JP7407014B2 - 全固体リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、全固体リチウムイオン二次電池に関する。
近年、地球温暖化に対処するため、二酸化炭素量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池などの非水電解質二次電池の開発が盛んに行われている。
モータ駆動用二次電池としては、携帯電話やノートパソコン等に使用される民生用リチウムイオン二次電池と比較して極めて高い出力特性、および高いエネルギーを有することが求められている。したがって、現実的な全ての電池の中で最も高い理論エネルギーを有するリチウムイオン二次電池が注目を集めており、現在急速に開発が進められている。
ここで、現在一般に普及しているリチウムイオン二次電池は、電解質に可燃性の有機電解液を用いている。このような液系リチウムイオン二次電池では、液漏れ、短絡、過充電などに対する安全対策が他の電池よりも厳しく求められる。
そこで近年、電解質に酸化物系や硫化物系の固体電解質を用いた全固体リチウムイオン二次電池等の全固体電池に関する研究開発が盛んに行われている。固体電解質は、固体中でイオン伝導が可能なイオン伝導体を主体として構成される材料である。このため、全固体リチウムイオン二次電池においては、従来の液系リチウムイオン二次電池のように可燃性の有機電解液に起因する各種問題が原理的に発生しない。また一般に、高電位・大容量の正極材料、大容量の負極材料を用いると電池の出力密度およびエネルギー密度の大幅な向上が図れる。正極活物質として硫黄単体(S)や硫化物系材料を用い、負極活物質として金属リチウムまたはリチウム含有合金を用いた全固体リチウムイオン二次電池は、その有望な候補である。
ところで、リチウムイオン二次電池においては、その充電の進行に伴って負極電位が低下する。負極電位が低下して0V(vs. Li/Li)を下回ると、負極において金属リチウムが析出してデンドライト(樹枝状)結晶が析出する(この現象を金属リチウムの電析とも称する)。金属リチウムの電析が発生すると、析出したデンドライトが電解質層を貫通することで電池の内部短絡が引き起こされる虞が生じる。この内部短絡の問題は、電池のエネルギー密度の向上の観点から固体電解質層を薄膜化した場合に特に顕著に発現する。
このような金属リチウムの電析を防止する手段として、固体電解質層における割れ(クラック)の発生を抑制するという手法がある。例えば特許文献1では、メッシュまたは繊維系を土台とする複合固体電解質を電気化学セルのセパレータとして用いることが提案されている。特許文献1によれば、土台となるメッシュまたは繊維の靭性および長寿命によって薄い固体電解質に必要とされる硬度および安全性を提供し、動作中における固体電解質の割れを防止することができるとされている。
特表2015-519686号公報
上述したように、特許文献1に開示されている技術を全固体リチウムイオン二次電池に適用すれば、固体電解質層における割れ(クラック)の発生を抑制することで、金属リチウムの電析に起因する内部短絡の発生を防止することは一応可能であると考えられる。
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、電池反応に寄与しないメッシュや繊維等の骨格材を固体電解質層における土台として用いていることから、電池の体積エネルギー密度の低下が避けられないという問題がある。このように固体電解質層に骨格材を用いることで電池のエネルギー密度が低下してしまえば、高いエネルギー密度を達成するという全固体リチウムイオン電池の本来の目的が損なわれてしまう。
そこで本発明は、全固体リチウムイオン二次電池において、電池のエネルギー密度の低下を最小限に抑制しつつ、固体電解質層における割れ(クラック)の発生を抑制し、電池における内部短絡の発生を防止しうる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、全固体リチウムイオン二次電池において、金属リチウムまたはリチウム含有合金を負極活物質として用いるとともに、JIS Z2241:2011に準拠した当該固体電解質層の破断伸びδ[%]が、負極活物質層に対して発電要素の積層方向に任意の圧力を印加したときに測定される当該負極活物質層の伸びδ[%]よりも大きくなるように構成することで上記の課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一形態によれば、正極活物質を含有する正極活物質層を含む正極と、金属リチウムまたはリチウム含有合金からなる負極活物質を含有する負極活物質層を含む負極と、前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に介在し、固体電解質を含む固体電解質層とが積層されてなる発電要素を備える全固体リチウムイオン二次電池が提供される。そして、当該全固体リチウムイオン二次電池は、JIS Z2241:2011に準拠した前記固体電解質層の破断伸びδ[%]が、前記負極活物質層に対して前記発電要素の積層方向に任意の圧力を印加したときに測定される前記負極活物質層の伸びδ[%]よりも大きいという特徴を備えている。
本発明によれば、全固体リチウムイオン二次電池において、電池のエネルギー密度の低下を最小限に抑制しつつ、固体電解質層における割れ(クラック)の発生を抑制し、電池における内部短絡の発生を防止することが可能となる。
図1は、本発明に係る全固体リチウムイオン二次電池の一実施形態である扁平積層型二次電池の外観を表した斜視図である。 図2は、図1に示す2-2線に沿う断面図である。 図3は、本発明の特徴を説明するための説明図である。具体的に、図3(a)は、図1および図2に示す本発明の一実施形態に係る積層型二次電池10を構成する固体電解質層および負極活物質層の応力-ひずみ線図である。一方、図3(b)は、比較例に係る積層型二次電池を構成する固体電解質層および負極活物質層の応力-ひずみ線図である。 図4は、本発明に係る全固体リチウムイオン二次電池の一実施形態である双極型(バイポーラ型)の二次電池を模式的に表した断面図である。
本発明の一形態は、正極活物質を含有する正極活物質層を含む正極と、金属リチウムまたはリチウム含有合金からなる負極活物質を含有する負極活物質層を含む負極と、前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に介在し、固体電解質を含む固体電解質層とが積層されてなる発電要素を備え、JIS Z2241:2011に準拠した前記固体電解質層の破断伸びδ[%]が、前記負極活物質層に対して前記発電要素の積層方向に任意の圧力を印加したときに測定される前記負極活物質層の伸びδ[%]よりも大きい、全固体リチウムイオン二次電池である。
以下、図面を参照しながら、上述した本形態の実施形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみに制限されない。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は、本発明に係る全固体電池の一実施形態である扁平積層型二次電池の外観を表した斜視図である。図2は、図1に示す2-2線に沿う断面図である。積層型とすることで、電池をコンパクトにかつ高容量化することができる。
図1に示すように、積層型二次電池10は、長方形状の扁平な形状を有しており、その両側部からは電力を取り出すための正極集電板25、負極集電板27が引き出されている。発電要素21は、積層型二次電池10の電池外装材(ラミネートフィルム29)によって包まれ、その周囲は熱融着されており、発電要素21は、正極集電板25および負極集電板27を外部に引き出した状態で密封されている。
なお、本形態に係る全固体電池は、積層型の扁平な形状のものに制限されるものではない。巻回型の全固体電池では、円筒型形状のものであってもよいし、こうした円筒型形状のものを変形させて、長方形状の扁平な形状にしたようなものであってもよいなど、特に制限されるものではない。上記円筒型の形状のものでは、その外装材にラミネートフィルムを用いてもよいし、従来の円筒缶(金属缶)を用いてもよいなど、特に制限されるものではない。好ましくは、発電要素がアルミニウムを含むラミネートフィルムの内部に収容される。当該形態により、軽量化が達成されうる。
また、図1に示す集電板(25、27)の取り出しに関しても、特に制限されるものではない。正極集電板25と負極集電板27とを同じ辺から引き出すようにしてもよいし、正極集電板25と負極集電板27をそれぞれ複数に分けて、各辺から取り出しようにしてもよいなど、図1に示すものに制限されるものではない。また、巻回型のリチウムイオン電池では、タブに変えて、例えば、円筒缶(金属缶)を利用して端子を形成すればよい。
図2に示すように、本実施形態の積層型二次電池10aは、実際に充放電反応が進行する扁平略矩形の発電要素21が、電池外装材であるラミネートフィルム29の内部に封止された構造を有する。ここで、発電要素21は、正極と、固体電解質層17と、負極とを積層した構成を有している。正極は、正極集電体11’の両面に正極活物質を含有する正極活物質層13が配置された構造を有する。負極は、負極集電体11”の両面に負極活物質を含有する負極活物質層15が配置された構造を有する。具体的には、1つの正極活物質層13とこれに隣接する負極活物質層15とが、固体電解質層17を介して対向するようにして、正極、固体電解質層および負極がこの順に積層されている。これにより、隣接する正極、固体電解質層および負極は、1つの単電池層19を構成する。したがって、図2に示す積層型二次電池10aは、単電池層19が複数積層されることで、電気的に並列接続されてなる構成を有するともいえる。
図2に示すように、発電要素21の両最外層に位置する最外層正極集電体には、いずれも片面のみに正極活物質層13が配置されているが、両面に活物質層が設けられてもよい。すなわち、片面にのみ活物質層を設けた最外層専用の集電体とするのではなく、両面に活物質層がある集電体をそのまま最外層の集電体として用いてもよい。また、場合によっては、正極集電体11’および/または負極集電体11”を用いなくともよい。
正極集電体11’および負極集電体11”は、各電極(正極および負極)と導通される正極集電板(タブ)25および負極集電板(タブ)27がそれぞれ取り付けられ、電池外装材であるラミネートフィルム29の端部に挟まれるようにしてラミネートフィルム29の外部に導出される構造を有している。正極集電板25および負極集電板27はそれぞれ、必要に応じて正極リードおよび負極リード(図示せず)を介して、各電極の正極集電体11’および負極集電体11”に超音波溶接や抵抗溶接などにより取り付けられていてもよい。
図1および図2に示す実施形態に係る電池において、負極活物質層は、リチウム含有合金からなる負極活物質を含有している。このリチウム含有合金の組成は、例えばLi99.9Mg0.1(組成比は質量比である)である。そして、本実施形態に係る電池においては、JIS Z2241:2011に準拠した当該固体電解質層17の破断伸びδ[%]が、負極活物質層15に対して発電要素21の積層方向に任意の圧力を印加したときに測定される当該負極活物質層15の伸びδ[%]よりも大きくなるように、固体電解質層17および負極活物質層15の仕様が設定されている。
この特徴について、図3を参照して説明する。図3(a)は、図1および図2に示す本発明の一実施形態に係る積層型二次電池10を構成する固体電解質層および負極活物質層の応力-ひずみ線図である。一方、図3(b)は、比較例に係る積層型二次電池を構成する固体電解質層および負極活物質層の応力-ひずみ線図である。なお、図3に示すような応力-ひずみ線図は、例えばJIS Z2241:2011に規定される引張試験を行うことにより取得することができる。
図3(a)および図3(b)のいずれに示す応力-ひずみ線図も、固体電解質層に生じたひずみが破断伸びδに至るまでの挙動を示している。そして、図3(b)に示す仕様の電池においては、負極活物質層のひずみ(伸びδ)の値が固体電解質層の破断伸びδ以上となる圧力(応力)Pの値が存在する。言い換えれば、図3(b)に示される仕様の固体電解質層および負極活物質層は、「JIS Z2241:2011に準拠した固体電解質層の破断伸びδが、負極活物質層に対して発電要素の積層方向に任意の圧力を印加したときに測定される負極活物質層の伸びδよりも大きい」という関係を常に満足するわけではない。ここで、電池を構成する発電要素の作製の際などにおいて、固体電解質層と負極活物質層との積層体に対して圧力(応力)Pが印加されると、負極活物質層が固体電解質層の破断伸びδ以上の伸びδを示すことになる。そうすると、固体電解質層も負極活物質層が伸びるのに追従して同様に伸びる結果、固体電解質層の伸びは破断伸びδ以上となり、固体電解質層は破断に至って割れ(クラック)が発生するという結末を迎える。そして、固体電解質層における割れ(クラック)の発生は、電池における内部短絡の発生のリスクを高める虞がある。
これに対し、本発明の一実施形態に係る図3(a)に示す仕様の電池においては、負極活物質層に対してどのような大きさの圧力(応力)が印加されたとしても、負極活物質層の伸びδは固体電解質層の破断伸びδ(JIS Z2241:2011に準拠して測定)を上回ることはない。言い換えれば、図3(a)に示される仕様の固体電解質層および負極活物質層は、「JIS Z2241:2011に準拠した固体電解質層の破断伸びδが、負極活物質層に対して発電要素の積層方向に任意の圧力を印加したときに測定される負極活物質層の伸びδよりも大きい」という関係を常に満足する。このため、電池を構成する発電要素の作製の際などにおいて、固体電解質層と負極活物質層との積層体に対して任意の圧力(応力)Pが印加されても、負極活物質層が固体電解質層の破断伸びδ(JIS Z2241:2011に準拠して測定)以上の伸びδを示すことはない。そうすると、固体電解質層が負極活物質層の伸びに追従して伸びることで固体電解質層の伸びが破断伸びδ以上となる虞はなく、固体電解質層における割れ(クラック)の発生も防止され、電池における内部短絡の発生も防止されうるのである。なお、このような本発明に係る構成によれば、特許文献1に記載の技術のような電池の体積エネルギー密度を悪化させる部材を別途用いることはないため、体積エネルギー密度に及ぼす影響もほとんどない。
以下、本形態に係る全固体電池の主要な構成部材について説明する。
[集電体]
集電体は、電極活物質層からの電子の移動を媒介する機能を有する。集電体を構成する材料に特に制限はない。集電体の構成材料としては、例えば、金属や、導電性を有する樹脂が採用されうる。
具体的には、金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス、チタン、銅などが挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材などが用いられてもよい。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。なかでも、電子伝導性や電池作動電位、集電体へのスパッタリングによる負極活物質の密着性等の観点からは、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケルが好ましい。
また、後者の導電性を有する樹脂としては、非導電性高分子材料に必要に応じて導電性フィラーが添加された樹脂が挙げられる。
非導電性高分子材料としては、例えば、ポリエチレン(PE;高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)など)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、またはポリスチレン(PS)などが挙げられる。かような非導電性高分子材料は、優れた耐電位性または耐溶媒性を有しうる。
上記の導電性高分子材料または非導電性高分子材料には、必要に応じて導電性フィラーが添加されうる。特に、集電体の基材となる樹脂が非導電性高分子のみからなる場合は、樹脂に導電性を付与するために必然的に導電性フィラーが必須となる。
導電性フィラーは、導電性を有する物質であれば特に制限なく用いることができる。例えば、導電性、耐電位性、またはリチウムイオン遮断性に優れた材料として、金属および導電性カーボンなどが挙げられる。金属としては、特に制限はないが、Ni、Ti、Al、Cu、Pt、Fe、Cr、Sn、Zn、In、およびSbからなる群から選択される少なくとも1種の金属もしくはこれらの金属を含む合金または金属酸化物を含むことが好ましい。また、導電性カーボンとしては、特に制限はない。好ましくは、アセチレンブラック、バルカン、ブラックパール、カーボンナノファイバー、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、およびフラーレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むものである。
導電性フィラーの添加量は、集電体に十分な導電性を付与できる量であれば特に制限はなく、一般的には、集電体の全質量100質量%に対して5~80質量%である。
なお、集電体は、単独の材料からなる単層構造であってもよいし、あるいは、これらの材料からなる層を適宜組み合わせた積層構造であっても構わない。集電体の軽量化の観点からは、少なくとも導電性を有する樹脂からなる導電性樹脂層を含むことが好ましい。また、単電池層間のリチウムイオンの移動を遮断する観点からは、集電体の一部に金属層を設けてもよい。また、本形態に係る全固体リチウムイオン二次電池において、負極活物質層は導電性多孔体によってその形状が規定されている。したがって、場合によっては、負極集電体を別途設けることなく、導電性多孔体に負極集電体としての機能を担わせることも可能である。この場合には、導電性多孔体に直接、後述する負極リードを接続すればよい。
[負極活物質層]
本形態に係る全固体リチウムイオン二次電池において、負極活物質層は、負極活物質を含む。なお、負極集電体を別途用いない場合には、負極活物質層がそのまま負極となる。
本形態において、負極活物質は、金属リチウムまたはリチウム含有合金からなるものである。リチウム含有合金の具体的な形態について特に制限はないが、リチウム含有合金は、リチウムと、Mg、Al、Bi、Zn、Sn、Pb、In、Ru、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Au、Cd、Ga、Tl、Si、Ge等の元素との合金であることが好ましい。これらの中でも、負極活物質層の伸びが大きくなるのを抑制しうるという観点から、リチウム含有合金は、Mg、AlおよびBiからなる群から選択される1種または2種以上の元素を含有するものであることが好ましい。また、リチウム含有合金がこれらの元素を含有する場合、当該元素の含有量は、リチウム含有合金の全量100質量%に対して0.1~20質量%であることが好ましく、1~20質量%であることがより好ましく、5~20質量%であることがさらに好ましく、10~20質量%であることが特に好ましい。すなわち、本形態に係る固体電解質層と負極活物質層との所定の関係を達成するための手段の1つは、リチウム以外の元素を上記所定の量で含有するリチウム含有合金を負極活物質として用いることである。ただし、他の手段が用いられてももちろんよい。他の手段としては、例えば、機械特性が比較的高い(すなわち、破断伸びが比較的大きい)固体電解質を用いて固体電解質層を形成することが挙げられ、このような場合には上記所定の量を外れるリチウム以外の元素を含むリチウム含有合金や、金属リチウムの単体が負極活物質として用いられたとしても上記所定の関係は満たされうる。
なお、場合によっては、2種以上の負極活物質が併用されてもよい。また、負極活物質が金属リチウムまたはリチウム含有合金を必須に含むのであれば、上記以外の負極活物質(例えば、炭素材料、ケイ素含有合金など)が用いられてもよいことは勿論である。ただし、電池のエネルギー密度を向上させるという観点から、負極活物質の構成材料に占める金属リチウムまたはリチウム含有合金の含有割合は、好ましくは50~100質量%であり、より好ましくは80~100質量%であり、さらに好ましくは90~100質量%であり、いっそう好ましくは95~100質量%であり、特に好ましくは98~100質量%であり、最も好ましくは100質量%である。また、他の好ましい実施形態においては、負極活物質に占めるリチウム含有合金の含有割合が上記の規定を満足する。
本形態において、負極活物質層の形状は、好ましくは金属リチウムまたはリチウム含有合金からなる薄膜(箔)である。このような負極活物質層の厚みは特に制限されないが、好ましくは20~300μmであり、より好ましくは30~250μmであり、さらに好ましくは50~200μmである。
[固体電解質層]
本形態に係る全固体リチウムイオン二次電池において、固体電解質層は、固体電解質を主成分として含有し、上述した正極活物質層と負極活物質層との間に介在する層である。固体電解質層に含有される固体電解質の具体的な形態について特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。固体電解質としては、例えば、硫化物固体電解質や酸化物固体電解質が挙げられるが、硫化物固体電解質であることが好ましい。
硫化物固体電解質としては、例えば、LiI-LiS-SiS、LiI-LiS-P、LiI-LiPO-P、LiS-P、LiI-LiPS、LiI-LiBr-LiPS4、LiPS4、LiS-P、LiS-P-LiI、LiS-P-LiO、LiS-P-LiO-LiI、LiS-SiS、LiS-SiS-LiI、LiS-SiS-LiBr、LiS-SiS-LiCl、LiS-SiS-B-LiI、LiS-SiS-P-LiI、LiS-B、LiS-P-Z(ただし、m、nは正の数であり、Zは、Ge、Zn、Gaのいずれかである)、LiS-GeS、LiS-SiS-LiPO、LiS-SiS-LiMO(ただし、x、yは正の数であり、Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのいずれかである)等が挙げられる。なお、「LiS-P」の記載は、LiSおよびPを含む原料組成物を用いてなる硫化物固体電解質を意味し、他の記載についても同様である。
硫化物固体電解質は、例えば、LiPS骨格を有していてもよく、Li骨格を有していてもよく、Li骨格を有していてもよい。LiPS骨格を有する硫化物固体電解質としては、例えば、LiI-LiPS、LiI-LiBr-LiPS4、LiPSが挙げられる。また、Li骨格を有する硫化物固体電解質としては、例えば、LPSと称されるLi-P-S系固体電解質(例えば、Li11)が挙げられる。また、硫化物固体電解質として、例えば、Li(4-x)Ge(1-x)(xは、0<x<1を満たす)で表されるLGPS等を用いてもよい。なかでも、硫化物固体電解質は、P元素を含む硫化物固体電解質であることが好ましく、硫化物固体電解質は、LiS-Pを主成分とする材料であることがより好ましい。さらに、硫化物固体電解質は、ハロゲン(F、Cl、Br、I)を含有していてもよい。
また、硫化物固体電解質がLiS-P系である場合、LiSおよびPの割合は、モル比で、LiS:P=50:50~100:0の範囲内であることが好ましく、なかでもLiS:P=70:30~80:20であることが好ましい。
また、硫化物固体電解質は、硫化物ガラスであってもよく、結晶化硫化物ガラスであってもよく、固相法により得られる結晶質材料であってもよい。なお、硫化物ガラスは、例えば原料組成物に対してメカニカルミリング(ボールミル等)を行うことにより得ることができる。また、結晶化硫化物ガラスは、例えば硫化物ガラスを結晶化温度以上の温度で熱処理を行うことにより得ることができる。また、硫化物固体電解質の常温(25℃)におけるイオン伝導度(例えば、Liイオン伝導度)は、例えば、1×10-5S/cm以上であることが好ましく、1×10-4S/cm以上であることがより好ましい。なお、固体電解質のイオン伝導度の値は、交流インピーダンス法により測定することができる。
酸化物固体電解質としては、例えば、NASICON型構造を有する化合物等が挙げられる。NASICON型構造を有する化合物の一例としては、一般式Li1+xAlGe2-x(PO(0≦x≦2)で表される化合物(LAGP)、一般式Li1+xAlTi2-x(PO(0≦x≦2)で表される化合物(LATP)等が挙げられる。また、酸化物固体電解質の他の例としては、LiLaTiO(例えば、Li0.34La0.51TiO)、LiPON(例えば、Li2.9PO3.30.46)、LiLaZrO(例えば、LiLaZr12)等が挙げられる。
固体電解質の形状としては、例えば、真球状、楕円球状等の粒子形状、薄膜形状等が挙げられる。固体電解質が粒子形状である場合、その平均粒径(D50)は、特に限定されないが、40μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。一方、平均粒径(D50)は、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。
固体電解質層は、上述した固体電解質に加えて、バインダをさらに含有していてもよい。固体電解質層に含有されうるバインダとしては、特に限定されないが、例えば、以下の材料が挙げられる。
ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)(水素原子が他のハロゲン元素にて置換された化合物を含む)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリエーテルニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性高分子、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF-HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-HFP-TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF-PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-ペンタフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-PFP-TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-パーフルオロメチルビニルエーテル-テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-PFMVE-TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドであることがより好ましい。
固体電解質層の空隙率の値は、特に制限されない。固体電解質層の空隙率は、理想的には0%に近いほど好ましい。一方、固体電解質層の空隙率の上限値は、好ましくは25%以下であり、より好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは15%以下であり、特に好ましくは10%以下である。なお、固体電解質層の空隙率の値は、従来公知の手法を適宜採用することによって制御することが可能である。また、固体電解質の粉末を圧粉成形することによって固体電解質層を作製する場合には、当該圧粉成形の際に印加される圧力を調節することによって固体電解質層の空隙率を制御することができる。さらに、固体電解質をアモルファス(非晶質)化したり、有機固体電解質とのハイブリッドの形態としたりすることで、固体電解質の緻密度が向上し、結果的として空隙率を低下させることができる。
固体電解質層の厚みは、目的とする全固体リチウムイオン二次電池の構成によっても異なるが、例えば、0.1~1000μmの範囲内であることが好ましく、0.1~500μmの範囲内であることがより好ましい。また、電池特性を向上させるという観点から、固体電解質層の厚みは、負極活物質層の厚みよりも小さいことが好ましい。
[正極活物質層]
正極活物質層は、硫黄を含む正極活物質を含むことが好ましい。硫黄を含む正極活物質の種類としては、特に制限されないが、硫黄単体(S)のほか、有機硫黄化合物または無機硫黄化合物の粒子または薄膜が挙げられ、硫黄の酸化還元反応を利用して、充電時にリチウムイオンを放出し、放電時にリチウムイオンを吸蔵することができる物質であればよい。有機硫黄化合物としては、ジスルフィド化合物、国際公開第2010/044437号パンフレットに記載の化合物に代表される硫黄変性ポリアクリロニトリル、硫黄変性ポリイソプレン、ルベアン酸(ジチオオキサミド)、ポリ硫化カーボン等が挙げられる。なかでも、ジスルフィド化合物および硫黄変性ポリアクリロニトリル、およびルベアン酸が好ましく、特に好ましくは硫黄変性ポリアクリロニトリルである。ジスルフィド化合物としては、ジチオビウレア誘導体、チオウレア基、チオイソシアネート、またはチオアミド基を有するものがより好ましい。ここで、硫黄変性ポリアクリロニトリルとは、硫黄粉末とポリアクリロニトリルとを混合し、不活性ガス下もしくは減圧下で加熱することによって得られる、硫黄原子を含む変性されたポリアクリロニトリルである。その推定構造は、例えばChem. Mater. 2011,23,5024-5028に示されているように、ポリアクリロニトリルが閉環して多環状になるとともに、Sの少なくとも一部はCと結合している構造である。この文献に記載されている化合物はラマンスペクトルにおいて、1330cm-1と1560cm-1付近に強いピークシグナルがあり、さらに、307cm-1、379cm-1、472cm-1、929cm-1付近にピークが存在する。一方、無機硫黄化合物は安定性に優れることから好ましく、具体的には、硫黄単体(S)、S-カーボンコンポジット、TiS、TiS、TiS、NiS、NiS、CuS、FeS、LiS、MoS、MoS等が挙げられる。なかでも、S、S-カーボンコンポジット、TiS、TiS、TiS、FeSおよびMoSが好ましく、硫黄単体(S)、S-カーボンコンポジット、TiSおよびFeSがより好ましく、硫黄単体(S)が特に好ましい。ここで、S-カーボンコンポジットとは、硫黄粉末と炭素材料とを含み、これらを加熱処理または機械的混合に供することによって複合化した状態のものである。より詳細には、炭素材料の表面や細孔内に硫黄が分布している状態、硫黄と炭素材料がナノレベルで均一に分散し、それらが凝集して粒子となっている状態、細かな硫黄粉末の表面や内部に炭素材料が分布している状態、または、これらの状態が複数組み合わさった状態のものである。
正極活物質層は、硫黄を含む正極活物質に代えて、硫黄を含まない正極活物質を含んでもよい。硫黄を含まない正極活物質としては、例えば、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiVO、Li(Ni-Mn-Co)O等の層状岩塩型活物質、LiMn、LiNi0.5Mn1.5等のスピネル型活物質、LiFePO、LiMnPO等のオリビン型活物質、LiFeSiO、LiMnSiO等のSi含有活物質等が挙げられる。また上記以外の酸化物活物質としては、例えば、LiTi12が挙げられる。
場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。なお、上記以外の正極活物質が用いられてもよいことは勿論である。
正極活物質の形状は、例えば、粒子状(球状、繊維状)、薄膜状等が挙げられる。正極活物質が粒子形状である場合、その平均粒径(D50)は、例えば、1nm~100μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10nm~50μmの範囲内であり、さらに好ましくは100nm~20μmの範囲内であり、特に好ましくは1~20μmの範囲内である。なお、本明細書において、活物質の平均粒径(D50)の値は、レーザー回折散乱法によって測定することができる。
正極活物質層における正極活物質の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば、40~99質量%の範囲内であることが好ましく、50~90質量%の範囲内であることがより好ましい。なお、正極活物質層は、導電助剤および/またはバインダをさらに含んでもよい。
[正極集電板および負極集電板]
集電板(25、27)を構成する材料は、特に制限されず、二次電池用の集電板として従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。集電板の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましい。軽量、耐食性、高導電性の観点から、より好ましくはアルミニウム、銅であり、特に好ましくはアルミニウムである。なお、正極集電板27と負極集電板25とでは、同一の材料が用いられてもよいし、異なる材料が用いられてもよい。
[正極リードおよび負極リード]
また、図示は省略するが、集電体(11’、11”)と集電板(25、27)との間を正極リードや負極リードを介して電気的に接続してもよい。正極および負極リードの構成材料としては、公知のリチウムイオン二次電池において用いられる材料が同様に採用されうる。なお、外装から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆することが好ましい。
[電池外装材]
電池外装材としては、公知の金属缶ケースを用いることができるほか、図1および図2に示すように発電要素を覆うことができる、アルミニウムを含むラミネートフィルム29を用いた袋状のケースが用いられうる。該ラミネートフィルムには、例えば、PP、アルミニウム、ナイロンをこの順に積層してなる3層構造のラミネートフィルム等を用いることができるが、これらに何ら制限されるものではない。高出力化や冷却性能に優れ、EV、HEV用の大型機器用電池に好適に利用することができるという観点から、ラミネートフィルムが望ましい。また、外部から掛かる発電要素への群圧を容易に調整することができることから、外装体はアルミニウムを含むラミネートフィルムがより好ましい。
本形態に係る積層型二次電池は、複数の単電池層が並列に接続された構成を有することにより、高容量でサイクル耐久性に優れるものである。したがって、本形態に係る積層型二次電池は、EV、HEVの駆動用電源として好適に使用される。
以上、全固体リチウムイオン二次電池の一実施形態を説明したが、本発明は上述した実施形態において説明した構成のみに限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
例えば、本発明に係る全固体リチウムイオン二次電池が適用される電池の種類として、集電体の一方の面に電気的に結合した正極活物質層と、集電体の反対側の面に電気的に結合した負極活物質層とを有する双極型電極を含む、双極型(バイポーラ型)の電池も挙げられる。
図4は、本発明に係る全固体リチウムイオン二次電池の一実施形態である双極型(バイポーラ型)の二次電池(以下、単に「双極型二次電池」とも称する)を模式的に表した断面図である。図4に示す双極型二次電池10bは、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素21が、電池外装体であるラミネートフィルム29の内部に封止された構造を有する。
図4に示すように、本形態の双極型二次電池10bの発電要素21は、集電体11の一方の面に電気的に結合した正極活物質層13が形成され、集電体11の反対側の面に電気的に結合した負極活物質層15が形成された複数の双極型電極23を有する。各双極型電極23は、固体電解質層17を介して積層されて発電要素21を形成する。なお、固体電解質層17は、固体電解質が層状に成形されてなる構成を有する。図4に示すように、一の双極型電極23の正極活物質層13と前記一の双極型電極23に隣接する他の双極型電極23の負極活物質層15との間に固体電解質層17が挟まれて配置されている。
隣接する正極活物質層13、固体電解質層17、および負極活物質層15は、一つの単電池層19を構成する。したがって、双極型二次電池10bは、単電池層19が積層されてなる構成を有するともいえる。なお、発電要素21の最外層に位置する正極側の最外層集電体11aには、片面のみに正極活物質層13が形成されている。また、発電要素21の最外層に位置する負極側の最外層集電体11bには、片面のみに負極活物質層15が形成されている。
さらに、図4に示す双極型二次電池10bでは、正極側の最外層集電体11aに隣接するように正極集電板(正極タブ)25が配置され、これが延長されて電池外装体であるラミネートフィルム29から導出している。一方、負極側の最外層集電体11bに隣接するように負極集電板(負極タブ)27が配置され、同様にこれが延長されてラミネートフィルム29から導出している。
なお、単電池層19の積層回数は、所望する電圧に応じて調節する。また、双極型二次電池10bでは、電池の厚みを極力薄くしても十分な出力が確保できれば、単電池層19の積層回数を少なくしてもよい。双極型二次電池10bでも、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、発電要素21を電池外装体であるラミネートフィルム29に減圧封入し、正極集電板25および負極集電板27をラミネートフィルム29の外部に取り出した構造とするのがよい。
[組電池]
組電池は、電池を複数個接続して構成した物である。詳しくは少なくとも2つ以上用いて、直列化あるいは並列化あるいはその両方で構成されるものである。直列、並列化することで容量および電圧を自由に調節することが可能になる。
電池が複数、直列にまたは並列に接続して装脱着可能な小型の組電池を形成することもできる。そして、この装脱着可能な小型の組電池をさらに複数、直列にまたは並列に接続して、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に適した大容量、大出力を持つ組電池(電池モジュール、電池パックなど)を形成することもできる。何個の電池を接続して組電池を作製するか、また、何段の小型組電池を積層して大容量の組電池を作製するかは、搭載される車両(電気自動車)の電池容量や出力に応じて決めればよい。
[車両]
電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池を車両に搭載することができる。本発明では、長期信頼性に優れた高寿命の電池を構成できることから、こうした電池を搭載するとEV走行距離の長いプラグインハイブリッド電気自動車や、一充電走行距離の長い電気自動車を構成できる。電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池を、例えば、自動車ならばハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車(いずれも四輪車(乗用車、トラック、バスなどの商用車、軽自動車など)のほか、二輪車(バイク)や三輪車を含む)に用いることにより高寿命で信頼性の高い自動車となるからである。ただし、用途が自動車に限定されるわけではなく、例えば、他の車両、例えば、電車などの移動体の各種電源であっても適用は可能であるし、無停電電源装置などの載置用電源として利用することも可能である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
《試験用対称セルの作製例および評価例》
[実施例1]
リチウムイオン伝導性の固体電解質であるLPS(LiS-P(混合比80:20(モル%)))の粉末を100mg秤量した。次いで、この粉末をセラミックチューブに入れ、200[MPa]以上の成形圧で圧粉成形することにより、固体電解質層(直径10mmの円板形状)を作製した。なお、この固体電解質材料は、大気暴露により大気中の水分等と反応して形状や性質が変化する虞があるため、グローブボックス内またはドライルーム内での取り扱いに限定した。また、上記と同様の手法により別途作製した固体電解質層を用いてJIS Z2241:2011に規定されている4号試験片(定型試験片)を作製し、同じくJIS Z2241:2011に規定されている引張試験を行い、応力-ひずみ線図を得た。そして、この応力-ひずみ線図から固体電解質層の破断伸びδを算出したところ、δ=0.30[%]であった。
一方、負極活物質として、Li99.9Mg0.1(組成比は質量比である)の組成を有するリチウム含有合金(厚み200μm、短冊状)を準備した。負極活物質についても同様に、大気暴露により大気中の水分等と反応して形状や性質が変化する虞があるため、グローブボックス内またはドライルーム内での取り扱いに限定した。このリチウム含有合金を直径10mmに打ち抜き、2枚の負極活物質層を得た。得られた負極活物質層を、セラミックチューブ内に配置された上記固体電解質層の上下にそれぞれ配置し、100[MPa]のプレス圧力でプレスし、その後は負極活物質層が伸びないように100[MPa]未満の拘束圧力を印加して、試験用対称セルを作製した。
このようにして作製された試験用対称セルについて、ソーラトロン社製電気化学測定システム(12608W型)を使用し、周波数範囲0.01Hz~1MHz、電圧振幅10mVの条件で交流インピーダンス測定を行った。そして、交流インピーダンス測定の結果得られたCole-Coleプロットにおいて円弧が出現した場合には試験用対称セルは短絡していないと判断し、円弧が出現しなかった場合には試験用対称セルが短絡したと判断した。本実施例では、円弧の出現が確認されたため、試験用対称セルは短絡していないものと判断された。
上記の交流インピーダンス測定の後に試験用対称セルを解体し、負極活物質層の寸法の変化量をノギスを用いて測定して、得られた測定値を負極活物質層の伸びδとした。本実施例における負極活物質層の伸びδは、δ=0.28[%]であり、δ>δであった。この結果を下記の表1にも示す。
[実施例2]
負極活物質として、Li90Mg10(組成比は質量比である)の組成を有するリチウム含有合金(厚み200μm、短冊状)を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、試験用対称セルを作製し、上記と同様にしてδを測定し、交流インピーダンス測定により短絡の有無を確認した。その結果、本実施例における負極活物質層の伸びδは0.20[%]であり、δ>δであった。また、本実施例では、円弧の出現が確認されたため、試験用対称セルは短絡していないものと判断された。この結果を下記の表1にも示す。
[実施例3]
負極活物質として、Li80Mg20(組成比は質量比である)の組成を有するリチウム含有合金(厚み200μm、短冊状)を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、試験用対称セルを作製し、上記と同様にしてδを測定し、交流インピーダンス測定により短絡の有無を確認した。その結果、本実施例における負極活物質層の伸びδは0.15[%]であり、δ>δであった。また、本実施例では、円弧の出現が確認されたため、試験用対称セルは短絡していないものと判断された。この結果を下記の表1にも示す。
[実施例4]
負極活物質として、Li90Al10(組成比は質量比である)の組成を有するリチウム含有合金(厚み200μm、短冊状)を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、試験用対称セルを作製し、上記と同様にしてδを測定し、交流インピーダンス測定により短絡の有無を確認した。その結果、本実施例における負極活物質層の伸びδは0.20[%]であり、δ>δであった。また、本実施例では、円弧の出現が確認されたため、試験用対称セルは短絡していないものと判断された。この結果を下記の表1にも示す。
[実施例5]
負極活物質として、Li80Bi20(組成比は質量比である)の組成を有するリチウム含有合金(厚み200μm、短冊状)を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、試験用対称セルを作製し、上記と同様にしてδを測定し、交流インピーダンス測定により短絡の有無を確認した。その結果、本実施例における負極活物質層の伸びδは0.15[%]であり、δ>δであった。また、本実施例では、円弧の出現が確認されたため、試験用対称セルは短絡していないものと判断された。この結果を下記の表1にも示す。
[比較例1]
負極活物質として、Li99.95Mg0.05(組成比は質量比である)の組成を有するリチウム含有合金(厚み200μm、短冊状)を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、試験用対称セルを作製し、上記と同様にしてδを測定し、交流インピーダンス測定により短絡の有無を確認した。その結果、本実施例における負極活物質層の伸びの値δは0.33[%]であり、δ<δであった。また、本比較例では、円弧の出現が確認されなかったため、試験用対称セルは短絡したものと判断された。なお、解体した試験用対称セルの固体電解質層を目視により観察したところ、割れ(クラック)の発生が確認された。この結果を下記の表1にも示す。
[比較例2]
負極活物質として、金属リチウム(Li)(厚み200μm、短冊状)を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、試験用対称セルを作製し、上記と同様にしてδを測定し、交流インピーダンス測定により短絡の有無を確認した。その結果、本実施例における負極活物質層の伸びδは0.32[%]であり、δ<δであった。また、本比較例では、円弧の出現が確認されなかったため、試験用対称セルは短絡したものと判断された。なお、解体した試験用対称セルの固体電解質層を目視により観察したところ、割れ(クラック)の発生が確認された。この結果を下記の表1にも示す。
上述した結果から、本発明に係る構成を有する負極活物質層と固体電解質層との組み合わせを用いることで、固体電解質層における割れ(クラック)の発生が抑制され、ひいては電池における内部短絡の発生をも防止することができることがわかる。また、負極活物質層の機械特性(任意の圧力における伸びL)を制御する1つの手段として、負極活物質の組成を変更することが有効であることも確認された。
10,10a 積層型二次電池、
10b 双極型二次電池、
11 集電体、
11’ 正極集電体、
11” 負極集電体、
11a 正極側の最外層集電体、
11b 負極側の最外層集電体、
13 正極活物質層、
15 負極活物質層、
17 固体電解質層、
19 単電池層、
21 発電要素、
23 双極型電極、
25 正極集電板(正極タブ)、
27 負極集電板(負極タブ)、
29 ラミネートフィルム。

Claims (6)

  1. 正極活物質を含有する正極活物質層を含む正極と、
    金属リチウムまたはリチウム含有合金からなる負極活物質を含有する負極活物質層を含む負極と、
    前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に介在し、硫化物固体電解質を含む固体電解質層と、
    が積層されてなる発電要素を備え、
    JIS Z2241:2011に準拠した前記固体電解質層の破断伸びδ[%]が、前記負極活物質層に対して前記発電要素の積層方向に任意の圧力を印加したときに測定される前記負極活物質層の伸びδ[%]よりも大きい、全固体リチウムイオン二次電池(ただし、前記固体電解質がLi S-P を含み、かつ、前記負極活物質が、電池の満充電時において、合金中のリチウム元素の元素比率が81.80atomic%以上99.97atomic%以下である金属リチウムと金属マグネシウムとのβ単相の合金を含むか、または、リチウムと結合し、その溶融温度がリチウムのそれよりも高い成分が、原子換算で1ないし30%含まれているリチウム含有合金を含むものを除く)
  2. 前記負極活物質が、Al、MgおよびBiからなる群から選択される1種または2種以上の元素を含有するリチウム含有合金からなる、請求項1に記載の全固体リチウムイオン二次電池。
  3. 前記負極活物質が、前記元素を0.1~20質量%の量で含有するリチウム含有合金である、請求項2に記載の全固体リチウムイオン二次電池。
  4. 前記負極活物質が、Mgおよび/またはBiを10質量%超20質量%以下の量で含有するリチウム含有合金である、請求項3に記載の全固体リチウムイオン二次電池。
  5. 前記負極活物質が、Biを含有するリチウム含有合金である、請求項2~4のいずれか1項に記載の全固体リチウムイオン二次電池。
  6. 前記固体電解質層の厚みが、前記負極活物質層の厚みよりも小さい、請求項1~のいずれか1項に記載の全固体リチウムイオン二次電池。
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