JP2021089014A - 摩擦係合装置用支持部材 - Google Patents

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武史 鳥居
Takeshi Torii
武史 鳥居
直也 神内
Naoya Jinnai
直也 神内
裕紀 市川
Yuki Ichikawa
裕紀 市川
啓甫 中島
Keisuke Nakashima
啓甫 中島
土井 孝之
Takayuki Doi
孝之 土井
秀之 野々山
Hideyuki Nonoyama
秀之 野々山
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Abstract

【課題】摩擦係合装置用の支持部材において、回転部材の径方向外側への変形を抑制する。【解決手段】摩擦係合装置用支持部材FSは、回転部材6と、回転部材6に組み付けられる補強部材7と、を備えている。回転部材6は、当該回転部材6の回転軸心AXを軸心とする筒状に形成され、複数枚の円環板状の摩擦部材を径方向Rの外側から支持する筒状支持部61と、筒状支持部61と一体的に形成され、筒状支持部61から径方向Rの内側に向けて延在するフランジ部62と、を備えている。補強部材7は、筒状支持部61の外周面6Fに嵌合する筒状嵌合部71を備えている。筒状支持部61と筒状嵌合部71とのはめあいがしまりばめとなっている。【選択図】図4

Description

本発明は、摩擦係合装置用支持部材に関する。
例えば、特開2018−185028号公報(特許文献1)には、複数枚の円環板状の摩擦部材を径方向外側から支持する回転部材を備えた摩擦係合装置が開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示される符号は、特許文献1のものである。
特許文献1には、摩擦係合装置としての発進クラッチ(5)が、回転部材としてのクラッチドラム(60)を備えている点が記載されている。クラッチドラム(60)は、複数枚のアウタプレート(53)を径方向の外側から支持する支持部材として機能している。一方、クラッチハブ(51)には複数枚のインナプレート(54)が径方向の内側から支持されている。複数枚のインナプレート(54)と複数枚のアウタプレート(53)とは、軸方向に交互に配置されており、ピストン(55)によって軸方向に押圧されることにより、互いの当接面間に摩擦力を発生させることができるように構成されている。
特開2018−185028号公報
ところで、このような摩擦係合装置の回転部材における、軸方向に沿って延在する筒状部分は、回転速度が高くなった状態では遠心力の影響によって径方向外側に広がるように変形する可能性がある。特に、このような回転部材が、特許文献1に開示された技術のように回転電機を走行駆動源とする車両に用いられる場合には、内燃機関に比べて最高回転速度が高く設定されることが多い回転電機と同等以上の高速回転を求められる場合があり、上記のような変形が生じやすいという問題がある。
上記実状に鑑みて、摩擦係合装置用の支持部材において、回転部材の径方向外側への変形を抑制できる技術の実現が求められている。
上記に鑑みた、摩擦係合装置用支持部材の特徴構成は、
回転部材と、
前記回転部材に組み付けられる補強部材と、を備え、
前記回転部材は、
当該回転部材の回転軸心を軸心とする筒状に形成され、複数枚の円環板状の摩擦部材を径方向の外側から支持する筒状支持部と、
前記筒状支持部と一体的に形成され、前記筒状支持部から前記径方向の内側に向けて延在するフランジ部と、を備え、
前記筒状支持部における軸方向一方側の端部には、当該軸方向一方側に開口する開口部が形成され、
前記補強部材は、
前記筒状支持部の外周面に嵌合する筒状嵌合部と、
前記回転部材に対して軸方向に当接する軸方向当接部と、を備え、
前記筒状支持部と前記筒状嵌合部とのはめあいがしまりばめとなっている点にある。
本構成によれば、回転部材が、軸方向一方側の端部に開口部が形成された筒状支持部を備えているため、当該回転部材が高速で回転する状態では、筒状支持部が径方向外側に広がるように変形する可能性がある。しかし、本構成によれば、回転部材の筒状支持部の外周面に、補強部材の筒状嵌合部が嵌合しており、更に、筒状支持部と筒状嵌合部とのはめあいがしまりばめとなっている。そのため、筒状嵌合部によって筒状支持部を径方向外側から径方向内側に向かって常に押圧した状態とすることができる。従って、回転部材が高速回転することにより筒状支持部に大きな遠心力が作用した場合であっても、筒状支持部の径方向外側への変形を小さく抑えることができる。
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
車両用駆動装置のスケルトン図 車両用駆動装置の要部を示す軸方向に沿う断面図 摩擦係合装置用支持部材の分解断面図 摩擦係合装置用支持部材の組立断面図 摩擦係合装置用支持部材の分解斜視図 摩擦係合装置用支持部材の組立斜視図 その他の実施形態に係る摩擦係合装置用支持部材の組立断面図
以下では、実施形態に係る車両用駆動装置100について、図面を参照して説明する。図1に示すように、車両用駆動装置100は、回転電機1と、変速機2と、差動歯車装置3と、一対の出力部材4と、を備えている。本実施形態では、回転電機1、変速機2、差動歯車装置3、及び一対の出力部材4は、ケース5に収容されている。なお、一対の出力部材4の一部は、ケース5の外部に露出している。
回転電機1と変速機2とのそれぞれは、その回転軸心としての第1軸A1上に配置されている。差動歯車装置3は、その回転軸心としての第2軸A2上に配置されている。本実施形態では、一対の出力部材4も第2軸A2上に配置されている。第1軸A1及び第2軸A2は、互いに異なる仮想軸であり、互いに平行に配置されている。
以下の説明では、第1軸A1及び第2軸A2に平行な方向を、車両用駆動装置100の「軸方向L」とする。そして、軸方向Lにおいて、回転電機1に対して変速機2が配置される側を「軸方向第1側L1」とし、その反対側を「軸方向第2側L2」とする。また、第1軸A1及び第2軸A2のそれぞれに直交する方向を、各軸を基準とした「径方向R」とする。なお、どの軸を基準とするかを区別する必要がない場合やどの軸を基準とするかが明らかである場合には、単に「径方向R」と記す場合がある。
〔回転電機〕
回転電機1は、一対の車輪Wの駆動力源として機能する。回転電機1は、ステータ11と、ロータ軸121が連結されたロータ12と、を備えている。ステータ11は、ケース5に対して固定されている。ロータ軸121は、ケース5に対して回転可能に支持されている。ロータ12は、ロータ軸121と一体回転することにより、ステータ11に対して回転可能に構成されている。ここで、本願において「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。本実施形態では、回転電機1は回転界磁型の回転電機である。図示の例では、回転電機1はインナロータ型の回転電機である。
〔変速機〕
変速機2は、変速比を段階的又は無段階に変更可能な装置である。変速機2は、回転電機1の側から伝達される回転を変速して一対の出力部材4の側に伝達する。変速機2は、変速ギヤ機構21と、変速出力ギヤ22と、を備えている。変速ギヤ機構21は、変速機2に入力された回転を変速して変速出力ギヤ22に伝達するように構成されている。変速出力ギヤ22は、変速機2の出力要素である。
本実施形態では、変速ギヤ機構21は、変速ユニット21Aと、減速ユニット21Bと、を備えている。変速ユニット21Aは、変速比の異なる複数の変速段を切り換え可能に備えるユニットである。減速ユニット21Bは、変速ユニット21Aの側から伝達される回転を減速するユニットである。本実施形態では、変速ユニット21A及び減速ユニット21Bは、軸方向Lにおける変速出力ギヤ22の側から、減速ユニット21B、変速ユニット21Aの順で配置されている。
本実施形態では、変速ユニット21Aは、第1遊星歯車機構PG1と、クラッチCと、ブレーキBと、を備えている。
第1遊星歯車機構PG1は、第1リングギヤR1と、第1サンギヤS1と、第1ピニオンギヤP1と、第1キャリヤC1と、を有している。
第1リングギヤR1は、第1遊星歯車機構PG1の入力要素である。第1リングギヤR1は、第1軸A1を中心として円環状に形成されている。第1リングギヤR1は、回転電機1のロータ軸121と一体的に回転するように構成されている。本実施形態では、第1リングギヤR1は、中継軸122を介して、ロータ軸121と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、中継軸122の径方向Rの外側に突出するように形成された第1リングギヤ連結部材123を介して、第1リングギヤR1と中継軸122とが一体的に回転するように互いに連結されている。
中継軸122は、回転電機1の回転を変速ギヤ機構21に伝達する軸部材である。本実施形態では、中継軸122の軸方向第1側L1の端部は、ケース5に対して、軸受B1を介して回転可能に支持されている(図2参照)。そして、中継軸122の軸方向第2側L2の端部は、中継軸122と回転電機1のロータ軸121とが一体的に回転するように、ロータ軸121の軸方向第1側L1の端部に連結されている。
第1サンギヤS1は、第1リングギヤR1に対して径方向Rの内側に配置されている。本実施形態では、第1サンギヤS1は、当該第1サンギヤS1の径方向Rの内側を軸方向Lに貫通する中継軸122に対して、軸受B2を介して回転可能に支持されている(図2参照)。また、本実施形態では、第1サンギヤS1は、サンギヤ連結部材211を介してクラッチドラムCDに連結されている。そして、第1サンギヤS1は、クラッチドラムCDによって支持されたブレーキBによって、ケース5に選択的に固定される。
図2に示すように、クラッチドラムCDは、クラッチCを覆うように形成された部材である。クラッチドラムCDは、回転部材6を備えている。回転部材6は、当該回転部材6の回転軸心AXを軸心とする筒状に形成され、複数枚の円環板状の摩擦部材(本例では第2外側摩擦材Cf1)を径方向Rの外側から支持する筒状支持部61と、筒状支持部61と一体的に形成され、筒状支持部61における軸方向第1側L1の端部から径方向Rの内側に向けて延在するフランジ部62と、を備えている。図示の例では、フランジ部62は、サンギヤ連結部材211から径方向Rの外側に突出するように形成されている。筒状支持部61は、フランジ部62の径方向Rの外側の端部から軸方向第2側L2に突出するように形成されている。なお、本実施形態では、クラッチドラムCDが、「摩擦係合装置用支持部材FS」に相当する。詳細については後述する。
図1に示すように、第1キャリヤC1は、第1遊星歯車機構PG1の出力要素である。第1キャリヤC1は、第1ピニオンギヤP1を回転可能に支持している。第1ピニオンギヤP1は、第1リングギヤR1と第1サンギヤS1との双方に噛み合っている。第1ピニオンギヤP1は、その軸心回りに回転(自転)すると共に、第1サンギヤS1を中心として回転(公転)する。なお、図示は省略するが、第1ピニオンギヤP1は、その公転軌跡に沿って複数設けられている。
図2に示すように、ブレーキBは、第1摩擦部材Bfと、第1摩擦部材Bfの係合の状態を切り替える第1ピストンBpと、を備えている。
第1摩擦部材Bfは、対となる第1外側摩擦材Bf1及び第1内側摩擦材Bf2を含んでいる。第1外側摩擦材Bf1及び第1内側摩擦材Bf2は、いずれも円環板状に形成されている。また、第1外側摩擦材Bf1及び第1内側摩擦材Bf2は複数枚ずつ設けられており、これらは軸方向Lに沿って交互に配置されている。
第1外側摩擦材Bf1は、ケース5の内壁に形成された支持部51によって支持されている。本実施形態では、支持部51の内周面には、軸方向Lに延在する複数のスプライン歯が周方向に分散して形成されている。そして、第1外側摩擦材Bf1の外周面にも同様のスプライン歯が形成されており、それらのスプライン歯が係合された状態で、第1外側摩擦材Bf1が支持部51により径方向Rの外側から支持されている。これにより、第1外側摩擦材Bf1は、支持部51に対して周方向の相対回転が規制された状態で軸方向Lに摺動可能に支持されている。
第1内側摩擦材Bf2は、クラッチドラムCDの回転部材6、より詳細には筒状支持部61によって支持されている。本実施形態では、筒状支持部61の外周部分には、軸方向Lに延在するスプライン歯を周方向に複数備えたスプライン係合部611が形成されている(図5及び図6も参照)。そして、第1内側摩擦材Bf2の内周面にも同様のスプライン歯が形成されており、それらのスプライン歯が係合された状態で、第1内側摩擦材Bf2が筒状支持部61により径方向Rの内側から支持されている。これにより、第1内側摩擦材Bf2は、筒状支持部61に対して周方向の相対回転が規制された状態で軸方向Lに摺動可能に支持されている。
第1ピストンBpは、第1摩擦部材Bfに対して軸方向第1側L1に配置されている。第1ピストンBpは、スプリング等の付勢部材によって軸方向第1側L1に付勢されている。本実施形態では、第1ピストンBpは、当該第1ピストンBpとケース5の内壁との間に形成された油室に所定油圧の油が供給された際に、当該油圧に応じて付勢部材の付勢力に抗して軸方向第2側L2に摺動し、第1摩擦部材Bfを軸方向第1側L1から押圧する。第1ピストンBpによって第1摩擦部材Bfが押圧されて係合状態となると、第1サンギヤS1がケース5に対して固定される。
クラッチCは、第2摩擦部材Cfと、第2摩擦部材Cfの係合の状態を切り替える第2ピストンCpと、を備えている。
第2摩擦部材Cfは、対となる第2外側摩擦材Cf1及び第2内側摩擦材Cf2を含んでいる。第2外側摩擦材Cf1及び第2内側摩擦材Cf2は、いずれも円環板状に形成されている。また、第2外側摩擦材Cf1及び第2内側摩擦材Cf2は複数枚ずつ設けられており、これらは軸方向Lに沿って交互に配置されている。なお、本実施形態では、第2外側摩擦材Cf1が、回転部材6の筒状支持部61によって支持される「摩擦部材」に相当する。
上述のように、第2外側摩擦材Cf1は、回転部材6の筒状支持部61によって支持されている。本実施形態では、筒状支持部61の内周面には、軸方向Lに延在する複数のスプライン歯が周方向に分散して形成されている。そして、第2外側摩擦材Cf1の外周面にも同様のスプライン歯が形成されており、それらのスプライン歯が係合された状態で、第2外側摩擦材Cf1が筒状支持部61により径方向Rの外側から支持されている。これにより、第2外側摩擦材Cf1は、筒状支持部61に対して周方向の相対回転が規制された状態で軸方向Lに摺動可能に支持されている。
第2内側摩擦材Cf2は、第1キャリヤC1と一体的に回転するように連結されたクラッチハブ212によって支持されている。本実施形態では、クラッチハブ212の外周面には、軸方向Lに延在する複数のスプライン歯が周方向に分散して形成されている。そして、第2内側摩擦材Cf2の内周面にも同様のスプライン歯が形成されており、それらのスプライン歯が係合された状態で、第2内側摩擦材Cf2がクラッチハブ212により径方向Rの内側から支持されている。これにより、第2内側摩擦材Cf2は、クラッチハブ212に対して周方向の相対回転が規制された状態で軸方向Lに摺動可能に支持されている。
第2ピストンCpは、第2摩擦部材Cfに対して軸方向第1側L1に配置されている。第2ピストンCpは、スプリング等の付勢部材によって軸方向第1側L1に付勢されている。また、本実施形態では、第2ピストンCpは、回転部材6のフランジ部62に対して軸方向第2側L2に配置されている。そして、第2ピストンCpは、当該第2ピストンCpとフランジ部62との間に形成された油室に所定油圧の油が供給された際に、当該油圧に応じて付勢部材の付勢力に抗して軸方向第2側L2に摺動し、第2摩擦部材Cfを軸方向第1側L1から押圧する。第2ピストンCpによって第2摩擦部材Cfが押圧されて係合状態となると、第1サンギヤS1と第1キャリヤC1とが一体的に回転するように連結される。また、本実施形態では、第2ピストンCpは、径方向Rに沿って延在し、第2ピストンCpの径方向Rの外側の端部が第2摩擦部材Cfを押圧するように形成されている。
図1に示すように、本実施形態では、減速ユニット21Bは、第2遊星歯車機構PG2と、ワンウェイクラッチFと、を備えている。
第2遊星歯車機構PG2は、第2サンギヤS2と、第2リングギヤR2と、第2ピニオンギヤP2と、第2キャリヤC2と、を有している。
第2サンギヤS2は、中間連結部213を介して第1キャリヤC1と一体的に回転するように連結されている。つまり、第2サンギヤS2は、第2遊星歯車機構PG2の入力要素である。本実施形態では、第2サンギヤS2は、当該第2サンギヤS2の径方向Rの内側を軸方向Lに貫通する中継軸122に対して、軸受(不図示)を介して回転可能に支持されている。
第2リングギヤR2は、第1軸A1を中心として円環状に形成されている。第2リングギヤR2は、第2サンギヤS2に対して径方向Rの外側に配置されている。本実施形態では、第2リングギヤR2は、ワンウェイクラッチFによって、ケース5に選択的に固定される。
第2キャリヤC2は、第2遊星歯車機構PG2の出力要素である。第2キャリヤC2は、第2ピニオンギヤP2を回転可能に支持している。第2ピニオンギヤP2は、第2リングギヤR2と第2サンギヤS2との双方に噛み合っている。第2ピニオンギヤP2は、その軸心回りに回転(自転)すると共に、第2サンギヤS2を中心として回転(公転)する。なお、図示は省略するが、第2ピニオンギヤP2は、その公転軌跡に沿って複数設けられている。
ワンウェイクラッチFは、第2リングギヤR2の一方向の回転を規制する係合装置である。本実施形態では、ワンウェイクラッチFは、第2リングギヤR2の一方向の回転を規制する一方向規制状態と、第2リングギヤR2の双方向の回転を規制する回転規制状態と、第2リングギヤR2の双方向の回転を許容する解放状態とに切り替え可能に構成されたセレクタブルワンウェイクラッチである。
本実施形態では、変速出力ギヤ22は、出力ギヤ連結部材214を介して、第2キャリヤC2と一体的に回転するように連結されている。出力ギヤ連結部材214は、軸方向Lに延在する筒状に形成されている。出力ギヤ連結部材214の径方向Rの内側には、中継軸122が挿通されている。そして、出力ギヤ連結部材214は、中継軸122に対して、軸受(不図示)を介して相対回転可能に支持されている。また、出力ギヤ連結部材214は、当該出力ギヤ連結部材214に対して径方向Rの外側に配置された変速出力ギヤ22と一体的に回転するように連結されている。このように、本実施形態では、中継軸122は、変速出力ギヤ22の径方向Rの内側を軸方向Lに貫通するように配置されている。
差動歯車装置3は、変速機2の側から伝達される駆動力を一対の出力部材4に分配する装置である。差動歯車装置3は、差動入力ギヤ31と、差動ギヤ機構32と、を備えている。
差動入力ギヤ31は、差動歯車装置3の入力要素である。差動入力ギヤ31は、変速機2の変速出力ギヤ22と噛み合っている。
差動ギヤ機構32は、差動入力ギヤ31の回転を一対の出力部材4に分配する。詳細な図示は省略するが、例えば、差動ギヤ機構32は、一対のピニオンギヤと、一対のサイドギヤと、を含む。ここでは、一対のピニオンギヤ及び一対のサイドギヤは、いずれも傘歯車である。
一対の出力部材4のそれぞれは、車輪Wに駆動連結されている。本実施形態では、一対の出力部材4のそれぞれは、ドライブシャフトDSを介して車輪Wに連結されている。
ここで、摩擦係合装置用支持部材FSとしてのクラッチドラムCDの回転中には、当該クラッチドラムCDが備える回転部材6の筒状支持部61が遠心力の影響によって径方向Rの外側に広がるように変形する可能性がある。本実施形態では、クラッチCが係合され、ブレーキBが解放された状態で、回転部材6は回転電機1と同じ速度で回転する。このように、回転部材6が、回転電機1と同等以上の回転速度で回転する場合には、上記のような変形が生じ易くなる。しかしながら、本開示に係る摩擦係合装置用支持部材FSは、高速回転時においても、筒状支持部61の径方向Rの外側への変形を小さく抑制することが可能に構成されている。以下、そのような摩擦係合装置用支持部材FSの構成について、詳細に説明する。
〔摩擦係合装置用支持部材〕
摩擦係合装置用支持部材FSについて図3〜図6を参照して説明する。
上述した車両用駆動装置100の「軸方向L」は、回転部材6の回転軸心AXを基準とする軸方向Lに一致している。そして、「軸方向第1側L1」及び「軸方向第2側L2」についても、回転部材6の回転軸心AXを基準とする軸方向Lの一方側及び他方側として定義できる。本実施形態では、軸方向第2側L2が「軸方向一方側」に相当する。上述のように本実施形態では、回転部材6の回転軸心AXは、第1軸A1に沿って配置されている。なお、以下において「径方向R」という場合には、回転部材6の回転軸心AX(第1軸A1)を基準とする径方向であるものとする。
図3〜図6に示すように、摩擦係合装置用支持部材FS(クラッチドラムCD)は、回転部材6と、回転部材6に組み付けられる補強部材7と、を備えている。図3及び図5は、回転部材6と補強部材7との組み付け前の状態を示しており、図4及び図6は、両者の組み付け後の状態を示している。
上述のように、回転部材6は、回転軸心AXを軸心とする筒状に形成され、複数枚の円環板状の摩擦部材(本例では第2外側摩擦材Cf1:図2参照)を径方向Rの外側から支持する筒状支持部61と、筒状支持部61と一体的に形成され、筒状支持部61における軸方向第1側L1の端部から径方向Rの内側に向けて延在するフランジ部62と、を備えている。そして、筒状支持部61における軸方向第2側L2の端部には、軸方向第2側L2に開口する第1開口部63が形成されている。本実施形態では、この第1開口部63が、「開口部」に相当する。
補強部材7は、筒状支持部61の外周面6Fに嵌合する筒状嵌合部71を備えている。筒状嵌合部71は、回転軸心AXを軸心とする筒状に形成されている。そして、補強部材7が回転部材6に対して組み付けられた状態において、回転部材6の筒状支持部61と補強部材7の筒状嵌合部71とのはめあいがしまりばめとなっている。すなわち、互いの嵌合前の状態において、筒状支持部61の外周の嵌合面の径が筒状嵌合部71の内周の嵌合面の径よりも大きくなるように、はめあい部分の寸法が設定されている。このような構成により、筒状嵌合部71によって筒状支持部61を径方向Rの外側から径方向Rの内側に向かって常に押圧した状態とすることができる。従って、回転部材6が高速回転することにより筒状支持部61に大きな遠心力が作用した場合であっても、筒状支持部61の径方向Rの外側への変形を小さく抑えることができる。また、上述のように本実施形態では、摩擦係合装置用支持部材FSは、回転電機1を備えた車両用駆動装置100において、回転電機1の回転速度以上の回転速度で回転するクラッチドラムCDとして構成されている。そして、このクラッチドラムCDは、回転電機1と同じ速度で回転する場合がある位置に設けられている。そのため、回転部材6における筒状支持部61には比較的大きな遠心力が作用する場合があるが、そのような場合においても、回転部材6の筒状支持部61と補強部材7の筒状嵌合部71とのはめあいがしまりばめとなっているため、筒状支持部61の径方向Rの外側への変形を小さく抑えることが可能となっている。従って、本構成によれば、クラッチCの動作精度が高い車両用駆動装置100を実現することが可能となっている。
また、補強部材7は、回転部材6に対して軸方向Lに当接する軸方向当接部Lcを備えている(CL1)。これにより、補強部材7と回転部材6とを軸方向Lに位置決めすることができる。本実施形態では、補強部材7は、筒状嵌合部71から径方向Rの内側に向けて延在する補強フランジ部72を備えている。そして、この補強フランジ部72における軸方向Lを向く面、ここでは軸方向第1側L1を向く面が、回転部材6における筒状支持部61に対して軸方向Lに当接しており(図4参照)、当該面が軸方向当接部Lcとなっている(CL3)。本例では、後述する補強フランジ部72の当接面721が、軸方向当接部Lcとなっている。
上記のとおり、筒状支持部61と筒状嵌合部71とのはめあいがしまりばめとなっているため、本実施形態では、筒状嵌合部71が、筒状支持部61に対して圧入又は焼き嵌めされている。補強部材7と回転部材6との組み付け後において、筒状支持部61の外周面6Fと筒状嵌合部71の内周面7Fとは、径方向Rにおいて当接する。補強部材7と回転部材6との組み付け前においては、筒状嵌合部71の内周面7Fの径は、筒状支持部61の外周面6Fの径よりも小さく形成されている。そして、筒状嵌合部71が、筒状支持部61に対して圧入又は焼き嵌めされることによって、筒状嵌合部71の内周面7Fの径と筒状支持部61の外周面6Fの径とが、同等となる。なお、本例では、筒状支持部61の外周面6Fと筒状嵌合部71の内周面7Fとの双方は、回転軸心AXを基準とする円筒状に形成されている。
上述のように、本実施形態では、筒状支持部61における軸方向第1側L1の端部から径方向Rの内側に向けて延在するようにフランジ部62が形成されている。そのため、筒状支持部61における軸方向Lの中央位置Lmよりも軸方向第1側L1の領域は、遠心力に対する強度が比較的高い。一方で、筒状支持部61における軸方向第2側L2には、軸方向第2側L2に開口する第1開口部63が形成されているため、筒状支持部61における軸方向Lの中央位置Lmよりも軸方向第2側L2の領域は、上記中央位置Lmよりも軸方向第1側L1の領域に比べて遠心力に対する強度が低い。そこで、本実施形態では、筒状嵌合部71は、筒状支持部61における軸方向Lの中央位置Lmよりも軸方向第2側L2に位置する外周面6Fの少なくとも一部の領域を覆うように配置されている。換言すれば、筒状嵌合部71は、筒状支持部61の外周面6Fにおける軸方向Lでフランジ部62に対して第1開口部63の側の領域である開口部側外周面領域RFのうち、当該開口部側外周面領域RFの軸方向Lの中央領域よりも第1開口部63の側の少なくとも一部の領域を覆うように配置されている(CL4)。このような構成とすることにより、筒状支持部61における遠心力に対する強度が比較的低い部分を、筒状嵌合部71によって、径方向Rの外側から径方向Rの内側に向かって押圧することができ、当該強度の低い部分が径方向Rの外側に変形することを効果的に抑制することができる。
本実施形態では、図2及び図4に示すように、筒状嵌合部71は、筒状支持部61における軸方向Lの中央位置Lmから軸方向第2側L2の端部までの領域を覆っている。また、本実施形態では、筒状支持部61における中央位置Lmよりも軸方向第1側L1の領域には、周方向に複数形成されたスプライン歯を備えたスプライン係合部611が形成されている(図5及び図6も参照)。上述のように、このスプライン係合部611は、第1内側摩擦材Bf2のスプライン歯に係合している(図2参照)。そして、筒状支持部61におけるスプライン係合部611よりも軸方向第2側L2の領域には、筒状嵌合部71が嵌合する被嵌合部612が形成されている。被嵌合部612は、筒状嵌合部71の内周面7Fに当接する外周面6Fを備えている。図示の例では、被嵌合部612の外径、すなわち、外周面6Fの径は、スプライン係合部611におけるスプライン歯を基準とする歯先円直径よりも小さい。換言すれば、被嵌合部612は、スプライン係合部611におけるスプライン歯の歯先部611aの位置よりも径方向Rの内側に配置されている。
筒状嵌合部71における軸方向第2側L2の端部には、軸方向第2側L2に開口する第2開口部73が形成されている。この第2開口部73と、上述した筒状支持部61の第1開口部63とは、軸方向Lに連通している。本例では、第1開口部63と第2開口部73とを軸方向Lに貫通するように、中継軸122等が配置されている(図2参照)。
本実施形態では、補強部材7は、筒状嵌合部71と一体的に形成され、筒状嵌合部71における軸方向第2側L2の端部から径方向Rの内側に向けて延在する補強フランジ部72を備えている。上述のように、筒状嵌合部71における軸方向第2側L2の端部には第2開口部73が形成されているため、この部分では、径方向Rに作用する遠心力に対する強度が比較的弱くなり易い。しかしながら、本実施形態では、補強フランジ部72があることによって、筒状嵌合部71の軸方向第2側L2の端部における遠心力に対する強度を向上させることができる。更に、本実施形態では、補強部材7は、回転部材6よりも引張強度が高い材質により構成されている。これにより、補強部材7の強度の更なる向上を図ることができ、筒状支持部61の径方向Rの外側への変形を適切に抑制することができる。
本実施形態では、補強フランジ部72が、筒状支持部61における軸方向第2側L2の端面613に接するように配置されている。これにより、回転部材6と補強部材7とを組み付ける際に、補強フランジ部72と筒状支持部61における軸方向第2側L2の端面613との接触を利用し、回転部材6と補強部材7とを軸方向Lに位置決めすることができる。本例では、補強フランジ部72における軸方向第1側L1を向く面が、筒状支持部61における軸方向第2側L2を向く端面613に当接する当接面721となっている。筒状支持部61の端面613と補強フランジ部72の当接面721とが軸方向Lに当接することで、回転部材6と補強部材7とが軸方向Lに位置決めされる。すなわち本例では、補強フランジ部72の当接面721が、軸方向当接部Lcとなっている。
本実施形態では、筒状支持部61に、当該筒状支持部61を径方向Rに貫通する第1油路60が形成されている。図5及び図6に示すように、本例では、第1油路60は、周方向に沿って複数形成されている。また、図示の例では、第1油路60は、軸方向Lに沿っても複数形成されている。具体的には、第1油路60は、筒状支持部61における軸方向Lの中央位置Lmよりも軸方向第1側L1の領域において、スプライン係合部611を径方向Rに貫通するように形成されていると共に、筒状支持部61における軸方向Lの中央位置Lmよりも軸方向第2側L2の領域において、被嵌合部612を径方向Rに貫通するように形成されている。また、本例では、スプライン係合部611を径方向Rに貫通する複数の第1油路60のうち一部は、スプライン係合部611における歯先部611aを貫通しており、他の一部は、スプライン係合部611における歯底部611bを貫通している。
また、本実施形態では、筒状嵌合部71に、当該筒状嵌合部71を径方向Rに貫通する第2油路70が形成されている。第2油路70は、筒状支持部61における被嵌合部612に形成された第1油路60に対応する周方向及び軸方向の位置に設けられている。従って、本例では、第2油路70は、周方向に沿って複数形成されていると共に、軸方向Lに沿っても複数形成されている。
第1油路60及び第2油路70には、摩擦係合装置用支持部材FSの回転に伴う遠心力によって、第2摩擦部材Cf等(図2参照)の潤滑や冷却のための油が流通するように構成されている。本実施形態では、回転部材6と補強部材7とが、筒状支持部61と筒状嵌合部71との周方向の相対位置を位置決めする周方向位置決め部8を備えている。そして、周方向位置決め部8は、第1油路60と第2油路70とが連通する位置関係となるように設けられている。このような周方向位置決め部8によって筒状支持部61と筒状嵌合部71との周方向の相対位置を位置決めすることにより、第1油路60と第2油路70とを径方向Rに連通させることができ、摩擦係合装置用支持部材FSの内部(回転部材6よりも径方向Rの内側)から摩擦係合装置用支持部材FSの外部(回転部材6及び補強部材7よりも径方向Rの外側)へ、油を流通させることができる。これにより、第2摩擦部材Cfを潤滑及び冷却した後の油を速やかに摩擦係合装置用支持部材FSよりも外側に排出することができる。なお、筒状支持部61における軸方向Lの中央位置Lmよりも軸方向第1側L1の領域に形成された第1油路60から摩擦係合装置用支持部材FSの外部へ排出された油は、ブレーキBの第1摩擦部材Bfの潤滑や冷却のために用いられる(図2参照)。
図5及び図6に示すように、本実施形態では、周方向位置決め部8は、補強部材7に形成された突起部81と、回転部材6に形成された溝部82と、を備えている。本例では、突起部81は、筒状嵌合部71における軸方向第1側L1の端面から軸方向第1側L1に突出するように形成されている。溝部82は、筒状支持部61のスプライン係合部611におけるスプライン歯に形成されている。具体的には、溝部82は、当該スプライン歯における軸方向第2側L2の端面から軸方向第1側L1に窪むように形成されている。この溝部82に対して突起部81が嵌合することによって、回転部材6と補強部材7との周方向における相対回転が規制され、両者が周方向に位置決めされる。そして、図4に示すように、本例では、回転部材6と補強部材7とが周方向に位置決めされた状態で、筒状支持部61に形成された第1油路60と筒状嵌合部71に形成された第2油路70とが、径方向Rに連通するように構成されている。本例では、軸方向Lに並んで配置される複数の第1油路60のうち、筒状支持部61における被嵌合部612に形成された第1油路60が第2油路70に連通する。一方、筒状支持部61におけるスプライン係合部611に形成された第1油路60は第2油路70に連通しない。すなわち、本実施形態では、軸方向Lに並んで配置される複数の第1油路60のうちの一部と、それに対応する複数の第2油路70とが、径方向Rに連通するように構成されている。
〔その他の実施形態〕
次に、摩擦係合装置用支持部材のその他の実施形態について説明する。
(1)上記の実施形態では、筒状嵌合部71は、筒状支持部61における軸方向Lの中央位置Lmから軸方向第2側L2の端部までの領域を覆うように配置されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、筒状嵌合部71は、筒状支持部61における軸方向Lの中央位置Lmよりも軸方向第2側L2に位置する外周面6Fの一部の領域のみを覆うように配置されていても良い。この場合においても、筒状嵌合部71が、筒状支持部61における軸方向第2側L2の端部領域を覆うように構成されると好適であるが、これに限らず、例えば、図7に示すように、筒状支持部61における軸方向第2側L2の端部に対して軸方向第1側L1に離間した位置に配置されていても良い。このような構成であっても、筒状嵌合部71が、筒状支持部61における軸方向Lの中央位置Lmよりも軸方向第2側L2に位置する外周面6Fの少なくとも一部の領域を覆うように配置されると好適である。この場合、補強部材7は、円環状の部材とされる。図7に示す例では、筒状嵌合部71は、被嵌合部612に対して径方向Rの外側から当接すると共に、スプライン係合部611のスプライン歯に対して軸方向第2側L2から接するように配置されている。この例では、スプライン係合部611のスプライン歯に接する筒状嵌合部71の端面が、軸方向当接部Lcとなり、筒状嵌合部71を設置する際の軸方向位置決め部として機能している。なお、この例において、筒状嵌合部71は、スプライン係合部611のスプライン歯に接することなく、被嵌合部612の一部、例えば被嵌合部612における軸方向第2側L2の端部領域を覆うように配置されていても良い。
(2)上記の実施形態では、補強部材7は、筒状嵌合部71と一体的に形成され、筒状嵌合部71における軸方向第2側L2の端部から径方向Rの内側に向けて延在する補強フランジ部72を備えている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば図7に示すように、補強部材7は、そのような補強フランジ部72を備えない構成であっても良い。
(3)上記の実施形態では、補強部材7は、回転部材6よりも引張強度が高い材質により構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、補強部材7は、例えば、回転部材6と同程度の引張強度を有する材質により構成されていても良い。
(4)上記の実施形態では、摩擦係合装置用支持部材FSが、回転電機1を備えた車両用駆動装置100において、回転電機1の回転速度以上の回転速度で回転するクラッチドラムCDとして構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、車両用駆動装置100の各部において、或いは、他の機械を駆動するための装置において、摩擦係合装置を支持するための支持部材として構成されていれば良い。
(5)上記の実施形態では、周方向位置決め部8として、補強部材7に形成された突起部81と回転部材6に形成された溝部82とを備えた構成を例として説明したが、これには限定されない。例えば、補強部材7に溝部が形成され、回転部材6に突起部が形成された構成であっても良い。また、これらの突起部及び溝部の位置についても、軸方向Lに当接する端面に限らず、径方向Rに接する面に配置されていても良い。
(6)上記の実施形態では、フランジ部62が、筒状支持部61における軸方向第1側L1の端部から径方向Rの内側に向けて延在している例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、フランジ部62は、例えば、筒状支持部61における軸方向Lの中央部分から径方向Rの内側に向けて延在していても良い。或いは、フランジ部62は、筒状支持部61における軸方向Lの中央位置Lmと軸方向Lにおける一方の端部との間の領域から径方向Rの内側に向けて延在していても良い。これらの場合において、筒状支持部61が軸方向Lの両側に開口部を備えている場合には、それら両側の開口部のいずれか一方又は双方を対象として、上記補強部材7が設けられると良い。
(7)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した摩擦係合装置用支持部材について説明する。
摩擦係合装置用支持部材(FS)は、
回転部材(6)と、
前記回転部材(6)に組み付けられる補強部材(7)と、を備え、
前記回転部材(6)は、
当該回転部材(6)の回転軸心(AX)を軸心とする筒状に形成され、複数枚の円環板状の摩擦部材(Cf1)を径方向(R)の外側から支持する筒状支持部(61)と、
前記筒状支持部(61)と一体的に形成され、前記筒状支持部(61)から前記径方向(R)の内側に向けて延在するフランジ部(62)と、を備え、
前記筒状支持部(61)における軸方向一方側(L2)の端部には、当該軸方向一方側(L2)に開口する開口部(63)が形成され、
前記補強部材(7)は、
前記筒状支持部(61)の外周面(6F)に嵌合する筒状嵌合部(71)と、
前記回転部材(6)に対して軸方向(L)に当接する軸方向当接部(Lc)と、を備え、
前記筒状支持部(61)と前記筒状嵌合部(71)とのはめあいがしまりばめとなっている。
本構成によれば、回転部材(6)が、軸方向一方側(L2)の端部に開口部(63)が形成された筒状支持部(61)を備えているため、当該回転部材(6)が高速で回転する状態では、筒状支持部(61)が径方向(R)の外側に広がるように変形する可能性がある。しかし、本構成によれば、回転部材(6)の筒状支持部(61)の外周面(6F)に、補強部材(7)の筒状嵌合部(71)が嵌合しており、更に、筒状支持部(61)と筒状嵌合部(71)とのはめあいがしまりばめとなっている。そのため、筒状嵌合部(71)によって筒状支持部(61)を径方向(R)の外側から径方向(R)の内側に向かって常に押圧した状態とすることができる。従って、回転部材(6)が高速回転することにより筒状支持部(61)に大きな遠心力が作用した場合であっても、筒状支持部(61)の径方向(R)の外側への変形を小さく抑えることができる。
ここで、
前記補強部材(7)は、前記筒状嵌合部(71)と一体的に形成され、前記筒状嵌合部(71)から前記径方向(R)の内側に向けて延在する補強フランジ部(72)を備えていると好適である。
本構成によれば、径方向(R)に作用する遠心力に対する補強部材(7)の強度を向上させることができる。従って、筒状支持部(61)の径方向(R)の外側への変形を更に小さく抑えることが可能となる。
また、補強部材(7)が補強フランジ部(72)を備えている構成において、
前記補強フランジ部(72)における前記軸方向(L)を向く面(721)が、前記筒状支持部(61)に対して前記軸方向(L)に当接する前記軸方向当接部(Lc)となっていると好適である。
本構成によれば、回転部材(6)と補強部材(7)とを組み付ける際に、補強フランジ部(72)における前記軸方向(L)を向く面(721)と筒状支持部(61)との接触を利用することにより、回転部材(6)と補強部材(7)とを軸方向(L)に位置決めすることができる。従って、補強部材(7)を回転部材(6)に対して適切な位置に組み付けることが容易となっている。
また、
前記筒状嵌合部(71)は、前記筒状支持部(61)の前記外周面(6F)における前記軸方向(L)で前記フランジ部(62)に対して前記開口部(63)の側の領域である開口部側外周面領域(RF)のうち、当該開口部側外周面領域(RF)の前記軸方向(L)の中央位置(Lm)よりも前記開口部(63)の側の少なくとも一部の領域を覆うように配置されていると好適である。
筒状支持部(61)は、フランジ部(62)に近い部分に比べて、開口部(63)に近い部分の方が強度的に弱いため、大きな遠心力が作用した場合には、開口部(63)に近い部分の方がフランジ部(62)に近い部分よりも変形し易い。本構成によれば、筒状嵌合部(71)が、上記のように筒状支持部(61)における比較的変形し易い部分である、開口部側外周面領域(RF)の軸方向(L)の中央領域よりも開口部(63)の側の部分の少なくとも一部の領域を覆うように配置されているため、筒状支持部(61)の径方向(R)の外側への変形を効果的に小さく抑えることができる。
また、
前記筒状嵌合部(71)が、前記筒状支持部(61)に対して圧入又は焼き嵌めされていると好適である。
本構成によれば、筒状支持部(61)と筒状嵌合部(71)とのはめあいをしまりばめとした構成を適切に実現することができる。
また、
前記筒状支持部(61)に、当該筒状支持部(61)を前記径方向(R)に貫通する第1油路(60)が形成され、
前記筒状嵌合部(71)に、当該筒状嵌合部(71)を前記径方向(R)に貫通する第2油路(70)が形成され、
前記回転部材(6)と前記補強部材(7)とが、前記筒状支持部(61)と前記筒状嵌合部(71)との周方向の相対位置を位置決めする周方向位置決め部(8)を備え、
前記周方向位置決め部(8)は、前記第1油路(60)と前記第2油路(70)とが連通する位置関係となるように設けられていると好適である。
本構成によれば、回転部材(6)の回転を利用して、筒状支持部(61)よりも径方向(R)の内側から筒状嵌合部(71)よりも径方向(R)の外側へ、摩擦部材(Cf1)の潤滑や冷却のための油を流通させることができる。従って、補強部材(7)を備えたことによって油の流通が阻害されることを抑制できる。また、回転部材(6)と補強部材(7)とが周方向位置決め部(8)を備えているため、回転部材(6)と補強部材(7)とを、油路が連通するような周方向の位置関係となるように適切に位置決めすることができる。従って、補強部材(7)を回転部材(6)に対して適切な位置に組み付けることが容易となっている。
また、
前記補強部材(7)は、前記回転部材(6)よりも引張強度が高い材質により構成されていると好適である。
本構成によれば、遠心力によって径方向(R)の外側に変形しようとする筒状支持部(61)を径方向(R)の外側から押圧するための補強部材(7)の強度を適切に確保し易い。また、そのような強度を確保しつつ補強部材(7)の径方向(R)の厚みを小さく抑えることができるため、摩擦係合装置用支持部材(FS)の小型化を図ることもできる。
また、
回転電機(1)を備えた車両用駆動装置(100)において、前記回転電機(1)の回転速度以上の回転速度で回転するクラッチドラム(CD)として構成されていると好適である。
本構成によれば、車両用駆動装置(100)において、回転電機(1)の回転速度以上の回転速度でクラッチドラム(CD)が回転する場合であっても、遠心力の作用による当該クラッチドラム(CD)の径方向(R)の外側への変形を小さく抑えることができる。従って、クラッチ(C)の動作精度が高い車両用駆動装置(100)を実現することができる。
本開示に係る技術は、摩擦係合装置に用いられる摩擦係合装置用支持部材に利用することができる。
100 :車両用駆動装置
1 :回転電機
6 :回転部材
6F :外周面
60 :第1油路
61 :筒状支持部
613 :端面
62 :フランジ部
63 :第1開口部(開口部)
7 :補強部材
70 :第2油路
71 :筒状嵌合部
72 :補強フランジ部
8 :周方向位置決め部
AX :回転軸心
C :クラッチ
CD :クラッチドラム
FS :摩擦係合装置用支持部材
L :軸方向
L1 :軸方向第1側
L2 :軸方向第2側
Lm :中央位置
R :径方向

Claims (8)

  1. 回転部材と、
    前記回転部材に組み付けられる補強部材と、を備え、
    前記回転部材は、
    当該回転部材の回転軸心を軸心とする筒状に形成され、複数枚の円環板状の摩擦部材を径方向の外側から支持する筒状支持部と、
    前記筒状支持部と一体的に形成され、前記筒状支持部から前記径方向の内側に向けて延在するフランジ部と、を備え、
    前記筒状支持部における軸方向一方側の端部には、当該軸方向一方側に開口する開口部が形成され、
    前記補強部材は、
    前記筒状支持部の外周面に嵌合する筒状嵌合部と、
    前記回転部材に対して軸方向に当接する軸方向当接部と、を備え、
    前記筒状支持部と前記筒状嵌合部とのはめあいがしまりばめとなっている、摩擦係合装置用支持部材。
  2. 前記補強部材は、前記筒状嵌合部と一体的に形成され、前記筒状嵌合部から前記径方向の内側に向けて延在する補強フランジ部を備えている、請求項1に記載の摩擦係合装置用支持部材。
  3. 前記補強フランジ部における前記軸方向を向く面が、前記筒状支持部に対して前記軸方向に当接する前記軸方向当接部となっている、請求項2に記載の摩擦係合装置用支持部材。
  4. 前記筒状嵌合部は、前記筒状支持部の前記外周面における前記軸方向で前記フランジ部に対して前記開口部の側の領域である開口部側外周面領域のうち、当該開口部側外周面領域の前記軸方向の中央領域よりも前記開口部の側の少なくとも一部の領域を覆うように配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の摩擦係合装置用支持部材。
  5. 前記筒状嵌合部が、前記筒状支持部に対して圧入又は焼き嵌めされている、請求項1から4のいずれか一項に記載の摩擦係合装置用支持部材。
  6. 前記筒状支持部に、当該筒状支持部を前記径方向に貫通する第1油路が形成され、
    前記筒状嵌合部に、当該筒状嵌合部を前記径方向に貫通する第2油路が形成され、
    前記回転部材と前記補強部材とが、前記筒状支持部と前記筒状嵌合部との周方向の相対位置を位置決めする周方向位置決め部を備え、
    前記周方向位置決め部は、前記第1油路と前記第2油路とが連通する位置関係となるように設けられている、請求項1から5のいずれか一項に記載の摩擦係合装置用支持部材。
  7. 前記補強部材は、前記回転部材よりも引張強度が高い材質により構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の摩擦係合装置用支持部材。
  8. 回転電機を備えた車両用駆動装置において、前記回転電機の回転速度以上の回転速度で回転するクラッチドラムとして構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の摩擦係合装置用支持部材。
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