JP6067447B2 - 導電材料およびトランスデューサ - Google Patents
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本発明の導電材料は、共重合成分としてゴムポリマー成分とイオン成分とを含みガラス転移点が20℃以下のイオン固定共重合体を有するマトリクスに、導電剤が分散されてなる。
本発明の導電材料は、イオン固定共重合体を含むマトリクスポリマーを有機溶剤に溶解したポリマー溶液に、導電剤と、必要に応じて配合される添加剤と、を添加し分散させて調製した導電塗料を、基材に塗布、乾燥して製造することができる。イオン固定共重合体は、ゴムポリマー成分になるモノマー、官能基含有ポリマーになる官能基含有モノマー(必要に応じて配合)、およびイオン成分になるイオン液体を、共重合することにより製造される。
本発明のトランスデューサは、ポリマー製の誘電層と、該誘電層を介して配置される複数の電極と、複数の該電極と各々接続される配線と、を備える。本発明のトランスデューサは、誘電層と電極とを交互に積層させた積層構造を有していてもよい。
本発明のトランスデューサの第一実施形態として、アクチュエータの実施形態を説明する。図1に、本実施形態のアクチュエータの断面模式図を示す。(a)は電圧オフ状態、(b)は電圧オン状態を各々示す。
本発明のトランスデューサの第二実施形態として、スピーカの実施形態を説明する。まず、本実施形態のスピーカの構成について説明する。図2に、本実施形態のスピーカの斜視図を示す。図3に、図2のIII−III断面図を示す。図2、図3に示すように、スピーカ4は、第一アウタフレーム40aと、第一インナフレーム41aと、第一誘電層42aと、第一アウタ電極43aと、第一インナ電極44aと、第一振動板45aと、第二アウタフレーム40bと、第二インナフレーム41bと、第二誘電層42bと、第二アウタ電極43bと、第二インナ電極44bと、第二振動板45bと、八つのボルト460と、八つのナット461と、八つのスペーサ462と、を備えている。
本発明のトランスデューサの第三実施形態として、静電容量型センサの実施形態を説明する。まず、本実施形態の静電容量型センサの構成について説明する。図4に、静電容量型センサの上面図を示す。図5に、図4のV−V断面図を示す。図4、図5に示すように、静電容量型センサ2は、誘電層20と、一対の電極21a、21bと、配線22a、22bと、カバーフィルム23a、23bと、を備えている。
本発明のトランスデューサの第四実施形態として、発電素子の実施形態を説明する。図6に、本実施形態における発電素子の断面模式図を示す。(a)は伸張時、(b)は収縮時を各々示す。
[実施例1]
まず、以下のようにして、イオン固定共重合体Aを製造した。ビニルイミダゾール20.8g(0.22mol)と、1−ブロモブタン39.4g(0.29mol)と、を溶剤のアセトニトリル60mlに溶解して、室温下で5日間撹拌した。溶媒を減圧除去した後、酢酸エチルで5回洗浄し、減圧乾燥して、薄黄色粘性体を得た。得られた薄黄色粘性体20.0g(0.087mol)をアセトニトリル90mlに溶解して、リチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド(LiTFSI)24.84g(0.087mol)を加えて、室温下で15時間撹拌することにより、アニオン交換反応を行った。溶媒を減圧除去した後、イオン交換水で5回洗浄し、減圧乾燥して、式(1)に示す構造の重合性イオン液体Aを得た。
単層カーボンナノチューブの配合量を10質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、導電塗料を調製し、導電材料を製造した。
単層カーボンナノチューブの配合量を15質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、導電塗料を調製し、導電材料を製造した。
イオン固定共重合体の種類を、式(4)に示す構造のイオン固定共重合体Bに変更した以外は、実施例1と同様にして、導電塗料を調製し、導電材料を製造した。イオン固定共重合体Bの製造方法は、以下の通りである。
イオン固定共重合体の種類を、式(6)に示す構造のイオン固定共重合体Cに変更した以外は、実施例1と同様にして、導電塗料を調製し、導電材料を製造した。イオン固定共重合体Cの製造方法は、以下の通りである。
イオン固定共重合体の種類を、イオン固定共重合体Dに変更した以外は、実施例1と同様にして、導電塗料を調製し、導電材料を製造した。イオン固定共重合体Dは、重合性イオン液体Aの配合量を増加した以外は、実施例1のイオン固定共重合体Aと同様にして製造した。すなわち、重合性イオン液体A31.07g(0.07mol)と、アクリル酸ブチル20.00g(0.16mol)と、アクリル酸2ヒドロキシエチル1.21g(0.01mol)と、を三つ口フラスコに入れ、エタノール150mlに溶解した。窒素バブリングを30分間行った後、ラジカル開始剤のAIBNを1mol%添加して、窒素雰囲気下、75℃で6時間加熱還流することにより重合反応を行った。反応終了後、メタノールを用いて再沈殿、洗浄を行い、減圧乾燥して、上記式(2)に示す構造のイオン固定共重合体Dを得た。イオン固定共重合体Dの組成は、NMR装置を用いて確認した。イオン固定共重合体DのTgを、DSC装置を用いて確認したところ、Tgは−14.3℃であった。
イオン固定共重合体とアクリルゴムポリマーとをブレンドして、導電材料を製造した。まず、イオン固定共重合体A60質量部と、式(7)に示す構造のアクリルゴムポリマー(日本ゼオン(株)製「Nipol(登録商標)AR42W」)40質量部と、を溶剤のメチルエチルケトンに溶解して、ポリマー溶液を調製した。次に、調製したポリマー溶液に、実施例1と同じ単層カーボンナノチューブ5質量部を添加して、ビーズミル(同上)を用いて分散することにより、導電塗料を調製した。そして、調製した導電塗料を、PET製の基材表面にバーコート法により塗布し、150℃下で1時間加熱して、塗膜を乾燥させた。このようにして、厚さ30μmの薄膜状の導電材料を製造した。
イオン固定共重合体に代えて従来のゴムポリマーを用いて、導電材料を製造した。まず、実施例7において使用した式(7)に示す構造のアクリルゴムポリマー(同上)100質量部を、溶剤のメチルエチルケトンに溶解して、ポリマー溶液を調製した。次に、調製したポリマー溶液に、実施例1と同じ単層カーボンナノチューブ5質量部を添加して、ビーズミル(同上)を用いて分散することにより、導電塗料を調製した。そして、調製した導電塗料を、PET製の基材表面にバーコート法により塗布し、150℃下で1時間加熱して、塗膜を乾燥させた。このようにして、厚さ30μmの薄膜状の導電材料を製造した。
アクリルゴムポリマーの配合量を54質量部に変更し、さらに、上記式(1)に示す重合性イオン液体Aを46質量部配合した以外は、比較例1と同様にして、導電塗料を調製し、導電材料を製造した。比較例2においては、アクリルゴムポリマーを溶剤に溶解したポリマー溶液に、単層カーボンナノチューブ5質量部と、重合性イオン液体A46質量部と、を添加して、ビーズミル(同上)を用いて分散することにより、導電塗料を調製した。
国際公開第2009/102077号(特許文献3)の実施例1に準じて、導電材料を製造した。まず、溶剤の4−メチル−2−ペンタノンに、単層カーボンナノチューブ(同上)5質量部と、イオン液体のビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(BMITFSI)10質量部と、を添加して、室温下、スターラーを用いて700rpmを超える回転速度で16時間攪拌した。次に、得られた混合物を、ジェットミル((株)常光製「ナノジェットパル(登録商標)JN10」)に入れ、吐出圧力60MPaにて処理することにより、ゲル状の組成物を得た。それから、得られたゲルに、4−メチル−2−ペンタノンと、フッ素ゴム(ダイキン工業(株)製「ダイエル(登録商標)G−912」)90質量部と、を添加して、室温下、スターラーを用いて回転速度約300rpmで16時間攪拌することにより、導電塗料を調製した。そして、調製した導電塗料を、PET製の基材表面にバーコート法により塗布し、150℃下で1時間加熱して、塗膜を乾燥させた。このようにして、厚さ30μmの薄膜状の導電材料を製造した。
[評価方法]
(1)導電性
まず、伸張する前の自然状態(初期)における導電材料の体積抵抗率を、測定した。体積抵抗率の測定は、JIS K6271(2008)の平行端子電極法に準じて行った。体積抵抗率の測定において、導電材料(試験片)を支持する絶縁樹脂製支持具には、市販のゴムシート(住友スリーエム(株)製「VHB(登録商標)4910」)を用いた。次に、導電材料を一軸方向に伸張率30%で伸張させて、体積抵抗率を測定した。伸張率は、次式(i)により算出した値である。
伸張率(%)=(ΔL0/L0)×100・・・(i)
[L0:試験片の標線間距離、ΔL0:試験片の標線間距離の伸張による増加分]
(2)柔軟性
JIS K6251:2010に準じて引張試験を行い、切断時伸び(Eb)を測定した。測定には、ダンベル状3号形の試験片を用い、引張速度は100mm/minとした。
レーザー粒度分析計(日機装(株)製「マイクロトラックMT3300EII」)を用いて、導電塗料に含まれる導電剤(単層カーボンナノチューブ)の粒度分布を測定した。そして、得られた粒度分布からメジアン径(d50)を算出した。
イオン成分のブリードの有無を調べるため、導電材料のゲル分率を測定した。ゲル分率の測定方法は、以下の通りである。まず、導電材料からサンプルを0.1g採取して、メチルエチルケトン100ml中に浸漬し、そのまま室温下で3日間放置した。次に、サンプルを取り出して、30℃下で16時間真空乾燥した後、質量を測定した。そして、次式(ii)により、ゲル分率を算出した。
ゲル分率(%)=W2/W1×100・・・(ii)
[W1:採取したサンプル質量(g)、W2:溶剤浸漬、乾燥後のサンプル質量(g)]
実施例および比較例の各導電材料の組成、および評価項目の測定結果を、表1にまとめて示す。また、図7に、実施例1、4、5−7および比較例1、3の導電塗料における単層カーボンナノチューブの粒度分布を示す。
2:静電容量型センサ(トランスデューサ)、20:誘電層、21a、21b:電極、22a、22b:配線、23a、23b:カバーフィルム、24:コネクタ。
3:発電素子(トランスデューサ)、30:誘電層、31a、31b:電極、32a〜32c:配線。
4:スピーカ(トランスデューサ)、40a:第一アウタフレーム、40b:第二アウタフレーム、41a:第一インナフレーム、41b:第二インナフレーム、42a:第一誘電層、42b:第二誘電層、43a:第一アウタ電極、43b:第二アウタ電極、44a:第一インナ電極、44b:第二インナ電極、45a:第一振動板、45b:第二振動板、430a、430b、440a、440b:端子、460:ボルト、461:ナット、462:スペーサ。
Claims (9)
- 共重合成分としてゴムポリマー成分とイオン成分とを含みガラス転移点が20℃以下のイオン固定共重合体を有するマトリクスに、導電剤が分散されてなり、
該イオン成分は、重合性イオン液体を構成するカチオンまたはアニオンであり、
該カチオンは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、イミダゾリウムイオン、4級アンモニウムイオン、ピリジウムイオン、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオンから選ばれる一種であり、
該アニオンは、F − 、Cl − 、Br − 、BF 4 − 、PF 6 − 、(CF 3 SO 2 ) 2 N − 、AlCl 4 − 、Al 2 Cl 7 − 、NO 3 − 、CH 3 COO − 、CF 3 COO − 、CF 3 SO 3 − 、(CF 3 SO 2 ) 3 C − 、AsF 6 − 、SbF 6 − 、CF 3 (CF 2 ) 3 SO 3 − 、(CF 3 CF 2 SO 2 ) 2 N − 、CF 3 (CF 2 ) 2 COO − から選ばれる一種であることを特徴とする導電材料。 - 前記導電剤は、カーボンナノチューブを含む請求項1に記載の導電材料。
- 前記イオン固定共重合体は、共重合成分として、さらに、架橋可能な官能基を有する官能基含有ポリマー成分を含む請求項1または請求項2に記載の導電材料。
- 前記官能基は、水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、シラノール基、エポキシ基から選ばれる一種以上である請求項3に記載の導電材料。
- 前記ゴムポリマー成分は、アクリルゴム、ウレタンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム、ヒドリンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレンゴムのうちのいずれかである請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の導電材料。
- 前記重合性イオン液体を構成する前記カチオンは、イミダゾリウムイオンまたは4級アンモニウムイオンであり、前記アニオンは、(CF3SO2)2N−である請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の導電材料。
- 前記マトリクスは、さらに他のエラストマーを有する請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の導電材料。
- 前記導電剤の配合量は、前記マトリクス100質量部に対して50質量部以下であり、
自然状態の体積抵抗率が1.00Ω・cm以下である請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の導電材料。 - ポリマー製の誘電層と、該誘電層を介して配置されている複数の電極と、複数の該電極と各々接続されている配線と、を備え、
該電極および該配線の少なくとも一方は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の導電材料からなることを特徴とするトランスデューサ。
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