JP6067447B2 - 導電材料およびトランスデューサ - Google Patents

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本発明は、高分子材料を用いた柔軟なトランスデューサの電極や配線等に好適な導電材料に関する。
エラストマー等の高分子材料を利用して、柔軟性が高く、小型で軽量なトランスデューサが開発されている。この種のトランスデューサは、例えば、電極間にエラストマー製の誘電層を介装して構成される。電極間の印加電圧を変化させると、誘電層が伸縮する。したがって、柔軟なトランスデューサにおいては、電極や配線においても、誘電層の変形に追従できるよう、伸縮性が要求される。例えば特許文献1には、エラストマー中に、三次元的な形状を有する特定のカーボンナノチューブが配合されてなる電極が、開示されている。また、特許文献2には、ベースゴムに、カーボンナノチューブが配合されてなる電極が開示されている。
特開2008−198425号公報 特開2009−227985号公報 国際公開第2009/102077号 特開2012−135074号公報 特開2004−255481号公報 特開2010−160952号公報
カーボンナノチューブのアスペクト比(長さ/径)は大きい。このため、導電剤としてカーボンナノチューブを用いると、マトリクス中に緻密な導電経路を形成することができ、カーボンブラック等を用いた場合と比較して、高い導電性を発現させることができる。なかでも、スーパーグロース法により製造される単層カーボンナノチューブ(SGCNT)は、長さが数百μm〜数mm程度であり、より大きなアスペクト比を有する。したがって、SGCNTを用いると、少量でも高い導電性を得ることができる。しかしながら、SGCNTを含めてカーボンナノチューブは、凝集しやすい。このため、マトリクス中に分散させることが難しい。
この点、例えば特許文献3には、カーボンナノチューブ、ゴム、およびイオン液体からなるゴム組成物が開示されている。また、特許文献4には、カーボンナノチューブ、ポリフッ化ビニリデンポリマー、およびイオン液体からなる導電性薄膜が開示されている。特許文献3、4においては、カーボンナノチューブと親和性が高いイオン液体を配合することにより、カーボンナノチューブの分散性を向上させている。しかしながら、一般に、イオン液体はゴムに相溶しにくい。このため、イオン液体を配合する場合、使用できるゴムが、比較的高価なフッ素系ゴムに限定されてしまう。また、配合したイオン液体がブリードして、周囲を汚染したり物性が変化してしまうという問題がある。また、特許文献3によると、予めイオン液体にカーボンナノチューブを分散させてゲルを調製し、得られたゲルにゴムを添加してゴム組成物を製造している。この場合、ゲルの調製と、ゲルとゴムとの混合という二段階の工程が必要であるため、ゴム組成物の製造に手間と時間がかかる。
一方、特許文献5には、重合性部位を介して重合したイオン液体と、カーボンナノチューブと、からなるカーボンナノチューブ/ポリマー複合体が開示されている。また、特許文献6には、カーボンナノチューブ、重合性イオン液体ポリマー、およびイオン液体からなる導電性薄膜が開示されている。特許文献5、6によると、カーボンナノチューブが分散されるマトリクスは、イオン液体が重合したポリマーであり、ゴムポリマー成分を含まない。このため、得られる導電材料は、ゴム状弾性を有さず伸縮性に乏しい。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、導電剤の分散性が良好であり、導電性が高く、かつ、伸縮しても電気抵抗が増加しにくい導電材料を提供することを課題とする。また、電極や配線に起因する性能低下が生じにくく、耐久性に優れるトランスデューサを提供することを課題とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明の導電材料は、共重合成分としてゴムポリマー成分とイオン成分とを含みガラス転移点が20℃以下のイオン固定共重合体を有するマトリクスに、導電剤が分散されてなることを特徴とする。
本発明の導電材料は、マトリクスに導電剤が分散されてなる。マトリクスにはイオン固定共重合体が含まれる。イオン固定共重合体は、イオン成分を含む。イオン成分が存在すると、カーボンナノチューブや、ストラクチャーを有する導電性カーボンブラック等の凝集が抑制される。このため、導電剤として、カーボンナノチューブや導電性カーボンブラック等を用いる場合に、マトリクスにおける導電剤の分散性が向上する。これにより、本発明の導電材料においては、導電性が高くなる。
上述したように、一部のゴムポリマーを除いて、イオン液体とゴムポリマーとの相溶性は良好ではない。しかし、本発明の導電材料においては、単にイオン成分が配合されているのではなく、ゴムポリマー成分とイオン成分とが共重合されている。これにより、両者の相溶性の問題は解消され、マトリクスとして使用できるゴムポリマーの種類が広がる。したがって、従来は分散が難しかったカーボンナノチューブ等の導電剤を、様々な種類のゴムポリマーに、高分散させることができる。また、マトリクスにゴムポリマー成分が含まれるため、本発明の導電材料は、ゴム状弾性を有し、伸縮性に優れる。加えて、後述する実施例において示すように、伸張時にも電気抵抗が増加しにくい。
本発明の導電材料においては、イオン成分がゴムポリマーに固定されている。このため、イオン成分がブリードしにくい。したがって、周囲の汚染や物性変化の問題は解消される。また、本発明の導電材料の製造する際には、予めイオン液体に導電剤を分散させておく必要はなく、イオン固定共重合体を含むマトリクスポリマーに導電剤を分散させればよい。このため、導電材料の製造を、容易かつ短時間に行うことができる。
(2)本発明のトランスデューサは、ポリマー製の誘電層と、該誘電層を介して配置されている複数の電極と、複数の該電極と各々接続されている配線と、を備え、該電極および該配線の少なくとも一方は、上記(1)の構成の導電材料からなることを特徴とする。
トランスデューサは、ある種類のエネルギーを他の種類のエネルギーに変換する装置である。トランスデューサには、機械エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うアクチュエータ、センサ、発電素子等、あるいは音響エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うスピーカ、マイクロフォン等が含まれる。
本発明の導電材料から形成される電極、配線は、柔軟で、高い導電性を有し、伸張時にも電気抵抗が増加しにくい。このため、本発明のトランスデューサによると、誘電層の動きが、電極や配線により規制されにくい。また、伸縮を繰り返しても、電極、配線の電気抵抗が増加しにくい。加えて、本発明の導電材料から形成される電極、配線においては、イオン成分のブリードによる汚染や物性変化が少ない。したがって、本発明のトランスデューサにおいては、電極や配線に起因した性能の低下が生じにくい。よって、本発明のトランスデューサは、耐久性に優れる。
本発明のトランスデューサの第一実施形態であるアクチュエータの断面模式図であって、(a)は電圧オフ状態、(b)は電圧オン状態を示す。 本発明のトランスデューサの第二実施形態であるスピーカの斜視図である。 図2のIII−III断面図である。 本発明のトランスデューサの第三実施形態である静電容量型センサの上面図である。 図4のV−V断面図である。 本発明のトランスデューサの第四実施形態である発電素子の断面模式図であって、(a)は伸張時、(b)は収縮時を示す。 導電塗料に含まれる単層カーボンナノチューブの粒度分布を示すグラフである。
<導電材料>
本発明の導電材料は、共重合成分としてゴムポリマー成分とイオン成分とを含みガラス転移点が20℃以下のイオン固定共重合体を有するマトリクスに、導電剤が分散されてなる。
マトリクスは、イオン固定共重合体のみから構成されてもよく、イオン固定共重合体に加えて他のエラストマーを含んで構成されてもよい。後者の場合、他のエラストマーとしては、イオン固定共重合体との相溶性が高いものを選択するとよい。例えば、イオン固定共重合体を構成するゴムポリマー成分と同じ構造を有するエラストマーが好適である。
イオン固定共重合体を構成するゴムポリマー成分は、架橋ゴムあるいは熱可塑性エラストマーの中から選択すればよい。本発明の導電材料は、常温でゴム状弾性を有することが望ましい。よって、ゴムポリマー成分のガラス転移点(Tg)は、20℃以下であることが望ましい。ゴムポリマー成分のTgが低いほど、結晶性が低下して、イオン固定共重合体がより伸縮しやすくなる。例えば、ゴムポリマー成分のTgが0℃以下、−20℃以下、さらには−35℃以下であると、より柔軟になり好適である。好適なゴムポリマー成分としては、アクリルゴム、ウレタンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム、ヒドリンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム等が挙げられる。なかでも、アクリルゴムは、結晶性が低く分子間力が弱いため、他のゴムと比較してTgが低い。よって、ゴムポリマー成分をアクリルゴムにすると、導電材料の伸縮性が向上する。
イオン固定共重合体を構成するイオン成分は、ゴムポリマー成分に共重合されている。イオン成分は、イオン液体を構成するカチオンまたはアニオンであればよい。イオン液体としては、導電剤との親和性が高いものを選択するとよい。カチオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、イミダゾリウムイオン、4級アンモニウムイオン、ピリジウムイオン、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン等が挙げられる。なかでも、電子を放出しやすいイミダゾリウムイオンまたは4級アンモニウムイオンが好適である。アニオンとしては、F、Cl、Br、BF 、PF 、(CFSO、AlCl 、AlCl 、NO 、CHCOO、CFCOO、CFSO 、(CFSO、AsF 、SbF 、CF(CFSO 、(CFCFSO、CF(CFCOO等が挙げられる。なかでも、電子吸引力が大きい(CFSOが好適である。電子を放出しやすいカチオンと、電子吸引力が大きいアニオンと、を組み合わせることにより、イオン性をコントロールできるため、ゴムポリマー成分の物性を維持しながら導電剤の分散効果を高めることができる。
イオン固定共重合体は、共重合成分として、さらに、架橋可能な官能基を有する官能基含有ポリマー成分を含んでいてもよい。官能基としては、水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、シラノール基、エポキシ基等が挙げられる。官能基により、ゴムポリマーと架橋したり、導電剤のカーボンナノチューブ等と結合することができるため、導電材料の伸張時の電気抵抗の増加を、抑制することができる。また、伸縮を繰り返しても、へたりにくく、導電剤が脱落しにくくなるため、導電材料の耐久性が向上する。官能基含有ポリマー成分は、ゴムポリマー成分と共重合できる成分であればよい。ゴムポリマー成分と同じ構造を有するものでもよく、異なる構造を有するものでもよい。
イオン固定共重合体のTgは、20℃以下である。Tgが低いほど、結晶性が低下して、イオン固定共重合体がより伸縮しやすくなる。よって、イオン固定共重合体のTgが0℃以下、−20℃以下、さらには−35℃以下であると、より好適である。
導電剤の種類は、特に限定されない。カーボンナノチューブ、カーボンブラック、グラファイト等の導電性炭素粉末、銀、金、銅、ニッケル、ロジウム、パラジウム、クロム、チタン、白金、鉄、およびこれらの合金等の金属粉末等から選ばれる一種を単独で、または二種以上を混合して用いればよい。なかでも、凝集しやすいカーボンナノチューブ、カーボンブラックを用いる場合には、マトリクスにイオン固定共重合体を含むことによる分散性向上効果が、より発揮される。
導電剤の配合量は、導電材料の柔軟性と導電性とを考慮して、適宜調整すればよい。例えば、柔軟性の観点から、導電剤の配合量を、マトリクス100質量部に対して50質量部以下にするとよい。20質量部以下にすると、より好適である。また、本発明の導電材料の自然状態の体積抵抗率は、1.00Ω・cm以下であることが望ましい。
<導電材料の製造方法>
本発明の導電材料は、イオン固定共重合体を含むマトリクスポリマーを有機溶剤に溶解したポリマー溶液に、導電剤と、必要に応じて配合される添加剤と、を添加し分散させて調製した導電塗料を、基材に塗布、乾燥して製造することができる。イオン固定共重合体は、ゴムポリマー成分になるモノマー、官能基含有ポリマーになる官能基含有モノマー(必要に応じて配合)、およびイオン成分になるイオン液体を、共重合することにより製造される。
添加剤としては、架橋剤、架橋促進剤、架橋助剤、可塑剤、加工助剤、老化防止剤、軟化剤、着色剤等が挙げられる。架橋反応に寄与する架橋剤、架橋促進剤、架橋助剤等については、ゴムポリマーの種類等に応じて、適宜選択すればよい。
導電塗料の塗布方法としては、既に公知の種々の方法を採用することができる。例えば、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、リソグラフィー等の印刷法の他、ディップ法、スプレー法、バーコート法等が挙げられる。例えば、印刷法を採用すると、塗布する部分と塗布しない部分との塗り分けを、容易に行うことができる。また、大きな面積、細線、複雑な形状の印刷も容易である。印刷法の中でも、高粘度の塗料が使用でき、塗膜厚さの調整が容易であるという理由から、スクリーン印刷法が好適である。
基材としては、伸縮性を有するエラストマーシートの他、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等からなる屈曲性を有する樹脂シート等が挙げられる。エラストマーとしては、アクリルゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、ニトリルゴム、ウレタンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性エラストマー(オレフィン系、スチレン系、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、塩ビ系)等が挙げられる。本発明の導電材料を、伸縮可能な基材の表面に形成した場合には、柔軟性が高く、伸張時にも電気抵抗が増加しにくいという効果を、より発揮させることができる。
<トランスデューサ>
本発明のトランスデューサは、ポリマー製の誘電層と、該誘電層を介して配置される複数の電極と、複数の該電極と各々接続される配線と、を備える。本発明のトランスデューサは、誘電層と電極とを交互に積層させた積層構造を有していてもよい。
誘電層は、ポリマー、すなわち、樹脂またはエラストマーから形成される。エラストマーは、伸縮性を有するため好適である。なかでも、変位量および発生力を大きくするという観点から、比誘電率の高いエラストマーを用いることが望ましい。具体的には、常温における比誘電率(100Hz)が2以上、さらには5以上のエラストマーが望ましい。例えば、エステル基、カルボキシル基、水酸基、ハロゲン基、アミド基、スルホン基、ウレタン基、ニトリル基等の極性官能基を有するエラストマー、あるいは、これらの極性官能基を有する極性低分子量化合物を添加したエラストマーを採用するとよい。好適なエラストマーとしては、シリコーンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、EPDM、アクリルゴム、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。なお、「ポリマー製」とは、誘電層のベース材料が、樹脂またはエラストマーであることを意味する。よって、エラストマーまたは樹脂成分の他に、添加剤等の他の成分を含んでいても構わない。
誘電層の厚さは、トランスデューサの用途等に応じて適宜決定すればよい。例えば、アクチュエータの場合、小型化、低電位駆動化、および変位量を大きくする等の観点から、誘電層の厚さは薄い方が望ましい。この場合、絶縁破壊性等をも考慮して、誘電層の厚さを、1μm以上1000μm(1mm)以下とすることが望ましい。5μm以上200μm以下とすると、より好適である。
電極および配線の少なくとも一方は、本発明の導電材料からなる。本発明の導電材料の構成、および製造方法については、上述した通りである。よって、ここでは説明を省略する。また、本発明のトランスデューサの電極、配線においても、本発明の導電材料の好適な態様を採用することが望ましい。以下、本発明のトランスデューサの実施形態として、アクチュエータ、スピーカ、静電容量型センサ、および発電素子の実施形態を説明する。
[第一実施形態]
本発明のトランスデューサの第一実施形態として、アクチュエータの実施形態を説明する。図1に、本実施形態のアクチュエータの断面模式図を示す。(a)は電圧オフ状態、(b)は電圧オン状態を各々示す。
図1に示すように、アクチュエータ1は、誘電層10と、電極11a、11bと、配線12a、12bと、を備えている。誘電層10は、シリコーンゴム製である。電極11aは、誘電層10の上面の略全体を覆うように、配置されている。同様に、電極11bは、誘電層10の下面の略全体を覆うように、配置されている。電極11a、11bは、各々、配線12a、12bを介して電源13に接続されている。電極11a、11bは、イオン固定共重合体にカーボンナノチューブが分散された本発明の導電材料からなる。
オフ状態からオン状態に切り替える際は、一対の電極11a、11b間に電圧を印加する。電圧の印加により、誘電層10の厚さは薄くなり、その分だけ、図1(b)中白抜き矢印で示すように、電極11a、11b面に対して平行方向に伸張する。これにより、アクチュエータ1は、図中上下方向および左右方向の駆動力を出力する。
本実施形態によると、電極11a、11bは、柔軟で伸縮性を有する。このため、誘電層10の動きが、電極11a、11bにより規制されにくい。よって、アクチュエータ1によると、大きな力および変位量を得ることができる。また、電極11a、11bは、高い導電性を有する。加えて、電極11a、11bにおいては、伸縮を繰り返しても、電気抵抗が増加しにくい。さらに、イオン成分のブリードによる汚染や物性変化が少ない。したがって、アクチュエータ1においては、電極11a、11bに起因した性能の低下が生じにくい。よって、アクチュエータ1は、耐久性に優れる。
[第二実施形態]
本発明のトランスデューサの第二実施形態として、スピーカの実施形態を説明する。まず、本実施形態のスピーカの構成について説明する。図2に、本実施形態のスピーカの斜視図を示す。図3に、図2のIII−III断面図を示す。図2、図3に示すように、スピーカ4は、第一アウタフレーム40aと、第一インナフレーム41aと、第一誘電層42aと、第一アウタ電極43aと、第一インナ電極44aと、第一振動板45aと、第二アウタフレーム40bと、第二インナフレーム41bと、第二誘電層42bと、第二アウタ電極43bと、第二インナ電極44bと、第二振動板45bと、八つのボルト460と、八つのナット461と、八つのスペーサ462と、を備えている。
第一アウタフレーム40a、第一インナフレーム41aは、各々、樹脂製であって、リング状を呈している。第一誘電層42aは、水素化ニトリルゴム製であり、円形の薄膜状を呈している。第一誘電層42aは、第一アウタフレーム40aと第一インナフレーム41aとの間に張設されている。すなわち、第一誘電層42aは、表側の第一アウタフレーム40aと裏側の第一インナフレーム41aとにより、所定の張力を確保した状態で、挟持、固定されている。第一振動板45aは、樹脂製であって、円板状を呈している。第一振動板45aは、第一誘電層42aよりも小径である。第一振動板45aは、第一誘電層42aの表面の略中央に配置されている。
第一アウタ電極43aは、リング状を呈している。第一アウタ電極43aは、第一誘電層42aの表面に貼着されている。第一インナ電極44aも、リング状を呈している。第一インナ電極44aは、第一誘電層42aの裏面に貼着されている。第一アウタ電極43aと第一インナ電極44aとは、第一誘電層42aを挟んで、表裏方向に背向している。第一アウタ電極43aと第一インナ電極44aとは、いずれも、イオン固定共重合体にカーボンナノチューブが分散された本発明の導電材料からなる。また、図3に示すように、第一アウタ電極43aは、端子430aを備えている。第一インナ電極44aは、端子440aを備えている。端子430a、440aには、外部から電圧が印加される。
第二アウタフレーム40b、第二インナフレーム41b、第二誘電層42b、第二アウタ電極43b、第二インナ電極44b、第二振動板45b(以下、「第二部材」と総称する。)の構成、材質、形状は、上記第一アウタフレーム40a、第一インナフレーム41a、第一誘電層42a、第一アウタ電極43a、第一インナ電極44a、第一振動板45a(以下、「第一部材」と総称する。)の構成、材質、形状と、同様である。また、第二部材の配置は、上記第一部材の配置と、表裏方向に対称である。簡単に説明すると、第二誘電層42bは、水素化ニトリルゴム製であり、第二アウタフレーム40bと第二インナフレーム41bとの間に張設されている。第二振動板45bは、第二誘電層42bの表面の略中央に配置されている。第二アウタ電極43bは、第二誘電層42bの表面に印刷されている。第二インナ電極44bは、第二誘電層42bの裏面に印刷されている。第二アウタ電極43bと第二インナ電極44bとは、いずれも、イオン固定共重合体にカーボンナノチューブが分散された本発明の導電材料からなる。第二アウタ電極43bの端子430b、第二インナ電極44bの端子440bには、外部から電圧が印加される。
第一部材と第二部材とは、八つのボルト460、八つのナット461により、八つのスペーサ462を介して、固定されている。「ボルト460−ナット461−スペーサ462」のセットは、スピーカ4の周方向に所定間隔ずつ離間して配置されている。ボルト460は、第一アウタフレーム40a表面から第二アウタフレーム40b表面までを貫通している。ナット461は、ボルト460の貫通端に螺着されている。スペーサ462は、樹脂製であって、ボルト460の軸部に環装されている。スペーサ462は、第一インナフレーム41aと第二インナフレーム41bとの間に、所定の間隔を確保している。第一誘電層42aの中央部裏面(第一振動板45aが配置されている部分の裏側)と、第二誘電層42bの中央部裏面(第二振動板45bが配置されている部分の裏側)と、は接合されている。このため、第一誘電層42aには、図3に白抜き矢印Y1aで示す方向に、付勢力が蓄積されている。また、第二誘電層42bには、図3に白抜き矢印Y1bで示す方向に、付勢力が蓄積されている。
次に、スピーカ4の動きについて説明する。端子430a、440aと端子430b、440bとを介して、第一アウタ電極43aおよび第一インナ電極44aと、第二アウタ電極43bおよび第二インナ電極44bと、には、初期状態(オフセット状態)において、所定の電圧(オフセット電圧)が印加されている。スピーカ4の動作時には、端子430a、440aと端子430b、440bとに、逆位相の電圧が印加される。 例えば、端子430a、440aに、オフセット電圧+1Vが印加されると、第一誘電層42aのうち、第一アウタ電極43aと第一インナ電極44aとの間に配置されている部分の厚さが薄くなる。並びに、当該部分が径方向に伸張する。これと同時に、端子430b、440bに逆位相の電圧(オフセット電圧−1V)が印加される。すると、第二誘電層42bのうち、第二アウタ電極43bと第二インナ電極44bとの間に配置されている部分の厚さが厚くなる。並びに当該部分が径方向に収縮する。これにより、第二誘電層42bは、第一誘電層42aを引っ張りながら、図3に白抜き矢印Y1bで示す方向に、自身の付勢力により弾性変形する。反対に、端子430b、440bにオフセット電圧+1Vが印加され、端子430a、440aに逆位相の電圧(オフセット電圧−1V)が印加されると、第一誘電層42aは、第二誘電層42bを引っ張りながら、図3に白抜き矢印Y1aで示す方向に、自身の付勢力により弾性変形する。このようにして、第一振動板45a、第二振動板45bを振動させることにより空気を振動させ、音声を発生させる。
次に、スピーカ4の作用効果について説明する。本実施形態によると、第一アウタ電極43a、第一インナ電極44a、第二アウタ電極43b、および第二インナ電極44b(以下適宜、「電極43a、44a、43b、44b」と称す)は、柔軟で伸縮性を有する。このため、第一誘電層42a、第二誘電層42bの動きが、電極43a、44a、43b、44bにより規制されにくい。よって、スピーカ4の応答性は、低周波領域においても良好である。また、電極43a、44a、43b、44bは、高い導電性を有する。加えて、電極43a、44a、43b、44bにおいては、伸張を繰り返しても、電気抵抗が増加しにくい。さらに、イオン成分のブリードによる汚染や物性変化が少ない。したがって、スピーカ4においては、電極43a、44a、43b、44bに起因した性能の低下が生じにくい。よって、スピーカ4は、耐久性に優れる。
[第三実施形態]
本発明のトランスデューサの第三実施形態として、静電容量型センサの実施形態を説明する。まず、本実施形態の静電容量型センサの構成について説明する。図4に、静電容量型センサの上面図を示す。図5に、図4のV−V断面図を示す。図4、図5に示すように、静電容量型センサ2は、誘電層20と、一対の電極21a、21bと、配線22a、22bと、カバーフィルム23a、23bと、を備えている。
誘電層20は、水素化ニトリルゴム製であって、左右方向に延びる帯状を呈している。誘電層20の厚さは、約300μmである。
電極21aは、長方形状を呈している。電極21aは、誘電層20の上面に、スクリーン印刷により三つ形成されている。同様に、電極21bは、長方形状を呈している。電極21bは、誘電層20を挟んで電極21aと対向するように、誘電層20の下面に三つ形成されている。電極21bは、誘電層20の下面に、スクリーン印刷されている。このように、誘電層20を挟んで、電極21a、21bが三対配置されている。電極21a、21bは、イオン固定共重合体にカーボンナノチューブが分散された本発明の導電材料からなる。
配線22aは、誘電層20の上面に形成された電極21aの一つ一つに、それぞれ接続されている。配線22aにより、電極21aとコネクタ24とが結線されている。配線22aは、誘電層20の上面に、スクリーン印刷により形成されている。同様に、配線22bは、誘電層20の下面に形成された電極21bの一つ一つに、それぞれ接続されている(図4中、点線で示す)。配線22bにより、電極21bとコネクタ(図略)とが結線されている。配線22bは、誘電層20の下面に、スクリーン印刷により形成されている。配線22a、22bは、イオン固定共重合体にカーボンナノチューブが分散された本発明の導電材料からなる。
カバーフィルム23aは、アクリルゴム製であって、左右方向に延びる帯状を呈している。カバーフィルム23aは、誘電層20、電極21a、配線22aの上面を覆っている。同様に、カバーフィルム23bは、アクリルゴム製であって、左右方向に延びる帯状を呈している。カバーフィルム23bは、誘電層20、電極21b、配線22bの下面を覆っている。
次に、静電容量型センサ2の動きについて説明する。例えば、静電容量型センサ2が上方から押圧されると、誘電層20、電極21a、カバーフィルム23aは一体となって、下方に湾曲する。圧縮により、誘電層20の厚さは薄くなる。その結果、電極21a、21b間のキャパシタンスは大きくなる。このキャパシタンス変化により、圧縮による変形が検出される。
次に、静電容量型センサ2の作用効果について説明する。本実施形態によると、電極21a、21bおよび配線22a、22bは、柔軟で伸縮性に優れる。このため、誘電層20の動きが、電極21a、21bおよび配線22a、22bにより、規制されにくい。よって、静電容量型センサ2の応答性は良好である。また、電極21a、21bおよび配線22a、22bは、高い導電性を有する。加えて、電極21a、21bおよび配線22a、22bにおいては、伸張を繰り返しても、電気抵抗が増加しにくい。さらに、イオン成分のブリードによる汚染や物性変化が少ない。したがって、静電容量型センサ2においては、電極21a、21bおよび配線22a、22bに起因した性能の低下が生じにくい。よって、静電容量型センサ2は耐久性に優れる。なお、静電容量型センサ2には、誘電層20を狭んで対向する電極21a、21bが、三対形成されている。しかし、電極の数、大きさ、形状、配置等は、用途に応じて、適宜決定すればよい。
[第四実施形態]
本発明のトランスデューサの第四実施形態として、発電素子の実施形態を説明する。図6に、本実施形態における発電素子の断面模式図を示す。(a)は伸張時、(b)は収縮時を各々示す。
図6に示すように、発電素子3は、誘電層30と、電極31a、31bと、配線32a〜32cと、を備えている。誘電層30は、水素化ニトリルゴム製である。電極31aは、誘電層30の上面の略全体を覆うように、配置されている。同様に、電極31bは、誘電層30の下面の略全体を覆うように、配置されている。電極31aには、配線32a、32bが接続されている。すなわち、電極31aは、配線32aを介して、外部負荷(図略)に接続されている。また、電極31aは、配線32bを介して、電源(図略)に接続されている。電極31bは、配線32cにより接地されている。電極31a、31bは、イオン固定共重合体にカーボンナノチューブが分散された本発明の導電材料からなる。
図6(a)中白抜き矢印で示すように、発電素子3を圧縮し、誘電層30を電極31a、31b面に対して平行方向に伸張すると、誘電層30の厚さは薄くなり、電極31a、31b間に電荷が蓄えられる。その後、圧縮力を除去すると、図6(b)に示すように、誘電層30の弾性復元力により誘電層30は収縮し、厚さが厚くなる。その際、蓄えられた電荷が配線32aを通して放出される。
本実施形態によると、電極31a、31bは、柔軟で伸縮性に優れる。このため、誘電層30の動きが、電極31a、31bにより規制されにくい。また、電極31a、31bは、高い導電性を有する。加えて、電極31a、31bにおいては、伸張を繰り返しても、電気抵抗が増加しにくい。さらに、イオン成分のブリードによる汚染や物性変化が少ない。したがって、発電素子3においては、電極31a、31bに起因した性能の低下が生じにくい。よって、発電素子3は、耐久性に優れる。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
<導電材料の製造>
[実施例1]
まず、以下のようにして、イオン固定共重合体Aを製造した。ビニルイミダゾール20.8g(0.22mol)と、1−ブロモブタン39.4g(0.29mol)と、を溶剤のアセトニトリル60mlに溶解して、室温下で5日間撹拌した。溶媒を減圧除去した後、酢酸エチルで5回洗浄し、減圧乾燥して、薄黄色粘性体を得た。得られた薄黄色粘性体20.0g(0.087mol)をアセトニトリル90mlに溶解して、リチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド(LiTFSI)24.84g(0.087mol)を加えて、室温下で15時間撹拌することにより、アニオン交換反応を行った。溶媒を減圧除去した後、イオン交換水で5回洗浄し、減圧乾燥して、式(1)に示す構造の重合性イオン液体Aを得た。
Figure 0006067447
重合性イオン液体A17.95g(0.04mol)と、アクリル酸ブチル20.00g(0.16mol)と、アクリル酸2ヒドロキシエチル1.21g(0.01mol)と、を三つ口フラスコに入れ、エタノール150mlに溶解した。窒素バブリングを30分間行った後、ラジカル開始剤のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を1mol%添加して、窒素雰囲気下、75℃で6時間加熱還流することにより重合反応を行った。反応終了後、メタノールを用いて再沈殿、洗浄を行い、減圧乾燥して、式(2)に示す構造のイオン固定共重合体Aを得た。式(2)中、(a)はゴムポリマー成分、(b)は官能基含有ポリマー成分、(c)はイオン成分である。イオン固定共重合体Aの組成は、核磁気共鳴(NMR)装置を用いて確認した。イオン固定共重合体AのTgを、示差走査熱量測定(DSC)装置を用いて確認したところ、Tgは−49.1℃であった。
Figure 0006067447
次に、製造したイオン固定共重合体Aを、溶剤のメチルエチルケトンに溶解して、ポリマー溶液を調製した。調製したポリマー溶液に、導電剤として単層カーボンナノチューブ(独立行政法人産業技術総合研究所製「スーパーグロースCNT」5質量部を添加して、直径0.5mmのガラスビーズを充填したビーズミル((株)シンマルエンタープライゼス製「ダイノミル」)を用いて分散することにより、導電塗料を調製した。調製した導電塗料を、PET製の基材表面にバーコート法により塗布し、150℃下で1時間加熱して、塗膜を乾燥させた。このようにして、厚さ30μmの薄膜状の導電材料を製造した。
[実施例2]
単層カーボンナノチューブの配合量を10質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、導電塗料を調製し、導電材料を製造した。
[実施例3]
単層カーボンナノチューブの配合量を15質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、導電塗料を調製し、導電材料を製造した。
[実施例4]
イオン固定共重合体の種類を、式(4)に示す構造のイオン固定共重合体Bに変更した以外は、実施例1と同様にして、導電塗料を調製し、導電材料を製造した。イオン固定共重合体Bの製造方法は、以下の通りである。
炭化水素1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム溶液(50%、inメタノール:水=3:2)25gに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸12.9g(0.062mol)を加えて、室温下で2時間撹拌した。溶媒を減圧除去した後、メタノール(超脱水)に再溶解し、再び溶媒を減圧除去して乾燥することにより、式(3)に示す構造の重合性イオン液体Bを得た。
Figure 0006067447
重合性イオン液体B14.37g(0.04mol)と、アクリル酸ブチル20.00g(0.16mol)と、アクリル酸2ヒドロキシエチル1.21g(0.01mol)と、を三つ口フラスコに入れ、エタノール150mlに溶解した。窒素バブリングを30分間行った後、ラジカル開始剤のAIBNを1mol%添加して、窒素雰囲気下、75℃で6時間加熱還流することにより重合反応を行った。反応終了後、メタノールを用いて再沈殿、洗浄を行い、減圧乾燥して、式(4)に示す構造のイオン固定共重合体Bを得た。式(4)中、(a)はゴムポリマー成分、(b)は官能基含有ポリマー成分、(c)はイオン成分である。イオン固定共重合体Bの組成は、NMR装置を用いて確認した。イオン固定共重合体BのTgを、DSC装置を用いて確認したところ、Tgは−23.1℃であった。
Figure 0006067447
[実施例5]
イオン固定共重合体の種類を、式(6)に示す構造のイオン固定共重合体Cに変更した以外は、実施例1と同様にして、導電塗料を調製し、導電材料を製造した。イオン固定共重合体Cの製造方法は、以下の通りである。
2−(アクリロイルオキシ)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウム・クロリド16.80g(0.087mol)をイオン交換水90mlに溶解した後、LiTFSI24.84g(0.087mol)を加えて、室温下で15時間撹拌することにより、アニオン交換反応を行った。溶媒を減圧除去した後、イオン交換水で5回洗浄し、減圧乾燥して、式(5)に示す構造の重合性イオン液体Cを得た。
Figure 0006067447
重合性イオン液体C18.24g(0.04mol)と、アクリル酸ブチル20.00g(0.16mol)と、アクリル酸2ヒドロキシエチル1.21g(0.01mol)と、を三つ口フラスコに入れ、メタノール150mlに溶解した。窒素バブリングを30分間行った後、ラジカル開始剤のAIBNを1mol%添加して、窒素雰囲気下、75℃で6時間加熱還流することにより重合反応を行った。反応終了後、エタノールを用いて再沈殿、洗浄を行い、減圧乾燥して、式(6)に示す構造のイオン固定共重合体Cを得た。式(6)中、(a)はゴムポリマー成分、(b)は官能基含有ポリマー成分、(c)はイオン成分である。イオン固定共重合体Cの組成は、NMR装置を用いて確認した。イオン固定共重合体CのTgを、DSC装置を用いて確認したところ、Tgは−5.2℃であった。
Figure 0006067447
[実施例6]
イオン固定共重合体の種類を、イオン固定共重合体Dに変更した以外は、実施例1と同様にして、導電塗料を調製し、導電材料を製造した。イオン固定共重合体Dは、重合性イオン液体Aの配合量を増加した以外は、実施例1のイオン固定共重合体Aと同様にして製造した。すなわち、重合性イオン液体A31.07g(0.07mol)と、アクリル酸ブチル20.00g(0.16mol)と、アクリル酸2ヒドロキシエチル1.21g(0.01mol)と、を三つ口フラスコに入れ、エタノール150mlに溶解した。窒素バブリングを30分間行った後、ラジカル開始剤のAIBNを1mol%添加して、窒素雰囲気下、75℃で6時間加熱還流することにより重合反応を行った。反応終了後、メタノールを用いて再沈殿、洗浄を行い、減圧乾燥して、上記式(2)に示す構造のイオン固定共重合体Dを得た。イオン固定共重合体Dの組成は、NMR装置を用いて確認した。イオン固定共重合体DのTgを、DSC装置を用いて確認したところ、Tgは−14.3℃であった。
[実施例7]
イオン固定共重合体とアクリルゴムポリマーとをブレンドして、導電材料を製造した。まず、イオン固定共重合体A60質量部と、式(7)に示す構造のアクリルゴムポリマー(日本ゼオン(株)製「Nipol(登録商標)AR42W」)40質量部と、を溶剤のメチルエチルケトンに溶解して、ポリマー溶液を調製した。次に、調製したポリマー溶液に、実施例1と同じ単層カーボンナノチューブ5質量部を添加して、ビーズミル(同上)を用いて分散することにより、導電塗料を調製した。そして、調製した導電塗料を、PET製の基材表面にバーコート法により塗布し、150℃下で1時間加熱して、塗膜を乾燥させた。このようにして、厚さ30μmの薄膜状の導電材料を製造した。
Figure 0006067447
[比較例1]
イオン固定共重合体に代えて従来のゴムポリマーを用いて、導電材料を製造した。まず、実施例7において使用した式(7)に示す構造のアクリルゴムポリマー(同上)100質量部を、溶剤のメチルエチルケトンに溶解して、ポリマー溶液を調製した。次に、調製したポリマー溶液に、実施例1と同じ単層カーボンナノチューブ5質量部を添加して、ビーズミル(同上)を用いて分散することにより、導電塗料を調製した。そして、調製した導電塗料を、PET製の基材表面にバーコート法により塗布し、150℃下で1時間加熱して、塗膜を乾燥させた。このようにして、厚さ30μmの薄膜状の導電材料を製造した。
[比較例2]
アクリルゴムポリマーの配合量を54質量部に変更し、さらに、上記式(1)に示す重合性イオン液体Aを46質量部配合した以外は、比較例1と同様にして、導電塗料を調製し、導電材料を製造した。比較例2においては、アクリルゴムポリマーを溶剤に溶解したポリマー溶液に、単層カーボンナノチューブ5質量部と、重合性イオン液体A46質量部と、を添加して、ビーズミル(同上)を用いて分散することにより、導電塗料を調製した。
[比較例3]
国際公開第2009/102077号(特許文献3)の実施例1に準じて、導電材料を製造した。まず、溶剤の4−メチル−2−ペンタノンに、単層カーボンナノチューブ(同上)5質量部と、イオン液体のビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(BMITFSI)10質量部と、を添加して、室温下、スターラーを用いて700rpmを超える回転速度で16時間攪拌した。次に、得られた混合物を、ジェットミル((株)常光製「ナノジェットパル(登録商標)JN10」)に入れ、吐出圧力60MPaにて処理することにより、ゲル状の組成物を得た。それから、得られたゲルに、4−メチル−2−ペンタノンと、フッ素ゴム(ダイキン工業(株)製「ダイエル(登録商標)G−912」)90質量部と、を添加して、室温下、スターラーを用いて回転速度約300rpmで16時間攪拌することにより、導電塗料を調製した。そして、調製した導電塗料を、PET製の基材表面にバーコート法により塗布し、150℃下で1時間加熱して、塗膜を乾燥させた。このようにして、厚さ30μmの薄膜状の導電材料を製造した。
<導電材料の評価>
[評価方法]
(1)導電性
まず、伸張する前の自然状態(初期)における導電材料の体積抵抗率を、測定した。体積抵抗率の測定は、JIS K6271(2008)の平行端子電極法に準じて行った。体積抵抗率の測定において、導電材料(試験片)を支持する絶縁樹脂製支持具には、市販のゴムシート(住友スリーエム(株)製「VHB(登録商標)4910」)を用いた。次に、導電材料を一軸方向に伸張率30%で伸張させて、体積抵抗率を測定した。伸張率は、次式(i)により算出した値である。
伸張率(%)=(ΔL/L)×100・・・(i)
[L:試験片の標線間距離、ΔL:試験片の標線間距離の伸張による増加分]
(2)柔軟性
JIS K6251:2010に準じて引張試験を行い、切断時伸び(E)を測定した。測定には、ダンベル状3号形の試験片を用い、引張速度は100mm/minとした。
(3)分散性
レーザー粒度分析計(日機装(株)製「マイクロトラックMT3300EII」)を用いて、導電塗料に含まれる導電剤(単層カーボンナノチューブ)の粒度分布を測定した。そして、得られた粒度分布からメジアン径(d50)を算出した。
(4)ブリード性
イオン成分のブリードの有無を調べるため、導電材料のゲル分率を測定した。ゲル分率の測定方法は、以下の通りである。まず、導電材料からサンプルを0.1g採取して、メチルエチルケトン100ml中に浸漬し、そのまま室温下で3日間放置した。次に、サンプルを取り出して、30℃下で16時間真空乾燥した後、質量を測定した。そして、次式(ii)により、ゲル分率を算出した。
ゲル分率(%)=W2/W1×100・・・(ii)
[W1:採取したサンプル質量(g)、W2:溶剤浸漬、乾燥後のサンプル質量(g)]
[評価結果]
実施例および比較例の各導電材料の組成、および評価項目の測定結果を、表1にまとめて示す。また、図7に、実施例1、4、5−7および比較例1、3の導電塗料における単層カーボンナノチューブの粒度分布を示す。
Figure 0006067447
表1に示すように、実施例1〜7の導電材料においては、初期の体積抵抗率が小さく、かつ、伸張時においても体積抵抗率の増加が小さいことが確認された。具体的には、実施例1〜7の導電材料の体積抵抗率は、伸張前後のいずれにおいても1.00Ω・cm以下であった。
粒度分布を比較すると、実施例1〜7の導電材料のd50は、比較例1、2の導電材料のそれよりも小さくなった。これは、実施例1〜7の導電材料においては、比較例1、2の導電材料と比較して、単層カーボンナノチューブの分散性が向上し、粒子径が小さいものの割合が増加したためと考えられる。
また、表1中、○印で示すように、実施例1〜7の導電材料のゲル分率は、全て95%以上であった。この結果から、実施例1〜7の導電材料においては、イオン成分がブリードしにくいと言える。これに対して、比較例2の導電材料においては、表1中、×印で示すように、ゲル分率は95%未満であった。比較例3の導電材料については、導電性が高く、d50も小さくなったが、ゲル分率は95%未満であった。このように、比較例2、3の導電材料においては、イオン液体がそのまま配合されているため、イオン成分がマトリクスのゴムポリマーに固定されている実施例1〜7の導電材料と比較して、ブリードしやすい。
本発明の導電材料は、柔軟なトランスデューサの電極、配線の他、ウェアラブルデバイス等に使用される電磁波シールド、フレキシブル配線板等に好適である。本発明の導電材料を電極や配線に用いることにより、ロボットの可動部、介護用機器、輸送機器の内装等の柔軟な部位に実装される電子機器の耐久性を、向上させることができる。
1:アクチュエータ(トランスデューサ)、10:誘電層、11a、11b:電極、12a、12b:配線、13:電源。
2:静電容量型センサ(トランスデューサ)、20:誘電層、21a、21b:電極、22a、22b:配線、23a、23b:カバーフィルム、24:コネクタ。
3:発電素子(トランスデューサ)、30:誘電層、31a、31b:電極、32a〜32c:配線。
4:スピーカ(トランスデューサ)、40a:第一アウタフレーム、40b:第二アウタフレーム、41a:第一インナフレーム、41b:第二インナフレーム、42a:第一誘電層、42b:第二誘電層、43a:第一アウタ電極、43b:第二アウタ電極、44a:第一インナ電極、44b:第二インナ電極、45a:第一振動板、45b:第二振動板、430a、430b、440a、440b:端子、460:ボルト、461:ナット、462:スペーサ。

Claims (9)

  1. 共重合成分としてゴムポリマー成分とイオン成分とを含みガラス転移点が20℃以下のイオン固定共重合体を有するマトリクスに、導電剤が分散されてなり、
    該イオン成分は、重合性イオン液体を構成するカチオンまたはアニオンであり、
    該カチオンは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、イミダゾリウムイオン、4級アンモニウムイオン、ピリジウムイオン、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオンから選ばれる一種であり、
    該アニオンは、F 、Cl 、Br 、BF 、PF 、(CF SO 、AlCl 、Al Cl 、NO 、CH COO 、CF COO 、CF SO 、(CF SO 、AsF 、SbF 、CF (CF SO 、(CF CF SO 、CF (CF COO から選ばれる一種であることを特徴とする導電材料。
  2. 前記導電剤は、カーボンナノチューブを含む請求項1に記載の導電材料。
  3. 前記イオン固定共重合体は、共重合成分として、さらに、架橋可能な官能基を有する官能基含有ポリマー成分を含む請求項1または請求項2に記載の導電材料。
  4. 前記官能基は、水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、シラノール基、エポキシ基から選ばれる一種以上である請求項3に記載の導電材料。
  5. 前記ゴムポリマー成分は、アクリルゴム、ウレタンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム、ヒドリンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレンゴムのうちのいずれかである請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の導電材料。
  6. 前記重合性イオン液体を構成する前記カチオンは、イミダゾリウムイオンまたは4級アンモニウムイオンであり、前記アニオンは、(CFSOである請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の導電材料。
  7. 前記マトリクスは、さらに他のエラストマーを有する請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の導電材料。
  8. 前記導電剤の配合量は、前記マトリクス100質量部に対して50質量部以下であり、
    自然状態の体積抵抗率が1.00Ω・cm以下である請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の導電材料。
  9. ポリマー製の誘電層と、該誘電層を介して配置されている複数の電極と、複数の該電極と各々接続されている配線と、を備え、
    該電極および該配線の少なくとも一方は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の導電材料からなることを特徴とするトランスデューサ。
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