JP2021091941A - コンテナ、コンテナの使用方法、スポンジチタンの製造方法、及び溶融マグネシウムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】容器内に2種以上の溶融物が存在している場合、それらの界面よりも下層側の溶融物を抜き取る際、当該界面よりも上層側の溶融物の混入を抑制可能なコンテナを提供する。【解決手段】コンテナ100であって、密閉可能である容器110と、容器110の内外にわたって配置され、一端部が容器110の外側に位置するパイプ本体122を有し、溶融金属または溶融塩を移送するための溶融物移送用部材120とを備え、溶融物移送用部材120が、容器110の内側に位置する他端部にフランジ124を更に有する。【選択図】図1
Description
本発明は、コンテナ、コンテナの使用方法、スポンジチタンの製造方法、及び溶融マグネシウムの製造方法に関する。
スポンジチタンは、いわゆるクロール法によって製造されうる。すなわち、金属製還元反応容器内で溶融マグネシウムに四塩化チタンを滴下することで還元反応が起こり、スポンジチタン塊が生成され、このスポンジチタン塊を破砕してスポンジチタンが製造される。
当該還元反応後の金属製還元反応容器内には、生成されたスポンジチタン塊だけでなく、未反応の溶融マグネシウムと副生された溶融塩化マグネシウムが存在している。金属製還元反応容器からスポンジチタン塊を取り出す際に、未反応の溶融マグネシウムと副生された溶融塩化マグネシウムを別の容器へと移送する。また、副生された溶融塩化マグネシウムは公知の溶融塩電解槽に移送し、そこで電気分解による溶融マグネシウムの生成に用いられ得る。当該溶融マグネシウムは、先述した還元反応時に利用される。
このように溶融塩化マグネシウム又は溶融マグネシウム等の溶融物を移送する際に用いられる容器としては、特許文献1及び2に記載されたもの等がある。
特許文献1には、「不活性ガス送入口と四塩化チタン供給口を備え、四塩化チタンと溶融マグネシウムとの反応によりチタンを生成する気密構造をなすレトルトと、塩化マグネシウム投入口、または、さらに減圧手段を備え、前記四塩化チタンと溶融マグネシウムとの反応により副生し、レトルトから移送される塩化マグネシウムを収容する気密構造をなす取鍋とを有し」ている四塩化チタンの還元装置が開示されている。
また、特許文献2には、「金属溶湯取鍋内に貯留された溶湯を、該金属溶湯取鍋内のエア圧力を高めて、移湯パイプから出湯させる差圧式取鍋であって、前記移湯パイプの、内張り耐火物の少なくとも一部をポーラス耐火物で構成し、前記移湯パイプの管壁に、前記ポーラス耐火物を露出させるための開口を設け、該開口をエア源と連通させたことを特徴とする加圧式取鍋」が開示されている。
低酸素濃度のスポンジチタンを得る等の目的で、スポンジチタンの生成に使用される金属マグネシウム中への酸素の混入を抑制するため、溶融マグネシウムを貯留する容器は通常密閉される。また、塩化マグネシウムは吸湿しやすく、水分が混入することを抑制するため溶融塩化マグネシウムを貯留する容器も通常密閉される。塩化マグネシウムに混入された酸素(水分由来)は電気分解によって生成する金属マグネシウムの純度を低減させることがあるからである。
溶融塩電解槽で塩化マグネシウムを電解して製造された金属マグネシウムは、前記溶融塩電解槽からパイプを介して容器内に移送される。この際、溶融塩電解槽からは溶融マグネシウムのみならず溶融塩浴の一部である溶融塩も前記パイプを介して移送されてしまうことがある。容器内に移送された溶融マグネシウムと溶融塩はその比重差に基づき、上層が溶融マグネシウム、下層が溶融塩となる。下層となった溶融塩は四塩化チタンの還元に使用できないため、該溶融塩は容器内から溶融塩電解槽内に再度移送される。そこで、容器として特許文献1又は2に記載の取鍋を使用した場合、単純なパイプを用いるため該パイプで吸引すると下層の溶融塩のみでなく上層の溶融マグネシウムを混入してしまい(図2参照)、溶融塩だけを溶融塩電解槽に移すことが難しい。
同様の事情は、溶融塩化マグネシウムを溶融塩電解槽に供給しようとする場合にも当てはまる。すなわち、金属製還元反応容器から未使用の溶融マグネシウムと溶融塩化マグネシウムが回収された場合、容器内にて上層が溶融マグネシウム、下層が溶融塩化マグネシウムとなる。溶融塩電解槽に供給するべき対象は塩化マグネシウムであるが、前記単純なパイプを使用すると目的とする溶融塩化マグネシウムのみでなく溶融マグネシウムが溶融塩電解槽に移送されてしまうという不具合がある。
したがって、特許文献1及び2の公知技術は、容器に貯留された溶融マグネシウムと溶融塩化マグネシウム等の異なる溶融物のうち、例えば該容器から下層側を効率的に抜き取ることについて改善の余地がある。
そこで、本発明は、容器内に2種以上の溶融物が存在している場合、それらの界面よりも下層側の溶融物を抜き取る際、当該界面よりも上層側の溶融物が混入することを抑制するコンテナを提供することを目的とする。
本発明者は上記課題について鋭意検討した結果、例えば溶融マグネシウムや溶融塩が貯留された容器内に配置された移送用パイプの端部がフランジを有することで、溶融マグネシウムが溶融塩と混ざることを抑制しながら溶融塩のみを溶融塩電解槽に移送させやすくなるという知見を得るに至った。
すなわち、本発明の一側面において、密閉可能である容器と、前記容器の内外にわたって配置され、一端部が該容器の外側に位置するパイプ本体を有し、溶融金属または溶融塩を移送するための溶融物移送用部材とを備え、前記溶融物移送用部材が、前記容器の内側に位置する他端部にフランジを更に有する、コンテナである。なお、溶融塩化マグネシウムは上記溶融塩に該当する。溶融塩は溶融塩化マグネシウムであってよいし、溶融塩電解槽にて浴として使用されうる溶融塩であってよいし、これらの混合物であってもよい。
本発明に係るコンテナの一実施形態においては、前記フランジの外径と、前記溶融物移送用部材の他端部におけるパイプ本体の内径とが、下記式(1)を満たす。
D/d≧1.5・・・式(1)
D:フランジの外径
d:パイプ本体の内径
D/d≧1.5・・・式(1)
D:フランジの外径
d:パイプ本体の内径
本発明に係るコンテナの一実施形態においては、前記容器内に、電気抵抗検知器を更に備える。
本発明に係るコンテナの一実施形態においては、前記電気抵抗検知器はセンサ部を備え、前記容器の高さ方向における該容器の底面から前記センサ部の基端までの高さは、下記式(3)を満たす。
|H−h|≦0.05C・・・式(3)
H:容器の高さ方向における容器の底面からフランジの下端面までの高さ
h:容器の高さ方向における容器の底面からセンサ部の基端までの高さ
C:容器の最大内径
|H−h|≦0.05C・・・式(3)
H:容器の高さ方向における容器の底面からフランジの下端面までの高さ
h:容器の高さ方向における容器の底面からセンサ部の基端までの高さ
C:容器の最大内径
本発明に係るコンテナの一実施形態においては、前記容器の外側であって該容器に対向するヒータを更に備える。
また、別の側面において、上記いずれかのコンテナを使用し、前記容器に溶融マグネシウム及び/又は溶融塩化マグネシウムが貯留される、コンテナの使用方法である。
また、別の側面において、上記いずれかのコンテナを用いて該コンテナ内の溶融マグネシウムを金属製還元反応容器内に供給するマグネシウム供給工程と、前記溶融マグネシウムに四塩化チタンを滴下することでスポンジチタン塊を生成する生成工程とを含むスポンジチタンの製造方法である。
また、別の側面において、溶融塩電解により溶融マグネシウムを生成する溶融マグネシウムの製造方法であって、上記いずれかのコンテナ内の溶融塩化マグネシウムを溶融塩電解槽内に供給する塩化マグネシウム供給工程を含む、溶融マグネシウムの製造方法である。
本発明の一実施形態によれば、容器内に2種以上の溶融物が存在している場合、それらの界面よりも下層側の溶融物を抜き取る際、当該界面よりも上層側の溶融物が混入することを抑制できる。
本発明は以下に説明する各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除して発明を形成してもよい。
[1.コンテナ]
図1に示したコンテナ100によれば、溶融マグネシウムMと溶融塩化マグネシウムMCとの界面IFよりも下層側の溶融塩化マグネシウムMCを抜き取る際、当該界面IFよりも上層側の溶融マグネシウムMの混入を抑制できる。当該コンテナ100は、容器110と、溶融物移送用部材120と、不活性ガス用パイプ130と、炉140とを備えている。以下に、図面を使用しながら各構成を説明する。
図1に示したコンテナ100によれば、溶融マグネシウムMと溶融塩化マグネシウムMCとの界面IFよりも下層側の溶融塩化マグネシウムMCを抜き取る際、当該界面IFよりも上層側の溶融マグネシウムMの混入を抑制できる。当該コンテナ100は、容器110と、溶融物移送用部材120と、不活性ガス用パイプ130と、炉140とを備えている。以下に、図面を使用しながら各構成を説明する。
(容器)
容器110は、上側に上面開口部が形成された容器本体112と、その上面開口部を閉じる上蓋114とを備える。この容器本体112は、有底円筒形状で形成されているので、溶融マグネシウムMや溶融塩化マグネシウムMC(場合によっては溶融塩化マグネシウムMCを含む溶融塩)を貯留可能となっている。なお、容器110は密閉構造となるように、容器本体112の上部と上蓋114とが溶接等により密閉されてよい。
容器110は、上側に上面開口部が形成された容器本体112と、その上面開口部を閉じる上蓋114とを備える。この容器本体112は、有底円筒形状で形成されているので、溶融マグネシウムMや溶融塩化マグネシウムMC(場合によっては溶融塩化マグネシウムMCを含む溶融塩)を貯留可能となっている。なお、容器110は密閉構造となるように、容器本体112の上部と上蓋114とが溶接等により密閉されてよい。
容器本体112及び上蓋114の材質としては、ステンレス鋼、又は炭素鋼と炭素鋼以外の鋼材(例えばステンレス鋼)とを貼り合わせたクラッド鋼であればよい。なお、炭素鋼は炭素含有量が2質量%以下の鋼であって、いわゆる極低炭素鋼、低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼等を含むものである。炭素鋼の具体例として、SS400等が挙げられる。ステンレス鋼はクロム(Cr)、ニッケル(Ni)等が添加された鋼で耐腐食性を有する。ステンレス鋼の具体例として、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、二相ステンレス鋼等が挙げられる。
(溶融物移送用部材)
溶融物移送用部材120は、パイプ本体122とフランジ124とを有する。パイプ本体122は、容器110の内外にわたって配置され、その一端部が該容器110の外側に位置する。溶融物への酸素混入抑制の観点から、容器110の外側に位置する前記一端部は開閉可能であることが好ましい。その機構は特に限定されず公知の構成を適宜採用可能であり、開閉機構の図示は省略する。
溶融物移送用部材120は、パイプ本体122とフランジ124とを有する。パイプ本体122は、容器110の内外にわたって配置され、その一端部が該容器110の外側に位置する。溶融物への酸素混入抑制の観点から、容器110の外側に位置する前記一端部は開閉可能であることが好ましい。その機構は特に限定されず公知の構成を適宜採用可能であり、開閉機構の図示は省略する。
本発明者は、図2に示した公知の円筒状のパイプ220の端部を溶融マグネシウムMと溶融塩化マグネシウムMCとの界面IF付近に位置させた状態で該円筒状のパイプ220で吸引した場合、下層の溶融塩化マグネシウムMCのみでなく、上層の溶融マグネシウムMが混入することを確認している。そこで、本実施形態においては、図3に示したように溶融物移送用部材120の端部を上記界面IF付近に位置させて該溶融物移送用部材120で吸引した場合、吸引による溶融マグネシウムMを吸い込む流れがフランジ124により抑制されるので、上層の溶融マグネシウムMの混入を抑制することができる。なお、溶融塩化マグネシウムMCの外部への移送作業において、界面IFは図2〜3の上方から下方に向けて降下する。また、図示の簡略化の観点から、図2〜3では溶融マグネシウム量と溶融塩化マグネシウム量は精確でない場合もありえる。例えば、移送対象が溶融マグネシウムMであれば、溶融マグネシウムM量が溶融塩化マグネシウムMC量より多くなる。
パイプ本体122の形状としては、例えば多角筒状、円筒状等が挙げられる。フランジ124は、パイプ本体122の一端部と反対側に位置する他端部に連結又は溶接されている。なお、当該他端部は、溶融物に浸漬させて使用される。
フランジ124はパイプ本体122の容器110内側の端部に備えられる板状の部分を備える部材である。フランジ124はフラットな下端面125を備えればよく、フランジ124は例えば貫通孔部を備える板材からなってもよい。容器本体112の底部側にあるフランジ124の下端面125は界面IF(すなわち溶融マグネシウムMと溶融塩化マグネシウムMCとの境界面)に平行となるように配置すればよい。そうすることで、溶融物移送用部材120で溶融塩化マグネシウムMCを抜き取る際に、溶融マグネシウムMの混入を効果的に抑制することができる。これにより、溶融塩化マグネシウムMCのみを例えば溶融塩電解槽に移送しやすくなる。フランジ124の形状は、パイプ本体122の他端部の孔(開口)の形状に鑑み適宜選択すればよい。例えば、図1に示す実施形態において、円筒状のパイプ本体122の他端部にフランジ124を有する場合、当該フランジ124は、容器110の高さ方向HDに直交する方向(図1の左右方向)の断面形状が円形(図4A)、楕円形(図4B)又は多角形(図4C)である板部材を採用してよい。また、多角筒状のパイプ本体122にフランジ124を有する場合であっても、当該フランジ124は、上記断面形状が円形、楕円形又は多角形である板部材をそれぞれ採用してよい。更に、フランジ124の厚さ(容器110の高さ方向HDに沿う方向の厚さ)は、該フランジ124が溶融マグネシウムM又は溶融塩化マグネシウムMCに浸漬されていることによる熱変形或いは溶融マグネシウムM又は溶融塩化マグネシウムMCが移動する際に生じ得る圧力に起因した変形を抑制するという観点から、例えば5mm以上であればよい。
図1及び図4Aに示すように、パイプ本体122が円筒であってフランジ124が円形の板部材である場合、該フランジ124の外径Dと、前記溶融物移送用部材120の他端部におけるパイプ本体122の内径dとが、下記式(1)を満たすことが好ましい。そうすることで、フランジ124が下層の溶融塩化マグネシウムMC側に位置しかつ界面IF付近に位置していたとしても、溶融塩化マグネシウムMCを抜き取っている間、当該フランジ124により上層の溶融マグネシウムMの混入をより一層良好に抑制することができる。ここで、割合D/dは、下限側としては、2.0であることがより好ましい。また、割合D/dは、容器110内の容量を勘案し、上限側としては典型的に10.0、より典型的に3.0である。
D/d≧1.5・・・式(1)
D:フランジの外径
d:パイプ本体の内径
D/d≧1.5・・・式(1)
D:フランジの外径
d:パイプ本体の内径
また、図4Bに示すように、パイプ本体122が円筒であってフランジ124が楕円形の板部材である場合、該フランジ124の短軸の長さLと、前記溶融物移送用部材120の他端部におけるパイプ本体122の内径dとが、下記式(2)を満たせばよい。ここで、割合L/dは、下限側としては、2.0であることがより好ましい。また、割合L/dは、上限側としては典型的に10.0、より典型的に3.0である。なお、本明細書において、短軸の長さLは、フランジ124の外径に相当するものとして扱う。このような考え方は図4Cに示す場合にも適用できる。即ち、ある角に対する垂線を引き、その最短となる垂線L’を短軸の長さL’として使用し、下記式(2)における「L」の項にL’を当てはめればよい。
L/d≧1.5・・・式(2)
L:フランジの短軸の長さ
d:パイプ本体の内径
L/d≧1.5・・・式(2)
L:フランジの短軸の長さ
d:パイプ本体の内径
パイプ本体122及びフランジ124の材質としては、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、又は炭素鋼と炭素鋼以外の鋼材(例えばステンレス鋼)とを貼り合わせたクラッド鋼であればよい。なお、炭素鋼は炭素含有量が2質量%以下の鋼であって、いわゆる極低炭素鋼、低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼等を含むものである。炭素鋼の具体例として、SS400等が挙げられる。ステンレス鋼はクロム(Cr)、ニッケル(Ni)等が添加された鋼で耐腐食性を有する。ステンレス鋼の具体例として、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、二相ステンレス鋼等が挙げられる。
図5に示した溶融物移送用部材127は、パイプ本体122とフランジ124とパイプ本体122の周方向において等間隔に配置された三角リブ126とを備える。図5では三角リブを例示したが、これは溶融物移送用部材127に含まれるパイプ本体122とフランジ124とを機械的に補強するための補強部材の一例である。すなわち、補強部材はパイプ本体122とフランジ124とを機械的に補強する部材であれば適宜形状を変化させて良い。図5に示した当該三角リブ126等の補強部材を備えることで、比重が比較的高い溶融塩化マグネシウムMCを抜き取っている間、圧力によるフランジ124の変形を抑制することができる。三角リブ126は、パイプ本体122の他端部側の外面とパイプ本体122側にあるフランジ124の表面と溶接して配置してよい。
(不活性ガス用パイプ)
不活性ガス用パイプ130は、バルブVを開とした状態で気体流路132を通ってAr等の不活性ガスを供給する。不活性ガス供給に基づく加圧により、容器110内の溶融物は溶融物移送用部材120を介して排出される。このとき、当該不活性ガスは、ポンプ(不図示)により不活性ガス用パイプ130を介して供給してもよい。なお、当該コンテナ100は、例えば溶融塩電解槽のメタル回収室で生成された溶融マグネシウムMを容器110内に移送することがある。そのような場合には、不活性ガス用パイプ130を介して容器110内を真空状態に減圧し、溶融物移送用部材120を利用して溶融マグネシウムMを容器110内に移送できる。この減圧時においては、溶融マグネシウムMを円滑に移送するという観点から、ポンプ(不図示)により不活性ガス用パイプ130を介して容器110内を真空状態にしてよい。
不活性ガス用パイプ130は、バルブVを開とした状態で気体流路132を通ってAr等の不活性ガスを供給する。不活性ガス供給に基づく加圧により、容器110内の溶融物は溶融物移送用部材120を介して排出される。このとき、当該不活性ガスは、ポンプ(不図示)により不活性ガス用パイプ130を介して供給してもよい。なお、当該コンテナ100は、例えば溶融塩電解槽のメタル回収室で生成された溶融マグネシウムMを容器110内に移送することがある。そのような場合には、不活性ガス用パイプ130を介して容器110内を真空状態に減圧し、溶融物移送用部材120を利用して溶融マグネシウムMを容器110内に移送できる。この減圧時においては、溶融マグネシウムMを円滑に移送するという観点から、ポンプ(不図示)により不活性ガス用パイプ130を介して容器110内を真空状態にしてよい。
(炉)
炉140は、ヒータ142で加熱されている容器110を保持する。炉140は容器110の機械的な保持と保温との役割を担う。炉140は、少なくとも容器本体112の外側を囲んでいる。炉140の材質としては、断熱性能を高めるという観点から、例えばグラスウール、ロックウール、断熱性或いは耐火性を有するレンガ等が挙げられる。容器110の上蓋114は、容器110を支えるリング状の支持部材144を有する。なお、本実施形態において、支持部材144としては容器110を支えることが可能であればよく、その支持部材144の形状がリング状に限定されるものではない。また、図1に示す実施形態では、支持部材144の基端部は上蓋114に接合され、その支持部材144の先端部は炉140の上端面に接触して支持されている。また、ヒータ142は、容器110の外側であって該容器110に対向していればよい。図1に示す実施形態では、その一例として、容器110の底面111に対向するようにヒータ142が設けられている。
炉140は、ヒータ142で加熱されている容器110を保持する。炉140は容器110の機械的な保持と保温との役割を担う。炉140は、少なくとも容器本体112の外側を囲んでいる。炉140の材質としては、断熱性能を高めるという観点から、例えばグラスウール、ロックウール、断熱性或いは耐火性を有するレンガ等が挙げられる。容器110の上蓋114は、容器110を支えるリング状の支持部材144を有する。なお、本実施形態において、支持部材144としては容器110を支えることが可能であればよく、その支持部材144の形状がリング状に限定されるものではない。また、図1に示す実施形態では、支持部材144の基端部は上蓋114に接合され、その支持部材144の先端部は炉140の上端面に接触して支持されている。また、ヒータ142は、容器110の外側であって該容器110に対向していればよい。図1に示す実施形態では、その一例として、容器110の底面111に対向するようにヒータ142が設けられている。
図6に示したコンテナ105は、容器110と、溶融物移送用部材120と、不活性ガス用パイプ130と、炉140と、電気抵抗検知器150とを備えている。以下に、図面を使用しながら各構成を説明する。なお、上述と同様の構成については説明を割愛することがある。
(電気抵抗検知器)
電気抵抗検知器150は、例えば界面IFが下降し上層の溶融マグネシウムMがセンサ部152に接触した場合に、その電気抵抗が急激に変化することで溶融マグネシウムMを検知する機能を有する。電気抵抗検知器150は、センサ部152と、セラミック保護パイプ154と、2本の金属製導線156と、図示省略の電気抵抗計とを備えている。コンテナ105には、例えば溶融マグネシウムMと溶融塩化マグネシウムMCとの界面IFを検知するために、別の電気抵抗検知器を更に配置、つまり複数の電気抵抗検知器を配置してよい。例えば、高さ方向において異なる位置に複数のセンサ部152を配置すれば、より詳細に界面IFの移動を把握することが可能となる。
電気抵抗検知器150は、例えば界面IFが下降し上層の溶融マグネシウムMがセンサ部152に接触した場合に、その電気抵抗が急激に変化することで溶融マグネシウムMを検知する機能を有する。電気抵抗検知器150は、センサ部152と、セラミック保護パイプ154と、2本の金属製導線156と、図示省略の電気抵抗計とを備えている。コンテナ105には、例えば溶融マグネシウムMと溶融塩化マグネシウムMCとの界面IFを検知するために、別の電気抵抗検知器を更に配置、つまり複数の電気抵抗検知器を配置してよい。例えば、高さ方向において異なる位置に複数のセンサ部152を配置すれば、より詳細に界面IFの移動を把握することが可能となる。
(センサ部)
センサ部152は、セラミック保護パイプ154で覆われていない2本の導線156により接触している溶融マグネシウムMと溶融塩化マグネシウムMCの電気抵抗を検知している。図6ではセンサ部152の位置を明確に図示する目的でセンサ部152を大きめに図示してある。本実施形態においては、前記容器110の高さ方向における該容器110の底面111からセンサ部152の基端(容器110の底面111側のセラミック保護パイプ154の下端面)153までの高さhは、下記式(3)を満たすことが好ましい。センサ部152が溶融塩化マグネシウムMCに浸漬している間は高い電気抵抗を示すが、溶融塩化マグネシウムMCを抜き取ることで界面IFが下がることにより溶融マグネシウムMがセンサ部152に接すると電気抵抗が下がる。本実施形態においては、コンテナ105は、当該電気抵抗検知器150により、容器110が密閉構造であって容器110の外側から容器110の内部を視認することができなくても、溶融マグネシウムMの混入を抑制して溶融塩化マグネシウムMCを抜き取ることを可能にする。ここで、上記hと後述するHとの差分の絶対値は、0.05C以下であることが好ましく、0.02C以下であることがより好ましい。更に、センサ部152の基端153が、容器110の高さ方向HDにおいてフランジ124の下端面125と同じ高さ位置であること、すなわち|H−h|は、0であることが更に好ましい。
|H−h|≦0.05C・・・式(3)
H:容器の高さ方向における容器の底面からフランジの下端面までの高さ
h:容器の高さ方向における容器の底面からセンサ部の基端までの高さ
C:容器の最大内径
ここで、上記容器の最大内径とは、容器の高さ方向HDと直交する方向の内径の最大値である。例えば図1に示す実施形態では、容器の最大内径Cは界面IFが位置するあたりに存在する。
センサ部152は、セラミック保護パイプ154で覆われていない2本の導線156により接触している溶融マグネシウムMと溶融塩化マグネシウムMCの電気抵抗を検知している。図6ではセンサ部152の位置を明確に図示する目的でセンサ部152を大きめに図示してある。本実施形態においては、前記容器110の高さ方向における該容器110の底面111からセンサ部152の基端(容器110の底面111側のセラミック保護パイプ154の下端面)153までの高さhは、下記式(3)を満たすことが好ましい。センサ部152が溶融塩化マグネシウムMCに浸漬している間は高い電気抵抗を示すが、溶融塩化マグネシウムMCを抜き取ることで界面IFが下がることにより溶融マグネシウムMがセンサ部152に接すると電気抵抗が下がる。本実施形態においては、コンテナ105は、当該電気抵抗検知器150により、容器110が密閉構造であって容器110の外側から容器110の内部を視認することができなくても、溶融マグネシウムMの混入を抑制して溶融塩化マグネシウムMCを抜き取ることを可能にする。ここで、上記hと後述するHとの差分の絶対値は、0.05C以下であることが好ましく、0.02C以下であることがより好ましい。更に、センサ部152の基端153が、容器110の高さ方向HDにおいてフランジ124の下端面125と同じ高さ位置であること、すなわち|H−h|は、0であることが更に好ましい。
|H−h|≦0.05C・・・式(3)
H:容器の高さ方向における容器の底面からフランジの下端面までの高さ
h:容器の高さ方向における容器の底面からセンサ部の基端までの高さ
C:容器の最大内径
ここで、上記容器の最大内径とは、容器の高さ方向HDと直交する方向の内径の最大値である。例えば図1に示す実施形態では、容器の最大内径Cは界面IFが位置するあたりに存在する。
(セラミック保護パイプ・導線)
セラミック保護パイプ154の材質としては、高い絶縁性能を有し、更に溶融マグネシウムM中へ不純物が溶解することを抑制するという観点から、例えばアルミナ、窒化ケイ素等が挙げられる。また、導線156の材質としては、例えばFe、ステンレス鋼等が挙げられる。
セラミック保護パイプ154の材質としては、高い絶縁性能を有し、更に溶融マグネシウムM中へ不純物が溶解することを抑制するという観点から、例えばアルミナ、窒化ケイ素等が挙げられる。また、導線156の材質としては、例えばFe、ステンレス鋼等が挙げられる。
(電気抵抗計)
電気抵抗計(不図示)は、溶融塩化マグネシウムMCの抜き取りにより界面IFの高さが下降した際に、センサ部152の電気抵抗の変化を測定することができる。当該電気抵抗計は、通常、2本の導線156のセンサ部152と反対側の端部に接続されている。
電気抵抗計(不図示)は、溶融塩化マグネシウムMCの抜き取りにより界面IFの高さが下降した際に、センサ部152の電気抵抗の変化を測定することができる。当該電気抵抗計は、通常、2本の導線156のセンサ部152と反対側の端部に接続されている。
[2.コンテナの使用方法]
本発明に係るコンテナ100、105の使用方法の一実施形態は、先述したコンテナ100、105を使用する。密閉により酸素や水分の混入が抑制された容器110には、溶融マグネシウムM及び/又は溶融塩化マグネシウムMCが貯留される。なお、先述したコンテナ100、105と重複する説明を割愛する。
本発明に係るコンテナ100、105の使用方法の一実施形態は、先述したコンテナ100、105を使用する。密閉により酸素や水分の混入が抑制された容器110には、溶融マグネシウムM及び/又は溶融塩化マグネシウムMCが貯留される。なお、先述したコンテナ100、105と重複する説明を割愛する。
本実施形態によれば、例えば、コンテナ100、105は後述するスポンジチタンの製造方法の真空分離工程の液相抜き操作において金属製還元反応容器内に残留している塩化マグネシウムと未反応の金属マグネシウムを液相状態のまま抜き出して、容器110内に貯留する。抜き出された塩化マグネシウムは液相状態で公知の溶融塩電解槽に移送し、電気分解により溶融マグネシウムが生成される。この溶融マグネシウムは、後述するスポンジチタン製造方法の生成工程で還元反応の原料として使用される。すなわち、本実施形態は、後述するスポンジチタンの製造方法にも貢献するものともいえる。
[3.スポンジチタンの製造方法]
本発明に係るスポンジチタンの製造方法の一実施形態は、先述したコンテナ100、105を用いて該コンテナ100、105内の溶融マグネシウムMを金属製還元反応容器内に供給するマグネシウム供給工程と、溶融マグネシウムMに四塩化チタンを滴下することでスポンジチタン塊を生成する生成工程と、金属製還元反応容器内に残存する塩化マグネシウムと未反応の金属マグネシウムを金属製還元反応容器中からMgCl2用パイプを通じて液相状態のまま抜き出す操作を行い、更に残留している塩化マグネシウムと未反応の金属マグネシウムを真空分離して、スポンジチタン塊の不純物を低減する真空分離工程と、スポンジチタン塊を適宜の手法により仕分け・破砕してスポンジチタンを得る仕分け・破砕工程とを含む。なお、先述したコンテナ100、105と重複する説明を割愛する。
本発明に係るスポンジチタンの製造方法の一実施形態は、先述したコンテナ100、105を用いて該コンテナ100、105内の溶融マグネシウムMを金属製還元反応容器内に供給するマグネシウム供給工程と、溶融マグネシウムMに四塩化チタンを滴下することでスポンジチタン塊を生成する生成工程と、金属製還元反応容器内に残存する塩化マグネシウムと未反応の金属マグネシウムを金属製還元反応容器中からMgCl2用パイプを通じて液相状態のまま抜き出す操作を行い、更に残留している塩化マグネシウムと未反応の金属マグネシウムを真空分離して、スポンジチタン塊の不純物を低減する真空分離工程と、スポンジチタン塊を適宜の手法により仕分け・破砕してスポンジチタンを得る仕分け・破砕工程とを含む。なお、先述したコンテナ100、105と重複する説明を割愛する。
また、生成工程においては、金属製還元反応容器内には、反応の進行に伴ってスポンジチタン以外に、塩化マグネシウムが副生される。当該塩化マグネシウムは四塩化チタンを還元することができないため、反応中、金属製還元反応容器から溶融塩化マグネシウムを抜き取り(タップ)、又は金属製還元反応容器に溶融マグネシウムを充填(チャージ)することを適宜実施することが可能である。
[4.溶融マグネシウムの製造方法]
本発明に係る溶融マグネシウムの製造方法の一実施形態は、溶融塩電解により溶融マグネシウムMを生成するものであって、先述したコンテナ100、105内の溶融塩化マグネシウムMCを溶融塩電解槽内に供給する塩化マグネシウム供給工程を含む。なお、先述したコンテナ100、105と重複する説明を割愛する。
本発明に係る溶融マグネシウムの製造方法の一実施形態は、溶融塩電解により溶融マグネシウムMを生成するものであって、先述したコンテナ100、105内の溶融塩化マグネシウムMCを溶融塩電解槽内に供給する塩化マグネシウム供給工程を含む。なお、先述したコンテナ100、105と重複する説明を割愛する。
本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的に説明する。以下の実施例及び比較例の記載は、あくまで本発明の技術的内容の理解を容易とするための具体例であり、本発明の技術的範囲はこれらの具体例によって制限されるものではない。なお、本実施例のコンテナ100、105内に貯留された溶融マグネシウムと溶融塩は、比重差により、上層側に溶融マグネシウム、下層側に溶融塩化マグネシウムを含む溶融塩が位置した。また、下記表1においては、「○」がその構成を備えていることを意味し、「−」がその構成を備えていないことを意味する。
[溶融物の製造]
まず、溶融塩電解槽に4tonの塩化マグネシウムを投入した。なお、溶融塩電解槽に、塩化マグネシウム(MgCl2)が20質量%、塩化カルシウム(CaCl2)が30質量%、ナトリウム(NaCl)が49質量%、フッ化マグネシウム(MgF2)が1質量%の組成の溶融塩浴を形成し、溶融塩浴の総重量は20tonとした。
まず、溶融塩電解槽に4tonの塩化マグネシウムを投入した。なお、溶融塩電解槽に、塩化マグネシウム(MgCl2)が20質量%、塩化カルシウム(CaCl2)が30質量%、ナトリウム(NaCl)が49質量%、フッ化マグネシウム(MgF2)が1質量%の組成の溶融塩浴を形成し、溶融塩浴の総重量は20tonとした。
次いで、以下に示す条件で、塩化マグネシウムの電気分解を10時間行い溶融マグネシウムを製造した。塩化マグネシウムの電気分解を継続している間は、金属マグネシウムの生成量に対応した塩化マグネシウムを補給するために、クロール法で得られた副生物の塩化マグネシウムを、適宜のタイミングで溶融塩電解槽に供給し、溶融塩中の塩化マグネシウムの含有量が15〜25質量%となるように調節した。次に、各実施例について説明する。
[実施例1]
実施例1においては、図1に示したコンテナ100を組み立てた。コンテナ100の条件を下記に示す。
<コンテナ>
容器の材質:ステンレス製
容器の最大内径:1800mm
上蓋の材質:炭素鋼製
溶融物移送用部材の材質:炭素鋼製
パイプ本体の内径:60mm
フランジの外径:120mm
実施例1においては、図1に示したコンテナ100を組み立てた。コンテナ100の条件を下記に示す。
<コンテナ>
容器の材質:ステンレス製
容器の最大内径:1800mm
上蓋の材質:炭素鋼製
溶融物移送用部材の材質:炭素鋼製
パイプ本体の内径:60mm
フランジの外径:120mm
コンテナ100のパイプ本体122の一端部を開き溶融塩電解槽のメタル回収室のマグネシウム層を形成する溶融マグネシウムに浸漬させた。次に、溶融マグネシウムは、容器110内を真空状態にすることで移送された。その移送の結果、溶融マグネシウムと溶融塩からなる回収物量は1バッチにつき800kgであった。該回収物は容器110内で静置され、溶融マグネシウムからなる上層と溶融塩からなる下層が形成されるようにした。
次に、コンテナ100の容器110に貯留された溶融塩(下層)は、Arを不活性ガス用パイプ130から供給することで生じる押圧により、溶融物移送用部材120のパイプ本体122を介して溶融塩電解槽に移送された。その時、移送中の溶融塩(赤熱色)から筋状の溶融マグネシウム(灰色又は金属色)が混じり出したことを目視で確認したので、バルブを閉としArの供給を停止した。
上記Ar供給による溶融塩の移送終了後、750℃で保温しながら24時間コンテナ100を静置した。その後、不活性ガス用パイプ130内から容器110内にパイプを挿入し、容器110に残留した溶融物をドラム缶に移送して容器110内の残留物の重量を測定した。
以上について同じ操作を10バッチ実施した。その結果、容器110内の残留物の重量は、1バッチあたりの平均が60kgであった。
以上について同じ操作を10バッチ実施した。その結果、容器110内の残留物の重量は、1バッチあたりの平均が60kgであった。
その後、実施例1においては、同じ操作を更に90バッチ実施した(合計100バッチ)。その結果、100バッチ目における容器110内の残留物の重量は、80kgであった。
[実施例2]
実施例2においては、コンテナ105に電気抵抗検知器150を取り付けたこと(図6参照)以外、実施例1と同様に操作を行った。なお、センサ部152の基端153が、容器110の高さ方向HDにおいてフランジ124の下端面125と同じ高さ位置となるように調整した。
実施例2においては、コンテナ105に電気抵抗検知器150を取り付けたこと(図6参照)以外、実施例1と同様に操作を行った。なお、センサ部152の基端153が、容器110の高さ方向HDにおいてフランジ124の下端面125と同じ高さ位置となるように調整した。
実施例2では電気抵抗検知器150を取り付けたため、溶融マグネシウムと溶融塩とが貯留された容器110から溶融塩を移送している間、電気抵抗検知器150の電気抵抗計により電気抵抗を確認していた。このとき、移送中の溶融塩の目視による確認は不要であった。
その結果、容器110内の残留物の重量は、1〜10バッチにおける1バッチあたりの平均が30kgであった。電気抵抗検知器150については、以下の条件とする。
<電気抵抗検知器>
設置:容器の高さ方向においてセンサ部の基端とフランジ下端面の高さ位置が同一
絶縁体:セラミック保護パイプ
導線の材質:Fe
電気抵抗計:品名No.3566、鶴賀電機社製
その結果、容器110内の残留物の重量は、1〜10バッチにおける1バッチあたりの平均が30kgであった。電気抵抗検知器150については、以下の条件とする。
<電気抵抗検知器>
設置:容器の高さ方向においてセンサ部の基端とフランジ下端面の高さ位置が同一
絶縁体:セラミック保護パイプ
導線の材質:Fe
電気抵抗計:品名No.3566、鶴賀電機社製
[比較例1]
比較例1においては、コンテナ100にフランジ124を取り付けなかったこと以外、実施例1と同様に操作を行った。なお、溶融マグネシウムと溶融塩とが貯留された容器110から溶融塩を移送している間、移送中の溶融塩(赤熱色)から筋状の溶融マグネシウム(灰色又は金属色)が混じり出したことを目視で確認し、バルブを閉としArの供給を停止した。
その結果、容器110内の残留物の重量は、1〜10バッチにおける1バッチあたりの平均が100kgであった。
比較例1においては、コンテナ100にフランジ124を取り付けなかったこと以外、実施例1と同様に操作を行った。なお、溶融マグネシウムと溶融塩とが貯留された容器110から溶融塩を移送している間、移送中の溶融塩(赤熱色)から筋状の溶融マグネシウム(灰色又は金属色)が混じり出したことを目視で確認し、バルブを閉としArの供給を停止した。
その結果、容器110内の残留物の重量は、1〜10バッチにおける1バッチあたりの平均が100kgであった。
[実施例3]
実施例3においては、コンテナ100の溶融物移送用部材120から炭素鋼製の三角リブ126付きの溶融物移送用部材127(図5参照)に変更したこと以外、実施例1と同様に操作を行った。なお、溶融マグネシウムと溶融塩とが貯留された容器110から溶融塩を移送している間、移送中の溶融塩(赤熱色)から筋状の溶融マグネシウム(灰色又は金属色)が混じり出したことを目視で確認し、バルブを閉としArの供給を停止した。
その結果、容器110内の残留物の重量は、1〜10バッチにおける1バッチあたり平均が60kgであった。また、100バッチ目における容器110内の残留物の重量は、60kgであった。
実施例3においては、コンテナ100の溶融物移送用部材120から炭素鋼製の三角リブ126付きの溶融物移送用部材127(図5参照)に変更したこと以外、実施例1と同様に操作を行った。なお、溶融マグネシウムと溶融塩とが貯留された容器110から溶融塩を移送している間、移送中の溶融塩(赤熱色)から筋状の溶融マグネシウム(灰色又は金属色)が混じり出したことを目視で確認し、バルブを閉としArの供給を停止した。
その結果、容器110内の残留物の重量は、1〜10バッチにおける1バッチあたり平均が60kgであった。また、100バッチ目における容器110内の残留物の重量は、60kgであった。
(実施例に基づく考察)
実施例1〜3においては、比較例1と比べ、容器110内の残留物の重量が少なかった。これは、溶融物が貯留された容器110から溶融塩を移送する際に、溶融マグネシウムの混入を抑制しつつ、溶融塩を効率的に移送できたといえる。
また、実施例2においては、溶融マグネシウムと溶融塩とが貯留された容器110から溶融塩を移送している間、目視でなく電気抵抗検知器150の電気抵抗計を確認していた。そのため、容器内で下降する界面をより的確に把握でき、溶融マグネシウムの混入をより効率的に抑制し、溶融塩を効率的に移送できた。すなわち、電気抵抗検知器150等の手段を利用して容器110内の溶融マグネシウムと溶融塩との界面を検知すれば、より効率的に容器110内の金属マグネシウム量を確保できるといえる。
更に、実施例3においては、実施例1と比べ、三角リブ126によりフランジ124の歪みの変形を防止したことにより、100バッチ目でも残留物の重量の低減を維持することができた。
実施例1〜3においては、比較例1と比べ、容器110内の残留物の重量が少なかった。これは、溶融物が貯留された容器110から溶融塩を移送する際に、溶融マグネシウムの混入を抑制しつつ、溶融塩を効率的に移送できたといえる。
また、実施例2においては、溶融マグネシウムと溶融塩とが貯留された容器110から溶融塩を移送している間、目視でなく電気抵抗検知器150の電気抵抗計を確認していた。そのため、容器内で下降する界面をより的確に把握でき、溶融マグネシウムの混入をより効率的に抑制し、溶融塩を効率的に移送できた。すなわち、電気抵抗検知器150等の手段を利用して容器110内の溶融マグネシウムと溶融塩との界面を検知すれば、より効率的に容器110内の金属マグネシウム量を確保できるといえる。
更に、実施例3においては、実施例1と比べ、三角リブ126によりフランジ124の歪みの変形を防止したことにより、100バッチ目でも残留物の重量の低減を維持することができた。
100、105 コンテナ
110 容器
111 底面
112 容器本体
114 上蓋
120、127 溶融物移送用部材
122 パイプ本体
124 フランジ
125 下端面
130 不活性ガス用パイプ
132 気体流路
140 炉
142 ヒータ
144 支持部材
150 電気抵抗検知器
152 センサ部
153 基端
154 セラミック保護パイプ
156 導線
220 パイプ
C 最大内径
D フランジの外径
d パイプ本体の内径
HD 容器の高さ方向
IF 界面
L、L’ 短軸の長さ
M 溶融マグネシウム
MC 溶融塩化マグネシウム
V バルブ
110 容器
111 底面
112 容器本体
114 上蓋
120、127 溶融物移送用部材
122 パイプ本体
124 フランジ
125 下端面
130 不活性ガス用パイプ
132 気体流路
140 炉
142 ヒータ
144 支持部材
150 電気抵抗検知器
152 センサ部
153 基端
154 セラミック保護パイプ
156 導線
220 パイプ
C 最大内径
D フランジの外径
d パイプ本体の内径
HD 容器の高さ方向
IF 界面
L、L’ 短軸の長さ
M 溶融マグネシウム
MC 溶融塩化マグネシウム
V バルブ
Claims (8)
- 密閉可能である容器と、
前記容器の内外にわたって配置され、一端部が該容器の外側に位置するパイプ本体を有し、溶融金属または溶融塩を移送するための溶融物移送用部材とを備え、
前記溶融物移送用部材が、前記容器の内側に位置する他端部にフランジを更に有する、コンテナ。 - 前記フランジの外径と、前記溶融物移送用部材の他端部におけるパイプ本体の内径とが、下記式(1)を満たす、請求項1に記載のコンテナ。
D/d≧1.5・・・式(1)
D:フランジの外径
d:パイプ本体の内径 - 前記容器内に、電気抵抗検知器を更に備える、請求項1又は2に記載のコンテナ。
- 前記電気抵抗検知器はセンサ部を備え
前記容器の高さ方向における該容器の底面から前記センサ部の基端までの高さは、下記式(3)を満たす、請求項3に記載のコンテナ。
|H−h|≦0.05C・・・式(3)
H:容器の高さ方向における容器の底面からフランジの下端面までの高さ
h:容器の高さ方向における容器の底面からセンサ部の基端までの高さ
C:容器の最大内径 - 前記容器の外側であって該容器に対向するヒータを更に備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコンテナ。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のコンテナを使用し、前記容器に溶融マグネシウム及び/又は溶融塩化マグネシウムが貯留される、コンテナの使用方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のコンテナを用いて該コンテナ内の溶融マグネシウムを金属製還元反応容器内に供給するマグネシウム供給工程と、
前記溶融マグネシウムに四塩化チタンを滴下することでスポンジチタン塊を生成する生成工程とを含むスポンジチタンの製造方法。 - 溶融塩電解により溶融マグネシウムを生成する溶融マグネシウムの製造方法であって、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のコンテナ内の溶融塩化マグネシウムを溶融塩電解槽内に供給する塩化マグネシウム供給工程を含む、溶融マグネシウムの製造方法。
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