JP2021109901A - 導電性組成物およびその固形物、並びにトランスデューサ - Google Patents

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Abstract

【課題】トランスデューサに適した電極材料として、弾性率が誘電体よりも低く、誘電体の変形機能を阻害せず、誘電体が弾性変形した場合でも追従することができ、かつ電極が伸張変形した場合であっても電気抵抗値の安定性に優れた導電性組成物を提供する。【手段】ガラス転移温度が30℃以上のハードセグメントアクリレートブロックと、ガラス転移温度が0℃未満のソフトセグメントアクリレートブロックとを有するアクリルブロック共重合体からなるエラストマー、および、導電性粒子を含んでなる導電性組成物であって、前記アクリルブロック共重合体は、前記ハードセグメントアクレートブロックと前記ソフトセグメントアクリレートブロックとのモル比率が1:99〜12:88であるアクリルブロック共重合体Aと、前記ハードセグメントアクレートブロックと前記ソフトセグメントアクリレートブロックとのモル比率が13:87〜70:30であるアクリルブロック共重合体Bと、を含み、前記アクリルブロック共重合体Aと前記アクリルブロック共重合体Bとを、質量基準において95:5〜10:90の割合で含むことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、導電性組成物に関し、より詳細には、トランスデューサの電極として好適に使用することができる導電性組成物に関する。
トランスデューサは、いわゆる変換器であり、ある種類のエネルギーを別なものに変える装置のことである。例えば、電気的エネルギーを運動エネルギーに変えるアクチュエーターや、形状の変形により電気信号を発生するセンサー等である。例えばアクチュエーターは、誘電エラストマーからなる誘電層を一対の電極で挟持した構造を有している。このような構造を有するアクチュエーターは、電極間への印加電圧を大きくすることで電極間の静電引力が大きくなるため、電極に挟まれた誘電層が圧縮されて平行方向に伸長する一方、印加電圧を小さくすると電極間の静電引力が小さくなり、圧縮力が小さくなることで、誘電層は平行方向に収縮する。このようにアクチュエーターは、誘電層を伸長、収縮させることで駆動する特性を有するため、近年、導電性高分子、イオン導電性高分子、誘電体エラストマー等の高分子材料を利用したアクチュエーターが提案されている。
上記のようなエラストマーを用いたトランスデューサでは、誘電体エラストマーの変形に追従するように電極も変形できることが望ましい。即ち、市販の銀ペーストから形成された電極では柔軟性に乏しく、バインダー自体の弾性率も高いことに加えて、銀粉末が高充填されているため、形成された電極の弾性率は高くなり、誘電体エラストマーが変形した際に電極が追従できずにクラックが発生し、著しく電気抵抗が増加してしまう場合がある。また、電圧損失をできるだけ少なくし、応答性を向上させるためには、電極が変形した場合でも電極の電気抵抗が低いことが望ましいといえる。
このような観点から、例えば、特許文献1では、電極として、カーボンブラックや銀粉等の導電粒子に溶剤やエラストマーを配合したペーストを使用することが提案されている。また、特許文献2には、導電粒子として形状の異なる二種類の金属フィラーをエラストマーに配合した導電性組成物からなる導電膜が開示されている。
特開2009−124839号公報 特開2010−153364号公報
近年、電気的刺激により駆動するアクチュエーター等のトランスデューサを筋肉等の生体組織に適用する技術が注目されており、使用する誘電体として、高分子ゲル、メタルコンポジットイオンポリマー、導電性ポリマー、誘電性エラストマー等、従来にも増して弾性率の小さい柔軟な材料を使用することが進められている。そのため、これらのトランスデューサに採用する電極材料は、誘電体と同等またはそれ以上に弾性率が低く、柔軟でなければトランスデューサとしての変形機能を阻害することになる。即ち、トランスデューサに適した電極材料として、誘電体が弾性変形した場合でも追従することができ、かつ電極が伸張変形した場合であっても電気抵抗値の安定性に優れた導電性組成物が希求されている。
そこで、本発明の目的は、トランスデューサに適した電極材料として、弾性率が誘電体よりも低く、誘電体の変形機能を阻害せず、誘電体が弾性変形した場合でも追従することができ、かつ電極が伸張変形した場合であっても電気抵抗値の安定性に優れた導電性組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、このような導電性組成物を固化させた導電体、および該導電体を備えたトランスデューサを提供することにある。
本発明者らは、導電性組成物のエラストマー成分として、ハードセグメントアクリレートブロックとソフトセグメントアクリレートブロックとの比率が特定範囲にある2種のアクリルブロック共重合体を特定割合で組み合わせて使用することにより、上記課題を解決できるとの知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。即ち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] ガラス転移温度が30℃以上のハードセグメントアクリレートブロックと、ガラス転移温度が0℃未満のソフトセグメントアクリレートブロックとを有するアクリルブロック共重合体からなるエラストマー、および、導電性粒子を含んでなる導電性組成物であって、
前記アクリルブロック共重合体は、
前記ハードセグメントアクレートブロックと前記ソフトセグメントアクリレートブロックとのモル比率が1:99〜12:88であるアクリルブロック共重合体Aと、
前記ハードセグメントアクレートブロックと前記ソフトセグメントアクリレートブロックとのモル比率が13:87〜70:30であるアクリルブロック共重合体Bと、
を含み、
前記アクリルブロック共重合体Aと前記アクリルブロック共重合体Bとを、質量基準において95:5〜10:90の割合で含むことを特徴とする、導電性組成物。
[2] 前記導電性粒子が、導電性組成物の不揮発成分に対して5〜95質量%含まれる、[1]に記載の導電性組成物。
[3] [1]または[2]に記載の導電性組成物を固化させた導電体であって、弾性率が1MPa以下であることを特徴とする、導電体。
[4] 誘電体と、前記誘電体を挟持する一対の電極とを備えたトランスデューサであって、
前記誘電体は弾性率が20MPa以下であり、
前記電極が[3]に記載の導電体からなることを特徴とする、トランスデューサ。
本発明によれば、導電性組成物のエラストマー成分として、ハードセグメントアクリレートブロックとソフトセグメントアクリレートブロックとの比率が特定範囲にある2種のアクリルブロック共重合体を特定割合で含むアクリルブロック共重合体をエラストマーとして使用することにより、トランスデューサ用電極材料として、弾性率が誘電体よりも低く、誘電体の変形機能を阻害せず、誘電体が弾性変形した場合でも追従することができ、かつ電極が伸張変形した場合であっても電気抵抗値の安定性に優れた導電性組成物を提供することができる。
[導電性組成物]
本発明の導電性組成物は、エラストマーと前記エラストマーに分散された導電性粒子を含む。以下、本発明の導電性組成物が含有する各成分について詳述する。
<エラストマー>
本発明の導電性組成物は、エラストマーとして、ガラス転移温度が30℃以上のハードセグメントアクリレートブロックと、ガラス転移温度が0℃未満のソフトセグメントアクリレートブロックとを有するアクリルブロック共重合体を使用する。上記したアクリルブロック共重合体は、ゴム弾性を有する熱可塑性エラストマーとして知られており、導電性粒子を配合した際にも強靭性および柔軟性を有するとともに、導電性組成物をフィルム状に成形乾燥したときや基板に塗布して乾燥したときに優れたタック性を有することから、フレキシブル電子材料の電極材料として使用される場合があった。本発明においては、上記したアクリルブロック共重合体において、ハードセグメントアクレートブロック(以下、「Hブロック」と略す場合がある。)とソフトセグメントアクリレートブロック(以下、「Sブロック」と略す場合がある。)とのモル比率が1:99〜12:88であるアクリルブロック共重合体AとHブロックとSブロックとのモル比率が13:87〜70:30であるアクリルブロック共重合体Bとを、質量基準において95:5〜10:90の割合で含む。このようなHブロックとSブロックの比率の異なる2種のアクリルブロック共重合体を特定の割合で併用することで、弾性率がより一層低く、電極が伸張変形した場合であっても電気抵抗値の安定性に優れ、かつタック性にも優れる電極を形成できることを見出したものである。その理由は明らかではないが以下のように考えられる。
上記したアクリルブロック共重合体AおよびBを構成するHブロックのガラス転移温度は30℃以上であり、50℃以上であることがより好ましい。また、Sブロックのガラス転移温度は0℃未満であり、−20℃以下であることがより好ましい。なお、ガラス転移温度(Tg)は、例えば示差走査熱量測定(DSC)により測定できる。
本発明の効果をより一層奏する観点においては、アクリルブロック共重合体のHブロックを構成するモノマー単位としては、メチル(メタ)アクリレートやポリスチレン等が挙げられるが、なかでもメチルメタクリレートであることが好ましい。また、アクリルブロック共重合体のSブロックを構成する単位としては、n−ブチルアクリレート、ポリブタジエンや2−ヒドロキシエチルアクリレート等が挙げられるが、なかでもn−ブチルアクリレートであることが好ましい。なお、本願明細書において(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートを総称する用語であり、他の類似の表現についても同様である。また、Sブロックを構成するモノマー単位は、その一部または全部が変性されていてもよく、例えばカルボン酸変性処理または親水基変性処理が施されていてもよい。
上記したアクリルブロック共重合体は、Hブロック−Sブロック型(M−A型ともいう)のブロック共重合体であってもよく、Hブロック−Sブロック−Hブロック型(M−A−M型ともいう)のブロック共重合体であってもよいが、本発明の効果をより一層奏する観点からHブロック−Sブロック−Hブロック型のブロック共重合体であることが好ましい。
弾性率を低くしながら伸張変形に対する電気抵抗値の安定性やタック性を高次元でバランスさせる観点から、アクリルブロック共重合体AにおけるHブロックとSブロックのモル比率は1:99〜12:88であり、5:95〜12:88であることが好ましい。また、アクリルブロック共重合体BにおけるHブロックとSブロックのモル比率は13:87〜70:30であり、15:85〜30:70であることが好ましい。なお、HブロックとSブロックのモル比率は、核磁気共鳴(NMR)測定によって測定することができる。具体的には、例えば、アクリルブロック共重合体のHブロックを構成するモノマー単位がメチルメタクリレートであり、Sブロックを構成するモノマー単位がn−ブチルアクリレートである場合には、アクリルブロック共重合体1mgを重クロロホルム1gに溶解し、日本電子株式会社(JEOL)製:400YHにより、1H−NMRスペクトルを測定する。該スペクトルにおける3.6ppm付近のシグナルがメチルメタクリレート、4.0ppm付近のシグナルがn−ブチルアクリレートに帰属し、各シグナルの積分値の比によって、HブロックとSブロックのモル比率を得ることができる。
上記のようなアクリルブロック共重合体AおよびBは、例えば、特表2007−516326号公報または特表2005−515281号公報に記載された方法により得ることができる。
また、2種のアクリルブロック共重合体AおよびBにおいては、重量平均分子量は、好ましくは20,000〜400,000であり、より好ましくは30,000〜300,000である。重量平均分子量が20,000以上であることで、目的とする強靭性および柔軟性の効果が得られ、導電性組成物をフィルム状に成形乾燥したときや基板に塗布して乾燥したときに優れたタック性が得られる。また、重量平均分子量が400,000以下であることで、導電性組成物が良好な粘度を有し、より高い印刷性および加工性を達成できる。また、重量平均分子量が50,000以上である場合には、外部からの衝撃に対する緩和性において優れた効果が得られる。なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと略記する場合がある)によって測定することができる。
本発明の導電性組成物には、本発明特有の効果を損なわない範囲内で、上記した2種のアクリルブロック共重合体に加えて、他の熱可塑性エラストマーやゴムが含まれていてもよい。熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー、シリコーン系エラストマーなどが挙げられる。ゴムとしては、ジエン系ゴム、非ジエン系ゴムの何れでもよく、公知慣用のものを単独または二種以上を混合して用いることができる。
<導電性粒子>
本発明の導電性組成物に使用される導電性粒子としては、導電性組成物に使用される従来公知の材料を使用することができ、例えば、黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等の炭素粒子、銅粒子、ニッケル粒子、銀粒子等の金属粒子、WC、BC、ZrC、NbC、MoC、TiC、TaC等の金属炭化物、TiN、ZrN、TaN等の金属窒化物、WSi、MoSi等の金属ケイ化物などが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。上記した導電性粒子のなかでも、銀粒子やケッチェンブラックを好適に使用することができる。
導電性粒子における粒子の形状は、例えば球状、針状、楕円球状、フレーク状、鱗片状、不定形状等挙げられ、特に限定はされない。
導電性粒子として銀粉を使用する場合は、その平均一次粒子径が1.0μm以下、好ましくは0.1〜1.0μmであり、みかけ空隙率が50〜95%、好ましくは60〜95%の銀粒子を使用することが好ましい。このような銀粒子を上記したエラストマー中に含有させることにより、伸張前の初期電気抵抗値が低く、且つ伸張時にも電気抵抗値の安定性に優れた導電性を有する導電体を得ることができる。なお、銀粉の平均一次粒子径とは、粉体状態にある銀粉を走査型電子顕微鏡にて10,000倍の倍率で観察し、ランダムに10個の一次粒子を抽出し、その粒子径を測定した際のそれらの粒子径の平均値を意味する。また、銀粉のみかけ空隙率は、銀粉の一次粒子が連結して適度な空隙が存在する凝集構造(二次粒子)の状態を表す指標となるものであり、以下のようにして測定することができる。
すなわち、
銀の密度をρ(g/cm)とし、
質量M(g)の銀粉に、1kg重の荷重をかけたときの銀粉体積をV(cm)とした場合に、みかけ密度ρ(g/cm)は、
ρ=M/V
と定義され、みかけ密度から、下記式によりみかけ空隙率(P)を算出することができる。
P=(1−ρ/ρ)×100
なお、銀の密度ρは10.49g/cmであり、1kg重荷重時の銀粉体積Vは、荷重を付加してから1時間経過した後の銀粉体積とする。
上記したみかけ空隙率Pは、エラストマーと混合する前の銀粉の一次粒子どうしの凝集状態を表す指標となる。銀粉に対して一定荷重をかけると充填された銀粉の圧縮が進む。このとき、銀粉が凝集状態ではなく一次粒子どうしが分離している状態の場合は、圧縮後のみかけ空隙率は小さくなる。一方、銀粉が凝集状態を形成している場合は、凝集内部の空隙のため、みかけ空隙率は大きくなる。これにより、銀粉の一次粒子どうしの凝集状態をみかけ空隙率として評価することができる。
また、本発明において、銀粉の一次粒子の形状は略球状であることが好ましく、略球状の一次粒子が三次元かつランダムに連結した二次粒子の形態で導電性組成物中に存在することで、上記したように、導電性組成物の固化物が大きく伸張した際にも一次粒子どうしの接点を減少することなく銀粉が導電性組成物の固化物中のエラストマーの伸張変形に追随できる。
なお、銀粉の一次粒子の形状は、略球状であるものに限定されるものではなく、本発明の効果を損なわない範囲で略球状以外の形状の銀粉が含まれていてもよいことは言うまでもない。
平均一次粒子径およびみかけ空隙率が上記範囲にあるような銀粉は、市販されているものを使用することができ、また、市販されている銀粉を、分級機等を用いて特定の平均一次粒子径およびみかけ空隙率を有する所定の銀粉に分級することで得てもよい。
本発明において好適に使用できる銀粉(すなわち、導電性組成物として調製される前の銀粉)は、その平均二次粒子径が5.0μm〜40.0μmであることが好ましく、より好ましくは10.0μm超〜40.0μmであり、さらに好ましくは15.0μm超〜40.0μmである。銀粉の平均二次粒子径が上記範囲にあることで、銀粉を組成物中に分散させた際に、後記するような特定範囲の粒子径に調整し易くなる。なお、導電性組成物として調製される前の銀粉の平均二次粒子径とは、粉体状態にある銀粉をレーザー回折散乱式粒度分布測定法によって測定した粒子径の平均値(D50)を意味する。
また、本発明において好適に使用できる銀粉(導電性組成物として調製される前の銀粉)は、JIS K 6217−4(2017)に準拠して測定されたDBP吸油量が30〜200ml/100gであることが好ましい。銀粉のDBP吸油量とは、JIS K 6217−4に準拠して、100gの銀粉に吸収されるフタル酸ジブチルの量を測定した値を意味し、本発明においては、銀粉の一次粒子の連結度合いや凝集の程度を示す指標としている。DBP吸油量が上記範囲にある銀粉を使用することで、銀粉を組成物中に分散させた際に、後記するような特定範囲の粒子径に調整し易くなる。
銀粉を含む導電性組成物は、上記したような銀粉をエラストマー中に分散させたものであり、導電性組成物中において銀粉の二次粒子の粒度分布における累積95%粒子径(D95粒子径)が、3.0〜25.0μmの範囲であることが好ましい。導電性組成物中での銀粉が、上記したような特定の粒径分布を有するようにエラストマー中に分散することにより、導電性組成物を固化させた硬化物の導電性が改善されるとともに、伸縮の繰り返しや伸張を大きくした場合であっても、電気抵抗の安定性に優れた導電体とすることができる。この理由は定かではないが以下のように考えられる。即ち、平均一次粒子径が1.0μm以下である銀粉であって、かつみかけ空隙率が50〜95%であり、好ましくはDBP吸油量が上記した範囲にある銀粉をエラストマーに配合し分散させて組成物を調製する際に、適度に銀粉の凝集を崩壊させて、D95粒子径が3.0〜25.0μmとなるように組成物を撹拌ないし混練することにより、銀粉の二次粒子は、みかけ上の空隙が適度に存在し、かかる空隙にエラストマーが十分に入り込むことから、導電性組成物の固化物が大きく伸張した際にも一次粒子どうしの接点が減少することなく、銀粉がエラストマーの伸張変形に追随できるものと考えられる。
なお、導電性組成物中における銀粉の二次粒子の粒度分布における累積95%粒子径(D95粒子径)は、銀粉とエラストマーとを混合ないし混練して得られた導電性組成物をレーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定することができる。具体的には、測定溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用い、導電性組成物を3000質量%となるように測定溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)で希釈し、スパチュラなどで銀粉の二次粒子が崩壊しないよう適度に撹拌した後速やかに、測定範囲0.020μm〜1000.00μmで、粒子の屈折率を1.33、溶媒の屈折率を1.40として、粒度分布を測定し、当該粒度分布の累積95%の粒子径として算出された値をD95粒子径として定義する。
本発明において、導電性粒子としてケッチェンブラックを使用する場合は、造膜性や、電極とした際の導電性、導電性組成物を電極とする際の加工性、伸張変形に対する電気抵抗値の安定性やタック性の観点から、みかけ空隙率が50〜95%、好ましくは60〜95%であり、DBP吸油量が300〜600ml/100gであるものを好適に使用することができる。なお、ケッチェンブラックにおけるみかけ空隙率やDBP吸油量は、上述した銀粉における測定と同様の方法にて測定することができる。
導電性組成物中における導電性粒子の配合量は、導電性組成物の不揮発成分を基準として、5〜95質量%の範囲とすることができる。より具体的には、導電性粒子として銀粉を用いる場合の導電性粒子の配合量は、導電性組成物の不揮発成分を基準として50〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは60〜85質量%である。また、導電性粒子としてケッチェンブラックを用いる場合の導電性粒子の配合量は、導電性組成物の不揮発成分を基準として5〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜20質量%である。
本発明においては、導電性粒子とエラストマーとの親和性を調整するため、表面処理された導電性粒子や分散剤を使用してもよい。導電性粒子の表面処理としては、分散剤を含む溶液中に導電性粒子を投入して撹拌する湿式法や、導電性粒子を撹拌しながら分散剤を含む溶液噴霧する乾式法などの方法が挙げられる。さらに、界面活性剤を併用して表面処理をしてもよい。また、分散剤を配合する方法としては、配合量や配合順序に特に制限はないが、配合量としては導電性粒子に対して0.01〜30質量%、配合順序としてはエラストマーと分散剤とを混合した後に導電性粒子を配合する方法が挙げられる。
上記した表面処理や配合に使用する分散剤としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、導電性粒子が銀粉である場合は、脂肪酸、有機金属、ゼラチン等の保護コロイドを用いることができるが、不純物混入のおそれや疎水基との吸着性の向上を考慮すると、脂肪酸またはその塩であることが好ましい。また、この分散剤としては、脂肪酸またはその塩を界面活性剤でエマルション化したものを用いてもよい。具体的には、炭素原子数6〜24の脂肪酸であり、ステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、リノール酸、ラウリン酸、リノレン酸等をより好ましく使用することができる。これらの脂肪酸は、導電性組成物を用いた配線層や電極への悪影響が少ないと考えられる。上記した脂肪酸は、単独で使用してもよくまた複数を組み合わせて使用してもよい。
また、導電性粒子がケッチェンブラックである場合は、分散剤として、酸性基または塩基性基またはその両方を有するリン酸エステルやアクリルコポリマー、ポリアミン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアクリレートおよびそれらのリン酸塩、アルキルアンモニウム塩等を好適に使用することができる。上記した分散剤は、単独で使用してもよくまた複数を組み合わせて使用してもよい。
以上説明したような導電性粒子はエラストマーおよび必要に応じて溶剤を配合、撹拌ないし混練することにより調整することができる。例えば、ディゾルバーやバタフライミキサー等の撹拌機やロールミルやビーズミル等の混練機を用いて撹拌ないし混練を行うことができるが、その際の撹拌機および/または混練機の回転速度、撹拌羽や混練装置の形状、撹拌ないし混練時間、撹拌ないし混練時の温度、ビーズ充填率やロール間隔など、種々の条件により調整することができる。
<その他の成分>
本発明の導電性組成物は、上記したエラストマーおよび導電性粒子以外にも、軟化剤、可塑剤等の公知の添加剤が含まれていてもよい。軟化剤としては、鉱物油系軟化剤と植物油系軟化剤が挙げられ、例えば、鉱物油系軟化剤として、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルなどの各種オイルである。植物油系軟化剤としては、ひまし油、錦実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、パイン油、トール油等が挙げられ、これら軟化剤は、単独あるいは二種以上を併用してもよい。軟化剤の添加量により、所望のゴム弾性や伸張性を調整することができる。
導電性組成物は、上記した各成分を配合し均一分散させるため、または基板に塗布するための粘度調整のため、溶剤が含まれていてもよい。溶剤としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などが挙げることができる。より具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテートなどのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などである。このような有機溶剤は、単独でまたは2種以上の混合物として用いられる。この中でも、塗布性の観点より、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが好ましい。
本発明の導電性組成物は、熱硬化成分をさらに含んでよい。熱硬化成分の例は、硬化反応による分子量増加、架橋形成によりフィルム形成可能なポリエステル樹脂(ウレタン変性体、エポキシ変性体、アクリル変性体等)、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ビニル系樹脂およびシリコーン樹脂である。
本発明の導電性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を含んでいてもよい。例えば、カップリング剤、光重合開始剤等の添加剤を含んでいてよい。
本発明の導電性組成物は、例えば、溶剤に溶解したエラストマーと導電性組成物とを混練することで製造することができる。混練方法としては、例えばロールミルといった撹拌混合装置を使用する方法が挙げられる。具体的には、エラストマーを有機溶剤に溶解した固形分50質量%の樹脂溶液を調製し、この樹脂溶液に導電性粒子を配合し、攪拌機にて予備撹拌混合した後、3本ロールミルにて混練することで、導電性組成物を得ることができる。使用するエラストマーの種類や有機溶剤の配合割合によって、液状の導電性組成物としたり、ペースト状(半固形状)の導電性組成物とすることができる。
[導電体およびその用途]
上述した導電性組成物は、固化させて導電体とすることができる。例えば、導電性組成物からなる塗布膜を形成し、乾燥、固化させることにより導電体の層とすることができる。導電性組成物の固化は、導電性組成物を乾燥または熱処理することで行われる。熱処理の例は、熱風乾燥または熱硬化である。熱処理に先立ち、成形を行ってもよい。例えば、導電体の層は、基材上に上記の導電性組成物を所望の形状となるように塗布した後、固化させることにより導電体の層を得ることができる。導電体の層は、使用される用途に応じた種々の形状であってよい。例えば、アクチュエーターやセンサー等のトランスデューサの電極として好適に適用できる。
電極を形成する際は、トランスデューサの誘電体の表面に、導電性組成物を塗布することにより形成することができる。塗布法としては、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等が挙げられ、微細な電極を形成する場合、スクリーン印刷が好ましい。また、大面積の塗布方法としては、グラビア印刷およびオフセット印刷が適している。ディスペンス方法とは、導電性組成物の塗布量をコントロールしてニードルから押し出しパターンを形成する方法であり、アース配線等の部分的なパターン形成や凹凸のある部分へのパターン形成に適している。
[トランスデューサ]
トランスデューサは、誘電体と、当該誘電体を挟持する一対の電極とを備えるものである。電極には電源や制御素子と電気的に導通するための配線が接続されていてもよい。また、誘電層と電極とを交互に積層させた積層構造を有していてもよい。
誘電体は、ポリマー、すなわち、樹脂またはエラストマーから形成される。エラストマーは、伸縮性を有するため好適である。なかでも、変位量および発生力を大きくするという観点から、比誘電率の高いエラストマーを用いることが望ましい。具体的には、常温における比誘電率(100Hz)が2以上、さらには5以上のエラストマーが望ましい。例えば、エステル基、カルボキシル基、水酸基、ハロゲン基、アミド基、スルホン基、ウレタン基、ニトリル基等の極性官能基を有するエラストマー、あるいは、これらの極性官能基を有する極性低分子量化合物を添加したエラストマーを採用するとよい。好適なエラストマーとしては、シリコーンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、EPDM、アクリルゴム、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。
上記したなかでも、変位量および発生力を大きくするという観点から、弾性率が20MPa以下のエラストマーを好適に使用することができ、例えばポリウレタン系誘電エラストマー、合成ゴム系誘電エラストマー、天然ゴム系誘電エラストマー等の公知の誘電エラストマーを好適に使用することができる。
誘電体の厚さは、トランスデューサの用途等に応じて適宜決定すればよい。例えば、アクチュエーターの場合、小型化、低電位駆動化、および変位量を大きくする等の観点から、誘電層の厚さは薄い方が望ましい。この場合、絶縁破壊性等をも考慮して、誘電層の厚さを、1μm以上1000μm(1mm)以下とすることが望ましい。5μm以上200μm以下とすると、より好適である。
本発明のトランスデューサは、電極が柔軟で伸縮性を有しているため、誘電体の動きが、電極により規制されにくい。そのため従来のトランスデューサよりも大きな力および変位量を得ることができる。また、電極は、伸張変形した場合であっても電気抵抗値の安定性を有する。その結果、電極に起因した性能の低下が生じにくく、耐久性に優れたトランスデューサとすることがきる。
本発明のトランスデューサの実施形態として、アクチュエーター、スピーカ、静電容量型センサー、発電素子等が挙げられる。
次に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
<ブロック共重合体 樹脂A1の合成>
三方コック付き三口フラスコの内部を脱気し窒素で置換した。該フラスコに、室温下にて、乾燥トルエン1040gおよび1,2−ジメトキシエタン100gを入れ、これにイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム32mmolを含有するトルエン溶液48gを加えた。これにsec−ブチルリチウム8.1mmolを加えた。次いで、メタクリル酸メチル9.2g(0.09mol)を加え、室温で1時間撹拌して重合反応させ、ポリメタクリル酸メチルブロック(PMMAブロック−1)を形成させた。
これに続けて、反応液の温度を−25℃にし、アクリル酸n−ブチル445g(3.5mol)を2時間かけて滴下して重合反応させた。この重合反応によって、前記PMMAブロックの末端に繋がるポリアクリル酸n−ブチルブロック(PnBAブロック)を形成させた。
さらにこれ続けて、メタクリル酸メチル9.2g(0.09mol)を加え、反応液の温度を室温に戻し8時間攪拌して重合反応させた。この重合反応によって、前記PnBAブロックの末端に繋がるポリメタリル酸メチルブロック(PMMAブロック−2)を形成させた。
得られた反応液にメタノールを4g添加して重合を停止させた。重合停止後の反応液を大量のメタノールに注ぎ樹脂A1を析出させた。得られた樹脂A1は、M−A−M型アクリル系ブロック共重合体であり、ハードセグメントであるPMMAブロックが5.0mol%、ソフトセグメントであるPnBAブロック95mol%の割合で有するものであった。
<ブロック共重合体 樹脂A2の合成>
上記樹脂A1の合成におけるPMMAブロック−1の重合反応に用いたメタクリル酸メチルを18.4g(0.18mol)とし、PMMAブロック−2の形成を行わない以外は樹脂A1と同じ方法を行い、樹脂A2を合成した。得られた樹脂A2は、M−A型アクリル系ブロック共重合体であり、ハードセグメントであるPMMAブロックが5.0mol%、ソフトセグメントであるPnBAブロック95mol%の割合で有するものであった。
<ブロック共重合体 樹脂A3の合成>
上記樹脂A1の合成におけるPMMAブロック−1の重合反応に用いたメタクリル酸メチルを27.6g(0.27mol)とし、PnBAブロックの重合反応に用いたアクリル酸n−ブチルを395.5g(3.1mol)とし、PMMAブロック−2の重合反応に用いたメタクリル酸メチルを27.6g(0.27mol)とした以外は樹脂A1と同じ方法を行い、樹脂A3を合成した。得られた樹脂A3は、M−A―M型アクリル系ブロック共重合体であり、ハードセグメントであるPMMAブロックが15mol%、ソフトセグメントであるPnBAブロック85mol%の割合で有するものであった。
<ブロック共重合体 樹脂A4の合成>
上記樹脂Aの合成におけるPMMAブロック−1の重合反応に用いたメタクリル酸メチルを56.1g(0.55mol)とし、PnBAブロックの重合反応に用いたアクリル酸n−ブチルを326.9g(2.6mol)とし、PMMAブロック−2の重合反応に用いたメタクリル酸メチルを56.1g(0.55mol)とした以外は樹脂A1と同じ方法を行い、樹脂A4を合成した。得られた樹脂A4は、M−A―M型アクリル系ブロック共重合体であり、ハードセグメントであるPMMAブロックが30mol%、ソフトセグメントであるPnBAブロック70mol%の割合で有するものであった。
<ブロック共重合体 樹脂A5の合成>
上記樹脂Aの合成におけるPMMAブロック−1の重合反応に用いたメタクリル酸メチルを112g(1.1mol)とし、PnBAブロックの重合反応に用いたアクリル酸n−ブチルを185.1g(1.5mol)とし、PMMAブロック−2の重合反応に用いたメタクリル酸メチルを112g(1.1mol)とした以外は樹脂A1と同じ方法を行い、樹脂A5を合成した。得られた樹脂A5は、M−A―M型アクリル系ブロック共重合体であり、ハードセグメントであるPMMAブロックが60mol%、ソフトセグメントであるPnBAブロック40mol%の割合で有するものであった。
<導電性組成物の調製>
導電性組成物を調製するためのエラストマーとして、以下の7種のポリマーを準備した。
樹脂A1:ハードセグメントがメチルメタクリレート単位からなり、ソフトセグメントがn−ブチルアクリレート単位からなる、液状のM−A−M型アクリル系ブロック共重合体、HブロックとSブロックとのモル比率5:95。
樹脂A2:ハードセグメントがメチルメタクリレート単位からなり、ソフトセグメントがn−ブチルアクリレート単位からなる、液状のM−A型アクリル系ブロック共重合体、HブロックとSブロックとのモル比率5:95。
樹脂A3:ハードセグメントがメチルメタクリレート単位からなり、ソフトセグメントがn−ブチルアクリレート単位からなる、固体状のM−A−M型アクリル系ブロック共重合体、HブロックとSブロックとのモル比率15:85。
樹脂A4:ハードセグメントがメチルメタクリレート単位からなり、ソフトセグメントがn−ブチルアクリレート単位からなる、固体状のM−A−M型アクリル系ブロック共重合体、HブロックとSブロックとのモル比率30:70。
樹脂A5:ハードセグメントがメチルメタクリレート単位からなり、ソフトセグメントがn−ブチルアクリレート単位からなる、固体状のM−A−M型アクリル系ブロック共重合体、HブロックとSブロックとのモル比率60:40。
樹脂A6:バイロン−390(東洋紡株式会社製):ポリエステル樹脂。
樹脂A7:PKHC(In Chem Investment in Chemicals社製):フェノキシ樹脂。
また、導電性組成物を調製するための導電性粒子として、以下の3種を準備した。
導電性粒子B1:不定形状の一次粒子径が凝集した銀粉、平均一次粒子径0.3μm、みかけ空隙率92%、DPB吸油量120ml/100g。
導電性粒子B2:一次粒子径がフレーク状の銀粉、平均一次粒子径4.7μm、みかけ空隙率92%、DPB吸油量40ml/100g。
導電性粒子B3:EC300J(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製):ケッチェンブラック、みかけ空隙率91%、DPB吸油量495ml/100g。
なお、各導電性粒子の平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JSM−6360L)を用いて10,000倍にて導電性粒子を観察し、ランダムに抽出した10個の導電性粒子の粒子径を測定し、その平均値とした。
また、各導電性粒子のみかけ空隙率Pは以下のようにして算出した。すなわち、導電性粒子を円筒状の容器に充填し、容器を数回振動させて導電性粒子の上面が一定の高さになるまで導電性粒子を補充し、容器に充填された導電性粒子の量をM(g)とし、容器内径にあわせた外径を有する円柱を用いて導電性粒子の上面に1kg重の荷重をかけ、1時間放置した後の導電性粒子の体積(円筒状容器の底面積と、容器底から導電性粒子の上面までの高さの積)をV(cm)として、ρ=M/Vで定義されるみかけ密度ρ(g/cm)を算出し、導電性粒子の真密度ρ(10.49g/cm)を用いて、下記式:
P=(1−ρ/ρ)×100
で表される導電性粒子のみかけ空隙率P(%)を算出した。
<導電性組成物の調製>
下記表1に示した組成に従って、エラストマーをジューキゾールCA(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、大阪有機化学株式会社製)に溶解して樹脂溶液を調製した後、樹脂溶液に導電性粒子を配合し、攪拌機にて予備撹拌混合した後、3本ロールミル(EXAKT社製、EXAKT50)を用いて、3本ロールミルの混練回数、回転速度、ロール間隔等の条件を変えて混練することで、実施形態に係る導電性組成物を得た。なお、表1中の数値は配合量(質量部)を表す。
<導電性組成物の評価>
(1)伸張時の導電性
各導電性組成物を、基材にスクリーン印刷で塗布し、80℃で30分間熱処理して、線幅1mm、厚さ20μm、長さ40mmの導電体を基材上に形成した。基材としては、弾性率が30MPaのウレタン基材(大倉工業株式会社製、ES85、厚さ100μm)を使用した。導電体を形成した基材を5mm/秒の速度で所定の伸張度となるまで伸張した後、その状態で15秒保持し導電体の比抵抗(体積抵抗率)を測定し、以下の評価基準に基づいて、導電体の伸張時の導電性を評価した。
◎:20%伸張時の体積抵抗率が、初期値(非伸張時)に対して5倍以下
○:20%伸張時の体積抵抗率が、初期値(非伸張時)に対して10倍以下
△:20%伸張時の体積抵抗率が、初期値(非伸張時)に対して50倍以下
×:20%伸張時の体積抵抗率が、初期値(非伸張時)に対して50倍超(断線を含む)
評価結果は下記表1に示されるとおりであった。
(2)弾性率の測定
各導電性組成物を、剥離処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)基材に、熱処理後の厚みが50μmになるようにアプリケーターにて塗布し、80℃で30分間熱処理した。次いで、塗布膜をPET基材から剥離し、幅15mm、長さ40mmに切り出した後、下記条件にて引張試験を行い、伸び率が0〜5%における引張弾性率を測定した。
[測定条件]
試験機:引張試験機EZ−SX(株式会社島津製作所製)
チャック間距離:20mm
試験速度:2mm/min
以下の評価基準に基づいて、導電体の弾性率を評価した。
◎:弾性率が1MPa以下
○:弾性率が10MPa以下
△:弾性率が50MPa以下
×:弾性率が50MPa超
評価結果は下記表1に示されるとおりであった。なお、比較例1の導電性組成物においては、柔らか過ぎて弾性率を測定することができなかった。
(3)タック評価
伸張時の導電性の評価と同様に基材上に形成した導電体の表面を指で触れ、以下の評価基準に基づいて、タック性を評価した。
○:指で塗膜に触れた際、殆どタックを感じない
△:指で塗膜に触れた際、ややタックを感じる
×:指で塗膜に触れた際、塗膜の成分が指に残る
評価結果は下記表1に示されるとおりであった。
Figure 2021109901

Claims (4)

  1. ガラス転移温度が30℃以上のハードセグメントアクリレートブロックと、ガラス転移温度が0℃未満のソフトセグメントアクリレートブロックとを有するアクリルブロック共重合体からなるエラストマー、および、導電性粒子を含んでなる導電性組成物であって、
    前記アクリルブロック共重合体は、
    前記ハードセグメントアクレートブロックと前記ソフトセグメントアクリレートブロックとのモル比率が1:99〜12:88であるアクリルブロック共重合体Aと、
    前記ハードセグメントアクレートブロックと前記ソフトセグメントアクリレートブロックとのモル比率が13:87〜70:30であるアクリルブロック共重合体Bと、
    を含み、
    前記アクリルブロック共重合体Aと前記アクリルブロック共重合体Bとを、質量基準において95:5〜10:90の割合で含むことを特徴とする、導電性組成物。
  2. 前記導電性粒子が、導電性組成物の不揮発成分に対して5〜95質量%含まれる、請求項1に記載の導電性組成物。
  3. 請求項1または2に記載の導電性組成物を固化させた導電体であって、弾性率が1MPa以下であることを特徴とする、導電体。
  4. 誘電体と、前記誘電体を挟持する一対の電極とを備えたトランスデューサであって、
    前記誘電体は弾性率が20MPa以下であり、
    前記電極が請求項3に記載の導電体からなることを特徴とする、トランスデューサ。
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