JP2021097624A - 生肉加熱用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】生肉を加熱(特に、マイクロ波加熱)して得られる加熱肉の食感(例、柔らかさ、しっとり感、弾力感等)を改質するための組成物の提供。【解決手段】(A)ピロリン酸又はその塩と、(B)リンゴ酸又はその塩、トレハロース、リン酸又はその塩、並びに、焼成カルシウムから選択される少なくとも一つとを含有する、生肉加熱用組成物。加熱される生肉が鶏肉であるとき、(B)は、リンゴ酸又はその塩、並びに、トレハロースを少なくとも含み、加熱される生肉が豚肉であるとき、(B)は、リン酸又はその塩、あるいは、焼成カルシウムを少なくとも含むことが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、加熱肉含有食品の食感を改質するために好適に用いられる生肉加熱用組成物に関する。また、本発明は当該組成物等を利用した加熱肉含有食品の製造方法に関する。さらに本発明は、当該組成物等を利用した加熱肉含有食品の食感改質方法に関する。
従来、電子レンジ等のマイクロ波加熱装置が、種々の食材の加熱調理等に利用されているが、生肉をマイクロ波加熱に供すると、加熱後の肉(加熱肉)の食感が、ぱさつき、硬くなる傾向が見られる。柔らかさ、しっとり感、弾力感等の食感は、肉の美味しさを決定づける要素の一つであり、これらの食感を向上することにより、加熱肉を含有する食品の製品価値を高めることを期待できる。
食肉を軟化する方法としては、例えば、タンパク質分解酵素を用いる方法が従来、報告されている(特許文献1〜3等)。しかし酵素は通常、加熱により失活するため、例えば、加熱殺菌処理に予め供することを要する形態(液体状等)の製剤では、タンパク質分解酵素を含有しても、所望の食肉軟化効果を十分に奏し得ないことが懸念され、タンパク質分解酵素を利用する製剤は、採用し得る形態に制限があった。
特表2003−508084号公報 特開平5−252911号公報 特開平4−197156号公報
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、生肉を加熱(特に、マイクロ波加熱)して得られる加熱肉の食感(例、柔らかさ、しっとり感、弾力感等)を改質するための新規方法を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決するべく鋭意検討した結果、特定の成分の共存下で生肉を加熱することにより、得られる加熱肉の食感を改質し得ることを見出し、さらに研究を重ねることによって、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1](A)ピロリン酸又はその塩と、
(B)リンゴ酸又はその塩、トレハロース、リン酸又はその塩、並びに、焼成カルシウムからなる群より選択される少なくとも一つと
を含有する、生肉加熱用組成物であって、
加熱される生肉が鶏肉であるとき、前記(B)は、リンゴ酸又はその塩、並びに、トレハロースを少なくとも含み、
加熱される生肉が豚肉であるとき、前記(B)は、リン酸又はその塩、あるいは、焼成カルシウムを少なくとも含む、組成物。
[2]生肉の加熱方法が、マイクロ波加熱である、[1]記載の組成物。
[3]前記組成物が、常温において流動性を有する、[1]又は[2]記載の組成物。
[4]前記組成物が、マイクロ波加熱対応容器に収容されている、[1]〜[3]のいずれか一つに記載の組成物。
[5](A)ピロリン酸又はその塩と、
(B)リンゴ酸又はその塩、トレハロース、リン酸又はその塩、並びに、焼成カルシウムからなる群より選択される少なくとも一つと
の共存下で、生肉を加熱することを含む、加熱肉含有食品の製造方法であって、
加熱される生肉が鶏肉であるとき、前記(B)は、リンゴ酸又はその塩、並びに、トレハロースを少なくとも含み、
加熱される生肉が豚肉であるとき、前記(B)は、リン酸又はその塩、あるいは、焼成カルシウムを少なくとも含む、製造方法。
[6]生肉の加熱方法が、マイクロ波加熱である、[5]記載の製造方法。
[7]生肉の加熱が、前記(A)及び(B)を含有する組成物の共存下で行われる、[5]又は[6]記載の製造方法。
[8]前記組成物が、常温において流動性を有する、[7]記載の製造方法。
[9]生肉の加熱が、マイクロ波加熱対応容器に生肉並びに前記(A)及び(B)を収容して行われる、[5]〜[8]のいずれか一つに記載の製造方法。
[10](A)ピロリン酸又はその塩と、
(B)リンゴ酸又はその塩、トレハロース、リン酸又はその塩、並びに、焼成カルシウムからなる群より選択される少なくとも一つと
の共存下で、生肉を加熱することを含む、加熱肉含有食品の食感改質方法であって、
加熱される生肉が鶏肉であるとき、前記(B)は、リンゴ酸又はその塩、並びに、トレハロースを少なくとも含み、
加熱される生肉が豚肉であるとき、前記(B)は、リン酸又はその塩、あるいは、焼成カルシウムを少なくとも含む、方法。
[11]生肉の加熱方法が、マイクロ波加熱である、[10]記載の方法。
[12]生肉の加熱が、前記(A)及び(B)を含有する組成物の共存下で行われる、[10]又は[11]記載の方法。
[13]前記組成物が、常温において流動性を有する、[12]記載の方法。
[14]生肉の加熱が、マイクロ波加熱対応容器に生肉並びに前記(A)及び(B)を収容して行われる、[10]〜[13]のいずれか一つに記載の方法。
本発明によれば、加熱肉の食感を改質でき、食感が改質された加熱肉含有食品を提供できる。
本発明によれば、食感が改質された加熱肉含有食品の製造に好適に用いられ得る、生肉加熱用組成物を提供できる。
本発明によれば、食感が改質された加熱肉含有食品の製造方法及び加熱肉含有食品の食感改質方法を提供できる。
(本発明の生肉加熱用組成物)
本発明の生肉加熱用組成物(本明細書において「本発明の組成物」と称する場合がある)は、(A)ピロリン酸又はその塩と、(B)リンゴ酸又はその塩、トレハロース、リン酸又はその塩、並びに、焼成カルシウムからなる群より選択される少なくとも一つとを含有することを、特徴の一つとする。
本明細書において「(A)ピロリン酸又はその塩」を「成分A」と称し、「(B)リンゴ酸又はその塩、トレハロース、リン酸又はその塩、並びに、焼成カルシウムからなる群より選択される少なくとも一つ」を「成分B」と称する場合がある。
本発明の組成物は、生肉加熱用であり、生肉を本発明の組成物の共存下で加熱するために好適に用いられる。本発明において「生肉」とは、動物(例、家禽、家畜等)から採取された後、実質的に加熱されていない肉をいう。ここで「実質的に加熱されていない」とは、(i)全く加熱されていない場合、及び(ii)加熱されているが、該加熱により肉中のタンパク質が変性していない場合(例えば、凍結している生肉を、単に解凍するために加熱した場合等)のいずれかであることを意味する。生肉の種類は、食品に通常用いられるものであれば特に制限されないが、例えば、鶏肉、鴨肉等の家禽肉;豚肉、牛肉、馬肉、めん羊肉、山羊肉、家兎肉等の家畜肉等が挙げられ、好ましくは、鶏肉又は豚肉である。生肉の形態は、食品において通常用いられる形態であれば特に制限されないが、固有の形状を有するものが好ましい。本発明において固有の形状を有する生肉とは、固有の形状を有しないミンチ状やペースト状の生肉(例、挽肉、骨肉分離肉(MDM)等)と区別される概念であり、そのような固有の形状を有する生肉を、本発明において「食肉片」と称する場合がある。本発明において加熱される生肉は、複数の食肉片を結着させた結着肉(成形肉等とも一般に称される)であってもよい。加熱される生肉が食肉片である場合、食肉片の1個当たりの重量は特に制限されないが、通常1〜500gであり、好ましくは3〜100gであり、より好ましく5〜50gである。
ピロリン酸は、(OH)(O)P−O−P(O)(OH)という化学式で表される二リン酸である。本発明において用いられるピロリン酸は塩の形態であってよく、そのようなピロリン酸の塩は、可食性であれば特に制限されないが、例えば、ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸二水素カルシウム等が挙げられ、好ましくは、ピロリン酸四ナトリウムである。これらの塩は、水和物(含水塩)であってもよい。
リンゴ酸は、HOOC−CH(OH)−CH−COOHという化学式で表される有機酸である。本発明においてリンゴ酸は、L−体、D−体、DL−体のいずれも使用可能であるが、好ましくはL−体、DL−体である。本発明において用いられるリンゴ酸は塩の形態であってよく、そのようなリンゴ酸の塩は、可食性であれば特に制限されないが、例えば、リンゴ酸一ナトリウム、リンゴ酸二ナトリウム、リンゴ酸一カリウム、リンゴ酸二カリウム等が挙げられる。これらの塩は、水和物(含水塩)であってもよい。
トレハロースは、2分子のD−グルコースが還元性基同士で結合した非還元性二糖である。トレハロースは、例えば、酵母から抽出したもの、澱粉に酵素を作用させたもの等、種々の方法で製造されたものが従来知られているが、本発明において用いられ得るトレハロースは、可食性であれば、その製造方法は限定されない。
リン酸は、PO(OH)という化学式で表される無機酸であり、オルトリン酸や正リン酸とも称される。本発明において用いられるリン酸は塩の形態であってよく、そのようなリン酸の塩は、可食性であれば特に制限されないが、例えば、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三カルシウム、リン酸三マグネシウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸一水素マグネシウム等が挙げられ、好ましくは、リン酸三ナトリウムである。これらの塩は、水和物(含水塩)であってもよい。
焼成カルシウムは、例えば、卵殻、貝殻、サンゴ、骨(獣骨、魚骨)、石灰等を、高温で熱処理(焼成)して得られる焼成物である。焼成カルシウムは、例えば、酸化カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化カルシウム等を主成分とするものが従来知られているが、本発明において用いられ得る焼成カルシウムは、可食性であれば、当該成分のいずれが主成分であってもよい。
上記の成分A及びBの製造方法は、いずれも特に制限されず、自体公知の方法又はこれに準ずる方法によって製造したものを用いてよい。成分A及びBは市販品を用いてもよく、簡便であることから好ましい。
本発明の組成物は、成分Aとして、ピロリン酸塩(例、ピロリン酸四ナトリウム等)を含有することが好ましい。また、本発明の組成物は、成分Bとして、リンゴ酸、トレハロース、リン酸塩(例、リン酸三ナトリウム等)、並びに、焼成カルシウムからなる群より選択される少なくとも一つを含有することが好ましい。
本発明の組成物に含有されるピロリン酸又はその塩の量は、加熱肉が好適な食感、外観を有し得ることから、本発明の組成物に対して、好ましくは0.05〜10重量%であり、より好ましくは0.1〜5重量%であり、特に好ましくは0.3〜3重量%である。
本発明において、ピロリン酸の塩が用いられる場合、その量の計算は、全て遊離体に換算して行われる。
本発明の組成物が、成分Bとして、リンゴ酸又はその塩を少なくとも含有する場合、本発明の組成物に含有されるリンゴ酸又はその塩の量は、加熱肉含有食品が好適な味覚品質を有し得ることから、本発明の組成物に対して、好ましくは0.05〜10重量%であり、より好ましくは0.08〜5重量%であり、特に好ましくは0.1〜3重量%である。
本発明において、リンゴ酸の塩が用いられる場合、その量の計算は、全て遊離体に換算して行われる。
本発明の組成物が、成分Bとして、トレハロースを少なくとも含有する場合、本発明の組成物に含有されるトレハロースの量は、本発明の組成物に対して、好ましくは0.5〜15重量%であり、より好ましくは1〜12重量%であり、特に好ましくは1.5〜10重量%である。
本発明の組成物が、成分Bとして、リン酸又はその塩を少なくとも含有する場合、本発明の組成物に含有されるリン酸又はその塩の量は、本発明の組成物に対して、好ましくは0.1〜10重量%であり、より好ましくは0.5〜5重量%であり、特に好ましくは0.7〜3重量%である。
本発明において、リン酸の塩が用いられる場合、その量の計算は、全て遊離体に換算して行われる。
本発明の組成物が、成分Bとして、焼成カルシウムを少なくとも含有する場合、本発明の組成物に含有される焼成カルシウムの量は、加熱肉が好適な食感、外観を有し得ること、加熱肉含有食品が好適な味覚品質を有し得ることから、本発明の組成物に対して、好ましくは0.05〜1.5重量%であり、より好ましくは0.1〜1重量%であり、特に好ましくは0.2〜0.6重量%である。
本発明の組成物が、成分Bとして、リンゴ酸又はその塩を少なくとも含有する場合、本発明の組成物に含有される成分A(ピロリン酸又はその塩)の量とリンゴ酸又はその塩の量との重量比(ピロリン酸又はその塩:リンゴ酸又はその塩)は特に制限されないが、好ましくは1:0.05〜10であり、より好ましくは1:0.1〜5であり、特に好ましくは1:0.3〜2である。
本発明の組成物が、成分Bとして、トレハロースを少なくとも含有する場合、本発明の組成物に含有される成分A(ピロリン酸又はその塩)の量とトレハロースの量との重量比(ピロリン酸又はその塩:トレハロース)は特に制限されないが、好ましくは1:0.5〜15であり、より好ましくは1:1〜10であり、特に好ましくは1:2〜8である。
本発明の組成物が、成分Bとして、リン酸又はその塩を少なくとも含有する場合、本発明の組成物に含有される成分A(ピロリン酸又はその塩)の量とリン酸又はその塩の量との重量比(ピロリン酸又はその塩:リン酸又はその塩)は特に制限されないが、好ましくは1:0.1〜10であり、より好ましくは1:0.2〜5であり、特に好ましくは1:0.5〜2である。
本発明の組成物が、成分Bとして、焼成カルシウムを少なくとも含有する場合、本発明の組成物に含有される成分A(ピロリン酸又はその塩)の量と焼成カルシウムの量との重量比(ピロリン酸又はその塩:焼成カルシウム)は特に制限されないが、好ましくは1:0.05〜1.5であり、より好ましくは1:0.1〜1であり、特に好ましくは1:0.2〜0.8である。
本発明の組成物は、加熱される生肉の種類に応じて、成分Bを選択して用いてよい。具体的には、加熱される生肉が鶏肉であるとき、成分Bは、リンゴ酸又はその塩、並びに、トレハロースを少なくとも含み、加熱される生肉が豚肉であるとき、成分Bは、リン酸又はその塩、あるいは、焼成カルシウムを少なくとも含むことが好ましい。換言すると、加熱される生肉が鶏肉であるとき、本発明の組成物は成分Bとして、リンゴ酸又はその塩、並びに、トレハロースを少なくとも含有し、加熱される生肉が豚肉であるとき、本発明の組成物は成分Bとして、リン酸又はその塩、あるいは、焼成カルシウムを少なくとも含有することが好ましい。
本発明の組成物の形態は特に制限されないが、常温(25℃)において流動性を有することが好ましい。ここでいう「流動性」は、本発明の組成物を生肉と共存させたときに、本発明の組成物を生肉の表面に満遍なく付着させ得る程度の流動性をいう。
本発明の組成物のpHは特に制限されないが、加熱される生肉が鶏肉であるとき、当該pHは、好ましくは1〜8であり、より好ましくは2〜6であり、特に好ましくは3.5〜5であり、また、加熱される生肉が豚肉であるとき、当該pHは、好ましくは3〜10.5であり、より好ましくは4〜10であり、特に好ましくは5〜9.5である。
本発明の組成物は、本発明の目的を損なわない限り、上記の成分A及びBに加えて、水、油脂類、糖類(例、砂糖等)、食塩、有機塩類、無機塩類、調味料(例、醤油、食酢、酒等)、エキス、酸味料、香辛料、着色料、増粘剤、酸化防止剤、乳化剤、発色剤等を更に含有してよい。
本発明の組成物が、上記の成分A及びBに加えて、水を含有する場合、本発明の組成物に含有される水の量は、本発明の組成物に対して、通常1〜60重量%であり、好ましくは5〜45重量%であり、より好ましくは10〜30重量%である。また、当該水の量は、本発明の組成物に対して、20重量%以上であってもよい。
本発明の組成物は、本発明の目的を損なわない限り、上記の成分A及びBに加えて、生肉以外の加熱肉含有食品(後述)の原料を更に含有してよい。
本発明の組成物は、一態様として、調味料(例、ソース等)として提供され得、本発明の組成物は、調味料組成物であってよい。
本発明の組成物の製造方法は特に制限されず、例えば、調味料分野等において慣用の製造方法又はそれに準ずる方法により行い得る。本発明の組成物は、調味料等の製造に慣用の処理(例、レトルト処理、ホットパック、湯殺菌等の加熱殺菌処理;紫外線照射、高圧処理等の非加熱殺菌処理;アルコール静菌処理、濾過による除菌処理等)を、必要に応じて施されていてよい。
本発明の組成物を生肉と共存させる方法は特に制限されないが、本発明の組成物が少なくとも生肉の表面に付着する方法が好ましく、例えば、生肉を本発明の組成物に浸漬させること、生肉に本発明の組成物に塗布すること等によって、本発明の組成物を生肉と共存させ得る。
生肉と共存させる本発明の組成物の量は、成分A及びBの含有量、加熱条件等に応じて適宜調整すればよく特に制限されないが、本発明の組成物と共存する生肉の総量100重量部に対して、通常10〜500重量部であり、加熱肉含有食品が出来上がり品質に優れ得ることから、好ましくは10〜200重量部であり、より好ましくは15〜100重量部であり、特に好ましくは20〜60重量部である。
本発明において、本発明の組成物と共存する生肉の総量とは、本発明の組成物と共存する全ての生肉の重量の合計を意味し、例えば、生肉として一つの生肉(例えば、1個の食肉片、一塊の生肉等)を用いる場合、生肉の総量は、当該一つの生肉の重量であり、あるいは、生肉として複数の生肉(例えば、複数の食肉片等)を用いる場合、生肉の総量は、当該複数の生肉の合計の重量である。本発明の組成物と共存する生肉の総量は、特に制限されないが、通常1〜1000gであり、好ましくは5〜500gである。
本発明の組成物と共存する生肉の総量に対する、本発明の組成物に含有されるピロリン酸又はその塩の量の割合は、好ましくは0.05〜5重量%であり、より好ましくは0.1〜3重量%であり、特に好ましくは0.2〜2重量%である。
本発明の組成物が、成分Bとして、リンゴ酸又はその塩を少なくとも含有する場合、本発明の組成物と共存する生肉の総量に対する、本発明の組成物に含有されるリンゴ酸又はその塩の量の割合は、好ましくは0.01〜3重量%であり、より好ましくは0.05〜1重量%であり、特に好ましくは0.08〜0.7重量%である。
本発明の組成物が、成分Bとして、トレハロースを少なくとも含有する場合、本発明の組成物と共存する生肉の総量に対する、本発明の組成物に含有されるトレハロースの量の割合は、好ましくは0.1〜10重量%であり、より好ましくは0.3〜8重量%であり、特に好ましくは0.5〜6重量%である。
本発明の組成物が、成分Bとして、リン酸又はその塩を少なくとも含有する場合、本発明の組成物と共存する生肉の総量に対する、本発明の組成物に含有されるリン酸又はその塩の量の割合は、好ましくは0.01〜3重量%であり、より好ましくは0.05〜1重量%であり、特に好ましくは0.1〜0.7重量%である。
本発明の組成物が、成分Bとして、焼成カルシウムを少なくとも含有する場合、本発明の組成物と共存する生肉の総量に対する、本発明の組成物に含有される焼成カルシウムの量の割合は、好ましくは0.03〜0.75重量%であり、より好ましくは0.05〜0.5重量%であり、特に好ましくは0.1〜0.3重量%である。
本発明の組成物と共存させた生肉(例、本発明の組成物に浸漬させた生肉等)は、生肉への本発明の組成物の浸透を促進するよう、常法により適宜揉み込んでよく、また生肉は、本発明の組成物と共存させた状態(例、本発明の組成物に浸漬させた状態等)で、所定の時間(例えば、1〜30分間、好ましくは5〜15分間)静置してもよい。
生肉の加熱方法は、食品分野において生肉を加熱するために通常用いられ得る方法(例、マイクロ波加熱、油ちょう加熱、蒸し加熱、焼成加熱、茹で加熱、過熱水蒸気加熱、熱風加熱等)で行い得るが、好ましくはマイクロ波加熱であり、本発明において生肉の加熱は、少なくともマイクロ波加熱により行われることが好ましい。ここで「マイクロ波加熱」とは、被加熱物に含まれる水分子等の電気双極子を、所定の波長(典型的には12〜12.5cm、好ましくは約12.2cm)及び周波数(典型的には2400〜2500MHz、好ましくは2450MHz)の電磁波(マイクロ波)により振動させることによって加熱する方法をいう。マイクロ波加熱は、電子レンジ等のマイクロ波加熱装置を用いて実施でき、電子レンジ加熱と称される場合もある。
生肉をマイクロ波加熱に供する場合の条件(例、マイクロ波の出力、照射時間等)は、加熱する生肉の量、サイズ、種類等に応じて適宜設定すればよく特に制限されないが、マイクロ波の出力(日本工業規格C9250(電子レンジ)に規定する測定法による定格高周波出力)は、通常100〜3000Wであり、好ましくは300〜1500Wであり、より好ましくは400〜700Wである。また、マイクロ波の照射時間は、マイクロ波の出力等に応じて適宜調整すればよいが、通常0.5〜30分間であり、好ましくは1〜15分間であり、より好ましくは3〜10分間である。
本発明において、生肉をマイクロ波加熱に供する場合、マイクロ波加熱対応容器を用いてよく、すなわち本発明の組成物及び生肉を、マイクロ波加熱対応容器に収容して共存させ、当該容器にマイクロ波を照射することによって、生肉を加熱してよい。
本発明において「マイクロ波加熱対応容器」とは、マイクロ波加熱に対する耐熱性を有する素材(例、プラスチックフィルム等)で形成された容器をいい、電子レンジ加熱対応容器と称される場合もある。マイクロ波加熱対応容器は、マイクロ波加熱に供し得ればその形態は特に制限されず、例えば、包装袋、成形容器、スタンディングパウチ、皿等であってよい。
マイクロ波加熱対応容器は、内容物(本発明の組成物、生肉等)の収容後に細菌等の混入を防止するため、容器内と外気とが連通することがないよう密封され得る機構を備えていてよい。また、マイクロ波加熱対応容器は、マイクロ波加熱時に容器内に充満した蒸気を容器外に排出し、内圧を常圧以上に保持し得る機構を備えていてよい。
マイクロ波加熱対応容器の具体例としては、特開2016−196307号公報、特開2018−47941号公報に記載の包装袋等が挙げられる。また、市販品を用いてもよく、当該市販品の具体例としては、ライオン株式会社製の「リード プチ圧力調理バッグ」等が挙げられる。
本発明の組成物は、マイクロ波加熱対応容器に予め収容された状態で提供されてよい。そのような製品は、生肉を本発明の組成物の共存下で加熱する際、マイクロ波加熱対応容器を別途用意する必要がなく、利便性に優れる。また、本発明の組成物が、マイクロ波加熱対応容器に予め収容された状態で提供される場合、当該容器には、生肉以外の加熱肉含有食品(後述)の原料が、本発明の組成物と併せて収容されていてよい。
生肉を本発明の組成物の共存下で加熱して得られた、加熱済みの肉(本発明において「加熱肉」とも称する)は、そのまま食品として提供されてよく、又は、当該加熱肉を食材として用い、必要に応じて他の食材と併せて、更に調理、加工等の処理を施してもよい。本発明において、生肉を加熱して得られた加熱肉を含有する食品を「加熱肉含有食品」と称し、換言すると、生肉を本発明の組成物の共存下で加熱して得られた加熱肉は、そのまま加熱肉含有食品として提供されてよく、又は、必要に応じて他の食材と併せて、更に調理、加工等の処理を施してから、加熱肉含有食品として提供されてもよい。
本発明において、加熱肉含有食品は、生肉を加熱して得られた加熱肉を含有するものであれば特に制限されないが、具体例としては、照り焼き、生姜焼き、ステーキ、ソテー、焼肉、チャーシュー、焼鳥、タンドリーチキン、スペアリブ、角煮、肉じゃが、筑前煮、鶏ハム等が挙げられる。
本発明によれば、食感が改質された加熱肉含有食品を提供でき、本発明の組成物は、加熱肉含有食品の食感改質用の組成物として、好適に用いられ得る。本発明による、加熱肉含有食品の「食感改質」とは、例えば、加熱肉含有食品が鶏肉を用いて製造されたものである場合、柔らかく、しっとりし、かつ弾力がある食感となることを意味し、加熱肉含有食品が豚肉を用いて製造されたものである場合、柔らかく、かつ弾力がある食感となることを意味する。本発明による加熱肉含有食品の食感改質効果の有無や程度は、例えば、後述の実施例に示されるように、専門パネルによる官能評価等によって評価し得る。
(本発明の加熱肉含有食品の製造方法)
本発明は、(A)ピロリン酸又はその塩と、(B)リンゴ酸又はその塩、トレハロース、リン酸又はその塩、並びに、焼成カルシウムからなる群より選択される少なくとも一つとの共存下で、生肉を加熱することを特徴の一つとする、加熱肉含有食品の製造方法(本明細書中、単に「本発明の製造方法」と称する場合がある)も提供する。
本発明の製造方法において用いられる、成分A(ピロリン酸又はその塩)及び成分B(リンゴ酸又はその塩、トレハロース、リン酸又はその塩、並びに、焼成カルシウムからなる群より選択される少なくとも一つ)は、上述の本発明の組成物に含有される成分A及びBと同様のものであり、好適な態様も同様である。
本発明の製造方法において、成分A及びBを生肉と共存させる方法は特に制限されないが、例えば、成分A及びBを含有する組成物を生肉と共存させることによって行い得る。成分A及びBを含有する組成物には、上述の本発明の組成物と同様のものを使用でき、好適な態様やその製造方法も同様である。
本発明の製造方法において、生肉の加熱方法は、上述の本発明の組成物に関して説明した生肉の加熱方法と同様に行い得、好適な態様も同様である。
本発明の製造方法において、生肉をマイクロ波加熱に供する場合、マイクロ波加熱対応容器を用いてよい。
本発明の製造方法は、成分A及びBの共存下で生肉を加熱して得られた、加熱肉を、そのまま加熱肉含有食品として提供してよく、又は、本発明の製造方法は、成分A及びBの共存下で生肉を加熱することに加えて、加熱肉含有食品の製造において慣用の調理工程、加工工程を、製造する加熱肉含有食品の種類等に応じて適宜含んでよい。
本発明の製造方法によって製造し得る加熱肉含有食品は、例えば、上述の本発明の組成物に関して説明した加熱肉含有食品の具体例と同様のものが挙げられ、本発明の製造方法は、好ましくは照り焼き、生姜焼き、ステーキ、ソテー、焼肉、チャーシュー、焼鳥、タンドリーチキン、スペアリブ、角煮、肉じゃが、筑前煮及び鶏ハムからなる群より選択される少なくとも一つの加熱肉含有食品の製造方法である。
本発明の製造方法によれば、食感が改質された加熱肉含有食品を提供し得る。本発明の製造方法によれば、例えば、加熱肉含有食品が鶏肉を用いて製造されたものである場合、柔らかく、しっとりし、かつ弾力がある食感を有する加熱肉含有食品を提供し得、加熱肉含有食品が豚肉を用いて製造されたものである場合、柔らかく、かつ弾力がある食感を有する加熱肉含有食品を提供し得る。
(本発明の加熱肉含有食品の食感改質方法)
本発明は、(A)ピロリン酸又はその塩と、(B)リンゴ酸又はその塩、トレハロース、リン酸又はその塩、並びに、焼成カルシウムからなる群より選択される少なくとも一つとの共存下で、生肉を加熱することを特徴の一つとする、加熱肉含有食品の食感改質方法(本明細書中、単に「本発明の方法」と称する場合がある)も提供する。
本発明の方法は、特に断りのない限り、上述の本発明の製造方法と同様に実施し得、好ましい態様も同様である。
本発明の方法は、好ましくは照り焼き、生姜焼き、ステーキ、ソテー、焼肉、チャーシュー、焼鳥、タンドリーチキン、スペアリブ、角煮、肉じゃが、筑前煮及び鶏ハムからなる群より選択される少なくとも一つの加熱肉含有食品の食感改質方法である。
本発明の方法によれば、加熱肉含有食品の食感を改質し得る。本発明の方法によれば、例えば、加熱肉含有食品が鶏肉を用いて製造されたものである場合、その食感を、柔らかく、しっとりし、かつ弾力があるものに改質し得、加熱肉含有食品が豚肉を用いて製造されたものである場合、その食感を、柔らかく、かつ弾力があるものに改質し得る。
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
<試験例1>
[調味料(ソース)の作製]
下表1に記載の原料を、当該表に記載の配合割合(単位:重量%)で混合した後、85℃に達温させてから冷却して、コントロール及び評価サンプル1〜8の調味料(ソース)を、それぞれ作製した。コントロール及び評価サンプル1〜8の調味料の作製に用いた原料は、水を除いて、いずれも一般又は業務用として市販されている食品用素材を用い、水は、水道水を浄水器に通したものを用いた。
Figure 2021097624
[加熱肉の作製]
コントロール及び評価サンプル1〜8の調味料100gを、それぞれ市販のマイクロ波加熱対応パウチ(ライオン株式会社製「リード プチ圧力調理バッグ」)に充填し、これらに鶏ムネ肉(生肉)からカットした食肉片(厚さ:約2cm、1個当たりの重量:約20g)を、総量で200g入れて、数十秒間揉み込んでから10分間静置した後、市販の電子レンジを使用してマイクロ波加熱に供することにより(出力:600W、照射時間:4分30秒間)、鶏肉の加熱肉を得た。以下において、コントロール及び評価サンプル1〜8の調味料を用いて得られた加熱肉を、それぞれコントロール及び評価サンプル1〜8の加熱肉とも称する。
[官能評価]
得られたコントロール及び評価サンプル1〜8の各加熱肉の柔らかさ、しっとり感及び弾力感について、4名の専門パネルが、下記の基準に基づき、官能評価を行った。ここで「しっとり感」とは、パサパサとすることなく、適度な水分を含んでいるように感じられる食感をいい、「弾力感」とは、プリプリとした、快い歯応えのある食感をいう。
(加熱肉の柔らかさの評価基準)
×:柔らかくない。
△:やや柔らかい。
○:柔らかい。
(加熱肉のしっとり感の評価基準)
×:しっとりしていない(しっとり感がない)。
△:ややしっとりしている(ややしっとり感がある)。
○:しっとりしている(しっとり感がある)。
(加熱肉の弾力感の評価基準)
×:弾力感がない。
△:やや弾力感がある。
○:弾力感がある。
結果を下表2に示す。
Figure 2021097624
表2に示される結果から明らかなように、フィチン酸、リンゴ酸、炭酸ナトリウム、L−アルギニン、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、トレハロースをそれぞれ単独で用いた評価サンプル1〜8の加熱肉には、柔らかさ、しっとり感及び弾力感の全てを十分に兼ね備えたものは確認されなかった。
<試験例2>
[調味料(ソース)の作製]
下表3に記載の原料を、当該表に記載の配合割合(単位:重量%)で混合した後、85℃に達温させてから冷却して、評価サンプル9〜16の調味料(ソース)を、それぞれ作製した。評価サンプル9〜16の調味料の作製に用いた原料は、水を除いて、いずれも一般又は業務用として市販されている食品用素材を用い、水は、水道水を浄水器に通したものを用いた。
Figure 2021097624
[調味料のpHの測定]
評価サンプル9〜16の各調味料のpHを、市販のpH計(株式会社堀場製作所製、「HORIBA LAQUA F−50シリーズ」)を用いて測定した。
[加熱肉の作製]
評価サンプル9〜16の調味料100gを、それぞれ市販のマイクロ波加熱対応パウチ(ライオン株式会社製「リード プチ圧力調理バッグ」)に充填し、これらに鶏ムネ肉(生肉)からカットした食肉片(厚さ:約2cm、1個当たりの重量:約20g)を、総量で200g入れて、数十秒間揉み込んでから10分間静置した後、市販の電子レンジを使用してマイクロ波加熱に供することにより(出力:600W、照射時間:4分30秒間)、鶏肉の加熱肉を得た。以下において、評価サンプル9〜16の調味料を用いて得られた加熱肉を、それぞれ評価サンプル9〜16の加熱肉とも称する。
[官能評価]
得られた評価サンプル9〜16の各加熱肉の柔らかさ、しっとり感及び弾力感について、4名の専門パネルが、試験例1と同様の基準に基づき、官能評価を行った。
また、総合評価として、柔らかさ、しっとり感及び弾力感に加え、食味、外観、製造適性等も考慮した、食品としての総合的な好ましさを、3段階(×:好ましくない、△:やや好ましい、○:好ましい)で評価した。
結果を下表4に示す。
Figure 2021097624
表4に示される結果から明らかなように、ピロリン酸四ナトリウム、リンゴ酸及びトレハロースを組み合わせて用いた評価サンプル14〜16の加熱肉は、いずれも柔らかさ、しっとり感及び弾力感の全てを十分に兼ね備え、食品として好ましいものであった。
一方、その他の評価サンプル9〜13の加熱肉には、柔らかさ、しっとり感及び弾力感の全てを十分に兼ね備えたものは確認されなかった。
これらの結果から、ピロリン酸又はその塩、リンゴ酸又はその塩、並びに、トレハロースの共存下で、鶏肉の生肉を加熱することにより、その加熱肉の食感を改質し得、柔らかく、しっとりし、かつ弾力がある食感となることが示された。
<試験例3>
[調味料(ソース)の作製]
下表5に記載の原料を、当該表に記載の配合割合(単位:重量%)で混合した後、85℃に達温させてから冷却して、コントロール及び評価サンプル17〜24の調味料(ソース)を、それぞれ作製した。コントロール及び評価サンプル17〜24の調味料の作製に用いた原料は、水を除いて、いずれも一般又は業務用として市販されている食品用素材を用い、水は、水道水を浄水器に通したものを用いた。
Figure 2021097624
[加熱肉の作製]
コントロール及び評価サンプル17〜24の調味料100gを、それぞれ市販のマイクロ波加熱対応パウチ(ライオン株式会社製「リード プチ圧力調理バッグ」)に充填し、これらに豚バラブロック肉(生肉)からカットした食肉片(厚さ:約2cm、1個当たりの重量:約20g)を、総量で200g入れて、数十秒間揉み込んでから10分間静置した後、市販の電子レンジを使用してマイクロ波加熱に供することにより(出力:600W、照射時間:4分30秒間)、豚肉の加熱肉を得た。以下において、コントロール及び評価サンプル17〜24の調味料を用いて得られた加熱肉を、それぞれコントロール及び評価サンプル17〜24の加熱肉とも称する。
[官能評価]
得られたコントロール及び評価サンプル17〜24の各加熱肉の柔らかさ及び弾力感について、4名の専門パネルが、試験例1と同様の基準に基づき、官能評価を行った。結果を下表6に示す。
Figure 2021097624
表6に示される結果から明らかなように、フィチン酸、リンゴ酸、L−アルギニン、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、リン酸三ナトリウム、トレハロースをそれぞれ単独で用いた評価サンプル17〜24の加熱肉には、柔らかさ及び弾力感の両方を十分に兼ね備えたものは確認されなかった。
<試験例4>
[調味料(ソース)の作製]
下表7に記載の原料を、当該表に記載の配合割合(単位:重量%)で混合した後、85℃に達温させてから冷却して、評価サンプル25〜33の調味料(ソース)を、それぞれ作製した。評価サンプル25〜33の調味料の作製に用いた原料は、水を除いて、いずれも一般又は業務用として市販されている食品用素材を用い、水は、水道水を浄水器に通したものを用いた。
Figure 2021097624
[調味料のpHの測定]
評価サンプル25〜33の各調味料のpHを、試験例2と同様に測定した。
[加熱肉の作製]
評価サンプル25〜33の調味料100gを、それぞれ市販のマイクロ波加熱対応パウチ(ライオン株式会社製「リード プチ圧力調理バッグ」)に充填し、これらに豚バラブロック肉(生肉)からカットした食肉片(厚さ:約2cm、1個当たりの重量:約20g)を、総量で200g入れて、数十秒間揉み込んでから10分間静置した後、市販の電子レンジを使用してマイクロ波加熱に供することにより(出力:600W、照射時間:4分30秒間)、豚肉の加熱肉を得た。以下において、評価サンプル25〜33の調味料を用いて得られた加熱肉を、それぞれコントロール及び評価サンプル25〜33の加熱肉とも称する。
[官能評価]
得られた評価サンプル25〜33の各加熱肉の柔らかさ及び弾力感について、4名の専門パネルが、試験例1と同様の基準に基づき、官能評価を行った。
また、総合評価として、柔らかさ及び弾力感に加え、食味、外観、製造適性等も考慮した、食品としての総合的な好ましさを、3段階(×:好ましくない、△:やや好ましい、○:好ましい)で評価した。
結果を下表8に示す。
Figure 2021097624
表8に示される結果から明らかなように、ピロリン酸四ナトリウム及び焼成カルシウムを組み合わせて用いた評価サンプル28の加熱肉、並びに、ピロリン酸四ナトリウム及びリン酸三ナトリウムを組み合わせて用いた評価サンプル33の加熱肉は、柔らかさ及び弾力感の両方を十分に兼ね備え、食品として好ましいものであった。
一方、その他の評価サンプル25〜27及び29〜32の加熱肉には、柔らかさ及び弾力感の両方を十分に兼ね備えたものは確認されなかった。
これらの結果から、ピロリン酸又はその塩、並びに、焼成カルシウム、あるいは、ピロリン酸又はその塩、並びに、リン酸又はその塩の共存下で、豚肉の生肉を加熱することにより、その加熱肉の食感を改質し得、柔らかく、かつ弾力がある食感となることが示された。
本発明によれば、加熱肉の食感を改質でき、食感が改質された加熱肉含有食品を提供できる。
本発明によれば、食感が改質された加熱肉含有食品の製造に好適に用いられ得る、生肉加熱用組成物を提供できる。
本発明によれば、食感が改質された加熱肉含有食品の製造方法及び加熱肉含有食品の食感改質方法を提供できる。

Claims (6)

  1. (A)ピロリン酸又はその塩と、
    (B)リンゴ酸又はその塩、トレハロース、リン酸又はその塩、並びに、焼成カルシウムからなる群より選択される少なくとも一つと
    を含有する、生肉加熱用組成物であって、
    加熱される生肉が鶏肉であるとき、前記(B)は、リンゴ酸又はその塩、並びに、トレハロースを少なくとも含み、
    加熱される生肉が豚肉であるとき、前記(B)は、リン酸又はその塩、あるいは、焼成カルシウムを少なくとも含む、組成物。
  2. 生肉の加熱方法が、マイクロ波加熱である、請求項1記載の組成物。
  3. 前記組成物が、常温において流動性を有する、請求項1又は2記載の組成物。
  4. 前記組成物が、マイクロ波加熱対応容器に収容されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. (A)ピロリン酸又はその塩と、
    (B)リンゴ酸又はその塩、トレハロース、リン酸又はその塩、並びに、焼成カルシウムからなる群より選択される少なくとも一つと
    の共存下で、生肉を加熱することを含む、加熱肉含有食品の製造方法であって、
    加熱される生肉が鶏肉であるとき、前記(B)は、リンゴ酸又はその塩、並びに、トレハロースを少なくとも含み、
    加熱される生肉が豚肉であるとき、前記(B)は、リン酸又はその塩、あるいは、焼成カルシウムを少なくとも含む、製造方法。
  6. (A)ピロリン酸又はその塩と、
    (B)リンゴ酸又はその塩、トレハロース、リン酸又はその塩、並びに、焼成カルシウムからなる群より選択される少なくとも一つと
    の共存下で、生肉を加熱することを含む、加熱肉含有食品の食感改質方法であって、
    加熱される生肉が鶏肉であるとき、前記(B)は、リンゴ酸又はその塩、並びに、トレハロースを少なくとも含み、
    加熱される生肉が豚肉であるとき、前記(B)は、リン酸又はその塩、あるいは、焼成カルシウムを少なくとも含む、方法。
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