JP2021008548A - 熱伝導性組成物 - Google Patents

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和樹 半澤
小林 宏
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宏 小林
龍夫 木部
Tatsuo Kibe
龍夫 木部
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Satoshi Kashiwatani
智 柏谷
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Abstract

【課題】耐ポンプアウト性に優れる熱伝導性組成物を提供する。【解決手段】熱伝導性充填剤と、基油と、分散剤とを少なくとも含有する、耐ポンプアウト性を有する熱伝導性組成物であって、熱伝導性組成物を基材に100μmの厚さとなるように塗布し、250℃、4時間の加熱処理を行ったとき、該加熱処理前の大気中における示差熱分析での蒸発開始温度T1と、該加熱処理後の大気中における示差熱分析での蒸発開始温度T2と、の差(T1−T2)が20℃以下である、熱伝導性組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、熱伝導性組成物に関する。
例えば、熱伝導性組成物として、熱伝導性グリースが広く用いられている。電子機器に使用されている半導体部品の中には、コンピューターのCPU、ペルチェ素子、LED、インバーター等の電源制御用パワー半導体等使用中に発熱をともなう発熱部品がある。これらの発熱部品を熱から保護し、正常に機能させるために、発生した熱を熱伝導性グリースを介してヒートスプレッダーやヒートシンク等の放熱部品(冷却装置)へ伝導させ放熱させる方法がある。
このような熱伝導性グリース等の熱伝導性組成物は、シート状又は液状の有機化合物に、熱伝導率の高い熱伝導性充填剤を分散させたもので、ポリαオレフィン油やシリコーン油等の基油に、銀、アルミニウム等の金属、或いは、酸化亜鉛又は酸化アルミニウム等の金属酸化物や、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物等の熱伝導性充填剤を分散させたもの等が知られている。以下、このような基油と熱伝導性充填剤とを含有する組成物を熱伝導性組成物と称する。
近年、電力制御機器の大電力動作や電子機器の高速動作の結果、発熱部品の発熱量は増大する傾向にある。一方で、部品の小型化と発熱部品の高密度実装化に伴い、発熱の密度もまた上昇する傾向にある。このような発熱の量的増大と高密度化に対応して機器の性能を長期に渡り安定に維持するため、発熱部品内での発熱を効率的に除去する必要性から、発熱部品と放熱器の間に従来よりも熱伝導率の高い熱伝導性の層を形成することが求められている。例えば、高い熱伝導性を有する熱伝導性組成物を提供することを目的として特定の表面改質剤を配合したもの(特許文献1参照)等が開示されている。
特開2008−280516号公報
さて、熱伝導性組成物は、発熱部品に直接塗布されて使用されるため、その種類によっては、熱の影響によりポンプアウト現象が起こり、放熱性能が低下することがある。ポンプアウト現象とは、塗布された熱伝導性組成物が発熱部品の熱によってその内部にボイド(空隙)が発生することをいう。このようなボイド(空隙)は、熱伝導性組成物の熱伝導性の低下を招くこととなる。
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、耐ポンプアウト性に優れる熱伝導性組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、所定条件での加熱処理前後における示差熱分析による蒸発開始温度の差と、耐ポンプアウト性との間に相関性があることを発見し、その蒸発開始温度の差が所定温度以下であることで、優れた耐ポンプアウト性を有する熱伝導性組成物であることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1は、熱伝導性充填剤と、基油と、分散剤とを少なくとも含有する、耐ポンプアウト性を有する熱伝導性組成物であって、当該熱伝導性組成物を基材に100μmの厚さとなるように塗布し、250℃、4時間の加熱処理を行ったとき、該加熱処理前の大気中における示差熱分析での蒸発開始温度T1と、該加熱処理後の大気中における示差熱分析での蒸発開始温度T2と、の差(T1−T2)が20℃以下である、熱伝導性組成物である。
(2)本発明の第2は、第1の発明において、下記のパワーサイクル試験における、初期サイクル時での熱伝導性組成物の最高温度TIと、5000サイクル時での熱伝導性組成物の最高温度TEと、の差(TI−TE)が1.0℃以下である、熱伝導性組成物である。
パワーサイクル試験:
当該熱伝導性組成物をパワーモジュールに100μmの厚さとなるように塗布し、該パワーモジュールを水冷式ヒートシンクに取り付け、該パワーモジュールを通電することで150℃となるように60秒間昇温し、その後120秒間で放冷するサイクルを1サイクルとして、サイクル内での熱伝導性組成物の最高温度を求める。
(3)本発明の第3は、第1又は第2の発明においてさらに増ちょう剤を含有する熱伝導性グリースである熱伝導性組成物である。
本発明によれば、耐ポンプアウト性に優れる熱伝導性組成物を提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
≪1.熱伝導性組成物≫
本実施の形態に係る熱伝導性組成物は、熱伝導性充填剤と、基油と、分散剤とを少なくとも含有する。そして、この熱伝導性組成物は、所定の加熱処理を行ったときの加熱処理前の大気中における示差熱分析での蒸発開始温度T1と、加熱処理後の大気中における示差熱分析での蒸発開始温度T2と、の差(T1−T2)が20℃以下であることを特徴としている。
所定の加熱処理とは、熱伝導性組成物を基材に100μmの厚さとなるように塗布し、250℃、4時間の処理を意味するものである。蒸発開始温度は、示差熱分析によるTG・DTAの質量変化曲線により求めることができる。なお、基材は、加熱処理に耐えることができる材料であれば特に限定されず、例えばガラス板等を挙げることができる。
本発明者は、上記のような加熱処理前後での示差熱分析により蒸発開始温度の差に関する熱伝導性組成物の特性と、その熱伝導性組成物の耐ポンプアウト性とが相関性を有することを発見した。すなわち、加熱処理前後の蒸発開始温度の差(T1−T2)が20℃以下であることにより、優れた耐ポンプアウト性を有することを見出した。
熱伝導性組成物が有する耐ポンプアウト性は、パワーサイクル試験により評価することができる。具体的に、上記のような特性を有する熱伝導性組成物では、パワーサイクル試験における、初期サイクル時での熱伝導性組成物の最高温度TIと、5000サイクル時での熱伝導性組成物の最高温度TEと、の差(TI−TE)が1.0℃以下となる。
パワーサイクル試験は、以下のように行われる。すなわち、当該熱伝導性組成物をパワーモジュールに100μmの厚さとなるように塗布し、そのパワーモジュールを水冷式ヒートシンクに取り付け、該パワーモジュールを通電することで150℃となるように60秒間昇温し、その後120秒間で放冷するサイクルを1サイクルとして、サイクル内での熱伝導性組成物の最高温度を求める。
ここで、示差熱分析による蒸発開始温度の差(T1−T2)に関して、18℃以下であることが好ましく、16℃以下であることがより好ましい。このような範囲であることにより、より一層に耐ポンプアウト性を有するものとなる。
また、熱伝導性組成物の示差熱分析での蒸発開始温度は320℃以上が好ましく、350℃以上がより好ましい。熱伝導性組成物の示差熱分析での蒸発開始温度は320℃以上であることにより、耐熱性が優れ、熱伝導性組成物を発熱部品に対して長時間使用することができる。
≪2.熱伝導性組成物の一例としての熱伝導性グリースについて≫
以下では、熱伝導性組成物として熱伝導性グリースを一例に挙げ、その構成成分について具体的に説明する。熱伝導性グリースは、少なくとも、熱伝導性充填剤と、基油と、分散剤と、増ちょう剤とを含有する。そして、上述のように、所定の加熱処理を行ったときの加熱処理前の大気中における示差熱分析での蒸発開始温度T1と、加熱処理後の大気中における示差熱分析での蒸発開始温度T2と、の差(T1−T2)が20℃以下である。
(1)熱伝導性充填剤
熱伝導性充填剤は、熱伝導性グリースに高い熱伝導性を付与する。熱伝導性充填剤としては、基油より高い熱伝導性を有するものであれば特に限定されないが、金属酸化物、無機窒化物、金属(合金も含む。)、ケイ素化合物、カーボン材料等の粉末が好適に用いられる。熱伝導性充填剤の種類は1種類であってもよいし、また2種以上を組み合わせて用いることもできる。
具体的に、熱伝導性充填剤としては、電気絶縁性を求める場合には、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、シリカ、ダイヤモンド等の、半導体やセラミック等の非導電性物質の粉末が好ましく、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、シリカの粉末がより好ましく、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムの粉末が特に好ましい。
また、上記の熱伝導性充填剤のなかでも高い熱伝導性を有するという観点からは、銅、アルミニウム、銀、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム窒化ホウ素及び炭化ケイ素からなる群から選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。電気的な特性に対する要求が無い場合は、金属粉末や炭素材料粉末と非導電性物質の粉末とを組み合わせて用いることもできる。
(2)基油
基油は、ベースグリースを構成するものである。基油としては、種々の基油が使用でき、例えば、鉱油、合成炭化水素油等の炭化水素系基油、エステル系基油、エーテル系基油、リン酸エステル、シリコーン油及びフッ素油等が挙げられる。中でも、鉱油、もしくは合成炭化水素油、又は両者の混合物からなる基油を用いるのが好ましい。
鉱油としては、例えば、鉱油系潤滑油留分を溶剤抽出、溶剤脱ロウ、水素化精製、水素化分解、ワックス異性化等の精製手法を適宜組み合わせて精製したもので、150ニュートラル油、500ニュートラル油、ブライトストック、高粘度指数基油等を用いることができる。基油に用いられる鉱油は、高度に水素化精製された高粘度指数基油が好ましい。
合成炭化水素油としては、例えばノルマルパラフィン、イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、1−デセンオリゴマー、1−デセンとエチレンとのコオリゴマー等のポリ−α−オレフィン又はこれらの水素化物等を単独で、もしくは2種以上を混合して使用することができる。中でもポリ−α−オレフィンがより好ましい。また、アルキルベンゼンやアルキルナフタレン等を用いることもできる。
エステル系基油としては、ジエステルやポリオールエステルが挙げられる。ジエステルとしては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の二塩基酸のエステルが挙げられる。二塩基酸としては、炭素数4以上36以下の脂肪族二塩基酸が好ましい。エステル部を構成するアルコール残基は、炭素数4以上26以下の一価アルコール残基が好ましい。ポリオールエステルとしては、β位の炭素上に水素原子が存在していないネオペンチルポリオールのエステルで、具体的にはネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のカルボン酸エステルが挙げられる。エステル部を構成するカルボン酸残基は、炭素数4以上26以下のモノカルボン酸残基が好ましい。
エーテル系基油としては、ポリグリコールや(ポリ)フェニルエーテル等が挙げられる。ポリグリコールとしては、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール、及びこれらの誘導体等が挙げられる。(ポリ)フェニルエーテルとしては、モノアルキル化ジフェニルエーテル、ジアルキル化ジフェニルエーテル等のアルキル化ジフェニルエーテルや、モノアルキル化テトラフェニルエーテル、ジアルキル化テトラフェニルエーテル等のアルキル化テトラフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテル、モノアルキル化ペンタフェニルエーテル、ジアルキル化ペンタフェニルエーテル等のアルキル化ペンタフェニルエーテル等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート等が挙げられる。
基油の動粘度は、40℃で10mm/s以上1200mm/s以下であることが好ましい。40℃における動粘度を10mm/s以上とすることで、高温下での基油の蒸発や離油等が抑制される傾向にあるため好ましい。また、40℃における動粘度を1200mm/s以下とすることで高いちょう度を得やすくなるため好ましい。
基油の含有量としては、熱伝導性グリース100質量%に対して2質量%以上29質量%以下の割合であることが好ましく、3質量%以上28質量%以下の割合であることがより好ましく、3質量%以上25質量%以下の割合であることが特に好ましい。基油の含有量が2質量%以上の割合で含まれることにより、熱伝導性グリースに含まれる基油成分が適切な量となり、グリースの状態に維持することができる程度のちょう度とすることができる。また、基油が29質量%以下の割合で含まれることにより、高温環境における流出や離油をより効果的に防ぐことができ、周辺部材が基油によって汚染されることを抑制することができる。
(3)分散剤
分散剤は、熱伝導性グリースに含まれる熱伝導性充填剤の表面に吸着し、その熱伝導性充填剤と基油との親和性を向上させる。
分散剤としては、例えば基油の種類等に応じて適宜決定することができ、当該熱伝導性グリースの上述した加熱処理前後の蒸発開始温度の差を20℃以下とすることができるものであれば、特に限定されない。
分散剤の含有量としては、熱伝導性グリース100質量%に対して0.01質量%以上の割合であることが好ましく、0.04質量%以上の割合であることがより好ましく、0.05質量%以上の割合であることが特に好ましい。分散剤の含有量が0.01質量%以上の割合であることにより、熱伝導性充填剤と基油との親和性をより向上させることができる。また、分散剤の含有量が0.01質量%以上の割合であることにより、熱伝導性グリースの耐ポンプアウト性が向上する。なお、分散剤の含有量の上限は、特に限定されないが、熱伝導性グリース100質量%に対して5.0質量%を超えると、コストが増加してしまう。
(4)増ちょう剤
増ちょう剤は、熱伝導性グリースのちょう度を制御することができ、塗布性を向上させる。増ちょう剤としては、例えば、ウレア化合物、ナトリウムテレフタラメート、ポリテトラフルオロエチレン、有機化ベントナイト、シリカゲル、石油ワックス、ポリエチレンワックス等を挙げることができる。
増ちょう剤の含有量は、熱伝導性グリースの所望とするちょう度に基づいて適宜設定することができる。例えば、熱伝導性グリース100質量%に対して1質量%以上10質量%以下の割合で含有させることができる。なお、増ちょう剤の含有量が1質量%未満であると、基油に対するちょう度の調整効果が十分に得られない可能性がある。一方で、増ちょう剤が10質量%を超えると、特に熱伝導性充填剤の含有率が高い場合には適切にグリース化できなくなる可能性がある。
なお、グリースの特性を有する観点からすると、熱伝導性グリースの塗布性、拡がり性、付着性の観点から熱伝導性グリースのちょう度を適宜選択することが好ましい。熱伝導性グリースのちょう度は、200以上400以下であることが好ましく、250以上400以下であることがより好ましく、300以上400以下であることがさらに好ましく、330以上400以下であることが特に好ましい。
(5)酸化防止剤
また、熱伝導性グリースにおいては、必要に応じて、酸化防止剤を含有させることができる。酸化防止剤は、主に、熱伝導性グリースに含有される基油の酸化を防止し、熱伝導性グリースの酸化安定性を高めることができる。
酸化防止剤としては、特に限定されず、公知の酸化防止剤を用いることができる。例えば、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、イオウ系、リン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、HALS等の化合物が挙げられる。その中でも、ヒンダードアミン系の酸化防止剤は、特に効果が高いため好ましい。これらの酸化防止剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸化防止剤の含有量は、熱伝導性グリース100質量%に対して0.001質量%以上3質量%以下の割合であることが好ましい。また、より好ましくは0.005質量%以上2質量%以下であり、さらに好ましくは0.01質量%以上1質量%以下であり、最も好ましくは0.05質量%以上0.5質量%以下である。
酸化防止剤の含有量が0.001質量%以上であることにより、良好な酸化防止効果が得られるため好ましい。一方、酸化防止剤の含有量が3質量%を超えても、酸化防止剤の特性は大きく変化しない。酸化防止剤の含有量が3質量%以下にすることによりコストを軽減することができるため好ましい。
(6)その他の成分
本実施の形態に係る熱伝導性グリースにおいては、必要に応じて、上記の各成分以外の他の成分(その他の成分)を含有することができる。その他の成分としては、例えば、基油拡散防止剤、防錆剤、腐食防止剤、増粘剤等を挙げることができる。
例えば、基油拡散防止剤は、熱伝導性グリースに含まれる基油の拡散を防止する。基油拡散防止剤は、パーフルオロアルキル基を含有する拡散防止剤を用いることができる。
また、防錆剤は、スルホン酸塩、カルボン酸、カルボン酸塩、コハク酸エステル等が挙げられる。腐食防止剤は、ベンゾトリアゾール及びその誘導体等の化合物、チアジアゾール系化合物等を挙げることができる。増粘剤は、ポリブテン、ポリメタクリレート、オレフィンコポリマー、高粘度のポリアルファオレフィン等を挙げることができる。
これらの添加剤の含有量は、熱伝導グリースの特性を損なわない範囲で、通常用いている含有量と同程度の量を含ませることができる。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して、本発明についてより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
≪実施例、比較例≫
[熱伝導性グリースの製造及び特性について]
基油としてのポリオールエステルに、熱伝導性充填剤である酸化亜鉛と、分散剤と、拡散防止剤と、増ちょう剤とをそれぞれ添加して、下記表1に示す特性を有する熱伝導性グリースを製造した。なお、各材料をプラネタリーミキサーにて混合してグリース状にし、その後、三本ロールによる混練を行うことによって各材料を十分に分散させた。
製造した熱伝導性グリースについて、下記の各測定を行って特性を調べた。下記表1に、製造した各熱伝導性グリースの特性をまとめて示す。
(加熱処理後の示差熱分析による蒸発開始温度の差)
各熱伝導性グリースについて、蒸発開始温度を測定した。具体的には、熱伝導性グリースをガラス板に100μmの厚さで塗布し、恒温槽により250℃、4時間の加熱処理を行った。そして、加熱処理の前後の熱伝導性グリースについて示差熱分析を行い、TG・DTAの質量変化曲線に基づいて蒸発開始温度の差、すなわち、加熱処理前の示差熱分析による蒸発開始温度(T1)と、加熱処理後の示差熱分析により蒸発開始温度(T2)との差(T1−T2)を求めた。
なお、示差熱分析は、熱伝導性グリース10mg、Air流量100ml/min、昇温速度10℃/min(室温〜500℃)で行った。
(粘度)
上記の加熱処理前後の熱伝導性グリースについて、レオメーターを用いて室温下でせん断速度が6S−1のときの粘度を測定した。
(熱伝導率測定)
各熱伝導性グリースについて、熱伝導率(H1)を測定した。具体的には、京都電子工業社製迅速熱伝導率計QTM−500を用いて室温にて熱伝導率(H1)を測定した。
Figure 2021008548
[熱伝導性グリースの耐ポンプアウト性評価]
表1に示す特性を有する熱伝導性グリースを用い、パワーサイクル試験によって耐ポンプアウト性を測定した。具体的には、各熱伝導性グリースをパワーモジュール(富士電機製 2MBI300VN−120−50 通電素子ダイオード)に100μmの厚さとなるように開孔率50%のメタルマスクを介して塗布し、このパワーモジュールを水冷式ヒートシンクにM5ねじでトルク3N・mの力を加えて取り付けた。そして、パワーモジュールが150℃となるように通電して60秒間昇温し、その後120秒間で放冷した。これを1サイクルとして、5000サイクル繰り返すパワーサイクル試験を実施した。
(耐ポンプアウト性の評価基準)
耐ポンプアウト性の評価は、上述したパワーサイクル試験における初期サイクル時での熱伝導性グリースの最高温度TIと、5000サイクル時での熱伝導性グリースの最高温度TEと、の差(TI−TE)を求めて、以下の評価基準により耐ポンプアウト性を確認した。下記表2に、パワーサイクル試験による耐ポンプアウト性(パワーサイクル寿命)の評価結果を示す。
「〇」:TI−TEが1.0℃以下であり、耐ポンプアウト性に優れる。
「△」:TI−TEが1.0℃超2.0℃未満であり、耐ポンプアウト性が若干劣る。
「×」:TI−TEが2.0以上であり、耐ポンプアウト性を有しない。
Figure 2021008548
表2に示す結果から、示差熱分析での蒸発開始温度の差T1−T2が20℃以下である熱伝導性グリースであることにより、優れた耐ポンプアウト性を有することが分かる。
≪熱伝導性グリースの劣化との関係≫
ここで、上記の結果と熱伝導性グリースの劣化との関係を調べるため、実施例5及び比較例1,4の熱伝導性グリースついて、上記のパワーサイクル試験後の熱抵抗増加率、蒸発開始温度の差、及び基油残存率をそれぞれ測定した。下記表3に測定結果を示す。
熱抵抗増加率は、パワーサイクル試験後(5000サイクル後)での熱伝導性グリースの熱伝導率H2を求め、その熱伝導率H2と、表1に示す熱伝導率H1(試験前の熱伝導率)とから、(H2−H1)/H2×100(%)により求めた。熱抵抗増加率は4%未満であれば良好な耐ポンプアウト性を維持していると判断できる。
蒸発開始温度差は、示差熱分析により、パワーサイクル試験(5000サイクル)前後の熱伝導性グリースの蒸発開始温度を測定して求めた。蒸発開始温度の差が10℃以上であると、熱伝導性グリースは劣化したと判断できる。
基油残存率は、パワーサイクル試験後(5000サイクル後)の熱伝導性グリースの基油の残存量を求め、試験前の熱伝導性グリースに含まれる基油に対する基油残存率を算出した。基油残存率が80%以下であると、熱伝導性グリースは劣化したと判断できる。
Figure 2021008548
表3の結果に示すように、実施例5の熱伝導性グリースは熱抵抗増加率が小さく、一方で比較例1、4の熱伝導性グリースは5%以上の熱抵抗増加率となった。この結果は、表2に示したパワーサイクル試験による耐ポンプアウト性の結果と相関するものであった。
一方、実施例5、比較例1及び4の熱伝導性グリースでは、いずれも、蒸発開始温度の差が10℃未満であり、基油残存率も80%を超えるものであった。つまり、いずれの熱伝導性グリースも劣化は生じていないと判断できる。
表3の結果に示されるように、比較例1及び4の熱伝導性グリースでは劣化は生じていないものの耐ポンプアウト性が劣るものとなったことから、熱伝導性グリースの劣化と耐ポンプアウト性の有無とは直接的な相関性はないと考えられる。

Claims (3)

  1. 熱伝導性充填剤と、基油と、分散剤とを少なくとも含有する、耐ポンプアウト性を有する熱伝導性組成物であって、
    当該熱伝導性組成物を基材に100μmの厚さとなるように塗布し、250℃、4時間の加熱処理を行ったとき、該加熱処理前の大気中における示差熱分析での蒸発開始温度T1と、該加熱処理後の大気中における示差熱分析での蒸発開始温度T2と、の差(T1−T2)が20℃以下である、
    熱伝導性組成物。
  2. 下記のパワーサイクル試験における、初期サイクル時での熱伝導性組成物の最高温度TIと、5000サイクル時での熱伝導性組成物の最高温度TEと、の差(TI−TE)が1.0℃以下である、
    請求項1に記載の熱伝導性組成物。
    パワーサイクル試験:
    当該熱伝導性組成物をパワーモジュールに100μmの厚さとなるように塗布し、該パワーモジュールを水冷式ヒートシンクに取り付け、該パワーモジュールを通電することで150℃となるように60秒間昇温し、その後120秒間で放冷するサイクルを1サイクルとして、サイクル内での熱伝導性組成物の最高温度を求める。
  3. さらに増ちょう剤を含有する熱伝導性グリースである、
    請求項1又は2に記載の熱伝導性組成物。
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