JP7398231B2 - 全固体電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、全固体電池システムに関する。
全固体電池に用いられる硫化物系の電解質は、水分と反応すると硫化水素(H2S)を発生するので、従来から一般的に用いられている電解液リチウムイオン電池に比べて、イオン電導性が低下し易い。すなわち、硫化物系固体電解質を含む全固体電池は、電解液リチウムイオン電池に比べて、水分との反応によって入出力特性が劣化し易い。特許文献1には、全固体電池の水分との反応による入出力特性の劣化を抑制するための構成が開示されている。具体的には、内面が熱溶着可能な電気絶縁性樹脂でコーティングされたフィルム状の外装体で、硫化物固体電解質を含む発電要素を覆い、外装体の外周部を所定のシール幅でシールする構成が開示されている。
特開2015-153655号公報
上記文献の構成により、シールした封止部からの水分の浸入は防ぐことができる。しかし、全固体電池は拘束圧が液系リチウムイオン電池に比べて大幅に高いため、発電要素の表面の凸部によって外装体が傷付けられるおそれがある。そして、外装体の傷から水分が浸入するおそれがある。すなわち、上記文献の構成では、封止部以外の部分から水分が浸入するおそれがある。
そこで本発明では、外装体からの水分の浸入を抑制できる全固体電池システムを提供することを目的とする。
本発明のある態様によれば、硫化物系固体電解質を含む発電要素、および発電要素を覆う外装体を備える全固体電池と、全固体電池を発電要素の積層方向から1kgf/cm以上で加圧する加圧装置と、を備える全固体電池システムが提供される。この全固体電池システムにおいて、外装体は、水分遮断層と、水分遮断層の両面に配置される融着層とを備え、発電要素を構成する正極層、電解質層および負極層の各層の最大山高さの合計である発電要素の表面粗さAは外装体の水分遮断層の厚さBより小さい。
上記態様によれば、外装体からの水分の浸入を抑制できる全固体電池システムを提供することができる。
図1は、本発明の実施形態にかかる全固体電池システムの断面図である。 図2は、図1の領域Aの拡大図である。 図3は、単電池層の分解図である。 図4は、イオン伝導度の測定結果をまとめた表である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る全固体電池の一態様としての扁平積層型電池(以下、単に「積層型電池」ともいう)1の断面図である。なお、本明細書では図1に示す扁平積層型の非双極型のリチウムイオン二次電池を例に挙げて説明するが、本実施形態は双極型であっても適用可能である。
積層型電池1は、実際に充放電反応が進行する扁平略矩形の発電要素2が、外装体であるラミネートフィルム3の内部に封止された構造を有する。ここで、発電要素2は、正極層14と、固体電解質層4と、負極層15とを積層した構成を有している。正極層14は、正極集電体7の両面に、正極活物質を含有する正極活物質層8が配置された構造を有する。負極層15は、負極集電体5の両面に、負極活物質を含有する負極活物質層6が配置された構造を有する。具体的には、1つの正極活物質層8とこれに隣接する負極活物質層6とが、固体電解質層4を介して対向するようにして、正極層14、固体電解質層4及び負極層15とがこの順に積層されている。これにより、隣接する正極層14、固体電解質層4及び負極層15は、1つの単電池層9を構成する。したがって、積層型電池1は、単電池層9が複数積層されることで、電気的に並列接続されてなる構成を有するともいえる。
正極集電体7および負極集電体5は、それぞれ正極リード12および負極リード13を介して正極集電板10および負極集電板11に電気的に接続されている。正極集電板10および負極集電板11は、ラミネートフィルム3の端部に挟まれるようにして、その一部がラミネートフィルム3の外部に導出される構造を有している。
上記構成の積層型電池1は、各層間および各層内における良好なイオン伝導性および電気伝導性を保つために、積層方向(図中の矢印方向)から機械的な圧力(締結圧ともいう)が印加される。締結圧の印加方法は特に制限されないが、例えば、積層型電池1を積層方向から一対のステンレス鋼(SUS)板で挟み、所定の圧力となるようSUS板同士を締結する方法を用いることができる。締結圧としては、一般的には1kgf/cm2以上が必要とされている。本実施形態の全固体電池システムでの締結圧については後述する。
図2は、図1の円で囲まれた領域IIの拡大図である。
ラミネートフィルム3は、水分遮断層3Aの両面に融着層3Bが配置された構造を有する。水分遮断層3Aは金属である。融着層3Bは、軟化点を有する樹脂材料である。
発電要素2の最外層(ここでは正極活物質層8)の表面粗さをA、水分遮断層3Aの厚さをBとしたとき、本実施形態の積層型電池1では、1>A/Bの関係が成立する。換言すると、当該関係が成立するように、最外層の表面粗さAおよび水分遮断層3Aの厚さを設定する。本明細書でいう表面粗さとは、ISO25178に規定された表面性状のうちの最大山高さである。
上記のように、1>A/Bの関係が成立する、つまり、最外層の表面粗さが外装体としてのラミネートフィルム3の厚さよりも小さい構成とするのは、積層方向から圧力を印加したときの、ラミネートフィルム3内への外気や水分の流入を抑制するためである。
すなわち、圧力印加時には融着層3Bは圧縮されているので、最外層の凸部が水分遮断層3Aの厚さより大きいと最外層の凸部が水分遮断層3Aを貫通し、さらには外側の融着層3Bも貫通してラミネートフィルム3に孔が生じるおそれがある。外側の融着層3Bを貫通しない場合でも、水分遮断層3Aを貫通した凸部が当該融着層3Bを傷付け、発電要素2の膨張収縮の繰り返しにより、その傷が起点となって当該融着層3Bに孔が生じるおそれがある。ラミネートフィルム3に孔が生じれば、その孔から外気や水分が流入してしまう。固体電解質に硫化物系材料が用いられる場合には、硫化物が水分と反応してH2Sを発生するため、イオン伝導度が低下して、入出力特性が低下してしまう。
その点、本実施形態のように1>A/Bの関係が成立していれば、最外層の凸部が水分遮断層3Aを貫通してしまうことを抑制でき、その結果、外気や水分の流入を抑制できる。
ここで、発電要素2の最外層の表面粗さAについて図3を参照して説明する。図3は、単電池層9を正極層14と固体電解質層4と負極層15とに分解した図である。
図2では、発電要素2の最外層の表面粗さAを正極活物質層8の凸部の高さとして模式的に表している。しかし、上述したように発電要素2は単電池層9を積層したものであり、単電池層9は正極層14、固体電解質層4および負極層15を積層したものである。したがって、発電要素2の最外層の表面粗さAは、発電要素2を構成する各部の表面粗さが積み重なったものである。すなわち、図3に示すように、正極層14の表面粗さをC1、固体電解質層4の表面粗さをC2、負極層15の表面粗さをC3とすると、図2の表面粗さAは、C1、C2およびC3のそれぞれに積層数を乗じたものの合計となる。なお、正極層14の表面粗さC1は、正極活物質層8の表面粗さと正極集電体7の表面粗さの合計である。負極層15の表面粗さC3は、負極活物質層6の表面粗さと負極集電体5の表面粗さの合計である。
以下、本実施形態にかかる全固体電池としての積層型電池1の主要な構成部材について説明する。
[集電体]
正極集電体7および負極集電体5(以下まとめて集電体と称する)を構成する材料は、本願発明にかかる技術分野において全固体電池に適用可能な集電体として機能するものであれば特に制限されない。集電体の構成材料としては、例えば、金属や、導電性を有する樹脂が採用されうる。
具体的には、金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス、チタン、銅などが挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材などが用いられてもよい。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。なかでも、電子伝導性や電池作動電位、集電体へのスパッタリングによる負極活物質の密着性等の観点からは、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケルが好ましい。
また、後者の導電性を有する樹脂としては、非伝導性高分子材料に必要に応じて導電性フィラーが添加された樹脂が挙げられる。
非導電性高分子材料としては、例えば、ポリエチレン(PE;高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)など)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、またはポリスチレン(PS)などが挙げられる。かような非導電性高分子材料は、優れた耐電位性または耐溶媒性を有し得る。
上記導電性高分子材料または非導電性高分子材料には、必要に応じて導電性フィラーが添加されうる。特に、集電体の基材となる樹脂が非導電性高分子のみからなる場合は、樹脂に導電性を付与するために導電性フィラーが必須となる。
導電性フィラーは、導電性を有する物資であれば特に制限なく用いることができる。例えば、導電性、耐電位性、またはリチウムイオン遮断性に優れた材料として、金属および導電性カーボン等が挙げられる。金属としては、特に制限はないが、Ni、Ti、Al、Cu、Pt、Fe、Cr、Sn、Zn、In、およびSbからなる群から選択されるすくなくとも一種の金属またはこれらの金属を含む合金または金属酸化物を含むことが好ましい。また、導電性カーボンとしては、特に制限はない。
導電性フィラーの添加量は、集電体に十分な導電性を付与できる量であれば特に制限はなく、一般的には、集電体の全質量100質量%に対して5~80質量%である。
なお、集電体は単独の材料からなる単層構造であってもよいし、これらの材料からなる層を適宜組み合わせた積層構造であっても構わない。集電体の軽量化の観点からは、少なくとも導電性を有する樹脂からなる導電性樹脂層を含むことが好ましい。また、単電池層間のリチウムイオンの移動を遮断する観点からは、集電体の一部に金属層を設けてもよい。
[負極活物質層]
負極活物質層6は、負極活物質を含む。負極活物質の種類としては、特に制限されないが、炭素材料、金属酸化物および金属活物質が挙げられる。炭素材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等が挙げられる。また、金属酸化物としては、例えば、Nb25、Li4Ti512等が挙げられる。さらに、ケイ素系負極活物質やスズ系負極活物質が用いられてもよい。ここで、ケイ素およびスズは第14族元素に属し、非水電解質二次電池の容量を大きく向上させうる負極活物質であることが知られている。これらの単体は単位体積(質量)あたり多数の電荷担体(リチウムイオン等)を吸蔵および放出しうることから、高容量の負極活物質となる。ここで、ケイ素系負極活物質としては、Si単体を用いることが好ましい。また同様に、Si相とケイ素酸化物相との2相に不均化されたSiOx(0.3≦x≦1.6)などのケイ素酸化物を用いることも好ましい。この際、xの範囲は0.5≦x≦1.5であることがより好ましく、0.7≦x≦1.2であることがさらに好ましい。さらには、ケイ素を含有する合金(ケイ素含有合金系負極活物質)が用いられてもよい。一方、スズ元素を含む負極活物質(スズ系負極活物質)としては、Sn単体、スズ合金(Cu-Sn合金、Co-Sn合金)、アモルファススズ酸化物、スズケイ素酸化物等が挙げられる。このうち、アモルファススズ酸化物としてはSnB0.40.63.1が例示される。また、スズケイ素酸化物としてはSnSiO3が例示される。また、負極活物質として、リチウム(Li)を含有する金属を用いてもよい。このような負極活物質は、リチウムを含有する活物質であれば特に限定されず、金属リチウムのほか、リチウム含有合金が挙げられる。リチウム含有合金としては、例えば、Liと、In、Al、SiおよびSnの少なくとも1種との合金が挙げられる。場合によっては、2種以上の負極活物質が併用されてもよい。なお、上記以外の負極活物質が用いられてもよいことは勿論である。なお、高容量であるという点で、負極活物質は、金属リチウム、ケイ素系負極活物質またはスズ系負極活物質を含むことが好ましく、金属リチウムを含むことが特に好ましい。
負極活物質の形状は、例えば、粒子状(球状、繊維状)、薄膜状等が挙げられる。負極活物質が粒子形状である場合、その平均粒径(D50)は、例えば、1nm~100μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10nm~50μmの範囲内であり、さらに好ましくは100nm~20μmの範囲内であり、特に好ましくは1~20μmの範囲内である。なお、本明細書において、活物質の平均粒径(D50)の値は、レーザー回折散乱法によって測定することができる。
負極活物質層6における負極活物質の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば、40~99質量%の範囲内であることが好ましく、50~90質量%の範囲内であることがより好ましい。
負極活物質層6は、固体電解質をさらに含むことが好ましい。負極活物質層が固体電解質を含むことにより、負極活物質層のイオン伝導性を向上させることができる。固体電解質としては、例えば、硫化物固体電解質や酸化物固体電解質が挙げられるが、硫化物固体電解質であることが好ましい。
硫化物固体電解質としては、例えば、LiI-Li2S-SiS2、LiI-Li2S-P2O5、LiI-Li3PO4-P25、Li2S-P25、LiI-Li3PS4、LiI-LiBr-Li3PS4、Li3PS4、Li2S-P25、Li2S-P25-LiI、Li2S-P25-Li2O、Li2S-P25-Li2OLiI、Li2S-SiS2、Li2S-SiS2-LiI、Li2S-SiS2-LiBr、Li2S-SiS2-LiCl、Li2S-SiS2-B23-LiI、Li2S-SiS2-P25-LiI、Li2S-B23、Li2S-P25-Zmn(ただし、mnは正の数であり、Zは、Ge、Zn、Gaのいずれかである)、Li2S-GeS2、Li2S-SiS2-Li3PO4、Li2S-SiS2-LixMOy(ただし、xyは正の数であり、Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのいずれかである)等が挙げられる。なお、「Li2S-P25」の記載は、Li2SおよびP25を含む原料組成物を用いてなる硫化物固体電解質を意味し、他の記載についても同様である。
硫化物固体電解質は、例えば、Li3PS4骨格を有していてもよく、Li427骨格を有していてもよく、Li426骨格を有していてもよい。Li3PS4骨格を有する硫化物固体電解質としては、例えば、LiI-Li3PS4、LiI-LiBr-Li3PS4、Li3PS4が挙げられる。また、Li427骨格を有する硫化物固体電解質としては、例えば、LPSと称されるLi-P-S系固体電解質(例えば、Li7311)が挙げられる。また、硫化物固体電解質として、例えば、Li(4-x)Ge(1-x)x4xは、0<x<1を満たす)で表されるLGPS等を用いてもよい。なかでも、硫化物固体電解質は、P元素を含む硫化物固体電解質であることが好ましく、硫化物固体電解質は、Li2S-P25を主成分とする材料であることがより好ましい。さらに、硫化物固体電解質は、ハロゲン(F、Cl、Br、I)を含有していてもよい。
また、硫化物固体電解質がLi2S-P2S5系である場合、Li2SおよびP25の割合は、モル比で、Li2S:P25=50:50~100:0の範囲内であることが好ましく、なかでもLi2S:P25=70:30~80:20であることが好ましい。
また、硫化物固体電解質は、硫化物ガラスであってもよく、結晶化硫化物ガラスであってもよく、固相法により得られる結晶質材料であってもよい。なお、硫化物ガラスは、例えば原料組成物に対してメカニカルミリング(ボールミル等)を行うことにより得ることができる。また、結晶化硫化物ガラスは、例えば硫化物ガラスを結晶化温度以上の温度で熱処理を行うことにより得ることができる。また、硫化物固体電解質の常温(25℃)におけるイオン伝導度(例えば、Liイオン伝導度)は、例えば、1×10-5S/cm以上であることが好ましく、1×10-4S/cm以上であることがより好ましい。なお、固体電解質のイオン伝導度の値は、交流インピーダンス法により測定することができる。
酸化物固体電解質としては、例えば、NASICON型構造を有する化合物等が挙げられる。NASICON型構造を有する化合物の一例としては、一般式Li1+xAlxGe2-x(PO4)3(0≦x≦2)で表される化合物(LAGP)、一般式Li1+xlxTi2-x(PO4)3(0≦x≦2)で表される化合物(LATP)等が挙げられる。また、酸化物固体電解質の他の例としては、LiLaTiO(例えば、Li0.34La0.51TiO3)、LiPON(例えば、Li29PO330.46)、LiLaZrO(例えば、Li7La3Zr212)等が挙げられる。
固体電解質の形状としては、例えば、真球状、楕円球状等の粒子形状、薄膜形状等が挙げられる。固体電解質が粒子形状である場合、その平均粒径(D50)は、特に限定されないが、40μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。一方、平均粒径(D50)は、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。
負極活物質層6における固体電解質の含有量は、例えば、1~60質量%の範囲内であることが好ましく、10~50質量%の範囲内であることがより好ましい。ただし、負極活物質層6を構成する負極活物質としてリチウム金属を用いる場合には、負極活物質層6における固体電解質の含有量は、ゼロであることが好ましい。なお、ここで用いられるリチウム金属の形態としては、例えば、リチウム金属箔、リチウム合金金属箔(合金種はMg、Al、In等)、及び基材上に蒸着したリチウム(基材は、SUS泊、Al箔等)等が挙げられる。
負極活物質層6は、上述した負極活物質および固体電解質に加えて、導電助剤およびバインダの少なくとも1つをさらに含有していてもよい。
導電助剤としては、例えば、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、金、銅、チタン等の金属、これらの金属を含む合金または金属酸化物;炭素繊維(具体的には、気相成長炭素繊維(VGCF)、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、活性炭素繊維等)、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンブラック(具体的には、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)等のカーボンが挙げられるが、これらに限定されない。
また、バインダとして採用される材料についても特に限定されないが、例えば、以下の材料が挙げられる。
ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)(水素原子が他のハロゲン元素にて置換された化合物を含む)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリエーテルニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性高分子、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF-HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-HFP-TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF-PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-ペンタフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-PFP-TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-パーフルオロメチルビニルエーテル-テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-PFMVE-TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドであることがより好ましい。負極活物質層6の厚さは、目的とする積層型電池1の構成によっても異なるが、例えば、0.1~1000μmの範囲内であることが好ましい。
[正極活物質層]
正極活物質層8は、硫黄を含む正極活物質を含むことが好ましい。硫黄を含む正極活物質の種類としては、特に制限されないが、硫黄単体(S)のほか、有機硫黄化合物または無機硫黄化合物の粒子または薄膜が挙げられ、硫黄の酸化還元反応を利用して、充電時にリチウムイオンを放出し、放電時にリチウムイオンを吸蔵することができる物質であればよい。有機硫黄化合物としては、ジスルフィド化合物、国際公開第2010/044437号パンフレットに記載の化合物に代表される硫黄変性ポリアクリロニトリル、硫黄変性ポリイソプレン、ルベアン酸(ジチオオキサミド)、ポリ硫化カーボン等が挙げられる。なかでも、ジスルフィド化合物および硫黄変性ポリアクリロニトリル、およびルベアン酸が好ましく、特に好ましくは硫黄変性ポリアクリロニトリルである。ジスルフィド化合物としては、ジチオビウレア誘導体、チオウレア基、チオイソシアネート、またはチオアミド基を有するものがより好ましい。ここで、硫黄変性ポリアクリロニトリルとは、硫黄粉末とポリアクリロニトリルとを混合し、不活性ガス下もしくは減圧下で加熱することによって得られる、硫黄原子を含む変性されたポリアクリロニトリルである。その推定構造は、例えばChem.Mater.2011,23,5024-5028に示されているように、ポリアクリロニトリルが閉環して多環状になるとともに、Sの少なくとも一部はCと結合している構造である。この文献に記載されている化合物はラマンスペクトルにおいて、1330cm-1と1560cm-1付近に強いピークシグナルがあり、さらに、307cm-1、379cm-1、472cm-1、929cm-1付近にピークが存在する。一方、無機硫黄化合物は安定性に優れることから好ましく、具体的には、硫黄単体(S)、S-カーボンコンポジット、TiS2、TiS3、TiS4、NiS、NiS2、CuS、FeS2、Li2S、MoS2、MoS3等が挙げられる。なかでも、S、S-カーボンコンポジット、TiS2、TiS3、TiS4、FeS2およびMoS2が好ましく、硫黄単体(S)、S-カーボンコンポジット、TiS2およびFeS2がより好ましく、硫黄単体(S)が特に好ましい。ここで、S-カーボンコンポジットとは、硫黄粉末と炭素材料とを含み、これらを加熱処理または機械的混合に供することによって複合化した状態のものである。より詳細には、炭素材料の表面や細孔内に硫黄が分布している状態、硫黄と炭素材料がナノレベルで均一に分散し、それらが凝集して粒子となっている状態、細かな硫黄粉末の表面や内部に炭素材料が分布している状態、または、これらの状態が複数組み合わさった状態のものである。
正極活物質層8は、硫黄を含む正極活物質に代えて、硫黄を含まない正極活物質を含んでもよい。硫黄を含まない正極活物質としては、例えば、LiCoO2、LiMnO2、LiNiO2、LiVO2、Li(Ni-Mn-Co)O2等の層状岩塩型活物質、LiMn24、LiNi0.5Mn1.54等のスピネル型活物質、LiFePO4、LiMnPO4等のオリビン型活物質、Li2FeSiO4、Li2MnSiO4等のSi含有活物質等が挙げられる。また上記以外の酸化物活物質としては、例えば、Li4Ti512が挙げられる。
場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。なお、上記以外の正極活物質が用いられてもよいことは勿論である。
正極活物質の形状は、例えば、粒子状(球状、繊維状)、薄膜状等が挙げられる。正極活物質が粒子形状である場合、その平均粒径(D50)は、例えば、1nm~100μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10nm~50μmの範囲内であり、さらに好ましくは100nm~20μmの範囲内であり、特に好ましくは1~20μmの範囲内である。なお、本明細書において、活物質の平均粒径(D50)の値は、レーザー回折散乱法によって測定することができる。
正極活物質層8における正極活物質の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば、40~99質量%の範囲内であることが好ましく、50~90質量%の範囲内であることがより好ましい。
正極活物質層8もまた、負極活物質層6と同様に導電助剤および/またはバインダをさらに含んでもよい。
[固体電解質層]
本実施形態に係る積層型電池1が備える固体電解質層4は、固体電解質を主成分として含有し、上述した正極活物質層8と負極活物質層6との間に介在する層である。固体電解質層4に含有される固体電解質の具体的な形態については上述したものと同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
固体電解質層における固体電解質の含有量は、例えば、10~100質量%の範囲内であることが好ましく、50~100質量%の範囲内であることがより好ましく、90~100質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
固体電解質層は、上述した固体電解質に加えて、バインダをさらに含有していてもよい。固体電解質層に含有されうるバインダの具体的な形態については上述したものと同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
固体電解質層4の厚さは、目的とする積層型電池1の構成によっても異なるが、例えば、0.1~1000μmの範囲内であることが好ましく、0.1~300μmの範囲内であることがより好ましい。
[正極集電板および負極集電板]
集電板(10、11)を構成する材料は、特に制限されず、二次電池用の集電板として従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。集電板の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましい。軽量、耐食性、高導電性の観点から、より好ましくはアルミニウム、銅であり、特に好ましくはアルミニウムである。なお、正極集電板27と負極集電板25とでは、同一の材料が用いられてもよいし、異なる材料が用いられてもよい。
[正極リードおよび負極リード]
正極リードおよび負極リードの構成材料としては、公知のリチウムイオン二次電池において用いられる材料が同様に採用されうる。なお、外装から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆することが好ましい。
[外装体]
外装体としては、図1に示すように発電要素を覆うことができる、アルミニウムを含むラミネートフィルム3を用いた袋状のケースが用いられうる。該ラミネートフィルム3には、例えば、PP、アルミニウム、ナイロンをこの順に積層してなる3層構造のラミネートフィルム等を用いることができるが、これらに何ら制限されるものではない。高出力化や冷却性能に優れ、EV、HEV用の大型機器用電池に好適に利用することができるという観点から、ラミネートフィルムが望ましい。また、外部から掛かる発電要素への群圧を容易に調整することができることから、外装体はアルミニウムを含むラミネートフィルムがより好ましい。
次に、本実施形態にかかる積層型電池1の実施例について説明する。
実施例にかかる積層型電池1の発電要素2は、下記の方法により作成する。
ニッケルマンガンコバルト酸リチウム(日本化学工業(株)社製 商品名セルシードNMC111)とアセチレンブラックと硫化物系固体電解質(LPS)とをメノウ乳鉢で混合した後、遊星ボールミルでさらに混合撹拌する。これにより得られる混合粉体を、SBRとキシレンを溶媒として加えてスラリー化し、Al箔の両面に塗工したものを正極とする。
黒鉛とアセチレンブラックとLPSとをメノウ乳鉢で混合した後、遊星ボールミルでさらに混合撹拌する。これにより得られる混合粉体をSBRバインダとキシレンを溶媒として加えてスラリー化し、Cu箔の両面に塗工したものを負極とする。
上記の負極に対し、LPSをSBRとキシレンとを溶媒としてスラリー化したものを片面に塗布して、負極/電解質積層体とする。
これらの正極と負極/電解質積層体とを、正極と負極とが電解質層を挟む形で積層し、所定圧力を印加したものが発電要素2とする。発電要素2の正負極の活物質未塗工部分には、それぞれAl、Niで形成したタブリードを溶接する。そして、これを外装体としてのラミネートフィルム3で挟み込み、封止することで、積層型電池1とする。
次に、上記方法で作成された積層型電池1について行ったイオン伝導度の測定結果について説明する。
図4は、イオン伝導度の測定結果をまとめた表である。
イオン伝導度の測定は、評価用に作成した積層型電池1(以下、評価用電池ともいう)を、積層型電池1を厚さ5mmの一対のSUS板で挟み、所定の締結圧が印加されるよう一対のSUS板を締結した評価用電池について行った。なお、本測定では、締結圧が1000kgf/cm2の場合には上記一対のSUS板で挟んだ積層型電池1を油圧ジャッキを介した平板プレス機にてプレスすることにより締結圧を印加したが、製品として使用する場合には、1000kgf/cm2の締結圧が印加された状態で一対のSUS板を締結する。すなわち、積層型電池1を挟むように締結された一対のSUS板が、締結圧を印加するための加圧装置となる。
評価用電池の発電要素2は、活物質塗工面積が縦2.5cm×横2.0cmになるよう切り出した正極と、活物質塗工面積が縦2.7cm×横2.2cmになるよう切り出した負極/電解質積層体と、上記のように積層し、所定圧力を印加したものである。これを外装体としてのラミネートフィルム3で挟み込み、封止したものを評価用電池とする。ラミネートフィルム3は、水分遮断層3AにAl(厚さ40μm)、融着層3Bに樹脂が用いられるアルミラミネートフィルム(MTI社製 EQ-alf-400-7.5M)である。
表中のイオン伝導度は、締結圧を印加した後、1時間が経過してから電気化学インピーダンス測定(いわゆるEIS測定)により測定した電解質層のイオン伝導度である。表中の放置後イオン伝導度は、上記のEIS測定後に締結圧を除圧し、25℃、RH(相対湿度)50%の環境に1週間放置した後、再度締結圧を印加して行ったEIS測定の結果である。
表中の実施例1は、上記の製法で作成された積層型電池1のうち、発電要素2の表面粗さ(ここでは「最大高さ」を用いる)が2μm以下のもの選び、締結圧を1000kgf/cm2としたものである。表中の実施例2は、表面粗さが10μmのものを選び、締結圧を1000kgf/cm2としたものである。つまり、実施例1、2は表面粗さAが水分遮断層3Aの厚さBよりも小さい。
今回の測定では、実施例1、2の他に、比較例1~7および参考例としての評価用電池についても測定を行なった。
比較例1は、発電要素2の表面粗さが50μmのものに1000kgf/cm2の締結圧を印加したものである。つまり、比較例1の表面粗さAは、水分遮断層3Aの厚さBよりも大きい。
比較例2は、発電要素2の表面粗さが2μm以下のものに0.01kgf/cm2の締結圧を印加したものである。
比較例3は、発電要素2の表面粗さが2μm以下のものに1kgf/cm2の締結圧を印加したものである。
比較例4は、発電要素2の表面粗さが10μmのものに0.01kgf/cm2の締結圧を印加したものである。
比較例5は、発電要素2の表面粗さが10μmのものに1kgf/cm2の締結圧を印加したものである。
比較例6は、発電要素2の表面粗さが50μmのものに0.01kgf/cm2の締結圧を印加したものである。
比較例7は、発電要素2の表面粗さが50μmのものに1kgf/cm2の締結圧を印加したものである。
参考例については後述する。
図4に示す通り、実施例1、2はいずれも、イオン伝導度が2mS/cmであり、放置後イオン伝導度は2mS/cmが維持されている。これに対し、比較例1は、イオン伝導度が2mS/cmで実施例1、2と同様であるが、放置後イオン伝導度は0.1mS/cmに低下している。これは、締結圧を印加することにより、発電要素2の最外層の凸部が水分遮断層3Aを貫通してラミネートフィルム3に孔が生じ、放置している期間中に孔から大気が流入してイオン伝導が低下したものと考えられる。
比較例2、4はイオン伝導度および放置後イオン伝導度が検出されなかった。比較例2、4の評価用電池はいずれも表面粗さAが水分遮断層3Aの厚さBより小さいので、締結圧の印加によってラミネートフィルム3に孔が生じたとは考え難い。したがって、イオン伝導度等が検出されなかったのは、締結圧が不足しているためと考えられる。
比較例3、5は、イオン伝導度および放置後イオン伝導度のいずれも0.01mS/cmである。実施例1、2に比べると低いイオン伝導度ではあるものの、イオン伝導度は検出され、かつ放置後もそのイオン伝導度が維持されている。これは、締結圧が比較例2、4より高い1kgf/cm2であり、かつ、表面粗さAが水分遮断層3Aの厚さBよりも小さいためにラミネートフィルム3に孔が生じていないためと考えられる。
比較例6は、比較例2、4と同様にイオン伝導度および放置後イオン伝導度が検出されなかった。表面粗さAが水分遮断層3Aの厚さBより小さい比較例2、4でもイオン伝導度および放置後イオン伝導度が検出されなかったことを考慮すると、比較例6でイオン伝導度等が検出されなかったのは、締結圧が不足したためと考えられる。
比較例7は、表面粗さAが水分遮断層3Aの厚さBより大きいにもかかわらず、イオン伝導度が0.01mS/cmで、放置後イオン伝導度も0.01mS/cmが維持されている。つまり、締結圧が1kgf/cm2程度であれば、比較例7の評価用電池でもラミネートフィルム3に孔は生じないと考えられる。ただし、締結圧が低いため、実施例1、2に比べると検出されたイオン伝導度は低い。
上記の結果から、締結圧が1kgf/cm2以上で、発電要素2の表面粗さAがラミネートフィルム3の水分遮断層3Aの厚さBより小さければ、発電要素2の表面粗さに起因するラミネートフィルム3の孔開きを抑制して、水分の浸入による性能低下を抑制できることがわかる。
ところで、実施例1、2と比較例3、5との比較からわかるように、全固体電池では高い性能を得るために、現在広く用いられている液系リチウムイオン電池に比べて高い締結圧が必要となる。そして、締結圧を高めると、発電要素2の表面粗さに起因する外装体(ラミネートフィルム3)の孔開きという問題が顕在化する。ただし、締結圧を印加することによる外装体の孔開きという問題は、全固体電池に限られるわけではなく、液系リチウムイオン電池においても生じ得るものである。
そこで、参考例として、発電要素2の表面粗さAが水分遮断層3Aの厚さBより小さく、締結圧が1kgf/cm2という条件を適用した液系リチウムイオン電池についても、上述したイオン伝導度および放置後イオン伝導度の測定を行なった。
参考例の評価用電池は以下の方法により作成した。
正極材としてNMC111とアセチレンブラックを混合し、PVDFのNメチルピロリドン(NMP)溶液とNMPとを加えてスラリー化し、これをAl箔の両面に塗工したものを正極とした。黒鉛とアセチレンブラックとを混合し、PVDFのNMP溶液とNMPとを加えてスラリー化し、Cu箔の両面に塗工したものを負極とした。
上記の正極を活物質塗工面積が縦2.5cm×横2.2cmとなるよう切り出し、負極を活物質塗工面積が縦2.7cm×横2.2cmとなるよう切り出した。セパレータは、セルガード2500(登録商標)を縦3.1cm×横2.6となるよう切り出したものを用いた。このセパレータを正極と負極とで挟む形で積層し、積層体の正負極の活物質未塗工部にそれぞれAl製、Ni製のタブリードを溶接した。これらを上記実施例1、2等と同様の厚さ40μmのAlラミネートフィルムで挟み込み、電解液を注入した後に封止する。このようにして作成したものの表面粗さを測定し、表面粗さが2μm以下のもの選択して、1kgf/cm2の締結圧で締結したものを参考例の評価用電池とした。
この評価用電池について上記実施例1、2等と同様にイオン伝導度および放置後イオン伝導度の測定を行なったところ、図4に示すように、参考例のイオン伝導度は1mS/cm2であり、放置後イオン伝導度も1mS/cm2が維持されていた。つまり、本実施形態は液系リチウムイオン電池に対しても、外装体の孔開きによる性能低下を抑制するという効果を発揮することがわかる。
以上のように本実施形態に係る全固体電池システムは、硫化物系固体電解質を含む発電要素2、および発電要素2を覆うラミネートフィルム(外装体)3を備える全固体電池1と、全固体電池を発電要素の積層方向から1kgf/cm2以上で加圧する加圧装置と、を備える。そして、ラミネートフィルム3が、水分遮断層3Aと、水分遮断層3Aの両面に配置される融着層3Bとを備え、発電要素2の表面粗さAが水分遮断層3Aの厚さBより小さい。
これにより、積層型電池1に締結圧を印加したときに、発電要素2の最外層の凸部が水分遮断層3Aを貫通する等してラミネートフィルム3に孔が生じることが抑制されるので、積層型電池1内への外気や水分の流入を抑制できる。外気や水分の流入が抑制できれば、イオン伝導度の低下が抑制でき、その結果、積層型電池1の入出力特性や耐久性の低下を抑制できる。なお、公知の全固体電池システムと同様に、積層型電池1の外部から締結圧を印加することで、充放電に伴う膨張収縮による各層の剥離を抑制されて、充放電反応を継続できる。
本実施形態に係る全固体電池システムにおいて、発電要素2の表面粗さAは、発電要素を構成する正極層、電解質層および負極層の各層の表面粗さの合計である。正極層、電解質層および負極層は、それぞれ表面粗さを有しており、これら正極層等を積層することで、各層の表面粗さが積み重なって発電要素2の最外層の表面粗さに反映される。したがって、発電要素2の最外層の表面粗さAを、各層の表面粗さの合計とすることで、積層型電池1に締結圧を印加したときの、発電要素2の最外層の凸部に起因するラミネートフィルム3の孔開きを抑制できる。
本実施形態に係る全固体電池システムは、発電要素2を構成する正極層、電解質層および負極層の少なくとも1つに、硫化リン化合物を主たる化学構造とし、常温において固体の電解質材料を含有する。これにより、より高いイオン伝導度を確保することができる。
本実施形態に係る全固体電池システムにおいて、外装体の水分遮断層3Aは金属であり、融着層3Bは軟化点を有する樹脂材料である。このような外装体の構造とすることで、外力に対する強度および剛性の確保、および水分等の流入防止といった要件を満たすことができる。
本実施形態に係る積層型電池は、複数の単電池層が並列に接続された構成を有することにより、高容量でサイクル耐久性に優れるものである。したがって、本形態に係る積層型電池は、EV、HEVの駆動用電源として好適に使用される。
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
1 扁平積層型電池
2 発電要素
3 ラミネートフィルム
4 固体電解質層
5 負極集電体
6 負極活物質層
7 正極集電体
8 正極活物質層
9 単電池層
14 正極
15 負極

Claims (3)

  1. 硫化物系固体電解質を含む発電要素、および前記発電要素を覆う外装体を備える全固体電池と、
    前記全固体電池を前記発電要素の積層方向から1kgf/cm以上で加圧する加圧装置と、
    を備える全固体電池システムにおいて、
    前記外装体が、水分遮断層と、前記水分遮断層の両面に配置される融着層とを備え、
    前記発電要素を構成する正極層、電解質層および負極層の各層の最大山高さの合計である前記発電要素の表面粗さAが、前記外装体の前記水分遮断層の厚さBより小さいことを特徴とする、全固体電池システム。
  2. 請求項1に記載の全固体電池システムにおいて、
    前記発電要素を構成する正極層、電解質層および負極層の少なくとも1つに、硫化リン化合物を主たる化学構造とし、常温において固体の電解質材料を含有する、全固体電池システム。
  3. 請求項1又は2に記載の全固体電池システムにおいて、
    前記水分遮断層は金属であり、前記融着層は軟化点を有する樹脂材料である、全固体電池システム。
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