JP2017135100A - リチウムイオン電池 - Google Patents

リチウムイオン電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2017135100A
JP2017135100A JP2016239390A JP2016239390A JP2017135100A JP 2017135100 A JP2017135100 A JP 2017135100A JP 2016239390 A JP2016239390 A JP 2016239390A JP 2016239390 A JP2016239390 A JP 2016239390A JP 2017135100 A JP2017135100 A JP 2017135100A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
positive electrode
solid electrolyte
main surface
lithium ion
ion battery
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016239390A
Other languages
English (en)
Inventor
一樹 前田
Kazuki Maeda
一樹 前田
直人 大平
Naoto Ohira
直人 大平
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Insulators Ltd filed Critical NGK Insulators Ltd
Publication of JP2017135100A publication Critical patent/JP2017135100A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

【課題】固体電解質層の剥離を抑制可能なリチウムイオン電池を提供する。【解決手段】リチウムイオン電池10は、正極層12と、負極層16と、固体電解質層14とを備える。正極層12は、第1主面S1と、第2主面S2と、第1主面S1と第2主面S2に連なる側面S3とを有する。固体電解質層14は、正極層12と負極層16の間に配置される。固体電解質層14は、本体部30と、保持部40とを有する。本体部30は、第1主面S1の略全面を覆う。保持部40は、本体部30と一体的に設けられ、側面S3の少なくとも一部と第2主面S2の一部とを覆う。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン電池に関する。
近年、正極層と固体電解質層と負極層とを備えるリチウムイオン電池の開発が進められている。一般的に、固体電解質層は正極層上に形成され、負極層は固体電解質層上に形成される。
特許5043203号公報
ここで、リチウムイオン電池の充放電に伴って、正極層は膨張収縮するのに対して、固体電解質層はほとんど膨張収縮しない。そのため、正極層と固体電解質層の界面に応力が発生することによって、固体電解質層が正極層から剥離するおそれがある。
本発明は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、固体電解質層の剥離を抑制可能なリチウムイオン電池を提供することを目的とする。
本発明に係るリチウムイオン電池は、正極層と、負極層と、固体電解質層とを備える。正極層は、第1主面と、第2主面と、第1主面と第2主面に連なる側面とを有する。固体電解質層は、正極層と負極層の間に配置される。固体電解質層は、本体部と、保持部とを有する。本体部は、第1主面の略全面を覆う。保持部は、本体部と一体的に設けられ、側面の少なくとも一部と第2主面の一部とを覆う。
本発明によれば、固体電解質層の剥離を抑制可能なリチウムイオン電池を提供することができる。
実施形態に係るリチウムイオン電池の構成を模式的に示す断面図 実施形態に係る正極層の第2主面側からの平面図 他の実施形態に係る固体電解質層の保持部の構成を示す平面図
(リチウムイオン電池10の構成)
図1は、本実施形態に係るリチウムイオン電池10の構成を示す断面図である。リチウムイオン電池10は、配向正極板12(正極層の一例)、固体電解質層14、負極層16、導電性接着剤層18、正極外装材20、負極外装材22、及び封止部24を備える。配向正極板12、固体電解質層14及び負極層16は、単電池を構成する。正極外装材20、負極外装材22及び封止部24は、外装材を構成する。
1.配向正極板12
配向正極板12は、板状のセラミックス焼結体である。配向正極板12は、第1主面S1と、第2主面S2と、側面S3とを有する。第1主面S1は、配向正極板12の板面である。第1主面S1は、配向正極板12、固体電解質層14及び負極層16の積層方向に対して略垂直(例えば、±5度以内)である。第1主面S1は、配向正極板12のうち負極層16側の表面である。第2主面S2は、配向正極板12の板面である。第2主面S2は、積層方向に対して略垂直(例えば、±5度以内)である。第2主面S2は、配向正極板12のうち負極層16と反対側の表面である。側面S3は、第1主面S1と第2主面S2に連なる。
配向正極板12は、セラミックス焼結体であるため、気相法によって形成される膜に比べて厚さを大きくすることによって電池容量及びエネルギー密度を向上させることができる。また、配向正極板12の組成は原料の秤量によって調整できるため、気相法によって形成される膜に比べて組成を精度よく制御することができる。配向正極板12の厚さは特に制限されないが、5μm以上80μm以下とすることが好ましく、20μm以上50μm以下であることが好ましい。
配向正極板12は、配向された複数のリチウム遷移金属酸化物粒子によって構成される配向多結晶体である。すなわち、配向多結晶体である配向正極板12を形成する粒子は、リチウム遷移金属酸化物によって構成される。
リチウム遷移金属酸化物は、層状岩塩構造又はスピネル構造を有するのが好ましく、層状岩塩構造を有するのがより好ましい。層状岩塩構造は、リチウムイオンの蓄積によって酸化還元電位が低下し、リチウムイオンの放出によって酸化還元電位が上昇する性質を有する。ここで、層状岩塩構造は、リチウム以外の遷移金属系層とリチウム層とが酸素原子を含む層を介して交互に積層された結晶構造である。すなわち、層状岩塩構造は、リチウム以外の遷移金属などのイオン層とリチウムイオン層とが酸化物イオン層を挟んで交互に積層された結晶構造である。このような結晶構造としては、立方晶岩塩型構造の[111]軸方向に遷移金属とリチウムとが規則配列したα−NaFeO型構造が挙げられる。
層状岩塩構造を有するリチウム−遷移金属系複合酸化物としては、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル・マンガン酸リチウム、ニッケル・コバルト酸リチウム、コバルト・ニッケル・マンガン酸リチウム、コバルト・マンガン酸リチウムなどが挙げられる。リチウム−遷移金属系複合酸化物には、Mg,Al,Si,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Cu,Zn,Ga,Ge,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Ag,Sn,Sb,Te,Ba,Biなどのうち一種以上の元素が含まれていてもよい。
このように、リチウム遷移金属酸化物粒子は、LiM1O又はLi(M1,M2)O(式中、0.5<x<1.10、M1はNi,Mn及びCoの群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素、M2はMg,Al,Si,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Cu,Zn,Ga,Ge,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Ag,Sn,Sb,Te,Ba及びBiの群から選択される少なくとも一種の元素である)で表される組成を有するのが好ましい。リチウム遷移金属酸化物粒子は、Li(M1,M2)Oで表される組成を有し、かつ、M1がNi及びCoであって、M2はMg,Al及びZrの群から選択される少なくとも一種であることがより好ましい。リチウム遷移金属酸化物粒子は、Li(M1,M2)Oで表される組成を有し、かつ、M1がNi及びCoであって、M2がAlであることがさらに好ましい。さらに、リチウム遷移金属酸化物粒子は、LiM1Oで表される組成を有し、かつ、M1がNi,Mn及びCoであるか、又は、M1がCoであるのも好ましい。
なお、Li(M1,M2)Oという組成式は、具体的には、Li(M1,M2)(式中、0<m<1、0<n<1、m+n=1)と表される。式中、M1及びM2の合計量に占めるNiの割合は原子比で0.6以上であることが好ましい。以上の組成は、いずれも層状岩塩構造を採ることができる。
Li(Ni,Co,Al)O系組成を有し、かつ、M1がNi及びCoであって、M2がAlであるセラミックスは、NCAセラミックスと称される。NCAセラミックスは、一般式Li(Ni,Co,Al)O(式中、0.9≦p≦1.3、0.6<x≦0.9、0.1<y≦0.3、0≦z≦0.2、x+y+z=1)で表される組成を有し、かつ、層状岩塩構造を有するのが好ましい。
上述のとおり、配向正極板12は、配向された複数のリチウム遷移金属酸化物粒子によって構成される配向多結晶体である。配向正極板12において、複数のリチウム遷移金属酸化物粒子は、所定の方向に配向されていることが好ましい。所定の方向は、リチウムイオンの伝導方向であることが好ましい。従って、配向正極板12の構成粒子の特定の結晶面は、配向正極板12から負極層16に向かう方向に配向されていることが好ましい。具体的には、配向正極板12の構成粒子の(003)面が、配向正極板12、固体電解質層14、中間層15及び負極層16の積層方向に配向されていることが好ましい。言い換えると、(003)面が、積層面と交差する方向に配向されていることが好ましい。これによって、配向正極板12に対するリチウムイオンの蓄積時及び放出時の抵抗を低減できるため、高入力時(すなわち、充電時)に多くのリチウムイオンを放出できるとともに、高出力時(すなわち、放電時)に多くのリチウムイオンを蓄積することができる。
配向多結晶体の配向度は、10%以上とすることができる。配向多結晶体の配向度の下限値は、20%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましく、50%以上が特に好ましい。配向度の上限値は特に制限されないが、95%以下とすることができる。配向度の上限値は、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、又は70%以下とすることができる。配向正極板12の配向度は、XRD装置(例えば、株式会社リガク製、TTR−III)によって得られる接触面12SにおけるXRDプロファイルを用いて、ロットゲーリング法に従って下記式(1)から算出される。XRD装置による測定は、2θで10°から70°のX線回折角の範囲を2°/minかつステップ幅0.02°の条件で行うものとする。
Figure 2017135100
上記式(1)において、Iは、測定試料の回折強度であり、Iは無配向の参照試料の回折強度である。(HKL)は、配向度を評価したい回折線であり、(00l)(lは、例えば3、6及び9)以外の回折線に相当にする。(hkl)は、全ての回折線に相当する。
無配向の参照試料とは、無配向であること以外は測位試料と同様の構成を有する試料である。参照試料は、例えば配向正極板12の試料を乳鉢で粉砕して無配向状態にすることによって得られる。
上記式(1)において、(HKL)から(00l)の回折線が除かれているのは、(00l)の回折線に対応する面(例えば、(003)面など)ではその面内方向にしかリチウムイオンが移動できないため、この面が積層方向に対して垂直な面方向に沿って配向されると、リチウムイオンの移動が妨げられるからである。
このような配向多結晶体である配向正極板12は、無配向の多結晶体に比べて厚さを大きくすることができる。配向正極板12の厚さは、単位面積当りの活物質容量を考慮すると、20μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましく、30μm以上がさらに好ましく、35μm以上が特に好ましい。配向正極板12の厚さの上限値は特に制限されないが、充放電の繰り返しに伴う電池特性の劣化(特に、抵抗値の上昇)の抑制を考慮すると、100μm未満が好ましく、90μm以下がより好ましく、80μm以下がさらに好ましく、70μm以下が特に好ましい。
配向正極板12は、シート状に形成されるのが好ましい。配向正極板12は、シート状に形成された1枚の正極活物質によって構成されていてもよいし、シート状に形成された正極活物質の小片を層状に配置することによって構成されていてもよい。
配向正極板12の相対密度は、75%以上99.97%以下が好ましく、80%以上99.95%以下がより好ましく、90%以上99.90%以下がさらに好ましく、95%以上99.88%以下が特に好ましく、97%以上99.85%以下が最も好ましい。配向正極板12の相対密度は、容量及びエネルギー密度を考慮すれば基本的には高い方が望ましいが、相対密度を上記の範囲内にすることによって、充放電を繰り返したときの抵抗値の上昇を抑制できる。これは、リチウムの蓄積及び放出に伴って配向正極板12が適度に膨張収縮することによって応力を緩和できるためだと考えられる。
なお、配向正極板12の構成及び作製方法については、特開2012−009193号公報、特開2012−009194号公報及び特許第4745463号公報に詳細に記載されている。本明細書では、これら3つの公報の開示内容を援用する。
2.固体電解質層14
固体電解質層14は、配向正極板12と負極層16の間に配置される。固体電解質層14は、本体部30と、保持部40とを有する。固体電解質層14は、本体部30に連なる保持部40によって配向正極板12を挟み込んでいる。これによって、リチウムイオン電池10の充放電に伴って配向正極板12が膨張収縮しても、配向正極板12と固体電解質層14の界面に発生する応力を低減できるため、固体電解質層14が配向正極板12から剥離することを抑制できる。
本体部30は、配向正極板12の第1主面S1の略全面を覆う。本体部30による第1主面S1の被覆率は、90%以上であり、95%以上が好ましく、98%以上がより好ましい。本体部30の厚みは特に制限されないが、0.1μm以上100μm以下とすることができる。固体電解質層14の厚さは、充放電レート特性を考慮すると0.2μm以上75μm以下が好ましく、0.3μm以上50μm以下がより好ましい。
保持部40は、本体部30と一体的に設けられる。本実施形態において、保持部40は、配向正極板12の側面S3の略全周と第2主面S2のうち外縁の略全周とを覆っている。
ここで、図2は、配向正極板12を第2主面S2側から見た平面図である。保持部40は、側面S3上に配置される第1部分41と、第2主面S2上に配置される第2部分42とを含む。
第1部分41は、側面S3の略全周を覆う。第1部分41は、本体部30と一体的に設けられる。第1部分41による側面S3の被覆率は、90%以上であり、95%以上が好ましく、98%以上がより好ましい。第1部分41の厚みは特に制限されないが、0.05μm以上1000μm以下とすることができる。第1部分41の厚みは、本体部30の厚み以下であってもよいし、本体部30の厚みより大きくてもよい。第1部分41の厚みを、本体部30の厚みより大きくすることによって保持部40の剛性を向上させることができるため、配向正極板12と固体電解質層14の界面に応力が発生することをより抑制できる。
第2部分42は、第2主面S2のうち外縁の全周を覆う。第2部分42は、第1部分41と一体的に設けられる。第2部分42は、配向正極板12を挟んで本体部30の反対側に配置される。第2部分42の厚みは特に制限されないが、0.05μm以上1000μm以下とすることができる。第2部分42の厚みは、本体部30の厚み以下であってもよいし、本体部30の厚みより大きくてもよい。第2部分42の厚みを、本体部30の厚みより大きくすることによって保持部40の剛性を向上させることができるため、配向正極板12と固体電解質層14の界面に応力が発生することをより抑制できる。
第2部分42が第2主面S2の外縁を被覆する幅(以下、「被覆幅」という。)W1は特に制限されないが、配向正極板12の全幅W2の0.5%以上15%以下とすることができる。第2部分42の被覆幅W1は、全幅W2の1%以上であることが好ましい。これによって、保持部40で配向正極板12を強固に挟み込むことができる。第2部分42の被覆幅W1は、全幅W2の10%以下であることが好ましい。これによって、導電性接着剤層18が第2主面S2と接合する領域を十分確保できるため、配向正極板12と導電性接着剤層18の機械的かつ電気的接合を向上させることができる。なお、図2に示すように、第2部分42は、導電性接着剤層18から離れているが、導電性接着剤層18の少なくとも一部と接していてもよい。
固体電解質層14は、リチウムイオン伝導材料によって構成される。固体電解質層固体電解質層14を構成するリチウムイオン伝導材料には、酸化物系セラミックス材料と硫化物系セラミックス材料がある。酸化物系セラミックス材料としては、ガーネット系セラミックス材料、窒化物系セラミックス材料、ペロブスカイト系セラミックス材料、リン酸系セラミックス材料及びゼオライト系材料が挙げられる。硫化物材料としては、LiS−P系、LiI−LiS−P系、LiI−LiS−B32系、若しくはLiI−LiS−SiS系の固体電解質、チオリシコン及びLi10GeP12が挙げられる。
ガーネット系セラミックス材料としては、Li−La−Zr−O系材料(具体的には、LiLaZr12など。以下、「LLZ系セラミックス材料」という。)やLi−La−Ta−O系材料(具体的には、LiLaTa12など)が挙げられる。窒化物系セラミックス材料としては、LiNが挙げられる。ペロブスカイト系セラミックス材料としては、LLT系セラミックス材料(具体的には、LiLa1−xTi(0.04≦x≦0.14)など)が挙げられる。
リン酸系セラミックス材料は、酸化物系セラミックス材料の1つである。リン酸系セラミックス材料としては、リン酸リチウム、リン酸リチウムオキシナイトライド(LiPON)、Li−Al−Ti−P−O,Li−Al−Ge−P−O、及びLi−Al−Ti−Si−P−O(具体的には、Li1+x+yAlTi2−xSi3−y12(0≦x≦0.4、0<y≦0.6)など)が挙げられる。
固体電解質層14は、LiPON系セラミックス材料及び/又はLLZ系セラミックス材料によって構成されるのが特に好ましい。
LiPON系セラミックス材料は、Li2.9PO3.30.46の組成によって代表されるような化合物群であり、例えばLiPO(式中、aは2〜4、bは3〜5、cは0.1〜0.9である。)で表される化合物群である。
LLZ系セラミックス材料は、Li、La、Zr及びOを含むガーネット型又はガーネット型類似の結晶構造を有する酸化物焼結体である。LLZ系セラミックス材料としては、LiLaZr12などのガーネット系セラミックス材料が挙げられる。ガーネット系セラミックス材料は、負極層16と直接接触しても反応が起きないリチウムイオン伝導材料である。LLZ系セラミックス材料は、焼結性に優れるため緻密化しやすく、かつ、イオン伝導率も高い。LLZ系セラミックス材料の結晶構造は、LLZ結晶構造と呼ばれており、LLZ系セラミックス材料のXRDパターンはCSD(Cambridge Structural Database)のX線回折ファイルNo.422259(LiLaZr12)に類似している。なお、LLZ系セラミックス材料とNo.422259とでは構成元素が異なり、またセラミックス中のLi濃度などが異なる可能性もある。そのため、LLZ系セラミックス材料とNo.422259とでは回折角度や回折強度比が異なる場合がある。
なお、LLZ系セラミックス材料におけるLaに対するLiのモル数の比Li/Laは、2.0以上2.5以下が好ましい。LLZ系セラミックス材料におけるLaに対するZrのモル比Zr/Laは、0.5以上0.67以下が好ましい。
LLZ系セラミックス材料は、Nb及び/又はTaをさらに含んでいてもよい。LLZ系セラミックス材料中のZrの一部をNb及びTaのいずれか一方又は双方で置換することによって、置換前よりも伝導率を向上させることができる。ZrのNb及び/又はTaによる置換量(モル比)は、(Nb+Ta)/Laのモル比が0.03以上0.20以下となる量にすることが好ましい。また、LLZ系セラミックス材料は、Alをさらに含んでいるのが好ましい。焼結体におけるAlの添加量は、0.01〜1質量%が好ましい。Laに対するAlのモル比Al/Laは、0.008〜0.12が好ましい。Nb、Ta及びAlの元素は、結晶格子に存在してもよいし、結晶格子外に存在していてもよい。LLZ系セラミックス材料は、公知の手法に従って、又は、公知の手法を適宜修正することによって製造することができる。
このような固体電解質層14の形成方法としては、各種パーティクルジェットコーティング法、固相法、溶液法、気相法、圧粉成形法などを用いることができる。
パーティクルジェットコーティング法の例としては、エアロゾルデポジション(AD)法、ガスデポジション(GD)法、パウダージェットデポジション(PJD)法、コールドスプレー(CS)法、溶射法等が挙げられる。特に、エアロゾルデポジション(AD)法は、常温成膜が可能であり、プロセス中の組成ズレや、配向正極板との反応による高抵抗層が形成されにくいため好ましい。
パーティクルジェットコーティング法によれば、固体電解質層14の厚みを容易に調整することができる。特に、パーティクルジェットコーティング法によれば、固体電解質層14のうち本体部30と保持部40の厚みを独立して調整できるため好ましい。例えば、配向正極板12と負極層16との間におけるリチウムイオン伝導性を向上させるために本体部30を薄くしつつ、保持部40の剛性を向上させるために保持部40を厚くすることができる。また、パーティクルジェットコーティング法によれば、保持部40のうち第1部分41と第2部分42の厚みを独立して調整することもできる。
なお、固体電解質として硫化物系セラミックス材料を用いる場合には、パーティクルジェットコーティング法によって形成した成形体を焼き付ける必要がない。そのため、パーティクルジェットコーティング法は、固体電解質層14を構成するリチウムイオン伝導材料のうち硫化物系セラミックス材料に好適である。
固相法の例としては、テープ積層法、印刷法、塗布法等が挙げられる。特に、テープ積層法は固体電解質層14を薄く形成することが可能であり、厚さの制御が容易であるため好ましい。テープ積層法によって形成した成形体には、加圧処理を施してもよい。加圧方法としては、水などを圧力媒体とする圧媒加圧法が好適である。これによって、成形体を全体的に均一に加圧することができる。圧媒加圧法としては、例えば、変形可能な防水容器に成形体を密閉収納して静水圧で加圧するCIP(Cold Isostatic Pressing)法などを用いることができる。
なお、固体電解質として硫化物系セラミックス材料を用いる場合には、固相法によって形成した成形体を焼き付ける必要がない。そのため、固相法は、層固体電解質層14を構成するリチウムイオン伝導材料のうち硫化物系セラミックス材料に好適である。
溶液法の例としては、ソルボサーマル法、水熱合成法、ゾルゲル法、沈殿法、マイクロエマルション法、溶媒蒸発法等が挙げられる。固体電解質として酸化物系セラミックス材料(例えば、LiPON系セラミックス材料など)を使う場合、特に、水熱合成法は、低温で結晶性の高い結晶粒を得やすいため好ましい。また、溶液法で微結晶を合成する場合には、微結晶を正極上に堆積させてもよいし、微結晶を正極上に直接析出させてもよい。また、固体電解質として硫化物系セラミックス材料を使う場合、特に、溶媒蒸発法は、固体電解質層14の厚みを容易に調整できるため好ましい。
気相法の例としては、スパッタリング法、レーザー堆積(PLD)法、蒸発凝縮(PVD)法、気相反応法(CVD)法、真空蒸着法、分子線エピタキシ(MBE)法等が挙げられる。酸化物系セラミックス材料を用いる場合には、電池性能に不具合が生じることを抑制できるためスパッタリング法を用いることが好ましい。
例えば、スパッタリング法によってLiPON系セラミックス材料によって固体電解質層14を形成する場合には、公知の条件に従って行うことができ、Li源、P源及びO源としてリン酸リチウム焼結体ターゲットを用いて、N源としてのガス種としてNを導入すればよい。
スパッタリング法による固体電解質層14の形成は、配向正極板12を導電性接着剤層18によって正極外装材20に固定した状態で行われてもよいし、配向正極板12を載置板に仮留めした状態で行われてもよい。配向正極板12の第1主面S1をターゲットに対向させてスパッタリングすることによって、本体部30と保持部40を含む固体電解質層14の全体を一回的に形成することができる。ただし、第1主面S1をターゲットに対向させてスパッタリングする工程と、外縁部だけを露出させた第2主面S2をターゲットに対向させてスパッタリングする工程とに分けて、本体部30と保持部40を形成することもできる。この場合には、固体電解質層14のうち本体部30と保持部40の厚みを独立して調整できる点で好ましい。例えば、配向正極板12と負極層16との間におけるリチウムイオン伝導性を向上させるために本体部30を薄くしつつ、保持部40の剛性を向上させるために保持部40を厚くすることができる。スパッタリング法によって固体電解質層14を形成する場合には、スパッタリング法での成膜条件(例えば、成膜時間など)を制御することによって厚さを調整することができる。
圧粉成形法は、金型を用いて粉体を圧縮することによって成形体を形成する手法である。圧粉成形法によれば、固体電解質層14の厚みを容易に調整することができる。特に、圧粉成形法によれば、固体電解質層14のうち本体部30と保持部40の厚みを独立して調整できるため好ましい。例えば、配向正極板12と負極層16との間におけるリチウムイオン伝導性を向上させるために本体部30を薄くしつつ、保持部40の剛性を向上させるために保持部40を厚くすることができる。また、圧粉成形法によれば、保持部40のうち第1部分41と第2部分42の厚みを独立して調整することもできる。圧粉成形法によって形成した成形体には、加圧処理を施してもよい。加圧方法としては、CIP法などの圧媒加圧法が好適である。
なお、硫化物系セラミックス材料を用いる場合には、圧粉成形法によって形成した成形体を焼き付ける必要がない。そのため、圧粉成形法は、層固体電解質層14を構成するリチウムイオン伝導材料のうち硫化物系セラミックス材料に好適である。
また、パーティクルジェットコーティング法、固相法及び液相法のいずれかにより硫化物系セラミックス材料を用いて固体電解質層14の成形体を形成した場合には、加圧工程、加熱工程、又はこれらの組み合わせによって、成形体に緻密化処理を施すことが好ましい。同様に、パーティクルジェットコーティング法、固相法及び液相法のいずれかにより酸化物系セラミックス材料を用いて固体電解質層14の成形体を形成した場合には、加熱工程、又は、加熱工程と加圧工程の組み合わせによって、成形体に緻密化処理を施すことが好ましい。このような緻密化処理によって、固体電解質層14のリチウムイオン伝導性をより向上させることができる。なお、緻密化処理が加圧工程を含む場合、その加圧方法としては、CIP法などの圧媒加圧法が好適である。
また、配向正極板12と固体電解質層14の界面には界面抵抗を下げるための処理が施されていてもよい。例えば、そのような処理は、ニオブ酸化物、チタン酸化物、タングステン酸化物、タンタル酸化物、リチウム・ニッケル複合酸化物、リチウム・チタン複合酸化物、リチウム・ニオブ化合物、リチウム・タンタル化合物、リチウム・タングステン化合物、リチウム・チタン化合物、及びこれらの任意の組み合わせ若しくは複合酸化物で配向正極板12の表面及び/又は固体電解質層14の表面を被覆することにより行うことができる。このような処理によって配向正極板12と固体電解質層14の間の界面には被膜が存在しうることになるが、その被膜の厚さは例えば20nm以下の極めて薄いものである。
3.負極層16
負極層16は、固体電解質層14上に配置される。負極層16は、リチウム金属を主成分として含有する。負極層16は、固体電解質層14上に形成されるリチウム含有金属膜であってもよいし、中間層15上に載置されるリチウム含有金属箔であってもよい。リチウム含有金属膜は、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法などによって形成することができる。
負極層16の厚さは特に限定されないが、200μm以下とすることができる。リチウムイオン電池10におけるリチウム総量を多く確保することと電池のエネルギー密度を高くすることを考慮すると、負極層16の厚さは10μm以上が好ましく、50μm以上10μm以下がより好ましく、40μm以上10μm以下がさらに好ましくは、20μm以上10μm以下が特に好ましい。
4.導電性接着剤層18
導電性接着剤層18は、配向正極板12の第2主面S2上に配置される。導電性接着剤層18は、配向正極板12と正極外装材20の間に配置される。導電性接着剤層18は、配向正極板12を正極外装材20に機械的に接合するとともに、配向正極板12を正極外装材20に電気的に接合する。
導電性接着剤層18は、導電性材料と接着剤を含む。導電性材料としては、導電性カーボンなどを用いることができる。接着剤としては、エポキシ系などの樹脂材料を用いることができる。導電性接着剤層18の厚さは特に制限されないが、5μm以上100μm以下とすることができ、10μm以上50μm以下であることが好ましい。
導電性接着剤層18は、図2に示すように、固体電解質層14の保持部40のうち第2部分42から離れているが、第2部分42の少なくとも一部と接していてもよい。導電性接着剤層18が、配向正極板12の第2主面S2を被覆する面積を大きくするほど、配向正極板12と導電性接着剤層18の機械的かつ電気的接合を向上させることができる。
5.外装材
外装部は、正極外装材20、負極外装材24及び封止部26によって構成される。
正極外装材20は、配向正極板12の外側に配置される。正極外装材20は、導電性接着剤層18を介して配向正極板12と電気的に接続される。正極外装材20は、正極集電体として機能する。正極外装材20は、金属によって構成することができる。正極外装材20を構成する金属としては、ステンレス、アルミニウム、銅、白金、ニッケルなどが挙げられ、特にステンレスが好適である。正極外装材20は、板状又は箔状に形成することができ、特に箔状が好ましい。従って、正極外装材20としてステンレス箔を用いることが特に好ましい。正極外装材20が箔状に形成される場合、正極外装材20の厚さは1〜30μmとすることができ、5μm以上25μm以下が好ましく、10μm以上20μm以下がより好ましい。
負極外装材24は、負極層16の外側に配置される。負極外装材24は、負極層16と電気的に接続される。負極外装材24は、負極集電体として機能する。負極外装材24は、金属によって構成することができる。負極外装材24は、正極外装材20と同様の材料によって構成することができる。従って、負極外装材24としてステンレス箔を用いることが好ましい。負極外装材24が箔状に形成される場合、負極外装材24の厚さは1〜30μmとすることができ、5μm以上25μm以下が好ましく、10μm以上20μm以下がより好ましい。
封止部26は、正極外装材20と負極外装材24の隙間を封止する。封止部26は、環状に形成される。封止部26は、配向正極板12、固体電解質層14及び負極層16によって構成される単電池の側方を取り囲む。封止部26は、リチウムイオン電池10内への水分の侵入を抑制する。封着材の抵抗率は、正極外装材20と負極外装材24の間の電気的絶縁性を確保するために1×10Ωcm以上が好ましく、1×10Ωcm以上がより好ましく、1×10Ωcm以上がさらに好ましい。このような封止部26は、電気絶縁性の封着材によって構成することができる。封着材としては、樹脂を含む樹脂系封着材を用いることができる。樹脂系封着材を用いることによって、封止部26の形成を比較的低温(例えば400℃以下)で行うことができるため、加熱による電池の破壊や変質を抑制できる。
封止部26は、樹脂フィルムの積層や液状樹脂のディスペンスなどによって形成することができる。
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で種々の変形又は変更が可能である。
上記実施形態において、固体電解質層14の保持部40は、配向正極板12の側面S3の略全周と第2主面S2のうち外縁の略全周とを覆うこととしたが、これに限られるものではない。固体電解質層14の保持部40は、側面S3の一部と第2主面S2の外縁の一部とを覆っていればよい。この場合であっても、固体電解質層14のうち保持部40によって配向正極板12を挟み込んだ部分では、配向正極板12からの剥離を抑制することができる。このように、保持部40が側面S3の一部と第2主面S2の外縁の一部とを覆っている場合、保持部40は、図3に示すように、第1保持部40a及び第2保持部40bを含んでいることが好ましい。第1保持部40a及び第2保持部40bそれぞれは、側面S3の一部を覆う第1部分41と、第2主面S2の外縁の一部を覆う第2部分42を有する。第1保持部40aと第2保持部40bは、図3に示すように、第2主面S2の中央CTで直交する2本の直線によって第1乃至第4象限QD1〜QD4を規定した場合、第1保持部40aの少なくとも一部は第1象限QD1に位置し、第2保持部40bの少なくとも一部は第3象限QD3に位置することが特に好ましい。このように、第2主面S2の平面視において第1保持部40aと第2保持部40bを対角線上に配置することによって配向正極板12を強固に保持することができる。
上記実施形態において、リチウムイオン電池10は、導電性接着剤層18を備えることとしたが、導電性接着剤層18を備えていなくてもよい。この場合には、外装材の内部を減圧状態にすることによって配向正極板12を正極外装材20に直接接合させることができる。配向正極板12を正極外装材20に直接接合させる場合、固体電解質層14の保持部40のうち第2部分42は、配向正極板12と正極外装材20の間に挟まれることになる。そこで、保持部40の剛性を確保できる範囲で、第2部分42の厚さを薄くすることが好ましい。特に、第2部分42を先端(すなわち、内側)に向かってテーパ状にすることによって、配向正極板12を正極外装材20に接合しやすくできる。
上記実施形態において、リチウムイオン電池10は、正極外装材20、負極外装材22及び封止部24によって構成される外装材を備えることとしたが、これに限られるものではない。例えば、外装材として2本の電極取り出し用タブを接着したAlラミネートフィルムを用いてもよい。2本の電極取り出し用タブそれぞれは、配向正極板12と負極層16に接続される。ラミネートフィルムを外装材とする場合、導電性接着剤層18を用いる必要はない。また、外装材として、金属ケース、ガスケット(すなわち、パッキン)、金属キャップによって構成される容器を用いてもよい。このような容器は、いわゆるボタン型電池に広く用いられている。
上記実施形態において、リチウムイオン電池10は、正極層の一例として配向正極板12を備えることとしたが、配向正極板12に代えて周知の正極活物質を含む正極層を備えていてもよい。このような正極層は、例えば特開2012−146512号公報や特開2013−105708号公報に開示されている。
上記実施形態において、リチウムイオン電池10は、配向正極板12、固体電解質層14及び負極層16によって構成される単位電池を一つだけ備えることとしたが、二つ以上の単位電池を備えていてもよい。リチウムイオン電池10が二つ以上の単位電池を備える場合、単位電池同士は並列接続されてもよいし、直列接続されてもよい。
上記実施形態において、負極層16は、固体電解質層14に直接接合されることとしたが、負極層16と固体電解質層14の間に中間層が介挿されていてもよい。このような中間層は、リチウムと合金化可能な金属を含むことが好ましい。リチウムと合金化可能な金属としては、Al(アルミニウム)、Si(シリコン)、Zn(亜鉛)、Ga(ガリウム)、Ge(ゲルマニウム)、Ag(銀)、Au(金)、Pt(白金)、Cd(カドミウム)、In(インジウム)、Sn(スズ)、Sb(アンチモン)、Pb(鉛)、及びBi(ビスマス)の群から選択される少なくとも一種を用いることができる。リチウムと合金化可能な金属としては、Au(金)、In(インジウム)、Si(シリコン)、Sn(スズ)、Zn(亜鉛)、及びAl(アルミニウム)の群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。リチウムと合金化可能な金属は、MgSiやMgSnなどの二種以上の元素を含む合金であってもよい。中間層の厚さは特に制限されないが、5nm以上とすることができる。
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
(サンプルNo.1の作製)
1.配向正極板の作製
まず、Co原料粉末(体積基準D50粒径0.3μm、正同化学工業株式会社製)に10wt%の割合でBi(体積基準D50粒径0.3μm、太陽鉱工株式会社製)を添加した混合粉末を得た。
次に、この混合粉末100重量部と、分散媒(トルエン:イソプロパノール=1:1)100重量部と、バインダー(ポリビニルブチラール:品番BM−2、積水化学工業株式会社製)10重量部と、可塑剤(DOP:ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、黒金化成株式会社製)4重量部と、分散剤(製品名レオドールSP−O30、花王株式会社製)2重量部とを混合した混合物を得た。この混合物を減圧下での撹拌によって脱泡するとともに、4000cPの粘度に調製した。なお、調製時の粘度をブルックフィールド社製のLVT型粘度計で測定した。
次に、上記の調製で得られたスラリーをドクターブレード法によってPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムの上に供給して乾燥し、乾燥後の厚さが24μmとなるようにシート状に成形することによって、未焼成のグリーンシートを作製した。
次に、上記PETフィルムから剥がしたグリーンシートを切り出し、突起の大きさが300μmのエンボス加工が施されたジルコニア製セッター(寸法90mm角、高さ1mm)の中央に載置し、1300℃で5時間焼成後、降温速度50℃/hにて降温し、セッターに溶着していない部分をCo配向焼成板として取り出した。
次に、LiOH・HO粉末(和光純薬工業株式会社製)をジェットミルで1μm以下に粉砕し、エタノールに分散したスラリーを作製した。このスラリーを上記Co配向焼成板にLi/Co=1.3になるように塗布し、乾燥した。その後、この乾燥体を大気中にて840℃で10時間加熱処理してCo配向焼成板にリチウムを導入することによって、LiCoOからなる厚さ24μmのコバルト酸リチウム配向焼結板(寸法10.5mm角、厚さ45μm)を配向正極板として得た。
2.リチウムイオン電池の作製
導電性カーボンを分散させたエポキシ系の導電性接着剤を用いて、上記コバルト酸リチウム配向焼結板の第2主面側を正極外装材としてのステンレス集電板に固定した。
サンプルNo.1では、コバルト酸リチウム配向焼結板の第2主面のうち外縁を除く中央部のみに導電性接着剤(寸法9mm角、厚さ30μm)を配置した。
次に、直径4インチ(約10cm)のリン酸リチウム焼結体ターゲットを準備した。このターゲットに対して、スパッタリング装置(キャノンアネルバ製、SPF−430H)を用いてRFマグネトロン方式にてガス種Nを0.2Pa、出力0.2kWの条件にて衝突させた。これによって、配向正極板上に、膜厚3.5μmのLiPON系固体電解質スパッタ膜を固体電解質層として形成した。そして、固体電解質スパッタ膜が、配向正極板の第1主面の全面と側面の全周と第2主面の外縁の全周とを覆っていることを確認した。
次に、リチウム金属を載せたタングステンボートを準備した。そして、真空蒸着装置(サンユー電子製、カーボンコーターSVC−700)を用いて抵抗加熱によりLiを蒸発させることで固体電解質スパッタ膜の表面に薄膜を蒸着した。こうして、固体電解質スパッタ膜上に膜厚10μmのLi蒸着膜を負極層として形成した。
次に、ステンレス集電板上に変性ポリプロピレン樹脂フィルムを積層することによって、単位電池を取り囲む封止部を形成した。
そして、単電池の負極層上に負極外装材としてのステンレス集電板を積層し、200℃のホットプレートを使用して加熱圧着した。以上によって、リチウムイオン電池が完成した。
(サンプルNo.2の作製)
硫化物系セラミックス材料の一つであるLiS−Pを用いた溶媒蒸発法によって、配向正極板上に膜厚50μmのLiS−P系固体電解質コーティング膜を固体電解質層として形成した以外は、サンプルNo.1と同じ工程にてリチウムイオン電池を作製した。
(サンプルNo.3の作製)
コバルト酸リチウム配向焼結板の第2主面のうち外縁を含む全面に導電性接着剤(寸法10.5mm角、厚さ30μm)を配置した以外は、サンプルNo.1と同じ工程にてリチウムイオン電池を作製した。サンプルNo.3では、固体電解質スパッタ膜が、配向正極板の第1主面の全面と側面の全周とを覆っており、第2主面の外縁を覆っていないことを確認した。
(3)電池評価
サンプルNo.1〜3のリチウムイオン電池について、以下の充放電サイクルa〜fを25℃で50サイクル繰り返した。
a.0.2Cレートの電流値で電池電圧が4.2Vとなるまで定電流充電する。
b.電池電圧を4.2Vに維持する電流条件で、その電流値が1/20に低下するまで定電圧充電した後10分間休止する。
c.0.2Cレートの電流値で電池電圧が3.0Vになるまで定電流放電した後10分間休止する。
d.0.2Cレートの電流値で電池電圧が4.2Vとなるまで定電流充電する。
e.電池電圧を4.2Vに維持する電流条件で、その電流値が1/20に低下するまで定電圧充電した後10分間休止する。
f.0.2Cレートの電流値で電池電圧が3.0Vになるまで定電流放電した後10分間休止する。
そして、50サイクル繰り返した後、50サイクル目の放電容量と1サイクル目の放電容量の比をサイクル容量維持率として算出した。各サンプルのサイクル容量維持率を表1に示す。
Figure 2017135100
表1に示すように、固体電解質層を第2主面側まで回り込ませることによって保持部を形成したサンプルNo.1,2では、固体電解質層を第2主面側まで回り込ませなかったサンプルNo.3に比べてサイクル特性を向上させることができた。これは、固体電解質層の保持部で配向正極板を挟み込むことによって、充放電に伴って膨張収縮する配向正極板と固体電解質層の界面に発生する応力を低減できた結果、固体電解質層が配向正極板から剥離することを抑制できたためである。
10 リチウムイオン電池
12 配向正極板(正極層の一例)
S1 第1主面
S2 第2主面
S3 第3主面
14 固体電解質層
30 本体部
40 保持部
41 第1部分
42 第2部分
16 負極層
18 導電性接着剤層
20 正極外装材
22 負極外装材
24 封止部
40a 第1保持部
40b 第2保持部

Claims (9)

  1. 第1主面と、第2主面と、前記第1主面と前記第2主面に連なる側面とを有する正極層と、
    負極層と、
    前記正極層と前記負極層の間に配置される固体電解質層と、
    を備え、
    前記固体電解質層は、
    前記第1主面の略全面を覆う本体部と、
    前記本体部と一体的に設けられ、前記側面の少なくとも一部と前記第2主面の一部とを覆う保持部と、
    を有する、
    リチウムイオン電池。
  2. 前記保持部は、前記側面の略全周と前記第2主面のうち外縁の略全周とを覆う、
    請求項1に記載のリチウムイオン電池。
  3. 前記保持部は、前記側面の一部と前記第2主面のうち外縁の一部とをそれぞれ覆う第1保持部及び第2保持部を含む、
    請求項1に記載のリチウムイオン電池。
  4. 前記第2主面の平面視において、前記第2主面の中央で直交する2本の直線によって第1乃至第4象限を規定した場合、前記第1保持部の少なくとも一部は第1象限に位置し、前記第2保持部の少なくとも一部は第3象限に位置する、
    請求項3に記載のリチウムイオン電池。
  5. 前記保持部は、前記側面上に配置される第1部分と、前記第2主面上に配置される第2部分とを含み、
    前記第2部分の厚みは、前記本体部の厚みよりも厚い、
    請求項1乃至4のいずれかに記載のリチウムイオン電池。
  6. 前記保持部は、前記側面上に配置される第1部分と、前記第2主面上に配置される第2部分とを含み、
    前記第2部分の厚みは、前記本体部の厚みよりも薄い、
    請求項1乃至4のいずれかに記載のリチウムイオン電池。
  7. 前記正極層は、焼結体である、
    請求項1乃至6のいずれかに記載のリチウムイオン電池。
  8. 前記正極層は、配向された複数のリチウム遷移金属酸化物粒子によって構成される、
    請求項1乃至7のいずれかに記載のリチウムイオン電池。
  9. 前記固体電解質層は、酸化物系セラミックス材料または硫化物系セラミックス材料によって構成される、
    請求項1乃至8のいずれかに記載のリチウムイオン電池。
JP2016239390A 2016-01-21 2016-12-09 リチウムイオン電池 Pending JP2017135100A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016009754 2016-01-21
JP2016009754 2016-01-21

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017135100A true JP2017135100A (ja) 2017-08-03

Family

ID=59504385

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016239390A Pending JP2017135100A (ja) 2016-01-21 2016-12-09 リチウムイオン電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017135100A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016098166A (ja) * 2014-11-26 2016-05-30 株式会社Flosfia 結晶成長用基板、結晶性積層構造体およびそれらの製造方法ならびにエピタキシャル成長方法
JP7386060B2 (ja) 2019-11-26 2023-11-24 日産自動車株式会社 全固体電池

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016098166A (ja) * 2014-11-26 2016-05-30 株式会社Flosfia 結晶成長用基板、結晶性積層構造体およびそれらの製造方法ならびにエピタキシャル成長方法
JP7386060B2 (ja) 2019-11-26 2023-11-24 日産自動車株式会社 全固体電池

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6646666B2 (ja) 全固体リチウム電池
JP6779221B2 (ja) 全固体リチウム電池
JP6480079B2 (ja) 板状リチウム複合酸化物
US20170373300A1 (en) All solid state lithium battery
JP6277079B2 (ja) 全固体リチウム電池
JP7009390B2 (ja) リチウムイオン電池及びその製造方法
JP6906522B2 (ja) 全固体リチウム電池
JP6914285B2 (ja) リチウムイオン電池
WO2018025649A1 (ja) 全固体リチウム電池
US20200106131A1 (en) Solid electrolyte and all solid state battery
JP2017054792A (ja) リチウム電池
JP6906523B2 (ja) 全固体リチウム電池の使用方法
JP6433086B2 (ja) 全固体リチウム電池
WO2017065034A1 (ja) 全固体リチウム電池の製造方法
JP6483919B2 (ja) 正極
JP6430065B2 (ja) 正極の製造方法
JP2017054761A (ja) 全固体リチウム電池の検査方法及び全固体リチウム電池の製造方法
JP2017135100A (ja) リチウムイオン電池
WO2014050572A1 (ja) 全固体リチウムイオン二次電池の製造方法