JP2021111719A - 半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】半導体装置において、導体スペーサの熱変形によって生じる、接合層や半導体素子の電極の熱応力を緩和する。【解決手段】半導体装置であって、一対の導体部材と、一対の導体部材の間に配置された半導体素子と、半導体素子と一方の導体部材との間に配置された導体スペーサと、を備え、導体スペーサは、半導体素子に接合された接合面を有し、接合面には、その周縁に沿ってスリットが設けられている。【選択図】図2
Description
本明細書が開示する技術は、半導体装置に関する。
特許文献1に、半導体装置が開示されている。この半導体装置は、一対の導体部材と、一対の導体部材の間に配置された半導体素子と、半導体素子と一方の導体部材との間に配置された導体スペーサと、を備える。
上記した半導体装置では、半導体素子や導体スペーサといった構成要素が、互いに異なる線膨張係数を有する。従って、通電に伴って半導体装置の温度が上昇すると、それぞれの構成要素には、その線膨張係数の相違に起因して、互いに異なる熱変形が生じ得る。特に、金属等の導体で構成された導体スペーサと、主に半導体基板で構成された半導体素子との間では、それぞれに生じる熱変形の差が比較的に大きい。従って、それらの間に位置する接合層(例えば、はんだ層)や、その接合層に接する半導体素子の電極には、比較的に大きな熱応力が生じやすい。本明細書では、このような問題を解決又は少なくとも軽減し得る技術を提供する。
本明細書が開示する半導体装置は、一対の導体部材と、一対の導体部材の間に配置された半導体素子と、半導体素子と一方の導体部材との間に配置された導体スペーサと、を備え、導体スペーサは、半導体素子に接合された接合面を有し、接合面には、その周縁に沿ってスリットが設けられている。
上記した半導体装置では、導体スペーサが、半導体素子との接合面にスリットを有する。導体スペーサがスリットを有していると、導体スペーサの剛性(弾性係数)が低下することで、導体スペーサに生じる熱応力が低下して、導体スペーサに生じる熱変形が抑制される。その結果、導体スペーサと半導体素子との間に位置する接合層や、その接合層に接する半導体素子の電極において、熱応力が緩和されることとなり、半導体装置の耐久性が向上する。
その一方で、導体スペーサにスリットが設けられると、導体スペーサの伝熱特性が低下するという問題がある。この点に関して、上記した半導体装置では、導体スペーサのスリットが、接合面の周縁に沿って設けられている。一般に、半導体素子の温度は、その中央部において最も高く、導体スペーサを通過する熱量も、接合面の中央部において最大となる。従って、接合面の中央部を避け、接合面の周縁に沿ってスリットを設けることで、導体スペーサの伝熱特性に与える影響を、有意に抑制することができる。
図面を参照して、実施例の半導体装置10について説明する。本実施例の半導体装置10は、電力制御装置に採用され、例えばインバータやコンバータといった電力変換回路の一部を構成することができる。ここでいう電力制御装置は、特に限定されないが、例えば電気自動車や、ハイブリッド自動車や燃料電池車等に搭載され、電源とモータとの間で電力変換を行うものであってよい。
図1及び図2に示すように、半導体装置10は、半導体素子20及び封止体12を備える。半導体素子20は、封止体12の内部に封止されている。封止体12は、例えばエポキシ樹脂といった絶縁性を有する材料を用いて構成されている。
半導体素子20は、パワー半導体素子であって、一対の主電極20a、20bと、一又は複数の信号パッドとを有する。一対の主電極20a、20bは、電力回路用の電極であって、第1主電極と、第2主電極とを含む。第1主電極20a及び信号パッドは、半導体素子20の一方の表面に位置しており、第2主電極20bは、半導体素子20の他方の表面に位置している。
半導体素子20は、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)又は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)といったスイッチング素子であって、一対の主電極20a、20bの間を電気的に導通及び遮断することができる。但し、半導体素子20の種類や数については特に限定されない。半導体素子20を構成する半導体材料には、例えばケイ素(Si)、炭化ケイ素(SiC)又は窒化ガリウム(GaN)又は他の種類の半導体材料を採用することができる。
一対の主電極20a、20b及び信号パッドは、アルミニウム系又は他の金属といった導体材料を用いて構成されている。信号パッドは、信号回路用の電極であって、前述したように、第1主電極20aと同じく、半導体素子20の前記一方の表面に位置している。信号パッドは、封止体12の内部において、後述する信号端子18に接続されている。
半導体装置10は、一対の導体部材22、24と、導体スペーサ30とをさらに備える。一対の導体部材22、24は、上側導体部材22と下側導体部材24とを含み、半導体素子20を介して互いに対向している。導体部材22、24と、導体スペーサ30は、例えば銅、アルミニウム、その他の金属といった熱伝導性に優れた材料で構成されている。導体部材22、24と、導体スペーサ30は、概して直方体形状又は板形状の部材であり、それぞれ、上面と上面とは反対側に位置する下面を有する。
導体スペーサ30は、上側導体部材22と半導体素子20との間に配置されている。導体スペーサ30の下面(以降、接合面30bとする)は、第2接合層27を介して半導体素子20の第1主電極20aに接合されている。導体スペーサ30の上面30aは、第1接合層26を介して上側導体部材22に接合されている。導体スペーサ30の接合面30bには、スリット40が設けられている。スリット40は、図4に示すように、接合面30bの周縁に沿って設けられている。このスリット40の作用効果については、後段において詳細に説明する。
上側導体部材22の下面は、前述したように、第1接合層26を介して導体スペーサ30の上面30aに接合されている。即ち、上側導体部材22は、半導体素子20と電気的及び熱的に接続されている。一方、上側導体部材22の上面は、封止体12の上面において外部に露出されている。これにより、上側導体部材22は、半導体素子20の熱を外部に放出する放熱板としても機能する。なお、上側導体部材22と封止体12の構成は、特に限定されない。例えば、上側導体部材22が、封止体12によって封止されてもよく、例えば図9に示すように、DBC(Direct Bonded Copper)といった絶縁基板で構成されてもよい。
同様に、下側導体部材24の上面は、第3接合層28を介して半導体素子20の第2主電極20bに接合されている。即ち、下側導体部材24は、半導体素子20と電気的及び熱的に接続されている。そして、下側導体部材24の下面は、封止体12の下面において外部に露出されている。これにより、下側導体部材24もまた、半導体素子20の熱を外部に放出する放熱板としても機能することができる。下側導体部材24についても、上側導体部材22と同様に、例えばDBCといった絶縁基板で構成されてもよい(図9参照)。
半導体装置10は、第1電力端子14と、第2電力端子16と、複数の信号端子18とをさらに備える。第1電力端子14と、第2電力端子16は、封止体12から突出している。第1電力端子14は、封止体12の内部において下側導体部材24と電気的に接続されており、第2電力端子16は、封止体12の内部において上側導体部材22と電気的に接続されている。これにより、第1電力端子14と第2電力端子16との間は、半導体素子20を介して電気的に接続されている。複数の信号端子18は、前述したように、半導体素子20の信号パッドと電気的に接続されている。特に限定されないが、半導体素子20の信号パッドと信号端子18との間は、例えばボンディングワイヤを介して接続されてもよく、あるいは、接合層を介して直接的に接続されてもよい。
接合層26、27、28は、特に限定されないが、例えばはんだといった導電性を有する接合材によって構成されてよい。
一般に、半導体装置10では、半導体素子20や導体スペーサ30といった構成要素が、互いに異なる線膨張係数を有する。従って、通電に伴って半導体装置10の温度が上昇すると、それぞれの構成要素には、その線膨張係数の相違に起因して、互いに異なる熱変形が生じ得る。特に、金属等の導体で構成された導体スペーサ30と、主に半導体基板で構成された半導体素子20との間では、それぞれに生じる熱変形の差が比較的に大きい。従って、それらの間に位置する第2接合層27や、第2接合層27に接する第1主電極20aには、比較的に大きな熱応力が生じやすい。
この点に関して、本実施例では、図1から図2に示すように、導体スペーサ30の接合面30bには、スリット40が設けられている。このような構成によると、導体スペーサ30の剛性(弾性係数)が低下することで、導体スペーサ30に生じる熱応力が低下して、導体スペーサ30に生じる熱変形が抑制される。その結果、導体スペーサ30と半導体素子20との間に位置する第2接合層27や、第2接合層27に接する第1主電極20aにおいて、熱応力が緩和されることとなり、半導体装置10の耐久性が向上する。
その一方で、導体スペーサ30にスリット40が設けられると、導体スペーサ30の伝熱特性が低下するという問題がある。この点に関して、実施例の導体スペーサ30のスリット40は、接合面30bの周縁に沿って設けられている。一般に半導体素子20の温度は、その中央部において最も高く、導体スペーサ30を通過する熱量も、接合面30bの中央部において最大となる。従って、接合面30bの中央部を避けて接合面30bの周縁に沿ってスリット40を設けることで、導体スペーサ30の伝熱特性に与える影響を、有意に抑制することができる。
スリット40の深さは特に限定されず、図2に示すように導体スペーサ30の上面30aに到達する深さであってもよく、図3に示すように導体スペーサ30の上面30aに到達しない深さであってもよい。即ち、スリット40は、有底のスリットであってもよい。また、スリット40は、図2に示すように空間であってもよく、図3に示すように第1接合層26又は第2接合層27を構成する接合材によって充填されてもよい。
図4に示すように、スリット40の平面視における形状は、接合面30bの3辺の周縁に沿う形状を有しているが、その形状は特に限定されない。例えば、図5に示すように、導体スペーサ30は、一辺の長さが異なる環状(ここでは四角形)のスリット40を、同心状に複数有してもよい。なお、本明細書において、スリット40の平面視における形状とは、導体スペーサ30の接合面30bに垂直な方向から見たときの形状を意味し、例えば図4において明示される形状である。また、スリット40の幅は、図4に示すように太くてもよく、図5に示すように細くてもよい。これらの例に限られず、スリット40の具体的な構成については、例えば、スリット40の加工の容易性や必要とされるスリット40の表面積に応じて、適宜設計することができる。
図6に示すように、導体スペーサ30は、半導体装置10の製造工程において、電力端子14、16や信号端子18等とともに、リードフレームの形態で一体に用意されてもよい。このような構成によると、半導体素子20に導体スペーサ30を接合する工程(例えば、リフロー工程)において、導体スペーサ30を位置決めしやすい。
半導体装置10の具体的な構成は、様々に変更することができる。例えば図7に示すように、半導体装置10は、二つの半導体素子20を備えるとともに、それぞれの半導体素子20について、一対の導体部材22、24及び導体スペーサ30を備えてもよい。この場合、一方の半導体素子20の上側導体部材22と、他方の半導体素子20の下側導体部材24とが、封止体12の内部で電気的に接続されていてもよい。このような構成によると、半導体装置10は、二つの半導体素子20が直列に接続された構造を有し、例えばインバータ回路において上下一対のアームを構成することができる。なお、図8に示すように、二つ半導体素子20は、積層配置されてもよく、上側に位置する半導体素子20のための下側導体部材24と、下側に位置する半導体素子20のための上側導体部材22とが、共通の導体部材で構成されてもよい。
以上、いくつかの具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは組み合わせによって技術的有用性を発揮するものである。
10: 半導体装置
12:封止体
14:第1電極端子
16:第2電極端子
18:信号端子
20:半導体素子
22:上側導体部材
24:下側導体部材
26、27、28:接合層
30:導体スペーサ
30a:上面
30b:接合面
40:スリット
12:封止体
14:第1電極端子
16:第2電極端子
18:信号端子
20:半導体素子
22:上側導体部材
24:下側導体部材
26、27、28:接合層
30:導体スペーサ
30a:上面
30b:接合面
40:スリット
Claims (1)
- 一対の導体部材と
前記一対の導体部材の間に配置された半導体素子と、
前記半導体素子と一方の導体部材との間に配置された導体スペーサと、
を備え、
前記導体スペーサは、前記半導体素子に接合された接合面を有し、
前記接合面には、その周縁に沿ってスリットが設けられている、
半導体装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020003597A JP2021111719A (ja) | 2020-01-14 | 2020-01-14 | 半導体装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020003597A JP2021111719A (ja) | 2020-01-14 | 2020-01-14 | 半導体装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021111719A true JP2021111719A (ja) | 2021-08-02 |
Family
ID=77060435
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020003597A Pending JP2021111719A (ja) | 2020-01-14 | 2020-01-14 | 半導体装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021111719A (ja) |
-
2020
- 2020-01-14 JP JP2020003597A patent/JP2021111719A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20200720 |