JP2021101702A - 菊芋抽出イヌリン含有ロールパンの製造方法 - Google Patents

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正志 宮原
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【課題】製造時に過剰な気泡やダマが生じず、作業性に優れた菊芋抽出イヌリン含有ロールパンの製造方法を提供する。【解決手段】菊芋抽出イヌリンを、強力粉に対して2〜5重量部の割合で添加する第1のステップを含む、菊芋抽出イヌリン含有ロールパンの製造方法。好ましくは、前記第1のステップにおいて菊芋抽出イヌリンを添加する際に、ナノバブル水の存在下にて添加を行う、前記菊芋抽出イヌリン含有ロールパンの製造方法。【選択図】図4

Description

本発明は、菊芋抽出イヌリン含有ロールパンの製造方法に係り、特に、製造時に過剰な気泡やダマが生じにくい菊芋抽出イヌリン含有ロールパンの製造方法に関する。
イヌリンはフルクトースの重合体であるフルクタンの一種であり、糖尿病等に効果があるとして近年注目されている食材の一つである。
イヌリンを手軽に摂取するために各種食品に添加する試みは従前からなされている。このような例として特許文献1には、難消化性澱粉、非難消化性澱粉及び澱粉、イヌリン等の可溶性食物繊維を含むベーカリー食品用ミックスが示されている。特許文献2には、イヌリンを主成分とする水溶性食物繊維粉末に対しふすま、ぬか、又はおからから選ばれる1種又は2種以上の不溶性食物繊維粉末を2〜20倍重量部配合してなるダイエット食品及びペットフード組成物が示されている。また特許文献3には、イヌリンを主成分とする食用粉末及びふすまの粉末からなる加工食品用原料粉が示されている。
特開2019−017275号公報 特開2009−207484号公報 特開2008−079606号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載された技術では栄養面や加工性の面で十分とは言えなかった。特許文献1に記載されたベーカリー食品用ミックスで使用されているイヌリンは砂糖由来のものであり、糖尿病等への効果の点で十分とは言えなかった。また、特許文献2,3に記載された構成では、作業性の点で問題があった。
本発明は、上述の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、製造時に過剰な気泡やダマが生じず、作業性に優れた菊芋抽出イヌリン含有ロールパンの製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的とするところは、食感に優れた菊芋抽出イヌリン含有ロールパンを提供することにある。
また本発明の他の目的とするところは、菊芋抽出イヌリン含有ロールパン用ミックス粉を提供することにある。
本発明の他の目的並びに作用効果については、以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
本発明は上述の問題点を解決するためになされたものであり、本発明に係る菊芋抽出イヌリン含有ロールパンの製造方法は、菊芋抽出イヌリンを、強力粉に対して2〜5重量部の割合で添加する第1のステップ、を含むものである。
そしてこのような構成によれば、栄養成分的には優れているものの取り扱いの難しい菊芋抽出イヌリンを使用しながらも、製造時に過剰な気泡やダマが生じにくく、作業性に優れたものとなる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1のステップにおいて菊芋抽出イヌリンを添加する際には、ナノバブル水の存在下にて添加を行うものであってもよい。
ここで「ナノバブル水」とは、径が数百nmまでの気泡からなるナノバブル、径が数百nm〜数十μmまでの気泡からなるマイクロナノバブル、径が数十μm〜数百μmまでの気泡からなるマイクロバブルのいずれかの気泡、若しくはこれらの混合気泡を含む水である。
そしてこのような構成によれば、ナノバブル水によりイースト菌が活性化することで発酵が短時間で進むことに加え、作業性がより向上して過剰な気泡やダマが更に生じにくくなる。
本発明の好ましい実施の形態においては、中種法で製造を行い、前記菊芋抽出イヌリンは本捏工程で添加されるものであってもよい。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記菊芋抽出イヌリンは、総重量の80%以上がイヌリンであるものであってもよい。
このような構成によれば、イヌリンの実質含有量が100gに対して1.5g以上となり、当該菊芋抽出イヌリン含有パンを1日200g程度摂取すれば、イヌリンを3g程度摂取できることとなる。
また本発明は、菊芋抽出イヌリンを含有するロールパン用ミックス粉についての発明として捉えることもできる。
本発明に係る菊芋抽出イヌリン含有ロールパン用ミックス粉は強力粉と菊芋抽出イヌリンとを含み、前記菊芋抽出イヌリンを強力粉に対して2〜5重量部の割合で含有するものである。
このような構成によれば、一般的な強力粉を用いるのと同じ工程で菊芋抽出イヌリン含有ロールパンを製造することが出来る。
また本発明は、上述の製造方法やミックス粉で製造されたロールパンの発明としても捉えることもできる。
本発明に係る菊芋抽出イヌリン含有ロールパンは、菊芋抽出イヌリンを、強力粉に対して2〜5重量部の割合で含有することを特徴とする。
また、本発明に係る菊芋抽出イヌリン含有菓子パンの製造方法は、菊芋抽出イヌリンを、強力粉に対して2〜5重量部の割合で添加する第1のステップ、を含むものである。
また、本発明に係る菊芋抽出イヌリン含有総菜パンの製造方法は、菊芋抽出イヌリンを、強力粉に対して2〜5重量部の割合で添加する第1のステップ、を含むものである。
また、本発明に係る菊芋抽出イヌリン含有菓子の製造方法は、菊芋抽出イヌリンを、強力粉に対して2〜5重量部の割合で添加する第1のステップ、を含むものである。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記菓子は、イーストドーナツ、ケーキドーナツ、クッキー、ケーキ、パンケーキ、ワッフル、蒸しパンのいずれかであってもよい。
本発明に係る菊芋抽出イヌリン含有ロールパンの製造方法によれば、栄養成分的には優れているものの取り扱いの難しい菊芋抽出イヌリンを使用しながらも、製造時に過剰な気泡やダマが生じず、作業性に優れたものとなる。
また、本発明に係る菊芋抽出イヌリン含有ロールパン用ミックス粉によれば、菊芋抽出イヌリンを別途計量せずとも一般的な強力粉を用いるのと同じ工程且つ適切な配合割合で菊芋抽出イヌリン含有ロールパンを製造することが出来る。
また、本発明に係る菊芋抽出イヌリン含有ロールパンは、風味が良く、菊芋抽出イヌリンによる優れた効能が手軽に得られる。
イヌリンの効能差を示す図表である。 パンの製造方法の一例を示す図である。 実施例における配合割合を示す図表である。 実施例の製造時における対比結果を示す図表である。 実施例についての外観対比結果を示す図表である。
以下に、本発明に係る菊芋抽出イヌリン含有ロールパンの製造方法の好適な一実施例を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明に係る菊芋抽出イヌリン含有ロールパンの製造方法は、菊芋抽出イヌリンを、強力粉に対して2〜5重量部の割合で添加する第1のステップ、を含むことを特徴とするものである。
<イヌリンについて>
イヌリンはフルクトースの重合体であるフルクタンの一種であり、菊芋やチコリ、さとうきび等に含まれてる水溶性食物繊維である。しかしながら、イヌリンはその原料によって性質が異なり、菊芋から抽出したイヌリンは、水に溶けやすくゲル化しやすい。そのため、配合した生地の粘度が高くなり、保湿効果や保水効果が得られる。一方、チコリやサトウキビ由来のイヌリンはゲル化しないため、水に溶けた後でも生地の粘度を向上させず、保水効果や保湿効果に寄与しにくい。
前述の通り、イヌリンを添加した食品に関する提案は10年以上前からなされているが、これらの食品で用いられているのはチコリやさとうきびから抽出されたものが主であり菊芋製のイヌリンは殆ど採用されていなかった。いわゆる人工イヌリンもチコリやさとうきびを原料とするものが一般的である。粘度の違いによる取り扱い性の違いが原因であると考えられる。
また、原料によるイヌリンの効能差が図1に示されている。なお、ここで「人工イヌリン」とはさとうきび由来の人工イヌリンを想定しており、項目の評価は◎:効果あり、○:やや効果あり、△:効果が非常に低い若しくは効果がない、の三段階で行った。同図に示されるように、人工イヌリン及びチコリイヌリンは糖質の吸収抑制等に少し効果が認められるものであった。一方、菊芋抽出イヌリンは、提示した評価項目についてはすべて優れた効果が得られた。即ち、菊芋抽出イヌリンを継続して摂取することで、整腸作用、糖質吸収抑制、インスリン分泌抑制、中性脂肪吸収抑制、コレステロール値低下、美肌効果、血管炎症抑制、膵臓機能の健全化、平常時血糖の健全化、HBAc1低下、クレアチニン値の減少、等の有用な効果が認められた。
本願発明者等の知見によれば、菊芋抽出イヌリンを1日に1gを摂取することで食後の血糖値上を緩やかにする昇抑制効果が認められ、1日に3gを継続して摂取することで排便回数・排便量を増やすことが認められ、1日9gを摂取することで血中中性脂肪を下げる効果が認められた。
本願発明者等の知見によれば、菊芋製のイヌリンは水に溶けやすくゲル化もしやすいことに加え、効能的にも優れているため少量の添加でも十分な効能が得られる。その反面、ゲル化することにより生地の粘度が増大して今までは他のイヌリンと違うため、投入量の調整が理解できず、取り扱いが悪かった為、あまり使用されてこなかった。一方、チコリやさとうきびから抽出されたイヌリンは水に溶けにくく、溶けても糖度が出づらいために大量に添加が必要であり食感を損ないやすいというデメリットがあるものの、ゲル化による粘度増大は起こりにくく取り扱い性の点では優れている。
日本においてイヌリンの食品への添加はサトウキビ由来のイヌリンやチコリ由来のイヌリンが先行して扱われてきており、イヌリンの食品添加の初期においては原料に拘わらず単にイヌリンと総称し、各イヌリンの原料による性質の違いへの理解が及んでいなかった。菊芋イヌリンは近年糖尿病への効果が知られてきており、これにより菊芋イヌリンの食品への添加が行われるようになったことで他のイヌリンとの性能の違いも臨床テストにより明らかになったものである。
また本発明者等の知見によれば、菊芋抽出イヌリン、もしくは菊芋抽出イヌリン含有ミックス粉を投入する際にナノバブル含有水を同時に投入することで、生地の粘度増大が抑制されより取り扱い性が向上する。
<菊芋からのイヌリンの抽出について>
菊芋は一般的に寒冷地で栽培され、秋から冬にかけて地中に塊茎を作る。本発明において用いる菊芋抽出イヌリンは、菊芋の塊茎を圧搾して水溶性食物繊維であるイヌリンを抽出して粉末化したものである。このようにして得られた白い粉末は、全量の80〜90%程度がイヌリン・総フラクタンと高純度である。
<菊芋抽出イヌリン含有ミックス粉について>
本発明に係る菊芋抽出イヌリン含有ミックス粉は、少なくとも強力粉と菊芋抽出イヌリンを含有するものであり、菊芋抽出イヌリンを強力粉に対して2〜5重量部の割合で含有することが好ましい。有効成分としてのイヌリンの含有量としては、強力粉に対して1.5重量部以上含まれていることが望ましい。当該ミックス粉を用いる場合には、強力粉の代わりに同量用いることが好ましい。
<ナノバブル水について>
マイクロバブルやナノバブル等と称される非常に微細な気泡を含んだ水をマイクロバブル水、ナノバブル水と表現する場合がある。一例として、気泡の大きさが数百nmまでの気泡を含むものをナノバブル水、数百nm〜数十μmまでの気泡を含むものをマイクロナノバブル水、数十μm〜数百μmまでの気泡を含むものをマイクロバブル水、と称する。本発明において「ナノバブル水」と称するものには、ナノバブル水、マイクロナノバブル水、マイクロバブル水の全てが含まれており、またこれらが混在するものも含む。このようなナノバブルの発生方法としては公知のいずれの手法を用いてもよく、例えば、特許第3397154号に記載の装置、特開2012−30229号公報に記載の装置、実用新案登録第3185776号公報に記載の装置などがあげられる。市販の装置であれば、一例として株式会社ナノプラネット研究所のM2−LM/SUS(特許第3397154号参照)があげられる。
<パンの製法について>
パンの一般的な製法である中種法の工程が図2(a)に、ストレート法の工程が図2(b)に、それぞれ示されている。本発明に係る菊芋抽出イヌリン含有パンの製造方法及びミックス粉は、中種法、ストレート法のいずれにおいても用いることができ、菊芋抽出イヌリンの添加は、中種法で製造する場合であれば本捏工程にて行うことが好ましい。
<ミックス粉の用途>
本発明に係る菊芋抽出イヌリン含有ミックス粉は、ロールパン以外にも、菓子パン、総菜パン等のパン類や、イーストドーナツ、ケーキドーナツ、クッキー、ケーキ、パンケーキ、ワッフル、蒸しパン等の菓子類など、一般的なミックス粉と同様に様々な用途に使用することができる。
以下に本発明に係る菊芋抽出イヌリン含有パンの実施例について具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。なお、以下の実施例で製造したパンは所謂食パンの形状であるが、ロールパンを製造する際にも強力粉と菊芋抽出イヌリンの配合割合は同様の値で製造することができる。
<菊芋抽出イヌリンの製造>
菊芋の塊茎を圧搾してイヌリンを抽出し、これを乾燥させることで白色粉末状の生井も抽出イヌリンを得た。イヌリンの含有率は80%以上であった。
<ナノバブル水の調製>
水をM2−LM/SUS(株式会社ナノプラネット研究所)に送り込むことで、ナノバブル水を得た。
(実施例1)
実施例1では中種法により製パンを行った。
1.中種工程:強力粉70重量部、ブドウ糖3重量部、イースト2重量部、イーストフード0.1重量部、水43重量部を混合し、ミキサーで、低速で3分、中速で1分ミキシングした後、捏ね上げられた生地を焙炉で2時間30分発酵させた。捏上温度は24℃であった。
2.本捏工程:中種工程で得た生地をミキサーに投入し、更に、強力粉27重量部、菊芋抽出イヌリン3重量部、上白糖6重量部、食塩2重量部、ショートニング10重量部、脱脂粉乳3重量部、加糖練乳4重量部、追種としてのイーストフード0.5重量部、吸水用のナノバブル水24重量部を加えて、低速で4分、中速で3分、高速で2分ミキシングした後に焙炉で20分発酵させた。捏上温度は28℃であった。次いで、生地を230gずつに分割してロール成形を行い、焙炉で更に20分間生地を寝かし、得られた生地をモルダーでガス抜きしてからカールして2斤型にロール4個分を詰める。温度35℃、湿度85%で60分間焙炉した後に、上火200℃、下火210℃で36分間焼成することで実施例1に係るパンを得た。
(比較例1)
実施例1において、2.本捏工程で菊芋抽出イヌリンを配合しなかったこと以外は同様にして、比較例1に係るパンを得た。
実施例1に係る製造方法によれば、製造時に過剰な気泡が発生したりダマになったりせず、菊芋抽出イヌリンを含有するパンを製造することができた。また、実施例1で得られたパンは、従来例に相当する比較例1のパンと遜色のない風味を有し、カステラのようなきめ細かさを持ち、白みが強く外観的にも美しいものであった。
実施例2、比較例2、参考例1ではストレート法により製パンを行った。
(実施例2)
強力粉A(スーパーカメリヤ:日清製粉(株))1000g、強力粉B(ヨット:日本製粉(株))1000g、食塩40g、砂糖100g、スキムミルク60g、生イースト60g、ショートニング60g、バター30g、コンパウンドマーガリン20g、菊芋抽出イヌリン60g、ナノバブル水1360gをミキサーに投入してミキシングした後、捏ね上げられた生地を1時間発酵させた。
1時間発酵させた生地にパンチ(ガス抜き)を行い、生地を裏返して再び20分発酵させる。
再発酵を行った生地を230gずつの8玉にわけて、2斤サイズの型枠に4玉ずつ型入れした後、焙炉で33℃、湿度80%の条件で40〜45分程度発酵させた後に、上火180℃、下火200℃のオーブンで35分間焼成することで実施例2に係る菊芋抽出イヌリンを含有するパンを得た。
(比較例2)
実施例2において、強力粉Aと強力粉Bの配合量をそれぞれ750gずつに変更し、菊芋抽出イヌリン60gを菊芋パウダー(国産菊芋パウダー:日本ガーリック(株))500gに変更し、ナノバブル水1360gを水1360gに変更した以外は、実施例2と同様にして比較例2に係る菊芋パウダーを含有するパンを得た。なお、比較例2は特許文献2,3との対比を意図した構成例である。
(参考例1)
実施例2において、菊芋抽出イヌリン60gを配合せず、ナノバブル水1360gを水1360gに変更した以外は、実施例2と同様にして参考例1に係るパンを得た。なお、参考例1は従来の一般的なパンに相当する構成例である。
図3には実施例における配合割合が、図4には実施例の製造時における観察結果の概要が、図5には実施例についての外観対比がそれぞれ示されている。なお、図4,5における切分写真は、1斤を6枚切りにしたものである。
図5より明らかなように、実施例2に係る食パンは、参考例1である一般的な食パンと同程度に膨らみ、色合いや食感に関わる気泡の大きさ等についても参考例1と差異のないものであった。一方、比較例2に係る食パンは、色合いが一般的な食パンとは明確に異なるライ麦パンの様な焦茶色となり、垂直方向への膨らみも参考例1よりも少なかった。
実施例2、比較例2、参考例1の製造時における観察結果が図4に示されている。参考例1は一般的な食パンに相当する構成例であり、製造時に操業上の問題はなく、また完成品の品質も市販に適するものであった。本発明に相当する実施例2は、ナノバブル水を投入することでパン生地の粘度増大が抑制されて生地の取り扱い性が向上し、なめらかに混ざった。焙炉時、焼成時にも特段の問題はなく、全体として操業性は向上したと言える。完成した食パンは、クラム(内相)がずっしりと重く従来の食パン(参考例1)とは重量バランスが異なるものであった。
また、完成品を切り分けて生のまま試食すると、生地のきめが細かく、しっとりした食パンであった。また、トーストして試食すると、表面はカリッとした食感でありながら内側はしっとりしていて、参考例1とは食感も味も異なるが、非常に好ましいものであった。
一方、比較例2は特許文献2,3に相当する構成例であるが、出願人が試作を試みたところ、これらの文献に記載されている菊芋粉とふすま粉の合計配合量が小麦粉配合量の2倍を超えるような構成では、生地の粘度が上がりすぎてまともに捏ね上げられなかった。出願人はこの点について試作を繰り返して、菊芋パウダーの配合量を小麦粉配合量の1/3、即ち特許文献2,3の1/6の配合量とすることで比較例2の作成を行った。菊芋パウダーをこれ以上の割合で配合した場合には、工業的な量産は困難であると考えられる。
比較例2の製造においては、捏ね上げ工程において乾燥菊芋パウダーを投入すると生地の色合いが焦茶色に変化し、生地全量に対する強力粉の割合が低下したことでグルテンの形成も弱くなった。また焙炉工程では、生地のグルテンの形成が弱いために発酵時のパン生地の伸びが悪く、水平方向と垂直方向の生地の伸びが異なることで見た目のバランスも悪いものとなった。このような比較例2の生地は焼成後も垂直方向への膨らみが悪く、色合いも焦茶色のままであり、食パンとしての販売に適さない外観であった。また生地の膨らみが悪くパン自体の密度が高くなったために、完成品の食パンは大きさに対してパン全体がずっしりと重みを感じるものであった。比較例2についても実施例2と同様に切り分けて生のままとトースト状態とで試食したが、味と食感の双方において販売に供し得ないものであった。
本願に係る菊芋抽出イヌリン含有パンの製造方法によれば、過剰な気泡やダマが生じずに、栄養価と風味に優れた菊芋抽出イヌリン含有パンを製造することができる。
また、本願に係る菊芋抽出イヌリン含有ミックス粉は、菊芋抽出イヌリンを別途計量せずとも適切な配合割合で強力粉と共に添加することができ、作業性の点でも優れている。

Claims (10)

  1. 菊芋抽出イヌリンを、強力粉に対して2〜5重量部の割合で添加する第1のステップ、を含むことを特徴とする菊芋抽出イヌリン含有ロールパンの製造方法。
  2. 前記第1のステップにおいて菊芋抽出イヌリンを添加する際に、ナノバブル水の存在下にて添加を行うことを特徴とする請求項1〜3に記載の菊芋抽出イヌリン含有ロールパンの製造方法。
  3. 中種法で製造を行い、前記菊芋抽出イヌリンは本捏工程で添加されることを特徴とする請求項1または2に記載の菊芋抽出イヌリン含有ロールパンの製造方法。
  4. 前記菊芋抽出イヌリンは、総重量の80%以上がイヌリンであることを特徴とする請求項1に記載の菊芋抽出イヌリン含有ロールパンの製造方法。
  5. 強力粉と菊芋抽出イヌリンとを含み、前記菊芋抽出イヌリンを強力粉に対して2〜5重量部の割合で含有することを特徴とする菊芋抽出イヌリン含有ロールパン用ミックス粉。
  6. 菊芋抽出イヌリンを、強力粉に対して2〜5重量部の割合で含有することを特徴とする菊芋抽出イヌリン含有ロールパン。
  7. 菊芋抽出イヌリンを、強力粉に対して2〜5重量部の割合で添加する第1のステップ、を含むことを特徴とする菊芋抽出イヌリン含有菓子パンの製造方法。
  8. 菊芋抽出イヌリンを、強力粉に対して2〜5重量部の割合で添加する第1のステップ、を含むことを特徴とする菊芋抽出イヌリン含有総菜パンの製造方法。
  9. 菊芋抽出イヌリンを、強力粉に対して2〜5重量部の割合で添加する第1のステップ、を含むことを特徴とする菊芋抽出イヌリン含有菓子の製造方法。
  10. 前記菓子は、イーストドーナツ、ケーキドーナツ、クッキー、ケーキ、パンケーキ、ワッフル、蒸しパンのいずれかであることを特徴とする請求項9に記載の菊芋抽出イヌリン含有菓子の製造方法。
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