放熱構造体を構成する放熱部材の製造方法の一部を示す。 図7は、放熱構造体の上にバッテリーセルの側面を接触させるように横置きする状況および横置き後にバッテリーセルを充電若しくは放電したときの状況の一部断面図をそれぞれ示す。
次に、本発明の各実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る放熱構造体の一部の斜視図を示す。図2は、図1の放熱構造体の一部の平面図を示す。図3は、図2の放熱構造体の一部のA−A線断面図、当該断面図中の領域B,領域C,領域Dの各拡大図をそれぞれ示す。
1.放熱構造体
放熱構造体25は、熱源からの放熱を高めるための複数本の放熱部材28を、放熱部材28の幅方向(図1のX方向)に並べて連結した構造体である。各放熱部材28は、熱源からの熱を伝えるためのスパイラル状に巻回しながら進行する形状の熱伝導シート30と、熱伝導シート30の裏面に備えられ、熱伝導シート30に比べて熱源の表面形状に合わせて変形容易なクッション部材31と、を備える。ここで、「裏面」とは、熱伝導シート30を巻回したときの裏面を意味する。放熱部材28は、高さ(図1のZ方向の長さ)の異なる3種の放熱部材28a,28b,28cを備える。放熱部材28aは、放熱部材28の中で最も高さの大きな部材である。放熱部材28bは、放熱部材28の中で、放熱部材28aの次に高さの大きな部材である。放熱部材28cは、放熱部材28の中で最も高さの小さな部材である。この実施形態では、各放熱部材28は、略円筒形状の部材である。このため、放熱部材28a,28b,28cの高さと、幅(図1のX方向の長さ)とは等しい。放熱部材28aの長さ方向の端面の直径をD1、放熱部材28bの長さ方向の端面の直径をD2、放熱部材28cの長さ方向の端面の直径をD3とする。この場合、D1>D2>D3の関係が成り立つ(図2を参照)。
放熱構造体25は、好ましくは、放熱部材28に、熱伝導シート30の巻回しながら進行する方向(図1のY方向)に貫通する貫通路32を、さらに備える。貫通路32は、放熱構造体25をその厚さ方向(図1のZ方向)から圧縮した際に、放熱部材28の変形を容易にするのに寄与する。ただし、貫通路32は、必須ではなく、クッション部材31に備えていなくとも良い。放熱構造体25は、好ましくは、複数本の放熱部材28を幅方向に並べた状態で連結する連結部材35を備える。連結部材35は、好ましくは、糸で構成される。この実施形態では、連結部材35は、好ましくは、放熱部材28同士の間に、撚りが加えられた撚り部37を備える。
放熱部材28a同士の隙間W1は、放熱部材28aがZ方向に圧縮を受けた際に幅方向(X方向)に突出変形できるような大きさである。放熱部材28b同士の隙間W2も、放熱部材28bがZ方向に圧縮を受けた際に幅方向(X方向)に突出変形できるような大きさである。同様に、放熱部材28c同士の隙間W3も、放熱部材28cがZ方向に圧縮を受けた際に幅方向(X方向)に突出変形できるような大きさである。このため、好ましくは、W1>W2>W3が成立する。以下、放熱構造体25を構成する熱伝導シート30、クッション部材31、連結部材35、その他について詳述する。
(1)熱伝導シート
熱伝導シート30は、好ましくは炭素を含む、より好ましくは炭素を90質量%以上含むシートであり、さらにより好ましくは炭素フィラーと樹脂とを含むシートである。樹脂を合成繊維とすることもでき、その場合には、好適に、アラミド繊維を用いることもできる。本願でいう「炭素」は、グラファイト、グラファイトより結晶性の低いカーボンブラック、膨張黒鉛、ダイヤモンド、ダイヤモンドに近い構造を持つダイヤモンドライクカーボン等の炭素(元素記号:C)から成る如何なる構造のものも含むように広義に解釈される。熱伝導シート30は、この実施形態では、樹脂に、グラファイト繊維やカーボン粒子を配合分散した材料を硬化させた薄いシートとすることができる。熱伝導シート30は、メッシュ状に編んだカーボンファイバーであっても良く、さらには混紡してあっても混編みしてあっても良い。なお、グラファイト繊維、カーボン粒子あるいはカーボンファイバーといった各種フィラーも、すべて、炭素フィラーの概念に含まれる。
熱伝導シート30に樹脂を含む場合には、当該樹脂が熱伝導シート30の全質量に対して50質量%を超えていても、あるいは50質量%以下であっても良い。すなわち、熱伝導シート30は、熱伝導に大きな支障が無い限り、樹脂を主材とするか否かを問わない。樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂を好適に使用できる。熱可塑性樹脂としては、熱源からの熱を伝導する際に溶融しない程度の高融点を備える樹脂が好ましく、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、芳香族ポリアミド(アラミド繊維)等を好適に挙げることができる。樹脂は、熱伝導シート30の成形前の状態において、炭素フィラーの隙間に、例えば粒子状あるいは繊維状に分散している。熱伝導シート30は、炭素フィラー、樹脂の他、熱伝導をより高めるためのフィラーとして、AlN、Alあるいはダイヤモンドを分散していても良い。また、樹脂に代えて、樹脂よりも柔軟なエラストマーを用いても良い。熱伝導シート30は、また、上述のような炭素に代えて若しくは炭素と共に、金属および/またはセラミックスを含むシートとすることができる。金属としては、アルミニウム、銅、それらの内の少なくとも1つを含む合金などの熱伝導性の比較的高いものを選択できる。また、セラミックスとしては、AlN、cBN、hBN、Alなどの熱伝導性の比較的高いものを選択できる。
熱伝導シート30は、導電性に優れるか否かは問わない。熱伝導シート30の熱伝導率は、好ましくは10W/mK以上である。この実施形態では、熱伝導シート30は、好ましくは、グラファイト、アルミニウム、アルミニウム合金、銅あるいはステンレススチールの帯状の板であり、熱伝導性と導電性に優れる材料から成る。熱伝導シート30は、湾曲性(若しくは屈曲性)に優れるシートであるのが好ましく、その厚さに制約はないが、0.02〜3mmが好ましく、0.03〜0.5mmがより好ましい。ただし、熱伝導シート30の熱伝導率は、その厚さが増加するほど低下するため、シートの強度、可撓性および熱伝導性を総合的に考慮して、その厚さを決定するのが好ましい。
(2)クッション部材
クッション部材31の重要な機能は、変形容易性と回復力である。回復力は、弾性変形性による。変形容易性は、放熱部材28と接する熱源の形状に追従するために必要な特性であり、特にリチウムイオンバッテリーなどの半固形物、液体的性状も持つ内容物などを変形しやすいパッケージに収めてあるようなバッテリーセルの場合には、設計寸法的にも不定形または寸法精度があげられない場合が多い。このため、クッション部材31の変形容易性や追従力を保持するための回復力の保持は重要である。
クッション部材31は、この実施形態では貫通路32を備える筒状クッション部材である。クッション部材31は、熱源の下端部が平坦でない場合でも、熱伝導シート30と当該下端部との接触を良好にする。さらに、貫通路32は、クッション部材31の変形を容易にし、加えて放熱構造体25の軽量化に寄与し、また、熱伝導シート30と熱源の下端部との接触を高める機能を有する。クッション部材31は、放熱構造体25の高さ方向両側の部材の間にあってクッション性を発揮させる機能の他に、熱伝導シート30に加わる荷重によって熱伝導シート30が破損等しないようにする保護部材としての機能も有する。この実施形態では、クッション部材31は、熱伝導シート30に比べて低熱伝導性の部材である。なお、この実施形態では、貫通路32は、断面円形状に形成されているが、貫通路32の断面形状は円に限定されず、例えば、多角形、楕円形、半円形、頂点が丸みを帯びた略多角形等であっても良い。また、貫通路32は、例えば、断面円形状が上下または左右に2つに分割された2つの断面半円形状の貫通路等、複数の貫通路から構成されていても良い。
クッション部材31は、好ましくは、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ニトリルゴム(NBR)あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)等の熱硬化性エラストマー; ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの複合物等を含むように構成される。クッション部材31は、熱伝導シート30を伝わる熱によって溶融あるいは分解等せずにその形態を維持できる程度の耐熱性の高い材料から構成されるのが好ましい。この実施形態では、クッション部材31は、より好ましくは、ウレタン系エラストマー中にシリコーンを含浸したもの、あるいはシリコーンゴムにより構成される。クッション部材31は、その熱伝導性を少しでも高めるために、ゴム中にAlN、cBN、hBN、Al、ダイヤモンドの粒子等に代表されるフィラーを分散して構成されていても良い。クッション部材31は、その内部に気泡を含むものの他、気泡を含まないものでも良い。例えば、クッション部材31は、多孔を有するスポンジ状のもの、あるいは孔を含まないソリッド状のものでも良い。「クッション部材」は、柔軟性に富み、熱源の表面に密着可能に弾性変形可能な部材を意味し、かかる意味では「ゴム状弾性体」と読み替えることもできる。さらに、クッション部材31の変形例としては、上記ゴム状弾性体ではなく、金属を用いて構成することもできる。例えば、クッション部材は、バネ鋼で構成することも可能である。さらに、クッション部材として、コイルバネを配置することも可能である。また、スパイラル状に巻いた金属をバネ鋼にしてクッション部材として熱伝導シート30の裏面に配置しても良い。
(3)連結部材
連結部材35は、例えば、糸やゴム等、少なくとも複数の放熱部材28の間に位置する部分が変形自在な材料で構成された部材である。本実施形態において、連結部材35は、糸で構成されることが好ましく、熱源からの放熱による温度上昇に耐え得る糸であることがより好ましい。より具体的には、連結部材35は、120℃程度の高温に耐え得る糸であって、天然繊維、合成繊維、カーボン繊維、金属繊維等の繊維からなる撚糸で構成されることが好ましい。また、連結部材35は、好ましくは、複数の放熱部材28の間に、撚りが加えられた撚り部37を備える(図2を参照)。放熱構造体25は、放熱部材28が熱源により圧縮され扁平した形態となっても、放熱部材28の変形に追従して連結部材35が撓むため、熱源の表面に追従・密着することができる。また、放熱構造体25は、複数の放熱部材28の間に撚り部37を備えることにより、熱源の表面への追従・密着性をより高めることができる。放熱部材28a,28b,28cは、撚り部37で挟まれた空間内にて移動あるいは変形が可能である。なお、連結部材35は、必ずしも、撚り部37を有していなくても良い。
(4)その他
熱伝導性オイル
熱伝導シート30は、好ましくは、その表面、少なくとも熱源と接触する面に、熱伝導性オイルを備える。本願において、熱伝導性オイルの「オイル」は、非水溶性の常温(20〜25℃の範囲の任意の温度)で液状若しくは半固形状の可燃物質をいう。「オイル」という文言に代え、「グリース」あるいは「ワックス」を用いることもできる。熱伝導性オイルは、熱源から熱伝導シート30に熱を伝える際に熱伝導の障害にならない性質のオイルである。熱伝導性オイルには、炭化水素系のオイル、シリコーンオイルを用いることができる。熱伝導性オイルは、好ましくは、シリコーンオイルと、シリコーンオイルより熱伝導性が高く、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーとを含む。熱伝導シート30は、微視的に、隙間(孔あるいは凹部)を有する。通常、当該隙間には空気が存在し、熱伝導性に悪影響を及ぼす可能性が有る。熱伝導性オイルは、その隙間を埋めて、空気に代わって存在することになり、熱伝導シート30の熱伝導性を向上させる機能を有する。
シリコーンオイルは、好ましくは、シロキサン結合が2000以下の直鎖構造の分子から成る。シリコーンオイルは、ストレートシリコーンオイルと、変性シリコーンオイルとに大別される。ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルを例示できる。変性シリコーンオイルとしては、反応性シリコーンオイル、非反応性シリコーンオイルを例示できる。反応性シリコーンオイルは、例えば、アミノ変性タイプ、エポキシ変性タイプ、カルボキシ変性タイプ、カルビノール変性タイプ、メタクリル変性タイプ、メルカプト変性タイプ、フェノール変性タイプ等の各種シリコーンオイルを含む。非反応性シリコーンオイルは、ポリエーテル変性タイプ、メチルスチリル変性タイプ、アルキル変性タイプ、高級脂肪酸エステル変性タイプ、親水性特殊変性タイプ、高級脂肪酸含有タイプ、フッ素変性タイプ等の各種シリコーンオイルを含む。シリコーンオイルは、耐熱性、耐寒性、粘度安定性、熱伝導性に優れたオイルであるため、熱伝導シート30の表面に塗布して、熱源と熱伝導シート30との間に介在させる熱伝導性オイルとして特に好適である。
熱伝導性オイルは、好ましくは、油分以外に、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーを含む。金属としては、金、銀、銅、アルミニウム、ベリリウム、タングステンなどを例示できる。セラミックスとしては、アルミナ、窒化アルミニウム、キュービック窒化ホウ素、ヘキサゴナル窒化ホウ素などを例示できる。炭素としては、ダイヤモンド、グラファイト、ダイヤモンドライクカーボン、アモルファスカーボン、カーボンナノチューブなどを例示できる。
熱伝導性オイルは、より好ましくは、熱伝導シート30の外表面全体に存在する。ただし、熱伝導性オイルは、熱伝導シート30の一部分に塗布されていても良い。熱伝導性オイルを熱伝導シート30に存在させる方法は、特に制約はなく、スプレーを用いた噴霧、刷毛等を用いた塗布、熱伝導性オイル中への熱伝導シート30の浸漬など、如何なる方法によるものでも良い。なお、熱伝導性オイルは、放熱構造体25にとって必須の構成ではなく、好適に備えることのできる追加的な構成である。これは、第2実施形態以降でも同様である。
2.放熱構造体の製造方法
図4は、図1の放熱構造体の製造方法の一部を説明するための図を示す。
まず、クッション部材31を成形する。次に、帯状の熱伝導シート30をクッション部材31の外側面にスパイラル状に巻く。このとき、好ましくは、クッション部材31が完全には硬化していない未硬化状態で、熱伝導シート30をクッション部材31の外側面に巻き、その後、加温によりクッション部材31を完全に硬化させる。次に、帯状の熱伝導シート30のクッション部材31の両端からはみ出した部分があればカットする。最後に、熱伝導シート30の表面に、熱伝導性オイルを塗布する。放熱部材28a,28b,28cを、このような方法にて製造することにより、熱伝導シート30の隙間に未硬化状態のクッション部材31が入り込んだ状態で硬化されるため、接着剤等を使用しなくともクッション部材31と熱伝導シート30とを強固に固定することができる。なお、図4では、熱伝導シート30同士の隙間を大きくして、見やすさを優先しているが、隙間を限りなく小さくして熱伝導シート30をスパイラル状に巻いても良い。
こうして出来上がった放熱部材28a,28b,28cは、クッション部材31の外側面よりも熱伝導シート30の厚さ分だけ突出した形態を有する。ただし、熱伝導シート30とクッション部材31とは、面一であっても良い。また、熱伝導性オイルは、熱伝導シート30のうち少なくともバッテリーセル20と接触する面に塗布されれば良い。熱伝導シート30のクッション部材31の両端からはみ出した部分をカットする工程および熱伝導性オイルを塗布する工程は、上述のタイミングで行うことに限定されず、少なくともクッション部材31に熱伝導シート30を巻いた後であれば、いつ行ってもよい。また、熱伝導シート30は、クッション部材31を完全に硬化させた状態で、その外側面に巻いてもよい。この場合、クッション部材31の外側面が粘着性を有していなければ、接着剤等を使用して熱伝導シート30をクッション部材31に固定してもよい。
放熱構造体25は、上述の製造方法により製造された複数の放熱部材28a,28b,28cを、熱伝導シート30の巻回しながら進行する方向(放熱部材28a,28b,28cの長さ方向)と直交する方向に並べた状態で、連結部材35で連結することにより製造される。放熱構造体25は、複数の放熱部材28a,28b,28cを並べた状態で、手縫いで糸を縫い付けることにより連結されても良い。
連結部材35は、ミシン等を用いて複数の放熱部材28a,28b,28cを縫い付ける部材でも良い。連結部材35の縫い方は、特に限定されず、手縫い、本縫い、千鳥縫い、単環縫い、二重環縫い、縁かがり縫い、扁平縫い、安全縫い、オーバーロック等の如何なる縫い方でも良い。また、JIS L 0120の規定する表示記号によれば、好適な縫い方として、「101」、「209」、「301」、「304」、「401」、「406」、「407」、「410」、「501」、「502」、「503」、「504」、「505」、「509」、「512」、「514」、「602」および「605」の各種縫い目を構成する縫い方を例示できる。
3.バッテリー
図5は、この実施形態に係るバッテリーを、放熱構造体の高さ方向(Z方向)に切断した断面図および当該断面図中の領域Eの拡大図をそれぞれ示す。
本願では、特筆しない限り、「断面」あるいは「縦断面」とは、バッテリー1の筐体11の内部14における上方開口面から底部12へと垂直に切断する方向の断面を意味する。また、「上」は筐体11の開口面の方向を、「下」は筐体11の底部12の方向を、それぞれ意味する。
図5に示すように、バッテリー1は、冷却部材15を接触させる筐体11内に複数のバッテリーセル20(熱源の一例)を備えた構造を有する。放熱構造体25は、好ましくは、バッテリーセル20の冷却部材15に近い側の端部(下端部)と冷却部材15に近い側の筐体11の一部(底部12)との間に備えられている。ここでは、放熱構造体25は、7個のバッテリーセル20を載置しているが、放熱構造体25に載置するバッテリーセル20の個数は7個に限定されない。また、バッテリー1に備えられる放熱構造体25を構成する放熱部材28の個数についても、特に限定されない。
次に、バッテリー1の構成について、より詳しく説明する。
この実施形態において、バッテリー1は、例えば、電気自動車用のバッテリーであって、多数のバッテリーセル(単に、セルと称しても良い。)20を備える。バッテリー1は、一方に開口する有底型の筐体11を備える。筐体11の上方開口面は、閉鎖されていても良い。筐体11は、好ましくは、アルミニウム若しくはアルミニウム基合金から成る。バッテリーセル20は、筐体11の内部14に配置される。バッテリーセル20の上方には、電極が突出して設けられている。複数のバッテリーセル20は、好ましくは、筐体11内において、その両側からネジ等を利用して圧縮する方向に力を与えられて、互いに密着するようになっている(不図示)。筐体11の底部12には、冷却部材15の一例である冷却水を流すために、1または複数の水冷パイプ13が備えられている。冷却部材は、冷却媒体あるいは冷却剤と称しても良い。バッテリーセル20は、底部12との間に、放熱構造体25を挟むようにして筐体11内に配置されている。このような構造のバッテリー1では、バッテリーセル20は、放熱構造体25を通じて筐体11に伝熱して、水冷によって効果的に除熱される。なお、冷却部材15は、冷却水に限定されず、液体窒素、エタノール等の有機溶剤も含むように解釈される。冷却部材15は、冷却に用いられる状況下にて、液体であるとは限らず、気体若しくは固体でも良い。
複数のバッテリーセル20の下端面(すなわち、放熱構造体25と接する側の面)は、完全な平面とは限らず、むしろ凹凸を有する面である。放熱構造体25を構成している複数の放熱部材28が同一の高さを有していると、バッテリーセル20の下端面と放熱部材28との密着性を確保することが難しい場合がある。このため、放熱部材28は、バッテリーセル20と底部12との隙間の大きさに対応するように、複数種の高さ(この実施形態では「直径」を意味する)を有する放熱部材28a,28b,28cとしている。すなわち、バッテリー1は、冷却機能を有する筐体11内に、1または2以上の熱源としてのバッテリーセル20を備えたバッテリーであって、バッテリーセル20と筐体11との間に放熱構造体25を備え、バッテリーセル20と筐体11との隙間の高さに対応して、高さの異なる3種の放熱部材28a,28b,28cを配置している。なお、放熱部材28の種類は、3種類に限定されず、2種類あるいは4種類以上でも良い。
より具体的には、放熱構造体25は、高さの揃った同種の放熱部材28cを5本集合させて連結しており、その隣に、より高さの大きな別の種類の放熱部材28bを4本集合させ、さらに放熱部材28cの放熱部材28bと反対側には、さらに高さの大きな別の種類の放熱部材28aを3本集合させている。ただし、放熱部材28a,28b,28cのそれぞれの数は、3本、4本および5本に限定されない。これらの数は、放熱部材28a,28b,28cの各幅方向の長さ(この実施形態では直径)や、バッテリーセル20の幅方向の長さに依存する。バッテリーセル20は、好ましくは、各下端面に、同種の放熱部材28a(放熱部材28bあるいは放熱部材28c)を配置する。放熱構造体25は、予め、複数のバッテリーセル20の凹凸状況に対応可能に、放熱部材28a,28b,28cの配置を決定されている。バッテリーセル20は、同種であっても、その発熱レベルが異なる場合がある。そのような場合には、バッテリーセル20の熱膨張の程度が予測可能である。放熱構造体25中の放熱部材28a,28b,28cの配置および数は、バッテリーセル20の熱膨張の予測あるいは過去の膨張記録などに応じて決定することもできる。一方、筐体11内のバッテリーセル20が異なる種類のものを含む場合には、バッテリーセル20が最初から異なる大きさを有し、あるいは膨張の程度が異なる。そのような場合、放熱構造体25中の放熱部材28a,28b,28cの配置および数は、バッテリーセル20の大きさや熱膨張の程度に応じて決定することが容易である。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る放熱構造体および当該放熱構造体を備えるバッテリーについて説明する。第2実施形態において第1実施形態と共通する部分については同じ符号を付して重複した説明を省略する。
第2実施形態に係る放熱構造体およびバッテリーは、放熱部材の構造を除き、第1実施形態に係る放熱構造体25およびバッテリー1と共通する。以下、第2実施形態に係る放熱構造体を構成する放熱部材の構造および当該放熱部材の製造方法の一部を説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係る放熱構造体を構成する放熱部材の製造方法の一部を示す。
放熱部材28a,28b,28c(総称して、放熱部材28ともいう)は、クッション部材31を、筒状クッション部材とせずに、熱伝導シート30の裏側に備えられる帯状のクッション部材であって熱伝導シート30と共にスパイラル状に巻回されているスパイラル状のクッション部材とする。
上述のスパイラル状のクッション部材31(「スパイラル状クッション部材」ともいう)を備える放熱構造体の製造方法の一例は、次の通りである。
まず、略同等の幅を持つ熱伝導シート30およびクッション部材31の二層からなる積層体40を製造する。次に、熱伝導シート30の表面に、熱伝導性オイルを塗布する。そして、熱伝導性オイルが塗布された積層体40をスパイラル状(コイル状と称しても良い)に、一方向に進行するように巻回する。こうして、積層体40をスパイラル状に巻回した細長い形状の放熱部材28が完成する。なお、熱伝導性オイルは、積層体40を製造する前に熱伝導シート30上に塗布しても良いし、最後に熱伝導シート30上に塗布しても良い。また、積層体40は、好ましくは、クッション部材31が完全には硬化していない未硬化状態で、熱伝導シート30をクッション部材31に積層し、その後、加温によりクッション部材31を完全に硬化させて形成される。
放熱構造体25は、複数の放熱部材28を、熱伝導シート30の巻回しながら進行する方向(放熱部材28の長さ方向)と直交する方向に並べた状態で、連結部材35で連結することにより製造される。なお、複数の放熱部材28を連結部材35で連結する方法は、第1実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
放熱部材28は、その長さ方向に貫通する貫通路32を備えているが、第1実施形態に係る放熱部材28と異なり、放熱部材28の外側面方向にも貫通している。放熱部材28は、スパイラル状であるため、第1実施形態の放熱部材28に比べて、放熱部材28の長さ方向(図6(6B)の白矢印方向)に伸縮容易である。
放熱構造体25は、第1実施形態に係るバッテリー1と同様、バッテリーセル20と筐体11の底部12との間に配置される。放熱部材28は、バッテリーセル20と底部12との空間の高さの大小に応じて、異なる高さの放熱部材28a,28b,28cを配置した構造を有する。このため、底部12の表面が平滑で、複数のバッテリーセル20によって形成される面に凹凸が生じる場合であっても、各バッテリーセル20から放熱部材28a,28b,28cを経由し、底部12、冷却部材15へと効果的に放熱可能である。なお、バッテリーセル20と筐体11の内側面との隙間、および/またはバッテリーセル20同士の隙間にも、放熱構造体25を配置することができる。
(各実施形態の作用・効果)
以上説明したように、放熱構造体25は、バッテリーセル20からの放熱を高めるための複数本の放熱部材28a,28b,28cを放熱部材28a,28b,28cの幅方向に並べて連結した放熱構造体である。放熱部材28a,28b,28cは、バッテリーセル20からの熱を伝えるためのスパイラル状に巻回しながら進行する形状の熱伝導シート30と、熱伝導シート30の環状裏面に備えられ、熱伝導シート30に比べてバッテリーセル20の表面形状に合わせて変形容易なクッション部材31と、を備える。放熱構造体25は、高さの異なる複数種の放熱部材28a,28b,28cを備える。このような構造の放熱構造体25は、その高さ方向両側から熱伝導可能な部材(上述の各実施形態ではバッテリーセル20と底部12)で挟む場合に、当該部材に凹凸があっても当該部材に密着容易となる。この結果、放熱構造体25の熱伝導効果(放熱効果ともいう)をより高めることができる。
また、放熱部材28a,28b,28cは、熱伝導シート30の巻回しながら進行する方向に貫通する貫通路32を、さらに備えている。このため、放熱部材28a,28b,28cは、貫通路32を備えていない場合に比べて、容易に弾性変形可能となる。また、貫通路32は、熱伝導シート30の破損防止および放熱構造体25の軽量化にも寄与する。
また、放熱構造体25を構成するクッション部材31は、その長さ方向に貫通路32を有する筒状クッション部材である。熱伝導シート30は、筒状クッション部材の外側面をスパイラル状に巻回している。バッテリー1は、かかる放熱構造体25をバッテリーセル20に接触させて筐体11に備える。熱伝導シート30は、筒状クッション部材の外側面を部分的に覆っていて、かつスパイラル状に筒状クッション部材の長さ方向に巻回している。バッテリー1は、放熱構造体25を、少なくともバッテリー20と冷却部材15との間に配置している。このため、放熱構造体25は、バッテリーセル20の表面の凹凸等に追従して、より容易に変形できる。
また、放熱構造体25において、クッション部材31は、熱伝導シート30の環状裏面に沿ってスパイラル状に巻回しているスパイラル状クッション部材である。バッテリー1は、放熱構造体25を、少なくともバッテリー20と冷却部材15との間に配置している。放熱構造体25は、その全体がスパイラル形状になっているので、バッテリーセル20の種々のサイズに、より適応しやすい。より具体的には、次のとおりである。剛性の高い熱伝導シート30を備える場合でも、低荷重で熱伝導シート30を変形させ、バッテリーセル20の表面に追従・密着させることができる。さらに、部分的に異なる量の変形量であっても、密着追従性が良くなる。また、クッション部材31もスパイラル状に切れているので、1回転ずつのスパイラルが概略独立しているかのような変形を起こすことができる。したがって、放熱構造体25は、局所的な変形の自由度を高くできる。加えて、放熱構造体25は、貫通路32のみならず、貫通路32から側面にも貫通するスパイラル状の貫通溝を備えているので、より軽量になる。
また、放熱構造体25は、複数本の放熱部材28a,28b,28cをそれらの幅方向に並べた状態で連結する連結部材35を備える。連結部材35は、好ましくは、糸で構成されている。このため、放熱部材28a,28b,28cが自由に移動できないようにできる。さらに、連結部材35は、放熱部材28a,28b,28cの間に、放熱部材28a,28b,28cの自由な移動をさらに規制するための撚り部37を備えている。このため、放熱部材28a,28b,28cの動きは、より制限される。この結果、バッテリーセル20の下端面に接触する放熱部材28a,28b,28cの面積を一定に維持しやすい。
また、熱伝導シート30の表面に、当該表面に接触するバッテリーセル20から当該表面への熱伝導性を高めるための熱伝導性オイルを有する。熱伝導シート30は、微視的に、隙間(孔あるいは凹部)を有する。通常、当該隙間には空気が存在し、熱伝導性に悪影響を及ぼす可能性が有る。熱伝導性オイルは、その隙間を埋めて、空気に代わって存在することになり、熱伝導シート30の熱伝導性を向上させる機能を有する。
また、熱伝導性オイルは、シリコーンオイルと、シリコーンオイルより熱伝導性が高く、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーとを含む。シリコーンオイルは、耐熱性、耐寒性、粘度安定性、熱伝導性に優れたオイルであるため、熱伝導シート30の表面に塗布して、バッテリーセル20と熱伝導シート30との間に介在させる熱伝導性オイルとして特に好適である。また、熱伝導性オイルは、熱伝導性フィラーを含むため、熱伝導シート30の熱伝導性を高めることができる。
バッテリー1は、冷却機能を有する筐体11内に、1または2以上の熱源としてのバッテリーセル20を備えたバッテリーである。バッテリーセル20と筐体11との間に、上述の放熱構造体25が備えられている。バッテリー1は、バッテリーセル20と筐体11との隙間の高さに対応して、高さの異なる複数種の放熱部材28a,28b,28cを配置している。このため、放熱構造体25は、バッテリーセル20の表面の凹凸等に追従して、より容易に変形できる。
放熱構造体25は、高さの揃った同種の放熱部材28cを複数本集合させて連結しており、その隣に、より高さの大きな別の種類の放熱部材28a(または放熱部材28b)を複数本集合させて連結している。底部12からの距離(高さ)の小さいバッテリーセル20には、放熱部材28cを接触させ、底部12からの距離(高さ)の大きなバッテリーセル20には、放熱部材28a(または放熱部材28b)を接触させることができる。これによって、バッテリーセル20の下端面から底部12までの距離が異なる状況がある場合でも、その距離に対応した高さの放熱部材を複数組み合わせて、バッテリーセル20の下端面と底部12とに密着可能な放熱構造体25を構築できる。
(その他の実施形態)
上述のように、本発明の好適な各実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されることなく、種々変形して実施可能である。
図7は、放熱構造体の上にバッテリーセルの側面を接触させるように横置きする状況および横置き後にバッテリーセルを充電若しくは放電したときの状況の一部断面図をそれぞれ示す。
先述の各実施形態では、バッテリーセル20を縦にしてその下端に放熱構造体25を接触せしめている状況について説明したが、バッテリーセル20の配置形態は、これに限定されない。図7に示すように、バッテリーセル20の側面を放熱構造体25の各放熱部材28a,28b,28cに接触させるように、バッテリーセル20を配置しても良い。バッテリーセル20は、充電および放電の際に温度上昇する。バッテリーセル20の容器自体が柔軟性に富む材料にて形成されていると、バッテリーセル20の特に側面が膨らむ可能性がある。そのような場合でも、図7に示すように、放熱構造体25を構成している各放熱部材28a,28b,28cを、バッテリーセル20が膨張した際の形態に合うように配置しておけば、放熱部材28a,28b,28cとバッテリーセル20との密着性を高めることができる。この結果、バッテリーセル20の充放電時に、バッテリーセル20からの放熱を促進できる。
熱源は、バッテリーセル20のみならず、回路基板、回路基板上の電子部品、電子機器本体などの熱を発する対象物を全て含む。例えば、熱源は、キャパシタおよびICチップ等の電子部品であっても良い。同様に、冷却部材15は、冷却用の水のみならず、有機溶剤、液体窒素、冷却用の気体であっても良い。また、放熱構造体25は、バッテリー1以外の構造物、例えば、電子機器、家電、発電装置等に配置されていても良い。放熱構造体25を、バッテリー1以外の構造物における不均一な幅の隙間に配置される場合、高さの異なる放熱部材28a,28b,28cを当該隙間の大きさに対応させて配置することによって、放熱性をより高めることができる。
放熱部材28a,28b,28cは、同じ長さを有していなくとも良い。放熱部材28a,28b,28cは、円筒形状若しくは円柱形状以外に、角柱形状若しくは楕円柱形状でも良い。また、放熱部材28におけるスパイラル状のクッション部材31は、熱伝導シート30の幅と同一に限定されず、熱伝導シート30の幅に対して大きくても、あるいは小さくても良い。放熱部材28a,28b,28cは、糸以外の連結部材で連結されていても良い。
また、上述の各実施形態の複数の構成要素は、互いに組み合わせ不可能な場合を除いて、自由に組み合わせ可能である。
本発明に係る放熱構造体は、例えば、自動車用バッテリーの他、自動車、工業用ロボット、発電装置、PC、家庭用電化製品などの各種電子機器にも利用することができる。また、本発明に係るバッテリーは、自動車用のバッテリー以外に、家庭用の充放電可能なバッテリー、PC等の電子機器用のバッテリーにも利用できる。
1・・・バッテリー、11・・・筐体、15・・・冷却部材、20・・・バッテリーセル(熱源の一例)、25・・・放熱構造体、28,28a,28b,28c・・・放熱部材、30・・・熱伝導シート、31・・・クッション部材、32・・・貫通路、35・・・連結部材、37・・・撚り部。

Claims (10)

  1. 熱源からの放熱を高めるための複数本の放熱部材を前記放熱部材の幅方向に並べて連結した放熱構造体であって、
    前記放熱部材は、
    前記熱源からの熱を伝えるためのスパイラル状に巻回しながら進行する形状の熱伝導シートと、
    前記熱伝導シートの裏面に備えられ、前記熱伝導シートに比べて前記熱源の表面形状に合わせて変形容易なクッション部材と、
    を備え、
    高さの異なる複数種の前記放熱部材を備える放熱構造体。
  2. 前記放熱部材に、前記熱伝導シートの巻回しながら進行する方向に貫通する貫通路を、さらに備える請求項1に記載の放熱構造体。
  3. 前記クッション部材は、前記貫通路を有する筒状クッション部材であって、
    前記熱伝導シートは、前記筒状クッション部材の外側面をスパイラル状に巻回している請求項2に記載の放熱構造体。
  4. 前記クッション部材は、前記熱伝導シートの前記裏面に沿ってスパイラル状に巻回しているスパイラル状クッション部材である請求項2に記載の放熱構造体。
  5. 複数本の前記放熱部材を前記幅方向に並べた状態で連結する連結部材を備え、
    前記連結部材は、糸で構成される請求項1から4のいずれか1項に記載の放熱構造体。
  6. 前記連結部材は、前記放熱部材同士の間に、撚りが加えられた撚り部を備える請求項5に記載の放熱構造体。
  7. 前記熱伝導シートの表面に、当該表面に接触する熱源から当該表面への熱伝導性を高めるための熱伝導性オイルを有する請求項1から6のいずれか1項に記載の放熱構造体。
  8. 前記熱伝導性オイルは、シリコーンオイルと、前記シリコーンオイルより熱伝導性が高く、金属、セラミックスまたは炭素の1以上からなる熱伝導性フィラーとを含む請求項7に記載の放熱構造体。
  9. 冷却機能を有する筐体内に、1または2以上の熱源としてのバッテリーセルを備えたバッテリーであって、前記バッテリーセルと前記筐体との間に、請求項1から8のいずれか1項に記載の放熱構造体を備え、
    前記バッテリーセルと前記筐体との隙間の高さに対応して、高さの異なる複数種の前記放熱部材を配置しているバッテリー。
  10. 前記放熱構造体は、高さの揃った同種の前記放熱部材を複数本集合させて連結しており、その隣に、より高さの大きな別の種類の前記放熱部材を複数本集合させて連結している請求項9に記載のバッテリー。

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