JP6321894B2 - 導電性膜およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高分子材料を用いた柔軟なトランスデューサの電極や配線、電磁波シールド、フレキシブル配線板などに好適な導電性膜、およびその製造方法に関する。
エラストマーなどの高分子材料を利用して、柔軟性が高く、小型で軽量なトランスデューサが開発されている。この種のトランスデューサは、例えば、電極間にエラストマー製の誘電層を介装して構成される。電極間の印加電圧を変化させると、誘電層が伸縮する。したがって、柔軟なトランスデューサにおいては、電極や配線においても、誘電層の変形に追従できるような伸縮性が要求される。伸縮可能な電極および配線の材料としては、例えば特許文献1に記載されているように、ゴムに炭素材料などの導電剤を配合した導電性ゴム組成物が知られている。
特開2009−227985号公報 国際公開第2013/146254号
導電剤として使用される炭素材料のうち、導電性カーボンブラックや黒鉛粉末をエラストマーに配合した場合、粒子同士が接触しにくく、接触点の面積も小さい。このため、組成物に所望の導電性を付与するためには、導電剤の配合量を多くせざるを得ず、柔軟性が損なわれる。また、組成物を伸張すると、粒子同士の接触による導通が断たれるため、電気抵抗が大幅に増加してしまう。一方、アスペクト比が比較的大きい多層カーボンナノチューブをエラストマーに配合した場合、多層カーボンナノチューブ同士は接触しやすいものの、多層カーボンナノチューブ自体の導電性が低いため、組成物の電気抵抗は大きくなる。このため、柔軟性を維持しつつ組成物を高導電化するには限界がある。また、単層カーボンナノチューブやグラフェン(黒鉛の構成単位)は、アスペクト比が比較的大きく高い導電性を有する。しかし、これらは凝集しやすいため、エラストマー溶液に分散させ塗料化した場合に粘度上昇が大きくなる。このため、印刷法などによる薄膜の形成は難しい。
例えば、特許文献2には、エラストマーと、繊維径が30nm未満の繊維状炭素材料と、最大長さが150nm以上かつ厚さが50nm未満の薄片状炭素材料と、を含む導電性膜が記載されている。特許文献2に記載の導電性膜においては、薄片状炭素材料が繊維状炭素材料同士を連結することにより、伸張時における電気抵抗の増加を抑制している。しかしながら、特許文献2に記載の導電性膜においては、伸張が繰り返されると初期の導電性を維持することは難しく、導電耐久性のさらなる向上が望まれる。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、導電性が高く、伸張を繰り返しても電気抵抗が増加しにくい導電性膜、およびその製造方法を提供することを課題とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明の導電性膜は、エラストマーと、薄片状炭素材料と、を含み、該薄片状炭素材料の含有量は、導電剤を除く固形分全体を100質量部とした場合の20質量部以上60質量部以下であり、入射角20°で測定される表面の光沢度が0.4%より大きく10%より小さいことを特徴とする。
本発明の導電性膜によると、入射角20°で測定される表面の光沢度が0.4%より大きい。これは、本発明の導電性膜の表面に沿って、薄片状炭素材料が配向して存在していることに起因する。薄片状炭素材料は、黒鉛などを薄片化して得られる材料である。黒鉛の構成単位であるグラフェンの電子状態は、金属のそれに近い。このため、薄片化が進むほどグラフェンに近づいて、金属光沢が発現する。したがって、表面の光沢度が大きいほど、配向した薄片化炭素材料が多く存在すると考えられる。また、薄片化が進んだ(より薄い)薄片状炭素材料が存在すると考えられる。薄片状炭素材料のアスペクト比(長さ/厚さ)は、比較的大きい。このため、薄片状炭素材料同士が接触しやすく、導通経路が形成されやすい。加えて、薄片状炭素材料が面方向に配向して存在しているため、伸張しても導通経路が切断されにくい。したがって、本発明の導電性膜においては、初期(伸張前)の導電性が高く、かつ、伸張を繰り返しても電気抵抗が増加しにくい。すなわち、本発明の導電性膜は、高い導電性を維持できるという意味での導電耐久性に優れる。
なお、本明細書においては、導電性膜の表面の光沢度として、日本電色工業(株)製の光沢計「PG−1M」により測定された値を採用する。
(2)上記課題を解決するため、本発明の導電性膜の第一の製造方法は、エラストマーと、黒鉛粉末および膨張黒鉛粉末の少なくとも一方を含む導電剤と、溶剤と、を含む液状組成物を調製する液状組成物調製工程と、該液状組成物を湿式ジェットミルを用いて粉砕処理する粉砕処理工程と、粉砕処理後の該液状組成物を基材に塗布し、塗膜を硬化させることにより、入射角20°で測定される表面の光沢度が0.4%より大きく10%より小さい導電性膜を得る硬化工程と、を有することを特徴とする。
粉砕処理工程において、湿式ジェットミルにより液状組成物を粉砕処理することにより、液状組成物中の黒鉛(膨張黒鉛)がせん断力により剥離され、薄片化が進行する。これにより、原料の黒鉛(膨張黒鉛)よりもグラフェンの積層数が少ない複層グラフェンが製造される。複層グラフェンは、上記本発明の導電性膜における薄片化炭素材料に含まれる。このように、粉砕処理工程においては、複層グラフェン(薄片状炭素材料)などがエラストマー溶液に分散された液状組成物が得られる。そして、次の硬化工程において、当該液状組成物を基材に塗布し、塗膜を硬化させることにより、所定の光沢度を有する導電性膜を得る。本発明の第一の製造方法によると、薄片状炭素材料を容易に製造することができ、上記本発明の導電性膜を容易に製造することができる。また、次に説明する本発明の第二の製造方法と比較して、より高い固形分濃度にて粉砕処理を実施できるため、液状組成物の固形分濃度や粘度の調整幅が広くなる。
ちなみに、上記特許文献2に記載された導電性膜の製造においては、原料の炭素材料をビーズミルで処理している。このため、炭素材料の剥離による薄片化よりも破壊による微粒子化が進行しやすい。したがって、所定の光沢度を有する導電性膜を実現するための複層グラフェン(薄片状炭素材料)を得ることはできない。
(3)上記課題を解決するため、本発明の導電性膜の第二の製造方法は、黒鉛粉末および膨張黒鉛粉末の少なくとも一方を含む導電剤と、溶剤と、を含む導電剤分散液を、湿式ジェットミルを用いて粉砕処理する粉砕処理工程と、粉砕処理後の該導電剤分散液に、エラストマーと溶剤とを含むエラストマー溶液を加えて液状組成物を調製する液状組成物調製工程と、該液状組成物を基材に塗布し、塗膜を硬化させることにより、入射角20°で測定される表面の光沢度が0.4%より大きく10%より小さい導電性膜を得る硬化工程と、を有することを特徴とする。
粉砕処理工程において、湿式ジェットミルにより導電剤分散液を粉砕処理することにより、導電剤分散液中の黒鉛(膨張黒鉛)がせん断力により剥離され、薄片化が進行する。これにより、第一の製造方法における粉砕処理工程と同様に、原料の黒鉛(膨張黒鉛)よりもグラフェンの積層数が少ない複層グラフェンが製造される。すなわち、本発明の第二の製造方法における粉砕処理工程においては、複層グラフェン(薄片状炭素材料)などが溶剤に分散された導電剤分散液が得られる。その後、液状組成物調製工程において、当該導電剤分散液にエラストマー溶液を加えることにより、液状組成物を調製する。そして、第一の製造方法における硬化工程と同様に、当該液状組成物を基材に塗布し、塗膜を硬化させることにより、所定の光沢度を有する導電性膜を得る。本発明の第二の製造方法によると、薄片状炭素材料を容易に製造することができ、上記本発明の導電性膜を容易に製造することができる。また、先の本発明の第一の製造方法と比較して、粉砕処理によりポリマーの分子量が低下するおそれがない。
導電性膜の光沢度と初期の電気抵抗率との関係を示すグラフである。 導電性膜の光沢度と伸張耐久試験における最大電気抵抗率との関係を示すグラフである。
<導電性膜>
本発明の導電性膜は、エラストマーと、薄片状炭素材料と、を含む。エラストマーとしては、常温でゴム状弾性を有するという観点から、ガラス転移温度(Tg)が室温以下のものを用いることが望ましい。Tgが低くなると、結晶性が低下する。このため、エラストマーが、より伸縮しやすくなる。例えば、Tgが0℃以下、−10℃以下、さらには−30℃以下のものが、より柔軟で好適である。
エラストマーは、変形を繰り返した場合の復元性に優れるという理由から、架橋ゴムであることが望ましい。また、熱可塑性エラストマーのように、ハードセグメントとソフトセグメントとのミクロ相分離構造を有し、疑似架橋しているものでもよい。熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系、スチレン系、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、塩ビ系などが挙げられる。架橋ゴムとしては、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、エチレンオキシド−エピクロロヒドリン共重合体、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、ポリエステルゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。また、エポキシ化天然ゴム、カルボキシル基変性水素化ニトリルゴムのように、官能基を導入するなどして変性されたものでもよい。
なかでも、アクリルゴムは、結晶性が低く分子間力が弱いため、他のゴムと比較してTgが低い。よって、柔軟で伸びがよく、トランスデューサの電極などに好適である。アクリルゴムとしては、例えば、未架橋状態における伸びが1500%以上、引張強さが0.1MPa以上のものが望ましい。未架橋状態における伸び、引張強さは、次の方法にて測定された応力−伸び曲線から得られた値を採用する。まず、架橋前のアクリルゴムポリマー溶液を、離型処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)製の基材上に、厚さ狙い値500μmにて塗布し、150℃下で2時間乾燥させる。次に、塗膜が形成された基材を、幅10mm×長さ40mmの大きさに切り出し、そこから塗膜を剥がして試験片とする。そして、(株)島津製作所製の静的試験機「AUTOGRAPH AGS−X(100N)」を使用して試験片の引張試験を行い、チャック間距離20mm、引張速度100mm/分で一軸伸張した際の応力に対する伸びを測定する。
導電性膜に耐熱性および耐摩耗性を付与したい場合には、フッ素ゴムを用いることが望ましい。導電性膜の耐熱性を高くすると、高温下で伸張を繰り返しても電気抵抗の増加を抑制することができる。導電性膜の耐摩耗性を高くすると、摺動部などで他の部材が摺接しても摩耗しにくくなり、電気抵抗の増加を抑制することができる。
導電性膜に耐寒性を付与したい場合には、Tgの低いエラストマーを選択するとよい。例えば、Tgが−30℃以下のものが好適である。この場合、Tgの低いエラストマーを単独で用いてもよく、他のエラストマーとブレンドして用いてもよい。また、後述するように可塑剤を配合しても、耐寒性を向上させることができる。導電性膜の耐寒性を高くすると、低温下でも柔軟性が低下しにくく、伸張を繰り返しても電気抵抗の増加を抑制することができる。
薄片状炭素材料は、黒鉛、膨張黒鉛などの黒鉛構造を有する炭素材料から製造することができる。薄片状炭素材料は、複数のグラフェンの積層体である複層グラフェンであることが望ましい。グラフェンは、黒鉛(グラファイト)の1層分であり、炭素原子の六員環が平面状に連なった構造を有する。複層グラフェンにおけるグラフェンの積層数は、黒鉛よりも少なく、数層〜数百層であることが望ましい。
本発明の導電性膜における薄片状炭素材料の含有量は、導電剤を除く固形分全体を100質量部とした場合の20質量部以上60質量部以下である。20質量部未満の場合には、薄片状炭素材料同士が接触しにくく、伸張に耐え得る導通経路を形成することができない。この場合、導電性膜の表面の光沢度も0.4%以下になると考えられる。反対に、60質量部を超えると、導電性膜の柔軟性が低下する。導電剤は、薄片状炭素材料を含めて導電性膜に導電性を付与する材料である。
本発明の導電性膜の表面の光沢度は、入射角20°で測定した場合に0.4%より大きく10%より小さい。0.4%以下の場合には、薄片化炭素材料が充分に配向されていないため、所望の導電性が得られない。好適な光沢度は0.5%以上である。反対に10%以上になると、導電性膜の柔軟性が低下し、繰り返し伸張した際の耐久性が低下する。好適な光沢度は5%以下である。更に好ましくは1.5%以下である。
本発明の導電性膜は、薄片状炭素材料に加えて、他の導電剤を含んでいてもよい。他の導電剤としては、導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブなどが好適である。なかでも、導電性カーボンブラックを含む場合には、増粘剤として液状組成物の粘度を調整したり、導電性膜の強度を向上することができる。
本発明の導電性膜は、架橋剤、架橋促進剤、架橋助剤、分散剤、可塑剤、加工助剤、老化防止剤、軟化剤、着色剤などの添加剤を含んでいてもよい。架橋反応に寄与する架橋剤、架橋促進剤、架橋助剤などについては、エラストマーの種類に応じて、適宜選択すればよい。可塑剤を含む場合には、導電性膜の耐寒性が向上する。可塑剤としては、例えば、アジピン酸ジエステル、エーテル・エステル誘導体などが挙げられる。
分散剤を含む場合には、薄片状炭素材料の凝集が抑制され分散性が向上する。分散剤としては、アニオンとカチオンとがイオン結合した有機塩構造を有する高分子界面活性剤(例えば、高分子量ポリエステル酸アミドアミン塩など)、多環芳香族成分とオリゴマー成分とがアミド結合またはイミド結合してなる重合体などが挙げられる。後者の重合体の多環芳香族成分は、π−π相互作用を有し、薄片状炭素材料との親和性に寄与する。多環芳香族成分は、芳香環を含む複数の環構造を有する。環の数および配列は、特に限定されない。多環芳香族成分は、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、ペリレン環、ナフタセン環のうちのいずれかを有することが望ましい。柔軟性を考慮すると、ベンゼン環が繋がったビフェニル構造、ナフタレン環を有する構造が好適である。多環芳香族成分とアミド結合またはイミド結合しているオリゴマー成分は、エラストマーとの親和性に寄与する。オリゴマー成分は、エラストマーに相溶なものが好適である。
<導電性膜の製造方法>
(1)第一の製造方法
本発明の導電性膜の第一の製造方法は、液状組成物調製工程と、粉砕処理工程と、硬化工程と、を有する。以下、各工程を順に説明する。
[液状組成物調製工程]
本工程は、エラストマーと、黒鉛粉末および膨張黒鉛粉末の少なくとも一方を含む導電剤と、溶剤と、を含む液状組成物を調製する工程である。
エラストマーについては、本発明の導電性膜において説明した通りである。本工程においては、架橋前のゴムポリマー、熱可塑性エラストマーを用いればよい。
導電剤の黒鉛粉末としては、天然黒鉛または人造黒鉛の粉末を用いればよい。薄片化処理された薄片化黒鉛の粉末を用いてもよい。膨張黒鉛は、鱗片状の黒鉛の層間に加熱によりガスを発生する物質が挿入されたものである。膨張黒鉛粉末も、天然黒鉛か人造黒鉛かを問わない。膨張黒鉛粉末として、薄片化処理された薄片化膨張黒鉛の粉末を用いてもよい。
黒鉛粉末および膨張黒鉛粉末の粒子径は、湿式ジェットミルで処理できる範囲において、比較的大きい方が望ましい。原料粉末の粒子径が小さいと、粉砕処理後に得られる複層グラフェン(薄片状炭素材料)の面方向の長さ(面積)も小さくなる。この場合、複層グラフェン同士が接触しにくくなるおそれがある。その結果、初期の導電性および伸張を繰り返した後の導電性が低下するおそれがある。このような理由から、黒鉛粉末および膨張黒鉛粉末の平均粒子径は、45μm以上であることが望ましい。本明細書においては、黒鉛粉末および膨張黒鉛粉末の平均粒子径として、レーザ回折散乱式粒子径分布測定装置(マイクロトラック・ベル(株)製「マイクロトラックMT3000」)により測定されたメジアン径を採用する。粒子径分布の測定試料には、測定対象の粉末をメチルエチルケトンに分散した分散液(屈折率1.38)を用いる。
導電剤のうち、黒鉛粉末および膨張黒鉛粉末の配合量は、導電剤を除く固形分全体を100質量部とした場合の20質量部以上60質量部以下とする。20質量部未満の場合には、表面の光沢度が0.4%より大きい導電性膜を製造することが難しい。また、導電性膜において複層グラフェン同士が接触しにくく、伸張に耐え得る導通経路を形成することができない。反対に、60質量部を超えると、柔軟な導電性膜を製造することが難しくなる。
液状組成物は、黒鉛粉末および膨張黒鉛粉末以外の他の導電剤を含んでいてもよい。他の導電剤としては、導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブなどが好適である。
溶剤としては、エラストマーのポリマーを溶解可能なものが望ましい。例えば、ブチルセロソロブアセテート、アセチルアセトン、イソホロンなどを使用するとよい。また、後の硬化工程における塗布方法に応じて、溶剤の沸点を調整するとよい。
液状組成物は、架橋剤、架橋促進剤、架橋助剤、分散剤、可塑剤、加工助剤、老化防止剤、軟化剤、着色剤、消泡剤、レベリング剤、粘度調整剤などの添加剤を含んでいてもよい。架橋反応に寄与する架橋剤、架橋促進剤、架橋助剤などについては、エラストマーの種類に応じて、適宜選択すればよい。可塑剤、分散剤については、本発明の導電性膜において説明した通りである。可塑剤を配合する場合には、導電剤および可塑剤を除く固形分全体を100質量部とした場合の5質量部以上35質量部以下とするとよい。分散剤を配合する場合には、導電剤を除く固形分全体を100質量部とした場合の5質量部以上40質量部以下とするとよい。
[粉砕処理工程]
本工程は、先の工程にて調製された液状組成物を湿式ジェットミルを用いて粉砕処理する工程である。
湿式ジェットミルによると、液状組成物は高圧ポンプにより加圧されてノズルに送り込まれ、ノズルから高速噴射される。そして、ノズル通過時に発生する高速せん断力、キャビテーション、および壁との衝突や液状組成物同士の衝突による衝撃力により、液状組成物中の黒鉛粉末などが粉砕処理される。湿式ジェットミルによると、黒鉛粉末や膨張黒鉛粉末にせん断力が加わるため剥離が進行しやすい。これにより、ナノメートルオーダーの複層グラフェン(薄片状炭素材料)を、容易に得ることができる。湿式ジェットミルの処理圧力、ノズルの種類、ノズル径、処理回数などについては、所望の薄片化炭素材料が得られるよう適宜調整すればよい。薄片化を進めるという観点から、ノズルの種類としては、壁との衝突や液状組成物同士の衝突を起こしやすい形状のもの、例えば衝突(クロス)型ノズルなどを選択するとよい。そして、粉砕処理は2回以上繰り返すことが望ましい。すなわち、湿式ジェットミルのノズルから、液状組成物を2回以上噴射させることが望ましい。
[硬化工程]
本工程は、粉砕処理後の液状組成物を基材に塗布し、塗膜を硬化させることにより、入射角20°で測定される表面の光沢度が0.4%より大きく10%より小さい導電性膜を得る工程である。
液状組成物の塗布方法は、特に限定されない。例えば、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、メタルマスク印刷、リソグラフィーなどの印刷法の他、ディップ法、スプレー法、バーコート法、ディスペンサ法などが挙げられる。基材としては、伸縮性または屈曲性を有するシートが好適である。例えば、アクリルゴム、EPDM、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、ウレタンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの架橋ゴム、あるいはウレタン系、エステル系、アミド系、アクリル系などの熱可塑性エラストマーからなるエラストマーシート、ポリイミド、ポリエチレン、PET、ポリエチレンナフタレート(PEN)などからなる樹脂シートが挙げられる。本発明の導電性膜を、伸縮可能な基材の表面に形成した場合には、柔軟性が高く、伸張時にも電気抵抗が増加しにくいという効果を、より発揮させることができる。塗膜の硬化温度は、用いた溶剤の種類や、エラストマーの架橋温度などを考慮して適宜決定すればよい。導電性膜の厚さは、用途に応じて適宜決定すればよい。例えば、トランスデューサの電極や配線として用いる場合には、1μm以上500μm以下の厚さにするとよい。
(2)第二の製造方法
本発明の導電性膜の第二の製造方法は、粉砕処理工程と、液状組成物調製工程と、硬化工程と、を有する。以下、各工程を順に説明する。
[粉砕処理工程]
本工程は、黒鉛粉末および膨張黒鉛粉末の少なくとも一方を含む導電剤と、溶剤と、を含む導電剤分散液を、湿式ジェットミルを用いて粉砕処理する工程である。本工程は、液状組成物ではなく導電剤分散液を粉砕処理する以外は、上述した本発明の導電性膜の第一の製造方法の液状組成物調製工程と、同じである。すなわち、液状組成物の代わりに導電剤分散液を、湿式ジェットミルのノズルから噴射させればよい。また、導電剤分散液に含まれる導電剤、溶剤については、第一の製造方法において説明した通りである。溶剤は、次の工程でエラストマー溶液を調製するために使用する溶剤と同じであることが望ましい。分散剤を使用する場合には、本工程の導電剤分散液に配合しておくことが望ましい。
[液状組成物調製工程]
本工程は、粉砕処理後の導電剤分散液に、エラストマーと溶剤とを含むエラストマー溶液を加えて液状組成物を調製する工程である。エラストマー、溶剤については、第一の製造方法において説明した通りである。また、第一の製造方法と同様に、液状組成物は、架橋剤、架橋促進剤、架橋助剤、可塑剤、加工助剤、老化防止剤、軟化剤、着色剤、消泡剤、レベリング剤、粘度調整剤などの添加剤を含んでいてもよい。
[硬化工程]
本工程は、先の工程にて調製された液状組成物を基材に塗布し、塗膜を硬化させることにより、入射角20°で測定される表面の光沢度が0.4%より大きく10%より小さい導電性膜を得る工程である。本工程は、上述した本発明の導電性膜の第一の製造方法の硬化工程と、同じである。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
<導電性膜の製造>
(1)表1に示す原料を、表2〜表4に示す配合割合で使用して、導電性膜を製造した。表1中、グリシジルエーテル基変性アクリルゴムポリマー−1は、三種類のモノマーを懸濁重合して製造した。モノマーとしては、エチルアクリレート(EA)、アクリロニトリル(AN)、およびアリルグリシジルエーテル(AGE)を用いた。モノマーの配合割合は、EAを96質量%、ANを2質量%、AGEを2質量%とした。得られたアクリルゴムポリマーのTgは、−10℃であった。
導電剤(F)は、多層カーボンナノチューブ(昭和電工(株)製「VGCF(登録商標)」、繊維径150nm、長さ10μm)を湿式粉砕して製造した。湿式粉砕は、多層カーボンナノチューブをメチルエチルケトンと共にビーズミルに入れ、周速10m/s、滞留時間15分間にて行った。ビーズミルのメディアには、直径0.5mmのジルコニアビーズを使用した(以下同じ)。
分散剤(b)は、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物(NTCDA)−ポリエーテルイミドである。反応工程を次式(b)に示す。
Figure 0006321894
まず、NTCDA(分子量268.18)を4.02g(15.00mmol)秤量し、溶剤のテトラヒドロフラン(THF)200mlと共に三つ口フラスコに入れ、窒素バブリングを30分間行った。次に、両末端アミノ変性ポリエーテルのポリ(プロピレングリコール)ビス(2−アミノプロピルエーテル)(ハンツマンコーポレーション製「ジェファーミン(登録商標)D2000」、分子量2000)を30.00g(15.00mmol)秤量し、撹拌しながら三つ口フラスコに注入し、窒素雰囲気下、65℃で10時間加熱還流することにより重合反応を行った。反応終了後、減圧乾燥によりTHFを除去して、式(b−1)に示す構造のNTCDA−ポリエーテルアミドを得た。続いて、NTCDA−ポリエーテルアミドをナスフラスコに入れ、200℃で6時間加熱還流を行った後、減圧乾燥して、式(b−2)に示す構造のNTCDA−ポリエーテルイミドを得た。
分散剤(e)は、次の構造式(e)で示されるポリマーである。構造式(e)のポリマーの質量平均分子量は、約1500である。
Figure 0006321894
Figure 0006321894
Figure 0006321894
Figure 0006321894
Figure 0006321894
[実施例1〜11、14、比較例1、4の導電性膜の製造方法]
実施例1〜11、14、比較例1、4の導電性膜については、本発明の第一の製造方法で製造した。まず、ポリマーをブチルセロソロブアセテートに溶解したポリマー溶液に、導電剤、分散剤、架橋剤、および架橋促進剤を添加して液状組成物を調製した。次に、液状組成物を、湿式ジェットミル(吉田機械興業(株)製「ナノヴェイタ(登録商標)」)により粉砕処理した。パス運転により、粉砕処理を合計6回行った(6パス処理)。1パス目は、ストレート型ノズル(ノズル径170μm)、処理圧力90MPaで行い、2パス目以降は、クロス型ノズル(ノズル径170μm)、処理圧力130MPaで行った。粉砕処理後の液状組成物をバーコート法により基材上に厚さ狙い値20μmにて塗布し、150℃下で2時間加熱することにより、塗膜を硬化させた。基材としては、PETシート、熱可塑性エラストマーシート(日本マタイ(株)製「エスマー(登録商標)URS」、厚さ0.2mm)の二種類を使用した。
[実施例12、13の導電性膜の製造方法]
実施例12、13の導電性膜は、本発明の第二の製造方法で製造した。まず、導電剤に分散剤および溶剤を添加して導電剤分散液を調製した。次に、調製した導電剤分散液を、湿式ジェットミル(同上)により粉砕処理した。パス運転により、粉砕処理を合計3回行った(3パス処理)。1パス目は、ストレート型ノズル(ノズル径170μm)、処理圧力90MPaで行い、2パス目以降は、クロス型ノズル(ノズル径170μm)、処理圧力130MPaで行った。それから、粉砕処理後の導電剤分散液に、ポリマーを溶剤に溶解したポリマー溶液、架橋剤、架橋促進剤を添加、混合して液状組成物を調製した。得られた液状組成物をバーコート法により基材上に厚さ狙い値20μmにて塗布し、150℃下で2時間加熱することにより、塗膜を硬化させた。基材としては、PETシート、熱可塑性エラストマーシート(同上)の二種類を使用した。なお、実施例におけるポリマー溶液は、本発明におけるエラストマー溶液の概念に含まれる。
[比較例2の導電性膜の製造方法]
ポリマーに導電剤、分散剤、架橋剤、架橋促進剤、およびブチルセロソロブアセテートを添加して、三本ロールにより混練りして液状組成物を調製した。得られた液状組成物を、実施例1と同様にして硬化させた。
[比較例3の導電性膜の製造方法]
ポリマーをブチルセロソロブアセテートに溶解したポリマー溶液に、導電剤、分散剤、架橋剤、および架橋促進剤を添加して、液状組成物を調製した。調製した液状組成物をビーズミルに入れ、周速10m/s、滞留時間15分間にて処理した。処理後の液状組成物を、実施例1と同様にして硬化させた。
[比較例5の導電性膜の製造方法]
ポリマーをブチルセロソロブアセテートに溶解したポリマー溶液に、分散剤を添加した後、さらに導電剤を添加して、液状組成物を調製した。調製した液状組成物をビーズミルに入れ、周速10m/s、滞留時間15分間にて処理した。処理後の液状組成物を、実施例1と同様にして硬化させた。
(2)表5に示す原料を、表6、表7に示す配合割合で使用して、導電性膜を製造した。表5中、グリシジルエーテル基変性アクリルゴムポリマー−2は、三種類のモノマーを懸濁重合して製造した。モノマーとしては、ブチルアクリレート(BA)、アクリロニトリル(AN)、およびアリルグリシジルエーテル(AGE)を用いた。モノマーの配合割合は、BAを96質量%、ANを2質量%、AGEを2質量%とした。得られたアクリルゴムポリマーのTgは、−45℃であった。三元系フッ素ゴムポリマーは、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体である。
Figure 0006321894
Figure 0006321894
Figure 0006321894
[実施例15〜25の導電性膜の製造方法]
実施例15〜25の導電性膜については、本発明の第一の製造方法で製造した。実施例15〜24においては、まず、ポリマーをブチルセロソロブアセテートに溶解したポリマー溶液に、導電剤、分散剤、架橋剤、および架橋促進剤を添加して液状組成物を調製した。ここで、実施例22〜24については、可塑剤も添加した。実施例25においては、まず、ポリマーに加工助剤を練り加工により添加したものを、1.6質量%の酢酸を含有したイソホロンに溶解して、ポリマー溶液を調製した。そして、調製したポリマー溶液に、導電剤、分散剤、および架橋剤を添加して液状組成物を調製した。次に、液状組成物を、湿式ジェットミル(同上)により粉砕処理した。パス運転により、粉砕処理を合計6回行った(6パス処理)。1パス目は、ストレート型ノズル(ノズル径170μm)、処理圧力90MPaで行い、2パス目以降は、クロス型ノズル(ノズル径170μm)、処理圧力130MPaで行った。粉砕処理後の液状組成物をバーコート法により基材上に厚さ狙い値20μmにて塗布し、150℃下で2時間加熱することにより、塗膜を硬化させた。基材としては、PETシート、熱可塑性エラストマーシート(同上)の二種類を使用した。
<導電性膜の評価方法>
[光沢度]
PETシート上に形成された厚さ20μmの導電性膜の表面を、日本電色工業(株)製の光沢計「PG−1M」を用いて、入射角20°にて測定した。
[初期の電気抵抗率]
PETシート上に形成された厚さ20μmの導電性膜の体積抵抗率を、(株)三菱化学アナリテック製の低抵抗率計「ロレスタ(登録商標)GP」(電圧:5V、JIS K7194:1994に準拠)を用いて測定した。測定された体積抵抗率を、初期(伸張前)の電気抵抗率とした。
[伸張耐久試験における最大電気抵抗率]
熱可塑性エラストマーシート上に厚さ20μmの導電性膜が形成されたサンプルを、JIS K6251:2010に規定されるダンベル状2号形に切り出して、試験片を作製した。試験片の両端から10mmの位置に銅箔を取り付けた。試験片の長手方向中心から両側10mmの位置に一対の標線を引き、試験片上に20mmの標線間距離を設定した。まず、1Vの電圧を印加した時の銅箔間の電気抵抗値R1を測定した。次に、試験片の一端を引っ張り、標線間距離が30mmになるまで伸張させた後(伸張率50%)、元の状態に戻した。この伸縮を、1Vの電圧を印加しながら周波数3.4Hzにて25000回繰り返し、銅箔間の電気抵抗値を測定した。測定された電気抵抗値の最大値R2を、電気抵抗値R1で除して、変化倍率(R2/R1)を算出した。そして、算出された変化倍率を、上述した初期の電気抵抗率に乗じて、伸張耐久試験における最大電気抵抗率とした。
<導電性膜の評価結果>
先の表2〜表4に、実施例1〜14および比較例1〜5の導電性膜の評価結果をまとめて示す。先の表6、表7に、実施例15〜25の導電性膜の評価結果をまとめて示す。図1に、導電性膜の光沢度と初期の電気抵抗率との関係をグラフで示す。図2に、導電性膜の光沢度と伸張耐久試験における最大電気抵抗率との関係をグラフで示す。
表2〜表4に示すように、実施例1〜14の導電性膜の光沢度は0.5%以上であり、0.4%より大きかった。また、実施例1〜14の導電性膜においては、初期の電気抵抗率が0.050Ω・cm以下と小さく、伸張耐久試験時の最大電気抵抗率も0.95Ω・cm以下と小さかった。表6、表7に示すように、実施例15〜25の導電性膜の光沢度は0.5%以上であり、0.4%より大きかった。また、実施例15〜25の導電性膜においては、初期の電気抵抗率が0.031Ω・cm以下と小さく、伸張耐久試験時の最大電気抵抗率も1.46Ω・cm以下と小さかった。これに対して、比較例1〜5の導電性膜の光沢度は、0.4%以下であった。また、比較例1〜5の導電性膜の初期の電気抵抗率は、実施例1〜25の導電性膜のそれよりも大きくなった。また、比較例1〜4の導電性膜の伸張耐久試験時の最大電気抵抗率は、実施例1〜25の導電性膜のそれよりも大幅に増加した。
光沢度と電気抵抗率との関係は、図1、図2からも明らかである。図1に示すように、比較例の群(比較例1〜5)と実施例の群(実施例1〜25)とは光沢度0.4%を境にして区分けすることができ、それはそのまま初期の電気抵抗率の大小に一致している。すなわち、比較例の群においては初期の電気抵抗率が大きく、実施例の群においては初期の電気抵抗率が小さい。同様に、図2においても、光沢度0.4%を境にして区分けされた比較例の群と実施例の群とは、最大電気抵抗率の大小と一致している。
比較例1、4においては、実施例1〜11と同様に、導電剤を含む液状組成物を湿式ジェットミルにて粉砕処理した。しかし、原料の導電剤として、比較例1では粒子径が小さい膨張黒鉛粉末(D)を使用し、比較例4ではさらに粒子径が小さい膨張黒鉛粉末(G)を使用した。このため、粉砕処理後に得られる複層グラフェンの面方向の長さが小さくなり、充分に配向することができないと考えられる。これは、比較例1の導電性膜の光沢度が0.4%、比較例4の導電性膜の光沢度が0.2%と小さいことからも確認できる。また、複層グラフェンの面方向の長さが小さいと、複層グラフェン同士が接触しにくい。これにより、初期の電気抵抗率および伸張耐久試験時の最大電気抵抗率が大きくなったと考えられる。
比較例3においては、実施例9と同じ導電剤(B)、すなわち膨張黒鉛粉末を使用した。しかし、比較例3では液状組成物をビーズミルで処理したため、膨張黒鉛の剥離による薄片化よりも破壊による微粒子化が進行しやすい。このため、導電剤同士が接触しにくくなり、初期の電気抵抗率および伸張耐久試験時の最大電気抵抗率が大きくなったと考えられる。このことは、比較例3の導電性膜の光沢度が0.4%であることからも確認できる。
比較例5においては、二種類の導電剤(E)、(F)を使用した。導電剤(E)は、多層カーボンナノチューブであり、導電剤(F)は多層カーボンナノチューブの粉砕品である。また、多層カーボンナノチューブの粉砕にはビーズミルを用い、液状組成物もビーズミルで処理した。このため、粉砕による薄片化が進行しにくく、薄片化炭素材料を充分生成できなかったと考えられる。これは、比較例5の導電性膜の光沢度が0.3%であることからも確認できる。
以上より、本発明の導電性膜は、初期の導電性が高く、かつ、伸張を繰り返しても電気抵抗が増加しにくいことが確認された。また、本発明の導電性膜の製造方法によると、当該導電性膜を容易に製造することができることが確認された。
本発明の導電性膜およびその製造方法は、柔軟なトランスデューサに使用される電極、配線の他、ウェアラブルデバイスなどに使用される電磁波シールド、フレキシブル配線板などに好適である。本発明の導電性膜を電極や配線に用いることにより、ロボットの可動部、介護用機器、輸送機器の内装などの柔軟な部位に実装される電子機器の耐久性を、向上させることができる。

Claims (7)

  1. エラストマーと、黒鉛粉末および膨張黒鉛粉末の少なくとも一方を含む導電剤と、溶剤と、を含み、該黒鉛粉末および該膨張黒鉛粉末の含有量が、該導電剤を除く固形分全体を100質量部とした場合の20質量部以上60質量部以下である液状組成物を調製する液状組成物調製工程と、
    該液状組成物を湿式ジェットミルを用いて粉砕処理する粉砕処理工程と、
    粉砕処理後の該液状組成物を基材に塗布し、塗膜を硬化させることにより、入射角20°で測定される表面の光沢度が0.4%より大きく10%より小さい導電性膜を得る硬化工程と、
    を有することを特徴とする導電性膜の製造方法。
  2. 前記液状組成物は、分散剤を含む請求項に記載の導電性膜の製造方法。
  3. 黒鉛粉末および膨張黒鉛粉末の少なくとも一方を含む導電剤と、溶剤と、を含む導電剤分散液を、湿式ジェットミルを用いて粉砕処理する粉砕処理工程と、
    粉砕処理後の該導電剤分散液に、エラストマーと溶剤とを含むエラストマー溶液を加えて、該黒鉛粉末および該膨張黒鉛粉末の含有量が、該導電剤を除く固形分全体を100質量部とした場合の20質量部以上60質量部以下である液状組成物を調製する液状組成物調製工程と、
    該液状組成物を基材に塗布し、塗膜を硬化させることにより、入射角20°で測定される表面の光沢度が0.4%より大きく10%より小さい導電性膜を得る硬化工程と、
    を有することを特徴とする導電性膜の製造方法。
  4. 前記導電剤分散液は、分散剤を含む請求項に記載の導電性膜の製造方法。
  5. 前記黒鉛粉末および前記膨張黒鉛粉末の平均粒子径は、45μm以上である請求項ないし請求項のいずれかに記載の導電性膜の製造方法。
  6. 前記粉砕処理工程において、前記粉砕処理を2回以上繰り返す請求項ないし請求項のいずれかに記載の導電性膜の製造方法。
  7. 前記導電剤は、導電性カーボンブラックを含む請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の導電性膜の製造方法。
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