JP2019067572A - 全固体電池用活物質層の製造方法および全固体電池の製造方法 - Google Patents

全固体電池用活物質層の製造方法および全固体電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本開示は、出力特性が良好な全固体電池用活物質層の製造方法を提供することを主目的とする。【解決手段】本開示においては、活物質および非晶質の硫化物固体電解質を含有する合材層を準備する準備工程と、上記合材層を、上記硫化物固体電解質の結晶化温度以上の温度で加熱しながらロールプレスするホットロールプレス工程とを有し、上記硫化物固体電解質が、Li元素、P元素およびS元素を含有し、PS43−をアニオン構造の主体として含有するイオン伝導体と、LiIと、を含有する材料であり、上記ホットロールプレス工程において印加する線圧が、15kN/cm以上、50kN/cm以下である、全固体電池用活物質層の製造方法を提供することにより、上記課題を解決する。【選択図】図4

Description

本開示は、全固体電池用活物質層の製造方法および全固体電池の製造方法に関する。
全固体電池は、正極活物質層および負極活物質層の間に固体電解質層を有する電池であり、可燃性の有機溶媒を含む電解液を有する液系電池に比べて、安全装置の簡素化が図りやすいという利点を有する。特許文献1には、第1固体電解質層を有する負極電極体と、第2固体電解質層を有する正極電極体とを、第1固体電解質層および第2固体電解質層を接触するように積層させた積層体を加熱プレスする接合工程を有する全固体電池の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、正極活物質および固体電解質粉末を混合し、ペレットを作製し、300℃10分熱処理を行うことが開示されている。また、特許文献3には、正極活物質および硫化物ガラスを含有する正極合材と、ガラスセラミックスと、負極活物質および硫化物ガラスを含有する負極合材とをこの順に有するペレット(積層体)を作製し、ガラス転移温度以上の温度で焼成することが開示されている。また、特許文献4には、特定の条件でプレス工程を行う、全固体電池の製造方法が開示されている。また、特許文献5には、電極活物質と、電極活物質の表面に融着し、実質的に架橋硫黄を有しない硫化物固体電解質材料と、を含有する電極活物質層の製造方法が開示されている。
特開2015−008073号公報 特許第6071171号 特開2010−097812号公報 特開2017−010816号公報 特開2011−060649号公報
全固体電池の高機能化のため、全固体電池の出力特性の向上が求められている。本開示は、上記実情に鑑みてなされたものあり、出力特性が良好な全固体電池用活物質層の製造方法を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本開示においては、活物質および非晶質の硫化物固体電解質を含有する合材層を準備する準備工程と、上記合材層を、上記硫化物固体電解質の結晶化温度以上の温度で加熱しながらロールプレスするホットロールプレス工程とを有し、上記硫化物固体電解質が、Li元素、P元素およびS元素を含有し、PS 3−をアニオン構造の主体として含有するイオン伝導体と、LiIと、を含有する材料であり、上記ホットロールプレス工程において印加する線圧が、15kN/cm以上、50kN/cm以下である、全固体電池用活物質層の製造方法を提供する。
本開示によれば、非晶質の硫化物固体電解質を用い、所定のホットロールプレスを行うことにより、出力特性が良好な全固体電池用活物質を得ることができる。
上記開示では、上記ホットロールプレス工程において印加する線圧が、35kN/cm以下であってもよい。
上記開示では、上記ホットロールプレス工程における加熱温度が、195℃以上であってもよい。
上記開示では、上記ホットロールプレス工程における加熱温度が、上記硫化物固体電解質の結晶化温度よりも5℃以上高く、上記ホットロールプレス工程において印加する線圧が、20kN/cm以上、35kN/cm以下であってもよい。
また、本開示においては、活物質および非晶質の硫化物固体電解質を含有する合材層を準備する準備工程と、上記合材層を、上記硫化物固体電解質のガラス転移温度以上結晶化温度未満の温度で加熱しながらロールプレスするホットロールプレス工程と、上記ホットロールプレス工程後に、上記合材層を、上記硫化物固体電解質の結晶化温度以上の温度で加熱する後加熱工程とを有し、上記硫化物固体電解質が、Li元素、P元素およびS元素を含有し、PS 3−をアニオン構造の主体として含有するイオン伝導体と、LiIと、を含有する材料であり、上記ホットロールプレス工程において印加する線圧が、15kN/cm以上、50kN/cm以下である、全固体電池用活物質層の製造方法を提供する。
本開示によれば、非晶質の硫化物固体電解質を用い、所定のホットロールプレスおよび所定の後加熱を行うことにより、出力特性が良好な全固体電池用活物質を得ることができる。
上記開示では、上記ホットロールプレス工程において印加する線圧が、35kN/cm以下であってもよい。
上記開示では、上記ホットロールプレス工程における加熱温度が、165℃以上であってもよい。
また、本開示においては、正極活物質層と、負極活物質層と、上記正極活物質層および上記負極活物質層の間に形成された固体電解質層とを有する全固体電池の製造方法であって、上記正極活物質層および上記負極活物質層の少なくとも一方を、上述した全固体電池用活物質層の製造方法により形成する活物質層形成工程を有する、全固体電池の製造方法を提供する。
本開示によれば、上述した製造方法を用いて活物質層を形成することにより、出力特性が良好な全固体電池を得ることができる。
本開示においては、出力特性が良好な全固体電池用活物質層を得ることができるという効果を奏する。
本開示の全固体電池用活物質層の製造方法の一例を示す概略断面図である。 本開示における全固体電池用活物質層を例示する概略断面図である。 本開示の全固体電池の製造方法の一例を示す概略断面図である。 実施例1〜3および比較例1〜3で得られた全固体電池の出力特性の結果である。 実施例4、5および比較例1、3で得られた全固体電池の出力特性の結果である。 実施例1〜3および比較例1、3で作製した正極活物質層の充填率の結果である。
以下、本開示の全固体電池用活物質層の製造方法および全固体電池の製造方法について、詳細に説明する。なお、本開示においては、全固体電池用活物質層を、単に「活物質層」と称する場合がある。
A.全固体電池用活物質層の製造方法
図1は、本開示の全固体電池用活物質層の製造方法の一例を示す概略断面図である。図1においては、まず、活物質1および非晶質の硫化物固体電解質2を含有する合材層10aを準備する(図1(a)、準備工程)。非晶質の硫化物固体電解質2は、Li元素、P元素およびS元素を含有し、PS 3−をアニオン構造の主体として含有するイオン伝導体と、LiIと、を有する材料である。次に、合材層10aを、所定の温度および線圧でホットロールプレスする(図1(b)、ホットロールプレス工程)。ホットロールプレスの際、硫化物固体電解質2の結晶化温度以上の温度で加熱してもよく、硫化物固体電解質2のガラス転移温度以上結晶化温度未満の温度で加熱してもよい。後者の場合、ホットロールプレス工程後に、合材層10aを、硫化物固体電解質2の結晶化温度以上の温度で加熱することが好ましい(後加熱工程)。これにより、活物質層10が得られる(図1(c))。
本開示によれば、非晶質の硫化物固体電解質を用い、所定のホットロールプレスを行うこと、または、所定のホットロールプレスおよび所定の後加熱を行うことにより、出力特性が良好な全固体電池用活物質を得ることができる。一般的に、ロールプレスは、平面プレスに比べて、生産性が良いという特性を有する。しかしながら、ロールプレスを用いる場合、線圧が高すぎると、活物質層に亀裂が生じ、出力特性が低下する可能性があり、線圧が低すぎると、活物質層を十分に緻密化できず、出力特性が低下する可能性がある。これに対して、本開示においては、所定の線圧でホットロールプレスを行うことで、出力特性が良好な全固体電池用活物質を得ることができる。
さらに、本開示においては、硫化物固体電解質の結晶化温度以上の温度で熱処理(ホットロールプレスまたは後加熱)を行うことで、硫化物固体電解質のLiイオン伝導性を向上させることができ、その結果、出力特性が良好な全固体電池用活物質を得ることができる。結晶化温度以上という高温状態において、ロールプレスの線圧の影響を予測することは困難であるが、本開示においては、後述する実施例のように、出力特性が良好な全固体電池用活物質を得ることができた。特に、線圧が比較的低い範囲(例えば、15kN/cm以上、35kN/cm以下の範囲)において、良好な出力特性が得られた。
また、ロールプレスは、平面プレスに比べて、生産性が良いが加熱時間が短くなるという特性を有する。そのため、非晶質の硫化物固体電解質が十分に結晶化するかを予測することは困難であるが、本開示においては、後述する実施例のように、出力特性が良好な全固体電池用活物質を得ることができた。
以下、本開示の全固体電池用活物質層について、さらに詳細に説明する。
1.準備工程
本開示における準備工程は、活物質および非晶質の硫化物固体電解質を含有する合材層を準備する工程である。合材層に熱処理を行うことで活物質層が得られる。なお、合材層は、自ら作製してもよく、他者から購入してもよい。
(1)硫化物固体電解質
本開示における硫化物固体電解質は、非晶質である。「非晶質」とは、加熱により結晶性が向上可能な状態をいい、完全な非晶質であってもよく、僅かに結晶性を有していてもよい。また、「完全な非晶質」とは、X線回折により結晶のピークが観測されない状態をいう。硫化物固体電解質は、例えばX線回折測定において、ハローパターンが観測されることが好ましい。
本開示における硫化物固体電解質は、Li元素、P元素およびS元素を含有し、PS 3−をアニオン構造の主体として含有するイオン伝導体と、LiIと、を含有する。硫化物固体電解質は、さらに、LiBrを含有していてもよく、含有していなくてもよい。また、LiIおよびLiBrの少なくとも一部は、それぞれ、LiI成分およびLiBr成分としてイオン伝導体の構造中に取り込まれた状態で存在することが好ましい。
上記イオン伝導体は、Li元素、P元素およびS元素を含有し、PS 3−をアニオン構造の主体として含有する。PS 3−は、オルト組成のアニオン構造に該当する。オルトとは、一般的に、同じ酸化物を水和して得られるオキソ酸の中で、最も水和度の高いものをいう。本開示においては、硫化物で最もLiSが付加している結晶組成をオルト組成という。例えば、LiS−P系ではLiPSがオルト組成に該当する。
「PS 3−をアニオン構造の主体とする」とは、PS 3−の割合が、イオン伝導体における全アニオン構造の中で最も多いことをいう。全アニオン構造におけるPS 3−の割合は、例えば60mol%以上であり、70mol%以上であってもよく、80mol%以上であってもよく、90mol%以上であってもよい。PS 3−の割合は、ラマン分光法、NMR、XPS等により決定することができる。
また、硫化物固体電解質におけるLiIの割合は、例えば1mol%以上であり、10mol%以上であってもよい。一方、上記LiIの割合は、例えば30mol%以下であり、25mol%以下であってもよい。なお、上記LiIの割合は、上記イオン伝導体の割合よりも少ないことが好ましい。また、硫化物固体電解質におけるLiBrの割合は、例えば1mol%以上であり、10mol%以上であってもよい。一方、上記LiBrの割合は、例えば30mol%以下であり、25mol%以下であってもよい。なお、上記LiBrの割合は、上記イオン伝導体の割合よりも少ないことが好ましい。また、上記LiBrおよび上記LiIの合計割合は、上記イオン伝導体の割合よりも少ないことが好ましい。
本開示における硫化物固体電解質は、LiS、PおよびLiIを含有する原料組成物を非晶質化した材料であることが好ましい。原料組成物において、LiSおよびPの合計に対するLiSの割合は、例えば72mol%以上であり、74mol%以上であってもよい。一方、上記LiSの割合は、例えば78mol%以下であり、76mol%以下であってもよい。原料組成物を非晶質化する方法としては、例えば、メカニカルミリングおよび溶融急冷法が挙げられる。メカニカルミリングは、原料組成物を、機械的エネルギーを付与しながら混合する方法であり、例えばボールミル、振動ミルが挙げられる。
硫化物固体電解質の結晶化温度は、例えば170℃以上であり、180℃以上であってもよく、190℃以上であってもよい。一方、硫化物固体電解質の結晶化温度は、例えば230℃以下であり、210℃以下であってもよい。また、硫化物固体電解質の形状としては、例えば、粒子状が挙げられる。硫化物固体電解質の平均粒径(D50)は、例えば0.1μm以上であり、0.5μm以上であってもよい。一方、上記平均粒径(D50)は、例えば50μm以下であり、5μm以下であってもよい。なお、平均粒径は、例えば、レーザー回折式粒度分布計、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定から算出できる。また、合材層における硫化物固体電解質の割合は、例えば1体積%以上であり、10体積%以上であってもよい。一方、上記硫化物固体電解質の割合は、例えば60体積%以下であり、50体積%以下であってもよい。
(2)活物質
本開示における活物質は、後述するホットロールプレス工程に耐えることができる程度の耐熱性を有することが好ましい。活物質の一例としては、酸化物活物質が挙げられる。酸化物活物質としては、例えば、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiVO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等の岩塩層状型活物質、LiMn、Li(Ni0.5Mn1.5)O等のスピネル型活物質、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCuPO等のオリビン型活物質が挙げられる。
また、活物質の表面は、コート層で被覆されていてもよい。コート層により、活物質と硫化物固体電解質とが反応することを抑制できる。コート層としては、例えば、LiNbO、LiPO、LiPON等のLiイオン伝導性酸化物が挙げられる。コート層の平均厚さは、例えば1nm以上である。一方、コート層の平均厚さは、例えば20nm以下であり、10nm以下であってもよい。
活物質の形状としては、例えば、粒子状が挙げられる。活物質の平均粒径(D50)は、例えば、0.1μm以上、50μm以下である。なお、平均粒径は、例えば、レーザー回折式粒度分布計、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定から算出できる。また、合材層における活物質の割合は、例えば40体積%以上であり、50体積%以上であってもよい。一方、上記活物質の割合は、例えば99体積%以下であり、80体積%以下であってもよい。
(3)合材層
合材層は、活物質および非晶質の硫化物固体電解質を少なくとも含有する。さらに、合材層は、導電化材および結着材の少なくとも一方を含有していてもよい。導電化材としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー等の炭素材料が挙げられる。結着材としては、例えば、PVdF、PTFE等のフッ素系バインダー、ブタジエンゴム等のゴムバインダー、アクリル系バインダーが挙げられる。
例えば図2(a)に示すように、合材層10aは、一方の面側に、基材11を有していてもよい。基材は、合材層を保持できる部材であれば特に限定されないが、集電体であることが好ましい。全固体電池の製造工程が簡略化できるからである。集電体の材料は、典型的には金属である。正極集電体に適した材料としては、例えば、SUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタン、カーボンが挙げられる。一方、負極集電体に適した材料としては、例えば、SUS、銅、ニッケル、カーボンが挙げられる。
また、例えば図2(b)に示すように、合材層10aは、一方の面側に、固体電解質層12を有していてもよい。なお、図2(b)では、基材11、合材層10aおよび固体電解質層12がこの順に積層されている。固体電解質層は、硫化物固体電解質を含有することが好ましい。硫化物固体電解質として、例えば、上述した硫化物固体電解質と同じ材料を例示できる。また、固体電解質層に含まれる硫化物固体電解質は、非晶質であってもよく、結晶であってもよい。
また、図示しないが、合材層は、一方の面側に、固体電解質層および対極活物質層を有していてもよい。この場合、全固体電池の発電要素(正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層)を効率良く得ることができる。
(4)合材層の作製方法
合材層の作製方法は、所望の合材層を得ることができる方法であれば特に限定されないが、例えばスラリー法が挙げられる。スラリー法では、スラリーを基材に塗工し、乾燥することで、合材層を得る。
スラリーの調製方法としては、例えば、活物質および非晶質の硫化物固体電解質を分散媒中で混練する方法が挙げられる。分散媒は、活物質および非晶質の硫化物固体電解質と反応しない材料であることが好ましい。混練方法としては、例えば、超音波ホモジナイザー、振盪器、薄膜旋廻型ミキサー、ディゾルバー、ホモミキサー、ニーダー、ロールミル、サンドミル、アトライター、ボールミル、バイブレーターミル、高速インペラーミル等が挙げられる。塗工方法としては、例えば、ドクターブレード法、ダイコート法、グラビアコート法、スプレー塗工法、静電塗工法、バー塗工法等が挙げられる。
2.ホットロールプレス工程および後加熱工程
本開示におけるホットロールプレス工程は、合材層を、所定の温度で加熱しながらロールプレスする工程である。また、本開示における後加熱工程は、ホットロールプレス工程後に、合材層を、所定の温度で加熱する工程である。
ホットロールプレス工程において印加する線圧は、通常、15kN/cm以上であり、20kN/cm以上であってもよい。線圧が低すぎると、出力特性が十分に向上しない可能性がある。一方、上記線圧は、通常、50kN/cm以下であり、40kN/cm以下であってもよく、35kN/cm以下であってもよい。線圧が高すぎると、短絡が生じやすくなる可能性がある。
本開示においては、ホットロールプレスの際、硫化物固体電解質の結晶化温度以上の温度で加熱することが好ましい。硫化物固体電解質の結晶化温度は、例えば熱分析(DTA、DSC)により測定することができる。硫化物固体電解質の結晶化温度をTとする。本開示においては、ホットロールプレスの際、(T+3)℃以上の温度で加熱してもよく、(T+5)℃以上の温度で加熱してもよく、(T+10)℃以上の温度で加熱してもよい。一方、加熱温度の上限は、特に限定されないが、例えば(T+50)℃であり、(T+30)℃であってもよい。ホットロールプレスでの加熱温度は、例えば195℃以上であり、200℃以上であってもよく、205℃以上であってもよく、210℃以上であってもよい。一方、上記加熱温度は、例えば245℃以下であり、225℃以下であってもよい。
また、ホットロールプレス工程における加熱温度が、Tよりも5℃以上高く、ホットロールプレス工程において印加する線圧が、20kN/cm以上、35kN/cm以下であることが好ましい。線圧が相対的に高い場合(例えば50kN/cmの場合)と同等の出力特性が得られるからである。線圧が低いことで、例えばロールプレス装置の小型化を図ることができ、生産効率を向上させることができる。上記加熱温度は、Tよりも10℃以上高くてもよく、Tよりも15℃以上高くてもよい。
一方、本開示においては、ホットロールプレスの際、硫化物固体電解質のガラス転移温度以上結晶化温度未満の温度で加熱し、その後、硫化物固体電解質の結晶化温度以上の温度で加熱する後加熱工程を行うことが好ましい。硫化物固体電解質のガラス転移温度(T)は、例えば熱分析(DTA、DSC)により測定することができる。本開示においては、ホットロールプレスの際、(T+5)℃以上の温度で加熱してもよく、(T+10)℃以上の温度で加熱してもよく、(T+15)℃以上の温度で加熱してもよい。ホットロールプレスでの加熱温度は、例えば165℃以上であり、170℃以上であってもよく、175℃以上であってもよい。また、本開示においては、後加熱の際、(T+3)℃以上の温度で加熱してもよく、(T+5)℃以上の温度で加熱してもよく、(T+10)℃以上の温度で加熱してもよい。一方、加熱温度の上限は、特に限定されないが、例えば(T+50)℃であり、(T+30)℃であってもよい。後加熱での加熱温度は、例えば195℃以上であり、200℃以上であってもよく、205℃以上であってもよく、210℃以上であってもよい。一方、上記加熱温度は、例えば245℃以下であり、225℃以下であってもよい。
ホットロールプレス工程における加熱方法は特に限定されないが、例えば、加熱したロールを用いる方法、炉を用いる方法が挙げられる。また、後加熱工程における加熱方法も特に限定されないが、例えば、炉を用いる方法が挙げられる。
ホットロールプレス工程において、ロールの送り速度は、所望の活物質層を得ることができる速度であれば特に限定されないが、例えば100m/min以下であり、10m/min以下であってもよい。一方、ロールの送り速度は、例えば0.1m/min以上であり、0.3m/min以上であってもよく、0.5m/min以上であってもよい。また、後加熱工程における加熱時間は、特に限定されない。また、加熱雰囲気としては、例えば、不活性ガス雰囲気(例えばArガス雰囲気)、減圧雰囲気が挙げられる。
3.全固体電池用活物質層
本開示により得られる全固体電池用活物質層は、活物質および結晶性の硫化物固体電解質を含有する。
結晶性の硫化物固体電解質は、Liイオン伝導度が高いことが好ましい。中でも、硫化物固体電解質は、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=20.2°±0.5°、23.6°±0.5°にピークを有することが好ましい。このピークは、Liイオン伝導性が高い結晶相のピークである。なお、この結晶相を、高Liイオン伝導相と称する場合がある。また、高Liイオン伝導相は、2θ=20.2°、23.6°の他に、通常、2θ=29.4°、37.8°、41.1°、47.0°にピークを有する。これらのピーク位置についても、±0.5°の範囲内で前後していてもよい。
結晶性の硫化物固体電解質は、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=21.0°±0.5°、28.0°±0.5°にピークを有しないことが好ましい。このピークは、高Liイオン伝導相よりLiイオン伝導性が低い結晶相のピークである。なお、この結晶相を、低Liイオン伝導相と称する場合がある。また、低Liイオン伝導相は、2θ=21.0°、28.0°の他に、通常、2θ=32.0°、33.4°、38.7°、42.8°、44.2°にピークを有する。これらのピーク位置についても、±0.5°の範囲内で前後していてもよい。2θ=20.2°のピーク強度(I20.2)に対する2θ=21.0°のピーク強度(I21.0)の値(I21.0/I20.2)は、例えば、0.4以下であり、0.2以下であることが好ましく、0.1以下であることがより好ましい。なお、I21.0/I20.2は0であってもよい。
結晶性の硫化物固体電解質は、高Liイオン伝導相のピークである2θ=20.2°のピークの半値幅が小さいことが好ましい。半値幅は、例えば0.51°以下であり、0.50°以下であることが好ましく、0.45°以下であることがより好ましい。なお、半値幅は、2θ=20.2°のピークの半値全幅(FWHM)をいう。
活物質層は、充填率が高いことが好ましい。出力特性が向上するからである。活物質層の充填率は、例えば84%以上であり、86%以上であってもよく、88%以上であってもよい。一方、活物質層の充填率は、例えば100%以下である。また、活物質層の厚さは、例えば、0.1μm以上、1000μm以下である。また、活物質層は、全固体電池に用いられ、正極活物質層として用いられてもよく、負極活物質層として用いられてもよい。
B.全固体電池の製造方法
図3は、本開示の全固体電池の製造方法の一例を示す概略断面図である。なお、図3は、正極活物質層の形成時に、上記「A.全固体電池用活物質層の製造方法」に記載された方法を適用した場合を示している。
図3においては、まず、正極集電体24、正極活物質層となる合材層21a、および、第一固体電解質層23aをこの順に有する積層体を準備する(図3(a))。次に、この積層体に対して、上述したホットロールプレス工程を行い、正極集電体24、正極活物質層21、および、第一固体電解質層23aをこの順に有する正極積層体を得る(図3(b))。次に、任意の方法により、負極集電体25、負極活物質層22、および、第二固体電解質層23bをこの順に有する負極積層体を準備する(図3(c))。次に、中間固体電解質層23cの一方の面側に、正極積層体の第一固体電解質層23aを配置し、他方の面側に、負極積層体の第二固体電解質層23bを配置する(図3(d))。この積層体を厚さ方向にプレスすることにより、正極活物質層21と、負極活物質層22と、正極活物質層21および負極活物質層22の間に形成された固体電解質層23と、正極活物質層21の集電を行う正極集電体24と、負極活物質層22の集電を行う負極集電体25とを有する全固体電池20が得られる(図3(e))。
本開示によれば、上述した製造方法を用いて活物質層を形成することにより、出力特性が良好な全固体電池を得ることができる。本開示においては、正極活物質層および負極活物質層の少なくとも一方を、上記「A.全固体電池用活物質層の製造方法」に記載された方法で形成する。その他の工程、例えば固体電解質層を形成する固体電解質層形成工程については、特に限定されず、任意の方法が採用できる。
また、全固体電池は、通常、リチウムイオン電池である。全固体電池は、一次電池であってもよく、二次電池であってもよいが、二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば、車載用電池として有用だからである。全固体電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型、角型が挙げられる。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
本開示をさらに具体的に説明する。
[製造例]
出発原料として、硫化リチウム(LiS、日本化学工業社製)、五硫化二リン(P、アルドリッチ社製)およびヨウ化リチウム(LiI、アルドリッチ社製)を用いた。次に、LiS、PおよびLiIを、15LiI・85(0.75LiS・0.25P)のモル比となるように秤量した。秤量した出発原料をメノウ乳鉢で5分間混合し、その混合物を遊星型ボールミルの容器(ZrO製)に投入し、脱水ヘプタンを投入し、さらにZrOボールを投入し、容器を完全に密閉した。この容器を遊星型ボールミル機(フリッチュ製P7)に取り付け、台盤回転数500rpmで、40時間メカニカルミリングを行った。その後、100℃で乾燥することによりヘプタンを除去し、硫化物ガラス(非晶質の硫化物固体電解質A)を得た。なお、非晶質の硫化物固体電解質Aは、ガラス転移温度が100℃〜150℃であり、結晶化温度が195℃であった。
得られた硫化物ガラスをガラス管の中に入れ、そのガラス管をSUS製密閉容器に入れた。その密閉容器に対して、195℃で10時間熱処理を行い、ガラスセラミックス(結晶性の硫化物固体電解質B)を得た。得られたガラスセラミックスは、CuKα線を用いたXRD測定において、2θ=20.2°、23.6°、29.4°、37.8°、41.1°、47.0°にピークを有しており、これらのピークは、高Liイオン伝導性相のピークに該当する。
[実施例1]
(正極活物質層準備工程)
正極活物質層の原材料としての正極合剤を、ポリプロピレン(PP)製の容器に入れた。これを、超音波分散装置(エスエムテー社製、型式:UH−50)で合計150秒間にわたって撹拌し、かつ振盪器(柴田科学株式会社製、型式:TTM−1)で合計20分間にわたって振盪することによって、正極活物質スラリーを調製した。
アプリケーターを使用して、ブレード法によって、この正極活物質スラリーを、正極集電体としてのAl箔上に塗工した。これを、ホットプレート上で30分間にわたって100℃で乾燥させ、正極集電体上に正極活物質層(合材層)を形成した。
正極合剤の構成は以下の通りである。
・正極活物質としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3(平均粒径6μm)
・分散媒としての酪酸ブチル
・導電助剤としてのVGCF
・バインダーとしてのPVdF系バインダーの酪酸ブチル溶液(5質量%)
・硫化物固体電解質としての、非晶質の硫化物固体電解質A(平均粒径0.5μm)
(負極活物質層準備工程)
負極活物質層の原材料としての負極合剤を、ポリプロピレン(PP)製の容器に入れた。これを、超音波分散装置(エスエムテー社製、型式:UH−50)で合計120秒間にわたって撹拌し、かつ振盪器(柴田科学株式会社製、型式:TTM−1)で合計20分間にわたって振盪することによって、負極活物質スラリーを調製した。
アプリケーターを使用して、ブレード法によって、この負極活物質スラリーを、負極極集電体としてのCu箔上に塗工した。これを、ホットプレート上で30分間にわたって100℃で乾燥させ、負極集電体上に負極活物質層を形成した。
負極合剤の構成は以下の通りである。
・負極活物質としての天然黒鉛系カーボン(三菱化学株式会社製、平均粒径10μm)
・分散媒としての酪酸ブチル
・バインダーとしてのPVdF系バインダーの酪酸ブチル溶液(5質量%)
・硫化物固体電解質としての、LiIを含有しているLiS−P系ガラスセラミックス(平均粒径0.5μm)
(第一固体電解質層準備工程)
第一固体電解質層の原材料としての電解質合剤を、ポリプロピレン(PP)製の容器に入れた。これを、超音波分散装置(エスエムテー社製、型式:UH−50)で30秒間にわたって撹拌し、かつ振盪器(柴田科学株式会社製、型式:TTM−1)で30分間にわたって振盪することによって、第一固体電解質スラリーを調製した。
アプリケーターを使用して、ブレード法によって、第一固体電解質スラリーを、剥離シートとしてのAl箔上に塗工した。これを、ホットプレート上で30分間にわたって100℃で乾燥させ、剥離シート上に第一固体電解質層を形成した。
電解質合剤の構成は以下の通りである。
・硫化物固体電解質としての、LiIを含有しているLiS−P系ガラスセラミックス(平均粒径2.0μm)
・分散媒としてのヘプタン
・バインダーとしてのBR系バインダーのヘプタン溶液(5質量%)
(第二固体電解質層準備工程)
第一固体電解質層準備工程と同様にして、剥離シート上に第二固体電解質層を形成した。
(中間固体電解質層準備工程)
中間固体電解質層の原材料としての電解質合剤を、ポリプロピレン(PP)製の容器に入れた。これを、超音波分散装置(エスエムテー社製、型式:UH−50)で30秒間にわたって撹拌し、かつ振盪器(柴田科学株式会社製、型式:TTM−1)で30分間にわたって振盪することによって、中間固体電解質スラリーを調製した。
アプリケーターを使用して、ブレード法によって、中間固体電解質スラリーを、剥離シートとしてのAl箔上に塗工した。これを、ホットプレート上で30分間にわたって100℃で乾燥させ、剥離シートおよび中間固体電解質層を有する転写シートを得た。
電解質合剤の構成は以下の通りである。
・硫化物固体電解質としての、LiIを含有しているLiS−P系ガラス(平均粒径1.0μm)
・分散媒としてのヘプタン
・バインダーとしてのBR系バインダーのヘプタン溶液(5質量%)
(正極積層体作製工程)
正極集電体、正極活物質層(合材層)、および第一固体電解質層をこの順で積層した。この積層体をロールプレス機にセットし、第一プレス工程として、プレス圧力15kN/cm、プレス温度195℃でプレスし(送り速度0.5m/min)、正極積層体を得た。なお、送り速度0.5m/minは、1秒間に約1cm移動する速度に該当し、合材層がロールに接している時間(加熱加圧時間)は、平面プレスに比べて極端に短い。また、プレス温度は、非接触式温度計で測定したロール表面の温度である。また、プレス圧力を25kN/cm、35kN/cm、50kN/cmに変更して、同様に正極積層体を得た。
(負極積層体作製工程)
負極集電体、負極活物質層、および第二固体電解質層をこの順で積層した。この積層体をロールプレス機にセットし、第二プレス工程として、プレス圧力20kN/cm、プレス温度25℃でプレスし、負極積層体を得た。
次に、負極積層体と転写シートとを、負極積層体の第二固体電解質層と、転写シートの中間固体電解質層とが対向するように積層した。この積層体を平面一軸プレス機にセットし、プレス圧力100MPa、プレス温度25℃で、10秒間にわたってプレスした。その後、転写シートを剥がし、中間固体電解質層を有する負極積層体を得た。
なお、負極積層体の面積が正極積層体の面積より大きくなるように、負極積層体および正極積層体を作製した。正極積層体および負極積層体の面積比は、1.00:1.08であった。
(全固体電池作製工程)
正極積層体と、中間固体電解質層を有する負極積層体とを、正極積層体の第一固体電解質層と、中間固体電解質層とが対向するように積層した。この積層体を平面一軸プレス機にセットし、第三プレス工程として、プレス圧力200MPa、プレス温度120℃で、1分間にわたってプレスした。これによって、全固体電池を得た。
[実施例2]
正極積層体作製工程におけるプレス温度を205℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして全固体電池を得た。
[実施例3]
正極積層体作製工程におけるプレス温度を215℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして全固体電池を得た。
[実施例4]
正極積層体作製工程を、以下のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして全固体電池を得た。具体的には、正極集電体、正極活物質層(合材層)、および第一固体電解質層をこの順で積層した。この積層体をロールプレス機にセットし、第一プレス工程として、プレス圧力15kN/cm、プレス温度165℃でプレスし(送り速度0.5m/min)、その後、ホットプレート上で5分間にわたって195℃で後加熱し、正極積層体を得た。また、プレス圧力を25kN/cm、35kN/cm、50kN/cmに変更して、同様に正極積層体を得た。
[実施例5]
後加熱温度を205℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして全固体電池を得た。
[比較例1]
正極活物質層に用いる硫化物固体電解質を、結晶性の硫化物固体電解質Bに変更し、正極積層体作製工程におけるプレス温度を165℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして全固体電池を得た。
[比較例2]
正極活物質層に用いる硫化物固体電解質を、結晶性の硫化物固体電解質Bに変更し、正極積層体作製工程におけるプレス温度を205℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして全固体電池を得た。
[比較例3]
正極積層体作製工程におけるプレス温度を165℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして全固体電池を得た。なお、各実施例および各比較例における、硫化物固体電解質の状態、プレス温度、後加熱温度を表1に示す。
Figure 2019067572
[評価]
[出力特性評価]
実施例1〜5および比較例1〜3で得られた全固体電池に対して、出力特性評価を行った。具体的には、0.3mAで4.4VまでCCCV充電した後、0.3mAで3.0VまでCCCV放電を行った。その後、3.5Vまで再び充電を行い、60mWから180mWの間で定出力放電を行い、2.5Vまで5秒間、放電可能な出力値を求めた。なお、比較例1においてプレス圧力50kN/cmの条件で作製した全固体電池の出力値を100とし、各々の全固体電池の出力特性(出力比)を評価した。その結果を図4および図5に示す。
図4に示すように、実施例1〜3は、比較例1〜3に比べて出力特性が良好であった。比較例1は、線圧が低くなるほど、出力特性が大きく低下したが、実施例1〜3では、線圧が低くなっても、出力特性の低下が抑制された。特に、プレス温度が硫化物固体電解質の結晶化温度よりも5℃以上高い実施例2、3は、線圧20kN/cm以上35kN/cm以下の範囲(線圧が低い範囲)でも、50kN/cmの場合と同等の出力特性が得られた。このように、プレス温度を結晶化温度よりも高くすることが、ロールプレスの特性(平面プレスに比べて、生産効率は良いが加熱時間が短くなるいう特性)に適していることが示唆された。
また、比較例2では、結晶性の硫化物固体電解質を用いた場合であっても、プレス温度を高くすることで、比較例1よりも出力特性が向上した。しかしながら、比較例2においても、比較例1と同様に、線圧が低くなるほど、出力特性が大きく低下した。また、プレス温度が同じである実施例2および比較例2を比べると、実施例2が比較例2よりも出力特性が大幅に向上した。なお、比較例3では、非晶質の硫化物固体電解質を用いているが、結晶化温度未満の温度で加熱しているため、硫化物固体電解質のLiイオン伝導度が向上せず、良好な出力特性が得られなかった。
また、図5に示すように、結晶化温度以上の温度で後加熱を行った実施例4、5においても、実施例1〜3と同様の傾向が見られ、線圧が低くなっても、出力特性の低下が抑制された。
[充填率測定]
実施例1〜3および比較例1、3で作製した正極活物質層の充填率を測定した。まず、正極活物質層の面積、厚さおよび質量から、正極活物質層の見かけの密度を算出した(正極活物質層の見かけの密度=質量/(厚さ×面積))。次に、正極活物質層の構成成分の真密度および含有量から、正極活物質層の真密度を算出した。(正極活物質層の真密度=質量/Σ(各構成成分の含有量/各構成成分の真密度))。真密度に対する見かけの密度を、充填率とした。その結果を図6に示す。
図6に示すように、実施例1〜3および比較例3は、比較例1に比べて、充填率が高くなった。これは、ホットロールプレス時に、非晶質の硫化物固体電解質を含有する正極活物質層に対して、硫化物固体電解質のガラス転移温度以上の熱を加えることで、正極活物質層の緻密化が生じることが示唆された。特に、線圧が20kN/cm以上である場合、実施例1〜3は、比較例3よりも充填率が高くなった。また、比較例3では、正極活物質層の緻密化が生じているが、上述した図4に示すように、比較例3は、実施例1〜3に比べて、出力特性が低い。
1 … 活物質
2 … 非晶質の硫化物固体電解質
10a … 合材層
10 … 活物質層
11 … 基材
12 … 固体電解質層
20 … 全固体電池
21a … 合材層
21 … 正極活物質層
22 … 負極活物質層
23 … 固体電解質層
24 … 正極集電体
25 … 負極集電体

Claims (8)

  1. 活物質および非晶質の硫化物固体電解質を含有する合材層を準備する準備工程と、
    前記合材層を、前記硫化物固体電解質の結晶化温度以上の温度で加熱しながらロールプレスするホットロールプレス工程とを有し、
    前記硫化物固体電解質が、Li元素、P元素およびS元素を含有し、PS 3−をアニオン構造の主体として含有するイオン伝導体と、LiIと、を含有する材料であり、
    前記ホットロールプレス工程において印加する線圧が、15kN/cm以上、50kN/cm以下である、全固体電池用活物質層の製造方法。
  2. 前記ホットロールプレス工程において印加する線圧が、35kN/cm以下である、請求項1に記載の全固体電池用活物質層の製造方法。
  3. 前記ホットロールプレス工程における加熱温度が、195℃以上である、請求項1または請求項2に記載の全固体電池用活物質層の製造方法。
  4. 前記ホットロールプレス工程における加熱温度が、前記硫化物固体電解質の結晶化温度よりも5℃以上高く、
    前記ホットロールプレス工程において印加する線圧が、20kN/cm以上、35kN/cm以下である、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の全固体電池用活物質層の製造方法。
  5. 活物質および非晶質の硫化物固体電解質を含有する合材層を準備する準備工程と、
    前記合材層を、前記硫化物固体電解質のガラス転移温度以上結晶化温度未満の温度で加熱しながらロールプレスするホットロールプレス工程と、
    前記ホットロールプレス工程後に、前記合材層を、前記硫化物固体電解質の結晶化温度以上の温度で加熱する後加熱工程とを有し、
    前記硫化物固体電解質が、Li元素、P元素およびS元素を含有し、PS 3−をアニオン構造の主体として含有するイオン伝導体と、LiIと、を含有する材料であり、
    前記ホットロールプレス工程において印加する線圧が、15kN/cm以上、50kN/cm以下である、全固体電池用活物質層の製造方法。
  6. 前記ホットロールプレス工程において印加する線圧が、35kN/cm以下である、請求項5に記載の全固体電池用活物質層の製造方法。
  7. 前記ホットロールプレス工程における加熱温度が、165℃以上である、請求項5または請求項6に記載の全固体電池用活物質層の製造方法。
  8. 正極活物質層と、負極活物質層と、前記正極活物質層および前記負極活物質層の間に形成された固体電解質層とを有する全固体電池の製造方法であって、
    前記正極活物質層および前記負極活物質層の少なくとも一方を、請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の全固体電池用活物質層の製造方法により形成する活物質層形成工程を有する、全固体電池の製造方法。
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