JP2021105151A - 香料組成物 - Google Patents

Abstract

【課題】本発明は、油剤に起因する油剤臭をマスキングするとともに、良好な香り立ちを有する天然香料のみからなる香料組成物、および当該香料組成物を含有することを特徴とする皮膚洗浄剤を提供することを目的とする。【解決手段】（Ａ）フウロソウ科またはヒノキ科の植物から抽出される天然香料 １種または２種以上、および（Ｂ）シソ科の植物から抽出される天然香料 １種または２種以上を含有することを特徴とする油剤臭抑制香料組成物により、上記課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、香料組成物に関する。更に詳しくは、油剤を含む皮膚洗浄剤組成物が有する特有の臭気を感じさせることなく、さらには特定の天然香料組み合わせにより良好な香り立ちを呈することを可能とする油剤臭抑制香料組成物、および油剤臭抑制香料組成物を含有することを特徴とする皮膚洗浄剤組成物に関する。

化粧品などの分野においては、製品を製造する際に好ましくない臭気を様々な香料を用いてマスキングすることは汎用の技術として、広く一般に適用されている（非特許文献１〜２参照）。

上記マスキングの技術は、シャンプーやボディソープなどの洗浄剤組成物の分野にも応用され、商品の原料臭低減や嗜好性向上において大きな役割を担っている。特に、皮膚洗浄剤組成物の主成分として用いられている油剤は特有の脂肪酸臭を有することから、皮膚洗浄剤組成物として用いる際には香料を用いて該臭気をマスキングすることが一般的である（特許文献１参照）。

しかしながら、近年の消費者のナチュラル志向の高まりを受け、天然香料のみからなる油剤臭抑制香料組成物、および当該香料組成物を含有する皮膚洗浄剤組成物が求められるなか、油剤臭を天然香料のみにてマスキングし、かつ良好な香り立ちを呈することを可能とする技術は研究途上であり、今後の技術開発が期待される分野であった。

特開平４−１８３７９７号公報 特開平６−２７９７９１号公報

周知慣用技術集「香料」第Ｉ部香料一般、日本国特許庁、１９９９年１月２９日発行、２３０−２５０頁 周知慣用技術集「香料」第ＩＩＩ部香粧品用香料、日本国特許庁、２００１年６月１５日発行、５３２−５３５頁

本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、油剤に起因する油剤臭をマスキングするとともに、良好な香り立ちを有する天然香料のみからなる香料組成物、および当該香料組成物を含有することを特徴とする皮膚洗浄剤を提供することにある。

本発明者らは上記問題点を鋭意研究した結果、（Ａ）フウロソウ科またはヒノキ科の植物から抽出される天然香料 １種または２種以上、および（Ｂ）シソ科の植物から抽出される天然香料 １種または２種以上を組み合わせた場合に、油剤臭に対し優れたマスキング効果を示すとともに、良好な香り立ちを呈することを見出し、本発明を完成した。

本発明は、（Ａ）フウロソウ科またはヒノキ科の植物から抽出される天然香料、および（Ｂ）シソ科の植物から抽出される天然香料 １種または２種以上を含有する油剤臭抑制香
料組成物、ならびに油剤と上記天然香料を含有する皮膚洗浄剤組成物に関する。更には該油剤が好ましくは室温で液状の油剤である皮膚洗浄剤組成物である。

第一の発明は、（Ａ）フウロソウ科またはヒノキ科の植物から抽出される天然香料、および（Ｂ）シソ科の植物から抽出される天然香料 １種または２種以上を含有することを特徴とする油剤臭抑制香料組成物である。

第二の発明は、（Ａ）成分がゼラニウム、セダーリーフ、およびサイプレスからなる群から選択される１種または２種以上から抽出される天然香料である第一の発明に記載の油剤臭抑制香料組成物である。

第三の発明は、（Ｂ）成分がラベンダー、ラバンジン、ローズマリー、パチョリ、マジョラム、ペパーミント、およびセージからなる群から選択される１種または２種以上から抽出される天然香料である第一または第二の発明に記載の油剤臭抑制香料組成物である。

第四の発明は、第一乃至第三の発明のいずれかに記載の油剤臭抑制香料組成物、および室温で液状の油剤を含有する皮膚洗浄剤組成物である。

第五の発明は、室温で液状の油剤がミネラルオイル、流動パラフィン、スクワラン、パルミチン酸オクチル、トリ（カプリル酸／カプリン酸）グリセリル、グレープシード油、ローズヒップ油、キョウニン油、ヒマワリ油、アボガド油、オリーブ油からなる群から選ばれる１種または２種以上である第四の発明に記載の皮膚洗浄剤組成物である。

第六の発明は、（Ａ）成分と（Ｂ）成分の合計含有量が、皮膚洗浄剤組成物総量に対し０．００５〜１．０質量％である第四または第五の発明に記載の皮膚洗浄剤組成物である。

第七の発明は、（Ｂ）成分に対する（Ａ）成分の質量比（Ａ）／（Ｂ）が０．５以上２以下である第四乃至第六の発明のいずれかに記載の皮膚洗浄剤組成物である。

本発明によれば、油剤を含む皮膚洗浄剤組成物が有する特有の油剤臭を天然香料のみでマスキングしながら、良好な香り立ちを呈することを可能とする香料組成物を提供するとともに、当該香料組成物を含有することを特徴する皮膚洗浄剤組成物を提供することが可能となる。

以下、本発明を詳細に説明する。

本発明の脂肪酸臭抑制香料組成物に含有される天然香料とは、例えば植物の葉、花、樹皮、根、小枝、果実、果皮、種実などの植物原料を圧搾、水蒸気蒸留などを行って得られる天然精油、またこれらの原料を有機溶媒で抽出して得られるエキストラクト類、更にこの抽出液から溶媒を除去して得られるオレオレジン、レジノイド類、果汁その他の搾汁液などを濃縮、水蒸気蒸留などを行う際に得られる回収香及び例えば、柑橘油等を含水アルコールで抽出して得られるエッセンス類等を指すものである。

本発明の油剤臭抑制香料組成物に含有される成分（Ａ）フウロソウ科の植物から抽出される天然香料としては、フウロソウ科由来の天然精油を挙げることができ、該天然精油はフウロソウの全草または花を圧搾、溶剤抽出又は水蒸気蒸留することにより得ることができる。市販されているものを使用することもでき、例えば、小川香料株式会社のゼラニウムオイル（Ｇｅｒａｎｉｕｍ Ｏｉｌ）を使用することができる。

フウロソウ科の植物としては以下に限定されるものではないが、ゼラニウム、レモンゼラニウムが挙げられる。これらの中でも、皮膚洗浄剤のマスキングの観点からは、特にゼラニウムが好ましい。

本発明の油剤臭抑制香料組成物に含有される成分（Ａ）ヒノキ科の植物から抽出される天然香料としては、ヒノキ科由来の天然精油を挙げることができ、該天然精油はヒノキ科の植物の全草または花を圧搾、溶剤抽出又は水蒸気蒸留することにより得ることができる。また、市販されているものを使用することもでる。

ヒノキ科の植物としては以下に限定されるものではないが、セダーリーフ、サイプレス、ヒバ、セダーウッドが挙げられる。これらの中でも、皮膚洗浄剤のマスキングの観点からは、特にセダーリーフ、サイプレスが好ましい。

本発明の油剤臭抑制香料組成物に含有される成分（Ｂ）シソ科の植物から抽出される天然香料 １種または２種以上としては、シソ科由来の天然精油を挙げることができ、該天然精油はシソ科植物の全草または花を圧搾、溶剤抽出又は水蒸気蒸留することにより得ることができる。市販されているものを使用することもでき、例えば、小川香料株式会社のラベンダーオイル（Ｌａｖｅｎｄｅｒ Ｏｉｌ）を使用することができる。

シソ科の植物としては以下に限定されるものではないが、ラベンダー、ラバンジン、ローズマリー、パチョリ、マジョラム、ペパーミント、セージ、シソ、メリッサ、タイムが挙げられる。これらの中でも、皮膚洗浄剤の良好な香り立ちの観点からは、特にラベンダー、ラバンジン、ローズマリー、パチョリ、マジョラム、ペパーミント、セージが好ましい。

本発明の油剤臭抑制香料組成物において、成分（Ａ）と成分（Ｂ）の合計配合量は、洗浄剤組成物総量に対し、好ましくは０．００５〜５．０質量％であり、より好ましくは０．００．０５〜１．０％である。０．００５％以上であれば、良好なマスキング効果を十分に得ることができ好ましい。配合量が０．００５質量％以上であればマスキング効果を呈し使用時における嗜好性が良好であり、５．０質量％以下であれば香気が強すぎず、使用時において良好な香り立ちとともに嗜好性の高い皮膚洗浄剤組成物を提供することができる。

本発明の油剤臭抑制香料組成物において、成分（Ａ）の配合量と成分（Ｂ）の配合量の質量比（Ａ）／（Ｂ）は、香り立ちの良好さの観点から、好ましくは０．０５以上１０以下、より好ましくは０．５以上２以下である。（Ａ）／（Ｂ）が０．０５以上では皮膚洗浄中における香気持続があり使用時における嗜好性が良好であり、１０以下ではシソ科の植物の特有の香り立ちが得られ使用時における嗜好性の低下が生じない。

本発明の油剤臭抑制香料組成物の使用により、油剤が有する油剤臭の低減が可能となるが、室温で液状の油剤に対する油剤臭低減効果は顕著に認められる。室温で液状の油剤の例として、例えばオレイン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの高級脂肪酸；ラウリルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、イソステアリルアルコールなどの高級アルコール；ミネラルオイル、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、イソパラフィン、軽質イソパラフィンなどの炭化水素；ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸イソセチル、パルミチン酸オクチル、コハク酸ジエチルヘキシル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルなどのエステル類；ポリオキシエチレンアル
キルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどのエーテル油；メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、アルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アミノポリエーテル変性シリコーンなどのシリコーン類；ホホバ油、グレープシード油、ローズヒップ油、クルミ油、キョウニン油、コメ胚芽油、ヒマワリ油、アボガド油、オリーブ油、ゴマ油、サフラワー油、アーモンド油、パーム油、ヒマシ油、ミンク油などの植物油および動物油等が挙げられるが、特に限定されるものではない。

本発明の油剤抑制香料組成物を添加することにより油剤臭の抑制が可能な油剤を具体的に例示すれば、ミネラルオイル、流動パラフィン、スクワラン、パルミチン酸オクチル、トリ（カプリル酸／カプリン酸）グリセリル、グレープシード油、ローズヒップ油、キョウニン油、ヒマワリ油、アボガド油、オリーブ油等が挙げられる。本発明の油剤臭抑制香料組成物を含む皮膚洗浄剤組成物には、これら油剤を１種単独又は２種以上を組み合わせて含有することができる。

本発明の油剤臭抑制香料組成物は、油剤を含有する皮膚化粧料、毛髪化粧料、トイレタリー製品などへの添加が可能である。皮膚化粧料としては洗顔料、ボディシャンプーなどの身体洗浄剤、メイク製品、フェイスケア製品、ボディケア製品などを挙げることができ、毛髪化粧料としては、シャンプーなどの毛髪洗浄剤、リンス、コンディショナー、スタイリング剤などを挙げることができる。

本発明の油剤臭抑制香料組成物を含有する皮膚化粧料、毛髪化粧料、トイレタリー製品は、所望の剤型に応じて公知の製造技術、処方に基づき製造することができ、脂肪酸臭抑制香料組成物の効果を損なわない範囲で、必要に応じて界面活性剤、油脂類、炭化水素類、ロウ類、高分子化合物、粘度調整剤、防腐剤、キレート剤、安定化剤、顔料、香料などの成分を配合することができる。

以下、本発明を実施例及び比較例を例示することにより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。まず、実施例に用いた評価方法、及び評価基準を示す。

香気の評価方法について以下に記載する。

＜評価方法＞
表１及び２に記載の配合量で各原料を混合し、皮膚洗浄剤を調製した。
皮膚洗浄剤組成物の香りを瓶口及び洗浄中について、以下の評価基準に基づき専門パネラー１０人により評価した。

（瓶口での香り）
皮膚洗浄剤組成物２０ｇを、規格瓶（ＥＤ−４０）に入れ、瓶口の香りを評価した。

（洗浄中の香り）
皮膚洗浄剤組成物３ｇを片方の手に取り、頬部を洗浄し、洗浄中の香りを評価した。

＜評価基準＞
１点：非常に強く油剤臭が感じられる。
２点：強く油剤臭が感じられる。
３点：油剤臭が感じられる。
４点：油剤臭が微かに感じられる。
５点：全く油剤臭が感じられない。

実施例および比較例で使用した香料組成物を表３に示す。

表１および表２の実施例および比較例について、上記の測定条件により皮膚洗浄剤組成物
の油剤臭のマスキング効果を測定したところ、表１に記載の実施例は、表２に記載の各比較例に対し、いずれの特性も優れており良好な結果を得た。

本発明の油剤臭抑制香料組成物は、化粧料、皮膚外用材、飲食品、医薬品、または医薬部外品用組成物として使用することができる。

Claims (7)

1. （Ａ）フウロソウ科またはヒノキ科の植物から抽出される天然香料 １種または２種以上、および（Ｂ）シソ科の植物から抽出される天然香料 １種または２種以上を含有することを特徴とする油剤臭抑制香料組成物。
2. （Ａ）成分がゼラニウム、セダーリーフ、およびサイプレスからなる群から選択される１種または２種以上から抽出される天然香料である請求項１に記載の油剤臭抑制香料組成物。
3. （Ｂ）成分がラベンダー、ラバンジン、ローズマリー、パチョリ、マジョラム、ペパーミント、およびセージからなる群から選択される１種または２種以上から抽出される天然香料である請求項１または請求項２に記載の油剤臭抑制香料組成物。
4. 請求項１乃至３のいずれか１項に記載の油剤臭抑制香料組成物、および室温で液状の油剤を含有する皮膚洗浄剤組成物。
5. 室温で液状の油剤がミネラルオイル、流動パラフィン、スクワラン、パルミチン酸オクチル、トリ（カプリル酸／カプリン酸）グリセリル、グレープシード油、ローズヒップ油、キョウニン油、ヒマワリ油、アボガド油、オリーブ油からなる群から選ばれる１種または２種以上である請求項４に記載の皮膚洗浄剤組成物。
6. （Ａ）成分と（Ｂ）成分の合計含有量が、皮膚洗浄剤組成物総量に対し０．００５〜１．０質量％である請求項４または請求項５に記載の皮膚洗浄剤組成物。
7. （Ｂ）成分に対する（Ａ）成分の質量比（Ａ）／（Ｂ）が０．５以上２以下である請求項４乃至６のいずれか１項に記載の皮膚洗浄剤組成物。