JP7083148B2 - 導電性塗料、および導電性皮膜 - Google Patents
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Description
酸変性合成ゴム、架橋剤、および導電材を含有することを特徴とする導電性塗料である。また、前記導電性塗料に由来する皮膜であることを特徴とする導電性皮膜である。
本発明における酸変性合成ゴムは、主成分が合成ゴムであり、共重合成分として不飽和カルボン酸を含有するものである。合成ゴムは、固形とした際にエラストマーとしての性質を有する、人工的に得られる不飽和重合体であり、好適な具体例としては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム(エチレンプロピレンジエンゴムを含む)、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソブチレンイソプレンゴム、エチレン酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸エステルアクリロニトリルコポリマー、アクリル酸エステル2-クロルエチルビニルエーテルコポリマー、クロルスルフォン化ポリエチレンゴム、ポリアルキレン・スルフィドゴム、シリコーンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ポリ(クロル・トリフルオロエチレン)ゴム、アルフィンゴム、熱可塑性エラストマー(スチレン系、イソプレン系)等が挙げられる。これらは単独でも複数を組み合わせしても構わない。中でも、酸変性のし易さや、基材への密着性、伸縮性の観点から、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴムが好ましく、イソプレンゴムがより好ましい。
上記のモノオレフィン系不飽和化合物としては、具体的には、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、イソブテン、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
また、媒体としては、水系媒体と溶剤系媒体が挙げられる。これらは、塗料への加工性や塗料の特性、造膜性、環境保全の観点など使用時の性能や目的を考慮して適宜選択すればよいが、一般的に、塗料への加工性や造膜性など観点からは溶剤系媒体が好ましく、環境保全や衛生性などの観点からは水系媒体が好ましい。
中でも、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどが分散性や揮発性などの観点から好ましい。
中でも、揮発性や酸変性合成ゴムや架橋剤の溶解性の観点から、トルエン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、酢酸エチルなどが好ましい。
媒体として、溶剤系媒体を用いた場合の導電性塗料の製造方法としては、予め、酸変性合成ゴムを溶剤系媒体中に溶解した溶液を取得し、次いで該酸変性合成ゴム溶液に、導電材および架橋剤を、本発明の好ましい含有量となる様に投入し撹拌(混練)・混合することで均一な塗料を取得する方法が挙げられる。
なお、架橋剤が粉末や固形のものを用いる場合は、予め個別に架橋剤を溶剤系媒体に溶解および/または分散してから酸変性合成ゴム溶液に投入する方法が好ましい。導電材に関しても、予め個別に溶剤系媒体に浸したり、分散してから、酸変性合成ゴム溶液に投入しても構わない。
また架橋剤の投入に際して、架橋剤の種類によっては、塗料中で酸変性合成ゴム反応することで塗料としてのポットライフが短く、保存性などに問題がある場合は、架橋剤は塗工の直前に混合する方法、即ち、2液化して使用する方法を採用しても構わない。
なお、架橋剤が粉末や固形のものを用いる場合は、予め個別に架橋剤を水系媒体に溶解および/または分散してから酸変性合成ゴム水性分散体に投入する方法が好ましい。導電材に関しても、予め個別に水系媒体に浸したり分散してから、酸変性合成ゴム水性分散体に投入しても構わない。
またこの際、架橋剤の種類によっては、塗料中で酸変性合成ゴム反応することで塗料としてのポットライフが短く、保存性などに問題がある場合は、架橋剤は塗工の直前に混合する方法、即ち、2液化して使用する方法を採用しても構わない。
ここで、本発明における媒体を含有しないとは、媒体を原料として積極的に添加していないことを意味し、不純物や生成物として微量の媒体成分が含まれていても構わない。媒体の含有量としては、5質量%未満が好ましく、3質量%未満がより好ましく、2質量%未満が特に好ましく、1質量%未満がさらに好ましく、0.5質量%未満が最も好ましい。5質量%をこえる以上の場合は、媒体の乾燥工程が必要となり生産性やコストの観点で不利である。
なお、導電性皮膜は、基材上に積層された積層体として用いることも可能であるし、基材上に積層した後に基材から導電性皮膜を剥がして用いても構わない。これらは、使用する用途や目的、条件に沿って適宜選択すればよい。
各種の特性について、以下の方法で測定または評価した。
各実施例および比較例で得られた導電性塗料をコートしたポリプロピレン樹脂シート、エチレンプロピレンゴムシート、ウレタンゴムシート、天然ゴムシートを用い、JISK5400-8.5(碁盤目試験)に準じ、各シートの導電性皮膜にカッターナイフで1mm×1mmの升目を100升作り、その上にセロハンテープ(ニチバン社製TF-12)を貼り付けた後、セロハンテープを引き剥がし、100升中で、導電性皮膜が基材から剥離しなかった升目の数を調べた。試験は5回実施し、その平均値で評価した。
本評価での密着性は、実用的には剥離しなかった升が50以上であることが好ましく、60以上がより好ましく、80以上が特に好ましく、90以上がさらに好ましく、100が最も好ましい。50未満の場合は、使用する用途での耐久性や信頼性が問題となることがある。
各実施例および比較例で得られた導電性塗料をコートしたエチレンプロピレンゴムシートおよび天然ゴムシートを用い、抵抗率計「ロレスタGP」(三菱化学アナリテック社製、ロレスタGP MCP-T610型抵抗率計、4端子4探針法定電流印加方式)を用い、導電性皮膜の体積抵抗率(Ω・cm)を求めた。試験は5回実施し、その平均値で評価した。
各実施例および比較例で得られた導電性塗料をコートした天然ゴムシートを用い(基材の伸縮性が良好であるため天然ゴムシートを選定した)、引張試験機(インテスコ株式会社製インテスコ精密万能材料試験機2020型)を用いて、日本工業規格(JIS)K7127:1999に規定された「プラスチック-引張特性の試験方法」に基づいて、試験片を長さ方向に25℃環境下で10mm/分の速度で引っ張り、引っ張り試験前の試験片の長さ(50mm)に対して伸長率が200%となるように、長さ(150mm)まで引っ張ったところで30秒間保持し、次いで10mm/分の速度でひっぱり前の試験片の長さ(50mm)まで戻し30秒間保持した。その後、抵抗率計「ロレスタGP」で導電性皮膜の体積抵抗率(Ω・cm)を求めた。試験は5回実施し、その平均値を伸縮後の導電性とし、試験前の体積低効率からの変化量についても求めた。また、伸縮後の導電性皮膜の状態を目視で確認し、下記指標で評価した。
◎:伸縮前と変化なし
○:表面の一部に微かなひび割れがある。
△:明らかなひび割れ、および/または基材から剥がれが全面積の10%未満ある。
×:裂けまたは破断がある、および/または基材から剥がれが全面積の10%以上ある。
各実施例および比較例で得られた導電性塗料をコートしたエチレンプロピレンゴムシートを用い、引張試験機を用いて、日本工業規格(JIS)K7127:1999に規定された「プラスチック-引張特性の試験方法」に基づいて、試験片を長さ方向に25℃環境下で10mm/分の速度で引っ張り、引っ張り試験前の試験片の長さ(50mm)に対して伸長率が50%の長さ(75mm)、90%の長さ(95mm)、200%の長さ(150mm)でそれぞれ30秒間保持した後、抵抗率計「ロレスタGP」で導電性皮膜の体積抵抗率(Ω・cm)を求めた。試験は5回実施し、その平均値を伸長時の導電性とし、試験前の体積抵抗率からの変化量についても求めた。
なお、抵抗率計「ロレスタGP」を用いて体積抵抗率を求める際に、導電性皮膜の厚みが必要であり、伸長時の導電性皮膜の厚みは、下記式(1)によって算出した。
式(1):厚み(μm)=100/(100+伸長率(%))×20(引っ張り前の厚み)
各実施例および比較例で得られた導電性塗料をコートしたエチレンプロピレンゴムシートを用い、-10℃環境下で、伸長率20%の伸縮を1000回繰り返した後、抵抗率計「ロレスタGP」で導電性皮膜の体積抵抗率(Ω・cm)を求めた。試験は3回実施し、その平均値を氷点下環境下での伸縮を繰り返した後の導電性とし、試験前の体積抵抗率からの変化量についても求めた。
ブタジエンゴム(エボニック社製、POLYVEST MA120、マレイン酸変性ポリブタジエンゴム、液状ゴム、酸価135mgKOH/g、数平均分子量4000、以下「ブタジエンMA120」と称す)280gを4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で系内温度を140℃に保って攪拌下、無水マレイン酸40.0gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド28.0gをそれぞれ2時間かけて加え、その後3時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を100℃減圧乾燥機中で3時間減圧乾燥して、液状の酸変性ポリブタジエンゴム(以下、「ブタジエンP-1」と称す。)を得た。得られた「ブタジエンP-1」の酸価は155mgKOH/g、数平均分子量8000であった。
撹拌機とヒーターを備えた1リットル容ガラス容器に、120.0gのクラレ社製クラプレンLIR-403(マレイン酸変性イソプレンゴム、液状ゴム、酸価10mgKOH/g、数平均分子量34000、以下「イソプレンLIR-403」と称す)、120.0gのイソプロパノール、30gのトリエチルアミンおよび330gの蒸留水を仕込み、容器を密封し、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌しながら、加熱し、系内温度を120℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて攪拌しつつ80℃まで冷却した後、80℃系内温度を120℃に保って減圧し、イソプロパノールおよび水を系外に360g留去した。その後、空冷にて攪拌しつつ25℃まで冷却したところで撹拌を停止し、300メッシュのステンレス製フィルターでろ過し、乳白色の均一な酸変性イソプレンゴム水性分散体を得た(ろ過後ステンレス製フィルター上に未分散成分は確認されなかった)。以下この水性分散体を「E-1」と称す。「E-1」の「イソプレンLIR-403」含有量は50質量%であった。
特級試薬の硝酸銀950gを純水5リットルに溶解し、その溶液に試薬1級水酸化マグネシウム300gを添加し撹拌機で45分間撹拌後、試薬1級水酸化ナトリウム220gを純水2リットルに溶解させた溶液を添加し45分間撹拌した。得られた殿物をろ過で分離後、80℃で24時間常圧乾燥を行った。得られた乾燥物を乳鉢で解砕し大気中400℃で1.5時間焙焼を行った。得られた焙焼物を5リットルの純水中に懸濁させ、550gの特級試薬の硫酸を添加し45分間撹拌し、マグネシウム塩を溶解した。マグネシウム塩の溶解後ろ過し、ろ別した銀粒子は、10リットルの純水で2回水洗し、60℃で24時間常圧乾燥を行った。以上の操作で銀粒子「Ag-1」を590g得た。「Ag-1」を走査電子顕微鏡で観察したところ一次粒子の平均粒径は約0.5μmの不定形の銀粒子であった。
製造例3で得られたの「Ag-1」500gを、オクタン酸を5質量%含有したイソプロパノール溶液5リットル中に仕込み、40℃で30分間撹拌により懸濁させた後ろ過し、ろ別した銀粒子は、17リットルの純水で2回水洗し、60℃で24時間常圧乾燥を行った。以上の操作で、有機酸により表面処理された銀粒子「Ag-2」を490g得た。「Ag-2」を走査電子顕微鏡で観察したところ一次粒子の平均粒径は約0.5μmの不定形の銀粒子であった。
製造例4で得られたの「Ag-2」と、多層カーボンナノチューブ(SWeNT MW100、SouthWest Nano Technologies社製、直径6~9nm、長さ5μm、アスペクト比556~833、以下「S-CNT」と称す)を混合した。混合比は「Ag-2」/「S-CNT」の質量比が98/2とした。このようにして、カーボンナノチューブと「Ag-2」の混合物を得た。この混合物を「Ag/CNT」と称す。
「S-CNT」と0.006mol/lの2-メルカプト-N-(2-ナフチル)アセトアミド(THIONALIDE)のエタノール溶液を混合した。混合比は「S-CNT」と「THIONALIDEのエタノール溶液」の質量比が、1/99とした。これを30分間超音波処理した後、PTFE膜を用いてろ過し、エタノールで数回洗浄した。これを乾燥させて表面にメルカプト基を有するカーボンナノチューブ「CNT-A」を作製した。
次いで製造例4で得られたの「Ag-2」と「CNT-A」を混合した。混合比は「Ag-2」/「CNT-A」の質量比が98/2とした。このようにして、メルカプト基を有するカーボンナノチューブと「Ag-2」の混合物を得た。この混合物を「Ag/CNT2」と称す。
酸変性合成ゴムとして「イソプレンLIR-403」を用い、架橋剤として味の素ファインテクノ社製、アミキュアVDH(多価ヒドラジド化合物、1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントイン、以下「VDH」と称す。)の10質量%溶液(VDH/メタノール/メチルエチルケトン(以下、MEKと称す。)=10/15/75(質量比))を用い、導電材として、「Ag-2」を用いた。はじめに、「イソプレンLIR-403」100質量部と、シクロヘキサンとMEKの混合溶媒(シクロヘキサン/MEK=88/12)100質量部とを混合、溶解し、「イソプレンLIR-403」の溶剤溶液を得た。この「イソプレンLIR-403」の溶剤溶液中の「イソプレンLIR-403」100質量に対して、「Ag-2」が1500質量部となる様に、「VDH」が5質量部となる様に、「Ag-2」と、「VDH」の10質量%溶液を、「イソプレンLIR-403」の溶剤溶液に添加した。これを、自転公転撹拌機にて混合して、溶剤系媒体からなる導電性塗料を得た。
この導電性塗料を、ポリプロピレン樹脂シート(オカモト社製、ポリプロピレンシート、透明、厚み1mm、以下「PPシート」と称す。)、エチレンプロピレンゴムシート(日東化工社製、EPT410、黒、厚み1mm、以下「EPTシート」と称す。)、ウレタンゴムシート(日東化工社製、NU50、薄黄色、厚み1mm、以下「PUシート」と称す。)、天然ゴムシート(十川ゴム社製、C-330、アメゴム、厚み1mm、以下「NRシート」と称す。)の各基材にシルクスクリーン印刷機によって塗布し、80℃で600秒間乾燥させた後、50℃で1日間エージング処理し、導電性皮膜が積層された試験片を作製した。なお、導電性皮膜の厚みは、それぞれ50μmとなる様に塗布した。
酸変性合成ゴムとして「イソプレンLIR-403」の代わりに、
実施例2では、クレイバレー社製ライコン131MA5(マレイン酸変性ブタジエンゴム、液状ゴム、酸価29mgKOH/g、数平均分子量4700、以下「ブタジエン131MA5」と称す)を用い、
実施例3では、三井化学社製ルーカントA-5320H(マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム、液状ゴム、酸価23mgKOH/g、数平均分子量9300、以下「EPゴムA-5320H」と称す)を用い、
実施例4では、クレイバレー社製ライコン131MA20(マレイン酸変性ブタジエンゴム、液状ゴム、酸価114mgKOH/g、数平均分子量5600、以下「ブタジエン131MA20」と称す)を用い、
実施例5では、「ブタジエンMA120」(酸価135mgKOH/g)を用い、
実施例6では、製造例1で得たマレイン酸変性ブタジエンゴム「ブタジエンP-1」(酸価155mgKOH/g)を用いた以外は、実施例1と同様の操作で、導電性塗料および、導電性皮膜が積層された試験片を作製した。
酸変性合成ゴムである「イソプレンLIR-403」100質量に対する「VDH」の含有量を5質量部から、実施例7では0.1質量部となる様に、実施例8では30質量部となる様に、「VDH」の10質量%溶液を、「イソプレンLIR-403」の溶剤溶液に添加した以外は、実施例1と同様の操作で、導電性塗料および、導電性皮膜が積層された試験片を作製した。
架橋剤として「VDH」の10質量%溶液の代わりに、実施例9では阪本薬品工業社製、SR-6GL(多価エポキシ化合物、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、液状、エポキシ当量175g/eq、以下「SR-6GL」と称す。)の10質量%溶液(SR-6GL/メタノール/MEK=10/15/75(質量比))を用い、実施例10ではヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の10質量%溶液(HDH/MEK=10/90(質量比))を用いた以外は、実施例1と同様の操作で、導電性塗料および、導電性皮膜が積層された試験片を作製した。
「イソプレンLIR-403」100質量に対する「Ag-2」の含有量を1500質量部から、実施例11では50質量部となる様に、実施例12では400質量部となる様に、実施例13では9900質量部となる様に、「Ag-2」を、「イソプレンLIR-403」の溶剤溶液に添加した以外は、実施例1と同様の操作で、導電性塗料および、導電性皮膜が積層された試験片を作製した。
製造例2で作製した酸変性イソプレンゴムの水性分散体「E-1」を用い、架橋剤として「VDH」の10質量%水溶液(VDH/水=10/90(質量比))を用い、導電材として、「Ag-2」を用いた。「E-1」中の「イソプレンLIR-403」100質量に対して、「Ag-2」が1500質量部となる様に、「VDH」が5質量部となる様に、「Ag-2」と「VDH」の10質量%水溶液を、「E-1」に添加した。これを、自転公転撹拌機にて混合して、水系媒体からなる導電性塗料を得た。
この導電性塗料を用いて実施例1と操作の方法で、導電性皮膜が積層された試験片を作製した。
架橋剤として「VDH」の10質量%水溶液の代わりに、実施例15では大塚化学社製、ADH(多価ヒドラジド化合物、アジピン酸ジヒドラジド、以下「ADH」と称す。)の10質量%水溶液(ADH/水=10/90(質量比))を用い、実施例16では三菱化学社製、水系エポキシ樹脂W2801(多価エポキシ化合物、エポキシ当量190g/eq、以下「W2801」と称す。)の10質量%水溶液(W2801/水=10/90(質量比))を用いた以外は、実施例14と同様の操作で、導電性塗料および、導電性皮膜が積層された試験片を作製した。
導電材として「Ag-2」の代わりに、「Ag-1」を用いた以外は、実施例1と同様の操作で、導電性塗料および、導電性皮膜が積層された試験片を作製した。
酸変性イソプレンゴムの水性分散体「E-1」を用い、架橋剤として「VDH」の10質量%水溶液(VDH/水=10/90(質量比))を用い、導電材として、「Ag/CNT」を用いた。「E-1」中の「イソプレンLIR-403」100質量に対して、「Ag/CNT」が1500質量部となる様に、「VDH」が5質量部となる様に、「Ag/CNT」と「VDH」の10質量%水溶液を、「E-1」に添加した。これを、3本ロールミルにて練肉して、水系媒体からなる導電性塗料を得た。
この導電性塗料を用いて実施例1と操作の方法で、導電性皮膜が積層された試験片を作製した。
酸変性合成ゴムのとして「イソプレンLIR-403」(媒体を含まない原液)を用い、架橋剤として「VDH」(媒体を含まない原粉末)を用いた。「イソプレンLIR-403」100質量に対して、「Ag-2」が1500質量部となる様に、「VDH」が5質量部となる様に、「Ag-2」と、「VDH」を添加した。これを、3本ロールミルにて練肉して、媒体を含有しない導電性塗料を得た。
この導電性塗料を、「PPシート」、「EPTシート」、「PUシート」、「NRシート」の各基材にベーカー式アプリケーターによって塗布し、80℃で600秒間乾燥させた後、50℃で1日間エージング処理し、導電性皮膜が積層された試験片を作製した。なお、導電性皮膜の厚みは、それぞれ50μmとなる様に塗布した。
酸変性合成ゴムのとして「イソプレンLIR-403」(媒体を含まない原液)を用い、架橋剤として「SR-6GL」(媒体を含まない原液)を用いた。「イソプレンLIR-403」100質量に対して、「Ag-2」が1500質量部となる様に、「SR-6GL」が5質量部となる様に、「Ag-2」と、「SR-6GL」を添加した。これを、3本ロールミルにて練肉して、媒体を含有しない導電性塗料を得た。
この導電性塗料を、「PPシート」、「EPTシート」、「PUシート」、「NRシート」の各基材にベーカー式アプリケーターによって塗布し、80℃で600秒間乾燥させた後、50℃で1日間エージング処理し、導電性皮膜が積層された試験片を作製した。なお、導電性皮膜の厚みは、それぞれ50μmとなる様に塗布した。
酸変性合成ゴムである「イソプレンLIR-403」の代わりに、酸変性されていない合成ゴムであるクラレ社製クラプレンLIR-30(イソプレンゴム、液状ゴム、酸価0mgKOH/g、数平均分子量28000、以下「イソプレンLIR-30」と称す)を用いた以外は、実施例1と同様の操作で、導電性塗料および、導電性皮膜が積層された試験片を作製した。しかし、試験片上の塗膜は硬化せずに流動性を有しており、導電性皮膜が形成できなかった。よって、各種評価は実施しなかった(できなかった)。
架橋剤を用いずなかった以外は、実施例1と同様の操作を行った。即ち、「イソプレンLIR-403」の溶剤溶液中の「イソプレンLIR-403」100質量に対して、「Ag-2」が1500質量部となる様に「Ag-2」を、「イソプレンLIR-403」の溶剤溶液に添加した。これを、自転公転撹拌機にて混合して、溶剤系媒体からなる導電性塗料を得た。
この導電性塗料を用いて実施例1と操作の方法で、導電性皮膜が積層された試験片を作製した。しかし、試験片上の塗膜は硬化せずに流動性を有しており、導電性皮膜が形成できなかった。よって、各種評価は実施しなかった(できなかった)。
酸変性合成ゴムである「イソプレンLIR-403」の代わりに、酸変性されていない固形の合成ゴムである日本ゼオン社製Nipol IR2200(イソプレンゴム、固形、酸価0mgKOH/g、数平均分子量120000、以下「イソプレンIR2200」と称す)用いた以外は、比較例2と同様の操作を行った。即ち、はじめに、「イソプレンIR2200」100質量部と、シクロヘキサンとMEKの混合溶媒(シクロヘキサン/MEK=88/12)100質量部とを混合、溶解し、「イソプレンIR2200」の溶剤溶液を得た。この「イソプレンIR2200」の溶剤溶液中の「イソプレンIR2200」100質量に対して、「Ag-2」が1500質量部となる様に「Ag-2」を、「イソプレンIR2200」の溶剤溶液に添加した。これを、自転公転撹拌機にて混合して、溶剤系媒体からなる導電性塗料を得た。
この導電性塗料を用いて実施例1と操作の方法で、導電性皮膜が積層された試験片を作製した。
酸変性されていない固形の合成ゴムとして「イソプレンIR2200」の代わりに、JSR社製JSR BR01(ブタジエンゴム、固形、酸価0mgKOH/g、数平均分子量400000、以下「ブタジエンBR01」と称す)用いた以外は、比較例3と同様の操作で、導電性塗料および、導電性皮膜が積層された試験片を作製した。
ニトリル基含有ゴム(日本ゼオン社製、Nipol 1042、アクリロニトリル含量33.3質量%、酸価0mgKOH/g、ベール状(固形)、以下「NBR1042」と称す)100質量部と、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部とを混合、溶解し、「NBR1042」の溶剤溶液を得た。この「NBR1042」溶剤溶液中の「NBR1042」100質量に対して、「Ag/CNT2」が480質量部となる様に、「NBR1042」の溶剤溶液に添加した。これを、自転公転撹拌機にて混合して、溶剤系媒体からなる塗料を得た。
この塗料を、「PPシート」、「EPTシート」、「PUシート」、「NRシート」の各基材にシルクスクリーン印刷機によって塗布し、150℃で1800秒間乾燥させ、皮膜が積層された試験片を作製した。なお、導電性皮膜の厚みは、それぞれ50μmとなる様に塗布した。
なお、「PPシート」、「EPTシート」での試験片作製時において、基材が乾燥の熱による変形が確認された。評価は、変形した試験片を用いた。
硫黄含有ゴム(東レファインケミカル社製、チオコールLP-23、ポリサルファイド樹脂、硫黄含量21.5質量%、酸価0mgKOH/g、液状ゴム、以下「LP-23」と称す)100質量部と、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部とを混合、溶解し、「LP-23」の溶剤溶液を得た。この「LP-23」溶剤溶液中の「LP-23」100質量に対して、「Ag/CNT2」が340質量部となる様に、「LP-23」の溶剤溶液に添加した。これを、自転公転撹拌機にて混合して、溶剤系媒体からなる塗料を得た。
この塗料を、「PPシート」、「EPTシート」、「PUシート」、「NRシート」の各基材にシルクスクリーン印刷機によって塗布し、150℃で1800秒間乾燥させ、皮膜が積層された試験片を作製した。なお、導電性皮膜の厚みは、それぞれ50μmとなる様に塗布した。
なお、「PPシート」、「EPTシート」での試験片作製時において、基材が乾燥の熱による変形が確認された。評価は、変形した試験片を用いた。
比較例2では、導電性塗料に架橋剤を含有していなかったため、基材上に導電性皮膜を形成できなかった。
比較例3~5では、固形の合成ゴムを用いたため、架橋剤を含有せずとも流動性のない塗膜が形成することができたが、酸変性されておらず、且つ架橋剤を含有していなかったため、密着性や伸縮後や伸長時の導電性に劣る、もしくは評価できなかった。比較例5においては、乾燥に150℃という高温を必要としたため基材の変形が確認された。
比較例6では、硫黄を含有するタイプのゴムを用いたため、乾燥に150℃という高温を必要としたため基材の変形が確認された。また、ゴムが酸変性されていなかいため、基材との密着性や伸縮後や伸長時の導電性に劣る、もしくは評価できなかった。
Claims (21)
- 液状ゴムである酸変性合成ゴム、架橋剤、および導電材を含有し、導電材が、金属粒子であり、平均粒子径が0.01~500μmであることを特徴とする導電性塗料。
- 酸変性合成ゴムの酸価が1~150mgKOH/gであることを特徴とする請求項1記載の導電性塗料。
- 酸変性合成ゴムが、酸変性イソプレンゴム、酸変性ブタジエンゴム、および酸変性エチレンプロピレンゴムの少なくとも一種からなることを特徴とする請求項1又は2記載の導電性塗料。
- 導電材が、有機酸、有機酸塩、界面活性剤およびシランカップリング剤から選択される少なくとも一種によって表面処理がされていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の導電性塗料。
- 架橋剤が、多価ヒドラジド化合物および/または多価エポキシ化合物あることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の導電性塗料。
- 架橋剤の含有量が、酸変性合成ゴム100質量部に対して、0.1~30質量部であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の導電性塗料。
- 導電材の含有量が、酸変性合成ゴム100質量部に対して、50~9900質量部であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の導電性塗料。
- 媒体を含有しないことを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の導電性塗料。
- さらに溶剤系媒体を含有することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の導電性塗料。
- さらに水系媒体を含有することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の導電性塗料。
- 導電性塗料由来の皮膜の25℃環境下での伸縮率が50%以上であることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の導電性塗料。
- ウェアラブルデバイス用導電性塗料であることを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載の導電性塗料。
- フレキシブルプリント基板(FPC)用導電性塗料であることを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載の導電性塗料。
- フレキシブルディスプレイ用導電性塗料であることを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載の導電性塗料。
- 成形回路部品(MID)用導電性塗料であることを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載の導電性塗料。
- 請求項1~11のいずれかに記載の導電性塗料に由来する皮膜であることを特徴とする導電性皮膜。
- 皮膜の25℃環境下での伸縮率が50%以上あることを特徴とする請求項16記載の導電性皮膜。
- ウェアラブルデバイス用導電性皮膜であることを特徴とする請求項16又は17記載の導電性皮膜。
- フレキシブルプリント基板(FPC)用導電性皮膜であることを特徴とする請求項16又は17に記載の導電性皮膜。
- フレキシブルディスプレイ用導電性皮膜であることを特徴とする請求項16又は17に記載の導電性皮膜。
- 成形回路部品(MID)用導電性皮膜であることを特徴とする請求項16又は17に記載の導電性皮膜。
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