JP2021080316A - 熱伝導性組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子部品等に対して良好に塗布することができ、かつポンプアウトの発生も効果的に抑制することができる熱伝導性組成物を提供する。【解決手段】本発明に係る熱伝導性組成物は、基油組成物と、無機粉末充填剤と、を含む熱伝導性組成物であって、前記基油組成物は、基油と、ポリエチレンを含有し、前記基油組成物100質量部に対し、前記基油を30質量部以上の割合で含有し、前記ポリエチレンを50質量部以上の割合で含有する、熱伝導性組成物である。【選択図】なし
Description
本発明は、発熱部品と放熱部品の間に塗布して用いられる熱伝導性組成物に関する。
電子機器に使用されている半導体素子や機械部品等の中には、コンピューターのCPUやインバーター、コンバーター等の電源制御用のパワー半導体のように使用中に発熱をともなう発熱部品がある。これらの半導体部品を熱から保護し、正常に機能させるためには、発生した熱をヒートシンク等の放熱部品へ伝導させ放熱する方法がある。この放熱部品への熱の伝達を効率よく行う目的で、発熱部品と放熱部品との間に熱伝導性部材を挟んで用いている。この熱伝導性部材には、固体状の熱伝導性シートや、液体状の熱伝導性グリース、液体状から固体状に変化する硬化型熱伝導性グリースなどの種類があり、用途に応じて使い分けられている。
例えば、特許文献1には、バインダー樹脂と、炭素繊維と、炭素繊維以外の熱伝導性フィラーとを含有する熱伝導シートの技術が開示されている。このような熱伝導シートは、取り扱いに優れるものの、固体状であるため発熱部品や放熱部品との密着性を上げるのが困難であり、かつ、一定の厚みが必要となり熱伝導率が高くない。密着性を向上させるために、半導体などの発熱部品の作動時の熱で液化する樹脂を用いた、いわゆるフェイズチェンジシートも用いられているが、シートを発熱部品にあわせた形状へ加工するのが困難であり、かつ熱伝導率を高くすることができない。
一方、特許文献2には、不飽和ジカルボン酸ジブチルエステルとα−オレフィンとのコポリマーからなる基油中に、熱伝導性充填剤を含有する熱伝導性グリースに関する技術が開示されている。熱伝導性グリースは常温でペースト状であり加圧により流動するため、薄膜状に塗布しやすく密着性に優れ、高い放熱特性を有する。しかしながら、発熱と放熱の繰り返しによる発熱部品等の膨張、収縮により塗布部分から流出しやすく耐ポンプアウト性に劣るという課題がある。
さらに、特許文献3には、硬化可能な液状高分子と熱伝導性充填剤を含有する、二液混合タイプの硬化型熱伝導性グリースの技術が開示されている。硬化型熱伝導性グリースは、常温ではグリース状の液体であるため、塗布時に発熱部品や放熱部品との密着性を上げて、その後の硬化処理により半固体のシート状になることで耐ポンプアウト性を向上させることができる。しかし、二液混合タイプの場合、塗布前に十分混合し均一化する必要があり、その際に気泡を巻き込まない、若しくは脱泡する必要がある。混合が不十分だと、所定の性能を発揮できない場合もある。一液タイプの場合は、混合や脱泡の必要は無いが、硬化方法に応じた適切な保管が必要になる。
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、例えば小型化の進む電子部品等に対して良好に塗布することができ、かつポンプアウトの発生も効果的に抑制することができる熱伝導性組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、基油とポリエチレンとを特定の割合で含有する基油組成物を含む熱伝導性組成物であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1は、基油組成物と、無機粉末充填剤と、を含む熱伝導性組成物であって、前記基油組成物は、基油と、ポリエチレンを含有し、前記基油組成物100質量部に対し、前記基油を30質量部以上の割合で含有し、前記ポリエチレンを50質量部以上の割合で含有する、熱伝導性組成物である。
である。
である。
(2)本発明の第2は、第1の発明において、前記ポリエチレンの融点が120℃以上140℃以下である、熱伝導性組成物である。
(3)本発明の第3は、第1又は2の発明において、前記ポリエチレンの平均粒径が50μm以下である、熱伝導性組成物である。
(4)本発明の第4は、第1乃至3のいずれかの発明において、前記基油は、エステル油及び/又はポリαオレフィン油を含有する熱伝導性組成物である。
(5)本発明の第5は、第1乃至4のいずれかの発明において、無機粉末充填剤は、熱伝導性組成物100質量%に対して50質量%以上90質量%以下の割合で含有する、熱伝導性組成物である。
本発明によれば、電子部品等に対して良好に塗布することができ、かつポンプアウトの発生も効果的に抑制することができる熱伝導性組成物を提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
≪1.熱伝導性組成物≫
本実施の形態に係る熱伝導性組成物は、基油組成物と、無機粉末充填剤と、を含む。そして、基油組成物においては、特定の割合で、基油と、ポリエチレンを含有することを特徴としている。
本実施の形態に係る熱伝導性組成物は、基油組成物と、無機粉末充填剤と、を含む。そして、基油組成物においては、特定の割合で、基油と、ポリエチレンを含有することを特徴としている。
<1−1.基油組成物>
基油組成物は、少なくとも基油と、ポリエチレンを含有する。そして、基油組成物100質量部に対し、基油を30質量部以上の割合で含有し、ポリエチレンを50質量部以上の割合で含有する。
基油組成物は、少なくとも基油と、ポリエチレンを含有する。そして、基油組成物100質量部に対し、基油を30質量部以上の割合で含有し、ポリエチレンを50質量部以上の割合で含有する。
本発明者の研究により以下のことが明らかとなった。すなわち、所定量の基油を含有する基油組成物を含む熱伝導性組成物とすることで、その熱伝導性組成物をグリース状にすることができ、室温での例えば発熱部品に対する塗布性(取り扱い性)を向上させることができ、その発熱部品や放熱部品との密着性を高めることができる。
さらに、その基油組成物には特定の割合でポリエチレンが含まれていることにより、熱伝導性組成物がそのポリエチレンの融点に基づく所定の温度以上で軟化して、いわゆるフェイズチェンジを起こすようになる。これにより、例えば発熱部品からの発熱による高温時には、塗布された熱伝導性組成物の流動性が高まってさらに均一に拡がるようになり、発熱部品や放熱部品との間隔が狭くなった状態で密着性が高まり、熱抵抗をより低くすることができ、熱伝導効率を向上させることができる。
一方、均一に広がった熱伝導性組成物は、その後の温度低下に伴って、ポリエチレンの融点に基づく所定の温度未満で硬化してフェイズチェンジを起こし、適度な硬さの半固体状態に戻る。これにより、発熱部品と放熱部品との密着性を維持した状態で、ネットワーク化した樹脂により基油の流出を防ぐことができ、ポンプアウトを効果的に抑制することができる。
以下、基油組成物に含まれる各成分について説明する。
(1)基油
基油としては、種々の基油が使用でき、例えば、鉱油、合成炭化水素油等の炭化水素系基油、エステル系基油、エーテル系基油、リン酸エステル、シリコン油及びフッ素油等が挙げられる。中でも、鉱油、もしくは合成炭化水素油、又は両者の混合物からなる基油を用いるのが好ましい。
基油としては、種々の基油が使用でき、例えば、鉱油、合成炭化水素油等の炭化水素系基油、エステル系基油、エーテル系基油、リン酸エステル、シリコン油及びフッ素油等が挙げられる。中でも、鉱油、もしくは合成炭化水素油、又は両者の混合物からなる基油を用いるのが好ましい。
鉱油としては、例えば、鉱油系潤滑油留分を溶剤抽出、溶剤脱ロウ、水素化精製、水素化分解、ワックス異性化等の精製手法を適宜組み合わせて精製したもので、150ニュートラル油、500ニュートラル油、ブライトストック、高粘度指数基油等を用いることができる。基油に用いられる鉱油は、高度に水素化精製された高粘度指数基油が好ましい。
合成炭化水素油としては、例えばノルマルパラフィン、イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、1−デセンオリゴマー、1−デセンとエチレンとのコオリゴマー等のポリ−α−オレフィン又はこれらの水素化物等を単独で、もしくは2種以上を混合して使用することができる。中でもポリ−α−オレフィンがより好ましい。また、アルキルベンゼンやアルキルナフタレン等を用いることもできる。
エステル系基油としては、ジエステルやポリオールエステルが挙げられる。ジエステルとしては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の二塩基酸のエステルが挙げられる。二塩基酸としては、炭素数4以上36以下の脂肪族二塩基酸が好ましい。エステル部を構成するアルコール残基は、炭素数4以上26以下の一価アルコール残基が好ましい。ポリオールエステルとしては、β位の炭素上に水素原子が存在していないネオペンチルポリオールのエステルで、具体的にはネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のカルボン酸エステルが挙げられる。エステル部を構成するカルボン酸残基は、炭素数4以上26以下のモノカルボン酸残基が好ましい。
エーテル系基油としては、ポリグリコールや(ポリ)フェニルエーテル等が挙げられる。ポリグリコールとしては、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール、及びこれらの誘導体等が挙げられる。(ポリ)フェニルエーテルとしては、モノアルキル化ジフェニルエーテル、ジアルキル化ジフェニルエーテル等のアルキル化ジフェニルエーテルや、モノアルキル化テトラフェニルエーテル、ジアルキル化テトラフェニルエーテル等のアルキル化テトラフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテル、モノアルキル化ペンタフェニルエーテル、ジアルキル化ペンタフェニルエーテル等のアルキル化ペンタフェニルエーテル等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート等が挙げられる。
基油の動粘度は、40℃で10mm2/s以上1200mm2/s以下であることが好ましい。40℃における動粘度を10mm2/s以上とすることで、高温下での基油の蒸発や離油等が抑制される傾向にあるため好ましい。また、40℃における動粘度を1200mm2/s以下とすることで熱伝導性組成物の塗布性(取り扱い性)を向上させ、さらにフェイズチェンジを起こしたときに流動性を向上させることができる。
基油の含有量としては、基油組成物100質量部に対して30質量部以上の割合で含有する。30質量部未満であると、熱伝導性組成物の流動性が低下し、熱伝導性組成物の塗布性が低下する。また、発熱時に熱伝導性組成物がフェイズチェンジしても、基油成分が少ないため、十分な流動性が得られず、発熱部品と放熱部品との密着性も向上しにくい。特に、熱伝導性組成物を熱伝導性グリースとして用いる場合、ちょう度が低下してグリース状にすることが困難となる。
また、基油の含有量としては、基油組成物100質量部に対して50質量部以下の割合で含有することが好ましい。これにより、ポリエチレン等の他の固形成分の比率が高くすることが可能となり、ポンプアウトを効果的に抑制することができる。
(2)ポリエチレン
ポリエチレンは、融点が90℃以上145℃以下である樹脂である。このようなポリエチレンを熱伝導性組成物中に含有させることで、その融点以上の高温時に、熱伝導性組成物を軟化させて流動性を付与する。
ポリエチレンは、融点が90℃以上145℃以下である樹脂である。このようなポリエチレンを熱伝導性組成物中に含有させることで、その融点以上の高温時に、熱伝導性組成物を軟化させて流動性を付与する。
ポリエチレンとしては、融点が110℃以上145℃以下のものであることが好ましく、120℃以上140℃以下のものであることがより好ましい。
また、ポリエチレンは、小粒径のものであることが好ましい。具体的には、平均粒子径が5μm以上、50μm以下のものであることが好ましい。小粒径のポリエチレンを用いることにより、その熱伝導性組成物をグリース状にすることができる。さらに高温時には、塗布された熱伝導性組成物の流動性がさらに高まって発熱部品と放熱部品との密着性を高めることができる。
ポリエチレン含有量としては、基油組成物100質量部に対して50質量部以上の割合で含有する。50質量部未満であると、熱伝導性組成物がフェイズチェンジしても十分な流動性が得られず、さらに耐ポンプアウト性が得られなくなる。
また、ポリエチレン含有量としては、基油組成物100質量部に対して70質量部以下の割合で含有することが好ましい。これにより、基油等の他の成分の比率が高くすることが可能となり、熱伝導性組成物の塗布性(取り扱い性)を向上させることができる。
ポリエチレンの平均分子量は、特に限定されるものではないが50万以上500万以下であることが好ましい。このような平均分子量のポリエチレンを用いることにより、比較的容易に、融点が120℃以上140℃以下の材料を選定することができる。
(3)その他の添加剤
熱伝導性組成物の各種特性を高めるために、増ちょう剤、酸化防止剤、拡散防止剤、及び分散剤から選ばれる一種または二種以上の組合せからなる添加剤を更に含有させることができる。
熱伝導性組成物の各種特性を高めるために、増ちょう剤、酸化防止剤、拡散防止剤、及び分散剤から選ばれる一種または二種以上の組合せからなる添加剤を更に含有させることができる。
増ちょう剤は熱伝導性基油含有組成物のちょう度を高め、熱伝導性基油含有組成物の塗布性を向上させる。増ちょう剤は特に熱伝導性基油含有組成物を電子機器等に塗布するためのグリース(熱伝導性グリース)として用いる場合には含有することが好ましい。
増ちょう剤は、例えば、ウレア化合物、ナトリウムテレフタラメート、ポリテトラフルオロエチレン、有機化ベントナイト、シリカゲル、石油ワックス、ポリエチレンワックス等を挙げることができる。
酸化防止剤は、基油組成物に含まれる基油の酸化を防止する。酸化防止剤は、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、イオウ系、リン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、HALS等の化合物が挙げられる。
分散剤は、例えば、ポリグリセリンモノアルキルエーテル化合物、脂肪酸エステルのようなカルボン酸構造を有する化合物、ポリカルボン酸系化合物等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよいが、2種以上を組み合わせて使用してもよい。特に、ポリグリセリンモノアルキルエーテル化合物、カルボン酸構造を有する化合物、ポリカルボン酸系化合物を併用することが好ましい。
これらのその他の添加剤の含有量としては、基油組成物100質量部に対して0質量部より多く、20質量部未満であることが好ましい。
<1−2.無機粉末充填剤>
無機粉末充填剤は、熱伝導性組成物に高い熱伝導性を付与する。本実施の形態に係る熱伝導性組成物に用いられる無機粉末充填剤は、基油組成物より高い熱伝導性を有するものであれば特に限定されないが、金属酸化物、無機窒化物、金属(合金も含む。)、ケイ素化合物、カーボン材料などの粉末が好適に用いられる。
無機粉末充填剤は、熱伝導性組成物に高い熱伝導性を付与する。本実施の形態に係る熱伝導性組成物に用いられる無機粉末充填剤は、基油組成物より高い熱伝導性を有するものであれば特に限定されないが、金属酸化物、無機窒化物、金属(合金も含む。)、ケイ素化合物、カーボン材料などの粉末が好適に用いられる。
金属としては、銅、アルミニウムなどが挙げられ、炭素としてはピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、樹脂繊維を炭化処理した繊維、樹脂繊維を黒鉛化処理した繊維や、グラファイト粉末などが挙げられる。耐電圧性が求められる場合には、金属や炭素以外の熱伝導性フィラーを用いることが好ましい。
金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、石英などが挙げられ、金属窒化物としては、窒化ホウ素、及び窒化アルミニウムなどが挙げられる。また、金属炭化物としては、炭化ケイ素などが挙げられ、金属水酸化物としては、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。熱伝導性フィラーの形状としては、球状であっても球状以外の形状であってもよいが、球状の粒子の方が高充填させやすいため、熱伝導性を高めやすい点で好ましい。
無機粉末充填剤の平均粒径としては、0.3μm以上10μm以下とすることが好ましい。平均粒径が0.3μm未満では熱伝導性フィラーの取扱いが難しく、バインダー中に高充填し難くなることがある。一方、平均粒径が10μmを超える場合には、加熱状態においても熱伝導性フィラーの流動性が十分得られず、熱伝導性組成物の圧縮性が悪くなり、熱抵抗率を下げ難くなるおそれがある。
本実施の形態に係る熱伝導性組成物において、無機粉末充填剤の平均粒径はレーザー回折散乱法(JIS R 1629:1997に準拠)により測定した粒度分布の体積平均径として算出できる。
この無機粉末充填剤には、0.1μm以上1μm以下の平均粒径を有する無機粉末充填と、5μm以上20μm以下の平均粒径を有する無機粉末充填の2種類の無機粉末充填を所定量含むことが好ましい。平均粒径の異なる無機粉末充填を2種類以上混合した方が、熱伝導性組成物を高充填化することができるようになり、熱伝導性を高めることができる。
無機粉末充填剤の含有量は、熱伝導性組成物100質量%に対して50質量%以上90質量%以下の割合で含有することが好ましく、60質量%以上90質量%以下の割合で含有することがより好ましい。50質量%未満では、無機粉末充填剤間の距離が開きすぎ、十分な熱伝導性が得られない場合がある。一方、90質量%を超えると、相対的に基油組成物が少なくなってしまい、熱伝導性組成物がフェイズチェンジを起こしても流動性が十分得られず、発熱部品と放熱部品との密着性を高めることができない場合がある。
<1−3.熱伝導性組成物の製造方法>
本実施の形態に係る熱伝導性組成物の製造に関しては、均一に成分を混合できればその方法は特に限定されない。一般的な製造方法としては、プラネタリーミキサー、自転公転ミキサーなどにより混練りを行い、さらに三本ロールにて均一に混練りする方法がある。
本実施の形態に係る熱伝導性組成物の製造に関しては、均一に成分を混合できればその方法は特に限定されない。一般的な製造方法としては、プラネタリーミキサー、自転公転ミキサーなどにより混練りを行い、さらに三本ロールにて均一に混練りする方法がある。
以下、本発明の実施例及び比較例に基づいて、本発明をさらに説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
下記(A)〜(D)に示す各材料を用い、下記表1に示す組成の熱伝導性組成物(熱伝導性グリース)を作製した。
[熱伝導性グリースの構成及び製造方法]
(構成成分)
(A)熱伝導性フィラー
A1:球状酸化アルミニウム(平均粒径:1μm)
A2:球状酸化アルミニウム(平均粒径:12μm)
(B)樹脂
B1:超高分子量ポリエチレン
(三井化学社製,ミペロン XM221U(融点136℃) 平均分子量:200万)
(C)基油
C1:トリメリット酸エステル(エステル油)
(D)添加剤
D1:酸化防止剤
D2:増ちょう剤(有機処理ベントナイト)
D3:分散剤
(構成成分)
(A)熱伝導性フィラー
A1:球状酸化アルミニウム(平均粒径:1μm)
A2:球状酸化アルミニウム(平均粒径:12μm)
(B)樹脂
B1:超高分子量ポリエチレン
(三井化学社製,ミペロン XM221U(融点136℃) 平均分子量:200万)
(C)基油
C1:トリメリット酸エステル(エステル油)
(D)添加剤
D1:酸化防止剤
D2:増ちょう剤(有機処理ベントナイト)
D3:分散剤
(熱伝導性グリースの製造)
下記表1に示す組成で、材料(A)〜(D)をプラネタリーミキサーにて混合しグリース状とした。その後、三本ロールによる混練を行うことにより各材料を十分に分散させて、実施例及び比較例の熱伝導性グリースを製造した。
下記表1に示す組成で、材料(A)〜(D)をプラネタリーミキサーにて混合しグリース状とした。その後、三本ロールによる混練を行うことにより各材料を十分に分散させて、実施例及び比較例の熱伝導性グリースを製造した。
なお、表中の無機粉末充填剤は、熱伝導性グリース100質量%に対する質量%を意味する。一方、ポリエチレンと、基油と、添加剤と、は、基油組成物100質量部に対する質量部を意味する。
[熱伝導性グリースの評価]
(耐熱性評価)
熱伝導性グリースにおける耐熱性評価は、IGBTモジュールを発熱体に用いて繰り返し発熱させた際の、発熱部品と放熱部品間のジャンクション温度(以下、Tjと表記)が一定値に至るまでの繰り返し回数(耐久サイクル数)により評価した。
(耐熱性評価)
熱伝導性グリースにおける耐熱性評価は、IGBTモジュールを発熱体に用いて繰り返し発熱させた際の、発熱部品と放熱部品間のジャンクション温度(以下、Tjと表記)が一定値に至るまでの繰り返し回数(耐久サイクル数)により評価した。
具体的には、まず、25℃に保たれた水冷ジャケット上に表面が180mm×240mmのアルミ製ブロック(ヒートシンク)を設置した。そして、発熱部品であるIGBTモジュール(富士電機製)に熱伝導性グリースを塗布した、表1に示す各熱伝導性グリースが、上記アルミブロックとの間に挟み込まれる構造の評価試料を作製した。そして、IGBTモジュールへの塗布はスクリーン印刷で行い、放熱部品であるアルミ製のヒートシンクへの取り付けはM5ねじを用いて3Nmの締め付けトルクで行った。
IGBTモジュールを駆動させ、挟み込まれた部分(ジャンクション)の温度を150℃にする。電源をONにし、Tjが150℃以上となった時点から1分間保持し、その後、電源をOFFにし、およそ3分間で25℃まで冷却させ、これを1サイクルとした。
本実施例においては、運転初期のTj平均値に対して、Tjが2℃超増加した時点を熱熱伝導性グリースの性能寿命とし、そのサイクル回数を評価した。Tjの計測は1000サイクル毎に行った。表1にはTjが2℃超増加したときのサイクル数を示す。
このTjが2℃超増加したときのサイクル数が「5000回以上」のものを耐熱性に優れる(「○」)と評価し、「5000回未満」のものを耐熱性が十分ではない(「×」)と評価した。
(塗布性評価)
塗布性は、熱伝導性グリースの室温でのちょう度により評価した。JIS K2220グリースの「ちょう度」測定法に準じてちょう度を測定した。
塗布性は、熱伝導性グリースの室温でのちょう度により評価した。JIS K2220グリースの「ちょう度」測定法に準じてちょう度を測定した。
この室温でのちょう度(常温ちょう度)が190以上のものを室温での塗布性(取り扱い性)が良好である(「○」)と評価し、190未満のものを塗布性が十分ではない(「×」)と評価した。
(耐ポンプアウト性評価)
耐ポンプアウト性は、熱伝導性グリースの高温(150℃)でのちょう度により評価した。
耐ポンプアウト性は、熱伝導性グリースの高温(150℃)でのちょう度により評価した。
この高温(150℃)でのちょう度(150℃ちょう度)が365以下のものをポンプアウトの抑制効果がある(「○」)と評価し、365超のものをポンプアウトの抑制効果が十分ではない(「×」)と評価した。
実施例1,2の熱伝導性グリースは、耐久サイクル回数が5000回以上と良好な耐熱性を示し、室温での常温ちょう度が190以上と塗布性が良好であった。また、高温(150℃)でのちょう度も365以下であり、耐ポンプアウト性に優れていた。
これに対し、ポリエチレンを含有しない比較例1の熱伝導性グリースでは、耐久サイクル回数が3000回となり、耐熱性が劣ることが分かる。また、発熱時の150℃ちょう度が400と高く、流動しすぎるため、ポンプアウトが生じやすいことが分かる。
また、実施例と比べて基油の含有量が少ない比較例2の熱伝導性グリースでは、耐久サイクル回数が2000回と少なく、耐熱性に劣ることが分かる。また、室温での常温ちょう度が190未満と低く、流動性が低く、塗布性が劣ることが分かる。
Claims (5)
- 基油組成物と、無機粉末充填剤と、を含む熱伝導性組成物であって、
前記基油組成物は、基油と、ポリエチレンを含有し、
前記基油組成物100質量部に対し、前記基油を30質量部以上の割合で含有し、前記ポリエチレンを50質量部以上の割合で含有する、
熱伝導性組成物。 - 前記ポリエチレンの融点が120℃以上140℃以下である、
請求項1に記載の熱伝導性組成物。 - 前記ポリエチレンの平均粒径が50μm以下である、
請求項1又は2に記載の熱伝導性組成物。 - 前記基油は、エステル油及び/又はポリαオレフィン油を含有する、
請求項1乃至3のいずれかに記載の熱伝導性組成物。 - 前記無機粉末充填剤は、当該熱伝導性組成物100質量%に対して50質量%以上90質量%以下の割合で含有される、
請求項1乃至4のいずれかに記載の熱伝導性組成物。
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2019
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