JP2021086720A - 全固体電池 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、近年、固体(結晶)と液体との中間の状態である柔粘性結晶(プラスティッククリスタル)が、その固体中に存在する格子欠陥を経由することで、イオン伝導を比較的容易としうるため、新規な固体電解質として注目されている。
まず、本発明の全固体電池について説明する。図1に、本発明の1つの実施形態である全固体電池の断面図を示す。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。図1に示すように、全固体電池100は、負極2と、正極3と、負極2と正極3の間に配置される固体電解質層1を備える。固体電解質層1を介して、負極2と正極3との間をイオンが伝導する。
以下、本開示の全固体電池について、構成毎に説明する。
固体電解質層は、正極活物質層および負極活物質層の間に形成された層であり、本開示の第1の固体電解質と、第2の固体電解質と、を特定の体積割合で含んでいれば、任意成分として、リチウム塩やバインダ等をさらに含有していてもよい。
以下、本開示の固体電解質層について、構成毎に説明する。
本開示の1つの実施形態である第1の固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有していて、かつ、ピロリジニウム、テトラアルキルアンモニウムおよびテトラアルキルホスホニウムからなる群より選択される少なくとも1種のカチオン源と、カルボランアニオン源と、を含むことが好ましい。これらは一般的には、柔粘性結晶といわれる。
テトラアルキルアンモニウムの例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、等が挙げられる。
テトラアルキルホスホニウムの例としては、テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム等が挙げられる。[ト1][ト2]
(CxByMz)-
(式中、xおよびyは、それぞれ独立して1以上の整数であり、Mは、H、F、ClおよびBrの少なくとも1種であり、zは、0以上の整数である)
で表される。中でも、本開示の1つの実施形態においては、カルボランアニオンは、CB9H10−およびCB11H12−から選択される少なくとも1種であることが好ましい。CB9H10−およびCB11H12−は、硫化物固体電解質との反応性が低く、界面抵抗の増加を抑制できるためである。
本開示における第2の固体電解質は、硫化物固体電解質である。硫化物固体電解質は、硫黄(S)を含有し、かつ、イオン伝導性を有する材料である。
本開示における固体電解質層は、支持塩としてのリチウム塩を含んでもよい。リチウム塩としては、Li(CF3SO2)2N(リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド)、Li(FSO2)2N(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)、Li(C2F5SO2)2N、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiTaF6、LiClO4、LiCF3SO3等が挙げられる。なかでも、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドおよびリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドの少なくとも一方が好ましい。 リチウム塩の添加量は、固体電解質層に対して、0.1〜20mol%であることが好ましく、2〜20mol%がより好ましい。この範囲であれば、高いイオン伝導性を発揮することができる。
正極は、正極活物質を少なくとも含有し、任意成分として、固体電解質、導電材およびバインダの少なくとも1種をさらに含有していてもよい。
負極は、負極活物質を少なくとも含有し、任意成分として、固体電解質、導電材およびバインダの少なくとも1種をさらに含有していてもよい。
本開示における全固体電池は、正極、固体電解質層および負極に加えて、負極集電体および正極集電体を有することが好ましい。負極集電体の材料としては、例えば、SUS、Cu、Ni、Fe、Ti、Co、Znが挙げられる。一方、正極集電体の材料としては、例えば、Cr、Au、Pt、Al、Fe、Ti、Znが挙げられる。また、全固体電池は、例えばSUS製電池ケース等の任意の電池ケースを有していてもよい。
例えば、負極、正極及び固体電解質層を、平板プレス、又はロールプレス等で加圧成形することで正極−固体電解質層−負極の接合体を得た後に、該接合体に対して、集電体を取り付けることで、全固体電池としてもよい。
別の製造方法として、正極集電体の一面上に正極スラリーを塗工・乾燥して得た正極と、負極集電体の一面上に負極スラリーを塗工・乾燥して得た負極とを、基板の一面上に固体電解質スラリーを塗工・乾燥して得た固体電解質層とを、正極集電体、正極、固体電解質層、負極、負極集電体の順となるように配置することで、全固体電池としてもよい。
<第1の固体電解質の製造>
1−ブチルー1−メチルピロリジニウムカチオンを5℃のイオン交換水に、また、カルボランアニオンCB11H12−を50℃のイオン交換水にそれぞれ溶解させ、ピロリジニウムカチオン水溶液およびカルボランアニオン水溶液を調整した。カルボランアニオン水溶液を5℃まで冷却した後、ピロリジニウムカチオン水溶液に滴下し、得られた混合水溶液を真空乾燥することで固体結晶を得た。次に、得られた固体結晶を160℃で加熱溶融させて生成した溶融物に対し、第1の固体電解質に対して30mol%のカルボランアニオンのリチウム塩CB11H12Liを添加した。その後、160℃で一定時間加熱後、25℃まで冷却して、柔粘性結晶を含む凝固物を得た。得られた凝固物を、粉砕処理することで、所望の第1の固体電解質を得た。
第2の固体電解質である硫化物固体電解質LiI−Li2O−Li2S−P2S5と、製造した第1の固体電解質とを体積比率が90:10となるように秤量し、混合した。得られた混合物99.0重量部に対して、PVDFバインダ溶液を固形分で1.0重量部を添加し、合計100重量部の組成物を得た。得られた組成物に、超音波ホモジナイザー(SMT株式会社製、UH−50)により、60秒間超音波処理し、固形分率が63.0%である固体電解質層用スラリーを調製した。この固体電解質層用スラリーを、基材(Al箔)上に、ベーカーアプリケータを用いて塗工して、加熱乾燥することで、基材および固体電解質層を得た。
正極活物質としてLi(NiMnCo)1/3O2(日亜化学工業株式会社製)、固体電解質としてLiI−Li2O−Li2S−P2S5とを体積比率が75:25となるように秤量し、混合した。得られた混合物75重量部に対して、PVDFバインダ溶液を固形分で1.5重量部、VGCF(導電材、昭和電工株式会社製)を3.0重量部添加した。得られた組成物に、超音波ホモジナイザー(SMT株式会社製、UH−50)により、60秒間超音波処理し、固形分率が63wt%である正極スラリーを調製した。この正極スラリーを、正極集電体(Al箔)上に、ベーカーアプリケータを用いて塗工して、加熱乾燥させ、25℃にて、線圧1ton/cmでプレスをすることにより、正極集電体を有する正極を得た。
負極活物質としてSi(高純度化学製)、固体電解質としてLiI−Li2O−Li2S−P2S5とを体積比率が60:40となるように秤量し、混合した。得られた混合物60重量部に対して、PVDFバインダ溶液を固形分で1.5重量部、VGCF(導電材、昭和電工株式会社製)を5.0重量部添加した。得られた組成物に、超音波ホモジナイザー(SMT株式会社製、UH−50)により、60秒間超音波処理し、固形分率が63wt%である負極スラリーを調製した。この負極スラリーを、負極集電体(Cu箔)上に、ベーカーアプリケータを用いて塗工して、加熱乾燥させ、25℃にて、線圧1ton/cmでプレスをすることにより、負極集電体を有する負極を得た。
不活性ガス中で、セラミックス製の型(断面積1.0cm2)に基材を剥がした固体電解質層を嵌め込み、一方の面に正極を配置し、他方の面に負極を配置した。得られた積層体に対して、油圧プレスの目盛で4.3tonプレスし、1MPaで拘束した。これにより、全固体電池を得た。
第1の固体電解質と第2の固体電解質との体積割合比を0:100、5:95、20:80、50:50、75:25、85:15、90:10、100:0と変更したこと以外は、例1と同様にして全固体電池を得た。
1−ブチルー1−メチルピロリジニウムカチオンを1−エチルー1−メチルピロリジニウムカチオンと変更し、カルボランアニオンをトリフルオロメタンスルホニルアニオン(TFSI−)と、カルボランアニオンのリチウム塩をトリフルオロメタンスルホニルリチウム塩(LiTFSI)と変更したこと以外は、例5と同様にして全固体電池を得た。
第1の固体電解質をアルミナ(Al2O3)と変更した以外は、例5と同様にして全固体電池を得た。
例1―11で得られた全固体電池に対し、以下の条件で充放電を500サイクル行い、放電容量を測定した。
充放電電位の範囲:3.0V−4.2V
雰囲気温度:25℃
各全固体電池について、500サイクル後の放電容量を初期放電容量より除し、さらに100を乗じたものを、その電池の容量維持率とした。例2を基準として、例1および例3−11における容量維持率比を算出した。結果を表1および図2に示す。
また、例11において、本開示の第1の固体電解質の代わりに、アルミナを用いた場合、容量維持率の低下抑制との効果を得られなかった。これは、高いヤング率を有するアルミナの抵抗が大きく、所望の柔粘性が得られなかったためと推測される。
2…負極
3…正極
100…全固体電池
Claims (1)
- 正極と、負極と、前記正極および前記負極の間に配置された固体電解質層と、を有する全固体電池であって、
前記固体電解質層は、第1の固体電解質と、第2の固体電解質とを含み、
前記第1の固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有していて、かつ、ピロリジニウム、テトラアルキルアンモニウムおよびテトラアルキルホスホニウムからなる群より選択される少なくとも1種のカチオン源と、カルボランアニオン源と、を含み、
前記第2の固体電解質は、硫化物固体電解質であり、
前記第1の固体電解質と前記第2の固体電解質との合計における前記第1の固体電解質の体積割合が10vol%以上90vol%以下である、全固体電池。
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