JP2021086752A - ケーブルおよび電線 - Google Patents

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Abstract

【課題】ケーブルにおいて難燃性、耐熱性および復元性を高い水準でバランスよく得る。【解決手段】導体と、導体の周囲に被覆される絶縁層と、絶縁層の周囲に被覆される外皮層とを備えるケーブルであって、外皮層は、ベースポリマ(A)、可塑剤(B)、安定剤(C)および難燃剤(D)を含む難燃性樹脂組成物から形成され、ベースポリマ(A)は、塩素化ポリエチレン(a1)と、アジペート系、ラクトン系およびカーボネート系の少なくとも1つのウレタン熱可塑性エラストマ(a2)とを含み、安定剤(C)は、ハイドロタルサイト(c1)および金属石鹸(c2)を含み、難燃剤(D)は、金属水酸化物(d1)、臭素系難燃剤(d2)、非晶質シリカ(d3)および三酸化アンチモン(d4)の少なくとも1つを含む、ケーブルである。【選択図】図1

Description

本発明は、ケーブルおよび電線に関する。
ケーブルは、例えば、導体の周囲に絶縁層が設けられた電線の周囲に被覆材としての外皮層(いわゆるシース)を設けて構成される。外皮層は、ゴムや樹脂を主原料とした樹脂組成物から形成されており、この樹脂組成物としては、例えば難燃剤を配合した軟質塩化ビニル樹脂組成物(軟質PVC)が用いられている。
樹脂組成物には、ケーブルの用途に応じて異なる特性が要求される。例えば、FAロボット用のケーブルには、難燃性や耐熱性、復元性が要求される。特に、近年、FAロボットが多関節多軸型で構成され、使用されるケーブルは機器の移動に伴い繰り返し曲げられることから、高い復元性が求められる。復元性とは、ケーブルを屈曲させたときにケーブルが元の形状に戻ることを示す。
ただし、外皮層に軟質PVCを用いた場合、外皮層の復元性が低いことから、FAロボットの稼働時にケーブルが断線してしまうことがある。そのため、復元性の要求されるケーブルにおいては、軟質PVCにエーテル系のウレタン熱可塑性エラストマ(以下、単にTPUともいう)を配合した樹脂組成物の使用が提案されている(例えば特許文献1を参照)TPUによれば、外皮層に復元性を付与することができる。
特開2016−91975号公報
しかし、外皮層にTPUを添加しても、難燃性や耐熱性、復元性を高い水準でバランスよく得られないことがあった。具体的には、外皮層においては、高い難燃性を得るために多量の難燃剤を添加することがあり、この多量の難燃剤によって、TPUのハードセグメントが崩壊し、TPUが本来有する耐熱性が損なわれてしまう。一方で、TPUによる耐熱性を得るために難燃剤の添加量を減少させると、所望の難燃性を得られないことがある。このように、TPUを用いる場合、高い復元性を得られるものの、難燃性と耐熱性とを両立して高く維持できないことがある。
また、外皮層には、低温度環境でも適度な弾性を示すような耐寒性が求められるが、TPUを配合した場合では十分な耐寒性が得られないことがある。
本発明は、ケーブルにおいて難燃性、耐熱性、復元性および耐寒性を高い水準でバランスよく得る技術を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、
導体と、前記導体の周囲に被覆される絶縁層と、前記絶縁層の周囲に被覆される外皮層とを備えるケーブルであって、
前記外皮層は、ベースポリマ(A)、可塑剤(B)、安定剤(C)および難燃剤(D)を含む難燃性樹脂組成物から形成され、
前記ベースポリマ(A)は、塩素化ポリエチレン(a1)と、アジペート系、ラクトン系およびカーボネート系の少なくとも1つのウレタン熱可塑性エラストマ(a2)とを含み、
前記安定剤(C)は、ハイドロタルサイト(c1)および金属石鹸(c2)を含み、
前記難燃剤(D)は、金属水酸化物(d1)、臭素系難燃剤(d2)、非晶質シリカ(d3)および三酸化アンチモン(d4)の少なくとも1つを含む、
ケーブルが提供される。
本発明の他の態様によれば、
導体と、前記導体の周囲に被覆される絶縁層と、を備える電線であって、
前記絶縁層は、ベースポリマ(A)、可塑剤(B)、安定剤(C)および難燃剤(D)を含む難燃性樹脂組成物から形成され、
前記ベースポリマ(A)は、塩素化ポリエチレン(a1)と、アジペート系、ラクトン系およびカーボネート系の少なくとも1つのウレタン熱可塑性エラストマ(a2)とを含み、
前記安定剤(C)は、ハイドロタルサイト(c1)および金属石鹸(c2)を含み、
前記難燃剤(D)は、金属水酸化物(d1)、臭素系難燃剤(d2)、非晶質シリカ(d3)および三酸化アンチモン(d4)の少なくとも1つを含む、
電線が提供される。
本発明によれば、ケーブルにおいて難燃性、耐熱性、復元性および耐寒性を高い水準でバランスよく得ることができる。
本発明の一実施形態にかかるケーブルの長さ方向に垂直な断面図である。
<本発明者らの知見>
上述したように、軟質PVCにTPUを混合する場合、難燃剤などの添加剤がTPUに多量に入り込むことで耐熱性が低下してしまう。また、軟質PVCとTPUとの混合では、所望の耐寒性を得られないことがある。このことから、本発明者らは、ベースポリマとしてPVCに代わる成分、そして、これに添加する可塑剤、安定剤および難燃剤の種類について検討を行った。
その結果、難燃性、耐熱性、復元性および耐寒性を高い水準でバランスよく得る観点からは、ベースポリマとして、塩素化ポリエチレン(以下、CPEともいう)と、TPUとを併用するとよいことを見出した。
また、安定剤としては、CPEに選択的に分散しやすいことから、ハイドロタルサイトおよび金属石鹸がよく、難燃剤としては、CPEに選択的に分散しやすいことから、金属水酸化物、臭素系難燃剤、非晶質シリカおよび三酸化アンチモンの少なくとも1つを用いるとよいことが分かった。
また一方で、外皮層の耐熱性を高くすべく、TPUについても検討を行ったところ、TPUの中でもアジペート系、ラクトン系およびカーボネート系のTPUがよいことが分かった。一般に、TPUは、ポリオールとジオールとイソシアネートとの反応により得られ、硬い剛直なハードセグメントと、柔軟なソフトセグメントとを有する。TPUには、ポリオールとして、ポリエステルポリオールを用いたポリエステル系TPUと、ポリエーテルポリオールを用いたポリエーテル系TPUがある。本発明者らの検討によると、耐熱性の観点からはポリエステル系TPUが望ましい。また、ポリエステル系TPUには、ポリエステルポリオールの種類によって種々あるが、諸特性の観点からは、アジペート系、ラクトン系およびカーボネート系が望ましいことが分かった。
このような材料の組み合わせによれば、安定剤や難燃剤などの添加剤をCPEに選択的に分散させることができるので、CPEおよびTPUそれぞれの特性を活かしながらも、添加剤を多量に配合することによる耐熱性の低下を抑制し、また耐寒性を高くすることができる。その結果、難燃性、耐熱性、復元性および耐寒性を高い水準でバランスよく得ることができる。
本発明は、上述した知見に基づいてなされたものである。
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態に係るケーブルについて図を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかるケーブルの長さ方向に垂直な断面図である。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
(難燃性樹脂組成物)
まず、ケーブルの外皮層を形成する難燃性樹脂組成物について説明する。
本実施形態の難燃性樹脂組成物は、ベースポリマ(A)、可塑剤(B)、安定剤(C)、難燃剤(D)、および、必要に応じて、その他の添加剤を含む。具体的には、ベースポリマ(A)は、塩素化ポリエチレン(a1)とアジペート系、ラクトン系およびカーボネート系の少なくとも1つのウレタン熱可塑性エラストマ(a2)とを含む。安定剤(C)は、ハイドロタルサイト(c1)および金属石鹸(c2)を含む。難燃剤(D)は、金属水酸化物(d1)、臭素系難燃剤(d2)、非晶質シリカ(d3)および三酸化アンチモン(d4)の少なくとも1つを含む。
以下、難燃性樹脂組成物に含まれる各成分について詳述する。
(ベースポリマ(A))
本実施形態では、ベースポリマ(A)として、塩素化ポリエチレン(a1)と、アジペート系、ラクトン系およびカーボネート系の少なくとも1つのウレタン熱可塑性エラストマ(a2)とを用いる。
塩素化ポリエチレン(a1)は、外皮層の難燃性や耐寒性の向上に寄与する成分である。塩素化ポリエチレン(a1)は原料ポリエチレンを水に懸濁分散させた水性懸濁液に塩素ガスを吹き込むことにより得られるものである。
CPE(a1)に含まれる塩素量は特に限定されないが、耐寒性および難燃性を高くする観点からは、20%以上であることが好ましく、20%〜45%であることがより好ましい。なお、CPE(a1)は、塩素量の異なる複数のCPEを併用してもよい。
ウレタン熱可塑性エラストマ(a2)は、外皮層に主に復元性を付与する成分である。本実施形態のウレタン熱可塑性エラストマ(a2)は、アジペート系、ラクトン系もしくはカーボネート系である。アジペート系は、アジピン酸系ポリエステルポリオールおよびジオール、イソシアネートとの反応により得られるTPUである。ラクトン系は、例えばカプロラクタン系のポリエステルポリオールと、ジオール、イソシアネートとの反応により得られるTPUである。カーボネート系は、例えばカーボネート化合物系ポリエステルポリオールと、ジオール、イソシアネートとの反応により得られるTPUである。
ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3,5−トリメチルペンタンジオール、2、4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,12−オクタデカンジオール、1,2−アルカンジオール、1,3−アルカンジオール、1−モノグリセライド、2−モノグリセライド、1−モノグリセリンエーテル、2−モノグリセリンエーテル、ダイマージオール、水添ダイマージオール等が挙げられる。
イソシアネートとしては、公知の成分を用いることができる。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。また、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネートが挙げられる。さらに、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
TPU(a2)としては、外皮層の耐熱性の観点からはアジペート系、ラクトン系およびカーボネート系であれば特に限定されないが、外皮層において硬度を調整する観点からはアジペート系が好ましい。アジペート系は、硬度の調整だけでなく、ラクトン系やカーボネート系と比べてポリ塩化ビニル樹脂(a1)との親和性に優れ、外皮層を構成する難燃性樹脂組成物において後述する相構造を形成しやすく、諸特性をより安定的に高い水準で実現することができる。アジペート系TPUは、アジピン酸に由来する構造を有するため、添加剤を配合しても、ハードセグメントの水素結合やウレタン結合による結合力を大きく損ねず、諸特性を高く維持しやすいためである。
アジペート系TPU(a2)の硬さは、特に限定されないが、外皮層の復元性と耐熱性とのバランスの観点からは、ショアA硬度で80Aから95Aであることが好ましく、80Aから90Aであることがより好ましい。
なお、ベースポリマ(A)には、上記(a1)成分および(a2)成分以外のポリマ成分を、外皮層の特性を損ねない範囲で適宜配合してもよい。例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン系エラストマ、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリル樹脂、もしくはこれらの変性体などを用いることができる。この中でも、CPE(a1)やTPU(a2)との親和性に優れ、諸特性をより高い水準で得る観点からは、ポリ塩化ビニル樹脂(a3)(以下、単にPVC(a3)ともいう)が好ましい。
ポリ塩化ビニル樹脂(a3)としては、塩化ビニルのホモポリマーの他、塩化ビニルと他の共重合可能なモノマーとの共重合体などを用いることができる。このような共重合体としては、例えば、塩化ビニルとエチレンとの共重合体または酢酸ビニルなどとの共重合体を用いることができる。また、PVC(a3)としては、部分的に架橋が施されたものを使用してもよい。
ポリ塩化ビニル樹脂(a3)の平均重合度は、特に限定されないが、1000〜3800であることが好ましく、1300〜2500であることがより好ましい。平均重合度を1000以上とすることにより、外皮層において高い耐熱性を得ることができる。一方、平均重合度が過度に高くなると、難燃性樹脂組成物の成形加工性が低くなるおそれがあるが、平均重合度を3800以下とすることにより、成形加工性を損ねることなく、外皮層の耐熱性を高くすることができる。なお、PVC(a3)としては、平均重合度が異なるものを複数併用してもよい。
(可塑剤(B))
可塑剤(B)は、外皮層に柔軟性を付与する成分である。可塑剤(B)としては、トリメリット酸エステル、フタル酸エステル、アジピン酸ポリエステルなど公知の成分を用いることができる。この中でも、トリメリット酸エステルが外皮層の諸特性を損ねないので好ましい。トリメリット酸エステルは、フタル酸エステルと比べて外皮層の耐熱性をより高く維持することができる。また、アジピン酸ポリエステルに比べて外皮層にべたつきを生じさせないので、ケーブルの取り扱い性を向上させることができる。トリメリット酸エステルは単独で使用してもよいが、例えばアジピン酸ポリエステルなどと外皮層の特性を損ねない範囲で併用してもよい。
トリメリット酸エステルとしては、例えば、トリメリット酸トリ2エチルへキシル、トリメリット酸トリnオクチル、トリメリット酸トリ混合アルキル、トリメリット酸トリイソノニルなどを用いることができる。
(安定剤(C))
安定剤(C)は、難燃性樹脂組成物を調製する際にCPE(a1)やPVC(a3)の劣化を抑制する熱安定剤として作用するとともに、難燃性樹脂組成物の相構造を安定させる成分である。本実施形態では、CPE(a1)、もしくは、PVC(a3)を併用する場合であれば、その両方に選択的に分散させる観点から、ハイドロタルサイト(c1)および金属石鹸(c2)を用いる。ハイドロタルサイト(c1)および金属石鹸(c2)としては、CPE(a1)やPVC(a3)との相溶性に優れるものであれば、特に限定されず、公知の成分を用いることができる。金属石鹸(c2)としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸、オクチル酸などの脂肪酸と、カルシウムや亜鉛などの金属とからなる成分を使用することができる。
なお、安定剤(C)は上記以外の成分として安定化助剤を含んでもよい。安定化助剤は、TPU(a2)にとっては添加の有無の影響がなく、ポリ塩化ビニル樹脂(a1)のみに働く成分である。安定化助剤としては、例えば、ジベンソイルメタン、ステアリルベンゾイルメタン及びこれらの金属塩、多価アルコール類、トリヒドロキシエチルイソシアネート、シリカ、炭酸カルシウム、酸化防止剤、タルク、クレー等を必要に応じて適量使用することができる。
(難燃剤(D))
難燃剤(D)は、外皮層に難燃性を付与する成分である。本実施形態では、添加剤を塩素化ポリエチレン(a1)に、もしくはポリ塩化ビニル樹脂(a3)を併用する場合であればCPE(a1)とPVC(a3)の両方に選択的に分散させる観点から、難燃剤(D)として、金属水酸化物(d1)、臭素系難燃剤(d2)、非晶質シリカ(d3)および三酸化アンチモン(d4)の少なくとも1つを用いる。
金属水酸化物(d1)としては、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどを用いることができる。この中でも、特に水酸化アルミニウムが好ましい。水酸化マグネシウムでは、難燃性樹脂組成物におけるアルカリ度が大きくなることで、TPUのハードセグメントにおけるウレタン結合力や水素結合力、エステル結合力などが弱くなり、TPUが有する耐熱性が損なわれるおそれがある。この点、水酸化アルミニウムによれば、アルカリ度を過度に大きくすることなく、耐熱性を高く維持することができる。なお、金属水酸化物(d1)は、表面処理されていなくてもよく、またシラン処理などの表面処理が施されていてもよい。金属水酸化物(d1)は、分散性の観点からは、平均粒径が5μm以下であることが好ましい。下限値は特に限定されないが、例えば0.2μmである。
臭素系難燃剤(d2)としては、例えば、デカブロモジフェニルエーテルやデカブロモジフェニルエタンなどを用いることができる。臭素系難燃剤(d2)は、分散性の観点からは、平均粒径が10μm以下であることが好ましい。下限値は特に限定されないが、例えば2μmである。
非晶質シリカ(d3)としては、分散性の観点から、平均粒径が5μm以下であることが好ましい。下限値は特に限定されないが、例えば0.01μmである。
三酸化アンチモン(d4)としては、分散性の観点から、平均粒径が5μm以下であることが好ましい。下限値は特に限定されないが、例えば0.5μmである。
(その他の添加剤)
難燃性樹脂組成物には、(A)成分〜(D)成分以外に、必要に応じてその他の添加剤を配合してもよい。その他の添加剤としては、例えば、架橋助剤、酸化防止剤(熱老化防止剤)、銅害防止剤、滑剤または加工助剤などを用いることができる。
具体的には、架橋助剤としては、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、N,N’−メタフェニレンビスマレイミド、エチレングリコールジメタクリレート、アクリル酸亜鉛またはメタクリル酸亜鉛などが挙げられる。
また、酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤または硫黄系酸化防止剤などが挙げられる。銅害防止剤としては、例えばN−(2H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)サリチルアミド、ドデカン二酸ビス[N2−(2−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジド]、2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド等が挙げられ、より好適には2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジドがあげられる。
滑剤としては、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系などが挙げられる。
加工助剤としては、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、もしくは、これらの塩またはエステル類、あるいは、ポリメチルメタクリレートなどが挙げられる。
(相構造)
本実施形態の難燃性樹脂組成物においては、塩素化ポリエチレン(a1)およびTPU(a2)は、一方の成分が他方の成分に分散することで海島構造を形成する、もしくはスピノーダル分散している。そして、安定剤(C)や難燃剤(D)はTPU(a2)よりもCPE(a1)に選択的に分散しやすいため、TPU(a2)に入り込む添加剤が少なくなり、(a2)成分におけるウレタン結合力や水素結合力の低下を抑制することができる。これにより、(a2)成分が本来有する特性を高く維持することが可能となる。
なお、ベースポリマ(A)として、ポリ塩化ビニル樹脂(a3)をさらに添加する場合、CPE(a1)とTPU(a2)とを使用する場合と比べて、明確な海島構造は形成されない傾向にある。また、添加剤がTPU(a2)よりもCPE(a1)やPVC(a3)に選択的に分散する度合いが低下する傾向にあることが確認されている。そして、PVC(a3)を併用することにより、諸特性を高い水準でバランスよく安定的に得られることが確認されている。この特性が得られるメカニズムは定かではないが、塩素化ポリエチレン(a1)とポリ塩化ビニル樹脂(a3)との相溶性が高く、これら3成分を混合することで、より微細で特異的な相構造が形成されたため、と推測される。
(含有比率)
樹脂組成物における各成分の含有比率は以下のとおりである。
まず、ベースポリマ(A)として、塩素化ポリエチレン(a1)とTPU(a2)とを使用する場合は、以下の含有比率とすることが好ましい。
ベースポリマ(A)は、塩素化ポリエチレン(a1)100質量部に対して、TPUを6質量部〜620質量部含むことが好ましく、15質量部〜200質量部含むことがより好ましい。このような比率で混合することで、上述した相構造を形成しやすくなり、所望の特性を得られやすくなる。
また、難燃性樹脂組成物に占める塩素化ポリエチレン(a1)の含有比率は2%以上60%以下であることが好ましい。このような比率で(a1)成分を添加することにより、外皮層において諸特性をより高い水準でバランスよく得ることが可能となる。
可塑剤(B)の含有量は特に限定されないが、過度に少ないと、CPE(a1)とTPU(a2)とを混合したときに、復元性が低くなり諸特性をバランスよく得られないばかりか、成形加工性や耐寒性も低下するおそれがある。また過度に多くなると、外皮層の粘着性が増し成形加工性や難燃性が低下するおそれがある。外皮層において諸特性を高い水準でバランスよく得る観点からは、可塑剤(B)の含有量は、CPE(a1)100質量部に対して2質量部〜60質量部であることが好ましい。
安定剤(C)の含有量は特に限定されないが、金属石鹸(c2)はハイドロタルサイト(c1)に比べてTPU(a2)のハードセグメントにおける水素結合力やウレタン結合力を低下させやすく、外皮層の耐熱性を損ねるおそれがある。そのため、塩素化ポリエチレン(a1)を安定化しつつ、耐熱性を高く維持する観点からは、金属石鹸(c2)の含有量を少なくする一方で、安定剤(C)による効果を担保するためにハイドロタルサイト(c1)の含有量を多くするとよい。具体的には、金属石鹸(c2)の含有量を塩素化ポリエチレン(a1)100質量部に対して1.6質量部以下とし、ハイドロタルサイト(c1)の含有量を金属石鹸(c2)の含有量の4倍以上とすることが好ましい。なお、金属石鹸(c2)の含有量の下限値は特に限定されないが、過度に少ないと、難燃性樹脂組成物が着色したりその特性が低下したりするので、0.01質量部以上とすることが好ましい。ハイドロタルサイト(c1)の含有量は、特に限定されないが、CPE(a1)100質量部に対して10質量部〜120質量部であることが好ましい。また、安定剤(C)の合計の含有量としては、2質量部〜20質量部であることが好ましい。
難燃剤(D)の含有量は、特に限定されないが、(d1)〜(d4)の合計の含有量が塩素化ポリエチレン(a1)100質量部に対して1質量部〜70質量部であることが好ましい。また、(d1)〜(d4)の各含有量は、その合計量が上記範囲内となれば特に限定されないが、それぞれ以下の範囲とすることが好ましい。(d1)は0質量部〜50質量部、(d2)は0質量部〜50質量部、(d3)は0質量部〜40質量部、(d4)は0質量部〜50質量部である。
次に、ベースポリマ(A)として、塩素化ポリエチレン(a1)とTPU(a2)とポリ塩化ビニル樹脂(a3)を使用する場合は、以下の含有比率とすることが好ましい。
ベースポリマ(A)は、塩素化ポリエチレン(a1)100質量部に対して、TPU(a2)を20質量部〜1700質量部、ポリ塩化ビニル樹脂(a3)を3質量部〜900質量部、含むことが好ましい。より好ましくは、TPU(a2)を30質量部〜1700質量部、PVC(a3)を4質量部〜900質量部、含むとよい。
なお、その他のポリマとして、ポリ塩化ビニル樹脂(a3)以外のものを用いる場合、その添加量はPVC(a3)と同様の範囲とするとよい。
また、難燃性樹脂組成物に占める塩素化ポリエチレン(a1)の含有比率は2%以上60%以下であることが好ましい。このような比率で(a1)成分を添加することにより、外皮層において諸特性をより高い水準でバランスよく得ることが可能となる。
可塑剤(B)、安定剤(C)および難燃剤(D)の各含有量は、塩素化ポリエチレン(a1)100質量部に対して、以下の範囲であることが好ましい。すなわち、可塑剤(B)の含有量は2質量部〜600質量部、安定剤(C)は5質量部〜150質量部、難燃剤(D)は5質量部〜350質量部であることが好ましい。金属石鹸(c2)の含有量は1質量部〜21質量部であることが好ましい。ハイドロタルサイト(c1)の含有量は、金属石鹸(c2)の含有量の4倍以上であることが好ましく、10質量部〜120質量部であることが好ましい。また、難燃剤(D)の(d1)成分〜(d4)成分のそれぞれについては、(d1)は0質量部〜100質量部、(d2)は0質量部〜50質量部、(d3)は0質量部〜50質量部、(d4)は0質量部〜100質量部であることが好ましい。
(難燃性樹脂組成物の調製)
難燃性樹脂組成物は、上記(A)〜(D)、必要に応じてその他の添加剤を混合して溶融混練させることで調製するとよい。混練は、例えばバンバリーミキサーや加圧ニーダなどのバッチ式混練機、二軸押出機などの連続式混練機などの公知の混練装置を用いて行うとよい。
具体的には、まず、塩素化ポリエチレン(a1)、可塑剤(B)、安定剤(C)および難燃剤(D)を混練することで、CPEペレットを得る。続いて、得られたCPEペレットと、TPU(a2)とを混合して、溶融混練する。これにより、CPE混合物へTPU(a2)を分散、またはTPU(a2)へCPE混合物を分散させて、難燃性樹脂組成物を形成することができる。難燃性樹脂組成物においては、予めCPEペレットを調製することにより、TPU(a2)の相への添加剤の入り込みを少なくすることができる。これにより、外皮層における耐熱性をより高く維持することが可能となる。
なお、ポリ塩化ビニル樹脂(a3)を使用する場合は、CPE(a1)と混合してペレットに成形した後に、TPU(a2)を混合するとよい。また、PVC(a3)に可塑剤(B)が親和し、安定剤(C)等が分散した粉末状態にCPE(a1)を混合した粉末品、或いはそれらを溶融混練したペレットにTPU(a2)を混合混練してもよい。この場合、CPE(a1)と可塑剤(B)が接触したときに粘着塊が生成することを好適に抑制することができ、材料の供給性を高めることができる。
なお、各材料を混合して溶融混練する場合であっても、CPE(a1)やPVC(a3)がTPU(a2)よりも低い温度で溶融するため、各種添加剤は(a2)成分よりも(a1)成分や(a3)成分へ分散しやすくなるが、上記のように、CPEペレットを予め調製することにより、(a2)成分への添加剤の入り込みをより少なくすることができる。
(ケーブル)
続いて、本実施形態のケーブルについて図1を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかるケーブルの長さ方向に垂直な断面図である。
図1に示すように、本実施形態のケーブル1は、導体11の周囲に絶縁層12が形成された電線10と、電線10の周囲に設けられるシールド層13と、シールド層13の周囲に形成される外皮層14(シース14)と、を備えて構成される。
(導体)
導体11としては、通常用いられる金属線、例えば銅線、銅合金線のほか、アルミニウム線、金線、銀線などを用いることができる。また、導体11として、金属線の周囲に錫やニッケルなどの金属めっきを施したものを用いてもよい。さらに、導体11として、金属線を撚り合わせた撚り線を用いることもできる。
(絶縁層)
絶縁層12は導体11の周囲に設けられる。絶縁層12は、従来公知の材料、例えばフッ素樹脂やポリエステル系樹脂、高密度ポリエチレン或いは難燃剤、酸化防止剤等を添加した混和物などで形成してもよく、上述した外皮層を形成するための難燃性樹脂組成物で形成してもよい。絶縁層12の厚さは、特に限定されず、例えば0.1mm〜1.5mmとするとよい。
(シールド層)
シールド層13は、複数の電線10を撚り合わせた撚り線の周囲に設けられる。シールド層13は、例えば軟銅線などの金属素線を複数編み込む編組構造により形成される。
(外皮層)
外皮層14は、シールド層13の周囲に設けられ、上述した難燃性樹脂組成物から形成される。外皮層14の厚さとしては、特に限定されないが、諸特性を高い水準でバランスよく得る観点からは、0.1mm〜1.4mmとすることが好ましい。
外皮層14の耐油性や燃焼時の消炎安定性を高める観点からは、難燃性樹脂組成物を架橋させてもよい。架橋方法は特に限定されず、例えば電子線架橋などを採用することができる。電子線架橋を行う場合であれば、押出成形した難燃性樹脂組成物に0.5〜30Mradの電子線を照射して架橋するとよい。
(ケーブルの製造方法)
まず、導体11を準備し、押出成形機により、例えば上述した難燃性樹脂組成物を導体11の周囲を被覆するように押し出して、所定厚さの絶縁層12を形成し、電線10を得る。続いて、電線10を複数本撚り合わせ、その周囲に編組機によりシールド層13を形成する。続いて、押出成形機により、シールド層13の周囲を被覆するように難燃性樹脂組成物を押し出して、所定厚さの外皮層14を形成する。これにより、本実施形態のケーブル1を製造することができる。
<本実施形態にかかる効果>
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
本実施形態のケーブル1によれば、外皮層14を形成する難燃性樹脂組成物が、ベースポリマ(A)として塩素化ポリエチレン(a1)とアジペート系、ラクトン系およびカーボネート系の少なくとも1つのウレタン熱可塑性エラストマ(a2)を、安定剤(C)としてハイドロタルサイト(c1)および金属石鹸(c2)を、難燃剤(D)として金属水酸化物(d1)、臭素系難燃剤(d2)、非晶質シリカ(d3)および三酸化アンチモン(d4)の少なくとも1つを含んでいる。(C)成分および(D)成分はTPU(a2)よりも塩素化ポリエチレン(a1)に選択的に分散しやすいので、TPU(a2)への添加剤の入り込みを低減することができる。そのため、(a2)成分において添加剤の入り込みによるウレタン結合力や水素結合力の低下を抑制できる。この結果、(a2)成分による復元性を得ながらも、外皮層14の耐熱性を高く維持することができる。また、TPUとしてアジペート系、ラクトン系およびカーボネート系の少なくとも1つの(a2)成分を用いているので、外皮層14の耐熱性をより高く維持することができる。また、上記可塑剤(B)および安定剤(C)の組み合わせによれば、(a1)成分および(a2)成分が本来有する特性を大きく損ねることなく、高く維持することができる。さらに、上記難燃剤(D)によれば、外皮層14の難燃性を向上させることができる。したがって、本実施形態のケーブル1によれば、復元性、耐熱性、難燃性および耐寒性を高い水準でバランスよく得ることができる。
具体的には、本実施形態のケーブル1は、難燃性規格UL1581に規定される垂直難燃試験VW−1に合格できるような高い難燃性を有する。また、UL規格における105℃定格を満たすような高い耐熱性を有する。また、FAロボット用のケーブルとして使用したときに断線しないような高い復元性を有する。さらに、後述する脆化試験を行ったときに−50℃でも破断しないような高い耐寒性を有する。
また、難燃性樹脂組成物は、ベースポリマ(A)としてポリ塩化ビニル樹脂(a3)をさらに含むことで、難燃性、耐熱性、復元性および耐寒性をより高い水準でバランスよく、かつ安定的に得ることができる。
TPU(a2)は、アジペート系であることが好ましい。アジペート系のTPUによれば、ラクトン系およびカーボネート系に比べて、外皮層の硬度を適度に調整することができる。
可塑剤(B)がトリメリット酸エステルであることが好ましい。トリメリット酸エステルによれば、外皮層の耐熱性を高く維持することができる。
また、可塑剤(B)の含有量は、CPE(a1)100質量部に対して2質量部〜60質量部であることが好ましい。PVC(a3)を併用する場合はCPE(a1)100質量部に対して2質量部〜600質量部であることが好ましい。このような含有量とすることにより、外皮層において耐熱性、難燃性および復元性をより高く維持することができる。
また、難燃剤(D)の含有量は、CPE(a1)100質量部に対して1質量部〜70質量部であることが好ましい。PVC(a3)を併用する場合はCPE(a1)100質量部に対して5質量部〜350質量部であることが好ましい。このような含有量とすることにより、外皮層において耐熱性、難燃性および復元性をより高く維持することができる。
また、ハイドロタルサイト(c1)の含有量を金属石鹸(c2)の含有量の4倍以上として、金属石鹸(c2)の含有量をCPE(a1)100質量部に対して1.6質量部以下、ハイドロタルサイト(c1)の含有量を10質量部〜120質量部とすることが好ましい。PVC(a3)を併用する場合はCPE(a1)100質量部に対して金属石鹸(c2)の含有量を21質量部以下、ハイドロタルサイト(c1)の含有量を10質量部〜120質量部とすることが好ましい。これにより、TPU(a2)の水素結合力やウレタン結合力の低下を抑制でき、外皮層14の耐熱性を高く維持することができる。
また、本実施形態のケーブル1によれば、外皮層14にTPU(a2)を配合しているので、PVCのみを配合した場合と比べて耐油性および耐寒性を高くすることができる。
また、難燃性樹脂組成物に占める塩素化ポリエチレン(a1)の含有比率が2%以上60%以下であることが好ましい。このような比率で(a1)成分を含有させることにより、外皮層14において諸特性をより高い水準でバランスよく得ることができる。
また、塩素化ポリエチレン(a1)は、塩素量が20%以上であることが好ましい。このような塩素化ポリエチレン(a1)によれば、難燃性および耐寒性のバランスに優れるので、外皮層14において諸特性をより高い水準でバランスよく得ることが可能となる。
また、本実施形態では、ベースポリマ(A)として2つの(a1)成分および(a2)成分を併用してポリマアロイを形成しているので、外皮層14の表面に所望の凹凸を付与することができる。これにより、ケーブル1の表面摩擦抵抗を低減することができる。
なお、本実施形態では、上述の難燃性樹脂組成物をケーブルの外皮層に用いる場合を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、難燃性樹脂組成物は、電線の絶縁層に使用することもできる。
次に、本発明について実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
<材料>
本実施例にて、外皮層用の難燃性樹脂組成物に用いた材料は以下のとおりである。
塩素化ポリエチレン(a1)として、以下を用いた。
・塩素化ポリエチレン1(製品名「エラスレン352GB」、昭和電工社製、塩素量)34%〜37%)
・塩素化ポリエチレン2(製品名「エラスレン301A」、昭和電工社製、塩素量)30%〜33%)
・塩素化ポリエチレン3(製品名「エラスレン401A」、昭和電工社製、塩素量)38%〜41%)
アジペートタイプのウレタン熱可塑性エラストマ(a2)として、以下を用いた。
・アジペートタイプTPU1(製品名「P25MRWJE」、日本ミラクトラン株式会社製、ショアA硬度90)
上記(a1)成分および(a2)成分以外のポリマ成分として、以下を用いた。
ポリ塩化ビニル樹脂(a3)として、以下を用いた。
・ポリ塩化ビニル樹脂1(製品名「TH−1700」、大洋塩ビ株式会社製、平均重合度1600−1800)
また(a3)成分以外として、以下を用いた。
・エチレン‐塩化ビニル共重合体(製品名「TE−1300」、積水化学株式会社製)
・スチレン系エラストマ(製品名「S.O.ES1606」、旭化成ケミカルズ株式会社製)
・エチレンαオレフィンコポリマ(製品名「タフマDF540」、三井化学株式会社製)
・変性エチレンαオレフィンコポリマ(製品名「タフマMH7020」、三井化学株式会社製)
・エチレン‐酢酸ビニル共重合体EVA1(製品名「45LX」、三井デュポンポリケミカル株式会社製)
・エチレン‐酢酸ビニル共重合体EVA2(製品名「レバプレン500」、ランクセス株式会社製)
・エチレン−アクリル酸エチル共重合体EEA(製品名「レクスパール1150」、三菱化学株式会社製)
・アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル樹脂PMMA)(製品名「メタブレンP1050」、三菱化学株式会社製)
可塑剤(B)として以下を用いた。
・トリメリット酸ジ2エチルへキシル(TOTM)(製品名「T08」、花王株式会社製)
・トリメリット酸ジオクチル(n−TOTM)(製品名「N08」、花王株式会社製)
・アジピン酸系ポリエステル(製品名「P1030」、ADEKA株式会社製)
安定剤(C)のハイドロタルサイト(c1)として、以下を用いた。
・ハイドロタルサイト(製品名「HT−1」、堺化学株式会社製)
安定剤(C)の金属石鹸(c2)として、以下を用いた。
・ステアリン酸亜鉛(製品名「SZ−P」、堺化学株式会社製)
・ステアリン酸カルシウム(製品名「SC−P」、堺化学株式会社製)
安定剤(C)のその他の成分として、以下を用いた。
・安定化助剤(βジケトン等を含む)
難燃剤(D)の金属水酸化物(d1)として、以下を用いた。
・未処理水酸化アルミニウム(製品名「BF013」、日本軽金属株式会社製)
・シラン処理水酸化アルミニウム(製品名「BF013STV」、日本軽金属株式会社製)
難燃剤(D)の臭素系難燃剤(d2)として、以下を用いた。
・臭素系難燃剤(デカブロモジフェニルエタン、製品名「サイテックス8010」、アルベマール株式会社製、平均粒径5.6μm)
難燃剤(D)の非晶質シリカ(d3)として、以下を用いた。
・非晶質シリカ(製品名「SIDISTAR120U」、エルケム株式会社製、平均粒径0.15μm)
難燃剤(D)の三酸化アンチモン(d4)として、以下を用いた。
・三酸化アンチモン(製品名「NANO200」、常徳辰州社製、平均粒径0.8μm)
その他の添加剤として、以下を用いた。
・架橋助剤(トリメチロールプロパントリメタクリレート、製品名「TMPT」、新中村化学株式会社製)
・焼成クレー(製品名「SP#33」、BASF社製)
・着色剤黒(製品名「NBP2425」、日弘ビックス株式会社製)
・着色剤白(製品名「チタン白R820」、石原産業株式会社製)
・酸化防止剤(製品名「AO−26」、株式会社ADEKA製)
<実施例1>
まず、導体、絶縁層形成用の樹脂組成物、および外皮層形成用の難燃性樹脂組成物を準備した。
導体としては、28AWG(19/0.08)TA導体を用いた。
絶縁層形成用の樹脂組成物としては、フッ素樹脂であるETFE(4フッ化エチレン・エチレン共重合体)を含む組成物を用いた。
外皮層形成用の難燃性樹脂組成物は、上述した材料を以下の表1に示す組成となるように混合して混練することで調製した。具体的には、ベースポリマ(A)として、塩素化ポリエチレン1を100質量部、アジペートタイプTPU1を41.8質量部、可塑剤(B)としてTOTMを30.0質量部、安定剤(C)としてハイドロタルサイト(c1)を11.66質量部、金属石鹸(c2)であるステアリン酸亜鉛を1.14質量部、安定化助剤を1.2質量部、難燃剤(D)として、金属水酸化物(d1)である未処理水酸化アルミニウムを5.0質量部、三酸化アンチモン(d4)を8.0質量部、そして、その他の添加剤として、架橋助剤を1.0質量部、焼成クレーを5.2質量部、着色剤黒を3.5質量部、着色剤白を0.5質量部、の合計209.0質量部を混練し、実施例1の難燃性樹脂組成物を調製した。実施例1では、難燃性樹脂組成物に占める塩素化ポリエチレン(a1)の比率((a1)/総量)が0.48となるように調製した。なお、難燃樹脂組成物は、加圧ニーダを用いて、取出温度165℃にて溶融混練してストランドカットした後、80℃、2時間で乾燥することにより調製した。
次に、電線製造用の40mm押出機を用いて、導体の周囲に、絶縁層形成用の樹脂組成物を押し出し、厚さ0.2mmの絶縁層を形成した。これにより電線を得た。その後、5本の電線を撚り合わせ、その周囲に、編組機を用いてスフ糸とポリエステルテープ(1/4ラップ)を撚り合わせ(右撚り)することで、シールド層を形成した。続いて、シールド層の周囲に、電線製造用の65mm単軸押出機を用いてチューブ押出法により、難燃性樹脂組成物を押し出し、厚さ1mmの外皮層を形成した。これにより、実施例1のケーブルを作製した。
Figure 2021086752
<実施例2〜6>
実施例2〜6では、表1に示すように、(A)成分〜(D)成分の種類や配合量を適宜変更した以外は、実施例1と同様にケーブルを作製した。
<比較例1〜3>
比較例1、2では、表1に示すように、塩素化ポリエチレン(a1)を使用せずに、アジペート系TPU(a2)およびポリ塩化ビニル樹脂(a3)を用いた以外は、実施例1と同様にケーブルを作製した。また、比較例3では、塩素化ポリエチレン(a1)と難燃剤(D)とを使用しない以外は、実施例1と同様にケーブルを作製した。
<実施例7〜17>
実施例7〜17では、下記表2に示すように、塩素化ポリエチレン(a1)、アジペート系TPU(a2)およびポリ塩化ビニル樹脂(a3)を用いて、各成分の含有量を適宜変更した以外は、実施例1と同様にケーブルを作製した。
<実施例18〜22>
実施例18〜22では、その他のポリマ成分として、ポリ塩化ビニル樹脂(a3)の代わりに表2に記載のポリマに変更した以外は、実施例1と同様にケーブルを作製した。
Figure 2021086752
<評価>
作製した実施例1〜22および比較例1〜3のケーブルについて、耐熱性、難燃性、復元性および耐寒性を評価した。各評価は以下のように行った。
(耐熱性)
耐熱性は、UL1581に準拠した試験によって評価した。具体的には、作製したケーブルの外皮層のみとしたサンプル(長さ約100mm)を、136℃のギアオーブンに168時間暴露し、初期の引張強度および伸びと、暴露後の引張強度および伸びとを比較した。そして、次に示す式により引張強度残率(%)および伸び残率(%)を計算し、引張強度残率70%以上かつ伸び残率が45%以上となるものを「合格」とし、これらのいずれかを満たさないもの、または、これらのいずれも満たさないものを「不合格」とした。
引張強度残率(%)=100×(上記暴露後の引張強度)/(初期の引張強度)
伸び残率(%)=100×(上記暴露後の伸び)/(初期の伸び)
(難燃性)
難燃性は、UL1581に準拠した試験によって評価した。具体的には、作製したケーブル(長さ約500mm)に対して、UL1581に規定される垂直難燃試験VW−1を3回行い、3回とも基準を満たしたものを「合格」とし、1回でも基準を満たさなかったものを「不合格」とした。
(復元性)
復元性は、以下の方法により評価した。まず、各ケーブルから採取した外皮層をダンベル状に打ち抜いて試料片を得た。続いて、引張試験機を用いて、この試料片を、標線間25mm、引張速度200mm/分の条件で100%伸長させてから試験機を停止させ、その後、ダンベルを脱離し10秒後に標線間25mmがどれだけ伸長したか(X値)を測定した。そして、以下の式から復元度(Y)を算出した。本実施例では、Y値で84以上を合格とし、84未満を不合格とした。なお、復元度Yは、反発弾性率をある程度の相関を示すことから、復元性の指標となることが確認されている。
Y=−4*X+200
(耐寒性)
耐寒性は、以下の試験により評価した。具体的には、作製したケーブルから外皮層を剥いでサンプルを採取し、このサンプルに対して、脆化試験機を用いて破壊試験を行った。本実施例では、温度が−50℃の場合でもサンプルが破断しないものを「合格」、それ以上の温度で破断してしまうものを「不合格」とした。
<評価結果>
ケーブルについての耐熱性、難燃性および復元性の評価結果を表1および表2にまとめる。
比較例1、2では、塩素化ポリエチレン(a1)を使用していないため、復元性または耐寒性が低くなることが確認された。また、比較例3では、さらに難燃剤(D)を使用していないため、難燃性も低くなることが確認された。
これに対して、実施例1〜6では、耐熱性、難燃性、復元性および耐寒性を高い水準でバランスよく得られることが確認された。具体的には、塩素化ポリエチレン(a1)として塩素量が20%以上のものを、難燃性樹脂組成物に占める含有比率が2%〜60%の範囲内となるように配合することにより、諸特性を向上できることが確認された。
実施例7〜17では、塩素化ポリエチレン(a1)、アジペート系TPU(a2)およびポリ塩化ビニル樹脂(a3)を用いることで、実施例1などと比べて諸特性をより安定的に高い水準で得られることが確認された。
また、実施例18〜22によれば、ポリ塩化ビニル樹脂(a3)以外の、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン系エラストマ、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリル樹脂、もしくはこれらの変性体などでも、ポリ塩化ビニル樹脂(a3)と同様に諸特性を高い水準でバランスよく得られることが確認された。
以上のように、ベースポリマ(A)、可塑剤(B)、可塑剤(C)および難燃剤(D)として本発明の上述した組み合わせによれば、外皮層において、耐熱性、難燃性、復元性および耐寒性を高い水準でバランスよく得ることができる。このような外皮層を備えるケーブルによれば、FAロボットケーブルとして使用することができる。
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
[付記1]
本発明の一態様は、
導体と、前記導体の周囲に被覆される絶縁層と、前記絶縁層の周囲に被覆される外皮層とを備えるケーブルであって、
前記外皮層は、ベースポリマ(A)、可塑剤(B)、安定剤(C)および難燃剤(D)を含む難燃性樹脂組成物から形成され、
前記ベースポリマ(A)は、塩素化ポリエチレン(a1)と、アジペート系、ラクトン系およびカーボネート系の少なくとも1つのウレタン熱可塑性エラストマ(a2)とを含み、
前記安定剤(C)は、ハイドロタルサイト(c1)および金属石鹸(c2)を含み、
前記難燃剤(D)は、金属水酸化物(d1)、臭素系難燃剤(d2)、非晶質シリカ(d3)および三酸化アンチモン(d4)の少なくとも1つを含む、
ケーブル。
[付記2]
付記1において、好ましくは、
前記ベースポリマ(A)は、前記ウレタン熱可塑性エラストマ(a2)を、前記塩素化ポリエチレン(a1)100質量部に対して、6質量部以上620質量部以下、含む。
[付記3]
付記2において、好ましくは、
前記難燃性樹脂組成物に占める前記塩素化ポリエチレン(a1)の含有比率が2%以上60%以下である。
[付記4]
付記1〜3のいずれかにおいて、好ましくは、
前記ハイドロタルサイト(c1)の含有量は前記金属石鹸(c2)の含有量の4倍以上であって、
前記金属石鹸(c2)の含有量が、前記塩素化ポリエチレン(a1)100質量部に対して1.6質量部以下である。
[付記5]
付記1〜4のいずれかにおいて、好ましくは、
前記可塑剤(B)の含有量は、前記塩素化ポリエチレン(a1)100質量部に対して、2質量部以上60質量部以下である。
[付記6]
付記1〜5のいずれかにおいて、好ましくは、
前記安定剤(C)の含有量は、前記塩素化ポリエチレン(a1)100質量部に対して、2質量部以上20質量部以下である。
[付記7]
付記1〜6のいずれかにおいて、好ましくは、
前記難燃剤(D)の含有量は、前記塩素化ポリエチレン(a1)100質量部に対して、1質量部以上70質量部以下である。
[付記8]
付記1において、好ましくは、
前記ベースポリマ(A)は、ポリ塩化ビニル樹脂(a3)をさらに含み、前記塩素化ポリエチレン(a1)100質量部に対して、前記ウレタン熱可塑性エラストマ(a2)を20質量部以上1700質量部以下、前記ポリ塩化ビニル樹脂(a3)を3質量部以上900質量部以下、含む。
[付記9]
付記8において、好ましくは、
前記難燃性樹脂組成物に占める前記塩素化ポリエチレン(a1)の含有比率が2%以上60%以下である。
[付記10]
付記8または9において、好ましくは、
前記ハイドロタルサイト(c1)の含有量は前記金属石鹸(c2)の含有量の4倍以上であって、
前記金属石鹸(c2)の含有量が、前記塩素化ポリエチレン(a1)100質量部に対して21質量部以下である。
[付記11]
付記8〜10のいずれかにおいて、好ましくは、
前記可塑剤(B)の含有量は、前記塩素化ポリエチレン(a1)100質量部に対して、2質量部以上600質量部以下である。
[付記12]
付記8〜11のいずれかにおいて、好ましくは、
前記安定剤(C)の含有量は、前記塩素化ポリエチレン(a1)100質量部に対して、5質量部以上150質量部以下である。
[付記13]
付記8〜12のいずれかにおいて、好ましくは、
前記難燃剤(D)の含有量は、前記塩素化ポリエチレン(a1)100質量部に対して、5質量部以上350質量部以下である。
[付記14]
付記1〜13のいずれかにおいて、好ましくは、
前記塩素化ポリエチレン(a1)は、塩素量が20%以上である。
[付記15]
付記1〜14のいずれかにおいて、好ましくは、
前記ウレタン熱可塑性エラストマ(a2)は、アジペート系である。
[付記16]
付記1〜15のいずれかにおいて、好ましくは、
前記可塑剤(B)は、トリメリット酸エステルを含む。
[付記17]
付記1〜16のいずれかにおいて、好ましくは、
前記外皮層の厚さが0.1mm以上1.4mm以下である。
[付記18]
付記1〜17のいずれかにおいて、好ましくは、
前記ポリ塩化ビニル樹脂(a3)の平均重合度は、1000〜3800である。
[付記19]
付記1〜18のいずれかにおいて、好ましくは、
前記ウレタン熱可塑性エラストマ(a2)は、ショアA硬度が80Aから95Aである。
[付記20]
本発明の他の態様は、
導体と、前記導体の周囲に被覆される絶縁層と、を備える電線であって、
前記絶縁層は、ベースポリマ(A)、可塑剤(B)、安定剤(C)および難燃剤(D)を含む難燃性樹脂組成物から形成され、
前記ベースポリマ(A)は、塩素化ポリエチレン(a1)と、アジペート系、ラクトン系およびカーボネート系の少なくとも1つのウレタン熱可塑性エラストマ(a2)とを含み、
前記安定剤(C)は、ハイドロタルサイト(c1)および金属石鹸(c2)を含み、
前記難燃剤(D)は、金属水酸化物(d1)、臭素系難燃剤(d2)、非晶質シリカ(d3)および三酸化アンチモン(d4)の少なくとも1つを含む、
電線である。
1 ケーブル
10 電線
11 導体
12 絶縁層
13 シールド層
14 外皮層(シース)

Claims (8)

  1. 導体と、前記導体の周囲に被覆される絶縁層と、前記絶縁層の周囲に被覆される外皮層とを備えるケーブルであって、
    前記外皮層は、ベースポリマ(A)、可塑剤(B)、安定剤(C)および難燃剤(D)を含む難燃性樹脂組成物から形成され、
    前記ベースポリマ(A)は、塩素化ポリエチレン(a1)と、アジペート系、ラクトン系およびカーボネート系の少なくとも1つのウレタン熱可塑性エラストマ(a2)とを含み、
    前記安定剤(C)は、ハイドロタルサイト(c1)および金属石鹸(c2)を含み、
    前記難燃剤(D)は、金属水酸化物(d1)、臭素系難燃剤(d2)、非晶質シリカ(d3)および三酸化アンチモン(d4)の少なくとも1つを含む、
    ケーブル。
  2. 前記ベースポリマ(A)は、前記ウレタン熱可塑性エラストマ(a2)を、前記塩素化ポリエチレン(a1)100質量部に対して、6質量部以上620質量部以下、含む、
    請求項1に記載のケーブル。
  3. 前記ベースポリマ(A)は、ポリ塩化ビニル樹脂(a3)をさらに含み、前記塩素化ポリエチレン(a1)100質量部に対して、前記ウレタン熱可塑性エラストマ(a2)を20質量部以上1700質量部以下、前記ポリ塩化ビニル樹脂(a3)を3質量部以上900質量部以下、含む、
    請求項1に記載のケーブル。
  4. 前記ウレタン熱可塑性エラストマ(a2)は、アジペート系である、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のケーブル。
  5. 前記可塑剤(B)は、トリメリット酸エステルを含む、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載のケーブル。
  6. 前記塩素化ポリエチレン(a1)は、塩素量が20%以上である、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のケーブル。
  7. 前記外皮層の厚さが0.1mm以上1.4mm以下である、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載のケーブル。
  8. 導体と、前記導体の周囲に被覆される絶縁層と、を備える電線であって、
    前記絶縁層は、ベースポリマ(A)、可塑剤(B)、安定剤(C)および難燃剤(D)を含む難燃性樹脂組成物から形成され、
    前記ベースポリマ(A)は、塩素化ポリエチレン(a1)と、アジペート系、ラクトン系およびカーボネート系の少なくとも1つのウレタン熱可塑性エラストマ(a2)とを含み、
    前記安定剤(C)は、ハイドロタルサイト(c1)および金属石鹸(c2)を含み、
    前記難燃剤(D)は、金属水酸化物(d1)、臭素系難燃剤(d2)、非晶質シリカ(d3)および三酸化アンチモン(d4)の少なくとも1つを含む、
    電線。
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