JP2024025001A - ハロゲン含有樹脂組成物ならびにそれを用いたケーブルおよび電線 - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁体として求められる電気特性を有し、かつ、耐熱性を向上させた樹脂組成物ならびにそれを用いた電線およびケーブルを提供する。【解決手段】導体11と、その周囲に被覆される絶縁層12と、該絶縁層12の周囲に被覆される外皮層14とを備えるケーブル1であって、外皮層14は、ベースポリマ(A)、可塑剤(B)、および安定剤(C)を含むハロゲン含有樹脂組成物で構成され、ベースポリマ(A)は、ポリ塩化ビニル樹脂(a1)、塩素化ポリエチレン(a2)、およびウレタン熱可塑性エラストマ(a3)を含み、難燃剤として、金属水酸化物および三酸化アンチモンを実質的に含有せず、焼成クレー(D)を含有する、ケーブル1。【選択図】図1

Description

本発明は、ハロゲン含有樹脂組成物ならびにそれを用いたケーブルおよび電線に関する。
ケーブルは、例えば、導体の周囲に絶縁層が設けられた絶縁電線の周囲に被覆材としての外皮層(いわゆるシース)を設けて構成される。外皮層は、ゴムや樹脂を主原料とした樹脂組成物から形成されている。
この樹脂組成物には、ケーブルの用途に応じて異なる特性が要求される。例えば、FA(Factory Automation)ロボット用のケーブルには、難燃性や耐熱性が要求される。そのため、樹脂組成物として、例えば、難燃剤を配合した軟質塩化ビニル樹脂組成物(軟質PVC)やテトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(ETFE)などが用いられている。
特に、耐屈曲性を要求される用途では、耐摩耗性や反発弾性に優れるETFEが適用されることが多かった。しかしながら、ETFEは高価であることや押出成形時に急圧縮スクリューを用いて背圧を制御する必要があるなどの課題があった。
そのため、このETFEの代替材料が種々検討され、その材料の1つとして、反発弾性、耐摩耗性に優れる樹脂組成物が検討され、例えば、塩素化ポリエチレンをベースポリマとし、ウレタン熱可塑性エラストマ(TPU)を併用した樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2022-44096号公報
しかし、上記特許文献1記載の樹脂組成物では、耐熱性や電気特性において十分ではない場合があり、例えば、絶縁体としての適用には困難な面があった。
そこで、本発明は、TPUを含有する樹脂組成物において、絶縁体として求められる電気特性を有し、かつ、耐熱性を向上させた樹脂組成物ならびにそれを用いた電線およびケーブルを提供することを目的とする。
本発明の一実施形態であるハロゲン含有樹脂組成物は、ベースポリマ(A)、可塑剤(B)、および安定剤(C)を含むハロゲン含有樹脂組成物であって、前記ベースポリマ(A)は、ポリ塩化ビニル樹脂(a1)、塩素化ポリエチレン(a2)、およびウレタン熱可塑性エラストマ(a3)を含み、難燃剤として、金属水酸化物および三酸化アンチモンを実質的に含有せず、焼成クレー(D)を含有する。
本発明の一実施形態であるケーブルは、導体と、前記導体の周囲に被覆される絶縁層と、前記絶縁層の周囲に被覆される外皮層と、を備えるケーブルであって、前記外皮層が、ベースポリマ(A)、可塑剤(B)、および安定剤(C)を含むハロゲン含有樹脂組成物で構成され、前記ベースポリマ(A)は、ポリ塩化ビニル樹脂(a1)、塩素化ポリエチレン(a2)、およびウレタン熱可塑性エラストマ(a3)を含み、難燃剤として、金属水酸化物および三酸化アンチモンを実質的に含有せず、焼成クレー(D)を含有する。
本発明の一実施形態である電線は、導体と、前記導体の周囲に被覆される絶縁層と、を備える電線であって、前記絶縁層が、ベースポリマ(A)、可塑剤(B)、および安定剤(C)を含むハロゲン含有樹脂組成物で構成され、前記ベースポリマ(A)は、ポリ塩化ビニル樹脂(a1)、塩素化ポリエチレン(a2)、およびウレタン熱可塑性エラストマ(a3)を含み、難燃剤として、金属水酸化物および三酸化アンチモンを実質的に含有せず、焼成クレー(D)を含有する。
本実施の形態のハロゲン含有樹脂組成物によれば、TPUを含有する樹脂組成物において、絶縁体として求められる電気特性を有し、かつ、耐熱性を向上させた樹脂組成物を得ることができる。
したがって、本実施の形態の電線およびケーブルは、電気特性および耐熱性が良好な電線およびケーブルとできる。
本実施の形態にかかるケーブルの長さ方向に垂直な断面図である。 本実施の形態の樹脂組成物の相構造を模式的に示した図である。
<本発明者らの検討背景>
本発明者らは、これまでベースポリマとして複数のハロゲン系ポリマとTPUのポリマアロイ技術により、ケーブルのシース材料に適用する樹脂組成物の開発に従事してきている。
そのシース材料の検討の中で、三酸化アンチモンや水酸化アルミニウムなどの難燃剤を添加した系では、絶縁体としての判断基準である体積抵抗率が5E+13Ω・cm以上となる配合組成を見出すことができず、絶縁体としてのシース材料とすることが困難であることがわかった。
しかしながら、本発明者らは、焼成クレーを用いることで、TPUを配合したハロゲン含有樹脂組成物において、体積抵抗率を向上させることができ、絶縁体を形成する材料として適用し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
<実施の形態>
本発明は、上述した知見に基づいてなされたものである。以下、本発明の一実施の形態に係る樹脂組成物、電線およびケーブルについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態にかかるケーブルの長さ方向に垂直な断面図である。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[ハロゲン含有樹脂組成物]
まず、本実施の形態において、ケーブルの外皮層を形成するのに好適なハロゲン含有樹脂組成物について説明する。本実施の形態のハロゲン含有樹脂組成物は、ベースポリマ(A)、可塑剤(B)、安定剤(C)、および焼成クレー(D)を含み、必要に応じて、着色剤(E)やその他の添加剤(F)を含むことができる。
以下、このハロゲン含有樹脂組成物に含まれる各成分について詳述する。
〔ベースポリマ(A)〕
本実施の形態では、ベースポリマ(A)として、ハロゲン含有樹脂とTPUを含むポリマを用いるものであり、ハロゲン含有樹脂としては複数種のハロゲン含有樹脂を含有させることが好ましい。ここで用いる複数種のハロゲン含有樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン、クロロスルフォン化ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、エチレン・四フッ化エチレン共重合体、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体等が挙げられる。
なかでも、ポリ塩化ビニル樹脂(a1)と塩素化ポリエチレン(a2)とを含有させることが好ましい。以下、これら2種類のハロゲン含有樹脂をベースポリマの成分として含有させた場合を例に説明する。
本実施の形態に使用するポリ塩化ビニル樹脂(a1)(以下、「PVC(a1)」と称することもある)としては、塩化ビニルのホモポリマーの他、塩化ビニルと他の共重合可能なモノマーとの共重合体などを用いることができる。共重合体としては、例えば、塩化ビニルと、エチレンや、酢酸ビニルなどとの共重合体を用いることができる。また、部分的に架橋が施されたものを使用してもよい。
ポリ塩化ビニル樹脂(a1)のK値は、65.7~94.9であることが好ましく、71~85.6であることがより好ましい。K値を65.7以上とすることにより、樹脂組成物において高い耐熱性、難燃性を得ることができ、また、(a2)成分との親和性にも優れる。一方、平均重合度が過度に高くなると、ハロゲン含有樹脂組成物の成形加工性が低くなるおそれがあるが、K値を94.9以下とすることにより、成形加工性を損ねることなく、樹脂組成物の性能を高く維持することができる。なお、ポリ塩化ビニル樹脂(a1)としては、平均重合度が異なるものを複数併用してもよい。
本実施の形態に使用する塩素化ポリエチレン(a2)(以下、「CPE(a2)」と称することもある)は、樹脂組成物の難燃性や耐寒性の向上に寄与する成分である。塩素化ポリエチレン(a2)は原料ポリエチレンを水に懸濁分散させた水性懸濁液に塩素ガスを吹き込むことにより得られるものである。
塩素化ポリエチレン(a2)に含まれる塩素量は特に限定されないが、耐寒性および難燃性を高くする観点からは、20質量%以上であることが好ましく、20質量%~45質量%であることがより好ましい。なお、CPE(a2)は、塩素量の異なる複数のCPEを併用してもよい。
本実施の形態に使用するウレタン熱可塑性エラストマ(a3)(以下、「TPU(a3)」と称することもある)は、樹脂組成物に、主に復元性、耐摩耗性を付与する成分である。一般に、TPUは、ポリオールとジオールとイソシアネートとの反応により得られ、硬い剛直なハードセグメントと、柔軟なソフトセグメントとを有する。
本実施形態で使用されるウレタン熱可塑性エラストマ(a3)は、ウレタン熱可塑性エラストマであれば特に限定されるものではなく、例えば、アジペート系、ラクトン系またはカーボネート系のウレタン熱可塑性エラストマ等が挙げられる。
このウレタン熱可塑性エラストマとしては、アジペート系、ラクトン系およびカーボネート系から選ばれる少なくとも1種を含有する成分であることが好ましい。アジペート系は、アジピン酸系ポリエステルポリオール、ジオールおよびイソシアネートとの反応により得られるウレタン熱可塑性エラストマ(TPU)である。ラクトン系は、例えば、カプロラクタン系のポリエステルポリオール、ジオールおよびイソシアネートとの反応により得られるウレタン熱可塑性エラストマ(TPU)である。カーボネート系は、例えば、カーボネート化合物系ポリエステルポリオールとジオール、イソシアネートとの反応により得られるウレタン熱可塑性エラストマ(TPU)である。
TPUの原料であるジオールとしては、公知の成分を用いることができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,3,5-トリメチルペンタンジオール、2、4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,12-オクタデカンジオール、1,2-アルカンジオール、1,3-アルカンジオール、1-モノグリセライド、2-モノグリセライド、1-モノグリセリンエーテル、2-モノグリセリンエーテル、ダイマージオール、水添ダイマージオール等が挙げられる。
TPUの原料であるイソシアネートとしては、公知の成分を用いることができ、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。また、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル-4,4’-ジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネートが挙げられる。さらに、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
TPU(a3)としては、樹脂組成物における耐熱性の観点からはアジペート系、ラクトン系またはカーボネート系であれば特に限定されないが、樹脂組成物において硬度を調整する観点からはアジペート系が好ましい。
アジペート系TPUは、硬度の調整だけでなく、ラクトン系やカーボネート系と比べてポリ塩化ビニル樹脂(a1)との親和性に優れ、ケーブルの外皮層を構成する樹脂組成物において後述する相構造を形成しやすく、諸特性をより安定的に実現することができる点も有利な特徴である。これは、アジピン酸に由来する構造を有するアジペート系TPUが、添加剤を配合しても、ハードセグメントの水素結合やウレタン結合による結合力を大きく損ねず、諸特性を高く維持しやすいためである。
アジペート系TPUの硬さは、特に限定されないが、樹脂組成物の復元性と耐熱性とのバランスの観点からは、ショアA硬度で80Aから95Aであることが好ましく、80Aから90Aであることがより好ましい。
上記説明した(a1)、(a2)および(a3)の各成分の配合量は、ベースポリマ(A)全体を100質量%としたとき、(a1)成分を1~40質量%、(a2)成分を5~65質量%、(a3)成分を1~40質量%、とすることが好ましい。このような範囲の配合にすることにより、各成分により得られる特徴を発現させ、樹脂組成物の耐熱性、難燃性、復元性、硬度等の各特性を良好なバランスで有するものとできる。
なお、ベースポリマ(A)には、上記(a1)、(a2)および(a3)の各成分以外のその他のポリマ成分を、求める特性を損ねない範囲で適宜配合してもよい。その他のポリマ成分としては、例えば、エチレン-塩化ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、スチレン系エラストマ、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、アクリル樹脂、もしくはこれらの変性体などを用いることができる。
その他のポリマ成分を配合する場合には、ベースポリマ(A)100質量%中に、その他のポリマ成分を30質量%以下となるようにすることが好ましく、20質量%以下がより好ましい。
〔可塑剤(B)〕
可塑剤(B)は、樹脂組成物に柔軟性を付与する成分である。可塑剤(B)としては、この種の樹脂組成物に配合される公知の可塑剤を使用できる。この可塑剤としては、例えば、トリメリット酸エステル、フタル酸エステル、アジピン酸ポリエステルなどが挙げられる。この中でも、トリメリット酸エステルがケーブルの外皮層に適用した場合、その諸特性を損ねないので好ましい。
トリメリット酸エステルは、フタル酸エステルと比べて樹脂組成物の耐熱性をより高く維持することができる。また、アジピン酸ポリエステルに比べて樹脂組成物にべたつきを生じさせないので、ケーブルの外皮層に適用した場合、その取り扱い性を向上させることができる。トリメリット酸エステルは単独で使用してもよいが、その他の可塑剤、例えばアジピン酸ポリエステルなどと、求める特性を損ねない範囲で併用してもよい。
トリメリット酸エステルとしては、例えば、トリメリット酸トリ2エチルへキシル、トリメリット酸トリnオクチル、トリメリット酸トリ混合アルキル、トリメリット酸トリイソノニルなどを用いることができ、酸化防止剤混合型を適用してもよい。このとき、酸化防止剤はフェノール系が一般に適用され、その添加量はトリメリット酸エステル中に0.1~1質量%としたものが市販されている。
〔安定剤(C)〕
安定剤(C)は、ハロゲン含有樹脂組成物を調製する際に、PVC(a1)やCPE(a2)の劣化を抑制する熱安定剤として作用するとともに、ハロゲン含有樹脂組成物の相構造を安定させる成分である。
本実施形態では、ベースポリマとして、PVC(a1)やCPE(a2)等のポリマに選択的に分散させる観点から、安定剤(C)として、ハイドロタルサイト(c1)、Ca-Zn系安定剤(c2)、金属石鹸(c3)等を用いることが好ましい。ハイドロタルサイト(c1)、Ca-Zn系安定剤(c2)および金属石鹸(c3)としては、PVC(a1)やCPE(a2)との相溶性に優れるものであれば、特に限定されず、公知の成分を用いることができる。
ハイドロタルサイト(c1)は、マグネシウムとアルミニウム系の層状化合物であり、中でも化合物中の元素質量比(Mgの質量/Alの質量)を1.5~3.5に調整したものが好ましいものとして挙げられる。
Ca-Zn系安定剤(c2)は、PVC製品の安定剤として公知のCa-Zn系安定剤であり、電力通信系ケーブルを除く自動車、家電用などの電線被覆材の用途分野や、医療用器具などの軟質PVC製品を中心に使用されている。
金属石鹸(c3)は、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸、オクチル酸などの脂肪酸と、カルシウムや亜鉛などの金属とからなる金属石鹸が挙げられる。
なお、安定剤(C)は上記以外の成分として安定化助剤を含んでもよい。安定化助剤は、TPU(a3)にとっては添加の有無の影響がなく、PVC(a1)のみに働く成分である。安定化助剤としては、例えば、ジベンゾイルメタン、ステアリルベンゾイルメタンおよびこれらの金属塩、多価アルコール類、トリヒドロキシエチルイソシアネート等を必要に応じて適量使用することができる。
〔焼成クレー(D)〕
焼成クレー(D)は、樹脂組成物において耐熱性および絶縁性を向上させる成分である。この焼成クレー(D)は、樹脂組成物中のイオン性の物質を吸着し、電気特性(絶縁性)を向上させる機能を有する。
焼成クレー(D)としては、公知のクレーを焼成して含まれる水分を低減したものが挙げられる。ここで、焼成クレーの原料となるクレーは、粘着性を有する微細な粒子の集合体であり、主として珪素、アルミニウム、マグネシウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属、水分から成る化学成分を有した天然鉱物である。このクレーとしては、例えば、含水珪酸アルミニウムを主成分とする天然の鉱石から工業的に精製した白色粉状のものが挙げられる。このようなクレーを焼成して、水分含有量を1質量%以下にする。
焼成クレー(D)は、表面処理を施したものを用いてもよい。表面処理は、例えば、有機シラン化合物やシランオリゴマーを用いて行うことができる。
〔着色剤(E)〕
着色剤(E)は、樹脂組成物中に配合することにより、所望の色に着色可能が顔料、染料等である。この着色剤(E)としては、この種の樹脂組成物に配合されている公知の着色剤を、特に限定されることなく使用することができる。
着色剤(E)としては、例えば、NBP-2425(製品名、日弘ビックス株式会社製)などの黒色着色剤、AO-25(製品名、株式会社ADEKA製)などの白色着色剤等が挙げられる。
〔添加剤(F)〕
本実施の形態のハロゲン含有樹脂組成物には、上記(A)~(D)成分以外に、必要に応じてその他の添加剤(F)を配合してもよい。この添加剤(F)としては、例えば、架橋助剤、酸化防止剤(熱老化防止剤)、銅害防止剤、滑剤、加工助剤、難燃剤、絶縁向上剤などを用いることができる。
架橋助剤としては、例えば、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、N,N’-メタフェニレンビスマレイミド、エチレングリコールジメタクリレート、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛などが挙げられる。このハロゲン含有樹脂組成物を、電子線架橋等を用いずに架橋しないで適用する際は架橋助剤を添加しなくてもよい。
また、酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤または硫黄系酸化防止剤などが挙げられる。銅害防止剤としては、例えばN-(2H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)サリチルアミド、ドデカン二酸ビス[N2-(2-ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジド]、2’,3-ビス[[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド等が挙げられ、より好適には2’,3-ビス[[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジドが挙げられる。
滑剤としては、例えば、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系などが挙げられる。
加工助剤としては、例えば、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸などの脂肪酸およびこれらの塩、エステル類、ポリメチルメタクリレートなどが挙げられる。
また、難燃性を付与するために、この種の樹脂組成物に配合される難燃剤を含有させることもできるが、本実施の形態においては、難燃剤として三酸化アンチモン、金属水酸化物を実質的に含まないようにする。
ここで用いることができる難燃剤としては、臭素系難燃剤、非晶質シリカ等が挙げられる。
臭素系難燃剤としては、例えばデカブロモジフェニルエタン等を用いることができる。臭素系難燃剤は、分散性の観点から、平均粒径が5μm以下であることが好ましい。下限値は特に限定されないが、例えば0.2μmである。
非晶質シリカとしては、分散性の観点から、平均粒径が5μm以下であることが好ましい。下限値は特に限定されないが、例えば0.01μmである。
絶縁向上剤としては、例えば、針状ベーマイト、上記焼成クレー(D)とは化学構造が異なる未焼成の添加クレー等が挙げられる。この絶縁補助剤を添加することにより、焼成クレー(D)を配合することにより生じた絶縁性の向上作用を、さらに向上させることができ、好ましいものとなる。
なお、針状ベーマイトは、細長い形状の酸化アルミニウム水酸化物鉱物であり、例えば、そのアスペクト比は平均で10~70が好ましい。また、その平均粒径は0.5~10μmが好ましい。
この添加クレーは、焼成クレー(D)とは異なる化学構造を有し、かつ、焼成処理がなされていない未焼成のクレーが好ましい。この添加クレーは、例えば、それに含有する水分が1質量%超から10質量%程度である。ここで、化学構造が異なるとは、例えば、質量基準で、各成分のAl含有量に対するSiOの含有量(SiO/Al(質量比))が異なる場合を例示でき、焼成クレー(D)がSiO/Al(質量比)<2で、この添加クレーがSiO/Al(質量比)≧2のように、シリカとアルミナの含有比率が異なる場合を例示できる。
(相構造)
本実施形態のハロゲン含有樹脂組成物においては、ベースポリマであるPVC(a1)、CPE(a2)およびTPU(a3)は、PVC(a1)とCPE(a2)は相溶し、TPU(a3)成分はそれらとは相分離した、海島構造を形成する、またはスピノーダル分散する。そして、安定剤(C)は、TPU(a3)よりもPVC(a1)とCPE(a2)との相溶相に選択的に分散しやすい。そのため、TPU(a2)に入り込む添加剤成分が従来と比べ格段に少なくでき、TPU(a3)成分におけるウレタン結合力や水素結合力の低下を抑制することができる。これにより、TPU(a3)成分が本来有する特性を高く維持することが可能となる。
このような相構造について、図2にその構成を模式的に示した。この図2において、マトリックス21は、相溶したPVC(a1)とCPE(a2)、また、その中に分散する安定剤(C)および焼成クレー(D)を含んでおり、マトリックス21中に相分離して存在するTPU(a3)からなるTPU22とを示している。
(含有比率)
次に上記説明した成分の含有割合について説明する。
ベースポリマ(A)は、樹脂組成物100質量%中に50~95質量%含有することが好ましく、60~90質量%含有することが好ましい。
可塑剤(B)は、樹脂組成物100質量%中に1~30質量%含有することが好ましく、5~20質量%含有することが好ましい。
安定剤(C)は、樹脂組成物100質量%中に1~15質量%含有することが好ましく、2~10質量%含有することが好ましい。
焼成クレー(D)は、樹脂組成物100質量%中に0.1~10質量%含有することが好ましく、1~5質量%含有することが好ましい。
なお、安定剤(C)の含有量は特に限定されないが、金属石鹸(c3)はハイドロタルサイト(c1)に比べてTPU(a3)のハードセグメントにおける水素結合力やウレタン結合力を低下させやすく、外皮層の耐熱性を損ねるおそれがある。そのため、PVC(a1)やCPE(a2)を安定化させつつ、耐熱性を高く維持する観点からは、金属石鹸(c3)の含有量を少なくする一方で、安定剤(C)による効果を担保するためにハイドロタルサイト(c1)の含有量を多くするとよい。
また、着色剤(E)を配合する場合には、その含有量は、上記(A)成分~(D)成分の合計量100質量部に対して、0.1~5質量部が好ましく、0.5~2質量部がより好ましい。
添加剤(F)を配合する場合には、その含有量は、上記(A)成分~(D)成分の合計量100質量部に対して、0.5~40質量部が好ましく、4~20質量部がより好ましい。
(ハロゲン含有樹脂組成物の調製)
ハロゲン含有樹脂組成物は、上記(A)~(D)成分および必要に応じて着色剤(E)、その他の添加剤(F)を混合して溶融混練させることで調製することができる。混練は、例えばバンバリーミキサーや加圧ニーダなどのバッチ式混練機、二軸押出機などの連続式混練機などの公知の混練装置を用いて行うことができる。
具体的には、まず、ポリ塩化ビニル樹脂(a1)、塩素化ポリエチレン(a2)、可塑剤(B)、安定剤(C)および焼成クレー(D)を混練することで、塩素系樹脂組成物を得て、続いてTPU(a3)を混合し、溶融混練する方法が一例として挙げられる。これにより、塩素系樹脂組成物へTPU(a3)を分散させて、ハロゲン含有樹脂組成物を形成することができる。
上記によれば、ハロゲン含有樹脂組成物においては、予め塩素系樹脂組成物をペレット成形する必要は無く、溶融状態で、TPU(a3)のペレットを投入し、混練すればよい。この混練手順をふむことでTPU(a3)相への添加剤の入り込みをより少なくすることができる。これにより、樹脂組成物における耐熱性をより高く維持することが可能となり、例えば、ケーブルの外皮層として好適である。
混練機に二軸押出機を使用する場合、混合材料の定量供給の観点から、PVC(a1)と、可塑剤(B)と、添加剤と、を混合親和ドライアップさせたあと、CPE(a2)を投入混合すると粉末形状が保てるため好ましい。粉末状態が保てると、TPU(a3)ペレットとの混合も容易に可能であり、スクリューフィーダでの材料供給も容易となるためである。
なお、予め塩素系樹脂組成物を造粒成形(ペレット)化し、TPU(a3)と混合混練または押出成形しても、上記中間材料となる樹脂組成物の提供は可能である。塩素系樹脂組成物の硬度や摩耗性、難燃性を変えた材料を短時間で複数種作製したい場合などはこの手法が有効である。
上記のように得られるハロゲン含有樹脂組成物は、体積抵抗率が5E+13Ω・cm以上となる配合組成とでき、さらに、UL規格における105℃定格を満たすような高い耐熱性を有するものとできる。
[ケーブル]
続いて、本発明の一実施形態であるケーブルについて図1を用いて説明する。図1は、本実施形態にかかるケーブルの長さ方向に垂直な断面図である。
図1に示すように、本実施形態のケーブル1は、導体11の周囲に絶縁層12が形成された電線10と、電線10の周囲に設けられるシールド層13と、シールド層13の周囲に形成される外皮層14(シース14)と、を備えて構成されている。
(導体)
導体11としては、電線に通常用いられる金属線、例えば銅線、銅合金線のほか、アルミニウム線、金線、銀線などを、特に制限されずに用いることができる。また、導体11として、金属線の周囲に錫やニッケルなどの金属めっきを施したものを用いてもよい。さらに、導体11として、金属線を撚り合わせた撚り線を用いることもできる。
(絶縁層)
絶縁層12は、導体11の周囲に設けられる絶縁材料から構成される被覆層である。絶縁層12は、従来公知の材料、例えばフッ素樹脂やポリエステル系樹脂、高密度ポリエチレンなどのポリマや、ポリマに難燃剤、酸化防止剤等を添加した樹脂組成物など、で形成することができ、また、上述したハロゲン含有樹脂組成物で形成してもよい。絶縁層12の厚さは、特に限定されず、例えば0.1mm~1.5mmとすることが好ましい。
(シールド層)
シールド層13は、複数の電線10を撚り合わせた撚り線の周囲に設けられる、電磁シールド作用を有する被覆層である。シールド層13は、公知のシールド層を特に制限なく用いることができ、例えば軟銅線などの金属素線を複数編み込む編組構造により形成される。
(外皮層)
外皮層14は、シールド層13の周囲に設けられ、ケーブル1の最外層を形成する被覆層である。本実施形態において、この外皮層14は、上述したハロゲン含有樹脂組成物から形成される。外皮層14の厚さとしては、特に限定されないが、諸特性を高い水準でバランスよく得る観点からは、0.1mm~1.4mmとすることが好ましい。
外皮層14の耐油性や燃焼時の消炎安定性を高める観点からは、ハロゲン含有樹脂組成物を架橋させてもよい。架橋方法は特に限定されず、例えば電子線架橋などを採用することができる。電子線架橋を行う場合であれば、押出成形したハロゲン含有樹脂組成物に0.5~30Mradの電子線を照射して架橋するとよい。
(ケーブルの製造方法)
まず、導体11を準備し、押出成形機により、例えば上述した本実施形態のハロゲン含有樹脂組成物を導体11の周囲を被覆するように押し出して、所定厚さの絶縁層12を形成し、電線10を得る。続いて、電線10を複数本撚り合わせ、その周囲に編組機によりシールド層13を形成する。
続いて、押出成形機により、シールド層13の周囲を被覆するように上述した本実施形態のハロゲン含有樹脂組成物を押し出して、所定厚さの外皮層14を形成する。これにより、本実施形態のケーブル1を製造することができる。
なお、本実施形態では、上述のハロゲン含有樹脂組成物をケーブルの外皮層に用いる場合を中心に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施形態のハロゲン含有樹脂組成物は、例えば、電線の絶縁層に使用することもできる。ハロゲン含有樹脂組成物の絶縁抵抗が上がり、絶縁電線としての性能も発現可能なためである。
次に、本発明について実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<材料>
本実施例にて、外皮層形成用のハロゲン含有樹脂組成物を調製するのに用いた材料は以下のとおりである。
[ベースポリマ(A)]
ベースポリマ(A)として、以下成分を用いた。
ポリ塩化ビニル樹脂(a1)として、ポリ塩化ビニル樹脂1(製品名「TH-1700」、大洋塩ビ株式会社製、K値75.7~78.1)
塩素化ポリエチレン(a2)として、塩素化ポリエチレン1(製品名「エラスレン352GB」、昭和電工社製、塩素量 34質量%~37質量%)
ウレタン熱可塑性エラストマ(a3)として、アジペートタイプTPU(製品名「P25MRWJE」、日本ミラクトラン株式会社製、ショアA硬度90)
[可塑剤(B)]
可塑剤(B)として、(b1)トリメリット酸ジ2エチルへキシル(TOTM)(製品名「T08」、花王株式会社製)を用いた。
[安定剤(C)]
安定剤(C)として、以下を用いた。
・(c1)安定剤1(製品名「HT-1」、堺化学工業株式会社製;ハイドロタルサイト)
・(c2)安定剤2(製品名「OW-3152」、堺化学工業株式会社製;Ca-Zn系安定剤)
[焼成クレー(D)]
焼成クレー(D)として、焼成クレー1(製品名:SP#33、BASF社製;SiO/Al(質量比)<2)を用いた。
[着色剤(E)]
着色剤(E)として、(e1)カラーバッチ(製品名「NBP-2425Black」、日弘ビックス株式会社製)を用いた。
[添加剤(F)]
添加剤(F)として、以下を用いた。
・(f1)キューブ状ベーマイト(製品名「セラシュールBMB-2」、河合石灰工業株式会社製;平均粒径2μm)
・(f2)針状ベーマイト(製品名「セラシュールBMI」、河合石灰工業株式会社製;長径5μm、アスペクト比40)
・(f3)炭酸カルシウム(製品名「ソフトン1200」、備北粉化工業株式会社製)
・(f4)タルク(製品名「ミクロエースL1」、日本タルク株式会社製)
・(f5)添加クレー(製品名「インシュライト LHM103HP」、水澤化学工業株式会社製;未焼成、SiO/Al(質量比)≧2)
<実施例1>
まず、上記材料を表1に示した通りの配合となるように秤量し、TPU以外の材料を混合したものと、TPUとを準備した。
TPU以外の混合物を、6インチロールを用いて180℃で5分混練した。混練後、6インチロールに巻き付いた状態で、TPUペレットを少量ずつ投入し、投入完了後、ロールギャップ1mm厚で3分混練を行った。
その後ロールギャップを0.5mm厚としシート出しを行った。
シート出し品を0.5mm厚の金枠に合わせて切断し、100tプレス機を用い180℃、2MPaで3分予熱し、10MPaで2分加圧した後、冷却水で5分冷却し、所定形状のシートを得た。
<実施例2~3、比較例1~3>
実施例2~3、比較例1~3では、表1に示す配合とした以外は、実施例1と同様の操作により樹脂組成物およびシートを作製した。
<評価>
作製した実施例1~3および比較例1~3の各シートについて、引張特性、耐熱性、体積抵抗率、耐寒性を評価した。各評価は以下のように行った。これらの結果を表1にまとめて示した。
Figure 2024025001000002
〔引張特性〕
作製した厚さ0.5mmサンプルについて、JIS K 6723に準拠した引張試験を行い、初期の引張強さ、伸びおよび50%モジュラスを測定した。
〔耐熱性〕
上記引張特性で用いたサンプルについて、UL758に準拠した換気率を規定したギアオーブンを用い、145℃×120時間、JIS K 6723準拠のダンベル片に負荷をかけ、(負荷後の引張特性×100/初期値の引張特性)の関係式から引張強度残率および伸び残率をそれぞれ求めた。
〔体積抵抗率〕
作製した厚さ0.5mmのサンプルについて、JIS K 6723に準拠し、30℃での体積抵抗率を測定した。
〔耐寒性〕
作製した厚さ0.5mmのサンプルについて、JIS K 6723に準拠した脆化試験を行い、耐寒性を評価した。試験温度は-50℃とし、試験後のサンプルが破壊されていないもの(クラック(裂け目やヒビ)は破壊に含めない)を「合格」(記号表記:〇)とし、試験後のサンプルが破壊されたもの(試験片が2つ以上に分離した状態)を「不合格」(記号表記:×)とした。
実施例1~3では、上記試験の全てにおいて良好な結果が得られた。特に、絶縁材料として適用可能な体積抵抗率が5E+13Ω・cm以上を満足する結果が得られた。この体積抵抗率向上のメカニズムは明らかではないが、実施例1では、アンチモンや水酸化アルミニウム等の難燃剤を含んでいないことで焼成クレーとポリマ成分との界面面積が増え、焼成クレーがイオン性物質の吸着に有効に働き、電気特性が向上したものと推察する。
また、実施例2~3では、添加剤を含有することにより、アニオン、カチオン双方のイオン性物質の吸着量が増えたことで、ハロゲン系ポリマ分解物によるTPUの劣化が抑制され、その結果、電気特性が向上したものと推察する。
比較例1~2では、従来、体積抵抗率の低下の影響が軽微であると考えられている炭酸カルシウムやタルクを添加した組成であるが、体積抵抗率が5E+13Ω・cm以上を満足することはできていない。また、比較例3は、実施例1とはベーマイトの形状が異なる例であるが、この場合も体積抵抗率を満足できなかった。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
1 ケーブル
10 電線
11 導体
12 絶縁層
13 シールド層
14 外皮層(シース)

Claims (9)

  1. ベースポリマ(A)、可塑剤(B)、および安定剤(C)を含むハロゲン含有樹脂組成物であって、
    前記ベースポリマ(A)は、ポリ塩化ビニル樹脂(a1)、塩素化ポリエチレン(a2)、およびウレタン熱可塑性エラストマ(a3)を含み、
    難燃剤として、金属水酸化物および三酸化アンチモンを実質的に含有せず、
    焼成クレー(D)を含有する、ハロゲン含有樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載のハロゲン含有樹脂組成物において、
    さらに、着色剤(E)を含有する、ハロゲン含有樹脂組成物。
  3. 請求項2に記載のハロゲン含有樹脂組成物において、
    さらに、添加剤(F)を含有する、ハロゲン含有樹脂組成物。
  4. 請求項3に記載のハロゲン含有樹脂組成物において、
    前記添加剤(F)が針状ベーマイトを含む、ハロゲン含有樹脂組成物。
  5. 請求項4に記載のハロゲン含有樹脂組成物において、
    前記針状ベーマイトが、そのアスペクト比が平均で10~70であり、平均粒径が0.5~10μmである、ハロゲン含有樹脂組成物。
  6. 請求項3に記載のハロゲン含有樹脂組成物において、
    前記添加剤(F)が前記焼成クレー(D)とは化学構造の異なる未焼成クレーを含有する、ハロゲン含有樹脂組成物。
  7. 請求項6に記載のハロゲン含有樹脂組成物において、
    質量基準で、前記焼成クレー(D)のAl含有量に対するSiOの含有量が2未満(SiO/Al(質量比)<2)であり、かつ、前記未焼成クレーのAl含有量に対するSiOの含有量が2以上(SiO/Al(質量比)≧2)である、ハロゲン含有樹脂組成物。
  8. 導体と、前記導体の周囲に被覆される絶縁層と、前記絶縁層の周囲に被覆される外皮層と、を備えるケーブルであって、
    前記外皮層が、ベースポリマ(A)、可塑剤(B)、および安定剤(C)を含むハロゲン含有樹脂組成物で構成され、
    前記ベースポリマ(A)は、ポリ塩化ビニル樹脂(a1)、塩素化ポリエチレン(a2)、およびウレタン熱可塑性エラストマ(a3)を含み、
    難燃剤として、金属水酸化物および三酸化アンチモンを実質的に含有せず、
    焼成クレー(D)を含有する、ケーブル。
  9. 導体と、前記導体の周囲に被覆される絶縁層と、を備える電線であって、
    前記絶縁層が、ベースポリマ(A)、可塑剤(B)、および安定剤(C)を含むハロゲン含有樹脂組成物で構成され、
    前記ベースポリマ(A)は、ポリ塩化ビニル樹脂(a1)、塩素化ポリエチレン(a2)、およびウレタン熱可塑性エラストマ(a3)を含み、
    難燃剤として、金属水酸化物および三酸化アンチモンを実質的に含有せず、
    焼成クレー(D)を含有する、電線。
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