JP2021099983A - イオン伝導性固体及び全固体電池 - Google Patents

イオン伝導性固体及び全固体電池 Download PDF

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Abstract

【課題】低温での加熱処理によって作製可能で、かつイオン伝導性の高いイオン伝導性固体、及びこれを有する全固体電池を提供する。【解決手段】一般式Li6−x−y−2zY1−x−y−zM1xM2yM3zB3O9で表される酸化物を含むイオン伝導性固体、並びに、正極、負極及び/又は電解質が該イオン伝導性固体を含む全固体電池。(式中、M1とM2は4価の金属元素であり、M3は5価の金属元素であり、x、y、zは、0.000≦x+y<1.000、0.000≦z<1.000、0.000<x+y+z<1.000を満たす実数である。)【選択図】図1

Description

本開示は、イオン伝導性固体及び全固体電池に関するものである。
従来、スマートフォンやノートパソコンのようなモバイル機器において、また、電気自動車やハイブリッド電気自動車のような輸送機器において、軽量かつ高容量なリチウムイオン二次電池が搭載されている。
しかし、従来のリチウムイオン二次電池は可燃性溶媒を含む液体が電解質として用いられるため、可燃性溶媒の液漏れ、電池短絡時の発火が危惧されている。そこで近年、安全性を確保するため、液体の電解質とは異なる、イオン伝導性固体を電解質として用いた二次電池が注目されており、かかる二次電池は全固体電池と呼ばれている。
全固体電池に用いられる電解質としては、酸化物系固体電解質や硫化物系固体電解質などの固体電解質が広く知られている。その中でも酸化物系固体電解質は、大気中の水分と反応を起こして硫化水素を発生することがなく、硫化物系固体電解質と比較して安全性が高い。
ところで、全固体電池は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、該正極及び該負極の間に配置されたイオン伝導性固体を含む電解質と、必要に応じて集電体と、を有する(正極活物質と負極活物質を総称して「電極活物質」ともいう。)。酸化物系固体電解質を用いて全固体電池を作製する場合、固体電解質に含まれる酸化物系材料の粒子間の接触抵抗を低減するために加熱処理が行われる。しかしながら、従来の酸化物系固体電解質では加熱処理で900℃以上の高温を必要とするため、固体電解質と電極活物質が反応して高抵抗相を形成するおそれがある。該高抵抗相はイオン伝導性固体のイオン伝導率の低下、ひいては全固体電池の出力低下に繋がるおそれがある。
900℃より低い温度での加熱処理によって作製可能な酸化物系固体電解質として、Li2+x1−xが挙げられる(非特許文献1)。
Solid State Ionic 288 (2016) 248−252
本開示は、低温での加熱処理によって作製可能で、かつイオン伝導性の高いイオン伝導性固体、及びこれを有する全固体電池を提供するものである。
本開示のイオン伝導性固体は、一般式Li6−x−y−2z1−x−y−zM1M2M3で表される酸化物を含む。
(式中、M1とM2は4価の金属元素であり、M3は5価の金属元素であり、x、y、zは、0.000≦x+y<1.000、0.000≦z<1.000、0.000<x+y+z<1.000を満たす実数である。)
また、本開示の全固体電池は、
正極活物質を含む正極と、
負極活物質を含む負極と、
電解質と、
を少なくとも有する全固体電池であって、
該正極、該負極及び該電解質からなる群から選択される少なくとも一が、本開示のイオン伝導性固体を含む。
本開示の一態様によれば、低温での加熱処理によって作製可能で、かつイオン伝導性の高いイオン伝導性固体、及びこれを有する全固体電池を得ることができる。
イオン伝導性固体のイオン伝導率と、一般式Li6−x−y−2z1−x−y−zM1M2M3中のx+y+zの値と、の関係を示す図である。 XRDで得られた、2θ=10°〜40°の回折曲線である。 XRDで得られた、2θ=27.5°〜28.5°の回折曲線である。 イオン伝導性固体のイオン伝導率と、XRDにより測定された回折ピーク位置と、の関係を示す図である。
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX〜YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
また、本開示において「固体」とは、物質の3態のうち一定の形状と体積とを有するものをいい、例えば粉末状態のものも「固体」に含まれる。
本開示のイオン伝導性固体は、一般式Li6−x−y−2z1−x−y−zM1M2M3で表される酸化物を含む。
式中、M1とM2は4価の金属元素であり、該価数は4価の金属元素M1、M2が担う価数である。また、式中、M3は5価の金属元素であり、該価数は5価の金属元素M3が担う価数である。さらに、式中、x、y、zは、0.000≦x+y<1.000、0.000≦z<1.000、0.000<x+y+z<1.000を満たす実数である。なお、x及びyは、それぞれ、0.000≦x<1.000、0.000≦y<1.000を当然に満たす。
上述の一般式で表される酸化物を有するイオン伝導性固体においてイオン伝導率が向上する理由として、本発明者らは以下のように推察している。
3価の金属元素であるYの一部を4〜5価の金属元素であるM1、M2、M3で置換すると、異なる価数同士の元素置換によって電荷のバランスが調整されるため、結晶格子中のLiが欠損した状態になる。そのLiの欠損を埋めようと周囲のLiが移動するため、イオン伝導率が向上する。
本開示のイオン伝導性固体は、単斜晶型の結晶構造を備えることが好ましい。イオン伝導性固体が単斜晶型の結晶構造を備えると、Y3+よりも価数が大きい金属元素であるM1、M2及びM3からなる群から選択される少なくとも一でY3+の一部を置換した場合(つまり、0.000<x+y+zの場合)に、M1、M2及びM3をいずれも含まないLiYB(つまり、x=y=z=0.000の場合)と比べて、格子定数に影響が及ぶことで格子体積にも影響が及び、さらにイオン伝導率にも影響が及び得る。
CuKα線を用いたX線回折分析(以下、単に「XRD」とも称する。)において、2θ=28°付近に発生する回折ピークは、上述のイオン伝導性固体の組成などによって変化し得る。
本開示のイオン伝導性固体においては、CuKα線を用いたXRDにおいて、2θ=27.915°〜28.100°、27.920°〜28.100°、または、27.930°〜28.100°の範囲に回折ピークを有することが好ましい。より好ましくは2θ=27.940°〜28.050°の範囲に回折ピークを有し、さらに好ましくは2θ=27.980°〜28.020°の範囲に回折ピークを有し、特に好ましくは2θ=27.980°〜28.010°の範囲に回折ピークを有する。
CuKα線を用いたXRDにおいて2θ=28°付近に発生する回折ピークの位置は、上記一般式中のx+y+zの値を調整すること、M1〜M3が示す金属元素を変更することなどにより、制御することができる。
本開示のイオン伝導性固体は、格子体積が、752.00Å以上であることが好ましく、より好ましくは752.55Å以上、さらに好ましくは753.00Å以上、特に好ましくは753.40Å以上である。
該格子体積は、好ましくは756.00Å以下、より好ましくは754.50Å以下、さらに好ましくは754.00Å以下、特に好ましくは753.50Å以下である。
該数値範囲は任意に組み合わせることができる。該格子体積は、例えば752.00Å〜756.00Åとすることができる。
イオン伝導性固体の格子体積は、上記一般式中のx+y+zの値を調整すること、M1〜M3が示す金属元素を変更することなどにより、制御することができる。
上記一般式中のM1及びM2は4価の金属元素である。また、上記一般式中のM3は5価の金属元素である。
M1及びM2は、それぞれ独立して、Zr、Ce及びSnからなる群から選ばれる少なくとも一の金属元素であることが挙げられる。
また、M1及びM2は、それぞれ独立して、Zr及びCeからなる群から選ばれる少なくとも一の金属元素であることが挙げられる。また、M1及びM2は、それぞれ独立してCe及びSnからなる群から選ばれる少なくとも一の金属元素であることが挙げられる。また、M1及びM2は、それぞれ独立してZr及びSnからなる群から選ばれる少なくとも一の金属元素であることが挙げられる。
さらに、M1及びM2は、Zrであることが挙げられる。さらに、M1及びM2は、Ceであることが挙げられる。さらに、M1及びM2は、Snであることが挙げられる。
M3は、Nbであることが挙げられる。
Yの一部を置換する金属元素としては、Yとイオン半径の大きさが近い元素が置換しやすく、具体的にはCe4+、Zr4+、Sn4+、Ti4+、Nb5+、Ta5+などが候補として挙げられる。中でも、イオン半径がよりYと近いCe4+、Zr4+、Sn4+、Nb5+はYの一部を置換しやすい。なかでも、Ce4+、Zr4+、Nb5+はYの一部をより置換しやすい。
上記一般式中、x、y、zは、0.000≦x+y<1.000、0.000≦z<1.000、0.000<x+y+z<1.000を満たす実数である。
x+yの下限値は、好ましくは、0.010以上、0.020以上、0.030以上、0.040以上、0.050以上、0.060以上、0.070以上、0.080以上、0.090以上、0.100以上、0.110以上、0.120以上、0.130以上、0.140以上、0.150以上、0.200以上、0.250以上、0.300以上、0.350以上、0.400以上、0.450以上又は0.500以上である。x+yの上限値は、好ましくは、0.950以下、0.900以下、0.850以下、0.800以下、0.790以下、0.780以下、0.770以下、0.760以下、0.750以下、0.740以下、0.730以下、0.720以下、0.710以下、0.700
以下、0.690以下、0.680以下、0.670以下、0.660以下、0.650以下、0.640以下、0.630以下、0.620以下、0.610以下又は0.600以下である。また、x+yの上限値は、0.800未満としてもよい。さらに、x+yの下限値は、0.000超としてもよい。該数値範囲は、任意に組み合わせることができる。
zの下限値は、好ましくは、0.010以上、0.020以上、0.030以上、0.040以上、0.050以上、0.060以上、0.070以上、0.080以上、0.090以上、0.100以上、0.110以上、0.120以上、0.130以上、0.140以上、0.150以上、0.200以上、0.250以上、0.300以上、0.350以上、0.400以上、0.450以上又は0.500以上である。zの上限値は、好ましくは、0.950以下、0.900以下、0.850以下、0.800以下、0.790以下、0.780以下、0.770以下、0.760以下、0.750以下、0.740以下、0.730以下、0.720以下、0.710以下、0.700以下、0.690以下、0.680以下、0.670以下、0.660以下、0.650以下、0.640以下、0.630以下、0.620以下、0.610以下又は0.600以下である。また、zの上限値は、0.800未満としてもよい。さらに、zの下限値は、0.000超としてもよい。該数値範囲は、任意に組み合わせることができる。
本開示のイオン伝導性固体としては、例えば以下の実施形態とすることができるが、これらの実施形態に限定されない。
(1)
y及びzが、y=z=0.000を満たし、
M1がZrであり、
xが、0.000<x<1.000(好ましくは0.000<x<0.800)を満たすとよい。
(2)
y及びzが、y=z=0.000を満たし、
M1がCeであり、
xが、0.000<x<1.000(好ましくは0.000<x<0.800)を満たすとよい。
(3)
y及びzが、y=z=0.000を満たし、
M1がSnであり、
xが、0.000<x<1.000(好ましくは0.000<x<0.800)を満たすとよい。
(4)
zが、z=0.000を満たし、
M1がZrであり、M2がCeであり、
x+yが、0.000<x+y<1.000(好ましくは0.000<x+y<0.800)を満たすとよい。
(5)
zが、z=0.000を満たし、
M1がZrであり、M2がSnであり、
x+yが、0.000<x+y<1.000(好ましくは0.000<x+y<0.800)を満たすとよい。
(6)
zが、z=0.000を満たし、
M1がCeであり、M2がSnであり、
x+yが、0.000<x+y<1.000(好ましくは0.000<x+y<0.8
00)を満たすとよい。
(7)
x及びyが、x=y=0.000を満たし、
M3がNbであり、
zが、0.000<z<1.000(好ましくは0.000<z<0.800)を満たすとよい。
次に、本開示のイオン伝導性固体の製造方法について説明する。
本開示のイオン伝導性固体の製造方法は、例えば以下のような態様とすることができるが、これに限定されない。
一般式Li6−x−y−2z1−x−y−zM1M2M3で表される酸化物を含むイオン伝導性固体の製造方法であって、
該酸化物の融点未満の温度で該酸化物を加熱する焼成工程を有することができる。
(式中、M1とM2は4価の金属元素であり、M3は5価の金属元素であり、x、y、zは、0.000≦x+y<1.000、0.000≦z<1.000、0.000<x+y+z<1.000を満たす実数である。)
本開示のイオン伝導性固体の製造方法は、(1)上記一般式で表される酸化物を作製する仮焼成工程と、(2)得られた酸化物を、該酸化物の融点未満の温度で加熱処理する本焼成工程と、を含むことができる。
以下、上記仮焼成工程と、上記本焼成工程と、を含む本開示のイオン伝導性固体の製造方法について詳細に説明するが、本開示は下記製造方法に限定されるものではない。
(1)仮焼成工程
仮焼成工程では、例えば、Li6−x−y−2z1−x−y−zM1M2M3(ただし、M1とM2は4価の金属元素であり、M3は5価の金属元素であり、x、y、zは、0.000≦x+y<1.000、0.000≦z<1.000、0.000<x+y+z<1.000を満たす実数)となるように、化学試薬グレードのLiBO、HBO、Y、ZrO、CeO、Nbなどの原材料を化学量論量で秤量して、混合する。
混合に用いる装置は特に制限されないが、例えば遊星型ボールミルなどの粉砕型混合機を用いることができる。混合の際に用いる容器の材質及び容量、並びにボールの材質及び直径は特に制限されず、使用する原料の種類及び使用量に応じて適宜選択することができる。一例としては、ジルコニア製の45mL容器と、ジルコニア製の直径5mmボールを使用することができる。また、混合処理の条件は特に制限されないが、例えば回転数50rpm〜2000rpm、時間10分〜60分とすることができる。
該混合処理により上記各原材料の混合粉末を得た後、得られた混合粉末を加圧成型してペレットとする。ここで加圧成型法としては、冷間一軸成型法、冷間静水圧加圧成型法など公知の加圧成型法を用いることができる。仮焼成工程での加圧成型の条件としては、特に制限されないが、例えば圧力100MPa〜200MPaとすることができる。
得られたペレットについて、大気焼成装置などを用いて400℃〜700℃程度(例えば650℃)で仮焼成して、固相合成を行うとよい。この範囲の温度であれば、十分に固相合成を行うことができる。仮焼成工程の時間は特に限定されないが、例えば700分〜750分(例えば720分)程度とすることができる。
得られた仮焼成体が、上記一般式Li6−x−y−2z1−x−y−zM1M2M3で表される酸化物である。該仮焼成体(酸化物)を、乳鉢・乳棒や遊星ミルを用いて粉砕することで仮焼成粉末を得ることもできる。
(2)本焼成工程
本焼成工程では、仮焼成工程で得られた仮焼成体及び仮焼成粉末からなる群から選択さ
れる少なくとも一を加圧成型、本焼成して焼結体を得る。得られた焼結体が、一般式Li6−x−y−2z1−x−y−zM1M2M3で表される酸化物を含むイオン伝導性固体である。
加圧成型と本焼成は、放電プラズマ焼結(以下、単に「SPS」とも称する。)やホットプレスなどを用いて同時に行ってもよく、冷間一軸成型でペレットを作製してから大気雰囲気、酸化雰囲気又は還元雰囲気などで本焼成を行ってもよい。このような条件であれば、加熱処理による溶融を起こすことなく、イオン伝導率が高いイオン伝導性固体を得ることができる。本焼成工程での加圧成型の条件としては、特に制限されないが、例えば圧力10MPa〜100MPaとすることができる。
本焼成する温度は、一般式Li6−x−y−2z1−x−y−zM1M2M3で表される酸化物の融点未満である。本焼成する際の温度は、好ましくは700℃未満、より好ましくは680℃以下、さらに好ましくは670℃以下、特に好ましくは660℃以下である。該温度の下限は特に制限されず、低いほど好ましいが、例えば500℃以上である。該数値範囲は任意に組み合わせることができるが、例えば500℃以上700℃未満の範囲とすることができる。この範囲であれば、本焼成工程において仮焼成体が溶融したり分解したりすることを抑制でき、十分に焼結した焼結体を得ることができる。
本焼成工程の時間は、本焼成の温度等に応じて適宜変更することができるが、24時間以下が好ましく、1時間以下としてもよい。本焼成工程の時間は、例えば5分以上としてもよい。
本焼成工程により得られた焼結体(イオン伝導性固体)を冷却する方法は特に限定されず、自然放冷(炉内放冷)してもよいし、急速に冷却してもよいし、自然放冷よりも徐々に冷却してもよいし、冷却中にある温度で維持してもよい。
次に、本開示の全固体電池について説明する。
全固体電池は一般的に、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、該正極及び該負極の間に配置されたイオン伝導性固体を含む電解質と、必要に応じて集電体と、を有する。
本開示の全固体電池は、
正極活物質を含む正極と、
負極活物質を含む負極と、
電解質と、
を少なくとも有する全固体電池であって、
該正極、該負極及び該電解質からなる群から選択される少なくとも一が、本開示のイオン伝導性固体を含む。
ここで、上記「含む」とは、成分・要素・性質としてもつことをいう。例えば、電極内に電極活物質を含有する場合も、電極表面に電極活物質が塗布されている場合も、上記「含む」に該当する。
本開示の全固体電池は、バルク型電池であってもよく、薄膜電池であってもよい。本開示の全固体電池の具体的な形状は特に限定されないが、例えば、コイン型、ボタン型、シート型、積層型などが挙げられる。
本開示の全固体電池は電解質を有する。また、本開示の全固体電池においては、少なくとも前記電解質が、本開示のイオン伝導性固体を含むことが好ましい。
本開示の全固体電池における固体電解質は、本開示のイオン伝導性固体からなってもよく、その他のイオン伝導性固体を含んでいてもよい。その他のイオン伝導性固体としては、特に制限されず、全固体電池に通常使用されるイオン伝導性固体、例えばLiI、LiPO、LiLaZr12などが含まれていてもよい。本開示の全固体電池に
おける電解質中の、本開示のイオン伝導性固体の含有量は、好ましくは25質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、さらに好ましくは75質量%以上であり、特に好ましくは100質量%である。
本開示の全固体電池は、正極活物質を含む正極を有する。該正極は、正極活物質と本開示のイオン伝導性固体とを含んでいてもよい。正極活物質としては、遷移金属元素を含む硫化物やリチウムと遷移金属元素を含む酸化物などの公知の正極活物質を特に制限なく用いることができる。
さらに、正極は結着剤、導電剤などを含んでいてもよい。結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。導電剤としては、例えば、天然黒鉛、人工黒鉛、アセチレンブラック、エチレンブラックなどが挙げられる。
本開示の全固体電池は、負極活物質を含む負極を有する。該負極は負極活物質と本開示のイオン伝導性固体とを含んでいてもよい。負極活物質としては、リチウム、リチウム合金、スズ化合物などの無機化合物、リチウムイオンを吸収及び放出可能な炭素質材料、導電性ポリマーなどの公知の負極活物質を特に制限なく用いることができる。
さらに、負極は結着剤、導電剤などを含んでいてもよい。該結着剤及び該導電剤としては、正極で挙げたものと同様のものを使用できる。
該正極や該負極は、原料を混合、成型、加熱処理をするなど公知の方法で得ることができる。それによりイオン伝導性固体が電極活物質同士の隙間などに入り込んで、リチウムイオンの伝導経路を確保しやすくなると考えられる。本開示のイオン伝導性固体は、従来技術と比較して低温の加熱処理で作製できるため、イオン伝導性固体と電極活物質が反応して生じる高抵抗相の形成を抑制できると考えられる。
上記正極及び上記負極は、集電体を有していてもよい。集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどの公知の集電体を用いることができる。このほか、接着性、導電性,耐酸化性などの向上を目的として、アルミニウム、銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタン、銀などで処理したものを集電体として用いることができる。
本開示の全固体電池は、例えば、正極と固体電解質と負極を積層し、成型、加熱処理するなど、公知の方法により得ることができる。本開示のイオン伝導性固体は、従来技術と比較して低温の加熱処理で作製できるため、イオン伝導性固体と電極活物質が反応して生じる高抵抗相の形成を抑制できると考えられ、出力特性に優れた全固体電池を得ることができると考えられる。
次に、本開示にかかる組成及び各物性の測定方法について説明する。
・M1〜M3の同定とx、y、zの分析方法
イオン伝導性固体の組成分析は、加圧成型法により固型化した試料を用いて、波長分散型蛍光X線分析(以下、XRFともいう)により行う。ただし、粒度効果などにより分析困難な場合は、ガラスビード法によりイオン伝導性固体をガラス化してXRFによる組成分析を行うとよい。また、XRFではイットリウムのピークと4価の金属または5価の金属のピークが重なる場合は、誘導結合高周波プラズマ発光分光分析(ICP−AES)で組成分析を行うとよい。
XRFの場合、分析装置は(株)リガク製ZSX Primus IIを使用する。分析条件は、X線管球のアノードにはRhを用いて、真空雰囲気、分析径は10mm、分析範囲は17deg〜81deg、ステップは0.01deg、スキャンスピードは5sec/ステップとする。また、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ、重元
素を測定する場合にはシンチレーションカウンタで検出する。
XRFで得られたスペクトルのピーク位置をもとに元素を同定し、単位時間あたりのX線光子の数である計数率(単位:cps)からモル濃度比Y/M1、Y/M2およびY/M3を算出し、x、y、zを求める。
なお、4価の金属として1種類が同定され、かつ5価の金属が検出されない場合、該4価の金属は一般式中のM1に割り振る。
・X線回折ピークの測定及び格子体積の算出
イオン伝導性固体のX線回折分析には、BrukerAXS(株)製D8 ADVANCEを使用する。
イオン伝導性固体を乳鉢・乳棒で粉砕して得た粉末をホルダーに入れた後、ガラスの平板で上から押し付けて平らに敷き詰めたものを分析試料として、CuKα線源を使用してX線回折分析(XRD)を行う。
温度は室温(25℃)、分析範囲は10deg〜70deg、ステップは0.007とし、スキャンスピードを0.1ステップ/秒とする。
XRDで得られた回折曲線において、LiYB由来の2θ=28.000±0.200degに発生するピークトップの2θをピーク位置として求める。
結晶相の格子体積は、XRDで得られた回折曲線とBrukerAXS(株)製構造解析ソフトウエアTOPASを用いて算出する。格子体積は、XRDで得た回折曲線と単斜晶構造の結晶相の回折パターンを、TOPASによりフィッティング、解析することで算出する。
以下に、本開示のイオン伝導性固体を焼結体として具体的に作製および評価した例を実施例として説明する。なお、本開示は、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
・仮焼成工程
LiBO(豊島製作所製、純度99.9質量%)、HBO(関東化学製、純度99.5%)、Y(信越化学工業製、純度99.9質量%)、及びZrO(新日本電工製、純度99.9%)を原料として用いて、Li5.9750.975Zr0.025となるように各原料を化学量論量で秤量し、フリッチュ社製遊星ミルP−7でディスク回転数300rpmにおいて30分間混合した。遊星ミルにはジルコニア製のφ5mmボールと45mL容器を用いた。
その後、混合した粉末を、エヌピーエムシステム製100kN電動プレス装置P3052−10を用いて147MPaで冷間一軸成型し、大気雰囲気で仮焼成した。加熱温度は650℃、保持時間は720分間とした。
得られた仮焼成体をフリッチュ社製遊星ミルP−7でディスク回転数230rpmにおいて180分間粉砕して仮焼成粉末を作製した。
・本焼成工程
上記で得られた仮焼成粉末を、富士電波工業製放電プラズマ焼結機SPS−625(以下、単に「SPS」ともいう。)を用いて、成型、本焼成して実施例1の焼結体を作製した。加熱温度は630℃、圧力は30MPa、保持時間は10分間とした。
[実施例2〜9]
・仮焼成工程
xが表1に記載された値となるように上記各原料を化学量論量で秤量した以外は、実施例1と同じ工程で仮焼成体及び仮焼成粉末を作製した。
・本焼成工程
上記で得られた仮焼成粉末を放電プラズマ焼結(SPS)で成型、本焼成して実施例2
〜9の焼結体を作製した。加熱温度は表1に記載された通りとし、圧力はいずれも30MPa、保持時間はいずれも10分間とした。
[実施例10]
・仮焼成工程
xが表1に記載された値となるように上記各原料を化学量論量で秤量した以外は、実施例1と同じ工程で仮焼成体及び仮焼成粉末を作製した。
・本焼成工程
上記で得られた仮焼成粉末を成型、本焼成して実施例10の焼結体を作製した。本焼成は大気雰囲気で実施し、加熱温度は650℃、保持時間は720分間とした。
[実施例11]
・仮焼成工程
LiBO(豊島製作所製、純度99.9質量%)、HBO(関東化学製、純度99.5%)、Y(信越化学工業製、純度99.9質量%)、及びCeO(信越化学工業製、純度99.9%)を原料として用いて、Li5.9000.900Ce0.100となるように各原料を化学量論量で秤量した以外は、実施例1と同じ工程で仮焼成体及び仮焼成粉末を作製した。
・本焼成工程
上記で得られた仮焼成粉末を放電プラズマ焼結(SPS)で成型、本焼成して実施例11の焼結体を作製した。加熱温度は660℃、圧力は30MPa、保持時間は10分間とした。
[実施例12]
・仮焼成工程
LiBO(豊島製作所製、純度99.9質量%)、HBO(関東化学製、純度99.5%)、Y(信越化学工業製、純度99.9質量%)、及びNb(三井金属鉱業製、純度99.9%)を原料として用いて、Li5.8000.900Nb0.100となるように各原料を化学量論量で秤量した以外は、実施例1と同じ工程で仮焼成体及び仮焼成粉末を作製した。
・本焼成工程
上記で得られた仮焼成粉末を放電プラズマ焼結(SPS)で成型、本焼成して実施例12の焼結体を作製した。加熱温度は600℃、圧力は30MPa、保持時間は10分間とした。
[実施例13]
・仮焼成工程
LiBO(豊島製作所製、純度99.9質量%)、HBO(関東化学製、純度99.5%)、Y(信越化学工業製、純度99.9質量%)、ZrO(新日本電工製、純度99.9%)及びCeO(信越化学工業製、純度99.9%)を原料として用いて、Li5.8750.875Zr0.100Ce0.025となるように各原料を化学量論量で秤量した以外は、実施例1と同じ工程で仮焼成体及び仮焼成粉末を作製した。
・本焼成工程
上記で得られた仮焼成粉末を成型、本焼成して実施例13の焼結体を作製した。本焼成は、大気雰囲気で実施し、加熱温度は650℃、保持時間は720分間とした。
[実施例14]
・仮焼成工程
xが表1に記載された値となるように上記各原料を化学量論量で秤量した以外は、実施
例11と同じ工程で仮焼成体及び仮焼成粉末を作製した。
・本焼成工程
上記で得られた仮焼成粉末を成型、本焼成して実施例14の焼結体を作製した。本焼成は大気雰囲気で実施し、加熱温度は650℃、保持時間は720分間とした。
[実施例15]
・仮焼成工程
LiBO(豊島製作所製、純度99.9質量%)、HBO(関東化学製、純度99.5%)、Y(信越化学工業製、純度99.9質量%)、及びSnO(三津和化学薬品製、純度99.7%)を原料として用いて、Li5.9750.975Sn0.025となるように各原料を化学量論量で秤量し、仮焼成での加熱温度を600℃とした以外は、実施例1と同じ工程で仮焼成体及び仮焼成粉末を作製した。
・本焼成工程
上記で得られた仮焼成粉末を放電プラズマ焼結(SPS)で成型、本焼成して実施例15の焼結体を作製した。加熱温度は表1に記載された通りとし、圧力は30MPa、保持時間は10分間とした。
[実施例16〜17]
・仮焼成工程
xが表1に記載された値となるように上記各原料を化学量論量で秤量し、仮焼成での加熱温度を600℃とした以外は、実施例1と同じ工程で仮焼成体及び仮焼成粉末を作製した。
・本焼成工程
上記で得られた仮焼成粉末を放電プラズマ焼結(SPS)で成型、本焼成して実施例16〜17の焼結体を作製した。加熱温度は表1に記載された通りとし、圧力はいずれも30MPa、保持時間はいずれも10分間とした。
[実施例18〜19]
・仮焼成工程
xとyが表1に記載された値となるように上記各原料を化学量論量で秤量し、仮焼成での加熱温度を600℃とした以外は、実施例1と同じ工程で仮焼成体及び仮焼成粉末を作製した。
・本焼成工程
上記で得られた仮焼成粉末を成型、本焼成して実施例18〜19の焼結体を作製した。本焼成は大気雰囲気で実施し、加熱温度はいずれも600℃、保持時間はいずれも720分間とした。
[実施例20]
・仮焼成工程
xが表1に記載された値となるように上記各原料を化学量論量で秤量し、仮焼成での加熱温度を600℃とした以外は、実施例1と同じ工程で仮焼成体及び仮焼成粉末を作製した。
・本焼成工程
上記で得られた仮焼成粉末を放電プラズマ焼結(SPS)で成型、本焼成して実施例20の焼結体を作製した。加熱温度は表1に記載された通りとし、圧力は30MPa、保持時間は10分間とした。
[実施例21〜22]
・仮焼成工程
xとyが表1に記載された値となるように上記各原料を化学量論量で秤量し、仮焼成で
の加熱温度を600℃とした以外は、実施例1と同じ工程で仮焼成体及び仮焼成粉末を作製した。
・本焼成工程
上記で得られた仮焼成粉末を成型、本焼成して実施例21〜22の焼結体を作製した。本焼成は大気雰囲気で実施し、加熱温度はいずれも650℃、保持時間はいずれも720分間とした。
[実施例23]
・仮焼成工程
zが表1に記載された値となるように上記各原料を化学量論量で秤量した以外は、実施例1と同じ工程で仮焼成体及び仮焼成粉末を作製した。
・本焼成工程
上記で得られた仮焼成粉末を放電プラズマ焼結(SPS)で成型、本焼成して実施例23の焼結体を作製した。加熱温度は表1に記載された通りとし、圧力は30MPa、保持時間は10分間とした。
[比較例1]
・仮焼成工程
LiBO(豊島製作所製、純度99.9質量%)、HBO(関東化学製、純度99.5%)、及びY(信越化学工業製、純度99.9質量%)を原料として用いて、LiYBとなるように各原料を化学量論量で秤量した以外は、実施例1と同じ工程で仮焼成体及び仮焼成粉末を作製した。
・本焼成工程
上記で得られた仮焼成粉末を放電プラズマ焼結(SPS)で成型、本焼成して比較例1の焼結体を作製した。加熱温度は700℃、圧力は30MPa、保持時間は10分間とした。
[比較例2]
・仮焼成工程
LiBO(豊島製作所製、純度99.9質量%)、HBO(関東化学製、純度99.5%)、ZrO(新日本電工製、純度99.9%)及びCeO(信越化学工業製、純度99.9%)を原料として用いて、Li5.000Zr0.800Ce0.200となるように各原料を化学量論量で秤量した以外は、実施例1と同じ工程で仮焼成体及び仮焼成粉末を作製した。
・本焼成工程
上記で得られた仮焼成粉末を成型、本焼成して比較例2の焼結体を作製した。本焼成は大気雰囲気で実施し、加熱温度は550℃、保持時間は720分間とした。
実施例1〜23および比較例1〜2の焼結体について、上記方法により組成分析、X線回折ピークの測定及び格子体積の算出を行った。また、以下の方法によりイオン伝導率の測定を行った。イオン伝導率の測定方法を以下に述べる。また、得られた評価結果を表1に示す。
・イオン伝導率の測定
本焼成で得られた平板形状の焼結体において、平行に向かい合い、面積が大きい2面をサンドペーパーで研磨した。該平板形状の焼結体の寸法は、例えば0.9cm×0.9cm×0.05cmとすることができるが、これに限定されるものではない。研磨は、始めに#500で15分〜30分、次いで#1000で10分〜20分、最後に#2000で5分〜10分研磨して、目視で目立った凹凸や傷が研磨面になければ完了とした。
その後、サンユー電子製スパッタ装置SC―701MkII ADVANCEを用いて
、焼結体の研磨面に金を成膜した。成膜条件は、プロセスガスをAr、真空度を2Pa〜5Pa、成膜時間を5分間としたものを測定試料とした。その後、測定試料の交流インピーダンス測定を行った。
インピーダンス測定にはインピーダンス/ゲイン相分析器SI1260及び誘電インターフェースシステム1296(いずれもソーラトロン社製)を使用し、測定条件は、温度27℃、振幅20mV、周波数1MHz〜0.1Hzとした。
焼結体の抵抗は、インピーダンス測定で得られたナイキストプロットと、Scribner社製交流解析ソフトウエアZVIEWを用いて算出した。ZVIEWで測定試料に相当する等価回路を設定し、等価回路とナイキストプロットをフィッティング、解析することで焼結体の抵抗を算出した。算出した抵抗と焼結体の厚み、電極面積を用いて、以下の式からイオン伝導率を算出した。
イオン伝導率(S/cm)=焼結体の厚み(cm)/(焼結体の抵抗(Ω)×電極面積(cm))
・結果
表1に、実施例1〜23及び比較例1〜2の各焼結体を製造する際の原料の化学量論量(一般式Li6−x−y−2z1−x−y−zM1M2M3中のM1、M2及びM3が示す金属元素、並びに、x、y及びzの値)、加熱方法及び加熱温度をまとめた。また、表1に、実施例1〜23及び比較例1〜2で得られた各焼結体における回折ピーク位置、格子体積及びイオン伝導率をまとめた。
上記組成分析の結果、実施例1〜23及び比較例1の焼結体はいずれも、表1に記載された原料の化学量論量の通りの組成を有することが確認された。また、実施例1〜23の焼結体は、700℃未満の温度で焼成しても高いイオン伝導率を示すイオン伝導性固体であった。一方、比較例2の焼結体の主たる結晶構造は、原料として用いたZrO及びCeOが混在したものであった。
さらに、イオン伝導性固体のイオン伝導率と、一般式中のx+y+zの値と、の関係を図1に示す。さらにまた、イオン伝導性固体のイオン伝導率と、XRDにより測定された回折ピーク位置と、の関係を図4に示す。
Figure 2021099983

表中、ピーク位置及び格子体積の列における「−」は、データ未取得であることを示す。また、ピーク位置の列における「※1」は、2θ=27.5°〜28.5°の範囲内にピークがみられなかったことを示す。ピーク位置の列における「※2」は、LiYBで表される酸化物のピークがみられなかったことを示す。イオン伝導率の列における「※3」は、高抵抗であってイオン伝導率の測定が不可能であったことを示す。
図2〜3にXRDで得られた回折曲線を示す。図2は2θ=10°〜40°の範囲、図3は2θ=27.5°〜28.5°の範囲を表示したものを示す。図2より、実施例1〜11,13〜17,21〜23の主な結晶構造はLiYBの単斜晶型構造であることがわかった。
また、図3より、実施例1〜11,13〜17,21,22の2θ=28.000°付近のピーク位置が、比較例1の27.925°より高角度側にシフトしたことが確認できた。さらに、図3より、実施例23の2θ=28.000°付近のピーク位置が、比較例1の27.925°より低角度側にシフトしたことが確認できた。これらは、M1、M2及びM3からなる群から選択される少なくとも一の金属元素が3価の金属Yの一部を置換することにより生じたものであると本発明者らは推察している。

Claims (7)

  1. 一般式Li6−x−y−2z1−x−y−zM1M2M3で表される酸化物を含む、イオン伝導性固体。
    (式中、M1とM2は4価の金属元素であり、M3は5価の金属元素であり、x、y、zは、0.000≦x+y<1.000、0.000≦z<1.000、0.000<x+y+z<1.000を満たす実数である。)
  2. 前記M1と前記M2が、それぞれ独立してZr、Ce及びSnからなる群から選ばれる少なくとも一の金属元素であり、
    前記M3がNbである、請求項1に記載のイオン伝導性固体。
  3. 前記y及び前記zが、y=z=0.000を満たし、
    前記M1がZrであり、
    前記xが、0.000<x<1.000を満たす、請求項1又は2に記載のイオン伝導性固体。
  4. CuKα線を用いたX線回折分析において、2θ=27.930°〜28.100°の範囲に回折ピークを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のイオン伝導性固体。
  5. 格子体積が、752.00Å〜756.00Åである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のイオン伝導性固体。
  6. 正極活物質を含む正極と、
    負極活物質を含む負極と、
    電解質と、
    を少なくとも有する全固体電池であって、
    該正極、該負極及び該電解質からなる群から選択される少なくとも一が、請求項1〜5のいずれか一項に記載のイオン伝導性固体を含む、全固体電池。
  7. 少なくとも前記電解質が、前記イオン伝導性固体を含む、請求項6に記載の全固体電池。
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