JP6277079B2 - 全固体リチウム電池 - Google Patents

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Description

本発明は、全固体リチウム電池に関するものである。
近年、パーソナルコンピュータ、携帯電話等のポータブル機器の開発に伴い、その電源としての電池の需要が大幅に拡大している。このような用途に用いられる電池においては、イオンを移動させる媒体として、希釈溶媒に可燃性の有機溶媒を用いた有機溶媒等の液体の電解質(電解液)が従来使用されている。このような電解液を用いた電池においては、電解液の漏液や、発火、爆発等の問題を生ずる可能性がある。
このような問題を解消すべく、本質的な安全性確保のために、液体の電解質に代えて固体電解質を使用するとともに、その他の要素の全てを固体で構成した全固体電池の開発が進められている。このような全固体電池は、電解質が固体であることから、発火の心配が少なく、漏液せず、また、腐食による電池性能の劣化等の問題も生じ難い。
例えば、特許文献1(特開2013−105708号公報)には、コバルト酸リチウム(LiCoO)からなる正極層と、金属リチウムからなる負極層と、リン酸リチウムオキシナイトライドガラス電解質(LiPON)で形成されうる固体電解質層とを備えた薄膜リチウム二次電池が開示されており、正極層がスパッタリングにより形成され、その厚さは1〜15μmの範囲であることが記載されている。また、正極をより厚くして容量の向上を試みた全固体電池も提案されている。例えば、特許文献2(特表2009−516359号公報)には、厚さが約4μmより大きく約200μm未満の正極と、厚さ約10μm未満の固体電解質と、厚さ約30μm未満の負極とを有する全固体電池が開示されている。これらの文献には正極活物質を配向させたとの記載は見受けられない。
一方、リチウム複合酸化物の配向焼結体板が提案されている。例えば、特許文献3(特開2012−009193号公報)及び特許文献4(特開2012−009194号公報)には、層状岩塩構造を有し、X線回折における、(104)面による回折強度に対する(003)面による回折強度の比率[003]/[104]が2以下である、リチウム複合酸化物焼結体板が開示されている。また、特許文献5(特許第4745463号公報)には、一般式:Li(Ni,Co,Al)O(式中、0.9≦p≦1.3、0.6<x≦0.9、0.1<y≦0.3、0≦z≦0.2、x+y+z=1)で表され、層状岩塩構造を有する板状粒子が開示されており、(003)面が粒子の板面と交差するように配向されることが記載されている。
また、リチウムイオン伝導性を有する固体電解質として、LiLaZr12に代表されるLi−La−Zr−O系複合酸化物(以下、LLZという)の組成を有するガーネット型のセラミックス材料が注目されている。例えば、特許文献6(特開2011−051800号公報)には、LLZの基本元素であるLi,La及びZrに加えてAlを加えることで、緻密性やリチウムイオン伝導率を向上できることが開示されている。特許文献7(特開2011−073962号公報)には、LLZの基本元素であるLi、La及びZrに加えてNb及び/又はTaを加えることで、リチウムイオン伝導率を更に向上できることが開示されている。特許文献8(特開2011−073963号公報)には、Li、La、Zr及びAlを含み、Laに対するLiのモル比を2.0〜2.5とすることで、緻密性を更に向上できることが開示されている。
ところで、全固体リチウム電池において、電池構成部材を封着材で封止して耐湿性を向上し、それにより電池性能を向上させる手法が知られている。例えば、特許文献9(特開2009−158476号公報)には、全固体リチウム二次電池素子の周囲を、軟化温度が350℃以下の低融点ガラスにより封止することを含む全固体リチウム二次電池の製造方法が提案されており、低融点ガラスとして、V,ZnO,BaOおよびTeOの4成分からなるガラスを用いるのが好ましいとされている。
特開2013−105708号公報 特表2009−516359号公報 特開2012−009193号公報 特開2012−009194号公報 特許第4745463号公報 特開2011−051800号公報 特開2011−073962号公報 特開2011−073963号公報 特開2009−158476号公報
しかしながら、特許文献9に開示される全固体リチウム電池は、電解質として非常に活性の高い硫黄系固体電解質を用いるものであり、しかも、電極層がそのような固体電解質と電極活物質との混合体で構成されている。このため、ガラス封着時の加熱によって電極活物質と固体電解質の反応が進んでしまい、所期の容量やサイクル特性が得られない(例えば充放電の繰り返しに伴い放電容量が低下する)という問題がある。
本発明者らは、今般、全固体リチウム電池において、配向多結晶体で構成される正極板を用い、かつ、正極板の厚さ、正極板の配向度、及び正極板の厚さtと負極層の厚さtの比率t/tを所定範囲内に制御することで、容量及びエネルギー密度のみならず耐湿性の向上にも適した構成でありながら、充放電の繰り返しに伴う電池特性の劣化(特に放電容量の低下)を有意に抑制できるとの知見を得た。
したがって、本発明の目的は、容量及びエネルギー密度のみならず耐湿性の向上にも適した構成でありながら、充放電の繰り返しに伴う電池特性の劣化(特に放電容量の低下)を有意に抑制できる全固体リチウム電池を提供することにある。
本発明の一態様によれば、複数のリチウム遷移金属酸化物粒子が配向されてなる配向多結晶体で構成される正極板と、
前記正極板上に設けられ、リチウムイオン伝導材料で構成される固体電解質層と、
前記固体電解質層上に設けられる負極層と、
前記正極板の外側を被覆し、正極集電体としても機能する金属製の正極外装材と、
前記負極層の外側を被覆し、負極集電体としても機能する金属製の負極外装材と、
前記正極外装材及び前記負極外装材で被覆されていない、前記正極板、前記固体電解質層及び前記負極層の露出部分を封止する、封着材で構成される封止部と、
を備えてなる、全固体リチウム電池であって、
前記正極板の厚さが15〜60μmであり、前記正極板の厚さtと前記負極層の厚さtの比率が1≦t/t≦15であり、
前記配向多結晶体が10%以上の配向度を有する、全固体リチウム電池が提供される。
本発明の全固体リチウム電池の一例を示す模式断面図である。 実施例で用いたエアロゾルデポジション(AD)成膜装置の構成を示す概略模式図である。
全固体リチウム電池
図1に本発明による全固体リチウム電池の一例を模式的に示す。図1に示される全固体リチウム電池10は、正極板12、固体電解質層14、負極層16、正極外装材13、負極外装材17及び封止部18を備えてなる。正極板12は、複数のリチウム遷移金属酸化物粒子が配向されてなる配向多結晶体で構成される。固体電解質層14は、正極板12上に設けられ、リチウムイオン伝導材料で構成される。負極層16は、固体電解質層14上に設けられる。正極外装材13は、正極板12の外側を被覆し、正極集電体としても機能する金属製の部材である。負極外装材17は、負極層16の外側を被覆し、負極集電体としても機能する金属製の部材である。封止部18は、正極外装材13及び負極外装材17で被覆されていない、正極板12、固体電解質層14及び負極層16の露出部分を封止する、封着材で構成される部分である。そして、正極板12の厚さが15〜60μmであり、正極板12の厚さtと負極層16の厚さtの比率が1≦t/t≦15であり、配向多結晶体が10%以上の配向度を有する。このような構成の全固体リチウム電池によれば、容量及びエネルギー密度のみならず耐湿性の向上にも適した構成でありながら、充放電の繰り返しに伴う電池特性の劣化(特に放電容量の低下)を有意に抑制することができる。
正極板12及び固体電解質層14の各組成は、例えば特許文献3〜8で述べられるように、電池特性の向上をもたらすことが知られたものではあるが、本発明にあっては、正極板12を配向多結晶体で構成し、なおかつその厚さを15μm以上と厚くする。この点、特許文献1及び2のように配向を狙うことなく厚さ10μm以上にした正極層は知られているが、正極層を単に厚く形成しただけでは、期待したほど容量及びエネルギー密度の増加が得られない。これは、正極活物質が配向されていない従来型の正極層の場合、厚い正極層の厚さ全体にわたった高効率なリチウムイオンの脱挿入がしづらいためであると考えられる。例えば、厚い正極層の固体電解質から離れた側に存在するリチウムを十分に取り出せないことが起こりうる。この点、本発明に用いる正極板12は一定の方向に配向された複数のリチウム遷移金属酸化物粒子からなる配向多結晶体であるため、正極活物質を厚く設けても、正極板の厚さ全体にわたった高効率なリチウムイオンの脱挿入がしやすく、厚い正極活物質によってもたらされる容量向上効果を最大限に引き出すことができる。例えば、厚い正極板の固体電解質から離れた側に存在するリチウムも十分に取り出すことができる。かかる容量の向上によって、全固体電池のエネルギー密度をも大いに向上することができる。すなわち、本発明の全固体リチウム電池によれば、容量及びエネルギー密度の高い電池性能が得られる。したがって、比較的薄型ないし小型でありながらも、高い容量と高いエネルギー密度を有する安全性が高い全固体電池を実現することができる。特に、正極板12はセラミックス焼結体で構成できるため、スパッタリング等の気相法により形成される膜と比べて厚く形成しやすいとともに、原料粉末の秤量を厳密に行うことで組成を正確に制御しやすいとの利点もある。
その上、封止部18を設けて、正極外装材13及び負極外装材17で被覆されていない、正極板12、固体電解質層14及び負極層16の露出部分を封止することで、優れた耐湿性(望ましくは高温における耐湿性)を確保することができる。それにより、全固体リチウム電池10内への望ましくない水分の侵入を効果的に阻止して電池特性を向上できる。それにもかかわらず、特許文献9に開示されるような、電極層が電極活物質と(非常に活性の高い)硫黄系固体電解質との混合体で構成される全固体リチウム電池において、ガラス封着時の加熱によって電極活物質と固体電解質の反応が進んでしまい、所期の容量やサイクル特性が得られない(例えば充放電の繰り返しに伴い放電容量が低下する)という問題があったのは前述したとおりである。この点、硫黄系以外の固体電解質を用いたり、ガラス封着のような比較的高温での接合を必要とする封着材の使用を回避したり、電極の厚みを厚くしたりすることで、上述の問題は解決しそうに思われたが、実際にはそうではないことを本発明者らは知見した。そこで、正極板の厚さ、正極板の配向度、及び正極板の厚さtと負極層の厚さtの比率t/tを所定範囲内に制御することが重要であることを本発明者らは見出した。具体的には、本発明の全固体リチウム電池10は、正極板12の厚さが15〜60μmであり、正極板12の厚さtと負極層16の厚さtの比率が1≦t/t≦15であり、配向多結晶体が10%以上の配向度を有する。これらの諸条件を満たすことで、予想外にも、充放電の繰り返しに伴う電池特性の劣化(特に放電容量の低下)を有意に抑制することができる。このメカニズムは定かではないが、上記諸条件の制御に伴い様々な要因が好都合に作用したものと考えられる。
正極板
正極板12は、複数のリチウム遷移金属酸化物粒子が配向されてなる配向多結晶体で構成される。すなわち、正極板12ないし配向多結晶体を構成する粒子はリチウム遷移金属酸化物で構成される。リチウム遷移金属酸化物は、層状岩塩構造又はスピネル構造を有するのが好ましく、より好ましくは層状岩塩構造を有する。層状岩塩構造は、リチウムイオンの吸蔵により酸化還元電位が低下し、リチウムイオンの脱離により酸化還元電位が上昇する性質がある。ここで、層状岩塩構造とは、リチウム以外の遷移金属系層とリチウム層とが酸素原子の層を挟んで交互に積層された結晶構造、すなわち、リチウム以外の遷移金属等のイオン層とリチウムイオン層とが酸化物イオンを挟んで交互に積層された結晶構造(典型的にはα−NaFeO型構造:立方晶岩塩型構造の[111]軸方向に遷移金属とリチウムとが規則配列した構造)をいう。層状岩塩構造を有するリチウム−遷移金属系複合酸化物の典型例としては、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル・マンガン酸リチウム、ニッケル・コバルト酸リチウム、コバルト・ニッケル・マンガン酸リチウム、コバルト・マンガン酸リチウム等が挙げられ、これらの材料に、Mg,Al,Si,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Cu,Zn,Ga,Ge,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Ag,Sn,Sb,Te,Ba,Bi等の元素が1種以上更に含まれていてもよい。
すなわち、リチウム遷移金属酸化物粒子は、LiM1O又はLi(M1,M2)O(式中、0.5<x<1.10、M1はNi,Mn及びCoからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素、M2はMg,Al,Si,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Cu,Zn,Ga,Ge,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Ag,Sn,Sb,Te,Ba及びBiからなる群から選択される少なくとも一種の元素である)で表される組成を有するのが好ましく、より好ましくはLi(M1,M2)Oで表され、M1がNi及びCoであり、M2はMg、Al及びZrからなる群から選択される少なくとも一種である組成であり、さらに好ましくはLi(M1,M2)Oで表され、M1がNi及びCoであり、M2がAlである。M1及びM2の合計量に占めるNiの割合が原子比で0.6以上であるのが好ましい。このような組成はいずれも層状岩塩構造を採ることができる。なお、M1がNi及びCoであり、M2がAlである、Li(Ni,Co,Al)O系組成のセラミックスはNCAセラミックスと称されることがある。特に好ましいNCAセラミックスは、一般式:Li(Ni,Co,Al)O(式中、0.9≦p≦1.3、0.6<x≦0.9、0.1<y≦0.3、0≦z≦0.2、x+y+z=1)で表され、層状岩塩構造を有するものである。また、組成がLiM1Oで表され、M1がNi,Mn及びCoであるか、又はM1がCoであるLiM1Oで表され、M1がNi,Mn及びCoであるか、又はM1がCoである組成を有するリチウム遷移金属酸化物も好ましい。
前述のとおり、正極板12は、複数のリチウム遷移金属酸化物粒子からなる配向多結晶体からなる。この配向多結晶体は、一定の方向に配向された複数のリチウム遷移金属酸化物粒子からなるのが好ましい。この一定の方向は、リチウムイオンの伝導方向であるのが好ましく、典型的には、正極板12を構成する各粒子の特定の結晶面が正極板12から負極層16に向かう方向に配向されてなる。リチウム遷移金属酸化物粒子は、厚さが2〜100μm程度の板状に形成された粒子が好ましい。特に、上述の特定の結晶面が(003)面であり、該(003)面が正極板12から負極層16に向かう方向に配向されていることが好ましい。これにより、リチウムイオンの正極板12に対する脱挿入の際の抵抗にならず、高入力時(充電時)に、多くのリチウムイオンを放出することができ、高出力時(放電時)に、多くのリチウムイオンを受け入れることができる。(003)面以外の例えば(101)面や(104)面は、正極板12の板面に沿うように配向させてもよい。上述の粒子や配向多結晶体の詳細については、特許文献3〜5を参照することができ、これらの文献の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
配向多結晶体は10%以上、好ましくは15〜95%、例えば15〜85%の配向度を有する。より具体的には、配向度は、下限値に関して、10%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上、特に好ましくは50%以上である。また、配向度の上限は特に限定されるべきではないが、例えば、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、又は70%以下でありうる。なお、この配向度は、正極板12の板面を試料面とし、XRD装置(例えば、株式会社リガク製、TTR−III)を用いて、X線回折を2θで10°から70°の範囲を2°/min、ステップ幅0.02°の条件で行い、得られたXRDプロファイルをロットゲーリング法に従い下記式に基づいて配向度を算出すればよい。
Figure 0006277079
(上記式中、Iは正極板試料の回折強度であり、Iは無配向の参照試料の回折強度である。(HKL)は配向度を評価したい回折線であり、(00l)(lは例えば3、6及び9である)以外の回折線に相当にする。(hkl)は全ての回折線に相当する。)
なお、この無配向の参照試料は、無配向であること以外は正極板試料と同様の構成の試料であり、例えば正極板試料を乳鉢で粉砕して無配向状態にすることで得ることができる。また、上記式において、(HKL)に関して、(00l)の回折線が除かれているのは、この回折線に相当する面(例えば(003)面)はその面内方向(当該面と平行方向)にしかリチウムイオンが移動できないため、当該面が正極板12の板面に沿って配向されているとリチウムイオンの移動が妨げられるからである。したがって、複数のリチウム遷移金属酸化物粒子が、該粒子の特定の結晶面が正極板の板面と交差するような方向に配向されているのが好ましい。特に、リチウム遷移金属酸化物粒子が層状岩塩構造を有し、上記特定の結晶面が(003)面である、すなわち層状岩塩構造の(003)面が正極板12の板面と交差するような方向に配向されてなるのが好ましい。すなわち、この正極板12の板面と交差するような方向がリチウムイオンの伝導方向であり、この構成によれば、正極板12を構成する各粒子の(003)面が正極板12から負極層16に向かう方向に配向されることになる。
正極板12の厚さは15〜60μm、より好ましくは20〜40μmであるが、正極板12の厚さtと負極層16の厚さtの比率t/tが1〜15、より好ましくは2〜6となるようにする。前述したとおり、正極板12を構成する配向多結晶体は、無配向の多結晶体よりも、厚くするのに適している。上記条件を満たす厚さであると、単位面積当りの活物質容量を高くすることができるだけでなく、充放電の繰り返しに伴う電池特性の劣化(特に放電容量の低下)を有意に抑制することができる。
正極板12はシート状に形成されるのが好ましい。このシート状に形成された正極活物質(以下、正極活物質シートという)の好ましい製造方法については後述する。なお、1枚の正極活物質シートで正極板12を構成してもよいし、正極活物質シートを分割して得られた複数個の小片を層状に配列させて正極板12を構成してもよい。
正極板12を構成する配向多結晶体は75〜99.97%の相対密度を有するのが好ましく、より好ましくは80〜99.95%、さらに好ましくは90〜99.90%、特に好ましくは95〜99.88%、最も好ましくは97〜99.85%の相対密度を有する。容量及びエネルギー密度の観点から相対密度は基本的には高い方が望ましいが、上記範囲内であると充放電の繰り返しによっても抵抗値が上昇しにくい。これは上記相対密度であるとリチウムの脱挿入に伴い正極板12が適度に膨張収縮でき、それにより応力を緩和できるためではないかと考えられる。
固体電解質層
固体電解質層14を構成するリチウムイオン伝導材料は、ガーネット系セラミックス材料、窒化物系セラミックス材料、ペロブスカイト系セラミックス材料、リン酸系セラミックス材料、硫化物系セラミックス材料、又は高分子系材料で構成されるのが好ましく、より好ましくは、ガーネット系セラミックス材料、窒化物系セラミックス材料、ペロブスカイト系セラミックス材料、及びリン酸系セラミックス材料からなる群から選択される少なくとも一種である。ガーネット系セラミックス材料の例としては、Li−La−Zr−O系材料(具体的には、LiLaZr12など)、Li−La−Ta−O系材料(具体的には、LiLaTa12など)が挙げられる。窒化物系セラミックス材料の例としては、LiN。ペロブスカイト系セラミックス材料の例としては、Li−La−Zr−O系材料(具体的には、LiLa1−xTi(0.04≦x≦0.14)など)が挙げられる。リン酸系セラミックス材料の例としては、リン酸リチウム、窒素置換リン酸リチウム(LiPON)、Li−Al−Ti−P−O,Li−Al−Ge−P−O、及びLi−Al−Ti−Si−P−O(具体的には、Li1+x+yAlTi2−xSi3−y12(0≦x≦0.4、0<y≦0.6)など)が挙げられる。
固体電解質層14を構成するリチウムイオン伝導材料が、Li−La−Zr−O系セラミックス材料及び/又はリン酸リチウムオキシナイトライド(LiPON)系セラミックス材料で構成されるのが特に好ましい。Li−La−Zr−O系材料は、Li、La、Zr及びOを含んで構成されるガーネット型又はガーネット型類似の結晶構造を有する酸化物焼結体であり、具体的には、LiLaZr12などのガーネット系セラミックス材料である。このような材料としては、特許文献6〜8に記載されるものも用いることができ、これらの文献の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。ガーネット系セラミックス材料は、負極リチウムと直接接触しても反応が起きないリチウムイオン伝導材料であるが、とりわけ、Li、La、Zr及びOを含んで構成されるガーネット型又はガーネット型類似の結晶構造を有する酸化物焼結体が、焼結性に優れて緻密化しやすく、かつ、イオン伝導率も高い。この種の組成のガーネット型又はガーネット型類似の結晶構造はLLZ結晶構造と呼ばれ、CSD(Cambridge Structural Database)のX線回折ファイルNo.422259(LiLaZr12)に類似のXRDパターンを有する。なお、No.422259と比較すると構成元素が異なり、またセラミックス中のLi濃度などが異なる可能性があるため、回折角度や回折強度比が異なる場合もある。Laに対するLiのモル数の比Li/Laは2.0以上2.5以下であることが好ましく、Laに対するZrのモル比Zr/Laは0.5以上0.67以下であるのが好ましい。このガーネット型又はガーネット型類似の結晶構造はNb及び/又はTaをさらに含んで構成されるものであってもよい。すなわち、LLZのZrの一部がNb及びTaのいずれか一方又は双方で置換されることにより、置換前に比べて伝導率を向上させることができる。ZrのNb及び/又はTaによる置換量(モル比)は、(Nb+Ta)/Laのモル比が0.03以上0.20以下となる量にすることが好ましい。また、このガーネット系酸化物焼結体はAlをさらに含んでいるのが好ましく、これらの元素は結晶格子に存在してもよいし、結晶格子以外に存在していてもよい。Alの添加量は焼結体の0.01〜1質量%とするのが好ましく、Laに対するAlのモル比Al/Laは、0.008〜0.12であるのが好ましい。このようなLLZ系セラミックスの製造は、特許文献6〜8に記載されるような公知の手法に従って又はそれを適宜修正することにより行うことができ、これらの文献の開示内容は本明細書に参照により組み込まれる。また、リン酸リチウムオキシナイトライド(LiPON)系セラミックス材料も好ましい。LiPONは、Li2.9PO3.30.46の組成によって代表されるような化合物群であり、例えばLiPO(式中、aは2〜4、bは3〜5、cは0.1〜0.9である)で表される化合物群である。
固体電解質層14の寸法は特に限定されないが、厚さは充放電レート特性と機械的強度の観点から、0.0005mm〜0.5mmが好ましく、より好ましくは0.001mm〜0.1mm、さらに好ましくは0.005〜0.05mmである。
固体電解質層14の形成方法としては、各種パーティクルジェットコーティング法、固相法、溶液法、気相法、直接接合(ダイレクトボンディング)法を用いることができる。パーティクルジェットコーティング法の例としては、エアロゾルデポジション(AD)法、ガスデポジション(GD)法、パウダージェットデポジション(PJD)法、コールドスプレー(CS)法、溶射法等がある。中でも、エアロゾルデポジション(AD)法は、常温成膜が可能であることから、プロセス中の組成ズレや、正極板との反応による高抵抗層の形成がなく特に好ましい。固相法の例としては、テープ積層法、印刷法等がある。中でも、テープ積層法は固体電解質層14を薄く形成することが可能であり、また、厚さの制御が容易であることから好ましい。溶液法の例としては、ソルボサーマル法、水熱合成法、ゾルゲル法、沈殿法、マイクロエマルション法、溶媒蒸発法等がある。これらの方法の中でも、水熱合成法は、低温で結晶性の高い結晶粒を得やすい点で特に好ましい。また、これらの方法を用いて合成した微結晶を、正極上に堆積させてもよいし、正極上に直接析出させてもよい。気相法の例としては、レーザー堆積(PLD)法、スパッタ法、蒸発凝縮(PVD)法、気相反応法(CVD)法、真空蒸着法、分子線エピタキシ(MBE)法等がある。この中でも、レーザー堆積(PLD)法は組成ズレが少なく、比較的結晶性の高い膜を得られやすく特に好ましい。直接接合(ダイレクトボンディング)法は、予め形成した固体電解質層14と正極板12の各々の表面を化学的に活性な状態にして、低温で接合する方法である。界面の活性化については、プラズマ等を用いてもよいし、水酸基等の官能基の化学修飾を用いてもよい。
正極板12と固体電解質層14の間の界面には界面抵抗を下げるための処理が施されていてもよい。例えば、そのような処理は、ニオブ酸化物、チタン酸化物、タングステン酸化物、タンタル酸化物、リチウム・ニッケル複合酸化物、リチウム・チタン複合酸化物、リチウム・ニオブ化合物、リチウム・タンタル化合物、リチウム・タングステン化合物、リチウム・チタン化合物、及びこれらの任意の組み合わせ若しくは複合酸化物で正極板12の表面及び/又は固体電解質層14の表面を被覆することにより行うことができる。このような処理によって正極板12と固体電解質層14の間の界面には被膜が存在しうることになるが、その被膜の厚さは例えば20nm以下といったような極めて薄いものである。
負極層
負極層16は負極活物質を含んでなり、この負極活物質は全固体リチウム電池に使用可能な公知各種の負極活物質であってよい。負極活物質の好ましい例としては、リチウム金属、リチウム合金、炭素質材料、チタン酸リチウム(LTO)等が挙げられる。好ましくは、負極層16は、固体電解質層14又は負極集電材15上に箔形態の負極活物質(例えばリチウム金属箔)を載置することにより作製してもよいし、あるいは固体電解質層14又は負極集電材15上にリチウム金属あるいはリチウムと合金化する金属の薄膜を真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法等で形成して、リチウム金属あるいはリチウムと合金化する金属の層を形成することにより作製することができる。
正極板12の厚さは15〜60μm、より好ましくは20〜40μmであるが、正極板12の厚さtと負極層16の厚さtの比率t/tが1〜15、より好ましくは2〜6となるようにする。前述したとおり、上記条件を満たす厚さであると、充放電の繰り返しに伴う電池特性の劣化(特に放電容量の低下)を有意に抑制することができる。
負極層16と固体電解質層14の間に中間層を介在させるのが好ましい。中間層の構成材料としては、リチウムと合金化する金属、酸化物系材料等を用いることができる。この場合、充放電サイクル特性を向上させることができる。リチウムと合金化する金属の例としては、Al(アルミニウム)、Si(シリコン)、Zn(亜鉛)、Ga(ガリウム)、Ge(ゲルマニウム)、Ag(銀)、Au(金)、Cd(カドミウム)、In(インジウム)、Sn(スズ)、Sb(アンチモン)、Pb(鉛)、Bi(ビスマス)、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。リチウムと合金化する金属は、MgSiやMgSn等の2種類以上の元素により構成された合金であってもよい。酸化物系材料の例としては、LiTi12、TiO、SiO等が挙げられる。中間層の形成は、エアロゾルデポジション(AD)法、パルスレーザー堆積(PLD)法、スパッタリング法等の公知の方法により行えばよい。
外装材
正極外装材13は、正極板12の外側を被覆し、正極集電体としても機能する金属製の部材である。負極外装材17は、負極層16の外側を被覆し、負極集電体としても機能する金属製の部材である。正極外装材13及び負極外装材17は同種又は異種の材料で構成されてよいが、好ましくは同種の材料で構成される。正極外装材13及び負極外装材17を構成する金属は、正極板12及び負極層16と反応しないものであれば特に限定されず、合金であってもよい。そのような金属の好ましい例としては、ステンレス、アルミニウム、銅、白金、ニッケルが挙げられ、より好ましくはステンレスである。正極外装材13及び負極外装材17は金属板又は金属箔であるのが好ましく、より好ましくは金属箔である。したがって、最も好ましい外装材はステンレス箔であるといえる。金属箔の好ましい厚さは1〜30μmであり、より好ましくは5〜25μm、さらに好ましくは10〜20μmである。
封止部
封止部18は封着材で構成される。封着材は、正極外装材13及び負極外装材17で被覆されていない、正極板12、固体電解質層14及び負極層16の露出部分を封止して優れた耐湿性(望ましくは高温における耐湿性)を確保可能なものであれば特に限定されない。もっとも、封着材は正極板12と負極層16の間の電気的絶縁性を確保することが望まれるのはいうまでもない。その意味で、封着材は1×10Ωcm以上の抵抗率を有するのが好ましく、より好ましくは1×10Ωcm以上であり、さらに好ましくは1×10Ωcm以上である。このような抵抗率であれば自己放電を有意に小さくすることができる。封止部18の幅(固体電解質層14の層面方向の厚さともいえる)は好ましくは0.5〜3mmであり、より好ましくは0.7〜2mmであり、さらに好ましくは1〜2mmである。
封着材は、ガラスを含んでなるガラス系封着材であるのが好ましい。ガラス系封着材は、V、Sn、Te、P、Bi、B、Zn及びPbからなる群から選択される少なくとも1種を含むのが、望ましい軟化温度及び熱膨張係数を得やすい点で好ましい、これらの元素はV、SnO、TeO、P、Bi、B、ZnO、及びPbOの形でガラス中に存在しうるのはいうまでもない。もっとも、ガラス系封着材は有害物質となりうるPbないしPbOを含まないのがより好ましい。ガラス系封着材は400℃以下の軟化温度を有するのが好ましく、より好ましくは370℃以下、さらに好ましくは350℃以下である。軟化温度は、下限値に関して特に限定されないが、例えば300℃以上、310℃以上又は320℃以上でありうる。いずれにしても、このように比較的低い軟化温度のガラス系封着材を用いることで、封止部18の形成を比較的低温で行うことができ、その結果、加熱を伴った封着に起因する電池の破壊や変質を効果的に防止することができる。また、ガラス系封着材は7×10−6/℃以上の熱膨張係数を有するのが好ましく、より好ましくは9×10−6〜20×10−6/℃、さらに好ましくは10×10−6〜19×10−6/℃、特に好ましくは12×10−6〜18×10−6/℃、最も好ましくは15×10−6〜18×10−6/℃である。これらの範囲内の熱膨張係数は金属の熱膨張係数に近いため、金属製の外装材(すなわち正極外装材13及び/又は負極外装材17)と封止部18の接合部における熱衝撃による破損を効果的に抑制することができる。上述した諸特性を満たすガラス系封着材は市販されている。例えば、AGCエレクトロニクス株式会社社から「POWDER GLASS」(AGCガラスフリット)及び「GLASS PASTE」(AGCガラスペースト)と称されて市販されている製品群、セントラル硝子株式会社から低融点ガラスペーストと称されて市販されているもの製品群、及び日立化成株式会社から「バニーテクト」と称されて市販されているバナジウム系低融点ガラスの製品群に上述した諸特性を満たすガラス系封着材を見つけることができる。
あるいは、封着材は、樹脂を含む樹脂系封着材であってもよい。この場合においても、封止部18の形成を比較的低温(例えば400℃以下)で行うことができ、その結果、加熱を伴った封着に起因する電池の破壊や変質を効果的に防止することができる。樹脂は7×10−6/℃以上の熱膨張係数を有するのが好ましく、より好ましくは9×10−6〜20×10−6/℃、さらに好ましくは10×10−6〜19×10−6/℃、特に好ましくは12×10−6〜18×10−6/℃、最も好ましくは15×10−6〜18×10−6/℃である。また、樹脂は絶縁性樹脂であるのが好ましい。絶縁性樹脂は、絶縁性を保持しつつ接合することが可能な樹脂(熱等で接着可能な接着性樹脂)であるのが好ましい。好ましい絶縁性樹脂の例としては、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、及びシリコン系樹脂等が挙げられる。変性ポリプロピレン樹脂及び変性ポリエチレン樹脂に代表される熱融着型で水分透過率の低い接着性樹脂が特に好ましい。絶縁性樹脂は、少なくとも1種又は複数種の積層体で構成されることができる。また、絶縁性樹脂の少なくとも1種として熱可塑性樹脂成形シートを用いてもよい。樹脂系封着材は、樹脂(好ましくは絶縁性樹脂)と無機材料の混合物からなるものであってもよい。そのような無機材料の好ましい例としては、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、マグネシア、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、タルクが挙げられ、より好ましくはシリカである。例えば、エポキシ樹脂とシリカの混合物からなる樹脂系封着材が好ましく例示される。
電池厚さ
全固体リチウム電池は、60〜5000μmの厚さを有するのが好ましく、より好ましくは、70〜4000μm、さらに好ましくは、80〜3000μm、特に好ましくは、90〜2000μm、最も好ましくは、100〜1000μmである。本発明によれば、正極板を比較的厚くできる一方、外装材で集電体を兼用するため電池全体の厚さを比較的薄く構成することができる。
正極活物質シートの製造方法
正極活物質シートの好ましい製造方法について以下に説明する。
(1)原料粒子の準備
原料粒子としては、合成後の組成が層状岩塩構造を有する正極活物質LiMOとなるように、Li、Co、Ni、Mn、Alなどの化合物の粒子を適宜混合したものが用いられる。あるいは、原料粒子として、LiMOの組成からなるもの(合成済みのもの)を用いることができる。
あるいは、必要に応じて、リチウム化合物を含まない原料粒子を用いてもよい。この場合、成形体の焼成工程の後、焼成された成形体とリチウム化合物とをさらに反応させることでLiMOが得られる。リチウムを含まない原料粒子としては、Co、Ni、Mn、Al等の各化合物の混合粒子((Co,Ni,Mn)O、(Co,Ni,Al)O、(Co,Ni,Mn)OH、(Co,Ni,Al)OH等の組成を有する混合粒子)等を用いることができる。好ましくは、少なくとも1種の金属化合物が、Co、Ni、Mn及びAlからなる群から選択される少なくとも1種の金属の、酸化物、水酸化物及び/又は炭酸塩である。また、これらの粒子は二種以上の金属化合物粒子の混合粉の形態でもよいし、共沈法により合成した複合化合物からなる粒子であってもよい。
粒成長を促進する、もしくは焼成中に揮発する分を補償する目的で、リチウム化合物を0.5〜30mol%過剰に入れてもよい。また、粒成長を促進する目的で、酸化ビスマスなどの低融点酸化物、ホウケイ酸ガラスなどの低融点ガラスを0.001〜30wt%添加してもよい。
(2)原料粒子の成形工程
原料粒子を、シート状の自立した成形体に成形する。すなわち、「自立した成形体」は、典型的には、それ単体でシート状の成形体の形状を保つことができるものである。なお、それ単体ではシート状の成形体の形状を保つことができないものであっても、何らかの基板上に貼り付けたり成膜したりして焼成前又は焼成後に、この基板から剥離したものも、「自立した成形体」に含まれる。
成形体の成形方法としては、例えば、原料粒子を含むスラリーを用いたドクターブレード法が用いられ得る。また、成形体の成形には、熱したドラム上へ原料を含むスラリーを塗布し、乾燥させたものをスクレイパーで掻きとる、ドラムドライヤーが用いられ得る。また、成形体の成形には、熱した円板面へスラリーを塗布し、これを乾燥させてスクレイパーで掻きとる、ディスクドライヤーを用いることもできる。また、スプレードライヤーの条件を適宜設定することで得られる中空の造粒体も、曲率をもったシート状成形体とみることができるので、成形体として好適に用いることができる。さらに、原料粒子を含む坏土を用いた押出成形法も成形体の成形方法として利用可能である。
ドクターブレード法を用いる場合、可撓性を有する板(例えばPETフィルムなどの有機ポリマー板など)にスラリーを塗布し、塗布したスラリーを乾燥固化して成形体とし、この成形体と板とを剥離することにより、板状多結晶粒子の焼成前の成形体を作製してもよい。成形前にスラリーや坏土を調製するときには、無機粒子を適当な分散媒に分散させ、バインダーや可塑剤などを適宜加えてもよい。また、スラリーは、粘度が500〜4000cPとなるように調製するのが好ましく、減圧化で脱泡するのが好ましい。
(3)成形体の焼成工程
この焼成工程においては、成形工程で得られた成形体は、例えば、成形されたそのままの状態(シート状態)で、セッターに載せて焼成される。あるいは、焼成工程は、シート状の成形体を適宜切断、破砕したものを、鞘に入れて焼成するものであってもよい。
原料粒子が合成前の混合粒子である場合は、この焼成工程において、合成、さらには、焼結及び粒成長が生じる。本発明では、成形体がシート状であるため、厚さ方向の粒成長が限られる。このため、成形体の厚さ方向に結晶粒が1個となるまで粒成長した後は、成形体の面内方向にのみ粒成長が進む。このとき、エネルギー的に安定な特定の結晶面がシート表面(板面)に広がる。したがって、特定の結晶面がシート表面(板面)と平行になるように配向した膜状のシート(自立膜)が得られる。
原料粒子をLiMOとした場合、リチウムイオンの出入りが良好に行われる結晶面である(101)面や(104)面を、シート表面(板面)に露出するように配向させることができる。一方、原料粒子を、リチウムを含まないもの(例えばスピネル構造のM)とした場合、リチウム化合物と反応させてLiMOとしたときに(104)面となる、(h00)面を、シート表面(板面)に露出するように配向させることができる。
焼成温度は、700℃〜1350℃が好ましい。700℃より低温では、粒成長が不十分で、配向度が低くなる。一方、1350℃より高温では、分解・揮発が進んでしまう。焼成時間は、1〜50時間の間とするのが好ましい。1時間より短いと、配向度が低くなる。一方、50時間より長いと、消費エネルギーが大きくなりすぎる。焼成雰囲気は、焼成中に分解が進まないように適宜設定される。リチウムの揮発が進むような場合は、炭酸リチウムなどを同じ鞘内に配置してリチウム雰囲気とすることが好ましい。焼成中に酸素の放出や、さらには還元が進むような場合、酸素分圧の高い雰囲気で焼成することが好ましい。
リチウム化合物を含まない原料粒子から、焼成により配向したシート得た場合、これとリチウム化合物(硝酸リチウムや炭酸リチウムなど)を反応させることで、リチウムイオンの出入りが良好に行われる結晶面が板面に露出するように配向した、正極活物質膜が得られる。例えば、配向シート硝酸リチウムを、LiとMとのモル比Li/Mが1以上となるようにふりかけて、熱処理することで、リチウム導入が行われる。ここで、熱処理温度は、600℃〜800℃が好ましい。600℃より低温では、反応が十分に進まない。900℃より高温では、配向性が低下する。
(好適組成の正極活物質シートの製造例)
Li(Ni,Co,Al)O又はLi(Ni,Co,Mn)O粒子を用いた正極活物質シートは、例えば、以下のようにして製造してもよい。先ず、NiO粉末とCo粉末とAlOOH又はMn粉末とを含有するグリーンシートを形成し、このグリーンシートを1000℃〜1400℃の範囲内の温度で、大気雰囲気で所定時間焼成することで、(h00)配向した多数の板状の(Ni,Co,Al)O又は(Ni,Co,Mn)O粒子からなる、独立した膜状のシート(自立膜)が形成される。ここで、助剤としてMnO、ZnO等を添加することにより、粒成長が促進され、結果として板状結晶粒子の(h00)配向性を高めることができる。ここで、「独立した」シートとは、焼成後に他の支持体から独立して単体で取り扱い可能なシートのことをいう。すなわち、「独立した」シートには、焼成により他の支持体(基板等)に固着されて当該支持体と一体化された(分離不能あるいは分離困難となった)ものは含まれない。このように自立膜状に形成されたグリーンシートにおいては、板面方向、すなわち、面内方向(厚さ方向と直交する方向)に比べて、厚さ方向に存在する材料の量がきわめて少ない。このため、厚さ方向に複数個の粒子がある初期段階には、ランダムな方向に粒成長する。一方、粒成長が進み厚さ方向の材料が消費されると、粒成長方向は面内の二次元方向に制限される。これにより、面方向への粒成長が確実に促進される。特に、グリーンシートの厚さが100μm程度もしくはそれ以上と比較的厚めであっても粒成長を可能な限り大きく促進したりすることで、面方向への粒成長がより確実に促進される。すなわち、表面エネルギーの低い面が板面方向、すなわち、面内方向(厚さ方向と直交する方向)と平行な粒子の面方向への粒成長が優先的に促進される。従って、上述のように膜状に形成されたグリーンシートを焼成することで、特定の結晶面が粒子の板面と平行となるように配向した薄板状の多数の粒子が、粒界部にて面方向に結合した自立膜が得られる。すなわち、実質的に厚さ方向についての結晶粒子の個数が1個となるような自立膜が形成される。ここで、「実質的に厚さ方向についての結晶粒子の個数が1個」の意義は、面方向に隣り合う結晶粒子の一部分(例えば端部)が厚さ方向に互いに重なり合うことを排除しない。この自立膜は、上述のような薄板状の多数の粒子が隙間なく結合した、緻密なセラミックスシートとなり得る。上述の工程によって得られた、(h00)配向した(Ni,Co,Al)O又は(Ni,Co,Mn)Oセラミックスシートと、硝酸リチウム(LiNO)とを混合して、所定時間加熱することで、(Ni,Co,Al)O又は(Ni,Co,Mn)O粒子にリチウムが導入される。これにより、(003)面が正極板12から負極層16の方向に配向し、(104)面が板面に沿って配向した膜状の正極板12用のLi(Ni,Co,Mn)Oシート又はLi(Ni,Co,Al)Oシートが得られる。
リチウムイオン伝導材料の製造方法
以下に固体電解質層14を構成するリチウムイオン伝導材料の代表例の一つである、Al添加LLZセラミックス焼結体の好ましい製造方法を説明する。
先ず、第1焼成工程にて、Li成分、La成分及びZr成分を含む原料を焼成して、LiとLaとZrと酸素を含むセラミックス合成用の一次焼成粉末を得る。その後、第2焼成工程において、第1焼成工程で得られた一次焼成粉末を焼成して、LiとLaとZrと酸素を含むガーネット型又はガーネット型類似の結晶構造を有するセラミックスを合成する。これにより、LLZ結晶構造を有し、且つ、アルミニウムを含有してハンドリング可能な焼結性(密度)及び伝導性を備えるセラミックス粉末又は焼結体を容易に得ることができる。
(Li成分、La成分及びZr成分)
これらの各種成分は、特に限定されないで、それぞれの金属成分を含む、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩等、各種金属塩を適宜選択して用いることができる。例えば、Li成分としてはLiCO又はLiOHを用い、La成分としてはLa(OH)又はLaを用い、Zr成分としてはZrOを用いることができる。なお、酸素は、通常、これら構成金属元素を含む化合物の一部を構成する元素として含まれている。セラミックス材料を得るための原料は、各Li成分、La成分及びZr成分等から固相反応等によりLLZ結晶構造が得られる程度にLi成分、La成分及びZr成分を含むことができる。Li成分、La成分及びZr成分は、LLZの化学量論組成に従えば、7:3:2あるいは組成比に近似した組成で用いることができる。Li成分の消失を考慮する場合には、Li成分は、LLZにおけるLiの化学量論に基づくモル比相当量よりも約10%増量した量を含み、La成分及びZr成分は、それぞれLLZモル比に相当する量となるように含有することができる。例えば、Li:La:Zrのモル比が7.7:3:2となるように、含有することができる。具体的な化合物を用いた場合のモル比としては、LiCO:La(OH):ZrOのとき、約3.85:約3:約2のモル比となり、LiCO:La:ZrOのとき、約3.85:約1.5:約2のモル比となり、LiOH:La(OH):ZrOのとき、約7.7:約3:約2となり、LiOH:La:ZrOのとき、約7.7:約1.5:約2となる。なお、原料粉末の調製にあたっては、公知のセラミックス粉末の合成における原料粉末調製方法を適宜採用することができる。例えば、ライカイ機等や適当なボールミル等に投入して均一に混合することができる。
(第1焼成工程)
第1焼成工程は、少なくともLi成分やLa成分等の熱分解を行い第2焼成工程でLLZ結晶構造を形成しやくするための一次焼成粉末を得る工程である。一次焼成粉末は、LLZ結晶構造をすでに有している場合もある。焼成温度は、好ましくは、850℃以上1150℃以下の温度である。第1焼成工程は、上記温度範囲内において、より低い加熱温度で加熱するステップとより高い加熱温度で加熱するステップとを備えていてもよい。こうした加熱ステップを備えることで、より均一な状態なセラミックス粉末を得ることができ、第2焼成工程によって良質な焼結体を得ることができる。このような複数ステップで第1焼成工程を実施するときには、各焼成ステップ終了後、ライカイ機、ボールミル及び振動ミル等を用いて混練・粉砕することが好ましい。また、粉砕手法は乾式で行うことが望ましい。こうすることで、第2焼成工程により一層均一なLLZ相を得ることができる。第1焼成工程を構成する熱処理ステップは、好ましくは850℃以上950℃以下の熱処理ステップと1075℃以上1150℃以下の熱処理ステップを実施することが好ましい。さらに好ましくは875℃以上925℃以下(約900℃であることがより好ましい)の熱処理ステップと、1100℃以上1150℃以下(約1125℃であることがより好ましい)の熱処理ステップとする。第1焼成工程は、全体で加熱温度として設定した最高温度での加熱時間の合計として10時間以上15時間以下程度とすることが好ましい。第1焼成工程を2つの熱処理ステップで構成する場合には、それぞれ最高温度での加熱時間を5〜6時間程度とすることが好ましい。一方で、出発原料の1つ又は複数の成分を変更することにより、第1焼成工程を短縮化することができる。例えば、LiOHを出発原料に含まれる成分の1つとして用いる場合、LLZ結晶構造を得るには、Li、La及びZrを含むLLZ構成成分を850℃以上950℃以下の熱処理ステップで最高温度での加熱時間を10時間以下にすることができる。これは、出発原料に用いたLiOHが低温で液相を形成するため、より低温で他の成分と反応しやすくなるからである。
(第2焼成工程)
第2焼成工程は、第1焼成工程で得られた一次焼成粉末を950℃以上1250℃以下の温度で加熱する工程とすることができる。第2焼成工程によれば、第1焼成工程で得た一次焼成粉末を焼成し、最終的に複合酸化物であるLLZ結晶構造を有するセラミックスを得ることができる。LLZ結晶構造を得るには、例えば、Li、La及びZrを含むLLZ構成成分を1125℃以上1250℃以下の温度で熱処理するようにする。Li原料としてLiCOを用いるときには、1125℃以上1250℃以下で熱処理することが好ましい。1125℃未満であるとLLZの単相が得られにくくLi伝導率が小さく、1250℃を超えると、異相(LaZr等)の形成が見られるようになりLi伝導率が小さく、また結晶成長が著しくなるため、固体電解質としての強度を保つことが難しくなる傾向があるからである。より好ましくは、約1180℃から1230℃である。一方で、出発原料の1つ又は複数の成分を変更することにより、第2焼成工程を低温化することができる。例えば、Li原料としてLiOHを出発原料に用いる場合、LLZ結晶構造を得るには、Li、La及びZrを含むLLZ構成成分を950℃以上1125℃未満の温度でも熱処理することができる。これは、出発原料に用いたLiOHが低温で液相を形成するため、より低温で他の成分と反応しやすくなるからである。第2焼成工程における上記加熱温度での加熱時間は18時間以上50時間以下程度であることが好ましい。時間が18時間よりも短い場合、LLZ系セラミックスの形成が十分ではなく、50時間よりも長い場合、埋め粉を介してセッターと反応しやすくなるほか、結晶成長が著しくサンプルとして強度を保てなくなるからである。好ましくは30時間以上である。第2焼成工程は、一次焼成粉末を周知のプレス手法を用いて加圧成形して所望の三次元形状(例えば、全固体リチウム電池の固体電解質として使用可能な形状及びサイズ)を付与した成形体とした上で実施することが好ましい。成形体とすることで固相反応が促進されるほか、焼結体を得ることができる。なお、第2焼成工程後に、第2焼成工程で得られたセラミックス粉末を成形体として、第2焼成工程における加熱温度と同様の温度で焼結工程を別途実施してもよい。第2焼成工程で一次焼成粉末を含む成形体を焼成して焼結させる場合、成形体を同じ粉末内に埋没させるようにして実施することが好ましい。こうすることでLiの損失を抑制して第2焼成工程前後における組成の変化を抑制できる。なお、原料粉末の成形体は、通常、原料粉末を敷き詰めた上に載置した状態で原料粉末内に埋没される。こうすることで、セッターとの反応を抑制することができる。また、必要に応じて成形体を埋め粉の上下からセッターで押さえ込むことにより、焼結体の焼成時の反りを防止することができる。一方で、第2焼成工程においてLi原料としてLiOHを用いる等して低温化した場合、一次焼成粉末の成形体を同じ粉末内に埋没させなくても焼結させることができる。これは、第2焼成工程が低温化したことで、Liの損失が比較的抑制され、またセッターとの反応を抑制することができるからである。
以上の焼成工程を経た粉末も用いることで、LLZ結晶構造を有する固体電解質層14を得ることができる。なお、第1焼成工程及び第2焼成工程のいずれかあるいは双方の工程をアルミニウム(Al)含有化合物の存在下に実施することにより、結晶構造を有し、且つ、アルミニウムを含有する固体電解質層を製造するようにしてもよい。
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。なお、以下の例における正極板及び全固体電池に関する各種パラメータの評価方法は以下のとおりとした。
<厚さ>
正極板を、クロスセクションポリッシャ(CP)により断面研磨面が観察できるように研磨し、SEM(走査型子顕微鏡)(JSM−6390LA、日本電子社製)によって断面画像を取得した。得られた断面画像に基づいて正極板の厚さを決定した。
<配向度>
正極板の板面を試料面とし、XRD装置(株式会社リガク製、TTR−III)を用いて、X線回折を2θで10°から70°の範囲を2°/min、ステップ幅0.02°の条件で行った。得られたXRDプロファイルをロットゲーリング法に従い下記式に基づいて配向度を算出した。
Figure 0006277079
(上記式中、Iは正極板試料の回折強度であり、Iは無配向の参照試料(正極板試料を乳鉢で粉砕して無配向状態にしたもの)の回折強度である。(HKL)は配向度を評価したい回折線であり、(00l)以外の回折線に相当にする。(hkl)は全ての回折線に相当する。)
<サイクル試験>
作製した全固体リチウム電池について、充放電の繰り返しに伴う放電容量の変化を調べるため、サイクル試験を行った。このサイクル試験は以下に示される充放電サイクル:
‐ 充電:0.1mA定電流で4.2Vまで充電し、その後定電圧で電流が0.005mAになるまで充電、及び
‐ 放電:0.02mA定電流で2.5Vになるまで放電
を120℃で繰り返し、初回の放電容量に対する100サイクル後の放電容量の割合(%)を放電容量維持率として算出することにより行った。したがって、この放電容量維持率(%)が高いほどサイクル特性が良好であることを意味する。
例1〜16、20及び25〜31
(1)正極板の作製
水酸化コバルト(Co(OH))粉末を用意した。この複合水酸化物粉末は板状一次粒子の配向集合体である。この粉末をボールミルで所定時間(例えば24時間)粉砕して原料粉末とした。この原料粉末とLiOH・HO粉末をLi/Coのモル比が1.05となるように秤量して混合した後、600℃で3時間仮焼した。得られた粉末100重量部と、分散媒(トルエン及びイソプロパノールを1:1の重量比で含む混合溶媒)100重量部と、バインダー(ポリビニルブチラール、BM−2、積水化学工業株式会社製)10重量部と、可塑剤(DOP(ジ(2−エチルヘキシル)フタレート)、黒金化成株式会社製)4重量部と、分散剤(レオドールSP−O30、花王株式会社製)2重量部とを混合した。この混合物を、減圧下で撹拌することで脱泡するとともに、3000〜4000cPの粘度に調製した。なお、粘度は、ブルックフィールド社製LVT型粘度計で測定した。
上述のようにして調製されたスラリーを、ドクターブレード法によって、PETフィルムの上に、乾燥後の厚さが60μmとなるようにシート状に成形した。得られたシートをPETフィルムから剥がし、2cm×2cmとなるように切り取った。切り取ったシートを400層積層し、積層機にて120℃で仮プレスを行ない、グリーンバルクを得た。得られたグリーンバルクを20℃/hで600℃まで昇温し、60時間保持し、20℃/hで降温することで脱脂した。得られた脱脂バルクを真空パック後、CIPにて所定のプレス圧(例えば3t)でプレスした。得られた脱脂バルクを100℃/hで所定の焼成温度(例えば875℃)まで大気雰囲気で昇温し、20時間保持した。得られた焼結バルクを、断面方向が板面となるように、加工により切り出し、板面の表面を研磨することで正極板を得た。得られた正極板を、集電体としてのAl箔上にカーボンを含有した導電性エポキシ接着剤にて接着した。こうして得られた正極板について、厚さ及び配向度を前述した方法により測定した。その結果を表1に示す。表1A及び2Aに示されるように例1〜16、20及び25〜31で作製された正極板は様々な厚さ及び配向度を有するが、これらは製造条件を適宜調整することによって任意に付与されたものである(例えば、配向度の制御は、原料の粉砕時間、焼成温度、成形時の圧力を適宜調整することにより行った)。
(2)固体電解質層の作製
直径4インチ(約10cm)のリン酸リチウム焼結体ターゲットを準備した。このターゲットを用いてスパッタリング装置(キャノンアネルバ製、SPF−430H)を用いてRFマグネトロン方式にてガス種Nを0.2Pa、出力0.2kWにて膜厚2μmとなるようにスパッタリングを行なった。こうして、厚さ2μmのLiPON系固体電解質スパッタ膜を正極板上に形成した。
(3)全固体リチウム電池の作製
イオンスパッタリング装置(日本電子製、JFC−1500)を用いたスパッタリングにより、固体電解質層上に厚さ500ÅのAu膜を形成した。得られたAu膜上に、Ar雰囲気のグローブボックス中で、Li金属箔、及び集電層としてのCu箔を載置し、200℃のホットプレート上にて加圧圧着した。こうして正極板/固体電解質層/負極層の単位電池(サイズ:10mm×10mm平方)を得た。ただし、例6についてのみ単位電池を並列に50層積層した。こうして得られた単位電池又は積層電池をステンレス(SUS)箔(厚さ:20μm、サイズ:12mm×12mm平方)に乗せ、単位電池又は積層電池の周囲に表1に示される封止材を含んだガラスペーストを厚さ1mmで塗布し、ステンレス(SUS)箔(厚さ20μm、12mm×12mm平方)を被せ、真空中所定の温度で加熱融着させて、全固体リチウム電池を得た。
なお、表1に封止材として示される、KP312、9079−150、TNS031W、TNS062−ZB、ASF1290A4、FP−74、BNL115BB、及びKP312はいずれもAGCエレクトロニクス株式会社社製の「POWDER GLASS」(AGCガラスフリット)と称される製品群の品名であり、これらは表1A及び2Aに示されるとおり、いずれも400℃以下の軟化温度を有するものである。このガラスフリットは粉体状であるため、電池ユニットの周囲に塗布する際には、溶媒(エタノール)に分散させてガラスペースト状にして用いた。
こうして作製した全固体リチウム電池について、充放電の繰り返しに伴う放電容量の変化を調べるため、前述した手順によりサイクル試験を行った。結果は、表1B及び2Bに示されるとおりであった。
例17
負極としてリチウム金属の代わりにAlを用いたこと以外は、例4と同様の基本手順にて全固体リチウム電池の作製及び各種評価を行った。結果は表1Bに示されるとおりであった。
例18
負極としてリチウム金属の代わりにInを用いたこと以外は、例4と同様の基本手順にて全固体リチウム電池の作製及び各種評価を行った。結果は表1Bに示されるとおりであった。
例19
固体電解質層として、LiPON系固体電解質スパッタ膜の代わりに、Li−La−Zr−O系固体電解質AD膜を以下のようにして作製したこと以外は、例4と同様の基本手順にて全固体リチウム電池の作製及び各種評価を行った。結果は表1Bに示されるとおりであった。
すなわち、固体電解質層として、Li−La−Zr−O系固体電解質AD膜を以下のようにして正極板上に作製した。焼成用原料調製のための各原料成分として、水酸化リチウム(関東化学株式会社)、水酸化ランタン(信越化学工業株式会社)、酸化ジルコニウム(東ソー株式会社)、酸化タンタルを用意した。これらの粉末をLiOH:La(OH):ZrO:Ta=7:3:1.625:0.1875になるように秤量及び配合し、ライカイ機にて混合して焼成用原料を得た。第一の焼成工程として、上記焼成用原料をアルミナ坩堝に入れて大気雰囲気で600℃/時間にて昇温し900℃にて6時間保持した。第二の焼成工程として、第一の焼成工程で得られた粉末に対しγ−Alを0.6質量%の濃度となるように添加し、この粉末と玉石を混合し振動ミルを用いて3時間粉砕して、出発原料組成がLi7.0La3.0Zr1.625Ta0.37512Al0.1の粉末を得た。なお、このγ−Alの添加量は、一次焼成粉末が仕込み組成通りの組成を有しているものと想定した組成式Li7.0La3.0Zr1.625Ta0.37512に対するモル比で0.1のAlとなる量に相当している。得られた原料粉末をマグネシア製のサヤに入れ、Ar雰囲気中にて800℃で1時間熱処理して、原料粉末に含有されうるCO及びHOを除去した。こうして得られた原料粉末は、Li及びOは焼成時の欠損等により仕込み組成のモル数である7及び12からずれている可能性があるものの、仕込み組成のLi7.0La3.0Zr1.625Ta0.37512Al0.1に概ね基づく組成を有し、炭酸リチウムを含まない。
熱処理後の原料粉末をAr雰囲気のグローブボックス中で、開口径75μmのナイロンメッシュを用いて解砕した後、キャリアガスとしてNガスを用いてエアロゾルデポジション(AD)法により成膜を行った。このAD成膜は、図2に示されるような成膜装置20を用いて行った。図2に示される成膜装置20は、大気圧より低い気圧の雰囲気下で原料粉末を基板上に噴射するAD法に用いられる装置として構成されている。この成膜装置20は、原料成分を含む原料粉末のエアロゾルを生成するエアロゾル生成部22と、原料粉末を基板21に噴射して原料成分を含む膜を形成する成膜部30とを備えている。エアロゾル生成部22は、原料粉末を収容し図示しないガスボンベからのキャリアガスの供給を受けてエアロゾルを生成するエアロゾル生成室23と、生成したエアロゾルを成膜部30へ供給する原料供給管24と、エアロゾル生成室23及びその中のエアロゾルに10〜100Hzの振動数で振動が付与する加振器25とを備えている。成膜部30は、基板21にエアロゾルを噴射する成膜チャンバ32と、成膜チャンバ32の内部に配設され基板21を固定する基板ホルダ34と、基板ホルダ34をX軸−Y軸方向に移動するX−Yステージ33とを備えている。また、成膜部30は、先端にスリット37が形成されエアロゾルを基板21へ噴射する噴射ノズル36と、成膜チャンバ32を減圧する真空ポンプ38とを備えている。この成膜装置20は、成膜チャンバ32内に加熱装置や耐熱部材等を設けて原料粉末を加熱できるように構成されてもよい。例えば、原料粉末が単結晶化する温度での加熱処理を行えるように石英ガラスやセラミックス等の耐熱部材を用いてもよい。成膜装置20による固体電解質膜の作製条件は以下のとおりとした。基板としては、先に合成した正極板を用いた。また、キャリアガスとして流量2L/minの酸素ガスを使用し、成膜チャンバ内の圧力が0.1〜0.2kPa、エアロゾル化室の圧力を50〜70kPaになるように調整して、成膜を行った。その際、ノズルの開口サイズは10mm×1.8mmとし、ノズルの短辺方向に走査距離10mm、走査速度5mm/secで60往復分、成膜と同時に走査させた。こうして、厚さ2μmのLi−La−Zr−O系固体電解質AD膜を正極板上に形成した。
例21
原料粉末として水酸化コバルト(Co(OH))粉末を用いる代わりに、(Ni1/3Co1/3Mn1/3)(OH)の組成を有するニッケル・コバルト・マンガン複合水酸化物粉末を用いたこと以外は、例4と同様の基本手順にて全固体リチウム電池の作製及び各種評価を行った。なお、この水酸化コバルト粉末は板状一次粒子の配向集合体である。結果は表1Bに示されるとおりであった。
例22
封止材としてホウ珪酸ガラス(ショット製、製品名:テンパックス)を用いたこと以外は、例4と同様の基本手順にて全固体リチウム電池の作製及び各種評価を行った。結果は表2Bに示されるとおりであった。
例23
封止材としてエポキシ樹脂(スリーボンド製、製品名:2088E)とSiOの混合物を用いたこと以外は、例4と同様の基本手順にて全固体リチウム電池の作製及び各種評価を行った。結果は表2Bに示されるとおりであった。
例24
封止材としてマレイン酸変性ポリプロピレン(大倉工業社製、製品名:タブテープ)を用いたこと以外は、例4と同様の基本手順にて全固体リチウム電池の作製及び各種評価を行った。結果は表2Bに示されるとおりであった。
Figure 0006277079
Figure 0006277079
Figure 0006277079
Figure 0006277079
10 全固体リチウム電池
12 正極板
13 正極外装材
14 固体電解質層
16 負極層
17 負極外装材
18 封止部

Claims (20)

  1. 複数のリチウム遷移金属酸化物粒子が配向されてなる配向多結晶体で構成される正極板と、
    前記正極板上に設けられ、リチウムイオン伝導材料で構成される固体電解質層と、
    前記固体電解質層上に設けられる負極層と、
    前記正極板の外側を被覆し、正極集電体としても機能する金属製の正極外装材と、
    前記負極層の外側を被覆し、負極集電体としても機能する金属製の負極外装材と、
    前記正極外装材及び前記負極外装材で被覆されていない、前記正極板、前記固体電解質層及び前記負極層の露出部分を封止する、封着材で構成される封止部と、
    を備えてなる、全固体リチウム電池であって、
    前記正極板の厚さが15〜60μmであり、前記正極板の厚さtと前記負極層の厚さtの比率が1≦t/t≦15であり、
    前記配向多結晶体が10%以上の配向度を有する、全固体リチウム電池。
  2. 前記封着材が、樹脂を含む樹脂系封着材である、請求項1に記載の全固体リチウム電池。
  3. 前記樹脂系封着材が、前記樹脂と無機材料の混合物からなる、請求項2に記載の全固体リチウム電池。
  4. 前記無機材料がシリカである、請求項3に記載の全固体リチウム電池。
  5. 前記封着材がガラスを含んでなるガラス系封着材である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の全固体リチウム電池。
  6. 前記ガラス系封着材が、V、Sn、Te、P、Bi、B、Zn及びPbからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項5に記載の全固体リチウム電池。
  7. 前記ガラス系封着材が7×10−6/℃以上の熱膨張係数を有する、請求項5又は6に記載の全固体リチウム電池。
  8. 前記ガラス系封着材が400℃以下の軟化温度を有する、請求項5〜7のいずれか一項に記載の全固体リチウム電池。
  9. 前記封着材が1×10Ωcm以上の抵抗率を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の全固体リチウム電池。
  10. 前記配向多結晶体が15〜95%の配向度を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の全固体リチウム電池。
  11. 前記全固体リチウム電池が60〜5000μmの厚さを有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の全固体リチウム電池。
  12. 前記複数のリチウム遷移金属酸化物粒子が、該粒子の特定の結晶面が前記正極板の板面と交差するような方向に配向されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の全固体リチウム電池。
  13. 前記リチウム遷移金属酸化物粒子が層状岩塩構造を有し、前記特定の結晶面が(003)面である、請求項12に記載の全固体リチウム電池。
  14. 前記リチウム遷移金属酸化物粒子が、LiM1O又はLi(M1,M2)O(式中、0.5<x<1.10、M1はNi,Mn及びCoからなる群から選択される少なくとも一種の遷移金属元素、M2はMg,Al,Si,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Cu,Zn,Ga,Ge,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Ag,Sn,Sb,Te,Ba及びBiからなる群から選択される少なくとも一種の元素である)で表される組成を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の全固体リチウム電池。
  15. 前記組成がLi(M1,M2)Oで表され、M1がNi及びCoであり、M2はMg,Al及びZrからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項14に記載の全固体リチウム電池。
  16. 前記組成がLiM1Oで表され、M1がNi、Mn及びCoであるか、又はM1がCoである、請求項14に記載の全固体リチウム電池。
  17. 前記固体電解質層を構成する前記リチウムイオン伝導材料が、ガーネット系セラミックス材料、窒化物系セラミックス材料、ペロブスカイト系セラミックス材料、リン酸系セラミックス材料、硫化物系セラミックス材料、又は高分子系材料で構成されている、請求項1〜15のいずれか一項に記載の全固体リチウム電池。
  18. 前記固体電解質層を構成する前記リチウムイオン伝導材料が、Li−La−Zr−O系セラミックス材料及び/又はリン酸リチウムオキシナイトライド(LiPON)系セラミックス材料で構成される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の全固体リチウム電池。
  19. 前記正極外装材及び前記負極外装材が金属箔である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の全固体リチウム電池。
  20. 前記金属箔が1〜30μmの厚さを有する、請求項19に記載の全固体リチウム電池。
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