JP2021104494A - 洗浄槽内の洗浄溶剤の大気への拡散防止方法 - Google Patents

洗浄槽内の洗浄溶剤の大気への拡散防止方法 Download PDF

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Abstract

【課題】洗浄溶剤を高温に加熱することなく、逆に冷却した状態で当該洗浄溶剤による被洗浄物の液洗浄を行うことにより、当該洗浄溶剤の洗浄溶剤ガスを大気に拡散することを防止する。【解決手段】洗浄槽1,21,41内に収納した洗浄溶剤5,25,44を、0℃以下、且つ当該洗浄溶剤5,25,44の凝固点よりも高い温度に冷却し、この冷却した洗浄溶剤5,25,44によって被洗浄物8,36,50の液洗浄を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、洗浄溶剤にて機械部品、電子部品、医療機器等の被洗浄物を洗浄する際に、洗浄槽内の洗浄溶剤の大気への拡散を防止するための方法に係るものである。
特公昭60−45922号公報 1995年以前から、洗浄溶剤による液洗浄や蒸気洗浄が広く一般的に行われているが、この洗浄溶剤は高温に加熱して洗浄することにより、被洗浄物に付着した油などの汚れを効率的に除去することができる。しかしながら、例えば当時一般的に使用されていたフロンガスや1.1.1-トリクロロエタンを加熱した場合には、洗浄溶剤ガスが発生して大気中に多く拡散されるものとなり、オゾン層の破壊を引き起こすことが問題となっていた。
そのため、1995年以降には、上記フロンガス等がオゾン層を破壊する物質であるとして世界的に全廃となり、この頃から洗浄の現場でも地球環境を守るために洗浄溶剤の使用基準が一層厳しくなってきた。
そして現在でも被洗浄物に付着した油等を除去する洗浄溶剤として、塩素系溶剤、臭素系溶剤、フッ素系溶剤、アルコール類等が多く使用されている。尚、塩化メチレン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン等の塩素系溶剤や臭素系溶剤は毒性が強く、また、これらの物質を大気に放出した場合には、やはり地球温暖化につながるものとなる。また環境負荷が小さい洗浄溶剤としてはHFO等のフッ素系溶剤やI.P.A.等のアルコール類が挙げられるが、フッ素系溶剤は価格が高く洗浄コストが高くつくとともに、アルコール類については価格は安いものの引火点が低く危険性が高い。
また、従来の洗浄溶剤(101)による被洗浄物(102)の洗浄方法では、例えば図4に示す如く、40℃〜50℃程度の温液(103)に被洗浄物(102)を浸漬させて温浴洗浄を行った後、蒸気洗浄の際に当該被洗浄物(102)の表面で蒸気(105)の凝縮液化比を大きくするため15℃〜25℃程度の冷液(104)に上記被洗浄物(102)を浸漬させて冷浴洗浄を行い、その後蒸気洗浄を行う洗浄方法が一般的に行われていた。
このように、被洗浄物に付着した油等を溶解除去するためには、洗浄溶剤の温度が高い方が効率が良いという考えが主流であり、洗浄溶剤を常温あるいは加熱して使用することが一般的であった。そのため、洗浄作業中に、温度の高い洗浄溶剤から洗浄溶剤ガスが大気に拡散しやすいものとなっていた。また、洗浄槽からの洗浄溶剤ガスの拡散を防ぐために洗浄槽内を完全に密閉することは難しく、コストが高いものとなる。
また特許文献1に示す如く、洗浄槽内の液面上を冷却して当該洗浄溶剤の大気中への拡散を防止する方法が公知となっているが、一度ガス化してしまった洗浄溶剤を回収することは極めて困難であった。
以上のような従来の問題点であった洗浄溶剤ガスの大気への拡散を防ぐために、0℃以下の洗浄溶剤で被洗浄物を液洗浄した場合に、当該被洗浄物に付着していた油などの汚れを除去することができるか否かを確認した結果、当該被洗浄物に付着した汚れを除去可能であることが明らかとなったことから、本発明に至った。
そこで本願では上述の如き課題を解決しようとするものであって、洗浄溶剤を高温に加熱することなく、逆に冷却した状態で当該洗浄溶剤による被洗浄物の液洗浄を行うことにより、当該洗浄溶剤の洗浄溶剤ガスを大気に拡散することを防止しようとするものである。
本願発明は上述の如き課題を解決するため、洗浄槽内に収納した洗浄溶剤を、0℃以下、且つ当該洗浄溶剤の凝固点よりも高い温度に冷却し、この冷却した洗浄溶剤によって被洗浄物の液洗浄を行うものである。尚、上記洗浄溶剤は、親水性溶剤及び非水系溶剤のいずれも使用することができる。
また、非水系溶剤を使用した場合には、洗浄溶剤に水を注入することによって当該洗浄溶剤の表面に浮上するため、0℃以下に冷却した洗浄溶剤によって当該表面に氷の膜を形成することが可能となり、当該洗浄溶剤の洗浄溶剤ガスの大気中への拡散をより効果的に抑制することができる。
本発明では上記の如く、0℃以下の洗浄溶剤にて液洗浄を行うことを必須の要件としているが、このように0℃以下の洗浄溶剤での液洗浄は今までなされていなかったため、その洗浄効果について確認しておく必要がある。そこで、0℃以下の洗浄溶剤と室温の洗浄溶剤との間の洗浄効果の差について実験を行った。
この実験方法について説明すると、まず、同大且つ同形状の鉄プレス部品を被洗浄物を3個準備してこれらの被洗浄物をサンプル1〜3とし、このサンプル1〜3の全体を予め油浴に浸漬させた。その後、サンプル1を20℃の洗浄溶剤の浴槽に、また、サンプル2を-5℃の洗浄溶剤の浴槽にそれぞれ浸漬して液洗浄を行った後、IPAの洗浄溶剤蒸気による蒸気洗浄を行い、最後に自然乾燥を行った。
またサンプル3については液洗浄を行わずに上記と同じ工程の蒸気洗浄及び自然乾燥のみを行った。尚、上記実験に用いた洗浄溶剤はいずれもトリクロロエチレンである。そしてこれら液洗浄、蒸気洗浄、及び自然乾燥を行ったサンプル1〜3について、各サンプルに残留した残留油分を測定した。その測定結果を下記表1に示す。
Figure 2021104494
上記結果から、液洗浄を行わなかったサンプル1と液洗浄を行ったサンプル2、3との間では、残留油分量に大きな差が見られたのに対し、洗浄溶剤の液温が20℃のサンプル2と-5℃のサンプル3との間では、残留油分量に大きな差はみられなかった。このことから、洗浄溶剤が0℃以下で液洗浄を行った場合であっても、室温程度の洗浄溶剤による液洗浄と洗浄効果にほとんど差がないことが明らかとなった。
尚、本発明の洗浄溶剤の具体例としては、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、メチレンクロライド等の塩素系溶剤、HFE、HFO等のフッ素系溶剤、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類等を挙げることができる。
そして例えば、洗浄溶剤として塩素系溶剤のトリクロロエチレンや、フッ素系溶剤のHFOを0℃以下に冷却した場合であっても、上記各洗浄溶剤の凝固点はおよそ-100℃程度であるから、これらの凝固点よりも高い温度であれば凍結することはなく、このような温度範囲においても被洗浄物に付着した油等の汚れを洗浄除去することは可能である。
また、例えばすでに公知となっているフッ素系溶剤やトリクロロエチレンの蒸気圧曲線は、0℃以下で蒸気圧が顕著に0kPaに近づくことは公知の事実である。更にトリクロロエチレンの場合は大気への排出基準が15ppm以下であるが、-15℃に冷却することによって当該環境基準をクリアできることが既に知られている。従ってこれらの事実より、上記洗浄溶剤が0℃以下且つ当該洗浄溶剤の凝固点より高い温度の場合には、当該洗浄溶剤の洗浄溶剤ガスの大気への拡散量を著しく低減することができるため、環境への負荷を小さくすることができる。
また、当該洗浄溶剤の洗浄溶剤ガスの大気への拡散量が著しく減少することにより、当該洗浄溶剤の無駄な消耗を抑制することができるため、使用量を低減してコストを低減することができる。更に、引火点が低い可燃性溶剤を洗浄溶剤として使用する場合であっても、0℃以下で使用するものであるため引火の危険性が極めて低くなり安全な使用が可能となる。
また、上記液洗浄の後、上記被洗浄物に付着した洗浄溶剤を水又は純水で洗い流すものであってもよく、更に水又は純水により洗い流した後、熱風又はエアーブローにより当該被洗浄物を乾燥させたものであってもよい。これにより、液洗浄後に被洗浄物に付着した洗浄溶剤を当該被洗浄物から完全に除去することができる。尚、水又は純水により洗い流した後に回収された洗浄溶剤は、当該水又は純水と分離することにより再利用することができる。
また、上記水又は純水によって被洗浄物を濯ぐ方法の他に、地球環境負荷の少ないエチルアルコール類によって被洗浄物に付着した洗浄溶剤を濯いだり、更に乾燥したりすることも可能である。
また、上記液洗浄の後、上記液洗浄に使用した洗浄溶剤とは異なる第2洗浄溶剤の溶剤蒸気を、上記洗浄槽とは別個に設けた第2洗浄槽内に発生させ、この第2洗浄槽内に上記液洗浄後の被洗浄物を配置し、当該被洗浄物に付着した洗浄溶剤を上記第2洗浄溶剤の溶剤蒸気によって凝縮液化させて除去するものであってもよい。そしてこの第2洗浄溶剤には、環境負荷が小さくあまり高価ではない、例えばエチルアルコールやI.P.A.等のアルコール類を使用することが好ましい。
ここで、本発明の液洗浄に使用する洗浄溶剤は0℃以下に冷却されたものであるから、この洗浄溶剤によって液洗浄を行った被洗浄物も、冷却された状態となる。そのため、当該被洗浄物と第2洗浄溶剤の溶剤蒸気との温度差が著しく異なり凝縮比が大きくなることから、従来の方法よりも蒸気洗浄効果を高めることが可能となる。
また、上記洗浄槽は既設のものを使用し、この既設の洗浄槽に冷却用の冷却器を挿入し、当該冷却器によって当該洗浄槽内に収納した洗浄溶剤を冷却するものであってもよい。このように既設の洗浄槽を使用することにより、新たに専用の洗浄槽を準備する必要がなく本発明の方法を低廉且つ容易に行うことが可能となる。また、この既設の洗浄槽には温度センサーを備え、この温度センサーにより当該洗浄槽内の温度を管理したものであってもよい。
また既設の洗浄槽内に洗浄溶剤が収納された状態の非使用時には、洗浄槽内が大気圧で常温雰囲気下にあるため、特に気温の高い夏期には当該洗浄槽内の洗浄溶剤が大気中に大量に拡散するものとなる。そのため、本発明の如く冷却用の冷却器にて洗浄槽内の洗浄溶剤を0℃以下に冷却しておくことにより、非使用時においても洗浄溶剤からの洗浄溶剤ガスの大気への拡散を効果的に防ぐことができる。
また、上記洗浄溶剤として非水系溶剤を使用するとともに、この洗浄溶剤を収納した洗浄槽に水を添加することにより、洗浄溶剤の液面に氷の膜を形成し、当該洗浄溶剤の液面を上記氷の膜によりシールすることにより、当該洗浄溶剤からの洗浄溶剤ガスの大気中への拡散を抑制する効果を高めるものであってもよく、また、上記氷の膜には、液洗浄の対象となる被洗浄物を通過させるための穴を形成したものであってもよい。
すなわち、洗浄溶剤の液面を覆った水は、当該洗浄溶剤が0℃以下に冷却されていることから、この水も0℃以下に冷却されるものとなる。そのため、上記洗浄溶剤を被覆した水が凍ることにより、当該洗浄溶剤の液面に氷の膜が被覆された状態となる。尚、本発明の非水系溶剤としては、塩素系溶剤やフッ素系溶剤などが挙げられる。また上記の如く、氷の膜に穴を設けることにより、長い板状のフープや長尺な線状の被洗浄物についても被洗浄物が通過しない部分を氷で被覆した状態で洗浄溶剤ガスの大気中の拡散を抑制しながら効果的に洗浄することができる。
また上記氷の膜は、上記洗浄槽内の洗浄溶剤を使用しない場合にのみ、当該洗浄溶剤の液面に形成するものであってもよい。これにより、洗浄槽内の洗浄溶剤を使用しない場合に、当該洗浄溶剤の液面が氷の膜によって大気との接触を遮断されるものとなるため、当該洗浄溶剤からの洗浄溶剤ガスの大気中への拡散を抑制する効果を高めることが可能となり、環境への負荷を更に低減することが可能となる。
また、水は液体であるため、洗浄溶剤の液面を水の層で被覆する場合には、当該洗浄溶剤が水の層に一部溶解し、水とともに少量ずつ蒸発するものとなる。これに対し、洗浄溶剤の液面を氷の膜にて被覆しシールすることにより、氷は固体であるため洗浄溶剤がこの氷の膜に溶解しにくいものとなる。よって、洗浄溶剤の液面を氷の膜で被覆することにより、洗浄溶剤から発生する溶剤蒸気ガスが大気中に拡散されることを防ぐ効果が高いものとなる。また洗浄溶剤のみにて洗浄を行う場合には、氷は固体であるため洗浄槽内から容易に取り出すことができる。よって、洗浄溶剤を水の層にて被覆する場合よりも取り扱いが容易である。
本願発明は上述の如く、洗浄溶剤を0℃以下且つ当該洗浄溶剤の凝固点より高い温度で使用するものであるから、当該洗浄溶剤の洗浄溶剤ガスの大気への拡散量を著しく低減することができるため、環境への負荷を小さくすることができる。また、当該洗浄溶剤の洗浄溶剤ガスの大気への拡散量が著しく減少することにより、当該洗浄溶剤の無駄な消耗を抑制することができることから、無駄なコストを低減することが可能となる。更に、価格は安いが引火点が低い可燃性溶剤を洗浄溶剤として使用する場合であっても、0℃以下で使用するものであるため引火の危険性が極めて低くなり安全な使用が可能となる。そのため、洗浄コストを低廉なものとすることができる。
本願発明を示す実施例1の概念図。 本願発明を示す実施例2の概念図。 本願発明を示す実施例3の概念図。 従来例の概念図。
本願発明の実施例1を図1に於いて説明すると、(1)は洗浄槽であって、この洗浄槽(1)の底部(2)側の内周には冷却コイルにて形成した冷却器(3)及び温度センサー(4)を設けている。そしてこの洗浄槽(1)内には洗浄溶剤(5)を収納している。尚、本実施例及び以下の実施例では上記の如く、洗浄槽(1)内に冷却器(3)を設けているが、他の異なる実施例ではこれに限らず、既設の洗浄槽(1)内に冷却用の冷却器を挿入配置して使用することも可能である。また上記洗浄槽(1)に隣接して、すすぎ槽(6)を設けている。そしてこのすすぎ槽(6)内には水(7)を収納している。
そして被洗浄物(8)の洗浄を行う場合には、まず洗浄槽(1)内の洗浄溶剤(5)を冷却器(3)によって0℃以下且つ当該洗浄溶剤(5)の凝固点よりも高い温度に冷却する。そしてこの洗浄溶剤(5)中に被洗浄物(8)を浸漬して液洗浄を行う。このように、液洗浄時に洗浄溶剤(5)を0℃以下且つ当該洗浄溶剤(5)の凝固点より高い温度で使用することにより、例えば毒性が強い洗浄溶剤(5)を使用した場合であっても、当該洗浄溶剤(5)の洗浄溶剤ガスの大気への拡散量を著しく低減することができるため、環境への負荷を小さくすることができる。
また、当該洗浄溶剤(5)の洗浄溶剤ガスの大気への拡散量が著しく減少することにより、例えば高価な洗浄溶剤(5)を使用した場合であっても当該洗浄溶剤(5)の無駄な消耗を抑制することができることから、無駄なコストを低減することが可能となる。更に、例えば引火点が低い可燃性溶剤を洗浄溶剤(5)として使用した場合であっても、0℃以下で使用するものであるため引火の危険性が極めて低くなり安全な使用が可能となる。
また液洗浄が終了すると、上記洗浄槽(1)内の被洗浄物(8)を引き上げて上記すすぎ槽(6)内の水(7)に浸漬させ、洗浄槽(1)から引き上げた被洗浄物(8)に付着した洗浄溶剤(5)を、上記水(7)で濯ぐことができる。更に、上記の如く被洗浄物(8)に付着した洗浄溶剤(5)を水(7)にて濯いだ後、熱風又はエアーブローにより当該被洗浄物(8)を乾燥させる。これにより、液洗浄後に被洗浄物(8)に付着した洗浄溶剤(5)を当該被洗浄物(8)から完全に除去することができる。尚、上記の如く被洗浄物(8)を濯いだ後の水(7)と洗浄溶剤(5)との混合液は、すすぎ作業が終了した後に回収され、非水系溶剤については水(7)と洗浄溶剤(5)とに分離することにより、当該洗浄溶剤(5)を再利用することができる。
本願発明の実施例2を図2に於いて説明すると、(21)は洗浄槽であって、この洗浄槽(21)の底部(22)側の内周には冷却コイルにて形成した冷却器(23)及び温度センサー(24)を設けている。そしてこの洗浄槽(21)内には洗浄溶剤(25)及び水を収納している。そして上記洗浄溶剤(25)は非水系溶剤のものを使用しているため、上記水は洗浄溶剤(25)の液面(37)を被覆した状態で位置している。
また上記洗浄槽(21)に隣接して、第2洗浄槽(26)が配置されている。そしてこの第2洗浄槽(26)の底部(27)側にはヒーター(28)を設けるとともに、開口部(31)側内面には冷却コイル(32)を固定配置している。またこの第2洗浄槽(26)内には、上記洗浄槽(21)に収納した洗浄溶剤(25)とは異なる第2洗浄溶剤(33)を収納している。
そして被洗浄物(36)の洗浄を行う場合には、まず洗浄槽(21)内の洗浄溶剤(25)を冷却器(23)によって0℃以下且つ当該洗浄溶剤(25)の凝固点よりも高い温度に冷却する。このように洗浄溶剤(25)を冷却することにより、この洗浄溶剤(25)の液面(37)を被覆する水の層も0℃以下に冷却されるものとなる。そのため、上記洗浄溶剤(25)を被覆した水が凍って当該洗浄溶剤(25)の液面(37)が氷の膜(34)によってシールされるものとなる。そのため、このような氷の膜(34)の存在により、当該洗浄溶剤(25)からの洗浄溶剤ガスの大気中への拡散を抑制する効果を高めることが可能となる。
ここで、本実施例の洗浄溶剤(25)であるトリクロロエチレンについて、本実施例の如く当該洗浄溶剤(25)の液面(37)を氷の膜(34)で被覆した場合と、氷の膜(34)で被覆しない場合とにおいて、洗浄溶剤ガス濃度にどの程度の差異が生じるかについて実験を行った。まず、4つのビーカーにそれぞれ非水系溶剤である洗浄溶剤(25)のトリクロロエチレンを各同量収納するとともに、そのうちの2つのビーカーには更に水を添加し、上記洗浄溶剤(25)の液面(37)を当該水によって被覆した状態とした。
そしてこのように水を添加したビーカーの一方と、水を添加していないビーカーの一方を冷凍庫内で上記洗浄溶剤(25)の液温を-10℃に冷却してこれらのビーカー内の水を凍らせ、洗浄溶剤(25)の液面(37)に氷の膜(34)を形成させた。また水を添加したビーカーの他方と、水を添加していないビーカーの他方を、上記洗浄溶剤(25)の液温を20℃として静置した。そして、上記4つのビーカー内の開口部付近の洗浄溶剤ガス濃度を測定した。その結果を下記表2に示す。
Figure 2021104494
その結果、表2に示す如く、上記洗浄溶剤(25)の液温20℃下で水を添加していないビーカー内の洗浄溶剤ガス濃度は16000ppm、同じく液温20℃下で水を添加した、すなわち上記洗浄溶剤(25)の液面(37)に水の層が形成されたビーカー内の洗浄溶剤のガス濃度は90ppmであった。一方、上記洗浄溶剤(25)の液温-10℃下で水を添加していないビーカー内の洗浄溶剤ガス濃度は300ppm、-10℃下で水を添加した、即ち上記洗浄溶剤(25)の液面(37)に氷の膜(34)を形成したビーカー内の洗浄溶剤ガス濃度は4ppmであった。
上記結果から、洗浄溶剤(25)を0℃以下に冷却することによって、洗浄溶剤ガス濃度を常温に比べて著しく低下させることができることが明らかとなった。更に当該洗浄溶剤(25)の液面(37)に氷の膜(34)を形成することにより、当該洗浄溶剤(25)を常温の水にて被覆する場合と比較して、洗浄溶剤ガス濃度が更に低下するものとなり、当該洗浄溶剤ガスの大気への拡散効果をより効果的に向上させることができることが明らかとなった。
そして上記洗浄槽(21)内の洗浄溶剤(25)中に被洗浄物(36)を浸漬することにより、液洗浄を行う。このように、液洗浄時に洗浄溶剤(25)を0℃以下且つ当該洗浄溶剤(25)の凝固点より高い温度で使用することにより、例えば毒性が強い洗浄溶剤(25)を使用した場合であっても、当該洗浄溶剤(25)の洗浄溶剤ガスの大気への拡散量を著しく低減することができるため、環境への負荷を小さくすることができる。
また、当該洗浄溶剤(25)の洗浄溶剤ガスの大気への拡散量が著しく減少することにより、例えば高価な洗浄溶剤(25)を使用した場合であっても当該洗浄溶剤(25)の無駄な消耗を抑制することができることから、無駄なコストを低減することが可能となる。更に、例えば引火点が低い可燃性溶剤を洗浄溶剤(25)として使用した場合であっても、0℃以下で使用するものであるため引火の危険性が極めて低くなり安全な使用が可能となる。
そして上記液洗浄が終了すると、上記洗浄槽(21)に隣接する第2洗浄槽(26)内にて蒸気洗浄を行う。尚、この上記洗浄の前に、この第2洗浄槽(26)内のヒーター(28)を作動させて内部の第2洗浄溶剤(33)を加熱することにより、当該第2洗浄槽(26)内に第2洗浄溶剤(33)の溶剤蒸気(35)をあらかじめ発生させておく。この上記洗浄について説明すると、まず上記洗浄槽(21)内の被洗浄物(36)を引き上げて図2に示す如くの第2洗浄溶剤(33)の液面(37)上に発生した溶剤蒸気(35)中に配置する。
そして溶剤蒸気(35)中の被洗浄物(36)に上記液洗浄時に付着した洗浄溶剤(25)を、上記第2洗浄溶剤(33)の溶剤蒸気(35)によって凝縮液化させることにより、被洗浄物(36)から除去する。尚、この第2洗浄溶剤(33)には、環境負荷が小さくあまり高価ではない、例えばエチルアルコールやI.P.A.等のアルコール類を使用することが好ましい。
ここで、本実施例の液洗浄に使用する洗浄槽(21)内の洗浄溶剤(25)は上記の如く0℃以下に冷却されたものであるから、この洗浄溶剤(25)によって液洗浄を行った被洗浄物(36)も冷却された状態となる。そのため、蒸気洗浄を行う際には、当該被洗浄物(36)と第2洗浄溶剤(33)の溶剤蒸気(35)との温度差が著しく異なるものとなるため、両者の凝縮比が大きいものとなる。従って、従来の一般的な蒸気洗浄方法よりも洗浄効果を更に高めることが可能となる。
本願発明の実施例3を図3に於いて説明すると、(41)は洗浄槽であって、この洗浄槽(41)の底部(52)側の内周には冷却コイルにて形成した冷却器(42)及び温度センサー(43)を設けている。そしてこの洗浄槽(41)内には洗浄溶剤(44)及び水を収納している。そして上記洗浄溶剤(44)は非水系溶剤のものを使用しているため、上記水は洗浄溶剤(44)の液面(45)を被覆した状態で位置している。
そして被洗浄物(50)の洗浄を行う場合には、まず洗浄槽(41)内の洗浄溶剤(44)を冷却器(42)によって0℃以下且つ当該洗浄溶剤(44)の凝固点よりも高い温度に冷却する。このように洗浄溶剤(44)を冷却することにより、この洗浄溶剤(44)の液面(45)を被覆する水の層も0℃以下に冷却されるものとなる。そのため、上記洗浄溶剤(44)を被覆した水が凍って当該洗浄溶剤(44)の液面(45)が氷の膜(46)によってシールされるものとなる。そのため、このような氷の膜(46)の存在により、当該洗浄溶剤(44)からの洗浄溶剤ガスの大気中への拡散を抑制する効果を高めることが可能となる。
また、上記氷の膜(46)には、液洗浄の対象となる被洗浄物(50)を通過させるための穴(47)を形成している。すなわち、洗浄槽(41)内の洗浄溶剤(44)の液面(45)に加熱機(48)を2か所設ける。これにより、この加熱機(48)で加熱された部分の氷が溶融して氷の膜(46)に穴(47)が形成される。そしてこの2か所の穴(47)のうち、一方の穴(47)を通じて長尺な板状の被洗浄物(50)を洗浄溶剤(44)中に浸漬するとともに、もう一方の穴(47)を通じて当該被洗浄物(50)を洗浄溶剤(44)中から外方に突出させることにより、この長尺な被洗浄物(50)の液洗浄を当該被洗浄物(50)の一端から他端まで連続的に行うことが可能となる。
すなわち、洗浄溶剤(44)の液面(45)を覆った水は、当該洗浄溶剤(44)が0℃以下に冷却されていることから、この水も0℃以下に冷却されるものとなる。そのため、上記洗浄溶剤(44)を被覆した水が凍ることにより、当該洗浄溶剤(44)の液面(45)に氷の膜(46)が被覆された状態となる。尚、本発明の非水系溶剤としては、塩素系溶剤やフッ素系溶剤などが挙げられる。また上記の如く、氷の膜(46)に穴(47)を設けることにより、長い板状のフープや長尺な線状の被洗浄物(50)についても被洗浄物(50)が通過しない部分を氷で被覆した状態で洗浄溶剤ガスの大気中の拡散を抑制しながら効果的に洗浄することができる。
そして上記洗浄槽(41)内の洗浄溶剤(44)中に被洗浄物(50)を浸漬することにより、液洗浄を行う。このように、液洗浄時に洗浄溶剤(44)を0℃以下且つ当該洗浄溶剤(44)の凝固点より高い温度で使用することにより、例えば毒性が強い洗浄溶剤(44)を使用した場合であっても、当該洗浄溶剤(44)の洗浄溶剤ガスの大気への拡散量を著しく低減することができるため、環境への負荷を小さくすることができる。
また、当該洗浄溶剤(44)の洗浄溶剤ガスの大気への拡散量が著しく減少することにより、例えば高価な洗浄溶剤(44)を使用した場合であっても当該洗浄溶剤(44)の無駄な消耗を抑制することができることから、無駄なコストを低減することが可能となる。更に、例えば引火点が低い可燃性溶剤を洗浄溶剤(44)として使用した場合であっても、0℃以下で使用するものであるため引火の危険性が極めて低くなり安全な使用が可能となる。
1,21,41 洗浄槽
3,23,42 冷却器
5,25,44 洗浄溶剤
7 水
8,36,50 被洗浄物
26 第2洗浄槽
33 第2洗浄溶剤
34,46 氷の膜
35 溶剤蒸気
37,45 液面
47 穴
また、上記液洗浄の後、上記液洗浄に使用した洗浄溶剤とは異なる第2洗浄溶剤の溶剤蒸気を、上記洗浄槽とは別個に設けた第2洗浄槽内に発生させ、この第2洗浄槽内に上記液洗浄後の被洗浄物を配置し、上記第2洗浄溶剤の溶剤蒸気を凝縮液化させて、当該被洗浄物に付着した洗浄溶剤を除去するものであってもよい。そしてこの第2洗浄溶剤には、環境負荷が小さくあまり高価ではない、例えばエチルアルコールやI.P.A.等のアルコール類を使用することが好ましい。

本発明は、洗浄溶剤にて機械部品、電子部品、医療機器等の被洗浄物を洗浄する際に、洗浄槽内の洗浄溶剤の大気への拡散を防止するための方法に係るものである。
特公昭60−45922号公報 1995年以前から、洗浄溶剤による液洗浄や蒸気洗浄が広く一般的に行われているが、この洗浄溶剤は高温に加熱して洗浄することにより、被洗浄物に付着した油などの汚れを効率的に除去することができる。しかしながら、例えば当時一般的に使用されていたフロンガスや1.1.1-トリクロロエタンを加熱した場合には、洗浄溶剤ガスが発生して大気中に多く拡散されるものとなり、オゾン層の破壊を引き起こすことが問題となっていた。
そのため、1995年以降には、上記フロンガス等がオゾン層を破壊する物質であるとして世界的に全廃となり、この頃から洗浄の現場でも地球環境を守るために洗浄溶剤の使用基準が一層厳しくなってきた。
そして現在でも被洗浄物に付着した油等を除去する洗浄溶剤として、塩素系溶剤、臭素系溶剤、フッ素系溶剤、アルコール類等が多く使用されている。尚、塩化メチレン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン等の塩素系溶剤や臭素系溶剤は毒性が強く、また、これらの物質を大気に放出した場合には、やはり地球温暖化につながるものとなる。また環境負荷が小さい洗浄溶剤としてはHFO等のフッ素系溶剤やI.P.A.等のアルコール類が挙げられるが、フッ素系溶剤は価格が高く洗浄コストが高くつくとともに、アルコール類については価格は安いものの引火点が低く危険性が高い。
また、従来の洗浄溶剤(101)による被洗浄物(102)の洗浄方法では、例えば図4に示す如く、40℃〜50℃程度の温液(103)に被洗浄物(102)を浸漬させて温浴洗浄を行った後、蒸気洗浄の際に当該被洗浄物(102)の表面で蒸気(105)の凝縮液化比を大きくするため15℃〜25℃程度の冷液(104)に上記被洗浄物(102)を浸漬させて冷浴洗浄を行い、その後蒸気洗浄を行う洗浄方法が一般的に行われていた。
このように、被洗浄物に付着した油等を溶解除去するためには、洗浄溶剤の温度が高い方が効率が良いという考えが主流であり、洗浄溶剤を常温あるいは加熱して使用することが一般的であった。そのため、洗浄作業中に、温度の高い洗浄溶剤から洗浄溶剤ガスが大気に拡散しやすいものとなっていた。また、洗浄槽からの洗浄溶剤ガスの拡散を防ぐために洗浄槽内を完全に密閉することは難しく、コストが高いものとなる。
また特許文献1に示す如く、洗浄槽内の液面上を冷却して当該洗浄溶剤の大気中への拡散を防止する方法が公知となっているが、一度ガス化してしまった洗浄溶剤を回収することは極めて困難であった。
以上のような従来の問題点であった洗浄溶剤ガスの大気への拡散を防ぐために、0℃以下の洗浄溶剤で被洗浄物を液洗浄した場合に、当該被洗浄物に付着していた油などの汚れを除去することができるか否かを確認した結果、当該被洗浄物に付着した汚れを除去可能であることが明らかとなったことから、本発明に至った。
そこで本願では上述の如き課題を解決しようとするものであって、洗浄溶剤を高温に加熱することなく、逆に冷却した状態で当該洗浄溶剤による被洗浄物の液洗浄を行うことにより、当該洗浄溶剤の洗浄溶剤ガスを大気に拡散することを防止しようとするものである。
本願発明は上述の如き課題を解決するため、非水系溶剤であるとともに洗浄槽内に収納した洗浄溶剤を、0℃以下、且つ当該洗浄溶剤の凝固点よりも高い温度に冷却し、この冷却した洗浄溶剤によって被洗浄物の液洗浄を行うものである。
また、非水系溶剤を使用した場合には、洗浄溶剤に水を注入することによって当該洗浄溶剤の表面に浮上するため、0℃以下に冷却した洗浄溶剤によって当該表面に氷の膜を形成することが可能となり、当該洗浄溶剤の洗浄溶剤ガスの大気中への拡散をより効果的に抑制することができる。
本発明では上記の如く、0℃以下の洗浄溶剤にて液洗浄を行うことを必須の要件としているが、このように0℃以下の洗浄溶剤での液洗浄は今までなされていなかったため、その洗浄効果について確認しておく必要がある。そこで、0℃以下の洗浄溶剤と室温の洗浄溶剤との間の洗浄効果の差について実験を行った。
この実験方法について説明すると、まず、同大且つ同形状の鉄プレス部品を被洗浄物を3個準備してこれらの被洗浄物をサンプル1〜3とし、このサンプル1〜3の全体を予め油浴に浸漬させた。その後、サンプル1を20℃の洗浄溶剤の浴槽に、また、サンプル2を-5℃の洗浄溶剤の浴槽にそれぞれ浸漬して液洗浄を行った後、IPAの洗浄溶剤蒸気による蒸気洗浄を行い、最後に自然乾燥を行った。
またサンプル3については液洗浄を行わずに上記と同じ工程の蒸気洗浄及び自然乾燥のみを行った。尚、上記実験に用いた洗浄溶剤はいずれもトリクロロエチレンである。そしてこれら液洗浄、蒸気洗浄、及び自然乾燥を行ったサンプル1〜3について、各サンプルに残留した残留油分を測定した。その測定結果を下記表1に示す。
Figure 2021104494
上記結果から、液洗浄を行わなかったサンプル1と液洗浄を行ったサンプル2、3との間では、残留油分量に大きな差が見られたのに対し、洗浄溶剤の液温が20℃のサンプル2と-5℃のサンプル3との間では、残留油分量に大きな差はみられなかった。このこと
から、洗浄溶剤が0℃以下で液洗浄を行った場合であっても、室温程度の洗浄溶剤による液洗浄と洗浄効果にほとんど差がないことが明らかとなった。
尚、本発明の洗浄溶剤の具体例としては、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、メチレンクロライド等の塩素系溶剤、HFE、HFO等のフッ素系溶剤等を挙げることができる。
そして例えば、洗浄溶剤として塩素系溶剤のトリクロロエチレンや、フッ素系溶剤のHFOを0℃以下に冷却した場合であっても、上記各洗浄溶剤の凝固点はおよそ-100℃程度であるから、これらの凝固点よりも高い温度であれば凍結することはなく、このような温度範囲においても被洗浄物に付着した油等の汚れを洗浄除去することは可能である。
また、例えばすでに公知となっているフッ素系溶剤やトリクロロエチレンの蒸気圧曲線は、0℃以下で蒸気圧が顕著に0kPaに近づくことは公知の事実である。更にトリクロロエチレンの場合は大気への排出基準が15ppm以下であるが、-15℃に冷却することによって当該環境基準をクリアできることが既に知られている。従ってこれらの事実より、上記洗浄溶剤が0℃以下且つ当該洗浄溶剤の凝固点より高い温度の場合には、当該洗浄溶剤の洗浄溶剤ガスの大気への拡散量を著しく低減することができるため、環境への負荷を小さくすることができる。
また、当該洗浄溶剤の洗浄溶剤ガスの大気への拡散量が著しく減少することにより、当該洗浄溶剤の無駄な消耗を抑制することができるため、使用量を低減してコストを低減することができる。更に、引火点が低い可燃性溶剤を洗浄溶剤として使用する場合であっても、0℃以下で使用するものであるため引火の危険性が極めて低くなり安全な使用が可能となる。
また、上記液洗浄の後、地球環境負荷の少ないエチルアルコール類によって被洗浄物に付着した洗浄溶剤を濯いだり、更に乾燥したりすることも可能である。
また、上記液洗浄の後、上記液洗浄に使用した洗浄溶剤とは異なる第2洗浄溶剤の溶剤蒸気を、上記洗浄槽とは別個に設けた第2洗浄槽内に発生させ、この第2洗浄槽内に上記液洗浄後の被洗浄物を配置し、上記第2洗浄溶剤の溶剤蒸気を凝縮液化させて、当該被洗浄物に付着した洗浄溶剤を除去するものであってもよい。そしてこの第2洗浄溶剤には、環境負荷が小さくあまり高価ではない、例えばエチルアルコールやI.P.A.等のアルコール類を使用することが好ましい。
ここで、本発明の液洗浄に使用する洗浄溶剤は0℃以下に冷却されたものであるから、
この洗浄溶剤によって液洗浄を行った被洗浄物も、冷却された状態となる。そのため、当該被洗浄物と第2洗浄溶剤の溶剤蒸気との温度差が著しく異なり凝縮比が大きくなることから、従来の方法よりも蒸気洗浄効果を高めることが可能となる。
また、上記洗浄槽は既設のものを使用し、この既設の洗浄槽に冷却用の冷却器を挿入し、当該冷却器によって当該洗浄槽内に収納した洗浄溶剤を冷却するものであってもよい。このように既設の洗浄槽を使用することにより、新たに専用の洗浄槽を準備する必要がなく本発明の方法を低廉且つ容易に行うことが可能となる。また、この既設の洗浄槽には温度センサーを備え、この温度センサーにより当該洗浄槽内の温度を管理したものであってもよい。
また既設の洗浄槽内に洗浄溶剤が収納された状態の非使用時には、洗浄槽内が大気圧で常温雰囲気下にあるため、特に気温の高い夏期には当該洗浄槽内の洗浄溶剤が大気中に大量に拡散するものとなる。そのため、本発明の如く冷却用の冷却器にて洗浄槽内の洗浄溶剤を0℃以下に冷却しておくことにより、非使用時においても洗浄溶剤からの洗浄溶剤ガスの大気への拡散を効果的に防ぐことができる。
また、上記洗浄溶剤として非水系溶剤を使用するとともに、この洗浄溶剤を収納した洗浄槽に水を添加することにより、洗浄溶剤の液面に氷の膜を形成し、当該洗浄溶剤の液面を上記氷の膜によりシールすることにより、当該洗浄溶剤からの洗浄溶剤ガスの大気中への拡散を抑制する効果を高めるものであってもよく、また、上記氷の膜には、液洗浄の対象となる被洗浄物を通過させるための穴を形成したものであってもよい。
すなわち、洗浄溶剤の液面を覆った水は、当該洗浄溶剤が0℃以下に冷却されていることから、この水も0℃以下に冷却されるものとなる。そのため、上記洗浄溶剤を被覆した水が凍ることにより、当該洗浄溶剤の液面に氷の膜が被覆された状態となる。尚、本発明の非水系溶剤としては、塩素系溶剤やフッ素系溶剤などが挙げられる。また上記の如く、氷の膜に穴を設けることにより、長い板状のフープや長尺な線状の被洗浄物についても被洗浄物が通過しない部分を氷で被覆した状態で洗浄溶剤ガスの大気中の拡散を抑制しながら効果的に洗浄することができる。
また上記氷の膜は、上記洗浄槽内の洗浄溶剤を使用しない場合にのみ、当該洗浄溶剤の液面に形成するものであってもよい。これにより、洗浄槽内の洗浄溶剤を使用しない場合に、当該洗浄溶剤の液面が氷の膜によって大気との接触を遮断されるものとなるため、当該洗浄溶剤からの洗浄溶剤ガスの大気中への拡散を抑制する効果を高めることが可能となり、環境への負荷を更に低減することが可能となる。
また、水は液体であるため、洗浄溶剤の液面を水の層で被覆する場合には、当該洗浄溶剤が水の層に一部溶解し、水とともに少量ずつ蒸発するものとなる。これに対し、洗浄溶剤の液面を氷の膜にて被覆しシールすることにより、氷は固体であるため洗浄溶剤がこの氷の膜に溶解しにくいものとなる。よって、洗浄溶剤の液面を氷の膜で被覆することにより、洗浄溶剤から発生する溶剤蒸気ガスが大気中に拡散されることを防ぐ効果が高いものとなる。また洗浄溶剤のみにて洗浄を行う場合には、氷は固体であるため洗浄槽内から容易に取り出すことができる。よって、洗浄溶剤を水の層にて被覆する場合よりも取り扱いが容易である。
本願発明は上述の如く、洗浄溶剤を0℃以下且つ当該洗浄溶剤の凝固点より高い温度で使用するものであるから、当該洗浄溶剤の洗浄溶剤ガスの大気への拡散量を著しく低減することができるため、環境への負荷を小さくすることができる。また、当該洗浄溶剤の洗浄溶剤ガスの大気への拡散量が著しく減少することにより、当該洗浄溶剤の無駄な消耗を抑制することができることから、無駄なコストを低減することが可能となる。更に、価格は安いが引火点が低い可燃性溶剤を洗浄溶剤として使用する場合であっても、0℃以下で使用するものであるため引火の危険性が極めて低くなり安全な使用が可能となる。そのため、洗浄コストを低廉なものとすることができる。
本願発明を示す実施例1の概念図。 本願発明を示す実施例2の概念図。 本願発明を示す実施例3の概念図。 従来例の概念図。
本願発明の実施例1を図1に於いて説明すると、(1)は洗浄槽であって、この洗浄槽(1)の底部(2)側の内周には冷却コイルにて形成した冷却器(3)及び温度センサー(4)を設けている。そしてこの洗浄槽(1)内には非水系の洗浄溶剤(5)を収納している。尚、本実施例及び以下の実施例では上記の如く、洗浄槽(1)内に冷却器(3)を設けているが、他の異なる実施例ではこれに限らず、既設の洗浄槽(1)内に冷却用の冷却器を挿入配置して使用することも可能である
そして被洗浄物(8)の洗浄を行う場合には、まず洗浄槽(1)内の洗浄溶剤(5)を冷却器(3)によって0℃以下且つ当該洗浄溶剤(5)の凝固点よりも高い温度に冷却する。そしてこの洗浄溶剤(5)中に被洗浄物(8)を浸漬して液洗浄を行う。このように、液洗浄時に洗浄溶剤(5)を0℃以下且つ当該洗浄溶剤(5)の凝固点より高い温度で使用することにより、例えば毒性が強い洗浄溶剤(5)を使用した場合であっても、当該洗浄溶剤(5)の洗浄溶剤ガスの大気への拡散量を著しく低減することができるため、環境への負荷を小さくすることができる。
また、当該洗浄溶剤(5)の洗浄溶剤ガスの大気への拡散量が著しく減少することにより、例えば高価な洗浄溶剤(5)を使用した場合であっても当該洗浄溶剤(5)の無駄な消耗を抑制することができることから、無駄なコストを低減することが可能となる。更に、例えば引火点が低い可燃性溶剤を洗浄溶剤(5)として使用した場合であっても、0℃以下で使用するものであるため引火の危険性が極めて低くなり安全な使用が可能となる。
本願発明の実施例2を図2に於いて説明すると、(21)は洗浄槽であって、この洗浄槽(21)の底部(22)側の内周には冷却コイルにて形成した冷却器(23)及び温度センサー(24)を設けている。そしてこの洗浄槽(21)内には洗浄溶剤(25)及び水を収納している。そして上記洗浄溶剤(25)は非水系溶剤のものを使用しているため、上記水は洗浄溶剤(25)の液面(37)を被覆した状態で位置している。
また上記洗浄槽(21)に隣接して、第2洗浄槽(26)が配置されている。そしてこの第2洗浄槽(26)の底部(27)側にはヒーター(28)を設けるとともに、開口部(31)側内面には冷却コイル(32)を固定配置している。またこの第2洗浄槽(26)内には、上記洗浄槽(21)に収納した洗浄溶剤(25)とは異なる第2洗浄溶剤(33)を収納している。
そして被洗浄物(36)の洗浄を行う場合には、まず洗浄槽(21)内の洗浄溶剤(25)を冷却器(23)によって0℃以下且つ当該洗浄溶剤(25)の凝固点よりも高い温度に冷却する。このように洗浄溶剤(25)を冷却することにより、この洗浄溶剤(25)の液面(37)を被覆する水の層も0℃以下に冷却されるものとなる。そのため、上記洗浄溶剤(25)を被覆した水が凍って当該洗浄溶剤(25)の液面(37)が氷の膜(34)によってシールされるものとなる。そのため、このような氷の膜(34)の存在により、当該洗浄溶剤(25)からの洗浄溶剤ガスの大気中への拡散を抑制する効果を高めることが可能となる。
ここで、本実施例の洗浄溶剤(25)であるトリクロロエチレンについて、本実施例の如く当該洗浄溶剤(25)の液面(37)を氷の膜(34)で被覆した場合と、氷の膜(34)で被覆しない場合とにおいて、洗浄溶剤ガス濃度にどの程度の差異が生じるかについて実験を行った。まず、4つのビーカーにそれぞれ非水系溶剤である洗浄溶剤(25)のトリクロロエチレンを各同量収納するとともに、そのうちの2つのビーカーには更に水を添加し、上記洗浄溶剤(25)の液面(37)を当該水によって被覆した状態とした。
そしてこのように水を添加したビーカーの一方と、水を添加していないビーカーの一方を冷凍庫内で上記洗浄溶剤(25)の液温を-10℃に冷却してこれらのビーカー内の水を凍らせ、洗浄溶剤(25)の液面(37)に氷の膜(34)を形成させた。また水を添加したビーカーの他方と、水を添加していないビーカーの他方を、上記洗浄溶剤(25)の液温を20℃として静置した。そして、上記4つのビーカー内の開口部付近の洗浄溶剤ガス濃度を測定した。その結果を下記表2に示す。
Figure 2021104494
その結果、表2に示す如く、上記洗浄溶剤(25)の液温20℃下で水を添加していないビーカー内の洗浄溶剤ガス濃度は16000ppm、同じく液温20℃下で水を添加した、すなわち上記洗浄溶剤(25)の液面(37)に水の層が形成されたビーカー内の洗浄溶剤のガス濃度は90ppmであった。一方、上記洗浄溶剤(25)の液温-10℃下で水を添加していないビーカー内の洗浄溶剤ガス濃度は300ppm、-10℃下で水を添加した、即ち上記洗浄溶剤(25)の液面(37)に氷の膜(34)を形成したビーカー内の洗浄溶剤ガス濃度は4ppmであった。
上記結果から、洗浄溶剤(25)を0℃以下に冷却することによって、洗浄溶剤ガス濃度を常温に比べて著しく低下させることができることが明らかとなった。更に当該洗浄溶剤(25)の液面(37)に氷の膜(34)を形成することにより、当該洗浄溶剤(25)を常温の水にて被覆する場合と比較して、洗浄溶剤ガス濃度が更に低下するものとなり、当該洗浄溶剤ガスの大気への拡散効果をより効果的に向上させることができることが明らかとなった。
そして上記洗浄槽(21)内の洗浄溶剤(25)中に被洗浄物(36)を浸漬することにより、液洗浄を行う。このように、液洗浄時に洗浄溶剤(25)を0℃以下且つ当該洗浄溶剤(25)の凝固点より高い温度で使用することにより、例えば毒性が強い洗浄溶剤(25)を使用した場合であっても、当該洗浄溶剤(25)の洗浄溶剤ガスの大気への拡散量を著しく低減することができるため、環境への負荷を小さくすることができる。
また、当該洗浄溶剤(25)の洗浄溶剤ガスの大気への拡散量が著しく減少することにより、例えば高価な洗浄溶剤(25)を使用した場合であっても当該洗浄溶剤(25)の無駄な消耗を抑制することができることから、無駄なコストを低減することが可能となる。更に、例えば引火点が低い可燃性溶剤を洗浄溶剤(25)として使用した場合であっても、0℃以下で使用するものであるため引火の危険性が極めて低くなり安全な使用が可能となる。
そして上記液洗浄が終了すると、上記洗浄槽(21)に隣接する第2洗浄槽(26)内にて蒸気洗浄を行う。尚、この上記洗浄の前に、この第2洗浄槽(26)内のヒーター(28)を作動させて内部の第2洗浄溶剤(33)を加熱することにより、当該第2洗浄槽(26)内に第2洗浄溶剤(33)の溶剤蒸気(35)をあらかじめ発生させておく。この上記洗浄について説明すると、まず上記洗浄槽(21)内の被洗浄物(36)を引き上げて図2に示す如くの第2洗浄溶剤(33)の液面(37)上に発生した溶剤蒸気(35)中に配置する。
そして溶剤蒸気(35)中の被洗浄物(36)に上記液洗浄時に付着した洗浄溶剤(25)を、上記第2洗浄溶剤(33)の溶剤蒸気(35)によって凝縮液化させることにより、被洗浄物(36)から除去する。尚、この第2洗浄溶剤(33)には、環境負荷が小さくあまり高価ではない、例えばエチルアルコールやI.P.A.等のアルコール類を使用することが好ましい。
ここで、本実施例の液洗浄に使用する洗浄槽(21)内の洗浄溶剤(25)は上記の如く0℃以下に冷却されたものであるから、この洗浄溶剤(25)によって液洗浄を行った被洗浄物(36)も冷却された状態となる。そのため、蒸気洗浄を行う際には、当該被洗浄物(36)と第2洗浄溶剤(33)の溶剤蒸気(35)との温度差が著しく異なるものとなるため、両者の凝縮比が大きいものとなる。従って、従来の一般的な蒸気洗浄方法よりも洗浄効果を更に高めることが可能となる。
本願発明の実施例3を図3に於いて説明すると、(41)は洗浄槽であって、この洗浄槽(41)の底部(52)側の内周には冷却コイルにて形成した冷却器(42)及び温度センサー(43)を設けている。そしてこの洗浄槽(41)内には洗浄溶剤(44)及び水を収納している。そして上記洗浄溶剤(44)は非水系溶剤のものを使用しているため、上記水は洗浄溶剤(44)の液面(45)を被覆した状態で位置している。
そして被洗浄物(50)の洗浄を行う場合には、まず洗浄槽(41)内の洗浄溶剤(44)を冷却器(42)によって0℃以下且つ当該洗浄溶剤(44)の凝固点よりも高い温度に冷却する。このように洗浄溶剤(44)を冷却することにより、この洗浄溶剤(44)の液面(45)を被覆する水の層も0℃以下に冷却されるものとなる。そのため、上記洗浄溶剤(44)を被覆した水が凍って当該洗浄溶剤(44)の液面(45)が氷の膜(46)によってシールされるものとなる。そのため、
このような氷の膜(46)の存在により、当該洗浄溶剤(44)からの洗浄溶剤ガスの大気中への拡散を抑制する効果を高めることが可能となる。
また、上記氷の膜(46)には、液洗浄の対象となる被洗浄物(50)を通過させるための穴(47)を形成している。すなわち、洗浄槽(41)内の洗浄溶剤(44)の液面(45)に加熱機(48)を2か所設ける。これにより、この加熱機(48)で加熱された部分の氷が溶融して氷の膜(46)に穴(47)が形成される。そしてこの2か所の穴(47)のうち、一方の穴(47)を通じて長尺な板状の被洗浄物(50)を洗浄溶剤(44)中に浸漬するとともに、もう一方の穴(47)を通じて当該被洗浄物(50)を洗浄溶剤(44)中から外方に突出させることにより、この長尺な被洗浄物(50)の液洗浄を当該被洗浄物(50)の一端から他端まで連続的に行うことが可能となる。
すなわち、洗浄溶剤(44)の液面(45)を覆った水は、当該洗浄溶剤(44)が0℃以下に冷却されていることから、この水も0℃以下に冷却されるものとなる。そのため、上記洗浄溶剤(44)を被覆した水が凍ることにより、当該洗浄溶剤(44)の液面(45)に氷の膜(46)が被覆された状態となる。尚、本発明の非水系溶剤としては、塩素系溶剤やフッ素系溶剤などが挙げられる。また上記の如く、氷の膜(46)に穴(47)を設けることにより、長い板状のフープや長尺な線状の被洗浄物(50)についても被洗浄物(50)が通過しない部分を氷で被覆した状態で洗浄溶剤ガスの大気中の拡散を抑制しながら効果的に洗浄することができる。
そして上記洗浄槽(41)内の洗浄溶剤(44)中に被洗浄物(50)を浸漬することにより、液洗浄を行う。このように、液洗浄時に洗浄溶剤(44)を0℃以下且つ当該洗浄溶剤(44)の凝固点より高い温度で使用することにより、例えば毒性が強い洗浄溶剤(44)を使用した場合であっても、当該洗浄溶剤(44)の洗浄溶剤ガスの大気への拡散量を著しく低減することができるため、環境への負荷を小さくすることができる。
また、当該洗浄溶剤(44)の洗浄溶剤ガスの大気への拡散量が著しく減少することにより、例えば高価な洗浄溶剤(44)を使用した場合であっても当該洗浄溶剤(44)の無駄な消耗を抑制することができることから、無駄なコストを低減することが可能となる。更に、例えば引火点が低い可燃性溶剤を洗浄溶剤(44)として使用した場合であっても、0℃以下で使用するものであるため引火の危険性が極めて低くなり安全な使用が可能となる。
1,21,41 洗浄槽
3,23,42 冷却器
5,25,44 洗浄溶
8,36,50 被洗浄物
26 第2洗浄槽
33 第2洗浄溶剤
34,46 氷の膜
35 溶剤蒸気
37,45 液面
47 穴

Claims (7)

  1. 洗浄槽内に収納した洗浄溶剤を、0℃以下、且つ当該洗浄溶剤の凝固点よりも高い温度に冷却し、この冷却した洗浄溶剤によって被洗浄物の液洗浄を行うことを特徴とする洗浄溶剤からの洗浄溶剤ガスの大気への拡散防止方法。
  2. 上記液洗浄の後、上記被洗浄物に付着した洗浄溶剤を水又は純水で洗い流すことを特徴とする請求項1の洗浄溶剤からの洗浄溶剤ガスの大気への拡散防止方法。
  3. 上記液洗浄の後、上記液洗浄に使用した洗浄溶剤とは異なる第2洗浄溶剤の溶剤蒸気を、上記洗浄槽とは別個に設けた第2洗浄槽内に発生させ、この第2洗浄槽内に上記液洗浄後の被洗浄物を配置し、当該被洗浄物に付着した洗浄溶剤を上記第2洗浄溶剤の溶剤蒸気によって凝縮液化させて除去することを特徴とする請求項1の洗浄溶剤からの洗浄溶剤ガスの大気への拡散防止方法。
  4. 上記洗浄槽は既設のものを使用し、この既設の洗浄槽とは別体に形成した冷却用の冷却器を挿入し、当該冷却器によって当該洗浄槽内に収納した洗浄溶剤を冷却することを特徴とする請求項1の洗浄溶剤からの洗浄溶剤ガスの大気への拡散防止方法。
  5. 上記洗浄溶剤として非水系溶剤を使用するとともに、この洗浄溶剤を収納した洗浄槽に水を添加することにより、当該水によって洗浄溶剤の液面に氷の膜を形成し、当該洗浄溶剤の液面を上記氷の膜によりシールすることにより、当該洗浄溶剤からの洗浄溶剤ガスの大気中への拡散を抑制する効果を高めることを特徴とする請求項1の洗浄溶剤からの洗浄溶剤ガスの大気への拡散防止方法。
  6. 上記氷の膜には、液洗浄の対象となる被洗浄物を通過させるための穴を形成したことを特徴とする請求項5の洗浄溶剤からの洗浄溶剤ガスの大気への拡散防止方法。
  7. 上記氷の膜は、上記洗浄槽内の洗浄溶剤を使用しない場合にのみ、当該洗浄溶剤の液面に形成することを特徴とする請求項5、または6の洗浄溶剤からの洗浄溶剤ガスの大気への拡散防止方法。
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