JP2020059842A - 放熱グリース組成物及び電子機器 - Google Patents

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新井 博之
Hiroyuki Arai
博之 新井
淳一 須藤
Junichi Sudo
淳一 須藤
公 谷村
Akira Tanimura
公 谷村
智延 小森谷
Tomonobu Komoriya
智延 小森谷
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Kyodo Yushi Co Ltd
Toyota Motor Corp
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Kyodo Yushi Co Ltd
Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】本開示の目的は、新規な構成を有し且つ熱伝導性に優れた放熱グリース組成物を提供することである。【解決手段】本実施形態は、a)基油、b)水性媒体、c)界面活性剤、及びd)熱伝導性フィラーを含む、放熱グリース組成物である。【選択図】なし

Description

本開示は、放熱グリース組成物及び電子機器に関する。
電子機器で使用される集積回路(IC)の高集積化に伴い、使用時の発熱量の増大が問題になっている。発生する熱から集積回路等を保護し、その機能を維持させるために、通常は、発生した熱を放熱フィン又はヒートシンク等の放熱システムに伝導させて系外に放出している。したがって、増大する発熱量に対応するためには、系内における熱伝導性を向上させ、放熱効率をより高める必要がある。
熱伝導性を向上させるために、放熱グリースが用いられる。放熱グリースとしては、基油中に無機粉末等の熱伝導性フィラーを配合したものが知られている。また、基油としては、熱分解安定性、難燃性等の観点からシリコーン油を用いたものも多く知られている。例えば、特許文献1〜4等では、主な基油としてシリコーン油を含む放熱グリースにおいて熱伝導率を高めるために、種々の検討がなされている。
特開2000−063873号公報 特開2004−091743号公報 特開2005−054099号公報 特開2017−043717号公報
上述の通り、優れた熱伝導性を有する放熱グリース組成物が求められている。
そこで、本開示の目的は、新規な構成を有し且つ熱伝導性に優れた放熱グリース組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、意外なことに、基油、水性媒体及び界面活性剤の混合物に熱伝導性フィラーを添加することによって、熱伝導性に優れた放熱グリース組成物を提供できることを見出した。
本実施形態の態様例は、以下の通りに記載される。
(1) a)基油、b)水性媒体、c)界面活性剤、及びd)熱伝導性フィラーを含む、放熱グリース組成物。
(2) 基油が、鉱油を含む、(1)に記載の放熱グリース組成物。
(3) 界面活性剤が、水性媒体と混合するとゲル化又は増粘化する界面活性剤を含む、(1)又は(2)に記載の放熱グリース組成物。
(4) 水性媒体と混合するとゲル化又は増粘化する界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含む、(3)に記載の放熱グリース組成物。
(5) 水性媒体と混合するとゲル化又は増粘化する界面活性剤が、ソルビタン脂肪酸エステルを含む、(3)に記載の放熱グリース組成物。
(6) 熱伝導性フィラーが、金属炭化物を含む、(1)〜(5)のいずれか1つに記載の放熱グリース組成物。
(7) 金属炭化物が、炭化ケイ素を含む、(6)に記載の放熱グリース組成物。
(8) 水性媒体が、水を含む、(1)〜(7)のいずれか1つに記載の放熱グリース組成物。
(9) 水性媒体が、グリセリンを含む、(1)〜(7)のいずれか1つに記載の放熱グリース組成物。
(10) 基油が、連続相としての水性媒体中に油滴として分散している、(1)〜(9)のいずれか1つに記載の放熱グリース組成物。
(11) 基油の含有量が、1〜40質量%であり、
水性媒体の含有量が、5〜35質量%であり、
界面活性剤の含有量が、2〜15質量%であり、
熱伝導性フィラーの含有量が、25〜90質量%である、(1)〜(10)のいずれか1つに記載の放熱グリース組成物。
(12) 発熱部材と、それに近接した放熱部材とを有し、
発熱部材と放熱部材の間に、(1)〜(11)のいずれか1つに記載の放熱グリース組成物が充填されている、電子機器。
本開示により、新規な構成を有し且つ熱伝導性に優れた放熱グリース組成物を提供することができる。
1.放熱グリース組成物
1−1.概要
本実施形態は、a)基油、b)水性媒体、c)界面活性剤、及びd)熱伝導性フィラーを含む、放熱グリース組成物に関する。本実施形態に係る放熱グリース組成物は、優れた熱伝導性を有する。
本開示において、「放熱グリース組成物」とは、熱源で発生した熱エネルギーを効率的に系外に伝導させて放出するために使用するグリース状の組成物である。本開示において、放熱グリース組成物のベースには、基油、水性媒体及び界面活性剤の混合物が用いられる。該ベースに熱伝導性フィラーを均一に分散させて半固体化させることができる。熱伝導性フィラーは、増ちょう剤としての機能も有し得る。一実施形態において、放熱グリース組成物のベースは、水中油型である。
1−2.構成
放熱グリース組成物は、その構成成分として、a)基油、b)水性媒体、c)界面活性剤、及びd)熱伝導性フィラーを少なくとも含む。以下、それぞれの成分について説明する。
a)基油
本実施形態に係る放熱グリース組成物は、基油を含む。
基油は、特に制限されるものではないが、例えば、鉱油、エステル系合成油、合成炭化水素油、シリコーン油、又はフッ素化油等の各種合成油を使用できる。これらの中でも、鉱油、合成炭化水素油が好ましく、鉱油が好ましい。鉱油としては、例えば、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、又はこれらの混合物が挙げられる。これらのうち、パラフィン系鉱油が好ましい。基油は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
基油の放熱グリース組成物中の含有量は、1〜40質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることが好ましく、4〜10質量%であることが好ましい。基油の含有量が1質量%以上である場合、グリースに適度な流動性を持たせることができ、優れた塗布性や密着性を付与することができる。すなわち、発熱部材と放熱部材の間隙へグリースを塗布し易くなり、また、振動等による部材間の隙間の発生が起こり難くなる。基油の含有量が40質量%以下である場合、グリース塗布面からの優れた耐垂れ落ち性、および耐油分離性を有することができる。なお、例示したいずれの下限値及び例示したいずれの上限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。上述の通り、基油としては鉱油を好ましく用いることができ、基油は鉱油を主に含むことが好ましい。基油が鉱油を主に含むということは、基油中、鉱油の含有量が最も多いことを意味する。鉱油の基油中の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが好ましく、100質量%であることが好ましい。
基油(特に鉱油)の動粘度(40℃)は、特に制限されるものではないが、50〜3000mm/sであることが好ましく、100〜1000mm/sであることが好ましく、300〜600mm/sであることが好ましい。なお、例示したいずれの下限値及び例示したいずれの上限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。
一実施形態の放熱グリース組成物は、シリコーン油を実質的に含まない。シリコーン油が含まれていると、シロキサンガスが発生する場合がある。シロキサンガスは電極等に付着して二酸化ケイ素を形成するため、接点不良の原因となる場合がある。一実施形態において、シリコーン油の放熱グリース組成物中の含有量は、1質量%以下であり、0.5質量%以下であり、0.1質量%以下であり、0質量%である。
b)水性媒体
本実施形態に係る放熱グリース組成物は、水性媒体を含む。水性媒体は熱伝導性に優れた材料であり、水性媒体を含有させることによりグリース組成物の熱伝導性を向上することができる。また、水性媒体(特に水)は材料として安価であり、製造コストを低減することができる。
水性媒体としては、例えば、水、アルコール類、エーテル類、カーボネート類、アセトン、又はアセトニトリル等が挙げられる。水としては、例えば、純水、蒸留水、水道水、又は井戸水等を用いることができ、純水又は蒸留水を用いることが好ましい。アルコール類としては、例えば、1価アルコール、2価アルコール、又は3価アルコールを挙げることができる。1価アルコールとしては、例えば、炭素数1〜4の低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)が挙げられる。2価アルコールとしては、例えば、エチレングリコールが挙げられる。3価アルコールとしては、例えば、グリセリンが挙げられる。エーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン等が挙げられる。カーボネート類としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、又はブチレンカーボネート等が挙げられる。水性媒体としては水を好ましく用いることができ、水性媒体は水を主に含むことが好ましい。水性媒体が水を主に含むということは、水性媒体中、水の含有量が最も多いことを意味する。水の水性媒体中の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが好ましく、100質量%であることが好ましい。また、一実施形態において、水性媒体としてはグリセリンを好ましく用いることができ、水性媒体はグリセリンを主に含むことが好ましい。水性媒体がグリセリンを主に含むということは、水性媒体中、グリセリンの含有量が最も多いことを意味する。グリセリンの水性媒体中の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが好ましく、100質量%であることが好ましい。水性媒体がグリセリンを含む場合、熱伝導性フィラーの含量を増やしても、放熱グリース組成物の混和ちょう度を比較的高く維持できる傾向になる。熱伝導性フィラーの含量を増加させることにより、放熱グリース組成物の熱伝導性を向上させることができる。
水性媒体のグリース組成物中の含有量は、5〜35質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることが好ましい。水性媒体の含有量が5質量%以上である場合、水性媒体による熱伝導性効果を効率的に得ることができる。また、水性媒体の含有量が35質量%以下である場合、水性媒体の量が大きくなることを避け、十分な量の熱伝導性フィラーを配合し易くなる。なお、例示したいずれの下限値及び例示したいずれの上限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。
c)界面活性剤
本実施形態に係る放熱グリース組成物は、界面活性剤を含む。界面活性剤を含有させることにより、基油と水性媒体とを均一に混合することができる。また、一実施形態において、基油は、連続相としての水性媒体中に油滴として分散している(水中油型)。
界面活性剤は、特に制限されるものではないが、ちょう度の観点から、好ましくは、水性媒体(例えば水)と混合するとゲル化又は増粘化する性質を有する界面活性剤を用いることができる。ゲル化又は増粘化は界面活性剤の濃度に依存し得る。このような界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられるが、これに限定されない。ソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの脂肪酸の炭素数は、好ましくは10〜24であり、好ましくは12〜18である。また、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのオキシエチレンの付加モル数は、好ましくは4〜100(4〜100EO)であり、好ましくは6〜60(6〜60EO)であり、好ましくは8〜30(8〜30EO)である。なお、例示したいずれの下限値及び例示したいずれの上限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。
ソルビタン脂肪酸エステルの例としては、例えば、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリイソステアレート、ソルビタンジイソステアレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタントリラウレート、ソルビタンジラウレート、ソルビタンモノラウレート等が挙げられる。ソルビタン脂肪酸エステルは、好ましくは、ソルビタンモノオレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタントリイソステアレート、ソルビタンジイソステアレートである。また、ソルビタン脂肪酸エステルは、好ましくは、ソルビタンモノオレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレートである。ソルビタン脂肪酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの例としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンジイソステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノイソステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンジラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等が挙げられる。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、好ましくは、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンジイソステアレートである。また、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、好ましくは、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレートである。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤のHLBは、好ましくは3.0〜16.0であり、好ましくは5.0〜15.0であり、好ましくは8.0〜13.0である。
界面活性剤の放熱グリース組成物中の含有量は、2〜15質量%であることが好ましく、3〜10質量%であることが好ましい。界面活性剤の含有量が2質量%以上の場合、分散剤として効果を十分に得ることができる。また、界面活性剤の含有量が15質量%以下である場合、界面活性剤の量が大きくなることを避け、十分な量の熱伝導性フィラーを配合し易くなる。なお、例示したいずれの下限値及び例示したいずれの上限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。上述の通り、界面活性剤としては水性媒体と混合するとゲル化又は増粘化する性質を有する界面活性剤(ゲル化界面活性剤とも称す)を好ましく用いることができ、界面活性剤は、ゲル化界面活性剤を主に含むことが好ましい。界面活性剤がゲル化界面活性剤を主に含むということは、界面活性剤中、ゲル化界面活性剤の含有量が最も多いことを意味する。ゲル化界面活性剤の界面活性剤中の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが好ましく、100質量%であることが好ましい。
d)熱伝導性フィラー
本実施形態に係る放熱グリース組成物は、熱伝導性フィラーを含む。熱伝導性フィラーを含有させることにより、放熱グリース組成物の熱伝導性をより向上させることができる。
熱伝導性フィラーは、特に制限されるものではなく、例えば、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸窒化物、金属炭窒化物、金属水酸化物、窒素化合物、又は黒鉛等が挙げられる。金属としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム若しくはニッケル等の金属、及びこれら金属を含有する合金等が挙げられる。金属酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化モリブデン、又は酸化ケイ素等が挙げられる。金属窒化物としては、例えば、窒化アルミニウム又は窒化ケイ素等が挙げられる。金属炭化物としては、例えば、炭化ケイ素又は炭化タングステン等が挙げられる。金属酸窒化物としては、例えば、酸窒化アルミニウム等が挙げられる。金属炭窒化物としては、例えば、炭窒化アルミニウム等が挙げられる。金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、又は水酸化バリウム等が挙げられる。窒素化合物としては、例えば、窒化ホウ素等が挙げられる。黒鉛としては、例えば、燐状黒鉛、土状黒鉛、燐片状黒鉛、塊状黒鉛、又は膨張黒鉛等が挙げられる。熱伝導性フィラーとしては、金属炭化物が好ましく、炭化ケイ素が好ましい。熱伝導性フィラーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱伝導性フィラーの形状は、特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、球状粉末、不定形粉末、扁平粉末、又は繊維状粉末等が挙げられる。
熱伝導性フィラーの放熱グリース組成物中の含有量は、25〜90質量%であることが好ましく、40〜80質量%であることが好ましい。熱伝導性フィラーの含有量が25質量%以上である場合、熱伝導性を効果的に向上することができる。また、熱伝導性フィラーの含有量が90質量%以下である場合、熱伝導性フィラーの分散性を十分に確保することができ、放熱グリース組成物を半固体状にし易くなる。また、熱伝導性フィラーは、放熱グリース組成物のちょう度にも影響を与え得る。そのため、熱伝導性フィラーの含有量は、放熱グリース組成物のちょう度を考慮して適宜選択することもできる。なお、例示したいずれの下限値及び例示したいずれの上限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。上述の通り、熱伝導性フィラーとしては金属炭化物を好ましく用いることができ、熱伝導性フィラーは金属炭化物を主に含むことが好ましい。熱伝導性フィラーが金属炭化物を主に含むということは、熱伝導性フィラー中、金属炭化物の含有量が最も多いことを意味する。金属炭化物の熱伝導性フィラー中の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが好ましく、100質量%であることが好ましい。金属炭化物は、好ましくは炭化ケイ素である。
熱伝導性フィラーの平均粒径は、0.01〜20μmであることが好ましく、0.05〜10μmであることが好ましく、0.1〜5μmであることが好ましい。熱伝導性フィラーの平均粒径が0.01μm以上である場合、製造コストを低下させることができる。熱伝導性フィラーの平均粒径が20μm以下である場合、均一に分散し易くなる。熱伝導性フィラーの平均粒径は、体積基準の50%粒子径を意味し、例えばマイクロトラック粒度分析計により測定することができる。なお、例示したいずれの下限値及び例示したいずれの上限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。
e)任意成分
本実施形態に係る放熱グリース組成物は、必須の構成成分であるa)基油、b)水性媒体、c)界面活性剤、及びd)熱伝導性フィラーに加えて、任意の成分を包含することができる。任意成分としては、例えば、極圧添加剤、酸化防止剤、防錆剤、摩擦緩和剤、防食剤、又は固体潤滑剤等が挙げられる。放熱グリース組成物は、組成物中に多量の水性媒体を含むため、防錆剤を添加しておくことが好ましい。任意成分の放熱グリース組成物中の含有量は、例えば、0.1〜20質量%であり、好ましくは0.5〜10質量%である。なお、例示したいずれの下限値及び例示したいずれの上限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。
放熱グリースは、発熱部材又は放熱部材との間に隙間が生じないように密着できる適度な密着性と、発熱部材又は放熱部材に塗布できる適度な流動性を有することが望ましい。混和ちょう度が低すぎると、放熱グリースが硬くなりすぎて、密着性が低下し、隙間が生じ易くなってしまう。一方で、混和ちょう度が高すぎると、放熱グリースが柔らかくなりすぎて、流動性が高くなりすぎてしまい、塗布部から流出し易くなる。そのため、本実施形態に係る放熱グリース組成物のちょう度は、好ましくは200〜430であり、より好ましくは220〜400であり、さらに好ましくは240〜380であり、特に好ましくは265〜340である。なお、例示したいずれの下限値及び例示したいずれの上限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。
「ちょう度」とは、グリースのような半固体物質の硬さを表す基本物性値である。本開示におけるちょう度は、JIS K 2220 7で規定される測定方法による測定値に基づいて算出されたグリースの外観的な硬さを表す値であり、混和ちょう度を意味する。規定の混和器に被検グリースを入れ、25℃下で規定重量の円錐がそのグリースに5秒間で貫入した侵入深度から算出され、その値が大きいほど軟らかいグリースであることを意味する。
2.電子機器
2−1.概要
本実施形態の一態様は、電子機器に関する。本実施形態によれば、発熱部材から発生した熱の冷却性に優れた電子機器の提供が可能となる。
2−2.構成
本実施形態に係る電子機器は、少なくとも発熱部材とそれに近接した放熱部材を有し、その両部材の間に本実施形態に係る放熱グリース組成物を充填した構成を有する。これにより、放熱グリース組成物を介して発熱部材と放熱部材とが接触した状態となる。
本開示において、「電子機器」とは、例えばインバータ回路のような電源制御用パワーモジュールやCPUのような演算処理回路によって電子制御される機器全般をいう。電子機器としては、例えば、パソコン、自動車、電子制御された家電(例えば、エアコン、冷蔵庫、電子レンジ)、通信機(例えば、携帯電話、無線機)、又は音響機器(例えば、オーディオアンプ)等が挙げられる。
「発熱部材」とは、電子機器内又は上に設置され、通電によって発熱する部材をいう。本実施形態においては、特に、自然対流による放熱では十分な冷却が不可能な程の多量の熱を発生する部材がその対象となる。例えば、前述のインバータ回路やCPUがその代表として挙げられる。
「放熱部材」とは、発熱部材で発生した熱を受け取り、電子機器外部に熱を放散することで発熱部材を、ひいては電子機器自体を冷却する部材をいう。例えば、ヒートシンクが挙げられる。一般に、放熱部材は、熱抵抗の小さい材質によって構成され、放熱効率を高めるために表面積を大きくして板状又は棒状の放熱フィンを多数有している。本実施形態に係る放熱部材も同様の材質からなり、また同様の形態を有していてもよい。発熱部材によって、自然冷却のみでも十分な熱拡散効果を有する場合、又は熱拡散のためにファンで強制冷却を必要とする場合があるが、いずれの場合の放熱部材も本実施形態の対象となる。また、発熱部材から熱を受け取り、外部にその熱を放散することができるのであれば、ヒートシンクのような放熱専用の部材である必要はなく、例えば、電子機器の筐体が放熱部材として機能してもよい。
放熱グリース組成物の充填量は、発熱部材とそれに近接する放熱部材間の間隙の大きさ及び面積に応じて適宜定めればよい。効率的な熱伝導のために両部材が放熱グリース組成物を介して完全に接触できるように、すなわち、両部材間に気層や気泡が存在しないように完全に充填されることが好ましい。
2−3.効果
本実施形態に係る電子機器は、本実施形態に係る放熱グリース組成物を介して前記発熱部材と放熱部材が接触した構造を有する。それゆえ、発熱部材で発生した熱は、高熱伝導率を有する放熱グリース組成物によって直ちに放熱部材へと伝導され、そこで大気中に放散される。これによって、発熱部材は、効率的に冷却される。
したがって、本実施形態に係る電子機器によれば、発熱部材から発生した熱の冷却性に優れ、発熱による電子機器の機能障害及び寿命の短縮化の改善、及び電子機器本体の小型化及び電子機器内の各部材の高密度な実装化が可能となる。
以下、実施例を挙げて本実施形態を説明するが、本開示はこれらの例によって限定されるものではない。
<材料>
a)基油
・鉱油:パラフィン系鉱油(商品名:ダイアナフレシアP−430、メーカー:出光興産株式会社、40℃における動粘度:439mm/s)
・ポリαオレフィン(PAOとも称す):(商品名:SYNTON PAO40、メーカー:Chemtura Corporation、40℃動粘度:400mm/s)
・シリコーン油:(商品名:KF−96、メーカー:信越化学工業株式会社)
b)水性媒体
・純水
・エチレングリコール(EGとも称す)
・グリセリン
c)界面活性剤
・界面活性剤1:ポリオキシエチレン(20EO)ソルビタントリステアレート(商品名:レオドールTW−S320V、メーカー:花王株式会社、HLB=10.5)
・界面活性剤2:ポリオキシエチレン(20EO)ソルビタンモノステアレート(商品名:レオドールTW−S120V、メーカー:花王、HLB=14.9)
・界面活性剤3:ポリオキシエチレン(20EO)ソルビタントリオレート(商品名:レオドールTW−O320V、メーカー:花王、HLB:11.0)
・界面活性剤4:ソルビタンモノオレート(商品名:レオドールAO−10V、メーカー:花王、HLB:4.3)
d)熱伝導性フィラー
・炭化ケイ素(商品名:SER−20、メーカー:信濃電気製錬(株))
・酸化亜鉛(商品名:微細亜鉛華、メーカー:本荘ケミカル株式会社)
<調製方法>
上記材料を下記表1に記載の質量比でホモジナイザーを用いて均一に混合し、各放熱グリース組成物を調製した。
<評価>
実施例及び比較例の各放熱グリース組成物について、熱伝導率及び混和ちょう度を評価した。結果を表1に示す。なお、比較例2及び5では、ちょう度が高すぎたため、熱伝導率は測定できなかった。
・熱伝導率
ISO 22007 2に準拠し、ホットディスク法熱伝導率測定装置を用いて熱伝導率を測定した。
・混和ちょう度
JIS K2220 7で規定される測定方法で得られた測定値から混和ちょう度を算出した。
Figure 2020059842
実施例の放熱グリース組成物は、比較例の放熱グリース組成物よりも熱伝導率が優れていた。したがって、本実施形態に係る放熱グリース組成物が、優れた熱伝導率を有することが実証された。
また、放熱グリース組成物の熱伝導性を向上するためには、熱伝導性フィラーの含有量をなるべく高くすることが望ましい。しかし、熱伝導性フィラーの含有量を高くすると、放熱グリース組成物の混和ちょう度が低下し、放熱グリース組成物が硬くなる。放熱グリース組成物が硬くなると、発熱部材又は放熱部材への密着性が低下し、隙間が生じ易くなる。そのため、熱伝導性フィラーの含有量は、得られる放熱グリース組成物の混和ちょう度とのバランスをとって選択する必要がある。ここで、熱伝導性フィラーの含有量と混和ちょう度との関係は、基油や水性媒体、界面活性剤の種類によって異なる。例えば、熱伝導性フィラーの含有量を同じ量とした場合でも混和ちょう度がより高くなる材料(すなわち放熱グリース組成物がより柔らかくなる材料)は、放熱グリースの混和ちょう度を好ましい範囲に入るように組成を調整する際、熱伝導性フィラーの含有量を多くすることができる。そのため、混和ちょう度が高くなる材料は、熱伝導性フィラーの含有量を多くできるため、熱伝導性向上の観点から有利である。ここで、熱伝導性フィラーの含有量が同じ実施例5、6及び7を比べると、実施例7(グリセリン配合)の混和ちょう度が高くなっている。このことから、水に比べてグリセリンの方が熱伝導性フィラーの含有量を多くすることができることがわかる。また、長時間経っても蒸発しにくい材料が放熱特性の維持には好ましい。つまり、材料の蒸発は、グリース組成物の体積減少、あるいは、相対的な熱伝導性フィラー含有量の増加による硬化(混和ちょう度の低下)を進行させ、電子部品や放熱部品と放熱グリース組成物との間に隙間を生じさせる可能性がある。隙間が生じると、熱の伝達が妨げられる。以上の理由から、水性媒体としてグリセリンを含むことが好ましい。
以上、本実施形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本開示に含まれるものである。
本実施形態に係る放熱グリース組成物を、集積回路、ECU(エンジンコントロールユニット)又はインバータ等に使用することで、使用時におけるそれらの温度を低減させることができる。

Claims (12)

  1. a)基油、b)水性媒体、c)界面活性剤、及びd)熱伝導性フィラーを含む、放熱グリース組成物。
  2. 基油が、鉱油を含む、請求項1に記載の放熱グリース組成物。
  3. 界面活性剤が、水性媒体と混合するとゲル化又は増粘化する界面活性剤を含む、請求項1又は2に記載の放熱グリース組成物。
  4. 水性媒体と混合するとゲル化又は増粘化する界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含む、請求項3に記載の放熱グリース組成物。
  5. 水性媒体と混合するとゲル化又は増粘化する界面活性剤が、ソルビタン脂肪酸エステルを含む、請求項3に記載の放熱グリース組成物。
  6. 熱伝導性フィラーが、金属炭化物を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の放熱グリース組成物。
  7. 金属炭化物が、炭化ケイ素を含む、請求項6に記載の放熱グリース組成物。
  8. 水性媒体が、水を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の放熱グリース組成物。
  9. 水性媒体が、グリセリンを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の放熱グリース組成物。
  10. 基油が、連続相としての水性媒体中に油滴として分散している、請求項1〜9のいずれか1項に記載の放熱グリース組成物。
  11. 基油の含有量が、1〜40質量%であり、
    水性媒体の含有量が、5〜35質量%であり、
    界面活性剤の含有量が、2〜15質量%であり、
    熱伝導性フィラーの含有量が、25〜90質量%である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の放熱グリース組成物。
  12. 発熱部材と、それに近接した放熱部材とを有し、
    発熱部材と放熱部材の間に、請求項1〜11のいずれか1項に記載の放熱グリース組成物が充填されている、電子機器。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024042956A1 (ja) * 2022-08-26 2024-02-29 デンカ株式会社 放熱グリース
WO2024042955A1 (ja) * 2022-08-26 2024-02-29 デンカ株式会社 放熱グリース

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