JP7073939B2 - 熱伝導性グリース - Google Patents

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本発明は、熱伝導性グリースに関する。
電子機器に使用されている半導体部品の中には、コンピューターのCPU、ペルチェ素子、LED、インバーター等の電源制御用パワー半導体など使用中に発熱をともなう発熱部品がある。
これらの半導体部品を熱から保護し、正常に機能させるためには、発熱部品から発生した熱をヒートシンク等の放熱部品へ伝導させ放熱させる方法がある。熱伝導性グリースは、これら発熱部品と放熱部品を密着させるように両者の間に塗布され、半導体部品の熱を放熱部品に効率よく伝導させるために用いられる。近年、これら半導体部品を用いる電子機器の性能向上や小型・高密度実装化が進んでおり、放熱対策に用いられる熱伝導性グリースにはより高い熱伝導性が求められる。
熱伝導性グリースは、液状炭化水素やシリコーン油やフッ素油等の基油に、酸化亜鉛、酸化アルミニウムなどの金属酸化物や、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの無機窒化物や、アルミニウムや銅などの金属粉末等、熱伝導率の高い充填剤が多量に分散されたグリース状組成物である。例えば、特定の表面改質剤を配合したもの(特許文献1、2等参照)等が開示されている。
特許第5944306号公報 特開2008-280516号公報
熱伝導性グリースは、コンピューターのCPU等の発熱部品と、ヒートシンク等の放熱部品との熱接触界面、並びにハイブリッド自動車や電気自動車等に搭載される高出力のインバーター等の発熱部品と、ヒートスプレッダー等の放熱部品との熱接触界面に塗布して使用される。近年、これらのエレクトロニクス機器における半導体素子は、小型化・高性能化に伴い、発熱密度及び発熱量が増大し、更に、他の半導体部品である発熱部品に近接され組み込まれることが多くなっており熱伝導性グリースはより高い放熱特性を求められている。
一般に熱伝導性グリースの放熱特性は、発熱部品と放熱部品との熱接触界面での界面熱抵抗値と反比例する。熱接触界面における界面熱抵抗値を低減することにより効果的に発熱部品から発生した熱を放熱部品へ伝導させ放熱することができる。
熱接触界面における界面熱抵抗値を低減するには発熱部品と放熱部品との距離が短くなるように熱伝導性グリースを塗布することが効果的である。しかしながら、近年の小型化された電子機器等の発熱部品に熱伝導性グリースを空隙なく均一に薄く塗布することは必ずしも容易ではない。
発熱部品と放熱部品との間の熱伝導性グリースの厚みを均一に薄くするためには、例えば、発熱部品に対して一定の厚さに熱伝導性グリースに塗布した後に、塗布した熱伝導性グリースに放熱部品を接着させた後、放熱部品ごと熱伝導性グリースを加圧することにより、熱伝導性グリースを変形させて薄く広げる方法が挙げられる。この様に、熱伝導性グリースを薄く広げるには、熱伝導グリースの変形性(以下、「展性」という)が高いことが望ましい。
熱伝導性グリースの展性を高くするためには、例えば、熱伝導性グリースに含有される無機粉末充填剤の含有量を低くし、熱伝導性グリースに含有される基油の含有量を増やすことで、熱伝導性グリースの展性を阻害する要因である無機粉末充填剤の粒子同士の摩擦を低減する方法が考えられる。しかしながら、熱伝導グリースに含有されるフィラーの含有量が低くなると熱伝導性グリース自体の熱伝導性も低下する。そのため、熱伝導性グリースの展性と熱伝導性とを両立させることが困難であった。
本発明は、このような従来の事情に鑑みてなされたものであり、展性と熱伝導性とを両立させることができる熱伝導性グリースを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、平均粒径の異なる3種類の無機粉末充填剤を含有する熱伝導性グリースであれば上記課題を解決できることを見出し、本発明の完成するに至った。
本発明の第1の発明は、
無機粉末充填剤と、基油と、を含有する熱伝導性グリースであって、
前記無機粉末充填剤は、無機粉末充填剤100質量%に対して50質量%以上60質量%以下である第1の無機粉末充填剤と、20質量%以上30質量%以下である第2の無機粉末充填剤と、10質量%以上30質量%以下である第3の無機粉末充填剤と、を含有し、
前記第1の無機粉末充填剤の平均粒子径は、4μm以上6μm以下であり、
前記第2の無機粉末充填剤の平均粒子径は、1.5μm以上3μm以下であり、
前記第3の無機粉末充填剤の平均粒子径は、0.5μm以上1.0μm以下である
熱伝導性グリースである。
本発明の第2の発明は、
第1の発明において
前記無機粉末充填剤の含有量が、熱伝導性グリース100質量%に対して90質量%以上93質量%以下である
熱伝導性グリースである。
本発明の第3の発明は、
第1又は第2の発明において
分散剤をさらに含有し、
前記分散剤は、ポリグリセリンモノアルキルエーテル化合物、カルボン酸構造を有する化合物及びポリカルボン酸系化合物からなる群より選択される
熱伝導性グリースである。
本発明の熱伝導性グリースは、熱伝導性グリースの展性と熱伝導性とを両立させることができる。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。また、本明細書において、「~」との表記は、「以上」「以下」を意味し、「X:Y~A:B」との表記は「X:Y」及び「A:B」そのものを含み、「X:Y」と「A:B」との間の範囲を意味する。
≪1.熱伝導性グリース≫
本実施の形態に係る熱伝導性グリース(以下、単にグリースと表記することがある。)は、無機粉末充填剤と、基油と、を含有する。以下、熱伝導性グリースに含有される各成分について説明する。
[各成分について]
(無機粉末充填剤)
無機粉末充填剤は、グリースに含有されることにより、そのグリースに高い熱伝導性を付与する。
本発明者らの研究により、平均粒径の異なる3種類の無機粉末充填剤(第1、第2及び第3の無機粉末充填剤)をそれぞれ特定の割合で含有する熱伝導性グリースであれば、そのグリースの展性と熱伝導性とを両立させることができることが見出された。
ここで、熱伝導性グリースに含有される無機粉末充填剤の粒子同士の摩擦によって、熱伝導性グリースの展性は阻害される。一方、熱伝導性グリースに含有される基油によって、無機粉末充填剤の粒子同士の摩擦を低減することができる。このことから、熱伝導性グリースの展性は、熱伝導性グリースに含有される基油の含有量に依存すると考えられる。
また、熱伝導性グリースに含有される無機粉末充填剤の粒径が均一であると、無機粉末充填剤の粒子間の隙間が大きくなり、その隙間に熱伝導性グリースに含有される基油が入り込む量が多くなる。そのため、基油の含有量を少量にした場合、無機粉末充填剤の粒子同士の摩擦を低減して熱伝導性グリースの展性を発揮させるための基油の量が減ることとなり、熱伝導性グリースが展性を十分に発揮できなくなる。
そこで、本実施の形態に係る熱伝導性グリースでは、所定の平均粒径を有する第1、第2及び第3の無機粉末充填剤をそれぞれ特定の含有量で含有することにより、無機粉末充填剤の粒子間の隙間に入り込む基油を減らすことが可能となる。そのため、熱伝導性グリースに含有される無機粉末充填剤の含有量を増やしつつ、熱伝導性グリースに展性を付与することができる。
本実施の形態に係る熱伝導性グリースに用いられる無機粉末充填剤の種類は、基油より高い熱伝導率を有するものであれば特に限定されず、例えば、金属酸化物、無機窒化物、金属(合金も含む)、ケイ素化合物、カーボン材料などの粉末が挙げられる。無機粉末充填剤の種類は、1種類であってもよいし、また2種以上を組み合わせて用いることもできる。
より具体的に、金属酸化物は、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等を挙げることができる。無機窒化物は、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等を挙げることができる。金属は、銅、アルミニウム、銀等を挙げることができる。ケイ素化合物としては炭化ケイ素、シリカ等を挙げることができる。カーボン材料は、ダイヤモンド、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等を挙げることができる。
無機粉末充填剤は、電気絶縁性を求める場合には、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、シリカ、ダイヤモンドなどの、半導体やセラミックなどの非導電性物質の粉末が好ましく、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、シリカの粉末がより好ましく、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムの粉末が特に好ましい。
無機粉末充填剤は3種類の平均粒径の異なる無機粉末充填剤を用いる。無機粉末充填剤の内、最も径の大きな第1の無機粉末充填剤である粗粒は、平均粒子径4μm以上6μm以下で無機粉末充填剤100質量%に対し50質量%以上60質量%以下含有する。
2番目に径の大きな第2の無機粉末充填剤である中粒は、平均粒子径1.5μm以上3μm以下で無機粉末充填剤100質量%に対し20質量%以上30質量%以下含有する。最も径の小さな第3の無機粉末充填剤である細粒は、平均粒子径0.5μm以上1.0μm以下で無機粉末充填剤100質量%に対し10質量%以上30質量%以下含有する。
なお、第1、第2及び第3の無機粉末充填剤は、所定の平均粒子径を有する無機粉末充填剤であることを意味し、異なる材料の無機粉末充填剤を含んでいてもよい。例えば第1の無機粉末充填剤は、平均粒子径が同じであれば一種の材料からなる無機粉末充填剤であってもよいし、二種以上の材料からなる無機粉末充填剤であってもよい。第2及び第3の無機粉末充填剤についても同様である。
また、本実施の形態に係る熱伝導性グリースは上記第1、第2及び第3の無機粉末充填剤以外の平均粒径の異なる無機粉末充填剤を含有してもよい。しかしながら、本実施の形態に係る熱伝導性グリースに含有される第1、第2及び第3の無機粉末充填剤の含有量は、無機粉末充填剤100質量に対して80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましく、99質量%以上であることが更に尚好ましく、100質量%であること(すなわち、上記第1、第2及び第3の無機粉末充填剤以外の平均粒径の異なる無機粉末充填剤を含有しないこと。)が最も好ましい。
なお、本実施の形態に係る熱伝導性グリースにおいて、無機粉末充填剤の平均粒径はレーザー回折散乱法(JIS R 1629:1997に準拠)により測定した粒度分布の体積平均径として算出できる。
無機粉末充填剤の含有量は熱伝導性グリース100質量%に対して80質量%以上93質量%以下が好ましい。80質量%以上であることにより熱伝導性グリース自体の熱伝導性を十分高くすることができ、また基油の離油を抑制し基油の滲み出しを抑制することができるため好ましい。一方、93質量%以下であることによりちょう度の低下を抑制し、十分な展性を有することができるため好ましい。
(基油)
基油は、熱伝導性グリースに含有されることにより、熱伝導性グリースに潤滑性を付与する。
基油は、種々の基油が使用でき、例えば、鉱油、合成炭化水素油などの炭化水素系基油、エステル系基油、エーテル系基油、リン酸エステル、シリコーン油及びフッ素油などが挙げられ、炭化水素系基油、エステル系基油、エーテル基油が好ましい。基油の離油を防止する点においては、表面張力の低いシリコーン油及びフッ素油は、あまり好ましくない。基油は1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
鉱油は、例えば、鉱油系潤滑油留分を溶剤抽出、溶剤脱ロウ、水素化精製、水素化分解、ワックス異性化などの精製手法を適宜組み合わせて精製したもので、150ニュートラル油、500ニュートラル油、ブライトストック、高粘度指数基油などを用いることができる。基油に用いられる鉱油は、高度に水素化精製された高粘度指数基油が好ましい。
合成炭化水素油とは、例えば、エチレンやプロピレン、ブテン、及びこれらの誘導体などを原料として製造されたアルファオレフィンを、単独又は2種以上混合して重合したものが挙げられる。アルファオレフィンは、炭素数6以上14以下のものが好ましく挙げられる。
基油に用いられる合成炭化水素油の具体例は、1-デセンや1-ドデセンのオリゴマーであるポリアルファオレフィン(PAO)や、1-ブテンやイソブチレンのオリゴマーであるポリブテン、エチレンやプロピレンとアルファオレフィンのコオリゴマー等が挙げられる。また、アルキルベンゼンやアルキルナフタレン等を用いることもできる。
エステル系基油は、ジエステルやポリオールエステルが挙げられる。ジエステルは、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の二塩基酸のエステルが挙げられる。二塩基酸は、炭素数4以上36以下の脂肪族二塩基酸が好ましい。エステル部を構成するアルコール残基は、炭素数4以上26以下の一価アルコール残基が好ましい。
ポリオールエステルは、β位の炭素上に水素原子が存在していないネオペンチルポリオールのエステルで、具体的にはネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のカルボン酸エステルが挙げられる。エステル部を構成するカルボン酸残基は、炭素数4以上26以下のモノカルボン酸残基が好ましい。
また、エステル系基油は、上記以外にも、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2-ブチル-2-エチルプロパンジオール、2,4-ジエチル-ペンタンジオール等の脂肪族二価アルコールと、直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪酸とのエステルも用いることができる。直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪酸は、炭素数4以上30以下の一価の直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪酸が好ましい。
エーテル系基油は、ポリグリコールや(ポリ)フェニルエーテルなどが挙げられる。ポリグリコールは、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール、及びこれらの誘導体などが挙げられる。(ポリ)フェニルエーテルは、モノアルキル化ジフェニルエーテル、ジアルキル化ジフェニルエーテルなどのアルキル化ジフェニルエーテルや、モノアルキル化テトラフェニルエーテル、ジアルキル化テトラフェニルエーテルなどのアルキル化テトラフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテル、モノアルキル化ペンタフェニルエーテル、ジアルキル化ペンタフェニルエーテルなどのアルキル化ペンタフェニルエーテルなどが挙げられる。
リン酸エステルは、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート等が挙げられる。
ここで、熱伝導性グリースは、発熱部品の熱接触界面に塗布されて実装時されるため、熱伝導性グリースの塗膜は長時間高温に曝されることとなる。このため、熱伝導性グリースに含有される基油としては、熱酸化安定性に優れることが望ましい。上記基油の中では、合成系基油が好ましく、合成炭化水素油、エステル系基油及びエーテル系基油が好ましい。これらの基油のうち、特に熱酸化安定性に優れるものとして、合成炭化水素油では、ポリアルファオレフィン、エステル系基油では、ポリオールエステル、エーテル系基油では(ポリ)フェニルエーテルが好ましい基油として用いられる。
これらのポリアルファオレフィン、(ポリ)フェニルエーテル、ポリオールエステルについて、単独で使用してもよいが、2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
組み合わせて使用する場合には、特にポリアルファオレフィンあるいは(ポリ)フェニルエーテルからなる基油群と、ポリオールエステルとを併用することにより、比較的粘度指数が高く、グリースを調製したときにちょう度が高く、塗布性に優れるグリースが調製することができ、好ましい。この場合、ポリアルファオレフィンあるいは(ポリ)フェニルエーテルからなる基油群と、ポリオールエステルとの含有比率は、質量比で、好ましくは95:5~30:70であり、より好ましくは90:10~50:50であり、さらに好ましくは85:15~65:35である。
基油の動粘度は、40℃で10mm/s以上1200mm/s以下であることが好ましい。40℃における動粘度を10mm/s以上とすることで、高温下での基油の蒸発や離油などが抑制される傾向にあるため好ましい。また、40℃における動粘度を1200mm/s以下とすることで高いちょう度を得やすくなるため好ましい。
基油の含有量は、熱伝導性グリース100質量%に対して2質量%以上29質量%以下であることが好ましく、3質量%以上28質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上25質量%以下が特に好ましい。基油の含有量が2質量%以上であることにより、熱伝導性グリースに含有される油成分が適切な量となり、熱伝導性グリースをグリースの状態に維持することができる程度のちょう度を維持することができるため好ましい。一方で、基油の含有量が29質量%以下であることにより、高温環境に置かれた場合にグリースが流れ出ることやグリースに含有される基油が離油してグリースが塗布された部分における周辺部材が基油によって汚染されることを効果的に抑制することができるため好ましい。
(分散剤)
分散剤は、グリースに含有される無機粉末充填剤の表面に吸着し、無機粉末充填剤と基油との親和性を向上させることができる。すなわち、分散剤は、無機粉末充填剤の表面改質剤として機能し、無機粉末充填剤と基油との親和性を向上させることによって、熱伝導性グリースのちょう度を向上させることができる。
分散剤は、例えば、ポリグリセリンモノアルキルエーテル化合物、カルボン酸構造を有する化合物、ポリカルボン酸系化合物等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよいが、2種以上を組み合わせて使用してもよい。特に、ポリグリセリンモノアルキルエーテル化合物、カルボン酸構造を有する化合物、ポリカルボン酸系化合物を併用することが好ましい。
分散剤の含有量は、熱伝導性グリース100質量%に対して0.001質量%以上3質量%以下であることが好ましい。より好ましくは0.05質量%以上2質量%以下であり、さらに好ましくは0.15質量%以上1質量%以下であり、最も好ましくは0.2質量%以上0.5質量%以下である。
分散剤の含有量が0.001質量%以上であることにより、グリースに含有される無機粉末充填剤と基油との親和性をより向上させる効果が得られ、熱伝導性グリースのちょう度を効果的に高めることができるため好ましい。
一方、分散剤の含有量が3質量%を超えても、分散剤の特性は大きく変化しない。分散剤の含有量が3質量%以下にすることによりコストを軽減することができるため好ましい。
(増ちょう剤)
本実施の形態に係る熱伝導性グリースは更に増ちょう剤含有させることができる。増ちょう剤は、熱伝導性グリースのちょう度を高め、熱伝導性グリースの塗布性を向上させる。
増ちょう剤は、例えば、ウレア化合物、ナトリウムテレフタラメート、ポリテトラフルオロエチレン、有機化ベントナイト、シリカゲル、石油ワックス、ポリエチレンワックス等を挙げることができる。
増ちょう剤の含有量は、基油100重量%に対して1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。より好ましくは2質量%以上4質量%以下である。増ちょう剤の含有量が1質量%未満の場合、基油に対するちょう度調整用の効果が得られない可能性がある。増ちょう剤の含有量が5質量%以下であることにより、熱伝導性グリースのちょう度が必要以上に高くなる可能性を軽減することができるため好ましい。特に、無機粉末充填剤の含有率が高い場合には熱伝導性グリース自体をグリース化できなくなる可能性があるが増ちょう剤の含有量が5質量%以下であれば熱伝導性グリース自体をグリース化できなくなる可能性を軽減することができるため好ましい。増ちょう剤量が1質量%以上であることにより、増ちょう剤としての機能を効果的に発現することができるため、基油の離油及び、熱伝導性グリースに含有される無機粉末充填剤の沈降の発生を効果的に抑制することができるため好ましい。
(基油拡散防止剤)
本実施の形態に係る熱伝導性グリースは必要に応じて基油拡散防止剤を含有してもよい。基油拡散防止剤は、熱伝導性グリースに含有される基油の拡散を防止する。基油拡散防止剤は、パーフルオロアルキル基を含有する拡散防止剤を用いることができる。
基油拡散防止剤は、例えば、下記一般式(1)で表わされる構造をもつ化合物が挙げられる。
R-(C2nO)-X ・・・(1)
ここで、上記式(1)中、Rは、炭素数1以上6以下の直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキル基であり、nは1以上10以下の整数であり、mは2以上100以下の整数である。Xは、水素基又はリン酸基である。
基油拡散防止剤の含有量は、熱伝導性グリース100質量%に対して0.01質量%以上0.5質量%以下であることが好ましい。より好ましくは0.1質量%以上0.2質量%以下である。基油拡散防止剤の含有量が0.1質量%以上であることにより、基油の拡散防止効果をより効果的に発揮することができるため好ましい。基油拡散防止剤の含有量が0.5質量%を超えても、基油拡散防止剤の特性は大きく変化しない。基油拡散防止剤の含有量が0.5質量%以下にすることによりコストを軽減することができるため好ましい。
(その他の成分)
本実施の形態に係る熱伝導性グリースは、必要に応じて、上記の各成分の他の成分(その他の成分)を含有することができる。その他の成分は、酸化防止剤、二次酸化防止剤、防錆剤、腐食防止剤、増粘剤等を挙げることができる。
酸化防止剤は、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、イオウ系、リン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、HALS等の化合物が挙げられる。
二次酸化防止剤は、サルファイド、ジサルファイド、トリサルファイド、チオビスフェノールなどのイオウ系酸化防止剤や、アルキルフォスファイト、ZnDTPなどのリン系酸化防止剤等を挙げることができる。
防錆剤は、スルホン酸塩、カルボン酸、カルボン酸塩、コハク酸エステル等が挙げられる。腐食防止剤は、ベンゾトリアゾール及びその誘導体等の化合物、チアジアゾール系化合物等を挙げることができる。増粘剤は、ポリブテン、ポリメタクリレート、オレフィンコポリマー、高粘度のポリアルファオレフィン等を挙げることができる。
これらの添加剤の含有量は、本発明の特性を損なわない範囲で、通常の熱伝導性グリースに用いている含有量と同程度の量を含有させることができる。
[グリースの性状]
本実施の形態に係る熱伝導性グリースのちょう度は特に限定されない。熱伝導性グリースの塗布性、拡がり性、付着性の観点から適宜選択することができる。これらの特性を有する観点から熱伝導性グリースのちょう度は、200以上400以下であることが好ましく、250以上400以下であることがより好ましく、300以上400以下であることがさらに好ましく、330以上400以下であることが特に好ましい。
≪2.熱伝導性グリースの製造方法>
本実施の形態に係る熱伝導性グリースは、各成分を混合することにより製造する。製造方法としては、均一に成分を混合できれば特に限定されず、一般的なグリースの製造方法を採用することができる。
具体的に、製造方法としては、プラネタリーミキサー、自転公転ミキサーなどにより混練りを行い、グリース状にした後、さらに三本ロールにて均一に混練りする方法を用いることができる。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して、本発明についてより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
(A)無機粉末充填剤
酸化亜鉛1:平均粒径5μm
酸化亜鉛2:平均粒径2μm
酸化亜鉛3:平均粒径0.6μm
なお、各無機粉末充填剤の平均粒径は、粒子径分布測定装置(島津製作所製 SALD-7000)を用いてレーザー回折散乱法にて測定した。
(B)基油
エステル系基油
(C)分散剤
酸系炭化水素ポリマー
(D)増ちょう剤
有機処理ベントナイト
(E)基油拡散防止剤
含フッ素オリゴマー
下記表1に示すように上記化合物のうち(A)~(E)を配合し、混合して実施例1~3及び比較例1~3の熱伝導性グリースを製造した。すなわち、表1に示す含有量になるように、基油に、分散剤、基油拡散防止剤を溶解し、さらに、無機粉末充填剤、増ちょう剤を、プラネタリーミキサーに入れた。室温から100℃程度まで加熱しながら混練を行いよく混合し、グリース状とした。その後、三本ロールによる混練を3回実施して熱伝導性グリースを作製した。
製造した実施例1~3及び比較例1~3の熱伝導性グリースを用いて、以下の方法により展性及び熱伝導性を評価した。
<展性評価>
実施例1~3及び比較例1~3の熱伝導性グリースを、スライドガラスの基板上にφ6mmのサイズで100μmの厚さに塗布し、塗布した熱伝導性グリースの上にスライドガラスをかぶせて0.1MPaの圧力で加圧した。加圧後、変形した熱伝性グリースの直径から面積を計算し、熱伝性グリースの厚さを算出した。この結果を表1に示す(表1中、「展性」と表記。)。
<熱伝導性評価>
熱伝導性は、京都電子工業社製迅速熱伝導率計QTM-500により室温にて熱伝導率
を測定することにより評価した。
Figure 0007073939000001
(表1中、Aの()外の値は熱伝導性グリース100質量%に対する質量%を意味する。また、Aの()内の値は無機粉末充填剤100質量%に対する質量%を意味する)
表1の結果から分かるように、無機粉末充填剤の配合率が、第1の無機粉末充填剤の割合が50質量%以上60質量%以下、第2の無機粉末充填剤の割合が20質量%以上30質量%以下、第3の無機粉末充填剤の割合が10質量%以上30質量%以下である実施例1~3の熱伝導性グリースは、展性が18μm以上34μm以下であり初期の厚みより半分以下になっており、十分な展性を有していることが分かる。また、その時の熱伝導率は3.0W/mK以上3.7W/mK以下であり高い熱伝導率を示していることが分かる。
これに対し、3種類の無機粉末充填剤を含有するが、無機粉末充填剤の配合率が上記の範囲とは異なる比較例1及び2の熱伝導性グリースは、展性が99μmと初期の厚みからほとんど減っておらず、十分な展性を有していないことが分かる。その結果熱伝統率は2.3W/mK以上2.6W/mK以下と低い熱伝導率を示している。
また、1種類の無機粉末充填剤を含有する比較例3の熱伝導性グリースは、無機粉末充填剤が密につまらないため、その他の成分の含有量が他の熱伝導性グリースよりも相対的に高いことが分かる。また、そのため展性は28μmと十分な展性を有しているものの、熱伝導性グリースの熱伝導率は1.0W/mKと非常に低い値となった。
本発明の熱伝導性グリースは、展性と熱伝導性とを両立させることができる。そのため、本発明の熱伝導性グリースを電子部品等の発熱部品とヒートシンク等の放熱部品と、の接触界面に塗布することにより、発熱部品の放熱性を向上させることができる。高い放熱特性が求められるCPUやパワー半導体に用いられる熱伝導性グリースとして特に好適である。

Claims (3)

  1. 無機粉末充填剤と、基油と、を含有する熱伝導性グリースであって、
    前記無機粉末充填剤は、無機粉末充填剤100質量%に対して50質量%以上60質量%以下の割合の第1の無機粉末充填剤と、20質量%以上30質量%以下の割合の第2の無機粉末充填剤と、10質量%以上30質量%以下の割合の第3の無機粉末充填剤と、から構成されており、
    前記第1の無機粉末充填剤の平均粒子径は、4μm以上6μm以下であり、
    前記第2の無機粉末充填剤の平均粒子径は、1.5μm以上3μm以下であり、
    前記第3の無機粉末充填剤の平均粒子径は、0.5μm以上1.0μm以下であり、
    前記基油は、炭化水素系基油、エステル系基油、及びエーテル基油からなる群より選択される少なくとも1つ以上を含有する
    熱伝導性グリース。
  2. 前記無機粉末充填剤の含有量が、熱伝導性グリース100質量%に対して90質量%以上93質量%以下である
    請求項1に記載の熱伝導性グリース。
  3. 分散剤をさらに含有し、
    前記分散剤は、ポリグリセリンモノアルキルエーテル化合物、カルボン酸構造を有する化合物及びポリカルボン酸系化合物からなる群より選択される1種以上である
    請求項1又は2に記載の熱伝導性グリース。
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