JP7386060B2 - 全固体電池 - Google Patents

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Description

本発明は、全固体電池に関する。
特許文献1では、電解質層が固体で構成される全固体電池が提案されている。具体的に、特許文献1の全固体電池では、正極層と負極層との間の短絡を防止するため、固体電解質層の外周端が、電極層(正極層または負極層)の外周端よりも外側に延在するように構成される。
さらに、この製造方法では、固体電解質層の含有量を平面視において電極層に重ならない部分が重なる部分に比べて少なくなるように構成して、生産コストの抑制を図っている。
特開2013-243004号公報
しかしながら、特許文献1の全固体電池の構成では、電極層と固体電解質層の界面形成のための加圧工程において電極層の外周端と固体電解質層の間に応力集中が生じ、短絡発生の要因となる恐れがある。
したがって、本発明は、短絡の発生を抑制し得る全固体電池を提供することを目的とする。
本発明のある態様によれば、第1電極層と、第2電極層と、第1電極層および第2電極層に積層される固体電解質層と、を含む全固体電池が提供される。そして、この全固体電池では、第2電極層の端部が第1電極層の端部に対して突出するように構成される。そして、固体電解質層は、第1電極層および第2電極層の間に挟持され第1電極層の端部に対して突出する端部を有する電解質基部と、電解質基部の端部から第1電極層の側面に接触して延在する電極側面接触部と、を含む。
本発明によれば、短絡をより確実に抑制することができる。
図1は、本発明の第1実施形態による全固体電池の構成を説明する図である。 図2は、第1実施形態による全固体電池の作用効果を説明する図である。 図3は、全固体電池の作製方法の一例を説明する図である。 図4は、本発明の第2実施形態による全固体電池の構成を説明する図である。 図5は、本発明の第3実施形態による全固体電池の構成を説明する図である。 図6は、本発明の第4実施形態による全固体電池の構成を説明する図である。 図7は、各比較例に係る全固体電池を説明する図である。
以下、本発明の各実施形態について説明する。なお、本明細書において各層に対して単に「面積」と称する場合には、各層の平面視における面積を意味するものとする。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態にかかる全固体電池10について説明する。
図1は、本実施形態の全固体電池10の構成を説明する概略要部断面図である。
図示のように、全固体電池10は、基本構成として第1電極層としての正極層13および第2電極層としての負極層14の間に固体電解質層15が積層されてなる単電池層10Aを備える。そして、全固体電池10は、この単電池層10Aを一つまたは複数積層してなるセルユニットを、電気配線類(正極リード、負極リード、正極集電板、および負極集電板など)が接続された状態で所定の外装材(ラミネート材)により封止することで構成される。なお、図面の簡略化のため、単電池層10A以外の配線類およびが外装材の図示を省略する。
全固体電池10は、平面視で略矩形形状に形成される。すなわち、正極層13、負極層14、および固体電解質層15が平面視略矩形状に形成されている。
正極層13は、主として、積層方向における一方側の表面(図上上方の面)が正極集電体11に接続される正極活物質の層として構成される。正極層13の積層方向における他方側は、固体電解質層15を介し負極層14に対向して配置される。
ここで、本実施形態では、全固体電池10は、負極層14の端部(以下、「負極端部14a」とも称する)が正極層13の端部(以下、「正極端部13b」とも称する)に対して平面方向(図上横方向)において突出するように構成されている。特に、本実施形態では、正極層13の面積を負極層14の面積に対して小さく形成しつつ、横方向における正極層13と負極層14の中心位置を合わせるように配置することで、この構成を実現している。
負極層14は、積層方向における一方側の表面(図上下方の面)が負極集電体12に接続される負極活物質の層として構成される。負極層14の積層方向における他方側は、固体電解質層15を介し正極層13に対向して配置される。
なお、正極層13および負極層14には、適宜、適切な電解質材料を含有させても良い。以下では、必要に応じて、正極集電体11および正極層13をまとめて「正極」と称し、負極集電体12および負極層14をまとめて「負極」と称する。
固体電解質層15は、正極層13および負極層14の間に挟持され正極端部13bに対して突出する端部を有する電解質基部15aと、この電解質基部15aの端部から正極層13の側面(以下、「正極層側面13a」とも称する)に接触して延在する正極側面接触壁部15b(図1における破線の四角で示す部分)と、を有する。
より詳細には、電解質基部15aは、正極層13に対して図上下方であって負極層14に対して図上上方に配置され、正極層13および負極層14の双方との界面領域を形成する。特に、本実施形態の全固体電池10は、電解質基部15aの端部と負極端部14aが積層方向において略面一となるように構成されている。より詳細には、電解質基部15aの面積と負極層14の面積を相互に略同一としつつ、横方向における電解質基部15aと負極層14の中心位置を合わせるように配置することで、電解質基部15aの端部と負極端部14aが積層方向において略面一となる構成を実現している。
なお、電解質基部15aと正極層13および負極層14のそれぞれの間の界面は、好適なイオン伝導性を得る観点から実行される加圧工程を経て形成される。
また、正極側面接触壁部15bは、電解質基部15aの端部から正極層側面13aに接するように積層方向において負極層14と反対方向に所定長さ延在する。特に、本実施形態の正極側面接触壁部15bは、積層方向において電解質基部15aから正極層側面13aの所定高さ位置(図1では中央高さ位置)まで延在するように構成されている。すなわち、図1に示す例では、正極側面接触壁部15bの電解質基部15aからの突出長さ(正極側面接触壁部15bの厚さW1)が、正極層13の厚さW2の1/2を超える程度に構成されている。また、本実施形態の正極側面接触壁部15bは、幅方向(図上横方向)において正極層13に対向していない負極端部14aの略全域に形成されている。すなわち、本実施形態の全固体電池10は、正極側面接触壁部15bの幅D1と負極端部14aの幅D2が略同一となるように構成されている。
次に、本実施形態にかかる全固体電池10の主要な構成部材について説明する。
[集電体]
正極集電体11および負極集電体12(以下、適宜これらを包括して「集電体」と称する)を構成する材料は、本願発明にかかる技術分野において全固体電池に適用可能な集電体として機能するものであれば特に制限されない。集電体の構成材料としては、例えば、金属または導電性を有する樹脂を採用することができる。
具体的には、集電体の構成材料として用いる金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス、チタン、または銅などが挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、または銅とアルミニウムとのクラッド材などが用いられてもよい。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。なかでも、電子伝導性や電池作動電位、集電体へのスパッタリングによる負極活物質の密着性等の観点からは、アルミニウム、ステンレス、銅、またはニッケルが好ましい。
集電体の構成材料として用いる導電性の樹脂としては、非導電性高分子材料に必要に応じて導電性フィラーが添加された樹脂が挙げられる。
特に、非導電性高分子材料としては、例えば、ポリエチレン(PE;高密度ポリエチレン(HDPE)、若しくは低密度ポリエチレン(LDPE)など)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、またはポリスチレン(PS)などが挙げられる。
なお、正極集電体11および負極集電体12の材料として相互に同一の材料を選択して良く、それぞれ、上記集電体の構成材料として列挙したものの中から異なる材料を選択しても良い。
[負極層]
負極層14は、負極活物質を含む。負極活物質を構成する材料としては、炭素材料、単体金属、ケイ素材料、スズ材料、又はリチウム(Li)含有材料などが挙げられる。
炭素材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、またはソフトカーボン等が挙げられる。
また、金属酸化物としては、例えば、Nb25、またはLi4Ti512等が挙げられる。
さらに、負極活物質を構成する材料としてケイ素材料、又またはスズ材料が用いられてもよい。ここで、ケイ素およびスズは第14族元素に属し、非水電解質二次電池の負極活物質の材料としてこれらを用いた場合、その容量を大きく向上させ得る元素であることが知られている。これらの単体は単位体積(質量)あたり多数の電荷担体(リチウムイオン等)を吸蔵および放出しうることから、高容量の負極活物質を実現可能な材料となる。ここで、ケイ素材料としては、Si単体を用いることが好ましい。また同様に、Si相とケイ素酸化物相との2相に不均化されたSiOx(0.3≦x≦1.6)などのケイ素酸化物を用いることも好ましい。この際、xの範囲は0.5≦x≦1.5であることがより好ましく、0.7≦x≦1.2であることがさらに好ましい。さらには、ケイ素材料として、ケイ素を含有する合金を採用しても良い。一方、スズ材料としては、Sn単体、スズ合金(Cu-Sn合金、Co-Sn合金)、アモルファススズ酸化物、またはスズケイ素酸化物等が挙げられる。このうち、アモルファススズ酸化物としてはSnB0.40.63.1が挙げられる。また、スズケイ素酸化物としてはSnSiO3が挙げられる。
また、リチウム含有材料としては、リチウムを含有する活物質であれば特に限定されず、特に金属リチウムのほか、リチウム含有合金が挙げられる。リチウム含有合金としては、例えば、Liと、In、Al、SiおよびSnの少なくとも1種と、の合金が挙げられる。さらに、場合によっては、上記例示した構成材料における任意の2以上を組み合わせて負極活物質を構成しても良い。なお、上記以外の負極活物質の材料が用いられてもよいことは勿論である。なお、高容量であるという点で、負極活物質の材料として、金属リチウム、ケイ素材料、スズ材料、またはこれらの組み合わせを採用することが好ましく、特に金属リチウムを含むことが特に好ましい。
一方、負極活物質の形状は、例えば、粒子状(球状、繊維状)、または薄膜状等が挙げられる。特に、負極活物質が粒子形状である場合、その平均粒径(D50)は、例えば、1nm~100μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10nm~50μmの範囲内であり、さらに好ましくは100nm~20μmの範囲内であり、特に好ましくは1~20μmの範囲内である。なお、負極活物質の平均粒径(D50)は、レーザー回折散乱法によって測定することができる。
負極層14における負極活物質の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば、40~99質量%の範囲内であることが好ましく、50~90質量%の範囲内であることがより好ましい。
負極層14は、固体電解質をさらに含むことが好ましい。負極層14に含有させる具体的な固体電解質は、後述する固体電解質層15の成分である固体電解質と同様のものを選択できる。負極層が固体電解質を含むことにより、負極層のイオン伝導性を向上させることができる。
負極層14における固体電解質の含有量は、例えば、1~60質量%の範囲内であることが好ましく、10~50質量%の範囲内であることがより好ましい。ただし、負極活物質の材料としてリチウム金属を用いる場合には、負極層14における固体電解質の含有量は、ゼロであることが好ましい。なお、ここで用いられるリチウム金属の形態としては、例えば、リチウム金属箔、リチウム合金金属箔(合金種はMg、Al、In等)、および基材上に蒸着したリチウム(基材は、SUS泊、Al箔等)等が挙げられる。
負極層14は、上述した負極活物質および固体電解質に加えて、導電助剤およびバインダの少なくとも1つをさらに含有していてもよい。
導電助剤としては、例えば、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、金、銅、チタン等の金属、これらの金属を含む合金または金属酸化物;炭素繊維(具体的には、気相成長炭素繊維(VGCF)、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、活性炭素繊維等)、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンブラック(具体的には、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)等のカーボンが挙げられるが、これらに限定されない。
また、バインダとして採用される材料についても特に限定されず、当該技術分野において全固体電池10に適用可能なバインダとして機能するものであれば、公知の材料が採用されてよい。バインダの例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレン-ブタジエン共重合ゴム(SBR)、またはポリイミド等が挙げられる。
負極層14の厚さW3は、目的とする全固体電池10の構成によっても異なるが、例えば、0.1~1000μmの範囲内であることが好ましい。
[正極層]
正極層13は正極活物質を含む。正極活物質を構成する材料としては、硫黄を含む材料(硫黄単体、または硫黄化合物)、または硫黄を含まない材料(金属化合物など)が挙げられる。特に、硫黄を含む材料で正極活物質を構成することが好ましい。硫黄を含む材料としては、硫黄単体(S)、有機硫黄化合物、または無機硫黄化合物などが挙げられる。特に、硫黄を含む材料としては、硫黄の酸化還元反応を利用して、充電時にリチウムイオンを放出し、放電時にリチウムイオンを吸蔵することができる物質であればよい。
なお、有機硫黄化合物としては、ジスルフィド化合物、国際公開第2010/044437号パンフレットに記載の化合物に代表される硫黄変性ポリアクリロニトリル、硫黄変性ポリイソプレン、ルベアン酸(ジチオオキサミド)、またはポリ硫化カーボン等が挙げられる。なかでも、ジスルフィド化合物、硫黄変性ポリアクリロニトリル、およびルベアン酸が好ましく、特に硫黄変性ポリアクリロニトリルが好ましい。
ジスルフィド化合物としては、ジチオビウレア誘導体、チオウレア基、チオイソシアネート、またはチオアミド基を有するものがより好ましい。
硫黄変性ポリアクリロニトリルとは、硫黄粉末とポリアクリロニトリルとを混合し、不活性ガス下もしくは減圧下で加熱することによって得られる、硫黄原子を含む変性されたポリアクリロニトリルである。その推定構造は、例えばChem.Mater.2011,23,5024-5028に示されているように、ポリアクリロニトリルが閉環して多環状になるとともに、Sの少なくとも一部はCと結合している構造である。この文献に記載されている化合物はラマンスペクトルにおいて、1330cm-1と1560cm-1付近に強いピークシグナルがあり、さらに、307cm-1、379cm-1、472cm-1、929cm-1付近にピークが存在する。
一方、無機硫黄化合物(硫黄単体も含む)は安定性に優れることから、正極活物質を構成する材料として観点から好ましい。特に、正極活物質を構成する材料に用いる無機硫黄化合物としては、硫黄単体(S)、S-カーボンコンポジット、TiS2、TiS3、TiS4、NiS、NiS2、CuS、FeS2、Li2S、MoS2、またはMoS3等が挙げられる。なかでも、S、S-カーボンコンポジット、TiS2、TiS3、TiS4、FeS2、およびMoS2が好ましい。特に、硫黄単体(S)、S-カーボンコンポジット、TiS2およびFeS2がより好ましく、硫黄単体(S)がさらに好ましい。なお、S-カーボンコンポジットとは、硫黄粉末と炭素材料とを含み、これらを加熱処理または機械的混合に供することによって複合化した状態のものである。より詳細には、炭素材料の表面や細孔内に硫黄が分布している状態、硫黄と炭素材料がナノレベルで均一に分散し、それらが凝集して粒子となっている状態、細かな硫黄粉末の表面や内部に炭素材料が分布している状態、または、これらの状態が複数組み合わさった状態のものである。
さらに、硫黄を含まない材料としては、金属酸化物、特にリチウム金属複合酸化物が挙げられる。リチウム金属複合酸化物としては、LiCoO2、LiMnO2、LiNiO2、LiVO2、若しくはLi(Ni-Mn-Co)O2等の層状岩塩型化合物、LiMn24、若しくはLiNi0.5Mn1.54等のスピネル型化合物、LiFePO4、若しくはLiMnPO4等のオリビン型化合物、またはLi2FeSiO4、若しくはLi2MnSiO4等のSi含有化合物等が挙げられる。また上記以外のリチウム金属複合酸化物としては、例えば、Li4Ti512が挙げられる。
さらに、場合によっては、上記例示した構成材料における任意の2以上を組み合わせて正極活物質を構成しても良い。なお、上記以外の正極活物質の材料が用いられてもよいことは勿論である。
一方、正極活物質の形状は、例えば、粒子状(球状、繊維状)、薄膜状等が挙げられる。正極活物質が粒子形状である場合、その平均粒径(D50)は、例えば、1nm~100μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10nm~50μmの範囲内であり、さらに好ましくは100nm~20μmの範囲内であり、特に好ましくは1~20μmの範囲内である。なお、本明細書において、活物質の平均粒径(D50)の値は、レーザー回折散乱法によって測定することができる。
正極層13における正極活物質の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば、40~99質量%の範囲内であることが好ましく、50~90質量%の範囲内であることがより好ましい。
正極層13もまた、負極層14と同様に導電助剤および/またはバインダをさらに含んでもよい。
さらに、正極層13の厚さW2は、目的とする全固体電池10の構成によっても異なるが、例えば、0.1~1000μmの範囲内であることが好ましい。
[固体電解質層]
固体電解質層15は、固体電解質を主成分として含有し、上述した正極層13と負極層14との間に介在する層である。固体電解質としては、例えば、硫化物固体電解質や酸化物固体電解質が挙げられるが、硫化物固体電解質であることが好ましい。
特に、硫化物固体電解質としては、例えば、LiI-Li2S-SiS2、LiI-Li2S-P2O5、LiI-Li3PO4-P25、Li2S-P25、LiI-Li3PS4、LiI-LiBr-Li3PS4、Li3PS4、Li2S-P25、Li2S-P25-LiI、Li2S-P25-Li2O、Li2S-P25-Li2OLiI、Li2S-SiS2、Li2S-SiS2-LiI、Li2S-SiS2-LiBr、Li2S-SiS2-LiCl、Li2S-SiS2-B23-LiI、Li2S-SiS2-P25-LiI、Li2S-B23、Li2S-P25-Zmn(ただし、mnは正の数であり、Zは、Ge、Zn、Gaのいずれかである)、Li2S-GeS2、Li2S-SiS2-Li3PO4、またはLi2S-SiS2-LixMOy(ただし、xyは正の数であり、Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのいずれかである)等が挙げられる。なお、「Li2S-P25」の記載は、Li2SおよびP25を含む原料組成物を用いてなる硫化物固体電解質を意味し、他の記載についても同様である。
硫化物固体電解質は、例えば、Li3PS4骨格を有していてもよく、Li427骨格を有していてもよく、Li426骨格を有していてもよい。Li3PS4骨格を有する硫化物固体電解質としては、例えば、LiI-Li3PS4、LiI-LiBr-Li3PS4、またはLi3PS4が挙げられる。また、Li427骨格を有する硫化物固体電解質としては、例えば、LPSと称されるLi-P-S系固体電解質(例えば、Li7311)が挙げられる。また、硫化物固体電解質として、例えば、Li(4-x)Ge(1-x)x4xは、0<x<1を満たす)で表されるLGPS等を用いてもよい。なかでも、硫化物固体電解質は、P元素を含む硫化物固体電解質であることが好ましく、硫化物固体電解質は、Li2S-P25を主成分とする材料であることがより好ましい。さらに、硫化物固体電解質は、ハロゲン(F、Cl、Br、またはI)を含有していてもよい。
また、硫化物固体電解質がLi2S-P2S5系である場合、Li2SおよびP25の割合は、モル比で、Li2S:P25=50:50~100:0の範囲内であることが好ましく、なかでもLi2S:P25=70:30~80:20であることが好ましい。
また、硫化物固体電解質は、硫化物ガラスであってもよく、結晶化硫化物ガラスであってもよく、固相法により得られる結晶質材料であってもよい。なお、硫化物ガラスは、例えば原料組成物に対してメカニカルミリング(ボールミル等)を行うことにより得ることができる。また、結晶化硫化物ガラスは、例えば硫化物ガラスを結晶化温度以上の温度で熱処理を行うことにより得ることができる。また、硫化物固体電解質の常温(25℃)におけるイオン伝導度(例えば、Liイオン伝導度)は、例えば、1×10-5S/cm以上であることが好ましく、1×10-4S/cm以上であることがより好ましい。なお、固体電解質のイオン伝導度の値は、交流インピーダンス法により測定することができる。
酸化物固体電解質としては、例えば、NASICON型構造を有する化合物等が挙げられる。NASICON型構造を有する化合物の一例としては、一般式Li1+xAlxGe2-x(PO4)3(0≦x≦2)で表される化合物(LAGP)、または一般式Li1+xlxTi2-x(PO4)3(0≦x≦2)で表される化合物(LATP)等が挙げられる。また、酸化物固体電解質の他の例としては、LiLaTiO(例えば、Li0.34La0.51TiO3)、LiPON(例えば、Li29PO330.46)、またはLiLaZrO(例えば、Li7La3Zr212)等が挙げられる。
固体電解質の形状(特に、製造後の全固体電池10における形状)としては、例えば、真球状、楕円球状等の粒子形状、または薄膜形状等が挙げられる。固体電解質が粒子形状である場合、その平均粒径(D50)は、特に限定されないが、40μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。一方、平均粒径(D50)は、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。特に、本実施形態では、電解質としての機能を維持しつつエネルギー密度をより高くする観点から層厚をできるだけ薄くできるように、平均粒径(D50)を5μm以下とすることが好ましい。なお、本明細書において、「固体電解質の平均粒径」とは、製造後の全固体電池10の固体電解質層15に対して走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)等の観察手段を用いて得られる、所定範囲内に存在する粒子(一次粒子)の平均値を意味する。
固体電解質層15における固体電解質の含有量は、例えば、10~100質量%の範囲内であることが好ましく、50~100質量%の範囲内であることがより好ましく、90~100質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
固体電解質層15は、上述した固体電解質に加えて、バインダをさらに含有していてもよい。固体電解質層15に含有されうるバインダの具体的な形態については上述したものと同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
固体電解質層15における電解質基部15aの厚さW4は、目的とする全固体電池10の構成によっても異なるが、0.1~1000μmの範囲内であることが好ましく、0.1~300μmの範囲内であることがより好ましい。特に、電解質として要求される機能を維持しつつエネルギー密度をできるだけ向上させる観点から、電解質基部15aの厚さW4を0.1~50μm以下とすることが好ましい。また、正極側面接触壁部15bの厚さW1は、正極層13の厚さW2と正極集電体11の厚さW5の合計以下であることが好ましい。例えば、正極側面接触壁部15bの厚さW1は、0.1~1000μmの範囲内であることが好ましい。なお、本明細書において、「電解質基部15aの厚さW4」および「正極側面接触壁部15bの厚さW1」とは、製造後の全固体電池10の固体電解質層15に対して計測される値を意味する。
なお、図示しない電気配線類(正極リード、負極リード、正極集電板、および負極集電板)および外装材については、適宜、公知の材料を用いることができる。
[作製方法]
以下に全固体電池10の作製方法は一例を説明する。なお、図3において、全固体電池10の作製方法の概要を示す。
(1)負極複合体の作製基材の上に、負極集電体12に負極層14を構成する負極組成物を施してなる負極層/集電体の複合体(負極複合体)を作成する(図3(a))。
(2)電解質複合体の作製
固体電解質粒子、バインダ、および溶媒を所定の配合で混合して固体電解質スラリーを調製する。基材の上に固体電解質スラリーをアプリケーターに塗工して乾燥させることで電解質複合体を作製する(図3(b))。特に、乾燥後のスラリー塗工部において、中心部に比べて両端部の膜厚が厚くなるように(すなわち、図1に示す固体電解質層15の形状が得られるように)、調整されるスラリーの粘度および塗工速度を適宜調整する。
(3)正極複合体の作製
基材の上に、正極集電体11に正極層13を構成する正極組成物負極層/集電体の複合体(正極複合体)を作成する(図3(c))。
(4)セル複合体の作製
得られた負極複合体に電解質複合体をロールプレスにて転写し、電解質複合体の基材を剥離して負極/電解質複合体を得る(図3(d)~図3(f))。そして、負極/電解質複合体に正極複合体をロールプレスにて転写して(図3(h))、セル複合体(加圧前の単電池層10A)を得る(図3(i))。
(5)全固体電池10の作製
得られたセル複合体に対して、好適な界面形成のために積層方向における両側(図1)から加圧する加圧工程を実行して単電池層10Aを得る。得られた単電池層10Aに配線類を接続して外装材でパッキングすることにより、全固体電池10を作製する。
次に、以上説明した本実施形態の全固体電池10の構成による作用効果を比較例と対比しつつ説明する。
図2は、本実施形態の全固体電池10の作用効果を説明するための図である。また、図7には、比較例に係る全固体電池(100,110,120)の構成を示している。なお、説明の便宜上、図7に示す比較例の全固体電池(100,110,120)の各構成について、本実施形態の全固体電池10に対応する各構成については同じ符号を用いる。しかしながら、これは、本実施形態の全固体電池10と比較例の全固体電池(100,110,120)との間で同一の符号を付したものが全く同じ構成であることを意味するものではない。
先ず、図7に示す比較例の全固体電池(100,110,120)の製造過程において、各電極層(13,14)および固体電解質層15からなるセル複合体に対する加圧工程においては、当該セル複合体が積層方向における両側から加圧される(図7の白抜き矢印参照)。
このため、加圧工程の際には、正極層13および負極層14にはいずれも固体電解質層15に押し付けられる方向の押圧力が作用することとなる(図7の実線矢印参照)。このため、正極層13および負極層14の端部(エッジ部)と電解質基部15aとの接触部分(図中の円で囲った部分)に応力集中が生じ、これにより短絡が発生する。特に、図7(a)に示す例のように、負極端部14a及び電解質基部15aの端部が正極端部13bに対して突出する構成を採用する場合、加圧工程の際に電解質基部15aの平面部に対して正極端部13bが点接触することとなり、より強い応力集中が発生する。
このような強い応力集中が生じると、正極層13又は負極層14の構成部材が固体電解質層15を貫通して、当該正極層13と負極層14の間に意図しない導電経路が形成されることで短絡が発生するものと考えられる。
特に、電池のエネルギー密度をより向上させる観点から固体電解質層15をより薄く形成することを試みた場合、応力集中によって正極層13と負極層14との間の接触がより起こり易くなるため、短絡の可能性がより高まる。
これに対して、図2に示す本実施形態の全固体電池10は、固体電解質層15の正極側面接触壁部15bが正極層側面13aに対して接触する構成をとり、これらの間に相互接触領域CAが形成される。このため、上記加圧工程の際には、相互接触領域CAで生じる摩擦力により正極層13から電解質基部15aへの積層方向における押し付け力が軽減される。すなわち、相互接触領域CAで生じる摩擦力が、正極層13の縁部と電解質基部15aとの接触部分に発生する応力集中を打ち消すように作用することとなる。したがって、当該応力集中に起因する短絡の発生も抑制される。
以上説明した本実施形態の全固体電池10の構成およびその作用効果をまとめて説明する。
以上説明したように、本実施形態では、第1電極層である正極層13と、第2電極層である負極層14と、正極層13および負極層14に積層される固体電解質層15と、を含む全固体電池10が提供される。この全固体電池10では、第1電極層である正極層13の端部(正極端部13b)に対して突出する。
そして、固体電解質層15は、正極層13および負極層14の間に挟持され正極端部13bに対して突出する端部を有する電解質基部15aと、電解質基部15aの端部から正極層13の側面(正極層側面13a)に接触して延在する電極側面接触部としての正極側面接触壁部15bと、を含む。
これにより、全固体電池10の製造時の加圧工程において、固体電解質層15の正極側面接触壁部15bと正極層側面13aの間の相互接触領域CAに生じる摩擦力により、正極層13から固体電解質層15の電解質基部15aへの押し付け力が軽減される。このため、加圧工程の際における正極層13と電解質基部15aとの間の応力集中の発生を抑制し、これに起因する短絡の発生を抑制することができる。
なお、固体電解質層15の一部と正極層側面13aが相互に接触する部分である相互接触領域CAに適宜加工を施して、相互接触領域CAをイオン伝導経路として構成しても良い。これにより、上述した加圧工程時における正極層13と電解質基部15aとの間の応力集中の発生を抑制する効果を実現しつつ、全固体電池10の使用時における正極層13と負極層14の間のイオン伝導性および電気的絶縁性の向上を図ることができる。
特に、本実施形態の全固体電池10では、正極側面接触壁部15bは、正極層13の正極層側面13aの積層方向長さ(厚さW2)の少なくとも一部に亘るように構成される。
これにより、相互接触領域CAを、正極側面接触壁部15bの厚さW1相当の積層方向長さに構成することができる。したがって、加圧工程時において、相互接触領域CAで生じる摩擦力をより確実に一定以上の大きさにすることができる。このため、加圧工程時における正極層13と固体電解質層15との間の応力集中の発生をより好適に抑制することができる。
さらに、本実施形態の全固体電池10では、電解質基部15aの端部と負極層14の端部(負極端部14a)が積層方向において略面一となるように構成される。
これにより、全固体電池10において正極層13の面積を負極層14の面積に対して小さくするなどの正極端部13bと電解質基部15aの間に点接触領域(図2の丸囲みで示した領域)が生じやすい構成を採用した場合においても、上述した相互接触領域CAで生じる摩擦力の作用によって加圧工程の際の強い応力集中を好適に抑制することができる。
さらに、本実施形態の全固体電池10では、正極側面接触壁部15bは、正極端部13bに対して突出する負極端部14aの略全域に亘るように形成される。
すなわち、正極層13に対向しない負極端部14aにおける正極集電体11側(図1における上方)に生じるスペースを有効に利用して正極側面接触壁部15bを構成することができる。このため、全固体電池10の全体的なサイズを大幅に変えることなく(エネルギー密度を維持しつつ)、上述した相互接触領域CAにおける摩擦力の作用を好適に発揮させることができる。
特に、正極側面接触壁部15bが負極端部14aの略全域に亘ることで、当該正極側面接触壁部15bの幅D1をより大きく形成することができ、正極側面接触壁部15bの強度がより向上する。結果として、加圧工程時における正極層側面13aとの接触に対する正極側面接触壁部15bの耐久性を向上させることができ、上記摩擦力の作用をより確実に発揮させることができる。
なお、本実施形態において、製造後の全固体電池10における固体電解質層15の厚さ(より詳細には電解質基部15aの厚さW4)および/又はその構成材料である固体電解質の粒子径を、正極層13と負極層14を絶縁機能およびイオン伝導機能を維持しつつ製造後の全固体電池10の短絡を回避可能なできるだけ小さい値に設計しても良い。これにより、固体電解質層15として要求される機能を実現しつつ、これを薄膜化してエネルギー密度のさらなる向上を図ることができる。
より詳細には、本実施形態では、加圧工程の際において相互接触領域CAにおいて生じる摩擦力(主に相互接触領域CAの面積およびプレス圧に依存)は正極層13と電解質基部15aとの間に生じる応力集中を抑制するように機能する。
したがって、この相互接触領域CAで生じる摩擦力が上記応力集中を抑制することによって、正極層13と負極層14の相互電気接触をもたらす電解質基部15aの貫通(破損)の可能性が低減されたことを加味して、当該電解質基部15aをより薄膜化することが可能となる。
この観点から、例えば、製造後の全固体電池10における固体電解質層15の積層方向における厚さは0.1μm以上且つ50μm以下の範囲とすることが好ましい。また、製造後の全固体電池10における固体電解質層15の粒子の平均粒径(D50)は0.01μm以上且つ20μm以下の範囲とすることが好ましく、特に0.01μm以上且つ5μm以下の範囲とすることが好ましい。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態の全固体電池10について説明する。なお、第1実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図4は、本実施形態による全固体電池10の構成を説明する図である。図示のように、本実施形態の全固体電池10は、第1実施形態の全固体電池10に対して、特に、正極側面接触壁部15bの構成が異なる。
具体的に、本実施形態の全固体電池10では、本実施形態の正極側面接触壁部15bは、その厚さW1が正極層13の厚さW2と正極集電体11の厚さW5の合計と略等しくなるように構成されている。すなわち、本実施形態では、正極側面接触壁部15bは、正極層13を含む電極全体の側面の積層方向長さ(厚さW2+厚さW5)と略同一に構成されることとなる。
これにより、上述した加圧工程の際に摩擦力を発生させる相互接触領域CAを、正極層側面13aの全域および正極集電体11の側面全域に相当する領域に広げることができる。結果として、加圧工程の際において相互接触領域CAで発生する摩擦力をより高めることができるので、正極層13と固体電解質層15との間の応力集中を抑制する効果をより向上させることができる。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態の全固体電池10について説明する。なお、第1または第2実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図5は、本実施形態による全固体電池10の構成を説明する図である。図示のように、図示のように、本実施形態の全固体電池10は、第1実施形態の全固体電池10に対して、特に、正極側面接触壁部15bの幅D1が負極層14の負極端部14aの幅D2よりも小さくも構成されている点で異なる。
このような構成によれば、加圧工程の際において正極側面接触壁部15bと正極層側面13aの間の相互接触領域CAで生じる摩擦力により正極層13と固体電解質層15との間の応力集中の発生を抑制する効果を確保した上で、正極側面接触壁部15bを構成するための固体電解質の使用量を減らして生産コストの低減も図ることができる。
(第4実施形態)
以下、第4実施形態の全固体電池10について説明する。なお、第1~第3実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図6は、本実施形態による全固体電池10の構成を説明する図である。図示のように、本実施形態の全固体電池10では、負極層14が第1電極層として機能し、正極層13が第2電極層として機能する。
すなわち、本実施形態の全固体電池10では、正極端部13bが負極端部14aに対して突出するように構成される。また、電解質基部15aの端部は負極端部14aに対して突出する。さらに、固体電解質層15は、電解質基部15aの端部から負極層14の側面(負極層側面14b)に接触して延在する電解質基部15aとしての負極側面接触壁部15´bを有する。
より詳細には、負極側面接触壁部15´bは、電解質基部15aの端部から負極層側面14bに接するように積層方向において正極層13と反対方向に所定長さ延在する。特に、負極側面接触壁部15´bは、積層方向において電解質基部15aから負極層側面14bの所定高さ位置(図6では中央高さ位置)まで延在するように構成されている。すなわち、図6に示す例では、負極側面接触壁部15´bの電解質基部15aからの突出長さ(負極側面接触壁部15´bの厚さW1´)が、負極層14の厚さW3の1/2を超える程度に構成されている。
また、本実施形態の負極側面接触壁部15´bは、幅方向(図上横方向)において負極層14に対向していない正極端部13bの略全域に形成されている。すなわち、本実施形態の全固体電池10は、負極側面接触壁部15´bの幅D3と負極端部14aの幅D4が略同一となるように構成されている。
これにより、全固体電池10の製造時の加圧工程において、固体電解質層15の負極側面接触壁部15´bと負極層側面14bとの間の相互接触領域CA´に生じる摩擦力により、負極層14から電解質基部15aへの押し付け力が軽減される。このため、加圧工程の際における負極層14と電解質基部15aとの間の応力集中の発生を抑制し、これに起因する短絡の発生を抑制することができる。
なお、本実施形態では、負極側面接触壁部15´bとして、図1で示した正極側面接触壁部15bとほぼ同様の形状をとる例について説明した。しかしながら、負極側面接触壁部15´bの具体的な態様はこれに限れるものではない。例えば、負極側面接触壁部15´bの形状を図4又は図5に示す正極側面接触壁部15bと同様の形状に構成しても良い。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。また、上記実施形態は、適宜組み合わせ可能である。
例えば、本実施形態の全固体電池10は、用途に応じて、複数積層された単電池層10Aを外装材により封止してなる積層型電池として構成することもできる。また、本実施形態の全固体電池10の外観、および内部における電気的な接続状態(電極構造)は特に限定されない。全固体電池10の外観は、例えば長方形状の扁平な角形状であってもよいし円あるいは楕円形状であってもよい。或いは、全固体電池10を、一以上の単電池層10Aを巻き回して収容する円筒形状型に構成しても良い。また、全固体電池10の電極構造は、いわゆる非双極型(内部並列接続タイプ)、および双極型(内部直列接続タイプ)のいずれが採用されてもよい。
さらに、上記各実施形態では、固体電解質層15の一部と正極層側面13a、または負極層側面14bを接触させる例について説明した。しかしながら、これに限られず、固体電解質層15の一部を正極層側面13aおよび負極層側面14bの双方に接触させる構成を採用しても良い。例えば、適宜、正極層13の面積および負極層14のそれぞれの面積を調節しつつ、固体電解質層15に図1に示す正極側面接触壁部15b、および図6に示す負極側面接触壁部15´bの双方を構成しても良い。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
以下の条件で図1に示す構成の全固体電池10を作成した。
[材料]
正極活物質:S8
負極活物質:Li
固体電解質:LiI-Li3PS4
[作成方法]
図3で説明した方法と同様の方法によりセル複合体を作製した。
得られたセル複合体に対して積層方向の両側から界面形成のための加圧工程を実行して単電池層10Aを作製した。得られた単電池層10Aに正極リードおよび負極リードを取り付け、外装材を用いて真空密封して全固体電池10を作製した。
[試験方法]
作製した全固体電池10の端子電圧を計測した。その後、計測した端子電圧を短絡判断用に設定された閾値電圧と比較した。
(実施例2)
正極側面接触壁部15bの厚さW1が、正極層13の厚さW2および正極集電体11の厚さWの合計と略同一となる構成(図4に示す構成)とした以外は、実施例1と同一の構成および計測条件で試験を行った。
(実施例3)
正極側面接触壁部15bの幅D1が、負極層14の負極端部14aの幅D2よりも小さい構成(図5に示す構成)とした以外は、実施例1と同一の構成および計測条件で試験を行った。
以下、各比較例1~3の構成および条件について説明する。なお、各比較例1~3の全固体電池(100,110,120)には、共通して固体電解質層15に正極側面接触壁部15bを形成していない。
(比較例1)
固体電解質層15の厚みが全体的に均一となる構成(図7(a)の全固体電池100を参照)とした以外は、実施例1と同一の構成および計測条件で試験を行った。
(比較例2)
正極(正極層13および正極集電体11)の面積、固体電解質層15の面積、および負極(負極層14および負極集電体12)の面積を相互に略同一となる構成(図7(b)の全固体電池100を参照)とした以外は、実施例1と同一の構成および計測条件で試験を行った。
(比較例3)
固体電解質層15の縁部に正極層側面13aと接触しない壁部を形成する構成(図7(c)の全固体電池100を参照)とした以外は、実施例1と同一の構成および計測条件で試験を行った。
[試験結果]
各比較例1~3の全固体電池(100,110,120)の端子電圧は何れも閾値電圧を下回り、短絡が発生しているものと認められた。一方、各実施例1~3の端子電圧は全て閾値電圧を超えており、短絡が発生していないものと認められた。
10 全固体電池
13 正極層
13a 正極層側面
14 負極層
14b 負極層側面
15 固体電解質層
15a 電解質基部
15b 正極側面接触壁部
15´b 負極側面接触壁部

Claims (5)

  1. 正極集電体と正極層を含む正極と、負極集電体と負極層を含む負極と、前記正極層および前記負極層に積層される固体電解質層と、を含む全固体電池であって、
    前記負極層の端部が前記正極層の端部に対して突出し、
    前記固体電解質層は、前記正極層および前記負極層の間に挟持され前記正極層の端部に対して突出する端部を有する電解質基部と、前記電解質基部の端部から前記正極層の側面に接触して延在する電極側面接触部と、を含み、
    前記固体電解質層の積層方向における最大厚さは、前記正極層、前記電解質基部、及び前記負極層の積層方向における合計の厚さよりも小さい、
    全固体電池。
  2. 請求項1に記載の全固体電池であって、
    前記電極側面接触部の積層方向における厚さは、前記正極層の積層方向における厚さと同一に構成される、
    全固体電池。
  3. 請求項1又は2に記載の全固体電池であって、
    前記電解質基部の端部と前記負極層の端部が積層方向において面一となるように構成される、
    全固体電池。
  4. 請求項1~3の何れか1項に記載の全固体電池であって、
    前記電極側面接触部は、
    前記正極層の端部に対して突出する前記負極層の端部の全域に亘るように形成される、
    全固体電池。
  5. 請求項1~4の何れか1項に記載の全固体電池であって、
    前記負極集電体及び前記負極層から成る前記負極の全体の端部が、前記正極集電体及び前記正極層から成る前記正極の全体の端部に対して突出し、
    前記電解質基部の端部は、前記正極および前記負極の間に挟持され前記正極の全体の端部に対して突出し、
    前記電極側面接触部は、前記電解質基部の端部から前記正極の全体の側面に接触して延在する、
    全固体電池。
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