JP2021088667A - 硬化性組成物、偏光子保護フィルム及び偏光板 - Google Patents

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Abstract

【課題】各種基材の表面にハードコート層を有する偏光子保護フィルム等の積層体において、ハードコート層の帯電防止性及び硬度を損なうことなく、基材との密着性を向上できる硬化性組成物、この硬化性組成物の硬化物からなるハードコート層を基材フィルムの表面に有する積層体からなる偏光子保護フィルム、及びこの偏光子保護フィルムを偏光子に貼り合わせてなる偏光板を提供する。【解決手段】ラジカル重合可能な二重結合を3個以上有する(メタ)アクリレート(M)と、アクリル系重合体(P)、および4級アンモニウム塩基を有する重合体(S)を含有する硬化性組成物。この硬化性組成物の硬化物からなるハードコート層が、プラスチック製フィルムの片面だけに積層された積層体からなる偏光子保護フィルム。この偏光子保護フィルムのハードコート層を有していない面を偏光子に貼り合わせてなる偏光板。【選択図】なし

Description

本発明は、プラスチック基材の表面にハードコート層を形成するための硬化性組成物、この硬化性組成物の硬化物からなるハードコート層を基材フィルムの表面に有する積層体からなる偏光子保護フィルム、及びこの偏光子保護フィルムを偏光子に貼り合わせてなる偏光板に関する。
液晶表示装置などに用いられる偏光板には偏光子に偏光子保護フィルムが積層されたものが用いられる。従来、偏光子保護フィルムにはトリアセチルセルロース(以下、TACという。)フィルムが使用されてきた。TACフィルムは一般的に表面硬度が低いため、傷付き防止を目的として表面にハードコート層が積層されている。
近年、液晶表示装置の大型化あるいは薄型化に伴い、TACよりも透湿防止性の高いアクリル系重合体や、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという。)、環状オレフィンポリマー(以下、COPという。)などの各種プラスチック製のフィルムを偏光子保護フィルムとして利用する検討がなされている。
また、携帯電話、スマートフォン等の液晶表示装置を有する電子機器においては、デザインの多様化、薄型化、大面積化の進展に伴い、その液晶表示装置のカバー自体にも薄型化、軽量化、安価化等の要求が高まっている。この表示体カバーとしてはガラス基材が一般的に使用されているが、表示体カバーそれ自体の薄型化、軽量化、安価化等の要求に伴い、現在では前記の偏光子保護フィルムと同様に各種プラスチック製のシートの使用が検討されている。
このような偏光子保護フィルム、表示体カバーにも傷付き防止を目的として表面にハードコート層が求められている。ハードコート層には表面固有抵抗値が高く静電気が発生し易いものが多く、埃の付着により美観や透明性が低下することから、ハードコート剤には帯電防止性付与剤が配合されることがある。
例えば、特許文献1には、活性エネルギー線硬化性化合物と、脂環構造及び4級アンモニウム塩を有する樹脂と、有機溶剤とを含有する活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物を、ポリメチルメタクリレート基材に積層した積層体が記載されている。また、特許文献2には、カルボキシル基とアクリロイル基とを有する(メタ)アクリレート及びN,N−ジアルキルアミノ基と4級アンモニウム塩基とを有する重合体を含有する活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物を、プラスチック製品に積層した積層体が記載されている。
特開2019−073618号公報 特開2002−121208号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載の硬化性組成物の硬化物からなる層は、基材の材質によっては、基材への密着性が低いという問題があった。
本発明は、各種基材の表面にハードコート層を有する偏光子保護フィルム等の積層体において、ハードコート層の帯電防止性及び硬度を損なうことなく、基材との密着性を向上できる硬化性組成物、この硬化性組成物の硬化物からなるハードコート層を基材フィルムの表面に有する積層体からなる偏光子保護フィルム、及びこの偏光子保護フィルムを偏光子に貼り合わせてなる偏光板を提供することを目的とする。
前記課題は本発明によって解決される。本発明の要旨は以下の[1]から[13]にある。
[1] ラジカル重合可能な二重結合を3個以上有する(メタ)アクリレート(M)、アクリル系重合体(P)、および4級アンモニウム塩基を有する重合体(S)を含有する硬化性組成物。
[2] さらに光重合開始剤(I)を含有する前記[1]に記載の硬化性組成物。
[3] 前記光重合開始剤(I)が分子内開裂型光重合開始剤(I1)を含む前記[2]に記載の硬化性組成物。
[4] 前記分子内開裂型光重合開始剤(I1)が、光吸収スペクトルの280nm以上380nm以下の領域に極大吸収波長を有する化合物である前記[3]に記載の硬化性組成物。
[5] 前記光重合開始剤(I)が、水素引き抜き型光重合開始剤(I2)を含む前記[2]〜[4]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[6] 前記水素引き抜き型光重合開始剤(I2)が、光吸収スペクトルの200nm以上280nm以下の領域に極大吸収波長を有する化合物である前記[5]に記載の硬化性組成物。
[7] 前記水素引き抜き型光重合開始剤(I2)が、ベンゾフェノンである前記[6]に記載の硬化性組成物。
[8] 前記(メタ)アクリレート(M)のラジカル重合可能な二重結合の数が、4以上15以下である前記[1]〜[7]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[9] 前記アクリル系重合体(P)の重量平均分子量が、1000以上70000以下である前記[1]〜[8]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[10] 前記アクリル系重合体(P)が、重量基準で80%以上がメタクリル酸メチルに由来する構成単位からなる重合体である前記[1]〜[9]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[11] 前記4級アンモニウム塩基を有する重合体(S)が、4級アンモニウム塩基含有単量体由来の構成単位とその他の構成単位からなり、当該4級アンモニウム塩基含有単量体由来の構成単位の割合が10〜90重量%である前記[1]〜[10]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[12] 前記[1]〜[11]のいずれかに記載の硬化性組成物の硬化物からなるハードコート層が、プラスチック製フィルムの片面だけに積層された積層体からなる偏光子保護フィルム。
[13] 前記[12]記載の偏光子保護フィルムのハードコート層を有していない面を偏光子に貼り合わせてなる偏光板。
本発明によれば、各種基材の表面にハードコート層を有する偏光子保護フィルム等の積層体において、ハードコート層の帯電防止性及び硬度を損なうことなく、基材との密着性を向上できる硬化性組成物、この硬化性組成物の硬化物からなるハードコート層を基材フィルムの表面に有する積層体からなる偏光子保護フィルム、及びこの偏光子保護フィルムを偏光子に貼り合わせてなる偏光板を提供することができる。
本発明において、「(メタ)アクリレート」という表現を用いる場合、「アクリレート」及び「メタクリレート」の一方又は両方を意味するものとする。「(メタ)アクリロイル」という表現を用いる場合、「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の一方又は両方を意味するものとする。「(メタ)アクリル」という表現を用いる場合、「アクリル」及び「メタクリル」の一方又は両方を意味するものとする。
本発明は、ラジカル重合可能な二重結合を3個以上有する(メタ)アクリレート(M)と、アクリル系重合体(P)、および4級アンモニウム塩基を有する重合体(S)を含有する硬化性組成物(以下、本発明の組成物ともいう。)である。
本発明の組成物を用いることで、各種の基材との密着性が良好な硬化物層を形成することができる。この硬化物層は帯電防止性及び硬度も良好であるので、帯電防止性ハードコート層として好適である。
[(メタ)アクリレート(M)]
本発明の組成物を構成する、ラジカル重合可能な二重結合を3個以上有する(メタ)アクリレート(M)は、硬化物層の表面硬度の向上などに寄与するものである。
(メタ)アクリレート(M)としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート;これらの3官能以上の多官能(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε−カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物の変性物;イソシアヌレート構造等の窒素原子含有複素環構造を有する多官能(メタ)アクリレート;デンドリマー構造を有する多官能(メタ)アクリレート、ハイパーブランチ構造を有する多官能(メタ)アクリレート等の多分岐樹脂状構造を有する多官能(メタ)アクリレート;イソシアネートやトリイソシアネート、イソシアヌレートに、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレートが付加したウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、前記アクリル系重合体(P)との相溶性の点から、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが好ましく、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートがより好ましい。
(メタ)アクリレート(M)のラジカル重合可能な二重結合の数は、硬化物層の表面硬度の点から4以上15以下が好ましく、10以下がより好ましい。
本発明の組成物には、硬化物層の外観や組成液の粘度の調整のために、(メタ)アクリレート(M)以外の単官能や二官能の(メタ)アクリレートを配合してもよい。
単官能の(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;メトキシエチル(メタ)アクリート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;ジアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート;メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリール(メタ)アクリレート、フェニルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート等のエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の複素環含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
二官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等のビスフェノール変性ジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ウレタンジ(メタ)アクリレート、エポキシジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
[アクリル系重合体(P)]
本発明の組成物を構成する、アクリル系重合体(P)は、硬化物層と各種基材との密着性の向上などに寄与するものである。
アクリル系重合体(P)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主な構成単位とし、ラジカル重合可能な二重結合を有さない重合体である。前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル及び(メタ)アクリル酸n−ヘキシル等が挙げられる。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、アクリル系重合体(P)の(メタ)アクリレート(M)との相溶性、ハードコート層の耐熱性の点から、(メタ)アクリル酸メチルが好ましい。
アクリル系重合体(P)を構成する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、特にメタクリル酸メチル由来の構成単位の割合は、重量基準で60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上99.9%以下がさらに好ましい。
アクリル系重合体(P)の重量平均分子量は好ましくは1000以上70000以下であり、3000以上60000以下がより好ましく、5000以上50000以下がさらに好ましい。上記範囲で使用することで硬化物層の表面硬度と平滑性を確保することができる。
アクリル系重合体(P)のガラス転移温度(Tg)は、硬化物層の機械特性を良好にする点から、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、70℃以上がさらに好ましい。また、そのガラス転移温度(Tg)は、硬化物層を積層させて得られた積層体の加工性を良好にする点から、140℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましく、120℃以下がさらに好ましい。
ガラス転移温度(Tg)は、アクリル系重合体(P)を構成する単量体単位の種類および質量分率から、下記のFoxの式により求められる。
1/Tg=Σ(Wi/Tgi)
この式で、Tgはアクリル系重合体(P)のガラス転移温度(単位はK)、Wiはアクリル系重合体(P)を構成する単量体i由来の単量体単位の質量分率、Tgiは単量体iの単独重合体のガラス転移温度(単位はK)を示す。Tgiの値は、POLYMER HANDBOOK Volume 1(WILEY−INTERSCIENCE)に記載の値を用いることができる。
アクリル系重合体(P)の製造方法としては、例えば、溶液重合法、懸濁重合法及び乳化重合法が挙げられる。アクリル系重合体(P)の重量平均分子量は、重合開始剤、連鎖移動剤、固形分濃度、反応条件等により調整することができる。
本発明の組成物には有機溶媒を含んでいてもよい。その場合、アクリル系重合体(P)は、有機溶媒に容易に溶解することができる点から、粒子形状のものを用いることが好ましい。粒子形状のアクリル系重合体(P)の製造方法としては懸濁重合法が好ましい。
懸濁重合法によるアクリル系重合体(P)の製造方法としては、例えば、水、分散剤及び単量体を含む水性懸濁液に重合開始剤を添加した後にこれを加熱して重合を実施し、次いで、粒子形状のアクリル系重合体(P)を含む水性懸濁液を濾別、洗浄、脱水及び乾燥する方法が挙げられる。
懸濁重合法で用いる分散剤としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸メチルの共重合体、ケン化度70%以上100%以下のポリビニルアルコ−ル及びメチルセルロ−ス等が挙げられる。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
懸濁重合法における分散剤の添加量としては、懸濁重合における分散安定性、並びに得られる粒子形状の重合体の洗浄性、脱水性、乾燥性及び流動性が向上する点から、重合させる全単量体100質量部に対して0.005質量部以上5質量部以下が好ましく、0.01質量部以上1質量部以下がより好ましい。
懸濁重合法では分散安定性向上を目的として、水性懸濁液中に炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マンガン等の電解質を加えることもできる。
懸濁重合法で用いる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;及び過酸化水素、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物が挙げられる。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系重合体(P)を製造する際、連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、チオグリコール酸オクチル等のチオグリコール酸エステル、ビス(ボロンジフルオロジフェニルグリオキシメイト)コバルト(II)等のコバルト金属錯体、α−メチルスチレンダイマー及びターピノーレンが挙げられる。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、本発明の組成物の臭気や本発明の組成物の硬化物の耐候性の点から、ビス(ボロンジフルオロジフェニルグリオキシメイト)コバルト(II)等のコバルト金属錯体が好ましい。
アクリル系重合体(P)を製造する際の重合温度としては、短時間での重合及び重合安定性の点から、50℃以上130℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
[重合体(■)]
本発明の組成物を構成する、4級アンモニウム塩基を有する重合体(■)は、硬化物層の帯電防止性に寄与するものである。
前記重合体(S)は、N,N−ジアルキルアミノ基含有単量体の4級アンモニウム塩などの4級アンモニウム塩基を有する単量体単位を有する重合体である。重合体(S)は、例えば、4級アンモニウム塩基を有する単量体を単独重合、又はその他の単量体と共重合して製造することができる。
N,N−ジアルキルアミノ基含有単量体としては、例えば、アミノアルコールの(メタ)アクリル酸エステル、具体的には、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジヒドロキシエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、特にN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好適に使用される。N,N−ジアルキルアミノ基の2つアルキル基は異なっていてもよい。
N,N−ジアルキルアミノ基含有単量体の4級アンモニウム塩としては、例えば、市販のN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライドによる4級化物[例えば、商品名「ライトエステル(登録商標)DQ−100」、共栄社化学株式会社製]などが挙げられる。N,N−ジアルキルアミノ基含有単量体の4級アンモニウム塩は、アミノアルコールの(メタ)アクリル酸エステルの4級化反応によって製造することもできる。
重合体(S)は、4級アンモニウム塩基を有する単量体以外の重合性単量体単位を含んでいてもよく、このような重合性単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;前記のアミノアルコールの(メタ)アクリル酸エステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。これらの中で、疎水性の高い長鎖アルキル基を有する重合性単量体は、重合体(S)を硬化物層の空気界面に偏析させて、硬化物層の帯電防止性を高めることができるので好ましい。このような長鎖アルキル基を有する重合性単量体としては、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
重合体(S)中の4級アンモニウム塩基含有単量体単位の割合は、10〜90重量%が好ましく、20〜70重量%がより好ましい。この割合は多いほど帯電防止性が高くなり、少ないほど硬化物層の透明性が向上する傾向がある。
重合体(S)の重量平均分子量は、800〜120,000が好ましく、2,000〜60,000がより好ましい。
重合体(S)体は、上記の原料単量体を用いてラジカル重合反応により製造することができる。ラジカル重合反応は、有機溶媒中でラジカル重合開始剤の存在下で実施することが好ましい。
ラジカル重合反応に用いる有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン系溶媒;エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、イソブタノール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−エトキシエチルアセタート等のエステル系溶媒;トルエン等の芳香族炭化水素溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラジカル重合反応に用いるラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。ラジカル重合開始剤は、原料単量体の合計100重量部に対して0.01〜5重量部の範囲で用いることが好ましい。
また、ラジカル重合反応の際には、重合体(S)の重量平均分子量を制御する目的で連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、例えば、ブタンチオール、オクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオール、ヘキサデカンチオール、オクタデカンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、チオフェノール、チオグリコール酸オクチル、2−メルカプトプロピオン酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル、チオグリコール酸2−エチルへキシル、ブチル−3−メルカプトプロピオネート、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチル−3−メルカプトプロピオネート、2,2−(エチレンジオキシ)ジエタンチオール、エタンチオール、4−メチルベンゼンチオール、オクタン酸2−メルカプトエチルエステル、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、デカントリチオール、ドデシルメルカプタン、ジフェニルスルホキシド、ジベンジルスルフィド、2,3−ジメチルカプト−1−プロパノ−ル、メルカプトエタノール、チオサリチル酸、チオグリセロール、チオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、メルカプト酢酸、メルカプト琥珀酸、2−メルカプトエタンスルホン酸等のチオール系化合物等が挙げられる。これらは、1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
連鎖移動剤の使用量は、原料単量体の合計100重量部に対して0.1〜25重量部が好ましく、0.5〜20重量部がより好ましく、1.0〜15重量部がさらに好ましい。
ラジカル重合反応の反応時間は1〜20時間が好ましく、3〜12時間がより好ましい。また、反応温度は40〜120℃が好ましく、50〜100℃がより好ましい。
[硬化性組成物の組成割合]
本発明の組成物中の(メタ)アクリレート(M)の割合は、溶媒を除く全成分に対して、好ましくは5〜90重量%、より好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは15〜70重量%、特に好ましくは20〜60重量%の範囲である。当該範囲で使用することで良好な表面硬度が得られる。
本発明の組成物中のアクリル系重合体(P)の割合は、溶媒を除く全成分に対して、好ましくは5〜80重量%、より好ましくは8〜70重量%、さらに好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは15〜50重量%の範囲である。当該範囲で使用することで硬化物層と基材との良好な密着性が得られる。
本発明の組成物中の重合体(S)の割合は、溶媒を除く全成分に対して、好ましくは1〜80重量%、より好ましくは2〜60重量%、さらに好ましくは3〜40重量%、特に好ましくは4〜30重量%の範囲である。当該範囲で使用することで硬化物層の帯電防止性と透明性の両立がしやすくなる。
[光重合開始剤(I)]
また、本発明の組成物には、さらに光重合開始剤(I)を含有することが好ましい。前記光重合開始剤(I)は光照射によって重合反応を惹起する触媒作用を有するので、本発明の組成物の硬化性向上が期待できる。前記光重合開始剤(I)としては例えば、分子内開裂型光重合開始剤(I1)、水素引き抜き型光重合開始剤(I2)等が挙げられる。分子内開裂型光重合開始剤(I1)とは、与えられた光を吸収して励起状態になったのち、その物自体が光開裂して2つのラジカルを生成するものであり、水素引き抜き型光重合開始剤(I2)とは、他の分子から水素を引き抜いてラジカルを生成するものである。
分子内開裂型光重合開始剤(I1)を使用すると表面硬度が向上し、水素引き抜き型光重合開始剤(I2)を使用すると硬化物層の基材との密着性が向上する傾向がある。また、これらを併用することで、表面硬度と密着性を両立できる。
分子内開裂型光重合開始剤(I1)としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[例えば、商品名「Omnirad(登録商標)184」、IGM社製]、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン[例えば、商品名「Omnirad(登録商標)651」IGM社製]、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド[例えば、商品名「Omnirad(登録商標)819」、IGM社製]、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン[例えば、商品名「Omnirad(登録商標)907」、IGM社製]、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン[例えば、商品名「Darocure(登録商標)1173」、IGM社製]等が挙げられる。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、比較的小さなエネルギーの光線でも開裂しやすく硬化性が高くなることから、光吸収スペクトルの280nm以上380nm未満の波長帯の領域に極大吸収波長を有する2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等の化合物が好ましい。
水素引き抜き型光重合開始剤(I2)としては、例えば、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンゾフェノン及びその誘導体からなるベンゾフェノン類等が挙げられる。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、基材に塗布した硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して硬化物層を形成する際に塗膜の深部の硬化が表面より遅延するため硬化物層と基材との密着性が高くなることから、光吸収スペクトルの200nm以上280nm未満の波長帯の領域に極大吸収波長を有する化合物が好ましい。このような化合物としては、例えば、ベンゾフェノンが挙げられる。
本発明の組成物中の光重合開始剤(I)の含有量は、本発明の組成物の硬化性を向上させる点から、(メタ)アクリロイル基を有する化合物の合計100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1.0質量部以上がさらに好ましい。また、本発明の組成物の安定性が良好である点から、15質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、7質量部以下がさらに好ましい。
[光吸収剤(H)]
本発明の組成物は、光吸収剤(H)をさらに含むことも好ましい形態である。光吸収剤(H)を配合しておくことで硬化物層の劣化を防ぎ、硬化物層の密着性向上が期待できる。光吸収剤(H)としては、例えば紫外線吸収剤、ヒンダートアミン系光安定剤が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール[例えば、商品名「Tinuvin(登録商標)PS」、BASF社製]、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブチルオキシフェニル)−6−(2,4−ビス−ブチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン[例えば、商品名「Tinuvin(登録商標)460」、BASF社製]等が挙げられる。
ヒンダートアミン系光安定剤としては、例えば、セバシン酸ビス[2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジン][例えば、商品名「Tinuvin(登録商標)123」、BASF社製]、セバシン酸ビス[1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジン][例えば、商品名「Tinuvin(登録商標)292」、BASF社製]等が挙げられる。
これらの光吸収剤(H)は、1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、(メタ)アクリレート(M)とアクリル系重合体(P)との相溶性が良好となる点から、セバシン酸ビス[2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジン]が好ましい。
本発明の組成物中の前記光吸収剤(H)の含有量は、硬化物層の密着性向上の点から、(メタ)アクリロイル基を有する化合物の合計100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1.0質量部以上がさらに好ましい。また、硬化性を向上させる点から、15質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、7質量部以下がさらに好ましい。
[その他の配合物]
本発明の組成物には、これまで説明した(メタ)アクリレート(M)、アクリル系重合体(P)、重合体(S)、光重合開始剤(I)、光吸収剤(H)、(メタ)アクリレート(M)以外の(メタ)アクリレート以外の「その他の成分」を本発明の効果を阻害しない範囲で含んでいてもよい。その他の成分としては、側鎖にラジカル重合可能な二重結合を有するアクリル系重合体(R)、有機溶媒、充填剤、シランカップリング剤、重合体(S)以外の帯電防止剤、有機顔料、有機粒子、無機粒子、レベリング剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、消泡剤、酸化防止剤、光酸発生剤等が挙げられる。
前記アクリル系重合体(R)とは、アクリル系重合体の側鎖に炭素−炭素二重結合等のラジカル重合可能な二重結合を有する化合物のことである。アクリル系重合体(R)を配合すると硬化物層の表面硬度と各種基材との密着性が向上することがある。アクリル系重合体(R)を製造する方法としては、例えば、エポキシ基を有するアクリル系重合体に二重結合及びカルボキシル基を有する化合物を反応させる方法(方法1)、カルボキシル基を有するアクリル系重合体に二重結合及びエポキシ基を有する化合物を反応させる方法(方法2)、水酸基を有するアクリル系重合体に二重結合及びカルボキシル基を有する化合物を反応させる方法(方法3)、カルボキシル基を有するアクリル系重合体に二重結合及び水酸基を有する化合物を反応させる方法(方法4)、イソシアネート基を有するアクリル系重合体に二重結合及び水酸基を有する化合物を反応させる方法(方法5)、水酸基を有するアクリル系重合体に二重結合及びイソシアネート基を有する化合物を反応させる方法(方法6)等が挙げられる。また、以上の方法は組み合わせて使用してもよい。
前記有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、前記硬化性組成物に含まれる成分の種類等を考慮して適宜選択することができる。有機溶媒の具体例としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)、アニソール、フェネトール等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジアセテート等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。
有機溶媒は1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、(メタ)アクリレート(M)とアクリル系重合体(P)との相溶性が良好となる点から、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒及びケトン系溶媒が好ましい。
[硬化性組成物の製造方法]
本発明の組成物の製造方法は特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリレート(M)、アクリル系重合体(P)及び重合体(S)、並びに、必要により重合開始剤(I)、光吸収剤(H)、(メタ)アクリレート(M)以外の(メタ)アクリレート、及びその他の成分等を混合する方法が挙げられる。混合に際しては、ディスパーザー、撹拌機等で均一に混合することが好ましい。
[基材]
本発明の組成物の硬化物層が積層される基材としては各種の材質のものが挙げられるが、特にプラスチック製基材が硬化物層との密着性の点で好適である。基材の形状はシート形状、フィルム形状等が挙げられる。
プラスチック製基材の材質としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの中でも透明性及び光学特性が良好である点から、トリアセチルセルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂が好ましく、機械特性、耐熱性が良好である点からアクリル樹脂が好ましい。
また、基材の硬化物層を直接積層する表面以外の部分、例えば基材の内部や反対側の面は、当該表面と異なる材質であってもよい。そのような異なる材質としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、(メタ)アクリル樹脂などが挙げられる。これらの中でも透明性及び耐熱性が良好である点から、ポリカーボネート樹脂が好ましく、耐薬品性が良好である点からポリビニルアルコール樹脂が好ましい。そのため、基材としては、これら樹脂の層に前記プラスチック製基材の層を積層したものが好ましい。
基材は、例えば、インフレーション法、Tダイ法等の溶融押出成形法、溶液流延法、カレンダー法等任意の方法で成形して製造することができる。また、必要に応じて1軸もしくは2軸延伸処理を行ってもよい。
基材には、前記の樹脂以外に機能性重合体、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、位相差低減剤、無機粒子、有機粒子等の添加剤を配合してもよい。
[積層体]
本発明の組成物の硬化物層を基材に積層して積層体を製造する方法は特に制限されないが、例えば、基材表面に本発明の組成物を塗布して硬化させる方法を挙げることができる。なお、積層体は、基材の一部の表面、例えば基材がシート状やフィルム状の場合は一方の面のみに硬化物層が形成されていてもよく、他の面、例えば基材がシート状やフィルム状の場合は裏面にも硬化物層が形成されていてもよい。当該硬化物層は基材のハードコート層として機能する。
本発明の組成物を基材に塗布する方法としては、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、マイヤーバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法等が挙げられる。
基材に塗布した組成物を硬化する方法としては、好ましくは40℃以上100℃以下、より好ましくは50℃以上80℃以下で乾燥させた後、40℃以上100℃以下で活性エネルギー線を照射する方法が挙げられる。活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、赤外線及び可視光線が挙げられる。これらの中でも、硬化性及び基材の劣化防止の点から、紫外線及び電子線が好ましい。
活性エネルギー線として紫外線を用いる場合、種々の紫外線照射装置を用いることができる。前記紫外線照射装置の光源としては、キセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LED−UVランプ等を使用することができる。
紫外線の照射量は、硬化工程で必要とされる(メタ)アクリロイル基の反応率に応じて適宜決定されるが、通常10mJ/cm以上10000mJ/cm以下である。前記硬化性組成物の硬化性、前記硬化物の可撓性等の点から、20mJ/cm以上5000mJ/cm以下が好ましく、30mJ/cm以上3000mJ/cm以下がより好ましく、50mJ/cm以上1000mJ/cm以下であることがさらに好ましい。また、生産性の向上を図る場合には、さらに照射量が少ない方が好ましく、500mJ/cm以下、さらには400mJ/cm以下、特に200mJ/cm以下が好ましい。本発明の組成物は、照射量が少なくても性能が発現しやすいという特徴がある。
また、紫外線の照度としては、50mW/cm以上600mW/cm以下が好ましく、75mW/cm以上450mW/cm以下がより好ましく、100mW/cm以上300mW/cm以下がさらに好ましい。
活性エネルギー線として電子線を用いる場合、種々の電子線照射装置を使用することができる。電子線の照射量は、硬化工程で必要とされる(メタ)アクリロイル基の反応率に応じて適宜決定されるが、通常、0.5Mrad以上20Mrad以下である。組成物の硬化性、硬化物の可撓性、基材の損傷防止等の点から、1Mrad以上15Mrad以下が好ましい。
硬化物層の形成において、本発明の組成物の塗布及び硬化は1回のみ行ってもよいし、複数回行ってもよい。塗布及び硬化を複数回繰り返すことで、基材の反りを防止することができる。
硬化物層の厚さは、得られる積層体の鉛筆硬度の点から、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、4μm以上がさらに好ましい。また、耐クラック性の点から、50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましく、8μm以下が特に好ましい。
基材の厚さは任意である。基材がフィルム状の場合、その厚さは、5μm以上3mm以下が好ましく、10μm以上2mm以下より好ましく、15μm以上1mm以下がさらに好ましく、20μm以上250μm以下が特に好ましい。
また、積層体の厚さも任意である。フィルム状の積層体の場合、各層が各々の機能を十分に発揮させる必要性から、積層体の厚さは6μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、15μm以上がさらに好ましい。また、前記積層体が適用される製品の薄型化、軽量化の要請の点から、積層体の厚さは3mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましく、1mm以下がさらに好ましく、300μm以下が特に好ましい。
本発明の組成物の硬化物層をハードコート層として基材に積層した積層体は、基材とハードコート層との密着性及び表面硬度に優れる。このため、当該積層体は、液晶テレビ、有機ELテレビ、電子ペーパー、タッチパネル、スマートフォン等の光学ディスプレイ用部品;ランプ関連物品、ウインドウ関連物品(リアウィンドウ、サイドウィンドウ、天窓等)等の自動車関連部品;各種電気機器の筐体、化粧板、家具等の生活関連物品等の幅広い物品の表面カバーに好適に用いることができる。これらの中でも光学ディスプレイ用部品として好適であり、特にディスプレイ用偏光板の製造において偏光子に貼りあわせて用いる偏光子保護フィルム、ディスプレイ用保護フィルムに好適に用いることができる。
[偏光子保護フィルム、偏光板]
本発明の偏光子保護フィルムは、本発明の組成物の硬化物からなるハードコート層が、プラスチック製フィルムの片面だけに積層された積層体からなる。また、本発明の偏光板は、本発明の偏光子保護フィルムのハードコート層を有していない面を偏光子に貼り合わせたものである。当該偏光子保護フィルムは、偏光子の片側または両側に貼り合せることができる。貼り合せには接着剤や粘着剤等を用いることができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[アクリル系重合体(P)の重量平均分子量(Mw)]
アクリル系重合体(P)の重量平均分子量(Mw)は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)「HLC−8120」(東ソー(株)製)を用いて測定した。カラムとしては、TSKgel G5000HXL*GMHXL−L(東ソー(株)製)を使用した。また、標準ポリスチレンとして、F288/F80/F40/F10/F4/F1/A5000/A1000/A500(東ソー(株)製)及びスチレンを使用して検量線を作成した。
測定は、重合体をテトラヒドロフランに濃度が0.4%になるように溶解した溶液100μlを使用してカラムオーブン温度40℃で行った。重量平均分子量(Mw)は標準ポリスチレン換算にて算出した。
実施例及び比較例の評価は以下の方法で実施した。
[密着性の評価]
積層体の硬化物層側の面をJIS K−5400の碁盤目剥離試験(碁盤目数:100個)に準じて評価し、剥離試験後に残ったマス目を評価した。残ったマス目の多い方がより密着性が良好であることを示す。特に初期密着性(耐候性試験をしない場合の密着性)においては、剥がれがないことが重要であり、好ましくは96個以上、より好ましくは98個以上、さらに好ましくは100個(剥がれがない)となり、各種の用途に使用するためには100個であることが重要となる。
[鉛筆硬度の測定]
積層体の硬化物層側の面について、JIS準拠鉛筆硬度計を用いてJIS K−5400に準じて、荷重500gで傷の入らない鉛筆硬度を測定した。鉛筆硬度は各種の用途での利用を考慮するとF以上であることが好ましい。
[帯電防止性の評価]
積層体を23℃、湿度50%RHの恒温室内で24時間状態を調整した。その後、同恒温室内で、積層体の硬化物層側の面について高抵抗抵抗率計(三菱ケミカルアナリテック社製「ハイレスタ−UP MCP−HT4 50」)を用いて500Vの電圧を印加した後の表面固有抵抗値を測定し、帯電防止性の指標とした。表面固有抵抗値は小さいほど帯電防止性が良好であること示す。
[(メタ)アクリレート(M)]
ラジカル重合可能な二重結合を3個以上有する(メタ)アクリレート(M)として、以下の市販品を使用した。
(B−1I) ビスコート(登録商標)#300(大阪有機化学工業株式会社製)
ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物
(B−1II) カヤラッド(登録商標)DPHA(日本化薬株式会社製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物
(B−1III) アロニックス(登録商標)M510(東亜合成株式会社製)
ペンタエリスリトールトリアクリレートの無水コハク酸変性物とペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物
(B−1IV) 紫光(登録商標)UV−7600B(三菱ケミカル株式会社製)
3官能以上の多官能ウレタンアクリレートオリゴマー
[(メタ)アクリレート(M)以外の(メタ)アクリレート]
(メタ)アクリレート(M)以外の(メタ)アクリレートとして、以下の市販品を使用した。
(B−1V) アクリエステル(登録商標)SL(三菱ケミカル株式会社製)
ラウリルメタクリレートとトリデシルメタクリレートの45:55(重量比)の混合物
(B−1VI) アクリエステル(登録商標)DM(三菱ケミカル株式会社製)
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
(B−1VII) ライトエステル(登録商標)DQ−100(共栄社化学株式会社製)
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライドによる4級化物
[アクリル系重合体(P)]
アクリル系重合体(P)として、以下の製造例1−1〜1−3に記載の方法で製造した重合体(B−2I)、あるいは製造例1−4に記載の方法で製造した重合体(B−2II)を使用した。
[製造例1−1]分散剤(X)の製造
撹拌機、冷却管及び温度計を備えたフラスコ中に脱イオン水900部、メタクリル酸2−スルホエチルナトリウム60部、メタクリル酸カリウム10部及びメタクリル酸メチル12部を入れて撹拌し、フラスコ内を窒素置換しながら50℃に昇温した。次いで、フラスコ中に重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩0.08部を添加し、更に60℃に昇温した。昇温後、滴下ポンプを使用して、メタクリル酸メチル18部を0.24部/分の速度で連続的に滴下した。得られた反応溶液を60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分10%の分散剤(X)を得た。
[製造例1−2]連鎖移動剤(Y)の製造
撹拌装置を備えたフラスコ中に、窒素雰囲気下で、酢酸コバルト(II)四水和物1.00g、ジフェニルグリオキシム1.93g及び予め窒素バブリングにより脱酸素したジエチルエーテル80mlを入れ、室温で30分間攪拌した。次いで、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体10mlを加え、更に6時間攪拌した。得られた反応物を濾過し、固形分をジエチルエーテルで洗浄し、15時間真空乾燥して、赤褐色固体の連鎖移動剤(Y)2.12gを得た。
[製造例1−3]重合体(B−2I)の製造
撹拌機、冷却管及び温度計を備えたフラスコ中に、脱イオン水145部、硫酸ナトリウム0.1部及び分散剤(X)0.25部を入れて撹拌し、均一な水溶液とした。次いで、フラスコ中にメタクリル酸メチル100部、連鎖移動剤(Y)0.005部及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.4部の単量体混合物を加え、水性懸濁液とした。次に、フラスコ内を窒素置換し、80℃に昇温して約1時間反応させ、更に重合率を上げるため、93℃に昇温して1時間保持した。次に、反応液を40℃に冷却して、水性重合体懸濁液を得た。目開き45μmのナイロン製濾過布を用いて、この水性重合体懸濁液に含まれる重合体を濾別し、脱イオン水で洗浄した後、40℃で16時間乾燥することで、重合体(B−2I)を得た。重合体(B−2I)のガラス転移温度(Tg)は82℃、重量平均分子量(Mw)は7800であった。
[製造例1−4]重合体(B−2II)の製造
撹拌機、冷却管及び温度計を備えたフラスコ中に、脱イオン水145部、硫酸ナトリウム0.1部及び分散剤(X)0.25部を入れて撹拌し、均一な水溶液とした。次いで、フラスコ中にメタクリル酸メチル100部、n−ドデシルメルカプタン0.9部及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.2部の単量体混合物を加え、水性懸濁液とした。次に、フラスコ内を窒素置換し、68℃に昇温して約3時間反応させ、更に重合率を上げるため、93℃に昇温して1時間保持した。次に、反応液を40℃に冷却して、水性重合体懸濁液を得た。目開き45μmのナイロン製濾過布を用いて、この水性重合体懸濁液に含まれる重合体を濾別し、脱イオン水で洗浄した後、40℃で16時間乾燥することで、重合体(B−2II)を得た。重合体(B−2II)のガラス転移温度(Tg)は105℃、重量平均分子量(Mw)40000であった。
[4級アンモニウム塩基を有する重合体(S)]
4級アンモニウム塩基を有する重合体(S)として、以下の製造例2−1に記載の方法で製造した4級アンモニウム塩基を有する重合体(S−1I)の溶液を使用した。
[製造例2−1]重合体(S−1I)の製造
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を取り付けた反応器に、DQ100:18質量部、SLMA:7.5質量部、DMMA:4.5質量部、メチルエチルケトン(MEK):20質量部、イソプロピルアルコール(IPA):50質量部を仕込み、撹拌開始後に系内を窒素置換し、55℃に昇温した。ここへ、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬社製「V−65」):0.6質量部を添加した後、系内を65 ℃まで昇温し、3時間撹拌した後、さらに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル):0.6質量部を添加して65℃で3時間撹拌した。系内を80℃まで昇温し、2時間撹拌した後、室温まで冷却し、重合体(S−1I)の溶液を得た。この溶液の組成は重合体(S−1I)/MEK/IPA=30/20/50(重量比)であった。重合体(S−1I)の重量平均分子量(Mw)は45,200であった。
光重合開始剤(I)として、以下の市販品を使用した。
(C−1)ベンゾフェノン(大同化成工業株式会社製)
(C−2)Omnirad−184(IGM社製)
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
基材として、以下のフィルムを使用した。
(F−1)ポリメタクリル酸メチル層とポリエチレンテレフタレート層を積層したフィルム(アクリル樹脂フィルム)、厚さ40μmのポリメタクリル酸メチル層側を使用
(F−2)トリアセチルセルロースフィルム、厚さ40μm
[実施例1]
(メタ)アクリレート(M)として「B−1I」を30質量部、「B−1II」を68質量部、「B−1III」を0.7質量部、アクリル系重合体(P)として「B−2I」を100質量部、4級アンモニウム塩基を有する重合体(S)として製造例2−1で製造した「S−1I」の溶液を4.33質量部(「S−1I」を1.3質量部)、ベンゾフェノン「C−1」を3質量部混合し、これを溶媒のIPA、MEK、メチルイソブチルケトン(MIBK)及びn−ブタノール(n−BuOH)により、固形分濃度40質量%となるように希釈して硬化性組成物を得た。
得られた硬化性組成物を、基材となるアクリル樹脂フィルム「F−1」のポリメタクリル酸メチル層側に、バーコーター#10を用いて乾燥後の塗膜厚さが5μmになるように塗布し、70℃で2分間加熱乾燥した。硬化性組成物の塗膜に高圧水銀灯を光源とした岩崎電気株式会社製「US5−X0401」を使用してUV照度120mW/cmで積算光量が200mJ/cmとなるように紫外線を1パス照射することで硬化性組成物を硬化させ、基材のポリメタクリル酸メチル層側の表面に硬化物層を積層し、積層体を得た。
得られた積層体について、鉛筆硬度および密着性の評価を行った。評価結果は、鉛筆硬度が2H、密着性が100、表面抵抗値は5.1×1010Ω/□といずれも良好な結果であった。硬化性組成物の組成(単位は質量部)と評価結果を表1に示した。
[実施例2〜8]
表1に示すように硬化性組成物の組成および基材フィルムを変更した以外は実施例1と同様にして硬化物層を積層し、積層体を得た。得られた積層体の評価結果は表1に示す通りであった。
[比較例1〜3]
表2に示すように硬化性組成物の組成および基材フィルムを変更した以外は実施例1と同様にして硬化物層を積層し、積層体を得た。得られた積層体の評価結果は表2に示す通りであり、重合体(S)を含まない比較例1および2は帯電防止性が悪く、アクリル系重合体(P)を含まない比較例3は密着性が悪かった。
Figure 2021088667
Figure 2021088667
本発明の組成物の硬化物層をハードコート層として基材に積層した積層体は、液晶テレビ、有機ELテレビ、電子ペーパー、タッチパネル、スマートフォン等の光学ディスプレイ用部品等に広く適用できる。特にディスプレイ用偏光板の製造において偏光子に貼りあわせて用いる偏光子保護フィルム、ディスプレイ用保護フィルム用途に好適に用いることができる。

Claims (13)

  1. ラジカル重合可能な二重結合を3個以上有する(メタ)アクリレート(M)、アクリル系重合体(P)、および4級アンモニウム塩基を有する重合体(S)を含有する硬化性組成物。
  2. さらに光重合開始剤(I)を含有する請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記光重合開始剤(I)が分子内開裂型光重合開始剤(I1)を含む請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記分子内開裂型光重合開始剤(I1)が、光吸収スペクトルの280nm以上380nm以下の領域に極大吸収波長を有する化合物である請求項3に記載の硬化性組成物。
  5. 前記光重合開始剤(I)が、水素引き抜き型光重合開始剤(I2)を含む請求項2〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  6. 前記水素引き抜き型光重合開始剤(I2)が、光吸収スペクトルの200nm以上280nm以下の領域に極大吸収波長を有する化合物である請求項5に記載の硬化性組成物。
  7. 前記水素引き抜き型光重合開始剤(I2)が、ベンゾフェノンである請求項6に記載の硬化性組成物。
  8. 前記(メタ)アクリレート(M)のラジカル重合可能な二重結合の数が、4以上15以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  9. 前記アクリル系重合体(P)の重量平均分子量が、1000以上70000以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  10. 前記アクリル系重合体(P)が、重量基準で80%以上がメタクリル酸メチルに由来する構成単位からなる重合体である請求項1〜9のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  11. 前記4級アンモニウム塩基を有する重合体(S)が、4級アンモニウム塩基含有単量体由来の構成単位とその他の構成単位からなり、当該4級アンモニウム塩基含有単量体由来の構成単位の割合が10〜90重量%である請求項1〜10のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の硬化性組成物の硬化物からなるハードコート層が、プラスチック製フィルムの片面だけに積層された積層体からなる偏光子保護フィルム。
  13. 請求項12記載の偏光子保護フィルムのハードコート層を有していない面を偏光子に貼り合わせてなる偏光板。
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