JP2014122307A - 高熱伝導性グリース - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)無機粉末充填剤を85〜97質量%、(B)基油を2〜15質量%、(C)ポリヒドロキシステアリン酸などの特定のポリカルボン酸化合物を0.001〜3質量%、(D)ポリグリセリンモノオレイルエーテルなどの特定のポリグリセリンモノアルキルエーテル化合物を0.001〜3質量%、(E)不飽和脂肪酸を0.001〜3質量%、及び(F)酸化防止剤を0.001〜3質量%の割合で含有することを特徴とする高熱伝導性グリース。
【選択図】 なし
Description
したがって、発熱量の大きい環境で長期間に渡り使用されるケースでは、熱伝導性グリースの性能としては、より高熱伝導率を有するとともに、高温下での熱安定性に優れることが求められる。
本発明の目的は、高熱伝導性を有し、ちょう度が高く塗布性が良好で、さらに高温における熱安定性に優れる高熱伝導性グリースを提供することにある。
RO-(CH2CH(OH)CH2O)n-H (2)
(一般式(2)中、Rは炭素数8以上の炭化水素基を表わし、炭素数8以上のアルキル基、アルケニル基又はアリール基であり、nはグリセリンの重合度を表わし、1以上の正数である。)
(E)不飽和脂肪酸を0.001〜3質量%、及び(F)酸化防止剤を0.001〜3質量%の割合で含有することを特徴とする高熱伝導性グリースを提供するものである。
また、本発明は、上記高熱伝導性グリースにおいて、基油が、鉱油、合成炭化水素油、ジエステル、ポリオールエステル及びフェニルエーテルから選ばれる少なくとも1種以上である高熱伝導性グリースを提供するものである。
本発明に用いられる(A)成分の無機粉末充填剤は、基油より高い熱伝導率を有するものであれば特に限定されないが、金属酸化物、無機窒化物、金属、ケイ素化合物、カーボン材料などの粉末が好適に用いられる。本発明の無機粉末充填剤の種類は1種類であってもよいし、また2種以上を組み合わせて用いることもできる。
(B)成分の基油としては、種々の基油が使用でき、例えば、鉱油、合成炭化水素油などの炭化水素系基油、エステル系基油、エーテル系基油、リン酸エステル、シリコーン油及びフッ素油などが挙げられ、基油の分離を防止する点においては、表面張力の低いシリコーン油及びフッ素油よりも、炭化水素系基油、エステル系基油、ポリエーテル基油が好ましい。基油は1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
鉱油としては、例えば、鉱油系潤滑油留分を溶剤抽出、溶剤脱ロウ、水素化精製、水素化分解、ワックス異性化などの精製手法を適宜組み合わせて精製したもので、150ニュートラル油、500ニュートラル油、ブライトストック、高粘度指数基油などが挙げられる。鉱油は、高度に水素化精製された高粘度指数基油が好ましい。
具体的には、1−デセンのオリゴマーであるポリアルファオレフィン(PAO)や、1−ブテンやイソブチレンのオリゴマーであるポリブテン、エチレンとアルファオレフィンのコオリゴマー等が挙げられる。また、アルキルベンゼンやアルキルナフタレン等を用いることもできる。
エステル系基油としては、ジエステルやポリオールエステルが挙げられる。
ポリオールエステルとしては、β位の炭素上に水素原子が存在していないネオペンチルポリオールのエステルで、具体的にはネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のカルボン酸エステルが挙げられる。エステル部を構成するカルボン酸残基は、炭素数4〜26のモノカルボン酸残基が好ましい。
また、上記以外にも、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール、2,4−ジエチル−ペンタンジオール等の脂肪族二価アルコールと、直鎖または分岐鎖の飽和脂肪酸とのエステルも用いることができる。直鎖または分岐鎖の飽和脂肪酸としては、炭素数4〜30の一価の直鎖または分岐鎖の飽和脂肪酸が好ましい。
ポリグリコールとしては、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール、及びこれらの誘導体などが挙げられる。
フェニルエーテルとしては、アルキル化ジフェニルエーテルや、(アルキル化)ポリフェニルエーテルなどが挙げられる。
基油の含有量としては2〜15質量%であり、2.5〜12質量%が好ましく、3〜10質量%が特に好ましい。含有量が15質量%を超える場合には、ちょう度が高くなりすぎ、熱伝導性グリースが流れ出てしまう場合がある。さらに離油を生じたり、熱伝導性が低下する場合がある。
本発明に用いられる(C)成分のポリカルボン酸化合物は、一般式(1)で表される化合物であり、無機粉末充填剤の表面に吸着し、基油との親和性を向上させる表面改質剤としての働きと、立体障害により充填剤同士の凝集を防ぐ分散剤としての働きを同時に持つ。
さらに、(C)成分のポリカルボン酸化合物の重量平均分子量は400〜10000程度であることが好ましい。
一般式(1)において、nは1〜15であり、2〜10がより好ましい。nが15より多いと粘度が高くなりすぎ、熱伝導性グリースが調製できないか、硬くなる場合がある。
一般式(2)において、Rは炭素数8以上の炭化水素基を表わし、例えば、炭素数8以上のアルキル基、アルケニル基、アリール基が挙げられ、炭素数8以上のアルキル基、アルケニル基が好ましい。Rの炭素数は、8〜30が好ましく、10〜26がより好ましく、12〜22が特に好ましい。また、一般式(2)において、nはグリセリンの重合度を表わし、1以上の正数であり、好ましくは1〜5の正数である。nが5を越えると基油への溶解性が悪くなる。
なお、個々の分子における重合度nは整数であるが、重合度nの異なる2種以上の分子の集合体の場合は、nは平均値である。
不飽和脂肪酸の種類としては、炭素数8〜30が好ましく、炭素数12〜26が特に好ましく、炭素数16〜24が最も好ましい。炭素数をこの範囲にすることで、高いちょう度を得ることができる。不飽和脂肪酸は、不飽和基が炭素−炭素二重結合であるものが好ましい。炭素−炭素二重結合の数は、1〜2個がより好ましく、1個が特に好ましい。炭素―炭素二重結合を2個より多く持つものは熱安定性を低下させる可能性がある。不飽和脂肪酸は、カルボキシル基については一価もしくは二価の不飽和脂肪酸が好ましく、一価の不飽和脂肪酸がより好ましく、炭化水素基については、炭素数8以上の直鎖または分岐鎖を持つ不飽和脂肪酸が好ましい。
これら不飽和脂肪酸は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせても良い。本発明に用いる不飽和脂肪酸は、0.001〜3質量%含有することが好ましい。より好ましくは0.005〜2質量%であり、さらに好ましくは0.01〜1質量%であり、最も好ましくは0.05〜0・5質量%である。含有量を0.001質量%以上とすることで高湿環境下でのちょう度変化をより効果的に抑制することができ、3.0質量%より多くしてもそれ以上の高い効果の向上は期待できない。
酸化防止剤の総量は、0.001〜3質量%含有することが好ましい。より好ましくは0.005〜2質量%であり、さらに好ましくは0.01〜1質量%であり、最も好ましくは0.05〜0・5質量%である。含有量が0.001質量%より少ない場合、良好な酸化防止効果が得られず、熱耐久性が低下する。一方、含有量が3質量%より多くても効果の向上は期待できない。
その他の添加剤としては、さび止め剤としてはスルホン酸塩、カルボン酸、カルボン酸塩等の化合物が、腐食防止剤としてはベンゾトリアゾールおよびその誘導体等の化合物、チアジアゾール系化合物が、増粘剤・増ちょう剤としてはポリブテン、ポリメタクリレート、脂肪酸塩、ウレア化合物、石油ワックス、ポリエチレンワックス等が挙げられる。これらの添加剤の配合量は、通常の配合量であればよい。
本発明の高熱伝導性グリースの製造に関しては、均一に成分を混合できればその方法にはよらない。一般的な製造方法としては、乳鉢、プラネタリーミキサー、2軸式押出機、自転公転ミキサーなどにより混練りを行い、グリース状にした後、さらに三本ロールにて均一に混練りする方法がある。
本発明の高熱伝導性グリースのちょう度は200以上であれば使用可能であるが、塗布性、拡がり性、付着性、離油防止性などの点から250〜400であることが好ましく、300〜400であることがより好ましく、330〜400であることが特に好ましい。
実施例及び比較例に用いた各成分について以下に示す。
(1)(A)無機粉末充填剤
酸化亜鉛1:平均粒径 0.6μm
酸化亜鉛2:平均粒径 11μm
(2)(B)基油
PAO:ポリ−α−オレフィン(1−デセン−オリゴマー)、40℃動粘度が47mm2/sのもの。
POE:ペンタエリスリトールと炭素数8及び10のモノカルボン酸とのエステル、40℃動粘度が32mm2/sのもの。
ジアルキル化ジフェニルエーテル:(炭素数12〜14の分岐鎖を持つアルキル基を有するもの)、40℃動粘度が98mm2/sのもの。
ジアルキル化テトラフェニルエーテル:(炭素数12〜14の分岐鎖を持つアルキル基を有するもの)、40℃動粘度が410mm2/sのもの。
(ア)(C)ポリカルボン酸化合物
12−ヒドロキシステアリン酸の3〜5分子重合させたオリゴマー
(一般式(1)において、R1、R2は共に炭素数17のアルキレン基、nは2〜4、Xはカルボキシル基、Yはヒドロキシル基である。また、重量平均分子量Mw(GPCポリスチレン換算)は、約2400である。)
(イ)(D)ポリグリセリンモノアルキルエーテル化合物
(ポリ)グリセリルエーテル(モノグリセリンモノオレイルエーテルに少量のポリグリセリンモノオレイルエーテルを含有する。一般式(2)において、n=3である。)
(ウ)(E)不飽和脂肪酸
エルカ酸(炭素数22の不飽和脂肪酸)
(エ)(F)酸化防止剤
アミン系酸化防止剤(ジアルキル化ジフェニルアミン)
下記表1に実施例1〜7の組成と熱伝導性グリースの性能・性状を示す。表1の組成の成分を配合して、熱伝導性グリースを以下の方法で調製した。なお、表1中における組成の数値の単位は質量%であり、無機粉末充填材のカッコ内の数値は、平均粒径である。
熱伝導性グリースの調製
基油に表面改質剤、酸化防止剤等の各種添加剤を溶解し、無機粉末充填剤とともにプラネタリーミキサーまたは自動乳鉢に入れた。室温〜60℃で30分混練りを行いよく混合し、グリース状とした。その後、三本ロールによる混練りを1〜3回実施して熱伝導性グリースを調製した。
なお、高温放置試験500時間後のちょう度変化率は、±50%以内が好ましく、±44%以内がより好ましく、±40%以内が特に好ましい。
下記表2に比較例1〜7の組成と熱伝導性グリースの性能・性状を示す。表2の組成の成分を配合して、熱伝導性グリースを実施例と同様の方法で調製した。
一方、(C)ポリカルボン酸化合物、(D)ポリグリセリンモノアルキルエーテル化合物および(E)不飽和脂肪酸の分散剤のうち1種類を含む比較例1〜3は、良好な熱伝導率と有しているものの、ちょう度が低く塗布性に優れない。また、高温放置試験後のちょう度変化が大きく熱安定性に劣っていることがわかる。
また、化合物(C)、化合物(D)および不飽和脂肪酸(E)の分散剤のうち2種類を含む比較例4〜7は、良好な熱伝導率とちょう度を有しているものの、高温放置試験後のちょう度が低く熱安定性に劣っていることがわかる。
Claims (3)
- (A)無機粉末充填剤を85〜97質量%、(B)基油を2〜15質量%、(C)一般式(1)で表されるポリカルボン酸化合物を0.001〜3質量%、(D)一般式(2)で表わされるポリグリセリンモノアルキルエーテル化合物を0.001〜3質量%、(E)不飽和脂肪酸を0.001〜3質量%、及び(F)酸化防止剤を0.001〜3質量%の割合で含有することを特徴とする高熱伝導性グリース。
RO-(CH2CH(OH)CH2O)n-H (2)
(一般式(2)中、Rは炭素数8以上の炭化水素基を表わし、炭素数8以上のアルキル基、アルケニル基又はアリール基であり、nはグリセリンの重合度を表わし、1以上の正数である。) - 無機充填剤が、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム及び炭化ケイ素から選ばれる少なくとも1種以上である請求項1に記載の高熱伝導性グリース。
- 基油が、鉱油、合成炭化水素油、ジエステル、ポリオールエステル及びフェニルエーテルから選ばれる少なくとも1種以上である請求項1又は2に記載の高熱伝導性グリース。
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